JP6315818B2 - タンデム圧延ミルの制御装置および制御方法 - Google Patents

タンデム圧延ミルの制御装置および制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板の高品質化に好適なタンデム圧延ミルの制御装置および制御方法に関する。
従来、鋼板の熱間タンデム圧延制御では、圧延に先立って被圧延鋼板の圧延状態を予測し、圧下位置(上下のワークロールの隙間に相当)やロール速度を決定し、鋼板先端を制御し、その後、検出器から得られる板厚や圧延スタンド間の鋼板張力を用いて、圧下位置やロール速度を適切な値に徐々に修正する、という方法が一般的である。この制御方法では、鋼板の先端板厚を目標値に精度良く制御し、先端が仕上げミルの各圧延スタンドに噛み込まれて行くときの圧延を安定化するために、各圧延スタンドの圧下位置およびロール速度の指令値を予測計算によって適切な値に決める必要がある。その場合、最終段の圧延スタンド出側で目標の板厚を得るためにとりわけ重要なのは圧下位置であり、その圧下位置を適切に決定するためには、圧延荷重の予測精度を高める必要がある。
圧延荷重の推定精度を向上するための圧延制御方法については、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1には、圧延荷重実績値Pactと、圧延実績値を圧延荷重モデルPに代入して求めた圧延荷重モデル計算値Pcalとに基づいて決定される学習係数を、圧延材固有の誤差を学習する成分の第1学習係数Zpkと、圧延機の経時変化による誤差を学習する成分の第2学習係数Zpmとに分離するともに、これら両成分をそれぞれ個別に学習する圧延制御方法の例が開示されている。
また、特許文献2には、圧延実績をもとに被圧延材の変形抵抗の推定誤差を学習する処理に加え、圧延ロールと被圧延材との摩擦現象に関する圧延実績をもとに摩擦係数の推定誤差を学習する処理を実行することにより、変形抵抗および摩擦係数の予測精度を向上させ、圧延荷重の予測精度を高めた圧延荷重推定モデルの例が開示されている。
以上2つの例は、各圧延スタンドの圧延荷重の推定に学習の概念を導入したことを特徴とするものであるが、特許文献3には、複数の圧延スタンド間の圧延荷重の関係に注目し、圧延荷重の予測精度を高める方法が開示されている。すなわち、特許文献3には、各圧延スタンドにおける圧延荷重実績値と、圧延条件実績値を代入して求められる圧延荷重モデル計算値と、に基づいて算出される各圧延スタンドにおける圧延荷重の誤差を用いて、前段圧延スタンドから後段圧延スタンドへの誤差の変化をモデル化し、さらに、そのモデルを用いて圧延スタンド間の圧延荷重予測誤差変動を抑制する圧延制御方法の例が開示されている。
特開平10−263640号公報 特開2013−226596号公報 特開2009−113101号公報
しかしながら、前記の特許文献1〜3に開示されている圧延制御方法には、次のような問題が存在する。
例えば、特許文献1に開示された圧延荷重推定モデルは、圧延荷重の推定誤差(圧延荷重実績値Pactと圧延荷重モデル計算値Pcalとの差)を、被圧延材固有の誤差成分(第1学習係数Zpkを用いて予測される誤差)と圧延機の経時変化に基づく誤差成分(第2学習係数Zpmを用いて予測される誤差)とに分離して推定するものであるが、そもそも誤差要因の分離は困難である。
特許文献1によれば、圧延機の経時変化の傾きが小さいがゆえに誤差要因の分離が可能とされている。しかしながら、例えば、連続して圧延される被圧延材の板厚や板幅の変化が小さい場合には、圧延荷重の推定誤差も大きくは変化しない。そのため、生じた被圧延材固有の誤差を誤って圧延機の経時変化による誤差として分離される場合があった。そのため、圧延荷重予測モデルにおける第1学習係数Zpkおよび第2学習係数Zpmが不適切に学習され、圧延荷重の推定精度が低下する問題が生じていた。
また、特許文献2に開示された方法においても、例えば、圧延荷重の増大が、変形抵抗が増大したことによるものか、摩擦が増大したことによるものかを区別するのは、実際上困難である。従って、特許文献1の場合と同様に、圧延荷重予測モデルで用いられている変形抵抗および摩擦係数が不適切に学習され、圧延荷重の推定精度が低下する問題が生じていた。
また、特許文献1,2に開示された圧延荷重予測モデルの特徴は、その予測に用いられる学習が、各圧延スタンドで得られたそれぞれの荷重実績に基づいて、各圧延スタンドで独立に行われることにある。そのため、特定の圧延スタンドでの学習値が大きくなり、その反動で隣接した圧延スタンドでの学習係数が小さくなり、両者で学習値が大きく相違するような場合があった。その結果、各圧延スタンドにおける圧延荷重が大きく補正されたり小さく補正されたりするので、とくに隣接する圧延スタンド間での荷重バランスが崩れるという問題が生じていた。隣接する圧延スタンド間での荷重バランスが崩れると、圧延スタンド間張力に張りや緩みのアンバランスが生じ、圧延が不安定になるという問題があった。
特許文献3に開示された技術では、各圧延スタンドの圧延荷重の誤差に基づき圧延荷重誤差変化モデルが構築され、そのモデルに従って各圧延スタンドの学習値が算出される。その結果、特定のスタンドの学習値が他のスタンドと比べて大きく相違することはなくなるので、圧延スタンド間での荷重バランスを維持することができる。一方、圧延荷重誤差変化モデルを構築する処理が必要になるため、計算量が増大するという問題があった。
また、一般に、タンデム圧延ミルでは、上流の圧延スタンドから下流の圧延スタンドに進むにつれ、圧延荷重予測誤差の特性が複雑に変化する場合がある。例えば、予測荷重と実績荷重とを比較したとき、上流および下流の圧延スタンドでは実績荷重の方が大きく、その中間の圧延スタンドでは予測荷重の方が大きいような場合がある。すなわち、予測誤差が圧延スタンドの上流および下流側で、例えば、プラス側に偏り、中間部でマイナス側に偏るような場合がある。
これに対して、特許文献3に開示された圧延荷重誤差変化モデルは、線形近似であるため、このような非線形的な圧延荷重予測誤差の特性に対応することができない。そこで、非線形に対応可能なモデルを導入すると、そのモデルが複雑になるとともに、計算量がさらに増大するという問題が生じる。加えて、圧延荷重の予測結果が前記モデルの複雑さに応じてばらつくという問題もあった。
本発明は、以上の従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の圧延スタンド間での圧延荷重のバランス維持を簡単な処理で実現することが可能なタンデム圧延ミルの制御装置および制御方法を提供することにある。
前記本発明の目的を達成するために、本発明に係るタンデム圧延ミルの制御装置は、複数の圧延スタンドで鋼板を連続的に圧延するタンデム圧延ミルの制御装置であって、前記鋼板が圧延されたときに前記複数の圧延スタンドの各圧延スタンドで取得された圧延実績値を用いて、前記各圧延スタンドでの圧延荷重を推定するとともに、前記推定した各圧延スタンドでの圧延荷重と、当該圧延で得られる各圧延スタンドでの圧延荷重実績値とに基づいて、前記各圧延スタンドでの荷重予測誤差を算出する荷重予測誤差算出部と、前記荷重予測誤差算出部によって算出された前記各圧延スタンドでの荷重予測誤差と前記各圧延スタンドに隣接する圧延スタンドでの荷重予測誤差の相違の度合いを表す荷重バランス維持値を、前記各圧延スタンドついて算出する荷重バランス維持値算出部と、前記荷重予測誤差算出部で算出された各圧延スタンドでの荷重予測誤差と前記荷重バランス維持値算出部で算出された各圧延スタンドでの荷重バランス維持値とから、前記各圧延スタンドでの荷重補正値を算出する荷重補正値算出部と、次に圧延される鋼板について、前記各圧延スタンドでの圧延荷重を推定するとともに、前記推定した各圧延スタンドでの圧延荷重を、前記荷重補正値算出部で算出した各圧延スタンドでの荷重補正値で補正し、前記補正した圧延荷重を用いて前記各圧延スタンドに設定する圧下位置を算出する制御指令セットアップ部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の圧延スタンド間での圧延荷重のバランス維持を簡単な処理で実現することが可能なタンデム圧延ミル制御装置およびその制御方法が提供される。
本発明の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置および制御対象の構成の例を示した図である。 制御指令セットアップ部が実行する処理の処理フローの例を示した図である。 ドラフトスケジュール記憶部に記憶されるドラフトスケジュールテーブルの構成の例を示した図である。 速度パターン記憶部に記憶される速度パターンテーブルの構成の例を示した図である。 中間板厚算出部が実行する処理の処理フローの例を示した図である。 荷重予測誤差算出部が実行する処理の処理フローの例を示した図である。 荷重バランス維持値算出部が実行する処理の処理フローの例を示した図である。 荷重バランス比率記憶部に記憶される荷重バランス比率テーブルの構成の例を示した図である。 荷重補正値算出部が実行する処理の処理フローの例を示した図である。 荷重補正実績値記憶部に記憶される荷重補正実績値テーブルの構成の例を示した図である。 本発明の第2の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置の構成の例を示した図である。 鋼種類似度算出部が実行する処理の処理フローの例を示した図である。 類似度番号記憶部に記憶される類似度番号テーブルの構成の例を示した図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置10および制御対象50の構成の例を示した図である。図1に示すように、タンデム圧延ミル制御装置10は、その制御対象50から種々の状態を表す信号を取得し、制御対象50に対し種々の制御信号を出力する。なお、図1では、各ブロック間をつなぐ信号は、信号の種類や数にかかわらず1本の矢印で表わされている。
まず、図1を参照しながら、制御対象50の構成ついて説明する。本実施形態では、制御対象50は、仕上げミル60を備えた熱間タンデム圧延ミルである。仕上げミル60は、複数の圧延スタンド61によって構成され、前工程の粗圧延機(図示省略)で圧延された、例えば、厚さ30mm程度の粗材65を圧延し、薄厚の鋼板63を生産する。
図1の例では、仕上げミル60は、圧延スタンド61が7つ連続して配置された構成となっており、鋼板63(粗材65)は、左から右へ移動させられつつ、圧延されるものとしている。具体的には、鋼板63(粗材65)は、各圧延スタンド61(F〜F)での圧延によって、順次薄く加工され、圧延スタンド61(F)の出側から1mm〜15mm程度の鋼板63として払い出される。
