JP2009034705A - 熱間ローラ矯正における被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定方法ならびにローラレベラの操業方法 - Google Patents

熱間ローラ矯正における被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定方法ならびにローラレベラの操業方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱間ローラ矯正において被矯正材の降伏応力および弾性係数を精度良く予測する。
【解決手段】熱間で、上下に千鳥状に複数本のロールが配置されたローラレベラのロール間に被矯正材を通して繰り返し曲げを与えることによって、該被矯正材の反りや波形状を平坦化する、あるいは、該被矯正材に所望の反りや波形状を付与する熱間ローラ矯正において、被矯正材の降伏応力および弾性係数を任意の一つの媒介変数の関数とし、ローラレベラの各ロールの設定位置と、ローラ矯正時の矯正荷重とから前記媒介変数を推定し、この推定された媒介変数により、該被矯正材の降伏応力および弾性係数を推定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱間ローラ矯正において被矯正材の降伏応力および弾性係数を精度良く推定する方法、ならびに、本方法により推定された被矯正材の降伏応力および弾性係数を修正し、また、本方法により推定された被矯正材の降伏応力および弾性係数に対するローラレベラの各ロールの最適位置を求めて、ローラレベラの各ロール位置を算出された位置に修正して設定するローラレベラの操業方法に関するものである。
板材、形材、管材、線材等の圧延や冷却過程などで発生した反りや波形状を平坦化する、あるいは所望の反りや波形状を付与するために、複数本のロールを上下に千鳥状に配置したローラレベラが用いられる。ローラレベラによる矯正作用は、被矯正材に繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化する、あるいは、被矯正材に所望の反りや波形状を付与するものである。
一般に、ローラレベラの各ロール位置は、被矯正材の寸法・降伏応力あるいは弾性係数といった材料定数・反り・形状、ローラレベラの剛性などを考慮して、被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは、被矯正材に所望の反りや波形状を付与するために必要なロール押し込み量となるように設定される。このとき、ローラレベラの各ロール位置は、予めローラレベラの制御系に、被矯正材の寸法・材料定数で区分して設定、記憶されたテーブル値を用いて設定されることも多い。ここで、ロール押し込み量とは、該ロールの頂点と、該ロールの前後ロールの頂点を結ぶ直線との距離から被矯正材の厚みを差し引いたものであり、以下では、該ロールの頂点と、該ロールの前後ロールの頂点を結ぶ直線との距離が、被矯正材の厚みよりも短くなる場合を正として説明する。
ローラレベラのロール押し込み量の設定方法として、例えば、特許文献1には、入側最大加工度、出側加工度と板厚・板幅・降伏応力とから上ロール群の入側押し込み量と出側押し込み量とを決定する方法が示されており、特に入側最大加工度は3以上、出側加工度は1をとればよいとしている。なお、加工度とは矯正中に被矯正材に与えられる曲率を被矯正材の弾性限曲率で除したものである。
ローラレベラのロール位置と被矯正材の曲率との関係は、種々の実験式や理論計算方法が示されており、例えば、実験式については、非特許文献1に被矯正材の曲率とローラレベラのロールピッチとロール押し込み量とを比例定数により関係付けた式が提案されており、理論計算方法については、非特許文献2に梁の曲げ理論に基づいた方法が提案されている。
このようにして、被矯正材に与えるべき曲率が得られるロール位置を求め、求められたロール位置に各ロールを設定して矯正を行っている。
ところが、被矯正材の降伏応力および弾性係数の予測推定誤差が大きくなると、所望の矯正効果が得られないという問題がある。特許文献2には、任意の被矯正材のローラ矯正において、矯正荷重から被矯正材の降伏応力を推定し、推定された降伏応力に対する最適な各ロール位置に修正する方法が示されている。
