JP2006272460A - 圧延制御装置,圧延装置,圧延制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出される検出形状分布のパターンと目標形状分布のパターンとの類似性を正しく評価しつつ,前記検出形状分布のパターンを前記目標形状分布のパターンに収束させることが可能な圧延制御装置,圧延装置,圧延制御方法を提供することにある。
【解決手段】圧延対象である被圧延材の幅方向における検出形状分布から,形状の特徴を表す2つの形状パラメータを算出し,その2つの形状パラメータを極座標表示したときの偏角が,予め設定された目標偏角に近づくように前記幅方向の荷重分布を制御する。
【選択図】 図8

Description

本発明は,被圧延材を圧延する圧延機による圧延荷重分布を調節するためのアクチュエータを制御する圧延制御装置及びそれを具備する圧延装置に関するものであり,前記被圧延材の圧延後における幅方向の形状分布のパターンを,予め入力された目標形状分布のパターンに収束させることが可能な圧延制御装置及びそれにより制御される圧延装置,並びに圧延制御方法に関するものである。
近年,鉄材,非鉄金属材(ステンレス材,銅材等)の薄板圧延には,製品の幅方向における形状分布精度を,製品長さ(即ち,コイル長)全長に渡り均一化させる目的で,例えば合計20個のロールを有する多段圧延機が用いられている。このような多段圧延機では,鋼材などの被圧延材の硬質,極薄化に伴いワークロールが小径化されており,該ワークロールと被圧延材とが接触する際に生じる面圧(単位張力)の,前記ロールの軸方向の分布に高い自由度を持たせるため,前記被圧延材の面圧を独立に調節し得る複数個のアクチュエータが用いられている。複数個の前記アクチュエータ各々の動作位置を制御することにより,前記ワークロールによる幅方向の面圧(単位張力)分布をコントロールし,これにより前記被圧延材の圧延後の検出形状分布を予め定められた目標形状分布へと近づける。以下,前記ワークロールにより加えられる前記被圧延材の面圧の分布を圧延荷重の分布という。
また,このような多段圧延機における被圧延材の形状分布制御は以下のように行われる。即ち,前記被圧延材の圧延後における形状分布の検出結果をフィードバックさせ,前記多段圧延機を制御する圧延制御装置に組み込んだ形状制御アルゴリズムにより,複数個の前記アクチュエータ各々の動作位置(動作量)を決定し,決定された前記動作位置(動作量)に基づいて前記アクチュエータ各々の位置決め制御を行い,前記被圧延材の検出形状分布を目標の形状分布(以下,目標形状分布という)に収束させる。
上記のような圧延制御(板形状分布制御)方法の具体例として,例えば特許文献1等に記載の方法が知られている。
図1は,特許文献1に記載の板形状分布制御方法を用いることが可能な圧延装置の概略構成図である。以下,図1を参照しつつ,特許文献1に記載の板形状分布制御方法,及びその方法を用いて被圧延材を圧延する圧延装置Bの概略構成について説明する。
図1に示されるように,前記圧延装置Bは,圧延の対象である被圧延材1を圧延する圧延機Y1と,前記圧延機Y1を制御する圧延制御装置X2とにより概略構成される。
前記圧延機Y1は,ワークロール2a及び2b,第一中間ロール3a及び3b,第二中間ロール4a及び4b,バックアップロール5a及び5b,入側リール6,出側リール7,入側リール駆動装置8,出側リール駆動装置9,圧下装置10,入側板厚計11,出側板厚計12,アクチュエータ群13,板形状検出器14等を具備している。
前記被圧延材1に圧延荷重を加えるための,上下に対向配置された一対の前記ワークロール2a及び2bの間に圧延部C1が形成され,前記被圧延材1は,その圧延部C1において前記ワークロール2a及び2bから圧延荷重が加えられて圧延される。
圧延前の前記被圧延材1は前記入側リール6に予め巻き取られており,その入側リール6の回転駆動により送り出された前記被圧延材1は,前記圧延部C1を通過して圧延された後,回転駆動する前記出側リール7に巻き取られる。
ここで,前記入側リール6及び前記出側リール7は,それぞれ前記入側リール駆動装置8及び前記出側リール駆動装置9により回転駆動され,その回転速度は,後述する圧延制御装置X2により設定される設定速度に従って調節される。また,前記被圧延材1の圧延速度は,前記入側リール6及び前記出側リール7各々の回転速度を調節することにより制御される。
前記圧延部C1に対する入側及び出側各々における前記被圧延材1の板厚は,それぞれ入側板厚計11及び出側板厚計12各々により検出され,各検出値は前記圧延制御装置X2に出力される。前記圧延制御装置X2は,それらの検出値に基づいて前記圧下装置10の制御を行い,前記ワークロール2aの上下位置を移動させることにより,前記ワークロール2aと前記ワークロール2bとのロールギャップ(ロール間距離)を変化させる。
ところで,前記被圧延材1の幅方向の形状分布は,前記被圧延材1の張力分布を測定する複数の張力測定用のセンサ(例えば,ロードセル等)を有する前記板形状検出器14により検出され,前記圧延制御装置X2に入力される。詳しくは,前記板形状検出器14には,前記被圧延材1の幅方向に適宜数(n個とする)の張力検出用センサが設けられており,該張力検出用センサ各々による検出値が形状値に変換されて前記幅方向にプロットされることにより,前記被圧延材1の形状分布が検出される。
前記アクチュエータ群13は,前記ワークロール2a及び2bにより生じる前記被圧延材1の幅方向に対する荷重分布(ロールと被圧延材との面圧)を調節する複数のアクチュエータ13a〜13h(詳しくは,図2参照)からなるものである。前記アクチュエータ群13に属するアクチュエータ13a〜13h各々の動作位置を変化させることにより,前記荷重分布を変化させることが可能である。該荷重分布が変化すると前記被圧延材1の幅方向における形状分布(前記板形状検出器による検出形状分布)が変化する。従って,前記圧延制御装置X2は前記板形状検出器14による検出結果が,予め入力され記憶されている目標形状分布に近づくように,前記アクチュエータ群13に属するアクチュエータ各々の動作量を計算し,その計算結果に基づいて前記アクチュエータ各々の動作位置の制御,即ち位置決め制御を行う。
図2は,前記圧延装置Bを正面から見た図であって,前記圧延装置Bにおけるロール各々に対するアクチュエータの配置を示す概略構成図である。以下,図2を参照しつつ,特許文献1に記載の方法を用いた前記圧延制御装置X2による前記被圧延材1の形状分布制御について詳細に説明する。
m種類装備された,前記アクチュエータ13a〜13h(合計m個とする)各々のうちのj番目のアクチュエータの動作量(動作位置の変化量)をΔxjで表し,n個の前記張力測定用センサのうちのi番目のセンサによる検出値の変化をΔfiで表すと,前記Δxjと前記Δfiとには次式(1)により表される線型関係式が成立すると仮定する。
Figure 2006272460
ここで,αijは影響係数と呼ばれ,j番目のアクチュエータの動作位置を変化させた時の,i番目のセンサが検出した張力分布の変化分(形状影響係数)である。
そこで,前記アクチュエータ13a〜13hをそれぞれΔxjずつ動作させたときの,前記被圧延材1の検出形状分布fiは,現在の検出形状分布をfi 0とすると次式(2)になると予測することができる。
Figure 2006272460
ところで,前記圧延制御装置X2に内蔵された記憶部には,予め前記被圧延材1の所望の目標形状分布fi * が記憶されている。そこで,前記被圧延材1の前記検出形状分布の前記目標形状分布からのズレの尺度となる形状評価関数φを,前記目標形状分布fi *に対する前記検出形状分布fiの偏差の重み付き2乗和として,以下の式(3)のように定義する。
Figure 2006272460
ここで,wiは適宜決定される重み付け数列である。
