JP2009183969A - 冷間圧延における圧延荷重の予測方法 - Google Patents

冷間圧延における圧延荷重の予測方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009183969A
JP2009183969A JP2008025406A JP2008025406A JP2009183969A JP 2009183969 A JP2009183969 A JP 2009183969A JP 2008025406 A JP2008025406 A JP 2008025406A JP 2008025406 A JP2008025406 A JP 2008025406A JP 2009183969 A JP2009183969 A JP 2009183969A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
arc length
contact arc
calculated
load
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008025406A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Sano
研一 佐野
Masayoshi Kobayashi
正宜 小林
Sadao Morimoto
禎夫 森本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2008025406A priority Critical patent/JP2009183969A/ja
Publication of JP2009183969A publication Critical patent/JP2009183969A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Metal Rolling (AREA)

Abstract

【課題】圧延荷重の算出に必要な接触弧長および変形抵抗を煩雑な計算処理を必要とせずに精度よく求め、ハイテンなどの高強度材を冷間圧延する際のミルセットアップに必要な圧延荷重を精度よく予測できる方法を提供することである。
【解決手段】オフラインの圧延機で圧下率を変えて、圧延中に噛み止めした板圧延材1の接触弧長Ldを2次元変位センサー2,2により測定し、この測定した接触弧長Ldmの、ロール扁平式から逆算した接触弧長Ldrからの偏差に基づいて、この逆算接触弧長Ldrを補正し、オフライン圧延機での圧延荷重から被圧延材の変形抵抗を逆算し、前記補正した逆算接触弧長Ldsと逆算変形抵抗Kfrを用いて実機での圧延荷重を算出するようにした。それにより、実機冷間圧延におけるパススケジュールを適正化して、高荷重による形状不良や蛇行および絞りを防止することができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、ハイテンなどの高強度材を連続冷間圧延する際に、ミルセットアップに必要な圧延荷重の予測を精度よく行なう方法に関する。
連続式圧延機のミルセットアップにおいて、圧延荷重を正確に予測することは、高圧延荷重による絞りや蛇行を防止するために重要である。冷間圧延における圧延荷重Pは、一般に、以下の式(1)によって計算される。
P=B×Q×Kf×Ld------------------------------------------(1)
ここで、B:板幅、Q:圧下力関数(ロール−鋼板(被圧延材)間の荷重分布)、Kf:変形抵抗、Ld:ロール−鋼板間の接触弧長、板幅Bは、通常、実績値を用い、圧下力関数Q、変形抵抗Kf、接触弧長Ldは、それぞれのモデル式を用いて算出する。これらの因子の中、接触弧長Ldは、ロール半径Rおよび圧下量Δhを用いて、以下の式(2)で算出される。
Ld=√(R×Δh) --------------------------------------------(2)
上式のロール半径Rの算出には、従来から、Hitchcockの式と呼ばれるロール扁平半径を求める式が一般に用いられているが(非特許文献1参照)、このロール扁平式は、ハイテンなどの高強度材の圧延や、低圧下率や板厚が薄くかつ摩擦係数が大きい圧延時には、誤差が多いことが知られている。したがって、このような圧延条件の場合には、予測圧延荷重の誤差も大きくなる。