しかしながら、熱間圧延機後面あるいは冷却装置後面において、被矯正材を熱間でローラ矯正することが一般的に行われている。被矯正材の降伏応力だけでなく、弾性係数も温度に対し敏感に変化する一方、ローラ矯正効果にも、被矯正材の降伏応力、弾性係数の双方が強い影響を及ぼす。そのため、被矯正材に対し十分な矯正効果を発揮するためには、降伏応力だけでなく、弾性係数も精度良く推定し、推定された降伏応力、弾性係数に対し、適切な位置に各ロール位置を設定して矯正することが不可欠である。
特許文献3には、熱間でのローラ矯正において矯正荷重から材料定数を推定する方法が示されているが、被矯正材の材料定数である降伏応力、弾性係数の2つの未知数を矯正荷重という1つの既知数からどのように推定するか、具体的な方法が開示されていない。
つまり、従来、熱間でのローラ矯正において、被矯正材のローラ矯正効果を安定的に得るために不可欠な被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定方法、および、ローラレベラの操業方法は見当たらない。
ここで、非特許文献3には、被矯正材の寸法や材料定数、ローラレベラの各ロール径や各ロール設定位置をもとに、梁の曲げ理論に基づいて、被矯正材のローラ矯正過程での変形挙動および各ロールの矯正荷重を求める方法が開示されている。また、非特許文献4には、矯正荷重によるローラレベラの弾性変形を考慮して被矯正材のローラ矯正過程での変形挙動および各ロールの矯正荷重を求める方法が開示されている。
なお、本明細書でいうローラレベラとは、単純にロールにより曲げを加えるものだけでなく、被矯正材に張力を加えた上でロールによる曲げを加えるものも含める。
また、本明細書で単にロールという場合は、被矯正材に直接接触して、これに曲げを加える「ワークロール」を意味し、ワークロールを支持するバックアップロールと区別するときのみワークロールと呼ぶことにする。
さらに、本明細書でいう降伏応力とは、塑性変形の開始点における応力だけでなく、例えば、0.2%耐力のような所定のひずみ量に対する応力も含める。
特開昭53-87962号公報 特開2004-314150号公報 特開平11-197746号公報 「塑性と加工」第31巻第349号(1990)第208頁〜第212頁 「昭和48年度春季塑性加工講演会論文集」(1973)第143頁〜第146頁 「塑性と加工」第43巻第496号(2002)第439頁〜第443頁 「塑性と加工」第45巻第520号(2004)第331頁〜第335頁
上記したように、熱間でローラ矯正を行う場合、被矯正材の降伏応力および弾性係数は被矯正材の温度に対し敏感に変化するため、被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定誤差が大きい場合、被矯正材に対し十分な矯正効果が発揮できないことも少なくない。本発明は、上記課題に鑑み、熱間でのローラ矯正において、安定的にローラ矯正効果を得るために、被矯正材の降伏応力および弾性係数を精度良く推定する方法、および、本方法により推定された被矯正材の降伏応力および弾性係数を用いて最適なロール設定位置を求めて、各ロール位置を算出された位置に修正して設定するローラレベラの操業方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明者らは、熱間でのローラ矯正における温度、降伏応力および弾性係数、矯正条件、矯正荷重の関係について、数多くの理論検討および実験検討を行った。これより、以下の知見を得た。
熱間でローラ矯正を行う場合、被矯正材の降伏応力および弾性係数は、被矯正材の温度と密接な関係を有するが、温度計を用いた温度測定結果は、被矯正材の表面性状や雰囲気のような外乱による誤差を含むだけでなく、測定される温度は被矯正材上の測定点表面の温度であり、被矯正材の内部温度分布も含めた代表温度を直接知ることはできない。ところが、ある矯正条件における矯正荷重の大小は、被矯正材の降伏応力および弾性係数の大小と密接に関係する。しかも、該矯正条件に対する矯正効果についても、被矯正材の降伏応力および弾性係数が大きく影響するため、被矯正材の降伏応力および弾性係数を精度良く推定してローラレベラの操業条件を設定することはローラ矯正効果を安定的に得るために重要である。さらに、本発明者らは、被矯正材の温度と矯正荷重との間に密接な関係があることを見出した。つまり、矯正時の被矯正材の温度を適切に推定できれば、矯正荷重を適切に推定することができる。言い換えると、降伏応力および弾性係数は、ともに、温度という一つの媒介変数によって値を変える従属変数であると考えることにより、ある矯正条件における矯正荷重から、被矯正材の降伏応力および弾性係数を推定できることが判明した。さらに、このようにして推定された被矯正材の降伏応力および弾性係数に対する最適なローラ矯正条件を用いることにより、該被矯正材に対する矯正効果を安定的に得ることが可能となることが判明した。
