JP2017206194A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】車両旋回時の剛性を高めつつ、ウェット性能を十分に向上させることが可能な空気入りタイヤを提供する。【解決手段】トレッドの最表面のトレッド表面ゴム層と、当該トレッド表面ゴム層よりタイヤ径方向内側のトレッド内側ゴム層とを含むトレッドゴムを備え、トレッド内側ゴム層は100%モジュラスがトレッド表面ゴム層よりも大きく、トレッド表面ゴム層を形成するゴム組成物は、0℃におけるtanδが0.5以下であり、30℃、60℃におけるにおけるtanδの差が0.070以下であり、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であることを特徴とする空気入りタイヤである。【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
従来、トレッドの最表面に位置するトレッド表面ゴム層と、当該トレッド表面ゴム層よりタイヤ径方向内側に位置するトレッド内側ゴム層と、を含むトレッドゴムを備えた空気入りタイヤが、種々提案されている(例えば特許文献1)。このような空気入りタイヤにおいては、一般に、トレッド表面ゴム層を相対的にモジュラスの高いゴム層とし、トレッド内側ゴム層を相対的にモジュラスの低いゴム層としており、これにより、直進走行時において、タイヤに対する路面からの入力を、当該相対的にモジュラスの低いトレッド内側ゴム層により吸収させて、例えばヒステリシスロスを抑制してタイヤの転がり抵抗性能を向上させている。
特開2014−162242号公報
ところで、上記のような空気入りタイヤは、トレッド内側ゴム層のモジュラスが相対的に低いことにより、タイヤの、車両旋回時に生じる横力に対する剛性(陸部剛性)が十分とはいえず、例えば操縦安定性が十分でない場合があった。
しかし、単に、タイヤの、車両旋回時における剛性を高くしようとすると、ウェット路面走行時における走行性能であるウェット性能が十分とはいえない場合が生じ得ることがあった。具体的には、トレッド全体の剛性が高くなると、タイヤが路面に接地した際に、トレッドゴム表面がミクロなスケールで路面の凸凹に対して十分に追従しにくく、高い実接地面積が得られにくい傾向があり、それゆえに、十分に高いウェット性能を発揮しにくいことがあることがわかった。
そこで、本発明は、車両旋回時の剛性を高めつつ、ウェット性能を十分に向上させることが可能な、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の空気入りタイヤは、トレッドの最表面に位置するトレッド表面ゴム層と、当該トレッド表面ゴム層よりタイヤ径方向内側に位置するトレッド内側ゴム層と、を含むトレッドゴムを備えた空気入りタイヤであって、
前記トレッド内側ゴム層の100%モジュラスは、前記トレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きく、
前記トレッド表面ゴム層を形成するゴム組成物の0℃におけるtanδが0.5以下であり、
前記ゴム組成物の、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、
前記ゴム組成物の動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤによれば、車両旋回時の剛性を高めつつ、ウェット性能を十分に向上させることができる。
なお、本発明において、「100%モジュラス」とは、JIS K6251に準拠して、ダンベル状3号形サンプルを用意し、室温23℃、速度500±25mm/minの条件下で引張試験を行って測定した、100%伸長時の引張応力である。また、本発明において、トレッドゴムとは、トレッド部に任意に含まれるベルト等の部材を含まないゴムを意味する。
ここで、本発明の空気入りタイヤでは、前記ゴム組成物は、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを70質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、
前記ゴム組成物において、前記熱可塑性樹脂(B)の配合量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部であることが好ましい。
この構成によれば、陸部の、ウェット性能をより向上させることができる。
また、本発明の空気入りタイヤでは、トレッド踏面に、トレッド接地端とタイヤ周方向に連続して延びる周方向主溝とで区画形成され、または、相互に隣り合う、タイヤ周方向に連続して延びる2本の周方向主溝で区画形成されている、リブ状陸部を少なくとも1本備えることが好ましい。
この構成によれば、陸部の、タイヤ周方向の剛性を高めつつ、ウェット性能をより向上させることができる。
なお、本発明において「リブ状陸部」とは、両端が陸部を区画形成する周方向主溝やトレッド接地端に開口し、トレッド踏面への開口幅が1.5mm超となる溝が配設されていない陸部を指す。換言すれば、リブ状陸部には、当該陸部を横断するような溝が設けられていない陸部を指す。
また、本発明の空気入りタイヤでは、前記リブ状陸部には、両端が、前記トレッド接地端と前記周方向主溝との両方に、または、2本の前記周方向主溝の両方に、開口する両端開口サイプが設けられておらず、前記リブ状陸部には、一端が、前記トレッド接地端と前記周方向主溝とのいずれか一方に、または、2本の前記周方向主溝のいずれか一方に、開口し、他端が、当該リブ状陸部内で終端する、一端開口サイプが設けられていることが好ましい。
この構成によれば、陸部の周方向剛性を保持しつつ、ウェット性能をさらに向上させることができる。
なお、本発明において「サイプ」とは、タイヤをリムに装着し、タイヤの形状を保持する程度の圧力である内圧30kPaを適用した無負荷状態(以下、「タイヤをリムに装着し、タイヤの形状を保持する程度の圧力である内圧30kPaを適用した無負荷状態」を「低圧無負荷状態」とも称す)において、そのトレッド踏面への開口幅が1.5mm以下のものをいう。また「溝」とは、低圧無負荷状態において、トレッド踏面への開口幅が1.5mm超となるものをいう。
なお、上記の「リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(即ち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTOのSTANDARDS MANUAL 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
以下、特に断りのない限り、トレッド踏面の各要素の寸法等は、低圧無負荷状態においてトレッド踏面の展開図上で測定されるものとする。
さらに、本発明の空気入りタイヤでは、前記一端開口サイプは、前記他端からタイヤ周方向に延びる周方向サイプ部分と、当該周方向サイプ部分からタイヤ幅方向に延びて前記周方向主溝またはトレッド接地端に開口する幅方向サイプ部分と、を備えることが好ましい。
この構成によれば、陸部の周方向剛性を保持しつつ、ウェット性能を効果的に向上させることができる。
また、本発明の空気入りタイヤでは、前記リブ状陸部には、当該リブ状陸部内で両端が終端する両端閉口サイプが設けられていることが好ましい。
この構成によれば、陸部の周方向剛性を保持しつつ、ウェット性能をより効果的に向上させることができる。
本発明によれば、車両旋回時の剛性を高めつつ、ウェット性能を十分に向上させることが可能な空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ幅方向概略断面図である。 図1に示す空気入りタイヤのトレッドパターンを示す、展開図である。 (a)広幅のラジアルタイヤのウェット性能について説明するための図であり、(b)狭幅のラジアルタイヤのウェット性能について説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す、展開図である。 本発明の第3の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す、展開図である。 本発明の第4の実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ幅方向半部のタイヤ幅方向概略断面図である。 ベルト構造の第1の例を示す概略的な平面図である。 ベルト構造の第2の例を示す概略的な平面図である。 ベルト構造の第3の例を示す概略的な平面図である。 本発明の第5の実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ幅方向半部のタイヤ幅方向概略断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ幅方向半部のタイヤ幅方向概略一部断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態に係る空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称す)について、詳細に例示説明する。なお、以下の記載および図面は、本発明に係るタイヤを説明するための一例であり、本発明は記載および図示された形態に何ら限定されない。
第1の実施形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すように、例えば、一対のビード部21間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのカーカスプライからなるカーカス22と、当該カーカス22のタイヤ半径方向外側に設けられたトレッドゴム23とを少なくとも備えている。
より具体的には、トレッド部24と、トレッド部24の側部に連続してタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイドウォール部25と、各サイドウォール部25のタイヤ半径方向の内端に連続するビード部21とを備えるとともに、一方のビード部21から他方のビード部21までトロイダル状に延びて上記各部を補強する1枚以上のカーカスプライからなるカーカス22を備えている。ビード部21にはビードコアが埋設されている。そしてさらに、上記ビード部21の補強部材として、ビード部21の外側面にゴムチェーファを備え、カーカス22のクラウン部に1層以上のベルト層からなるベルト26を備えている。また、カーカス22のクラウン部のタイヤ半径方向外側にはトレッドゴム23が設けられている。
また、このタイヤ1では、図1に示すように、トレッドゴム23は、トレッドの最表面に位置するトレッド表面ゴム層23aと、当該トレッド表面ゴム層23aよりタイヤ径方向内側に位置するトレッド内側ゴム層23bと、を含んでいる。また、トレッド内側ゴム層23bの100%モジュラスは、トレッド表面ゴム層23aの100%モジュラスよりも大きくなっている。なお、本実施形態のタイヤ1では、トレッドゴム23を構成するゴム層は3層以上とすることができ、換言すれば、トレッド内側ゴム層23bを複数設けることができる。
そして、本発明のタイヤ1のトレッドゴム23のトレッド表面ゴム層23aを形成するゴム組成物の0℃におけるtanδが0.5以下であり、ゴム組成物の、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、ゴム組成物の動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下である。また当該ゴム組成物は、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを70質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、当該ゴム組成物において、熱可塑性樹脂(B)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部とすることができる。
