JPWO2019087284A1 - 圧延スタンドのロール摩耗分散方法および圧延システム - Google Patents

圧延スタンドのロール摩耗分散方法および圧延システム Download PDF

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Abstract

等価ロールクラウンを維持したままワークロールの摩耗を分散させることを目的とする。必要とされる等価ロールクラウンを得るための逆方向シフトと、摩耗分散のための同一方向シフトとを併用すると、被圧延材(20)の幅両端部のロールギャップに差が生じる。そのため、被圧延材(20)の幅両端部のロールギャップ差を0に近づけるように、ワークサイドの圧下位置とドライブサイドの圧下位置との差(レベリング)を変化させる。これにより、ワークサイドおよびドライブサイドのワークロール軸間距離が変更されて、被圧延材20の幅方向両端におけるロールギャップ差は0に近づく。そのため、等価ロールクラウンを維持したままワークロールの摩耗を分散させることができる。

Description

この発明は、圧延スタンドのロール摩耗分散方法および圧延システムに関する。
板圧延において、板クラウンおよび平坦度は、板厚、板幅、温度と並び重要な特性指標である。板クラウンは、製品の板幅方向の中央と端部(実際には、板端から所定の距離(25mmまたは40mmなど)の位置)の板厚差である。板クラウンは、被圧延材が直接出荷され、エンドユーザーにより加工される場合には、最終製品の寸法精度に影響を及ぼす。また、板クラウンは、被圧延材が冷延などの下流工程で更に加工・処理される場合にも、それらの設備における通板性などに影響を及ぼす。このように、板クラウンは生産性を左右するため、目標公差範囲内に収める必要がある。
また、各圧延スタンド間で板が平坦で、安定して圧延操業を継続できるようにするには、各圧延スタンド入側の比率クラウンと出側の比率クラウンとの差がある許容範囲内である必要がある。比率クラウンは、被圧延材の板厚に対する板クラウンの比率である。ある圧延スタンド入側の比率クラウンに対し出側の比率クラウンがある許容範囲を超えて大きくなると端伸び(edge wave)の平坦度不良が生じる。逆に、入側の比率クラウンに対し出側の比率クラウンがある許容範囲を超えて小さくなると中伸び(center buckle)の平坦度不良が生じる。したがって、最終圧延スタンド出側だけでなく、仕上圧延機の各圧延スタンド間においても、板クラウンを目標公差範囲内に収める必要がある。
このような要求を満たすためには、各圧延スタンドのワークロールのロールクラウン(ワークロールの胴長方向中央と胴長方向端部のワークロール径差)を、製品目標寸法等に応じて適正な値にする必要がある。
ところが、製品の材種や目標寸法が変わる度にワークロールを交換するのでは作業性が大幅に低下する。そこで、図1の(B)に示すように、ワークロール径分布を3次曲線状に研削した上ワークロールおよび下ワークロールを対向させて配置し、かつ、上ワークロールと下ワークロールを逆向きに胴長方向に移動(逆方向シフト)させることにより、等価ロールクラウン(逆方向シフトによりあたかもワークロールにイニシャル研削クラウンを付与したのと同様の効果が得られるため等価ロールクラウンと呼ばれる。)を変化させる構成の圧延設備が広く用いられている。
ワークロール径分布の一例を図5に示す。また、上ワークロールと下ワークロールを逆方向にシフトさせた場合の等価ロールクラウンの変化特性を図6に示す。また、3次曲線に替えて、より高次の関数や三角関数などによる胴長中央に対し非対称な曲線で表されるように研削された一対のワークロールが用いられる場合もある。以下では、これらの曲線状のワークロール径分布を持つロールをカーブロール、カーブロールを上下逆方向にシフトさせ、等価ロールクラウンを変化させる構成の圧延設備を可変クラウン圧延機と称する。
このような可変クラウン圧延機においては、ワークロールが局所的に摩耗し、本来の耐用限界よりも寿命が短い場合があるという問題がある。つまり、目標寸法(厚み、幅、板クラウン)がほぼ同じ製品(コイル)を多数連続的に圧延すると、被圧延材の幅方向端部(一般に端部は温度が低く硬い)と接触する部分が図7に示すように著しく偏摩耗する。そして、後続の被圧延材では、この板幅端部の偏摩耗が被圧延材に転写され、被圧延材の端部が厚くなる不良(Cat earと呼ばれる)が発生する。Cat earが発生した被圧延材は、下流工程で深刻な通板トラブルなどが生じる可能性が高い。したがって、このような不良が生じるとワークロールを交換する必要があり操業効率の低下の一因となる。
この対策として、逆方向シフトを周期的に変化させ、被圧延材端部と接触する位置が集中しないようにする摩耗分散方法が広く用いられている。このようにすると、ワークロールは胴長方向において被圧延材の幅方向端部と接触する位置が変化する。そのため、摩耗が分散され、Cat earのような偏摩耗が軽減され、不良が生じにくくなり、ワークロールの交換頻度を低減できる。
但し、カーブロールを用いている場合、摩耗分散のために逆方向シフトを変化させると、それに伴って等価ロールクラウンが本来必要とされる値から変化してしまう。このような場合には、圧延スタンド入側の比率クラウンに対し出側の比率クラウンが大きく変化し、被圧延材の平坦度が悪化するおそれがある。
