JP4990747B2 - 調質圧延方法 - Google Patents

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本発明は、所望とする金属ストリップの表面粗度を有する鋼板を効率的に製造することが可能な調質圧延方法に関する。
一般に、出荷される調質圧延された金属ストリップには、板厚、平坦度、強度、伸び、表面粗度(JIS B 0601に記載されたRaほかいずれのものでも良いが、ここではRaで代表する)が所望の範囲内に収まることが要求される。板厚に関してはAGC、平坦度に関してはAFCやテンションレベラー、強度と伸びに関しては伸び率あるいは圧下率で対処している。
しかしながら、Raに関しては経験から金属ストリップの材質と伸び率の実績から調質圧延機に組み込むワークロールの粗度が標準化されて操業し、調質圧延後の粗度を測定してその値が目標範囲内に収まるように、伸び率を調整するかワークロール交換を行うかで対処される。
伸び率を調整することにより調質圧延後の金属ストリップの表面粗度を制御することは有効な手段であるものの(例えば、特許文献1参照)、ワークロール粗度が時々刻々と変化する場合には目標値に容易に納めるように伸び率の修正量を効率的に求めるのは難しく、また、ワークロール交換を行うとその間圧延機が停止するので生産性が低下するという問題がある。
特開2002−1410号公報
この発明は、所望とする金属ストリップの表面粗度(Ra)を有する鋼板を効率的に製造することの可能な湿式調質圧延方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本願の第1発明の調質圧延方法は、所望する表面粗度の金属ストリップを得る調質圧延方法において、
調質圧延後の金属ストリップの表面粗度(S)、調質圧延前の該金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)およびワークロール粗度(Sw)で定義される転写効率(α(ε,σy))について、
調質圧延時の伸び率(ε)と調質圧延前の該金属ストリップの0.2%耐力(σy)による回帰式(1)を実験によって事前に求め、
調質圧延する金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)、0.2%耐力(σy)と目標とする伸び率(εaim)と目標とする圧延後の該金属ストリップの表面粗度(Saim)から該調質圧延機に組み込む初期ワークロールの表面粗度(Sw)を式(2)に従って求め、
その表面粗度の求められた範囲に入るワークロールを選定して該調質圧延機に組み込み調質圧延を行うことを特徴とする。
Figure 0004990747
また、本願の第2発明の調質圧延方法は、所望する表面粗度の金属ストリップを得る調質圧延方法において、
調質圧延後の金属ストリップの表面粗度(S)、調質圧延前の該金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)およびワークロール粗度(Sw)で定義される転写効率(α(ε,σy))について、
調質圧延時の伸び率(ε)と調質圧延前の該金属ストリップの0.2%耐力(σy)による回帰式(1)を実験によって事前に求め、
ワークロール組み替え直後からi本目のコイルは伸び率(ε)で調質圧延し、調質圧延後の金属ストリップの表面粗度(S)を測定し、1本目のコイルのワークロールの表面粗度(Sw01)、調質圧延前の該金属ストリップの表面粗度(S01)、板厚(H)、0.2%耐力(σy)を用い、式(3)から定数aを計算して求めて式(1)の定数aをa´に補正するとともに、2本目以降のコイルは、上記定数を補正した式(1)を用い、コイル2本目以降のi+1本目のワークロール粗度(Sw0i+1)を式(4)から求めワークロールの粗度を順次補正し、i+1本目の伸び率(εi+1)をi+1本目の圧延後の目標表面粗さ(Saimi+1)を入力して式(5)のεi+1を解くことによって求めて、求められた伸び率でi+1本目の調質圧延を行うことを特徴とする。
Figure 0004990747
また、本願の第3発明の調質圧延方法は、前記第2発明の調質圧延方法で求められたi+1本目の伸び率(εi+1)が予め設定した上限値を超えた場合には、次の圧延は行わずにワークロールを組み替えることを特徴とする。
