JP6382432B1 - 形状制御方法、演算装置、演算方法、情報処理プログラム、および記録媒体 - Google Patents

形状制御方法、演算装置、演算方法、情報処理プログラム、および記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】多段圧延機が有する形状制御機構の種類および構造の変化に関わらず共通して使用することができる汎用性の高い数式モデルに基づいて決定した数式を用いて、圧延材を良好な圧延形状とする圧延材の形状制御を実現する。【解決手段】形状制御方法は、数式モデルに基づいて数式を決定する数式決定工程と、前記数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御する制御工程と、を含み、前記数式モデルは、前記形状制御機構の制御量の影響項が、前記形状制御機構の制御量を底とする冪関数を掛け合わせた形にて表されている。【選択図】図5

Description

本発明は、多段圧延機が備える形状制御機構を用いて圧延材の圧延形状を制御する形状制御方法等に関する。
従来、金属帯等の圧延材を圧延する装置として、多段圧延機(4段、6段、12段、20段圧延機等)が広く用いられている。例えば6段圧延機は、圧延材をその厚さ方向に挟み込む一対のワークロールと、該一対のワークロールのそれぞれの背後に設けられた一対の中間ロールと、該中間ロールを介して前記ワークロールを支える一対のバックアップロールと、を備える。
上記ワークロールが圧延材の変形抵抗を受けてたわむことにより、多段圧延機を用いて圧延した後の薄板には形状不良が生じることがある。そのため、多段圧延機は、圧延後の薄板の形状を制御する各種の形状制御機構(形状制御手段)を備えている。
形状制御機構としては、例えば、圧延機の各ロールを軸方向に移動させることにより各ロール同士の接触荷重分布を変化させるロールシフト、圧延機の各ロールに対して軸と垂直な方向に荷重を与えてロールをたわませるロールベンダー、等がある。また、12段圧延機、20段圧延機等は、形状制御機構として、バックアップロールのサドル押込みを備えている。これらの形状制御機構の制御量を適正値に設定または補正することにより、圧延後の薄板が良好な板形状となるように、圧延材の圧延形状を制御することができる。
非特許文献1に示すように、多段圧延機を用いた冷間圧延では、圧延機出側に配置された形状検出器を用いて圧延中の圧延材の形状を測定し、測定結果および制御式に基づいて形状制御機構の制御量を補正する方法が一般的に採用されている。また、圧延中の形状制御に先立って、圧延開始時に、圧延形状を形状制御機構等の制御量の関数で表わした制御式に基づいて形状制御機構を初期設定するプリセット制御が一般に行われている。圧延中の形状制御およびプリセット制御のいずれの場合も、(i)板幅方向の複数箇所におけるそれぞれの伸び率と板幅中央における伸び率との差(伸び率差)と、(ii)形状制御機構の制御量と、の関係を線形関係で表した制御式が一般的に用いられる。
上記制御式には、伸び率差に及ぼす形状制御機構の影響度を示す影響係数が含まれる。一般に、上記影響係数は、板幅、板厚、または材質等の区分毎にテーブル設定される。或いは、上記影響係数は、板幅、板厚、および材質等の関数として数式化される(特許文献1参照)。
特開2009−022985号公報(2009年2月5日公開)
社団法人日本鉄鋼協会 編,特別報告書 No.36「板圧延の理論と実際(改訂版)」,2010年9月30日,p310〜p312 社団法人日本鉄鋼協会 編,特別報告書 No.36「板圧延の理論と実際(改訂版)」,2010年9月30日,p101
形状制御機構として、ロールベンダー、バックアップロールのサドル押込み等を用いる場合、伸び率差と形状制御機構の制御量との関係について線形関係で近似しても大きな問題とはならないことが多い。これは、これらの形状制御機構は弾性領域におけるロール変形を対象としているためである。
一方で、形状制御機構としてロールシフトを用いる場合、伸び率差と形状制御機構の制御量との関係を線形関係にて表す制御式を用いて形状制御を行うと、圧延後の薄板の圧延形状が悪化し得ることを本発明者らは認識した。
上記線形関係にて表す制御式を用いて形状制御を行う場合、圧延形状が悪化することがあり、特にロールシフトを形状制御機構として有する多段圧延機ではその傾向はさらに高まり得るという問題がある。
また、従来、同一の多段圧延機において、その構造を変化させることができる多段圧延機が知られている。そのような多段圧延機の例としては、ゼンジミアZ−High(登録商標)圧延機が挙げられる。ゼンジミアZ−High(登録商標)圧延機は、通常はサポートロールを有する6段圧延機として用いることができ、中間ロールおよびサポートロールを取り外すことによって4段圧延機としても利用できる。ゼンジミアZ−High(登録商標)圧延機について、以下、ゼンジミア6ZHi型圧延機と称することがある。
一般に、上記制御式は、多段圧延機の諸元(構造、寸法、設備仕様、等)が決定した後に、その諸元に基づいて作成され得る。そのため、従来、各種の多段圧延機のそれぞれについて制御式の数式モデルを作成していた。また、上記ゼンジミア6ZHi型圧延機では、4段または6段といった使用態様毎に制御式の数式モデルを作成していた。この場合、作成した複数の数式モデルのそれぞれについて、前述の影響係数を予めテーブル設定等することを要する。よって、設計者にとって多大な労力が必要となる。
本発明は、上記従来の問題点を解消すべく案出されたものであり、その目的は、多段圧延機が有する形状制御機構の種類に関わらず適用可能な汎用性の高い数式モデルに基づいて決定した数式を用いて、多段圧延機の形状制御機構を制御して圧延材を良好な圧延形状とすることを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る形状制御方法は、形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御する形状制御方法であって、数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量を変数とし、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値を表す数式を決定する数式決定工程と、前記数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御する制御工程と、を含み、前記数式モデルは、前記形状制御機構の制御量の影響項が、前記形状制御機構の制御量を底とする冪(べき)関数を掛け合わせた形にて表されている。
また、本発明の一態様に係る演算装置は、形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する演算装置であって、数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量を変数とし、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値を表す数式を決定するとともに、該数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する算出部を備え、前記数式モデルは、前記形状制御機構の制御量の影響項が、前記形状制御機構の制御量を底とする関数を掛け合わせた形にて表されている。
本発明の一態様に係る演算方法は、形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する演算装置における演算方法であって、数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量を変数とし、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値を表す数式を決定する数式決定工程と、前記数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する算出工程とを含み、前記数式モデルは、前記形状制御機構の制御量の影響項が、前記形状制御機構の制御量を底とする関数を掛け合わせた形にて表されている。
本発明の一態様によれば、多段圧延機が有する形状制御機構の種類に関わらず適用可能な汎用性の高い数式モデルを提案する。そして、該数式モデルに基づいて決定した数式を用いて、多段圧延機の形状制御機構を制御して圧延材を良好な圧延形状とする圧延材の形状制御を実現することができる。
本発明の実施形態1における形状制御方法を実施する多段圧延機の一例としての6段圧延機の構成を示す概略図である。 上記圧延機を6段圧延機として利用時における、形状評価値(伸び率差の平均値ε、ε)に及ぼす中間ロールベンダー力xの影響を示すグラフである。 上記圧延機を4段圧延機として利用時における、形状評価値ε’に及ぼすワークロールベンダー力x’の影響を示すグラフである。 上記圧延機を6段圧延機として利用時における、形状評価値(伸び率差の平均値ε、ε)に及ぼす中間ロールシフト位置xの影響を示すグラフである。 本発明の実施形態3における圧延機が含むプロセスコンピュータの概略的な構成を示すブロック図である。 上記プロセスコンピュータが、プリセット制御において実行する処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施形態4におけるプロセスコンピュータが、圧延中に実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態5における、中間ロールベンダー力の影響係数に及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフである。 上記実施形態における、中間ロールシフト位置の平方根の影響係数に及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフである。 上記実施形態における、影響係数に及ぼす単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフである。 (a)〜(c)はそれぞれ、上記実施形態における、クオータ部に関する制御式が含む影響係数aq、bq、cqに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフである。 上記実施形態の変形例における、板端部に関する制御式の中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。 上記変形例における、板端部に関する制御式の中間ロールシフト位置δの平方根の影響係数beに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。 上記変形例における、板端部に関する制御式の影響係数ceに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。 上記変形例における、クオータ部に関する制御式の影響係数aqに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。 上記変形例における、クオータ部に関する制御式の影響係数bqに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。 上記変形例における、クオータ部に関する制御式の影響係数cqに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。 本発明の実施例において圧延された各鋼帯の板幅方向の各位置における、伸び率差の目標値と実績値との差(ワークサイドとドライブサイドの平均値)のうち、最大値(絶対値)の分布を示すグラフである。 従来法で圧延された各鋼帯の板幅方向の各位置における、伸び率差の目標値と実績値との差(ワークサイドとドライブサイドの平均値)のうち、最大値(絶対値)の分布を示すグラフである。 ゼンジミア6ZHi型圧延機の構造を示す断面図であり、(a)は6段圧延機として用いる場合、(b)は4段圧延機として用いる場合の構造を示している。 中間ロールシフト位置を3条件、中間ロールベンダー力を3条件としてそれぞれ設定値を選び、圧延条件ごとに実験またはシミュレーションを行った結果として得られた伸び率差の例を示す表である。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1〜4、および図20,21に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、以下の記載は発明の趣旨をより良く理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、本明細書において、「A〜B」とは、A以上B以下であることを示している。
以下の説明においては、先ず、本発明の一態様における形状制御方法を実施する多段圧延機の一例としての6段圧延機の概要を、図1および図20に基づいて説明する。その後、本発明の知見について概略的な説明を行い、本実施形態の形状制御方法、および演算装置の構成について詳細に説明する。
<6段圧延機の概略的構成>
図1は、本実施の形態における形状制御方法を実施する多段圧延機の一例としての6段圧延機1の構成を示す概略図である。6段圧延機1は、圧延材8を冷間圧延する冷間圧延機である。この6段圧延機1は、複数の圧延機が連続的に配置された圧延システムにおける最終パスの圧延機であってもよいし、最終パスを含む複数パスを実行する単一の圧延機であってもよい。圧延材8としては、例えば鋼帯等の金属帯が挙げられる。圧延材8は樹脂材であってもよい。
