JP2008043977A - 金属板の熱間圧延方法 - Google Patents

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純一 舘野
Futoshi Goto
太 後藤
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嘉徳 岩崎
Takeshi Otani
剛 大谷
Tatsuya Jinnai
達也 陣内
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Abstract

【課題】被圧延材の板厚プロフィルが幅方向に非対称な場合、また、圧延機の作業側と駆動側での弾性変形量に差がある場合でも、被圧延材の蛇行の発生を抑制する。
【解決手段】粗圧延後の被圧延材1の作業側と駆動側の板厚差を測定し、仕上圧延機18の第1圧延機F1で圧延後の板厚プロフィルが、作業側と駆動側とで線対称となることを目標に、第1圧延機F1の作業側と駆動側の上下のワークロール2の間隙の差を調整するとともに、第1圧延機F1の入側のサイドガイド182によって被圧延材1の幅中央が熱間圧延ライン100の中央に一致することを目標に案内しながら、第1圧延機F1で被圧延材1の先端を圧延開始し、それ以降の各圧延機F2〜F7では、作業側と駆動側とで実質的に等しいワークロールの間隙に調整するとともに、被圧延材1の先端を圧延開始し、以降、被圧延材1の尾端が該仕上圧延機18の最終圧延機F7を抜けるまで、圧延を継続する。
【選択図】図11

Description

本発明は、熱間圧延ラインにおける仕上圧延機での、被圧延材である金属板の熱間圧延方法に係る。特に、被圧延材の先端を仕上圧延機の各圧延機で圧延開始する時、あるいは被圧延材の中間ないし尾端を圧延中に、蛇行するのを抑制するための、圧延機の作業側と駆動側とでの、ワークロールの間隙の差を設定、調整する方法に関する。
熱間圧延とは、金属材料を数百〜千数百℃に加熱した後、熱間圧延ライン上に抽出し、一対または複数対のロールで挟圧しつつ、そのロールを回転させることで、薄く延ばすことをいう。図11(a)は、従来から多くある熱間圧延ライン100の一例を示す。
加熱炉10により数百〜千数百℃に加熱された、厚み150〜300mmの金属材料(以下、被圧延材)1は、粗圧延機12、仕上圧延機18により、厚み0.8〜25mmまで圧延されて金属板状に薄く延ばされる。
粗圧延機12は、図11(a)に示す熱間圧延ライン100の場合、R1、R2、R3の3基であるが、必ずしも基数はこれに限らない。1基だけのものや2基のもののほか、最も一般的なものは4基のものであり、基数の多いものだと6基のものまである。
最も一般的な4基のものの場合、4基のうち1機を往復圧延するものとし、残る圧延機が一方向圧延を行う3/4連続(スリークォータ)と呼ばれるタイプのものが多い。しかし、4機中3機が一方向のタイプに限らず、例えば図11(a)のように3機中1機が一方向のタイプも含め、3/4連続という。
粗圧延機12のすぐ上流に幅プレス9を設置したものもある。仕上圧延機18を構成する各圧延機(スタンド)の数は、図11(a)に示す熱間圧延ライン100の場合、F1〜F7の7基であるが、6基のものもある。
これら各種基数の違いはあるが、粗圧延機12は、往復圧延あるいは一方向圧延あるいは両者により、一般的に合計で6回あるいは7回の粗圧延を行なって、粗圧延後の被圧延材8を、それに続く仕上圧延機18に向け供給する。6回あるいは7回というように複数回圧延することを、6パスで圧延するとか7パスで圧延するともいう。
仕上圧延機18は、数百〜千数百℃の高温の被圧延材1を複数の圧延機で同時に圧延するタンデム圧延機の形式をとる。しかし、仕上タンデム圧延機ではなく、略して単に「仕上圧延機」と称されることが多い。2はワークロールである。
図11に示したごとく、仕上圧延機18で被圧延材を一本圧延し、しばらく時間的な間隔をおいて、次の被圧延材を圧延し、という一連の動作を繰り返し行う熱間圧延方法のことを、バッチ圧延という。
熱間圧延ライン100には、仕上圧延機18の各スタンド間を除いて、その他の圧延機(スタンド)間には、図示しない多数(百以上)のテーブルローラが設置されており、被圧延材1を搬送する。
ところで、先述のように数百〜千数百℃に加熱された高温の被圧延材1には、加熱炉10から抽出されたとき、その表裏面に酸化物の層(以下、スケール)が生成している。この他、圧延され薄く延ばされるとともに放熱により降温していく過程でも、被圧延材1は高温の状態で大気に曝されるため、新たなスケールが被圧延材1の表裏面に生成する。このため、粗圧延機12の中の各圧延機の入側には、ポンプからの供給圧にして10〜30MPa内外の高圧水を被圧延材1の表裏面に吹き付けてスケールを除去するデスケーリング装置16が設置され、スケールを除去している。
また、図示していないが、各ロールは、高温の被圧延材と接触するので、冷却水にて冷却される。
図11(a)において、14はクロップシャーであり、仕上圧延前に被圧延材8の先尾端のクロップ(被圧延材8の先尾端の、いびつな平面形状の部分)を切断除去し、仕上圧延機18にスムーズに噛み込みやすい略矩形の平面形状に整形する。
50は制御装置、70はプロセスコンピュータ、90はビジネスコンピュータである。
粗圧延機12、仕上圧延機18のうちの各圧延機の上下のワークロール2の間隙は、プロセスコンピュータ70内でデータとして持っている、各圧延機出側での被圧延材1の予定(所望)板厚に対し、圧延反力(圧延荷重)により圧延機ハウジングが伸びる分を予測計算した結果を、減算するように同プロセスコンピュータ70内で計算された上、各被圧延材1の先端を噛み込む(圧延開始する)直前(数秒〜二十秒内外前)のタイミングで、制御装置50を介して各圧延機に指令され、各圧延機の上下のワークロール2の間隙は設定、調整される。各ワークロール2の回転速度もプロセスコンピュータ70内で計算され、各被圧延材1の先端が噛み込む前に設定、調整される。
