JP7151513B2 - ローラ矯正方法 - Google Patents

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本発明は、鋼板などの各種金属板の製造プロセスにおいて、板を平坦化するためのローラ矯正方法に関するものである。
鋼板などの各種金属板の製造プロセス、例えば高張力鋼からなる熱間圧延板(厚板)の製造プロセスにおいては、耳波や中波などの平坦度不良が発生することがあり、平坦度が著しく悪い場合には、製品ごとに定められた品質基準を満足しないことがある。そこで、従来から、熱間圧延や冷却工程を経た金属板に対して矯正を行って、平坦度不良を改善することが行われている。このような矯正技術としては、矯正対象の金属板(以下被矯正板と称する)の板厚が比較的小さい場合(例えば30~40mm以下の場合)、ローラレベラを用いた矯正(ローラ矯正)を適用することが多い。
ローラレベラは、複数本のロールを上下に千鳥状に配置したものであって、被矯正板の板厚よりも狭い上下のロール間隙に被矯正板を通板させることによって、被矯正板に繰り返し曲げを与え、被矯正板を平坦化するものである。
ところで、耳波や中波の発生原因は、以下のように説明される。すなわち、圧延工程において板材が幅方向に不均一な圧下率で圧延されれば、圧下率に応じた伸びひずみ差が生じる。すなわち伸びひずみが相対的に大きい部分には圧縮、小さい部分には引張の残留応力が発生する。また冷却工程において、板材が幅方向に不均一に冷却されれば、熱収縮差によって相対的に低温に冷却された部分には引張、さほど冷却されていない部分には圧縮の残留応力が発生する。このようにして発生した圧縮残留応力が、板材の座屈応力を上回れば、座屈変形を引き起こして、波形状として顕在化する。
耳波や中波に対しては、ローラ矯正によって強い曲げを与えて加工度を高めるほど矯正効果は大きくなるが、薄手・高強度材に対して十分大きな加工度を与えることが難しいため、従来のローラ矯正方法では製品に要求される平坦度を満足できない懸念がある.ここで、被矯正板に付与される曲率の絶対値を該被矯正板の降伏曲率で除した値を加工度と称している。
薄手・高強度材に対しても平坦度を確保し得るようにするためのロール矯正方法における矯正能力の向上策としては、ロールを板幅方向にあえてたわませながら矯正を行うロールベンディング矯正が知られている(例えば非特許文献1、特許文献1等)。ロールベンディング矯正は、ロールを板幅方向にあえてたわませることにより、経路長の板幅方向差に応じた応力分布を被矯正板に作用させて、板幅方向の伸びひずみ差の低減効果を高める手法である。
特許第3280863号公報 特許第5257559号公報
「三菱重工技報」第21巻第6号(1984年)、p.86~91 「耳波・中伸びの発生機構に関する解析的研究(Buckling Analysis of Edge Waves and Middle Waves of Cold Rolled Sheet)」日本塑性加工学会誌:塑性と加工、第28巻第312号(1987-1)、p.58-66 「数値解析手法のローラーレベラー設計への応用~ローラーレベラに関する数値解析III~(Application of Numerical Analysis Method to Design of Roller Levelers~Numerical Study of Roller Leveling Process III~)」日本塑性加工学会誌:塑性と加工、第36巻第419号(1995-12、p.1391-1396
前述のような、ロールを板幅方向にあえてたわませるロールベンディング矯正を行って、被矯正板の形状を平坦に矯正しても、矯正後の板を所定幅ごとに細長く切断(条切り)した際に、切断された板に、板幅方向に曲がってしまう現象(いわゆる横曲がり)などの変形が生じてしまうことがある。
