JP6416676B2 - ロールプロフィール修正量の決定方法 - Google Patents
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Description
このような板クラウンの予測に関し、ロールプロフィールの経時変化、特にサーマルクラウンや摩耗に起因するロールプロフィールの変化については、圧延状況やロール冷却状況に伴い予測誤差を生じることが多く、その結果、予測される板クラウンに大きな誤差が生じることになる。
まず、特許文献1には、予測された板クラウンと実測された板クラウンを比較した板クラウン予測誤差に基づいて、ロールプロフィール誤差を定式化する技術が開示されている。定式化されたロールプロフィール誤差を用いて予測ロールプロフィールを修正することで、次材の板クラウン予測を高精度なものとなっている。この特許文献1では、ロールプロフィール誤差の定式化には、実測される板クラウンは板厚計で計測される3点の板厚(板幅中央と板端との差)から算出され、計算に必要なロール幅全体での測定ができないために、簡易な関数として2次関数を仮定して、ロールプロフィール学習を行うものとされている。
また、特許文献2に記載された技術では、ロールプロフィール修正量は台形形状となるものの、圧延材1本あたりの計算サーマルクラウン成長量、乃至は計算サーマルクラウン成長量を近似した数式を基準として表現し、ワークロールプロフィール修正量を決定している。
いることに等しく、圧延材の幅方向端部の周辺における熱伝導によるサーマルクラウンの勾配の予測誤差を修正することは不可能な技術となっている。また、同様な理由から、特許文献2に記載された技術を用いても、圧延回数が増加し時間が経過した際のロール胴長方向の熱伝導によって生じるロールプロフィールの変化の推定誤差を修正することは困難であると思われる。したがって、前圧延材と次圧延材とで板幅が大きく変化した場合に、次圧延材の板クラウン計算に大きな誤差を生じる虞が否めない。
すなわち、本発明にかかるロールプロフィール修正量の決定方法は、圧延材を圧延する圧延機に備えられた圧延ロールのロールプロフィール修正量の決定方法において、前記圧延材の板クラウンの実績値と予測値との偏差、及び前記圧延材の板幅を基に、台形形状を表現可能な関数を用いてロールプロフィール予測誤差を同定し、同定された前記ロールプロフィール予測誤差を用いて、ロールプロフィール修正量を決定することを特徴とする。
好ましくは、前記台形形状を表現可能な関数として下式f(x)を採用し、前記圧延材の板クラウンの実績値と前記板クラウンの予測値との偏差、及び前記圧延材の板幅を基に、ロールプロフィール予測誤差f(x)内の係数a1〜a3を同定するとよい。
図4に示すように、本発明の板厚制御方法が適用される圧延装置1は、スラブ鋳片などの圧延材Xを厚鋼板Zに圧延するものであり、圧延材Xを加熱する加熱炉13と、加熱された圧延材Xを予め決定された板厚及び板幅に圧延する粗圧延機2と、粗圧延機2で圧延された圧延材Xを目標の板厚及び板幅になるまで圧延して最終製品となる厚鋼板Zを製造する仕上圧延機3と、を有している。
また、粗圧延機2には圧延荷重を計測するための圧延荷重計6が備えられ、粗圧延機2の出側には圧延材Xの出側板厚を計測するための板厚計7が設けられている。圧延荷重計6や板厚計7で計測された圧延材Xのデータは、板クラウン予測モデル8に送られて板クラウンが予測される。さらに、粗圧延機2は、板クラウン予測モデル8にて算出された板クラウンを目標値として粗圧延機2を制御する制御手段9を備えている。
また、仕上圧延機3にも、圧延荷重を計測するための圧延荷重計6が備えられ、仕上圧延機3の出側には圧延材Xの出側板厚を計測するための板厚計7が設けられている。圧延荷重計6や板厚計7で計測された圧延材Xのデータは、板クラウン予測モデル8に送られて板クラウンが予測される。さらに、仕上圧延機3は、板クラウン予測モデル8にて算出された板クラウンを目標値として粗圧延機2を制御する制御手段9を備えている。