ここで、本発明のタイヤ1の作用効果について説明する。
本発明では、トレッド内側ゴム層23bの100%モジュラスを、トレッド表面ゴム層23aの100%モジュラスよりも大きくすることにより、相対的にモジュラスが大きいトレッド内側ゴム層23bで、車両旋回時に横力が生じても対抗することができるので、タイヤ1の、車両旋回時の剛性を十分高めることができる。一方で、トレッド内側ゴム層23bのモジュラスを大きくすると、トレッド全体の剛性が高まり、それゆえに、ウェット路面走行時における走行性能であるウェット性能について向上の余地があった。具体的には、トレッド全体の剛性が高いことから、タイヤが路面に接地した際に、トレッドゴム表面が路面の凸凹に対して十分に追従しにくく、タイヤが路面に接地した際の実接地面積が低下する傾向があった。すなわち、ミクロなスケールで、トレッド表面において路面から離れる部分が生じ、トレッド踏面Tの面積が同じであっても実質的な接触面積が相対的に低くなる傾向があり、ウェット性能が所期したほどには大きく向上しない場合があることがわかった。
本発明では、トレッドゴム23のトレッド表面ゴム層23aを形成するゴム組成物が、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率(E’)を20MPa以下とすることにより、低温でのゴム組成物の柔軟性が高くなり、トレッドゴムの接地性能がよくなるので、ミクロなスケールでトレッド表面を路面へ接するようにさせることができ、実質的な接触面積を増大させることができる。したがって、この空気入りタイヤによれば、車両旋回時の剛性を高めつつ、ウェット性能を向上させることができる。
さらに、タイヤの燃費性能は損失正接(tanδ)に関連するところ、この空気入りタイヤでは、0℃におけるtanδを0.5以下とすることで、該ゴム組成物を適用したタイヤの低温での燃費性能が向上する。
また、60℃におけるtanδを比較的低下させることで、該ゴム組成物を適用したタイヤの通常走行時の燃費性能が向上する。
また、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差を0.070以下とすることで、tanδの温度依存性が小さくなり、広い温度領域に亘って、該ゴム組成物を適用したタイヤの燃費性能を改善することが可能となる。
なお、湿潤路面での摩擦係数(μ)は、トレッドゴムの剛性と、トレッドゴムの変形量と、損失正接(tanδ)との積に比例するが、このタイヤは、低温での損失正接(tanδ)の低下を、トレッドゴムの剛性を確保しつつトレッドゴムの変形量を増加させることで補うことができるので、湿潤路面での摩擦係数(μ)を十分に維持することができる。したがって、このタイヤは、低温での損失正接(tanδ)が低いことで、低温での燃費性能が高く、且つ、湿潤路面での摩擦係数(μ)が高いことで、ウェット性能も十分に確保することができる。
また、この実施形態のように、トレッド表面ゴム層23aを形成するゴム組成物は、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを70質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、当該ゴム組成物において、熱可塑性樹脂(B)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部とすることが好ましい。
トレッド表面ゴム層23aが上記の組成を有するゴム組成物から形成されているので、トレッド表面の路面に対する追従性を向上させて路面に対する実接地面積を増大させ、ウェット性能をより向上させることができる。具体的には、トレッド表面ゴム層23aのゴム組成物においては、熱可塑性樹脂(B)を規定量配合することで、低歪領域での弾性率の低下を抑制しつつ、高歪領域での弾性率を低下させることができる。そのため、トレッド表面ゴム層23aにおいて、走行時の歪が大きい路面との接地面近傍のトレッドゴムの変形体積を大きくし、また、ゴム組成物が低弾性化してミクロなスケールでトレッド表面を路面へ接するようにさせることができ、実質的な接触面積をより増大させることができる。一方、路面との接地面から遠い部分は走行時の歪が小さくのでトレッドゴムの剛性を確保できる。したがって、トレッド表面ゴム層23aを上記のゴム組成物から形成することにより、ミクロなスケールのウェット性能をより向上させることができる。
さらに、ゴム成分(A)中のイソプレン系ゴムの含有率を50質量%以上とすることで、低温、特には0℃での損失正接(tanδ)を効果的に低下させることができ、0℃におけるtanδを0.5以下とすることができる。また、配合する充填剤(C)中のシリカの含有率を70質量%以上とすることで、60℃におけるtanδを効果的に低下させることができる。
なお、0℃、30℃及び60℃における損失正接(tanδ)、並びに、0℃における貯蔵弾性率(E’)の測定は、ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムに対してスペクトロメーターを用いて、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件下で測定することができる。
ここで、本発明の第1の実施形態に係るタイヤの、上記の物性およびゴム組成物を有するトレッドゴムについて以下、説明する。
[トレッドゴム]
トレッドゴムにおいて、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスはトレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きくなっている。また、本実施形態では、トレッドの、車両旋回時の剛性を適切にする観点から、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスが、トレッド表面ゴム層の100%モジュラスの1.05〜2.50倍であることが好ましく、より好ましくは、1.10〜2.00倍である。
なお、トレッド表面ゴム層の100%モジュラスは、好ましくは1.1〜4.0MPaであり、より好ましくは、1.6〜2.4MPaである。また、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスは、好ましくは1.15〜10MPaであり、より好ましくは、1.2〜8.0MPaである。また、上記のゴム成分(A)、添加成分(B)を任意に調整することにより、或いは、公知の方法により、各ゴム層の100%モジュラスを上記の関係とすることができる。
トレッド表面ゴム層は、タイヤ幅方向断面視において、タイヤ赤道面から両タイヤ幅方向外側へそれぞれトレッド幅の15%以下の領域内での厚さの中で最大となる厚さが、当該厚さを測定した位置でのトレッドゴムの厚さの0.1〜0.9倍の厚さであることが好ましい。トレッドの車両旋回時の剛性を高めつつ、タイヤ全体の剛性が低くなりすぎるのを防止することができる。なお、トレッドゴムやトレッド表面ゴム層の厚さは、タイヤ径方向に沿って測った長さを意味するものとする。
また、同様な観点からは、トレッド表面ゴム層の厚さは、トレッドゴムの厚さの0.5〜0.9倍の厚さがより好ましく、さらに好ましくは、0.7〜0.8倍である。
また、トレッドゴムが3層以上のゴム層を有する場合(トレッド内側ゴム層が複数存在する場合)には、トレッド表面ゴム層以外の各トレッド内側ゴム層の100%モジュラスの大小関係は任意にすることができる。また、かかる場合、少なくとも一層のトレッド内側ゴム層の100%モジュラスが、トレッド表面ゴム層よりも100%モジュラスが大きければよく、好ましくは、全てのトレッド内側ゴム層がトレッド表面ゴム層よりも大きい。
[トレッド表面ゴム層]
トレッド表面ゴム層は、0℃におけるtanδが0.5以下であり、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であるゴム組成物から形成されている。また、この実施形態では、当該ゴム組成物が、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを70質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、ゴム組成物において、熱可塑性樹脂(B)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部である。
ここで、トレッド表面ゴム層23aのゴム組成物は、低温での燃費性能を向上させる観点から、0℃におけるtanδが、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.4以下である。なお、0℃におけるtanδの下限は特に限定されるものではないが、通常、0℃におけるtanδは、0.15以上である。ゴム組成物の0℃におけるtanδが0.5を超えると、タイヤの低温での燃費性能を十分に改善することができない。
また、ゴム組成物は、30℃におけるtanδが0.4以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以下であり、また、通常は0.1以上である。更に、ゴム組成物は、60℃におけるtanδが0.35以下であることが好ましく、より好ましくは0.3以下であり、また、通常は0.05以上である。この場合、広い温度範囲に渡って、タイヤの燃費性能を改善できる。
また、ゴム組成物は、燃費性能の温度依存性を低減する観点から、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が、好ましくは0.060以下、より好ましくは0.055以下、さらにより好ましくは0.050以下である。なお、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差の下限は特に限定されるものではなく、該差は0でもよい。ゴム組成物の30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070を超えると、タイヤの燃費性能の温度依存性を十分に低減することができない。
また、ゴム組成物は、ウェット性能の向上及び燃費性能の温度依存性を低減する観点から、0℃におけるtanδと30℃におけるtanδとの差が0.30以下であることが好ましく、0.14〜0.30であることが更に好ましく、より一層好ましくは0.15〜0.25、特に好ましくは0.16〜0.20以下である。
また、ゴム組成物は、燃費性能の温度依存性を低減する観点から、0℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.35以下であることが好ましく、より好ましくは0.24以下、より一層好ましくは0.23以下であり、該差は0でもよい。
また、ゴム組成物は、ウェット性能の観点から、動歪1%、0℃における貯蔵弾性率(E’)が、好ましくは18MPa以下、より好ましくは16MPa以下、また、好ましくは3MPa以上、より好ましくは5MPa以上である。動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であれば、低温でのゴム組成物の柔軟性が高く、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、トレッドゴムの接地性能がよくなり、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
また、ゴム組成物は、ウェット性能の観点から、引張強さ(Tb)が20MPa以上であることが好ましく、より好ましくは23MPa以上である。引張強さが20MPa以上のゴム組成物をトレッドゴムに用いると、トレッドゴム全体としての剛性が向上できる。
なお引張強さ(Tb)は、ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対して、JIS K6251−1993に準拠して測定するものとする。
