JP2007268566A - 冷間圧延における形状制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】摩耗によるバックアップロールのプロフィール変化量とバックアップロール使用時の圧延長の関係を定式化するとともに、バックアップロールのプロフィール変化量及びワークロールクラウンの変更量を変数とし、板端から距離が異なる複数の箇所について板幅中央に対する伸び率差の変化量を表す数式モデルを予め作成し、バックアップロール使用時の圧延長に対応して前記バックアップロールのプロフィール変化量とバックアップロール使用時の圧延長の関係式から予測されるバックアップロールのプロフィール変化量を前記伸び率差の変化量を表す数式モデルに代入し、摩耗によるバックアップロールのプロフィール変化に応じて伸び率差が変化しないように、適正なワークロールクラウンの変更量を算出し、ワークロールを交換する。
【選択図】図5
Description
高速応答性で形状制御するため、圧延荷重の変動が圧延材の形状変化に影響を及ぼしているとの前提に立って、板形状の直接測定に代えて圧延荷重を測定し、圧延荷重の測定値に基づいて各形状制御手段の制御量を補正する種々の方式が提案されている(特許文献1,特許文献2,特許文献3)。何れの方式も、圧延形状を圧延荷重の関数で表わした圧延形状予測式に基づいて形状制御しているが、圧延形状予測式では板幅方向の1ヶ所の形状のみで圧延形状を評価している。そのため、圧延荷重が大きく変動する場合、板幅全体にわたって良好な形状を得がたい。
この方法は、圧延中の形状制御を対象にしているが、圧延開始時に形状制御手段を初期設定するプリセット制御についても数式モデルをそのまま適用できる。
そこで、本発明者等は、ワークロールクラウン量の影響を取り込んだ数式モデルを用いて適正なワークロールクラウン量を算出し、ワークロールに付与することにより、広範囲な圧延条件に対応して圧延開始時よりコイル全長にわたって良好な形状をもつ鋼帯を製造する方法を開発し、特許文献5で提案した。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、摩耗によるバックアップロールのプロフィール変化に対応した適正なワークロールクラウン量を算出し、ワークロールを交換することにより、形状制御手段の能力不足を補い、形状精度に優れた圧延材を高生産性で製造できる制御方法を提供することを目的とする。
その結果、板端から距離が異なる複数の箇所について板幅中央に対する伸び率差がそれぞれバックアップロールのプロフィール変化量と比例関係にあることに着目し、伸び率の差にバックアップロールのプロフィール変化量が与える影響を取り込んだ数式モデルを使用すると、広範囲な圧延条件に対応した適正なクラウン量を有するワークロールを使用することが可能となり、良好な形状をもつ圧延材が製造されることを見出した。
以下、4段圧延機のバックアップロールの摩耗の影響を対象に本発明の形状制御方法について説明するが、6段以上の多段圧延機のバックアップロールや中間ロールの摩耗の影響に対しても同様に本発明が適用されることは勿論である。
そこで、本発明においては、圧延形状を板端から距離が異なる複数の箇所における伸び率と板幅中央の伸び率との差で評価する。具体的には、板端部及びクォータ部の板幅中央に対する伸び率差εe,εqで圧延形状を定義する。伸び率差εe,εqは板端部の伸び率をele,クォータ部の伸び率をelq,板幅中央の伸び率をelcとするとき、それぞれ式(1)及び(2)で表される。
εe=ele−elc (1)
εq=elq−elc (2)
なお、板端部及びクォータ部の測定位置については、形状を適切に表し、且つ精度の良い数式モデルが得られるように経験的に定められる。
Se 0=Dc 0−De 0 (3)
Sq 0=Dc 0−Dq 0 (4)
なお、端部及びクォータ部の位置については、バックアップロールのプロフィール変化を適切に表し、且つ精度の良い数式モデルが得られるように経験的に定められる。
Se 1=Dc 1−De 1 (5)
Sq 1=Dc 1−Dq 1 (6)
ΔSe=Se 1−Se 0 (7)
ΔSq=Sq 1−Sq 0 (8)