そこで、従来、摩耗分散による等価ロールクラウンの変化を打消すように、ワークロールベンディング力を増減させる方法が提案されている。つまり、摩耗分散により等価ロールクラウンを大きくする方向に逆方向シフトを動かす場合には、その等価ロールクラウンを打ち消すように当該圧延スタンドのベンダー荷重を下げる操作をする。逆に、摩耗分散により等価ロールクラウンを小さくする方向に逆方向シフトを動かす場合には、その等価ロールクラウンを打ち消すように当該圧延スタンドのベンダー荷重を上げる操作をする。
このような従来の摩耗分散方法は、例えば、特許文献1に開示されている。また、同様の内容を6段圧延機に適用する圧延方法が、特許文献2に開示されている。
日本特開平2−179308号公報 国際公開第2006/000290号
しかし、これらのように、逆方向シフトによる摩耗分散方法においては、次のような問題があった。
(1)摩耗分散による逆方向シフト量をワークロールベンダーで打ち消せる範囲に限る必要があり、必ずしも十分な摩耗分散効果が得られない場合がある。
(2)摩耗分散を補償するためにベンダー荷重を変化させるので、圧延中のコイル内におけるベンダー荷重の実質的な可変範囲が狭くなる。このため、被圧延材からの入熱によりワークロールが熱膨張することによるワークロールクラウンの変化、及び、被圧延材の昇温むらなどによる圧延荷重の変動に対し、ベンダー制御による補償を十分に行うことが出来ず、板クラウンや平坦度の不良が生じやすい。とりわけ、単一の長尺スラブを圧延した後切り分けて複数のコイル製品を得るセミエンドレス圧延や、連続鋳造装置で鋳造中のスラブをそのまま圧延した後切り分けて複数のコイル製品を得るエンドレス圧延では、被圧延材からの入熱が長時間継続してワークロールの熱膨張が著しいため、これら不良が発生しやすい。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、等価ロールクラウンを維持したままワークロールの摩耗を分散させることのできる圧延スタンドのロール摩耗分散方法および圧延システムを提供することを目的とする。
上記目的の達成のため、本発明に係る圧延スタンドのロール摩耗分散方法は以下のように構成される。
圧延スタンドは、一対のワークロール、ワークロールシフト装置、圧下装置を備える。一対のワークロールは、軸方向のロール径分布が3次以上の多項式(胴長(バレル長)中央に対し左右非対称な曲線)で表されるように研削された上ワークロールおよび下ワークロールを対向させた構成である。前記上ワークロールと前記下ワークロールは、軸方向について互いに逆向きに装入されている。また、3次以上の多項式には、テイラー展開により多項式で近似可能な三角関数も含まれる。ワークロールシフト装置は、前記上ワークロールおよび前記下ワークロールをそれぞれ軸方向にシフトさせる。すなわち、前記上ワークロールおよび前記下ワークロールは独立して逆方向および同一方向に平行シフト可能である。圧下装置は、ワークサイド圧下位置およびドライブサイド圧下位置を変えることにより、前記一対のワークロールのワークサイドのロールギャップおよびドライブサイドのロールギャップを変える。
前記ロール摩耗分散方法では、第1に、前記圧延スタンド出側における前記被圧延材の板クラウンおよび平坦度を許容範囲内とする前記上ワークロールおよび前記下ワークロールの逆方向シフト量を計算する。第2に、前記一対のワークロールの摩耗を分散させる前記上ワークロールおよび前記下ワークロールの同一方向シフト量を計算する。第3に、前記同一方向シフト量に基づいて前記被圧延材の幅両端部のロールギャップ差を0に近づける前記圧下装置の圧下位置差を計算する。圧下位置差は、前記圧下装置のワークサイド圧下位置とドライブサイド圧下位置との差である。第4に、前記逆方向シフト量および前記同一方向シフト量の合算値に基づいて前記ワークロールシフト装置に前記上ワークロールおよび前記下ワークロールをそれぞれシフトさせると共に、前記圧下位置差に基づいて前記圧下装置に前記ワークサイド圧下位置および前記ドライブサイド圧下位置を変更させる。
このように、必要とされる等価ロールクラウンを得るための逆方向シフト(図1の(B))と、摩耗分散のための同一方向シフト(図1の(C))とを併用すると、図2の(D)に矢印15,16で示すように、被圧延材20の幅両端部のロールギャップに差が生じる。そのため、本発明では、被圧延材20の幅両端部のロールギャップ差を0に近づけるように、ワークサイドの圧下位置とドライブサイドの圧下位置との差(レベリング)を変化させる。これにより、図2の(E)に示すように、ワークサイドおよびドライブサイドのワークロール軸間距離が変更されて、被圧延材20の幅方向両端におけるロールギャップ差は0に近づく。そのため、等価ロールクラウンを維持したままワークロールの摩耗を分散させることができる。
また、上記目的の達成のため、本発明に係る圧延システムは以下のように構成される。
被圧延材を圧延する圧延システムは、一対のワークロール、ワークロールシフト装置、圧下装置、逆方向シフト量計算部、同方向シフト量計算部、圧下位置差計算部、コントローラーを備える。一対のワークロールは、軸方向のロール径分布が3次以上の多項式で表されるように研削された上ワークロールおよび下ワークロールを対向させた構成である。ワークロールシフト装置は、前記上ワークロールおよび前記下ワークロールをそれぞれ軸方向にシフトさせる。圧下装置は、ワークサイド圧下位置およびドライブサイド圧下位置を変えることにより、前記一対のワークロールのワークサイドのロールギャップおよびドライブサイドのロールギャップを変える。逆方向シフト量計算部は、前記一対のワークロールの出側における前記被圧延材の板クラウンおよび平坦度を許容範囲内とする前記上ワークロールおよび前記下ワークロールの逆方向シフト量を計算する。同方向シフト量計算部は、前記一対のワークロールの摩耗を分散させる前記上ワークロールおよび前記下ワークロールの同一方向シフト量を計算する。圧下位置差計算部は、前記同一方向シフト量に基づいて前記被圧延材の幅両端部のロールギャップ差を0に近づける前記圧下装置の圧下位置差を計算する。コントローラーは、前記逆方向シフト量および前記同一方向シフト量の合算値に基づいて前記ワークロールシフト装置に前記上ワークロールおよび前記下ワークロールをそれぞれシフトさせると共に、前記圧下位置差に基づいて前記圧下装置に前記ワークサイド圧下位置および前記ドライブサイド圧下位置を変更させる。