一般に,前記形状評価関数φが小さいほど,前記検出形状分布と前記目標形状分布とがより近くなるものと期待され,これを最小化するように前記アクチュエータ13a〜13hの動作位置をオンライン制御するのが望ましい。従って,前記形状評価関数φを最小化する前記アクチュエータ13a〜13h各々の動作Δxjを決定するには,次式(4)の偏微分方程式により得られる下記式(5)の解を求めることにより得られる。
Figure 2006272460
Figure 2006272460
以上のように求められたΔxjに従って前記アクチュエータ13a〜13h各々を制御するループ処理が行われることにより,前記形状評価関数φは次第に最小化され,前記検出形状分布fiは前記目標形状分布fi *に近づく。
しかしながら,上述したような特許文献1に記載の圧延制御方法では,大きく2つの問題点を有する。
第一の問題点は,以下のようなものである。例えば,前記アクチュエータ13aと前記アクチュエータ13h,前記アクチュエータ13bと前記アクチュエータ13g,のように,前記被圧延材1の幅方向(板幅方向)においてほぼ対称に設けられるアクチュエータについては,図3に示されるように,前記影響係数αijの前記板幅方向の分布が類似している。このような2つのアクチュエータは,一次従属性が高いと言われ,図3に示される例では,ほぼ板幅方向(図3における左右方向)に対称の前記影響係数αijが得られている。このように,2つのアクチュエータの一次従属性が高い場合は,上述の式(5)に示される偏微分方程式の解は不安定になる。つまり,式(5)はΔxiに対しての連立方程式であるが,前記影響係数αij如何によっては式(5)が解なしとなる,もしくは前記アクチュエータ13a〜13h各々の動作限界を超えた解が求められる場合が生じ得る。このような場合には,前記アクチュエータ13a〜13hの動作停止(緊急停止等),一次従属性が高いことによって生じる相互干渉制御(いわゆるハンチング)等の様々な問題が生じ得る。
第二の問題点は,以下のようなものである。前記被圧延材1の圧延は,前記形状評価関数φを最小化すること,つまり,前記張力測定用センサ各々による各箇所での検出形状分布fiをトータルで目標形状分布fi *に近づけることが重要である。しかしながら,実際に圧延された前記被圧延材1の検出形状分布のパターンを目標形状分布のパターンに近似(収束)させることの方が,圧延操業における製品の精度,安定性においてより重要である。即ち,目標となる形状分布のパターンが,例えば図4(a)に示される耳伸びに設定されている場合は,前記被圧延材1の検出形状分布パターンも耳伸びになるように,前記ワークロール2a及び2bによる圧延荷重分布を制御するべきである。ここに,前記パターンとは,被圧延材の形状分布の類型をいい,例えば,図4に示すように,(a)耳のび,(b)中伸び,(c)クォータ伸び等の複数の種類が考えられる。
ところが,前記形状評価関数φは,必ずしも前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンに類似しているか否かを表すものではない。
以下,図5を参照しつつ,前記形状評価関数φが前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンに類似しているか否かを示す指標とはならない例について説明する。ここに,図5は,検出形状分布及び,目標形状分布間のパターンの類似性と従来の板形状制御方法で用いられる形状評価関数φの値との関係を示す概念図である。
図5(a)は前記目標形状分布を破線で示した図である。また,図5(b)(c)はそれぞれ異なる前記検出形状分布のパターンを実線で示した図であり,前記目標形状分布との相違の参考のため,それぞれに破線で図5(a)に示される前記目標形状分布が図示されている。
図5(a)に示される形状は耳伸び(図4(a)参照)といわれる形状分布のパターンである。図5(b)に示される前記検出形状分布のパターンはやはり耳伸びであり,そのパターンは,図5(a)に示される前記目標形状分布のパターンと同一の範囲内にある(つまり,前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンに収束している)。しかし,前記張力測定用センサ各々の検出値は図5(a)に示される目標形状分布とは異なる。一方,図5(c)に示される前記検出形状分布のパターンは,耳伸びと中伸びの複合パターンであり,そのパターンの種類が前記目標形状分布のパターンとは異なっている。
図5(b)に示される検出形状分布について前記形状評価関数φを計算したものと,図5(c)に示される検出形状分布について前記形状評価関数φを計算したものとでは,いずれもφの値は略同一になる。
しかし,上述のように図5(b)に示される前記検出形状分布のパターンは耳伸びになっており,パターン類似性の観点からは理想的な形状分布の制御がなされていると言える。一方,図5(c)に示される前記検出形状分布はそのパターンが耳伸び+中伸びの複合型であり,前記形状評価関数φだけに着目すれば理想的な形状分布であると評価できるが,パターン類似性の観点からは理想的な形状分布制御が得られているとは言い難い。
従って,前記形状評価関数φにより前記検出形状分布と前記目標形状分布とのパターンの類似性を評価したとしても,上述したように誤った評価がなされることがあるため,該評価の信頼性は低いといわざるを得ない。
このことは,前記形状評価関数φの値(ゼロ以外の値)が小さい場合であっても同様であり,前記形状評価関数φが小さい場合であっても,前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンに類似しているとは限らない。
また,前記形状評価関数φが小さくなれば,目標形状分布との偏差が同様に小さくなり,それに伴って前記アクチュエータ各々の動作量(制御ゲイン)が不感帯制御状態となる為に,前記形状評価関数φを完全に最小化しない状態で制御が終了されることが知られている。つまり,前記検出形状分布のパターンと,目標形状分布のパターンとが異なった状態であるにもかかわらず,前記形状評価関数φの値が最小化されたと判断されることにより不感帯制御状態に陥ってしまい,パターンの収束状態を得られない(つまり,前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンへと収束しない)まま形状分布制御が終了されるという問題点もある。
ここで,特許文献1に開示されている板形状制御方法の改良版として,特許文献2に記載の板形状制御方法が知られている。
特許文献2に記載の板形状制御方法の特徴点は,特許文献1に示されている形状評価関数φを改良した点にある。具体的には,以下の式(6)に示されるφ'が形状評価関数として採用されている。尚,該φ'と前記形状評価関数φとの相違点は,式(6)の右辺における2項目の有無にある。
Figure 2006272460
上式(6)式の右辺の2項目におけるPkは,例えば図2に示される前記アクチュエータ13aと13h,13bと13gのような一次従属性の高いアクチュエータの制御量Δxjの一次結合からなるものである。このPkからなる項を形状評価関数φに付加することにより,一次従属性の高いアクチュエータ同士においてはある程度類似した制御量が得られ,これにより上述したような第一の問題点が解消される。
特開昭62−214814号公報 平4−138810号公報 松本 紘美「板圧延の理論と実際」社団法人 日本鉄鋼協会 共同研究会 圧延理論部会,S59.9,p.98