ここで、媒介変数は、必ずしも温度を意味するものでなくても良い。すなわち、降伏応力と弾性係数との関係を導くものであれば良い。例えば、降伏応力と媒介変数との関係式と、弾性係数と媒介変数との関係式から、媒介変数を消去し、降伏応力、あるいは、弾性係数を媒介変数とする関係式を用いることも可能である。
本発明は上記の知見を基になされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)熱間で、上下に千鳥状に配置された複数本のロールが配置されたローラレベラのロール間に被矯正材を通して繰り返し曲げを与えることによって、該被矯正材の反りや波形状を平坦化する、あるいは、該被矯正材に所望の反りや波形状を付与する熱間ローラ矯正において、
被矯正材の降伏応力および弾性係数を任意の一つの媒介変数の関数とし、ローラレベラの各ロールの設定位置と、ローラ矯正時の矯正荷重とから前記媒介変数を推定し、この推定された媒介変数により、該被矯正材の降伏応力および弾性係数を推定することを特徴とする熱間ローラ矯正における被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定方法。ここで、該媒介変数が、測定あるいは推定された矯正時の被矯正材の温度であることが好ましい。または、降伏応力と弾性係数との関係に基づき、降伏応力あるいは弾性係数を該媒介変数として用いることが好ましい。
(2)(1)に記載した方法により推定された被矯正材の降伏応力および弾性係数を用いて、該被矯正材に対するローラレベラの操業条件を決定するための降伏応力および弾性係数を修正、記憶することを特徴とする熱間ローラ矯正におけるローラレベラの操業方法。
(3)(1)に記載した方法により推定された被矯正材の降伏応力および弾性係数に対して、該被矯正材の反りや波形状を平坦化する、あるいは、該被矯正材に所望の反りや波形状を付与するために最適なローラレベラの各ロール位置を求め、ローラレベラの各ロール位置を算出された最適ロール位置に修正することを特徴とする熱間ローラ矯正におけるローラレベラの操業方法。
前記(1)の発明によれば、熱間ローラ矯正において、被矯正材の降伏応力および弾性係数を精度良く予測できるようになる。特に、測定あるいは推定された矯正時の被矯正材の温度を意味する媒介変数を用いた場合、被矯正材の冶金的状態も推定できることから、被矯正材の降伏応力および弾性係数以外の材料定数も推定でき、多角的に、被矯正材の矯正過程での変形挙動を把握できる。前記(2)の発明によれば、矯正作業を重ねることにより被矯正材の降伏応力および弾性係数が修正されるので、被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定誤差を減少することができる。さらに、前記(3)の発明によれば、被矯正材の正確な降伏応力および弾性係数を記憶しなくとも、該被矯正材の矯正中、あるいは、該被矯正材と同様の被矯正材に対する最適ロール位置にローラレベラの各ロール位置を修正することにより、十分な矯正効果を発揮できる。
以上のように、本発明によれば、被矯正材の降伏応力および弾性係数が精度良く予測できるようになったので、それぞれの被矯正材に対して最適なロール位置設定のもとで矯正作業を行うことができ、十分な矯正効果が発揮できるようになる。また、従来、十分な矯正効果が得られない場合には再度矯正を行うといった非効率的な作業を実施していたが、これを改善することが可能となる。
本発明では、ローラレベラの各ロールの設定位置と、ローラ矯正時に発生した矯正荷重の実測値とを用いて、被矯正材の降伏応力および弾性係数を推定する。ローラレベラの各ロールの設定位置と、ローラ矯正時に発生した矯正荷重の実測値とを用いて、被矯正材の降伏応力および弾性係数を推定する方法は種々考えられるが、以下にその一例を図2を用いて説明する。
