JP2017529834A - 疼痛を治療するためのオリゴヌクレオチドデコイ - Google Patents

疼痛を治療するためのオリゴヌクレオチドデコイ Download PDF

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Abstract

例えば疼痛を予防及び/または治療するための、オリゴヌクレオチドデコイと呼ばれる二本鎖核酸などの治療剤、それを含む医薬組成物及び侵害受容性シグナリングを調節する関連方法が提供される。【選択図】図8A

Description

関連出願の相互参照
本出願は2014年8月15日に出願された米国特許出願第62/037,996号に対して、35U.S.C.§119(e)の下で優先権を主張し、当該出願は、その全体が参照により組み込まれる。
配列表に関する記載
本出願と関連する配列表を紙コピーの代わりにテキスト形式で提供し、参照により本明細書に組み込む。配列表を含むテキストファイルの名称はADDY_003_01WO_SeqList_ST25.txt.である。このテキストファイルは約13KBであり、2015年8月14日に作成され、EFS−Webを介して電子的に提出される。
発明の分野
本発明は、例えば疼痛を予防及び/または治療するための、オリゴヌクレオチドデコイと呼ばれる二本鎖核酸などの治療剤、それを含む医薬組成物及び侵害受容性シグナリングを調節する関連方法に関する。
関連技術の説明
疼痛は、実際の若しくは潜在的な組織損傷と関係がある、またはそのような損傷の点から説明される、不快な感知的及び情緒的経験と定義することができる。慢性疼痛は米国の人口の少なくとも40%を苦しめ、多数の有害な医学的状態と関係がある。持続性且つ非常に消耗性の慢性疼痛は、一般に、衰弱、不眠、食欲不振、被刺激性及び抑うつをともなう。時間とともに、生活の質が大いに影響を受け、患者は、日常生活の単純な作業を果たすことができない場合が多い。
現在使用されている疼痛治療は、以下のような薬物の投与を推奨する3段階の疼痛ラダーを適用する:非オピオイド(例えば、アスピリン、アセトアミノフェンなど)、次いで、必要に応じて、軽度オピオイド(例えば、コデイン)及び最後に強力なオピオイド(例えば、モルヒネ)。薬物のこの集積にもかかわらず、慢性疼痛の患者の50%より多くが、効果的に治療されていない。
現在の疼痛治療が有効でないことは、特に、現行の薬物療法にともなう著しい毒性問題が原因である。軽度から重度の毒性が、疼痛薬のすべてのクラスによって誘導される。非ステロイド性炎症薬は胃腸の損傷を引き起こし、コキシブは心不全と関係があり、オピオイドは、呼吸抑制、鎮静状態、消化機能不全及び嗜癖を含めた、多数の副作用の原因となる。
転写因子は多数のシグナル伝達経路において重要な因子であり、多くの遺伝子の同時発現を頻繁に制御する。限定されないが、BDNF、トランスフォーミング増殖因子(TGFB1)、CDKN1A、GFAP、POU因子、上流刺激因子(USF1、USF2)、EGR1、cAMP応答エレメント結合タンパク質/活性化転写因子(CREB/ATF)、活性化タンパク質1(AP1)、血清応答因子(SRF)、プロモーター選択的転写因子(SP1)及びrunt関連転写因子1(CBFA2)などの、疼痛に関与する遺伝子の発現の調節に、多くの転写因子が関与する。
したがって、疼痛に関与する遺伝子の発現をモニターするために、転写因子の阻害に著しい治療的可能性が存在し得る。したがって、必要とされるものは、選択的で、容易に利用可能な無毒の転写因子阻害剤である。
本発明の実施形態は、一般に、例えば、疼痛を予防及び/または治療することを、それを必要とする対象において行うための治療剤、例えば、オリゴヌクレオチド(これは、少なくとも1つのKruppel様ファミリー(KLF)転写因子の、その内在性の転写因子結合部位(複数可)への結合を阻害する)、そのような薬剤を含む医薬組成物及び侵害受容性シグナリングを調節する関連方法に関する。いくつかの実施形態では、治療剤は二本鎖のオリゴヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチドデコイ)であり、これは、少なくとも1種のKLF転写因子に結合する1つまたは複数の転写因子結合部位を含む。
したがって、本発明の実施形態は、1つまたは複数の転写因子結合部位を含有するオリゴヌクレオチドデコイを含み、ここでは、1つまたは複数の転写因子結合部位は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される転写因子に結合する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の転写因子結合部位は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17の1つまたは複数から選択される1種または複数の転写因子(1、2、3、4、5種など)に結合する。
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは、少なくとも2つの転写因子結合部位の組み合わせを含み、ここでは、各転写因子結合部位は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される転写因子に結合する。特定の実施形態では、各転写因子結合部位は、異なるKLF転写因子に結合する。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは約15〜約35塩基対の長さである。
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは、第1の転写因子結合部位及び第2の転写因子結合部位を含み、ここでは、第1及び第2の転写結合部位はオーバーラップする。ある特定の実施形態では、第1の転写因子結合部位はKLF9に結合し、第2の転写因子結合部位はKLF15に結合する。ある特定の実施形態では、第1の転写因子結合部位はKLF9に結合し、第2の転写因子結合部位はKLF6に結合する。
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは、第1の転写因子結合部位、第2の転写因子結合部位及び第3の転写因子結合部位を有し、ここでは、第1、第2及び第3の転写因子結合部位はオーバーラップする。具体的な実施形態では、第1の転写因子結合部位はKLF6に結合し、第2の転写因子結合部位はKLF9に結合し、第3の転写因子結合部位はKLF15に結合する。
ある特定の実施形態は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイの1つまたは複数の集団(複数可)に関し、ここでは、オリゴヌクレオチドデコイの集団は、標準的なELISAアッセイにおいて、約0.8以下または約1.0以上のKLF15/KLF9の転写因子結合比を提供する。
いくつかの実施形態は、オリゴヌクレオチドデコイの集団(複数可)に関し、ここでは、オリゴヌクレオチドデコイの集団は所定の値、例えば標準的なELISAアッセイにおいてOD450が約0.2という光学濃度値以上である、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する。
いくつかの実施形態では、(例えば、集団中の)オリゴヌクレオチドデコイは、式1または式2によって表される配列を含む:
Figure 2017529834
(式中、SはGまたはCであり;WはAまたはTであり;YはTまたはCであり;DはA、GまたはTであり;BはC、GまたはTであり;KはTまたはGであり;MはCまたはAであり;HはC、TまたはAであり;VはC、GまたはAであり;RはAまたはGであり;Nは任意のヌクレオチドであり、ここでは、小文字は存在してもよいし、存在しなくてもよく、下付きの数字は、配列中のヌクレオチドの位置を表す)。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは、配列番号3〜35からなる群から選択される配列またはそれらの変異体を含む。具体的な実施形態では、デコイは、配列番号28(16.6.5)、配列番号25(16.6.2)、配列番号19(17.5)、配列番号34(T16.6−T17.5Fu1)または配列番号35(T16.6−T17.5Fu2)の配列と少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。
ある特定の実施形態は、式1または式2によって表される配列を含むオリゴヌクレオチドデコイを含む:
Figure 2017529834
(式中、SはGまたはCであり;WはAまたはTであり;YはTまたはCであり;DはA、GまたはTであり;BはC、GまたはTであり;KはTまたはGであり;MはCまたはAであり;HはC、TまたはAであり;VはC、GまたはAであり;RはAまたはGであり;Nは任意のヌクレオチドであり、ここでは、小文字は存在してもよいし、存在しなくてもよく、下付きの数字は、配列中のヌクレオチドの位置を表す)。
いくつかの実施形態では、デコイは、配列番号3〜35からなる群から選択される配列またはそれらの変異体を含む、その配列からなる、またはその配列から本質的になる。特定の実施形態では、デコイは、配列番号28(16.6.5)、配列番号25(16.6.2)、配列番号19(17.5)、配列番号34(T16.6−T17.5Fu1)または配列番号35(T16.6−T17.5Fu2)の配列と少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたはデコイの集団及び医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物も含まれる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは塩、水和物、溶媒和化合物またはN−オキシド誘導体として提供される。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたはデコイの集団、随意にオリゴヌクレオチドデコイ(複数可)を使用するための説明書を含有する1つまたは複数のキットを含む。
侵害受容性シグナリングに関与する、細胞中に存在する遺伝子の転写を調節する方法であって、有効量の、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたは医薬組成物を細胞に投与することを含む方法も含まれる。
細胞において侵害受容性シグナリングを調節する方法であって、有効量の、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたは医薬組成物を細胞に投与することを含む方法も含まれる。
ある特定の実施形態は、対象の疼痛を予防及び/または治療する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたは医薬組成物を対象に投与することを含む方法を含む。いくつかの実施形態では、疼痛は慢性疼痛である。特定の実施形態では、疼痛は神経障害性疼痛である。いくつかの実施形態では、疼痛は炎症に付随する。ある特定の実施形態では、疼痛は中枢神経系または内臓の障害に付随する。具体的な実施形態では、疼痛は炎症に付随する神経障害性疼痛である。
細胞において侵害受容性シグナリングを調節する方法も含まれ、本方法は、治療有効量の治療剤を細胞に投与することを含み、治療剤は、転写因子の、その転写因子結合部位への結合を阻害し、転写因子は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、治療剤は、標準的なELISAアッセイにおいて(例えば、OD450の値または同等の標準的ELISA測定単位に基づいて)約0.8以下または約1.0以上のKLF15/KLF9の結合比を提供する。特定の実施形態では、治療剤は、標準的なELISAアッセイにおいてOD450が約0.2という光学濃度値以上である、または同等の標準的ELISA測定単位を使用して、匹敵する結合レベルである、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する。
治療有効量の治療剤を対象に投与することを含む対象の疼痛を治療する方法も含まれ、治療剤は、転写因子の、その転写結合部位への結合を阻害し、転写因子は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、治療剤は、標準的なELISAアッセイにおいて約0.8以下または約1.0以上のKLF15/KLF9の結合比を提供する。ある特定の実施形態では、治療剤は、標準的なELISAアッセイにおいてOD450が約0.2という光学濃度値以上である、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する。特定の実施形態では、疼痛は神経障害性疼痛、炎症に付随する疼痛及び/または炎症に付随する神経障害性疼痛である。
