JP6069877B2 - 冷間タンデム圧延機における圧延方法および冷間タンデム圧延機の制御装置 - Google Patents

冷間タンデム圧延機における圧延方法および冷間タンデム圧延機の制御装置 Download PDF

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本発明は、冷間タンデム圧延機における圧延方法および冷間タンデム圧延機の制御装置に関する。
鋼板を冷間タンデム圧延機で圧延する際、ヒートスクラッチと呼ばれる現象が発生することがある。冷間タンデム圧延機では、圧下率もしくは圧延速度の上昇、または、クーラントの温度上昇もしくは濃度低下などの要因により鋼板とワークロールとの間の界面温度が上昇する。ヒートスクラッチとは、この界面温度の上昇により、鋼板とワークロールとの間の潤滑油が切れ、鋼板とワークロールとが直接接触することにより発生する現象である。よって、ヒートスクラッチは、ステンレス鋼などの難圧延材を圧延する際の高速圧延時および高圧下時に発生することが多い。
ヒートスクラッチが発生した場合、鋼板の表面に疵が発生するのみならず、冷間タンデム圧延機のワークロールにも疵が発生する。その結果、ワークロールに発生した疵が鋼板に転写されることによる不良品の拡大が起きてしまう。よって、ヒートスクラッチの発生は、冷間タンデム圧延機のワークロールの手入れや交換の時間を要し、鋼板の歩留を低下させると共に生産性の低下も引き起こす重大な問題となる。
ヒートスクラッチを抑制するためには、界面温度をヒートスクラッチが発生する温度以下に維持することが必要であるが、鋼板とワークロールとの間の界面温度を測定することは非常に困難である。このため、スタンド出側の鋼板あるいはワークロールの温度の計測などにより鋼板とワークロールとの間の界面温度を間接的に取得し、ヒートスクラッチ発生温度を超える前に圧延条件の変更をするという方法が行われている。
例えば、特許文献1には、被圧延材の種類に応じて予め決定されるドラフトスケジュール(各スタンドの圧延荷重、ロールギャップおよび圧延速度)に基づいて複数のスタンドそれぞれによる冷間圧延の際の被圧延材の温度を予測し、予測した温度がヒートスクラッチ発生限界温度に上昇する場合には、ヒートスクラッチ発生限界温度以下となる圧延速度に低下させて冷間圧延を開始する方法が記載されている。また、特許文献2には、ヒートスクラッチが発生しやすいスタンドをあらかじめ指定し、指定スタンドにおいて圧延機入側および出側の板厚、圧延荷重を検出し、これらの検出値に基づいて摩擦係数および変形抵抗を求めて、ロールバイト内の板温度上昇を求め、これらがヒートスクラッチ制御目標温度を超えないように圧下率を制御する圧延方法が記載されている。
特開2009−106975号公報 特開2007−307620号公報
しかしながら、上述した従来技術の何れも、冷間タンデム圧延機の全てのスタンドにおいてヒートスクラッチを抑制するという点において問題を抱えている。例えば、ヒートスクラッチの発生が予測されるスタンドにおいて圧下率を低減した場合、冷延総圧下率は、冷間タンデム圧延機の入側母板厚と出側仕上板厚で決まるため、同一母板から同一仕上板厚の冷延鋼板を得るには冷延総圧下率を一定に保つ必要があり、他のスタンドの圧下率を増加する必要が生じて、この圧下率の増加が他のスタンドにおける界面温度上昇に影響を与えることにより、冷間タンデム圧延機の他のスタンドでヒートスクラッチを発生させてしまう可能性がある。つまり、特定のヒートスクラッチの発生が予測されるスタンドのみに着目していては冷間タンデム圧延機の全てのスタンドにおいてヒートスクラッチを抑制することは困難であるにも拘らず、従来技術の冷間タンデム圧延機における圧延方法では、特定スタンドにおける鋼板とワークロールとの間の界面温度のみが着目され、スタンド間における相互関係が考慮されていなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、冷間タンデム圧延機の全スタンドにおいてヒートスクラッチの発生を抑制可能な冷間タンデム圧延機における圧延方法および冷間タンデム圧延機の制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法は、冷間タンデム圧延機における全てのスタンドのロールバイト入側の界面温度と塑性加工発熱および摩擦発熱とから、前記全てのスタンドのロールバイト内の界面温度を算出するステップ1と、前記全てのスタンドにおける各スタンド毎のロールバイト内の界面温度と前記各スタンド毎に設定されたヒートスクラッチが発生するヒートスクラッチ発生温度とを比較するステップ2と、前記ステップ2にてロールバイト内の界面温度がヒートスクラッチ発生温度以上となる着目スタンドについて、前記着目スタンドの圧下率を変更するステップ3と、前記着目スタンドの圧下率を変更した後のロールバイト出側の界面温度に基づいて、前記着目スタンドのすぐ後ろに配置された後段スタンドのロールバイト入側の界面温度を推定するステップ4と、前記ステップ2と前記ステップ3と前記ステップ4とを繰り返すことにより、冷間タンデム圧延機における全てのスタンドにおいてロールバイト内の界面温度をヒートスクラッチ発生温度未満とする圧下率に最適化するステップ5とを含む圧延方法であることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる冷間タンデム圧延機の制御装置は、冷間タンデム圧延機における全てのスタンドのロールバイト入側の界面温度と塑性加工発熱および摩擦発熱とから、前記全てのスタンドのロールバイト内の界面温度を算出する手段1と、前記全てのスタンドにおける各スタンド毎のロールバイト内の界面温度と前記各スタンド毎に設定されたヒートスクラッチが発生するヒートスクラッチ発生温度とを比較する手段2と、前記手段2によりロールバイト内の界面温度がヒートスクラッチ発生温度以上となる着目スタンドについて、前記着目スタンドの圧下率を変更する手段3と、前記着目スタンドの圧下率を変更後のロールバイト出側の界面温度に基づいて、前記着目スタンドのすぐ後ろに配置された後段スタンドのロールバイト入側の界面温度を推定する手段4と、前記手段2と前記手段3と前記手段4とを繰り返すことにより、冷間タンデム圧延機における全てのスタンドにおいてロールバイト内の界面温度をヒートスクラッチ発生温度未満とする圧下率に最適化する手段5とを備える制御装置であることを特徴とする。
本発明にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法および冷間タンデム圧延機の制御装置は、冷間タンデム圧延機の全てのスタンドにおいてヒートスクラッチの発生を確実に防止できるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法を適用する冷間タンデム圧延機の例を示す概略図である。 図2は、図1に記載の冷間タンデム圧延機から第i−1スタンドおよび第iスタンドのロールバイト部分を抜粋して模式的に示した概略図である。 図3は、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機の制御装置の構成を示す機能ブロック図である。 図4は、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法を示すフローチャートである。 図5は、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法により、圧下率を変更した場合の各スタンドにおける界面温度を示すグラフである。 図6は、ヒートスクラッチの発生の多い鋼種Aの冷間圧延におけるパススケジュールを変更した場合の各スタンドにおける界面温度の変化を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法の一例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機の例を示す概略図である。なお、図1は、5スタンドの冷間タンデム圧延機であるが、これに限られるものではない。
図1に示される冷間タンデム圧延機1の例は、第1スタンド1aから第5スタンド1eまでを備える。図1に示されるように、第1スタンド1aから第4スタンド1dまでは、ワークロール2とバックアップロール3からなる4段圧延機である。第5スタンド1eは、中間ロール4を備える6段圧延機である。
また、第1スタンド1aから第5スタンド1eの各スタンドの入側に板温計5を備え、スタンド入側における鋼板Sの表面温度が測定される。板温計5は、可能な限りワークロール2の近くに配置することが好ましい。板温計5からワークロール2のロールバイトの始端までの距離が長いと、その距離を搬送される間にロールバイト入側の界面温度の推定誤差が増えるからである。また、板温計5は、鋼板Sと接触すると疵を発生させて板面品質にも関わるので、非接触型の温度計を用いることが望ましい。
〔界面温度の相互関係〕
