JP2017206194A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、単に、タイヤの、車両旋回時における剛性を高くしようとすると、ウェット路面走行時における走行性能であるウェット性能が十分とはいえない場合が生じ得ることがあった。具体的には、トレッド全体の剛性が高くなると、タイヤが路面に接地した際に、トレッドゴム表面がミクロなスケールで路面の凸凹に対して十分に追従しにくく、高い実接地面積が得られにくい傾向があり、それゆえに、十分に高いウェット性能を発揮しにくいことがあることがわかった。
前記トレッド内側ゴム層の100%モジュラスは、前記トレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きく、
前記トレッド表面ゴム層を形成するゴム組成物の0℃におけるtanδが0.5以下であり、
前記ゴム組成物の、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、
前記ゴム組成物の動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤによれば、車両旋回時の剛性を高めつつ、ウェット性能を十分に向上させることができる。
前記ゴム組成物において、前記熱可塑性樹脂(B)の配合量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部であることが好ましい。
この構成によれば、陸部の、ウェット性能をより向上させることができる。
この構成によれば、陸部の、タイヤ周方向の剛性を高めつつ、ウェット性能をより向上させることができる。
この構成によれば、陸部の周方向剛性を保持しつつ、ウェット性能をさらに向上させることができる。
なお、上記の「リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(即ち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
以下、特に断りのない限り、トレッド踏面の各要素の寸法等は、低圧無負荷状態においてトレッド踏面の展開図上で測定されるものとする。
この構成によれば、陸部の周方向剛性を保持しつつ、ウェット性能を効果的に向上させることができる。
この構成によれば、陸部の周方向剛性を保持しつつ、ウェット性能をより効果的に向上させることができる。
より具体的には、トレッド部24と、トレッド部24の側部に連続してタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイドウォール部25と、各サイドウォール部25のタイヤ半径方向の内端に連続するビード部21とを備えるとともに、一方のビード部21から他方のビード部21までトロイダル状に延びて上記各部を補強する1枚以上のカーカスプライからなるカーカス22を備えている。ビード部21にはビードコアが埋設されている。そしてさらに、上記ビード部21の補強部材として、ビード部21の外側面にゴムチェーファを備え、カーカス22のクラウン部に1層以上のベルト層からなるベルト26を備えている。また、カーカス22のクラウン部のタイヤ半径方向外側にはトレッドゴム23が設けられている。
本発明では、トレッド内側ゴム層23bの100%モジュラスを、トレッド表面ゴム層23aの100%モジュラスよりも大きくすることにより、相対的にモジュラスが大きいトレッド内側ゴム層23bで、車両旋回時に横力が生じても対抗することができるので、タイヤ1の、車両旋回時の剛性を十分高めることができる。一方で、トレッド内側ゴム層23bのモジュラスを大きくすると、トレッド全体の剛性が高まり、それゆえに、ウェット路面走行時における走行性能であるウェット性能について向上の余地があった。具体的には、トレッド全体の剛性が高いことから、タイヤが路面に接地した際に、トレッドゴム表面が路面の凸凹に対して十分に追従しにくく、タイヤが路面に接地した際の実接地面積が低下する傾向があった。すなわち、ミクロなスケールで、トレッド表面において路面から離れる部分が生じ、トレッド踏面Tの面積が同じであっても実質的な接触面積が相対的に低くなる傾向があり、ウェット性能が所期したほどには大きく向上しない場合があることがわかった。
本発明では、トレッドゴム23のトレッド表面ゴム層23aを形成するゴム組成物が、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率(E’)を20MPa以下とすることにより、低温でのゴム組成物の柔軟性が高くなり、トレッドゴムの接地性能がよくなるので、ミクロなスケールでトレッド表面を路面へ接するようにさせることができ、実質的な接触面積を増大させることができる。したがって、この空気入りタイヤによれば、車両旋回時の剛性を高めつつ、ウェット性能を向上させることができる。
また、60℃におけるtanδを比較的低下させることで、該ゴム組成物を適用したタイヤの通常走行時の燃費性能が向上する。