また、例えば、タンデム式冷間圧延機の最終スタンドに、ロール表面粗さを粗くしたダルロールを使用する場合には、被圧延材の板厚が薄い上に、摩擦係数が大きく圧延荷重が高くなるため、従来の板圧延理論が成立しない領域で圧延が行なわれることになる。このような場合でも、圧延荷重を精度よく予測するため、本出願人は、ダルロールを使用した最終スタンドでの種々の圧延条件について求めた補正係数βを用いてロール扁平半径R’を補正し、この補正したロール扁平半径R’cの式と圧延荷重式を連立させて最終スタンドの圧延荷重を算出する圧延荷重の予測方法を開示した(特許文献1参照)。また、精度の高い圧下位置のセットアップを行なうために、圧延機に設けたワークロール間の接触長測定装置でワークロール接触長を測定し、この実測接触長を用いて圧延荷重の補正係数を算出し、圧延荷重の計算式を補正する圧延機における適応制御方法が開示されている(特許文献2参照)。
特開2006−055881号公報 特開昭62−234608号公報
しかし、特許文献1に開示された圧延荷重の予測方法では、補正係数βを、予め種々の圧延条件に対して厳密な数値計算によって正しい圧延荷重を求めた後に、定式化する必要があるため、この定式化に煩雑な計算処理を要する。また、特許文献1に開示された圧延機の適応制御における圧延荷重の補正に用いられる接触長は、上下のワークロールと被圧延材との幅方向の接触長であり、ロールの周方向すなわち圧延方向の接触弧長Ldではない。
そこで、この発明の課題は、圧延荷重の算出に必要な接触弧長Ldおよび被圧延材の変形抵抗Kfを煩雑な計算処理を必要とせずに精度よく求め、これらの圧延因子を用いて、ハイテンなどの高強度材を連続冷間圧延する際のミルセットアップに必要な圧延荷重を精度よく予測できる方法を提供することである。
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
即ち、請求項1に係る冷間圧延における圧延荷重の予測方法は、圧延機で圧下率を変えて、圧延中に噛み止めした板圧延材の接触弧長Ldを変位センサーにより測定し、この測定した接触弧長Ldmと、入側板厚および出側板厚と圧延荷重を変数とするロール扁平式から逆算した接触弧長Ldrとの差から、この逆算接触弧長Ldrを補正し、前記オフライン圧延機で、圧下率を変えて測定した圧延荷重、入側および出側板厚、板幅と、圧延荷重式から被圧延材の変形抵抗を逆算し、前記補正した逆算接触弧長Ldsと逆算した変形抵抗Kfを用いて実機での圧延荷重を算出するようにした冷間圧延における圧延荷重の予測方法である。
このように、ロール扁平式から逆算される逆算接触弧長Ldrを、圧下率を変えて実測した接触弧長Ldmに基づいて補正しておけば、この補正した逆算接触弧長Ldsを用いて、ハイテンなどの高強度材の圧延や、低圧下率や板厚が薄くかつ摩擦係数が大きい圧延時などの、ロール扁平式に誤差が多い圧延条件の場合でも、接触弧長を精度よく求めることができる。また、圧下率を変えて歪量の異なる圧延条件での圧延荷重と被圧延材の形状寸法(圧延前後の板厚および板幅)と上記実測した接触弧長Ldmを用いて、圧延荷重式から変形抵抗を逆算することにより、被圧延材の変形抵抗、とくに引張り試験で付与できない歪量が20%を超える高歪域における変形抵抗を精度よく求めることができる。このようにして求めた逆算接触弧長Ldsと逆算変形抵抗Kfrを用いて圧延荷重を算出することにより、実機圧延における圧延荷重の予測精度が従来よりも向上する。上記圧延機としては、作業性などの面から、オフライン(実験)圧延機を用いることが望ましい。
請求項2に係る冷間圧延における圧延荷重の予測方法は、前記変位センサーが2次元変位センサーであり、前記噛み止めした板圧延材の上下両側から板厚プロフィールを測定し、この板厚プロフィールから板厚の微小時間または圧延方向の微小間隔における勾配を算出し、この勾配がゼロから負の値に移行する位置をロールとの接触開始位置とし、負の値からゼロに移行する位置をロールとの接触終了位置として、この位置間を板厚が変化している測定した接触弧長Ldmと見なして、前記補正した逆算接触弧長Ldsを求め、この逆算接触弧長Ldsを用いて、以下の式(1a)に示す圧延荷重式により実機での圧延荷重Pfを算出するようにした請求項1に記載の冷間圧延における圧延荷重の予測方法である。