バックアップロールのプロフィールが変化すれば、バックアップロールに接するワークロールの撓み量が変化するが、バックアップロールのプロフィール変化量ΔSe,ΔSqとロール撓みの変化量との関係は弾性領域における変形を対象としていることからほぼ線形的な関係にある。
したがって、バックアップロールのプロフィール変化量ΔSe,ΔSqと伸び率差εe,εqの変化量Δεe,Δεqとの間も、図1,2に示すように線形関係にある。
以上の各要因相互の関係から、ae,be,ce,aq,bq,cqを影響係数として、式(9),(10)で圧延形状変化の予測式を表すことができる。
Δεe=ae・ΔSe+be・ΔSq+ce・ΔWr (9)
Δεq=aq・ΔSe+bq・ΔSq+cq・ΔWr (10)
摩耗によるバックアップロールのプロフィール変化に応じて伸び率差が変化しないような適正なワークロールクラウンの変更量ΔWrの算出に際しては、板幅,板厚,材質等の各テーブル区分毎に式(11)で示す評価関数Jが最小となるようにワークロールクラウンの変更量の適正値を算出し、その平均値をとる。
そして、各テーブル区分毎のワークロールクラウン変更量の適正値を平均化し、その平均値ΔWrだけクラウンを変更したワークロールと交換する。
J=we・Δεe 2+wq・Δεq 2 (11)
式中、we,wqは、重み係数を示す。
また、摩耗前後のバックアップロールのプロフィールに関しては、バックアップロールの中央部と端部及びクォータ部との直径差Se 0,Sq 0,Se 1,Sq 1で定義しているが、バックアップロールの中央部と胴長方向に沿った3点以上の位置との直径差で定義することも可能である。
摩耗によるバックアップロール7のプロフィール変化量とバックアップロール使用時の圧延長の関係については、各圧延長毎にバックアップロールのプロフィールを測定し、図6に示すように端部及びクォータ部における直径差の変化量ΔSe,ΔSqを求め、式(12)及び式(13)に示す回帰式により定式化した。そして、式(12)及び式(13)をプロセスコンピュータ4に取り込んでいる。
ΔSe=−0.74×10-10・L2+0.39×10-3・L (12)
ΔSq= 0.19×10-10・L2+0.44×10-4・L (13)
ここで、Lはバックアップロール使用時の圧延長である。
ワークロール交換の各タイミングで式(9),(10),(11)に基づいてワークロールクラウン変更量の適正値ΔWrを算出し、図7に示すように、ΔWrだけクラウンを変更したワークロール5と交換した。ワークロール交換後も、特許文献5で提案した方法により適正なワークロールベンダー力を算出し設定し、圧延開始後は形状検出器6の出力値に基づいて制御しながら圧延した。比較のため、バックアップロールの摩耗を考慮せずにクラウン量90μmのワークロールを使用し続ける場合について、特許文献5で提案した方法により適正なワークロールベンダー力を算出し設定し、圧延開始後は形状検出器6の出力値に基づいて制御しながら圧延した。
これに対し比較例として、バックアップロール使用時の圧延長が9×105mのときにクラウン量90μmのワークロールを使用し、同じく板幅1000mm,板厚2.0mmで伸び率2.0%のスキンパス圧延を行った鋼帯は、圧延開始からコイル全長にわたって急峻度が1.0%以上と大きな中伸びを生じていた。
3:上位コンピュータ 4:プロセスコンピュータ
5:ワークロール 6:形状検出器
7:バックアップロール
Claims (1)
- 摩耗によるバックアップロールのプロフィール変化量とバックアップロール使用時の圧延長の関係を定式化するとともに、バックアップロールのプロフィール変化量及びワークロールクラウンの変更量を変数とし、板端から距離が異なる複数の箇所について板幅中央に対する伸び率差の変化量を表す数式モデルを予め作成し、バックアップロール使用時の圧延長に対応して前記バックアップロールのプロフィール変化量とバックアップロール使用時の圧延長の関係式から予測されるバックアップロールのプロフィール変化量を前記伸び率差の変化量を表す数式モデルに代入し、摩耗によるバックアップロールのプロフィール変化に応じて伸び率差が変化しないように、適正なワークロールクラウンの変更量を算出し、ワークロールを交換することを特徴とする冷間圧延における形状制御方法。
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