JP2016179487A - 圧延機における圧延制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の圧延制御方法は、ロールプロフィールの修正を行う際には、ロールプロフィール予測誤差を幅方向で一定の値をもつ誤差成分と幅方向に分布をもつ誤差成分とに分け、幅方向で一定の値をもつ誤差成分を圧延材Xの板厚の実績値と予測値との偏差を基に算出し、幅方向に分布をもつ誤差成分を圧延材Xの板クラウンの実績値と予測値との偏差及び圧延材Xの板幅を基に算出し、幅方向で一定の値をもつ誤差成分と幅方向に分布をもつ誤差成分とに基づいて、ロールプロフィールを修正する。
【選択図】図7
Description
このような板クラウンの予測に関し、ロールプロフィールの経時変化、特にサーマルクラウンや摩耗に起因するロールプロフィールの変化については、圧延状況やロール冷却状況に伴い予測誤差を生じることが多く、その結果、予測される板クラウンに大きな誤差が生じることになる。
まず、特許文献1には、予測された板クラウンと実測された板クラウンを比較した板クラウン予測誤差に基づいて、ロールプロフィール誤差を定式化する技術が開示されている。定式化されたロールプロフィール誤差を用いて予測ロールプロフィールを修正することで、次材の板クラウン予測を高精度なものとなっている。この特許文献1では、ロールプロフィール誤差の定式化には、実測される板クラウンは板厚計で計測される3点の板厚(板幅中央と板端との差)から算出され、計算に必要なロール幅全体での測定ができないために、簡易な関数として2次関数を仮定して、ロールプロフィール学習を行うものとされている。
そのため、板クラウン誤差を用いてロールプロフィール修正量を決定する場合、例えばロールプロフィール予測値の幅方向中央位置の値と、板端部位置の値との差が大きくなるように修正すべきということは、特許文献1,2などの公知の技術を用いて算出すること
ができる。
すなわち、本発明にかかる圧延機における圧延制御方法は、圧延機に備えられた圧延ロールのロールプロフィール予測誤差を算出し、前記算出したロールプロフィール予測誤差を用いてロールプロフィールの修正を行い、修正されたロールプロフィールを有する圧延ロールを用いて圧延材の圧延を行う圧延制御方法において、前記ロールプロフィールの修正を行う際には、前記ロールプロフィール予測誤差を、幅方向で一定の値をもつ誤差成分と、幅方向に分布をもつ誤差成分とに分けて考え、前記幅方向で一定の値をもつ誤差成分を、前記圧延材の板厚の実績値と予測値との偏差を基に算出し、前記幅方向に分布をもつ誤差成分を、前記圧延材の板クラウンの実績値と予測値との偏差、及び前記圧延材の板幅を基に算出し、算出した前記幅方向で一定の値をもつ誤差成分と、前記幅方向に分布をもつ誤差成分とに基づいて、前記ロールプロフィールを修正することを特徴とする。
圧延ロールのロールプロフィールに関し、板厚誤差及びロールプロフィール誤差をそれぞれ算出することで、正確にロールプロファイルを修正し、修正したロールプロファイルをもとに、板厚と板クラウンとを高精度に制御可能とする。
図7に示すように、本発明の板厚制御方法が適用される圧延装置1は、スラブ鋳片などの圧延材Xを厚鋼板Zに圧延するものであり、圧延材Xを加熱する加熱炉13と、加熱された圧延材Xを予め決定された板厚及び板幅に圧延する粗圧延機2と、粗圧延機2で圧延された圧延材Xを目標の板厚及び板幅になるまで圧延して最終製品となる厚鋼板Zを製造する仕上圧延機3と、を有している。
また、粗圧延機2には圧延荷重を計測するための圧延荷重計6が備えられ、粗圧延機2の出側には圧延材Xの出側板厚を計測するための板厚計7が設けられている。圧延荷重計6や板厚計7で計測された圧延材Xのデータは、予測モデル8に送られて板クラウン及び板厚が予測される。さらに、粗圧延機2は、予測モデル8にて算出された板クラウン及び板厚を目標値として粗圧延機2を制御する制御手段9を備えている。
また、仕上圧延機3にも、圧延荷重を計測するための圧延荷重計6が備えられ、仕上圧延機3の出側には圧延材Xの出側板厚を計測するための板厚計7が設けられている。圧延荷重計6や板厚計7で計測された圧延材Xのデータは、予測モデル8に送られて板クラウン及び板厚が予測される。さらに、仕上圧延機3は、予測モデル8にて算出された板クラウン及び板厚を目標値として粗圧延機2を制御する制御手段9を備えている。
次に、本実施形態の圧延制御方法について説明する。以降、ワークロール4のことを単にロール4と呼ぶこともある。
上記の圧延制御方法は、予測モデル8内で実施されるものである。
本実施形態の圧延制御方法は、まず圧延材Xの板クラウンの実績値と板クラウンの予測値との偏差、及び圧延材Xの板幅を基に、台形形状を表現可能な関数を用いてロールプロフィール予測誤差を同定し、同定されたロールプロフィール予測誤差を用いて、ロールプロフィール修正量を決定する。
具体的には、本実施形態の予測モデル8においては、圧延材X、N本分(例えば、N=3)の板幅と板クラウン誤差を蓄積し、台形形状を表現可能な関数の係数を同定し、誤差プロフィール学習値を算出するものとしている。例えば、一般にシグモイド関数と呼ばれる関数の変形である下式(1)を、誤差プロフィールの推定に用いる。