しかしながら,上述の特許文献2に開示される板形状制御方法を用いれば,特許文献1に示される板形状制御方法の2つの問題点のうちの,第一の問題点は解決されるものの,依然として第二の問題点は解決されない。つまり,上述の形状評価関数φ’も,特許文献1に開示される板形状制御方法で用いられる形状評価関数φと同様に,板形状の検出センサによる検出形状分布のパターンが目標形状分布のパターンに類似しているか否かを示すものではなく,前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンと異なったまま制御が終了されるという問題点は依然として解消されないままである。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,検出される検出形状分布のパターンと目標形状分布のパターンとの類似性を正しく評価しつつ,前記検出形状分布のパターンを前記目標形状分布のパターンに収束させることが可能な圧延制御装置,圧延装置,圧延制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,圧延機により圧延された被圧延材について,検出された幅方向における形状分布を表す形状分布検出値(検出形状分布の値)が,予め設定された目標形状分布(目標形状分布の値)に近づくよう前記圧延機における前記被圧延材に対する前記幅方向の荷重分布を制御する圧延制御装置であって,前記形状分布検出値をべき展開により近似してその展開係数を求め,その展開係数に基づいて前記幅方向における形状の特徴を表す少なくとも2つ以上の形状パラメータを算出し,その少なくとも2つ以上の形状パラメータを極座標表示したときの偏角が,予め設定された前記形状分布目標値に対応する目標偏角に近づくように前記幅方向の荷重分布を制御する圧延制御装置として構成される。
前記形状パラメータ各々は,通常,前記被圧延材の前記幅方向における複数の特定箇所各々の形状を表すものである。また少なくとも2つの前記形状パラメータを極座標表示したときの偏角(下記にて詳述)は,前記形状分布のパターンの種類を表すものである。従って,検出された形状分布から求められた前記形状パラメータを極座標表示したときの検出偏角と前記目標偏角との偏差(偏角偏差)を評価関数とすることで,検出された形状分布(検出形状分布)のパターンと目標となる形状分布(目標形状分布)のパターンとの類似性を正しく評価することが可能である。
また,評価関数である前記偏角偏差の最小化に重点をおいた制御をすることで,前記検出形状分布のパターンを前記目標形状分布のパターンに近づける(収束させる)ことが可能である。
尚,少なくとも2つ以上の前記形状パラメータの片方が横軸,もう片方が縦軸として用いられる座標平面において,少なくとも2つ以上の前記形状パラメータの組は前記座標平面における位置座標としてプロットされる。前記偏角は,プロットされた位置座標と前記座標平面における原点とを結んだ直線と,前記座標平面における横軸(若しくは縦軸)とのなす角を意味する。
ここで,前記形状分布検出値をべき展開により近似した近似式の2次の係数λ2及び4次の係数λ4から,
Λ2=λ2+λ4
Λ4=1/2・λ2+1/4・λ4
により求まるΛ2,Λ4を前記2つの形状パラメータとして算出するものであることが考えられる。前記Λ2,前記Λ4は,非特許文献1等に記載されているように,前記被圧延材の幅方向の範囲を−1<z<1なる範囲に正規化した場合, それぞれz=±1,±1/√2の位置における形状を表しており,前記被圧延材が前記板幅方向において対称であれば,前記Λ2,前記Λ4の値の組み合わせにより代表的な形状パターンの種類が網羅される。
また,前記少なくとも2つ以上の形状パラメータを極座標で表したときの偏角が前記目標偏角に対して所定の許容範囲まで近づいた(収束した)後に(つまり,形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンに類似した後に),前記少なくとも2つ以上の形状パラメータを極座標で表したときの原点からの距離(検出絶対値)が予め設定された前記形状分布目標値に対応する目標距離(目標絶対値)に近づくように前記荷重分布を制御することが望ましい。
検出された前記検出形状分布から算出された前記検出偏角が前記目標偏角に収束した場合であっても,前記検出絶対値と前記目標絶対値とは異なるケースがある。言い換えると,前記偏角偏差が最小化されてなお形状評価関数φが大きいケースである。そのような場合における検出形状分布と目標形状分布との関係の例が図6に示される。図6の(a)には破線で前記検出形状分布が示されており,(b)には実線で前記目標形状分布が示されている。前記検出偏角が前記目標偏角に収束しており,尚且つ前記検出絶対値と前記目標絶対値とが異なる状態では,前記検出形状分布と前記目標形状分布のパターンは略同一(図6の例では中伸び形状)であるが,各検出値は異なる。
上述のように前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンと略同一の範囲にあるが,前記検出形状分布における各検出値(形状の検出用のセンサ各々の検出値)が,前記目標形状分布における各目標値とは異なる場合であっても,前記検出絶対値が前記目標絶対値に近づくように前記荷重分布の制御を行うことにより,前記検出形状分布のパターンと前記目標形状分布のパターンとを略一致させたまま検出形状分布の修正が行われ,これにより前記検出形状分布を前記目標形状分布に精度良く収束させることが可能となる。
また,少なくとも2つ以上の形状パラメータを極座標で表したときの偏角が前記目標偏角に対して所定の許容範囲まで近づいた後であれば(つまり,前記検出形状分布のパターンと前記目標形状分布のパターンとを類似させた後であれば),特許文献1及び特許文献2に示されるように,前記検出形状分布と前記目標形状分布との偏差の2乗和を評価関数(形状評価関数φ)として,それを最小化させる制御を行うものとしても,前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンと異なったまま制御が終了されるという問題は生じないと期待される。
更に,本発明は,そのような圧延制御装置に制御される圧延装置,又は圧延制御方法として捉えたものであってもよい。
上述したような,検出された形状分布から求められた前記形状パラメータを極座標表示したときの検出偏角と前記目標偏角との偏差(偏角偏差)を評価関数とすることで,検出された形状分布のパターンと目標となる形状分布のパターンとの類似性を正しく評価することが可能である。
また,評価関数である前記偏角偏差の最小化に重点をおいた制御をすることで,検出される圧延後の形状分布のパターンを目標となる形状分布のパターンに近づける(収束させる)ことが可能となる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る圧延制御装置により制御される圧延装置の概略構成図,図2は本発明の実施の形態に係る圧延制御装置により制御される圧延装置におけるロール各々に対するアクチュエータの配置を示す概略構成図,図3は一次従属性の高い2つのアクチュエータ各々の影響係数を幅方向にプロットしたグラフ,図4は形状分布のパターンの一例を示す図,図5は検出形状分布及び目標形状分布間のパターン類似性と従来の板形状制御方法で用いられる形状評価関数φの値との関係を示す概念図,図6は形状のパターンが同じであるが,形状の伸び差(急峻度)のみが異なる複数の形状分布を示す概念図,図7は本発明の実施の形態に係る圧延制御装置のブロック図,図8はΛ2,Λ4と形状分布パターンとの関係を示す概念図,図9は本発明の実施の形態に係る圧延制御装置による形状制御のうちの第一のループの手順を示すフローチャート,図10は本発明の実施の形態に係る圧延制御装置により動作制御対象となるアクチュエータの選別に用いられる変化量参照テーブルのデータ構成を示す図,図11は第一のループにおける検出座標(Λ2a,Λ4a)と目標座標(Λ2*,Λ4*)の関係を示すΛ2Λ4平面図,図12は本発明の実施の形態に係る圧延制御装置による形状制御のうちの第二のループの手順を示すフローチャート,図13は第二のループにおける検出座標(Λ2a,Λ4a)と目標座標(Λ2*,Λ4*)の関係を示すΛ2Λ4平面図である。
(1)本発明における圧延制御装置と従来例における圧延制御装置との相違点について。