本発明によれば、(1)摩耗分散のための同一方向シフト量は、ベンダー荷重可変範囲による制限を受けないので、十分な摩耗分散効果が得られる。(2)ベンダーによる摩耗分散の補償を低減できるので、ワークロールの熱膨張および圧延中の荷重変動に対してベンダー制御による補償を最大限に行うことができ、板クラウンや平坦度の不良を減少させることができる。とりわけ、セミエンドレス圧延やエンドレス圧延における生産性向上に有効である。本発明によれば、等価ロールクラウンを維持したままワークロールの摩耗を分散させることができる。
ワークロールの逆方向シフトおよび同一方向シフトについて説明するための図である。 ワークロールの逆方向シフトおよび同一方向シフトについて説明するための図である。 実施の形態1に係る圧延システムの構成例を示す概略図である。 各圧延スタンドの構成例を示す概略図である。 ワークロール径の分布の一例を示す図である。 上下ワークロールを逆方向にシフトさせた場合の等価ロールクラウンの変化特性を示す図である。 上下ワークロールの偏摩耗について説明するための図である。 実施の形態1に係る制御設備において制御周期毎に実行される処理のフローチャートである。 同一方向シフトパターンの一例を示す図である。 圧下位置差の変化パターンの一例を示す図である。 同一方向シフトパターンの他の例を示す図である。 圧下位置差の変化パターンの他の例を示す図である。 プロセス計算機が有する処理回路のハードウェア構成例を示す概念図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
(圧延システム)
実施の形態1に係る圧延システムは、単数または複数の圧延スタンドを備え、鉄鋼又はその他の金属材を熱間または冷間で板状に圧延するものである。図3は、実施の形態1に係る圧延システムの構成例を示す概略図である。図3に示す熱間圧延ラインでは、例えば、上述したセミエンドレス圧延やエンドレス圧延が行われる。なお、本発明は冷間圧延ラインにも適用できる。
図3において、金属材の被圧延材20は、熱間圧延ラインで加工される間に薄く伸ばされ、材のサイズおよび温度は所望の目標値へ制御される。圧延設備1は、加熱炉2、粗圧延機3、仕上圧延機4、ランアウトテーブル5、コイラー6、および、それらの間で被圧延材20を搬送するローラーテーブル7を備える。
加熱炉2は、被圧延材20を昇温する。昇温された被圧延材20は、ローラーテーブル7上に抽出される。加熱炉2を出たとき、被圧延材20は、スラブと呼ばれる成形された金属の塊である。
粗圧延機3は、加熱炉2の下流に設けられている。粗圧延機3は、単一の圧延スタンド又は複数の圧延スタンドを備える。粗圧延機3は、被圧延材20を順方向(上流から下流へ)および逆方向(下流から上流へ)に複数回圧延する。被圧延材20は、数十ミリメートル程度の厚みまで圧延される。
仕上圧延機4は、粗圧延機3の下流に設けられている。仕上圧延機4は、複数の圧延スタンドを備え、被圧延材20を上流から下流へ一方向に圧延する。図1には7台の圧延スタンド(41〜47)が描かれているが、圧延スタンドの台数はこれに限定されるものではない。仕上圧延により、被圧延材20の板厚、板幅などのサイズに関する最終品質が決定される。
ランアウトテーブル5は、仕上圧延機4の下流に設けられている。ランアウトテーブル5には、圧延された被圧延材20へ注水する冷却装置が設置されている。被圧延材20は、冷却装置により目標温度まで冷却される。
コイラー6は、ランアウトテーブル5の下流に設けられている。ランアウトテーブル5にて冷却された被圧延材20は、ピンチロールで下方にガイドされつつ、コイラー6に巻き取られ、コイル状の製品となる。
圧延設備1の要所(加熱炉2出側、粗圧延機3出側、仕上圧延機4出側、コイラー6入側など)には、放射温度計、X線板厚計などの各種センサー81〜84が設置されている。また、各圧延スタンドには、図示省略するロードセルが設置されている。これらのセンサーは、被圧延材20および各機器の状態(板厚、温度、圧延荷重など)を逐次計測する。
圧延設備1は、計算機を用いた制御設備10により制御されている。制御設備10は、上位計算機11、プロセス計算機12、コントローラー13を備える。
上位計算機11は、複数の被圧延材20についての圧延計画に基づき、各被圧延材20の目標寸法(厚み、幅、板クラウン)、及び、目標温度(仕上圧延機出側温度、コイラー入側温度など)などの圧延命令を、プロセス計算機12へ送信する。
加熱炉2から被圧延材20が抽出されると、プロセス計算機12は、上位計算機11から受信した圧延命令にしたがい、圧延設備1の各機器に対する設定値を計算し、コントローラー13へ送信する。この設定値には、後述する圧下装置の圧下位置、ロール回転速度、ベンディング力、ワークロールシフト量などが含まれる。