なお、仕上げミル60において、粗材65および鋼板63を直接圧延するのは、各圧延スタンド61のワークロール62である。なお、粗材65は、粗バー、インカミングバー、トランスファーバーなどの名称で呼ばれることもある。また、本明細書でロール速度とは、ワークロール62の周速を意味するものとする。
さらに、仕上げミル60の最終段の圧延スタンド61(F)の出側には、鋼板63の板厚、板幅、温度などを測定するマルチゲージ64が配設されている。また、図1では図示が省略されているが、実際には、粗材65および鋼板63の状態を把握するための検出器として、粗材65や鋼板63の温度を計測する温度計、鋼板63の平坦度を計測する形状計、粗材65の先尾端形状イメージを測定するクロッププロファイル計、鋼板63の表面傷を検知する表面疵計など、種々の検出器が必要に応じて各所に配備されている。
続いて、タンデム圧延ミル制御装置10の構成について説明する。図1に示すように、タンデム圧延ミル制御装置10は、制御指令セットアップ部11、圧延実績収集部12、中間板厚算出部13、荷重予測誤差算出部14、荷重バランス維持値算出部、15、荷重補正値算出部16、圧下位置制御部17、ロール速度制御部18、ドラフトスケジュール記憶部21、速度パターン記憶部22、荷重補正値記憶部23などを含んで構成される。
制御指令セットアップ部11は、上位コンピュータ40から送信される、これから圧延される鋼板63の鋼種、目標板厚、目標板幅など圧延に必要な情報を受信する。そして、その受信した情報に応じて、ドラフトスケジュール記憶部21および速度パターン記憶部22から得られる情報などを用いて、各圧延スタンド61の圧延荷重、圧下位置(ロールギャップ)、ロール速度などを計算する。詳細は後記するが、この圧延荷重の計算では、荷重補正値算出部16で算出される荷重補正値が考慮される。
制御指令セットアップ部11は、さらに、各圧延スタンド61の圧延荷重、圧下位置、ロール速度などの計算結果を、圧下位置およびロール速度の制御指令として圧下位置制御部17およびロール速度制御部18それぞれに出力する。そして、圧下位置制御部17は、この制御指令に基づいて、圧延荷重および圧下位置を制御する制御値を各圧延スタンド61に出力する。同様に、ロール速度制御部18は、ロール速度指令に基づいて、ロール速度を制御する制御値を各圧延スタンド61に出力する。
圧延実績収集部12は、マルチゲージ64などを介して検出される鋼板63の圧延実績値や、圧下位置制御部17やロール速度制御部18などから制御対象50に出力された制御指令値(圧延荷重、圧下位置、ロール速度など)を収集する。
中間板厚算出部13は、圧延実績収集部12が収集したデータを用いて、各圧延スタンド61間における鋼板63の中間板厚を推定する。また、荷重予測誤差算出部14は、中間板厚算出部13で推定された中間板厚を用いて、各圧延スタンド61の圧延荷重を予測し、実績荷重との偏差(以下、荷重予測誤差という)を計算する。
また、荷重バランス維持値算出部15は、荷重予測誤差算出部14で算出された荷重予測誤差のうち、注目する圧延スタンド61の荷重予測誤差と、それに隣接する圧延スタンド61の荷重予測誤差と、荷重バランス比率記憶部23から取得した比率(図8などでいう荷重バランス比率)と、を用いて各圧延スタンド61間の荷重バランスを維持するための荷重バランス維持値を算出する。
また、荷重補正値算出部16は、荷重予測誤差算出部14により算出された荷重予測誤差と、荷重バランス維持値算出部15により算出された荷重バランス維持値と、荷重補正実績値記憶部24に記憶されている過去の圧延で計算された荷重補正値と、を用いて制御指令セットアップ部11に出力すべき荷重補正値を計算する。
以上のような構成を有するタンデム圧延ミル制御装置10は、具体的なハードウエアとしては、演算処理装置と記憶装置とを備えたコンピュータやワークステーションによって実現される。そして、図1で示した制御指令セットアップ部11、圧延実績収集部12、中間板厚算出部13、荷重予測誤差算出部14、荷重バランス維持値算出部15、荷重補正値算出部16、圧下位置制御部17、ロール速度制御部18など各部の機能は、マイクロプロセッサなどからなる前記演算処理装置が、半導体メモリやハードディスク装置などからなる前記記憶装置に格納されている所定のプログラムを実行することによって実現される。また、ドラフトスケジュール記憶部21、速度パターン記憶部22、荷重バランス比率記憶部23、荷重補正実績値記憶部24などの記憶部は、前記記憶装置の一部に割り当てられた領域に所定データが記憶されることによって実現される。
以下、タンデム圧延ミル制御装置10を構成する各部の動作について、順次、詳細に説明するが、まず、図2〜図4を参照して、制御指令セットアップ部11の動作について説明する。ここで、図2は、制御指令セットアップ部11が実行する処理の処理フローの例を示した図である。また、図3は、ドラフトスケジュール記憶部21に記憶されるドラフトスケジュールテーブル211の構成の例を示した図、図4は、速度パターン記憶部22に記憶される速度パターンテーブル221の構成の例を示した図である。
鋼板63が仕上げミル60(図1参照)で圧延されるとき、鋼板63の先端部から所望の板厚を得るためには、各圧延スタンド61における圧延荷重やワークロール62の圧下位置は適切であることが求められる。また、鋼板63が下流の圧延スタンド61に噛み込まれるときの挙動を安定化するためには、各圧延スタンド61のロール速度を、鋼板63のマスフロー(板厚と板速の積)に乱れのないバランスのとれたものにすることが必要である。
そこで、制御指令セットアップ部11は、上位コンピュータ40から送信される、これから圧延される鋼板63の鋼種、目標板厚、目標板幅などの情報を受信し、その鋼板63を目標通りに圧延するために必要な圧下位置やロール速度などの制御指令を算出する。
図2に示すように、制御指令セットアップ部11は、まず、ドラフトスケジュール記憶部21に記憶されているドラフトスケジュールテーブル211(図3参照)を参照して、上位コンピュータ40から送信された圧延対象の鋼板63の鋼種、目標板厚、目標板幅に対応するドラフトスケジュールを取得し、各圧延スタンド61の圧下率を計算する(ステップS11)。
ここで、図3に示すように、ドラフトスケジュールテーブル211は、圧延される鋼板63の鋼種、目標板厚、目標板幅などで層別されたドラフトスケジュールによって構成される。ドラフトスケジュールとは、各圧延スタンド61(F〜F)のそれぞれにおいて粗材65または鋼板63をどの程度圧延するかを表した情報、すなわち、圧下率(入側板厚に対する入側と出側の板厚差の比)をパーセントで表示した情報である。
例えば、鋼種がSS400の厚さ35mmの粗材65を、目標板厚が2.5mm、目標板幅が900mmの鋼板63に圧延することを考える。この鋼板63は、図3のドラフトスケジュールテーブル211では、目標板厚が2.0〜3.0mm、目標板幅が1000mm以下に層別される。従って、板厚35mmの粗材65は、最上流の圧延スタンド61(F)で、その40%に相当する14mmが圧延され、結果として、出側板厚21mmの鋼板63となる。同様にして、圧延スタンド61(F)では、入側板厚21mmの鋼板63は、35%が圧延され、出側板厚13.65mmの鋼板63となる。
なお、こうして得られる最終段の圧延スタンド61(F)における出側板厚と目標板厚である2.5mmとの間には多少の偏差が生じるが、その偏差は、制御指令セットアップ部11が各圧延スタンド61の圧下率を、その圧下率に応じて補正することによって解消することができる。
再び、図2に示した処理フローの説明に戻る。制御指令セットアップ部11は、ステップS11の処理に引き続き、速度パターン記憶部22に記憶されている速度パターンテーブル221(図4参照)を参照して、圧延対象の鋼板63の鋼種、目標板厚、目標板幅に対応する速度パターンを取得し、最終段の圧延スタンド61(F)の出側での鋼板63の圧延速度(板速)を計算する(ステップS12)。
図4に示すように、速度パターンテーブル221は、圧延される鋼板63の鋼種、目標板厚、目標板幅などで層別された速度パターンによって構成される。ここで、速度パターンとは、最終段の圧延スタンド61(F)から圧延対象の鋼板63が払い出されるときの速度(板速)情報であり、例えば、初期速度、第1加速度、第2加速度、定常速度、減速度および終期速度により構成される情報をいう。
また、初期速度とは、鋼板63の先端が最終段の圧延スタンド61(F)から払い出されるときの速度、第1加速度とは、鋼板63の先端が払い出された後、鋼板63の速度を上げていくときの加速レート、第2加速度とは、鋼板63が後段設備であるダウンコイラ(図1では図示省略)に噛み込まれた後、定常速度に達するまでの加速レート、減速度とは、鋼板63が安定的に各圧延スタンド61を抜け、終期速度まで減速するときの減速レート、終期速度とは、鋼板63の尾端が最終段の圧延スタンド61(F)から払い出されるときの速度をいう。
なお、図4の例では、鋼種がSS400、目標板厚が1.2〜1.4mm、目標板幅が1000mm以下の鋼板63の場合、初期速度は650mpm(meter per minute)、第1加速度は2mpm/s、第2加速度は12mpm/s、定常速度は1100mpm、減速度は6mpm/s、終期速度は700mpmとなっている。
再び、図2に示した処理フローの説明に戻る。制御指令セットアップ部11は、ステップS12の処理に引き続いて、各圧延スタンド61の圧延温度を推定する処理を実行する(ステップS13)。このとき、粗材65および鋼板63の温度は、制御対象50の各所に設置されている温度計(図1では図示省略)で検出された温度、熱輻射、熱伝達、さらに圧延による鋼板63の変形に起因した加工発熱、圧延時にロール表面に奪われるロール接触伝熱などを組み合わせて推定される。なお、温度推定方法は、熱力学の文献などで多数紹介されており、さらに、鋼板63の圧延における温度変化は、例えば「板圧延の理論と実際」(日本鉄鋼協会、2010年9月発行)の第6章「圧延における温度変化」に詳しく述べられているので、その詳しい説明を省略する。
次に、制御指令セットアップ部11は、各圧延スタンド61で圧延される鋼板63の硬さに相当する値である変形抵抗を計算する(ステップS14)。なお、変形抵抗の求め方については、種々の文献に示されており、例えば、前記文献「板圧延の理論と実際」では、その第7章(変形抵抗)に詳しく説明されている。
ちなみに、前記文献「板圧延の理論と実際」の式7.54によれば、変形抵抗Kfは、次の式(1)によって計算することができる。