対照KLFデコイ(灰色で強調)と比べた、ある特定のオリゴヌクレオチドデコイのKLF結合特性を示す図である。KLF6、KLF9及びKLF15の結合値は、実施例1に記載されているインビトロELISA結合アッセイの平均及び標準誤差OD450の値として示す。対応するNも列挙する。神経障害性及び/または神経炎症性疼痛の治療の有効性は、対応する動物研究の試験期間(全体で約4〜8週、試験によっては治療後約2〜4週)中の対照に対する疼痛低減のパーセンテージ(%)として示す。N/A=該当なし。 図2A〜Bは、慢性神経障害性疼痛の神経部分損傷(SNI)モデルにおける、ある特定のオリゴヌクレオチドデコイの有効性を示す図である。反復性のvon Freyフィラメントを使用して、機械的過敏性として疼痛を測定した。オリゴヌクレオチドデコイ(200ナノモル)またはビヒクルを手術後14日目(POD14)に1度髄腔内に注射した。von Frey刺激に対する全応答の平均+標準誤差値を、ビヒクルまたはデコイの注射より前にPOD14で測定したベースライン疼痛値に対して正規化した。POD14の前の注射前のデータを群全体にわたって組み合わせた。所与の時点でのビヒクルに対するT検定:p≦0.05、治療後(POD17〜POD31)のデコイ対ビヒクルのデータ分布:TFD16、16.6.2、16.6.5、TFD17、17.5についてp≦0.001、17.1についてp=0.005、16.9についてp=0.39及び17.9についてp=0.46;試験群あたりn=4ラット。X軸は、手術後の日数(POD)を示す。 詳細は上記の通り。 図3A〜Bは、慢性神経炎症性疼痛の慢性絞扼損傷(CCI)モデルにおける、ある特定のオリゴヌクレオチドデコイの有効性を示す図である。反復性のvon Freyフィラメントを使用して、機械的過敏性として疼痛を測定した。オリゴヌクレオチドデコイ(200ナノモル)またはビヒクルを手術後14日目(POD14)に1度髄腔内に注射した。von Frey刺激に対する全応答の平均+標準誤差値を、ビヒクルまたはデコイの注射より前にPOD14で測定したベースライン疼痛値に対して正規化した。POD14の前の注射前のデータを群全体にわたって組み合わせた。所与の時点でのビヒクルに対するT検定:p≦0.1、**p≦0.05、処置後(POD17〜POD31)のデコイ対ビヒクルのデータ分布:TFD16についてp=0.23、16.6.2についてp=0.01、16.6.5についてp=0.03、16.9について0.02、TFD17についてp=0.0004、17.1についてp=0.005、17.5についてp=0.004及び17.9についてp=0.12;試験群あたりn=4ラット(17.9を除く:POD14において不十分なベースライン疼痛値が原因で1匹のラットを除外することによりn=3)。X軸は、手術後の日数(POD)を示す。 詳細は上記の通り。 図4A〜Cは、KLF15/KLF9結合の比(4A)、慢性神経障害性疼痛の治療に対する有効性とKLF6、KLF9及びKLF15に対する結合パラメーターの間の線形相関の係数(4B)ならびにKLF15/KLF9結合比(約0.9の比を除く)に関する、試験したデコイの集団に対する有効性レベルの線形回帰(4C)に関して、いくつかのオリゴヌクレオチドデコイの有効性レベルを示す図である。各デコイの有効性レベルは、試験期間(全体で約4〜8週、試験によっては治療後約2〜4週)中の慢性疼痛のSNIモデルにおける対照に対する疼痛軽減のパーセンテージとして測定した。 詳細は上記の通り。 詳細は上記の通り。 図5A〜Cは、KLF6、KLF9及びKLF15への複合結合(5A)、慢性神経炎症性疼痛の処置に対する有効性とKLF6、KLF9及びKLF15に対する結合パラメーターの間の線形相関の係数(5B)ならびに1/(KLF6+KLF9)結合比によって示される、KLF6及びKLF9に対する全結合能に関する、試験したデコイの集団に対する有効性レベルの線形回帰(5C)に関して、ある特定のオリゴヌクレオチドデコイの有効性レベルを示す図である。各デコイの有効性レベルは、試験期間(全体で約4〜8週、試験によっては治療後約2〜4週)中の慢性疼痛のCCIモデルにおける対照に対する疼痛低減のパーセンテージとして測定した。 詳細は上記の通り。 詳細は上記の通り。 神経障害性(Y軸)から炎症性成分を含む疼痛(X軸)まで、疼痛の相補的な病因全体にわたって、文献由来の対照KLFデコイ(TFDC1、TFDC2及びTFD3(これらは、2つのKLFコンセンサスCACCCボックス結合部位を含む)、黒色の菱形)に対するある特定のオリゴヌクレオチドデコイの有効性(白色の菱形)の差次的パターンを示す図である。 表2の本発明のオリゴヌクレオチドデコイについて、神経炎症性疼痛の治療に対する有効性を示す(低いほど有効性が高い)1/(KLF6+KLF9)結合比(ひし形)、及び神経障害性疼痛の治療に対する有効性を示す(高いほど有効性が高い)KLF15/KLF9結合比(正方形)のプロットを示す図である(X軸、KLFデコイ:1=16.5、2=16.6.7、3=17.7、4=17.1、5=16.2、6=16.6.2、7=17.3、8=16.6、9=17.9、10=17.5、11=16.8、12=16.9、13=17.8、14=17.4、15=17.1、16=16.4、17=16.1、18=17.2、19=16.0、20=17.5.3、21=16.6.3、22=17.5.1、23=16.3、24=16.6.5、25=16.10、26=17.6、27=T16.6−T17.5Fu2、28=17.0、29=16.6.4、30=16.6.6、31=17.5.2、32=16.7、非該当値のためT16.6−T17.5Fu1は未収載)。 図8A〜Bは、慢性神経障害性疼痛のSNIモデル(A)における及び慢性神経炎症性疼痛のCCIモデル(B)における、16.6.5オリゴヌクレオチドデコイの漸増用量レベルの効果を示す図である。反復性のvon Freyフィラメントを使用して、機械的過敏性として疼痛を測定した。16.6.5またはビヒクルを手術後14日目(POD14)に1度髄腔内に注射した。von Frey刺激に対する全応答の平均+標準誤差値を、ビヒクルまたはデコイの注射より前にPOD14で測定したベースライン疼痛値に対して正規化した。POD14の前の注射前のデータを群全体にわたって組み合わせた。所与の時点でのビヒクルに対するT検定:p≦0.05、治療後(POD17〜POD31)の16.6.5対ビヒクルのデータ分布:SNIモデルにおいて、100、200及び300ナノモル用量レベルについてp≦0.001、200モルについてp=0.02及びCCIモデルにおいて、300ナノモル用量レベルについてp≦0.001;試験群あたりn=4ラット。X軸は、手術後の日数(POD)を示す。 詳細は上記の通り。
詳細な説明
別段規定されない限りは、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または均等ないかなる方法及び材料も本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料を記載する。本発明の目的のために、次の用語が以下で定義される。
定義
冠詞「a」及び「an」は、その冠詞の目的語の1つまたは1つより多いもの(すなわち、少なくとも1つ)を指すために、本明細書で使用される。例として、「an element(1要素)」は、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
「約」は、参照の分量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%程変動する、数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さを意味する。
「結合」は、オリゴヌクレオチドデコイなどの治療剤に結合する転写因子に関連して使用される場合、転写因子とオリゴヌクレオチドデコイの間の直接的な相互作用(例えば、水素結合、ファンデルワールス結合などを含めた、転写因子とオリゴヌクレオチドデコイの間の非共有結合)を指す。したがって、転写因子に結合しないオリゴヌクレオチドなどの治療剤は前記転写因子と直接的に相互作用せず、逆もまた同じである。
本明細書全体を通して、文脈上別段必要でない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という語は、記載されるステップ若しくは要素またはステップ若しくは要素の群の包含を意味するが、任意の他のステップ若しくは要素またはステップ若しくは要素の群の除外を意味しないと理解される。
「〜からなる(consisting of)」は、「〜からなる(consisting of)」という表現に続くものは何でも含み、それらに限定されることを意味する。したがって、「〜からなる(consisting of)」という用言は、列挙される要素が必要とされるか、または必須であり、他の要素は存在し得ないこと示す。「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、この表現の後に列挙される任意の要素を含み、列挙される要素について本開示に明記される活性または作用を妨げないかまたはそれらに寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「〜から本質的になる(consisting essentially of)」という表現は、列挙される要素が必要とされるか、または必須であるが、他の要素は随意であり、それらが、列挙される要素の活性または作用に実質的に影響を及ぼすかどうかに応じて、存在しても、存在しなくてもよいことを示す。
「慢性」は、数カ月(例えば、少なくとも2か月)または数年を含む一定期間を指す。
「相同性」は、同一のまたは保存的置換を構成するヌクレオチドのパーセンテージ数を指す。相同性は、配列比較プログラム、例えば、EMBOSSペアワイズアライメントアルゴリズム(欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)から入手可能)、ClustalWプログラム(これも欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)から入手可能)またはBLASTプログラム(BLAST Manual,Altschul et al.,Natl Cent.Biotechnol.Inf.,Natl Lib.Med.(NCIB NLM NIH)、Bethesda,Md.、及びAltschulら(1997)NAR 25:3389 3402)またはGAP(Deveraux et al.,1984,Nucleic Acids Research 12,387−395)を使用して、決定することができる。この方法で、アライメントにギャップを挿入することによって、本明細書で引用されるものに対して類似したまたは実質的に異なる長さの配列を比較することができ、そのようなギャップは、例えば、GAPによって使用される比較アルゴリズムによって決定される。
「単離された」は、その天然状態において通常は付随している成分を実質的にまたは本質的に含まない物質を意味する。例えば、本明細書で使用する場合、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたオリゴヌクレオチド」は、天然に存在する状態においてそれに隣接する配列から精製されたまたは取り出されたポリヌクレオチド、例えば、ゲノム中でその断片に隣接する配列から取り出されたDNA断片を指すことができる。細胞に関する場合、「単離すること」という用語は、供給源の対象(例えば、ポリヌクレオチドリピート疾患の対象)からの細胞(例えば、線維芽細胞、リンパ芽球細胞)の精製を指す。mRNAまたはタンパク質に関連して、「単離すること」は、供給源、例えば細胞からのmRNAまたはタンパク質の回収を指す。
「調節する」という用語は、1つまたは複数の定量化可能なパラメーターを、随意に定められた及び/または統計学的に有意な量に、「増大させること」または「低下させること」を含む。「増大させる」若しくは「増大させること」、「増強する」若しくは「増強すること」または「刺激する」または「刺激すること」は、オリゴヌクレオチドデコイなどの1種または複数の薬剤が、細胞または対象において、薬剤なしまたは対照化合物のいずれかと比べて、より大きな生理応答または細胞応答、例えば、転写因子の活性(例えば、遺伝子発現)をもたらすまたは引き起こす能力を一般に指す。(インビボまたはインビトロでの)関連する生理応答または細胞応答は当業者に明らかである。「増大された」または「増強された」量または応答は、薬剤なしまたは対照組成物によってもたらされる量または応答と比べて「統計学的に有意」であり得、薬剤なしまたは対照化合物のいずれかによってもたらされる量または応答の1.1、1.2、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50倍またはそれ以上(例えば、500、1000倍)(その間且つ1より上のすべての整数及び範囲、例えば、1.5、1.6、1.7.1.8を含める)の増大を含み得る。「低減する」または「阻害する」という用語は、オリゴヌクレオチドデコイなどの1種または複数の薬剤が、細胞または対象において、薬剤なしまたは対照化合物のいずれかによって引き起こされる応答と比べて、関連する生理応答または細胞応答、例えば、転写因子の活性(例えば、遺伝子発現)、生理的なプロセス(例えば、侵害受容性シグナリング)または本明細書に記載の疾患または状態の症状(例えば、疼痛)を「低下させる」能力を一般に指すことができる。(インビボまたはインビトロでの)関連する生理応答または細胞応答は、当業者に明らかであり、慣例的な技法に従って測定することができる。応答の「低下」は、薬剤なしまたは対照組成物によってもたらされる応答と比較して「統計学的に有意」であり得、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の低下(その間のすべての整数及び範囲を含める)を含むことができる。
「遺伝子発現レベルの調節」は、誘導若しくは活性化(例えば、遺伝子発現の増大)、阻害若しくは抑制(例えば、遺伝子発現の低下)または安定化(例えば、通常、疼痛誘導性刺激などの刺激に反応して生じる、遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションの防止)を含めた、遺伝子発現レベルでの任意の変化を含む。
「侵害受容性シグナリング」は、疼痛の感受につながる、侵害刺激または潜在的に有害な刺激の検出に関与する分子機構及び細胞機構を指す。特定例としては、神経伝達物質の合成及び放出、神経伝達物質誘導性シグナリング、膜脱分極及び関連する細胞内及び細胞間のシグナリングイベントが挙げられる。
「疼痛」は、実際のまたは潜在的な組織損傷に付随する、またはそのような点で説明される、不快な感知的及び情緒的経験を指す。機械的疼痛(例えば、機械的刺激によってまたは体動によって誘導される)、温度誘導性疼痛(例えば、熱い、暖かい及び/または冷たい温度によって誘導される疼痛)、ならびに化学的に誘導される疼痛(例えば、化学物質によって誘導される疼痛)を含む、疼痛の様々な発現及び質のすべて。ある特定の実施形態では、疼痛は、慢性、亜慢性、急性または亜急性である。ある特定の実施形態では、疼痛は、痛覚過敏(例えば、有痛性刺激に対する感受性の増大)及び/または異痛(例えば、通常は非有痛性刺激に対する有痛性の応答)を特徴とする。ある特定の実施形態では、疼痛は以前から患者に存在している。他の実施形態では、疼痛は医原性であり、患者において誘導される(例えば、手術後の疼痛)。
「予防すること」または「予防」は、(1)疾患若しくは障害にかかる危険性の低減(例えば、疾患に曝露される若しくは疾患にかかりやすい可能性があるが、疾患の症状をまだ経験若しくは示していない患者において、疾患の臨床症状の少なくとも1つを発生しないようにすること)、及び/または(2)疾患若しくは障害に付随する症状の考えられる重症度の低減(例えば、疾患に曝露される若しくは疾患にかかりやすい可能性があるが、疾患の症状をまだ経験若しくは示していない患者において、疾患の臨床症状の少なくとも1つの考えられる重症度を低減すること)を含む。
