JP2018008673A - 車両用のブレーキ液圧制御装置、モータサイクル用ブレーキシステム、及び、車両用のブレーキ液圧制御装置の製造方法 - Google Patents

車両用のブレーキ液圧制御装置、モータサイクル用ブレーキシステム、及び、車両用のブレーキ液圧制御装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポンプ装置の駆動源であるモータをブレーキ液の流路が形成された基体に対して固定する構造を簡略化できる、車両用のブレーキ液圧制御装置と、そのようなブレーキ液圧制御装置を備えているモータサイクル用ブレーキシステムと、そのような車両用のブレーキ液圧制御装置の製造方法と、を得る。【解決手段】ブレーキ液圧制御装置では、モータ(13)が、電動部(13A)と、電動部(13A)の外側に設けられているカバー(13K)と、を含み、カバー(13K)のうちの、モータ用穴(13H)の内側に位置する領域の外周面には、その外周面の外側に突出するカバーフランジ部(13K1)が形成され、カバーフランジ部(13K1)のうちの、モータ用穴(13H)の開口部側の端面の少なくとも一部は、基体(10)の一部によって押圧されている。【選択図】図6

Description

本発明は、車両用のブレーキ液圧制御装置と、そのブレーキ液圧制御装置を備えているモータサイクル用ブレーキシステムと、その車両用のブレーキ液圧制御装置の製造方法と、に関するものである。
従来、モータサイクル(自動二輪車又は自動三輪車)等の車両のブレーキシステムでは、車両の搭乗者がブレーキレバーを操作すると、液圧回路内のブレーキ液の圧力が増加することとなって、車輪に制動力が発生する。また、制動力を調整するブレーキ液圧制御装置を備えているブレーキシステムが知られている。このブレーキ液圧制御装置は、液圧回路内のブレーキ液の圧力を増減させて、車輪に発生する制動力を調整することが可能である。ブレーキ液圧制御装置としては、液圧回路内のブレーキ液の圧力を変化させるポンプ装置、ブレーキ液の圧力を増減させるための液圧調整弁、それらの動作を制御する制御器等をユニット化したものがある(例えば、特許文献1を参照)。
特開2011−51359号公報
従来のブレーキ液圧制御装置では、液圧回路内のブレーキ液の圧力を変化させるポンプ装置がモータにより駆動される構成となっており、モータは基体の1つの側面にビスなどの固定部材を用いて取り付けられる。このような構造では、固定部材を用いて基体にモータを取り付けなければならないため、ブレーキ液圧制御装置の製造コストの増加、大型化等が課題となっていた。
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、ポンプ装置の駆動源であるモータをブレーキ液の流路が形成された基体に固定する構造を簡略化できる、ブレーキ液圧制御装置、モータサイクル用ブレーキシステム、及び、ブレーキ液圧制御装置の製造方法を得ることを目的とする。
本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、ブレーキ液の流路が形成されている基体と、前記基体に形成されているポンプ用穴に少なくとも一部が収納され、前記ブレーキ液に圧力を付与するポンプ装置と、前記基体に形成されているモータ用穴に少なくとも一部が収納され、前記ポンプ装置の駆動源であるモータと、を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置であって、前記モータは、電動部と、前記電動部の外側に設けられているカバーと、を含み、前記カバーのうちの、前記モータ用穴の内側に位置する領域の外周面には、該外周面の外側に突出するカバーフランジ部が形成され、前記カバーフランジ部のうちの、前記モータ用穴の開口部側の端面の少なくとも一部は、前記基体の一部によって押圧されているものである。
本発明に係るモータサイクル用ブレーキシステムは、上述のブレーキ液圧制御装置を備えているものである。
本発明に係るブレーキ液圧制御装置の製造方法は、ブレーキ液の流路が形成されている基体と、前記基体に形成されているポンプ用穴に少なくとも一部が収納され、前記ブレーキ液に圧力を付与するポンプ装置と、前記基体に形成されているモータ用穴に少なくとも一部が収納され、前記ポンプ装置の駆動源であるモータと、を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置の製造方法であって、前記モータは、電動部と、前記電動部の外側に設けられているカバーと、を含み、前記カバーのうちの、前記モータ用穴の内側に位置する領域の外周面には、該外周面の外側に突出するカバーフランジ部が形成されており、前記モータが前記モータ用穴に挿入された状態で、前記カバーフランジ部のうちの、前記モータ用穴の開口部側の端面の少なくとも一部が、前記基体の一部で押圧されるように、前記基体が変形されるものである。
本発明に係るブレーキ液圧制御装置及びブレーキ液圧制御装置の製造方法によれば、モータの電動部の外側に設けられているカバーのうちの、モータ用穴の内側に位置する領域の外周面に、カバーフランジ部が形成されている。そして、モータがモータ用穴に挿入された状態で基体が変形されて、カバーフランジ部のうちの、モータ回転軸方向におけるモータ用穴の開口部側の端面の少なくとも一部が、基体の一部によって押圧されることで、モータが基体に保持される。そのため、モータを基体に対して固定する構造を簡略化することが可能である。
本発明に係るモータサイクル用ブレーキシステムによれば、上述のブレーキ液圧制御装置によって、モータサイクルにおける搭載機器の小型化に対するシビアな要求に対応することができる。
本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置を含むモータサイクル用ブレーキシステムが適用されたモータサイクルの、構成の一例を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置を含むモータサイクル用ブレーキシステムの、構成図である。 本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の、コイルケーシング側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の、基体側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の、分解斜視図である。 図3及び図4のA−A線での要部の部分断面図である。 本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置のモータ及び減速機構の、斜視図である。 本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の基体の、第5面側から見た平面図である。 本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の、モータ用穴にモータ及び減速機構が挿入された状態における、基体、モータ、及び減速機構の、第5面側から見た平面図である。