Kf=κ・ε・(dε/dt)・exp(A/T) (1)

ここで、T:推定された鋼板63の圧延温度
ε:ひずみ
dε/dt:ひずみ速度
κ,n,m,A:鋼種に依存する定数
次に、制御指令セットアップ部11は、各圧延スタンド61でのロール速度を計算する(ステップS15)。最終段の圧延スタンド61(F)の出側での板速がステップS12で求められているので、ここででは、これをもとに、まず、次の式(2)を用いて、各圧延スタンド61の出側での板速Vsを計算する。

Vs=Vs・h/h (2)

ここで、Vs:圧延スタンド(F)出側での板速
Vs:圧延スタンド(F)(最終段圧延スタンド)出側での板速
:圧延スタンド(F)出側での板厚
:圧延スタンド(F)(最終段圧延スタンド)出側での板厚
続いて、制御指令セットアップ部11は、先進率という概念を用いて、各圧延スタンド61出側での板速Vsから各圧延スタンド61でのロール速度を算出する。ここで、先進率とは、ワークロール62の周速とワークロール62で圧延される鋼板63の出側速度との比に対応した値である。例えば、先進率fは、次の式(3)に示されるように、複数のパラメータの関数として表されることが知られている(詳細については、前記文献「板圧延の理論と実際」を参照)。

f=F(H,h,R',Kf,tb,tf) (3)