被圧延材20が各機器の手前の所定の位置まで搬送されると、コントローラー13は、設定値に基づき、各機器のアクチュエーターを操作する。さらに、圧延が開始されると、コントローラー13は、上述した放射温度計、X線板厚計、ロードセルなどのセンサーによる計測値に基づき、被圧延材20の目標寸法、目標温度などが圧延命令に適合するように、各アクチュエーターを逐次操作する。
プロセス計算機12における設定計算とは、圧延機設定諸元のうち、理論的に計算できる部分を数式モデル化して数値計算することをいう。一例として、逆方向シフト量計算部12aは、圧延命令にしたがって、所望の目標クラウンとなるように、仕上圧延機4の各圧延スタンドの逆方向シフト量を数式モデルにより算出する。この数式モデルは、各圧延スタンドの入側クラウン、圧延荷重、及び、ロールクラウンなどをパラメーターとする数式、例えば、次式のような連立不等式で表される。この数値解法については様々の手法が知られており詳細は省略する。
(i)出側クラウン式
Figure 2019087284
ここで、Cは当該圧延スタンド出側の板クラウン、Cは当該圧延スタンド入側の板クラウン、Pは当該圧延スタンドの圧延荷重、Fは当該圧延スタンドのワークロールベンディング力、Ceqは当該圧延スタンドの等価ロールクラウンである。また、影響係数k,k,k,kは板厚、板幅、ロール径などの関数で表される。なお、当該圧延スタンドが最初の圧延スタンド41である場合、Cは粗圧延機3の圧延条件に基づき計算される。また、当該圧延スタンドが最終圧延スタンド47である場合、Cは製品の目標クラウンとして与えられる。
(ii)平坦度許容範囲式
Figure 2019087284
ここで、Cは当該圧延スタンド出側の板クラウン、Cは当該圧延スタンド入側の板クラウン、hは当該圧延スタンド出側の板厚、hは当該圧延スタンド入側板厚である。また、平坦度許容範囲パラメーターεは鋼種、板厚、板幅などを含む関数で表される。一般に、板厚が小さいほどεは小さい値となる。
(iii)逆方向シフト量計算式
Figure 2019087284
ここで、δは逆方向シフト量、k,kはロール径分布を示す曲線により決まる影響係数である。例えば、後述の式(14)を変形して得られる次式を用いることができる。
Figure 2019087284
ここで、C,Cはロール径分布を示す3次曲線の係数、Lはバックアップロールの胴長(バレル長)である。
(ロール摩耗分散方法)
次に、圧延スタンドのロール摩耗分散方法について説明する。
図4は、各圧延スタンドの構成例を示す概略図である。被圧延材20に変形を加えるための一対のワークロールは、軸方向のロール径分布が3次以上の多項式で表されるように研削された上ワークロール21Tおよび下ワークロール21Bを対向させた構成である。上ワークロール21Tおよび下ワークロール21Bは、被圧延材20を挟んで点対称に配置されている。一対のワークロールを支持しそのたわみを抑制するための少なくとも一対のバックアップロール(上バックアップロール22T、下バックアップロール22B)は、一対のワークロールを挟んで上下に配置される。なお、バックアップロールとワークロールの間に一対の中間ロールがある圧延スタンドに対しても本発明は適用できる。上ワークロール21Tと下ワークロール21Bとの間隙をロールギャップと称する。一対のワークロールを上下ワークロール、一対のバックアップロールを上下バックアップロールとも称する。
上ワークロール21Tの片側には自在継手を介して駆動軸(上スピンドル23T)が取り付けられている。下ワークロール21Bの片側には自在継手を介して駆動軸(下スピンドル23B)が取り付けられている。各スピンドルは、減速機を介して主機モータ(図示省略)により回転駆動される。なお、圧延機において、スピンドルが接続されている側をドライブサイド(DS)、反対側をワークサイド(WS)と呼ぶ。
上ワークロール21Tの両端は、ベアリングを介して軸箱(上ワークロールチョック24T)に嵌めこまれている。下ワークロール21Bの両端は、ベアリングを介して(下ワークロールチョック24B)に嵌めこまれている。同様に、上バックアップロール22Tの両端は、ベアリングを介して軸箱(上バックアップロールチョック25T)に嵌めこまれている。下バックアップロール22Bの両端は、ベアリングを介して軸箱(下バックアップロールチョック25B)に嵌めこまれている。
圧延スタンドの構造体(ハウジング)と両サイドの上バックアップロールチョック25Tとの間には圧下装置(ワークサイド圧下装置26WS、ドライブサイド圧下装置26DS)が設けられている。ワークサイド圧下装置26WSおよびドライブサイド圧下装置26DSは、独立して駆動可能であり、垂直方向に圧下して、上下バックアップロールの軸間距離を変更可能である。図4では圧下装置は、圧延スタンドの上方に設けられているが、下方に設けられてもよいし、上方と下方の両方に設けられてもよい。これらの圧下装置は、油圧シリンダーを備える。高応答性のためには油圧シリンダーの長さは短い方が好ましい。そのため、圧下位置を応答性高く制御できる油圧シリンダーと、圧下位置を大きく変更できる電動ネジ機構とを組み合せた構成が好ましい。電動ネジ機構に代えてステップエッジを用いてもよい。
圧延スタンドのハウジングと両サイドの下バックアップロールチョック25Bとの間には荷重検出器(ワークサイドロードセル27WS、ドライブサイドロードセル27DS)が装着されている。荷重検出器は、圧下装置と上バックアップロールチョック25Tの間に装着されてもよい。
