JP7364901B2 - 被矯正材の変形状態の推定方法及びローラレベラのロール押込量制御方法 - Google Patents

被矯正材の変形状態の推定方法及びローラレベラのロール押込量制御方法 Download PDF

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本発明は、被矯正材の変形状態の推定方法及びローラレベラのロール押込量制御方法に関する。
板材、形材、管材、線材等の圧延や冷却過程等で発生した反りや波形状を平坦化したり、所望の反りや波形状を付与したりするために、ローラレベラが用いられる。ローラレベラは、上下に千鳥状に配置された複数本のロールにより被矯正材に繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化したり、被矯正材に所望の反りや波形状を付与したりするといった、被矯正材の矯正を行う。
ローラレベラによるローラ矯正効果は、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態で決まる。ローラ矯正中の被矯正材の変形状態は、ローラレベラの各ロールにより被矯正材に与えられる曲げ変形状態(又は曲げ変形量)、すなわち各ロールにより被矯正材に与えられる曲率によって正確に把握することができる。
ここで、加工度と呼ぶ、ローラレベラの各ロールにより被矯正材に与えられる曲率の絶対値を被矯正材の弾性限曲率で除した値が、曲げ変形量、曲げ変形状態を定量化する指標として広く用いられている。
ローラレベラは、上ロール群及び下ロール群がそれぞれ一体となっており、一方のロール群に対して他方のロール群を傾動させて押し込むものが多い。そのため、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態は、一般に、ローラレベラの入側ロール押込量と出側ロール押込量とを設定することにより制御される。したがって、負荷下での入側ロール押込量と出側ロール押込量とがわかれば、ローラ矯正中の変形状態の推定は可能である。
しかし、ローラレベラの弾性変形やがた、ロール位置の零点設定誤差等の影響により、負荷下での入側ロール押込量及び出側ロール押込量は、それらの設定値とは異なる。このため、単に目標とする値となるように入側ロール押込量及び出側ロール押込量を設定しても、ローラレベラによる矯正効果を十分に得ることができない。入側ロール押込量及び出側ロール押込量が異なれば、各ロールにより被矯正材に与えられる曲率の実際の値と設定値とは異なってしまう。
ローラレベラによる矯正効果を十分に得るために、例えば、特許文献1には、切板の形状を修正する装置において、最初の通板時の単独または全体のロールの矯正荷重を測定し、矯正荷重、ロール間距離、板幅、板厚から被矯正材の降伏応力を予測し、被矯正材の降伏応力の設定値と予測値の差に基づいて各ロールの押し込み量を修正して矯正する切板の矯正方法が開示されている。
また、特許文献2には、ローラ矯正中の矯正荷重及び矯正動力を実測し、これら実測値に基づいて被矯正材の材料定数及びローラ矯正中の被矯正材に付与されている曲げ変形量を推定し、推定された被矯正材の材料定数を用いて、該被矯正材の反りや波形状を平坦化するために最適なローラ矯正中の被矯正材に付与すべき曲げ変形量を付与した場合の矯正荷重及び矯正動力の予想値を算出し、これらの実測値が該予想値と一致するようにローラレベラの各ロール位置を修正してローラレベラを操業する方法が開示されている。
特開2004-314150号公報 特開2010-172925号公報
「塑性と加工」、1990年、第31巻、第349号、第208頁~第212頁 「矯正加工」コロナ社、1992年、第80頁~第88頁 「三菱重工技報」1988年、第25巻、第4号、第321頁~第326頁 「昭和48年度春季塑性加工講演会論文集」、1973年、第143頁~第146頁 「平成8年度塑性加工春季講演会講演論文集」、1996年、第522頁~第523頁
しかし、上記特許文献1に記載の方法は、負荷下での入出側ロール押込量が既知である、もしくは精度よく推定できることが前提であり、負荷下での入出側ロール押込量が未知である、もしくは誤差が含まれている場合には、被矯正材の降伏応力の予測結果に誤差を含んでしまう。つまり、被矯正材を適切に矯正できるかは負荷下での入出側ロール押込量の推定精度に左右されてしまう。
また、上記特許文献2に記載の方法では、被矯正材の材料定数に加えて、被矯正材の変形状態も未知とすることで、上記特許文献1の課題を解決しようとしている。しかしながら、被矯正材の変形状態と被矯正材の材料定数とを推定するために用いる測定値(既知数)はローラ矯正中の矯正荷重及び矯正動力の2つしかないので、被矯正材の変形状態として推定できるのは1つの状態量(例えば最大加工度のみ)となる。しかし、同一の最大加工度を付与していても、被矯正材の矯正に寄与するロール本数が異なれば、発生する矯正荷重、矯正動力は異なるので、かかる方法では被矯正材の変形状態を一意に推定することができない。なお、被矯正材の矯正に寄与するロールとは、被矯正材に対して塑性曲げを付与しているロール及びこれに隣接するロールを指す。換言すれば、被矯正材の矯正に寄与しないロールとは、そのロールが存在しなかった場合にも被矯正材に塑性曲げを付与するロール本数が変化しないロールを指す。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態及び材料定数を精度よく推定し、被矯正材の変形状態を適正にすることの可能な、新規かつ改良された被矯正材の変形状態の推定方法及びローラレベラのロール押込量制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ローラレベラによる被矯正材の変形状態の推定方法であって、ローラレベラは、上下に千鳥状に配置された複数本のロールを有し、被矯正材の材料定数、及び、矯正中の被矯正材の変形状態を表現する任意の2つの表現パラメータと、ローラレベラに発生する入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係を取得し、負荷下で測定された入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力に基づいて、関係から被矯正材の材料定数、及び、2つの表現パラメータを推定し、推定された被矯正材の材料定数、及び、2つの表現パラメータに基づいて、矯正中の被矯正材の変形状態を推定する、被矯正材の変形状態の推定方法が提供される。
2つの表現パラメータとして、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量が推定されてもよい。
あるいは、2つの表現パラメータとして、被矯正材に付与される最大加工度及び被矯正材の矯正に寄与するロール本数が推定されてもよい。
あるいは、被矯正材に付与される最大加工度、及び、被矯正材の矯正に寄与するロール本数は、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量の推定値に基づき推定されてもよい。
また、被矯正材の材料定数として、被矯正材の降伏応力が推定されてもよい。
あるいは、被矯正材の材料定数は、被矯正材の降伏応力及びヤング率を任意の1つの媒介変数により表された関数に基づき推定してもよい。