図1に示すように、6段圧延機1は、圧延材8をその厚さ方向に挟み込む一対のワークロール9、一対のワークロール9をその対向方向に各々押圧する一対のバックアップロール11、および、ワークロール9とバックアップロール11との間に配され、ワークロール9を支持する一対の中間ロール10、を備えている。図1において、これらのロールは、紙面に対して垂直方向が長手方向となっており、圧延材8は紙面上を右方向から左方向へと流れて圧延されるようになっている。
また、6段圧延機1は、中間ロールシフト機構2、ロールベンダー3、差荷重発生装置4、形状検出器7、およびプロセスコンピュータ6を備えている。本実施の形態におけるロールベンダー3は、中間ロールベンダーまたはワークロールベンダーである。ここで、中間ロールシフト機構2およびロールベンダー3は、圧延後の薄板の圧延形状の対称成分を制御する形状制御機構である。また、差荷重発生装置4は、圧延後の薄板の圧延形状の非対称成分を制御する形状制御機構である。
中間ロールシフト機構2は、片側端部に1段あるいは多段のテーパ部を設けた中間ロール10をその軸方向に移動させることにより、該テーパ部を移動させ、これにより、中間ロール10と、ワークロール9およびバックアップロール11との接触荷重分布を変化させ、圧延後の薄板の圧延形状を制御する。なお、中間ロール10はテーパ部が設けられていなくてもよい。
ロールベンダー3としての中間ロールベンダーは、中間ロール10が圧延材8の厚さ方向に曲がる力を、中間ロール10に付与する。また、ロールベンダー3としてのワークロールベンダーは、ワークロール9が圧延材8の厚さ方向に曲がる力を、ワークロール9に付与する。
差荷重発生装置4は、バックアップロール11の長手方向における荷重の非対称性を制御するための差荷重を発生させる装置である。ここで、バックアップロール11には、その両端の軸受部(チョック)を介して、油圧により荷重がかかるようになっていてもよい。この場合、荷重がかかるのは、ドライブサイドのチョックと、ワークサイドのチョックとの2箇所である。ドライブサイドとは、6段圧延機1において、前記ワークロール9を回転させるためのモータ(図示せず)が設けられている側のことを意味し、ワークサイドとは、6段圧延機1を挟んでドライブサイドの反対側のことを意味している。
形状検出器7は、圧延後の圧延材8の形状を検出する装置であり、検出結果を示す信号をプロセスコンピュータ6に出力する。
プロセスコンピュータ6は、形状検出器7の出力信号に基づいて、中間ロールシフト機構2、ロールベンダー3、および差荷重発生装置4を制御する。
さらに6段圧延機1は、プロセスコンピュータ6を制御する上位コンピュータ5を備えている。上位コンピュータ5は、制御パラメータ等を表示する表示部5a(例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置)、および制御パラメータを変更するための入力を受け付ける入力部5b(例えば、マウス、キーボード)を備えている。
詳しくは後述するが、本発明の一態様における演算装置は、前記プロセスコンピュータ6に含まれる装置として実現することができる。プロセスコンピュータ6では、該演算装置が算出する制御値または補正値を用いて形状制御機構の制御が行われる。
また、本実施形態における6段圧延機1は、ゼンジミア6ZHi型圧延機であり、構造を変化させることができる。図20は、ゼンジミア6ZHi型圧延機の構造を示す断面図であり、(a)は6段圧延機として用いる場合、(b)は4段圧延機として用いる場合の構造を示している。
図20の(a)に示すように、ゼンジミア6ZHi型圧延機は、通常は6段圧延機として用いることができ、この場合、サポートロール12を有する。また、図20の(b)に示すように、ゼンジミア6ZHi型圧延機は、中間ロール10およびサポートロール12を取り外すとともに、ワークロール9をワークロール19に交換することによって、4段圧延機として用いることができる。ワークロール19は、ワークロール9よりも直径が大きいロールであってよい。
<発明の知見の概略的な説明>
以下、上述の6段圧延機1の構成を参照しつつ、本発明の一態様における形状制御方法の技術的思想について説明する。ここでは、ゼンジミア6ZHi型圧延機を対象として、本発明の一態様における数式モデルについて具体的に説明する。ゼンジミア6ZHi型圧延機は、形状制御機構として中間ロールベンダーおよび中間ロールシフトを有する6段圧延機として利用して形状制御を行うことができる。また、上記ゼンジミア6ZHi型圧延機は、形状制御機構としてワークロールベンダーを有する4段圧延機として利用して形状制御を行うこともできる。
つまり、ゼンジミア6ZHi型圧延機を対象として、本発明の一態様における数式モデルに基づく数式を用いて、6段圧延機としての利用時、および4段圧延機としての利用時の両方の形状制御を行う場合について説明する。
なお、ここでは、ゼンジミア6ZHi型圧延機を対象として説明するが、12段圧延機および20段圧延機等の多段圧延機、並びに、形状制御機構として他のロールベンダーもしくはロールシフトを有する多段圧延機に対しても同様に本発明が適用されることは勿論である。また、装置構造を変化可能な多段圧延機において共通性を持たせた数式モデルを使う場合、または、多段圧延機の構造に合わせて変化させた数式モデルを使う場合についても同様に、本発明は適用可能である。
圧延形状に影響する変動要因には、板厚、材質、潤滑状態、および圧延荷重等の外乱、並びに、中間ロールベンダー、ワークロールベンダー、中間ロールシフト、および差荷重発生装置等の形状制御機構の制御量がある。板厚は、重要な品質項目であり、通常は自動板厚制御によってほぼ一定値となるように制御されている。材質及び潤滑状態は圧延形状に影響するが、その影響の大半は圧延荷重の変動に応じてロール撓みが変化することにより生じる。したがって、圧延中に形状変化をもたらす主要因は、圧延荷重および形状制御機構の制御量である。
本発明者らは、形状制御機構としてロールシフトを用いる場合、伸び率差と形状制御機構の制御量との関係を線形関係にて表す制御式を用いて形状制御を行うと、圧延後の薄板の圧延形状が悪化し得るという課題を見出した。これは、シフトされるロールと、該ロールの周辺に配置されて該ロールに接触する他のロールとの間の接触域が変化することから、伸び率差と中間ロールシフト位置との関係が線形関係から大きく外れる場合があるためであると考えられる。
本発明者らは、伸び率差と中間ロールシフト位置との関係の非線形性を考慮した数式モデルによる形状制御方法を種々調査検討した。具体的には、中間ロールシフト機構を有する多段圧延機を用いて圧延を行うにあたって、圧延後の薄板をより一層良好な圧延形状にすることができる形状制御方法を検討した。その結果、数式モデルにおける形状制御機構の影響項を形状制御機構の関数を掛け合わせた形で表すことにより、数式モデルの精度を向上させることができることを見出して本願発明を想到した。
(圧延形状の評価)
ここで、圧延材の圧延形状の評価について以下に説明する。一般的な圧延機において、冷間圧延後の薄板には、耳伸び、中伸び等の単純な形状不良だけでなく、クオータ伸び、および各種伸びが複雑に組合わさった複合伸びが発生し得る。クオータ伸びとは、圧延方向において、薄板の中央部よりも後述するクオータ部の伸び率が大きいことを意味する。これらの形状不良を防止するためには、圧延形状を複数の指標により評価して制御することが要求される。
本発明では、圧延材の圧延形状を、下記(i)伸び率差の値、または(ii)伸び率差の値を変数とする関数から求まる値、のいずれかにて表すことにより評価する。下記(i)または(ii)によって表される値は、圧延材の圧延形状を特定する形状評価値(以下、評価値と称することもある)であるといえる。
(i)伸び率差の値
圧延形状を、板幅方向(幅方向ともいう)の板端部(圧延材の幅方向の端部)からの距離が異なる複数の箇所における伸び率と、板幅中央(圧延材の幅方向の中央)における伸び率との差によって評価する。本実施形態では、具体的には、板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差を伸び率差εとし、クオータ部における伸び率と板幅中央における伸び率との差を伸び率差εとして、圧延形状を評価する。
なお、評価位置としての板端部及びクオータ部については、圧延形状を適切に表すことができ、且つ精度の良い数式モデルが得られるように、経験的に定めてよい。例えば、板端部とは、圧延材8の板幅方向における、圧延材8の板面の端から50mmの位置であってよい。また、クオータ部(中間部)とは、圧延材8の板幅方向において、板幅中央部と板端部との間に位置する部分であり、クオータ部の位置は、板幅中央部と板端部との間において特に限定されないが、例えば、板幅中央部から板端部までの距離の70%の位置とすることができる。
この方法は、圧延形状を評価する位置の数が、形状制御機構の数よりも少ない場合には好適に用いることができる。例えば、上記方法は、圧延形状を評価する位置の数が、両端部または両側のクオータ部(合計2か所)であり、形状制御機構の数が、中間ロールベンダー+中間ロールシフト+差荷重の3個である場合、等に用いられてよい。
(ii)伸び率差の値を変数とする関数から求まる値
一方で、(圧延形状を評価する位置の数)>(形状制御機構の数)となっている場合には、上記(i)の方法を採用すると、連立方程式の解を求めることが難しい。そのため、評価値として、伸び率差の値を変数とする関数から求まる値を用いてよい。
例えば、評価値は、各種の伸び率差の値の平均値であってよい。具体的な一例としては、板幅方向の両端の板端部のそれぞれと板幅中央との間の伸び率差の平均値、および板幅方向の両側のクオータ部のそれぞれと板幅中央との間の伸び率差の平均値を評価値として用いてよい。
また、上記関数として、下記の式(1)、式(2)のような関数を用いてもよい。
Figure 0006382432
Figure 0006382432
ここで、εは、板幅方向の複数の箇所(圧延形状を評価する位置)における伸び率と、板幅中央部における伸び率との差を意味し、添え字iは、対応する圧延形状を評価する位置を示す番号である。iは、1〜nの整数であり、nは、圧延形状を評価する位置の総数を表している。
(6段圧延機)
次に、ゼンジミア6ZHi型圧延機を、中間ロールベンダーおよび中間ロールシフトを有する6段圧延機として利用する場合について説明する。この場合、本発明で提案する数式モデルは下記の式(3)、式(4)のとおり表される。
Figure 0006382432
上記式において、
ε:板端部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFTと、板端部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHTとの平均値(ε=(εLEFTεRIGHT)/2)
ε:クオータ部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFTと、クオータ部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHTとの平均値(ε=(εLEFTεRIGHT)/2)
:中間ロールベンダー力
:中間ロールシフト位置
c、c:影響係数
:中間ロールベンダー力、または中間ロールシフト位置に係る指数
である。
なお、は、それぞれ互いに異なる値としてもよい。実機での運用時の利便性などを考慮すれば、であることが好ましい。
本実施形態では,圧延材の板幅方向の両端部のそれぞれと板幅中央部との伸び率差の平均値をεとし、圧延材の板幅方向の両側のクオータ部のそれぞれと板幅中央部との伸び率差の平均値をεとし、それらを圧延形状の評価値として用いている。
ここで、板端部およびクオータ部として定義する板幅方向の具体的な箇所は、圧延材の形状を適切に表して精度の良い数式モデルが得られる箇所となるように、経験的に選定されてよい。なお、圧延形状の評価値については、伸び率差を用いる場合は、本実施形態で用いた板端部およびクオータ部以外の板幅方向の箇所を選定してもよい。また、それら伸び率差を変数として用いた関数の値を用いてもかまわない。
(4段圧延機)
次に,ゼンジミア6ZHi型圧延機を、ワークロールベンダーを有する4段圧延機として利用する場合について説明する。この場合、本発明で提案する数式モデルは下記の式(5)のとおり表される。
Figure 0006382432
上記式において、
ε:板端部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFTと、板端部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHTとの平均値(ε=(εLEFTεRIGHT)/2)
ε:クオータ部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFTと、クオータ部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHTとの平均値(ε=(εLEFTεRIGHT)/2)
ε’:前記伸び率差の平均値(ε,ε)を変数として用いた形状評価値
’:ワークロールベンダー力
’、c’:影響係数
:ワークロールベンダー力に係る指数
である。