また、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差を0.070以下とすることで、tanδの温度依存性が小さくなり、広い温度領域に亘って、該ゴム組成物を適用したタイヤの燃費性能を改善することが可能となる。
なお、湿潤路面での摩擦係数(μ)は、トレッドゴムの剛性と、トレッドゴムの変形量と、損失正接(tanδ)との積に比例するが、このタイヤは、低温での損失正接(tanδ)の低下を、トレッドゴムの剛性を確保しつつトレッドゴムの変形量を増加させることで補うことができるので、湿潤路面での摩擦係数(μ)を十分に維持することができる。したがって、このタイヤは、低温での損失正接(tanδ)が低いことで、低温での燃費性能が高く、且つ、湿潤路面での摩擦係数(μ)が高いことで、ウェット性能も十分に確保することができる。
トレッド表面ゴム層23aが上記の組成を有するゴム組成物から形成されているので、トレッド表面の路面に対する追従性を向上させて路面に対する実接地面積を増大させ、ウェット性能をより向上させることができる。具体的には、トレッド表面ゴム層23aのゴム組成物においては、熱可塑性樹脂(B)を規定量配合することで、低歪領域での弾性率の低下を抑制しつつ、高歪領域での弾性率を低下させることができる。そのため、トレッド表面ゴム層23aにおいて、走行時の歪が大きい路面との接地面近傍のトレッドゴムの変形体積を大きくし、また、ゴム組成物が低弾性化してミクロなスケールでトレッド表面を路面へ接するようにさせることができ、実質的な接触面積をより増大させることができる。一方、路面との接地面から遠い部分は走行時の歪が小さくのでトレッドゴムの剛性を確保できる。したがって、トレッド表面ゴム層23aを上記のゴム組成物から形成することにより、ミクロなスケールのウェット性能をより向上させることができる。
なお、0℃、30℃及び60℃における損失正接(tanδ)、並びに、0℃における貯蔵弾性率(E’)の測定は、ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムに対してスペクトロメーターを用いて、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件下で測定することができる。
トレッドゴムにおいて、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスはトレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きくなっている。また、本実施形態では、トレッドの、車両旋回時の剛性を適切にする観点から、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスが、トレッド表面ゴム層の100%モジュラスの1.05〜2.50倍であることが好ましく、より好ましくは、1.10〜2.00倍である。
なお、トレッド表面ゴム層の100%モジュラスは、好ましくは1.1〜4.0MPaであり、より好ましくは、1.6〜2.4MPaである。また、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスは、好ましくは1.15〜10MPaであり、より好ましくは、1.2〜8.0MPaである。また、上記のゴム成分(A)、添加成分(B)を任意に調整することにより、或いは、公知の方法により、各ゴム層の100%モジュラスを上記の関係とすることができる。
また、同様な観点からは、トレッド表面ゴム層の厚さは、トレッドゴムの厚さの0.5〜0.9倍の厚さがより好ましく、さらに好ましくは、0.7〜0.8倍である。
トレッド表面ゴム層は、0℃におけるtanδが0.5以下であり、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であるゴム組成物から形成されている。また、この実施形態では、当該ゴム組成物が、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを70質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、ゴム組成物において、熱可塑性樹脂(B)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部である。
なお引張強さ(Tb)は、ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6251−1993に準拠して測定するものとする。
ゴム組成物のゴム成分(A)は、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上含むことができる。なお、ゴム成分(A)中のイソプレン系ゴムの含有率の上限は特に限定されず、ゴム成分(A)の全量がイソプレン系ゴムであってもよい。ゴム成分(A)中のイソプレン系ゴムの含有率が50質量%以上であれば、ゴム組成物の低温での損失正接(tanδ)が小さくなり、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低温での燃費性能を改善することができる。