以下、図面を適宜参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下では、本発明に係るブレーキ液圧制御装置がモータサイクル用ブレーキシステムに用いられる場合を説明するが、本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、モータサイクル以外の車両(例えば、自動車、トラック等)のブレーキシステムに用いられてもよい。また、以下では、本発明に係るブレーキ液圧制御装置が、前輪液圧回路及び後輪液圧回路を備えているブレーキシステムに適用される場合を説明するが、本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、前輪液圧回路及び後輪液圧回路の一方のみを備えているブレーキシステムに適用されてもよい。
また、以下で説明する構成、動作などは、一例であり、本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、そのような構成、動作などである場合に限定されない。例えば、本発明に係るブレーキ液圧制御装置は、ABSとしての動作以外を行うものであってもよい。
また、各図では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、各図において、同一又は相当関係にある部材又は部分には、同一の符号を付すか、又は、符号を付すことを省略している。また、各図において、詳細部分の図示が適宜簡略化または省略されている。
<モータサイクル200の外観構成>
図1を用いて、モータサイクル200の構成について説明する。なお、以下の説明において、本発明の実施の形態に係るモータサイクル用ブレーキシステムを、ブレーキシステム100と称する。
図1は、本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置を含むモータサイクル用ブレーキシステムが適用されたモータサイクルの、構成の一例を示す模式図である。
モータサイクル200は、車輪W及び車体Bとブレーキシステム100とを合わせたものである。なお、本実施の形態では、モータサイクル200が自動二輪車であるものとして説明するが、それに限定されるものではなく、自動三輪車でもよい。
<ブレーキシステム100の全体構成>
図2を用いて、ブレーキシステム100の全体構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置を含むモータサイクル用ブレーキシステムの、構成図である。
ブレーキシステム100は、モータサイクル200の車輪Wに発生する制動力を変化させるブレーキ液圧制御装置1を備えている。また、ブレーキシステム100は、自動二輪車を運転するユーザー等が操作するハンドルレバー24及びフットペダル34を備えている。このハンドルレバー24を操作すると前輪20に制動力が発生し、フットペダル34を操作すると後輪30に制動力が発生する。
ブレーキシステム100は、前輪20における制動力の発生に利用されるブレーキ液が流れる前輪液圧回路C1と、後輪30における制動力の発生に利用されるブレーキ液が流れる後輪液圧回路C2とを含む。
ブレーキシステム100は、前輪20に制動力を発生させる機構として次の構成を備えている。すなわち、ブレーキシステム100は、前輪20に対応して設けられるフロントブレーキパッド21と、フロントブレーキパッド21を作動させるフロントブレーキピストン(図示省略)が摺動自在に設けられているフロントホイールシリンダ22と、フロントホイールシリンダ22に接続されたブレーキ液管23とを備えている。
なお、フロントブレーキパッド21は、前輪20とともに回転するロータ(図示省略)を挟みこむように設けられている。そして、フロントブレーキパッド21は、フロントホイールシリンダ22内のフロントブレーキピストンに押されるとロータに当接して、摩擦力が発生し、ロータとともに回転する前輪20に制動力が発生する。
ブレーキシステム100は、ハンドルレバー24に付設される第1マスターシリンダ25と、ブレーキ液を貯留する第1リザーバ26と、第1マスターシリンダ25に接続されたブレーキ液管27とを備えている。なお、第1マスターシリンダ25には、マスターシリンダピストン(図示省略)が摺動自在に設けられている。ハンドルレバー24が操作されると、第1マスターシリンダ25内のマスターシリンダピストンが動く。マスターシリンダピストンの位置によって、フロントブレーキピストンにかかるブレーキ液の圧力が変わるため、フロントブレーキパッド21がロータを挟み込む力が変わり、前輪20の制動力が変わる。
ブレーキシステム100は、後輪30に制動力を発生させる機構として次の構成を備えている。すなわち、ブレーキシステム100は、後輪30に対応して設けられるリアブレーキパッド31と、リアブレーキパッド31を動かすリアブレーキピストン(図示省略)が摺動自在に設けられているリアホイールシリンダ32と、リアホイールシリンダ32に接続されたブレーキ液管33とを備えている。
なお、リアブレーキパッド31は、後輪30とともに回転するロータ(図示省略)を挟みこむように設けられている。そして、リアブレーキパッド31は、リアホイールシリンダ32内のリアブレーキピストンに押されるとロータに当接して、摩擦力が発生し、ロータとともに回転する後輪30に制動力が発生する。
ブレーキシステム100は、フットペダル34に付設される第2マスターシリンダ35と、ブレーキ液を貯留する第2リザーバ36と、第2マスターシリンダ35に接続されたブレーキ液管37とを備えている。なお、第2マスターシリンダ35には、マスターシリンダピストン(図示省略)が摺動自在に設けられている。フットペダル34が操作されると、第2マスターシリンダ35内のマスターシリンダピストンが動く。マスターシリンダピストンの位置によって、リアブレーキピストンにかかるブレーキ液の圧力が変わるため、リアブレーキパッド31がロータを挟み込む力が変わり、後輪30の制動力が変わる。
<ブレーキ液圧制御装置1の構成>