すなわちロールベンディング矯正においては、従来は、矯正に付される被矯正板の表面における板幅方向のプロフィルを例えば平坦度計などにより測定して、そのプロフィルから板幅方向の伸びひずみ差、すなわち板幅端部と板幅中央部における伸びひずみ差Δεを求め、その板幅方向の伸びひずみ差Δεを、ローラ矯正で解消すべき目標伸びひずみ差とし、その目標伸びひずみ差が解消されるようにローラレベラのロール撓み(ベンディング)を設定してローラ矯正を行うのが通常である。しかしながらこのように被矯正板の板幅方向の伸びひずみ差をローラ矯正での目標伸びひずみ差に設定した場合、矯正直後の段階では伸びひずみ差が解消されて板形状が平坦となっていても、その後の板切断時に横曲がりなどの変形が生じてしまうことがある。そしてこのような変形が生じれば、製品板として不良となってしまうことがある。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、ロールを板幅方向にあえてたわませるロールベンディング矯正を行った被矯正板を切断した際に、その切断された板に横曲がりなどの変形が生じてしまうことを防止し得るローラ矯正方法を提供することを課題としている。
前述のようにロールベンディング矯正を行って、平坦度を確保した場合でも、被矯正板を切断した際に横曲がりなどの変形が生じる現象は、被矯正板に内在する残留応力に起因すると考えられる。すなわち、切断によって板内の拘束が解除された際に、被矯正板に内在していた残留応力が開放されて、板に変形が生じると考えられる。
なお従来は、耳波や中波が生じた被矯正板では、矯正前の熱間圧延や冷却過程で生じた伸びひずみ差のすべてが座屈変形によって板形状に表れるため、伸びひずみ差が原因で生じていた応力はすべて開放され、板内の残留応力は無いものと考えられていた。
これに対して、今回本発明者等は、ローラ矯正に付される被矯正板には、矯正前の熱間圧延や冷却過程で与えられた応力のうち、大部分は座屈変形として板形状に表れているが、一部は形状に表れない残留応力として内在しており、そのため、形状として板表面のプロフィルに表れている伸びひずみ差だけをローラ矯正での目標伸びひずみ差に設定した場合、形状に表れていなかった残留応力が板の切断によって開放されることにより、横曲がり等の変形が生じてしまうことを新規に認識した。
そこで、本発明者等は、従来のように、矯正前の板表面のプロフィルに表れている伸びひずみ差だけをローラ矯正での目標伸びひずみ差に設定するのではなく、矯正前の板表面のプロフィルに表れている伸びひずみ差に加えて、座屈後の残留応力に相当する伸びひずみ差(矯正前の板に内在する伸びひずみ差)とを合算して、ローラ矯正での目標伸びひずみ差に設定することを考えた。そしてそのような目標伸びひずみ差に応じて、ロールベンディング矯正におけるロールのたわみ(ベンディング)を設定して、ローラ矯正を行うことにより、切断後の被矯正板に横曲がりなどの変形が発生することを最小限に抑えることが可能となることを新規に認識し、本発明をなすに至った。
したがって本発明の基本的な態様のローラ矯正方法は、複数本のロールが上下に千鳥状に配置され、かつロールを被矯正板の板幅方向に撓ませるベンディング機構を有するローラレベラを用い、ロールを被矯正板の板幅方向に撓ませながら上下のロール間に被矯正板を通して繰り返し曲げを与えることにより、被矯正板を平坦化する被矯正板のローラ矯正方法であって、被矯正板の矯正前の板表面のプロフィルから求められる被矯正板の板幅方向の伸びひずみ差と、被矯正板の矯正前の残留応力により被矯正板に内在する板幅方向の伸びひずみ差とを合算して、その合算値を、矯正すべき目標伸びひずみ差とし、その目標伸びひずみ差を解消するようにロールを被矯正板の板幅方向に撓ませながら行うローラ矯正のみにより、被矯正板の切断後における横曲がりを抑制することを特徴とするものである。
本発明のローラ矯正方法によれば、ロールを板幅方向にあえてたわませるロールベンディング矯正を行った被矯正板を切断した際に、その切断された板に横曲がりなどの変形が生じてしまうことを確実に防止することができる。
本発明のローラ矯正方法の実施に用いるローラレベラの一例の概略を示す側面図である。 図1に示されるローラレベラの概略を示す正面図である。 本発明のローラ矯正方法におけるロールベンディングの状況を、ロールの側面側から示す模式的な正面図である。 図3に示される本発明のロールベンディングの状況を、ロールの端面側から示す模式的な側面図である。 被矯正板の矯正前の板表面のプロフィルを示す模式図である。図である。 被矯正板の矯正前の板表面のプロフィルから求められた板幅方向の伸びひずみ分布の一例を示すグラフである。 実施例における各条件での目標伸びひずみ差を比較して示すグラフである。
以下に、本発明のローラ矯正方法について、実施形態に基づいて説明する。
図1は、本実施形態にかかる被矯正板のローラ矯正方法において用いられるローラレベラ20の側面と、矯正設備ラインLを示す説明図である。また図2は、ローラレベラ20の正面概略図である。