さらに、本願の第4発明の調質圧延方法は、前記第2発明または第3発明のコイル2本目以降のi+1本目のワークロール粗度(Sw0i+1)を、調質圧延機に配備されたオンラインロール粗度検出器により測定して求めることを特徴とする。
この発明の湿式調質圧延方法では、所望とする表面粗度(Ra)を有する鋼板を効率的に製造することができ、生産性の向上と製造コストの低減が図れる。
特に、第1発明の場合、どのワークロールが良いのかロールを選定してから交換するので、圧延すべき材料のコイル数にもよるが、コイルが多数の場合には、ぎりぎりまでワークロールが使えるので途中組み替えが減り、生産性が上がる。
また特に、第2の発明の場合、圧延コイル本数の増大によるワークロールの摩耗の影響を考慮することができるので、より厳密な圧延後の金属ストリップの表面粗さの造りこみが可能となる。これにより、これまで圧延後のコイル表面粗度を測定して合格した物を選定して出荷する必要が無くなり在庫を減らすことが可能となるだけではなく、余分に作り貯めする必要も無くなるので生産性は向上する。
一般に調質圧延後の金属ストリップの表面粗度に及ぼす圧延因子として、荷重(張力、潤滑、伸び率、鋼種、ロール径等)、ワークロール粗度があることが知られており、荷重レベルが高いほど圧延後の金属ストリップの表面粗度は、ワークロール粗度に近づく。
従って、例えば、伸び率で表面粗度を制御する場合、事前に実験を行い調質圧延後の金属ストリップの表面粗度に及ぼす伸び率の影響を上記圧延因子の項目毎に調べる必要がある。対象とする調質圧延機を限定することによって、上記圧延因子の潤滑やワークロール径の影響、あるいは張力を積極的に変えない場合には張力の影響も除外することができるものの、鋼種、ワークロール粗度の組み合わせの全てについて上記影響を調べテーブルとして保有する必要がある。
発明者らは、ラボ圧延機を用いて調質圧延実験を行い、調質圧延後の金属ストリップの表面粗度に及ぼす圧延因子として上述の圧延因子の他に、素材の表面粗度や板厚も影響していることを見出した。
図1にラボ実験の結果の一例を示す。使用した圧延機はワークロール径550mmの4段圧延機であり、潤滑油をかけながら圧延をした。その際、ワークロール粗度、素材粗度、板厚、鋼種を変えて圧延後の金属ストリップの表面粗度と伸び率の関係を調査した。
図1より、表面粗度は伸び率と共に増大するものの、その増分およびレベルはワークロール粗度、素材の板粗度、板厚、変形抵抗の影響を大きく受けることが明らかとなった。
従って、上述したように、伸び率を調整することにより調質圧延後の金属ストリップの表面粗度を制御することは有効な手段であるものの、制御精度を高めるためには、板厚や鋼種やワークロール粗度や素材粗度毎に伸び率が表面粗度に及ぼす影響を実験的に求める必要がある。さらに、表面粗度と伸びの関係は線形ではないので、上記影響は伸び率毎に求める必要があることが分かる。さらに、ワークロール粗度が時々刻々と変化する場合には目標値に容易に納めるように伸び率の修正量を効率的に求めるのはさらに困難なことが分かる。
発明者らは、上記特性を効率的に表現できる実験式を検討し、調質圧延後の金属ストリップの表面粗度(S)、調質圧延前の該金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)およびワークロール粗度(Sw)で定義され、調質圧延時の伸び率(ε)と調質圧延前の該金属ストリップの0.2%耐力(σy)からなる転写効率(α(ε,σy))の回帰式(1)を見出し、この回帰式で図1の特性は整理できることを確認した。
Figure 0004990747
上式を用いることにより、調質圧延時の粗度転写は高精度かつ容易に推定が可能となった。本発明は、この知見を基に新たに考案されたものである。さらに、圧延後の粗度等を測定し、この式を用いることによってワークロールの粗度も推定できる。
すなわち、式(1)を整理してワークロール粗度(Sw)について展開すると、式(2´)が得られる。
Figure 0004990747
従って、圧延後の金属ストリップの表面粗度(S)を測定するとともに、圧延時の金属ストリップの板厚(H)、伸び率(ε)、金属ストリップの素材表面粗度(S)および0.2%耐力(σy)を上式に代入することによってワークロール粗度(Sw)を容易に推定できる。
同様に、調質圧延する金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)、0.2%耐力(σy)と目標とする伸び率(εaim)と目標とする圧延後の該金属ストリップの表面粗度(Saim)から該調質圧延機に組み込む初期ワークロールの表面粗度(Sw)を下記の式(2)に従って求めることができる。