次に、冷間タンデム圧延機1のスタンド間における、鋼板Sとワークロール2との間の界面温度について説明する。図2は、図1に記載の冷間タンデム圧延機1から第i−1スタンド(i−1 std)および第iスタンド(i std)のロールバイト部分を抜粋して模式的に示した概略図である。図2において、第iスタンドにおけるロールバイト入側の界面温度をTr0(i)、ロールバイト内の界面温度をTm(i)、ロールバイト出側の界面温度をTr(i)、入側に設置した板温計5の板測定温度をTs(i)、第i−1スタンドにおけるロールバイト入側の界面温度をTr0(i−1)、ロールバイト内の界面温度をTm(i−1)、ロールバイト出側の界面温度をTr(i−1)、入側に設置した板温計5の板測定温度をTs(i−1)とした。
ロールバイト入側の界面温度を推定するに際し、板温計5により鋼板Sの表面温度を測定できる場合と測定できない場合がある。
板温計5により鋼板の表面温度を測定できる場合、本発明の実施形態では、第iスタンドにおけるロールバイト入側の界面温度Tr0(i)は、第iスタンドの入側に設置した板温計5の板測定温度Ts(i)を用いて、下記(式1)により推定される。
Figure 0006069877
一方、板温計5により鋼板の表面温度を測定できない場合、本発明の実施形態では、第iスタンドにおけるロールバイト入側の界面温度Tr0(i)は、第i−1スタンドにおけるロールバイト出側の界面温度Tr(i−1)を用いて、下記(式2)により推定する。
Figure 0006069877
一方、第iスタンドにおけるロールバイト内の界面温度Tm(i)は、圧延に伴う塑性加工発熱と摩擦発熱による温度上昇を受けて、第iスタンドにおけるロールバイト入側の界面温度Tr0(i)から上昇する。すなわち、この界面温度の上昇温度をΔTmとすると、第iスタンドにおけるロールバイト内の界面温度Tm(i)は、ロールバイト入側の界面温度Tr0(i)と界面上昇温度ΔTmとを用いて下記(式3)のように記載される。
Figure 0006069877
さらに、界面上昇温度ΔTmは、下記(式4)に示すように、塑性加工発熱による上昇温度ΔTpと摩擦発熱による上昇温度ΔTfとに分解される。
Figure 0006069877
ここで、塑性加工発熱による上昇温度ΔTpは、下記(式5)により算出される。
Figure 0006069877
また、摩擦発熱による上昇温度ΔTfは、下記(式6)により算出される。
Figure 0006069877
以上により、第i−1スタンドにおいて圧下率または圧延速度の変更をした場合、この圧下率または圧延速度の変更により第i−1スタンドにおけるロールバイト内の界面温度Tm(i−1)が変更され、さらに第i−1スタンドにおけるロールバイト出側の界面温度Tr(i−1)も変更され、結果的に第iスタンドにおけるロールバイト入側の界面温度Tr0(i)および第iスタンドにおけるロールバイト内の界面温度Tm(i)にも影響が及ぶ。
なお、上記(式1)〜(式5)を順次適用することにより、冷間タンデム圧延機1の全てのスタンド間における鋼板Sとワークロール2との間の界面温度を求めることができる。
〔制御装置〕
以下、上記説明した冷間タンデム圧延機1の全てのスタンド間における鋼板Sとワークロール2との間の界面温度に基づいた、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法を実現する冷間タンデム圧延機の制御装置の例を説明する。
図3は、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機の制御装置の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機の制御装置100は、情報処理装置101,入力装置102,出力装置103,および操業データベース(DB)104を主な構成要素として備える。
情報処理装置101は、プロセスラインコンピュータ(PLC)またはPC(パーソナルコンピュータ)等の汎用の情報処理装置によって構成され、RAM111,ROM112,およびCPU113を備えている。RAM111は、CPU113が実行する処理に関する制御プログラムや制御データを一時的に記憶し、CPU113のワーキングエリアとして機能する。ROM112は、情報処理装置101全体の動作を制御する制御プログラム112aと制御データとを記憶している。CPU113は、ROM112内に記憶されている制御プログラム112aに従って情報処理装置101全体の動作を制御する。入力装置102は、オペレーターが情報処理装置101に対して各種情報を入力する際に操作される装置である。出力装置103は、表示装置や印刷装置等の出力装置によって構成され、情報処理装置101の各種処理情報を出力する。