15は仕上入側温度計であり、仕上圧延前の被圧延材1の温度を測定し、仕上圧延機18に被圧延材1が噛み込む際の、ワークロール2の間隙その他の各種の設定(セットアップ)を、プロセスコンピュータ70内での計算により行なった結果に基づいて行なうための、その計算の起動の役割と、温度データの制御装置50とプロセスコンピュータ70への提供の役割と、を兼ねて果たす。
21は仕上出側温度計を示し、温度データを制御装置50とプロセスコンピュータ70に提供する役割を果たす。
22は仕上出側板厚計であり、板厚データを制御装置50とプロセスコンピュータ70に提供する役割を果たす。
23はランナウトテーブルと呼ばれる。仕上圧延後の被圧延材1を水冷する冷却ゾーンのテーブルローラ群である。
24はコイラーであり、冷却後の被圧延材1を巻き取る。
25はコイラー入側温度計を示し、温度データを制御装置50とプロセスコンピュータ70に提供する役割を果たす。
ところで、被圧延材である金属板の圧延においては、上下2本のワークロールをバックアップロールで支持したロール配置を持つ圧延機を用いて、バックアップロールの端部を支持するチョック部に油圧などで圧下力を付与して、金属板を圧延する。
ここで、図12に示した、金属板の圧延に一般的に用いられている4段の圧延機を模式的に示した正面図に従い、圧延機の構造について簡単に説明する。図12において、1は被圧延材である金属板、2a、2bは、上下のワークロール、3a、3bは、上下のバックアップロールである。4op、4drは、バックアップロールのチョック(軸受箱)であり、以下、添え字op、drは、それぞれ作業側および駆動側であることを示す。
ここで、駆動側とは、圧延ロールを回転駆動させるための、図示しない電動機と連結している側であり、作業側とは、駆動側と反対の側、すなわち作業員(オペレータ)のいる側であり、駆動側はドライブ側(dr側)とも、作業側はオペレータ側(op側)とも、それぞれ称されることがある。6op、6drは、バックアップロールチョック4op、4drを圧下する圧下装置であり、通常は、油圧シリンダーや電動スクリューなどが使用されている。7op、7drは、それぞれ作業側と駆動側の圧延機ハウジングである。
金属板を圧下するためには、圧下装置6op、6drによって、バックアップロールチョック4op、4drに圧下力を付与する。
このとき、圧下装置による操作量としては、上下ワークロールを密着させた状態をゼロとし、そこからの圧下装置の操作変更量をワークロールの間隙と定義する。このワークロールの間隙は、圧下位置とも称されることがある。
また、作業側および駆動側のワークロールの間隙をLop、Ldrと定義し、作業側と駆動側のワークロールの間隙の、圧下装置中心位置CL相当での差を、圧下レベリング量と定義する。
5op、5drは、作業側および駆動側に付与された圧延荷重を測定するためのロードセルである。
今、仮に、圧延機の作業側と駆動側の剛性が全く等しい場合を考えることにする。すると、被圧延材の板厚が作業側と駆動側で等しければ、作業側および駆動側のワークロールの間隙Lop、Ldrを同じに設定することで、金属板も作業側と駆動側で等しく圧下され、作業側および駆動側に作用する圧延荷重PopとPdrも等しくなる。しかしながら、圧延前の金属板において、作業側および駆動側で厚みが違っているような場合には、作業側および駆動側で等しくワークロールの間隙を設定すると、作業側と駆動側で被圧延材の圧下される量が異なる結果となり、更に、それによって、作業側と駆動側で被圧延材の長手方向の伸びが異なるため、被圧延材に曲がり(キャンバ)が発生し、次の圧延機で圧延する際の、ワークロールに対する被圧延材幅方向位置が変動して、被圧延材の蛇行が発生する。
一方、圧延機側の問題として、作業側と駆動側で剛性に差があると、仮に被圧延材の板厚や変形抵抗が幅方向に均一で、且つ、作業側と駆動側で同じワークロールの間隙を設定したとしても、圧延機の作業側と駆動側で弾性変形量に差が生じ、作業側と駆動側で被圧延材の圧下される量が異なるように圧延される結果、作業側と駆動側で長手方向の伸びが異なるようになり、被圧延材に蛇行が発生する。
被圧延材に蛇行が発生すると、仕上圧延機の後段圧延機にいくに従い、被圧延材の厚みが薄くなってきたときに、仕上圧延機18の部分を抜き出して拡大して示した図11(b)に示したサイドガイド182との接触によって被圧延材1の幅端部が折れ曲がったり、2枚重ねになってしまうようなトラブルが発生しやすくなる。図において、181はルーパである。
そのため、従来より、被圧延材に蛇行が発生するのを防止するための方法や装置が提案されてきた。
例えば、本出願人は、特許文献1で、圧延スタンド(圧延機)の入側と出側で測定した帯板(被圧延材である金属板)のウェッジ量(作業側と駆動側での板厚の差)を、幅中央での板厚で除したウエッジ比率について、圧延機の入側でのウェッジ比率と、出側でのウェッジ比率が、同一になることを目標に、圧延機の作業側と駆動側での圧下位置(ワークロールの間隙)の差を修正する方法を提案している。
また、特許文献2では、圧延機入側(仕上圧延機第1圧延機入側)および任意のスタンド(圧延機)の出側で被圧延材の蛇行量を検出し、該検出した蛇行量に基づいて、中心位置制御装置および圧下レベリング量の設定、調整を行う方法を提案している。
さらに、特許文献3では、粗圧延機の入側および出側に設置したサイドガイドで被圧延材を拘束し、圧延機の出側で測定したウェッジ量に基づき、ワークロールの圧下量を調整して圧延し、キャンバ(曲がり)とウェッジを同時に抑制する方法を提案している。
なお、後述の発明を実施するための最良の形態での説明中に登場してくる関係で、特許文献4について、ここで言及しておく。
特開平09−168810号公報 特許第3085212号公報 特許第3690282号公報 特開2006−189389号公報
前述したように、圧延前の被圧延材の板厚プロフィルが作業側と駆動側で非対称な場合、あるいは圧延機の作業側と駆動側で剛性が非対称な場合には、圧延時に、作業側と駆動側で被圧延材の圧下される量が異なる結果となり、作業側と駆動側で被圧延材の長手方向の伸びが異なるため、被圧延材に蛇行が発生する。
特許文献1の方法では、ある圧延機を挟んで被圧延材の入側ウェッジ比率と出側ウェッジ比率が同一になるように、その圧延機の作業側と駆動側の圧下位置(ワークロールの間隙)を設定することで、被圧延材の作業側と駆動側での長手方向の伸びを等しくして、蛇行の発生を抑えるものであるが、当然のことながら、最終的に得られる被圧延材の板厚プロフィルは、ウェッジを有するものであり、製品の品質としては不良になるという問題がある。