Figure 0004990747
図2は、この発明を実施する調質圧延機の一例を示す構成図である。図示していないが、この調質圧延機11の上流には連続焼鈍設備が配置されており、熱処理された金属ストリップが連続して供給されている。また、図示してはいないが、この調質圧延機11の下流には、調質圧延機で圧延された金属ストリップの表面を観察したり、平坦度やRaを検査測定したりする検査台、さらにその下流には圧延された金属ストリップを切断する切断機および調質圧延された金属ストリップをコイル状に巻き取る巻き取りリールが配置されている。
調質圧延機11は、この例では1基の圧延スタンドから構成されており、4重圧延機である。圧延機はワークロール16〜17およびバックアップロール21〜22から構成されている。ワークロール16〜17にはスピンドル(図示しない)が連結されており、電動機(図示しない)によって駆動されている。また、図示してはいないが電動機にはPLGが取り付けられてあり、回転速度を検出し、ギア比とワークロール径を考慮してワークロールの周速度が検出されている。
形状制御手段として上下ワークロールチョック(図示しない)を支点として上下ワークロール16〜17の垂直方向の撓みを制御するためのインクリースおよびディクリースベンダー力を付与することが可能なワークロールベンダー51が具備されている。
上バックアップロールチョック(図示しない)の上部には、圧延荷重検出装置36が配置され、ワークサイドおよびドライブサイドの荷重が検出される。また、圧延荷重検出装置36の上部には電動圧下装置37が配置されており、金属ストリップSを圧延する際のパスライン調整が行われる。さらに、下バックアップロールチョック(図示しない)の下部には、圧延力を付与するための油圧圧下装置31が配置されている。
調質圧延機の入側にタッチロール41が、調質圧延機の出側にタッチロール42が配備されている。図示はしていないが、これらの入・出側タッチロールにはPLGが取り付けられており、調質圧延機前後の金属ストリップSの板速度を検出して、伸び率が測定されている。また、これらのタッチロールにはロードセルが取り付けられており、調質圧延機前後の金属ストリップSの張力が検出される。
調質圧延機の目標とする伸び率を計算する計算機には、圧延する金属ストリップの素材の板粗度、板厚、変形抵抗、およびワークロール粗度の測定値あるいは推定値が入力される。素材の板厚は予め測定されているので既知数である。また、素材の変形抵抗は鋼種によって決定されるので、素材毎に測定する必要は必ずしもなく、鋼種が明らかであれば既知数として取り扱っても良い。素材の粗度は測定することが好ましいが、冷間タンデム圧延機の最終スタンドの圧下率は大きく圧延後の板表面粗度はワークロール粗度とほとんど一致するのでワークロール粗度で代用しても良い。ここでは、調質圧延機のワークロール粗度はコイル毎に測定する。
以下に本発明についての詳細な説明を行う。先ず、予め実験を行い式(1)の定数a〜aを回帰して求める。
本発明の第1発明である、適当なワークロール粗度を選定する調質圧延方法について述べる。
調質圧延では圧延後の金属ストリップの機械的性質を確保する観点から、伸び率の下限(εmin)と上限(εmax)が定められており、また、表面品質の観点から製品粗度の下限(Smin)と上限(Smax)が定められている。この双方を満足するように調質圧延を行う必要がある。ロール粗度が大きすぎると製品粗度の上限を越えてしまい、伸び率を小さくする方向で製品粗度を好ましい範囲内に収めようとするものの、従来は調質圧延して圧延後の粗度を測定してみないと分からないという問題があった。本発明では、このようなことをしなくても、目標とする伸びと圧延後の金属ストリップの表面粗度を好ましい範囲内に収めることができるかを判定することができ、もっとも適したワークロール粗度(初期粗度)を選定することができる。
選定のフローを図3に示す。
この図3に示すように第1ステップとして、本発明を実施する調質圧延機を用いて予め実験を行い、回帰式(1)を求める。このとき、回帰式は2次式であることが望ましい。
第2ステップとして、調質圧延する金属ストリップの情報(素材表面粗度、耐力、板厚、伸び率(上限、下限)、圧延後の表面粗度(上限、下限))を転写効率の定義式を展開した式(2)に入力し、ワークロール粗度範囲を求める。