Pf=Q×Kfr×B×Lds --------------------------------(1a)
ここで、Q:圧下力関数、Kfr:変形抵抗、B:板幅
このように、2次元変位センサーを用いて板厚プロフィールを測定すれば、板幅方向および圧延方向(長手方向)の板厚分布を精度よく測定することができ、この板厚分布から、板厚勾配がゼロから負側、および正側に変化する位置をそれぞれ検出することにより、実際の接触弧長を簡便に精度よく実測することができる。この実測接触弧長Ldmに基づいて、ロール扁平式から逆算される逆算接触弧長Ldrを精度よく補正することができ、この補正した逆算接触弧長Ldsを用いることにより、圧延荷重の予測精度が向上する。なお、上記圧下力関数Qは、例えば、式(1b)に示すように、Hillの解(非特許文献1参照)などの、既存の圧延理論式を用いて算出することができる。
Q=1.08+1.79×r×(1.0-r)0.5×μ×(R’/h)0.5-1.02×r
----------(1b)
ここで、r:圧下率、μ:摩擦係数、R‘:扁平ロール半径、h;出側板厚、である。摩擦係数μは、鋼板の冷間圧延では、例えば、μ=0.03とするとよい。
日本鉄鋼協会編:板圧延の理論と実際(1984)、P.33,P.35
請求項3に係る冷間圧延における圧延荷重の予測方法は、前記ロール扁平式から逆算した接触弧長Ldrに対する前記測定した接触弧長Ldmの比を補正係数Cnとし、この補正係数Cnをロール扁平式から逆算した接触弧長Ldrに乗じて前記逆算接触弧長Ldsを求めるようにした請求項1または2に記載の冷間圧延における圧延荷重の予測方法である。
上記逆算接触弧長Ldrの補正係数Cnを、圧下率rなどの圧延条件に対して予め求めておけば、ロール扁平式に誤差が多い圧延条件の場合でも、精度よく逆算接触弧長Ldrを補正して、前記逆算接触円弧長Ldsを求めることができる。
この発明では、例えば、オフライン圧延機で圧下率を変えて、圧延中に噛み止めして変位センサーで測定した板圧延材の接触弧長Ldmを用いてロール扁平式から逆算した接触弧長Ldrを補正するようにしたので、ハイテンなどの高強度材の圧延や、低圧下率や板厚が薄くかつ摩擦係数が大きい圧延時など、ロール扁平式に誤差が多い圧延条件の場合でも、接触弧長Ldを精度よく求めることができる。また、前記オフライン圧延機で、圧下率を変えて測定した圧延荷重、入側および出側板厚、板幅と前記補正した逆算接触弧長Ldsと、圧延荷重式から被圧延材の変形抵抗を逆算するようにしたので、実機圧延と同様の圧縮応力場での変形抵抗K(=Kf)を、20%を超える高ひずみ領域に至るまで、精度よく求めることができる。このようにして求めた接触弧長Ld(=Lds)と逆算変形抵抗を用いて、圧延荷重式によって圧延荷重を算出することにより、実機圧延における圧延荷重の予測精度が従来よりも向上する。それにより、実機冷間圧延に対する適切なパススケジュールを作成して、高荷重による形状不良や蛇行および絞りを防止することができる。
以下に、この発明の実施形態を添付の図1から図8に基づいて説明する。
図1(a)は、例えば、オフライン圧延機で、圧下率を変えて圧延する過程で、圧延中に噛み止めした板圧延材、例えば鋼板1の接触弧長Ldの測定方法を示したものである。鋼板1を支持台(図示省略)に水平に載置し、この鋼板1の上下に、2次元変位センサーすなわち鋼板の長手方向および幅方向に測定が可能な、例えばレーザ変位計2、2が、垂直に照射方向を合致させて配置されている。このレーザ変位計2、2には、コントローラ3を介してモニター4が接続され、このコントローラ3により、レーザ変位計2のレーザ照射条件が制御され、板厚測定データが取り込まれ、そして図1(b)に一例を示すように、モニター4に鋼板1の板厚分布が表示されるようになっている。図1(b)で、板厚が急激に減少している領域がロールとの接触弧長Ldである。図2(a)および(b)は、鋼板1が軟鋼板(MS)およびハイテン鋼板(980MPa級)の場合の、前記噛み止めサンプルの板厚分布を、2次元レーザ変位2、2により測定した板厚分布データの一例を示すものである。図2(c)および(d)は、コントローラ3に取り込んだ図2(a)および(b)に示した板厚分布のデータから、圧延(X)方向の微小間隔における板厚(h)勾配G(1次微分dh/dx)を算出した結果を示したものである。