[ゴム成分(A)]
ゴム組成物のゴム成分(A)は、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上含むことができる。なお、ゴム成分(A)中のイソプレン系ゴムの含有率の上限は特に限定されず、ゴム成分(A)の全量がイソプレン系ゴムであってもよい。ゴム成分(A)中のイソプレン系ゴムの含有率が50質量%以上であれば、ゴム組成物の低温での損失正接(tanδ)が小さくなり、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低温での燃費性能を改善することができる。
ここで、前記ゴム成分(A)としては、天然ゴム(NR)及び合成イソプレンゴム(IR)の他、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)等の合成ジエン系ゴムを含んでもよく、また、他の合成ゴムを含んでもよい。これらゴム成分(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
[熱可塑性樹脂(B)]
ゴム組成物は、熱可塑性樹脂(B)を含むことができる。ゴム組成物に熱可塑性樹脂(B)を配合することで、低歪領域での弾性率の低下を抑制しつつ、高歪領域での弾性率を低下させることができる。
前記熱可塑性樹脂(B)の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部であり、好ましくは8〜30質量部、より好ましくは10〜20質量部である。熱可塑性樹脂(B)の配合量がゴム成分(A)100質量部に対して5質量部以上であれば、ゴム組成物の高歪領域での弾性率を低下させることができ、また、40質量部以下であれば、ゴム組成物の低歪領域での弾性率の低下を抑制できる。
熱可塑性樹脂(B)としては、ウェット性能の観点から、C5系樹脂、C9系樹脂、C5−C9系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、アルキルフェノール樹脂またはテルペンフェノール樹脂が好ましく、これら熱可塑性樹脂(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、前記C5系樹脂とは、C5系合成石油樹脂を指し、該C5系樹脂としては、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC5留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる脂肪族系石油樹脂が挙げられる。前記C5留分には、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。なお、前記C5系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、エクソンモービル社製脂肪族系石油樹脂である「エスコレッツ(登録商標)1000シリーズ」、日本ゼオン株式会社製脂肪族系石油樹脂である「クイントン(登録商標)100シリーズ」の内「A100、B170、M100、R100」等が挙げられる。
前記C9系樹脂は、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレン等の石油化学基礎原料と共に副生するC9留分であるビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂である。ここで、ナフサの熱分解によって得られるC9留分の具体例としては、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等が挙げられる。該C9系樹脂は、C9留分と共に、C8留分であるスチレン等、C10留分であるメチルインデン、1,3−ジメチルスチレン等、更にはナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p−tert−ブチルスチレン等をも原料として用い、これらのC8〜C10留分等を混合物のまま、例えばフリーデルクラフツ型触媒により共重合して得られる。また、前記C9系樹脂は、水酸基を有する化合物、不飽和カルボン酸化合物等で変性された変性石油樹脂であってもよい。なお、前記C9系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、未変性C9系石油樹脂としては、商品名「ネオポリマーL−90」、「ネオポリマー120」、「ネオポリマー130」、「ネオポリマー140」(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)等が挙げられる。
前記C5−C9系樹脂とは、C5−C9系合成石油樹脂を指し、該C5−C9系樹脂としては、例えば、石油由来のC5−C11留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ触媒を用いて重合して得られる固体重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。該C5−C9系樹脂としては、C9以上の成分の少ない樹脂が、ゴム成分(A)との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C9以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC9以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを言うものとする。前記C5−C9系樹脂しては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「クイントン(登録商標)G100B」(日本ゼオン株式会社製)、商品名「ECR213」(エクソンモービルケミカル社製)等が挙げられる。
前記ジシクロペンタジエン樹脂は、シクロペンタジエンを二量体化して得られるジシクロペンタジエンを主原料に製造された石油樹脂である。前記ジシクロペンタジエン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、日本ゼオン株式会社製脂環式系石油樹脂である商品名「クイントン(登録商標)1000シリーズ」の内「1105、1325、1340」等が挙げられる。
前記ロジン樹脂は、マツ科の植物の樹液である松脂(まつやに)等のバルサム類を集めてテレピン精油を蒸留した後に残る残留物で、ロジン酸(アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸等)を主成分とする天然樹脂、及びそれらを変性、水素添加等で加工した変性樹脂、水添樹脂である。例えば、天然樹脂ロジン、その重合ロジンや部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジンや重合ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや重合ロジンなどが挙げられる。天然樹脂ロジンとして、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどがある。前記ロジン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「ネオトール105」(ハリマ化成株式会社製)、商品名「SNタック754」(サンノプコ株式会社製)、商品名「ライムレジンNo.1」、「ペンセルA」及び「ペンセルAD」(荒川化学株式会社製)、商品名「ポリペール」及び「ペンタリンC」(イーストマンケミカル株式会社製)、商品名「ハイロジン(登録商標)S」(大社松精油株式会社製)等が挙げられる。
前記アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドとの触媒下における縮合反応によって得られる。該アルキルフェノール樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「ヒタノール1502P」(日立化成株式会社製)、商品名「タッキロール201」(田岡化学工業株式会社製)、商品名「タッキロール250−I」(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「タッキロール250−III」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「R7521P」、「SP1068」、「R7510PJ」、「R7572P」及び「R7578P」(スケネクタディ社製)、商品名「R7510PJ」(SI GROUP INC.製)等が挙げられる。
前記テルペンフェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、又はさらにホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α−ピネンやリモネン等のモノテルペン炭化水素が好ましく、α−ピネンを含むものがより好ましく、特にα−ピネンであることが好ましい。該テルペンフェノール樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「タマノル803L」、「タマノル901」(荒川化学工業株式会社製)、商品名「YSポリスターU」シリーズ、「YSポリスターT」シリーズ、「YSポリスターS」シリーズ、「YSポリスターG」シリーズ、「YSポリスターN」シリーズ、「YSポリスターK」シリーズ、「YSポリスターTH」シリーズ(ヤスハラケミカル株式会社製)等が挙げられる。
[充填剤(C)]
前記ゴム組成物は、充填剤(C)を含み、該充填剤(C)は、シリカを70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含むことができる。なお、充填剤(C)中のシリカの割合の上限は特に限定されず、充填剤(C)の全量がシリカであってもよい。充填剤(C)中のシリカの割合が70質量%以上であれば、ゴム組成物の60℃におけるtanδが効果的に低下し、該ゴム組成物を適用したタイヤの通常走行時の燃費性能が効果的に向上する。
前記シリカとしては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、前記シリカの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して40〜70質量部の範囲が好ましく、45〜60質量部の範囲が更に好ましい。シリカの配合量がゴム成分100質量部に対して40質量部以上であれば、ゴム組成物の60℃におけるtanδが効果的に低下し、該ゴム組成物を適用したタイヤの通常走行時の燃費性能が効果的に向上し、また、70質量部以下であれば、ゴム組成物の柔軟性が高く、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、トレッドゴムの変形体積が大きくなって、タイヤのウェット性能をより向上させることができる。
ゴム組成物においては、前記充填剤(C)が更にカーボンブラックを含むことが好ましく、また、該カーボンブラックの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部の範囲が好ましく、3〜8質量部の範囲が更に好ましい。カーボンブラックを1質量部以上配合することで、ゴム組成物の剛性が向上し、10質量部以下配合することで、損失正接(tanδ)の上昇を抑制できるため、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの燃費性能とウェット性能を高いレベルで両立できる。