次に、本実施形態で用いられている、ワークロール4のロールプロフィール修正量の決定方法について説明する。以降、ワークロール4のことを単にロール4と呼ぶこともある。
具体的には、本発明の板クラウン予測モデル8においては、圧延材X、N本分(例えば、N=3)の板幅と板クラウン誤差を蓄積し、台形形状を表現可能な関数の係数を同定し、誤差プロフィール学習値を算出するものとしている。例えば、一般にシグモイド関数あるいはロジスティック関数と呼ばれる関数の変形である下式(1)を、誤差プロフィールの推定に用いる。
図1は、式(1)により表現される誤差プロフィールを記したものである。図1に示すように、係数a1は台形の高さ、係数a2は台形の勾配、係数a3は変曲点の胴長方向位置を表す。したがって、係数a1は板クラウン誤差、係数a3は規格化した圧延材Xの板幅(乃至は板幅に近い値)を示すことが推定できる。すなわち、台形の高さを表す係数a1は板クラウン誤差と相関関係があり、変曲点の胴長方向位置を表す係数a3は圧延材Xの板幅と相関関係があるといえる。
図2は、あるワークロール4の誤差プロフィールを式(1)用いて予測した結果、すなわち、板クラウン誤差を算出した結果を示したものである。
係数a1〜a3を同定するにあたっては、以下に示す同定方法、すなわち一般的に最尤法と呼ばれる方法を用いる。
このようにして求まった係数a1〜a3を、式(2)に代入してロールプロフィール修正量を決定する。
[実施例]
上述した決定方法により、ロールプロフィール修正量、すなわちロールプロフィール予測誤差を算出した例を、以下に示す。
また、図3B、図3Dに示す通り、当該圧延材Xに対して次圧延材Xの板幅が狭くなった場合には、従来技術の技術(2次関数、図中の破線)では、次圧延材Xの板幅位置に対して算出したロールプロフィール予測誤差が大きいため、板クラウン誤差の修正量が過度になっていることがわかる。
一方で、本発明によるロールプロフィール予測誤差の算出結果では、図3A〜図3Dのいずれにおいても、次圧延材Xの板幅位置に対して算出したロールプロフィール予測誤差と板クラウン予測誤差がよく一致していることがわかる(図3A〜図3D中の実線と○印および△印)。
以上より、本発明によれば、前圧延材Xと次圧延材Xとで板幅が大きく変化した場合や、時間の経過に伴うロール4胴長方向の熱伝導によるロールプロフィール予測誤差が発生した場合においても、ロールプロフィール予測誤差を精度よく同定することができ、板クラウン予測精度を向上させることが可能となる。
例えば、本実施形態では、圧延機2,3として、厚鋼板Zのリバース圧延機を例示したが、薄鋼板の圧延機でもよく、タンデム型であってもよい。圧延形態は熱間又は冷間のどちらであってもよい。
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 ワークロール(圧延ロール)
5 バックアップロール
6 圧延荷重計
7 板厚計
8 板クラウン予測モデル
9 制御手段
10 圧下装置
13 加熱炉
X 圧延材
Z 厚鋼板
Claims (2)
- 圧延材を圧延する圧延機に備えられた圧延ロールのロールプロフィール修正量の決定方法において、
前記圧延材の板クラウンの実績値と予測値との偏差、及び前記圧延材の板幅を基に、台形形状を表現可能な関数を用いてロールプロフィール予測誤差を同定し、同定された前記ロールプロフィール予測誤差を用いて、ロールプロフィール修正量を決定するものであって、
前記台形形状を表現可能な関数として、シグモイド関数あるいはロジスティック関数を採用している
ことを特徴とするロールプロフィール修正量の決定方法。 - 前記台形形状を表現可能な関数として下式f(x)を採用し、前記圧延材の板クラウンの実績値と前記板クラウンの予測値との偏差、及び前記圧延材の板幅を基に、ロールプロフィール予測誤差f(x)内の係数a1〜a3を同定することを特徴とする請求項1に記載のロールプロフィール修正量の決定方法。
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