JP2011025786A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエット性能、ドライ性能、及び低転がり抵抗を両立可能な空気入りタイヤを得る。
【解決手段】トレッド12をリブパターンとし、センターリブ18には、一端が第1切欠22を介して第1周方向溝14に連結され他端がリブ内で終端する第1サイプ26と、一端が第2切欠24を介して第2周方向溝16に連結され他端がリブ内で終端する第2サイプ28を形成する。ウエット路においては、リブ踏面と路面との間の水が、各サイプに取り込まれ、切欠を介して周方向溝へと排水されるので、ウエット性能が確保される。片側開口サイプである第1サイプ26、及び第2サイプ28は、ドライ路面での制動時、路面との摩擦によって過度のめくり上がりが生じることが無いため、十分な制動性能が発揮される。また、トレッド12をリブパターンとしているので、転がり抵抗が少ない。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に装着される空気入りタイヤに関する。
従来、制動性能を確保するために、周方向に延びる周方向溝と幅方向に延びるラグ溝とをトレッドに形成して複数のブロックを区画するような形態を採用した空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、乾燥路において、路面との摩擦によってブロックのラグ溝側のエッジがめくり上がると、十分な制動性能を得ることが難しくなる。また、ブロックは接地時の変形が大きいため、転がり抵抗を低減することが難しい。また、転がり抵抗を低減するため、トレッドの材質は種々変更されている。
特開平09―328003号公報
しかしながら、自動車の燃費低減効果を狙った低転がり抵抗タイヤは、そのトレッド材質やパターンの性質から、乾燥路面、及びウエット路面での制動性能を、通常のタイヤと同等にすることが難しかった。
なお、リブパターンは陸部を横断するラグ溝が無いため、ブロックパターンに比較して転がり抵抗は少ないが、ブロックパターンと同様のウエット性能を得ることが難しい。
本発明は、燃費低減効果を向上させる場合に低下し易いウエット性能、及びドライ性能(特には、制動性能)を向上させ、ウエット性能、ドライ性能、及び低転がり抵抗を両立可能な空気入りタイヤを提供することが目的である。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、路面に接地するトレッドと、前記トレッドに形成される周方向溝によって区画され、タイヤ周方向に沿って連続して延びる複数のリブと、複数の前記リブの内の少なくとも一つに形成されタイヤ周方向に沿って延びる複数の片側開口サイプと、を備え、前記片側開口サイプは、一端がリブ内で終端し、他端が1つの前記周方向溝にのみ連結され、さらに一端側がタイヤ周方向に沿って延び、他端側がタイヤ周方向に対して傾斜して延びている。
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
空気入りタイヤを車両に装着してウエット路を走行させると、片側開口サイプを形成したリブにおいては、リブ踏面と路面との間の水が、片側開口サイプに取り込まれ、片側開口サイプに取り込まれた水は、タイヤ周方向に沿って延びている部分からタイヤ周方向に対して傾斜して延びている部分を介してリブ側部の周方向溝へと排水されるので、ウエット性能が確保される。
なお、片側開口サイプは、他端側がタイヤ周方向に対して傾斜していない、即ち直角であると、片側開口サイプ内の水は、周方向溝に排水される際に急激に向きを変えられるため、周方向溝に向けてスムーズに排水することが出来なくなる。なお、傾斜して延びている部分は、タイヤ周方向に対して一定角度で傾斜していても良く、徐々に傾斜角度が変化していても良く、トレッド平面視した形状が湾曲形状であっても良い。
また、リブはタイヤ周方向に沿って連続して形成されているため、ブロックや、ラグ溝等によって分断されたリブに比較して変形し難く、剛性が高い。
リブには片側開口サイプが形成されているが、この片側開口サイプはリブを横断していないため、リブの剛性低下は抑えられている。
剛性の高いリブは、リブを構成するゴムの変形が少ないため、ブロックや、ラグ溝等によって分断された陸部を備えた空気入りタイヤに比較して転がり抵抗を小さくすることができ、また耐摩耗性も向上する。