第3ステップとして、予め研磨されている予備ワークロールの中から、圧延するコイルの本数等を考慮して、求められた範囲に入るワークロールを選定し、そのワークロールを組み込む。
圧延する金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)、0.2%耐力(σy)は上述したように既知数である。伸びと圧延後の金属ストリップの表面粗度を目標とする範囲内に収める際に、ワークロール粗度が圧延後の金属ストリップの表面粗度よりも大きな場合、ワークロール粗度の最大値(Swmax)は伸び率が下限(εmin)で製品粗度が上限(Smax)の場合であり、ワークロール粗度の最小値(Swmin)は伸び率が上限(εmax)で製品粗度が下限(Smin)の場合である。
従って、この場合に使用可能なワークロール粗度(Sw)は、式(1)、(2)より以下のようになる。
Figure 0004990747
ワークロール粗度が圧延後の金属ストリップの表面粗度よりも小さな場合、ワークロール粗度の最大値(Swmax)は伸び率が上限(εmax)で製品粗度が上限(Smax)の場合であり、ワークロール粗度の最小値(Swmin)は伸び率が下限(εmin)で製品粗度が下限(Smin)の場合である。
一般に、ワークロールは摩耗して粗度は小さくなっていくので、ロール交換をできるだけ少なくするためにはワークロール粗度はSwmax以下で最もSwmaxに近いものを組み込めば良い。また、急遽のロール交換が生じた際に、上式を用いることによって交換するワークロールで調質圧延が可能か事前に判断して対応できるので、調質圧延後の粗度外れが生じることがない。
次に、本発明の第2〜4の発明である、適当な伸び率またはワークロールを選定する調質圧延方法について図4を用いて説明する。
ワークロール粗度をコイル毎に測定し、式(1)に示したワークロール粗度を更新することによって、ワークロールの粗度落ちに対しても対応可能であるが、そのためにはコイル毎にワークロールを停止させる必要がある。バッチ式の調質圧延機ではワークロールを停止し、通板処理中の時間を利用してワークロール測定は可能であるものの、連続式の調質圧延機ではワークロールを停止することはないので上記方法が使用できない場合がある。本発明の第2発明はこのような場合でも、ワークロールの粗度を効率よく推定して調質圧延を行う方法を提供する。
先ず、第2の発明でも第1の発明と同様に、本発明を実施する調質圧延機を用いて予め回帰式(1)を求めておく。続いて、ワークロール組み込み直後のコイル1本目の圧延後の板粗度を測定する。この際には組み込み直前のワークロール粗度は測定しているので既知である。続いて、式(3)を用いて誤差を算出して、定数aをa´に補正する。
Figure 0004990747
ここで、Sw01は、1本目のコイルのワークロール粗度(Sw01)であり組み込み時には既知数である、また、コイル1本目の調質圧延前の該金属ストリップの表面粗度(S01)、板厚(H)、0.2%耐力(σy)と調質圧延後の該金属ストリップの表面粗度(S)を式(3)に代入することによって、定数aはa´に補正される。
コイル2本目の伸び率設定には、上述した補正後の定数a´を用いて、次コイルの伸び率を式(5)を用いて計算する。式(5)は2次方程式なのでεi+1の解析解は容易に求めることができる。なお、ワークロール粗度は時々刻々と変化するので補正は式(4)を用いてコイル毎に行う必要があることは言うまでもない。以降、この手順を繰り返し、必要とする伸び率εi+1を求めて、調質圧延を行う。
Figure 0004990747
ここで、(4)式は(1)式を展開したものである。
Figure 0004990747
このようにして、調質圧延を行ってゆくと、ロールが摩耗し最大伸び率でも目標とする粗度が得られなくなることが分かる。
なお、上述した方法で得られた伸び率が上限を越える場合には、たとえ粗度が得られても調質圧延後の伸び等が確保できなくなるのでロール交換が必要であることが事前に判断することができる。
この場合に、調質圧延を続行することを止めてワークロール交換を行う。これが本発明の第3の発明である。これにより、ワークロールで調質圧延の不可能が事前に判断して対応できるので、調質圧延後の粗度外れが生じることがない。