図2〜図6を用いて、ブレーキ液圧制御装置1の構成について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の、コイルケーシング側から見た斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の、基体側から見た斜視図である。図5は、本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の、分解斜視図である。図6は、図3及び図4のA−A線での要部の部分断面図である。
ブレーキ液圧制御装置1は、ブレーキ液が流れる内部流路4(図2参照)が形成された基体10と、基体10に組み付けられるポンプ装置2と、前輪液圧回路C1及び後輪液圧回路C2に設けられた開閉自在の液圧調整弁3と、液圧調整弁3を駆動する駆動コイル11と、駆動コイル11を収納するコイルケーシング12と、ポンプ装置2の駆動源であるモータ13と、ポンプ装置2や液圧調整弁3の動作を制御する制御部を含む制御器7と、制御器7の回路基板7Fを収納する制御装置ケーシング14等により構成されている。
次に、図2〜図6を参照しながら、ブレーキ液圧制御装置1の各部の構成を説明する。
(基体10)
基体10は、例えばアルミニウム等の金属製であり、略直方体形状のブロックから形成されている。基体10は、第1面10A、第2面10B、第3面10C、第4面10D、第5面10E、第6面10Fを有している。
第1面10Aは、図3及び図4において紙面上側に位置している面をいう。第2面10Bは、図4において紙面左側に位置している面をいう。第3面10Cは、図3において紙面左側に位置する面をいう。第4面10Dは、図3及び図4において紙面下側に位置している面をいう。第5面10Eは、図3においてコイルケーシング12が取り付けられている面をいう。第6面10Fは、図4において紙面右側に位置している面をいう。
つまり、第1面10Aと第4面10Dとが対向し、第2面10Bと第3面10Cとが対向し、第5面10Eと第6面10Fとが対向している。
基体10の内部には、ブレーキ液が流通する内部流路4が形成されている。内部流路4は、前輪液圧回路C1の一部を構成する第1内部流路4A、第2内部流路4B及び第3内部流路4Cと、後輪液圧回路C2の一部を構成する第4内部流路4D、第5内部流路4E及び第6内部流路4Fと、を含んで構成されている。
また、基体10の第1面10Aには、各種ポートPが開口している。各種ポートPは、ハンドルレバー24等の駆動機構に対応する第1ポートP1と、フットペダル34等の駆動機構に対応する第2ポートP2と、フロントブレーキパッド21等の駆動機構に対応する第3ポートP3と、リアブレーキパッド31等の駆動機構に対応する第4ポートP4と、により構成されている。第1ポートP1には、ブレーキ液管27が接続される。第2ポートP2には、ブレーキ液管37が接続される。第3ポートP3には、ブレーキ液管23が接続される。第4ポートP4には、ブレーキ液管33が接続される。
内部流路4のうち第1内部流路4Aは、ポンプ装置2のブレーキ液の流出側と、液圧調整弁3の一つである第1増圧弁3Aと、第1ポートP1とに接続されている。また、第1内部流路4Aには、内部流路4を流れるブレーキ液の流量を規制する第1フローリストリクタ5Aが設けられている。内部流路4のうち第2内部流路4Bは、第1増圧弁3Aと、液圧調整弁3の一つである第1減圧弁3Bと、第3ポートP3とに接続されている。内部流路4のうち第3内部流路4Cは、ポンプ装置2のブレーキ液の流入側と、第1減圧弁3Bとに接続されている。また、第3内部流路4Cには、内部流路4内のブレーキ液を貯留するアキュムレータ6が設けられている。
内部流路4のうち第4内部流路4Dは、ポンプ装置2のブレーキ液の流出側と、液圧調整弁3の一つである第2増圧弁3Cと、第2ポートP2とに接続されている。また、第4内部流路4Dには、内部流路4を流れるブレーキ液の流量を規制する第2フローリストリクタ5Bが設けられている。内部流路4のうち第5内部流路4Eは、第2増圧弁3Cと、液圧調整弁3の一つである第2減圧弁3Dと、第4ポートP4とに接続されている。内部流路4のうち第6内部流路4Fは、ポンプ装置2のブレーキ液の流入側と、第2減圧弁3Dとに接続されている。また、第6内部流路4Fには、内部流路4内のブレーキ液を貯留するアキュムレータ6が設けられている。
図5に示されるように、基体10の第5面10Eの略中央には、モータ13等が収納される、有底のモータ用穴13Hが形成される。また、このモータ用穴13Hの周囲には、液圧調整弁3が収納される、有底の調整弁用穴3Hが形成されている。また、基体10の第5面10Eには、コイルケーシング12を位置決めするための位置決め穴12Hが形成されている。また、基体10の第5面10Eには、ビス18と係合するビス穴18Hが形成されている。基体10の第2面10B及び第3面10Cには、ポンプ装置2が収納されるポンプ用穴2Hが形成されている。基体10の第4面10Dには、アキュムレータ6が収納される、アキュムレータ用穴(図示省略)が形成されている。図6に示されるように、ポンプ用穴2Hは、モータ用穴13Hの側部まで貫通している。
(ポンプ装置2)
ポンプ装置2は、基体10の内部流路4内のブレーキ液を第1マスターシリンダ25及び第2マスターシリンダ35側に搬送するものである。ポンプ装置2は、モータ13によって駆動される。例えば、ポンプ装置2は、2つである。一方のポンプ装置2は、前輪液圧回路C1内のブレーキ液の搬送に用いられ、第3内部流路4C内のブレーキ液を第1内部流路4A側に搬送する。他方のポンプ装置2は、後輪液圧回路C2内のブレーキ液の搬送に用いられ、第6内部流路4F内のブレーキ液を第4内部流路4D側に搬送する。ポンプ装置2は、例えば、ポンプ用穴2H内で往復動するピストン2Aと、ピストン2Aに取り付けられた弾性体(図示省略)と、ポンプ用穴2Hを塞ぐポンプカバー(図示省略)と、により構成されている。
(モータ13及び減速機構60)
モータ13は、固定子、回転子、出力軸等から構成される電動部13Aを含む。モータ13は、基体10に対するコイルケーシング12側に設けられている。電動部13Aのコイルケーシング12側の端部には2つのモータ端子13Tが立設されている。モータ端子13Tのうち1つはプラス端子13T1であり、モータ端子13Tのうちもう1つはマイナス端子13T2である。モータ13の動作は、制御器7によって制御される。
減速機構60は、モータ13で発生した回転を減速するものである。つまり、モータ13で発生したトルクは、減速機構60により増幅される。減速機構60は、モータ13の電動部13Aの出力軸と嵌合する。つまり、減速機構60は、モータ13のうちの、モータ用穴13Hの底部側の端部に取り付けられる。