a)まず、被矯正材の降伏応力−媒介変数関係(降伏応力−温度関係)、および、弾性係数−媒介変数関係(弾性係数−温度関係)をあらかじめ引張試験などにより求めておく。これらの関係式を用いることにより、被矯正材の媒介変数(例えば温度)を仮定すると、該媒介変数における被矯正材の降伏応力および弾性係数の仮定値が与えられる。
b)次に、実際にローラ矯正を行い、そのときの各ロールの設定位置に対する矯正荷重を測定する。この場合、矯正時の温度が測定されていることが望ましい。
c)次に、上記実測の矯正荷重と各ロールの設定位置から矯正時の被矯正材の所定の媒介変数の値を推定する。この媒介変数の推定は次のように行う。先ず適当な媒介変数の値を仮定し、この媒介変数の仮定値に対する降伏応力および弾性係数を上記関係式を用いて求める。
d)さらに、降伏応力および弾性係数の仮定値を用いて、該矯正条件に対する被矯正材の変形を理論計算し、矯正荷重を求める。ここで、被矯正材の寸法や降伏応力および弾性係数、ローラレベラの各ロール径や各ロール設定位置がわかれば、例えば、非特許文献3に開示されている方法を用いて、各ロールの矯正荷重、ひいては、全矯正荷重を求めることができる。また、矯正荷重が高い場合、矯正荷重に伴うローラレベラの弾性変形が被矯正材の矯正効果に及ぼす影響が大きくなる。このような場合、例えば、非特許文献4に開示されている方法を用いてローラレベラの弾性変形特性を把握した上で、ローラレベラの弾性変形を考慮した理論解析を行い、各ロールの矯正荷重、ひいては、全矯正荷重を求めることができる。
e)このようにして理論計算により得られた矯正荷重と上述の実測した矯正荷重とを比較する。
f)両者が異なる場合には、媒介変数を修正する。
g)さらに、上記関係式を用いて、被矯正材の降伏応力および弾性係数も修正された媒介変数に対する値に修正し、再度d)の計算を行う。計算は理論計算により得られた矯正荷重と実測された矯正荷重とが一致するまで繰り返し行う。
h)このようにして理論計算により得られた矯正荷重と実測された矯正荷重とが一致したときの媒介変数が真の媒介変数であると推定される。そして、その真の媒介変数に対する降伏応力および弾性係数が被矯正材の真の材料定数であると推定される。
i)このとき、被矯正材の降伏応力および弾性係数を上記のようにして得られた降伏応力および弾性係数に修正、記憶することが好ましい。また、降伏応力あるいは弾性係数以外の材料定数で該媒介変数の関数であるものも、必要に応じて修正、記憶されることが望ましい。
j)さらに、修正されたこれらの材料定数に対し、理論的または経験的検討による最適ロール設定にロール位置を設定することにより、矯正作業を行うことが好ましい。
ここで、被矯正材の降伏応力および弾性係数とを決定する媒介変数として温度を用いることが好適であるが、被矯正材の降伏応力および弾性係数を決定する他の媒介変数を用いても構わない。例えば、被矯正材の降伏応力−温度の関係と弾性係数−温度の関係から、降伏応力と弾性係数との関係を求めておき、被矯正材の降伏応力を媒介変数としたり、被矯正材の弾性係数を媒介変数とすることも可能である。
これより、被矯正材の推定された真の材料定数に対する最適なロール位置で矯正作業が行われるので、被矯正材に対する矯正効果を十分に発揮できる。
以下、本発明をその一実施例を示す図面に基づいて説明する。
図1に示すローラレベラ1を用いて熱間で矯正作業を行った。ローラレベラ1は上ロール5本、下ロール6本の計11本のロール2からなり、下ロール群3はその位置が固定され、上ロール群4はハウジング5との間にある入側押し込み装置6と出側押し込み装置7との押し込み量を制御することにより、傾動押し込みが可能となっている。なお、入側押し込み装置6および出側押し込み装置7には、油圧機構が組み込まれており、被矯正材の矯正中にも、入側押し込み量および出側押し込み量を変更することが可能となっている。
被矯正材9は板厚t=10mm、板幅w=4000mmの普通鋼板である。該普通鋼板について、あらかじめ熱間で引張試験を実施することにより、熱間ローラ矯正域である600℃〜800℃の温度域に対し、降伏応力σY(MPa)および弾性係数E(GPa)と温度T(℃)とについて以下のような関係式を得ている。
Figure 2009034705