ここで、媒介変数は、矯正時の被矯正材の温度であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、被矯正材を矯正するローラレベラのロール押込量制御方法であって、ローラレベラは、上下に千鳥状に配置された複数本のロールを有し、被矯正材の材料定数、及び、矯正中の被矯正材の変形状態を表現する任意の2つの表現パラメータと、ローラレベラに発生する入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係を取得し、負荷下で測定された入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力に基づいて、関係から被矯正材の材料定数、及び、2つの表現パラメータを推定し、推定された被矯正材の材料定数、及び、2つの表現パラメータに基づいて、矯正中の被矯正材の変形状態を推定し、推定された被矯正材の変形状態が適正となるように、入側ロール押込量と出側ロール押込量とのうち少なくともいずれか一方を制御する、ローラレベラのロール押込量制御方法が提供される。
2つの表現パラメータとして、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量が推定されてもよい。
あるいは、2つの表現パラメータとして、被矯正材に付与される最大加工度、及び、被矯正材の矯正に寄与するロール本数が推定されてもよい。
被矯正材に付与される最大加工度、及び、被矯正材の矯正に寄与するロール本数は、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量の推定値に基づき推定されてもよい。
被矯正材の材料定数として、被矯正材の降伏応力が推定されてもよい。
あるいは、被矯正材の材料定数は、被矯正材の降伏応力及びヤング率を任意の1つの媒介変数により表された関数に基づき推定してもよい。
ここで、媒介変数は、矯正時の被矯正材の温度であってもよい。
変形状態を最大加工度により表すとき、最大加工度が所望の値よりも大きい場合には、入側ロール押込量を減少させ、最大加工度が所望の値よりも小さい場合には、入側ロール押込量を増加させてもよい。
また、変形状態を被矯正材の矯正に寄与するロール本数により表すとき、ロール本数が所望の値より少ない場合には、出側ロール押込量を増加させ、ロール本数が所望の値よりも多い場合には、出側ロール押込量を減少させてもよい。
以上説明したように本発明によれば、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態及び材料定数を精度よく推定し、被矯正材の変形状態を適正にすることができる。
ローラレベラの概略構成の一例を示す側面図である。 ローラレベラロールの駆動系を示す模式図である。 入側ロール押込量、出側ロール押込量と残留曲率との関係の一例を示すグラフである。 材料定数の推定誤差が出側ロール押込量と残留曲率との関係に及ぼす影響の一例を示すグラフである。 材料定数の推定誤差が出側ロール押込量と総矯正荷重との関係に及ぼす影響の一例を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る被矯正材の変形状態の推定方法を示すフローチャートである。 実ロール押込量分布の一例を示す説明図である。 図1に示すローラレベラについて、入側矯正荷重Pin及び出側矯正荷重Poutと各ロールに作用する矯正荷重Pとを示す説明図である。 負荷下の出側ロール押込量と入側矯正荷重との関係の一例を示すグラフである。 負荷下の出側ロール押込量と出側矯正荷重との関係の一例を示すグラフである。 負荷下の出側ロール押込量と総矯正動力との関係の一例を示すグラフである。 加工度分布の一例を示す説明図である。 同実施形態に係るローラレベラのロール押込量制御方法の概要を示すフローチャートである。 同実施形態に係るローラレベラのロール押込量制御方法の一例を示すフローチャートである。 実施例の検証結果を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.ローラレベラの構成]
まず、図1及び図2に基づいて、ローラレベラ100の概略構成について説明する。図1は、ローラレベラ100の概略構成を示す側面図である。図2は、ローラレベラ100のロールの駆動系を示す模式図である。
ローラレベラ100は、被矯正材Sの搬送方向に沿って(すなわち、図1の左から右に向かって)、上下に千鳥状に配置された複数本のロールにより構成されている。例えば図1に示すように、ローラレベラ100は、5本の下ロール151、153、155、157、159と、4本の上ロール152、154、156、158とを有する。下ロール151、153、155、157、159をまとめて下ロール群ともいい、上ロール152、154、156、158をまとめて上ロール群ともいう。
下ロール151、153、155、157、159は、ハウジング110に固定された下ロール群支持部140に対して回転可能に支持されている。したがって、下ロール群は、被矯正材Sの搬送方向に対して略平行に配置されている。一方、上ロール152、154、156、158は、上ロール群支持部130に対して回転可能に設けられている。上ロール群支持部130は、入側押込装置121及び出側押込装置123を介して、ハウジング110に支持されている。
入側押込装置121及び出側押込装置123は、ハウジング110の上部から鉛直方向下側に向かって延設され、鉛直方向に伸縮可能な機構である。入側押込装置121及び出側押込装置123は、例えば油圧機構が組み込まれており、それぞれ独立して動作することができる。入側押込装置121及び出側押込装置123を動作させて上ロール群をローラレベラ100の入側及び出側でそれぞれ鉛直方向に移動させることにより、被矯正材Sに対する上ロール群の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を調整することができる。
ローラレベラ100の各ロール151~159は、図2に示すように、駆動モータ160により回転される。駆動モータ160の動力は、減速機170、分配器180を介して、各ロール151~159へ伝達される。駆動モータ160、減速機170、分配器180及び各ロール151~159は、伝動軸を介して接続されている。駆動モータ160の動力は、分配器180から各ロール151~159に対してそれぞれ伝達される。各ロール151~159を駆動する動力は、例えば、駆動モータ160の電流値を測定し、測定された電流値をトルク換算することにより求めることができる。あるいは、各ロール151~159を駆動する動力は、伝動軸にトルク計を設けることにより測定することもできる。
[2.被矯正材の変形状態の推定]
[2-1.検討]
被矯正材を真直かつ平坦にするローラレベラによる被矯正材の矯正効果は、ローラ矯正中に被矯正材にどの程度の曲げを付与できているかによって左右される。つまり、ローラ矯正条件を適正化し、より大きなローラ矯正効果を発揮するためには、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態を把握することが重要である。ところが、被矯正材の変形状態として、ローラ矯正中に被矯正材に付与される曲げ曲率を測定することは、そのセンサ設置スペースがない等の理由から困難である。そのため、ロール押込量設定から被矯正材に加えられる変形(曲げ曲率)を推定できる実用算式や数値解析手法が提案されている。つまり、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態を推定するためには、ローラレベラのロール押込量を把握することが必要である。
しかし、矯正荷重(矯正反力)に伴うローラレベラの弾性変形により、設定された(無負荷状態の)ロール押込量と、矯正負荷下での実際のロール押込量とは、大きく異なる。そこで、ローラレベラの弾性変形特性(例えば、剛性、ミル定数)を取得する方法等も提案されているが、ロールの押込機構がスクリュー方式である場合のように締め込み試験ができないローラレベラでは、弾性変形特性の取得は困難である。また、たとえ矯正負荷下での実際のロール押込量を正しく把握できたとしても、被矯正材の変形挙動はその材料定数に大きく左右される。加えて、被矯正材の材料定数が異なれば、所望の矯正効果を得るために必要な被矯正材の変形状態も異なる。そのため、所望の変形状態を得られる矯正負荷下での実際のロール押込量も異なる。