ゴム組成物は、熱可塑性樹脂(B)を含むことができる。ゴム組成物に熱可塑性樹脂(B)を配合することで、低歪領域での弾性率の低下を抑制しつつ、高歪領域での弾性率を低下させることができる。
前記ゴム組成物は、充填剤(C)を含み、該充填剤(C)は、シリカを70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含むことができる。なお、充填剤(C)中のシリカの割合の上限は特に限定されず、充填剤(C)の全量がシリカであってもよい。充填剤(C)中のシリカの割合が70質量%以上であれば、ゴム組成物の60℃におけるtanδが効果的に低下し、該ゴム組成物を適用したタイヤの通常走行時の燃費性能が効果的に向上する。
ゴム組成物において、前記充填剤(C)の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して好ましくは30〜100質量部、より好ましくは40〜80質量部である。ゴム組成物中の充填剤(C)の配合量が前記範囲内であれば、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低温環境下での燃費性能とウェット性能を更に向上させることができる。
ゴム組成物は、加工性、作業性の観点から、更に、軟化剤(D)を含むことができ、該軟化剤(D)の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、1.5〜3質量部の範囲が更に好ましい。軟化剤(D)を1質量部以上配合することで、ゴム組成物の混練が容易となり、また、軟化剤(D)を5質量部以下配合することで、ゴム組成物の剛性の低下を抑制できる。
なお、ゴム組成物は、前記シリカの配合効果を向上させるために、更に、シランカップリッグ剤を配合することが好ましい。該シランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記シランカップリング剤の配合量は、前記シリカ100質量部に対して2〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲が更に好ましい。シランカップリング剤の配合量がシリカ100質量部に対して2質量部以上であれば、シリカの配合効果が十分に向上し、また、シランカップリング剤の配合量がシリカ100質量部に対して20質量部以下であれば、ゴム成分のゲル化の可能性が低い。
前記ゴム組成物は、上述した、成分(A)〜(E)の他にも、更に、脂肪酸金属塩を含むことが好ましい。該脂肪酸金属塩に用いられる金属としては、Zn、K、Ca、Na、Mg、Co、Ni、Ba、Fe、Al、Cu、Mn等が挙げられ、Znが好ましい。一方、前記脂肪酸金属塩に用いられる脂肪酸としては、炭素数4〜30の飽和又は不飽和の直鎖、分岐もしくは環状構造を有する脂肪酸、あるいはそれらの混合物が挙げられ、これらの中でも、炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。炭素数10〜22の飽和直鎖脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、また、炭素数10〜22の不飽和直鎖脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。前記脂肪酸金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記脂肪酸金属塩の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲が更に好ましい。
前記加硫剤の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部の範囲が好ましく、1.0〜4.0質量部の範囲が更に好ましい。加硫剤の含有量が硫黄分として0.1質量部以上であれば、加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性等を確保でき、また、10.0質量部以下であれば、ゴム弾性を十分に確保できる。特に、加硫剤の含有量を硫黄分として4.0質量部以下とすることで、タイヤのウェット性能をさらに向上でき、本発明の効果を高める面から好ましい。
前記加硫促進剤の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜5.0質量部の範囲が好ましく、0.2〜3.0質量部の範囲が更に好ましい。
次に、ゴム組成物の製造方法の一実施形態を、詳細に説明する。
