JP6451331B2 - 熱伝達率の同定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、物体の熱伝達率を同定する方法に関するものである。
例えば、鋼板の熱間圧延等においては、圧延される鋼板の板厚方向の内部温度分布により、圧延された鋼板に反り等が生じることがある。また、かかる温度分布が起因となって、鋼板の材質が不均一となり、材質劣化を引き起こすこともある。
そこで、従来の圧延ラインでは、例えば特許文献1,2に記載されているように、鋼板の上面及び下面の温度を測定して、この測定温度に応じて冷却条件を調整していた。
特開2008−200708号公報 特開2010−214376号公報
ここで、特許文献1,2に記載された発明においては、鋼板の上面及び下面の温度に応じて冷却条件を調整しており、鋼板の内部温度分布については全く考慮されていない。例えば、鋼板の板厚方向温度分布に一次勾配が生じた場合には、鋼板に反りが生じることになるため、鋼板の上面及び下面の測定温度に応じて冷却条件を調整したとしても、鋼板の反りを抑制することは困難であった。このように、鋼板の内部温度分布を考慮していない場合には、熱間圧延を安定して実施できないおそれがあった。
また、熱間圧延においては、高温の鋼板と接触する圧延ロールの内部温度分布が、圧延後の鋼板の形状やロール寿命に大きく影響を与えることがある。
ところで、鋼板や圧延ロールの内部温度分布を伝熱計算等によって推定し、圧延条件等を調整することが考えられる。
一般に、物体の内部温度分布を推測する場合には、物体の熱的な境界における熱伝達率または放射率を含んだ等価熱伝達率を同定し、この熱伝達率を用いて伝熱計算することになる。
例えば、物体の表面の熱伝達率を同定する場合には、物体の表面の熱伝達率を仮定して伝熱計算を行い、物体の温度測定点における実測値と計算値との差が許容誤差内となるまで計算を繰り返していた。ここで、熱伝達率を精度良く同定するためには、数多くの熱伝達率を仮定して伝熱計算を繰り返し行う必要があった。
また、鋼板の板厚方向の内部温度分布を推定するためには、鋼板の一方の面と他方の面の2点における熱伝達率をそれぞれ同定する必要がある。しかしながら、物体の2点において熱伝達率を同定する場合には、それぞれの熱伝達率を仮定して伝熱計算を行うことから、莫大な回数の繰り返し計算が必要となるため、熱伝達率の同定を早期に行うことは困難であった。そこで従来は、これら2点の境界条件が一致するとの仮定をおき、表裏対称モデルでの計算を行ったり、片側の面を断熱材で覆うなどして、片側の熱伝達率が零であると仮定するという方法がとられていた。しかし、これらの仮定は、一般的には成り立たず、この仮定が原因となって大きな温度推定誤差を引き起こしていた。
さらに、圧延ロールの内部温度分布を推定するためには、圧延ロールの周方向の複数の点における熱伝達率をそれぞれ同定する必要がある。すると、さらに莫大な回数の繰り返し計算が必要となるため、圧延ロールの内部温度分布を推定することは困難であった。
このように、従来は、鋼板や圧延ロールの内部温度分布を考慮して、圧延条件を調整することは実質的に不可能であった。
また、上述した熱間圧延以外でも、伝熱を伴う加工等を行う場合には、物体の内部温度分布を精度良く推定することは非常に有益である。このため、物体の複数の境界における熱伝達率を早期に同定する方法が望まれていた。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、物体における熱伝達率を早期に同定することができ、物体の内部温度分布を精度良く求めることが可能な熱伝達率の同定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る熱伝達率の同定方法は、2以上の熱的な境界を有する物体の前記境界における熱伝達率を同定する熱伝達率の同定方法であって、前記熱伝達率を同定する境界の数以上の温度測定点を設け、前記物体の初期温度分布を設定する初期温度分布設定工程と、前記物体の所定時間経過後の前記温度測定点の温度を実測する温度測定工程と、前記境界における熱伝達率を仮定して、前記所定時間経過後の温度分布を計算する伝熱計算工程と、前記伝熱計算工程による計算値と前記温度測定工程による測定値との差を計算して温度差ベクトルを算出する温度差ベクトル算出工程と、前記温度差ベクトルのノルムが所定値以下であるか否かを判断する温度差ベクトル評価工程と、前記2以上