そこで、本願発明者は、以下に述べるような被矯正材の材料定数、及び、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態、すなわち、ローラレベラの各ロールにより被矯正材に与えられる曲げ曲率を把握する方法を考案した。まず、一般にローラレベラは、上ロール群及び下ロール群がそれぞれ一体となっており、一方のロール群に対して他方のロール群を傾動させて押し込むものが多い。そのため、ローラレベラは、入側ロール押込量と出側ロール押込量との2つを設定することにより制御される。つまり、ローラレベラの各ロールにより被矯正材に与えられる曲げ曲率分布の自由度は2であることから、被矯正材の材料定数が既知であれば、本願発明者は、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態も任意の2つの表現パラメータを用いて表すことができると考えた。
ローラ矯正中の被矯正材の変形状態を表わす任意の2つの表現パラメータとして、例えば、矯正負荷下の入側ロール押込量と出側ロール押込量や、最大加工度と矯正に寄与しているロール本数などが考えられる。ここで、被矯正材の矯正に寄与するロールとは、被矯正材に対して塑性曲げを付与しているロール及びこれに隣接するロールを指す。換言すれば、被矯正材の矯正に寄与しないロールとは、そのロールが存在しなかった場合にも被矯正材に塑性曲げを付与するロール本数が変化しないロールを指す。
しかしながら、ローラレベラの各ロールにより被矯正材に付与される曲げ変形量は最大でもひずみ量で数%レベルと小さく、このような微小ひずみ域での被矯正材の材料定数を事前に精度よく把握することは簡単ではない。熱間あるいは温間でのローラ矯正を対象にする場合、各温度域での被矯正材の材料定数の高精度な把握はさらに難しい。
ここで、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態や、被矯正材の材料定数が異なれば、矯正荷重や矯正動力といった矯正負荷にも影響を及ぼす。そのため、本願発明者は、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態を表わす任意の2つの表現パラメータと、被矯正材の材料定数とのあわせて3つの未知数を推定するためには、ローラ矯正中の入側矯正荷重、出側矯正荷重、ならびに、総矯正動力に着目すればよいと考えた。以下では、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態を表わす任意の2つの表現パラメータの一例である、矯正負荷下での入側ロール押込量及び出側ロール押込量を、ローラ矯正中の総矯正荷重と総矯正動力とに基づいて推定する場合を例に説明する。
矯正負荷下でのローラレベラの入出側ロール押込量と、入側矯正荷重、出側矯正荷重、総矯正荷重、総矯正動力との関係を数値解析により調べた。総矯正荷重は、入側矯正荷重及び出側矯正荷重の和である。なお、以下では、ロール押込量は、上ロールと下ロールとの間隔が被矯正材の厚みに等しいときをゼロとし、上ロールと下ロールとの間隔が狭くなる方向を正とする。なお、ここでは、各上ロール押込量は入側から出側に向かって線形に分布すると仮定した。
数値解析では、図1に示したローラレベラによる板厚20mmの普通鋼板の冷間矯正を想定した。ローラレベラの仕様は以下の通りである。
(ローラレベラ)
ロール直径D :280[mm]
ロールピッチ2l :300[mm]
ロール本数N :9
この際、上ロール群のうち、被矯正材の搬送方向最上流側の上ロール152(#2)の入側ロール押込量sを最大加工度Kmax=2、3、5を付与できる値に固定した上で、被矯正材の搬送方向最下流側の上ロール158(#8)の出側ロール押込量sを変化させた。このとき、ローラレベラの剛性は無限大としたことから、本数値解析で与えた入出側ロール押込量は矯正負荷下での値とみなしてよい。
(a.出側ロール押込量と残留曲率との関係)
まず、被矯正材の材料定数を正しく推定できている場合の出側ロール押込量sと残留曲率κresとの関係を調べた。その結果を図3に示す。図3の結果より、出側ロール押込量sを大きくする(すなわち、出側ロールを締め込む)と残留曲率κresが発散的に大きくなる一方、出側ロール押込量sを小さくする(すなわち、出側ロールを開放する)と残留曲率κresがゼロとなる点が複数存在することがわかった。これは、出側ロール押込の開放に伴って下流側のロールが被矯正材の矯正に寄与しなくなるからである。つまり、かかる結果は、ある入側ロール押込量(もしくは最大加工度)を付与した際に、残留曲率κresをゼロとする出側ロール押込量は唯一ではなく、複数存在することを意味する。以下では、被矯正材に最大加工度Kmax=3を付与し、かつ、残留曲率κresをゼロとする出側ロール押込量sのうち最大値(最も締込側の値)で矯正を行うことが望まれているものとして説明する。
ここで、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいた場合を考える。ここでは、被矯正材の材料定数誤差ありの一例として、実際の被矯正材の降伏応力がその推定値よりも10%低い場合を考える。図4に、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいない場合(被矯正材の材料定数誤差なし)と、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいた場合(被矯正材の材料定数誤差あり)との双方について、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいない場合に最大加工度Kmax=3を付与できる値に入側ロール押込み量s固定し、出側ロール押込量sを変化させた場合の、出側ロール押込量sと残留曲率κresとの関係を示す。図4に示すように、被矯正材の材料定数に推定誤差が含まれることにより、残留曲率κresをゼロとする出側ロール押込量sが、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいない場合と異なることがわかる。
加えて、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいない場合に最大加工度Kmax=3を付与できる値に入側ロール押込量sを固定したことによって、実際の被矯正材の降伏応力がその推定値よりも10%低かった場合(すなわち、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいた場合)には、最大加工度Kmax=3.4を付与してしまうこともわかった。
つまり、所望の矯正効果が得られる負荷下の入側ロール押込量、出側ロール押込量は、被矯正材の材料定数に応じて異なることがわかる。
(b.総矯正荷重と出側ロール押込量との関係)
また、図4の関係において、出側ロール押込量sと総矯正荷重ΣPとの関係を調べた。その結果を図5に示す。図5の結果より、出側ロール押込量sを大きくする(すなわち、出側ロールを締め込む)にしたがって総矯正荷重ΣPは増加することがわかった。また、同一の入出側ロール押込条件において、実際の被矯正材の降伏応力がその推定値よりも10%低かった場合(すなわち、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいた場合)には、総矯正荷重ΣPが減少することがわかる。図は割愛するが、総矯正動力ΣQについても同様のことが言える。