更に、圧下位置(ワークロールの間隙)の設定方法についても、作業側と駆動側での圧延機の剛性の違いに基づく、弾性変形量の差についての考慮が全くなされておらず、実際の圧延操業において、精度良く圧延機の作業側と駆動側での圧下位置(ワークロールの間隙)を設定することは困難であり、十分に蛇行を抑制できないという問題がある。
特許文献2の方法では、圧延中に実際に蛇行が発生してから制御を開始するわけであり、蛇行の抑制効果が限定的なものになるという問題がある。また、近年のように圧延速度の速い熱間圧延ラインでは、制御による出力の応答が追従できず、実際上適用不可能な場合もあるという問題もある。
特許文献3の方法では、熱間圧延ラインにおいて、被圧延材の蛇行によるトラブルが最も発生しやすい、仕上圧延機での、被圧延材の蛇行の抑制については、何ら提案していないという問題がある。
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、熱間圧延、特に、仕上圧延機で被圧延材を圧延する際に、仕上圧延機の入側における被圧延材の板厚プロフィルが幅方向に非対称な場合でも、また、作業側と駆動側での圧延機の剛性の違いに基づく、弾性変形量の差がある場合でも、被圧延材の蛇行の発生を抑制することが可能な、金属板の熱間圧延方法を提供することを目的とする。
発明者らは、仕上圧延機での被圧延材の蛇行の発生を抑制するために、蛇行の発生する最大の原因である作業側と駆動側での板厚差の影響、圧延機の作業側と駆動側での剛性の違いの影響、および仕上圧延機における各圧延機での被圧延材の蛇行の発生の状況について、鋭意研究を進めた結果、最適な圧延方法があることを見出し、本発明に想到したものである。
即ち、本発明は、まず、第一に、熱間圧延ラインにおける仕上圧延機で被圧延材である金属板を圧延するに際し、粗圧延後の被圧延材の作業側と駆動側の板厚差を測定し、仕上圧延機第1圧延機で圧延後の板厚プロフィルが、作業側と駆動側とで線対称となることを目標に、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整するとともに、該仕上圧延機第1圧延機入側のサイドガイドによって被圧延材の幅中央が熱間圧延ラインの中央に一致することを目標に案内しながら、該仕上圧延機第1圧延機で被圧延材の先端を圧延開始し、該仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機では、作業側と駆動側とで実質的に等しいワークロールの間隙に調整するとともに、被圧延材の先端を圧延開始し、以降、被圧延材の尾端が該仕上圧延機最終圧延機を抜けるまで、被圧延材の圧延を継続することを特徴とする金属板の熱間圧延方法である。
また、本発明は、第二に、第一の本発明において、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整するにあたって、粗圧延後に測定した被圧延材の板厚プロフィルを、仕上圧延機第1圧延機で圧延後に、作業側と駆動側とで線対称に矯正するのに必要な差荷重を予測し、更に、該差荷重によって生じる仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を予測し、予測した仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を補償すべく、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整することを特徴とする金属板の熱間圧延方法である。
更に、本発明は、第三に、第二の本発明において、仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の一つ以上について、作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整するにあたって、該仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を予測し、予測した該仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を補償すべく、該仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整することを特徴とする金属板の熱間圧延方法である。
本発明によれば、熱間圧延、特に仕上圧延機で被圧延材を圧延する際に、仕上圧延機の入側における被圧延材の板厚プロフィルが幅方向に非対称な場合でも、また、圧延機の作業側と駆動側での弾性変形量に差がある場合でも、被圧延材の蛇行の発生を抑制することが可能になる。また、最終的に得られる被圧延材の板厚分布にはウェッジはなく、良好な品質の製品を得ることができる。
本発明の熱間圧延方法について、以下に説明する。
本発明では、粗圧延後の被圧延材の作業側と駆動側の板厚差を測定し、仕上圧延機第1圧延機で圧延後の板厚プロフィルが、作業側と駆動側とで線対称となることを目標に、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整するとともに、該仕上圧延機第1圧延機入側のサイドガイドによって被圧延材の幅中央が熱間圧延ラインの中央に一致することを目標に案内しながら、該仕上圧延機第1圧延機で被圧延材の先端を圧延開始し、該仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機では、作業側と駆動側とで実質的に等しいワークロールの間隙に調整するとともに、被圧延材の先端を圧延開始し、以降、被圧延材の尾端が該仕上圧延機最終圧延機を抜けるまで、被圧延材の圧延を継続するが、これを具体的に図1他の図も交えながら説明する。
(第一の実施の形態)