図1は,本発明の実施の形態に係る圧延制御装置X1を具備する圧延装置Aの第1の概略構成図である。図1に示される圧延装置Aは,圧延対象である被圧延材1を圧延する圧延機Y1と,前記圧延機Y1を制御する圧延制御装置X1とを有して概略構成される。前記圧延装置Aは前述した従来例における圧延制御装置X2に代わり,本発明の実施の形態に係る圧延制御装置X1を具備する点を特徴とするものである。前記圧延制御装置X1を除く各部の構成,機能については既に説明した従来例の圧延装置Bと同様であるので,ここでは説明を省略する。
また,前記圧延制御装置X1は,図7に示すように,演算部であるCPU21,圧延対象である被圧延材1を圧延するワークロール対2a及び2bによる荷重分布を制御するための制御プログラム等を記憶する記憶部22,前記ワークロール対2a及び2bによる荷重分布を調節するアクチュエータ13a〜13h(図2参照)に対する制御指令を出力するI/O23等を有するものであり,前記制御プログラムで採用されるアルゴリズム(形状制御アルゴリズム)において,従来例における圧延制御装置X2とは異なるものである。
前記圧延制御装置X1も,従来例における前記圧延制御装置X2と同様に,前記被圧延材1の前記圧延機Y1による圧延後の形状分布を検出する板形状検出器14による検出結果fi(後述の複数の張力測定用センサ各々の測定値であり,検出形状分布を表す形状分布検出値の一例である)と,前記圧延制御装置X1の前記記憶部22に予め入力され記憶された目標形状分布fi *(後述の複数の張力測定用センサ各々に対する形状の目標値であり,目標形状分布を表す形状分布目標値の一例である)との偏差を表す評価関数を縮小するように,アクチュエータ群13に属する複数のアクチュエータ13a〜13h(図2参照)の一部又は全部を制御し,前記被圧延材1に対する幅方向の荷重分布を制御する。しかしながら,前記偏差を表す評価関数が従来例とは異なり,それを最小化するための前記アクチュエータ13a〜13hの制御方法も異なる。
(2)本発明における圧延制御装置で用いられる形状パラメータについて。
以下,本発明の実施の形態に係る圧延制御装置X1で用いられる評価関数(詳しくは後述する偏角偏差φΛ,絶対値偏差φr)について詳細に説明するが,その前に該偏角偏差の定義で用いられる形状パラメータΛ2及びΛ4について簡単に説明する。
板形状検出器14は,前記被圧延材1の張力分布を測定する複数の張力測定用センサ(例えば,ロードセル等)を備えたセンサローラ等であり,前述のように前記被圧延材1の幅方向の形状分布(つまり,前記被圧延材1の搬送方向への伸び量の分布)を測定するものである。ここで,例えばn個の前記張力測定用センサにより,前記検出形状分布fiが得られたものと仮定すると,その検出形状分布fiは,以下の式(7)に示されるように,前記被圧延材1の幅方向における4次までのべき展開で近似することが可能である。
Figure 2006272460
但し,上述のzは前記板形状変数である。つまり,前記張力測定用センサのうちの両端のセンサ(i=1,i=n)がそれぞれz=‐1,z=1に相当する。また,f(z)はその変数zを用いて前記検出形状分布fiを変換したものである。このような,4次のべき展開による近似を行った場合,前記検出形状分布fiの概形は4つの展開係数であるλ1〜λ4により概ね特定される。
ところで,前記被圧延材1に求められる所望の形状分布(目標形状分布)は前記被圧延材1のセンタ(z=0)を中心に線対称である場合が多く,以下,前記被圧延材1の形状分布が板幅方向について対称(つまり,上述のf(z)が偶関数)である場合に説明を限定する。その場合,上述した式(7)は下記の式(8)となり,前記検出形状分布fiの概形は展開係数λ2,λ4のみにより概ね特定される。
Figure 2006272460
ここで,前記λ2,及び前記λ4から,以下の(9)式により形状パラメータΛ2,Λ4が得られる。
Figure 2006272460
前記Λ2は前記被圧延材1の幅方向の両端部付近,つまりz=±1における形状を表しており,一方,前記Λ4はz=±1/√2における形状を表している。
図8に形状パラメータΛ2,Λ4と形状分布のパターンとの関係を示す。図8には,前記Λ2,前記Λ4をそれぞれ縦軸,横軸に用いた平面(以下,Λ2Λ4平面)が示されており,更に前記Λ2Λ4平面内の各箇所に対応する形状分布のパターンが示されている。例えば,Λ2>0,Λ4>0,Λ2>Λ4である場合,前記被圧延材1は単純な耳伸び形状(81)になることが示されている。また,Λ2<0,Λ4>0である場合,前記被圧延材1は中央部分(z=0)における伸びが耳部分(z=±1)における伸びよりも大きなクォータ伸び形状(82)になることが示されている。つまり,前記Λ2Λ4平面内における座標が特定されると,その座標が示す偏角に応じた形状分布のパターンが決定される。尚,図8に示されるように,前記形状パラメータΛ2,Λ4の組み合わせにより,前記被圧延材1が板幅方向(図8における左右方向)に対称な場合の代表的な形状分布のパターンが概ね網羅される。
尚,図8に示されるΛ2Λ4平面において,前記被圧延材1の形状分布のパターンの種類は,前記Λ2,前記Λ4を極座標表示したときの偏角(以下の式(10))により直接的に表される。
Figure 2006272460
例えば,前記偏角が60°(θ=√3/2)である場合,Λ2>0,Λ4>0,Λ2<Λ4なので,前記被圧延材1はその中央部分(z=0)における伸びが耳部分(z=±1)における伸びよりも小さいクォータ伸び形状になる。また,前記偏角が210°(θ=1/2)である場合,Λ2<0,Λ4<0,Λ2<Λ4なので,前記被圧延材1は単純な中伸び形状になる。
このように,前記偏角θが特定されると,前記被圧延材1の形状分布パターンの種類が特定される。
一方,前記Λ2,前記Λ4を極座標表示したときの絶対値(原点からの距離)
Figure 2006272460
は,以下のような意味を持つ。
即ち,前記検出形状分布,前記目標形状分布各々から得られた前記偏角が一致しており,かつ絶対値が異なる状態は,前記検出形状分布のパターンと前記目標形状分布のパターンとが略同一範囲にあるが,(各張力測定用センサによる)検出値fiが,前記目標形状分布における各張力測定用センサの目標値fi *とは異なる状態である。例えば,図6に示される(a),(b)は,いずれも前記偏角が同一であり,かつ絶対値のみが変化した場合の2通りの形状分布を示したものである。即ち,前記絶対値が大きくなると,(b)に示される形状分布のように中伸び,耳伸び等(図6の例では中伸び)のパターンにおける幅方向の起伏が大きくなり,前記絶対値が小さくなると,(a)に示される形状分布のように中伸び,耳伸び(図6では中伸び)等のパターンにおける幅方向の起伏が緩やかになる。
(3)本発明の実施の形態に係る圧延制御装置で用いられる評価関数について。
前述の如く,前記検出形状分布fiは前記Λ2Λ4平面内における座標(以下,検出座標という)Λ2a,Λ4aに置換することが可能であり,同様に前記目標形状分布fi *も前記Λ2Λ4平面内における座標(以下,目標座標という)Λ2*,Λ4*に置換することが可能である。前記Λ2Λ4平面内において,前記検出座標が前記目標座標に一致していれば,前記検出形状分布fiは相当の精度で前記目標形状分布fi *に一致する。
ここで,前述の説明から,前記目標座標を極座標表示した場合の偏角である目標偏角θ*は,所望する目標形状分布のパターンの種類を表す。同様に,前記検出座標を極座標表示した場合の検出偏角θと,前記目標偏角θ*との偏差である後述の偏角偏差φΛ(下記の式(12)参照)は,前記被圧延材1の検出形状分布パターンと,前記目標形状分布パターンとの類似性を評価している。つまり,前記偏角偏差φΛが小さい程,前記検出形状分布のパターンは前記目標形状分布のパターンに類似しているものと判断できる。