本明細書で使用する場合、「配列同一性」または例えば、「〜に対して50%同一の配列」を含むという用語は、比較ウインドウにわたってヌクレオチド単位基準で配列が同一である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウインドウにわたって最適に整列した2つの配列を比較すること、両方の配列に同一の核酸塩基(例えば、A、T、CまたはG)が存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得ること、一致した位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で割ること、及びその結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって、計算することができる。いくつかの実施形態では、比較ウインドウを整列させるための最適な配列アライメントは、EMBOSSペアワイズアライメントアルゴリズム(欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)から入手可能)、ClustalWプログラム(これも欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)から入手可能)またはBLASTプログラム(BLAST Manual,Altschul et al.,Natl Cent.Biotechnol.Inf.,Natl Lib.Med.(NCIB NLM NIH),Bethesda,Md.、及びAltschul et al.,(1997)NAR 25:3389 3402)を使用することによって行うことができる。ある特定の実施形態では、比較ウインドウを整列させるための配列アライメントは、(例えば、配列表からの)参照配列の全長に対して行われる。いくつかの実施形態では、比較ウインドウを整列させるための配列アライメントは、参照配列の一部、例えば、参照配列の約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90若しくは100個、少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90若しくは100個、または約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90若しくは100個を超えない連続的なヌクレオチドに対して行われる。
「対象」または「それらを必要とする対象」または「患者」は、霊長類またはヒト対象などの哺乳類対象を含む。
「亜急性」は、数時間(例えば、1〜24時間(その間のすべての整数及び範囲を含める))を含む一定期間を指す。
「亜慢性」は、数日または数か月(例えば、2か月または3か月未満)を含む一定期間を指す。
いくつかの実施形態では、任意の疾患または障害を「治療すること」または任意の疾患または障害の「治療」は、疾患または障害を改善すること(例えば、疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発生を停止または低減すること)を指す。いくつかの実施形態では、「治療すること」または「治療」は、患者が認識し得ない可能性がある少なくとも1つの身体的及び/または生物学的パラメーターを改善することを指す。ある特定の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、物理的に(例えば、認識し得る症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメーターの安定化)のいずれかまたは両方で、疾患または障害を阻害することを指す。いくつかの実施形態では、「治療すること」または「治療」は、疾患または障害の発症を遅らせることを指す。「治療」または「予防処置」は、疾患または状態またはそれらの付随する症状の完全な根絶、治癒または予防を必ずしも示すとは限らない。
「治療有効量」は、患者に投与される場合に、特定の疾患または状態のそのような治療を成し遂げるのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患、疾患の重症度及び治療される患者の年齢、体重などによって変動する。
オリゴヌクレオチドデコイ及び他の治療剤
本発明の実施形態は、一般に、少なくとも1種の転写因子のその(内在性の)転写結合部位の少なくとも1つへの結合を阻害する治療剤に関する。特定例は、少なくとも1種の転写因子に結合し、それによって、転写因子(複数可)が遺伝子発現を調節する能力を変化させる1つまたは複数の転写結合部位を含むオリゴヌクレオチドデコイを含む。ある特定の実施形態では、転写因子は転写因子のKruppel様ファミリー(KLF)の1または複数のメンバーであり、その例としては、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17が挙げられる。
したがって、ある特定の実施形態は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5など)の転写因子結合部位を含むオリゴヌクレオチドデコイを含み、1つまたは複数の転写因子結合部位は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される転写因子に結合する。
少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5など)の転写因子結合部位の組み合わせを含むオリゴヌクレオチドデコイであって、各転写因子結合部位が、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される転写因子に結合するオリゴヌクレオチドデコイも含まれる。転写因子結合部位の組み合わせの特定例は、KLF6/KLF9、KLF9/KLF15またはKLF6/KLF9/KLF15に結合するものを含む。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、一般におよそ200ヌクレオチド(または100塩基対)未満である、任意の、二本鎖または実質的に二本鎖の核酸含有ポリマーを含み、限定されないが、DNA、RNA及びRNA−DNAハイブリッドを含む。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190若しくは200ヌクレオチドの長さ(その間のすべての整数及び範囲を含める)、少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190若しくは200ヌクレオチドの長さ(その間のすべての整数及び範囲を含める)、または約、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200ヌクレオチドを超えない長さ(その間のすべての整数及び範囲を含める)であり、随意に、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200塩基対のヌクレオチド(その間のすべての整数及び範囲を含める)、少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200塩基対のヌクレオチド(その間のすべての整数及び範囲を含める)、または約、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190または200塩基対を超えないヌクレオチド(その間のすべての整数及び範囲を含める)含む。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは約15〜約35塩基対の長さである。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは、第1の転写因子結合部位及び第2の転写結合部位を含み、随意に、第1の転写結合部位及び第2の転写結合部位はオーバーラップする。具体的な実施形態では、第1の転写因子結合部位はKLF9に結合し、第2の転写因子結合部位はKLF15に結合する。特定の実施形態では、第1の転写因子結合部位はKLF9に結合し、第2の転写因子結合部位はKLF6に結合する。
第1の転写因子結合部位、第2の転写因子結合部位及び第3の転写因子結合部位を有し、随意に、第1、第2及び第3の転写結合部位がオーバーラップする、オリゴヌクレオチドデコイも含まれる。具体的な実施形態では、第1の転写因子結合部位はKLF6に結合し、第2の転写因子結合部位はKLF9に結合し、第3の転写因子結合部位はKLF15に結合する。
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイ(例えば、デコイのセンス鎖)は、以下の表1に示される式1若しくは式2によって表される配列(例えば、二本鎖配列)またはそれらの変異体またはそれらの相補体(例えば、アンチセンス配列)を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。
(表1)
Figure 2017529834
式中、SはGまたはCであり;WはAまたはTであり;YはTまたはCであり;DはA、GまたはTであり;BはC、GまたはTであり;KはTまたはGであり;MはCまたはAであり;HはC、TまたはAであり;VはC、GまたはAであり;RはAまたはGであり;Nは任意のヌクレオチドであり、ここでは、小文字は存在してもよいし、存在しなくてもよく、下付きの数字は、配列中のヌクレオチドの位置を表す。
具体的な実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイ(例えば、デコイのセンス鎖)は、以下の表2の配列またはそれらの変異体またはそれらの相補体(例えば、アンチセンス配列)を含む、それらからなるまたはそれらから本質的になる。
(表2)
Figure 2017529834
本明細書に記載の式及び配列では、「A」はアデニンヌクレオチドであり、「C」はシトシンヌクレオチドであり、「G」はグアニンヌクレオチドであり、「T」はチミンヌクレオチドであり、「N」は任意のヌクレオチド、好ましくはA、C、GまたはTであり得る。式及び配列は一本鎖を示すが、相補的なアンチセンス鎖がオリゴヌクレオチドデコイ構造の一部として含まれることを理解されたい。ある特定の実施形態では、任意の1つまたは複数の「T」は「U」またはウラシルヌクレオチドでもよい。
したがって、ある特定のオリゴヌクレオチドデコイは、表1若しくは表2の配列(例えば、配列番号1〜35)またはそれらの変異体または連続的な若しくは非連続的な部分(複数可)を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。例えば、ある特定のオリゴヌクレオチドデコイは、表1または表2の標的配列(例えば、配列番号1〜35)のうちのいずれかの約または少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35個の連続的なまたは非連続的なヌクレオチドを含み、これは、本明細書に記載の1種または複数のKLF転写因子(例えば、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16、KLF17)に結合する。非連続的な部分については、介在するヌクレオチドを取り除くか、異なるヌクレオチドで置換することができ、または介在するヌクレオチドを加えることができる。さらなる変異体の例としては、表1または表2の配列(例えば、配列番号1〜35)の全長または連続的な部分に対して少なくともまたは少なくとも約70%の配列同一性または相同性(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性または相同性)を有し、本明細書に記載の1種または複数のKLF転写因子(例えば、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16、KLF17)に結合する、オリゴヌクレオチドデコイが挙げられる。いくつかの実施形態では、連続的な部分は、表1または表2の配列(例えば、配列番号1〜35)の、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90若しくは100個、少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90若しくは100個、または約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90若しくは100個を超えない連続的なヌクレオチドである。
ある特定のパーセント(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%)の配列同一性を別の配列と有するオリゴヌクレオチドデコイは、整列時に、そのパーセンテージが、2つの配列の比較において、塩基配置の一致レベルを決定することを意味する。このアライメント及び相同性パーセントまたは同一性パーセントは、局所的なアライメントを可能にする、当技術分野で既知の任意の適切なソフトウェアプログラムを使用して、決定することができる。いくつかの実施形態では、そのようなプログラムとしては、限定されないが、EMBOSSペアワイズアライメントアルゴリズム(欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)から入手可能)、ClustalWプログラム(これも欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)から入手可能)またはBLASTプログラム(BLAST Manual,Altschul et al.,Natl Cent.Biotechnol.Inf.,Natl Lib.Med.(NCIB NLM NIH),Bethesda,Md.、及びAltschul et al.,(1997)NAR 25:3389 3402)が挙げられる。
上記のように、本発明が包含する配列は、例示された配列(例えば、表1及び2;配列番号1〜35)とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするものを含めた、本明細書に記載の配列に完全にまたは部分的に相補的なものを含むことを、当業者なら認識するであろう。温度及び溶液イオン強度の適切な条件下で、一本鎖形態の核酸が他の一本鎖の核酸にアニールすることができる場合、核酸は別の核酸にハイブリダイズ可能である。ハイブリダイゼーション条件は当技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、アニーリングは、塩含有溶媒(例えば、Tris−EDTA緩衝液)中で変性温度(例えば、100℃)から室温へ温度がゆっくりと低下する間に起こり得る。
