JP3940375B2 - 板圧延機の圧延制御方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、板圧延機の圧延制御方法に係り、より詳しくは、バックアップロールの摩耗量のロール胴長方向分布を予測算出して板圧延機の圧延制御の精度を高める方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より慣用されている、上下にワークロール1とバックアップロール2が計4本ある、典型的な板圧延機のロール形状の例を、図1では無負荷時の状態で、図2では板圧延時の状態で、それぞれ模式的に示す。ワークロール1は、通常、図1に示すように、直径がバックアップロール2より小さく、また、幅方向では中央が端部より大きい。また、バックアップロール2は、直径がワークロール1より大きい。このような圧延ロールで圧延板3を圧延するとき、図2に示すように、圧延板3の厚みによってワークロール1は上下に撓み、ワークロール1とバックアップロール2の間の隙間がなくなるように作用する。圧延荷重が大きくなると、バックアップロール2の撓みも増加する。
【0003】
このような圧延機で、圧延中の板クラウンを精度よく制御することは、高歩留まりの確保、板形状の安定等のために極めて重要なことである。そこで、板クラウンを制御するオンライン制御モデルが種々開発され、熱間圧延や厚板圧延等において使用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
これらのモデルでは、板クラウンを制御する場合、バックアップロールの形状は板幅方向で一定(直線)と仮定するか、または、制御モデルの制度を高めるために、初期バックアップロールのクラウン、即ちバックアップロールの研削後の形状をプロフィールメータ等で実測して、その圧延初期バックアップロール形状(寸法)を初期値として入力している。
【0005】
【非特許文献1】
新日鉄技報、第365号(1997)、第13〜16頁
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような圧延板の幅方向板厚分布を制御する板圧延機の圧延制御方法に関する従来技術において、バックアップロールの初期プロフィールだけが考慮されている理由は、バックアップロールはワークロールと比べて直径が大きく、しかも圧延板と直接に接触しないので板クラウンに対する影響が小さくワークロールのプロフィールや撓みと比べて無視できると考えられていたからである。
【0007】
しかしながら、本発明者らは、圧延における板クラウンの制御を高精度にすべく検討するうちに、バックアップロールのプロフィールは、初期形状のみならず、バックアップロールの形状や摩耗量分布も考慮しないと、板クラウンの制御の精度を上げることが難しいとの考えに到った。
【0008】
同様に、本願出願人は、先に、バックアップロールの形状や摩耗量分布も板クラウンに影響するとの考えから、特願2001−288199号(特開2002−172407号公報参照。)に、圧延機で圧延された板のクラウンを測定して、その板クラウンの測定値からモデルを介してバックアップロールの摩耗量分布を求める方法を開示している。
【0009】
このように、板クラウンの測定値からモデルを介してバックアップロールの摩耗量分布を求めるという間接的な方法を採用する理由は、バックアップロールを一旦圧延機に取り付けて圧延を開始した後はバックアップロール形状を測定することが困難であるからである。
【0010】
しかし、この方法では、実測する板クラウンの測定精度が非常に重要であるが、この板クラウンの測定は高温である熱間圧延中の板を非接触で測定する必要があるために、しばしば精度が低下することがある。その場合、算出されたバックアップロールの摩耗量分布は実体と大きく異なることになり、板クラウン精度も大きく低下するという問題を含んでいる。
【0011】
そこで、本発明は、上記のような問題点を有利に解決して、バックアップロールの摩耗量分布を正確に反映することで板クラウンの予測精度を著しく改善し、圧延製品の形状を大幅に向上させることのできる、板圧延機の圧延制御方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、バックアップロールの摩耗量分布が圧延条件に応じて一定の相関関係で進行する事実を突き止めた。そして、そのバックアップロールの摩耗量分布と圧延条件との相関関係に基づいてバックアップロールの摩耗量分布を予測算出すれば、板クラウンの圧延制御の精度を顕著に高めることができることを見出し、本発明を完成した。本発明の要旨は次のとおりである。
【0013】