このゴム組成物の製造方法は、上述したゴム組成物の製造方法であって、加硫剤及び加硫促進剤を含む加硫系配合剤を除いて、前記天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、前記熱可塑性樹脂(B)と、前記シリカを70質量%以上含む充填剤(C)とを150〜165℃で混練する工程を含むことを特徴とする。
前記加硫系配合剤を除いて、150〜165℃で混練することで、早期加硫(スコーチ)を避けつつ、加硫系配合剤以外の配合剤をゴム成分(A)に均一に分散させることができ、各配合剤の配合効果が十分に発揮されて、ゴム組成物の0℃におけるtanδを効果的に低下させつつ、ゴム組成物の30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差を効果的に小さくすることができる。
なお、ゴム組成物のtanδ、各温度でのtanδの差、貯蔵弾性率(E’)、引張強さ(Tb)は、上述の混練温度の他、ゴム成分(A)の種類やブレンド比、熱可塑性樹脂(B)の種類や配合量、充填剤(C)中のシリカ含有量やシリカの種類等、更には他の配合剤の種類及び量を調整することでも、変化させることができる。
更に、このゴム組成物の製造方法においては、加硫系配合剤以外の配合剤をゴム成分(A)に十分均一に分散させた後、加硫剤及び加硫促進剤を含む加硫系配合剤を配合して、早期加硫(スコーチ)を防止できる温度、例えば、90〜120℃で混練することが好ましい。
なお、このゴム組成物の製造方法において、各温度での混練は、混練時間に制限はなく、混練装置の大きさ、原料の体積、原料の種類や状態等を勘案して、適宜設定することができる。
本実施形態のトレッドゴムのトレッド内側ゴム層のゴム組成物は、上述のように、トレッド表面ゴム層のゴム組成物の100%モジュラスよりも大きければ、特に限定されないが、例えば以下のようにすることができる。
トレッド内側ゴム層のゴム組成物は、例えば、phr(ゴム成分100質量部当たりの質量部数)で天然ゴム(NR):ブタジエンゴム(BR)=50phr:50phr〜90phr:10phrとすることができる。また、トレッド内側ゴム層のゴム組成物は、カーボンブラックを30〜60phr含むのが好ましく、さらに、トレッド表面ゴム層のゴム組成物に含まれる熱可塑性樹脂(B)を含まないことが転がり抵抗の観点からさらに好ましい。なお、トレッド内側ゴム層のゴム組成物を、トレッド表面ゴム層のゴム組成物と同じにすることもできる。
また、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスは、公知の方法や加硫剤等の調整によりトレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きくすることができる。
第1の実施形態のタイヤ1は、上記のトレッドゴム23を備えるとともに、図2を用いて説明する以下のトレッドパターンを有するものとすることができる。
なお、本発明のタイヤ1では、上記のトレッドゴム23を備えていれば、任意のトレッドパターン、即ち、タイヤ1の全周にわたって、ラグ溝が設けられたフルラグパターン、タイヤ周方向に延びる溝およびタイヤ幅方向に延びる溝によって区画形成された複数のブロックからなるブロックパターン、さらに図2に示すような、タイヤ周方向に延びる溝によって区画形成されたリブ状陸部を有するリブパターンのいずれにもすることができる。
また、リブ状陸部3には、一端が、周方向主溝4またはトレッド接地端Eに開口し、他端が、当該リブ状陸部3内で終端する一端開口サイプ5が設けられている。具体的には、一端開口サイプ5の一端は、2本の周方向主溝4のいずれか一方に開口し、または、トレッド接地端Eと周方向主溝4とのいずれか一方に開口している。
第1の実施形態のタイヤ1では、陸部3を横断する溝が配設されていないリブ状陸部3を備えるので、タイヤ1の周方向の陸部剛性(周方向せん断剛性)が高まり、タイヤ1の路面に対する摩擦力がより増加し、それ故に、ウェット性能をさらに向上させることができる。
また、この実施形態では、リブ状陸部3には一端開口サイプ5が設けられているので、リブ状陸部3の周方向剛性を高い状態で維持しつつ、また、タイヤ1が湿潤路面に接地した状態においては、一端開口サイプ5が路面とタイヤ1の水膜を除去してトレッド踏面Tと路面との実接地面積を増大させることができる。その結果として、ウェット性能をより十分に向上させることができる。
0.4W≦Ws≦1.2W、および、0.6L≦Ls≦3L
を満たすことが好ましい。