の境界のうちの1点の熱伝達率のみを補正して伝熱計算を再度実施し、各温度測定点における熱伝達率補正前の計算値と熱伝達率補正後の計算値との差を求め、この差と熱伝達率の補正量との商ベクトルを求める商ベクトル算出工程と、この商ベクトル算出工程を全ての境界で実施し、得られた商ベクトルから行列を作成する行列作成工程と、得られた行列の逆行列を求め、この逆行列と前記温度差ベクトルに対応したベクトルとの積によって修正ベクトルを算出する修正ベクトル算出工程と、を有し、仮定した熱伝達率に前記修正ベクトルを加えて修正した熱伝達率を用いて前記伝熱計算工程を実施し、前記温度差ベクトルのノルムが許容値以下となるまで、前記伝熱計算工程、前記温度差ベクトル算出工程、前記温度差ベクトル評価工程、前記商ベクトル算出工程、前記行列作成工程、前記修正ベクトル算出工程を繰り返し実施することを特徴としている。
この構成の熱伝達率の同定方法においては、前記伝熱計算工程、前記温度差ベクトル算出工程、前記商ベクトル算出工程、前記行列作成工程、前記修正ベクトル算出工程を繰り返し実施しているので、繰り返し計算の回数を大幅に低減することができる。すなわち、各境界における熱伝達率の補正の影響をそれぞれ考慮した商ベクトルを並べて行列を作成し、この行列の逆行列を用いて修正ベクトルを算出していることから、各境界における熱伝達率が各温度測定点の温度へ与える影響について考慮されることになり、各境界における熱伝達率の同定を早期に行うことができるのである。
なお、ベクトルα=(α1、α2、…、αn)のノルムとは、以下の式で定義されるものである。
Figure 0006451331
ここで、前記修正ベクトル算出工程では、前記逆行列と前記温度差ベクトルとの積で得られるベクトルの全要素に0より大きい1以下の実数をかけることによって過大な修正量となることを防ぎながら前記修正ベクトルを算出する構成としてもよい。
あるいは、前記修正ベクトル算出工程では、前回までの前記修正ベクトルと共役であるような条件を加え、前記修正ベクトルを算出する構成としてもよい。
また、前記温度測定工程では、一定時間内で定常状態であると仮定できる範囲内において、一つ以上所定の数未満の温度測定点を移動させることによって所定の複数の温度測定点の温度を実測したとみなしてもよい。
上述のように、本発明によれば、物体における熱伝達率を早期に同定することができ、物体の内部温度分布を精度良く求めることが可能な熱伝達率の同定方法を提供することが可能となる。
本発明の第1、2の実施形態である熱伝達率の同定方法を実施する熱間圧延装置の概略図である。 本発明の第1の実施形態である熱伝達率の同定方法を実施する鋼板の説明図である。 本発明の第1の実施形態である熱伝達率の同定方法のフロー図である。 本発明の第1の実施形態である熱伝達率の同定方法のフロー図である。 本発明の第2の実施形態である熱伝達率の同定方法を実施する圧延ロールの説明図である。 本発明の第2の実施形態である熱伝達率の同定方法のフロー図である。 本発明の第2の実施形態である熱伝達率の同定方法のフロー図である。
以下に、本発明の第1の実施形態である熱伝達率の同定方法について、図1から図3を用いて説明する。本実施形態では、図1,2に示すように、圧延ライン1において圧延される鋼板10の板厚方向の温度分布を推測するものである。ここで、熱伝達率を同定する境界は、鋼板10の一方の面(上面11)及び他方の面(下面12)である。
図1に示す圧延ライン1は、粗圧延機2と、中間冷却設備4と、仕上げ圧延機5と、が圧延方向に沿って配設されている。中間冷却設備4の入側には、冷却前の鋼板10の上面11及び下面12の温度を測定する入側放射温度計7が配設されている。また、中間冷却設備4の出側には、冷却後の鋼板10の上面11及び下面12の温度を測定する出側放射温度計8が配設されている。
この圧延ライン1では、前段に配設された加熱炉の生産実績と入側放射温度計7の温度データとを元にして、鋼板10の板厚方向の温度分布を推定する。その後、中間冷却設備4で冷却を行い、出側放射温度計8によって鋼板10の上面11及び下面12の温度を測定する。冷却前の温度データを初期条件として、冷却後に測定した上面11及び下面12の温度となるように、鋼板10の上面11及び下面12における熱伝達率h、hを同定する。
次に、鋼板10の上面11及び下面12の熱伝達率の同定方法について、図3(図3A,図3B)のフロー図を参照して説明する。