また、タイヤ周方向の入力時、例えば制動時においても、上記リブは変形し難く、リブ踏面が路面から離れ難く、接地面積が確保されるので、高い制動性能が得られる。
さらに、本発明の片側開口サイプはタイヤ周方向に沿って延びて一方の端部がリブ内で終端しているため、制動時、路面との摩擦によって片側開口サイプの終端部分において過度のめくり上がりが生じることは無い。
したがって、乾燥路において十分な制動性能が発揮される。
なお、周方向溝は、トレッドが路面に接地した際にも閉じることのないような溝幅を有しているものである。一方、片側開口サイプの溝幅は、トレッドが路面に接地した際にサイプ壁面同士が接触して閉じる程度のものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記リブには、リブ幅方向両側に前記片側開口サイプが形成され、リブ幅方向一方側に配置される前記片側開口サイプと、リブ幅方向他方側に配置される前記片側開口サイプとは、タイヤ幅方向に離間して配置されていると共に、タイヤ周方向に沿って延びる一端側部分がリブ幅方向から見てオーバーラップしている。
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項2に記載の空気入りタイヤでは、1つのリブに対して、リブ幅方向両側に片側開口サイプが形成されているため、1つのリブに対して多くの片側開口サイプを配置でき、排水性能が向上する。
なお、リブに複数の片側開口サイプを形成した際、各サイプのタイヤ周方向に沿って延びる一端側部分がタイヤ周方向に一直線状に並んだ状態にあると、一方の片側開口サイプの一端(終端)と他方の片側開口サイプの一端(終端)とが接近し、端部間の剛性低下により、端部間に亀裂を発生し易くなる。
請求項2に記載の空気入りタイヤでは、1つのリブに対してリブ幅方向両側に片側開口サイプを形成しているが、リブ幅方向一方側に配置される片側開口サイプと、リブ幅方向他方側に配置される片側開口サイプとが、タイヤ幅方向に離間して配置されていると共に、タイヤ周方向に沿って延びる一端側部分がリブ幅方向から見てオーバーラップして一端(終端)同士がタイヤ周方向に離間しているため、一端(終端)同士の距離を十分に離すことができ、端部間の亀裂発生を抑制することができる。
また、リブのリブ幅がある程度広い場合、リブ中央から周方向溝までの距離が長くなるため、片側開口サイプをリブ幅方向両側に形成し、両側の周方向溝へ排水を行うことで、リブ中央付近の水を効率的に排水でき、リブの幅が広い場合であっても高い排水性能を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、リブ幅方向一方側に配置される前記片側開口サイプと、リブ幅方向他方側に配置される前記片側開口サイプとは、他端側のタイヤ周方向に対して傾斜している部分のタイヤ周方向に対する向きが互いに反対方向を向いている。
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
リブ幅方向一方側に配置される片側開口サイプと、リブ幅方向他方側に配置される片側開口サイプとが互いに反対方向を向いていることで、リブ全体で見た時に排水性に関する方向性が無くなる。即ち、タイヤとして車両装着時のタイヤ回転方向の指定が無くなり、タイヤローテンションが容易になる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記リブの側部には、一端側が前記周方向溝に開口し、他端側がリブ内で終端しかつ前記片側開口サイプに連結する切欠が形成されている。
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
リブの側部に切欠を形成し、片側開口サイプを切欠を介して周方向溝に連結することで、排水性が向上する。
なお、切欠とは、サイプよりも溝幅が広く、トレッドが路面に接地した際にも閉じることのないような溝幅を有しているものである。
請求項5に記載の発明は、前記切欠と前記リブの側面との間に形成されるトレッド平面視で鋭角形成とされた鋭角部には、鋭角先端側に向けてリブ高さが低くなる傾斜面が形成されている、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