まず、仕上圧延機第1圧延機も含め、各圧延機の作業側と駆動側での弾性変形量に差がない場合について、図1を用いて、被圧延材のウェッジ(作業側と駆動側での板厚差)について説明する。図1は、被圧延材である金属板1の概略断面図であり、駆動側の板厚Hdrの方が作業側の板厚Hopより厚い例である。このようにくさび形状の断面を有する金属板の板厚プロフィルをウェッジと称する。ここで、被圧延材である金属板1の板幅をWとし、また平均板厚をHとすると、ウェッジ比率は、(Hop−Hdr)/Hで定義される。ここで、Hは、金属板1の幅中央における板厚である。このようなウェッジが生成する理由は、先述の図11(a)における加熱炉10にて加熱されたスラブ状の被圧延材1の温度分布が不均一なことによる場合もあるが、一般には、圧延機の作業側と駆動側でのワークロールの間隙の設定、調整が不適切なために生じることが多い。
圧延前後で被圧延材のウェッジ比率が変化すると、被圧延材の作業側と駆動側での長手方向の伸びに差が生じて、キャンバ(曲がり)が発生する。ここで、ウエッジ比率とは、ウェッジ量(作業側と駆動側での板厚の差)を、幅中央での板厚で除した値のことである。
図2は、ある圧延機を挟んでの、ウェッジ比率の変化と、キャンバ(曲がり)の関係を示す模式図である。発明者らは、仕上圧延機のうちのいずれかの圧延機にてウェッジ制御(ウェッジ比率を変化させるようなワークロール間隙の差の設定、調整)を行った場合について、キャンバ(曲がり)への現れやすさについて鋭意研究した結果、新しい知見を得た。
図2において、2はワークロールであり、入側での被圧延材1の板厚プロフィルを1a、出側での板厚プロフィルを1bとする。そして、圧延前後でのウェッジ比率の変化をΔλとすると、理論上、被圧延材のキャンバ(曲がり)の曲率ρは、
1/ρ=(W/2)×(1+Δλ)/(1−Δλ) ・・・(1)
という関係になる。ここで、Wは板幅である。
しかしながら、一般に、ロールで材料を圧延した場合には、材料は幅方向の塑性流動をともなった変形をするため、上記(1)式の通りの曲率のキャンバにはならない。そこで、ウェッジ比率変化がキャンバに現れる割合を、以下のようにキャンバ変化係数αと定義する。
1/ρ=α×(W/2)×(1+Δλ)/(1−Δλ) ・・・(1)’
いま、仮に、粗圧延後の被圧延材1にウエッジがあったとし、その上で、それを更に仕上圧延する場合を例にとる。
発明者らは、仕上圧延機のどの圧延機(スタンド)でキャンバが発生しやすいか、を調べてみることにした。そして、仕上圧延におけるキャンバ変化係数αを、低炭素鋼(SPCC)を対象に、実験により調査した。その結果を図3に示す。図3において、横軸は、仕上圧延機を構成する各圧延機の入側における被圧延材の板厚(入側板厚)を示しており、縦軸は、キャンバ変化係数αを示している。同図中の●印は、代表的な圧延例である、上記低炭素鋼(SPCC)を対象とした場合の、各圧延機入側での板厚とキャンバ変化係数αの値をプロットしたものである。
同図より、被圧延材の板厚が厚い方がキャンバ変化係数αは小さく、板厚が薄くなるにつれて、キャンバ変化係数αは大きくなっていることがわかる。つまり、仕上圧延機の前段圧延機になるほど、ウェッジ比率を変化させたとしても、キャンバ(曲がり)の発生を比較的少なくできることを示している。
そこで、仕上圧延機の入側の被圧延材にウェッジが有ったとしても、最前段である仕上圧延機第1圧延機での圧延により、ウェッジを矯正して、被圧延材の幅方向に線対称な板厚プロフィルに可及的に近づける、即ち、仕上圧延機第1圧延機で圧延後の板厚プロフィルが、作業側と駆動側とで線対称となることを目標に、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整することにより、被圧延材の先端を該仕上圧延機第1圧延機で圧延開始するとともに、以降の各圧延機、つまり、仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機では、作業側と駆動側で実質的に等しいワークロールの間隙に調整した上で、被圧延材の先端を圧延開始すれば、蛇行を発生させるのを可及的に抑制でき、仕上圧延後もウェッジを有しない被圧延材の製造が可能となるわけである。ちなみに、以降、被圧延材の尾端が該仕上圧延機最終圧延機を抜けるまで、被圧延材の圧延を継続する。
ここで、本発明にいう、以降の各圧延機で、作業側と駆動側で実質的に等しいワークロール間隙とする、とは、オペレータの手動介入による圧下レベリング量の微調整分(数μm〜数百μm)は、許容することを意味する。本発明を適用したとしても僅かに残りうる圧延機剛性差の予測誤差や経時変化、それに被圧延材の加熱温度に残る若干の不均一さなどを補償するには、オペレータの手動介入による補償分を完全に無くすことは極めて困難であるため、これについては許容することとしたものである。とはいえ、本発明は、オペレータの手動介入による圧下レベリングがなければ成立し得えない、ということを意味するものではなく、本発明を用いることにより、本発明を用いない場合に比べると、オペレータの手動介入による圧下レベリング量は、その程度をずっと低減できるか、あるいは、全く無くせる場合も少なくない状態に、状況を改善できる。
次に、仕上圧延機第1圧延機でウェッジを矯正する方法について説明する。仕上圧延機第1圧延機の出側でウェッジの無い被圧延材に圧延するためには、仕上圧延機第1圧延機の入側での被圧延材のウェッジ量が分かる必要があり、本発明では、粗圧延後の被圧延材の板厚プロフィルを測定することで、ウェッジ量を求めることとした。
仕上圧延機第1圧延機の入側での板厚プロフィルの測定は、例えば、特許文献4に記載の光学式厚さ測定装置を用いて、次に述べる方法により、作業側の厚み、駆動側の厚み、両者の差、両者の平均、などを測定することができる。
図4に示すように、2つの投光器からレーザ光などのビームを照射する。図4の例では、被圧延材1が無いとした場合の、被圧延材1の下面(パスラインと称される)にて、被圧延材1の両幅端位置よりも幅中央寄り100mmの位置に結像するレーザ光を投光器30op、30drにより照射する。とはいえ、本発明では、100mmに固定して考える必要はなく、10mmでも25mmでも50mmでも、適宜に調整し得る。イメージセンサ32は、各投光器30op、30drから発せられた光が測定対象上に写った様子を撮影でき、イメージセンサ32上にできる測定対象上に写った光の像は、受光スポットと称される。いま、もしも、被圧延材1が搬送されてきて、2つの投光器30op、30drの直下に達したとすると、作業側、駆動側の受光スポット34op、34drの位置は変化する。作業側の受光スポット34opの位置の変化がxop、駆動側の受光スポット34drの位置の変化がxdr、両者の間隔の変化がΔx、などとした場合、予め求めてある不変の機械的寸法D、dop、ddrなどとの関係から、三角測量の原理により、被圧延材1の作業側の厚み、駆動側の厚み、両者の差、両者の平均、などを測定することができる。