ワークサイド圧下装置26WSにはワークサイド位置検出器28WSが、ドライブサイド圧下装置26DSにはドライブサイド位置検出器28DSが取り付けられ、圧下位置が検出される。圧下位置とは、圧下装置の油圧シリンダーのピストン位置である。ワークサイド位置検出器28WSにより検出されるワークサイド圧下位置は、ワークサイドにおける上下ワークロールのロールギャップに相関する。ドライブサイド位置検出器28DSにより検出されるドライブサイド圧下位置は、ドライブサイドにおける上下ワークロールのロールギャップに相関する。圧下装置は、ワークサイド圧下位置およびドライブサイド圧下位置を変えることにより、一対のワークロールのワークサイドのロールギャップおよびドライブサイドのロールギャップを変える。
ワークロールが交換されると圧下位置のゼロ点調整が行われる。このゼロ点調整では、まず各圧下装置を操作し軸間距離を減少させてゆく。やがて上下ワークロールが接触すると、各荷重検出器により接触荷重が検出される。更に軸間距離を減少させると接触荷重が増す。このとき、ワークサイドとドライブサイドの接触荷重に差があれば、荷重差が小さくなるように両者の軸間距離を調整する。接触荷重が所定の値(例えば、合計10000kN)に到達すると、その点を圧下位置のゼロ点とする。以降、このゼロ点からの軸間距離の変化分をワークサイド圧下位置SWS、ドライブサイド圧下位置SDSとする。また、両側の平均をセンター圧下位置S=(SWS+SDS)/2とする。これら圧下位置は、ロールギャップを開く方向が正方向である。
上ワークロールチョック24Tは、上ワークロール21Tを油圧シリンダー等により軸方向にシフトさせる上ワークロールシフト装置29Tを備える。下ワークロールチョック24Bは、下ワークロール21Bを油圧シリンダー等により軸方向にシフトさせる下ワークロールシフト装置29Bを備える。ここでは、各ワークロールの胴長部の中央が圧延機の幅方向中央と一致している位置を原点として、ドライブサイド方向に移動した距離を上ワークロールシフト量δ及び下ワークロールシフト量δと定義する。
また、上ワークロールチョック24Tと下ワークロールチョック24Bとの間には、上下ワークロールの両軸端にベンディング力を付与するために油圧シリンダーを備えたワークロールベンダー30が設けられる。このベンディング力Fは、ワークサイドとドライブサイドのワークロールベンダー30の油圧シリンダー荷重の合計である。
上下ワークロールは、その軸方向のロール径分布が3次以上の多項式又はその近似式で表されるように研削されており、上ワークロール21Tと下ワークロール21Bは、軸方向について互いに逆向きに装入されている。
例えば、軸方向のロール径分布が3次関数で与えられる場合、上下ワークロールのロール径分布(直径)は次式で表される。なお、圧延機の幅方向中央位置を原点として、原点からドライブサイド方向への距離を幅方向位置xとする。C,C,Cは、3次関数の係数である。
Figure 2019087284
Figure 2019087284
ここで、同一方向シフト量δ(上ワークロール21Tと下ワークロール21Bとを同一方向にシフトさせるシフト量)と、逆方向シフト量δ(上ワークロール21Tと下ワークロール21Bとを逆方向にシフトさせるシフト量)を導入する。これらは、δ、δを用いて、次のように定義される。
Figure 2019087284
Figure 2019087284
一方、ワークサイドとドライブサイドの圧下位置が異なる場合、圧下装置の作用点間の間隔をLCYL(図4参照)とすると、幅方向各位置の圧下位置は両者を按分して次式で表される。
Figure 2019087284
ここで、圧下位置差δを導入する。圧下位置差はレベリング量とも呼ばれる。
Figure 2019087284
ロールギャップは、ワークロール径及びバックアップロール径が増大すると減少し、圧下位置が増大すると増加する。したがって、バックアップロールはロール径が一定で、十分に剛性が高く撓みや偏平が生じないとすると、幅方向センターのロールギャップに対する幅方向の各位置のロールギャップの偏差y(x)は次式で表される。
Figure 2019087284
式(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)を式(11)に代入すると次式が得られる。
Figure 2019087284
ここで、摩耗分散を行わない場合のyをyとすると、δ=0かつ、δ=0なので、y(x)は次式で表される。放物線状の分布を持つロールギャップが得られる。
Figure 2019087284
また、このときのバックアップロール端位置におけるロール1本あたりの等価ロールクラウンCeqはバックアップロールの胴長をLとして、次式で表される。
Figure 2019087284
本発明における摩耗分散を適用する場合には、以下に示すように、プロセス計算機12の設定計算において、y(x)がy(x)と等価になるように、δ,δ,δが計算される。これらに基づいて、コントローラー13はワークロールシフト装置(29T,29B)及び圧下装置(26WS,26DS)を操作する。
(処理フロー)
図8は、実施の形態1に係る制御設備10において所定の制御周期毎に実行される処理のフローチャートである。プロセス計算機12の設定計算は、上位計算機11から受信した圧延命令に従って実行される。
まず、ステップS100において、逆方向シフト量計算部12aは、圧延スタンド出側における被圧延材20の板クラウンおよび平坦度を許容範囲内とする上ワークロール21Tおよび下ワークロール21Bの逆方向シフト量を計算する。具体的には、逆方向シフト量計算部12aは、目標とする出側クラウンを得るように式(4)により逆方向シフト量δを計算する。