トレッド平面視で鋭角形状とされた鋭角部は、剛性が低く、路面との摩擦によってエッジ部分がめくれ上がり易くなるため、鋭角先端側に向けてリブ高さが低くなる傾斜面を形成することで、めくり上がりを抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の空気入りタイヤにおいて、最もタイヤ赤道面に近い前記周方向溝に連結される前記切欠に隣接する前記鋭角部に、前記傾斜面が形成されている。
次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
鋭角部分におけるめくり上がりを防止するために、鋭角部分を全て除去する方法も考えられるが、鋭角部分を除去するとリブ剛性が低下してしまう。このため、リブ剛性を出来る限り確保したい部位、例えば、トレッドの中でも接地圧の最も高いタイヤ赤道面付近では、鋭角部分に傾斜面を形成することが好ましい。
以上説明したように請求項1に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、ウエット性能、ドライ性能、及び低転がり抵抗を両立することができる。
請求項2に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、排水性能を向上することができる。また、サイプ数を多くした場合のリブの亀裂を抑制することができる。
請求項3に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、タイヤの方向性が無く、タイヤの装着の向きに関わらず高い排水性能が得られる。
請求項4に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、排水性能が向上する。
請求項5に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、リブ剛性を確保しつつ、鋭角部分のめくり上がりを抑制することができる。
請求項6に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、接地圧の高い領域にて、リブ剛性を確保しつつ、鋭角部分のめくり上がりを抑制することができる。
実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。 (A)及び(B)は、鋭角端部の断面図(図1の2−2線断面図)である。 他の実施形態に係る空気入りタイヤのリブの平面図である。 比較例の空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
以下、図面を参照して本発明の空気入りタイヤの一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッド12には、タイヤ赤道面CL上にタイヤ周方向に沿って延びる第1周方向溝14が形成されている。この第1周方向溝14のタイヤ幅方向両外側にはタイヤ周方向に沿って延びる第2周方向溝16が形成されており、第1周方向溝14と第2周方向溝16との間にタイヤ周方向に沿って連続して延びるセンターリブ18が夫々区画されている。
また、トレッド12には、第2周方向溝16のタイヤ幅方向外側に、タイヤ周方向に沿って連続して延びるショルダーリブ20が区画されている。
なお、図中の符号12Eは、トレッド12の接地端を示している。この接地端12Eは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(2009年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大負荷能力を負荷したときのタイヤ幅方向最外の接地部分を指す。使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。また、本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッドパターンは、タイヤ赤道面CL上の一点を対称点にした点対称形状としているが、本発明はこの構成に限定されない。
なお、第1周方向溝14、及び第2周方向溝16は、トレッド12が接地してセンターリブ18及びショルダーリブ20が圧縮変形しても溝が閉じることがないように溝幅が設定されている。また、これらの溝は、ウエット路面走行時の排水性を確保するために、トレッド12において最も溝深さが深くなるように設定されている。