同図から、この勾配Gがゼロから負の値に移行する位置すなわちロールバイト入側における勾配線がゼロを切る最も内側(ロールバイト側)の位置C1、および勾配Gが負の値からゼロに移行する位置すなわちロールバイト出側における勾配線がゼロを切る最も内側(ロールバイト側)の位置C2を判定することができる。そして、これらの位置C1(ロールとの接触開始位置に相当)とC2(ロールとの接触終了位置に相当)C2間の距離を接触弧長の実測値Ldmとすることができる。なお、前記2次元変位センサーとしては、必ずしもレーザ変位計に限るものではなく、接触方式や超音波方式など、2次元の板厚プロフィールが得られる変位センサーも用いることができる。
入側板厚および出側板厚と圧延荷重を変数とするロール扁平式として、扁平ロール半径R’が式(2)および式(2a)で表されるHitchcockの式(非特許文献2参照)を用いることができる。
R’=R×(1+C×P/(B×Δh))-------------------------(2)
=16(1−ν)/πE ------------------------------------(2a)
ここで、R:初期のロール半径、P:圧延荷重、B:板幅、Δh:圧下量(入側板厚H−出側板厚h)、ν:ポアソン比 E:ヤング率、である。前記接触弧長Ldは、ロール半径をRとすれば、Ld=√(R×Δh)で求めることができ、冷間圧延では、通常ロール扁平を生じているため、ロール半径Rに扁平ロール半径R’を代入すると、この扁平ロール半径R’に対応する前記接触弧長Ldrは、
Ldr=√(R’×Δh)-----------------------------------------(3)
また、上記式(3)のLdrに、前記の測定した接触弧長Ldmを代入すると、以下の式(4)により、実測接触弧長Ldmに対応した実際の扁平ロール半径R’aが得られる。
R’a=(Ldm)/Δh --------------------------------------(4)
前記の測定した接触弧長Ldmの、この接触弧長Ldmと同じ圧延条件で、式(3)により算出した接触弧長Ldrに対する比をCnとすると、このCnは、ロール扁平式を用いて算出した接触弧長Ldrからの偏差を補正する接触弧長の補正係数となる。
Cn=Ldm/Ldr---------------------------------------------(5)
したがって、前記の扁平ロール半径R’を用いて算出した接触弧長Ldrと式(5)の補正係数Cnを用いて、実機圧延における圧延荷重の算出(予測)に用いる、前記補正した逆算接触弧長Ldsは、式(6)によって求めることができる。
Lds=Cn×Ldr---------------------------------------------(6)
この補正した逆算接触弧長Lds、実測した圧延荷重P、板幅Bおよび圧下力関数Qを式(1a)を変形した式(7)に代入することにより、変形抵抗K(=Kfr)を逆算することができる。
Kfr=P/(Q×B×Lds)-----------------------------------(7)
板厚等の圧延設定条件に対して、式(6)により求めた、補正した逆算接触弧長Lds、および式(7)により求めた逆算変形抵抗Kfr(Kf=Kfr)を式(1)に代入すると、前記圧延設定条件に対する圧延荷重Pfを予測することができる。図3に、上記の補正した逆算接触弧長Lds(S10〜S50)および逆算変形抵抗Kfr(S60、S70)を求めて、圧延設定条件に対する圧延荷重Pf(S80)を予測する手順を示した。なお、接触弧長を実測するため噛み止めした板圧延材(サンプル)の作製は、必ずしもオフライン圧延機を用いて行なう必要はなく、実機で作製することもできる。また、板圧延材は、必ずしも鋼板に限るものではなく、アルミニウムや銅などの非鉄板圧延材にも適用が可能である。
オフラインの2Hi圧延機(実験圧延機;ロール直径255mm)で、素材(被圧延材)として、熱延のままの軟鋼板(板厚4.0mm×板幅50mm×長さ300mm)およびハイテン材(板厚2.3mm×板幅50mm×長さ300mm)を用い、表1に示す設定圧下率(1パス圧延の場合)または設定板厚スケジュール(多パス圧延の場合)で、冷間圧延を実施した。圧延された板材の板厚分布(入側および出側厚さを含む)を、図1に示したように、2次元のレーザ変位計2、2で測定した。また、圧延荷重は前記圧延機に組み込んだ荷重計により測定した。