減速機構60として、図6に示されるような遊星歯車機構が採用されるとよい。遊星歯車機構の採用により、小型の減速機構60で大きな減速比を得ることができるため、ブレーキ液圧制御装置1が小型化される。また、遊星歯車機構の採用により、モータ13の回転軸と同軸での回転の伝達が可能となる。遊星歯車機構の太陽歯車63は、モータ13の電動部13Aの出力軸と嵌合している。太陽歯車63がモータ13によって回転すると、基体10に固定されている内歯車68内において、複数の遊星歯車64が、太陽歯車63の回りを回転しながら旋回する。その際、複数の遊星歯車64を回転可能に支持している遊星キャリア62A、62Bが回転することとなって、遊星歯車機構の遊星キャリア62Bに連結されている偏心機構17が回転する。
モータ13は、電動部13Aの外側に設けられているカバー13Kを含む。カバー13Kは、非着磁性の磁性体である。電動部13Aの外周面の少なくとも一部がカバー13Kで覆われることによって、電動部13Aの保護が確実化される。つまり、カバー13Kは、電動部13Aを外部から侵入する可能性のある塵埃や水滴から保護している。また、カバー13Kは、非着磁性の磁性体で構成されているため、電動部13Aで発生する磁界が漏れて、電動部13Aの動作効率が低下することを抑制している。
図6に示されるように、カバー13Kのうちの、モータ用穴13Hの内側に位置する領域の外周面には、その外周面の外側に突出するカバーフランジ部13K1が形成されている。また、減速機構60の外周面には、その外周面の外側に突出する減速機構フランジ部65が形成されている。カバーフランジ部13K1のうちの、モータ用穴13Hの底部側の端面と、減速機構フランジ部65のうちの、モータ用穴13Hの開口部側の端面と、が、互いに当接する。電動部13Aの外郭を構成する部材の外周面、及び、減速機構60の外周面は、カバー13Kの内周面に嵌合している。つまり、電動部13A及び減速機構60は、カバー13Kの内側に圧入された後に、モータ用穴13H内に収納されて、基体10に一体的に固定される。その組立については、後に詳述される。
(偏心機構17)
偏心機構17は、モータ13から伝達された回転力によってポンプ装置2を駆動するものである。つまり、偏心機構17は、減速機構60で増幅された回転力を、ポンプ装置2に伝達する。図6に示されるように、偏心機構17の主軸の一端は、遊星歯車機構の遊星キャリア62Bの中心穴と係合し、その他端は、基体10に固定されている軸受51に回転自在に支持される。偏心機構17の外周面は、主軸に対して偏心している。その外周面と接触しているピストン2Aは、その外周面に押されて、モータ13の回転軸と直交する方向において往復運動する。ピストン2Aは、主軸に対して対称に一対配置されており、各ピストン2Aは、偏心機構17が一回転するごとに一往復する。
(液圧調整弁3及び駆動コイル11)
液圧調整弁3は、基体10の内部流路4を開閉するために設けられた弁である。図2及び図5に示されるように、液圧調整弁3は、第1増圧弁3A、第1減圧弁3B、第2増圧弁3C及び第2減圧弁3Dを含む。液圧調整弁3は、例えば、駆動コイル11を駆動源とする電磁弁である。駆動コイル11の通電が、制御器7によって制御されることで、開閉状態が切り替えられる。
駆動コイル11は、円筒形状のコイルハウジング15の内部に巻線を収納している。コイルハウジング15を貫通する円柱開口部15A内には、液圧調整弁3の一端側が収納される。その他端側は、調整弁用穴3H内に収納される。この状態で、駆動コイル11の通電をオン−オフすると、液圧調整弁3の基体10内に収納された可動子が移動して、可動子に連動する弁体が閉位置と開位置との間で移動する。
コイルハウジング15の一端部は、基体10の第5面10Eに固定される。コイルハウジング15の一端部と対向する他端部15Cには、一対の端子台16が立設されている。端子台16にはコイル端子16Aが設けられており、コイル端子16Aを介して駆動コイル11に動力が供給される。
第1増圧弁3Aは、ABS作動時において、フロントホイールシリンダ22内のブレーキ液の圧力を増圧するときに開かれる弁である。すなわち、第1増圧弁3Aが開かれると、第1マスターシリンダ25の作用によって第1内部流路4A側のブレーキ液が第2内部流路4B側に押し込まれる。その結果、フロントホイールシリンダ22のブレーキ液の圧力が上昇して、前輪20の制動力が強まる。
第1減圧弁3Bは、ABS作動時において、フロントホイールシリンダ22内のブレーキ液の圧力を減圧するときに開かれる弁である。すなわち、第1減圧弁3Bが開かれると、フロントホイールシリンダ22のブレーキ液が第2内部流路4Bを介してアキュムレータ6に流入する。その結果、フロントホイールシリンダ22のブレーキ液の圧力が低下して、前輪20の制動力が弱まる。
第2増圧弁3Cは、ABS作動時において、リアホイールシリンダ32内のブレーキ液の圧力を増圧するときに開かれる弁である。すなわち、第2増圧弁3Cが開かれると、第2マスターシリンダ35の作用によって第4内部流路4D側のブレーキ液が第5内部流路4E側に押し込まれる。その結果、リアホイールシリンダ32のブレーキ液の圧力が上昇して、後輪30の制動力が強まる。
第2減圧弁3Dは、ABS作動時において、リアホイールシリンダ32内のブレーキ液の圧力を減圧するときに開かれる弁である。すなわち、第2減圧弁3Dが開かれると、リアホイールシリンダ32のブレーキ液が第5内部流路4Eを介してアキュムレータ6に流入する。その結果、リアホイールシリンダ32のブレーキ液の圧力が低下して、後輪30の制動力が弱まる。
(制御器7)
図5に示されるように、制御器7は、検出機構からの信号を受ける入力部や演算を行うプロセッサ部、プログラムを記憶する記憶部等が設けられている回路基板7Fと、その回路基板7Fとモータ端子13Tとを電気的に接続する端子7Eと、を含む。
端子7Eは、コイルケーシング12に取り付けられており、回路基板7Fには、その端子7Eの先端部が挿入される第1端子用穴7Daが形成されている。また、回路基板7Fには、コイル端子16Aの先端部が挿入される第2端子用穴7Dbが形成されている。また、回路基板7Fには、コイルケーシング12に立設されているピン13Xの先端部が挿入されるピン用穴7Dcが形成されている。それらの先端部は、互いに平行である。
なお、制御器7は、回路基板7Fに検出信号を出力する各種検出機構を含む。検出機構としては、例えば、路面の勾配値を取得するのに用いられる加速度センサ、前輪20の車輪速を算出するのに用いられる前輪速度センサ、後輪30の車輪速を算出するのに用いられる後輪速度センサ等がある。