ここで、H:入側板厚、h:出側板厚、R':偏平ロール径、
Kf:変形抵抗、tb:入側張力、tf:出側張力
従って、i番目の圧延スタンド61(F)での先進率fを用いると、その圧延スタンド61(F)でのロール速度Vrは、圧延スタンド(F)出側での板速Vsを用いて次の式(4)によって計算することができる。

Vr=Vs/f (4)
さらに、制御指令セットアップ部11は、各圧延スタンド61での圧延荷重予測値Pを計算する(ステップS16)。ここで、圧延荷重予測値Pを計算する式は、例えば、前記文献「板圧延の理論と実際」などに詳しく示されているように、次の式(5)のような複数のパラメータの関数として表されることが知られている。

P=G(w,Kf,Qp,tf,tb,R',H,h,μ) (5)

ここで、w:板幅、Kf:変形抵抗、Qp:圧下力関数、μ:摩擦係数、
tb:入側張力、tf:出側張力、H:入側板厚、h:出側板厚、
R':偏平ロール径
なお、式(5)により計算される圧延荷重予測値Pと実際の圧延で得られる圧延荷重との間には、乖離が生じる。そこで、その乖離を減らし、圧延荷重予測値Pの精度を高めるために、実際の圧延荷重としては、式(5)で計算された圧延荷重予測値Pに適当な補正係数(本明細書では、荷重補正値という)を乗じたものが用いられる。この補正係数の算出については、荷重補正値算出部16の処理(図9参照)の説明にて詳しく説明する。
最後に、制御指令セットアップ部11は、各圧延スタンド61でのワークロール62の圧下位置(ロールギャップ)を計算する(ステップS17)。なお、ワークロール62の圧下位置Sは、基本的には、次の式(6)により求めることができる。ただし、実際には算出精度を向上させるため、種々の補正項が付加されることが多い。

S=h−P/K (6)

ここで、P:圧延荷重予測値、K:ミルばね定数、h:出側板厚
制御指令セットアップ部11は、以上のように、これから圧延される鋼板63に対して計算された圧下位置やロール速度の制御指令を、圧下位置制御部17およびロール速度制御部18へ出力する。そして、圧下位置制御部17は、制御指令セットアップ部11が出力した圧下位置の制御指令に対し、ワークロール62の圧下位置が制御指令どおりの値になるように圧下位置制御を行う。同様に、ロール速度制御部18は、制御指令セットアップ部11が出力したロール速度の制御指令に対し、ワークロール62のロール速度が制御指令どおりの値になるように速度制御を行う。
以上に説明した制御指令セットアップ部11での処理は、これから圧延される鋼板63に対して行われるが、以下に説明する中間板厚算出部13、荷重予測誤差算出部14、荷重バランス維持値算出部15および荷重補正値算出部16での処理は、圧延が終了したタイミングで、その圧延で取得された様々な圧延実績値を用いて行われる。以下、本明細書では、これらの処理で対象になる圧延を当該圧延、当該圧延で生産される鋼板63を当該鋼板63と呼ぶ。
図5は、中間板厚算出部13が実行する処理の処理フローの例を示した図である。前出の図1に示されているように、マルチゲージ64は、最終段の圧延スタンド61(F)の出側に配設されているだけで、各圧延スタンド61(F〜F)の中間には配設されていない。そこで、中間板厚算出部13は、各圧延スタンド61(F〜F)の中間位置における当該鋼板63の板厚(以下、中間板厚という)を推定する。
なお、以下の説明では、圧延スタンド61(F)と圧延スタンド61(Fi+1)(i=1〜6)との中間位置における中間板厚tは、圧延スタンド61(Fi+1)の入側板厚ti+1と同じであるとする。また、粗材65の板厚を測定する検出器が備えられていない場合には、粗材65の板厚t(すなわち、圧延スタンド61(F)の入側板厚)の推定も併せて行う。
そこで、中間板厚算出部13は、図5に示すように、まず、圧延実績収集部12を介して、最終段の圧延スタンド61(F)の出側に配設されたマルチゲージ64で検出された出側板厚tおよび各圧延スタンド61(F〜F)でのワークロール62のロール速度Vr〜Vrを取得する(ステップS21)。
次に、中間板厚算出部13は、いわゆるマスフロー一定則に基づき、圧延スタンド61(F)の出側板厚tから入側板厚tを推定する(ステップS22)。ここで、マスフロー一定則とは、圧延スタンド61(F)の出側板厚tと出側板速Vsとの積が、その入側板厚と入側の板速(つまり、圧延スタンド61(Fi−1)の出側板厚ti−1と出側板速Vsi−1)との積と等しくなることをいう。
すなわち、中間板厚算出部13は、次の式(7)に基づき、圧延スタンド61(F)の入側板厚tを計算する。なお、この入側板厚tは、圧延スタンド61(F)と圧延スタンド61(F)との間の中間板厚tに相当する。

=t・V・(1+f)/{V・(1+f)} (7)

ここで、t:圧延スタンド(F)の出側板厚
:圧延スタンド(F)のワークロールのロール速度(周速)
:圧延スタンド(F)の先進率
:圧延スタンド(F)のワークロールのロール速度(周速)
:圧延スタンド(F)の先進率
なお、先進率f,fは、当該鋼板63の圧延に先立って、制御指令セットアップ部11により、式(3)に従って算出される。先進率f,fは、式(3)を用いて推定計算されたものであるので、算出される値には、一定の誤差が含まれる。従って、この先進率f,fを用いて計算される入側板厚tにも誤差が含まれる。
以上のようにして、圧延スタンド61(F)と圧延スタンド61(F)との間での中間板厚tが推定されるが、この中間板厚tは、圧延スタンド61(F)での出側板厚tでもある。そこで、中間板厚算出部13は、ステップS22と同様にして、圧延スタンド61(F)の出側板厚tから、圧延スタンド61(F)の入側板厚tを推定する(ステップS23)。
以下同様に、中間板厚算出部13は、圧延スタンド61(F)の入側板厚tを推定し(ステップS24)、圧延スタンド61(F)の入側板厚tを推定し(ステップS25)、圧延スタンド61(F)の入側板厚tを推定し(ステップS26)、圧延スタンド61(F)の入側板厚tを推定し(ステップS27)、さらに、圧延スタンド61(F)の入側板厚tを推定する(ステップS28)。なお、入側板厚tは、粗材65の板厚tに相当する
以上、本実施形態では、各圧延スタンド61の入側板厚を下流スタンドから順に求める例を示したが、測定された圧延スタンド61(F)と、圧延スタンド61(F)の先進率fと、各圧延スタンド61(F)の先進率fおよびロール速度Vrとの関係から一度に計算することもできる。
図6は、荷重予測誤差算出部14が実行する処理の処理フローの例を示した図である。図6に示すように、荷重予測誤差算出部14は、まず、7つの圧延スタンド61(F〜F)の中から1つの圧延スタンド61を選択する(ステップS31)。この場合、選択する順序はとくには限定されないが、例えば、上流側の圧延スタンド61から順に選択する。
次に、荷重予測誤差算出部14は、圧延実績収集部12を介して、前記選択した圧延スタンド61での実績圧延荷重を取得する(ステップS32)。さらに、荷重予測誤差算出部14は、前記選択した圧延スタンド61での入側板厚および出側板厚を中間板厚算出部13から取得し、その圧延スタンド61での推定圧延荷重を前記の式(5)に従って算出する(ステップS33)。
なお、式(5)の計算では、直接計測可能な出側張力tfおよび入側張力tbは、計測された実績値がそのまま使用される。また、板幅w、変形抵抗Kf、圧下力関数Qp、偏平ロール径R’および摩擦係数μは、その算出式が前記文献「板圧延の理論と実際」などに示されており、その算出式に従って、圧延実績収集部12を介して取得された各種検出器の実績値に基づき計算される。このとき、板幅wや変形抵抗Kfを計算するには、さらに圧延温度が必要となるが、その圧延温度としては、温度検出器(図1では図示省略)で検出された値をもとに、その温度検出器の設置位置から当該圧延スタンド61までの距離などを考慮して推定されたものが用いられる。
次に、荷重予測誤差算出部14は、ステップS32で取得した実績圧延荷重とステップS33で算出した推定圧延荷重との比である荷重予測誤差を算出する(ステップS34)。すなわち、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplは、次の式(8)に従って算出される。