前記カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。この中から、タイヤのウェット性能を向上する観点から、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、前記カーボンブラックとして、窒素吸着比表面積が110m2/g以上のカーボンブラックおよび窒素吸着比表面積が80m2/g以下のカーボンブラックをさらに含むことが好ましい。窒素吸着比表面積が110m2/g以上のカーボンブラックを含有させることにより、ウェット性能を高いレベルで確保することができるとともに、窒素吸着比表面積が80m2/g以下のカーボンブラックを同時に含有させることで、タイヤの弾性率を確保することができ、操縦安定性を向上させることができる。
また、前記充填剤(C)は、上述したシリカ、カーボンブラックの他、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム等を含んでもよい。
ゴム組成物において、前記充填剤(C)の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して好ましくは30〜100質量部、より好ましくは40〜80質量部である。ゴム組成物中の充填剤(C)の配合量が前記範囲内であれば、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低温環境下での燃費性能とウェット性能を更に向上させることができる。
[軟化剤(D)]
ゴム組成物は、加工性、作業性の観点から、更に、軟化剤(D)を含むことができ、該軟化剤(D)の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、1.5〜3質量部の範囲が更に好ましい。軟化剤(D)を1質量部以上配合することで、ゴム組成物の混練が容易となり、また、軟化剤(D)を5質量部以下配合することで、ゴム組成物の剛性の低下を抑制できる。
ここで、前記軟化剤(D)としては、鉱物由来のミネラルオイル、石油由来のアロマチックオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル、天然物由来のパームオイル等が挙げられるが、これらの中でも、タイヤのウェット性能の観点から、鉱物由来の軟化剤及び石油由来の軟化剤が好ましい。
[シランカップリング剤(E)]
なお、ゴム組成物は、前記シリカの配合効果を向上させるために、更に、シランカップリッグ剤を配合することが好ましい。該シランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記シランカップリング剤の配合量は、前記シリカ100質量部に対して2〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲が更に好ましい。シランカップリング剤の配合量がシリカ100質量部に対して2質量部以上であれば、シリカの配合効果が十分に向上し、また、シランカップリング剤の配合量がシリカ100質量部に対して20質量部以下であれば、ゴム成分のゲル化の可能性が低い。
[その他の成分]
前記ゴム組成物は、上述した、成分(A)〜(E)の他にも、更に、脂肪酸金属塩を含むことが好ましい。該脂肪酸金属塩に用いられる金属としては、Zn、K、Ca、Na、Mg、Co、Ni、Ba、Fe、Al、Cu、Mn等が挙げられ、Znが好ましい。一方、前記脂肪酸金属塩に用いられる脂肪酸としては、炭素数4〜30の飽和又は不飽和の直鎖、分岐もしくは環状構造を有する脂肪酸、あるいはそれらの混合物が挙げられ、これらの中でも、炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。炭素数10〜22の飽和直鎖脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、また、炭素数10〜22の不飽和直鎖脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。前記脂肪酸金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記脂肪酸金属塩の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲が更に好ましい。
また、前記ゴム組成物は、更に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、老化防止剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して、通常の含有量の範囲内で配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、前記ゴム組成物は、公知の方法、例えば、前記ゴム成分(A)に、熱可塑性樹脂(B)と、充填剤(C)と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。ただし、ゴム組成物の動歪1%、0℃における貯蔵弾性率を低減する観点から、ノボラック型およびレゾール型フェノール樹脂、レゾルシン樹脂等の熱硬化性樹脂を配合しないことが好ましい。
前記加硫剤としては、硫黄等が挙げられる。
前記加硫剤の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部の範囲が好ましく、1.0〜4.0質量部の範囲が更に好ましい。加硫剤の含有量が硫黄分として0.1質量部以上であれば、加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性等を確保でき、また、10.0質量部以下であれば、ゴム弾性を十分に確保できる。特に、加硫剤の含有量を硫黄分として4.0質量部以下とすることで、タイヤのウェット性能をさらに向上でき、本発明の効果を高める面から好ましい。
また、前記加硫促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)等のチアゾール系加硫促進剤、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系加硫促進剤等が挙げられる。なお、本発明のゴム組成物は、上述のように、3種の加硫促進剤を含むことが好ましい。
前記加硫促進剤の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜5.0質量部の範囲が好ましく、0.2〜3.0質量部の範囲が更に好ましい。
[ゴム組成物の製造方法]
次に、ゴム組成物の製造方法の一実施形態を、詳細に説明する。
このゴム組成物の製造方法は、上述したゴム組成物の製造方法であって、加硫剤及び加硫促進剤を含む加硫系配合剤を除いて、前記天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、前記熱可塑性樹脂(B)と、前記シリカを70質量%以上含む充填剤(C)とを150〜165℃で混練する工程を含むことを特徴とする。
前記加硫系配合剤を除いて、150〜165℃で混練することで、早期加硫(スコーチ)を避けつつ、加硫系配合剤以外の配合剤をゴム成分(A)に均一に分散させることができ、各配合剤の配合効果が十分に発揮されて、ゴム組成物の0℃におけるtanδを効果的に低下させつつ、ゴム組成物の30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差を効果的に小さくすることができる。
なお、ゴム組成物のtanδ、各温度でのtanδの差、貯蔵弾性率(E’)、引張強さ(Tb)は、上述の混練温度の他、ゴム成分(A)の種類やブレンド比、熱可塑性樹脂(B)の種類や配合量、充填剤(C)中のシリカ含有量やシリカの種類等、更には他の配合剤の種類及び量を調整することでも、変化させることができる。
また、ゴム組成物の製造方法においては、150〜165℃で混練した後、更に150℃未満の別の温度で混練を行ってもよい。
更に、このゴム組成物の製造方法においては、加硫系配合剤以外の配合剤をゴム成分(A)に十分均一に分散させた後、加硫剤及び加硫促進剤を含む加硫系配合剤を配合して、早期加硫(スコーチ)を防止できる温度、例えば、90〜120℃で混練することが好ましい。
なお、このゴム組成物の製造方法において、各温度での混練は、混練時間に制限はなく、混練装置の大きさ、原料の体積、原料の種類や状態等を勘案して、適宜設定することができる。
なお、前記ゴム組成物から形成されるトレッド表面ゴム層を、前記トレッドゴムに用いる方法についても、公知の方法を採用することができる。例えば、上述のゴム組成物から形成されるトレッド表面ゴム層を、トレッドゴムの少なくともトレッドゴム表面に位置する部分に用いて生タイヤを成形し、常法に従って生タイヤを加硫することで製造できる。
[トレッド内側ゴム層]
本実施形態のトレッドゴムのトレッド内側ゴム層のゴム組成物は、上述のように、トレッド表面ゴム層のゴム組成物の100%モジュラスよりも大きければ、特に限定されないが、例えば以下のようにすることができる。
トレッド内側ゴム層のゴム組成物は、例えば、phr(ゴム成分100質量部当たりの質量部数)で天然ゴム(NR):ブタジエンゴム(BR)=50phr:50phr〜90phr:10phrとすることができる。また、トレッド内側ゴム層のゴム組成物は、カーボンブラックを30〜60phr含むのが好ましく、さらに、トレッド表面ゴム層のゴム組成物に含まれる熱可塑性樹脂(B)を含まないことが転がり抵抗の観点からさらに好ましい。なお、トレッド内側ゴム層のゴム組成物を、トレッド表面ゴム層のゴム組成物と同じにすることもできる。
また、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスは、公知の方法や加硫剤等の調整によりトレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きくすることができる。
[トレッドパターン]
第1の実施形態のタイヤ1は、上記のトレッドゴム23を備えるとともに、図2を用いて説明する以下のトレッドパターンを有するものとすることができる。
なお、本発明のタイヤ1では、上記のトレッドゴム23を備えていれば、任意のトレッドパターン、即ち、タイヤ1の全周にわたって、ラグ溝が設けられたフルラグパターン、タイヤ周方向に延びる溝およびタイヤ幅方向に延びる溝によって区画形成された複数のブロックからなるブロックパターン、さらに図2に示すような、タイヤ周方向に延びる溝によって区画形成されたリブ状陸部を有するリブパターンのいずれにもすることができる。
第1の実施形態のタイヤ1は、図2に示すように、トレッド踏面Tにおいて少なくとも1本のリブ状陸部3を備えている。具体的には、リブ状陸部3は、トレッド接地端Eとタイヤ周方向に連続して延びる周方向主溝4とで区画形成され、または、相互に隣り合う、タイヤ周方向に連続して延びる2本の周方向主溝4で区画形成される。なお、図示の例では、トレッド踏面Tに2本の周方向主溝4が設けられ、それにより、タイヤ幅方向外側のショルダー側に、トレッド接地端Eと1本の当該周方向主溝4とで1対のリブ状陸部(以下、ショルダーリブ状陸部とも称す)3sが区画形成され、また、タイヤ幅方向内側のセンター側に、2本の当該周方向主溝4で1本のリブ状陸部(以下、センターリブ状陸部とも称す)3sが区画形成されている。また、図2では、周方向主溝4は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる延在形態を示しているが、周方向主溝4はタイヤ周方向に連続的に延びるものであればよく、例えば、ジグザグ状、波状等の延在形態とすることができる。
また、この実施形態では、リブ状陸部3には、当該リブ状陸部3を横断する両端開口サイプは設けられていない。具体的には、リブ状陸部3においては、両端が、トレッド接地端Eと周方向主溝4との両方に、または、2本の周方向主溝4の両方に、開口する両端開口サイプが設けられていない。なお、この実施形態では、リブ状陸部3には、陸部を横断する溝やサイプでなければ任意の溝やサイプを配設することができる。また、リブ状陸部3が複数存在する場合には、図示の例のように全てのリブ状陸部3に両端開口サイプが設けられないことが好ましいが、少なくとも1本のリブ状陸部3に両端開口サイプが設けられないようにすることもできる。