(コイルケーシング12)
コイルケーシング12は、枠部12Aと、枠部12Aの側方に形成され、制御器7に接続されるコネクタ7Aを収納する収納部12Bと、により構成されている。
図5に示されるように、枠部12Aには、コイル挿入穴53と、モータ挿入穴56と、が形成されている。コイル挿入穴53に駆動コイル11が収納されると、コイル端子16Aが、コイルケーシング12の第1面部50からに突出することとなり、回路基板7Fが接続可能となる。モータ挿入穴56にモータ13が収納されると、モータ端子13Tが、モータ挿入穴56の底部56Aに形成されているモータ端子用開口56Bを貫通して、コイルケーシング12の第1面部50から突出することとなって、端子7Eの基部に接続される。端子7Eのうちの、モータ端子13Tが当接しない側の端部(先端部)は、回路基板7Fに接続される。
枠部12Aには、ビス18を挿入するビス挿入穴18Aが形成されている。ビス18が、基体10に形成されているビス穴18Hに結合されて、コイルケーシング12が基体10の第5面10Eに保持される。
コイルケーシング12の、第1面部50と対抗する面部である第2面部40には、位置決め突起(図示省略)が形成されている。コイルケーシング12は、その位置決め突起が位置決め穴12Hに挿入された状態で、基体10に取り付けられる。つまり、端子7Eは、コイルケーシング12が基体10に取り付けられた状態において、基体10に対する規定位置に保持されるものである。
(制御装置ケーシング14)
制御装置ケーシング14は、コイルケーシング12の第1面部50に取り付けられ、内部に制御器7の回路基板7Fを収納する蓋部材として機能する。
<ブレーキ液圧制御装置1の要部の組立>
図7〜図9を用いて、ブレーキ液圧制御装置1の要部の組立について説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置のモータ及び減速機構の、斜視図である。図8は、本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の基体の、第5面側から見た平面図である。図9は、本発明の実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置の、モータ用穴にモータ及び減速機構が挿入された状態における、基体、モータ、及び減速機構の、第5面側から見た平面図である。
図7に示されるように、カバー13Kには、複数の切欠13Sが、モータ13の軸方向に延びるように形成されている。具体的には、切欠13Sは、カバー13Kのうちの、減速機構60側の端部(つまり、モータ用穴13Hの底部側の端部)を、軸方向に所定の長さだけ切り欠いて形成される。複数の切欠13Sは、モータ13の回転軸回りに等しい角度間隔(図7〜図9においては、120°間隔)で形成されているとよい。切欠13Sは、その先端部(つまり、モータ用穴13Hの底部側の端部の反対側の端部)が、減速機構60の外周面(つまり、内歯車68の外周面)のうちの、減速機構フランジ部65から遠い側の端部(つまり、モータ用穴13Hの底部側の端部の反対側の端部)に至らない長さである。つまり、切欠13Sの内側は、減速機構60の外周面で塞がれている。切欠13Sは、カバー13Kに電動部13A及び減速機構60を圧入しやすくする役目を果たす。
カバーフランジ部13K1のうちの、減速機構フランジ部65から遠い側の端面(つまり、モータ用穴13Hの開口部側の端面)の縁には、複数の凹部13Uが形成されている。複数の凹部13Uは、モータ13の回転軸回りに等しい角度間隔(図7〜図9においては、120°間隔)で形成されているとよい。また、減速機構フランジ部65の外周面には、その外周面の外側に突出する凸部61が形成されている。カバー13Kには、その凹部13Uとその凸部61との位置関係が規定の状態に位置合わせされた状態で、電動部13A及び減速機構60が圧入される。さらに、モータ13と減速機構60は、プラス端子13T1及びマイナス端子13T2と、凸部61と、のモータ13の回転軸回りでの角度位置の関係が規定の状態になるように組み立てられる。
なお、減速機構60、特に、内歯車68が、焼結含油体で形成されているとよい。なお、焼結含油体とは、金属粉を押し固め、加熱した多穴質部材であり、穴部に潤滑油を含浸させたものである。焼結含油体は、加工性、成形性が高いという特性を有している。そのため、内歯車68に凸部61を一体化した構成を、低コストに実現することが可能となる。
図8及び図9に示されるように、モータ用穴13Hの内周面には、軸方向に延びる溝部13Mが形成されている。溝部13Mは、凸部61の形状及び大きさに対応した形状及び大きさであり、凸部61は、溝部13Mに沿って軸方向に移動可能である。モータ13及び減速機構60は、凸部61を溝部13Mに沿って移動させることで、モータ用穴13Hに挿入される。つまり、溝部13M及び凸部61は、モータ13及び減速機構60の位置決めとしての機能に加えて、モータ13及び減速機構60をモータ用穴13Hに挿入する際のガイドとしての機能を有している。
さらに、モータ13及び減速機構60がモータ用穴13Hに挿入された際には、凸部61が溝部13Mに係合された状態になっており、モータ13及び減速機構60の回転方向の移動が溝部13M及び凸部61によって規制される。つまり、溝部13M及び凸部61はモータ13及び減速機構60の周り止めとしても機能する。なお、凸部61が溝部13Mに係合している状態には、凸部61が溝部13Mに隙間を有して収納されている状態、凸部61が溝部13Mに嵌合されている状態、凸部61が溝部13Mに接合されている状態等が含まれる。
また、モータ用穴13Hの内周面のうちの、凹部13Uに対向する部分を含む周方向には、段差面13Dが形成されている。複数の段差面13Dが、モータ13の回転軸回りに等しい角度間隔(図7〜図9においては、120°間隔)で形成されているとよい。モータ用穴13Hの内周面のうちの、モータ用穴13Hの開口部側から段差面13Dにつながる領域は、モータ用穴13Hの底部側から段差面13Dにつながる領域よりも、モータ13の回転軸までの距離が長くなっている。つまり、モータ13及び減速機構60がモータ用穴13Hに挿入された状態において、カバー13Kの外周面とモータ用穴13Hの内周面との間に、段差面13Dを底部とする隙間が形成されている。そして、段差面13Dは、カバーフランジ部13K1のうちの、モータ用穴13Hの開口部側の端面と比較して、モータ用穴13Hの開口部側に位置している。