第4の発明では、ワークロールの摩耗に及ぼす圧延コイル本数の影響を考慮するために直接にワークロールの粗度を測定することを特徴としている。これは第2の発明のようにモデルを介してワークロールの粗度を推定するのではないので精度的には非常に優れていおり、第2の発明よりもさらに厳密な表面粗度の造りこみを行う場合に適している。しかしながら、ワークロール粗度を測定するためにはワークロールを停止する必要があるため、操業実態によれば使用できない場合もある。バッチ式の調質圧延機では通板時にはワークロールを止めて通板することが一般的であるので、その間にオンラインロール粗度検出器を用いてワークロール粗度を測定することは可能である。また、バッチ式で無い場合であっても、非常に製品粗度範囲の狭い製品を作る場合には、ワークロールを一旦止めて測定することによって対応が可能となる。
(実施例1)
図2に示した調質圧延機を用いて、圧延試験を行った。
ワークロール寸法は、直径が600mm(上下ワークロールのペア差は0.1mm未満)、胴長が2200mmの鍛鋼ロールで、ヤング率は210GPaである。
バックアップロール寸法は、直径が1500mm(上下バックアップロールのペア差は1mm未満)、胴長が2200mmである。
ワークロールベンダーの最大ベンダー力は、500kN/chockである。
金属ストリップSは低炭素鋼板であり、連続焼鈍炉で熱処理されており、0.2%耐力は上降伏点が410MPaの金属ストリップで、連続焼鈍炉の入り側に設置された溶接機によってコイルが接合され、連続して金属ストリップが供給されている。この金属ストリップの寸法は、板幅が1240mmで、板厚は0.8mmである。また、素材の表面粗度は0.8μmRaである。
この金属ストリップの調質圧延での最低伸び率は0.5%、最大伸び率は0.8%、目標とする圧延後の表面粗度は1.25〜1.50μmRaである。
この圧延試験に対して、本発明の第1の発明を用いてワークロールの選定を行った。
先ず、この調質圧延機で実験を行い、式(1)の定数a〜aを回帰して求める。この際、通常の操業範囲内でのワークロール径変化は転写率にあまり影響ないので無視しても良いが、潤滑条件を変えた場合には転写率は大きく変わるので潤滑条件毎に上記定数は求める必要がある。
さて、この場合、ワークロール粗度が圧延後の金属ストリップの表面粗度よりも大きな場合であるので、ワークロール粗度の最大値(Swmax)は伸び率が下限(εmin)の0.5%で製品粗度が上限(Smax)の1.5μmRaの場合であり、ワークロール粗度の最小値(Swmin)は伸び率が上限(εmax)の0.8%で製品粗度が下限(Smin)の1.25μmRaである。
従って、この場合に使用可能なワークロール粗度(Sw)は、式(1)、(2)を用いて求めると、
Swmin=2.02μmRa≦Sw≦Swmax=3.61μmRa

となった。そこで、ワークロールの粗度で3.61μmRaに最も近かった3.55μmRa仕上がりのワークロールを使用した。最低伸び率で調質圧延した結果、圧延後の粗度は1.48μmRaが得られ、目標値に収めることができた。
従来は、ワークロール初期粗度が3.0〜3.8μmで管理され、形状優先でオペレータが許容伸び率範囲内で伸び率を設定していため、月に10コイル程度粗度外れが生じていたが、本発明の適用により粗度外れは全く生じなくなった。また、本発明により、ワークロール交換が少なくなり、従来と比べて平均30%ワークロール交換が少なくなった。
(実施例2)
図2に示した調質圧延機を用いて、圧延試験を行った。
ワークロール寸法は、直径が600mm(上下ワークロールのペア差は0.1mm未満)、胴長が2200mmの鍛鋼ロールで、ヤング率は210GPaである。
バックアップロール寸法は、直径が1500mm(上下バックアップロールのペア差は1mm未満)、胴長が2200mmである。
ワークロールベンダーの最大ベンダー力は、500kN/chockである。
金属ストリップSは低炭素鋼板であり、連続焼鈍炉で熱処理されており、0.2%耐力は上降伏点が410MPaの金属ストリップで、連続焼鈍炉の入り側に設置された溶接機によってコイルが接合され、連続して金属ストリップが供給されている。この金属ストリップの寸法は板幅が1240mmで、板厚は0.8mmである。また、素材の表面粗度は0.8μmRaである。
この金属ストリップの調質圧延での最低伸び率は0.5%、最大伸び率は0.8%、目標とする圧延後の表面粗度は1.45〜1.50μmRaである。