同様に,前記目標座標を極座標表示した場合の絶対値である目標絶対値r*と,前記検出座標を極座標表示した場合の検出絶対値θとの偏差である後述の絶対値偏差φr(下記の式(13)参照)は,前記被圧延材1の検出形状分布パターンと,前記目標形状分布パターンとが類似した後の,前記検出形状分布における各張力測定用センサによる検出値fiと,前記目標形状分布における各張力測定用センサに対する目標値fi *との近さを表すものである。つまり,前記偏角偏差φΛが収束している状態において,前記絶対値偏差φrが小さい程,前記検出形状分布と前記目標形状分布とが近いと判断できる。
以上のように,前記Λ2Λ4平面内において前記目標座標と前記検出座標とにおける前記偏角偏差φΛ,前記絶対値偏差φrの両方をバランス良く最小化させることが,前記検出形状分布fiを前記目標形状分布fi *に高精度で一致させることに繋がる。そこで,前記圧延制御装置X1により,前記偏角偏差φΛ,前記絶対値偏差φr各々の最小化を主眼とする形状制御アルゴリズムが採用されたプログラムが用いられ,前記アクチュエータ13a〜13hの動作位置が制御される。
前記形状制御アルゴリズムは,大きくは2つのループ(第一のループ,第二のループ)を有する。
前記第一のループは,前記偏角偏差φΛを縮小することを目的とするループであり,つまり前記検出形状分布のパターンを前記目標形状分布のパターンに類似させることを目的とするループである。前記第一のループでは,以下の式(12)に示される前記偏角偏差φΛを評価関数として用いる。
Figure 2006272460
尚,従来例では前記検出形状分布fiと前記目標形状分布fi *との偏差の二乗和(式(3)参照)が評価関数として用いられたが,これに代わって前記偏角偏差φΛを評価関数として用いることで,検出形状分布のパターンと目標形状分布のパターンとの類似性を正しく評価することが可能である。
前記第二のループは,前記絶対値偏差φrを縮小することを目的とするループである。つまり前記検出形状分布と前記目標形状分布のパターンが一致した後に,それらのパターンの一致性を保ったまま前記検出形状分布を修正し,前記検出形状分布における各検出値を前記目標形状分布に収束させることを目的とするループである。前記第二のループでは,以下の式(13)に示される前記絶対値偏差φrを評価関数として用いる。
Figure 2006272460
前記絶対値偏差φrを用いることで,前記検出形状分布のパターンと前記目標形状分布のパターンとが一致した後の,前記検出形状分布における前記張力測定用センサ各々の検出値fiと,前記目標形状分布における張力測定用センサ各々に対する目標値fi *との一致度を正しく評価することが可能である。
尚,前記形状制御アルゴリズムでは,前記第一のループが終了した後に前記第二のループが行われる。これは,前記検出形状分布のパターンと前記目標形状分布のパターンとを類似させる制御を優先的に行うことを意味する。以下,前記第一のループと前記第二のループとに分けて詳述する。
(4)第一のループの詳細について。
図9は,本発明の実施の形態に係る圧延制御装置X1による前記被圧延材1の板形状分布を制御する第一のループの手順を示すフローチャートである。以下,図10及び図11を参照しつつ,図9のフローチャートを用いて前記圧延制御装置X1による前記第一のループの詳細な手順について説明する。
ここに,図10のテーブル図は後述するステップS7において動作制御対象となるアクチュエータの選別に用いられる変化量参照テーブルを示し,図11のΛ2Λ4座標は形状分布を示す座標平面である。尚,以下の説明では,前記被圧延材1について所望する形状である目標形状分布fi *(各箇所iにおける目標値)は予め前記圧延制御装置X1に入力されており,該目標形状分布fi *を示す座標を図11中の目標座標102(Λ2*,Λ4*)とし,検出形状分布fiを示す座標を検出座標101(Λ2a,Λ4a)として説明する。
また,図9に示されるフローチャートにおける各手順(ステップ)の処理は,詳しくは後述のように,前記圧延制御装置X1の有する前記CPU21,前記記憶部22,前記I/O23等により実現される。ここで,図9におけるS1,S2…は処理の番号(ステップ)を示しており,前記圧延装置Aによる圧延開始時にステップS1の処理から実行される。
ステップS1では,前記板形状検出装置14により検出された前記検出形状分布fiが前記I/O23(図7)を介して前記圧延制御装置X1に入力される。ステップS1に続くステップS2では,前記圧延制御装置X1の有する前記CPU21(図7)により,ステップS1で入力された前記検出形状分布fi(形状分布検出値)がべき展開近似され,その展開係数λ2及びλ4が求められる。尚,このステップS2を実行する前記CPU21がべき展開係数算出手段の一例である。
ステップS2に続くステップS3では,前記CPU21によりステップS2において求められた前記λ2及び前記λ4(形状分布検出値をべき展開により近似した近似式の2次の係数及び4次の係数)から,上述した(9)式により前記Λ2及び前記Λ4が2つの形状パラメータとして算出される。このように算出された形状パラメータにより表される座標点が図11中の検出座標101(Λ2a,Λ4a)である。
尚,このステップS3の処理を実行する前記CPU21が形状パラメータ算出手段の一例である。
ステップS3に続くステップS4では,前記CPU21によりステップS2において求められた前記Λ2及び前記Λ4を前記Λ2Λ4平面において極座標表示した場合の検出偏角θが計算され,更に前記記憶部22に予め記憶されている前記目標偏角θ*との偏差である偏角偏差(評価関数)φΛが計算される。
ステップS4に続くステップS5では,ステップS4において計算された前記偏角偏差φΛが,前記記憶部22に予め記憶されている偏角閾値以下であるか否かが判別される。かかる判別は,パターンの類似性が不十分であるか否かを判断するために行われる。前記偏角閾値以下であると判別された場合(S5のYES)には,前記偏角偏差φΛが十分小さくなり,前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンに類似していると判別され,前記第二のループへと進む。一方,前記偏角偏差φΛが前記偏角閾値以上であると判別された場合(S5のNO)には,パターンの類似性が不十分であると判断され,ステップS6に進む。
図9に示すステップS6〜S9は,実際に前記評価関数(偏角偏差)φΛを最小化するための処理である。以下に説明するように,前記圧延制御装置X1は,前記アクチュエータ13a〜13hのうちの前記偏角偏差φΛを最も小さくすることが可能な1つのアクチュエータを選別し,そのアクチュエータを駆動することにより,前記偏角偏差φΛを小さくする。本実施の形態では上記したように1つのアクチュエータを選別する例について説明するが,もちろん,複数のアクチュエータを選別して前記偏角偏差φΛを小さくする別例も考えられる。
以下,ステップS6〜9の各処理について,図10及び図11を用いて詳述する。
前記Λ2*,Λ4*と偏角が同一になる前記Λ2Λ4平面上における領域は,前記Λ2*,Λ4*(前記目標座標102)と前記Λ2Λ4平面上における原点とを結ぶ半直線103により表される。そこで,まず前記検出偏角θを前記目標偏角θ*に近づけるため,検出形状分布fiから得られた前記Λ2a,Λ4a(前記検出座標101)を前記半直線103上のいずれかの点に変位させる必要がある。
そこで,ステップS6では,前記CPU21により,上記半直線103までの変位が最小となる座標,即ち,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)から前記半直線103に対して垂線105が引かれる場合の,該垂線105と前記半直線103とが交わる座標104(以下,直交座標)を算出する処理が行われる。該直交座標104は当該第一のループにおいて,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)が前記目標座標102(Λ2*,Λ4*)に到達する前段階の仮の目標座標とされる。尚,当該第一のループは前記偏角偏差φΛを縮小させることを目的とするため,前記直交座標104が必ずしも仮の目標座標とされる必要はなく,前記半直線103上の任意の座標を仮の目標座標に定めてもよい。例えば,前記目標座標102(Λ2*,Λ4*)を仮の目標座標としてもよい。