モータ13及び減速機構60がモータ用穴13Hに挿入された状態において、段差面13Dを底部とする隙間にツールが挿入され、段差面13Dに圧力が加えられる。段差面13Dに圧力が加えられると、その段差面13Dが変形して、基体10の一部が、カバーフランジ部13K1のうちの、モータ用穴13Hの開口部側の端面に当接する状態になる。つまり、モータ13及び減速機構60は、段差面13Dのカシメによって、基体10の一部を、カバーフランジ部13K1のうちの、モータ用穴13Hの開口部側の端面に押圧させることで、基体10に固定される。また、その際には、基体10の一部が、凹部13Uに充填された状態になる。つまり、段差面13Dのカシメによって、同時に、モータ13及び減速機構60の回り止めが強化される。
以上のように、減速機構60が、カバー13Kに圧入されることによってモータ13に取り付けられ、基体10の一部がカバー13Kの凹部13Uの周辺及び内側に当接するように変形されることによって、モータ13及び減速機構60が基体10に固定される。つまり、カバー13Kが減速機構60を介在した状態で基体10にかしめ固定されることで、減速機構60のカバー13Kへの取り付けが補強されているため、カバー13Kに切欠13Sが形成されているような圧入、つまり、固定状態が比較的弱い圧入で減速機構60をカバー13Kに取り付けていても、電動部13Aと減速機構60の基体10への固定の強度が損なわれないで済んでいる。
また、プラス端子13T1及びマイナス端子13T2の角度位置は、減速機構60に形成されている凸部61との関係で決定付けられており、モータ13及び減速機構60は、その凸部61の位置が溝部13Mによって決定付けられた状態で、基体10に取り付けられる。つまり、減速機構60を基体10に装着しさえすれば、プラス端子13T1及びマイナス端子13T2の位置が決定されることとなって、基体10に対する規定位置に保持されている端子7Eへの接触、及び、誤組立の防止が確実化されている。
<ブレーキ液圧制御装置1の効果>
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1では、モータ13が、電動部13Aとカバー13Kと、を含み、カバー13Kのうちの、モータ用穴13Hの内側に位置する領域の外周面には、その外周面の外側に突出するカバーフランジ部13K1が形成されている。そして、モータ13がモータ用穴13Hに挿入された状態で基体10が変形されて、カバーフランジ部13K1のうちの、モータ回転軸方向におけるモータ用穴13Hの開口部側の端面の少なくとも一部が、基体10の一部によって押圧されることで、モータ13が基体10に保持される。そのため、モータ13を基体10に対して固定する構造を簡略化することが可能である。また、カバー13Kが基体10の一部によって押圧される構成であることで、モータ13の固定に際して、電動部13Aに直接大きな力が作用することが抑制される。
好ましくは、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1では、カバーフランジ部13K1に、凹部13Uが形成されており、モータ13がモータ用穴13Hに挿入された状態で基体10が変形されて、凹部13Uに基体10の一部が充填されることで、モータ13が基体10に保持される。そのため、モータ13の抜け止めと回り止めの確実化を、簡易な構造で実現できる。
好ましくは、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1では、カバーフランジ部13K1のうちの、モータ用穴13Hの開口部側の端面における、基体10の一部による押圧が、モータ13の回転軸回りの角度間隔が等しい複数箇所に限られる。そのため、基体10又は基体10に組み込まれている部材にいびつな変形が生じて、ブレーキ液の漏洩、動作不良等が生じてしまうことが抑制されて、ブレーキ液圧制御装置1が高品質化される。
好ましくは、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1では、モータ用穴13Hの内周面に、段差面13Dが形成されている。モータ用穴13Hの内周面のうちの、モータ用穴13Hの開口部側から段差面13Dにつながる領域が、モータ用穴13Hの底部側から段差面13Dにつながる領域よりも、モータ13の回転軸までの距離が長く、段差面13Dが、カバーフランジ部13K1のうちの、モータ用穴13Hの開口部側の端面と比較して、モータ用穴13Hの開口部側に位置する。そのため、カバーフランジ部13K1の近くで基体10をカシメることが可能となって、モータ13の固定の確実性と組立性が向上する。
好ましくは、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1では、モータ13のうちの、モータ用穴13Hの底部側の端部に取り付けられ、ポンプ装置2にモータ13のトルクを増幅して伝達する減速機構60の外周面に、カバー13Kの内周面が嵌合している。そのため、基体10にモータ13と減速機構60を同時に取り付けることが可能となって、ブレーキ液圧制御装置1の製造性が向上する。
特に、減速機構60の外周面に、その外周面の外側に突出する減速機構フランジ部65が形成されており、減速機構フランジ部65のうちの、モータ用穴13Hの開口部側の端面が、カバーフランジ部13K1のうちの、モータ用穴13Hの底部側の端面に当接しているとよい。そのような構成によって、カバーフランジ部13K1と減速機構フランジ部65とを基体10に一体的に保持させて、減速機構60の回り止めと抜け止めを確実化することが、簡易な構造で実現される。
特に、減速機構フランジ部65の外周面に、凸部61が形成されており、モータ用穴13Hの内周面に、溝部13Mが形成されており、凸部61が溝部13Mに係合しているとよい。そのような構成によって、モータ13と減速機構60とを一体的に位置決めすることが可能となる。また、簡易な構成でモータ13及び減速機構60の回り止めを抑制することができる。
特に、制御器7が、基体10に対する規定位置に保持されている端子7Eを含み、モータ13のうちの、モータ用穴13Hの底部側の端部の反対側の端部に、端子7Eに当接するモータ端子13Tが立設されているとよい。つまり、モータ13が凸部61によって位置決めされる構成であるため、基体10に対する規定位置に保持されている端子7Eにモータ端子13Tを当接させて接続することを確実化することが可能である。