(センターリブ)
センターリブ18には、タイヤ赤道面側に第1周方向溝14に開口する第1切欠22が形成され、タイヤ赤道面側とは反対側に第2周方向溝16に開口する第2切欠24が形成されている。第1切欠22、及び第2切欠24は、共にその長さは短く、周方向溝側とは反対側の端部がリブ内で終端している。
また、センターリブ18には、一端が第1切欠22に連結され他端がリブ内で終端する第1サイプ26と、一端が第2切欠24に連結され他端がリブ内で終端する第2サイプ28が形成されている。これら第1サイプ26、及び第2サイプ28は、何れも略全体がタイヤ周方向に沿って延びている。
本実施形態では、第1サイプ26はセンターリブ18の幅方向中心を境にして第1周方向溝14側に形成され、第2サイプ28はセンターリブ18の幅方向中心線を境にして第2周方向溝16側に形成されている。
第1サイプ26は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる直線部26A、及び直線部26Aと第1切欠22とを連結しタイヤ周方向に対して第1周方向溝14側に一定角度で傾斜した連結部26B、を備えている。
本実施形態では、直線部26Aと連結部26Bとは、サイプ内で水がスムーズに流れる様に湾曲部を介して連結されている。
本実施形態では、タイヤ赤道面CLの左側のセンターリブ18において、第1切欠22は右上がりに傾斜しており、第1サイプ26の連結部26Bも右上がりに傾斜している。この連結部26Bは、第1切欠22の端部に連結されているが、第1切欠22の一方の溝壁面22Aは、連結部26Bの延長線に沿って形成されている。
また、このセンターリブ18では、第1切欠22の溝壁面22Aと第1周方向溝14側のリブ側面18Aとの間は、トレッド平面視で鋭角となっており、この鋭角部分30には、鋭角先端に向けて徐々に高さを低くする傾斜面30Aが形成されている。傾斜面30Aは、図2(A)に示すように、踏面に対して一定角度で傾斜する平面形状でも良く、図2(B)に示すように、踏面に対する角度が徐々に増大するような曲面形状(例えば、アール面取り形状)であっても良い。
図1に示すように、第1サイプ26、及び第2サイプ28は、共にタイヤ周方向にある間隔で配置されているが、本実施形態では、第1サイプ26と第2サイプ28とがタイヤ周方向に位相差を設けて配置されている。
一方、第2サイプ28は、第1サイプ26の直線部26Aとは反対方向のタイヤ周方向に沿って直線状に延びる直線部28A、及び直線部28Aと第2切欠24とを連結し、タイヤ周方向に対して第2周方向溝16側に傾斜した連結部28Bを備えている。第2サイプ28の連結部28Bは、第1サイプ26の連結部26Bと同方向に傾斜している。本実施形態では、直線部28Aと連結部28Bとは、サイプ内で水がスムーズに流れる様に湾曲部を介して連結されている。
連結部28Bは、第2切欠24の端部に連結されているが、第2切欠24の溝端面24Aは、連結部28Bの延長線に沿って形成されている。
本実施形態では、第1サイプ26の直線部26Aの一部分(終端側)と、第2サイプ28の直線部28Aの一部分(終端側)とが、タイヤ幅方向に見てオーバーラップしている。
なお、タイヤ赤道面CLを挟んで左側のセンターリブ18の第1サイプ26及び第2サイプ28と、右側のセンターリブ18の第1サイプ26及び第2サイプ28とでは、向きが反対方向に設定されている。
(ショルダーリブ)
ショルダーリブ20には、その幅方向中央部分に、タイヤ周方向に沿って延びる短い周方向細溝32がタイヤ周方向に沿って複数形成されている。また、ショルダーリブ20には、周方向細溝32と周方向細溝32との間に、ショルダーリブ20の幅方向中央側からトレッド端外側(ショルダー側)へ延びる屈曲した2本1組の第1ショルダーサイプ34が形成され、また、ショルダーリブ20の幅方向中央と第2周方向溝16との間に、タイヤ幅方向に対して傾斜する2本1組の第2ショルダーサイプ36が、第1ショルダーサイプ34の延長線上に形成されている。
なお、タイヤ赤道面CLを挟んで右側のショルダーリブ20と左側のショルダーリブ20とでは、第1ショルダーサイプ34、第2ショルダーサイプ36の傾斜方向が逆方向に設定されている。
(作用)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