次に、ステップS110において、同一方向シフト量計算部12bは、一対のワークロールの摩耗を分散させる上ワークロール21Tおよび下ワークロール21Bの同一方向シフト量を計算する。摩耗分散効果が得られるような同一方向シフト量δを計算する方法には、軸方向のロール径分布が2次関数で表されるワークロール(可変クラウンでない通常のロール)について、従来から適用されている逆方向シフトによる摩耗分散方法と同じ方法を用いることができる。
例えば、次のような単純な方法でも良好な効果が得られる。この方法では、予めδの最大値δ MAX、最小値δ MIN、1コイルあたりの変化量δ STEP、及び、ロール替え後の初期値δ を定数として与えておく。ロール替え時にδ=δ とし、以降、1コイル圧延する毎にδをδ STEPずつ変化させる。δがδ MAX、又は、δ MINに到達すると、δ STEPの正負を反転させる。これを次のロール替えまで継続する。
この結果、図9に示すような三角波状の同一方向シフトパターンが設定される。横軸はロール交換後の圧延本数で、通常の材質のロールでは、最大50〜100コイル程度である。
また、上記の方法において、ロール替え後の圧延本数に応じて、δ MAX、δ MIN、及び、δ STEPを変更してもよい。例えば、圧延計画として、最初のコイル10本程は幅狭な製品から幅広な製品へ移行し、その後は徐々に生じる摩耗に併せて、形状制御が容易な幅狭な製品に移行する場合には、図11に示すような同一方向シフトパターンが設定される。
あるいは、複数の被圧延材20についての圧延計画に基づいて予測した一対のワークロールの摩耗形状を、目標摩耗形状に近づけるように、被圧延材20毎に同一方向シフト量を変化させてもよい。具体的には、ロール替え時などに、上位計算機から受信した圧延命令に基づき、滑らかな曲線で表される目標摩耗形状を決めておく。そして、各被圧延材20を圧延する際に、圧延荷重実績値から推定した当該ワークロールの摩耗実績値を目標摩耗形状に近づけるように、同一方向シフトパターンを決める。
上述のようにδを決めた後、ステップS120において、圧下位置差計算部12cは、同一方向シフト量に基づいて被圧延材20の幅両端部のロールギャップ差を0に近づける圧下装置の圧下位置差を計算する。具体的には、圧下位置差計算部12cは、次式を満たす圧下位置差δを計算する。
Figure 2019087284
つまり、式(15)に式(12)、(13)を代入し、次式によりδを計算する。
Figure 2019087284
このとき、式(7)、(8)、(10)より、上ワークロールシフト量δと下ワークロールシフト量δは次のように表される。
Figure 2019087284
Figure 2019087284
なお、式(14)を式(16)に代入すると、次式が得られる。
Figure 2019087284
ここまで、ワークロールの軸方向のロール径分布が3次式で表せる場合について述べたが、三角関数やより高次の関数により、3次曲線と類似の曲線で表されるロール径分布を有するワークロールを用いてもよい。等価ロールクラウンを変化させる構成の圧延設備においては、バックアップロール端位置におけるロール1本あたりの等価ロールクラウンCeqを同様に計算した後、式(19)を用いて同様にδ、δ、δを算定することができる。
図9に示すように同一方向シフトを行った場合、圧下位置は式(19)に従い、図10のように変更される。図11に示すように同一方向シフトを行った場合、圧下位置は式(19)に従い、図12のように変更される。
なお、同一方向シフトを行うと、圧延機幅方向中央における上下ワークロールの間隙(ギャップ)が変化するので、ワークサイドとドライブサイドの両方の圧下位置を同時に次のように変更する必要がある。圧下位置の変化量δ(ワークサイド、ドライブサイド共通)は次式で得られる。
Figure 2019087284
したがって、摩耗分散によるワークサイドの圧下位置変更量ΔSWS、及び、ドライブサイドの圧下位置変更量ΔSDSは、次のように得られる。
Figure 2019087284
Figure 2019087284
なお、ロールカーブ及び同一方向シフト量にもよるが、δは通常10マイクロメートル未満なので、必要とする製品精度によっては、式(21)、(22)の補正を省略しても構わない場合もある。
以上のようにプロセス計算機12における設定計算により、y(x)がy(x)と等価になるようにδ,δ,δが計算される。ステップS130において、コントローラー13は、逆方向シフト量δおよび同一方向シフト量δの合算値に基づいてワークロールシフト装置(29T,29B)に上ワークロール21Tおよび下ワークロール21Bをそれぞれシフトさせると共に、圧下位置差δに基づいて圧下装置(26WS,26DS)にワークサイド圧下位置およびドライブサイド圧下位置を変更させる。
以上説明したように、図8に示す処理フローによれば、必要とされる等価ロールクラウンを得るための逆方向シフトと摩耗分散のための同一方向シフトとを併用する際に生じる、被圧延材の幅両端部のロールギャップ差を打ち消すことができる。そのため、等価ロールクラウンを維持したままワークロールの摩耗を分散させることができる。
(ハードウェア構成例)