特に、端子7Eのうちの、モータ端子13Tが当接しない側の端部が、制御器7の回路基板7Fに形成されている第1端子用穴7Daに挿入され、駆動コイル11のコイル端子16Aの先端部が、端子7Eのうちの、モータ端子13Tが当接しない側の端部と平行であり、回路基板7Fに形成されている第2端子用穴7Dbに挿入されるとよい。つまり、端子7Eとコイル端子16Aとを同時に回路基板7Fへ接続することができる構成を採用して、制御器7の組立性を向上するような場合においても、モータ13が凸部61によって位置決めされる構成であることで、接続の確実性を確保することが可能である。
特に、カバー13Kのうちの、モータ用穴13Hの底部側の端部に、切欠13Sが形成されているとよい。つまり、カバー13Kが減速機構60を介在した状態で基体10に固定されることで、減速機構60のカバー13Kへの取り付けが補強されているため、カバー13Kに切欠13Sが形成されているような圧入、つまり、固定状態が比較的弱い圧入で減速機構60をカバー13Kに取り付けても、電動部13Aと減速機構60の基体10への固定の強度が損なわれないで済むこととなって、圧入の作業性が向上する。
特に、切欠13Sの内側が、減速機構60の外周面で塞がれているとよい。そのような構成によって、ポンプ装置2から漏洩して減速機構60に至ったブレーキ液が、モータ13の外側に流出して制御器7等に至ることが抑制される。
特に、減速機構60が、遊星歯車機構であるとよい。つまり、減速機構60が遊星歯車機構である場合には、大型化を抑制しつつ、トルクが増幅された駆動力をモータ13と同軸で出力することができるため、ブレーキ液圧制御装置1が格段小型化される。
特に、減速機構60の外周面が、遊星歯車機構の内歯車68の外周面であり、内歯車68が、焼結含油体であるとよい。そのような構成によって、減速機構60の駆動の円滑性を確保しつつ、凸部61を減速機構60に一体化することが可能となって、ブレーキ液圧制御装置1が低コスト化される。
好ましくは、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1では、カバー13Kが、非着磁性の磁性体である。そのような構成によって、電動部13Aを保護することと、電動部13Aで発生する磁界の漏れを抑制することと、が、簡易な構造で実現される。
好ましくは、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1は、モータサイクル用のブレーキシステム100に適用される。モータサイクル200では、搭載機器に対する小型化への要求が特にシビアであるため、実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1は、モータサイクル用のブレーキシステム100において、特に有用である。
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1の製造方法では、モータ13がモータ用穴13Hに挿入された状態で、カバーフランジ部13K1のうちの、モータ回転軸方向でのモータ用穴13Hの開口部側の端面の少なくとも一部が、基体10の一部で押圧されるように、基体10が変形される。そのため、電動部13Aに直接大きな力が作用することが抑制される。また、凹部13Uに基体10の一部が充填されるように、基体10が変形される。そのため、モータ13の抜け止めと回り止めが、簡易な方法で確実化される。
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1の製造方法では、減速機構60が取り付けられたモータ13が、凸部61を溝部13Mに沿って移動しつつ収納される。そのため、モータ13と減速機構60とを一体的に位置決めすることと、モータ13と減速機構60の周り止めを確実化することと、が、簡易な方法で実現される。
実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置1の製造方法では、端子7Eとコイル端子16Aとが同時に回路基板7Fへ接続される。そのため、制御器7の取り付けを容易化することが可能である。
以上、実施の形態について説明したが、本発明は実施の形態の説明に限定されない。つまり、実施の形態の一部のみが実施されてもよい。
例えば、カバー13Kにカバーフランジ部13K1が形成されておらず、モータ13及び減速機構60が、基体10の変形以外の手法によって基体10に固定されるような、ブレーキ液圧制御装置1において、減速機構60の外周面に凸部61が形成され、モータ用穴13Hの内周面に溝部13Mが形成されていてもよい。また、そのようなブレーキ液圧制御装置1において、カバー13Kに切欠13Sが形成されていてもよい。それらのような構成であっても、上述と同様の効果が発揮される。
1 ブレーキ液圧制御装置、2 ポンプ装置、2A ピストン、2H ポンプ用穴、3 液圧調整弁、3H 調整弁用穴、4 内部流路、7 制御器、7Da 第1端子用穴、7Db 第2端子用穴、7Dc ピン用穴、7E 端子、7F 回路基板、10 基体、11 駆動コイル、12 コイルケーシング、12H 位置決め穴、13 モータ、13A 電動部、13D 段差面、13H モータ用穴、13K カバー、13K1 カバーフランジ部、13M 溝部、13S 切欠、13T モータ端子、13U 凹部、13X ピン、14 制御装置ケーシング、15 コイルハウジング、16A コイル端子、17 偏心機構、18 ビス、18A ビス挿入穴、18H ビス穴、20 前輪、21 フロントブレーキパッド、22 フロントホイールシリンダ、23 ブレーキ液管、24 ハンドルレバー、25 第1マスターシリンダ、26 第1リザーバ、27 ブレーキ液管、30 後輪、31 リアブレーキパッド、32 リアホイールシリンダ、33 ブレーキ液管、34 フットペダル、35 第2マスターシリンダ、36 第2リザーバ、37 ブレーキ液管、40 第2面部、50 第1面部、51 軸受、53 コイル挿入穴、56 モータ挿入穴、56A 底部、56B モータ端子用開口、60 減速機構、61 凸部、62A、62B 遊星キャリア、63 太陽歯車、64 遊星歯車、65 減速機構フランジ部、68 内歯車、100 ブレーキシステム、200 モータサイクル、C1 前輪液圧回路、C2 後輪液圧回路。

Claims (15)

  1. ブレーキ液の流路(4)が形成されている基体(10)と、
    前記基体(10)に形成されているポンプ用穴(2H)に少なくとも一部が収納され、前記ブレーキ液に圧力を付与するポンプ装置(2)と、
    前記基体(10)に形成されているモータ用穴(13H)に少なくとも一部が収納され、前記ポンプ装置(2)の駆動源であるモータ(13)と、