さて、ここで、もしも、被圧延材の幅方向位置が作業側か駆動側いずれかにずれていた場合、被圧延材の幅中央が、熱間圧延ライン中央、そして、上下ワークロールの点対称の中心(上下のワークロールが図12において点対称の中心を維持しつつ互いに胴長方向逆方向にシフトする圧延機形式をとる場合があるため、このように称している)からずれると、圧延反力(圧延荷重)の分布も、その中央が上下ワークロールの点対称の中心からずれるため、圧延機の作業側と駆動側での弾性変形量の差となって現れてしまう。そこで、図5に示すごとく、仕上圧延機第1圧延機入側のサイドガイド182によって被圧延材1の幅中央が熱間圧延ラインの中央、そして、上下ワークロール2の点対称の中心に一致することを目標に案内しながら、仕上圧延機第1圧延機で被圧延材の先端を圧延開始することとした。ここで、仕上圧延機第1圧延機では、先述の図3で示したごとく、ウェッジ比率を変化させるような圧延をしても、実質的に殆どキャンバ(板曲り)を発生させることはないので、被圧延材の幅端がサイドガイドに強く接触し、被圧延材が局部的に変形して折れ曲がったり、2枚重ねになってしまったり、あるいは、サイドガイドが損傷したりするようなことはない。
仕上圧延機第1圧延機入側のサイドガイド182によって被圧延材の幅中央が熱間圧延ラインの中央に一致することを目標に案内しながら、仕上圧延機第1圧延機で被圧延材の先端を圧延開始するようにすれば、被圧延材に蛇行が発生することに起因する、圧延機の作業側と駆動側での弾性変形量の差は、その発生を相当程度抑制することができる。
本実施の形態では、仕上圧延機第1圧延機も含め、各圧延機の作業側と駆動側での弾性変形量に差がない場合を想定しているため、仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機では、作業側と駆動側とで実質的に等しいワークロールの間隙に調整するとともに、被圧延材の先端を圧延開始することとした。
本発明において、仕上圧延機第1圧延機入側のサイドガイドによって被圧延材の幅中央が熱間圧延ラインの中央、そして、上下ワークロールの点対称の中心に一致することを目標に案内する場合、図5に示したGとWの差(G−W)で定義されるサイドガイド182のクリアランスは、5〜50mmとするのが好ましい。5mm未満の場合、被圧延材1の先尾端の幅広がり部分(フレアー)が、サイドガイド182に接触して、先端なら、突っ掛けによる前進不能な状態になったり、尾端なら、絞り込みになったりする場合があるため、好ましくない。50mmを超えると、被圧延材1の蛇行を十分に抑制できず、被圧延材1の幅端がサイドガイド182に強く接触し、被圧延材1が局部的に変形して折れ曲がったり、2枚重ねになってしまったり、あるいは、サイドガイド182が損傷したりする。
(第二の実施の形態)
次に、仕上圧延機第1圧延機に、作業側と駆動側での弾性変形量に差がある場合を考える。ここでは、簡単のため、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側の剛性(ミル定数)差のみを考慮し、仕上圧延機第2圧延機以降での作業側と駆動側の剛性(ミル定数)差は存在しないもの、あるいは、存在しても無視するものとして取り扱うことにする。存在しても無視する、とは、正確には、仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機で、作業側と駆動側で実質的に等しいワークロール間隙とした場合でも、オペレータの手動介入による圧下レベリング量の微調整分は許容(その目的、程度、効果は、先述同様)し、蛇行が多少発生したとしても、オペレータの手動介入によりトラブルなく圧延できる場合のことを意味する。
さて、今、仮にもし、圧延機が完全に剛体であれば、圧下レベリング量は、そのまま圧延機の作業側と駆動側とでのワークロール間隙の差に反映される。しかしながら、圧延機は正確には弾性体であるため、圧延荷重が作用すると弾性変形して伸びる。
具体的には、ワークロールとバックアップロールの接触部分では、ワークロールは図6に示すように扁平変形するわけであり、しかも、ワークロールも圧延機の一部と考えれば、図6に示すようなワークロールの扁平は、圧延機の作業側と駆動側で圧延荷重に差があれば、当然に作業側と駆動側で違ってくる。
また、圧延機のハウジングは、圧下装置やロードセルなども含め、圧延荷重の大小に応じて伸びが異なる。つまり、圧延機の入側でウェッジのあった被圧延材を、ワークロールの間隙を作業側と駆動側とで等しくして圧延した場合、圧延機の入側で板厚の厚かった側では圧延荷重が大きくなり、その分、圧延機の伸び、即ち、弾性変形量も大きくなるため、圧延後の板厚プロフィルは、作業側と駆動側とで線対称にはならない。つまり、圧延機の入側でウェッジがあった場合、圧延機の入側で板厚の厚かった側では、ワークロールの間隙を、圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を見越して、より狭く設定、調整しておいた上で、被圧延材の先端を圧延開始する必要があるわけである。
本実施の形態では、粗圧延後に測定した被圧延材の板厚プロフィルを仕上圧延機第1圧延機で圧延後に、作業側と駆動側とで線対称に矯正するのに必要な差荷重を予測し、予測した仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を補償すべく、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整することとした。
以下、この実施の形態について、具体的に説明する。