ここで、降伏応力σY(MPa)および弾性係数E(GPa)は温度T(℃)を媒介変数として表現したが、本発明は媒介変数を温度に限定するものではない。
ローラレベラ1の入側で放射温度計8により被矯正材9の温度Tを測定したところ、700゜Cであり、これを矯正時の被矯正材9の温度Tの仮定値として計算機により式(1)および式(2)を用いて計算すると、被矯正材の降伏応力および弾性係数は、降伏応力σY=90MPa、弾性係数E=156.7GPaと予測された。これより、非特許文献3に基づく理論計算方法を用いて、該被矯正材を平坦化するためのロール設定は、入側押し込み量4.4mm、出側押し込み量0.0mmと求められた。そこで、このようなロール設定で矯正作業を行った。このとき、矯正後の被矯正材先端部には高さ25mmの反りが確認された。また、予測された矯正荷重は710kNであったのに対し、入出側押し込み装置内に組み込まれたロードセル(図示せず)により実測された矯正荷重は590kNであった。これより、図2に示すようにして矯正荷重が590kNとなるように被矯正材9の温度Tを未知数とし、非特許文献3に基づく理論計算方法を用いた繰り返し計算を行った結果、被矯正材9の降伏応力および弾性係数は、式(1)および式(2)において、被矯正材の温度T=750゜Cに対する値である降伏応力σY=60MPa、弾性係数E=143.3GPaを用いると、該矯正条件において矯正荷重が590kNとなることがわかった。これにより温度T=750℃が被矯正材の真の温度として推定され、そのときの降伏応力σY=60MPa、弾性係数E=143.3GPaが真の降伏応力および弾性係数として推定される。さらに、降伏応力および弾性係数を降伏応力σY=60MPa、弾性係数E=143.3GPaと修正して、これに対する最適ロール設定を非特許文献3に基づく理論計算により求めたところ、入側押し込み量3.2mm、出側押し込み量0.0mmと計算された。
そこで、該被矯正材9の矯正中に、入側押し込み装置6および出側押し込み装置7を作動させることにより、入側押し込み量3.2mm、出側押し込み量0.0mmとなるようなロール設定に変更し、ローラ矯正を継続したところ、既に矯正されていた先端部を除き、矯正後の被矯正材を平坦化することができ、矯正荷重も実測値、計算値ともに一致した。
先端部には反りが残留しているため、入側押し込み量3.2mm、出側押し込み量0.0mmとなるようなロール設定で、該被矯正材9を再度ローラレベラ1で矯正したところ、矯正後の被矯正材を平坦化することができた。
さらに、以降、被矯正材9と同仕様の被矯正材については、入側押し込み量3.2mm、出側押し込み量0.0mmとなるようなロール設定条件を採用してローラ矯正を行ったところ、安定的に被矯正材を平坦化することが可能となった。
なお、今回用いた被矯正材は、矯正時の温度が700℃であっても、750℃であっても、最終製品の材料特性に大きな影響がないことを確認している。
本実施例は実施例1で述べたローラレベラのロール設定位置が被矯正材の材料定数として弾性係数E、降伏応力σY、被矯正材の寸法として板厚t、板幅wで区分されたテーブル値をもとに設定されている場合のものである。被矯正材の弾性係数E、降伏応力σYは、被矯正材9の鋼種とローラレベラによる矯正の前に放射温度計8により予め測定された温度Tとから予測されるとする。
実施例1より、ローラレベラ1の入側に設置した放射温度計8による被矯正材9の温度Tが700゜Cであった場合は降伏応力σY=60MPa、弾性係数E=143.3GPaと求められたので、以降の矯正作業では、実施例1で用いた被矯正材と同一の鋼種について、放射温度計8による温度Tが700゜Cであった場合は、降伏応力σY=60MPa、弾性係数E=143.3GPaに修正した。同様にして、種々の温度に対する降伏応力σYおよび弾性係数Eの関係を修正、記憶してローラ矯正を行った結果、種々の被矯正材を平坦化することが可能となった。
このように、ある矯正条件に対する矯正荷重から該被矯正材の降伏応力および弾性係数を予測、修正し、以降の矯正パス、あるいは、以降の被矯正材に対し、予測された該被矯正材の降伏応力および弾性係数に対する最適なローラレベラの操業条件を採用し、矯正を行うことでも本発明の効果を得ることができる。