また、リブ状陸部3には、一端が、周方向主溝4またはトレッド接地端Eに開口し、他端が、当該リブ状陸部3内で終端する一端開口サイプ5が設けられている。具体的には、一端開口サイプ5の一端は、2本の周方向主溝4のいずれか一方に開口し、または、トレッド接地端Eと周方向主溝4とのいずれか一方に開口している。
さらに、第1の実施形態では、リブ状陸部3、図示の例ではセンターリブ状陸部3cに配設された一端開口サイプ5cは、当該一端開口サイプ5cの他端からタイヤ周方向に、好ましくはタイヤ周方向に対して30°以下の傾斜角度で延びる周方向サイプ部分5c1と、当該周方向サイプ部分5c1からタイヤ幅方向に、好ましくはタイヤ幅方向にタイヤ幅方向に対して30°以下の傾斜角度で延びて周方向主溝4に開口する幅方向サイプ部分5c2と、を備えている。なお、一端開口サイプ5cの幅方向サイプ部分5c2の周方向主溝4への開口部は、一端開口サイプ5cの一端となっている。また、一端開口サイプ5cがショルダーリブ状陸部3sに配設される場合には、幅方向サイプ部分は周方向主溝またはトレッド接地端Eに開口させることができる。
また、一端開口サイプ5は、それぞれタイヤ周方向に複数設けられており、それぞれの一端開口サイプ5は、リブ状陸部3の幅方向中心線に対して幅方向両側の陸部半部において、所定の長さのピッチ長Lで、タイヤ周方向に並んで配設されている。また、センターリブ状陸部3cにおいては、各列の一端開口サイプ5cは、相互にタイヤ周方向にずれ、また、点対称にすることができる。なお、ピッチ長Lは、タイヤ周方向で変化せず一定であってもよいし、タイヤ周方向で変化して一定ではなくてもよい。図2に示す例では、一端開口サイプ5cのピッチ長Lを、タイヤ周上で変化させたパターンP1〜P3となっている。図2のパターンP1〜P3は、それぞれ順に相対的にピッチ長が長くなっており、図2に示すトレッドパターンはタイヤ周上においてパターンP1〜P3が順に繰り返し設けられている。なお、図2の例では、ピッチ長Lを変更した3種類のパターンを示したが、2種類または4種類以上のパターンとすることは任意である。また、パターンP1〜P3を順に繰り返し設けているが、パターン配置の順序は任意であり、例えば1つパターンのみを複数回繰り返し配置した後、他のパターンを1回または複数回配置することもできる。
リブ状陸部3には、当該リブ状陸部3内で両端が終端し、周方向主溝4やトレッド接地端Eに対して直接的および間接的に開口しない(他のサイプや溝を介して周方向主溝4やトレッド接地端Eに連通しない)両端閉口サイプ6が設けられている。なお、図示の例では、センターリブ状陸部3cでは、両端閉口サイ6cは、トレッド踏面T視で円形のサイプ、すなわち、円形の小穴であり、一端開口サイプ5cの周方向サイプ部分5c1に対してリブ状陸部3cの幅方向外側に配設されている。また、ショルダーリブ状陸部3sでは、両端閉口6sサイプは、トレッド踏面T視で円形のサイプ、および湾曲したサイプとして配設されている。
ここで、第1の実施形態のトレッドパターンによる作用効果を説明する。
第1の実施形態のタイヤ1では、陸部3を横断する溝が配設されていないリブ状陸部3を備えるので、タイヤ1の周方向の陸部剛性(周方向せん断剛性)が高まり、タイヤ1の路面に対する摩擦力がより増加し、それ故に、ウェット性能をさらに向上させることができる。
また、この実施形態では、リブ状陸部3には、当該リブ状陸部3を横断する両端開口サイプが設けられていないので、リブ状陸部3の周方向剛性を高い状態で維持することができ、それゆえに高いウェット性能を実現することができる。
また、この実施形態では、リブ状陸部3には一端開口サイプ5が設けられているので、リブ状陸部3の周方向剛性を高い状態で維持しつつ、また、タイヤ1が湿潤路面に接地した状態においては、一端開口サイプ5が路面とタイヤ1の水膜を除去してトレッド踏面Tと路面との実接地面積を増大させることができる。その結果として、ウェット性能をより十分に向上させることができる。
また、この実施形態でセンターリブ状陸部3cに配設したように、一端開口サイプ5cを、周方向サイプ部分5c1と幅方向サイプ部分5c2とを含むように構成した場合には、周方向サイプ部分5c1によって、リブ状陸部3の周方向剛性を保持しつつトレッドの圧縮剛性(タイヤ径方向の剛性)を効果的に低下させて実接地面積を増大させ、また、周方向主溝4等に開口する幅方向サイプ部分5c2によって、上述のように、路面との間に生じ得る水膜を除去することができので、それゆえに、ウェット性能をさらに十分に向上させることができる。
さらに、この実施形態では、リブ状陸部3には両端閉口サイプ6が設けられているので、サイプ端の周方向主溝4等への開口による例えば周方向剛性の低下を防止しつつ圧縮剛性を低減させることができる。それゆえに、実接地面積が増大し、ウェット性能をより向上させることができる。
なお、図示の例では、コーナリング性能の観点から2本の周方向主溝4で区画形成するリブ状陸部3、ここではセンターリブ状陸部3cにのみ、周方向サイプ部分5c1と幅方向サイプ部分5c2とを備える一端開口サイプ5cを設けているが、周方向サイプ部分5c1と幅方向サイプ部分5c2とを備える一端開口サイプ5を、センターリブ状陸部3cとともにショルダーリブ状陸部3sに、またはショルダーリブ状陸部3sのみに、配設することもできる。
また、この実施形態では、センターリブ状陸部3cに配設された一端開口サイプ5cは、タイヤ周方向に沿って測った所定ピッチ長L(mm)で配設されるとともに、当該陸部3cの陸部幅W(mm)と、1つのピッチ長L(mm)の範囲内に配設された当該陸部3c内の一端開口サイプ5cのタイヤ幅方向サイプ成分総長Ws(mm)と、ピッチ長L(mm)と、1つのピッチ長L(mm)の範囲内に配設された当該陸部3c内の一端開口サイプ5cのタイヤ周方向サイプ成分総長Ls(mm)との関係が、
0.4W≦Ws≦1.2W、および、0.6L≦Ls≦3L
を満たすことが好ましい。
この構成によれば、周方向せん断剛性の低下を抑制して粘着限界を維持しつつ、圧縮剛性を低減して実路接地面積を向上させることができるので、ウェット性能を向上させることができる。具体的には、1つのピッチ長L(mm)の範囲内のタイヤ幅方向サイプ成分総長Ws(mm)を、陸部幅W(mm)の0.4倍以上にすることにより、排水性を向上させることができ、陸部幅W(mm)の1.2倍以下にすることにより、周方向せん断剛性の低下を抑制することができる。また、1つのピッチ長L(mm)の範囲内のタイヤ周方向サイプ成分総長Ls(mm)を、ピッチ長L(mm)の0.6倍以上にすることにより、圧縮剛性を十分に低減することができ、ピッチ長L(mm)の3倍以下にすることにより、コーナリングパワーを十分に維持することができ、それゆえに、操縦安定性能の低下を抑制することができる。上記のようなトレッドゴム4を有することで、通常のトレッドゴムを有するタイヤと比較してコーナリングパワーが大きくなり、操縦安定性能が向上するところ、操縦安定性能が良好であるのでタイヤ周方向サイプ成分Lsを大きくしても操縦安定性能の低下を抑制することができる。
なお、図2の例では、一端開口サイプ5cのピッチ長Lが、タイヤ周上で変化させたパターンとなっているが、少なくともセンターリブ状陸部3cで、ピッチ長L(mm)で配設した一端開口サイプ5cが、すべてのパターンP1〜P3中で、0.4W≦Ws≦1.2W、および、0.6L≦Ls≦3Lを満たしている。
ここで、「ピッチ長L」とは、一の一端開口サイプのタイヤ周方向一端から、当該一の一端開口サイプとタイヤ周方向に隣り合う一端開口サイプの対応するタイヤ周方向一端までを、タイヤ周方向に沿って測った展開図上での長さをいう。また、「陸部幅W」とは、陸部をタイヤ幅方向に沿って測った長さをいう。また、「1つのピッチ長Lの範囲内に配設された陸部内の一端開口サイプのタイヤ幅方向サイプ成分総長Ws」とは、1つのピッチ長Lの範囲内に配設された陸部内の一端開口サイプをタイヤ周方向に投影してタイヤ幅方向に沿って測った長さであり、当該範囲の一端開口サイプをタイヤ周向に投影した際に、例えば一端開口サイプが複数本存在し或いは一端開口サイプが折れ曲がる等することによって、投影した一端開口サイプに重複した部分がある場合には、当該重複した部分を重複した分だけ加算した長さをいうものとする。また、「1つのピッチ長Lの範囲内に配設された陸部内の一端開口サイプのタイヤ周方向サイプ成分総長Ls」とは、1つのピッチ長Lの範囲内に配設された陸部内の一端開口サイプをタイヤ幅方向に投影してタイヤ周方向に沿って測った長さであり、「タイヤ幅方向サイプ成分総長Ws」と同様に、投影した一端開口サイプに重複した部分がある場合には、当該重複した部分を重複した分だけ加算した長さをいうものとする。
さらに、この実施形態では、一端開口サイプ5cが配設されたセンターリブ状陸部3cにおいて、1つのピッチ長L(mm)の範囲内に、両端閉口サイプ6cが少なくとも1個配設されるとともに、両端閉口サイプ6cの、トレッド踏面への開口面積S(mm2)が0.1≦S≦4の範囲内であることが好ましい。また、より好ましくは両端閉口サイプ6cが小穴である。
この構成によれば、上述のように、周方向せん断剛性を保持しつつ圧縮剛性を低減することができるので、ウェット性をより向上させることができる。また、センターリブ状陸部3cでは、一端閉口サイプ5cの配設だけでは、陸部3c内に、例えば一端閉口サイプ5cで囲まれるブロック状部分が形成されるところ、上記の両端閉口サイプ6cを当該ブロック状部分に配設することにより、圧縮剛性を均一に低減させることができる。
なお、両端閉口サイプ6cが1つのピッチ長L(mm)の範囲内に複数個配設される場合には、それら複数の両端閉口サイプ6cの平均値をいうものとする。
また、図2の例では、パターンP1、P2では、両端閉口サイプ(ここでは小穴)6cを、1つのピッチ長L(mm)の範囲内に2個配設しているのに対して、パターンP3においては、両端閉口サイプ6cを、1つのピッチ長L(mm)の範囲内に3個配設している。
さらに、この実施形態では、一端開口サイプ5cが配設されたセンターリブ状陸部3cにおいて、ピッチ長L(mm)と、1つの当該ピッチ長L(mm)の範囲内に配設された両端閉口サイプ6cの個数N(個)との関係が、0.1≦N/L≦0.3であることが好ましい。
この構成によれば、ウェット性能をさらに向上させることができる。具体的には、N/Lc(個/mm)を、0.1以上にすることにより、圧縮剛性を十分低減することができ、N/Lc(個/mm)を0.3以下にすることにより、センターリブ状陸部3cの面積の低下を防止することができ、また、コーナリングパワーが低下するのを防止することができる。
ところで、図2に示すタイヤ1では、トレッド踏面Tに、周方向主溝4を2本設けてリブ状陸部3を3本設けているが、トレッド踏面Tに、周方向主溝4を3本以上設けて、当該3本以上の周方向主溝4およびトレッド接地端Eで区画形成される複数の陸部の全てをリブ状陸部3にして本発明のサイプを配設することや、当該複数の陸部のうちの一部の陸部をリブ状陸部3にして本発明のサイプを配設することもできる。
また、図2では、各リブ状陸部3に、一端開口サイプ5および両端閉口サイプ6の両方を配設しているが、一方のみを配設することもできる。
さらに、本実施形態では、各サイプは、その深さ方向に直線状に延びるサイプ(二次元サイプ)であることが排水性を高める観点から好ましいが、深さ方向に例えばジグザグ状に屈曲して延びるサイプ(三次元サイプ)とすることもできる。
また、本実施形態(第1の実施形態)では、上述のように、リブ状陸部3には両端開口サイプが設けられていないことが好ましいが、第1の実施形態の変形例として、リブ状陸部3のうちの全てまたは一部において、リブ状陸部3に、深さ方向に例えばジグザグ状に屈曲して延びる両端開口サイプを配設することもできる。