ローラレベラ20は、例えば合計9本のワークロール(以下、単にロールとも記載する)1A、1Bからなるローラレベラであり、4本のワークロール1Aからなる上ロール群3と5本のワークロール1Bからなる下ロール群2とが、それぞれ等間隔に、千鳥状に配置されている。すなわち、上ロール1Aと下ロール1Bは、水平方向(図1中左右方向)に伸びる矯正設備ラインLに対して上下に配置され、かつローラレベラ20の上面から見た際に、上ロール1Aと下ロール1Bの回転軸が互いに同一位置に位置しないように、互いにずれた状態で配置されている。
5本の下ロール(ワークロール)1Bからなる下ロール群2は、ハウジング6の内部下面に下ロール群フレーム2aに組み込まれて配置され、その位置が不動である固定ロール群として構成されている。一方、4本の上ロール(ワークロール)1Aからなる上ロール群3は、ハウジング6内の内部上面に、上ロール群フレーム3aに組み込まれている。そして上ロール群フレーム3aは、ハウジング6の上面に取り付けられた入側押し込み機構4、出側押し込み機構5に接続するウェッジ調整機構10に設置されており、ハウジング6の内面上部とウェッジ調整機構10との間にある入側押し込み装置4と出側押し込み装置5とを用いて、上ロール群フレーム3aを介して、下ロール群フレーム2aに組み込まれた下ロール群2に対して傾動押し込みを行うことが可能となっている。
また、図1および図2に示す通り、ローラレベラ20においては、上ロール群3の上部にはウェッジ調整機構10が組み込まれている。このウェッジ調整機構10は、図2に示すように、板幅方向3箇所に設けられており、板幅中央部のウェッジ調整量を板幅端部のウェッジ調整機構の調整量とは異なる値に設定することにより、上ロール群3の各上ロール1Aに対してロールベンディングを与えること(上ロール1Aを、通板する被矯正板9の板幅方向に撓ませること)が可能で、かつその撓み量、言い換えればロール胴長方向のロール押し込み量の分布を調整することが可能となっている。
例えば、図2に示すように、ウェッジ調整機構10において、板幅中央部のものを機構10aとし、板幅端部のものを機構10cとした場合に、機構10aによって、機構10cより大きな調整量(押し込み量)を上ロール群3に対して負荷させることにより、上ロール群3の各上ロール1Aのそれぞれの板幅中央部に対応する部分が下に凸となるようにロールベンディングが施され、通板する被矯正板9の板幅端部に比べて板幅中央により大きな押し込み量が負荷されるように調整が可能となっている。したがってこのウェッジ調整機構10は、ロールの撓みを調整可能なベンディング機構に相当する。
ここで、ウェッジ調整機構10は、図1に示すように上ロール群3の全てのワークロール1Aに対して同時に調整を行う構成となっており、上記板幅中央部に対応する部分が下に凸となるロールベンディングの負荷は上ロール群3の全てのワークロール1Aに対して行われる。
また、図1に示すように、ローラレベラ20の入側には、矯正に供される被矯正板9の表面のプロフィルを求めるための手段として、例えば平坦度計7が設置されている。この平坦度計は、例えば、被矯正板9の板幅方向の各位置において板表面の板長方向のプロフィル(波プロフィル)を測定するものとされる。
平坦度計7による測定結果はプロセスコンピュータ8に伝送される。ローラレベラ20における制御部として機能するプロセスコンピュータ8には、被矯正板9の板厚、板幅、材料特性、伸びひずみ差の板幅方向分布の目標値なども入力され、また、入側押し込み装置4、出側押し込み装置5、および、ウェッジ調整機構10などの制御量が出力される。この制御部としてのプロセスコンピュータ8は、ロールベンディングを伴うローラ矯正での様々な制御を行うものであり、例えば、上ロール1Aの押し込み量やロールベンディング量の設定等が当該制御部により制御される。
以上のような図1および図2を参照して説明した矯正設備ラインL(ローラレベラ20、プロセスコンピュータ8等)によってローラ矯正を行うにあたっては、被矯正板9を上ロール群3の各上ロール1Aと下ロール群2の各下ロール1Bとの間に通板させる。この際、例えば図3、図4に示しているように、ウェッジ調整機構10によって、上ロール群3の各上ロール1Aを撓ませる。なお図3、図4は、被矯正板の板幅方向各位置の経路長(板長方向の長さ)として、板幅中央部よりも板幅端部の方が長く、いわゆる耳波(耳伸び)が生じた場合のロールベンディング矯正のために、上ロール1Aによる押し込み量が、板幅端部側(Q)よりも板幅中央部側(P)で大きくなるようなベンディング、すなわちいわゆる中凸状に撓ませるロールベンディングを行った例である。このようなロールベンディングを行って上ロール1Aを押し込み、ローラ矯正を行うことにより、図3、図4の例では、被矯正板9についてその板幅端部よりも板幅中央部を大きく伸ばすことにより、平坦化させることが可能となる。