オリゴヌクレオチドデコイの集団も含まれ、これには、所定の量と比べて定められる、KLF転写因子の組み合わせ(例えば、KLF15/KLF9)に対する転写因子結合比及び/または1種若しくは複数(例えば、1、2、3、4、5など)のKLF転写因子(例えば、KLF6+KLF9)に対する全転写結合能を提供するものが含まれる。いくつかの実施形態では、転写因子結合比または全転写結合能は、所定のレベル若しくは量にほぼ等しい、所定のレベル若しくは量より低い、または所定のレベル若しくは量より高い。相対的な結合比または全結合能を定めるための「所定のレベル」は、様々な技法、例えば標準的なELISAアッセイ(実施例を参照されたい)を使用して設定することができる。
例えば、具体的な実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイの集団は、標準的なELISAアッセイのOD450の値(または同等の標準的ELISA測定単位、例えば蛍光)に基づいて、約0.8以下または約1.0以上である、KLF15/KLF9の転写因子結合比を提供する(実施例を参照されたい)。具体的な実施形態では、KLF15/KLF9の転写因子結合比は、標準的なELISAアッセイのOD450の値に基づいて、約0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01以下またはそれ以下(その間のすべての範囲及び整数を含める)である。いくつかの実施形態では、KLF15/KLF9の転写因子結合比は、標準的なELISAアッセイのOD450の値(または同等の標準的ELISA測定単位)に基づいて、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0若しくは10.0以上またはそれ以上(その間のすべての範囲及び整数を含める)である。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイの集団は、所定の量以上である、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する。ある場合には、所定の量は、標準的なELISAアッセイで測定される場合、OD450が約0.2またはそれ以上の光学濃度値(または同等の標準的ELISA測定単位、例えば蛍光)である(実施例を参照されたい)。いくつかの実施形態では、所定の量またはKLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能は、標準的なELISAアッセイのOD450の値(または同等の標準的ELISA測定単位)に基づいて、約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0以上またはそれ以上(その間のすべての範囲及び整数を含める)。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイの集団は、所定の量以下である、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する。いくつかの実施形態では、所定の量またはKLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能は、標準的なELISAアッセイの光学濃度値(または同等の標準的ELISA測定単位、例えば蛍光)に基づいて、1/(KLF6+KLF9)として示される(実施例を参照されたい)。例えば、特定の実施形態では、(1/(KLF6+KLF9)によって示される場合の)KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能は、標準的なELISAアッセイのOD450の値(または同等の標準的ELISA測定単位)に基づいて、約5以下である。いくつかの実施形態では、(1/(KLF6+KLF9)によって示される場合の)KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能は、標準的なELISAアッセイのOD450の値(または同等の標準的ELISA測定単位)に基づいて、約5、4、3、2、1、0.5、0.1以下またはそれ以下(その間のすべての範囲及び整数を含める)である。
オリゴヌクレオチドデコイの集団は、1種のオリゴヌクレオチドデコイまたは2種以上(例えば、2、3、4、5種など)のオリゴヌクレオチドデコイの組み合わせからなり得る。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイの集団は、単一のKLF転写因子結合部位を有する1種のオリゴヌクレオチドデコイからなる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイの集団は、同じまたは異なる(例えば、2つのまたは少なくとも2つの異なる)KLF転写因子に結合する、少なくとも2つの(例えば、2、3、4、5など)の転写因子結合部位の組み合わせを有する、1種のオリゴヌクレオチドデコイからなる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイの集団は、同じまたは異なる(例えば、3つのまたは少なくとも3つの異なる)KLF転写因子に結合する、少なくとも3つの(例えば、3、4、5など)転写因子結合部位の組み合わせを有する、1種のオリゴヌクレオチドデコイを含む。他の組み合わせも当業者に明らかである。
一般に、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドデコイを使用して、侵害受容性シグナリング及び/または対象の(例えば、患者の)疼痛の感受に関係している遺伝子の発現を調節する転写因子に結合させ、例えば、それによって、その転写因子を阻害することができる。特定の転写因子に結合するように設計されているオリゴヌクレオチドデコイは、通常は転写因子が結合する内在性ゲノムDNA配列を模倣する核酸配列を有する。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドデコイは、遺伝子の発現及び調節に必要なステップを阻害する。さらに、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドデコイは、1種またはいくつかの異なる転写因子に結合することができる。
オリゴヌクレオチドという用語は、DNA及びRNAの既知の塩基類似体のうちのいずれかを含む配列を包含し、その塩基類似体としては、限定されないが、2,6−ジアミノプリン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、ウラシル−5−オキシ酢酸、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、キュエオシン、2−チオシトシン、5−ブロモウラシル、メチルホスホネート、ホスホロジチオエート、オルムアセタール(ormacetal)、3’−チオホルムアセタール、ニトロキシド骨格、スルホン、スルファメート、モルホリノ誘導体、ロックド核酸(LNA)誘導体及び/またはペプチド核酸(PNA)誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一緒にアニールされる2つの相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、分子内塩基対を形成して実質上二本鎖構造を作る、1つの一本鎖オリゴヌクレオチドからなる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドデコイは、例えば、細胞内及び/または細胞外液(例えば、血清、脳脊髄液)中のヌクレアーゼによる分解を防止するために、当業者に周知の方法(例えばヌクレオチド間のホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミデート、カーボネート、チオエーテル、シロキサン、アセトアミダートまたはカルボキシメチルエステル結合の組み込み)によって化学的に修飾される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイはヘアピン及びダンベル構造を形成するように設計されており、これも、ヌクレアーゼ分解を防止または妨害することができる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは、デコイ配列へのより長期で増強された細胞内曝露をもたらすために、及び/またはその分解を低減するために、標的細胞においてエピソーム維持または構成的複製ができる大きなプラスミドの一部として挿入される。したがって、オリゴヌクレオチドの安定性を増強するための、当技術分野で既知の任意の化学修飾または構造的変更は、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドデコイを、例えば、オリゴヌクレオチドデコイの治療効果を向上させるポリエチレングリコールポリマー、ペプチド(例えば、タンパク質移行ドメイン)またはタンパク質に結合させることができる。そのような修飾オリゴヌクレオチドデコイは、細胞膜を優先的に通過することができる。
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイは、一般に、遊離酸または遊離塩基として利用することができる。あるいは、オリゴヌクレオチドデコイは、酸または塩基付加塩の形態で使用することができる。本発明の遊離アミノ化合物の酸付加塩は、当技術分野で周知の方法によって調製することができ、有機酸及び無機酸から形成することができる。適切な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、ケイ皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。
適切な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸及び硝酸が挙げられる。塩基付加塩としては、カルボン酸アニオンと形成する塩が挙げられており、有機及び無機のカチオン、例えば、アルカリ及びアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、バリウム及びカルシウム)ならびにアンモニウムイオン及びその置換誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウムなど)から選択されるものと形成される塩が挙げられる。したがって、「医薬的に許容可能な塩」という用語は、ありとあらゆる許容可能な塩形態を包含することが意図される。
プロドラッグも含まれる。プロドラッグは、患者に投与される場合にインビボで化合物を放出する、任意の共有結合した担体である。プロドラッグは、一般に、慣例的操作によってまたはインビボのいずれかで修飾が開裂されて、親化合物をもたらすような方法で、官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは、例えば、本発明の化合物を含み、ここでは、患者に投与される場合に、開裂してヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成する任意の基に、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が結合している。したがって、プロドラッグの代表的な例としては、(限定されないが)、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイのアルコール及びアミン官能基のアセテート、ホルメート及びベンゾエート誘導体が挙げられる。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合には、メチルエステル、エチルエステルなどのエステルを用いることができる。
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは塩、水和物、溶媒和化合物またはN−オキシド誘導体として提供される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは溶液(例えば、生理的pHを有する生理食塩水溶液)で、または凍結乾燥形態で提供される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイはリポソームで提供される。
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイは、当技術分野で既知の従来の方法によって作製することができるので、十分に当業者の知識内である。オリゴヌクレオチドデコイ及びその変異体の活性は、当技術分野の慣例的な技法に従ってアッセイすることができる(実施例を参照されたい)。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは合成オリゴヌクレオチド(すなわち、化学的に合成された、天然に存在しないオリゴヌクレオチド)である。
例えば、KLF転写因子に特異的に結合することによって、または(例えば、KLF転写因子結合部位を模倣することによって)その内在性の転写因子結合部位に特異的に結合することによって、転写因子の、その内在性の転写結合部位への結合を阻害するものを含めた、非オリゴヌクレオチドベースの治療剤も含まれる。治療剤の例としては、KLF転写因子、例えば、KLF因子転写因子結合部位ドメインに対して結合特異性を示す、または内在性KLF転写因子結合部位に対して結合特異性を示す結合剤、例えば、抗体、小分子、ペプチド、アドネクチン、アンチカリン、Darpin、アナフォン(anaphones)及びアプタマーが挙げられる。
結合剤は、それが検出可能レベル(例えば、ELISAアッセイ内)でポリペプチドまたは核酸と反応し、同様の条件下で、有意な(例えば、統計学的に有意な)様式で検出可能な程度に無関係の構造体と反応しない場合、KLFポリペプチド(例えば、その転写因子結合ドメイン)、または内在性のKLF転写因子結合部位(例えば、二本鎖DNA配列)「に対して結合特異性を示す」、「に特異的に結合する」と言われる。