まず、図3Aに示すように、鋼板10の初期温度分布を設定する(初期温度分布設定工程S01)。本実施形態では、加熱炉(図示しない)出側での温度を一定温度として初期入力し、その後の圧延および冷却工程の伝熱計算を行い、入側放射温度計7による温度データに合うように初期温度分布を設定する。
次に、所定時間Δt経過後の温度を測定する(温度測定工程S02)。本実施形態では、中間冷却装置4を通過後の鋼板10の上面11の温度T及び下面12の温度T、すなわち出側放射温度計8の温度データを使用する。
次に、鋼板10の上面11の熱伝達率h、下面12の熱伝達率hを仮定し、所定時間Δt経過後(中間冷却装置を通過後)の鋼板10の上面11の温度T 及び下面12の温度T を算出する(伝熱計算工程S03)。
次に、温度測定工程S02で測定された鋼板10の上面11の温度T及び下面12の温度Tと、伝熱計算工程S03で算出された鋼板10の上面11の温度T 及び下面12の温度T との温度差ベクトルdT=T−T 、dT=T−T を算出する(温度差ベクトル算出工程S04)。
次に、得られた温度差ベクトル(dT,dT)のノルムが許容値以下であるか否かを評価する(温度差ベクトル評価工程S05)。この温度差ベクトルのノルムが許容値を超えている場合には、図3Bに示す手順で鋼板10の上面11及び下面12における熱伝達率を修正する。
まず、1番目の境界、すなわち鋼板10の上面11における熱伝達率hをh=h+dhに補正し、下面12の熱伝達率hを補正せずに、伝熱計算を実施して所定時間Δt経過後(中間冷却装置を通過後)の鋼板10の上面11の温度T 及び下面12の温度T を算出する。そして、dT =T −T を算出し、このdT と熱伝達率hの補正量dhとの商dT /dhを算出する。また、dT =T −T を算出し、このdT と熱伝達率hの補正量dhとの商dT /dhを算出する。
このようにして、商ベクトル(dT /dh,dT /dh)を算出する(商ベクトル算出工程S11)。
次に、2番目の境界、すなわち鋼板10の下面12における熱伝達率hをh=h+dhに補正し、上面11の熱伝達率hを補正せずに、伝熱計算を実施して所定時間Δt経過後(中間冷却装置を通過後)の鋼板10の上面11の温度T 及び下面12の温度T を算出する。そして、dT =T −T を算出し、このdT と熱伝達率hの補正量dhとの商dT /dhを算出する。また、dT =T −T を算出し、このdT と熱伝達率hの補正量dhとの商dT /dhを算出する。
このようにして、商ベクトル(dT /dh,dT /dh)を算出する(商ベクトル算出工程S11)。
次に、上述のようにして得られた商ベクトルを並べて、以下の行列Aを作成する(行列作成工程S12)。
Figure 0006451331
ここで、温度差ベクトル(dT,dT)と行列Aとの関係は、次の式で表される。
Figure 0006451331
次に、行列Aの逆行列A―1を計算する。すると、以下の関係式が得られる。
Figure 0006451331
この関係から、鋼板10の上面11の熱伝達率hの修正量dh及び下面12の熱伝達率hの修正量dhを算出する(修正ベクトル算出工程S13)。
次に、図3Aに示すように、修正された熱伝達率を用いて伝熱計算工程S03を再度実施する。
そして、温度差ベクトルのノルムが許容値以下となるまで、伝熱計算工程S03、温度差ベクトル算出工程S04、商ベクトル算出工程S11、行列作成工程S12、修正ベクトル算出工程S13を繰り返し実施する。
このようにして、鋼板10の上面11の熱伝達率h及び下面12の熱伝達率hを同定し、同定された熱伝達率を用いて鋼板10の板厚方向の温度分布を推定する。
そして、本実施形態では、鋼板10の板厚方向の温度分布から、鋼板10の板厚方向の変形抵抗分布を算出し、仕上げ圧延機5における上下トルク目標値又は上下速度設定を行う。
また、中間冷却設備4を通過後の鋼板10の板厚方向の温度分布の1次勾配が最小となるように、中間冷却設備4における冷却条件を調整する。
これにより、圧延ライン1における鋼板10の反りの発生を防止するとともに、材質の均一化を達成している。
以上のような構成とされた本実施形態である熱伝達率の同定方法によれば、鋼板10の上面11及び下面12における熱伝達率h、hの補正量dh、dhの影響をそれぞれ考慮した商ベクトルを並べて行列を作成し、この行列の逆行列を用いて修正ベクトルを算出していることから、鋼板10の上面11及び下面12における熱伝達率が鋼板10の上面11及び下面12の温度に与える影響を考慮して、これらの熱伝達率h、hを修正することができ、鋼板10の上面11及び下面12の熱伝達率h、hの同定を精度良く、かつ、早期に行うことができる。