Figure 2009183969
図4は、板厚分布から、図2(a)、(b)および(c)、(d)に示したようにして、実測接触弧長Ldmを求めて、ロール扁平式(Hitchcock の式)(2)および式(2a)を用いて、式(3)から算出した接触弧長Ldrに対してプロットしたものである。また、図5は、前記式(4)により算出した実際のロール扁平半径R’aを、前記式(2)および式(3)のロール扁平式(Hitchcockの式)により算出した扁平ロール半径R’に対してプロットしたものである。図4から、軟鋼板(MS)では、1パス圧延材および多パス圧延材ともに、実測接触弧長Ldmは、扁平ロール半径R’を用いて式(3)により算出した接触弧長Ldrとほぼ一致している。しかし、ハイテン材の、とくに多パス圧延では、板材(被圧延材)の加工硬化の程度が大きくなるため、実測接触弧長Ldmは、ロール扁平式から算出した接触弧長Ldrよりも10%以上小さくなっている。同様に、図5から、実際の扁平ロール半径R’aは、ロール扁平式(Hitchcock の式)(2)および式(2a)を用いて算出した扁平ロール半径R’よりも小さくなっている。このことは、ハイテン材などの高強度材の多いパス圧延には、ロール扁平式(Hitchcock の式)によって算出される扁平ロール半径R’には、誤差が多いことを顕している。
図6(a)および(b)は、表1に示した軟鋼板およびハイテン材から切り出した引張り試験片(JIS5号試験片)を用いて、引張り速度10mm/sで実施した引張り試験結果から求めた変形抵抗kt、および式(7)に接触弧長として補正した接触弧長(逆算接触弧長)Ldsを用いた場合を示したように、圧延荷重から逆算した、被圧延材の変形抵抗を、全圧下率rw(%)に対してプロットしたものである。軟鋼材(MS)の場合には、接触弧長として逆算接触弧長Ldsを用いて、式(7)に示したように、圧延荷重Pから逆算した変形抵抗kf(=Kfr)と、扁平ロール半径R’に対応する前記接触弧長Ldrを用いて逆算した変形抵抗kfはよく一致しており、実機圧延での圧延荷重Pと、前記式(3)の扁平ロール半径R’に対応する接触弧長Ldrを用いて逆算した変形抵抗kfaも含めて、引張り試験結果から求めた変形抵抗ktとほぼ一致している。これに対して、ハイテン材の場合には、逆算接触弧長Ldsを用いて逆算した変形抵抗kf(=Kfr)は、扁平ロール半径R’に対応する接触弧長Ldrを用いて逆算した変形抵抗kfよりも小さく、同様に、実機圧延での圧延荷重Pと、この扁平ロール半径R’に対応する接触弧長Ldrを用いて逆算した変形抵抗kfaよりも小さく、前記逆算接触弧長Ldsを用いて逆算した変形抵抗kf(=Kfr)の方が引張り試験結果から求めた変形抵抗ktとはよく一致している。このことは、少なくともハイテンなどの高強度材の圧延では、圧延荷重の算出に、接触弧長Ldとして、式(3)に示した、扁平ロール半径R’に対応する接触弧長Ldrを用いると、計算誤差すなわち予測誤差が大きくなること、および接触弧長Ldとして実測接触弧長Ldmを取り入れた補正係数Cn(式(5))を掛けて算出した逆算接触弧長Ldsを用いることにより、前記誤差が大幅に減少することを示している。
図7は、上記オフライン圧延機によるハイテン材の冷間圧延の結果から、式(5)に示した、接触弧長の補正係数Cn(=Ldm/Ldr)を、全圧下率rwに対してプロットしたものである。補正係数Cnは、全圧下率rwが大きくなるほど小さくなる傾向にあり、全圧下率rwに対して、図中に示したように、直線で近似することができる。
図8は、前記測定した接触弧長Ldmに対して、ロール扁平式(Hitchcock の式)式(2)および式(2a)を用いて算出した接触弧長Ldrに前記補正係数Cnを乗じて求めた逆算接触弧長Ldsをプロットしたものである。図8から、軟鋼材はもとより、ハイテン材においても、実測接触弧長Ldmと計算接触弧長Ldrは、およそ±10%の精度でよく一致している。したがって、上述の補正した逆算接触弧長Ldsと逆算した変形抵抗Kfrを用いて、実機における圧延荷重Pfを精度よく算出すなわち予測することが可能である。なお、前記オフライン圧延機での冷間圧延結果から求めた逆算変形抵抗Kfrは、鋼種毎に、圧下率rなどの圧延条件に対してテーブル値化または数式化し、前記補正係数Cnとともに、実機冷間圧延工程を制御するプロセスコンピュータの記憶装置に格納し、実機圧延条件設定時に、迅速に引き出せるようにすることができる。