本発明の一態様において、圧延機の構造に関わらず共通性を持った数式モデルを用いて形状制御を行う場合を対象としている。そのため、上記指数は、ゼンジミア6ZHi型圧延機を6段圧延機として利用する場合の中間ロールベンダー力に係る指数と、4段圧延機として利用する場合のワークロールベンダー力に係る指数とを同一としている。
なお、上式においては、6段圧延機として利用する場合の数式モデルとの混同を防ぐために、6段圧延機として利用する場合の数式モデルと共通でない係数および変数の右上に’を付与している。
また、ε’について、ε=0のときの値は、
ε/|ε|)・((ε)^2+(ε)^2)^0.5=(0/0)・(0+(ε)^2)^0.5=1・ε=ε
として取り扱う。
なお、圧延形状の評価値としては、上述のような伸び率差の平均値に限定されず、板端部およびクオータ部等の板幅方向の箇所の伸び率差の値そのものを用いてもよい。また、本実施形態において用いた関数に限定されず、伸び率差を変数として用いる別の関数により求めた値を用いてもかまわない。
(数式モデルの共通使用について)
前記した“本発明の一態様における数式モデルに基づく数式を用いて、6段圧延機および4段圧延機のどちらとしての利用時も形状制御を行う”とは、以下のことを意味している。すなわち、上記式(3)および式(5)に示すように、6段圧延機としての利用時の中間ロールベンダーの影響項にかかる指数と、4段圧延機としての利用時のワークロールベンダーの影響項にかかる指数とを互いに同一の値とする。このように、ロールベンダーの影響項を圧延機の構造によらず共通の形で表している。また、4段圧延機としての利用時は、中間ロールシフト位置を0mmに固定することにより、ロールシフトの影響項についても6段圧延機としての利用時と共通の形で表した数式モデルを用いて形状制御を行うことができる。
(形状検出器の出力信号に基づく制御)
圧延機出側に配置された形状検出器7の出力信号に基づく形状制御に関しては、6段圧延機として利用する場合は下記の式(6)および式(7)を、4段圧延機として利用する場合は下記の式(8)をそれぞれ用いてよい。
Figure 0006382432
上記式において、
εme:形状検出器で測定された、板端部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFT,meと、板端部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHT,meとの平均値(εme=(εLEFT,meεRIGHT,me)/2)
εme:形状検出器で測定された、クオータ部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFT,meと、クオータ部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHT,meとの平均値(εme=(εLEFT,meεRIGHT,me)/2)
εme’:形状検出器で測定された前記伸び率差の平均値(εmeεme)を変数として用いた形状評価値
ε:板端部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFT,0と、板端部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHT,0との平均値の目標値(ε=(εLEFT,0εRIGHT,0)/2)
ε:クオータ部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFT,0と、クオータ部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHT,0との平均値の目標値(ε=(εLEFT,0εRIGHT,0)/2)
ε’: 前記伸び率差の平均値(εmeεme)を変数として用いた形状評価値の目標値
Δε:板端部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFTと、板端部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHTとの平均値の補正量
Δε:クオータ部(ワークサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εLEFTと、クオータ部(ドライブサイド)の板幅中央部に対する伸び率差εRIGHTとの平均値の補正量
Δε’:前記伸び率差を変数として用いた形状評価値の補正量
:中間ロールベンダー力
:中間ロールシフト位置
’:ワークロールベンダー力
Δx:中間ロールベンダー力の補正量
Δx:中間ロールシフト位置の補正量
Δx’:ワークロールベンダー力の補正量
’:影響係数
:中間ロールベンダー力,ワークロールベンダー力、または中間ロールシフト位置に係る指数
である。
(影響係数および指数の設定)
本発明の一態様における上記数式モデルを用いて圧延形状の制御をするには,各種影響係数および指数を予め決定することを要する。
ここで、影響係数c、cならびに’、c’は、同一の圧延機での圧延においても圧延条件(板厚、板幅、圧延される材料の品種ならびに変形抵抗などの機械的性質、張力など)によって変動する。これに対して、指数は、圧延機の諸元(構造、寸法、設備仕様、等)によって決定されるその圧延機固有のものであって、圧延条件によって変動するものではない。そのため、初めに指数の決定を行う。
指数の決定は、以下(A)〜(C)のようにして行うことができる。
(A)6段圧延機としての利用時、および4段圧延機としての利用時のそれぞれについて、多段圧延機が対象とする圧延条件の所定の範囲内において、前記圧延条件を種々に変化させて圧延条件をいくつか設定する。
(B)設定した圧延条件のそれぞれについて、形状制御機構の制御量を圧延機の所定の範囲内で変化させた場合の板形状の評価値を形状予測の数値解析プログラムを用いて算出する。この板形状の評価値としては、伸び率差の平均値であってよく、伸び率差の平均値を用いた関数の値であってよい。また、評価値は、数値解析プログラムを用いたシミュレーションの代わりに実験によって求めてもよい。
(C)得られた6段圧延機としての利用時および4段圧延機としての利用時のそれぞれの場合における、種々の圧延条件、種々の形状制御機構の制御量、および算出した評価値の関係から、指数を決定する。このとき、例えば重回帰分析を用いてよく、この具体例については後述する。
は、それぞれ互いに異なる値としてもよい。実機での運用時の利便性などを考慮すれば、であることが好ましい。
なお、影響係数c、cならびに’、c’の決定についても前記の指数の決定手順(A)〜(C)と同じ手順で得ることができる。得られたそれらの値を前記圧延条件とともにテーブルとして圧延機に記憶させ、対象とする前記圧延条件ごとに適切な値を呼び出して設定すればよい。或いは、影響係数は以下のように求めてもよい。すなわち、手順(A)〜(C)で得られた各影響係数の値と前記圧延条件との関係に基づいて、前記圧延条件から各影響係数の値を算出する近似式を作成する。該近似式を圧延機に記憶させておいて,対象とする前記圧延条件ごとに適切な値を算出して設定させる形としてもよい。
なお、影響係数c、c、c’は、各種の形状制御機構の制御量をいずれも0として、形状予測の解析プログラムを用いる、または実験を行うことにより、求めることができる。ここで、式(3)〜(5)に含まれるc、c、c’は、定数項であるが、他の影響係数と共に各種条件に応じて設定される数であるため、説明の便宜上、本明細書では影響係数と称することとする。
(具体例)
本実施形態におけるゼンジミア6ZHi型圧延機に関する具体例について、以下に説明する。図2は、6段圧延機としての利用時における、形状評価値(伸び率差の平均値ε、ε)に及ぼす中間ロールベンダー力xの影響を示すグラフである。また,図3は、4段圧延機としての利用時における、形状評価値ε’に及ぼすワークロールベンダー力x’の影響を示すグラフである。
ここで、図2は、中間ロールシフト位置xを75mmで固定したときの結果である。また、図2および図3ともに、伸び率差は、10−5を単位とし、この単位をIunitと表示した(以下の記載においても同様に、Iunitとは10−5を表す単位である)。
また、表1は、図2および図3に示した形状評価値とそれらに対するx,x’の影響とを本発明で提案する数式モデルで表して、の値を変化させたときの形状評価値の残差平方和を示している。
Figure 0006382432
図2および図3に示すように、ロールベンダー力の変化は、ロールの撓みの変化となって現れ、圧延材の形状を変化させる。ロールベンダー力とロール撓み量との関係は弾性領域における変形を対象としていることからほぼ線形の関係にある。このため、得られた形状評価値(ε、ε、ε’)と、形状制御機構の制御量x,x’(中間ロールベンダー力またはワークロールベンダー力)とは互いに概ね線形の関係となっている。
表1からわかるように、ゼンジミア6ZHi型圧延機を6段圧延機としてのみ使用する場合には、=−0.1とすると、形状評価値ε、εの残差平方和が最も小さい値となる。一方で、その場合、4段圧延機として使用する場合の形状評価値ε’の残渣平方和が最小値ではなくなる。
ここで設定した条件において、ゼンジミア6ZHi型圧延機では、数式モデルにおいて=0とすることにより、6段圧延機および4段圧延機どちらの場合も形状評価値と形状制御機構との関係を良く表すことができた。
図4は、6段圧延機としての利用時における、形状評価値(伸び率差の平均値ε、ε)に及ぼす中間ロールシフト位置xの影響を示すグラフである。なお、図4は中間ロールベンダー力xを0kNで固定したときの結果である。
また、表2は、図4に示した形状評価値とそれらに対するxの影響とを本発明で提案する数式モデルで表して、の値を変化させたときの形状評価値の残差平方和を示している。
Figure 0006382432
図4に示すように、ロールをシフトすると、シフトさせたロール(今回対象とした圧延機では中間ロール)とそのロールに接触するその他のロールまたは圧延材との間の接触域がそれぞれ変化するため、形状評価値とロールシフト位置との関係は線形関係とはならない。特に、形状評価値として板幅方向位置の板幅中央部に対する伸び率差をそのまま用いた場合、その傾向は更に高くなる。
ここで設定した条件において、ゼンジミア6ZHi型圧延機では、数式モデルにおいて=−0.5とすることにより、形状評価値と中間ロールシフト位置との関係を良く表すことができた。
ここで、図2〜4に示す各プロットは、形状予測の解析プログラムを用いて算出される。一般に、形状予測の解析プログラムは、圧延後の圧延材の形状を予測するために用いられている。例えば、非特許文献2には、圧延材の板クラウン・平坦度の計算に関する既存の形状解析方法の例が記載されている。例えば、非特許文献2には、圧延材の板クラウン・平坦度の計算に関する既存の形状解析方法の例が記載されている。非特許文献2に記載のように、フローチャートにて説明されているような収束計算を行い、圧延材の板クラウン・平坦度を計算することができる。
同様の考え方(手法)にて、板クラウン・平坦度以外の板形状(板プロファイル)についても形状解析を行うことができる。通常、当業者は、解析の対象とする板プロファイルに応じて、既存の形状解析技術を応用して、操業条件に対応した板プロファイルを計算により求め、圧延条件の調整を行っている。
本発明者らは、既存の形状解析技術を応用した解析プログラムを用いている。この解析プログラムを用いて、板プロファイルのうち板幅中央部、クオータ部、および板端部の点の伸び率を計算により求め、各種の伸び率差を評価することができる。そして、図2〜4に示すような各プロットを算出することができる。
また、影響係数については、ゼンジミア6ZHi型圧延機が圧延対象とする圧延材8の板幅、板厚、および材質等の区分毎にテーブル設定されていてよく、または、種々の圧延条件の関数として数式化されていてもよい。前述のように、一般に、形状制御機構の制御量は、圧延形状を予測する制御式に基づいて設定される(特許文献1参照)。該制御式には、伸び率差に及ぼす形状制御機構の影響度を示す影響係数が用いられる。
例えば、影響係数は以下のように予めテーブル設定し得る。すなわち、影響係数は、(1)圧延対象とする圧延材8の板幅、板厚、および材質等の圧延材8の特性、(2)当該特性に基づいて決定される圧延荷重、(3)圧延材8の圧延に用いる圧延機1の装置構成によって定まる定数であってよい。この場合、上記影響係数はそれぞれ、ロールの弾性変形解析と素材の塑性変形解析とを連成させた解析モデルによるシミュレーション、または実験により、圧延材8の品種に応じて予め求められてよい。
ここで、一般に、圧延を行う工場等の現場においては、圧延機をそれぞれ含む複数の圧延ラインが設けられ得る。そして、それぞれの圧延ラインには、所望の製品のロットに応じて、様々な品種(板幅、板厚、変形抵抗)の圧延材が流され得る。しかし、或る1つの圧延ラインにおいて、全ての品種の圧延材に対応することは現実的でない。そのため、或る圧延ラインにおいて対応可能な圧延材の品種(板幅、板厚、変形抵抗)の範囲が、予め設定される。
上記影響係数は、或る圧延ラインにおける、圧延機が対応可能な圧延材の品種(板幅、板厚、変形抵抗)の範囲に対応して、予めテーブル設定する、または、数式を用いて算出することにより設定することができる。
より具体的には、例えば以下の(A)〜(D)の手順により予めテーブル設定して影響係数を求めることができる。
(A)圧延機が圧延対象とする圧延条件(板幅、板厚、変形抵抗等)の所定の範囲内において、前記圧延条件を種々に変化させて圧延条件を設定する。