「抗体」という用語は、天然であろうと部分的にまたは完全に合成的に生成されたものであろうと、免疫グロブリンに関する。この用語は、抗原結合ドメインである、または抗原結合ドメインに相同な結合ドメインを有する任意のポリペプチドまたはタンパク質もカバーする。CDR移植抗体もこの用語によって企図される。「抗体の抗原結合部分」、「抗原結合性断片」、「抗原結合ドメイン」、「抗体断片」または「抗体の機能的断片」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を含むように、本発明で互換的に使用される(例えば、Holliger et al.,Nature Biotech.23(9):1126−1129(2005)を参照されたい)。
抗体は、当業者に既知の様々な技法のうちのいずれかによって調製することができる。例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照されたい。目的のポリペプチドに対して特異的なモノクローナル抗体は、例えば、Kohler and Milstein,Eur.J.Immunol.6:511−519,1976の技法及びその改良法を使用して調製することができる。ヒト抗体を発現するマウスなどのトランスジェニック動物を利用する方法も含まれる。例えば、Neuberger et al.,Nature Biotechnology 14:826,1996;Lonberg et al.,Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101,1994;及びLonberg et al.,Internal Review of Immunology 13:65−93,1995を参照されたい。特定例としては、REGENEREX(登録商標)によるVELOCIMMUNE(登録商標)プラットフォーム(例えば、米国特許第6,596,541号を参照されたい)が挙げられる。抗体は、ファージディスプレイまたは酵母ディスプレイライブラリーの使用によって、生成または特定することもできる(例えば、米国特許第7,244,592号;Chao et al.,Nature Protocols.1:755−768,2006を参照されたい)。
上記のように、KLF転写因子の、その転写因子結合部位への結合を阻害する「ペプチド」は、結合剤として含まれる。ペプチドという用語は、典型的には、アミノ酸残基のポリマー、ならびにその変異体及び合成的な類似体を指す。ある特定の実施形態では、用語「ペプチド」は比較的短いポリペプチドを指し、これには、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個またはそれ以上(その間のすべての整数及び範囲(例えば、5〜10、8〜12、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜40、40〜50)を含める)のアミノ酸からなり、例えば、KLF転写因子の1つまたは複数の領域、例えば、転写因子結合ドメインに結合する、またはKLF転写因子を、その内在性の転写因子結合部位の少なくとも1つに結合することによって模倣する、ペプチドが含まれる。ペプチドは、天然に存在するアミノ酸及び/または天然に存在しないアミノ酸からなり得る。
上記のように、本発明は、KLF転写因子の、その転写因子結合部位への結合を阻害する小分子を含む。「小分子」は、合成のものまたは生物起源である有機または無機化合物を指すが、典型的にはポリマーではない。有機化合物は、分子が炭素を含む化学化合物の大きなクラスを含み、典型的には、カーボネートのみ、炭素の単純酸化物またはシアン化物を含むものを除く。「ポリマー」は、一般に、典型的には共有結合性の化学結合によって連結される反復構造単位からなる、大分子または巨大分子を指す。ある特定の実施形態では、小分子は、1000〜2000ダルトン未満の分子量を有し、典型的には約300〜700ダルトンの間であり、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、500、650、600、750、700、850、800、950、1000または2000ダルトンが含まれる。
KLF転写因子の、その転写因子結合部位への結合を阻害するアプタマーも、結合剤として含まれる(例えば、Ellington et al.,Nature.346,818−22,1990;及びTuerk et al.,Science.249,505−10,1990を参照されたい)。アプタマーの例としては、核酸アプタマー(例えば、DNAアプタマー、RNAアプタマー)及びペプチドアプタマーが挙げられる。核酸アプタマーは、一般に、インビトロ選択の反復ラウンドまたは同等の方法、例えばSELEX(指数関数的な富化によるリガンドの系統的な進化)によって、例えば、小分子、タンパク質、核酸などの様々な分子標的、さらに細胞、組織及び生物体に結合するように操作された、2次及び3次構造を有する核酸種を指す。例えば、米国特許第6,376,190号;及び第6,387,620号を参照されたい。したがって、KLF転写因子の1つまたは複数の領域、例えば、転写因子結合ドメインに結合する、またはその内在性の転写因子結合部位の少なくとも1つに結合する核酸アプタマーが含まれる。
ペプチドアプタマーは、ペプチドアプタマーの結合親和性を抗体のものに匹敵するレベルまで(例えば、ナノモル範囲で)典型的には増大させる二重の構造的拘束である、タンパク質足場に両端で結合した可変ペプチドループを典型的には含む。ある特定の実施形態では、可変ループの長さは、約10〜20アミノ酸(その間のすべての整数を含める)からなり得、足場は、優れた溶解度及び緻密性を有する任意のタンパク質を含み得る。ある特定の例示的実施形態は、足場タンパク質として細菌タンパク質のチオレドキシン−Aを利用することができ、可変ループが還元活性部位(野生型タンパク質の−Cys−Gly−Pro−Cys−ループ)内に挿入され、2つのシステインの側鎖がジスルフィド架橋を形成することができる。ペプチドアプタマーを特定する方法は、例えば、米国特許出願公開第2003/0108532号に記載されている。したがって、KLF転写因子の1つまたは複数の領域、例えば、転写因子結合ドメインに結合する、またはその内在性の転写因子結合部位の少なくとも1つに結合するペプチドアプタマーが含まれる。ペプチドアプタマーの選択は、酵母ツーハイブリッド系を含めた当技術分野で既知の様々な系を使用して行うことができる。
KLF転写因子に特異的に結合するADNECTINS(商標)、AVIMERS(商標)及びアンチカリンも含まれる。ADNECTINS(商標)は、天然に他のタンパク質に結合する豊富な細胞外タンパク質であるヒトフィブロネクチンに由来する標的化生物製剤のクラスを指す。例えば、米国特許出願公開第2007/0082365号;第2008/0139791号;及び第2008/0220049号を参照されたい。ADNECTINS(商標)は、典型的には、天然のフィブロネクチン骨格及びヒトフィブロネクチンの特定部分の複数の標的ドメインからなる。Adnectin(商標)が目的の治療標的、例えば、KLF転写因子ポリペプチドまたはその断片、例えば、転写因子結合ドメイン若しくはその内在性の転写因子結合部位の少なくとも1つを特異的に認識できるようにするように、標的ドメインを操作することができる。
AVIMERS(商標)は、インビトロエクソンシャッフリング及びファージディスプレイを使用して操作された、多量体の結合タンパク質またはペプチドを指す。複数の結合ドメインが連結しており、その結果、単一エピトープの免疫グロブリンドメインと比較して、より大きな親和性及び特異性が得られる。例えば、Silverman et al.,Nature Biotechnology.23:1556−1561,2005;米国特許第7,166,697号;及び米国特許出願公開第2004/0175756号、第2005/0048512号、第2005/0053973号、第2005/0089932号及び第2005/0221384号を参照されたい。
設計されたアンキリン反復タンパク質(designed ankyrin repeat proteins)(DARPin)も含まれ、これは、創薬及び薬物開発における標的結合について抗体を上回る利点を与え得る非免疫グロブリンタンパク質のクラスを含む。数ある用途の中で、DARPinは、インビボイメージングまたは毒素若しくは他の治療的ペイロードの送達に理想的に適しており、これは、小さなサイズ及び高い安定性を含めた、その好都合な分子特性が理由である。細菌における低コストの生産及び多くの標的特異的DARPinの急速な生成によって、DARPinは創薬にとって有用なアプローチになる。さらに、DARPinを多特異性型式で容易に生成することができ、これによって、エフェクターDARPinを特定の器官に対して標的化する、またはいくつかのDARPinからなる1分子で複数のポリペプチド/核酸を標的にする可能性がもたらされる。例えば、Stumpp et al.,Curr Opin Drug Discov Devel.10:153−159,2007;米国特許出願公開第2009/0082274;及びPCT/EP2001/10454を参照されたい。
ある特定の実施形態は「モノボディ」を含み、これは、典型的には、足場としてヒトフィブロネクチンの第10フィブロネクチンタイプIIIドメイン(FNfn10)を利用して、標的結合のための複数の表面ループを提示する。FNfn10は、免疫グロブリンのフォールドと類似したβ−サンドイッチ構造を有する小さな(94残基)タンパク質である。これは、ジスルフィド結合または金属イオンなしで非常に安定であり、細菌において、正確にフォールドされた形態で、高レベルで発現させることができる。FNfn10足場は、実質的にいかなるディスプレイ技術とも適合する。例えば、Batori et al.,Protein Eng.15:1015−20,2002;及びWojcik et al.,Nat Struct Mol Biol.,2010;及び米国特許第6,673,901号を参照されたい。
アンチカリンは、抗体模倣物のクラスを指し、これは、典型的には、構造的に強固なフレームワークによって支持される高頻度可変ループ領域を有する結合タンパク質のファミリーであるヒトリポカリンから合成される。例えば、米国特許出願公開第2006/0058510号を参照されたい。アンチカリンは、典型的には、約20kDaのサイズである。アンチカリンは、4つのペプチドループ及び結合した1つのα−ヘリックスによって対で連結された8つの逆平行β鎖によって形成されるバレル構造(安定なβ−バレル足場)を特徴とし得る。ある特定の態様では、特異的結合を達成するためのコンフォメーションの偏りを高頻度可変ループ領域(複数可)中に生じさせる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Skerra,FEBS J.275:2677−83,2008を参照されたい。
KLF転写因子の、その内在性の転写因子結合部位(複数可)への結合を阻害する本明細書に記載の治療剤、例えば結合剤は、本明細書に記載の方法及び組成物のうちのいずれかで使用することができる。
使用方法
本発明の実施形態は、1種または複数のKLF転写因子の活性を調節するための、本明細書に記載の治療剤(例えば、オリゴヌクレオチドデコイ、結合剤)(これは、1種または複数のKLF転写因子の、その内在性の転写結合部位への結合を阻害または低減する)及び関連した組成物の使用方法を含む。特定の実施形態では、1種または複数の転写因子は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される。
この方法は、例えば、対象の疼痛を治療するために、侵害受容性シグナリングに関与する、細胞中に存在する遺伝子の転写を調節するために、対象の疼痛の感受に関与する、細胞中に存在する遺伝子の転写を調節するために、及び/または例えば対象において細胞の侵害受容性シグナリングを調節するために使用することができる。そのような方法は、例えば、インビトロで細胞を治療剤(例えば、オリゴヌクレオチドデコイ)または関連した組成物と接触させることによって、または例えば、インビボでそれらを必要とする対象に治療剤(例えば、オリゴヌクレオチドデコイ)または関連した組成物を投与することによって、行うことができる。特定の実施形態では、治療剤は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたはオリゴヌクレオチドデコイの集団である。
したがって、ある特定の実施形態は、対象の疼痛を治療する方法であって、治療有効量の治療剤を対象に投与することを含む方法を含み、ここでは、治療剤は、転写因子の、その転写結合部位への結合を阻害し、転写因子は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される。疼痛を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、治療有効量の1種または複数の本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイを対象に投与することを含む方法も含まれる。いくつかの実施形態では、対象の疼痛を予防する方法、例えば、疼痛を治療または管理する予防的方法が提供される。そのような方法は、必要とする対象(例えば、疼痛、例えば、手術後の疼痛を発生する可能性がある患者)に治療有効量の本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイ投与することを含む。
したがって、ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイ及び/またはこれを含む医薬組成物は、それを必要とする対象、例えば、疼痛に罹患しているまたは罹患と予想される動物など(例えば、鳥、哺乳動物、霊長類、ヒト患者)に投与される。疼痛の特定例としては、限定されないが、機械的疼痛(例えば、機械的痛覚過敏及び/若しくは異痛)、化学的疼痛、温度疼痛、慢性疼痛、亜慢性疼痛、急性疼痛、亜急性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、筋肉痛、骨格疼痛、手術後の疼痛、根性痛、背部痛、関節炎性疼痛、ならびに/または糖尿病性疼痛が挙げられる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイ及び/またはその医薬組成物は、限定されないが、前述の疼痛例のいずれか1つまたは複数を含めた疼痛に対する予防方法として、動物などの患者に投与される。いくつかの実施形態では、疼痛は手術後の疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、筋肉痛及び/または骨格疼痛である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイ及び/またはその医薬組成物は、疼痛の1つの局面の予防に使用することができるが、一方で疼痛の別の症状を同時に治療することができる。