(a)圧延中に噛み止めした板材の接触弧長の測定方法を模式的に示す説明図である。(b)板厚測定結果の一例を示す説明図である。 (a)、(b)試験圧延材(軟鋼板、ハイテン材)の板厚測定データの一例を示す説明図である。(c)、(d)板厚測定データの圧延方向の一次微分(勾配)を示す説明図である。 補正した接触弧長Ldsおよび逆算変形抵抗Kfrを求めて、圧延荷重Pfを予測する手順を示す説明図である。 計算接触弧長(Ldr)と実測接触弧長Ldmとを比較した説明図である。 計算扁平ロール半径(R’)と、実測接触弧長Ldmを用いて算出した扁平ロール半径R’aとを比較した説明図である。 (a)、(b)軟鋼板およびハイテン材の、全圧下率に対して、引張り試験による変形抵抗と、圧延荷重から逆算した変形抵抗を比較した説明図である。 全圧下率rwに対する接触弧長の補正係数Cn(=Ldm/Ldr)の変化を示す説明図である。 実測接触弧長Ldmと、補正係数Cnを乗じて求めた逆算接触弧長Ldsとを比較した説明図である。
符号の説明
1:鋼板 2:2次元変位センサー 3:コントローラ
4:モニター

Claims (3)

  1. 圧延機で圧下率を変えて圧延中に噛み止めした板圧延材の接触弧長Ldを変位センサーにより測定し、この測定した接触弧長Ldmの、入側板厚および出側板厚と圧延荷重を変数とするロール扁平式から逆算した接触弧長Ldrからの偏差に基づいて、この逆算接触弧長Ldrを補正し、前記圧延機で圧下率を変えて測定した圧延荷重、入側および出側板厚、板幅と、圧延荷重式から被圧延材の変形抵抗を逆算し、前記補正した逆算接触弧長Ldsと逆算した変形抵抗Kfrを用いて実機での圧延荷重を算出するようにした冷間圧延における圧延荷重の予測方法。
  2. 前記変位センサーが2次元変位センサーであり、前記噛み止めした板圧延材の上下両側から板厚プロフィールを測定し、この板厚プロフィールから板厚の微小時間または圧延方向の微小間隔における勾配を算出し、この勾配がゼロから負の値に移行する位置をロールとの接触開始位置とし、負の値からゼロに移行する位置をロールとの接触終了位置として、この位置間を板厚が変化している測定した接触弧長Ldmと見なして、前記補正した逆算接触弧長Ldsを求め、この逆算接触弧長Ldsを用いて、以下の式(1a)に示す圧延荷重式により実機での圧延荷重Pfを算出するようにした請求項1に記載の冷間圧延における圧延荷重の予測方法。
    Pf=Q×Kf×B×Lds ----------------------------------(1a)
    ここで、Q:圧下力関数、Kf:変形抵抗、B:板幅
  3. 前記ロール扁平式から逆算した接触弧長Ldrに対する前記測定した接触弧長Ldmの比を補正係数Cnとし、この補正係数Cnをロール扁平式から逆算した接触弧長Ldrに乗じて前記逆算接触弧長Ldsを求めるようにした請求項1または2に記載の冷間圧延における圧延荷重の予測方法。
JP2008025406A 2008-02-05 2008-02-05 冷間圧延における圧延荷重の予測方法 Pending JP2009183969A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008025406A JP2009183969A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 冷間圧延における圧延荷重の予測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008025406A JP2009183969A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 冷間圧延における圧延荷重の予測方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009183969A true JP2009183969A (ja) 2009-08-20

Family

ID=41067781