(B)設定した圧延条件のそれぞれについて、形状制御機構の制御量を圧延機の所定の範囲内で変化させた場合について実験またはシミュレーションを行う。これにより、それぞれの場合における板端部、クオータ部、板幅中央部の伸び率を算出する。
(C)各圧延条件および種々の形状制御機構の制御量の場合について得られた伸び率差に基づいて、形状評価値(伸び率差の値または該伸び率差を変数とする関数の値)に及ぼす形状制御機構の制御量の影響について調べることができる(例えば図2〜4に示すようなグラフが得られる)。その結果、例えば重回帰分析を用いて予め影響係数を求めることができる。
(D)圧延条件ごとに、それぞれの圧延条件に対応する影響係数を予め求めることにより、影響係数のテーブルを作成することができる。該テーブルを用いて、或る圧延条件に用いるべき影響係数を求めることができる。
なお、影響係数を設定するための具体的な方法は、上記例示した方法に限定されない。公知の手法を部分的に変更して、または応用して用いてよい。
伸び率差ε,ε、中間ロールベンダー力x、および中間ロールシフト位置xが前記式(3),(4)で示される関係にあり、=0、=−0.5として、影響係数c、cを算出する方法の一例について説明すれば以下のとおりである。
中間ロールベンダー力xを3条件(−100kN,0kN,100kN)とし、中間ロールシフト位置xを3条件(0mm,25mm,100mm)として、それぞれ設定値を選んだ。そして、圧延条件として、板幅1000mm、圧延荷重5000kNと仮定する。圧延条件(板幅とそれに応じた圧延荷重)ごとに実験またはシミュレーションを行い、その結果得られた伸び率差ε,εを用いて影響係数c、cを算出する。このときの設定値と得られた伸び率差とを一覧する表を図21に示す。
図21に示す結果に対して重回帰分析(最小自乗法)を行いcを求めることができる。(−114+100・―0・c)^2+(−94+100・―5・c)^2+(−74+100・―10・c)^2+(−14−0・―0・c)^2+(6−0・―5・c)^2+(26−0・―10・c)^2+(86−100・―0・c)^2+(106−100・―5・c)^2+(126−100・―10・c)^2は、=1,=4,c=−14のときに最小値0となる。よって、この場合の影響係数は=1,=4,c=−14と求まる。
同様に、cを求めることができる。(−101+100・―0・c)^2+(−86+100・―5・c)^2+(−71+100・―10・c)^2+(−1−0・―0・c)^2+(14−0・―5・c)^2+(29−0・―10・c)^2+(99−100・―0・c)^2+(114−100・―5・c)^2+(129−100・―10・c)^2は、=1,=3,c=−1のときに最小値0となる。よって、この場合の影響係数は=1,=3,c=−1と求まる。
また、上記影響係数は、本発明者らが新たに見出した関数(近似式)を用いて算出されることが好ましい。この新規な関数については実施形態5として後述する。
このように、本発明の一態様における形状制御方法は、以下の(i)数式決定工程および(ii)制御工程を含む。
(i)数式決定工程:数式モデルに基づいて、多段圧延機が備える形状制御機構の制御量を変数とし、圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値を表す数式を決定する。上記数式モデルは、形状制御機構の制御量の影響項が、形状制御機構の制御量を底とする関数を掛け合わせた形にて表されている。影響係数は、圧延条件に応じて設定する。
(ii)制御工程:前記数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御する。
上記の構成によれば、多段圧延機が有する形状制御機構の種類に関わらず適用可能な汎用性の高い数式モデルに基づいて決定した数式を用いて、多段圧延機の形状制御機構を制御して圧延材を良好な圧延形状とする圧延材の形状制御を実現することができる。
また、本発明の一態様における形状制御方法は、形状検出器の出力信号に基づく制御を行う。この場合、形状検出器7の検出結果に基づいて算出した圧延材8の圧延後の実際の圧延形状を特定する実測値を算出する形状算出工程を含む。上記実測値(例えば、εmeεme)は、形状評価値(εε)に対応して算出される。
〔実施形態2〕
本発明で提案する数式モデルは、前記実施形態1にて説明した数式モデルを一般化して表すことができる。具体的には、下式のとおり表すことができる。
Figure 0006382432
上記式において、
ε:(i)板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する伸び率差の値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値
n:1〜mの整数であって、対応する板幅方向の複数箇所の位置または上記関数を識別する番号
m:形状評価に用いる板幅方向の位置および関数の合計数
:形状制御機構の制御量
p:1〜kの整数であって、対応する形状制御機構を識別する番号
k:圧延機が有する形状制御機構の総数
c:影響係数
:形状制御機構の制御量に係る指数
である。
なお、は、pが同じ場合、nによってそれぞれ異なる値としてもかまわない。ただし、は、制御量を算出する際の簡便性を考慮すると、pが同じ場合、nが異なってもそれぞれ同じ値であることが望ましい。
また、上式の数式モデルにおいて、x・|x|^()の各項のいずれかが0・|0|^0となった場合、その値は0・|0|^0=0・1=0として扱う。
また、上式の数式モデルにおいて、圧延機の構造又は設備仕様などで決定されるk(形状制御機構の総数)に対して、m(形状の評価値の総数)はm≦kとなることが望ましく、m=kであることが更に望ましい。
上記のような数式モデルに基づいて数式を予め作成(決定)する(数式決定工程)。そして、前記伸び率差εがそれぞれの目標値εに一致するように前記形状制御機構の制御量を算出し、設定する(制御工程)。これにより、汎用性の高い数式モデルに基づいて決定した数式を用いて、多段圧延機の形状制御機構を制御して圧延材を良好な圧延形状とする圧延材の形状制御を実現することができる。
また、圧延機出側に配置された形状検出器7の出力信号に基づく形状制御に関しては、一般化して下式のとおり表すことができる。
Figure 0006382432
上記式において、
εme:形状検出器で測定された、(i)板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する伸び率差の値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値(実測値)
n:1〜mの整数であって、対応する板幅方向の複数箇所の位置または上記関数を識別する番号
m:形状評価に用いる板幅方向の位置および関数の合計
ε:(i)板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する伸び率差の値の目標値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値の目標値
Δε:(i)板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する伸び率差の値の補正量、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値の補正量
:形状制御機構の制御量
Δx:形状制御機構の制御量の補正量
p:1〜kの整数であって、対応する形状制御機構を識別する番号
k:圧延機が有する形状制御機構の総数
:影響係数
:形状制御機構の制御量に係る指数
である。
なお、は、pが同じ場合、nによってそれぞれ異なる値としてもかまわない。ただし、は、制御量を算出する際の簡便性を考慮すると、pが同じ場合、nが異なってもそれぞれ同じ値であることが望ましい。
また、上式の数式モデルにおいて、x・|x|^()、または、(x+Δx)・|x+Δx|^()各項のいずれかが0・|0|^0となった場合、その値は0・|0|^0=0・1=0として扱う。
また、上式の数式モデルにおいて、圧延機の構造又は設備仕様などで決定されるk(形状制御機構の総数)に対して、m(形状の評価値の総数)はm≦kとなることが望ましく、m=kであることが更に望ましい。
上記式(9)および式(10)のいずれの数式モデルにおいても、εは、nの値が異なるそれぞれが、互いに異なる基準にて圧延材の板形状を評価する形状評価値である。換言すれば、εは、nの値が異なるそれぞれが、伸び率差の値そのもので表されてよく、伸び率差を変数とする関数(例えば伸び率差の平均値)で表されてよい。
形状評価値を関数で表す場合、伸び率差の値そのもので表す場合よりも、εにおけるnの最大値(mの値)を減らすことができる、すなわち数式の数を減らすことができる。つまり、m≦kとすることができる。それにより、形状制御機構の制御量を求めるための演算が比較的容易となる。
上記のような数式モデルに基づいて数式を予め作成(決定)する(数式決定工程)。また、圧延機出側に配置された形状検出器で、圧延中の圧延材形状を連続的に測定する。この測定値または測定値を変数として用いた関数から求まる値を前記数式に代入する(形状算出工程)。形状評価値εがそれぞれの目標値εに一致するように、前記形状制御機構の制御量の補正量を算出し、設定する(制御工程)。これにより、汎用性の高い数式モデルに基づいて決定した数式を用いて、多段圧延機の形状制御機構を制御して圧延材を良好な圧延形状とする圧延材の形状制御を実現することができる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
本実施形態では、前記実施形態1にて説明した形状制御方法(数式モデルを用いたプリセット制御)に基づいて、多段圧延機が備える形状制御機構を制御量するための値を算出する、本発明の一態様における演算装置について説明する。
(本発明の一態様における演算装置の構成)
本発明の一態様における演算装置について、図5および図6に基づいて以下に説明する。図5は、6段圧延機1が含むプロセスコンピュータ6の概略的な構成を示すブロック図である。
本発明の一態様における演算装置は、例えば前記6段圧延機1が含むプロセスコンピュータ6の一機能として実現することができる。なお、本発明の一態様における演算装置は、プロセスコンピュータ6とは異なるコンピュータ(例えば、上位コンピュータ5)を用いて実現されてよく、ハードウェアは特に限定されない。
図5に示すように、プロセスコンピュータ6は、制御部20および記憶部30を備えている。この制御部20には、プロセスコンピュータ6の外部に設けられた上位コンピュータ5、形状検出器7、および形状制御機構40が接続されている。
上位コンピュータ5は荷重算出部5cを備えている。本実施の形態における形状制御機構40は、ロールベンダー3としての中間ロールベンダー、および中間ロールシフト機構2である。
制御部20は、影響係数設定部21、伸び率差算出部22(第2算出部)、主演算部23(第1算出部)、および機構制御部24を備えている。記憶部30は、所定係数データ31および制御パラメータ32を格納している。
制御部20は、プロセスコンピュータ6全体の動作を制御する、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部20が備える各部は、例えばCPUによって動作するソフトウェアとして実現されてよい。
制御部20における、影響係数設定部21、伸び率差算出部22、主演算部23、および機構制御部24の詳細な説明は、プロセスコンピュータ6が実行する、形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する処理の流れの一例の説明と合わせて後述する。
記憶部30は、制御部20において用いられる各種データを記憶する不揮発性の記憶装置(例えばハードディスク、フラッシュメモリ等)である。
所定係数データ31は、本発明の一態様における数式モデルが含む影響係数を、各種圧延条件に対応付けてテーブル設定したデータである。または、所定係数データ31は、影響係数を所定の関数を用いて算出するために用いられる係数を格納したデータである。後者の場合、所定係数データ31は、以下のようなデータであってよい。すなわち、該所定係数データ31に格納された係数に基づいて、影響係数設定部21が、上位コンピュータ5に入力された圧延条件に対応する影響係数を設定(算出)することができるようなデータであればよい。所定係数データ31に格納された係数は、圧延機が対応可能な圧延材の品種の範囲に応じて予め設定されてよい。
なお、本発明の一態様における数式モデルが含む指数は、圧延機毎に予め設定されてよい。
制御パラメータ32は、各種の圧延条件(ワークロール9の回転速度、ワークロール9の径、摩擦係数、板幅、入出側板厚、平均入出側張力、圧延材8の変形抵抗等)を含む。また、制御パラメータ32は、6段圧延機1による圧延後に目標とする圧延材8の圧延形状を規定する圧延形状目標値(形状評価値の目標値)を含む。例えば、圧延後の圧延形状が平坦(板幅方向の各場所で伸び率差が0)であることを目標とすれば、圧延形状目標値としての伸び率差の目標値は0である。
ここで、前記目標値は、圧延材8の所望の圧延形状に応じて、種々設定されてよい。例えば、圧延材8の圧延形状として、中伸び不可または耳伸び不可といった要求がある場合がある。例えば、中伸び不可の場合には、目標とする圧延形状が少し耳伸びとなるように、目標値を設定してよい。このことは、以降の説明においても同様である。
この制御パラメータ32は、上位コンピュータ5の入力部5bを介してユーザによって入力され、荷重算出部5cによる圧延荷重の算出にも用いられる。