(1) 少なくともワークロールおよびバックアップロール計4本を用いた、圧延板の幅方向板厚分布を制御できる板圧延機の圧延制御方法において、圧延操業中にバックアップロールの摩耗量のロール胴長方向分布を圧延量の関数として予測算出して、圧延板の幅方向板厚分布の制御に反映させ、前記圧延量の関数を、ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布に基づく関数とすることを特徴とする、板圧延機の圧延制御方法。
(2) 前記圧延量の関数を、少なくとも、ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布に比例する関数とすることを特徴とする、前記(1)に記載の板圧延機の圧延制御方法。
(3) 前記圧延量の関数を、少なくとも、ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布、圧延後板長さ、およびバックアップロール直径の関数とすることを特徴とする、前記(1)に記載の板圧延機の圧延制御方法。
(4) 前記圧延量の関数を、ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布、圧延後板長さ、およびバックアップロール直径を用いて算出されるロール間負荷に比例する関数とすることを特徴とする、前記(1)に記載の板圧延機の圧延制御方法。
(5) ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布、圧延後板長さ、およびバックアップロール直径を用いて算出される、前記ロール間負荷は、下記式で表されることを特徴とする、(4)に記載の板圧延機の圧延制御方法。
【0014】
QB’=Σ(pi×Li)/(πD)
QB’:ロール間負荷
pi:iパスのワークロールとバックアップロール間の線荷重分布(kN/mm)
Li:圧延後板長さ(mm)
π:円周率
D:バックアップロール直径(mm)
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者らの検討によれば、バックアップロールの摩耗が板クラウンの圧延制御の精度に影響していること、バックアップロールの摩耗挙動は、圧延板や圧延条件にもよるが基本的に類似し一定のプロフィールで摩耗してゆくこと、従って、圧延操作からバックアップロールの摩耗量分布を予測計算することができること、その予測計算されたバックアップロールの摩耗量分布を圧延制御モデルに使用すれば板クラウン制御の精度を顕著に向上させることができることが見出された。本発明は、これらの知見に基づきなされたものである。
【0016】
以下、バックアップロールの摩耗挙動の例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【0017】
図3は、バックアップロール組替え後、11日後、26日後、40日後のバックアップロールの摩耗量分布を示すものである。本発明では、このようなバックアップロールの摩耗挙動を検証することにより、バックアップロールの摩耗量分布を予測計算することができることを確認した。図3によると、このバックアップロールの摩耗量分布は、圧延量にかかわらず、左右対称で、滑らかな曲線であることが認められる。また、図3を参照すると、胴長方向の中心(x=0)での摩耗量wcが最も大きく、胴長端部(x=±1)での摩耗量wEが最も少ないことも分かる。さらに、本発明者らが詳細を検討した結果、胴長方向の中心での摩耗量wcと胴長端部での摩耗量wEの比が、いずれの日数後の分布においても、等しいことも判明した。
【0018】
したがって、ロールの摩耗量分布が、詳細を後述する圧延負荷QBに比例するとすると、比例定数ζを用いて、バックアップロール半径分の摩耗量分布yは、下記の式(1)で表すことができる。
【0019】
y=ζ・f(x)・QB ・・・・(1)
ここで、f(x)は図3に示すバックアップロール摩耗量分布の曲線を表すxの関数である。f(x)は、実際のバックアップロール摩耗量分布に応じた任意の関数を用いれば良いが、ここでは、一例として、二次曲線でモデル化することを考える。その場合、バックアップロール半径分の摩耗量分布yは、例えば、下記の式(2)で表すことができる。
【0020】
y=ζ・(wC−wE){−x2+wC/(wC−wE)}・QB ・・・・(2)
したがって、所定のスラブ本数を圧延した後の、バックアップロール胴長方向の中心での摩耗量wCと胴長端部での摩耗量wEを測定し、圧延負荷QBを求めれば、式(2)より、ζを求めることができる。ここで求めたζは、ロール材質が変更されない限り、一定と考えられるので、一度このζを求めておけば、次回の圧延からは、式(2)に基づき、各スラブ毎の摩耗量を累積することにより、任意のスラブ圧延におけるバックアップロール摩耗量分布を求めることができる。必要であれば、ロール材質に応じてバックアップロールの摩耗量分布を求めておくことができる。
【0021】