特定の実施形態では、疼痛は慢性疼痛である。いくつかの実施形態では、疼痛は神経障害性疼痛、例えば、慢性の神経障害性疼痛及び/または炎症(例えば、神経炎症)に付随する(慢性の)神経障害性疼痛である。ある特定の実施形態では、疼痛は炎症に付随し、例えば、炎症に付随する慢性疼痛、炎症に付随する慢性の神経障害性疼痛である。いくつかの実施形態では、疼痛は、中枢神経系及び/または内臓の障害に付随する。いくつかの実施形態では、疼痛は外科手術後の疼痛である。
いくつかの実施形態では、疼痛を治療、管理及び/または予防するために投与される治療剤(例えば、オリゴヌクレオチドデコイ、オリゴヌクレオチドデコイの集団、結合剤)または組成物は、標準的なELISAアッセイのOD450の値(または同等の標準的ELISA測定単位)に基づいて、約0.8以下または約1.0以上のKLF15/KLF9の結合比を提供する(上記を参照されたい)。具体的な実施形態では、前述のことは神経障害性疼痛の治療で使用される。
特定の実施形態では、疼痛を治療、管理及び/または予防するために投与される治療剤(例えば、オリゴヌクレオチドデコイ、オリゴヌクレオチドデコイの集団、結合剤)または組成物は、所定の量、例えば、標準的なELISAアッセイにおいてOD450が約0.2という光学濃度値(または同等の標準的ELISA測定単位を使用して、匹敵する結合レベル)以上である、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する(上記を参照されたい)。いくつかの実施形態では、(1/(KLF6+KLF9)によって示される場合の)KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能は、標準的なELISAアッセイのOD450の値(または同等の標準的ELISA測定単位、例えば蛍光)に基づいて、約5、4、3、2、1、0.5、0.1以下またはそれ以下(その間のすべての範囲及び整数を含める)である。具体的な実施形態では、前述のことは、疼痛または炎症に付随する神経障害性疼痛の治療で使用される。
対象において、侵害受容性シグナリング及び/または疼痛の感受に関与する、細胞中に存在する遺伝子の転写を調節する方法であって、治療有効量の治療剤を細胞に投与することを含み、治療剤が、転写因子の、その転写因子結合部位への結合を阻害し、転写因子が、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される方法も含まれる。いくつかの実施形態では、治療剤は、1種または複数の本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイを含む。ある特定の実施形態では、転写の調節は、遺伝子発現を抑制または抑圧することを含む。いくつかの実施形態では、転写の調節は、遺伝子発現を安定化することを含む。特定の実施形態では、転写の調節は、遺伝子発現を活性化または誘導することを含む。ある特定の実施形態では、遺伝子は侵害受容性シグナリングに関与する。侵害受容性シグナリングに関与する遺伝子としては、限定されないが、膜タンパク質(例えば、イオンチャネル、膜受容体など)、可溶性シグナリング分子(例えば、細胞内シグナリング分子または神経伝達物質)、合成酵素(例えば、神経伝達物質合成酵素)及び転写因子をコードする遺伝子が挙げられる。そのようなタンパク質の具体例としては、限定されないが、BDNF(KLF9によって調節される)、TGFB1(KLF6によって調節される)、CDKN1A、JUN、GFAP(KLF15によって調節される);ならびに他のタンパク質、例えばBDKRB2、HTR3A、SCN9A、GRM5、NOS1、GCH1、CDK5R1、CACNA1B、P2XR3及びPNMTが挙げられる。
いくつかの実施形態は、細胞において侵害受容性シグナリングを調節する方法であって、治療有効量の治療剤を細胞に投与することを含む方法を含み、ここでは、治療剤は、転写因子の、その転写因子結合部位への結合を阻害し、転写因子は、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、治療剤は、1種または複数の本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイを含む。ある特定の実施形態では、侵害受容性シグナリングの調節は、侵害受容性シグナリングを抑制または抑圧することを含む。いくつかの実施形態では、侵害受容性シグナリングの調節は、侵害受容性シグナリングの阻害因子の活性化を含む。特定の実施形態では、侵害受容性シグナリングの調節は、細胞において侵害受容性シグナリングに関与するタンパク質のタンパク質分解を増大させることを含む。ある特定の実施形態では、タンパク質分解の調節は、プロテアソームの機能を刺激することを含む。ある特定の実施形態では、タンパク質は侵害受容性シグナリングに関与する。侵害受容性シグナリングに関与するタンパク質としては、限定されないが、膜タンパク質(例えば、イオンチャネル、膜受容体など)、可溶性シグナリング分子(例えば、細胞内シグナリング分子または神経伝達物質)、合成酵素(例えば、神経伝達物質合成酵素)及び転写因子が挙げられる。そのようなタンパク質の具体例としては、限定されないが、BDNF(KLF9によって調節される)、TGFB1(KLF6によって調節される)、CDKN1A、JUN、GFAP(KLF15によって調節される);及び他のタンパク質、例えば、BDKRB2、HTR3A、SCN9A、GRM5、NOS1、GCH1、CDK5R1、CACNA1B、P2XR3及びPNMTが挙げられる。
ある特定の実施形態では、様々な方法の細胞は、インビボ(例えば、疼痛を罹患している、または疼痛を罹患している可能性がある対象中)で提供される。インビボで提供される細胞は、限定されないが、後根神経節及び/または脊髄を含めた様々な部位に位置していてもよい。他の実施形態では、様々な方法の細胞はインビトロ(例えば、ペトリ皿中)で提供される。細胞は、限定されないが、神経細胞(例えば、後根神経節及び/若しくは脊髄由来のまたは交感神経系由来の疼痛神経細胞)、グリア細胞、組織支持細胞(例えば、線維芽細胞)、免疫細胞または細胞株(例えば、PC12細胞)由来の細胞を含めた、侵害受容性シグナリングに関与するいかなる細胞でもよい。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイ及び/またはその医薬組成物は、少なくとも1つの他の治療剤との併用療法で使用される。他の治療剤の例としては、限定されないが、1種または複数のさらなるオリゴヌクレオチドデコイが挙げられる。オリゴヌクレオチドデコイ及び/またはその医薬組成物ならびに治療剤は、相加的に、またはより好ましくは、相乗的に作用することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイ及び/またはその医薬組成物は、別のオリゴヌクレオチドデコイを含む別の治療剤の投与と同時に投与される。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイまたはその医薬組成物は、別のオリゴヌクレオチドデコイを含む別の治療剤の投与の前にまたはその後に投与される。
必要とする対象への投与については、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドデコイ及び/または医薬組成物を、任意の好都合な経路によって投与することができる。特定例としては、注入またはボーラス注射による投与、上皮または皮膚粘膜の内層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸の粘膜など)を介する吸収による投与、ならびに経口投与が挙げられる。投与は、全身的でもよいし、局所的でもよい。例えば、化合物及び/またはその医薬組成物を投与するのに使用することができる、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルへの被包を含めた、様々な送達系が当技術分野で既知である。投与方法としては、限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外/硬膜上、経口、舌下、鼻腔内、脳内、腟内、経皮、直腸性、吸入によるもの、または特に耳、鼻、眼若しくは皮膚への局部的なものが挙げられる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイは神経周囲に、硬膜外に/硬膜上に、髄腔内に、または皮内に投与される。ある特定の実施形態では、1種より多いオリゴヌクレオチドデコイが患者に投与される。好ましい投与様式は医師の裁量に任され、医学的状態の部位にある程度依存する。
具体的な実施形態では、1種または複数のオリゴヌクレオチドデコイを治療が必要な領域に局所的に投与することが望ましい場合もある。これは、例えば(限定するわけではないが)、手術中の局所注入、局部適用(例えば、手術後に創傷被覆材とともに)によって、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、または埋植体によって達成することができ、前記埋植体は、シアラスティック膜(sialastic membranes)などの膜または繊維を含めた、多孔性、非多孔性またはゼラチン状の材料のものである。いくつかの実施形態では、投与は、疼痛の部位(例えば、以前の、現在のまたは予想される部位)での直接的な注射によってもよい。
ある特定の実施形態では、制限されないが、脳室内、髄腔内、神経周囲及び/または硬膜外/硬膜上注射を含めた任意の適切な経路によって、1種または複数のオリゴヌクレオチドデコイを神経系に導入することが望ましい場合もある。脳室内注射は、例えば、オマヤレザバーなどのレザバーに取り付けられた脳室内カテーテルによって容易になり得る。
肺内投与も、例えば、吸入器若しくはネブライザー及びエアロゾル化剤を含む製剤の使用によって、またはフルオロカーボン若しくは合成肺界面活性剤中での灌流を介して、用いることができる。
患者の疼痛の治療または防止に有効なオリゴヌクレオチドデコイの量は、状態の特定の性質に依存し、当技術分野で既知の標準的な臨床的技法によって決定することができる。さらに、最適な投薬量範囲の特定を支援するために、インビトロまたはインビボアッセイを随意に用いることができる。投与されるオリゴヌクレオチドデコイの量は、当然ながら、数ある他の因子の中で、治療を受ける対象、対象の体重、苦痛の重度、投与様式及び処方する医師の判断によって決まる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドデコイの単回用量は、体重1キログラム(kg)あたり約5μg〜約15mg、約50μg〜約7.5mg、約100μg〜約1mg、約250μg〜約750μgまたは約500μgのオリゴヌクレオチドデコイを含む。
いくつかの実施形態では、剤形は、1日あたり2回を超えずに、より好ましくは、1日あたり1回のみ、患者に投与されるように適合される。投薬を、単独で、または他の薬物と組み合わせて提供することができ、疼痛の有効な治療または防止に必要とされる限り、継続することができる。
組成物及びキット
ある特定の実施形態は、本明細書に記載の1種または複数の治療剤(例えば、オリゴヌクレオチドデコイ、結合剤)を、随意に1種または複数の医薬的に許容可能な担体(例えば、医薬品グレードの担体)と組み合わせて含む組成物、例えば、医薬用または治療用組成物を含む。
本明細書に開示される医薬組成物は、患者に適した投与のための形態を提供するために、治療有効量の1種または複数の治療剤(例えば、オリゴヌクレオチドデコイ)を、好ましくは精製された形態で、適切な量の医薬的に許容可能な担体とともに含む。患者に投与される場合に、オリゴヌクレオチドデコイなどの治療剤及び医薬的に許容可能な担体は、好ましくは無菌である。医薬的に許容可能な担体の例としては、限定されないが、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水(PBS)、トリス緩衝液、水、水性エタノール、乳濁液、例えば油/水乳濁液またはトリグリセリド乳濁液、錠剤及びカプセルが挙げられる。オリゴヌクレオチドデコイが静脈内に投与される場合は、水が好ましいビヒクルである。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液も、特に注射液剤用に液体ビヒクルとして用いることができる。適切な医薬的に許容可能な担体としては、賦形剤、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなども挙げることができる。医薬組成物は、必要に応じて、少量の湿潤若しくは乳化剤またはpH緩衝剤を含むこともできる。さらに、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤及び着色剤を使用することができる。
医薬組成物は、従来の混合、溶解、顆粒化、糖剤作製、研和、乳化、封入、包括または凍結乾燥化の方法によって製造することができる。医薬組成物は、本明細書に開示される化合物を医薬的に使用することができる調製物へ加工するのを容易にする、1種または複数の生理学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤または補助剤を使用して、従来の方式で製剤化することができる。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
医薬組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、液体含有カプセル剤、粉末剤、持続性放出製剤、坐剤、エアロゾル剤、スプレー剤、懸濁剤または使用に適した任意の他の形態をとることができる。適切な医薬的ビヒクルの他の例は、当技術分野で述べられている(Remington’s Pharmaceutical Sciences,Philadelphia College of Pharmacy and Science,19th Edition,1995を参照されたい)。