(処理の流れ)
上記のような本発明の一態様における演算装置としてのプロセスコンピュータ6が実行する、プリセット制御における処理の流れの一例を、図6を用いて説明する。図5は、プリセット制御における、本実施の形態のプロセスコンピュータ6が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。プリセット制御とは、圧延開始前における形状制御機構の制御量の初期設定を意味する。ここでは、説明の理解を容易にするために、6段圧延機1は、中間ロールシフト機構2、およびロールベンダー3としての中間ロールベンダーを用いて圧延形状を制御することとする。なお、6段圧延機1は、その他の形状制御機構40を備えていてもよいが、その他の形状制御機構40については、機構制御部24が制御の対象としない、または制御量が所定値に固定されているものとする。
ここで、上位コンピュータ5には予め圧延条件(ワークロールの回転速度、ワークロール径、摩擦係数、板幅、入出側板厚、平均入出側張力、圧延材の変形抵抗等)が入力されている。
先ず、荷重算出部5cが、圧延荷重式に従って圧延荷重Pを算出し、下記式(A)に板幅Wを代入して単位幅荷重pを算出する。
p=P/W (A)。
なお、圧延荷重Pは、予め入力された圧延条件から、公知の圧延荷重式を用いて予測される荷重であり、ドライプサイドの荷重とワークサイドの荷重との和である。
圧延荷重Pは、圧延前後における板厚の変動、圧延材に与えられる張力、および材料の変形抵抗(鋼種)等に応じて定まる。例えば、鋼種NCH780の鋼板について、公知の圧延荷重式を用いて、6パスの圧延を行う場合の圧延荷重を算出した一例を表3に示す。なお、圧延荷重式については、公知の技術であるので、詳細な説明を省略する。
Figure 0006382432
このように、公知の圧延荷重式を用いて、所定の板厚、板幅、および材料の変形抵抗の条件における圧延荷重Pを算出することができる。
なお、単位幅荷重pを算出する上位コンピュータ5も本発明の演算装置であると見なしてもよい。また、上位コンピュータ5の代わりにプロセスコンピュータ6が単位幅荷重pを算出してもよい。
図6に示すように、圧延開始前において、影響係数設定部21が、前記数式モデルに用いられる各種の影響係数を、制御パラメータ32(圧延条件)および所定係数データ31に基づいて設定する(ステップ11;以下S11のように略記する)(影響係数設定工程)。
具体的には、(i)影響係数設定部21は、所定係数データ31に格納された、種々の圧延条件に対応付けられた各種の影響係数から、制御パラメータ32(圧延条件)に対応する影響係数を取得する、または、(ii)影響係数が種々の圧延条件の関数として数式化されており、影響係数設定部21は、この数式に、所定係数データ31に格納された係数を代入して影響係数を算出する。
影響係数の設定がなされると、主演算部23が、設定された影響係数を前記数式モデルに代入する。そして、主演算部23は、形状評価値の目標値をそれぞれ設定する(数式決定工程)。この目標値は予め定められており、記憶部30に格納されている。或いは、目標値は、制御パラメータ32に含まれてよい。
続いて、主演算部23は、得られた数式に基づいて、形状制御機構40のプリセットする制御量を算出する。つまり、中間ロールシフト機構2、および中間ロールベンダーの制御量を算出する(S12)(算出工程)。
その後、機構制御部24は、ロールベンダー3としての中間ロールベンダーが発生させるベンダー力(ベンディング力)が、S12にて算出された中間ロールベンダー力と一致するように前記中間ロールベンダーを制御する。また、機構制御部24は、中間ロールシフト機構2を、中間ロール10が、S12にて算出された中間ロールシフト位置に位置するように中間ロールシフト機構2を制御する(S13)。
上記の演算方法により、中間ロールベンダーおよび中間ロールシフト機構2を形状制御機構40とする6段圧延機1(多段圧延機)において、良好な圧延形状が得られるように、圧延開始前に、形状制御機構40をそれぞれ制御するための値を算出することができる。そして算出した制御量に基づいて形状制御機構40を制御することにより、6段圧延機1による圧延後の圧延材8を、良好な圧延形状とすることができる。
また、6段圧延機1としてのゼンジミア6ZHi型圧延機を、ワークロールベンダーを有する4段圧延機として利用する場合においても、同様である。すなわち、上記の演算方法により、良好な圧延形状が得られるように、圧延開始前に、形状制御機構40としてのワークロールベンダーをそれぞれ制御するための値を算出することができる。
〔実施形態4〕
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施形態3と同じである。また、説明の便宜上、前記実施形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態3の演算装置では、圧延開始前における形状制御機構の制御量の初期設定(プリセット制御)において、中間ロールシフト機構2を含む形状制御機構40を制御するための値を算出していた。これに対して、本実施の形態の演算装置では、圧延中(稼働中の圧延ライン)において、圧延後の圧延材8の圧延形状を、形状検出器7を用いて測定した測定結果に基づいて、中間ロールシフト機構2を含む形状制御機構40の制御量の補正を行うための補正値を算出する点が異なっている。
6段圧延機1が備える形状制御機構40は、ロールベンダー3としての中間ロールベンダー、および中間ロールシフト機構2であるとする。
本実施の形態における演算装置としてのプロセスコンピュータ6が実行する、圧延中における処理の流れの一例を、図7を用いて説明する。図7は、圧延中における、本実施の形態のプロセスコンピュータ6が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、6段圧延機1の装置構成は図5と同様である。
図7に示すように、圧延中において、先ず、前記S11と同様に、影響係数設定部21が、前記数式モデルに用いられる各種の影響係数を、制御パラメータ32(圧延条件)および所定係数データ31に基づいて設定する(S21)(影響係数設定工程)。このとき、影響係数を算出するために単位幅荷重pを用いる場合には、上位コンピュータ5において、圧延開始前に算出された単位幅荷重pを用いればよい。予め入力された圧延条件の一部(ワークロールの回転速度、平均入出側張力など)は、圧延中に変動することがあり、それに伴って圧延荷重Pおよび単位幅荷重pも変動し得るが、その変動の影響は小さいため考慮しないこととしている。
圧延中に、形状検出器7は、圧延材8の形状を検出して、当該形状を示す検出信号を伸び率差算出部22に送信する。伸び率差算出部22は、形状検出器7の検出結果に基づいて、圧延材8の複数箇所間の実際の伸び率差を算出する。具体的には、伸び率差算出部22は、形状検出器7から出力された検出信号を用いて、板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差、およびクオータ部における伸び率と板幅中央における伸び率との差を算出する。
一方、主演算部23は、S21にて設定した影響係数を前記数式モデルに代入する。そして、主演算部23は、形状評価値の目標値をそれぞれ設定する。この目標値は予め定められており、記憶部30に格納されている。或いは、目標値は、制御パラメータ32に含まれてよい。
そして、主演算部23は、得られた数式に基づいて、中間ロールベンダー力の変化量および中間ロールシフト位置の変化量を算出する(S22)(制御量算出工程)。つまり、主演算部23は、伸び率差算出部22が算出した実際の伸び率差と目標値との差が減少するように、中間ロールベンダー力の変化量および中間ロールシフト位置の変化量を算出する。
中間ロールベンダー力の変化量は、中間ロールベンダーの補正前後のベンディング力の差に相当する。また、中間ロールシフト位置の変化量は、中間ロールシフト機構2の補正前後の中間ロール10の位置の差に相当する。
続いて、機構制御部24が、算出した変化量に一致するように、中間ロールベンダー力、および中間ロールシフト位置を変化させる(S23)。
上記のような演算方法により、中間ロールベンダーおよび中間ロールシフト機構2を形状制御機構40とする6段圧延機1(多段圧延機)において、良好な圧延形状が得られるように、圧延中に、形状制御機構40の制御量をそれぞれ補正するための補正値を算出することができる。そして算出した補正値に基づいて形状制御機構40を制御することにより、6段圧延機1による圧延後の圧延材8を、良好な圧延形状とすることができる。
また、6段圧延機1としてのゼンジミア6ZHi型圧延機を、ワークロールベンダーを有する4段圧延機として利用する場合においても、同様である。すなわち、上記の演算方法により、良好な圧延形状が得られるように、圧延中に、形状制御機構40としてのワークロールベンダーの制御量を補正するための補正値を算出することができる。
〔実施形態5〕
以下、本発明のさらに他の実施形態について説明する。
前記実施の形態1〜4では、数式モデルにおける影響係数を、公知の手法を用いて設定していた。これに対して、本実施の形態では、本発明者らが新規に見出した、高精度に影響係数を近似することができる影響係数の近似式を用いて影響係数を設定する。
本発明者らは、前述の数式モデルを用いて圧延形状を制御する場合に、良好な圧延形状が得られるように影響係数を高精度に近似する方法を種々調査検討した。その結果、影響係数を単位幅荷重(圧延材の単位幅に加えられる荷重)および板幅の関数で表すと、高精度に影響係数を近似できることを見出した。この新たな知見について順に説明する。
ここで、本実施形態では、本発明の一態様における影響係数の設定について理解を容易にするために、数式を以下のように表すこととする。すなわち、前記実施形態1にて示した式(3)および(4)にて表される数式モデル(圧延形状予測式)に基づいて決定した、下記の式(11)および式(12)を例として説明する。
εe=ae・Fi+be・√δ+ce (11)
εq=aq・Fi+bq・√δ+cq (12)。
上記式において、
εe:板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)
εq:クオータ部における伸び率と板幅中央における伸び率との差(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)
Fi:中間ロールベンダー力
δ:中間ロールシフト位置
ae、be、ce、aq、bq、cq:影響係数
である。
なお、以下では、式(11)を板端部に関する制御式、式(12)をクオータ部に関する制御式と称することがある。
前記実施形態1において図2に示したように、中間ロールシフト位置を固定したときの伸び率差の平均値ε(すなわちεe)およびε(すなわちεq)は、それぞれ中間ロールベンダー力と線形関係にある。この図2の線形関係における傾きが上記中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeおよび影響係数aqである。ここで、影響係数aeは前述の式(3)における影響係数に対応し、影響係数beは前述の式(4)における影響係数に対応する。
また、前記実施形態1において図4に示したように、中間ロールベンダー力を固定したときの伸び率差の平均値ε(すなわちεe)およびε(すなわちεq)と、中間ロールシフト位置との関係は、√曲線でほぼ近似できる。この図4の関係における係数が、中間ロールシフト位置δの影響係数beおよび影響係数bqである。ここで、影響係数beは前述の式(3)における影響係数に対応し、影響係数bqは前述の式(4)における影響係数に対応する。
ここで、上記図2および図4に示す各プロットは、形状予測の解析プログラムを用いて算出される。形状予測の解析プログラムを用いて、図2および図4の各プロットを算出することにより、或る圧延条件下での影響係数ae、aq、be、bqを求めることができる。なお、影響係数の算出に用いられるプロットの数は4個以上とすることが好ましい。これは、各プロットを通過するように描いた(或いは、各プロットについて最小二乗近似した)直線または曲線に基づいて、影響係数の値をより正確に求めるためである。
また、前記式(11)および(12)において、中間ロールベンダー力Fiおよび中間ロールシフト位置δをいずれも0として、形状予測の解析プログラムを用いることにより、所定の圧延条件における影響係数ce、cqを求めることができる。或いは、影響係数ce、cqは、実施形態1にて前述した影響係数の求め方(A)〜(D)の手順を行う中でae,aq,be,bqと合わせて求めることもできる。
上記の演算は、演算の前提となる所定の圧延条件の下で行うことになる。例えば、圧延荷重(単位幅荷重)が変化すれば、それに応じて影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqも変化することになる。
従来、前記式(11)および(12)の数式に用いられる、影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを高精度に近似する方法は知られていなかった。そこで、本発明者らは、影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを高精度に近似する方法を種々調査検討した結果、以下のような知見を得た。