Zpl=Pa/Ps (8)

ここで、Pa:圧延スタンド(F)での実績圧延荷重
Ps:圧延スタンド(F)での各種実績値に基づく推定圧延荷重
次に、荷重予測誤差算出部14は、全ての圧延スタンド61(F〜F)について荷重予測誤差Zplを算出する処理が終了したか否かを判定し(ステップS35)、処理が終了していない場合には(ステップS35でNo)、ステップS31以下の処理を繰り返し実行する。また、全ての圧延スタンド61(F〜F)について荷重予測誤差Zplを算出する処理が終了している場合には(ステップS35でYes)、当該鋼板63についての荷重予測誤差Zplを算出する処理を終了する。
図7は、荷重バランス維持値算出部15が実行する処理の処理フローの例を示した図である。ところで、制御指令セットアップ部11で次回圧延される鋼板63に対して各圧延スタンド61での圧延荷重予測値Pを計算するが、その予測精度を高めるために、その計算した圧延荷重予測値Pを補正する処理が行われる。その際、荷重予測誤差Zplをそのまま荷重補正値として使用することも可能であるが、荷重予測誤差Zplは、圧延スタンド61毎に算出されるため、複数の圧延スタンド61間でかなりのばらつきが生じる場合がある。その結果、各圧延スタンド61での圧延荷重予測値Pの補正の度合いも、ばらつくこととなる。
補正された圧延荷重予測値Pは、各圧延スタンド61での圧延荷重、すなわち、圧下位置の計算に実際に用いられる。そのため、圧延荷重予測値Pが補正されても互いに隣接する圧延スタンド61との間でばらつきが残るとすれば、そのばらつきにより、圧延荷重バランスが崩れる恐れがあるという問題が生じる。そこで、次に説明する荷重バランス維持値算出部15の処理では、互いに隣接する圧延スタンド61間での圧延荷重バランスの崩れを抑制するための値(以下、荷重バランス維持値という)を算出する。
図7に示すように、荷重バランス維持値算出部15は、まず、7つの圧延スタンド61(F〜F)の中から1つの圧延スタンド61(F)を選択する(ステップS41)。この場合、選択する順序はとくには限定されないが、例えば、上流側の圧延スタンド61から順に選択する。
次に、荷重バランス維持値算出部15は、荷重予測誤差算出部14での処理結果から、前記選択した圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplを取得するとともに(ステップS42)、その圧延スタンド61(F)に隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1を取得する(ステップS43)。ここで、隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)とは、圧延スタンド61(F)の上流側の圧延スタンド61(Fi−1)および下流側の圧延スタンド61(Fi+1)をいう。
なお、当然ながら、最上流の圧延スタンド61(F)に隣接する圧延スタンド61は、圧延スタンド61(F)のみであり、また、最下流の圧延スタンド61(F)に隣接する圧延スタンド61は、圧延スタンド61(F)のみである。ただし、本明細書では、このような最上流および最下流での例外があるものの、圧延スタンド61(F)に隣接する圧延スタンド61は、圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)と表記する。
次に、荷重バランス維持値算出部15は、前記選択した圧延スタンド61の荷重バランス維持値Zplbを、例えば、次の式(9)に従って算出する(ステップS44)。

i=2〜6のとき:
Zplb=α・{(Zpli−1−Zpl)+(Zpli+1−Zpl}/4
i=1のとき:
Zplb=α・(Zpli+1−Zpl)/3
i=7のとき:
Zplb=α・(Zpli−1−Zpl)/3 (9)

ここで、Zpl:荷重予測誤差
α:荷重バランス比率
式(9)によれば、荷重バランス維持値Zplbは、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplとそれに隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1との差分の平均に対応している。そのため、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplが隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1に比べて大きいときには、荷重バランス維持値Zplbは負の値になる。また、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplが隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1に比べて小さいときには、その荷重バランス維持値Zplbは正の値になる。さらに、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplが隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1とおおむね同じであるときには、荷重バランス維持値Zplbは0(ゼロ)に近い値となる。
次に、荷重バランス維持値算出部15は、全ての圧延スタンド61(F〜F)について荷重バランス維持値Zplbを算出する処理が終了したか否かを判定し(ステップS45)、処理が終了していない場合には(ステップS45でNo)、ステップS41以下の処理を繰り返し実行する。また、全ての圧延スタンド61(F〜F)について荷重バランス維持値Zplbを算出する処理が終了している場合には(ステップS45でYes)、当該鋼板63についての荷重バランス維持値Zplbを算出する処理を終了する。
式(9)において、荷重バランス比率αは、荷重予測誤差Zplの補償と荷重バランスの維持をどの程度の比率で両立させるかを示すパラメータであり、荷重バランス比率記憶部23に格納されている。この荷重バランス比率αは、0から1の間の値をとり、0のとき、荷重バランスの維持が考慮されないことを示す。一方,αが1のとき、荷重バランスの維持が最大限考慮され、このとき、荷重バランス維持値Zplbは、荷重予測誤差Zplと等価な比率で考慮される。
図8は、荷重バランス比率記憶部23に記憶される荷重バランス比率テーブル231の構成の例を示した図である。図8に示すように、荷重バランス比率テーブル231は、圧延される鋼板63の鋼種、目標板厚、目標板幅などで層別された荷重バランス比率αの値によって構成されている。例えば、鋼種がSS400、目標板厚が2.0〜3.0mm、目標板幅が1000mm以下のとき、荷重バランス比率αは、1.0となっている。また、鋼種がSS400、板厚が12.0mm以上、板幅が1400mm以上のとき、荷重バランス比率αは、0.4となっている。
図9は、荷重補正値算出部16が実行する処理の処理フローの例を示した図である。荷重補正値算出部16は、荷重予測誤差算出部14で算出された荷重予測誤差Zplと、荷重バランス維持値算出部15で算出された荷重バランス維持値Zplbとを用いて、制御指令セットアップ部11で予測する荷重予測値を高精度化するときに用いる荷重補正値(以下でいう第1荷重補正値および第2荷重補正値)を算出する。
図9に示すように、荷重補正値算出部16は、まず、7つの圧延スタンド61(F〜F)の中から1つの圧延スタンド61を選択する(ステップS51)。この場合、選択する順序はとくには限定されないが、例えば、上流側の圧延スタンド61から順に選択する。
次に、荷重補正値算出部16は、荷重予測誤差算出部14での処理結果から、前記選択した圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplを取得し(ステップS52)、さらに、荷重バランス維持値算出部15での処理結果から、前記選択した圧延スタンド61(F)の荷重バランス維持値Zplbを取得する(ステップS53)。
さらに、荷重補正値算出部16は、前記選択した圧延スタンド61(F)の当該鋼板63に対応した第1荷重補正値Zpnを、次の式(10)に従って算出する(ステップS54)。