図13は、上述したプロセス計算機12が有する処理回路のハードウェア構成例を示す概念図である。上述した逆方向シフト量計算部12a、同一方向シフト量計算部12b、圧下位置差計算部等12cはプロセス計算機12が有する機能の一部を示し、各機能は処理回路により実現される。一態様として、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ91と少なくとも1つのメモリ92とを備える。他の態様として、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア93を備える。
処理回路がプロセッサ91とメモリ92とを備える場合、各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、メモリ92に格納される。プロセッサ91は、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
処理回路が専用のハードウェア93を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、又はこれらを組み合わせたものである。各機能は処理回路で実現される。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、制御に必要となる圧下位置差δを、同一方向シフト量に基づいて式(16)又は(19)により計算できる。しかし、実際の圧延では、圧下位置差に制約がある場合がある。例えば、板厚が小さい場合に、圧下位置差を大きくすると、上下のカーブロールの幅方向端部が接触するおそれがある。また、応答性を高めるため圧下装置(26WS,26DS)の油圧シリンダーの長さを短くしている場合には、油圧シリンダーの可動範囲が不足する場合もある。
そこで、実施の形態2では、このような場合に、同一方向シフト量および逆方向シフト量の両方を変更してワークロールの摩耗を分散する。すなわち、同一方向シフト量を減らし、逆方向シフト量の一部を、一対のワークロールの摩耗分散のための振替シフト量として用いる。このとき、摩耗分散のための逆方向シフト量の変更により、当該圧延スタンド出側の板クラウンが変化する。そのため、振替シフト量による前記板クラウンの変化分を打ち消すように、ワークロールベンダー30にベンディング力を変化させる。
例えば、次のように振替係数βを導入し、製品の寸法等に応じてβを変更するようにする。
Figure 2019087284
Figure 2019087284
ここで、δは式(16)または(19)による同一方向シフト量、δ’ は振替後の同一方向シフト量、δは摩耗分散を行わないとした場合のシフト量、δ’ は振替後の逆方向シフト量である。
このとき、ベンディング力を次のように補正する。
まず、式(3)を次のように変形し、逆方向シフト量への振替による当該圧延スタンドの等価ロールクラウンの変化ΔCeqを計算する。
Figure 2019087284
式(1)より、当該圧延スタンドのロールクラウンの変化を打ち消すためのベンダー補正量は次のように表される。これを用いて、当該圧延スタンドのベンディング力を補正する。
Figure 2019087284
ここで、Fは摩耗分散を行わないとした場合のベンディング力、F’ は振替後のベンディング力である。
なお、この振替処理によっても、シフト量、又は、ベンディング力が許容範囲を超える場合には、式(23)のδを減少させた上で、式(23)〜(26)の演算を再計算するようにする。
例えば、上ロールのシフト量が機械的なシフト量の上限を超えた場合には、次のように修正する。
Figure 2019087284
ここで、δ は修正前の同一方向シフト量、δは修正後の同一方向シフト量、δ は修正前の上ワークロールシフト量、δ MAXは機械的な上ワークロールシフト量の上限である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1 圧延設備
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 仕上圧延機
5 ランアウトテーブル
6 コイラー
7 ローラーテーブル
10 制御設備
11 上位計算機
12 プロセス計算機
12a 逆方向シフト量計算部
12b 同一方向シフト量計算部
12c 圧下位置差計算部
13 コントローラー
20 被圧延材
21T、21B 上ワークロール、下ワークロール
22T、22B 上バックアップロール、下バックアップロール
23T、23B 上スピンドル、下スピンドル
24T、24B 上ワークロールチョック、下ワークロールチョック
25T、25B 上バックアップロールチョック、下バックアップロールチョック
26WS、26DS ワークサイド圧下装置、ドライブサイド圧下装置
27WS、27DS ワークサイドロードセル、ドライブサイドロードセル
28WS、28DS ワークサイド位置検出器、ドライブサイド位置検出器
29T、29B 上ワークロールシフト装置、下ワークロールシフト装置
30 ワークロールベンダー
41〜47 圧延スタンド
81〜84 センサー
91 プロセッサ
92 メモリ
93 ハードウェア
δ 逆方向シフト量
δ 同一方向シフト量
δ 圧下位置差

Claims (8)

  1. 被圧延材を圧延する圧延スタンドのロール摩耗分散方法であって、
    前記圧延スタンドは、
    軸方向のロール径分布が3次以上の多項式で表されるように研削された上ワークロールおよび下ワークロールを対向させた一対のワークロールと、
    前記上ワークロールおよび前記下ワークロールをそれぞれ軸方向にシフトさせるワークロールシフト装置と、