例えば、板厚0.8mm〜4.0mm、板幅850mm〜1050mm、材料の変形抵抗700N/mm〜1200N/mmの範囲において、板端部に関する制御式(11)における中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeを形状予測の数値解析により求めた結果を図8に示す。図8は、中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフである。
具体的には、図8に示すプロットは、以下のようにして求める。先ず、板厚、板幅、および材料の変形抵抗の上記範囲内における或る条件に基づいて、公知の圧延荷重式を用いて、圧延荷重を求める。算出した圧延荷重を板幅(例えば1050mm)で除算することにより、単位幅荷重を算出する。
そして、或る板幅および単位幅荷重の条件において、形状予測の数値解析プログラムを用いて、図2における伸び率差εとして示したようなプロットを算出することができる。その結果、直線の傾きとしての影響係数aeを求めることができる。これらの手順を、或る圧延ラインの圧延機が対応可能な範囲の圧延材の品種(板幅、板厚、変形抵抗)について行うことにより、図8に示す各プロットを算出することができる。
すなわち、形状予測の解析プログラムを用いて、板厚、板幅、および材料の変形抵抗を上記の範囲で変化させて解析を行い、それぞれの条件で影響係数ae(中間ロールベンダー力Fiを変化させて解析したときの、中間ロールベンダー力Fiの制御量と伸び率差εeとの線形関係における傾き)を算出する。これにより、図8に示すように、板幅Wおよび単位幅荷重pが、影響係数aeに及ぼす影響について整理できる。例えば、所定の前提条件のもとで、板幅が1050mm、単位幅荷重が約6300N/mmの条件にて求めた影響係数A1は約−0.3Iunit/kNであった。これは図8に示す18個のプロットのうち、右端下段の四角形のプロットに対応する。
ここで、板厚、板幅、および材料の変形抵抗は圧延材の形状に影響するが、その影響のほとんどは圧延荷重分布を介したロール撓みの変化によって生じる。また、圧延荷重のワークロール9への作用領域は、板幅に依存して変化する。
したがって、本発明者らは、板端部に関する制御式(11)における中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeは、単位幅荷重pと板幅Wで整理できるのではないかと考えた。また、図8に示すように、同じ板幅の場合、単位幅荷重pの増加とともに、中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeの絶対値は減少し、単位幅荷重pの大きいところでは単位幅荷重pが影響係数aeに及ぼす影響が小さいことがわかった。そして、板幅Wが増加するにつれて中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeは減少する。このことから、板幅Wの影響度に単位幅荷重pが影響するという新たな知見も得た。
そこで、本発明者らは、中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeを高精度に近似する式を探索し、下記の式(13)を用いることによって、影響係数aeを高精度に近似することができることを見出した。
ae=ae・(1/p)+ae・(W/p)+ae (13)
上記式において、
ae:板端部に関する制御式における中間ロールベンダー力Fiの影響係数
p:単位幅荷重
W:板幅
ae、ae、ae:影響係数aeの近似式における係数
である。
図8に示すデータについて、前記式(13)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各係数は表4に示すようになり、高い相関関係が得られた。この重回帰分析については、数値解析における一般的な手法であるので、ここでは説明を省略する。
Figure 0006382432
同様に、板厚0.8mm〜4.0mm、板幅850mm〜1050mm、材料の変形抵抗700N/mm〜1200N/mmの範囲において、板端部に関する制御式(11)における中間ロールシフト位置δの平方根の影響係数beを形状予測の数値解析により求めた結果を図9に示す。この形状予測の数値解析も、形状予測の解析プログラムを用いて行うことができる。ここで、板厚、板幅、および材料の変形抵抗は圧延材の形状に影響するが、その影響のほとんどは圧延荷重分布を介したロール撓みの変化によって生じる。また、圧延荷重のワークロール9への作用領域は、板幅に依存して変化する。
したがって、本発明者らは、板端部に関する制御式(11)における中間ロールシフト位置δの平方根の影響係数beについても同様に、単位幅荷重pと板幅Wで整理できると考えた。また、図9に示すように、同じ板幅の場合、単位幅荷重pの増加とともに、影響係数beの絶対値は減少する傾向にあり、単位幅荷重pの大きいところでは単位幅荷重pが影響係数beに及ぼす影響が小さいことがわかった。そして、板幅Wが増加するにつれて影響係数beは減少し、板幅Wの影響度に単位幅荷重pが影響する。
このことから、上記した中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeと同様に、中間ロールシフト位置δの平方根の影響係数beについても、下記の式(14)を用いることによって高精度に近似することができることを見出した。
be=be・(1/p)+be・(W/p)+be (14)
上記式において、
be:板端部に関する制御式における中間ロールシフト位置δの影響係数
p:単位幅荷重
W:板幅
be、be、be:影響係数beの近似式における係数
である。
図9に示すデータについて、前記式(14)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各係数は表5に示すようになり、高い相関関係が得られた。なお、影響係数の単位は、前記式(11)における中間ロールシフト位置δの平方根の影響項として適切なものとなるように設定されている。
Figure 0006382432
そして、板厚0.8mm〜4.0mm、板幅850mm〜1050mm、材料の変形抵抗700N/mm〜1200N/mmの範囲において、板端部に関する制御式(1)における中間ロールベンダー力Fiおよび中間ロールシフト位置δに0を代入した結果を図10に示す。具体的には、板幅条件を3水準(850mm、950mm、1050mm)変更するとともに、それぞれの板幅条件において6つの単位幅荷重条件について影響係数ceを算出した。
本発明者らは、影響係数ceについても前記影響係数aeおよび影響係数beと同様に、単位幅荷重pと板幅Wで整理できるのではないかと考えた。そして、影響係数ceについても、下記の式(15)を用いることによって高精度に近似することができることを見出した。
ce=ce・(1/p)+ce・(W/p)+ce (15)
上記式において、
ce:板端部に関する制御式における影響係数
p:単位幅荷重
W:板幅
ce、ce、ce:影響係数ceの近似式における係数
である。
図10に示すデータについて、前記式(15)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各係数は表6に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
以上に説明したことと同様に、板厚0.8mm〜4.0mm、板幅850mm〜1050mm、材料の変形抵抗700N/mm〜1200N/mmの範囲において、クオータ部に関する制御式(12)における影響係数aq、bq、cqを形状予測の数値解析により求めた結果を図11の(a)〜(c)に示す。
そして、本発明者らは、下記の式(16)〜(18)を用いることによって、影響係数aq、bq、cqを高精度に近似することができることを見出した。
aq=aq・(1/p)+aq・(W/p)+aq (16)
bq=bq・(1/p)+bq・(W/p)+bq (17)
cq=cq・(1/p)+cq・(W/p)+cq (18)
上記式において、
aq:クオータ部に関する制御式における中間ロールベンダー力Fiの影響係数
bq:クオータ部に関する制御式における中間ロールシフト位置δの影響係数
cq:クオータ部に関する制御式における影響係数
p:単位幅荷重
W:板幅
aq、aq、aq:影響係数aqの近似式における係数
bq、bq、bq:影響係数bqの近似式における係数
cq、cq、cq:影響係数cqの近似式における係数
である。
図11の(a)に示すデータについて、前記式(16)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各係数は表7に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
図11の(b)に示すデータについて、前記式(17)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各係数は表8に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
図11の(c)に示すデータについて、前記式(18)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各係数は表9に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
以上のように、式(13)〜式(18)を用いて、高精度に影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを近似することができ、近似した影響係数を用いて高精度な形状制御を行うことができる。具体的には、形状解析モデルを用いて、板厚、板幅、および材料の変形抵抗を広範囲に変化させて解析を行い、それぞれの条件で影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを算出する。これにより、図8〜図11に示すように、板幅Wと単位幅荷重pが、影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqに及ぼす影響について整理できる。そして、影響係数をそれぞれ式(13)〜式(18)で表したときの係数を、それぞれ重回帰分析により求める。
この近似式係数は、或る圧延ラインにおける、対応可能な圧延材の品種(板幅、板厚、変形抵抗)の範囲に対応して、予め求めることができる。この範囲(操業条件)は、様々な条件に応じて設定され得るが、例えば、重回帰分析を行った結果として高い相関係数が得られるような範囲に操業条件を区分して設定されてもよい。この相関係数の値としては、0.9以上であればよく、好ましくは0.95以上である。相関係数が0.9以上であれば、該近似式係数を含む影響係数の近似式は、実用に供することが充分に可能である。
或る圧延ラインにおいて、圧延材の品種が変化すれば、それに対応して圧延機における圧延条件も変化する。また、圧延材に与えられる単位幅荷重は適宜変動し得る。圧延機が対応可能な圧延材の品種(板幅、板厚、変形抵抗)の範囲に対応して、影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを算出することができればよい。
予め求めた近似式の係数を代入して、式(13)〜(16)で表される近似式を用いることにより、或る単位幅荷重pおよび板幅Wにおける影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを算出することができる。
これにより、例えば、図8〜図11に示すような複数のプロットの間の単位幅荷重pおよび板幅Wの条件における影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを高精度に近似して求めることができる。
そして、求めた影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを用いて、式(11)および(12)に基づいて、中間ロールベンダー力Fiおよび中間ロールシフト位置δの制御量を制御することにより、形状制御を高精度に行うことができ、良好な圧延形状が得られる。
(変形例)
6段圧延機が対象とする板幅の範囲が、前記実施形態5とは異なる変形例について、以下に説明する。具体的には、本変形例の6段圧延機では、対象とする圧延材の板幅の範囲が、板幅1050mm〜1250mmまたは板幅650mm〜850mmの範囲である。板厚および材料の変形抵抗の範囲はそのままであるとする。
以下では、板幅の範囲が、板幅1050mm〜1250mmである場合を条件A、板幅650mm〜850mmである場合を条件Bとして説明する。
前記実施形態5にて説明したことと同様にして、形状予測の解析プログラムを用いて、条件Aおよび条件Bのそれぞれについて、板厚、板幅、および材料の変形抵抗を上記の範囲で変化させて解析を行い、影響係数aeを算出した。
図12は、板端部に関する制御式(11)の中間ロールベンダー力Fiの影響係数aeに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。
図12の(a)、(b)に示すデータについて、前記式(13)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各近似式係数は表10に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
以下、同様にして、形状予測の解析プログラムを用いて、板厚、板幅、および材料の変形抵抗を上記の範囲で変化させて解析を行い、それぞれの条件で影響係数be、ce、aq、bq、cqを算出した。結果を順に示す。