はじめに、圧下レベリングについて定義する。図12における、圧下装置6op、6drの中心位置CL相当でのワークロールの間隙(被圧延材1の幅端相当位置でのワークロールの間隙を、L/W倍したものに相当)を、それぞれ、Lop、Ldrとすると、圧下レベリング量ΔLは、
ΔL =Lop−Ldr ・・・(2)
で定義される。
ΔLが負のときは、作業側の方により大きな圧下を加えようとしていることを意味する。
さて、図1に示したように、被圧延材に有限の値のウェッジHop−Hdrがあるとき、ウェッジがなくなるようにし、かつ、板厚hまで圧延する場合に、差荷重Pdfが発生するものとすると、次式の関係が成立する。
Pdf=L/W×ML×(Hop−Hdr) ・・・(3)
ここで、MLは、被圧延材の作業側と駆動側における圧下量の差(圧延荷重の作用する、圧下装置の中心位置CL相当に換算)が、差荷重にどれだけの影響を及ぼすかの比を表す定数であり、詳説しないが、あらかじめ圧延理論式により求めることができる。ちなみに、Lは、作業側と駆動側の圧下装置の中心位置間の距離であるが、ロール支点間距離などとも称される。
本実施の形態では、更にこの予測した差荷重に基づき、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側での弾性変形差ΔEdfを、以下のように予測する。
ΔEdf=A×Pdef ・・・(4)
このAの値も、圧延機の機械的物性値が分かれば、予め理論式により求めることも可能であるし、実験的に求めることも可能である。
また、圧延機の弾性変形は、ワークロールとバックアップロールの接触や、バックアップロールのチョックと圧延機ハウジングの接触における接触力、それに、接触部でのグリースの膜厚やロール冷却水のかかり具合などの、作業側と駆動側での微妙なアンバランスの他、これらの経時的な変化をはじめとする、機械寸法またはその加工寸法の精度的な限界や、潤滑や冷却の条件の再現性などの影響により、同一の圧延荷重が作用しても、作業側と駆動側で同一でないことが少なくなく、それらが、結果的に、作業側と駆動側での圧延機の剛性差となって現れることが知られている。この作業側と駆動側での圧延機の剛性(ミル定数)差が、作業側と駆動側の圧下装置の中心位置CL相当で、どれだけの圧下レベリング量換算値の違いΔEhになって現れるか、については、次の式で表すことができる。
ΔEh=(1/Kop−1/Kdr)×P/2 ・・・(5)
ここで、Kop、Kdrは、それぞれ、作業側、駆動側での圧延機の剛性(ミル定数)である。また、Pは、圧延荷重である。
従って、仕上圧延機第1圧延機で圧延後に、作業側と駆動側とで線対称に矯正するためには、これらの弾性変形差の分に相当する圧下レベリング量の分を補償すべく、以下の圧下レベリング量ΔL(作業側―駆動側)を与えるよう、作業側と駆動側のワークロールの間隙を、設定、調整すればよい(圧下レベリング量ΔLは、圧下装置の締め込み量(作業側―駆動側)とは、符号がちょうど逆になる。)
ΔL =−(ΔEdf+ΔEh) ・・・(6)
更に、より具体的な実施の形態について説明する。
図7は、圧延機に差荷重が発生したときの圧延機の作業側と駆動側の弾性変形差について、実験的に調査した結果を示す図である。ここで、実験に用いた圧延機のワークロールの直径は800mm、胴長が2000mmであり、バックアップロールの直径は1600mm、胴長は2000mmである。また、作業側と駆動側の圧下装置の中心位置CL間の距離(ロール支点間距離)は、3000mmである。
ワークロールの間隙を実測できるレーザー式センサーを設置し、金属板を上下ワークロールで挟んだ状態で、ワークロールを回転させずに、作業側および駆動側の締め込み量を変化させ、そのときのワークロールの間隙の変化を測定した。
作業側と駆動側の圧下装置をそれぞれ個別に操作して、作業側および駆動側の締め込み量を変化させながら、差荷重(作業側―駆動側)と圧延機の弾性変形差(作業側―駆動側)を測定した。
図7を見ると、差荷重が増加するのに従い、圧延機の作業側と駆動側の弾性変形差も大きくなっていることがわかる。そして、図7中の各プロットから回帰直線を求めると、その傾きから、前述(4)式におけるAの値は、0.00012(mm/kN)となる。
また、この関係式に基づいて、作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を得るための、作業側と駆動側とでの各圧下装置の締め込み量を算出し、圧下レベリング量を設定することができる。
(第3の実施の形態)
なお、先に述べた第二の実施の形態では、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側の剛性(ミル定数)差のみを考慮し、仕上圧延機第2圧延機以降での作業側と駆動側の剛性(ミル定数)差は存在しないもの、あるいは、存在しても無視するものとして取り扱っているが、勿論、仕上圧延機第2圧延機以降での作業側と駆動側の剛性(ミル定数)差も考慮し、仕上圧延機第2圧延機以降についても、上記と同様の計算の仕方により求められる、適切な圧下レベリング量を計算した上、作業側と駆動側での圧下装置の締め込み量を、設定、調整するように制御を行ったとしても、本発明では、何らこれを妨げるべき理由はない。そして、仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の全てについて、そのような制御を行ってもよいが、仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の全てではなく、仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の一つ以上について、そのような制御を行ったとしても勿論良い。
本発明を、7スタンドからなる仕上圧延機に適用したときの実施例について説明する。圧延機のワークロールの直径は800mm、胴長は2000mm、バックアップロールの直径は1600mm、胴長は2000mmである。作業側と駆動側の圧下装置の中心位置CL間の距離(ロール支点間距離)は、3000mmである。仕上圧延機第1圧延機の入側には、被圧延材の板厚プロフィルを測定することができる、先述の図4に示したような光学式厚さ測定装置を設置してある。圧延機の作業側と駆動側の剛性(ミル定数)などの条件は、表1に示す。