    を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置(1)であって、
    前記モータ(13)は、電動部(13A)と、前記電動部(13A)の外側に設けられているカバー(13K)と、を含み、
    前記カバー(13K)のうちの、前記モータ用穴(13H)の内側に位置する領域の外周面には、該外周面の外側に突出するカバーフランジ部(13K1)が形成され、
    前記カバーフランジ部(13K1)のうちの、前記モータ用穴(13H)の開口部側の端面の少なくとも一部は、前記基体(10)の一部によって押圧されている、
    ブレーキ液圧制御装置。
  2. 前記カバーフランジ部(13K1)に、凹部(13U)が形成されており、
    前記凹部(13U)に前記基体(10)の一部が充填されている、
    請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
  3. 前記カバーフランジ部(13K1)のうちの、前記モータ用穴(13H)の開口部側の端面における、前記基体(10)の一部による押圧は、前記モータ(13)の回転軸回りの角度間隔が等しい複数箇所に限られる、
    請求項1または2に記載のブレーキ液圧制御装置。
  4. 前記モータ用穴(13H)の内周面に、段差面(13D)が形成されており、
    前記モータ用穴(13H)の内周面のうちの、前記モータ用穴(13H)の開口部側から前記段差面(13D)につながる領域は、前記モータ用穴(13H)の底部側から前記段差面(13D)につながる領域よりも、前記モータ(13)の回転軸までの距離が長く、
    前記段差面(13D)は、前記カバーフランジ部(13K1)のうちの、前記モータ用穴(13H)の開口部側の端面と比較して、前記モータ用穴(13H)の開口部側に位置する、
    請求項1〜3の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置。
  5. 更に、前記モータ(13)のうちの、前記モータ用穴(13H)の底部側の端部に取り付けられ、前記ポンプ装置(2)に前記モータ(13)のトルクを増幅して伝達する減速機構(60)を備えており、
    前記カバー(13K)の内周面は、前記減速機構(60)の外周面に嵌合している、
    請求項1〜4の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置。
  6. 前記減速機構(60)の外周面には、該外周面の外側に突出する減速機構フランジ部(65)が形成されており、
    前記減速機構フランジ部(65)のうちの、前記モータ用穴(13H)の開口部側の端面は、前記カバーフランジ部(13K1)のうちの、前記モータ用穴(13H)の底部側の端面に当接している、
    請求項5に記載のブレーキ液圧制御装置。
  7. 前記減速機構フランジ部(65)の外周面に、凸部(61)が形成されており、
    前記モータ用穴(13H)の内周面に、溝部(13M)が形成されており、
    前記凸部(61)が前記溝部(13M)に係合している、
    請求項6に記載のブレーキ液圧制御装置。
  8. 更に、前記モータ(13)の駆動を制御する制御器(7)を備えており、
    前記制御器(7)は、前記基体(10)に対する規定位置に保持されている端子(7E)を含み、
    前記モータ(13)のうちの、前記モータ用穴(13H)の底部側の端部の反対側の端部には、前記端子(7E)に当接するモータ端子(13T)が立設されている、
    請求項7に記載のブレーキ液圧制御装置。
  9. 更に、前記流路(4)に設けられた液圧調整弁(3)と、該液圧調整弁(3)を駆動する駆動コイル(11)と、を備えており、
    前記端子(7E)のうちの、前記モータ端子(13T)が当接しない側の端部は、前記制御器(7)の回路基板(7F)に形成されている第1端子用穴(7Da)に挿入されており、
    前記駆動コイル(11)のコイル端子(16A)の先端部は、前記端子(7E)のうちの、前記モータ端子(13T)が当接しない側の端部と平行であり、前記回路基板(7F)に形成されている第2端子用穴(7Db)に挿入されている、
    請求項8に記載のブレーキ液圧制御装置。
  10. 前記カバー(13K)のうちの、前記モータ用穴(13H)の底部側の端部には、切欠(13S)が形成されている、
    請求項5〜9の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置。
  11. 前記切欠(13S)の内側は、前記減速機構(60)の外周面で塞がれている、
    請求項10に記載のブレーキ液圧制御装置。
  12. 前記減速機構(60)は、遊星歯車機構である、
    請求項5〜11の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置。
  13. 前記減速機構(60)の外周面は、前記遊星歯車機構の内歯車(68)の外周面であり、
    前記内歯車(68)は、焼結含油体である、
    請求項12に記載のブレーキ液圧制御装置。
  14. 請求項1〜13の何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置(1)を備えている、
    モータサイクル用ブレーキシステム。
  15. ブレーキ液の流路(4)が形成されている基体(10)と、
    前記基体(10)に形成されているポンプ用穴(2H)に少なくとも一部が収納され、前記ブレーキ液に圧力を付与するポンプ装置(2)と、
    前記基体(10)に形成されているモータ用穴(13H)に少なくとも一部が収納され、前記ポンプ装置(2)の駆動源であるモータ(13)と、
    を備えている、車両用のブレーキ液圧制御装置(1)の製造方法であって、
    前記モータ(13)は、電動部(13A)と、前記電動部(13A)の外側に設けられているカバー(13K)と、を含み、
    前記カバー(13K)のうちの、前記モータ用穴(13H)の内側に位置する領域の外周面には、該外周面の外側に突出するカバーフランジ部(13K1)が形成されており、
    前記モータ(13)が前記モータ用穴(13H)に挿入された状態で、前記カバーフランジ部(13K1)のうちの、前記モータ用穴(13H)の開口部側の端面の少なくとも一部が、前記基体(10)の一部で押圧されるように、前記基体(10)が変形される、
    ブレーキ液圧制御装置の製造方法。

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