つまり、被矯正材の材料定数が予測誤差を含むにもかかわらず、これを無視した場合、例えば、総矯正荷重及び総矯正動力の2つの測定値のみから入出側ロール押込量を推定すると、その推定値に材料定数の予測誤差に起因する誤差が含まれてしまい、被矯正材の変形状態を正しく推定することができなくなる。換言すれば、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいると、矯正荷重及び矯正動力にも影響を及ぼすことから、未知数に被矯正材の材料定数を追加することで、その変形状態を精度よく予測できると考えられる。
[2-2.被矯正材の材料定数及び変形状態の推定処理]
上述の検討を踏まえ、本実施形態では、矯正中の被矯正材の変形状態を表現する任意の2つの表現パラメータ(例えば、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量)、及び、被矯正材の材料定数の3つの未知数を同定する。3つの未知数を同定するためには少なくとも3つの既知数が必要となるが、本実施形態ではこれらの既知数として、入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力の測定値を用いる。これは、一般的なローラレベラでは各ロールに作用する矯正荷重及び矯正動力を測定することは難しいものの、入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力は比較的容易に測定可能であるからである。そして、同定した2つの表現パラメータ(例えば、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量)、及び、被矯正材の材料定数に基づき、被矯正材の変形状態を推定する。以下、本実施形態に係る被矯正材の変形状態の推定方法について説明する。
図6は、本実施形態に係る被矯正材の変形状態の推定方法を示すフローチャートである。図6に示すように、本実施形態に係る被矯正材の変形状態の推定方法では、まず、被矯正材の材料定数及び矯正中の被矯正材の変形状態を表現する任意の2つの表現パラメータ(例えば、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量)と、ローラレベラに発生する入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係を予め取得する(S11)。次いで、ローラレベラに発生する入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力を測定する(S13)。そして、ステップS11にて取得された関係に基づき、2つの表現パラメータ(例えば、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量)が推定される(S15)。その後、推定された2つの表現パラメータに基づいて、矯正中の被矯正材の変形状態が推定される(S17)。
ここで、本実施形態では、2つの表現パラメータとして、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を例示したが、本発明に用いる表現パラメータはこれらに限定されるものではない。例えば、被矯正材に付与される最大加工度及び被矯正材の矯正に寄与するロール本数であってもよい。あるいは、例えば、負荷下の各ロール押込量の平均値と偏差(最大値と最小値との差)や、最大加工度と任意の指定値を上回る加工度を付与しているロール本数等でもよい。以下、これらの2つの表現パラメータを用いた被矯正材の変形状態の推定処理について、具体的に説明する。
(A)2つの表現パラメータとして負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を用いる場合
まず、2つの表現パラメータとして負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を用いる場合について説明する。
(ステップ1:被矯正材の材料定数の仮定)
被矯正材の材料定数及び矯正中の被矯正材の変形状態の推定処理では、被矯正材の材料定数及び2つの表現パラメータである矯正負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量と、ローラレベラに発生する入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係を取得するため、まず、被矯正材の材料定数が仮定される。被矯正材の材料定数のうち、特に、ヤング率、降伏応力(流動応力)は、ローラレベラによる矯正効果を左右する。これは、ヤング率、降伏応力によって該被矯正材の弾性域及び塑性域が変化する一方、被矯正材の矯正効果は被矯正材の塑性変形率に大きく影響を受けるからである。なお、本明細書において、降伏応力とは、塑性変形の開始点における応力だけでなく、例えば、0.2%耐力のような所定のひずみ量に対する応力も含めるものとする。
ここで、被矯正材のヤング率、降伏応力は金属種によって異なり、温度依存性も大きい。一方、同一金属種であれば(例えば普通鋼とハイテン鋼)、降伏応力は大きく異なったとしても、ヤング率はほぼ等しく、また、その値も把握しやすい。このため、冷間矯正であればヤング率は別途、金属種ごとに把握した値を用いる(既知数とする)ことで、降伏応力のみを未知数とすればよい。
一方、温間矯正あるいは熱間矯正ではヤング率と降伏応力との双方が温度依存性を示すため、これら2つを未知数とすることが好ましい。このとき、未知数は、負荷下の入側ロール押込量、出側ロール押込量、被矯正材のヤング率、被矯正材の降伏応力の4つに増えてしまい、入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力の3つの既知数から同定することはできない。この場合、ヤング率及び降伏応力を任意に選択される1つの媒介変数により表される関数として表現することで、未知数を1つのみとすることができる。
媒介変数として、例えば、矯正時の被矯正材の温度を用いることができる。具体的には、普通鋼を供試材として、予め熱間で実施された引張試験により、熱間ローラ矯正域である600℃~800℃の温度域に対し、降伏応力σ[MPa]及び弾性係数E[GPa]と温度T[℃]とについて、以下の式(1)、式(2)のような関係式が得られている。
Figure 0007364901000001
もちろん、降伏応力σ[MPa]及び弾性係数E[GPa]は、温度T[℃]以外を媒介変数として表現してもよい。
ここで、加工度(=曲率/降伏曲率)を求める際に必要な降伏曲率κは、下記式(3)のようにヤング率Eと降伏応力σとの関数で表される。なお、tは、被矯正材の厚みである。
Figure 0007364901000002
また、降伏開始の曲げモーメントMも、降伏応力σの関数で表される。被矯正材が板材の場合、降伏開始の曲げモーメントMは下記式(4)で表される。なお、wは、被矯正板の板幅である。
Figure 0007364901000003
(ステップ2:入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力と、負荷下の入側ロール押込量、出側ロール押込量及び材料定数との関係の取得(図6のS11))
次に、ステップ1により仮定された被矯正材の材料定数に対し、2つの表現パラメータである矯正負荷下の入側ロール押込量、出側ロール押込量と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係が予め取得される。これらは公知の理論計算により算出可能であり、例えば、実ロール押込量分布を仮定することにより算出することができる。