Figure 2008043977
被圧延材は、板幅1500mmの低炭素鋼(SPCC)であり、仕上圧延機第1圧延機の入側板厚が40mmで、出側板厚が32mmとし、当該仕上圧延機第1圧延機では、圧下率20%の圧延を行う。このとき、圧延荷重は、詳説しないが、工業的に実用化されている圧延理論式よって、20000kNになると予測されるものとする。また、(3)式におけるML(被圧延材の作業側と駆動側における圧下量の差が、差荷重にどれだけの影響を及ぼすかの比を表す定数)は、4000kN/mmである。
なお、仕上圧延機第1圧延機の入側に設置した光学式厚さ測定装置の計測結果によれば、駆動側の板厚(幅端から25mmの位置での板厚)は、40.2mm、同作業側の板厚は39.8mmであり、ウェッジ量は0.4mm、ウェッジ比率は−1%の、被圧延材幅方向にくさび状の断面形状である。
(発明例)
仕上圧延機第1圧延機の入側において、被圧延材の板厚の測定を行い、サイドガイドでの案内を、被圧延材の先端通過直後、仕上圧延機第1圧延機のワークロールにて圧延開始前に、クリアランス10mmと、先述の範囲内では比較的狭くして、圧延するようにするとともに、仕上圧延機第1圧延機も含め、仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機についても、圧延機の剛性(ミル定数)差を考慮して、それらを補償するような圧下レベリング量を計算した上、作業側と駆動側での圧下装置の締め込み量を設定、調整した場合である。
本実施例での仕上圧延機第1圧延機での圧下レベリング量の計算は、以下の手順で行われる。
(3)式より、発生する差荷重Pdfは以下のように予測される。
Pdf=L/W×ML×(Hop−Hdr) =3200kN
そのとき、仕上圧延機第1圧延機の弾性変形差ΔEdfは、以下のとおりである。
ΔEdf=A×Pdef=0.384mm
ここで、A=0.00012(mm/kN)である。
また、圧延機の作業側と駆動側の剛性差による弾性変形差ΔEhは、以下のとおりである。
ΔEh={(1/Kop)−( 1/Kdr)}・P/2=0.057mm
よって、圧延機の弾性変形差を補償するための圧下レベリング量ΔL(作業側―駆動側)は、
ΔL=−(ΔEdf+ΔEh)=−0.441mm
となる。
そこで、ΔL=−0.441mm、即ち、作業側の圧下装置の締め込み量を、駆動側に比して、0.441mm大きくなるように圧下装置の締め込み量を設定、調整した。
本実施例では、先述の第三の実施の形態に従い、仕上圧延機第2圧延機以降についても、各圧延機における差荷重と各圧延機の剛性(ミル定数)差を考慮して、適切な圧下レベリング量を計算した上、作業側と駆動側での圧下装置の締め込み量を、設定、調整した。
(比較例)
比較例は、仕上圧延機第1圧延機の入側において、被圧延材の板厚の測定は行わず、サイドガイドでの案内を、クリアランス50mmと、先述の範囲内では比較的緩めにした上で、圧延するようにするとともに、仕上圧延機第1圧延機も含め、仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機についても、圧延機の剛性(ミル定数)差を考慮して、それらを補償するような圧下レベリング量を計算した上、作業側と駆動側での圧下装置の締め込み量を設定、調整した場合である。各圧延機における圧延荷重は、発明例と同様に圧延理論式によって予測した値を用い、圧下レベリング量は(6)式を用いて設定した。各圧延機とも、入側でのウェッジ量は、測定していない。
何とかぎりぎり、被圧延材の幅端がサイドガイドに接触したり、被圧延材が局部的に変形したりして折れ曲がったり、2枚重ねになってしまったり、あるいは、サイドガイドが損傷したりするようなことなく圧延できているレベルである。
(無制御:従来例)
作業側と駆動側でのワークロールの間隙が等しくなるように圧下装置の締め込み量を設定、調整し、仕上圧延機第1圧延機ならびに仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機で被圧延材の先端を圧延開始し、以降、被圧延材の尾端が該仕上圧延機最終圧延機を抜けるまで、全く圧下レベリング量の調整を行わなかった場合である。
図8に、発明例、比較例および無制御の各場合について、各圧延機間での被圧延材の蛇行の様子について示す。なお、蛇行量は、各圧延機間の上方に設置したテレビカメラによって撮影した被圧延材の幅中央点の軌跡である。図8より、無制御では、被圧延材の仕上圧延機第1圧延機入側(光学式厚さ測定装置の設置位置)からの進行とともに蛇行が始まり、後段圧延機に行くに従い、蛇行量は拡大している。仕上圧延機第1圧延機の他、第2圧延機以降の各圧延機とも、入側のサイドガイドのクリアランスを50mmと、先述の範囲内では比較的緩めに設定、調整してあるので、蛇行量が50mmになると、サイドガイドとの接触が発生する。
比較例では、無制御(従来例)に比べて蛇行量はやや小さいが、やはり後段圧延機に行くに従い、蛇行量は拡大している。そのため、被圧延材の絞りや破断などのトラブルが発生しやすい状態である。
一方、発明例では、ほとんど蛇行は発生していないことがわかる。
また、図9に、発明例、比較例、および無制御(従来例)の各場合について、被圧延材20本をそれぞれ圧延したときの仕上圧延機第6圧延機と仕上圧延機第7圧延機の間での蛇行量の絶対値の20本分の平均値について示す。発明例は、蛇行の発生がほとんどなく、極めて良好に蛇行を抑制しつつ圧延することができていることがわかる。
以上の通りであるが、本願発明は、図11に示した熱間圧延ライン100のような形式の熱間圧延ラインだけでなく、その他の形式の熱間圧延ラインにも適用できるものである。その他の形式の熱間圧延ラインには、図10(a)に示した、連続鋳造ライン28と直結した熱間圧延ライン200や、同(b)に示した、ステッケルミル300と呼ばれる形式の熱間圧延ラインの他、同(c)に最終粗圧延機から仕上圧延機以降コイラーまでを抜き出して示した熱間エンドレス圧延ライン400などがある。