操業データベース104は、冷間タンデム圧延機1の過去の操業データを記憶するデータベースである。すなわち、操業データベース104は、過去の操業データにおいてヒートスクラッチの発生した鋼板の圧延実績やクーラントの条件から、ヒートスクラッチが発生するヒートスクラッチ発生温度を設定するためのデータベースである。冷間タンデム圧延機1の操業では、圧延する鋼板の種類により変形抵抗が異なり、またタンデム圧延は後段に行くほど加工硬化するためスタンドによっても変形抵抗や摩擦係数が異なってくる。このため、操業データベース104は、各鋼種かつ各スタンドにおける操業データを記憶しておく。例えば、操業データベース104に記憶しておく操業データとして、各スタンドの圧延荷重、スタンド間の張力、鋼板サイズ、ワークロール速度ならびにワークロール径、クーラントの温度、および、各スタンドの摩擦係数ならびに変形抵抗などがある。
〔圧延方法〕
次に、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法を説明する。以下では、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機の制御装置100の機能ブロック図を参照しながら、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法の一例を説明する。
図4は、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法の一例を示すフローチャートである。本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法では、最初に、第1スタンドから第5スタンドの入側に設けられた板温計5が、各スタンドの入側の鋼板温度を測定する(S1)。その後、冷間タンデム圧延機の制御装置100が、この板温計5の測定結果から、上述(式1)から(式6)を用いて、第1スタンドから第5スタンドにおけるワークロール2のロールバイトの界面温度を算出する(S2)。
すなわち、冷間タンデム圧延機の制御装置100は、各スタンドのロールバイト入側における鋼板Sの測定温度Ts(i)から、上述の(式1)を用いて、各スタンドのロールバイト入側における鋼板Sの界面温度Tr0(i)を推定し、(式4)により塑性加工発熱による上昇温度ΔTpと摩擦発熱による上昇温度ΔTfとから界面上昇温度ΔTmを算出し、最終的に各スタンドの界面温度を得る。
次に、冷間タンデム圧延機の制御装置100は、S2で算出された各スタンドの界面温度が、過去の操業データから設定された各スタンドのヒートスクラッチ発生温度以上であるか否かを判定し、界面温度がヒートスクラッチ発生温度以上であるスタンドのみを抽出する(S3)。ここで、界面温度がヒートスクラッチ発生温度以上であるスタンドの中で最も上流側のスタンドを着目スタンド(第iスタンド)と定義する(S4)。
その後、冷間タンデム圧延機の制御装置100は、第iスタンドの圧下率を変更する(S5)。S5における圧下率の変更は以下のように行われる。第iスタンドの界面温度は、第iスタンドの圧下率により(式7)のように定まる。よって、ΔT(R)>0の場合に、ΔT(R)=0となるようにRを再設定することにより、S5における圧下率の変更が実現される。
Figure 0006069877
さらに、冷間タンデム圧延機の制御装置100は、第iスタンドの圧下率を低下させる一方で、界面温度がヒートスクラッチ発生温度未満である後段のスタンドの圧下率を増加させる(S6)。これは、冷間タンデム圧延機1における総圧下率を一定にするためである。圧下率を増加させる他のスタンドの選択方法は、界面温度がヒートスクラッチ発生温度未満であり、かつ、界面温度とヒートスクラッチ発生温度との差が最大となるスタンドから当該差の大きい順に選択することが好ましい。
その後、冷間タンデム圧延機の制御装置100は、第iスタンドの圧下率の変化を(式5)および(式6)を用いて界面上昇温度ΔTmに反映させて第iスタンドの出側の界面温度を推定する(S7)。
その後、冷間タンデム圧延機の制御装置100は、(式2)を用いて第i+1スタンドの入側の界面温度を推定し(S8)、さらに(式3)から(式6)を用いて第i+1スタンドの界面温度を推定する(S9)。