ここで、この実施形態では、タイヤのサイズは特に限定されるものではないが、以下のようなサイズを有する乗用車用空気入りタイヤとして用いることが好ましい。
タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした無負荷状態において、タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、タイヤの断面幅SW(mm)と外径OD(mm)との比SW/ODが0.26以下であり、タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、タイヤの断面幅SW(mm)と外径OD(mm)との関係が、
2.135×SW+282.3≦OD
を満たすことが好ましい(以下、この関係になる場合のタイヤサイズを狭幅大径サイズとも称す)。タイヤが、上記の関係であることにより、狭幅、大径の形状となり、タイヤの転がり抵抗性能を向上させ(転がり抵抗値を低減させ)、かつ、タイヤを軽量化することができる。
また、タイヤの転動時の内圧は、250kPa以上であることが好ましく、250〜350kPaであることがより好ましい。狭幅大径サイズのタイヤにおいては接地長が増大しやすいが、250kPa以上とすることにより接地長の増大を抑えて、トレッドゴムの変形量を低減し、転がり抵抗をさらに低減することができる。
また、タイヤの転がり抵抗値を低減し、かつ、タイヤを軽量化する観点から、タイヤの転動時の内圧が、250kPa以上の場合に、タイヤ1の断面幅SW(mm)と外径OD(mm)は、−0.0187×SW2+9.15×SW−380≦ODの関係を満たすことが好ましい。
なお、タイヤの「断面幅SW」および「外径OD」とは、それぞれ、タイヤをリムに装着し、内圧を250kPa以上とした無負荷状態での、JIS D 4202−1994に規定の断面幅、外径をいう。
また、本実施形態の、所定のゴム組成物から形成されるトレッド表面ゴム層を有する空気入りタイヤは、様々な製法により製造することができる。製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、トレッド表面ゴム層を有するトレッドゴムを備えるトレッド部と当該トレッド部以外とを組み合わせて一体として加硫を行い、製品タイヤとすることができ、あるいは、本発明の、トレッド表面ゴム層を有するトレッドゴムを備えるトレッド部のみを加硫工程で製造したのち、当該トレッド部以外を組み合わせて製品タイヤとすることもできる。さらには、使用済みのタイヤのトレッド部を除去した後、本発明の、トレッド表面ゴム層を有するトレッドゴムを備えるトレッド部を新たに組み合わせて製品タイヤとする方法を取ることもできる。
以上、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明したが、本発明の空気入りタイヤは、上記一例に限定されることは無く、以下に説明するように、適宜変更を加えることができる。
本発明の空気入りタイヤのタイヤサイズとしては、具体的には、105/50R16、115/50R17、125/55R20、125/60R18、125/65R19、135/45R21、135/55R20、135/60R17、135/60R18、135/60R19、135/65R19、145/45R21、145/55R20、145/60R16、145/60R17、145/60R18、145/60R19、145/65R19、155/45R18、155/45R21、155/55R18、155/55R19、155/55R21、155/60R17、155/65R13、155/65R18、155/70R17、155/70R19、165/45R22、165/55R16、165/55R18、165/55R19、165/55R20、165/55R21、165/60R19、165/65R19、165/70R18、175/45R23、175/55R18、175/55R19、175/55R20、175/55R22、175/60R18、175/65R15、185/45R22、185/50R16、185/50R20、185/55R19、185/55R20、185/60R17、185/60R19、185/60R20、195/50R20、195/55R20、195/60R19、195/65R17、205/50R21、205/55R16、205/55R20、205/60R16、205/60R18、215/50R21、215/60R17、225/65R17が例として挙げられる。
ここで、本発明では、トレッドを占める溝量を少なくすることがウェット性能とその他の性能との両立の観点から好ましい。具体的には、溝体積率(溝体積V2/トレッドゴム体積V1)を20%以下とすることが好ましく、また、ネガティブ率(トレッド踏面の面積に対する、溝面積の割合)を20%以下とすることが好ましい。これらの値は、従来サイズの乗用車用空気入りラジアルタイヤにおける標準的な値よりも低い値である。
ウェット性能を向上させるには、溝量を増やすのが一般的な考え方であるが、狭幅大径サイズの空気入りタイヤの場合には、接地面の幅Wが狭くなるため、図3(b)に、図3(a)との対比で示すように、水がタイヤ幅方向に排出されやすくなる。このため、溝量を減らしてもウェット性能は維持され、かつ陸部剛性の増大によりコーナリングパワーなど他性能も向上させることができるのである。
なお、溝体積率は、例えば、ベルト層のうちタイヤ幅方向に最大幅を有する、最大幅ベルト層の幅方向両端部よりタイヤ幅方向内側にあり、且つ、タイヤ幅方向中央位置における、タイヤ径方向最外側の補強部材(ベルト層及びベルト補強層)よりタイヤ径方向外側にあるトレッドゴムの体積をV1とし、トレッド踏面に形成した溝の合計体積をV2とするとき、比V2/V1と定義される。
ここで、本発明にあっては、タイヤの車両装着方向が指定される場合には、タイヤ赤道面CLを境界とした車両装着内側と車両装着外側とのタイヤ幅方向半部間でネガティブ率に差を設けてもよい。
本発明にあっては、図4に示すように、タイヤ赤道面CLの近傍からトレッド接地端Eまでタイヤ幅方向に延びる幅方向溝100を有するパターンとしてもよく、この場合は、周方向主溝を含まなくてもよい。このような幅方向溝100が主体のパターンによれば、特に雪上性能を効果的に発揮することができる。
本発明では、リブ状陸部のうち、タイヤ幅方向最外側の周方向主溝とトレッド接地端Eにより区分されるショルダーリブ状陸部に関しては、様々な構成を採用することができる。例えば、車両装着方向が指定されるタイヤおいて、車両装着外側と内側におけるショルダーリブ状陸部のタイヤ幅方向の幅を変えることもできる。なお、操縦安定性を考慮した場合には車両装着外側のショルダーリブ状陸部のタイヤ幅方向の幅を車両装着内側のショルダーリブ状陸部のタイヤ幅方向の幅よりも大きくすることが好ましい。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤの場合には、バックリングを抑制してコーナリングパワーを向上させる観点からは、タイヤを車両に装着した際に周方向主溝から車両装着内側に延びる一端開口溝を設けることが好ましい。
具体的には、図5に示すように、トレッド踏面Tにおける、タイヤ赤道面CLを境界とする少なくとも一方の半部において、トレッド接地端Eに隣接し、且つトレッド接地端Eとのトレッド幅方向の距離が、トレッド幅TWの25%以上離間した、トレッド周方向に延びるトレッド端側主溝110を有し、トレッド端側主溝110とトレッド接地端Eとによって区画されるトレッド接地端側陸部に隣接する陸部111の1つに、トレッド接地端側主溝110からトレッド幅方向に延びて隣接陸部111内に留まる、少なくとも1本の一端開口溝112を有することが好ましい。なお、図5における、溝113は、主溝より溝深さの小さい浅溝である。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤの場合には、車両装着外側では圧縮応力を受け、車両装着内側では引張応力を受けることとなり、これらの応力により、トレッドゴムが変形し、ベルトが変形して、接地面が浮き上がってしまう。
ここで、トレッド接地端側主溝110からトレッド幅方向に延びて陸部111内に留まる一端開口溝112を有するため、陸部内の車両装着外側においては、圧縮応力により一端開口溝112が閉じる構造となるため、一端開口溝112を設けない場合や、一端開口溝112が車両装着外側まで延びていない場合と比べて、圧縮応力によるトレッドやベルトの変形が抑制される。
さらに、一端開口溝112が陸部内に留まるため、車両装着内側まで一端開口溝112が延在している場合と比較して、車両装着内側での引張応力に対する剛性が高くなり、これによりトレッドやベルトの変形が抑制される。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤの場合には、図6に示すように、タイヤ幅方向断面にて、タイヤ赤道面CLにおけるトレッド表面上の点Pを通りタイヤ幅方向に平行な直線をm1とし、接地端E’を通りタイヤ幅方向に平行な直線をm2として、直線m1と直線m2とのタイヤ径方向の距離を落ち高LCRとし、タイヤのトレッド幅をTW’とするとき、比LCR/TW’を0.045以下とすることが好ましい。比LCR/TW’を上記の範囲とすることにより、タイヤのクラウン部がフラット化(平坦化)し、接地面積が増大して、路面からの入力(圧力)を緩和して、タイヤ径方向の撓み率を低減し、タイヤの耐久性及び耐摩耗性を向上させることができる。
ここで、上記「接地端E’」とは、タイヤをリムに装着し、タイヤを装着する車両毎に規定される最高空気圧を充填して平板上に垂直に置き、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷に相当する重量を負荷した際の、平板との接触面における、タイヤ幅方向両端点をいう。
本発明では、トレッドゴムはタイヤ幅方向に異なる複数のゴム層で形成されていてもよい。上記の複数のゴム層としては正接損失、モジュラス、硬度、ガラス転移温度、材質等が異なっているものを使用することができる。
本発明のタイヤは、タイヤ周方向に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなる傾斜ベルト層を有することが好ましく、この場合、傾斜ベルト層は1層のみとすることもできる。但し、狭幅大径サイズの乗用車用タイヤにおいては、傾斜ベルト層が1層のみでは旋回時の接地面形状が歪みやすいため、2層以上の層間でコードが互いに交差する方向に延びる傾斜ベルト層とすることが好ましい。本発明の空気入りタイヤでは、2層のベルト層が傾斜ベルト層を形成するベルト構造が最も好ましい。
本発明では、最もタイヤ幅方向の幅の大きい最大幅傾斜ベルト層のタイヤ幅方向の幅が、トレッド幅TWの90%〜115%であることが好ましく、トレッド幅TWの100%〜105%であることが特に好ましい。
本発明において、傾斜ベルト層のベルトコードとしては、金属コード、特にスチールコードを用いるのが最も一般的であるが、有機繊維コードを用いることも可能である。スチールコードはスチールを主成分とし、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄、銅、クロムなど種々の微量含有物を含むことができる。
本発明において、傾斜ベルト層のベルトコードはモノフィラメントコードや、複数のフィラメントを撚り合せたコードを用いることができる。撚り構造も種々の設計が採用可能であり、断面構造、撚りピッチ、撚り方向、隣接するフィラメント同士の距離も様々なものを用いることができる。さらには異なる材質のフィラメントを撚り合せたコードを用いることもでき、断面構造としても特に限定されず、単撚り、層撚り、複撚りなど様々な撚り構造を取ることができる。
本発明では、傾斜ベルト層のベルトコードの傾斜角度は、タイヤ周方向に対して10°以上とすることが好ましい。
本発明では、傾斜ベルト層のベルトコードの傾斜角度を高角度、具体的にはタイヤ周方向に対して35°以上、特にタイヤ周方向に対して55°〜85°の範囲とすることが好ましい。