Zpn=Zpl+Zplb (10)

ここで、 Zpn:第1荷重補正値
Zpl:荷重予測誤差
Zplb:荷重バランス維持値
前記したように、荷重バランス維持値Zplbは、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplと、それに隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1との差分の平均に対応している。そのため、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplが隣接する2つの圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1よりも大きい場合には、その荷重バランス維持値Zplbは、負の値になる。そして、式(10)によれば、この第1荷重補正値Zpnは、荷重予測誤差Zplに荷重バランス維持値Zplbを加算することで求められるので、荷重予測誤差Zplよりも小さくなる。
一方で、隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の第1荷重補正値Zpni−1,Zpni+1を計算する場合には、圧延スタンド61(F)の相対的に大きな荷重予測誤差Zplが作用するため、当該圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の第1荷重補正値Zpni−1,Zpni+1は、荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1よりも大きくなる。
すなわち、隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)に対して相対的に荷重予測誤差Zplが大きい圧延スタンド61(F)の第1荷重補正値Zpnの値は減少する。それに対して、荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1が相対的に小さい隣接圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の第1荷重補正値Zpn,Zpni+1の値は増大する。その結果、圧延スタンド61(F)と隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)との間で、それらの第1荷重補正値Zpni−1,Zpn,Zpni+1のばらつきが低減される。これは、ある圧延スタンド61(F)と隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)との間の荷重バランスが維持されることを意味している。
以上、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplが隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1の平均よりも大きい場合について、それらの圧延スタンド61(Fi−1,F,Fi+1)間の荷重バランスが向上することについて説明したが、逆の場合も同様である。すなわち、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplが隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1よりも小さい場合も同様に、圧延スタンド61(F)と隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)と間の荷重バランスが維持される。
また、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplが隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1とほぼ同じであるときには、荷重バランス維持値Zplbは、0に近い値となるので、第1荷重補正値Zpnは、荷重予測誤差Zplとほぼ同じ値となる。この場合、圧延スタンド61(F)と隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)との間での荷重バランスはもともと維持されているといえる。
続いて、図9の処理フローの説明に戻るとともに、図10について説明する。図9において、荷重補正値算出部16は、ステップS54の次の処理として、荷重補正実績値記憶部24からステップS51で選択した圧延スタンド61(F)の過去の圧延実績に対応した荷重補正実績値Zppを取得する(ステップS55)。
図10は、荷重補正実績値記憶部24に記憶される荷重補正実績値テーブル241の構成の例を示した図である。図10に示すように、荷重補正実績値テーブル241は、当該鋼板63の鋼種、目標板厚などで層別された各圧延スタンド61(F)の荷重補正実績値Zppにより構成される。ここで、荷重補正実績値Zppとは、それぞれの層別に属する鋼板63が過去に圧延されたときに荷重補正値算出部16から制御指令セットアップ部11へ出力された各圧延スタンド61(F)の第2荷重補正値Zp(ステップS56参照)を格納したものである。例えば、図10の例では、鋼種がSS400、目標板厚が1.6mm以下の鋼板63の場合、圧延スタンド61(F〜F)それぞれに対応する荷重補正実績値Zppは、1.11,1.08,0.94,0.98,1.04,0.99,1.03となっている。
さらに、図9に示すように、荷重補正値算出部16は、ステップS55の次の処理として、ステップS54で算出した第1荷重補正値ZpnおよびステップS54で取得した荷重補正実績値Zppを用いて、次の式(11)に従って、ステップS51で選択した圧延スタンド61(F)に対する第2荷重補正値Zpを算出し、その算出した第2荷重補正値Zpを制御指令セットアップ部11に向けて出力する(ステップS56)。

Zp=β・Zpn+(1−β)・Zpp (11)

ここで、 Zp:圧延スタンド(F)の第2荷重補正値
Zpn:圧延スタンド(F)の第1荷重補正値
Zpp:圧延スタンド(F)の荷重補正実績値
β:配分係数
なお、配分係数βは、圧延スタンド61(F)の第2荷重補正値Zpを算出するに当たり、荷重補正実績値記憶部24に記憶されている過去の圧延実績に基づく荷重補正実績値Zppと鋼板63の直近(以下、直近とは最も近い過去を意味する)の圧延で計算された第1荷重補正値Zpnとの配分比率を決定する係数であり、0〜1の値をとる。すなわち、配分係数βが0のときには、当該鋼板63の圧延で計算された第1荷重補正値Zpnは無視され、荷重補正実績値記憶部24に記憶されている過去の圧延実績に基づく荷重補正実績値Zppに従って、第2荷重補正値Zpが決定される。
逆に、配分係数βが1のときには、過去の圧延実績に基づく荷重補正実績値Zppは無視され、当該鋼板63の圧延で計算された第1荷重補正値Zpnに従って、第2荷重補正値Zpが決定される。また、配分係数βが0と1との中間の値(0<β<1)であったときには、配分係数βの値に従った比率で第1荷重補正値Zpnおよび荷重補正実績値Zppが按分されて、第2荷重補正値Zpが決定される。例えば、β=0.5であるときには、第1荷重補正値Zpnおよび荷重補正実績値Zppは等しい割合で按分されて、第2荷重補正値Zpが決定される。
さらに、図9に示すように、荷重補正値算出部16は、ステップS56で算出し、制御指令セットアップ部11に向けて出力した第2荷重補正値Zpを、当該鋼板63が属する層別であって、ステップS51で選択した圧延スタンド61(F)の荷重補正実績値Zppとして荷重補正実績値記憶部24に格納する(ステップS57)。
続いて、荷重補正値算出部16は、全ての圧延スタンド61(F〜F)についてステップS51〜ステップS57までの処理が終了したか否かを判定し(ステップS58)、処理が終了していない場合には(ステップS58でNo)、ステップS51以下の処理を繰り返し実行する。また、全ての圧延スタンド61(F〜F)についてステップS51〜ステップS57までの処理が終了している場合には(ステップS58でYes)、図9に示した第2荷重補正値Zpなどを算出する処理を終了する。
以上のようにして算出され、制御指令セットアップ部11へ出力された第2荷重補正値Zpは、制御指令セットアップ部11では、圧延荷重予測値Pの予測精度向上のために用いられる。すなわち、制御指令セットアップ部11は、図2の処理フローのステップS16では、式(5)に従って圧延荷重予測値Pを計算するが、荷重補正値算出部16から第2荷重補正値Zpを受け取ると、式(5)を用いて計算された圧延荷重予測値Pをこの第2荷重補正値Zpで補正する。
すなわち、制御指令セットアップ部11は、各圧延スタンド61(F)に対する圧下位置指令など計算するための圧延荷重設定値Psetを、次の式(12)に従って計算する。

Pset=Zp・G(w,Kf,Qp,tf,tb
R',H,h,μ) (12)