経口送達用の医薬組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ剤、水性または油性の懸濁剤、顆粒剤、粉末剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤の形態でもよい。経口的に投与される組成物は、医薬的に美味な調製物を提供するために、1種または複数の随意の薬剤、例えば、甘味剤、例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリン、着香剤、例えば、ペパーミント、冬緑油またはサクランボ着色剤及び保存剤をを含むことができる。さらに、錠剤または丸剤形態の場合、組成物をコーティングして、消化管での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって、長期間にわたって持続的な作用を提供することができる。経口組成物は、標準的なビヒクル、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含むことができる。そのようなビヒクルは、好ましくは医薬品グレードのものである。
例えば、懸濁剤、エリキシル剤及び液剤などの経口液体調製物については、適切な担体、賦形剤または希釈剤としては、水、生理食塩水、アルキレングリコール(例えば、プロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、油、アルコール、pH4〜pH6の間の弱酸性の緩衝液(例えば、約5mM〜約50mMの間の酢酸、クエン酸またはアスコルビン酸)などが挙げられる。さらに、着香剤、防腐剤、着色剤、胆汁酸塩、アシルカルニチンなどを加えることができる。
口腔内投与については、組成物は、従来の方式で製剤化された、錠剤、ロゼンジ剤などの形態をとることができる。ネブライザー及び液体スプレー装置及びEHDエアロゾル装置を用いる使用に適した液体薬物製剤は、典型的には、医薬的に許容可能なビヒクルとともに化合物を含む。いくつかの態様では、医薬的に許容可能なビヒクルは、液体、例えば、アルコール、水、ポリエチレングリコールまたはパーフルオロカーボンである。随意に、化合物の溶液または懸濁液のエアロゾル特性を変化させるために、別の材料を加えることができる。いくつかの態様では、材料は、液体、例えば、アルコール、グリコール、ポリグリコールまたは脂肪酸である。エアロゾル装置での使用に適する液体薬物溶液または懸濁液を製剤化する他の方法は当業者に既知である(例えば、Biesalski,米国特許第5,112,598号;Biesalski,米国特許第5,556,611号を参照されたい)。例えばココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基材を含む坐剤または停留浣腸などの直腸用または膣用組成物に、化合物を製剤化することもできる。先に記載された製剤に加えて、デポー調製物として化合物を製剤化することもできる。そのような長時間作用型の製剤は、埋植(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、適切なポリマー材料若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中の乳濁液として)若しくはイオン交換樹脂を用いて、またはわずかに可溶性の誘導体として、例えば、わずかに可溶性の塩として、化合物を製剤化することができる。
オリゴヌクレオチドデコイは、医薬的に許容可能な塩、溶媒和化合物または水和物として、本明細書に記載される製剤のうちのいずれかに、または任意の他の適切な製剤に含まれる得る。医薬的に許容可能な塩は、親化合物の活性を実質的に保持し、適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができ、対応する親形態よりも、水性及び他のプロトン性溶媒に溶けやすい傾向がある。
ある場合には、例えば、インビトロでまたは対象において、オリゴヌクレオチドデコイの細胞への取り込みを容易にするために、リポソームを用いることができる(例えば、Williams,S.A.,Leukemia 10(12):1980−1989,1996;Lappalainen et al.,Antiviral Res.23:119,1994;Uhlmann et al.,Chemical Reviews,Volume 90,No.4,25 pages544−584,1990;Gregoriadis,G.,Chapter14,Liposomes,Drug Carriers in Biology and Medicine,pp.287−341,Academic Press,1979を参照されたい)。例えば、WO93/01286に記載されているように、オリゴヌクレオチドデコイ投与のためのビヒクルとしてヒドロゲルを使用することもできる。あるいは、マイクロスフェアまたは微粒子でオリゴヌクレオチドデコイを投与することができる(例えば、Wu,G.Y.and Wu,C.H.,J.Biol.Chem.262:4429−4432,30 1987を参照されたい)。あるいは、米国特許第6,245,747号に記載されているように、オリゴヌクレオチドデコイと複合体化されたガス充填マイクロバブルの使用は、標的組織への送達を増強することができる。持続性放出組成物を使用することもできる。これらは、フィルムまたはマイクロカプセルなどの成形品の形態で、半透性のポリマーマトリックスを含むことができる。
当技術分野で認識される技法(例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、融合、リポソーム、コロイド状ポリマー粒子ならびにウイルスベクター及び非ウイルスベクターならびに当技術分野で既知の他の手段)を使用して、オリゴヌクレオチドデコイを細胞に導入することができる。選択される送達方法は、オリゴヌクレオチドの化学的性質、治療される細胞及び細胞の部位に少なくとも依存し、当業者に明らかである。例えば、局在化は、リポソームを導くための特異的なマーカーを表面に有するリポソーム、標的細胞を含む組織への直接的な注射、特異的な受容体媒介性取り込みなどによって達成することができる。
当技術分野で既知のように、オリゴヌクレオチドデコイは、例えば、リポソーム媒介性取り込み、脂質コンジュゲート、ポリリジン媒介性取り込み、ナノ粒子媒介性取り込み及び受容体媒介性エンドサイトーシス、ならびにさらなる非エンドサイトーシス型の送達、例えば、マイクロインジェクション、透過処理(例えば、ストレプトリジン−O透過処理、陰イオン性ペプチド透過処理)、エレクトロポレーション及び当技術分野で既知の様々な非侵襲性の非エンドサイトーシス送達方法を含む方法を使用して送達することができる(例えば、全体が参照により組み込まれる、Dokka and Rojanasakul,Advanced Drug Delivery Reviews 44:35−49を参照されたい)。
ある特定の実施形態では、1種または複数のオリゴヌクレオチドデコイがキット中に提供される。ある特定の実施形態では、キットは、例えば、前記1種または複数のオリゴヌクレオチドデコイを使用するための説明書を含む。ある特定の実施形態では、前記説明書は、本発明の方法の1つまたは複数、例えば、疼痛を予防または治療する方法、細胞において遺伝子発現を調節する方法、細胞において侵害受容性シグナリングを調節する方法、細胞においてタンパク質分解を調節する方法などを説明する。ある特定の実施形態では、キット中に提供されるオリゴヌクレオチドデコイは凍結乾燥形態で提供される。ある特定の関連実施形態では、1種または複数の凍結乾燥オリゴヌクレオチドデコイを含むキットは、オリゴヌクレオチドデコイの1種または複数を再懸濁するのに使用することができる溶液(例えば、医薬的に許容可能な生理食塩水溶液)をさらに含む。
以下の実施例は、本発明を例示することを意図し、本発明を限定することを意図しない。本明細書で言及する特許及び非特許参考文献のそれぞれは、その全体が参照により組み込まれる。
実施例1
疼痛を治療するためのKLFファミリーの標的化
転写因子のKruppel様ファミリー(KLF)のメンバーに対して標的化されたオリゴヌクレオチドデコイを設計し、KLF結合について特徴づけし、神経障害性及び神経炎症性疼痛の動物モデルで試験した。
(以下に記載の)2つの別々の神経障害性疼痛モデル及び神経炎症性疼痛モデルの全体にわたる、KLF結合パターン、有効性の幅及び持続時間の交差分析は、オリゴヌクレオチドデコイ
Figure 2017529834
が両モデルで有効であり、KLF6、9及び/または15を阻害することによって作用することを示した(データ非表示)。これらのデータは、慢性神経障害性疼痛の低減に対する有効性はKLF9とKLF15の複合阻害を介して有効であり、慢性神経炎症性疼痛の低減に対する有効性はKLF6とKLF9の複合阻害を介して有効であることを示した。
したがって、相補的なKLF6、9及び15結合パターンを有するさらなるオリゴヌクレオチドデコイ配列を生成するために、TFD16及びTFD17を配列マトリックスとして選択した。この分析に基づいて、表2(上記)のオリゴヌクレオチドデコイを調製し、KLF結合について試験し、以下に記載のように、疼痛の動物モデルで表E1(以下)のものをさらに試験した。
(表E1)
Figure 2017529834
ELISAアッセイ。オリゴヌクレオチドデコイのKLF結合を、カスタマイズバージョンのSP1の市販ELISAキット(SP1 ELISAキット、カタログ番号 EK−1090、Affymetrix)を使用して測定した。手短に言えば、ビオチン−デコイプローブ(12.8ピコモル/ウェル)を(a)HeLa細胞:KLF1〜6、8〜14及び16〜17の検出用(カタログ番号36010、Active motif、CA)または(b)HEK290:KLF15の検出用(カタログ番号36033、Active motif、CA)のいずれか由来のKLF転写因子を含む15μgの核タンパク質抽出物とインキュベートした。KLF7の検出については、0.5及び1μgの組換えヒトKLF7タンパク質(Novus、CA、カタログ番号NBP2−23176)を利用した。
デコイプローブ−タンパク質混合物の処理は、ELISAキット供給業者に従って行った。この混合物をストレプトアビジンでコーティングした96ウェルプレートに装填し、捕捉KLFの分量を、抗体に基づいた比色検出(HRPにコンジュゲートされた抗ウサギ2次抗体)で、マイクロプレートリーダー(OD450nm)において測定した。漸増濃度の競合非ビオチン標識デコイを結合混合反応物に加えた場合、ビオチン標識プローブへの転写因子結合の低減は、結合特異性の実証である。ELISAの実施間における生のOD450結合値の適切な比較を確実にするために、すべてのデータを各ELISAの実施について内部で測定されるバックグラウンドシグナルに対して補正し、検出緩衝液を用いる検出時間(すなわち、本アッセイに最適であると決定された5.2分)を含めて、すべての試験ステップ及び試験条件をキット供給業者の推奨に従って標準化した。
ELISAアッセイについては、一本鎖の各デコイはInvitrogen(CA)によって製造され、これを、TE pH8、NaCl50μM中の100μM保存溶液に再懸濁し、以下のように、4μMの作業溶液中でアニールした:(a)デコイ混合物(100μl):4μLセンス鎖(100μM)+4μlアンチセンス鎖(100μM)+89.5μl TE pH8+2.5μl NaCl(1.94M);(b)アニーリング:95°で7分、続いて、室温で1時間ゆっくり冷却してから使用または−20℃で貯蔵。
結合特異性を、結合シグナルの直線性、遊離競合物のKLFデコイとの結合の低減を測定することによって、及び変異デコイへのKLFの結合がないこと(以下の表E2を参照されたい)によって評価した。
(表E2)変異デコイ
Figure 2017529834
ウサギ1次KLF抗体を市販の供給源から得、KLFアッセイに使用する、HRPにコンジュゲートされた2次抗ウサギ抗体は、ELISAキットで提供される抗体であった(1:200希釈)。
インビボ有効性研究。疼痛の動物モデルに関する材料及び方法を以下に記載する。
動物。Sprague−Dawley系ラット、250〜300g、雄、Harlan Industries(Livermore、CA)。
試験物及び対照物。動物試験については、オリゴヌクレオチドデコイはTrilink Biotechnologies(CA)によって製造され、これを、10mMまたは15mMの保存溶液(Tris−pH7.5、CaCl2)として調合した。各デコイを、選択された用量の送達に適切な濃度で、20μLの注射用に調製した。オリゴヌクレオチドデコイ及びビヒクル対照(Tris−10mM、140mM NaCl、pH7.5)は、盲検様式で、使用準備済のバイアル中で、試験サイトに提供された。
神経部分損傷(SNI)モデル。O中の2%イソフルランを2L/分で用いて知覚消失を誘導し、O中の0.5%イソフルオラン(isofluorane)で維持した。次いで、ラットを剪毛し、無菌的に手術に備えた。神経部分損傷は、Decosterdら(Decosterd and Woolf,2000)によって記載された方法に基づいて行った。手短に言えば、左大腿の皮膚及び筋膜を切開し、大腿二頭筋の二頭を開き、坐骨神経の3つの終枝を露出した。脛骨及び総腓骨を密接に結紮し、結紮に対して遠位に切り裂き、2〜3mmの神経幹を除去した。腓腹枝は無傷のままにした。創傷を層状に閉じた。
慢性絞扼損傷(CCI)モデル。慢性絞扼損傷モデル(Bennett and Xie,1988)に従って、大腿二頭筋を通す鈍的切開によって、右の総坐骨神経を大腿の中央レベルで露出した。坐骨神経の3分岐の近位で、約12mmの神経を癒着組織から取り外し、その周囲に4つの結紮糸を約1mm間隔で緩く結んだ。このようにして冒された神経の長さは、約6〜8mmの長さであった。40×倍率で見たときに、神経の直径がほんのわずかに締めつけられるように見えるように結紮糸を結ぶように注意した。所望の程度の締めつけは、表面の神経上脈管構造を通る循環を妨げるが停止ぜず、時には、露出部周辺の筋肉の小さな短い単収縮をもたらした。切開部を層状に閉じた。