さらに、種々の鋼種について、放射温度計8による温度Tと被矯正材の降伏応力σYおよび弾性係数Eの推定値との関係を長期にわたって修正、記憶することにより、放射温度計8による温度Tと被矯正材の降伏応力および弾性係数との関係の精度が向上され、矯正効果をさらに安定して得ることが可能となった。
本実施例は実施例1で述べたローラレベラのロール設定位置が被矯正材の鋼種、温度T、板厚t、板幅wで区分されたテーブル値をもとに設定されている場合のものである。
被矯正材が、板厚t=10mm、板幅w=4000mm、温度T=700゜Cの普通鋼板であるとき、ロール設定位置は、入側押し込み量4.4mm、出側押し込み量0.0mmとしていたが、実施例1より、ローラレベラ1の入側に設置した放射温度計8による温度T=700゜Cで、板厚t=10mm、板幅w=4000mmの普通鋼板が被矯正材であった場合の最適なロール設定位置が入側押し込み量3.2mm、出側押し込み量0.0mmと決定されたので、この値に最適ロール設定位置のテーブルを修正した。同様に、最適ロール設定位置のテーブルの修正を種々の鋼種、温度、板厚、板幅などの最適ロール設定位置テーブルのパラメータ毎に行った結果、種々の被矯正材に対し、該被矯正材を平坦化する最適ロール位置を設定することが可能となり、図3に示すように本発明により、従来に比し、残留反り高さを大きく低減することが可能となった。
本発明の実施例に用いたローラレベラおよび周辺装置の概要を示す側面図である。 本発明の実施例1で用いたローラレベラの各ロールの設定位置と、矯正時に発生した矯正荷重とから被矯正材の降伏応力および弾性係数を推定するフローを示す図である。 実施例3における矯正後の残留反り高さの従来例と本発明との比較を示す図である。
符号の説明
1 ローラレベラ
2 ワークロール
3 下ロール群
4 上ロール群
5 ハウジング
6 入側押し込み装置
7 出側押し込み装置
8 放射温度計
9 被矯正材

Claims (5)

  1. 熱間で、上下に千鳥状に複数本のロールが配置されたローラレベラのロール間に被矯正材を通して繰り返し曲げを与えることによって、該被矯正材の反りや波形状を平坦化する、あるいは、該被矯正材に所望の反りや波形状を付与する熱間ローラ矯正において、
    被矯正材の降伏応力および弾性係数を任意の一つの媒介変数の関数とし、ローラレベラの各ロールの設定位置と、ローラ矯正時の矯正荷重とから前記媒介変数を推定し、この推定された媒介変数により、該被矯正材の降伏応力および弾性係数を推定することを特徴とする熱間ローラ矯正における被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定方法。
  2. 該媒介変数が、測定あるいは推定された矯正時の被矯正材の温度であることを特徴とする請求項1に記載の熱間ローラ矯正における被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定方法。
  3. 降伏応力と弾性係数との関係を求めておき、降伏応力あるいは弾性係数を該媒介変数として用いることを特徴とする請求項1に記載の熱間ローラ矯正における被矯正材の降伏応力および弾性係数の推定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載した方法により推定された被矯正材の降伏応力および弾性係数を用いて、該被矯正材のローラレベラの操業条件を決定するための降伏応力および弾性係数を修正、記憶することを特徴とする熱間ローラ矯正におけるローラレベラの操業方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載した方法により推定された被矯正材の降伏応力および弾性係数に対して、該被矯正材の反りや波形状を平坦化する、あるいは、該被矯正材に所望の反りや波形状を付与するために最適なローラレベラの各ロール位置を求め、ローラレベラの各ロール位置を算出された最適ロール位置に修正することを特徴とする熱間ローラ矯正におけるローラレベラの操業方法。
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JP7397311B2 (ja) 2019-04-18 2023-12-13 日本製鉄株式会社 被矯正材の変形状態の推定方法及びローラレベラのロール押込量制御方法

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