この構成によれば、周方向せん断剛性の低下を抑制して粘着限界を維持しつつ、圧縮剛性を低減して実路接地面積を向上させることができるので、ウェット性能を向上させることができる。具体的には、1つのピッチ長L(mm)の範囲内のタイヤ幅方向サイプ成分総長Ws(mm)を、陸部幅W(mm)の0.4倍以上にすることにより、排水性を向上させることができ、陸部幅W(mm)の1.2倍以下にすることにより、周方向せん断剛性の低下を抑制することができる。また、1つのピッチ長L(mm)の範囲内のタイヤ周方向サイプ成分総長Ls(mm)を、ピッチ長L(mm)の0.6倍以上にすることにより、圧縮剛性を十分に低減することができ、ピッチ長L(mm)の3倍以下にすることにより、コーナリングパワーを十分に維持することができ、それゆえに、操縦安定性能の低下を抑制することができる。上記のようなトレッドゴム4を有することで、通常のトレッドゴムを有するタイヤと比較してコーナリングパワーが大きくなり、操縦安定性能が向上するところ、操縦安定性能が良好であるのでタイヤ周方向サイプ成分Lsを大きくしても操縦安定性能の低下を抑制することができる。
なお、図2の例では、一端開口サイプ5cのピッチ長Lが、タイヤ周上で変化させたパターンとなっているが、少なくともセンターリブ状陸部3cで、ピッチ長L(mm)で配設した一端開口サイプ5cが、すべてのパターンP1〜P3中で、0.4W≦Ws≦1.2W、および、0.6L≦Ls≦3Lを満たしている。
この構成によれば、上述のように、周方向せん断剛性を保持しつつ圧縮剛性を低減することができるので、ウェット性をより向上させることができる。また、センターリブ状陸部3cでは、一端閉口サイプ5cの配設だけでは、陸部3c内に、例えば一端閉口サイプ5cで囲まれるブロック状部分が形成されるところ、上記の両端閉口サイプ6cを当該ブロック状部分に配設することにより、圧縮剛性を均一に低減させることができる。
なお、両端閉口サイプ6cが1つのピッチ長L(mm)の範囲内に複数個配設される場合には、それら複数の両端閉口サイプ6cの平均値をいうものとする。
また、図2の例では、パターンP1、P2では、両端閉口サイプ(ここでは小穴)6cを、1つのピッチ長L(mm)の範囲内に2個配設しているのに対して、パターンP3においては、両端閉口サイプ6cを、1つのピッチ長L(mm)の範囲内に3個配設している。
この構成によれば、ウェット性能をさらに向上させることができる。具体的には、N/Lc(個/mm)を、0.1以上にすることにより、圧縮剛性を十分低減することができ、N/Lc(個/mm)を0.3以下にすることにより、センターリブ状陸部3cの面積の低下を防止することができ、また、コーナリングパワーが低下するのを防止することができる。
また、図2では、各リブ状陸部3に、一端開口サイプ5および両端閉口サイプ6の両方を配設しているが、一方のみを配設することもできる。
また、本実施形態(第1の実施形態)では、上述のように、リブ状陸部3には両端開口サイプが設けられていないことが好ましいが、第1の実施形態の変形例として、リブ状陸部3のうちの全てまたは一部において、リブ状陸部3に、深さ方向に例えばジグザグ状に屈曲して延びる両端開口サイプを配設することもできる。
2.135×SW+282.3≦OD
を満たすことが好ましい(以下、この関係になる場合のタイヤサイズを狭幅大径サイズとも称す)。タイヤが、上記の関係であることにより、狭幅、大径の形状となり、タイヤの転がり抵抗性能を向上させ(転がり抵抗値を低減させ)、かつ、タイヤを軽量化することができる。
また、タイヤの転動時の内圧は、250kPa以上であることが好ましく、250〜350kPaであることがより好ましい。狭幅大径サイズのタイヤにおいては接地長が増大しやすいが、250kPa以上とすることにより接地長の増大を抑えて、トレッドゴムの変形量を低減し、転がり抵抗をさらに低減することができる。
また、タイヤの転がり抵抗値を低減し、かつ、タイヤを軽量化する観点から、タイヤの転動時の内圧が、250kPa以上の場合に、タイヤ1の断面幅SW(mm)と外径OD(mm)は、−0.0187×SW2+9.15×SW−380≦ODの関係を満たすことが好ましい。
ウェット性能を向上させるには、溝量を増やすのが一般的な考え方であるが、狭幅大径サイズの空気入りタイヤの場合には、接地面の幅Wが狭くなるため、図3(b)に、図3(a)との対比で示すように、水がタイヤ幅方向に排出されやすくなる。このため、溝量を減らしてもウェット性能は維持され、かつ陸部剛性の増大によりコーナリングパワーなど他性能も向上させることができるのである。
なお、溝体積率は、例えば、ベルト層のうちタイヤ幅方向に最大幅を有する、最大幅ベルト層の幅方向両端部よりタイヤ幅方向内側にあり、且つ、タイヤ幅方向中央位置における、タイヤ径方向最外側の補強部材(ベルト層及びベルト補強層)よりタイヤ径方向外側にあるトレッドゴムの体積をV1とし、トレッド踏面に形成した溝の合計体積をV2とするとき、比V2/V1と定義される。
具体的には、図5に示すように、トレッド踏面Tにおける、タイヤ赤道面CLを境界とする少なくとも一方の半部において、トレッド接地端Eに隣接し、且つトレッド接地端Eとのトレッド幅方向の距離が、トレッド幅TWの25%以上離間した、トレッド周方向に延びるトレッド端側主溝110を有し、トレッド端側主溝110とトレッド接地端Eとによって区画されるトレッド接地端側陸部に隣接する陸部111の1つに、トレッド接地端側主溝110からトレッド幅方向に延びて隣接陸部111内に留まる、少なくとも1本の一端開口溝112を有することが好ましい。なお、図5における、溝113は、主溝より溝深さの小さい浅溝である。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤの場合には、車両装着外側では圧縮応力を受け、車両装着内側では引張応力を受けることとなり、これらの応力により、トレッドゴムが変形し、ベルトが変形して、接地面が浮き上がってしまう。