具体的には、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力は、例えば、各ロールでの実ロール押込量(すなわち、ローラ矯正負荷下でのロール押込量)sを仮定して、下記式により求めることができる。一例として、図7に示すように、被矯正材の搬送方向最上流側にある入側ロールから最下流側にある出側ロールに向けて直線状に変化する実ロール押込量分布を仮定する。
このとき、ローラレベラの実際のロール押込量と被矯正材の曲率(すなわち、加工度)との関係は、種々の実験式あるいは数値解析より求める手法が提案されている。例えば、非特許文献1には、ローラレベラのロールピッチと実ロール押込量とから、被矯正材の曲率を求める実験式が開示されている。各ロールによって被矯正材に付与される曲率が得られれば、以下の算出式より、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力を求めることができる。
(入側矯正荷重Pin、出側矯正荷重Pout
まず、任意の加工度について、各ロールにおいて被矯正材に作用する曲げモーメントは、下記式(5)より算出される(非特許文献2参照)。
Figure 0007364901000004
ここで、Kは該ロールで被矯正材に付与される加工度、Meは降伏開始時の曲げモーメントである。また、各ロールに作用する矯正荷重は、下記式(6)により表される(非特許文献2参照)。
Figure 0007364901000005
ここで、Pは各ロール荷重、Lはロール間隔、Mは曲げモーメント、iはロール番号を示す。各ロール荷重が求められれば、各ロールと入出側矯正荷重測定位置との関係から、入側矯正荷重Pin及び出側矯正荷重Poutを求めることができる。例えば、図8に示した等ピッチで9本のロール151~159が配置されたローラレベラ100を考える。図8のローラレベラ100では、荷重検出装置が組み込まれた入側押込装置121が、上ロール群のうち被矯正材の搬送方向最上流側の上ロール152(#2)の直上に設けられている。また、荷重検出装置が組み込まれた出側押込装置123が、被矯正材の搬送方向最下流側の上ロール158(#8)の直上に設けられている。このような構成のローラレベラ100では、各ロールに作用する矯正荷重Pより、例えば下記式(7)、式(8)より求めることができる。
Figure 0007364901000006
上記式(7)、式(8)は、矯正荷重Pは入側矯正荷重Pinにすべて寄与し、矯正荷重Pは出側矯正荷重Poutにすべて寄与することを表している。また、上ロール154、156の矯正荷重P、Pについては、上記式(7)、式(8)は、上ロール154、156の入側押込装置121からの距離及び出側押込装置123からの距離に応じて、入側矯正荷重Pin及び出側矯正荷重Poutに寄与することを表している。
(総矯正動力ΣQ)
一方、総矯正動力ΣQは、被矯正板を弾完全塑性体とみなすと、下記式(9)より求めることができる。式(9)は、非特許文献3に記載の式から導出できる。
Figure 0007364901000007
ここで、wは被矯正材の板幅、tは被矯正材の板厚、σは被矯正材の降伏応力、Eは被矯正材のヤング率、vは矯正速度、Kは各ロールでの加工度である。
このように、上記式(5)~(9)を用いて、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力を求めることができる。なお、曲げモーメント、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力の計算式は、上記式(5)~(9)に示したものに限定されず、他の公知の式を用いてもよい。
あるいは、非特許文献4には、梁の曲げ理論に基づいて実ロール押込量から被矯正材の変形状態を理論的に求める方法が開示されている。もしくは、非特許文献5には、有限要素解析を用いて実ロール押込量から被矯正材の変形状態を求める方法が開示されている。このような手法を用いて求められた被矯正材の変形状態に基づき、各ロールで付与される曲率、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力等を求めることもできる。
このようにして、ステップ2では、種々の材料定数に対し、矯正負荷下の入側ロール押込量、出側ロール押込量と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係を予め取得しておく。負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係の一例として、図9~図11に示したような情報が取得される。図9は、負荷下の出側ロール押込量と入側矯正荷重との関係の一例を示すグラフである。図10は、負荷下の出側ロール押込量と出側矯正荷重との関係の一例を示すグラフである。図11は、負荷下の出側ロール押込量と総矯正動力との関係の一例を示すグラフである。図9~図11では、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいない場合(被矯正材の材料定数誤差なし)と、被矯正材の材料定数が推定誤差を含んでいた場合(被矯正材の材料定数誤差あり)とについて、それぞれ示している。ここでは、被矯正材の材料定数誤差ありの一例として、被矯正材の実際の降伏応力がその推定値よりも10%低い場合を考える。
図9から、被矯正材の材料定数誤差なしの場合には、負荷下の出側ロール押込量の増加に対し、入側矯正荷重の増加は飽和傾向にある。また、被矯正材の実際の降伏応力がその推定値よりも10%低かった場合(すなわち、被矯正材の材料定数誤差ありの場合)には、負荷下の出側ロール押込量の増加に対し、入側矯正荷重も低下している。一方、図10から、被矯正材の材料定数誤差なしの場合には、出側矯正荷重は負荷下の出側ロール押込量の増加に対し飽和傾向にある。また、被矯正材の材料定数誤差なしの場合と被矯正材の材料定数誤差ありの場合との出側矯正荷重差は、負荷下の出側ロール押込量の増加に対し、拡大している。さらに、図11から、被矯正材の材料定数誤差なしの場合、被矯正材の材料定数誤差ありの場合ともに、負荷下の出側ロール押込量の増加に対し、総矯正動力は発散的に増加することがわかる。さらに、被矯正材の実際の降伏応力がその推定値よりも10%低かった場合(すなわち、被矯正材の材料定数誤差ありの場合)には、総矯正動力は、被矯正材の材料定数誤差なしの場合よりも増加していることがわかる。
このように、負荷下のロール押込量及び被矯正材の材料定数の違いが入側矯正荷重、出側矯正荷重、総矯正動力のそれぞれに及ぼす影響は異なる(独立している)ことからも、入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力の3つの測定値(既知数)から、負荷下の入側ロール押込量、出側ロール押込量、及び、被矯正材の材料定数の3つの未知数が同定できることが説明される。
(ステップ3:被矯正材の材料定数、及び、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態の推定(図6のS13~S17))
次いで、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力の3つの実測値に基づき、上記ステップ2で取得された種々の材料定数に対する負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係に基づいて、被矯正材の材料定数、ならびに、被矯正材の変形状態として、例えば負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量等の、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態を表現する表現パラメータが推定される。