図13は、板端部に関する制御式(11)の中間ロールシフト位置δの平方根の影響係数beに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。
図13の(a)、(b)に示すデータについて、前記式(14)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各近似式係数は表11に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
図14は、板端部に関する制御式(11)の影響係数ceに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。
図14の(a)、(b)に示すデータについて、前記式(15)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各近似式係数は表12に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
図15は、クオータ部に関する制御式(12)の影響係数aqに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。
図15の(a)、(b)に示すデータについて、前記式(16)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各近似式係数は表13に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
図16は、クオータ部に関する制御式(12)の影響係数bqに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。
図16に示すデータについて、前記式(17)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各近似式係数は表14に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
図17は、クオータ部に関する制御式(12)の影響係数cqに及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフであり、(a)は条件Aの場合、(b)は条件Bの場合について示している。
図17に示すデータについて、前記式(18)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各近似式係数は表15に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 0006382432
本変形例の6段圧延機の操業条件である条件A、条件Bにおいて、表8〜表13に示す近似式係数を代入して、前記式(13)〜式(18)で表される近似式を用いることにより、或る単位幅荷重pおよび板幅Wにおける影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを高精度に近似して求めることができる。
そして、求めた影響係数ae、aq、be、bq、ce、cqを用いて、前記式(11)および(12)に基づいて、中間ロールベンダー力Fiおよび中間ロールシフト位置δの制御量を制御することにより、形状制御を高精度に行うことができ、良好な圧延形状を得ることができる。
〔実施例〕
中間ロールシフト機構2、およびロールベンダー3としての中間ロールベンダーを用いて圧延形状の制御を行う際に、本発明を適用した例を説明する。なお、板端部を板端から50mmの位置、クオータ部を板幅中央から板端部までの距離の70%の位置とした。
影響係数設定部21は、前記式(3)、(4)、(6)、および(7)に用いられる影響係数(c、c)を、それぞれ下記式(19)〜(24)を用いて算出した。式(19)〜(24)はそれぞれ、上記式(13)〜(18)に対応している。影響係数は、単位幅荷重と板幅との関数として近似することができる。
=ae・(1/p)+ae・(W/p)+ae (19)
=be・(1/p)+be・(W/p)+be (20)
c=ce・(1/p)+ce・(W/p)+ce (21)
=aq・(1/p)+aq・(W/p)+aq (22)
=bq・(1/p)+bq・(W/p)+bq (23)
c=cq・(1/p)+cq・(W/p)+cq (24)
上記式において、係数ae、ae、ae、be、be、be、ce、ce、ce、aq、aq、aq、bq、bq、bq、cq、cq、cqは、所定係数データ31に含まれている係数である。
また、前記式(3)、(4)、(6)、および(7)に用いられる指数は、前記実施形態1にて求めた値と同様に、=0とし、=−0.5とした。この結果、前記式(11)および(12)と同様の式となった。
圧延開始前における中間ロールベンダーおよび中間ロールシフト機構2の初期設定においては、前記式(3)および(4)に示した圧延形状予測式を用い、伸び率差εおよびεがそれぞれの目標値εおよびεに一致するように中間ロールベンダー力xと中間ロールシフト位置xを算出し、設定する。
また、圧延中では、形状検出器7で圧延材8の圧延形状を連続的に測定し、得られた測定値εmeεmeを式(6)および(7)に示した圧延形状予測式に代入し、伸び率差εおよびεがそれぞれの目標値εεに一致するように中間ロールベンダー力の補正量Δxと中間ロールシフト位置の平方根の補正量Δ(√x)を算出し、中間ロールベンダー力および中間ロールシフト位置を補正する。なお、圧延形状の非対称成分については、差荷重発生装置4により補正する。
このような制御を行うプロセスコンピュータ6を備える6段圧延機1を用いて、板厚0.8mm〜4.0mm、板幅850mm〜1050mm、材料の変形抵抗700N/mm〜1200N/mmの範囲で条件を変えて、50個の条件にて圧延を行った。
また、比較のため、伸び率差εおよびεと、中間ロールシフト位置xとの関係を線形関係で表した圧延形状予測式を用いて、上記と同様の範囲で条件を変えて、50個の条件にて圧延を行った。
本発明の一態様により、圧延形状予測式として前記式(3)、(4)、(6)、および(7)を用いて圧延形状を制御して圧延した場合の結果を、図18に示す。圧延された各鋼帯の板幅方向の各位置において算出した伸び率と、板幅中央における伸び率との差(ワークサイドとドライブサイドの平均値)について、目標値と実績値との差を算出した。図8には、この各位置のうち、絶対値が最大となる位置における目標値と実績値との差をプロットした。その結果、50個の条件にて圧延を行った全ての鋼帯について、目標値と実績値との差(絶対値)は25Iunit以内に収まっていた。
これに対して、従来法により、中間ロールシフト位置xとの関係を線形関係で表した圧延形状予測式を用いて圧延形状を制御して圧延した場合の結果を、図19に示す。圧延された各鋼帯の板幅方向の各位置において算出した伸び率と、板幅中央における伸び率との差(ワークサイドとドライブサイドの平均値)について、目標値と実績値との差を算出した。図19には、この各位置のうち、絶対値が最大となる位置における目標値と実績値との差をプロットした。その結果、50個の条件にて圧延を行った鋼帯の中には、目標値と実績値との差(絶対値)が35Iunit以上になるものもあった。
また、ゼンジミア6ZHi型圧延機を4段圧延機として利用する場合について、式(5)および(8)を用いて圧延形状を制御して圧延した場合の結果についても、形状制御機構を制御して圧延材を良好な圧延形状とすることができた。
〔ソフトウェアによる実現例〕
上位コンピュータ5およびプロセスコンピュータ6の制御ブロック(特に、荷重算出部5c、影響係数設定部21、伸び率差算出部22、主演算部23、および機構制御部24)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、上位コンピュータ5およびプロセスコンピュータ6は、各機能を実現するソフトウェアである情報処理プログラムの命令を実行するCPU、前記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1:6段圧延機(多段圧延機)
2:中間ロールシフト(形状制御機構)
3:ロールベンダー(中間ロールベンダー、ワークロールベンダー)(形状制御機構)
4:差荷重発生装置
5:上位コンピュータ
6:プロセスコンピュータ
7:形状検出器
8:圧延材
9:ワークロール
10:中間ロール
11:バックアップロール
22:伸び率差算出部(第2算出部)
23:主演算部(第1算出部)

Claims (8)

  1. 形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御する形状制御方法であって、
    数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量を変数とし、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値を表す数式を決定する数式決定工程と、
    前記数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御する制御工程と、を含み
    前記数式モデルは、下記式にて表され、
    Figure 0006382432
    上記式において、
    εは、(i)前記圧延材の板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する伸び率差の値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値、
    nは、1〜mの整数であって、対応する前記板幅方向の複数箇所の位置または前記関数を識別する番号、
    mは、前記圧延材の形状評価に用いる前記板幅方向の複数箇所の位置および前記関数の合計数、
    は、前記形状制御機構の制御量、
    pは、1〜kの整数であって、対応する前記形状制御機構を識別する番号、
    kは、前記多段圧延機が有する前記形状制御機構の総数、
    cは、影響係数、
    は、前記形状制御機構の制御量に係る指数であり、
    前記多段圧延機は第1の状態と第2の状態とに装置構造を変化可能であり、
    前記数式決定工程では、
    (i)前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて、前記多段圧延機の圧延条件を所定の範囲内で変化させた場合に演算または実験により求められる前記圧延材の圧延形状の評価値に基づいて、前記第1の状態と前記第2の状態とで共通して用いる前記指数を設定し、
    (ii)設定した前記指数が代入された前記数式モデルを用いて、前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて前記所定の範囲内の前記圧延条件にそれぞれ対応した前記影響係数の値を予め算出しておいて作成したテーブルまたは近似式に基づいて、前記圧延材に対して用いるべき前記影響係数を設定することにより、前記数式を決定することを特徴とする形状制御方法。
  2. 形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御する形状制御方法であって、
    前記多段圧延機は形状検出器をさらに備え、
    数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量および補正量を変数とする数式であって、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値と、前記形状検出器の検出結果に基づいて算出した前記圧延材の圧延後の実際の圧延形状を特定する実測値との差を表す数式を決定する数式決定工程と、
    前記形状検出器の検出結果に基づいて前記実測値を算出する形状算出工程と、
    前記数式を用いて前記圧延材の圧延形状の前記実測値が前記評価値に近づくように前記補正量を算出し、算出した補正量を用いて前記形状制御機構を制御する制御工程と、を含み、
    前記数式モデルは、下記式にて表され、
    Figure 0006382432
    ε me は、前記実測値であって、前記形状検出器で測定された、(i)板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する伸び率差の値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値、
    nは、1〜mの整数であって、対応する前記板幅方向の複数箇所の位置または前記関数を識別する番号、
    mは、前記圧延材の形状評価に用いる前記板幅方向の複数箇所の位置および前記関数の合計数、
    εは、(i)前記板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、前記板幅中央部に対する伸び率差の値の目標値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値の目標値、
    Δεは、(i)前記板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、前記板幅中央部に対する伸び率差の値の補正量、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値の補正量、
    は、前記形状制御機構の制御量、