    ワークサイド圧下位置およびドライブサイド圧下位置を変えることにより、前記一対のワークロールのワークサイドのロールギャップおよびドライブサイドのロールギャップを変える圧下装置と、を備え、
    前記ロール摩耗分散方法は、
    前記圧延スタンド出側における前記被圧延材の板クラウンおよび平坦度を許容範囲内とする前記上ワークロールおよび前記下ワークロールの逆方向シフト量を計算すること、
    前記一対のワークロールの摩耗を分散させる前記上ワークロールおよび前記下ワークロールの同一方向シフト量を計算すること、
    前記同一方向シフト量に基づいて前記被圧延材の幅両端部のロールギャップ差を0に近づける前記圧下装置の圧下位置差を計算すること、
    前記逆方向シフト量および前記同一方向シフト量の合算値に基づいて前記ワークロールシフト装置に前記上ワークロールおよび前記下ワークロールをそれぞれシフトさせると共に、前記圧下位置差に基づいて前記圧下装置に前記ワークサイド圧下位置および前記ドライブサイド圧下位置を変更させること、
    を特徴とする圧延スタンドのロール摩耗分散方法。
  2. 前記圧下位置差は、前記同一方向シフト量を含む次式から算出されることを特徴とする請求項1記載の圧延スタンドのロール摩耗分散方法。
    δ=−16×Ceq×LCYL/(L )×δ
    ここで、
    δは、前記圧下位置差、
    eqは、等価ロールクラウン、
    CYLは、前記ワークサイド圧下位置および前記ドライブサイド圧下位置の作用点間の間隔、
    は、バックアップロールの胴長、
    δは、前記同一方向シフト量である。
  3. 前記圧延スタンドは、前記一対のワークロールの両軸端にベンディング力を付与するワークロールベンダーをさらに備え、
    前記逆方向シフト量の一部を前記一対のワークロールの摩耗分散のための振替シフト量として用いること、
    前記振替シフト量による前記板クラウンの変化分を打ち消すように、前記ワークロールベンダーに前記ベンディング力を変化させること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の圧延スタンドのロール摩耗分散方法。
  4. 複数の前記被圧延材についての圧延計画に基づいて予測した前記一対のワークロールの摩耗形状を、目標摩耗形状に近づけるように、前記被圧延材毎に前記同一方向シフト量を変化させること、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の圧延スタンドのロール摩耗分散方法。
  5. 被圧延材を圧延する圧延システムであって、
    軸方向のロール径分布が3次以上の多項式で表されるように研削された上ワークロールおよび下ワークロールを対向させた一対のワークロールと、
    前記上ワークロールおよび前記下ワークロールをそれぞれ軸方向にシフトさせるワークロールシフト装置と、
    ワークサイド圧下位置およびドライブサイド圧下位置を変えることにより、前記一対のワークロールのワークサイドのロールギャップおよびドライブサイドのロールギャップを変える圧下装置と、
    前記一対のワークロールの出側における前記被圧延材の板クラウンおよび平坦度を許容範囲内とする前記上ワークロールおよび前記下ワークロールの逆方向シフト量を計算する逆方向シフト量計算部と、
    前記一対のワークロールの摩耗を分散させる前記上ワークロールおよび前記下ワークロールの同一方向シフト量を計算する同方向シフト量計算部と、
    前記同一方向シフト量に基づいて前記被圧延材の幅両端部のロールギャップ差を0に近づける前記圧下装置の圧下位置差を計算する圧下位置差計算部と、
    前記逆方向シフト量および前記同一方向シフト量の合算値に基づいて前記ワークロールシフト装置に前記上ワークロールおよび前記下ワークロールをそれぞれシフトさせると共に、前記圧下位置差に基づいて前記圧下装置に前記ワークサイド圧下位置および前記ドライブサイド圧下位置を変更させるコントローラーと、
    を備えることを特徴とする圧延システム。
  6. 前記圧下位置差は、前記同一方向シフト量を含む次式から算出されることを特徴とする請求項5記載の圧延システム。
    δ=−16×Ceq×LCYL/(L )×δ
    ここで、
    δは、前記圧下位置差、
    eqは、等価ロールクラウン、
    CYLは、前記ワークサイド圧下位置および前記ドライブサイド圧下位置の作用点間の間隔、
    は、バックアップロールの胴長、
    δは、前記同一方向シフト量である。
  7. 前記一対のワークロールの両軸端にベンディング力を付与するワークロールベンダーをさらに備え、
    前記逆方向シフト量の一部は、前記一対のワークロールの摩耗分散のための振替シフト量として用いられ、
    前記コントローラーは、前記振替シフト量による前記板クラウンの変化分を打ち消すように、前記ワークロールベンダーに前記ベンディング力を変化させること、
    を特徴とする請求項5又は6記載の圧延システム。
  8. 複数の前記被圧延材についての圧延計画に基づいて予測した前記一対のワークロールの摩耗形状を、目標摩耗形状に近づけるように、前記被圧延材毎に前記同一方向シフト量を変化させること、
    を特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の圧延システム。
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