具体的には、まず、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力が測定される(図6のS13)。一般に、入側矯正荷重及び出側矯正荷重は、入側押込装置121及び出側押込装置123に組み込まれたロードセル等の荷重検出装置により測定される。また、総矯正動力は、例えば、駆動モータ160の電流値を測定し、測定された電流値をトルク換算することにより求めることができる。あるいは、総矯正動力は、伝動軸にトルク計を設けることにより測定することもできる。
入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力が測定されると、測定された値に基づき、ステップ2で取得された種々の材料定数に対する負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係から、このときの該被矯正材の材料定数、ならびに、該負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を推定し得る(図6のS15)。そして、該被矯正材の材料定数、ならびに、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量が推定されれば、推定された負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量に基づき、このときの被矯正材の変形状態を取得することができる(図6のS17)。
(B)2つの表現パラメータとして被矯正材に付与される最大加工度及び被矯正材の矯正に寄与するロール本数を用いる場合
次に、2つの表現パラメータとして被矯正材に付与される最大加工度及び被矯正材の矯正に寄与するロール本数を用いる場合について説明する。なお、上述の2つの表現パラメータとして負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を用いる場合と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
(ステップ1:被矯正材の材料定数の仮定)
被矯正材の材料定数及び変形状態の推定処理では、被矯正材の材料定数及び2つの表現パラメータと、ローラレベラに発生する入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係を取得するため、まず、被矯正材の材料定数が仮定される。かかる処理は、上述の2つの表現パラメータとして負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を用いる場合と同様に行えばよい。
(ステップ2:入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力と、被矯正材に付与される最大加工度、被矯正材の矯正に寄与するロール本数及び材料定数との関係の取得(図6のS11))
次に、ステップ1により仮定された被矯正材の材料定数に対し、2つの表現パラメータである被矯正材に付与される最大加工度及び被矯正材の矯正に寄与するロール本数と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係が予め取得される。これらも公知の理論計算により算出可能であり、例えば、加工度(曲率)分布を仮定することにより算出することができる。
具体的には、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力は、各ロールで被矯正材に付与される曲率(加工度)分布を仮定して、上記式(5)~(9)により求めることができる。一例として、ロール本数Nのローラレベラにおいて、図12に示すような、被矯正材の搬送方向上流側から4番目(上ロールでは2番目)のロールで最大加工度Kmaxとなり、(m-1)番目のロールで加工度Km-1となる加工度分布を仮定する。ここで、m≦Nであるとする。このとき、m番目から下流に位置するロールからは被矯正材に塑性曲げが加えられないので、(m+1)~N番目のロールは矯正に寄与していないことを意味する。
かかる加工度分布における任意のKmax、m、Km-1に対し、上記式(5)から各ロールにおいて被矯正材に作用する曲げモーメントを算出することで、上記式(6)~(8)より入側矯正荷重及び出側矯正荷重を算出することができる。また、上記式(9)より、総矯正動力を算出することができる。
なお、図12に示した加工度分布は一例であり、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図12に示したように各ロールでの加工度を線形補間ではなく、曲線状に付与してもよい。また、最大加工度を与えるロールを4番目のロールに限定する必要もない。
(ステップ3:被矯正材の変形状態の推定(図6のS13~S17))
次いで、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力の3つの実測値に基づき、上記ステップ2で取得された種々の材料定数に対する被矯正材に付与される最大加工度、被矯正材の矯正に寄与するロール本数と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係に基づいて、被矯正材の変形状態が推定される。
具体的には、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力が測定されると(図6のS13)、ステップ2で取得された最大加工度及び矯正に寄与しているロール本数と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係に基づいて、被矯正材の材料定数及びこのときの被矯正材に付与されている最大加工度及び被矯正材の矯正に寄与するロール本数が推定される(図6のS15)。そして、推定された被矯正材に付与されている最大加工度及び被矯正材の矯正に寄与するロール本数に基づき、被矯正材の変形状態が推定される(図6のS17)。
以上、本実施形態に係る被矯正材の変形状態の推定方法について説明した。なお、被矯正材の変形状態を推定するにあたり設定される2つの表現パラメータは、上記組合せ例に限定されない。2つの表現パラメータは、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態を表現するパラメータから任意の2つのパラメータを選択してもよい。
[3.ローラレベラのロール押込量制御]
本実施形態に係るローラレベラのロール押込量制御では、ローラレベラにより矯正中の被矯正材の変形状態が適正な値となるように入側ロール押込量及び出側ロール押込量を制御する。すなわち、図13に示すように、まず、被矯正材の変形状態の推定処理により、被矯正材の変形状態が推定される(S10)。次いで、推定された被矯正材の変形状態が適正な値となるように、入側ロール押込量及び出側ロール押込量が制御される(S20)。ステップS10の推定処理は、例えば図6に示した処理を行えばよい。
一例として、2つの表現パラメータとして負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を用いて、被矯正材の材料定数及びローラ矯正中の被矯正材の変形状態を、上述の推定方法により推定する場合のローラレベラのロール押込量制御方法について、図14に基づき説明する。図14は、本実施形態に係るローラレベラのロール押込量制御方法の一例を示すフローチャートである。
図14に示すように、本実施形態に係るローラレベラのロール押込量制御を開始するに当たり、まず、種々の材料定数に対する負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係が予め取得される(S100)。かかる関係は、上述した被矯正材の材料定数及び変形状態の推定処理のステップ1、2の処理により取得することができる。すなわち、ステップS100の処理は、図6に示したステップS11の処理に対応している。