ところで、上記のロジックでバックアップロール摩耗量分布を求めるためには、圧延負荷QBをモデル化しておくことが望ましい。
【0022】
そこで、本発明者らは、圧延条件がロール摩耗量に及ぼす影響を詳細に調べた結果、ロール材質が同一である限り、式(2)におけるQBのパラメータとして、各圧延パスにおける、圧延荷重P、圧延後板長さL、バックアップロールの胴長LB、ロール直径Dを用いれば、簡便かつ高精度にロール摩耗が予測できることを見出した。以下、その詳細を説明する。
【0023】
本発明者らは、まず、圧延条件がロール摩耗に及ぼす影響を把握した上で、下記の要因が、バックアップロール胴長方向の中心での摩耗量wCと胴長端部での摩耗量wEに関与すること、および、その要因を数式化した各項に摩耗量wC、wEが比例することを見出した。
【0024】
・面圧 :P/(LB×s)
・接触長(詳細は下記) :s
・圧延後長さ :L
・ロールの円周の逆数 :1/πD
ここで、LBはバックアップロールの胴長、sはワークロールとバックアップロールの接触面における、圧延方向の接触面長さを表す。
【0025】
したがって、摩耗量分布yは、式(3)で表すことができ、その結果として、式(2)における1パス分のQBは、式(4)で数式化できることになる。
【0026】
以上をまとめると、圧延負荷QBに対するバックアップロール摩耗量分布yは、式(5)で求められるので、バックアップロール組替後から、各パス毎に対応するQBから算出されるyを累積していけば、任意のスラブ圧延時におけるバックアップロール摩耗プロフィールyを求めることができることになる。
【0027】
y=ζ・(wC−wE){−x2+wC/(wC−wE)}・QB ・・・(5)
ここで、
QB=Σ{(Pi/LB)×Li}/(πD)
Pi(kN):iパスの圧延荷重
LB (mm) :バックアップロールの胴長
Li(mm) :iパス出側圧延長
π :円周率
D (mm) :バックアップロールの直径
ここでは、ロール摩耗量分布を表現する関数として、二次曲線を用いたが、無論、二次関数に限る必要はなく、実際の摩耗量分布が高精度にモデル化できるように、任意の関数(例えば、三角関数、指数関数、対数関数、べき関数、あるいはそれらを和、差、積、商で組み合わせた関数など)を用いればよい。さらに言えば、連続曲線であればよい。
【0028】
一方、圧延条件が非常に多岐にわたる場合には、バックアップロール端部の摩耗量が中央部より大きくなることや、関数の組み合わせでは表現できないような複雑な摩耗分布を示すことがある。
【0029】
そのような条件の場合についても、本発明者らは、圧延条件がロール摩耗量におよぼす影響を詳細に調べた。その結果、ロール材質が同一である限り、iパスのワークロールとバックアップロール間の線荷重pi、圧延後板長さLi 、バックアップロール直径Dを用いれば、簡便かつ高精度にロール摩耗が予測できることを見出した。以下、その詳細を説明する。
【0030】
本発明者らは、再度、バックアップロールの摩耗が複雑な分布を示す場合について、圧延条件がロール摩耗に及ぼす影響を調査した結果、下記の要因が、各胴長方向の任意の位置での摩耗量に関与すること、および、その要因を数式化した各項に摩耗量が比例することを見出した。
【0031】
・ワークロールとバックアップロール間の線荷重 :pi
・圧延後板長さ(mm) :Li
・ロールの円周の逆数 :1/πD
したがって、各x座標における摩耗量yは、式(6)で求められ、ロール間負荷は、式(7)で表すことができる。
【0032】
y∝Σ(pi×Li)/(πD)=ξ・Σ(pi×Li)/(πD) ・・(6)
QB’=(pi×Li)/(πD) ・・・・・(7)
図5は、式(7)によって求めた、バックアップロール研削前のロール間負荷QB’の分布を示している。また、図6に、そのQB’から求めた摩耗量と実際の測定値との比較を示す。この圧延ロットでは、鋼種、板厚、圧下率が非常に多岐に亘ったために、摩耗分布は複雑となったが、計算値と実測値は良く一致し、本発明によって、このような場合においても、バックアップロールの摩耗分布が高精度に予測できることが分かる。
【0033】
以上、ロール間負荷による予測算出方法をまとめると、各パスにおける、各x座標での摩耗量yは、式(6)で求められるので、バックアップロール組替後から、各パス毎に対応するQB’から算出されるyを、各x座標毎に累積していけば、任意のスラブ圧延時におけるバックアップロール摩耗プロフィールyを求めることができることになる。
【0034】
なお、ワークロールとバックアップロール間の線荷重piの求め方は、オンラインモデルがpiを計算するモデルであれば、その値を用いれば良い。また、オンラインモデルにその機能がなければ、予め、オフラインで計算を行い、重回帰式や計算テーブルを作成し、オンライン計算時に使用すれば良い。また、x座標に対するpiは、連続曲線を用いても良いし、ロールを胴長方向に分割し、代表点の値を用いても良い。