特に熱間エンドレス圧延ライン400のような形式の熱間圧延ラインの場合、ある被圧延材の尾端と、それに続く別の被圧延材の先端を、接合装置151により互いに接合する、という一連の動作を何本かの被圧延材について繰り返す。そのような場合、ある被圧延材と、それに続く別の被圧延材とでは、仕上圧延機第1圧延機の入側で測定したウエッジ量が異なっている場合が当然想定されるため、被圧延材同士の接合部を境に、圧下レベリング量を走間変更する、という具合に制御を行えば、被圧延材同士を接合して仕上圧延した場合でも、被圧延材の幅端がサイドガイドに強く接触して、被圧延材が局部的に変形して折れ曲がったり、2枚重ねになってしまったり、あるいは、サイドガイドが損傷したりするようなトラブルを、そのような制御を行わない場合に比べ、より効果的に防止できることはいうまでもない。あるいは、稀なケースとしては、1本の被圧延材の途中でウェッジ量が変化することも無いとはいえないが、そういう場合も被圧延材同士を接合する場合に準じて、圧下レベリング量を走間変更する、という具合に制御を行うことで対応できる。
そのような、被圧延材同士を接合して仕上圧延する場合や、1本の被圧延材の途中でウェッジ量が変化している場合に対応して、圧下レベリング量を走間変更する、という具合に制御を行う場合は、作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を「設定する」というのは、走間変更することを考えると、「調整する」といった方がより適切である。一方、バッチ圧延でいうところの、作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を「設定する」というのも、「設定する」は、より広義には、「調整する」の一形態であるので、本発明では、被圧延材同士を接合して仕上圧延する場合の「調整する」と、バッチ圧延する場合の「設定する」の両者を総称して「調整する」と称していることを最後にことわっておく。
被圧延材のウェッジについて説明するための図 圧延機の入側と出側でのウェッジ比率変化とキャンバ(曲がり)の関係について説明するための図 仕上圧延機各圧延機におけるキャンバ変化係数αについて説明するための図 仕上圧延機の入側において被圧延材のウェッジを測定する方法について説明するための図 仕上圧延機第1圧延機の入側サイドガイドにて被圧延材を案内する様子を模式的に示す図 ワークロールの扁平の様子について説明するための図 圧延機に差荷重が発生したときの圧延機の作業側と駆動側の弾性変形差について、実験的に調査した結果を示す図 発明例、比較例および無制御の各場合について、各圧延機間での被圧延材の蛇行の様子について示す図 発明例、比較例、および無制御の各場合について、被圧延材20本を圧延したときの蛇行量について示す図 本発明を適用することのできる他の熱間圧延ラインの例を示す図 本発明を適用することのできる熱間圧延ラインの例を示す図 金属板の圧延に一般的に用いられている4段の圧延機を模式的に示した正面図
符号の説明
1…被圧延材である金属板
2、2a、2b…ワークロール
3a、3b…バックアップロール
4op、4dr…バックアップロールのチョック
5op、5dr…ロードセル
6op、6dr…圧下装置
7op、7dr…圧延機ハウジング
12、R1、R2、R3…粗圧延機
18、F1、F2・・・F7…仕上圧延機
182…サイドガイド
28…連続鋳造ライン
50…制御装置
70…プロセスコンピュータ
90…ビジネスコンピュータ
100、200、300、400…熱間圧延ライン

Claims (3)

  1. 熱間圧延ラインにおける仕上圧延機で被圧延材である金属板を圧延するに際し、
    粗圧延後の被圧延材の作業側と駆動側の板厚差を測定し、
    仕上圧延機第1圧延機で圧延後の板厚プロフィルが、作業側と駆動側とで線対称となることを目標に、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整するとともに、
    該仕上圧延機第1圧延機入側のサイドガイドによって被圧延材の幅中央が熱間圧延ラインの中央に一致することを目標に案内しながら、該仕上圧延機第1圧延機で被圧延材の先端を圧延開始し、
    該仕上圧延機第2圧延機以降の各圧延機では、
    作業側と駆動側とで実質的に等しいワークロールの間隙に調整するとともに、被圧延材の先端を圧延開始し、
    以降、被圧延材の尾端が該仕上圧延機最終圧延機を抜けるまで、被圧延材の圧延を継続することを特徴とする金属板の熱間圧延方法。
  2. 仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整するにあたって、
    粗圧延後に測定した被圧延材の板厚プロフィルを、仕上圧延機第1圧延機で圧延後に、作業側と駆動側とで線対称に矯正するのに必要な差荷重を予測し、
    更に、該差荷重によって生じる仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を予測し、
    予測した仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を補償すべく、仕上圧延機第1圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整することを特徴とする請求項1に記載の金属板の熱間圧延方法。
  3. 仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の一つ以上について、作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整するにあたって、
    該仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を予測し、
    予測した該仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の作業側と駆動側とでの弾性変形差を補償すべく、該仕上圧延機第2圧延機以降の圧延機の作業側と駆動側とでのワークロールの間隙の差を調整することを特徴とする請求項2に記載の金属板の熱間圧延方法。
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