具体的には、まず、圧延材X、N本分の板クラウン誤差と板幅の平均を算出し、係数a1の上限値および下限値を板クラウン誤差の平均を基準として設定し、係数a3の上限値および下限値を板幅の平均を基準として設定する。基準として設定したそれぞれの下限値を係数a1及び係数a3として仮決定し、この係数a1および係数a3を用いて圧延材X、N本分の板クラウン誤差と板幅の関係を最小二乗法を用いて、最も精度よく近似できる係数a2を算出する。この際に、仮決定した係数a1〜a3を用いた場合の誤差平方和を算出しておく。
続いて、ロールプロフィール修正量を式(2)を用いて算出する。
また、一般に行われるように、学習ゲインG (0<G<1)を乗じて、それまでの学習項z(x)i−1を下式(3)のように更新していく方法を取る場合にも、ロールプロフィール修正量[ΔCmj(z)n=ΔCthj(z)×(1+ΔCmj/ΔCthj)]の平均値はゼロに保たれる。
[実施例]
上述した圧延制御方法により、ロールプロフィール修正量、すなわちロールプロフィール予測誤差を算出した例を、以下に示す。
図3Aは、ロール4の幅方向端部を基準としたロールプロフィール修正量を基に、ロールプロフィールを修正した後のサーマルクラウンを示す図である。図3Bは、ロール4の幅方向端部を基準としたロールプロフィール修正量を基に、ロールプロフィールを修正した後のサーマルクラウンを示す図である。図3Cは、熱膨張量(サーマルクラウン)の全体量は修正せずに、ロールプロフィールのみを修正した後のサーマルクラウンを示す図である。
図4、図5は、ロール4の幅方向端部位置を基準としてロールプロフィールを修正した場合の板クラウン誤差および板厚誤差(従来技術)と、本発明の技術を用いてロールプロフィールを修正した場合の板クラウン誤差および板厚誤差を示した図である。表1は、本実施形態及び従来技術における板クラウン誤差の偏差を示している。
この図4および図5に示すように、従来技術では、板クラウン精度を良くするためにロールプロフィール学習率を高くすると板厚精度が悪化し、良好な板厚精度を確保しようとすると板クラウン精度の向上効果が十分に得られないという、相反してしまうこととなる。
これに対して、本実施形態では、2つの誤差成分が互いに干渉し合わないように、ロールプロフィール予測誤差を、幅方向で一定の値をもつ誤差成分と、幅方向に分布をもつ誤差成分とに分けて考えているので、ロールプロフィール学習率に依らずに、非常に安定した板厚精度が得られる。すなわち、本実施形態においては、板厚精度及び板クラウン精度を共に向上させている。
以上より、本実施形態の圧延制御方法によれば、ロール4のサーマルクラウンの全体量の予測誤差と、圧延材Xの板クラウン予測誤差をそれぞれ算出することで、正確にロール
プロファイルを修正し、修正したロールプロファイルをもとに、板厚と板クラウンとを高精度に制御可能とする。すなわち、本実施形態の圧延制御方法は、従来技術に比べて、大幅に板厚精度を向上させることができる。
例えば、本実施形態では、圧延機2,3として、厚鋼板Zのリバース圧延機を例示したが、薄鋼板の圧延機でもよく、タンデム型であってもよい。圧延形態は熱間又は冷間のどちらであってもよい。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 ワークロール(圧延ロール)
5 バックアップロール
6 圧延荷重計
7 板厚計
8 予測モデル
9 制御手段
10 圧下装置
13 加熱炉
X 圧延材
Z 厚鋼板
Claims (2)
- 圧延機に備えられた圧延ロールのロールプロフィール予測誤差を算出し、前記算出したロールプロフィール予測誤差を用いてロールプロフィールの修正を行い、修正されたロールプロフィールを有する圧延ロールを用いて圧延材の圧延を行う圧延制御方法において、
前記ロールプロフィールの修正を行う際には、
前記ロールプロフィール予測誤差を、幅方向で一定の値をもつ誤差成分と、幅方向に分布をもつ誤差成分とに分けて考え、
前記幅方向で一定の値をもつ誤差成分を、前記圧延材の板厚の実績値と予測値との偏差を基に算出し、
前記幅方向に分布をもつ誤差成分を、前記圧延材の板クラウンの実績値と予測値との偏差、及び前記圧延材の板幅を基に算出し、
算出した前記幅方向で一定の値をもつ誤差成分と、前記幅方向に分布をもつ誤差成分とに基づいて、前記ロールプロフィールを修正する
ことを特徴とする圧延機における圧延制御方法。 - 前記幅方向で一定の値をもつ誤差成分が、サーマルクラウンの全体量に起因する誤差であることを特徴とする請求項1に記載の圧延機における圧延制御方法。
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鉄鋼便覧 第2巻 圧延・二次加工, vol. 第5版, JPN6018021157, 31 August 2014 (2014-08-31), JP, pages 234 - 235 * |
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