    Δxは、前記形状制御機構の制御量の補正量、
    pは、1〜kの整数であって、対応する前記形状制御機構を識別する番号、
    kは、前記多段圧延機が有する前記形状制御機構の総数、
    は、影響係数、
    は、前記形状制御機構の制御量に係る指数であり
    前記多段圧延機は第1の状態と第2の状態とに装置構造を変化可能であり、
    前記数式決定工程では、
    (i)前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて、前記多段圧延機の圧延条件を所定の範囲内で変化させた場合に演算または実験により求められる前記圧延材の圧延形状の評価値に基づいて、前記第1の状態と前記第2の状態とで共通して用いる前記指数を設定し、
    (ii)設定した前記指数が代入された前記数式モデルを用いて、前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて前記所定の範囲内の前記圧延条件にそれぞれ対応した前記影響係数の値を予め算出しておいて作成したテーブルまたは近似式に基づいて、前記圧延材に対して用いるべき前記影響係数を設定することにより、前記数式を決定することを特徴とする形状制御方法。
  3. 形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する演算装置であって、
    数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量を変数とし、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値を表す数式を決定するとともに、該数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する算出部を備え、
    前記数式モデルは、下記式にて表され、
    Figure 0006382432
    上記式において、
    εは、(i)前記圧延材の板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する伸び率差の値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値、
    nは、1〜mの整数であって、対応する前記板幅方向の複数箇所の位置または前記関数を識別する番号、
    mは、前記圧延材の形状評価に用いる前記板幅方向の複数箇所の位置および前記関数の合計数、
    は、前記形状制御機構の制御量、
    pは、1〜kの整数であって、対応する前記形状制御機構を識別する番号、
    kは、前記多段圧延機が有する前記形状制御機構の総数、
    cは、影響係数、
    は、前記形状制御機構の制御量に係る指数であり、
    前記多段圧延機は第1の状態と第2の状態とに装置構造を変化可能であり、
    前記算出部は、
    (i)前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて、前記多段圧延機の圧延条件を所定の範囲内で変化させた場合に演算または実験により求められる前記圧延材の圧延形状の評価値に基づいて、前記第1の状態と前記第2の状態とで共通して用いる前記指数を設定し、
    (ii)設定した前記指数が代入された前記数式モデルを用いて、前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて前記所定の範囲内の前記圧延条件にそれぞれ対応した前記影響係数の値を予め算出しておいて作成したテーブルまたは近似式に基づいて、前記圧延材に対して用いるべき前記影響係数を設定することにより、前記数式を決定することを特徴とする演算装置。
  4. 形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する演算装置であって、
    前記多段圧延機にて圧延された後の前記圧延材の形状を検出する形状検出器の検出結果に基づいて、前記圧延材の板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する実際の伸び率差の値である第1実測値、または該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる第2実測値を算出する第2算出部と、
    数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量および補正量を変数とする数式であって、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値と、前記第1または第2実測値との差を表す数式を決定するとともに、該数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御するための前記形状制御機構の制御量の補正値を算出する第1算出部と、を備え、
    前記数式モデルは、下記式にて表され、
    Figure 0006382432
    ε me は、前記第1または第2実測値、
    nは、1〜mの整数であって、対応する前記板幅方向の複数箇所の位置または前記関数を識別する番号、
    mは、前記圧延材の形状評価に用いる前記板幅方向の複数箇所の位置および前記関数の合計数、
    ε は、(i)前記板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、前記板幅中央部に対する伸び率差の値の目標値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値の目標値、
    Δ εは、(i)前記板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、前記板幅中央部に対する伸び率差の値の補正量、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値の補正量、
    は、前記形状制御機構の制御量、
    Δx は、前記形状制御機構の制御量の補正量、
    pは、1〜kの整数であって、対応する前記形状制御機構を識別する番号、
    kは、前記多段圧延機が有する前記形状制御機構の総数、
    は、影響係数、
    は、前記形状制御機構の制御量に係る指数であり、
    前記多段圧延機は第1の状態と第2の状態とに装置構造を変化可能であり、
    前記第1算出部は、
    (i)前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて、前記多段圧延機の圧延条件を所定の範囲内で変化させた場合に演算または実験により求められる前記圧延材の圧延形状の評価値に基づいて、前記第1の状態と前記第2の状態とで共通して用いる前記指数を設定し、
    (ii)設定した前記指数が代入された前記数式モデルを用いて、前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて前記所定の範囲内の前記圧延条件にそれぞれ対応した前記影響係数の値を予め算出しておいて作成したテーブルまたは近似式に基づいて、前記圧延材に対して用いるべき前記影響係数を設定することにより、前記数式を決定することを特徴とする演算装置。
  5. 形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する演算装置における演算方法であって、
    数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量を変数とし、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値を表す数式を決定する数式決定工程と、
    前記数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する算出工程とを含み、
    前記数式モデルは、下記式にて表され、
    Figure 0006382432
    上記式において、
    εは、(i)前記圧延材の板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する伸び率差の値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値、
    nは、1〜mの整数であって、対応する前記板幅方向の複数箇所の位置または前記関数を識別する番号、
    mは、前記圧延材の形状評価に用いる前記板幅方向の複数箇所の位置および前記関数の合計数、
    は、前記形状制御機構の制御量、
    pは、1〜kの整数であって、対応する前記形状制御機構を識別する番号、
    kは、前記多段圧延機が有する前記形状制御機構の総数、
    cは、影響係数、
    は、前記形状制御機構の制御量に係る指数であり、
    前記多段圧延機は第1の状態と第2の状態とに装置構造を変化可能であり、
    前記算出工程では、
    (i)前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて、前記多段圧延機の圧延条件を所定の範囲内で変化させた場合に演算または実験により求められる前記圧延材の圧延形状の評価値に基づいて、前記第1の状態と前記第2の状態とで共通して用いる前記指数を設定し、
    (ii)設定した前記指数が代入された前記数式モデルを用いて、前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて前記所定の範囲内の前記圧延条件にそれぞれ対応した前記影響係数の値を予め算出しておいて作成したテーブルまたは近似式に基づいて、前記圧延材に対して用いるべき前記影響係数を設定することにより、前記数式を決定することを特徴とする演算方法
  6. 形状制御機構を少なくとも1種類備える多段圧延機の前記形状制御機構を制御して圧延材の圧延形状を制御するための値を算出する演算装置における演算方法であって、
    前記多段圧延機にて圧延された後の前記圧延材の形状を検出する形状検出器の検出結果に基づいて、前記圧延材の板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、板幅中央部に対する実際の伸び率差の値である第1実測値、または該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる第2実測値を算出する形状算出工程と、
    数式モデルに基づいて、前記形状制御機構の制御量および補正量を変数とする数式であって、前記圧延材の目標とする圧延形状を特定する評価値と前記第1または第2実測値との差を表す数式を決定するとともに、該数式を用いて前記圧延材の圧延形状を制御するための前記形状制御機構の制御量の補正値を算出する制御量算出工程と、を含み、
    前記数式モデルは、下記式にて表され、
    Figure 0006382432
    ε me は、前記第1または第2実測値、
    nは、1〜mの整数であって、対応する前記板幅方向の複数箇所の位置または前記関数を識別する番号、
    mは、前記圧延材の形状評価に用いる前記板幅方向の複数箇所の位置および前記関数の合計数、
    ε は、(i)前記板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、前記板幅中央部に対する伸び率差の値の目標値、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値の目標値、
    Δ εは、(i)前記板幅方向の複数箇所のそれぞれにおける、前記板幅中央部に対する伸び率差の値の補正量、または(ii)該伸び率差の値を変数として用いた関数から求まる値の補正量、
    は、前記形状制御機構の制御量、
    Δx は、前記形状制御機構の制御量の補正量、
    pは、1〜kの整数であって、対応する前記形状制御機構を識別する番号、
    kは、前記多段圧延機が有する前記形状制御機構の総数、
    は、影響係数、
    は、前記形状制御機構の制御量に係る指数であり、
    前記多段圧延機は第1の状態と第2の状態とに装置構造を変化可能であり、
    前記制御量算出工程では、
    (i)前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて、前記多段圧延機の圧延条件を所定の範囲内で変化させた場合に演算または実験により求められる前記圧延材の圧延形状の評価値に基づいて、前記第1の状態と前記第2の状態とで共通して用いる前記指数を設定し、
    (ii)設定した前記指数が代入された前記数式モデルを用いて、前記第1の状態と前記第2の状態とのそれぞれについて前記所定の範囲内の前記圧延条件にそれぞれ対応した前記影響係数の値を予め算出しておいて作成したテーブルまたは近似式に基づいて、前記圧延材に対して用いるべき前記影響係数を設定することにより、前記数式を決定することを特徴とする演算方法。
  7. 請求項3または4に記載の演算装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
  8. 請求項に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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