ここで、トレッド接地端側主溝110からトレッド幅方向に延びて陸部111内に留まる一端開口溝112を有するため、陸部内の車両装着外側においては、圧縮応力により一端開口溝112が閉じる構造となるため、一端開口溝112を設けない場合や、一端開口溝112が車両装着外側まで延びていない場合と比べて、圧縮応力によるトレッドやベルトの変形が抑制される。
さらに、一端開口溝112が陸部内に留まるため、車両装着内側まで一端開口溝112が延在している場合と比較して、車両装着内側での引張応力に対する剛性が高くなり、これによりトレッドやベルトの変形が抑制される。
ここで、上記「接地端E’」とは、タイヤをリムに装着し、タイヤを装着する車両毎に規定される最高空気圧を充填して平板上に垂直に置き、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷に相当する重量を負荷した際の、平板との接触面における、タイヤ幅方向両端点をいう。
傾斜角度を35°以上とすることにより、タイヤ幅方向に対する剛性を高め、特にコーナリング時の操縦安定性能を向上させることができるからである。また、層間ゴムのせん断変形を減少させて、転がり抵抗性能を向上させることができるからである。
傾斜ベルト層のベルトコードの傾斜角度θ1、θ2が35°以上の場合には、周方向ベルトは、タイヤ赤道面CLを含む中央領域Cの単位幅あたりのタイヤ周方向剛性が、その他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性より高いことが好ましい。
図7は、ベルト構造の一例を概略的に示しており、傾斜ベルト層121、122のタイヤ径方向外側に周方向ベルト層123、124が積層されており、中央領域Cにおいて、周方向ベルト層123、124が互いにタイヤ径方向に重なっている。
例えば、図7に示すように、当該中央領域Cにおける周方向ベルト層の層数をその他の領域より多くすることにより、中央領域Cの単位幅あたりのタイヤ周方向剛性を、その他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性より高くすることができる。
傾斜ベルト層のベルトコードがタイヤ周方向に対して35°以上で傾斜するタイヤの多くは、400Hz〜2kHzの高周波域において、断面方向の1次、2次および3次等の振動モードにて、トレッド踏面が一律に大きく振動する形状となるため、大きな放射音が生じる。そこで、トレッドのタイヤ幅方向中央領域のタイヤ周方向剛性を局所的に増加させると、トレッドのタイヤ幅方向中央領域がタイヤ周方向に広がり難くなり、トレッド踏面のタイヤ周方向への広がりが抑制される結果、放射音を減少させることができる。
さらに、上述のごとく、タイヤ赤道面CLを含む中央領域のタイヤ周方向の剛性を高めたタイヤでは、トレッドはトレッド踏面の少なくともタイヤ赤道面CLを含む領域に、タイヤ周方向に連続する陸部を有することが好ましい。タイヤ赤道面CL上又はその付近に周方向主溝を配置すると、当該領域におけるトレッドの剛性が低下して、該周方向主溝を区画する陸部における接地長が極端に短くなる場合がある。そこで、タイヤ赤道面CLを含む一定領域にわたって、タイヤ周方向に連続する陸部(リブ状陸部)を配置することが、コーナリングパワーを低減させることなく騒音性能を改善する観点から好ましい。
本発明にあっては、図8に示す例のように、傾斜ベルト層のベルトコードの傾斜角度が35°以上の場合には、傾斜ベルト層は、タイヤ幅方向の幅の異なる2層の傾斜ベルト層を少なくとも含み、最広幅の傾斜ベルト層をなすコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度θ1と、最狭幅の傾斜ベルト層をなすコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度θ2とが、35°≦θ1≦85°、10°≦θ2≦30°、及び、θ1>θ2を満たすことが好ましい。
タイヤ周方向に対して35°以上で傾斜するベルトコードを有する傾斜ベルト層を備えたタイヤの多くは、400Hz〜2kHzの高周波域において、断面方向の1次、2次および3次等の振動モードにて、トレッド踏面が一律に大きく振動する形状となるため、大きな放射音が生じる。そこで、トレッドのタイヤ幅方向中央領域のタイヤ周方向剛性を局所的に増加させると、トレッドのタイヤ幅方向中央領域がタイヤ周方向に広がり難くなり、トレッド面のタイヤ周方向への広がりが抑制される結果、放射音を減少させることができる。