このように、鋼板10の上面11の熱伝達率h及び下面12の熱伝達率hを早期に同定することが可能であることから、同定された熱伝達率h、hを考慮して実際の操業条件を調整することができる。すなわち、同定された熱伝達率h、h、鋼板10の内部温度分布に基づいて、中間冷却装置4の冷却条件を調整できることから、鋼板10の反りの発生や材質特性のばらつきを抑制することが可能となる。
以下に、本発明の第2の実施形態である熱伝達率の同定方法について説明する。本実施形態では、図1に示す圧延ライン1において用いられる粗圧延機2の圧延ロール3の内部温度分布を推測するものである。
圧延ロール3においては、図4に示すように、圧延ロール3の周方向位置によって熱的条件が大きく異なる。すなわち、高温の鋼板10と接触する領域(ロールバイト3A)は、圧延ロール3に対する入熱領域となり、その他の領域は、水冷領域3B又は空冷領域3Cとなっている。
そこで、本実施形態では、圧延ロール3の外周面の多数の点を境界(温度測定点)とし、各境界における熱伝達率の同定を行う。
まず、図5Aに示すように、初期温度分布を設定する(初期温度分布設定工程S01)。
次に、ロール無回転時の温度測定点における温度Tを測定する(温度測定工程S02)。
さらに、各境界における熱伝達率hを仮定し、ロール1回転(所定時間Δt経過後)の各温度測定点の温度T を算出する(伝熱計算工程S03)。ここで、ロール周方向に比べロール半径方向の熱流束が著しく大きいため、ロール1回転内でのロール周方向の熱の流れは無視しても差し支えない。したがって、前記のように1周分で測定した温度はあたかも多点で同時に測定した温度として扱っても差し支えない。すなわち、所定の複数の測定点を同時に測定する代わりに、1つ以上所定の測定点の数未満の温度測定点を移動させて同時に温度を実測したものとみなすことも可能である。
次に、温度測定工程S02で測定された各境界の温度T(j=0,1,…,N ただしNは温度測定点の総数)と、伝熱計算工程S03で算出された各境界の温度T との温度差ベクトルdT=T−T を算出する(温度差ベクトル算出工程S04)。
次に、得られた温度差ベクトルdTのノルムが許容値以下であるか否かを評価する(温度差ベクトル評価工程S05)。この温度差ベクトルdTのノルムが許容値を超えている場合には、図5Bに示す手順で熱伝達率を修正する。
まず、1番目の境界における熱伝達率hをh=h+dhに補正し、他の熱伝達率は変更せずに、伝熱計算を実施して所定時間Δt経過後の各境界における温度T を算出する。そして、dT =T −T を算出し、このdT と熱伝達率hの補正量dhとの商ベクトルdT /dhを算出する(商ベクトル作成工程S11)。
この作業を全ての境界における熱伝達率を上記手順によって補正して商ベクトルdT /dh(j=0,1,…,N)を作成する。
得られた商ベクトルdT /dhを並べて、以下に示す行列Aijを作成する(行列作成工程S12)。行列Aijは、N行N列の行列である。
Figure 0006451331
ここで、温度差ベクトルdTと行列Aijとの関係は、次の式で表される。
Figure 0006451331
そして、この行列Aijの逆行列Aij −1を算出する。すると、以下の関係式が得られる。
Figure 0006451331
この式によって、得られた逆行列Aij −1と、温度差ベクトルdTとから、各境界における熱伝達率の修正量dhを算出する(修正ベクトル算出工程S13)。
ここで収束を早める等の必要に応じて逆行列Aij −1をさらに修正してもよい。本実施形態では、修正ベクトル算出工程S13においては、逆行列Aij −1と、温度差ベクトルdTと、の積によって得られるベクトルをr とし、このr と前回計算で得られた修正量hk-1 とを用いて、修正量dh=r −βhk-1 と設定した。ここで、βは1より小さい値であり、kは今回の計算を意味し、k−1は前回の計算を意味する。
次に、図5Aに示すように、修正された熱伝達率を用いて伝熱計算工程S03を再度実施する。
そして、温度差ベクトルのノルムが許容値以下となるまで、伝熱計算工程S03、温度差ベクトル算出工程S04、商ベクトル算出工程S11、行列作成工程S12、修正ベクトル算出工程S13を繰り返し実施する。