ステップS6に続くステップS7では,前記CPU21により前記アクチュエータ13a〜13hのうち,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)を前記直交座標104(仮の目標座標)に向けて変位させるのに最も有効なアクチュエータが選別される。このような選別は,前記CPU21が,前記記憶部22に記憶されている,図10に示す変化量参照テーブル(後述のように,前記アクチュエータ13a〜13h各々を所定の単位動作量に従って動作させた時の,単位時間当たりの前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)の変化量をベクトル表示したもの)を参照しつつ行う。
以下,前記記憶部22に記憶されている変化量参照テーブルについて詳述する。従来例(特許文献1及び特許文献2)においては,前記アクチュエータ13a〜13h各々が独立に前記検出形状分布fiを修正することが可能であり,前記張力測定用センサのうちのi番目のセンサが検出した張力分布の変化分が,影響係数αijで表されるとされた。本実施形態においても,これと同様の考え方を用いる。即ち,前記Λ2Λ4平面において,前記アクチュエータ13a〜13h各々が線形独立に前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)を修正する(変位させる)ことが可能であり,前記形状パラメータΛ2,Λ4各の変化分も,前記アクチュエータ13a〜13h各々に対して固定(固有)の数値として定まるとする。
そこで,図10に示されるように,前記アクチュエータ13a〜13h各々を単独で所定の単位動作量に従って動作させたときの前記Λ2a,Λ4aの単位時間当たりの変化量(前記Λ2Λ4平面におけるベクトルとして表される)をアクチュエータ毎に予め求めておき,前記アクチュエータ13a〜13h各々の識別情報51と前記Λ2a,Λ4aの変化量を表す影響ベクトル52とが対応付けられた変化量参照テーブルとして前記記憶部22に記憶しておく。尚,前記影響ベクトル52の各要素の数値を影響係数要素という。
以下,前記影響ベクトル52(詳しくは,該影響ベクトル52を特定する影響係数要素)の求め方について詳述する。以下の如く,前記影響ベクトル52は,従来例において用いられていた前記アクチュエータ13a〜13h各々に対する前記影響係数αijから,一義的に求めることが可能である。
行番号としてセンサエレメントの番号(識別符号)iを,列番号としてアクチュエータの番号(識別符号)jを採用すると,センサがn個,アクチュエータがm個の場合には,前記影響係数αij各々は以下の式(14)に表わされる,n行m列の行列Αにおける要素とみなすことが可能である。
Figure 2006272460
また,上式(14)に表わされる行列Αから,以下の式(15)で表わされる任意の列ベクトルΑ(l)を抽出することが可能である。該列ベクトルΑ(l)は,特定のアクチュエータl(即ちj=lに対応するアクチュエータ)の影響係数を表わすベクトルである。
Figure 2006272460
ここで,板幅センタから各センサiへの板幅方向の距離ziを,i=1からi=nについて列状に配列すると,要素をn個持つ列ベクトルが得られる(但し,板幅センタをx=0として,板エッジをz=±1とする。即ち板幅の範囲を−1〜1に正規化する。)。この列ベクトルの各要素となっているzi各々を0乗,2乗,4乗してi=1からi=nについて列状に配列したものも,やはり要素をn個持つ列ベクトルである。言うまでもないが,前記板幅方向の距離zi各々は検出ローラのセンサ位置(距離)を示している。
以下の式(16)のように,前記板幅方向の距離xi各々を0乗,2乗,4乗し,i=1からi=nについて列状に配列して得られた3つの列ベクトル(0乗に対する第一の列ベクトル,2乗に対する第二の列ベクトル,4乗に対する第三の列ベクトル)を行方向に配列すると,3行n列の行列Dが得られる。
Figure 2006272460
このような行列Dと,上述の前記列ベクトルΑ(l)とを用いると,前記影響ベクトル52の各要素の数値である影響係数要素(図10のΛ2及びΛ4)は,以下の式(17)のような正規方程式の解として求めることが可能である。
Figure 2006272460
尚,正規方程式は既知の数学モデルであり,ここでは詳細な説明を省略する。このように,正規方程式をアクチュエータ13a〜13h各々について解く(上式(17)の右辺を計算する)ことにより,図10のような,各アクチュエータ13a〜13hと前記影響ベクトル52との対応関係である変化量参照テーブルを得ることができる。
ところで,前記影響ベクトル52は,実際にアクチュエータを動作させる実験などから求めることも可能であるが,上述のような正規方程式から求める方法のほうが,本発明の効果を得る上で望ましいことが判明している。
ステップS7の具体的内容としては,前記CPU21により,前記変化量参照テーブルが参照され,前記現在の前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)から前記直交座標104(仮の目標座標)に直交する前記垂線105とのなす角が最も小さい前記影響ベクトル52を持つ特定のアクチュエータが,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)を前記直交座標104(仮の目標座標)に向けて変位させるのに最も有効なアクチュエータであると選別され,次のステップで動作量(スカラー量)が計算される。
ステップS7に続くステップS8の処理では,ステップS7において選別されたアクチュエータの動作量(スカラー量)が決定される。尚,この動作量の決定方法としては様々なものが考えられる。例えば,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)と前記直交座標104(仮の目標座標)との距離を前記CPU21により計算し,また,その計算結果と選別されたアクチュエータとの動作量を対応付ける動作量対応テーブルを前記記憶部22に記憶しておき,該動作量対応テーブルを用いて前記計算結果を前記動作量に変換することが考えられる。また,特許文献1若しくは特許文献2に記載の形状評価関数φもしくはφ’(前述した式(3),若しくは式(6)参照)を最小化するように前記動作量を決定する,つまり,ステップS7においてアクチュエータi(前記アクチュエータ13a〜13hのうちのi番目のアクチュエータ)が選別された場合,式(3)若しくは式(6)をi番目のアクチュエータの動作量Δxiで微分して得られた式がゼロになるように,前記動作量Δxiを決定することも考えられる。
ステップS8に続くステップS9の処理では,前記圧延制御装置X1が前記アクチュエータ13a〜13hのうちのステップS7において選別されたアクチュエータの動作位置を,ステップS8において決定された動作量に従って変化させる。尚,ステップS9は,前記I/O23が選別されたアクチュエータに制御指令を出力することにより実現される。
ステップS9の処理が終了されるとステップS1の処理に戻り,前記偏角偏差φΛが前記偏角閾値以下になるまで以上の処理を繰り返す。
尚,前記偏角閾値は,選別されたアクチュエータの機械的制約の限界に相当する値として定義されたものであり,収束後の前記偏角偏差φΛが前記機械的制約に基づく所定の不感帯条件を満たすように定められる。このため,前記偏角閾値はアクチュエータ13a〜13h各々と対応付けられて前記記憶部22に記憶され,つまりステップS7で選別されたアクチュエータに応じて異なる前記偏角閾値が用いられる。