狭幅大径サイズの乗用車用タイヤにおいては、周方向ベルト層は高剛性であることが好ましく、より具体的にはタイヤ周方向に延びるコードのゴム引き層からなり、コードのヤング率をY(GPa)、打ち込み数をn(本/50mm)とし、周方向ベルト層をm層として、X=Y×n×mと定義するとき、1500≧X≧750であることが好ましい。狭幅大径サイズの乗用車用タイヤにおいては、路面からの旋回時における入力に対しタイヤ周方向において局所的な変形を起こし、接地面は略三角形状、すなわち、タイヤ幅方向の位置によって周方向の接地長が大きく変化する形状となりやすい。これに対し、高剛性の周方向ベルト層とすることにより、タイヤのリング剛性が向上して、タイヤ周方向の変形が抑制されることとなるため、ゴムの非圧縮性により、タイヤ幅方向の変形も抑制され、接地形状が変化しにくくなる。さらには、リング剛性が向上することにより偏心変形が促進され、転がり抵抗も同時に向上する。この転がり抵抗の向上効果は、狭幅大径サイズの空気入りタイヤにおいて、特に向上効果の幅が大きくなる。
なお、ゲージTsはゴム、補強部材、インナーライナーなどすべての部材の厚みの合計となる。また、ビードコアがカーカスによって複数の小ビードコアに分割されている構造の場合には、全小ビードコアのうち幅方向最内側端部と最外側端部の距離をTbとする。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤは特に高内圧使用化において80−100Hzの車内騒音が悪化しやすいという知見が得られている。インナーライナーを厚くすることで振動減衰性を高め、80−100Hzの車内騒音を低減することができる。なお、インナーライナーは転がり抵抗に寄与するロスが、トレッド等の他の部材と比較すると小さいため、転がり抵抗の悪化を最小限にとどめつつ、騒音性能を改善することができる。
このような、狭幅大径サイズに特徴的な変形のために、簡素化構造によってもランフラット耐久性を十分に確保し、かつ燃費性能をさらに向上させることができる。
具体的な簡素化手法としては少なくとも以下の(i)〜(iii)のいずれか1つの条件を満たすことにより可能となる。
図10は、本発明のタイヤがランフラットタイヤである場合における、本発明の第3の実施形態にかかるタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
(i)図10に示すように、カーカス折り返し部の折り返し端Aが、タイヤ最大幅位置Pよりタイヤ径方向内側に位置する、(ii)タイヤをリムに組み込み、所定の内圧を充填し、無負荷とした、基準状態の際のタイヤ幅方向断面における、サイド補強ゴム151のタイヤ径方向最大長さをH1とし、ビードフィラのタイヤ径方向最外側点とビードコアのタイヤ径方向最外側点とを結んだ線分の長さをH2とするとき、1.8≦H1/H2≦3.5、を満たす、(iii)タイヤをリムに組み込み、所定の内圧を充填し、無負荷とした、基準状態の際のタイヤ幅方向断面における、サイド補強ゴム151のタイヤ径方向最大長さをH1(mm)とするとき、関係式、10(mm)≦(SW/OD)×H1≦20(mm)を満たす。
図11は、本発明のタイヤがランフラットタイヤである場合における、本発明の第4の実施形態にかかるタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
具体的には、タイヤをリムに組み込み、所定の内圧を充填し、無負荷とした、基準状態の際のタイヤ幅方向断面における、1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最大のベルト層のタイヤ幅方向の半幅をWBとし、タイヤ幅方向の幅が最大のベルト層のタイヤ幅方向端部から1本以上の周方向主溝のうちタイヤ幅方向最外側の周方向主溝161のタイヤ幅方向中心位置までのタイヤ幅方向距離をWGとするとき、関係式、0.5≦WG/WB≦0.8を満たすことが好ましい。
各供試タイヤは、図1、2に示すような、タイヤサイズ165/60R19であるタイヤであり、また、各供試タイヤは、トレッドの最表面に位置するトレッド表面ゴム層と、当該トレッド表面ゴム層よりタイヤ径方向内側に位置するトレッド内側ゴム層と、を含むトレッドゴムを備えている。そして、各ゴム層は、表1に示す諸元のゴム組成物から形成され、また、表1に示す100%モジュラスを有している。なお、各ゴム層の各材料の含有量(質量部)は、ゴム成分(A)を100質量部とした場合の値を指す。
また、実施例1のトレッド表面ゴム層の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)は以下のとおりである。
0℃でのtanδ:0.426
30℃でのtanδ:0.244
60℃でのtanδ:0.190
0℃でのE’:17MPa