【0035】
比例定数のξは、ロール組替時に測定できる摩耗量とQB’とから、求めて置けばよい。
【0036】
本発明に従いバックアップロールの摩耗量分布を予測算出した後は、圧延制御プログラム中にバックアップロールのプロフィールを使用すること自体は公知であるので(例えば、特公平3−72364号公報)、そのようなプログラムに本発明に従い予測算出したバックアップロールのプロフィールを使用すればよい。
【0037】
【実施例】
(実施例1)
ワークロール径1000mm、バックアップロール径2000mm、バックアップロール胴長4500mmのリバース圧延機を用いて、鋼の熱間圧延を実施した。まずは、予備実験を行い、圧延量とバックアップロールの摩耗挙動を調べた。その結果、式(5)における圧延負荷QB=5293723であり、摩耗量の幅方向分布は放物線で高度に近似できることが分かった。また、バックアップロール胴長方向の中心での摩耗量wCと胴長端部での摩耗量wEは、それぞれwC=280μm、wE=80μmであった。以上のデータを用いて、式(5)によりζ=1.511×10-5を求めた。このζを用いて、新しく組み替えたバックアップロールの摩耗量分布をスラブ圧延毎に計算し、その結果に基づいて、圧延毎のバックアップロールプロフィールを算出して板クラウンを予測計算しながら、板厚5〜50mm、板幅1800〜4200mmのスラブを16000本、バックアップロールの交換無しに、圧延した(40日間)。その際に、板クラウンの実測値とクラウン予測モデルの計算値との比較を行った。なお、板クラウンは、精度を高めるために、圧延・冷却後に測定した。
【0038】
比較例1として、バックアップロールの初期プロフィールを用い、再度、本実施例(実施例1)と同一の圧延データ(16000本、40日間の圧延)における板クラウンを予測計算(シミューレーション)した。すなわち、比較のために、摩耗によるバックアップロールプロフィール以外のモデルの入力条件は、全て本実施例と同一の値を使用し、クラウン予測モデルも本実施例と同一のモデルを使用した。
【0039】
比較例2として、ワークロール組替直後に圧延された板のクラウンを測定し(通常の鋼の熱間圧延で用いられる、熱間オンラインの放射線板厚計を使用した。)、その結果からバックアップロール摩耗量分布をモデルを介して逆算して求めた。この時のワークロールの組替頻度は1回/日程度であった。さらに、その結果から算出したバックアップロールプロフィールを用いて、本実施例と同一の圧延データ(16000本、40日間の圧延)における板クラウンを予測計算(シミュレーション)した。なお、この場合も、比較のために、摩耗によるバックアップロールプロフィール以外のモデルの入力条件は、全て本実施例と同一の値を使用し、クラウン予測モデルも本実施例と同一のモデルを使用した。
【0040】
図4に、バックアップロール摩耗量予測の実施例1と比較例2とを示す。ここでは、比較を容易にするために、摩耗量分布の代表値として、バックアップロールの摩耗クラウンCB(胴長中心摩耗量−胴端部摩耗量)を用いた。実施例1では、圧延されたスラブ量が増加するにつれて(圧延負荷QBが増加するにつれて)、CBが一様に増加し、バックアップロールの摩耗量分布が安定して、予測されていることが分かる。一方、比較例2では、板クラウンの測定誤差が起因で、バックアップロールの摩耗量が大きく変動する場合が見られる。
【0041】
表1に、実施例1と比較例1、2のクラウン予測誤差の標準偏差σ(計算値−実測値)を示す。ロール摩耗分布が高精度に予測できた実施例1では、誤差の標準偏差が非常に小さいことが分かる。したがって、想定したクラウンを有する板を圧延することができ、良好な形状の板が得られた。一方、比較例1、2では、大きな予測誤差を示したので、比較例1,2の方法を用いて、実操業を行えば、板の形状は大幅に悪化することになる。
【0042】
【表1】
【0043】
(実施例2)
ワークロール径980mm、バックアップロール径1970mm、バックアップロール胴長4500mmで、リバース圧延機を用いて、鋼の熱間圧延を実施した。まずは、予備実験を行い、圧延量とバックアップロールの摩耗挙動を調べた。その結果、胴長中心におけるロール間負荷式QB’は、式(7)からQB’=4492であり、ξ=8.081×10-2とすれば、摩耗量の幅方向分布をQB’の分布を高度に近似できることが分かった(図6)。このξを用いて、新しく組み替えたバックアップロールの摩耗量分布をスラブ圧延毎に計算し、その結果に基づいて、圧延毎のバックアップロールプロフィールを算出して板クラウンを予測計算しながら、板厚4.5〜100mm、板幅1400〜4200mmの普通鋼から特殊鋼を含めた多鋼種のスラブを19000本、バックアップロールの交換無しに、圧延した(42日間)。その際に、板クラウンの実測値とクラウン予測モデルの計算値との比較を行った。なお、板クラウンは、精度を高めるために、圧延・冷却後に測定した。