以上のように,前記第一のループ(特にステップS6〜S9)により,前記形状パラメータΛ2,Λ4(形状パラメータ算出手段により算出されたパラメータ)を極座標表示したときの偏角θが,予め設定された目標偏角θ*(形状分布目標値に対応する目標偏角)に近づくように,前記アクチュエータ群13に属するアクチュエータ各々の動作位置が制御され,これにより前記ワークロール2a,2bによる幅方向の荷重分布が制御される。尚,このような前記第一のループにおける処理を実行するための前記CPU21が第一の荷重分布制御手段の一例である。
(5)第二のループの詳細について
図12は,本発明の実施の形態に係る圧延制御装置X1による前記被圧延材1の形状分布を制御する第二のループの手順を示すフローチャートである。以下,図13を参照しつつ,図12のフローチャートを用いて前記圧延制御装置X1による前記第二のループの詳細な手順について説明する。
ここに,図13のΛ2Λ4座標は形状分布を示す座標平面であり,第一のループにより前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)の偏角と前記目標座標(Λ2*,Λ4*)との偏角とが略一致した場合を示す。
尚,図12に示されるフローチャートにおける各手順(ステップ)の処理は,詳しくは後述のように,前記圧延制御装置X1の有する前記CPU21が前記記憶部22に記憶された記憶情報を参照しつつ,やはり前記記憶部22に記憶された制御プログラムを実行することにより実現される。ここで,図12におけるS101,S102…は処理の番号(ステップ)を示しており,上述の第一のループが終了した後に(即ち,前記ステップS5(図9参照)でYESと判別された後に)ステップS101の処理から実行される。
ステップS101〜S103の処理は,前記第一のループにおけるステップS1〜S3の処理と同様であり,ここでは説明を省略する。
ステップS103に続くステップS104では,ステップS103において求められた前記Λ2a,Λ4a(前記検出座標101)から,前記CPU21によりそれらの絶対値r(検出絶対値)が計算され,更に前記記憶部22に記憶されている前記目標絶対値r*との偏差である絶対値偏差φrが計算される。
ステップS104に続くステップS105では,ステップS104において求められた前記絶対値偏差φrが,前記記憶部22に予め入力され記憶されている絶対値閾値と比較され,前記絶対値偏差φrが前記絶対値閾値以下であるか否かが判別される。前記絶対値閾値以下であると判別された場合には(S105YES),前記絶対値偏差φrが十分小さくなり,つまり前記検出形状分布と前記目標形状分布とのパターンの同一性が保たれつつ,前記検出形状分布における各張力測定用センサの検出値fiが前記目標形状分布における各張力測定用センサに対する目標値fi *に収束したと判断され,前記第二のループにおける一連の処理が終了される。一方,前記絶対値閾値以上であると判別された場合には(S105NO),ステップS106に進む。
ステップS106では,前記絶対値偏差φrを縮小するべく,前記CPU21により,前記アクチュエータ13a〜13hのうち動作対象となるアクチュエータが選択され,またその動作量が決定される。
ここで,前述の第一のループにより,前記被圧延材1の前記検出形状分布のパターンは前記目標形状分布のパターンと略同一の範囲にあると考えられる。即ち,図13に示されるように,前記第一のループにより,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)の前記Λ2Λ4平面内での偏角(前記検出偏角)は前記目標座標102(Λ2*,Λ4*)の偏角(前記目標偏角)と前記偏角閾値の範囲内で略一致している。従って,当該ステップS106では,前記第一のループにより略一致した前記検出偏角を極力変化させないように,即ち,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)を出来るだけ前記半直線103に沿って(図13に示されるベクトル107に沿って)前記目標座標102(Λ2*,Λ4*)の方向に変位させる能力(前記影響ベクトル52)を有するアクチュエータが動作対象として前記CPU21により選択され,またその動作量が決定される。
ステップS106が終了されるとステップS107に進む。ステップS107では,前記圧延制御装置X1により,ステップS106で決定された動作対象のアクチュエータが,同様にステップS106で得られた動作量各々に基づいての動作位置を変化させる。これにより,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)が変化し,前記絶対値偏差φrが縮小される。
ステップS107が終了されると,ステップS101に戻って当該第二のループにおける処理が繰り返されるが,前記被圧延材1の材料条件(シートクラウン率,塑性定数等)もしくは前記圧延機Y1(図1参照)による操業条件(圧延速度等)が理想的で,ステップS107の処理を一度行うだけで前記絶対値偏差φrが十分に最小化できると期待される場合には,当該第二のループを一回で終了するものとしても良い。
以上の様に,前記第一のループが終了された後に(第一の荷重分布制御手段により検出された偏角が予め定められた目標偏角に所定の許容範囲内まで近づいた後に)前記第二のループにより,前記形状パラメータΛ2,Λ4(形状パラメータ算出手段により算出されたパラメータ)を極座標表示したときの絶対値rが,予め設定された目標絶対値r*(形状分布目標値に対応する目標偏角)に近づくように,前記アクチュエータ群13に属するアクチュエータ各々が制御され,これにより前記ワークロール2a,2bによる幅方向の荷重分布が制御される。尚,このような前記第二のループにおける処理を実行するための前記CPU21が第二の荷重分布制御手段の一例である。
尚,前記第二のループにより,前記検出座標101(Λ2a,Λ4a)の前記Λ2Λ4平面内での偏角(前記検出偏角)に,前記目標座標102(Λ2*,Λ4*)の偏角(前記目標偏角)からの若干のズレが生じている,即ち,前記第一のループにおいて一旦最小化された前記偏角偏差φΛが大きくなることも考えられるので,前記第二のループが適宜の回数行われた後に,再び前記第一のループに戻ることも考えられる。
上述の実施の形態では,被圧延材1を板幅方向に対称成分に圧延する場合について説明したが,これに限られるものではない。例えば,前記被圧延材1を板幅方向に非対称成分に圧延する場合には,板形状検出器14(図1参照)により検出された検出形状分布fiを前述の式(8)の代わりに,以下の式(18)により近似し,その係数λ1,λ3から以下の式(19)により得られるΛ1,Λ3を形状パラメータとして用いればよい。
Figure 2006272460
Figure 2006272460
前記Λ1,前記Λ3は,前記被圧延材1の形状が板幅センタから対称である場合における前記Λ2,前記Λ4と同様の意味を持っており,代表的な前記被圧延材1の形状分布パターンを前記Λ1,前記Λ3により網羅することが可能である。
従って,前記Λ1,Λ3を極座標表示した偏角を求め,予め定められた所望の目標偏角との偏差を縮小するようにアクチュエータ13a〜13h(図2参照)を選別してそれを駆動することで,前記被圧延材1は板幅方向に非対称成分に圧延される。
上述の実施の形態では,Λ2,Λ4という2つの形状パラメータを用いて,それらを極座標表示したときの偏角と目標偏角との偏差を縮小するように,前記アクチュエータ13a〜13hの駆動制御を行ったが,これに限られるものではない。
例えば,図5に示される代表的な前記被圧延材1の形状パターンよりも,更に複雑なパターンを得たければ,前記Λ2,Λ4に加え,前記検出形状分布fiを6次までのべき展開で近似した展開係数λ6等を用いることも考えられる。前述したが,前記Λ2はz=±1における形状を表しており,一方,前記Λ4はz=±1/√2における形状を表している。そこで,例えば前記λ6を用いればz=±1/2√2付近における形状を表す新パラメータΛ6を定義することが可能である。前記Λ2,Λ4に加え前記Λ6を用いることで,前記被圧延材1のより複雑な形状分布パターンを表現することが可能である。