傾斜角度を35°以上とすることにより、タイヤ幅方向に対する剛性を高め、特にコーナリング時の操縦安定性能を向上させることができるからである。また、層間ゴムのせん断変形を減少させて、転がり抵抗性能を向上させることができるからである。
本発明のタイヤは、傾斜ベルト層のタイヤ径方向外側に1層以上の周方向ベルト層からなる周方向ベルトを有することができる。
傾斜ベルト層のベルトコードの傾斜角度θ1、θ2が35°以上の場合には、周方向ベルトは、タイヤ赤道面CLを含む中央領域Cの単位幅あたりのタイヤ周方向剛性が、その他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性より高いことが好ましい。
図7は、ベルト構造の一例を概略的に示しており、傾斜ベルト層121、122のタイヤ径方向外側に周方向ベルト層123、124が積層されており、中央領域Cにおいて、周方向ベルト層123、124が互いにタイヤ径方向に重なっている。
例えば、図7に示すように、当該中央領域Cにおける周方向ベルト層の層数をその他の領域より多くすることにより、中央領域Cの単位幅あたりのタイヤ周方向剛性を、その他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性より高くすることができる。
傾斜ベルト層のベルトコードがタイヤ周方向に対して35°以上で傾斜するタイヤの多くは、400Hz〜2kHzの高周波域において、断面方向の1次、2次および3次等の振動モードにて、トレッド踏面が一律に大きく振動する形状となるため、大きな放射音が生じる。そこで、トレッドのタイヤ幅方向中央領域のタイヤ周方向剛性を局所的に増加させると、トレッドのタイヤ幅方向中央領域がタイヤ周方向に広がり難くなり、トレッド踏面のタイヤ周方向への広がりが抑制される結果、放射音を減少させることができる。
さらに、上述のごとく、タイヤ赤道面CLを含む中央領域のタイヤ周方向の剛性を高めたタイヤでは、トレッドはトレッド踏面の少なくともタイヤ赤道面CLを含む領域に、タイヤ周方向に連続する陸部を有することが好ましい。タイヤ赤道面CL上又はその付近に周方向主溝を配置すると、当該領域におけるトレッドの剛性が低下して、該周方向主溝を区画する陸部における接地長が極端に短くなる場合がある。そこで、タイヤ赤道面CLを含む一定領域にわたって、タイヤ周方向に連続する陸部(リブ状陸部)を配置することが、コーナリングパワーを低減させることなく騒音性能を改善する観点から好ましい。
図8は、ベルト構造の他の例を概略的に示しており、2層の傾斜ベルト層131、132のタイヤ径方向外側に、1層の周方向ベルト層133が積層されている。
本発明にあっては、図8に示す例のように、傾斜ベルト層のベルトコードの傾斜角度が35°以上の場合には、傾斜ベルト層は、タイヤ幅方向の幅の異なる2層の傾斜ベルト層を少なくとも含み、最広幅の傾斜ベルト層をなすコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度θ1と、最狭幅の傾斜ベルト層をなすコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度θ2とが、35°≦θ1≦85°、10°≦θ2≦30°、及び、θ1>θ2を満たすことが好ましい。
タイヤ周方向に対して35°以上で傾斜するベルトコードを有する傾斜ベルト層を備えたタイヤの多くは、400Hz〜2kHzの高周波域において、断面方向の1次、2次および3次等の振動モードにて、トレッド踏面が一律に大きく振動する形状となるため、大きな放射音が生じる。そこで、トレッドのタイヤ幅方向中央領域のタイヤ周方向剛性を局所的に増加させると、トレッドのタイヤ幅方向中央領域がタイヤ周方向に広がり難くなり、トレッド面のタイヤ周方向への広がりが抑制される結果、放射音を減少させることができる。
図9は、ベルト構造の別の例を概略的に示しており、2層の傾斜ベルト層141、142のタイヤ径方向外側に、1層の周方向ベルト層143が積層されている。
狭幅大径サイズの乗用車用タイヤにおいては、周方向ベルト層は高剛性であることが好ましく、より具体的にはタイヤ周方向に延びるコードのゴム引き層からなり、コードのヤング率をY(GPa)、打ち込み数をn(本/50mm)とし、周方向ベルト層をm層として、X=Y×n×mと定義するとき、1500≧X≧750であることが好ましい。狭幅大径サイズの乗用車用タイヤにおいては、路面からの旋回時における入力に対しタイヤ周方向において局所的な変形を起こし、接地面は略三角形状、すなわち、タイヤ幅方向の位置によって周方向の接地長が大きく変化する形状となりやすい。これに対し、高剛性の周方向ベルト層とすることにより、タイヤのリング剛性が向上して、タイヤ周方向の変形が抑制されることとなるため、ゴムの非圧縮性により、タイヤ幅方向の変形も抑制され、接地形状が変化しにくくなる。さらには、リング剛性が向上することにより偏心変形が促進され、転がり抵抗も同時に向上する。この転がり抵抗の向上効果は、狭幅大径サイズの空気入りタイヤにおいて、特に向上効果の幅が大きくなる。
さらに、上記のように高剛性の周方向ベルト層を用いた場合には、傾斜ベルト層のベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度を高角度、具体的には35°以上とすることが好ましい。高剛性の周方向ベルト層を用いた場合には、タイヤ周方向の剛性が高くなるこいとにより、タイヤによっては、接地長が減少してしまうことがある。そこで、高角度の傾斜ベルト層を用いることにより、タイヤ周方向の面外曲げ剛性を低下させて、踏面変形時のゴムのタイヤ周方向の伸びを増大させ、接地長の減少を抑制することができる。
また、本発明では、周方向ベルト層には、破断強度を高めるために波状のコードを用いてもよい。同様に破断強度を高めるために、ハイエロンゲーションコード(例えば破断時の伸びが4.5〜5.5%)を用いてもよい。
さらに、本発明では、周方向ベルト層には、種々の材質が採用可能であり、代表的な例としては、レーヨン、ナイロン、ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド、ガラス繊維、カーボン繊維、スチール等が採用できる。軽量化の点から、有機繊維コードが特に好ましい。
ここで、本発明では、周方向ベルト層のコードはモノフィラメントコードや、複数のフィラメントを縒り合せたコード、さらには異なる材質のフィラメントを縒り合せたハイブリットコードを採用することもできる。
また、本発明では、周方向ベルト層の打ち込み数は、20〜60本/50mmの範囲とすることができるが、この範囲に限定されるのもではない。
さらに、本発明では、タイヤ幅方向に剛性・材質・層数・打ち込み密度等の分布を持たせることもでき、例えばタイヤ幅方向端部のみにおいて、周方向ベルト層の層数を増やすこともでき、一方でセンター部のみにおいて、周方向ベルト層の層数を増やすこともできる。
また、本発明では、周方向ベルト層は、傾斜ベルト層よりも広幅または狭幅に設計することができる。例えば、傾斜ベルト層のうちタイヤ幅方向の幅の最も大きい最大幅傾斜ベルト層の90%〜110%のタイヤ幅方向の幅とすることができる。
ここで、周方向ベルト層は、スパイラル層として構成することが製造の観点から特に有利である。
なお、本発明では、周方向ベルト層を設けないことも可能である。
本発明では、カーカスラインには様々な構造を採用することができる。例えば、タイヤ径方向において、カーカス最大幅位置をビード部側に近づけることも、トレッド側に近づけることもできる。例えば、カーカス最大幅位置は、ビードベース部からタイヤ径方向外側に、タイヤ断面高さ対比で50%〜90%の範囲に設けることができる。
また、本発明では、カーカスも様々な構造を採用することができる。例えば、カーカスの打ち込み数としては、20〜60本/50mmの範囲とすることができるが、これに限定されるものではない。
さらに、例えば、カーカスの折り返し端をビードフィラのタイヤ径方向端よりもタイヤ径方向内側に位置させることができ、またカーカス折り返し端をビードフィラのタイヤ径方向外側端やタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置させ、場合によっては傾斜ベルト層のタイヤ幅方向端よりもタイヤ幅方向内側まで延在させることもできる。さらに、カーカスが複数枚のカーカスプライで構成される場合には、カーカス折り返し端のタイヤ径方向位置を異ならせることもできる。また、そもそもカーカス折り返し部を存在させずに、複数のビードコア部材で挟みこんだり、ビードコアに巻きつけた構造を採用したりすることもできる。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤにおいて、タイヤサイド部を薄くすることが好ましい。「タイヤサイド部を薄くする」とは、例えば、ビードフィラのタイヤ幅方向断面積S1を、ビードコアのタイヤ幅方向断面積S2の1倍以上4倍以下とすることができる。また、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部のゲージTsと、ビードコアのタイヤ径方向中心位置におけるビード幅Tbとの比Ts/Tbを、15%以上40%以下とすることができる。また、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部のゲージTsと、カーカスコードの径Tcとの比Ts/Tcを5以上10以下とすることができる。
なお、ゲージTsはゴム、補強部材、インナーライナーなどすべての部材の厚みの合計となる。また、ビードコアがカーカスによって複数の小ビードコアに分割されている構造の場合には、全小ビードコアのうち幅方向最内側端部と最外側端部の距離をTbとする。
本発明では、タイヤ最大幅位置は、ビードベース部からタイヤ径方向外側に、タイヤ断面高さ対比で50%〜90%の範囲に設けることができる。
本発明のタイヤは、リムガードを有する構造とすることもできる。
本発明のタイヤは、ビードフィラを設けない構造とすることもできる。
本発明では、ビードコアは断面円形や断面多角形状など、様々な構造を採用することができる。また、カーカスをビードコアに巻きつける構造のほか、カーカスを複数のビードコア部材で挟みこむ構造とすることもできる。
本発明では、ビード部には補強等を目的としてゴム層・コード層等をさらに設けることもできる。このような追加部材はカーカスやビードフィラに対して様々な位置に設けることができる。
本発明では、インナーライナーを厚くすることが、80−100Hzの車内騒音を低減する観点から好ましい。具体的には通常(1.0mm程度)よりも厚い1.5mm〜2.8mm程度とすることが好ましい。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤは特に高内圧使用化において80−100Hzの車内騒音が悪化しやすいという知見が得られている。インナーライナーを厚くすることで振動減衰性を高め、80−100Hzの車内騒音を低減することができる。なお、インナーライナーは転がり抵抗に寄与するロスが、トレッド等の他の部材と比較すると小さいため、転がり抵抗の悪化を最小限にとどめつつ、騒音性能を改善することができる。
本発明では、インナーライナーは、ブチルゴムを主体としたゴム層のほか、樹脂を主成分とするフィルム層によって形成することもできる。
本発明では、空洞共鳴音を低減するために、タイヤ内面に、多孔質部材を配置したり、静電植毛加工を行ったりすることもできる。