0℃、30℃及び60℃における損失正接(tanδ)、並びに、0℃における貯蔵弾性率(E’)の測定は、ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムに対して、上島製作所(株)製スペクトロメーターを用いて、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件下で測定した。
各供試タイヤに対して、下記の方法で、車両旋回時の剛性、ウェット性能(湿潤路面での性能)および燃費性能を評価した。結果を表1に示す。
供試タイヤを試験車に装着し、乾燥路面での実車試験にて、車両旋回時の剛性を、車両旋回時の剛性評価の一指標である旋回性能で評価した。具体的には、供試タイヤを装着した試験車を、直線走行から旋回走行させ、その時の安定性等の性能を、ドライバーのフィーリングで評価した。評価の結果は、比較例1のタイヤのフィーリング評点を100として指数表示し、指数値が大きい程、旋回性能に優れ、車両旋回時の剛性が高いことを示す。
上記の各供試タイヤを、リム(リムサイズ5.5J19)に装着し内圧(300kPa)を充填して、車両に装着した後、ウェット路面を時速80km/hで走行させた。そして、上記状態で走行後、フルブレーキを行った際の、停止距離(m)を計測し、このときの平均減速度(m/s2)=V2/25.92Lを算出した(平均減速度a、初速v、質量m、停止距離Lとすると、mv2/2=maLより、a=v2/2Lと計算できる。ウェット時の摩擦係数(wet μ))。評価結果は、各供試タイヤについての値を逆数にして、実施例1に記載のタイヤを100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどウェット性能がよいことを意味する。
*2 スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:JSR株式会社製、商品名「#1500」
*3 C9系樹脂:JX日鉱日石エネルギー株式会社製、商品名「日石ネオポリマー(登録商標)140」
*4 シリカ:東ソー・シリカ工業株式会社製、商品名「ニプシルAQ」(BET表面積=205m2/g)
*5 カーボンブラック:N234(ISAF)、旭カーボン株式会社製、商品名「#78」
Claims (6)
- トレッドの最表面に位置するトレッド表面ゴム層と、当該トレッド表面ゴム層よりタイヤ径方向内側に位置するトレッド内側ゴム層と、を含むトレッドゴムを備えた空気入りタイヤであって、
前記トレッド内側ゴム層の100%モジュラスは、前記トレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きく、
前記トレッド表面ゴム層を形成するゴム組成物の0℃におけるtanδが0.5以下であり、
前記ゴム組成物の、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、
前記ゴム組成物の動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であることを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記ゴム組成物は、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを70質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、
前記ゴム組成物において、前記熱可塑性樹脂(B)の配合量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - トレッド踏面に、トレッド接地端とタイヤ周方向に連続して延びる周方向主溝とで区画形成され、または、相互に隣り合う、タイヤ周方向に連続して延びる2本の周方向主溝で区画形成されている、リブ状陸部を少なくとも1本備える、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記リブ状陸部には、両端が、前記トレッド接地端と前記周方向主溝との両方に、または、2本の前記周方向主溝の両方に、開口する両端開口サイプが設けられておらず、
前記リブ状陸部には、一端が、前記トレッド接地端と前記周方向主溝とのいずれか一方に、または、2本の前記周方向主溝のいずれか一方に、開口し、他端が、当該リブ状陸部内で終端する、一端開口サイプが設けられている、請求項3に記載の空気入りタイヤ。 - 前記一端開口サイプは、前記他端からタイヤ周方向に延びる周方向サイプ部分と、当該周方向サイプ部分からタイヤ幅方向に延びて前記周方向主溝またはトレッド接地端に開口する幅方向サイプ部分と、を備える、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記リブ状陸部には、当該リブ状陸部内で両端が終端する両端閉口サイプが設けられている、請求項3〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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