ここで、w,Kf,Qp,tf,tb,R',H,h,μは、それぞれ、各圧延スタンド61(F)における鋼板63の板幅、変形抵抗、圧下力関数、入側張力、出側張力、厚偏平ロール径、入側板厚、出側板、摩擦係数である。
従って、式(5)で計算される圧延荷重予測値Pにばらつきが発生したとしても、圧下位置制御部17(図1参照)などを介して実際の圧延スタンド61(F)に供給される圧延荷重設定値Psetは、隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)との間でそのばらつきが低減することになる。よって、複数の圧延スタンド61(F)間での荷重バランスが崩れることが防止される、すなわち、荷重バランスが維持される。
なお、以上に説明した実施形態では、荷重バランス比率αは、荷重バランス維持値算出部15の計算(式(9)参照)で使用されているが、式(9)からαを取り除いた上で、次の式(13)で式(10)を置き換え、荷重補正値算出部16の処理で使用されるものとしてもよい。

Zpn=Zpl+α・Zplb (13)

ここで、 Zpn:第1荷重補正値
Zpl:荷重予測誤差
Zplb:荷重バランス維持値
以上、本発明の実施形態によれば、各圧延スタンド61(F)の荷重バランス維持値Zplbは、圧延スタンド61(F)での荷重予測誤差Zplと隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)での荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1との大小関係に応じて算出される(式(9)参照)。その場合、圧延スタンド61(F)の荷重バランス維持値Zplbは、その圧延スタンド61(F)での荷重予測誤差Zplが隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)での荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1よりも大きい場合には、負の値となり、また、逆の場合には、正の値となる。すなわち、荷重予測誤差Zplに荷重バランス維持値Zplbを加算して得られる第1荷重補正値Zpn(式(10)参照)は、荷重予測誤差Zplのばらつきを抑制したものとなる。
さらに、第1荷重補正値Zpnに学習処理を施すことにより、第2荷重補正値Zp(式(11)参照)が求められ、その第2荷重補正値Zpを用いて、圧延スタンド61(F)に実際に設定される圧延荷重設定値Psetが算出される(式(12)参照)。従って、圧延荷重予測値Pにばらつきが生じたとしても、圧延荷重設定値Psetではそのばらつきが抑制されたものとなる。よって、本発明の実施形態では、複数の圧延スタンド61(F)間での荷重バランスが崩れる問題の発生を防止することができる。
また、本発明の実施形態では、圧延スタンド61(F)の荷重補正値(第2荷重補正値Zp)は、基本的には、圧延スタンド61(F)の荷重予測誤差Zplと隣接する圧延スタンド61(Fi−1,Fi+1)の荷重予測誤差Zpli−1,Zpli+1との大小関係だけで決定される。従って、例えば、特許文献3に開示されているような圧延荷重誤差変化モデルを構築する必要はない。すなわち、本発明の実施形態では、簡単な処理で、複数の圧延スタンド61(F)間での荷重バランス維持が可能になるという効果が期待できる。さらに、例えば、特許文献3に開示されている圧延荷重誤差変化モデルは、線形モデルであるが、本発明の実施形態における荷重予測誤差Zplの変動は、線形モデルに限定されず、様々な変動の仕方にも対応できる。
よって、本発明の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置10では、鋼板63の圧延に先だって所望の板厚に圧延するための各圧延スタンド61(F)での圧延荷重を予測するとき、その圧延荷重を簡易な演算で、高精度にかつ複数の圧延スタンド61(F)間の荷重バランスを考慮して推定することができる。その結果、より高精度な板厚の鋼板63が得られるとともに、当該圧延を安定化させることができる。
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置10aの構成の例を示した図である。第2の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置10aの構成は、鋼種類似度算出部31、配分係数算出部32および類似度番号記憶部35が新たに追加されている点で、図1のタンデム圧延ミル制御装置10の構成と相違している。以下、この相違点についてのみ説明する。なお、図1のタンデム圧延ミル制御装置10の構成要素と同じ構成要素については、同じ符号が付されている。
第2の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置10aでは、式(11)で用いられる配分係数βが前後して圧延される鋼板63の類似度番号に従って可変とする機能が追加されている。すなわち、鋼種類似度算出部31は、直近に圧延された鋼板63の鋼種と次回圧延される鋼板63の鋼種について、類似度番号記憶部35を参照してそれぞれの類似度番号を取得し、配分係数算出部32へ出力する。配分係数算出部32は、鋼種類似度算出部31から取得した前後の鋼板63の類似度番号をもとに配分係数βを算出し、荷重補正値算出部16に出力する。荷重補正値算出部16は、ステップS56の処理で、配分係数算出部32から受け取った配分係数βを用いて式(11)の計算を行う。
図12は、鋼種類似度算出部31が実行する処理の処理フローの例を示した図である。また、図13は、類似度番号記憶部35に記憶される類似度番号テーブル351の構成の例を示した図である。図13に示すように、類似度番号テーブル351は、鋼板63のそれぞれの鋼種に対して類似度番号が定義されて構成される。ここで、鋼板63の鋼種の類似度番号が近いほど、互いの鋼板63は、変形抵抗などの特性が類似していることを意味し、類似度番号が遠いほど、互いの鋼板63の特性が異なることを意味する。
例えば、図13の例では、鋼種がSS400の鋼板63の類似度番号は4、また、鋼種がSS490の鋼板63の類似度番号は5である。従って、これらの鋼板63は、互いに鋼種としての類似性が大きいといえる。一方、鋼種がSS400の鋼板63の類似度番号は4、鋼種がSPHCの鋼板63の類似度番号は2である。従って、これらの鋼板63の鋼種としての類似性は、前記鋼種がSS400の鋼板63と鋼種がSS490の鋼板63との類似性ほどは大きくない。さらに、鋼種がSS400の鋼板63の類似度番号は4、鋼種がDPの鋼板63の類似度番号は25であるので、これらの鋼板63の鋼種としての類似性は、大きく異なっている。従って、これらの鋼板63は、もはや、異質の鋼板63というべきである。
そこで、図12に示すように、鋼種類似度算出部31は、類似度番号記憶部35を参照して、直近に圧延された鋼板63の鋼種および次回に圧延される鋼板63の鋼種について、それぞれの鋼種に対応する類似度番号を取得する(ステップS51)。次に、2つの鋼板63の類似度番号の差から、次の式(14)に従って、類似度Vを算出する(ステップS52)。ただし、式(14)で定義される類似度Vは、その値が小さいほど類似性が大きく、値が大きいほど類似性が小さい。

V=|Vn−Vn| (14)

ここで、Vn:直近に圧延された鋼板63の鋼種の類似度番号
Vn:次回に圧延される鋼板63の鋼種の類似度番号
次に、鋼種類似度算出部31は、算出した類似度Vを配分係数算出部32に出力し(ステップS53)、処理を終了する。
続いて、配分係数算出部32は、例えば、次の式(15)に従って、配分係数βを算出する。

β=1−(V/Vc) (15)