次いで、被矯正材を矯正中のローラレベラの入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力が測定される(S110)。入側矯正荷重及び出側矯正荷重は、例えば、図1に示した押込機構120に搭載された荷重検出装置(図示せず。)により測定可能である。荷重検出装置は、例えばロードセルである。総矯正動力は、例えば、図2に示した駆動モータ160の電流値を測定し、当該電流値を換算して得ることができ、あるいは、伝動軸に設置されたトルク計を用いて測定することもできる。
さらに、ステップS110にて測定された入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力に基づき、ステップS100にて予め取得されている種々の材料定数に対する負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係から、被矯正材の材料定数ならびに負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量が推定される(S120)。そして、推定された被矯正材の材料定数、ならびに、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量に基づき、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態が推定される(S130)。ステップS110~S130の処理は、上述した被矯正材の変形状態の推定処理のステップ3の処理に対応している。すなわち、ステップS110の処理は図6に示したステップS13の処理に対応し、ステップS120の処理は図6に示したステップS15の処理に対応し、ステップS130の処理は図6に示したステップS17の処理に対応している。
その後、ステップS120により推定されたローラ矯正中の被矯正材の材料定数に対し、所望の矯正中の被矯正材の変形状態を付与した場合の入側矯正荷重、出側矯正荷重、総矯正動力が算出される(S140)。そして、入側矯正荷重、出側矯正荷重、総矯正動力の測定値がステップS140で求められた各算出値に近づくように、ローラレベラの入側ロール押込量及び出側ロール押込量が制御される(S150)。ローラ矯正中の被矯正材の所望の変形状態は、例えば過去の操業実績に基づき、経験的に設定してもよい。入側ロール押込量及び出側ロール押込量の調整は、ローラレベラ100の入側押込装置121及び出側押込装置123を制御することにより行われる。
例えば、被矯正材の変形状態を表現する表現パラメータの1つである最大加工度に着目すると、最大加工度は、一般には大きい方が好ましいが、最大加工度を大きくするにしたがって被矯正材の矯正効果は飽和する。最大加工度を大きくすると矯正負荷も増加するので、過大な最大加工度を付与しないようにするのが好ましい。このため、例えば、最大加工度が所望の値よりも大きい場合には、入側ロール押込量を減少させ、最大加工度が所望の値よりも小さい場合には、入側ロール押込量を増加させるようにする。なお、被矯正材に付与する最大加工度の所望の値は、被矯正材条件や要求される平坦度、用いるローラレベラの仕様等に応じて適宜設定可能である。
また、例えば、被矯正材の変形状態を表現する表現パラメータの1つである被矯正材の矯正に寄与するロール本数に着目すると、かかるロール本数が所望の値よりも少ない場合には、出側ロール押込量を増加させ、かかるロール本数が所望の値よりも多い場合には、出側ロール押込量を減少させるようにする。なお、被矯正材の矯正に寄与するロール本数の所望の値は、被矯正材条件や要求される平坦度等に応じて適宜設定可能である。
このように、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態が所望の状態に近づくように入側ロール押込量及び出側ロール押込量が調整されることで、被矯正材の変形状態を適正にすることができる。なお、入側ロール押込量または出側ロール押込量のうちいずれか一方を調整して、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態が所望の状態に近づくようにしてもよい。また、測定された入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力に基づき、予め取得されている種々の材料定数に対する矯正中の被矯正材の変形状態を表現する任意の2つの表現パラメータ(例えば、入側ロール押込量及び出側ロール押込量)と、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係から、被矯正材の材料定数及びローラ矯正中の被矯正材の変形状態を推定することで、ローラ矯正中の被矯正材の変形状態を精度よく推定することができる。
なお、上記説明では、ローラレベラにより矯正中の被矯正材の変形状態を、負荷下の入出側ロール押込量を通じて推定する場合のローラレベラのロール押込量制御方法について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、負荷下の入出側ロール押込量ではなく、最大加工度と矯正に寄与しているロール本数とを直接推定することで矯正中の被矯正材の変形状態を推定し、また、矯正中の被矯正材が所望の変形状態となるように、入側ロール押込量及び出側ロール押込量を制御するようにしてもよい。また、例えば推定されたローラ矯正中の被矯正材の材料定数に対し、所望の矯正中の被矯正材の変形状態を実現した際の総矯正荷重、総矯正動力を算出し、これらの実測値が該算出値に近づくように、入側ロール押込量及び出側ロール押込量を制御するようにしてもよい。または、推定されたローラ矯正中の被矯正材の材料定数に対し、所望の矯正中の被矯正材の変形状態を実現した際の入側矯正荷重、出側矯正荷重を算出し、これらの実測値が該算出値に近付くように入側ロール押込量及び出側ロール押込量を制御するようにしてもよい。
また、総矯正動力の代わりに総矯正トルクを用いて被矯正材の変形状態を推定し、また、ローラレベラのロール押込量を制御してもよい。
[4.補足]
上記の被矯正材の材料定数及び変形状態の推定、及び、ローラレベラのロール押込量制御は、ローラレベラを制御する演算処理装置(図示せず。)により行われる。演算処理装置は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、演算処理装置の各構成要素の機能を、CPU等がすべて行ってもよい。演算処理装置は、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
また、上述のような本実施形態に係る演算処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
本発明者らは、本発明の矯正効果を比較する実機実験を行った。実施例では、本発明に係る手法に基づき、入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力から被矯正材の変形状態と材料定数とを推定した。そして、得られた材料定数に基づいて、所望の変形状態における入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力を算出し、これらの算出値と各実測値とが一致するように、入側押込装置、出側押込装置を制御した。比較例では、従来の総矯正荷重及び総矯正動力から被矯正材の変形状態及び材料定数を推定し、得られた材料定数に基づいて、所望の変形状態における総矯正荷重及び総矯正動力とこれらの実測値とが一致するように、入側押込装置、出側押込装置を制御した。