最後に、冷間タンデム圧延機の制御装置100は、上記のように圧下率の再設定がされた後の全てのスタンドの界面温度が、ヒートスクラッチ発生温度以下であるか否かを判定する(S10)。界面温度がヒートスクラッチ発生温度以上となるスタンドが残っている場合(S10でNoの場合)、ステップS3へ戻り上記処理を繰り返され、全てのスタンドの界面温度がヒートスクラッチ発生温度未満である場合(S10でYesの場合)、処理を終了する。
なお、上述の処理では、最終スタンド(本例では第5スタンド)でヒートスクラッチが発生すると、もうそれ以上の後段のスタンドが存在しないので圧下率の調整ができなくなる可能性がある。しかしながら、一般に最終スタンドについては、形状制御のために圧下率にゆとりを持たせる操業が行われるため、最終スタンドでヒートスクラッチが発生することは稀である。もし、最終スタンドにおいてヒートスクラッチが発生した場合、圧下率を増加させる他のスタンドの選択方法は、界面温度がヒートスクラッチ発生温度未満であり、かつ、界面温度とヒートスクラッチ発生温度との差が最大となるスタンドを選択し、圧下率を変化させたこのスタンドを第iスタンドとして、この第iスタンドおよび第iスタンドよりも後段のスタンド群(最終スタンドも含め)について、圧下率変更後の界面温度を推定し、ヒートスクラッチ温度との関係を検討するとよい。
〔効果〕
以下、図5および図6を参照して、上記説明した本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法の効果について説明する。
図5は、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法により、最終スタンド出側速度および冷延総圧下率を同じとし、パススケジュール(各スタンドの圧下率)を変更した場合、(式3)で推定した各スタンドにおけるロールバイト内の界面温度を示すグラフである。図5に示されるグラフは、ヒートスクラッチの発生の多い鋼種Aを用いて取得されたものである。
上記鋼種Aは、第2スタンドおよび第3スタンドでヒートスクラッチの発生が多い。本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法により圧下率を変更した結果、第2スタンドの圧下率を1%程度、第3スタンドの圧下率を2%程度軽減し、第4スタンドの圧下率を3%増加させた。上記のようにパススケジュールを変更した場合の各スタンドにおけるロールバイト内の界面温度の変化を図6に示す。
図6は、鋼種Aの冷間圧延におけるパススケジュールを変更した場合の各スタンドにおける界面温度の変化を圧延速度ごとにプロットしたグラフである。なお、図6では、界面温度の低い第5スタンドにおける図を省略している。また、図6における各スタンドのヒートスクラッチ発生温度の値は、ヒートスクラッチ発生実績からの逆算値より設定されている。なお、各スタンドのヒートスクラッチ発生温度が異なる理由は、入出側板厚、ワークロール粗さ、鋼板表面粗さ、圧延油供給量などが各スタンド毎に異なるためである。
図6に示されるように、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法によれば、パススケジュール変更により、第2スタンドおよび第3スタンドのロールバイト内の界面温度が下がり、第4スタンドのロールバイト内の界面温度が上がることにより、各スタンドともにロールバイト内の界面温度がヒートスクラッチ発生温度以下に抑えられている。
以上より、本発明の実施形態にかかる冷間タンデム圧延機における圧延方法は、冷間タンデム圧延機1における全てのスタンドのロールバイト入側の界面温度と塑性加工発熱および摩擦発熱とから、全てのスタンドのロールバイト内の界面温度を算出するステップ1と、全てのスタンドにおける各スタンドのロールバイト内の界面温度と各スタンド毎に設定されたヒートスクラッチが発生するヒートスクラッチ発生温度とを比較するステップ2と、ロールバイト内の界面温度がヒートスクラッチ発生温度以上となる第iスタンドについて、第iスタンドの圧下率を変更するステップ3と、第iスタンドの圧下率を変更後の第iスタンドのロールバイト出側の界面温度に基づいて、第i+1スタンドのロールバイト入側の界面温度を推定するステップ4と、ステップ2とステップ3とステップ4とを繰り返すことにより、冷間タンデム圧延機1の全てのスタンドにおいてロールバイト内の界面温度をヒートスクラッチ発生温度未満とする圧下率に最適化するステップ5とを含むので、冷間タンデム圧延機の全てのスタンドにおいてヒートスクラッチの発生を抑制することができる。