ただし、Vc<Vのとき、V=Vcとし、Vcは、β=0に対応する類似度である。
式(15)によれば、前後して圧延される鋼板63の類似性が大きい(類似度Vが小さい)ほど、配分係数βは1に近い値となり、類似性が小さい(類似度Vが大きい)ほど、配分係数βは0近い値となる。また、類似度VがVcより大きいとき、配分係数βは0となる。荷重補正値算出部16は、この配分係数βを用いて式(11)の計算を行う。
以上に説明した第2の実施形態は、式(11)で用いられる配分係数βを具体的に計算する例を示したものであり、その効果は、先に説明した実施形態の効果とほとんど同じである。
また、以上に説明した本発明の実施形態および第2の実施形態では、タンデム圧延ミル制御装置10,10aは、熱間圧延に適用されるものとしているが、冷間圧延に適用することも可能である。
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を加えることも可能である。
10,10a タンデム圧延ミル制御装置
11 制御指令セットアップ部
12 圧延実績収集部
13 中間板厚算出部
14 荷重予測誤差算出部
15 荷重バランス維持値算出部
16 荷重補正値算出部
17 圧下位置制御部
18 ロール速度制御部
21 ドラフトスケジュール記憶部
22 速度パターン記憶部
23 荷重バランス比率記憶部
24 荷重補正実績値記憶部
31 鋼種類似度算出部
32 配分係数算出部
35 類似度番号記憶部
40 上位コンピュータ
50 制御対象
60 仕上げミル
61 圧延スタンド
62 ワークロール
63 鋼板
64 マルチゲージ
65 粗材
211 ドラフトスケジュールテーブル
221 速度パターンテーブル
231 荷重バランス比率テーブル
241 荷重補正実績値テーブル
351 類似度番号テーブル

Claims (7)

  1. 複数の圧延スタンドで鋼板を連続的に圧延するタンデム圧延ミルの制御装置であって、
    前記鋼板が圧延されたときに、前記複数の圧延スタンドの各圧延スタンドで取得された圧延実績値を用いて前記各圧延スタンドでの圧延荷重を推定するとともに、前記推定した各圧延スタンドでの圧延荷重と、当該圧延で得られる各圧延スタンドでの圧延荷重実績値とに基づいて、前記各圧延スタンドでの荷重予測誤差を算出する荷重予測誤差算出部と、
    前記荷重予測誤差算出部によって算出された前記各圧延スタンドでの荷重予測誤差と前記各圧延スタンドに隣接する圧延スタンドでの荷重予測誤差の相違の度合いを表す荷重バランス維持値を、前記各圧延スタンドついて算出する荷重バランス維持値算出部と、
    前記荷重予測誤差算出部で算出された各圧延スタンドでの荷重予測誤差と前記荷重バランス維持値算出部で算出された各圧延スタンドでの荷重バランス維持値とから、前記各圧延スタンドでの荷重補正値を算出する荷重補正値算出部と、
    次に圧延される鋼板について、前記各圧延スタンドでの圧延荷重を推定するとともに、前記推定した各圧延スタンドでの圧延荷重を、前記荷重補正値算出部で算出した各圧延スタンドでの荷重補正値で補正し、前記補正した圧延荷重を用いて前記各圧延スタンドに設定する圧下位置を算出する制御指令セットアップ部と、
    を備えること
    を特徴とするタンデム圧延ミルの制御装置。
  2. 前記荷重バランス維持値の重要度を表す0以上1以下の定数である荷重バランス比率を、前記鋼板の鋼種と目標板厚と目標板幅の少なくとも1つに対応づけて記憶する荷重バランス比率記憶部をさらに備え、
    前記荷重補正値算出部は、
    前記圧延した鋼板の鋼種と目標板厚と目標板幅に対応する前記荷重バランス比率を前記荷重バランス比率記憶部から取得し、前記荷重バランス維持値に前記取得した荷重バランス比率を乗じた値と前記荷重予測誤差とを加算することによって、前記荷重補正値を算出すること
    を特徴とする請求項1に記載のタンデム圧延ミルの制御装置。
  3. 過去の圧延実績で算出された前記荷重補正値を前記鋼板の鋼種と目標板厚と目標板幅に対応づけて記憶した荷重補正実績値記憶部をさらに備え、
    前記荷重補正値算出部は、
    前記荷重予測誤差算出部により算出された荷重予測誤差値と、前記荷重バランス維持値算出部により算出された荷重バランス維持値を用いて算出された荷重補正値と、前記荷重補正実績値記憶部から取得した過去の圧延で算出された荷重補正値とから、前記制御指令セットアップ部に出力する荷重補正値を算出すること
    を特徴とする請求項1に記載のタンデム圧延ミルの制御装置。
  4. 前記タンデム圧延ミルの最終段の圧延スタンドの出側に設けられた板厚計測手段により検出される前記鋼板の板厚と、前記複数の圧延スタンドそれぞれのワークロールの周速であるロール速度とに基づき、前記複数の圧延スタンドそれぞれの入側の板厚である中間板厚を、前記最終段の圧延スタンドから上流へ向かって順次算出する中間板厚算出部をさらに備え、
    前記荷重予測誤差算出部は、
    前記圧延した鋼板の圧延実績に基づき当該圧延における圧延荷重を推定するときには、前記中間板厚算出部で算出された中間板厚を用いて、前記複数の圧延スタンドそれぞれにおける圧延荷重を推定すること
    を特徴とする請求項1に記載のタンデム圧延ミルの制御装置。
  5. 鋼板の特性の類似性が大きいほど近い値となる類似度番号を前記鋼板の鋼種に対応付けて記憶した類似度番号記憶部と、
    前記類似度番号記憶部から前記圧延した鋼板および次に圧延される鋼板のそれぞれの類似度番号を取得し、前記取得した2つの類似度番号の差を類似度として算出する鋼板類似度算出部と、
    前記算出した類似度に基づき、0以上1以下の定数である配分係数を算出する配分係数算出部と、をさらに備え、
    前記荷重補正値算出部は、
    前記算出した荷重補正値を、その荷重補正値と前記荷重補正実績値記憶部から取得した荷重補正実績値とを前記算出した配分係数で按分して加算した値にさらに補正すること
    を特徴とする請求項3に記載のタンデム圧延ミルの制御装置。
  6. 前記配分係数算出部は、
    前記類似度が小さいほど前記配分係数が大きくなり、前記類似度が大きいほど前記配分係数が小さくなるように、前記配分係数を算出すること
    を特徴とする請求項5に記載のタンデム圧延ミルの制御装置。
  7. 複数の圧延スタンドで鋼板を連続的に圧延するタンデム圧延ミルを制御するコンピュータが、
    前記鋼板が圧延されたときに、前記複数の圧延スタンドの各圧延スタンドで取得された圧延実績値を用いて前記各圧延スタンドでの圧延荷重を推定するとともに、前記推定した各圧延スタンドでの圧延荷重と、当該圧延で得られる各圧延スタンドでの圧延荷重実績値とに基づいて、前記各圧延スタンドでの荷重予測誤差を算出する荷重予測誤差算出ステップと、
    前記荷重予測誤差算出ステップによって算出された前記各圧延スタンドでの荷重予測誤差と前記各圧延スタンドに隣接する圧延スタンドでの荷重予測誤差の相違の度合いを表す荷重バランス維持値を、前記各圧延スタンドついて算出する荷重バランス維持値算出ステップと、
    前記荷重予測誤差算出ステップで算出された各圧延スタンドでの荷重予測誤差と前記荷重バランス維持値算出ステップで算出された各圧延スタンドでの荷重バランス維持値とから、前記各圧延スタンドでの荷重補正値を算出する荷重補正値算出ステップと、
    次に圧延される鋼板について、前記各圧延スタンドでの圧延荷重を推定するとともに、前記推定した各圧延スタンドでの圧延荷重を、前記荷重補正値算出ステップで算出した各圧延スタンドでの荷重補正値で補正し、前記補正した圧延荷重を用いて前記各圧延スタンドに設定する圧下位置を算出する制御指令セットアップステップと、
    を実行すること
    を特徴とするタンデム圧延ミルの制御方法。
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