機械的過敏性。反復性のvon Freyフィラメント試験を使用して、機械的過敏性として疼痛を測定した。手短に言えば、von Freyフィラメント(1−4−6−8−10−10−26g)を使用して、後足の機械刺激への応答性について試験した。試験前に動物をメッシュ床上で1時間慣らし、各フィラメントの適用を5回行った。各適用について、軽く屈曲させるのに十分な力で足に対して垂直に毛を押しつけて、およそ1〜2秒間保った。足を鋭く退かせる場合、陽性応答と記録した。毛を除去して直ぐにたじろぐのも、陽性応答とみなした。上記のパターンに続いて、引き続いて刺激を与えた。動物を、手術の直前及び注射前及び注射後の決められた時点で、ベースラインで試験した。
盲検化&無作為化。盲検化してすべての実験を行った。試験サイトは、盲検化されたバイアルを受け取り、試験が完了した後、盲検化コードを解除した。
ベースライン疼痛試験後且つ投薬前のPOD14に無作為化を行った。各試験コホートについて、2〜3匹のラット群に動物を分け、平均POD14 von Frey値が試験群全体でできるだけ近くなるようにし、値が許せば互いに15%内を目標にした。一旦動物を群に分けた後は、群への溶液処理の帰属は、実験者の裁量によった。
予め定義された組み入れ&除外基準。最初の注射日(すなわち、POD14)に5以下のvon Frey値を有する動物を結果の分析から除外した。5というvon Frey値は、複数の試験サイトにわたる内部の過去のデータに基づき、ラットは手術前の基本条件でこの値に達することができるので、モデル誘導性過敏症の非存在/存在の閾値である。ビヒクル処理の機械的過敏性値の平均が注射後の第1週の間に50%以上低減した場合は、疼痛モデルが適切に機能しなかったという理由でそのコホートを除外した。
髄腔内送達。オリゴヌクレオチドデコイを髄腔内に送達した。Sprague−Dawley系ラットに2%イソフルランで麻酔をかけた、ラットの背中を剪毛し、ベタジンで処理した。次いで、このラットをボトル上に置いて、背中をアーチ状に維持した。17G1/2ニードルを、L6椎骨レベルの横突起の左側に沿ってL5椎骨レベルに達するまで吻側に滑らした。次いで、尾部の単収縮によって示されるように髄腔内空間に到達するまで、L5とL6の間にニードルを挿入した。次いで、20μLのデコイまたはビヒクルを髄腔内(IT)注射した。試験に応じて、ラットに、単一のIT注射を手術後のPOD14で1度、またはPOD14で1度及びPOD17で1度行った。
統計的分析。不均一分散の補正のためにノンパラメトリックなスチューデントのt検定、それに続いてウェルチのT検定分析を使用して、実験条件間で、それぞれの時点及びデータ分布の比較を分析した。
KLF結合ELISA分析ならびに単一投薬レベルのデコイを有する疼痛のCCI及びSNI動物モデルの結果を図1〜3Bに示す。図1は、独立の対照KLFデコイ(灰色で強調;例えば、Shields and Yang,1998;Matsumuto et al.,1998を参照されたい)と比べた、表2及びE1のオリゴヌクレオチドデコイのKLF結合特を示す。KLF6、KLF9及びKLF15に対する結合値は、実施例1に記載されているインビトロELISA結合アッセイの平均及び標準誤差 OD450の値として示す。対応するNも列挙する。神経障害性及び/または神経炎症性疼痛の治療に対する有効性は、対応する動物研究の試験期間中の対照に対する疼痛低減のパーセンテージ(%)として示す。
図2A〜Bは、慢性神経障害性疼痛のSNIモデルにおける試験したオリゴヌクレオチドデコイの有効性を示し、図3A〜Bは、慢性神経炎症性疼痛のCCIモデルにおける試験したオリゴヌクレオチドデコイの有効性を示す。
インビボで試験したオリゴヌクレオチドデコイすべてに関するインビボ有効性の結果とインビトロ結合の結果の組み合わせの詳細なメタアナリシスを行って、KLF結合パターンとオリゴヌクレオチドデコイの有効性の間の関連性を特徴づけた。図4A〜Cは、KLF15/KLF9結合の比(4A)、慢性神経障害性疼痛の治療に対する有効性とKLF6、KLF9及びKLF15に対する結合パラメーターの間の線形相関の係数(4B)ならびにKLF15/KLF9結合比に関する有効性レベルの線形回帰(4C)に関して、慢性神経障害性疼痛の治療に対するオリゴヌクレオチドデコイの有効性レベルを示す。
同様に、図5A〜Cは、KLF6、KLF9及びKLF15への複合結合(5A)、慢性神経炎症性疼痛の治療に対する有効性とKLF6、KLF9及びKLF15に対する結合パラメーターの間の線形相関の係数(5B)、ならびに1/(KLF6+KLF9)結合比(5C)で示される、KLF6及びKLF9への全転写因子結合能に関する、有効性レベルの線形回帰に関して、慢性神経炎症性疼痛の治療に対するオリゴヌクレオチドデコイの有効性レベルを示す。
図6は、神経障害性(Y軸)から炎症性成分を含む疼痛(X軸)まで、疼痛の相補的な病因(complementary etiologies pain)全体わたって、文献由来の対照KLFコンセンサスデコイ(TFDC1、TFDC2及びTFD3)に対する本発明由来のデコイの有効性差次的及び優れたパターンを示す。
図7は、表2のオリゴヌクレオチドデコイについて、神経炎症性疼痛の治療に対する有効性を示す(低いほど有効性が高い)1/(KLF6+KLF9)結合比、及び神経障害性疼痛の治療に対する有効性を示す(高いほど有効性が高い)KLF15/KLF9結合比のプロットを示す。X軸の各番号は、それぞれのデコイに対応する。
16.6.5オリゴヌクレオチドデコイの治療プロファイルをさらに特徴づけるために、用量応答試験をSNI及びCCI動物モデルで行った。図8A〜Bは、これら2つの疼痛の動物モデルにおける、50〜300ナノモルの漸増用量レベルの頑強且つ長期持続的な有効性を示す。
まとめると、これらの試験は、疼痛の治療に関する治療的関連の標的としてKLF転写因子のファミリーを特定するだけでなく、先に記載されたKLF配列と比べて、KLF転写因子に対する固有の結合プロファイルを有する一連のオリゴヌクレオチド配列も特定し、これらは、複数の病因にわたるインビボの疼痛を治療するための固有且つ頑強な可能性と関係がある。

Claims (31)

  1. 少なくとも2つの転写因子結合部位の組み合わせを含むオリゴヌクレオチドデコイであって、各転写因子結合部位が、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF7、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される転写因子に結合する、前記オリゴヌクレオチドデコイ。
  2. 約15〜約35塩基対の長さである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  3. 前記オリゴヌクレオチドデコイが、第1の転写因子結合部位及び第2の転写因子結合部位を含み、前記第1及び前記第2の転写結合部位がオーバーラップする、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  4. 前記オリゴヌクレオチドデコイが、第1の転写因子結合部位、第2の転写因子結合部位、及び第3の転写因子結合部位を有し、前記第1、第2、及び第3の転写因子結合部位がオーバーラップする、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  5. 前記第1の転写因子結合部位がKLF6に結合し、前記第2の転写因子結合部位がKLF9に結合し、前記第3の転写因子結合部位がKLF15に結合する、請求項4に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  6. 前記第1の転写因子結合部位がKLF9に結合し、前記第2の転写因子結合部位がKLF15に結合する、請求項3に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  7. 前記第1の転写因子結合部位がKLF9に結合し、前記第2の転写因子結合部位がKLF6に結合する、請求項3に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  8. 標準的なELISAアッセイにおいて、約0.8以下または約1.0以上のKLF15/KLF9の転写因子結合比を提供する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドデコイの集団。
  9. 標準的なELISAアッセイにおいてOD450が約0.2という光学濃度値以上である、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドデコイの集団。
  10. 式1または式2によって表される配列を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドデコイ:
    Figure 2017529834
    式中、SはGまたはCであり;WはAまたはTであり;YはTまたはCであり;DはA、GまたはTであり;BはC、GまたはTであり;KはTまたはGであり;MはCまたはAであり;HはC、TまたはAであり;VはC、GまたはAであり;RはAまたはGであり;Nは任意のヌクレオチドであり、ここで、小文字は存在してもよいし、存在しなくてもよく、下付きの数字は、配列中のヌクレオチドの位置を表す。
  11. 配列番号3〜35からなる群から選択される配列を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  12. 配列番号28(16.6.5)、配列番号25(16.6.2)、配列番号19(17.5)、配列番号34(T16.6−T17.5Fu1)、または配列番号35(T16.6−T17.5Fu2)の配列と少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  13. 式1または式2によって表される配列を含むオリゴヌクレオチドデコイ:
    Figure 2017529834
    式中、SはGまたはCであり;WはAまたはTであり;YはTまたはCであり;DはA、GまたはTであり;BはC、GまたはTであり;KはTまたはGであり;MはCまたはAであり;HはC、TまたはAであり;VはC、GまたはAであり;RはAまたはGであり;Nは任意のヌクレオチドであり、ここで、小文字は存在してもよいし、存在しなくてもよく、下付きの数字は、配列中のヌクレオチドの位置を表す。
  14. 配列番号3〜35からなる群から選択される配列を含む、請求項13に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  15. 配列番号28(16.6.5)、配列番号25(16.6.2)、配列番号19(17.5)、配列番号34(T16.6−T17.5Fu1)、または配列番号35(T16.6−T17.5Fu2)の配列と少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、請求項13に記載のオリゴヌクレオチドデコイ。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたは集団と、医薬的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
  17. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたは集団、随意に前記オリゴヌクレオチドデコイを使用するための説明書を含む、キット。
  18. 侵害受容性シグナリングに関与する、細胞中に存在する遺伝子の転写を調節する方法であって、有効量の、請求項1〜15のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたは集団を前記細胞に投与する工程を含む、前記方法。
  19. 細胞において侵害受容性シグナリングを調節する方法であって、有効量の、請求項1〜15のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたは集団を前記細胞に投与する工程を含む、前記方法。
  20. 治療有効量の、請求項1〜15のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドデコイまたは集団を対象に投与する工程を含む、対象の疼痛の治療方法。
  21. 前記疼痛が慢性疼痛である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記疼痛が神経障害性疼痛である、請求項20に記載の方法。
  23. 前記疼痛が炎症に付随する、請求項20に記載の方法。
  24. 前記疼痛が中枢神経系または内臓の障害に付随する、請求項20に記載の方法。
  25. 細胞において侵害受容性シグナリングを調節する方法であって、治療有効量の治療剤を前記細胞に投与する工程を含み、前記治療剤が、転写因子の、その転写因子結合部位への結合を阻害し、転写因子が、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される、前記方法。
  26. 前記治療剤が、標準的なELISAアッセイにおいて約0.8以下または約1.0以上のKLF15/KLF9の結合比を提供する、請求項25に記載の方法。
  27. 前記治療剤が、標準的なELISAアッセイにおいてOD450が約0.2という光学濃度値以上である、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する、請求項25に記載の方法。
  28. 治療有効量の治療剤を対象に投与する工程を含む対象の疼痛の治療方法であって、前記治療剤が、転写因子の、その転写結合部位への結合を阻害し、前記転写因子が、KLF1、KLF2、KLF3、KLF4、KLF5、KLF6、KLF8、KLF9、KLF10、KLF11、KLF12、KLF13、KLF14、KLF15、KLF16及びKLF17からなる群から選択される、前記方法。
  29. 前記治療剤が、標準的なELISAアッセイにおいて約0.8以下または約1.0以上のKLF15/KLF9の結合比を提供する、請求項28に記載の方法。
  30. 前記治療剤が、標準的なELISAアッセイにおいてOD450が約0.2という光学濃度値以上である、KLF6及びKLF9に対する全転写因子結合能を提供する、請求項28に記載の方法。
  31. 前記疼痛が神経障害性疼痛である、請求項28に記載の方法。
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