この圧延試験に対し、実施例1と同様に本発明の第1の発明を用いてワークロールの選定を行った。次に、第2の発明を用いてワークロール組み込み直後のコイル1本目の圧延後の板粗度を測定する。この際には組み込み直前のワークロール粗度は測定しているので既知である。式(3)を用いて誤差を算出して、定数aをa´に補正する。続いて、コイル2本目以降のi+1本目のワークロール粗度(Sw0i+1)を式(4)から求め、ワークロールの粗度を順次補正する。i+1本目の圧延後の目標表面粗さ(Saimi+1)を入力して式(5)のi+1本目の伸び率(εi+1)を解くことによって求める。式(5)を用いて行うコイル2本目以降の伸び率設定には、上述した補正後の定数a´を用いる。求められた伸び率でi+1本目の調質圧延を行う。以降、この手順を繰り返し、調質圧延を行った。
従来は、このような粗度厳格材については、実施例1の従来技術で示した方法で圧延した物の中から粗度を測定して合格した物だけを選別して出荷したが、本発明により、そのようなことをしなくても目標とする製品を作ることができるようになった。
ラボ実験の結果の一例であり、圧延後の粗度に及ぼす伸び率と鋼種と板厚の影響を示す図である。 本発明を使用した調質圧延機を示す図である。 本発明の第1発明におけるワークロール粗度選定方法のフローチャートである。 本発明の第2発明におけるワークロール粗度選定方法のフローチャートである。
符号の説明
11 調質圧延機
16〜17 ワークロール
21〜22 バックアップロール
31 油圧圧下装置
36 圧延荷重検出装置
37 電動圧下装置
41〜42 タッチロール
51 ワークロールベンダー
S 金属ストリップ

Claims (4)

  1. 所望する表面粗度の金属ストリップを得る調質圧延方法において、
    調質圧延後の金属ストリップの表面粗度(S)、調質圧延前の該金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)およびワークロール粗度(Sw)で定義される転写効率(α(ε,σy))について、
    調質圧延時の伸び率(ε)と調質圧延前の該金属ストリップの0.2%耐力(σy)による回帰式(1)を実験によって事前に求め、
    調質圧延する金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)、0.2%耐力(σy)と目標とする伸び率(εaim)と目標とする圧延後の該金属ストリップの表面粗度(Saim)から該調質圧延機に組み込む初期ワークロールの表面粗度(Sw)を式(2)に従って求め、
    その表面粗度の求められた範囲に入るワークロールを選定して該調質圧延機に組み込み調質圧延を行うことを特徴とする調質圧延方法。
    Figure 0004990747
  2. 所望する表面粗度の金属ストリップを得る調質圧延方法において、
    調質圧延後の金属ストリップの表面粗度(S)、調質圧延前の該金属ストリップの表面粗度(S)、板厚(H)およびワークロール粗度(Sw)で定義される転写効率(α(ε,σy))について、
    調質圧延時の伸び率(ε)と調質圧延前の該金属ストリップの0.2%耐力(σy)による回帰式(1)を実験によって事前に求め、
    ワークロール組み替え直後からi本目のコイルは伸び率(ε)で調質圧延し、調質圧延後の金属ストリップの表面粗度(S)を測定し、1本目のコイルのワークロールの表面粗度(Sw01)、調質圧延前の該金属ストリップの表面粗度(S01)、板厚(H)、0.2%耐力(σy)を用い、式(3)から定数aを計算して求めて式(1)の定数aをa´に補正するとともに、2本目以降のコイルは、上記定数を補正した式(1)を用い、コイル2本目以降のi+1本目のワークロール粗度(Sw0i+1)を式(4)から求めワークロールの粗度を順次補正し、i+1本目の伸び率(εi+1)をi+1本目の圧延後の目標表面粗さ(Saimi+1)を入力して式(5)のεi+1を解くことによって求めて、求められた伸び率でi+1本目の調質圧延を行うことを特徴とする調質圧延方法。
    Figure 0004990747
  3. 前記調質圧延方法で求められたi+1本目の伸び率(εi+1)が予め設定した上限値を超えた場合には、次の圧延は行わずにワークロールを組み替えることを特徴とする請求項2記載の調質圧延方法。
  4. 前記コイル2本目以降のi+1本目の前記ワークロール粗度(Sw0i+1)を、前記調質圧延機に配備されたオンラインロール粗度検出器により測定して求めることを特徴とする請求項2または3に記載の調質圧延方法。
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