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008025406A Pending JP2009183969A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 冷間圧延における圧延荷重の予測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009183969A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112487700A (zh) * 2020-09-15 2021-03-12 燕山大学 一种基于nsga与felm的冷轧轧制力预测方法
JP2022059387A (ja) * 2020-10-01 2022-04-13 Jfeスチール株式会社 板厚制御方法、板材の製造方法および板厚制御装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112487700A (zh) * 2020-09-15 2021-03-12 燕山大学 一种基于nsga与felm的冷轧轧制力预测方法
CN112487700B (zh) * 2020-09-15 2022-04-19 燕山大学 一种基于nsga与felm的冷轧轧制力预测方法
JP2022059387A (ja) * 2020-10-01 2022-04-13 Jfeスチール株式会社 板厚制御方法、板材の製造方法および板厚制御装置
JP7298578B2 (ja) 2020-10-01 2023-06-27 Jfeスチール株式会社 板厚制御方法、板材の製造方法および板厚制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4847111B2 (ja) 多段式圧延機及び多段式圧延機の制御方法
JP5811051B2 (ja) 金属板の冷間圧延方法及び金属板の製造方法
JP4990747B2 (ja) 調質圧延方法
JP2009183969A (ja) 冷間圧延における圧延荷重の予測方法
JP2007283320A (ja) 冷間タンデム圧延機
JP5141839B2 (ja) T形鋼の製造方法および圧延設備
KR100758237B1 (ko) 연속압연기에서의 고강도 초극박재 엣지 드롭 제어 방법
JP4927008B2 (ja) 金属ストリップの変形抵抗予測方法および冷間タンデム圧延機のセットアップ方法
JP4266185B2 (ja) 熱間仕上圧延方法および熱間仕上圧延材
JP2008043967A (ja) 熱間圧延における板形状の制御方法
JP2007203303A (ja) 冷間圧延における形状制御方法
JP5353029B2 (ja) 冷延鋼板の製造方法
JP2008254026A (ja) プレス成形性に優れた高張力金属ストリップの製造方法
JP2019055415A (ja) 板クラウン制御方法、板クラウン制御装置、及び鋼板の製造方法
JP2018158365A (ja) 熱間圧延方法及び熱間圧延装置
JP4962319B2 (ja) 鋼帯の調質圧延方法
JP2017006941A (ja) ローラーレベラの零点調整方法
JP2007268566A (ja) 冷間圧延における形状制御方法
JP2006110588A (ja) 板厚・形状制御方法
TW201831241A (zh) 用於軋延金屬條之方法與裝置
JP2005125407A (ja) 調質圧延機における形状制御方法
JP6743835B2 (ja) 形鋼の圧延方法及び形鋼の圧延におけるレベリング量の調整方法
JP2008043977A (ja) 金属板の熱間圧延方法
JP4402570B2 (ja) 板プロファイル制御装置
JP6685785B2 (ja) 冷間圧延における形状制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110408

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110411

A072 Dismissal of procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072

Effective date: 20111018