この場合,前記Λ2,Λ4,Λ6を極座標表示したときの偏角は2つ定義されるが,それら2つの偏角を予め定められた目標偏角各々に近づけることで,より複雑な形状分布のパターンに前記被圧延材1を圧延することが可能である。
上述の実施の形態では,偏角偏差(前記検出形状分布fiから得られた偏角θと,予め記憶部22(図7)に記憶されている目標偏角θ*との偏差)を縮小することを方針とする第一のループに続いて,絶対値偏差(前記検出形状分布fiから得られた絶対値rと,予め記憶部22に記憶されている目標絶対値r*との偏差)を縮小することを方針とする第二のループの処理が実行されたが,これに限られるものではない。
前記第一のループにおける処理により前記偏角偏差φΛが縮小された後(第一の制御手段により形状パラメータΛ2,Λ4を極座標で表したときの偏角が前記目標偏角に対して所定の許容範囲まで近づくよう制御された後)であれば,特許文献1若しくは特許文献2に示されるように,形状評価関数φ若しくはφ’を縮小するように前記幅方向の荷重分布の制御を行うものとしても良い。つまり,前記検出形状分布fi(形状分布検出値)と前記目標形状分布fi *(形状分布目標値)との偏差の2乗和を平均的に最小化することを方針として,アクチュエータ群13に属するアクチュエータ13a〜13h各々の動作位置を制御するものとしてもよい。尚,このような制御を行う,前記圧延制御装置X1におけるCPU21が第三の荷重分布制御手段の一例である。
前記第一のループにおける処理により前記偏角偏差φΛが最小化した後であれば,上述した従来例における荷重分布の制御方法であっても,前記検出形状分布のパターンと前記目標形状分布のパターンとが異なっているまま制御ゲインが小さくなり,前記検出形状分布のパターンが前記目標形状分布のパターンへと収束しない状態で制御が終了されることはない。
本発明は,鋼材を圧延する圧延装置への適用が可能である。
本発明の実施の形態に係る圧延制御装置により制御される圧延装置の概略構成図。 本発明の実施の形態に係る圧延制御装置により制御される圧延装置の正面からの概略構成図。 一次従属性の高い2つのアクチュエータ各々の影響係数を幅方向にプロットしたグラフ。 形状分布のパターンの一例を示す図。 検出形状分布及び目標形状分布間のパターン類似性と従来の板形状制御方法で用いられる形状評価関数φの値との関係を示す概念図。 形状のパターンが同じであるが,形状の伸び差(急峻度)のみが異なる複数の形状分布を示す概念図。 本発明の実施の形態に係る圧延制御装置のブロック図。 Λ2,Λ4と形状分布パターンとの関係を示す概念図。 本発明の実施の形態に係る圧延制御装置による形状制御のうちの第一のループの手順を示すフローチャート。 本発明の実施の形態に係る圧延制御装置により動作制御対象となるアクチュエータの選別に用いられる変化量参照テーブルのデータ構成を示す図。 第一のループにおける検出座標(Λ2a,Λ4a)と目標座標(Λ2*,Λ4*)の関係を示すΛ2Λ4平面図。 本発明の実施の形態に係る圧延制御装置による形状制御のうちの第二のループの手順を示すフローチャート。 第二のループにおける検出座標(Λ2a,Λ4a)と目標座標(Λ2*,Λ4*)の関係を示すΛ2Λ4平面図。
符号の説明
1…被圧延材
2a,2b…ワークロール
3a,3b…第一中間ロール
4a,4b…第二中間ロール
5a,5b…バックアップロール
6…入側リール
7…出側リール
8…入側リール駆動装置
9…出側リール駆動装置
10…圧下装置
11…入側板厚計
12…出側板厚計
13…アクチュエータ群
14…板形状検出器
101…検出座標
102…目標座標

Claims (8)

  1. 圧延機により圧延された被圧延材について検出された所定の幅方向における形状分布を表す形状分布検出値が予め設定された目標形状分布を表す形状分布目標値に近づくよう前記圧延機における前記被圧延材に対する前記幅方向の荷重分布を制御する圧延制御装置であって,
    前記形状分布検出値をべき展開により近似した近似式の係数を求めるべき展開係数算出手段と,
    前記べき展開係数算出手段により求められた係数に基づいて前記幅方向における前記被圧延材の形状を表す少なくとも2つ以上の形状パラメータを算出する形状パラメータ算出手段と,
    前記形状パラメータ算出手段により算出された少なくとも前記2つの前記形状パラメータを極座標で表したときの偏角が予め設定された前記形状分布目標値に対応する目標偏角に近づくように前記幅方向の荷重分布を制御する第1の荷重分布制御手段と,
    を具備してなることを特徴とする圧延制御装置。
  2. 前記形状パラメータ算出手段が,前記形状分布検出値をべき展開により近似した近似式の2次の係数λ2及び4次の係数λ4から下記の式により求まるΛ2及びΛ4を前記少なくとも2つ以上の形状パラメータとして算出するものである請求項1に記載の圧延制御装置。
    Λ2=λ2+λ4
    Λ4=1/2・λ2+1/4・λ4
  3. 前記第1の荷重分布制御手段により前記少なくとも2つ以上の形状パラメータを極座標で表したときの偏角が前記目標偏角に対して所定の許容範囲まで近づくよう制御された後に,前記2つの形状パラメータを極座標で表したときの原点からの距離が予め設定された前記形状分布目標値に対応する目標距離に近づくように前記幅方向の荷重分布を制御する第2の荷重分布制御手段を具備してなる請求項1又は2のいずれかに記載の圧延制御装置。
  4. 前記第1の制御手段により前記少なくとも2つ以上の形状パラメータを極座標で表したときの偏角が前記目標偏角に対して所定の許容範囲まで近づくよう制御された後に,前記形状分布検出値と前記形状分布目標値との偏差の2乗和が縮小するように前記幅方向の荷重分布を制御する第3の荷重分布制御手段を具備してなる請求項1又は2のいずれかに記載の圧延制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の圧延制御装置により圧延制御される圧延装置。
  6. 圧延機により圧延された被圧延材について検出された所定の幅方向における形状分布を表す形状分布検出値が予め設定された目標形状分布を表す形状分布目標値に近づくよう前記圧延機における前記被圧延材に対する前記幅方向の荷重分布を制御する圧延制御装置で用いられる圧延制御方法であって,
    前記形状分布検出値をべき展開により近似した近似式の係数を求めるべき展開係数算出工程と,
    前記べき展開係数算出手段により求められた係数に基づいて前記幅方向における前記被圧延材の形状を表す少なくとも2つ以上の形状パラメータを算出する形状パラメータ算出工程と,
    前記形状パラメータ算出手段により算出された前記少なくとも2つの形状パラメータを極座標で表したときの偏角が予め設定された前記形状分布目標値に対応する目標偏角に近づくように前記幅方向の荷重分布を制御する第1の荷重分布制御工程と,
    を有してなることを特徴とする圧延制御方法。
  7. 前記第1の荷重分布制御工程により前記少なくとも2つ以上の形状パラメータを極座標で表したときの偏角が前記目標偏角に対して所定の許容範囲まで近づくよう制御された後に,前記少なくとも2つ以上の形状パラメータを極座標で表したときの原点からの距離が予め設定された前記形状分布目標値に対応する目標距離に近づくように前記幅方向の荷重分布を制御する第2の荷重分布制御工程を有してなる請求項6に記載の圧延制御方法。
  8. 前記第1の荷重分布制御工程により前記2つの形状パラメータを極座標で表したときの偏角が前記目標偏角に対して所定の許容範囲まで近づくよう制御された後に,前記形状分布検出値と前記形状分布目標値との偏差の2乗和が縮小するように前記幅方向の荷重分布を制御する第3の荷重分布制御工程を有してなる請求項6に記載の圧延制御方法。
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