このようにして、圧延ロール3の外周面の熱伝達率hを同定し、同定された熱伝達率hを用いて圧延ロール3の内部温度分布を推定する。
以上のような構成とされた本実施形態である熱伝達率の同定方法によれば、圧延ロール3の外周面の複数の点における熱伝達率hを同定することができる。よって、圧延ロール3の内部温度分布を精度良く推定することができ、圧延ロール3の変形等を予測して圧延条件を調整することが可能となる。また、本実施形態によれば、圧延ロール3の外周面の複数の点における熱伝達率hが既知となるため、現在のロール冷却設備の能力が定量的に分かる。したがって、最適なロール冷却設備の設計に資することが可能となる。
以上、本発明の実施形態である熱伝達率の同定方法について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、圧延ラインの鋼板、圧延ロールの内部温度分布を推定するために、これらの表面の熱伝達率を同定するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の物体の境界における熱伝達率を同定するものであってもよい。ただし、熱伝達率を同定する境界の数以上に温度測定点の数が多くある必要がある。この温度測定点は、一定の時間内で定常状態であると仮定できる範囲内においては、温度測定点を移動させることで擬似的に複数点の温度測定を行っているとみなすことも可能である。
また、修正ベクトル算出工程において、ゲインをかけることによって振動を防止してもよい。
S01 初期温度分布設定工程
S02 温度測定工程
S03 伝熱計算工程
S04 温度差ベクトル算出工程
S05 温度差ベクトル評価工程
S11 商ベクトル算出工程
S12 行列作成工程
S13 修正ベクトル算出工程

Claims (4)

  1. 2以上の熱的な境界を有する物体の前記境界における熱伝達率を同定する熱伝達率の同定方法であって、
    前記熱伝達率を同定する境界の数以上の温度測定点を設け、
    前記物体の初期温度分布を設定する初期温度分布設定工程と、
    前記物体の所定時間経過後の前記温度測定点の温度を実測する温度測定工程と、
    前記境界における熱伝達率を仮定して、前記所定時間経過後の温度分布を計算する伝熱計算工程と、
    前記伝熱計算工程による計算値と前記温度測定工程による測定値との差を計算して温度差ベクトルを算出する温度差ベクトル算出工程と、
    前記温度差ベクトルのノルムが所定値以下であるか否かを判断する温度差ベクトル評価工程と、
    前記2以上の境界のうちの1点の熱伝達率のみを補正して伝熱計算を再度実施し、各温度測定点における熱伝達率補正前の計算値と熱伝達率補正後の計算値との差を求め、この差と熱伝達率の補正量との商ベクトルを求める商ベクトル算出工程と、
    この商ベクトル算出工程を全ての境界で実施し、得られた商ベクトルを並べて行列を作成する行列作成工程と、
    得られた行列の逆行列を求め、この逆行列と前記温度差ベクトルに対応したベクトルとの積によって修正ベクトルを算出する修正ベクトル算出工程と、を有し、
    仮定した熱伝達率に前記修正ベクトルを加えて修正した熱伝達率を用いて前記伝熱計算工程を実施し、前記温度差ベクトルのノルムが許容値以下となるまで、前記伝熱計算工程、前記温度差ベクトル算出工程、前記温度差ベクトル評価工程、前記商ベクトル算出工程、前記行列作成工程、前記修正ベクトル算出工程を繰り返し実施することを特徴とする熱伝達率の同定方法。
  2. 前記修正ベクトル算出工程では、前記逆行列と前記温度差ベクトルとの積で得られるベクトルの全要素に0より大きい1以下の実数をかけて前記修正ベクトルを算出することを特徴とする請求項1に記載の熱伝達率の同定方法。
  3. 前記修正ベクトル算出工程では、前回の熱伝達率の修正ベクトルの共役ベクトルを次回の前記修正ベクトルとすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝達率の同定方法。
  4. 前記温度測定工程では、一定時間内で定常状態であると仮定できる範囲内において、一つ以上所定の数未満の温度測定点を移動させることによって所定の複数の温度測定点の温度を実測したとみなすことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱伝達率の同定方法。
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