なおここでは、上ロール1Aによる押し込み量を、ロールが真直である状態での押し込み量とする。そして真直状態での押し込み位置と、真直状態からベンディングした時の上ロールの最も大きな押し込み位置との差(撓み量:上ロール1Aにおける板幅中央部と板幅端部の押し込み量との差)をベンディング量ΔBeとしている。
ロールベンディングを伴うローラ矯正方法においては、上ロール1Aの押し込み量Be及びベンディング量ΔBeは、予め定めた目標伸びひずみ差Δεclが矯正によって解消されるように設定する。この際、従来は、矯正に付される被矯正板の表面における板幅方向のプロフィルを測定して、そのプロフィルから板幅方向の伸びひずみ差、すなわち板幅端部と板幅中央部における伸びひずみ差Δεvisを求め、その板幅方向の伸びひずみ差Δεvisを、ローラ矯正で解消すべき目標伸びひずみ差Δεclとしていた。すなわち、
Δεcl=Δεvis ・・・(1)
としていた。
しかるに本発明のローラ矯正方法では、矯正前の被矯正板における残留応力として被矯正板の形状には表れずに内在する板幅方向の伸びひずみ差Δεintを求め、前記の板表面のプロフィルから求められた伸びひずみ差Δεvisと内在する伸びひずみ差Δεintとを合算(Δεtot)して、目標伸びひずみ差Δεclとする。すなわち、
Δεtot=Δεvis+Δεint ・・・(2)
Δεcl=Δεtot
=Δεvis+Δεint ・・・(3)
とする。
板表面のプロフィルを測定して伸びひずみ差Δεvisを求める具体的な手法は特に限定されるものではないが、例えば図1に示したようにローラレベラ20の入側に平坦度計7を設置しておいた場合、次のような手法を適用できる。
すなわち図5に示すように、板幅方向各位置での板長方向の波プロフィルPrを平坦度計によって測定して、板幅方向各位置での波プロフィルPrの測定結果を用い、板に沿う長さ(線長)を算出して伸びひずみの板幅方向分布を求め,板幅端部と中央部における伸びひずみ差Δεvisを算出する。このような板幅方向各位置での板長方向の波プロフィルから求めた伸びひずみの板幅方向分布の一例を図6に示す。伸びひずみ差Δεvisは、板幅中央部の伸びひずみと板幅端部の伸びひずみとの差として求められる。
また板表面のプロフィルから伸びひずみ差Δεvisを求めるための別の手法としては、次のような手法がある。
すなわち、例えばストレッチャとテーパゲージを用い、板表面の波プロフィルの波長Lと波高さhとを測定して、急峻度λ=h/Lを求め、次の(4)式から伸びひずみ差Δεvisを算出することができる。
Δεvis=(π/2×λ)・・・(4)
一方、矯正前の被矯正板における残留応力として被矯正板の形状には表れずに内在する板幅方向の伸びひずみ差Δεintを求めるための具体的手法も、特に限定されないが、被矯正板の板厚、板幅、ヤング率、Δεvisの分布形状などから、有限要素法や座屈方程式(例えば非特許文献2、特許文献2参照)に基いて計算することができる。
以上のようにして、板表面のプロフィルから求めた伸びひずみ差Δεvisと、内在する伸びひずみ差Δεintとを、式(2)に示すように合算し、その合計の伸びひずみ差Δεtotを、式(3)に示すように目標伸びひずみ差Δεclとし、その目標伸びひずみ差Δεclが与えられるように、ローラ矯正の条件、代表的には押し込み量、ベンディング量等の条件を設定して、ロールベンディングを伴うローラ矯正を行う。
ここで、目標伸びひずみ差Δεclを与えるためのローラ矯正条件を決定するための手法としては、被矯正板の板厚、板幅、応力ひずみ関係、そのほかローラレベラの設備条件などの矯正条件等から、有限要素法や理論解析(例えば非特許文献3参照)を用いて求めることができる。