1 冷間タンデム圧延機
1a 第1スタンド
1b 第2スタンド
1c 第3スタンド
1d 第4スタンド
1e 第5スタンド
2 ワークロール
3 バックアップロール
4 中間ロール
5 板温計
100 冷間タンデム圧延機の制御装置
101 情報処理装置
102 入力装置
103 出力装置
104 操業データベース
111 RAM
112 ROM
112a 制御プログラム
113 CPU

Claims (5)

  1. 冷間タンデム圧延機における全てのスタンドのロールバイト入側の界面温度と塑性加工発熱および摩擦発熱とから、前記全てのスタンドのロールバイト内の界面温度を算出するステップ1と、
    前記全てのスタンドにおける各スタンド毎のロールバイト内の界面温度と前記各スタンド毎に設定されたヒートスクラッチが発生するヒートスクラッチ発生温度とを比較するステップ2と、
    前記ステップ2にてロールバイト内の界面温度がヒートスクラッチ発生温度以上となる着目スタンドについて、前記着目スタンドの圧下率を変更するステップ3と、
    前記着目スタンドの圧下率を変更した後のロールバイト出側の界面温度に基づいて、前記着目スタンドのすぐ後ろに配置された後段スタンドのロールバイト入側の界面温度を推定するステップ4と、
    前記ステップ2と前記ステップ3と前記ステップ4とを繰り返すことにより、前記冷間タンデム圧延機の全てのスタンドにおいてロールバイト内の界面温度をヒートスクラッチ発生温度未満とする圧下率に、前記全てのスタンドの圧下率を変更するステップ5と、
    を含むことを特徴とする冷間タンデム圧延機における圧延方法。
  2. 前記ステップ1は、前記全てのスタンドの入側に設けられた板温計が測定した温度、前記全てのスタンドにおける各スタンド間のクーラント温度、および、前記板温計からロールバイト入側までの冷却時間から、前記全てのスタンドにおける各スタンド毎のロールバイト入側の界面温度を算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の冷間タンデム圧延機における圧延方法。
  3. 前記ステップ、前記着目スタンドのロールバイト内の界面温度が前記着目スタンドのヒートスクラッチ発生温度未満になるように前記着目スタンドの圧下率を低下させ
    前記ステップ4は、ロールバイト内の界面温度がヒートスクラッチ発生温度未満である他のスタンドの圧下率を増加させる、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の冷間タンデム圧延機における圧延方法。
  4. 前記ステップ4は、前記着目スタンドのロールバイト出側の界面温度、前記着目スタンドと前記着目スタンドのすぐ後ろに配置された後段スタンドとの間のクーラント温度、および、前記着目スタンドのロールバイト出側から前記後段スタンドのロールバイト入側までの冷却時間から、前記後段スタンドのロールバイト入側の界面温度を推定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の冷間タンデム圧延機における圧延方法。
  5. 冷間タンデム圧延機における全てのスタンドのロールバイト入側の界面温度と塑性加工発熱および摩擦発熱とから、前記全てのスタンドのロールバイト内の界面温度を算出する手段1と、
    前記全てのスタンドにおける各スタンド毎のロールバイト内の界面温度と前記各スタンド毎に設定されたヒートスクラッチが発生するヒートスクラッチ発生温度とを比較する手段2と、
    前記手段2によりロールバイト内の界面温度がヒートスクラッチ発生温度以上となる着目スタンドについて、前記着目スタンドの圧下率を変更する手段3と、
    前記着目スタンドの圧下率を変更後のロールバイト出側の界面温度に基づいて、前記着目スタンドのすぐ後ろに配置された後段スタンドのロールバイト入側の界面温度を推定する手段4と、
    前記手段2と前記手段3と前記手段4とを繰り返すことにより、前記冷間タンデム圧延機における全てのスタンドにおいてロールバイト内の界面温度をヒートスクラッチ発生温度未満とする圧下率に、前記全てのスタンドの圧下率を変更する手段5と、
    を備えることを特徴とする冷間タンデム圧延機の制御装置。
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