【0044】
比較例3として、バックアップロールの初期プロフィールを用いて、実施例と同一の圧延データ(19000本、42日間の圧延)における板クラウンを予測計算した。なお、比較のために、摩耗によるバックアップロールプロフィール以外のモデルの入力条件は、全て本実施例と同一の値を使用し、クラウン予測モデルも本実施例と同一のモデルを使用した。
【0045】
比較例4として、ワークロール組替直後に圧延された板のクラウンを測定し(通常の鋼の熱間圧延で用いられる、熱間オンラインの放射線板厚計を使用した。)、その結果からバックアップロール摩耗量分布をモデルを介して逆算して求めた。この時のワークロールの組替頻度は1回/日程度であった。さらに、その結果から算出したバックアップロールプロフィールを用いて、本実施例と同一の圧延データ(19000本、42日間の圧延)における板クラウンを予測計算した。なお、比較のために、摩耗によるバックアップロールプロフィール以外のモデルの入力条件は、全て本実施例と同一の値を使用し、クラウン予測モデルも本実施例と同一のモデルを使用したので、比較例3,4の方法を用いて、実操業を行えば、板の形状は大幅に悪化することになる。
【0046】
表2に、実施例2と比較例3、4のクラウン予測誤差の標準偏差σ(計算値−実測値)を示す。複雑な分布にも関わらず、ロール摩耗分布が高精度に予測できた実施例2では、誤差の標準偏差が非常に小さいことが分かる。したがって、想定したクラウンを有する板を圧延することができ、良好な形状の板が得られた。一方、比較例3、4では、大きな予測誤差を示した。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】
本発明により、板クラウンの予測制度を著しく改善できることから、圧延製品の形状を大幅に向上させることが可能になり、圧延コストの低減に大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来より慣用されている、上下にワークロール1とバックアップロール2が計4本ある、典型的な板圧延機の圧延ロールの、無負荷時の形状を模式的に示す図である。
【図2】従来より慣用されている、上下にワークロール1とバックアップロール2が計4本ある、典型的な板圧延機の圧延ロールの、板圧延時の撓み状態を模式的に示す図である。
【図3】バックアップロール摩耗量の胴長方向分布の時系列変化を示す図である。
【図4】圧延負荷QBとバックアップロール摩耗量の胴長方向分布との関係を示す図である。
【図5】ロール間負荷のロール胴長方向分布を示す図である。
【図6】バックアップロール摩耗量の胴長方向分布の計算予測値と実測値を比較した図である。
【符号の説明】
1…ワークロール
2…バックアップロール
3…圧延板
Claims (5)
- 少なくともワークロールおよびバックアップロール計4本を用いた、圧延板の幅方向板厚分布を制御できる板圧延機の圧延制御方法において、圧延操業中にバックアップロールの摩耗量のロール胴長方向分布を圧延量の関数として予測算出して、圧延板の幅方向板厚分布の制御に反映させ、前記圧延量の関数を、ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布に基づく関数とすることを特徴とする、板圧延機の圧延制御方法。
- 前記圧延量の関数を、少なくとも、ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布に比例する関数とすることを特徴とする、請求項1に記載の板圧延機の圧延制御方法。
- 前記圧延量の関数を、少なくとも、ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布、圧延後板長さ、およびバックアップロール直径の関数とすることを特徴とする、請求項1に記載の板圧延機の圧延制御方法。
- 前記圧延量の関数を、ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布、圧延後板長さ、およびバックアップロール直径を用いて算出されるロール間負荷に比例する関数とすることを特徴とする、請求項1に記載の板圧延機の圧延制御方法。
- ワークロールとバックアップロール間の線荷重のロール胴長方向分布、圧延後板長さ、およびバックアップロール直径を用いて算出される、前記ロール間負荷は、下記式で表されることを特徴とする、請求項4に記載の板圧延機の圧延制御方法。
QB’=Σ(pi×Li)/(πD)
QB’:ロール間負荷
pi:iパスのワークロールとバックアップロール間の線荷重分布(kN/mm)
Li:圧延後板長さ(mm)
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