なお実際のローラ矯正では、図1、図2に示したように、複数本の下ロール1Bからなる下ロール群2の各ロールと複数本の上ロール1Aからなる上ロール群3の各ロールとを千鳥状に配置して、被矯正板に繰り返し曲げを与えて矯正するが、この際、入側の上ロールの押し込み量を最大とし、出側の上ロールの押し込み量が最小となるように、押し込み量に勾配を付けて押し込むのが一般的である。本発明の場合も同様であり、したがって目標伸びひずみ差Δεclを与えるためのローラ矯正条件も、上ローラ1Aのそれぞれの位置(入側~出側)に応じて設定するのが通常である。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った実験について説明する。
図1、図2に示すようなローラレベラを用い、普通鋼を被矯正板として、ロールベンディングを伴うローラ矯正を実施した。被矯正板の条件は次の通りである。
板厚:7mm
板幅:3500mm
機械特性:降伏応力σy=40kgf/mm2
ヤング率E=20000kgf/mm2
矯正前の形状:中波
また平坦度計を用いて矯正前の被矯正板の幅方向各位置の板長方向波プロフィルを測定して得られた板幅方向伸びひずみ差Δεvisの値、及び同じく矯正前の被矯正板に内在する伸びひずみ差Δεintについて、有限要素法を用いて求めた値は、次の通りである。
Δεvis=0.00028
Δεint=0.00006
以上のような条件下で、次の矯正条件A、及び矯正条件Bに示すように目標伸びひずみ差Δεclを設定して(図7参照)、ロールベンディングを伴ってのローラ矯正を実施した。
[矯正条件A:比較例]
目標伸びひずみ差:Δεcl=Δεvis=0.00028
(この目標伸びひずみ差Δεclは、波プロフィルから求めた伸びひずみ差と等しい。)
押込量mm(入側,出側)=(30.0mm,0.0mm)
ベンディング量 6.5mm(中凸)
[矯正条件B:本発明例]
目標伸びひずみ差:Δεcl=Δεtot
=Δεvis+Δεint
=0.00034
(この目標伸びひずみ差Δεclは、波プロフィルから求めた伸びひずみ差に、板に内在する伸びひずみ差を合算した分に相当する。)
押込量mm(入側,出側)=(30.0mm,0.0mm)
ベンディング量:7.5mm(中凸)
矯正後の板を、幅300mmで条切りし、その際の横曲り量を調べ、横曲がりによる合否を判定したので、その結果を表1に示す。横曲りの合否の基準は、横曲がり量1.0mm以下を合格とした。
Figure 0007151513000001
表1に示すように、目標伸びひずみ差Δεclを、波プロフィルから求めた伸びひずみ差Δεvisと等しく設定した条件A(比較例)では、1.5mmもの大きな横曲がりが生じて不合格と判定された。これに対して、目標伸びひずみ差Δεclを、波プロフィルから求めた伸びひずみ差Δεvisに板に内在する伸びひずみ差Δεintを合算した値とした条件B(本発明例)では、横曲がり量が0.1mmに低減され、合格と判定された。
以上の実験結果から、ロールベンディングを伴ったローラ矯正を行うにあたって、目標伸びひずみ差Δεclを、矯正前の板表面のプロフィルから求めた伸びひずみ差Δεvisに、板に内在する伸びひずみ差Δεintを合算した値とすることによって、矯正後の板を切断した際の横曲がりを最小限に抑え得ることが明らかである。
以上、本発明の好ましい実施形態および実験例について説明したが、これらの実施形態、実験例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
1A 上ロール
1B 下ロール
2 下ロール群
3 上ロール群
7 平坦度計
9 被矯正板
10 ウエッジ調整機構(ベンディング機構)
20 ローラレベラ

Claims (1)

  1. 複数本のロールが上下に千鳥状に配置され、かつロールを被矯正板の板幅方向に撓ませるベンディング機構を有するローラレベラを用い、ロールを被矯正板の板幅方向に撓ませながら上下のロール間に被矯正板を通して繰り返し曲げを与えることにより、被矯正板を平坦化する被矯正板のローラ矯正方法であって、
    被矯正板の矯正前の板表面のプロフィルから求められる被矯正板の板幅方向の伸びひずみ差と、被矯正板の矯正前の残留応力により被矯正板に内在する板幅方向の伸びひずみ差とを合算して、その合算値を、矯正すべき目標伸びひずみ差とし、その目標伸びひずみ差を解消するようにロールを被矯正板の板幅方向に撓ませながら行うローラ矯正のみにより、被矯正板の切断後における横曲がりを抑制することを特徴とするローラ矯正方法。
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