本検証では、ロール直径260mm、ロール11本を有するローラレベラにおいて、板厚6~20mm、板幅1200~4200mm、強度250~780MPaの普通鋼板を熱間矯正した。
図15に検証結果を示す。図15では、実施例の結果として、入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力から被矯正材の変形状態と材料定数とを推定し、得られた材料定数に基づいて、所望の変形状態における入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力を算出し、これらの算出値と各実測値とが一致するように、入側押込装置、出側押込装置を制御した場合の、矯正後の被矯正材の平坦度合格率を示す。また、比較例の結果として、総矯正荷重及び総矯正動力から被矯正材の変形状態及び材料定数を推定し、得られた材料定数に基づいて、所望の変形状態における総矯正荷重及び総矯正動力とこれらの実測値とが一致するように、入側押込装置、出側押込装置を制御した場合の、矯正後の被矯正材の平坦度合格率を示す。なお、ここでは、JIS G3141に示されている平坦度基準に照らし合わせて平坦度の合否を判定した。
図15に示すように、比較例の平坦度合格率は43%であったのに対し、実施例の平坦度合格率は67%であった。平坦度合格率が高かった本発明に係る手法による被矯正材の矯正では、平坦度不合格材の発生率低減による生産性向上、動力原単位の低減などの効果も享受することができた。このように、本発明に係る手法により入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力から推定された材料定数に基づいて入側押込装置、出側押込装置を制御して矯正した方が、従来の技術に比べ矯正効果が向上していることが実証された。これは、入側矯正荷重、出側矯正荷重及び全矯正動力を用いる方が被矯正板の変形状態及び材料定数をより正しく推定でき、かつ、推定された材料定数を用いることで、被矯正材の変形状態をより適切な状態に制御できたことによるものと考えられる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100 ローラレベラ
110 ハウジング
121 入側押込装置
123 出側押込装置
130 上ロール群支持部
140 下ロール群支持部
151~159 ロール
160 駆動モータ
170 減速機
180 分配器

Claims (16)

  1. ローラレベラによる被矯正材の変形状態の推定方法であって、
    前記ローラレベラは、上下に千鳥状に配置された複数本のロールを有し、
    被矯正材の材料定数、及び、矯正中の被矯正材の変形状態を表現する任意の2つの表現パラメータと、前記ローラレベラに発生する入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係を取得し、
    負荷下で測定された入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力に基づいて、前記関係から前記被矯正材の材料定数、及び、2つの表現パラメータを推定し、
    推定された前記被矯正材の材料定数、及び、前記2つの表現パラメータに基づいて、矯正中の被矯正材の変形状態を推定する、被矯正材の変形状態の推定方法。
  2. 前記2つの表現パラメータとして、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を推定する、請求項1に記載の被矯正材の変形状態の推定方法。
  3. 前記2つの表現パラメータとして、前記被矯正材に付与される最大加工度、及び、前記被矯正材の矯正に寄与するロール本数を推定する、請求項1に記載の被矯正材の変形状態の推定方法。
  4. 前記被矯正材に付与される最大加工度、及び、前記被矯正材の矯正に寄与するロール本数は、前記負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量の推定値に基づき推定される、請求項3に記載の被矯正材の変形状態の推定方法。
  5. 前記被矯正材の材料定数として、前記被矯正材の降伏応力を推定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の被矯正材の変形状態の推定方法。
  6. 前記被矯正材の材料定数は、前記被矯正材の降伏応力及びヤング率を任意の1つの媒介変数により表された関数に基づき推定される、請求項1~4のいずれか1項に記載の被矯正材の変形状態の推定方法。
  7. 前記媒介変数は、矯正時の前記被矯正材の温度である、請求項6に記載の被矯正材の変形状態の推定方法。
  8. 被矯正材を矯正するローラレベラのロール押込量制御方法であって、
    前記ローラレベラは、上下に千鳥状に配置された複数本のロールを有し、
    被矯正材の材料定数、及び、矯正中の被矯正材の変形状態を表現する任意の2つの表現パラメータと、前記ローラレベラに発生する入側矯正荷重、出側矯正荷重及び総矯正動力との関係を取得し、
    負荷下で測定された入側矯正荷重、出側矯正荷重、及び、総矯正動力に基づいて、前記関係から前記被矯正材の材料定数、及び、2つの表現パラメータを推定し、
    推定された前記被矯正材の材料定数、及び、前記2つの表現パラメータに基づいて、矯正中の被矯正材の変形状態を推定し、
    推定された前記被矯正材の変形状態が適正となるように、入側ロール押込量と出側ロール押込量とのうち少なくともいずれか一方を制御する、ローラレベラのロール押込量制御方法。
  9. 前記2つの表現パラメータとして、負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量を推定する、請求項8に記載のローラレベラのロール押込量制御方法。
  10. 前記2つの表現パラメータとして、前記被矯正材に付与される最大加工度、及び、前記被矯正材の矯正に寄与するロール本数を推定する、請求項8に記載のローラレベラのロール押込量制御方法。
  11. 前記被矯正材に付与される最大加工度、及び、前記被矯正材の矯正に寄与するロール本数は、前記負荷下の入側ロール押込量及び出側ロール押込量の推定値に基づき推定される、請求項10に記載のローラレベラのロール押込量制御方法。
  12. 前記被矯正材の材料定数として、前記被矯正材の降伏応力を推定する、請求項8~11のいずれか1項に記載のローラレベラのロール押込量制御方法。
  13. 前記被矯正材の材料定数は、前記被矯正材の降伏応力及びヤング率を任意の1つの媒介変数により表された関数に基づき推定される、請求項8~11のいずれか1項に記載のローラレベラのロール押込量制御方法。
  14. 前記媒介変数は、矯正時の前記被矯正材の温度である、請求項13に記載のローラレベラのロール押込量制御方法。
  15. 前記変形状態を最大加工度により表すとき、
    前記最大加工度が所望の値よりも大きい場合には、前記入側ロール押込量を減少させ、
    前記最大加工度が所望の値よりも小さい場合には、前記入側ロール押込量を増加させる、請求項8~14のいずれか1項に記載のローラレベラのロール押込量制御方法。
  16. 前記変形状態を前記被矯正材の矯正に寄与するロール本数により表すとき、
    前記ロール本数が所望の値よりも少ない場合には、前記出側ロール押込量を増加させ、
    前記ロール本数が所望の値よりも多い場合には、前記出側ロール押込量を減少させる、請求項8~14のいずれか1項に記載のローラレベラのロール押込量制御方法。
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