本発明のタイヤは、タイヤ内面に、パンク時の空気の漏れを防ぐためのシーラント部材を備えることもできる。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤサイド部に断面三日月型の補強ゴムを有した、サイド補強型ランフラットタイヤとすることもできる。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤにおいて、サイド補強型ランフラットタイヤとする場合には、サイド部を簡素化させた構造により、ランフラット耐久性と燃費性能の両立を実現することができる。これは、狭幅大径サイズの乗用車用空気入りランフラットタイヤの場合には、ランフラット走行時に、サイド部及びトレッド部の変形が相対的に小さく、一方でショルダー部からバットレス部にかけて相対的に変形が大きくなるという知見に基づくものである。この変形は、従来サイズではサイド部に変形が相対的に大きくなるのと対照的である。
このような、狭幅大径サイズに特徴的な変形のために、簡素化構造によってもランフラット耐久性を十分に確保し、かつ燃費性能をさらに向上させることができる。
具体的な簡素化手法としては少なくとも以下の(i)〜(iii)のいずれか1つの条件を満たすことにより可能となる。
図10は、本発明のタイヤがランフラットタイヤである場合における、本発明の第3の実施形態にかかるタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
(i)図10に示すように、カーカス折り返し部の折り返し端Aが、タイヤ最大幅位置Pよりタイヤ径方向内側に位置する、(ii)タイヤをリムに組み込み、所定の内圧を充填し、無負荷とした、基準状態の際のタイヤ幅方向断面における、サイド補強ゴム151のタイヤ径方向最大長さをH1とし、ビードフィラのタイヤ径方向最外側点とビードコアのタイヤ径方向最外側点とを結んだ線分の長さをH2とするとき、1.8≦H1/H2≦3.5、を満たす、(iii)タイヤをリムに組み込み、所定の内圧を充填し、無負荷とした、基準状態の際のタイヤ幅方向断面における、サイド補強ゴム151のタイヤ径方向最大長さをH1(mm)とするとき、関係式、10(mm)≦(SW/OD)×H1≦20(mm)を満たす。
狭幅大径サイズの空気入りタイヤにおいて、サイド補強型ランフラットタイヤとする場合には、タイヤ幅方向最外側の周方向主溝を、タイヤ幅方向のタイヤ赤道面CLよりに配置することにより、ランフラット耐久性の更なる向上を実現することができる。これは、狭幅大径サイズの乗用車用空気入りランフラットタイヤの場合には、ランフラット走行時に、サイド部及びトレッド部の変形が相対的に小さく、一方でショルダー部からバットレス部にかけて相対的に変形が大きくなるという知見に基づくものである。この変形は、従来サイズではサイド部に変形が相対的に大きくなるのと対照的である。このような、狭幅大径サイズに特徴的な変形のために、タイヤ幅方向最外側の周方向主溝をタイヤ赤道面CLよりに配置することで、ランフラット走行時のショルダー陸部からバットレス部にかけての接地性を高めることができ接地圧が緩和される。この結果として、ランフラット耐久性をさらに向上させることができる。
図11は、本発明のタイヤがランフラットタイヤである場合における、本発明の第4の実施形態にかかるタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
具体的には、タイヤをリムに組み込み、所定の内圧を充填し、無負荷とした、基準状態の際のタイヤ幅方向断面における、1層以上のベルト層のうちタイヤ幅方向の幅が最大のベルト層のタイヤ幅方向の半幅をWBとし、タイヤ幅方向の幅が最大のベルト層のタイヤ幅方向端部から1本以上の周方向主溝のうちタイヤ幅方向最外側の周方向主溝161のタイヤ幅方向中心位置までのタイヤ幅方向距離をWGとするとき、関係式、0.5≦WG/WB≦0.8を満たすことが好ましい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の空気入りタイヤは、上記の例に限定されることは無く、適宜変更を加えることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<供試タイヤ>
各供試タイヤは、図1、2に示すような、タイヤサイズ165/60R19であるタイヤであり、また、各供試タイヤは、トレッドの最表面に位置するトレッド表面ゴム層と、当該トレッド表面ゴム層よりタイヤ径方向内側に位置するトレッド内側ゴム層と、を含むトレッドゴムを備えている。そして、各ゴム層は、表1に示す諸元のゴム組成物から形成され、また、表1に示す100%モジュラスを有している。なお、各ゴム層の各材料の含有量(質量部)は、ゴム成分(A)を100質量部とした場合の値を指す。
また、実施例1のトレッド表面ゴム層の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)は以下のとおりである。
0℃でのtanδ:0.426
30℃でのtanδ:0.244
60℃でのtanδ:0.190
0℃でのE’:17MPa
0℃、30℃及び60℃における損失正接(tanδ)、並びに、0℃における貯蔵弾性率(E’)の測定は、ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムに対して、上島製作所(株)製スペクトロメーターを用いて、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件下で測定した。
<評価>
各供試タイヤに対して、下記の方法で、車両旋回時の剛性、ウェット性能(湿潤路面での性能)および燃費性能を評価した。結果を表1に示す。
(1)車両旋回時の剛性
供試タイヤを試験車に装着し、乾燥路面での実車試験にて、車両旋回時の剛性を、車両旋回時の剛性評価の一指標である旋回性能で評価した。具体的には、供試タイヤを装着した試験車を、直線走行から旋回走行させ、その時の安定性等の性能を、ドライバーのフィーリングで評価した。評価の結果は、比較例1のタイヤのフィーリング評点を100として指数表示し、指数値が大きい程、旋回性能に優れ、車両旋回時の剛性が高いことを示す。
(2)ウェット性能
上記の各供試タイヤを、リム(リムサイズ5.5J19)に装着し内圧(300kPa)を充填して、車両に装着した後、ウェット路面を時速80km/hで走行させた。そして、上記状態で走行後、フルブレーキを行った際の、停止距離(m)を計測し、このときの平均減速度(m/s2)=V2/25.92Lを算出した(平均減速度a、初速v、質量m、停止距離Lとすると、mv2/2=maLより、a=v2/2Lと計算できる。ウェット時の摩擦係数(wet μ))。評価結果は、各供試タイヤについての値を逆数にして、実施例1に記載のタイヤを100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどウェット性能がよいことを意味する。
Figure 2017206194
*1 天然ゴム:インドネシア製「SIR20」
*2 スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:JSR株式会社製、商品名「#1500」
*3 C9系樹脂:JX日鉱日石エネルギー株式会社製、商品名「日石ネオポリマー(登録商標)140」
*4 シリカ:東ソー・シリカ工業株式会社製、商品名「ニプシルAQ」(BET表面積=205m2/g)
*5 カーボンブラック:N234(ISAF)、旭カーボン株式会社製、商品名「#78」
表1から、トレッド内側ゴム層の100%モジュラスをトレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きくし、トレッド表面ゴム層のゴム組成物を所定のものにした実施例1のタイヤは、比較例1、2のタイヤよりも、旋回性能およびウェット性能が高いことから、実施例1のタイヤでは、車両旋回時の剛性が高く、また、ウェット性能を十分に向上していることが分かる。
本発明によれば、車両旋回時の剛性を高めつつ、ウェット性能を十分に向上させることが可能な、空気入りタイヤを提供することができる。
1:空気入りタイヤ、 21:ビード部、 22:カーカス、 23:トレッドゴム、 23a:トレッド表面ゴム層、 23b:トレッド内側ゴム層、 24:トレッド部、 25:サイドウォール部、 26:ベルト、 3:リブ状陸部、 3s:ショルダーリブ状陸部、 3c:センターリブ状陸部、 4:周方向主溝、 5:一端開口サイプ、 5c:(センターリブ状陸部の)一端開口サイプ、 5s:(ショルダーリブ状陸部の)一端開口サイプ、 5c1:周方向サイプ部分、 5c2:幅方向サイプ部分、 6:両端閉口サイプ、 6c:(センターリブ状陸部の)両端閉口サイプ、 6s:(ショルダーリブ状陸部の)両端閉口サイプ、 100:幅方向溝、 110:トレッド端側主溝、 111:隣接陸部、 112:一端開口溝、 113:浅溝、 121、122:傾斜ベルト層、 123、124:周方向ベルト層、 131、132:傾斜ベルト層、 133:周方向ベルト層、 141、142:傾斜ベルト層、 143:周方向ベルト層、 151:サイド補強ゴム、 161:周方向主溝、 CL:タイヤ赤道面、 E:トレッド接地端、 L:ピッチ長、 P1〜P3:パターン、 T:トレッド踏面、 W:陸部幅

Claims (6)

  1. トレッドの最表面に位置するトレッド表面ゴム層と、当該トレッド表面ゴム層よりタイヤ径方向内側に位置するトレッド内側ゴム層と、を含むトレッドゴムを備えた空気入りタイヤであって、
    前記トレッド内側ゴム層の100%モジュラスは、前記トレッド表面ゴム層の100%モジュラスよりも大きく、
    前記トレッド表面ゴム層を形成するゴム組成物の0℃におけるtanδが0.5以下であり、
    前記ゴム組成物の、30℃におけるtanδと60℃におけるtanδとの差が0.070以下であり、
    前記ゴム組成物の動歪1%、0℃における貯蔵弾性率が20MPa以下であることを特徴とする、空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴム組成物は、天然ゴム及び合成イソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種のイソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、シリカを70質量%以上含む充填剤(C)と、を含み、
    前記ゴム組成物において、前記熱可塑性樹脂(B)の配合量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜40質量部である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. トレッド踏面に、トレッド接地端とタイヤ周方向に連続して延びる周方向主溝とで区画形成され、または、相互に隣り合う、タイヤ周方向に連続して延びる2本の周方向主溝で区画形成されている、リブ状陸部を少なくとも1本備える、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記リブ状陸部には、両端が、前記トレッド接地端と前記周方向主溝との両方に、または、2本の前記周方向主溝の両方に、開口する両端開口サイプが設けられておらず、
    前記リブ状陸部には、一端が、前記トレッド接地端と前記周方向主溝とのいずれか一方に、または、2本の前記周方向主溝のいずれか一方に、開口し、他端が、当該リブ状陸部内で終端する、一端開口サイプが設けられている、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記一端開口サイプは、前記他端からタイヤ周方向に延びる周方向サイプ部分と、当該周方向サイプ部分からタイヤ幅方向に延びて前記周方向主溝またはトレッド接地端に開口する幅方向サイプ部分と、を備える、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記リブ状陸部には、当該リブ状陸部内で両端が終端する両端閉口サイプが設けられている、請求項3〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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