ウエット路面では、第1サイプ26、第2サイプ28がセンターリブ18のリブの踏面と路面との間の水を吸水して、第1切欠22、及び第2切欠24を介して第1周方向溝14、及び第2周方向溝16に順次排水され、ウエット性能が確保される。
本実施形態では、1つのセンターリブ18に対し、その両側に第1サイプ26、及び第2サイプ28を並列、かつタイヤ周方向に位相差を設けて配置し、これら第1サイプ26、及び第2サイプ28によって吸水した水を両側の第1周方向溝14、及び第2周方向溝16に排水する構成としたので、リブ幅が広い場合であっても高い排水性能を得ることができる。なお、リブ幅が狭い場合、十分な排水性能が得られれば、第1サイプ26、及び第2サイプ28の何れか一方のみでも良い。
空気入りタイヤ10では、トレッド12が接地した時に、センターリブ18が圧縮されて第1サイプ26のサイプ溝壁同士、及び第2サイプ28のサイプ壁面同士が接触し、これにより、センターリブ18の変形が抑えられ、センターリブ18の高い剛性が維持されている。また、第1のサイプ26、及び第2のサイプ28は、一端がリブ内で終端し、センターリブ18を横断していないため、横断するサイプを備えるリブに比較してセンターリブ18の高い剛性が維持される。
また、第1のサイプ26、及び第2のサイプ28は、一方の端部がリブ内で終端しているため、乾燥路におけるタイヤ周方向の大入力時、例えば、制動時に、トレッド12と路面との摩擦に起因する、サイプエッジの過度のめくれ上がりが抑制される。したがって、制動時、センターリブ18の路面に対する接地面積が確保され、高い制動性能を得ることができる。なお、めくれ上がりの抑制は偏摩耗の抑制にもなる。
また、図1に示すように、第1のサイプ26の終端と第2のサイプ28の終端とをタイヤ幅方向、かつタイヤ周方向に離間させているので、終端間の亀裂発生を抑えることができる。
センターリブ18は、タイヤ周方向に連続して延びているので、ブロックに比較して変形は抑えられており、センターリブ18を構成するゴムの内部摩擦に起因する発熱が低減され、転がり抵抗を下げることが可能となる。これにより、車両の低燃費化に貢献できる。
さらに、トレッド12に対してタイヤ幅方向の入力がある場合、例えば、コーナリング時においては、車両の旋回半径方向外側の陸部、即ち、ショルダーリブ20への入力が最も大きく、このショルダーリブ20がタイヤ幅方向内側(タイヤ赤道面側)に変形しようとするが、ショルダーリブ20は、溝によって分断されておらず、タイヤ周方向に連続して延びているので、タイヤ幅方向内側への変形は抑えられ、ショルダーリブ20を構成するゴムの内部摩擦に起因する発熱が低減され、転がり抵抗を下げることが可能となる。
本実施形態では、センターリブ18のタイヤ赤道面CL側に鋭角部分30が形成されているが、この鋭角部分30は、踏面側に傾斜面30Aが形成されることで、路面に対して強く接触せず、めくり上がりが抑えられている。また、タイヤ赤道面CLに近い、センターリブ18の特に接地圧の高い領域において鋭角部分30を除去せずに残しているため、センターリブ18の特に接地圧の高い領域における剛性が確保され、センターリブ18の変形が抑えられる。
トレッド12の接地圧は、幅方向中央、即ちタイヤ赤道面CLで最も高く、タイヤ幅方向外側へ向けて徐々に低下する傾向にある。センターリブ18において、第2周方向溝16側は、タイヤ赤道面CLよりも接地圧が低くなっており、入力に対する変形も相対的に小さいため、第2サイプ28の第2周方向溝16との連結部分には、鋭角部分が生じないように第2切欠24を形成していても問題ない。
なお、第2サイプ28の第2周方向溝16との連結部分において、第2切欠24の代わりに第1切欠22を形成し、これにより形成された鋭角部分30に傾斜面30Aを形成しても良い。
また、ショルダーリブ20においても、ラグ溝が形成されておらず、タイヤ周方向に連続して延びているため、センターリブ18と同様に変形が少なく、車両の低燃費化に貢献している。なお、ショルダーリブ20においては、周方向細溝32、第1ショルダーサイプ34、及び第2ショルダーサイプ36が路面とリブ間の水を排水することによってウエット性能が確保される。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、センターリブ18には、第1サイプ26と第2サイプ28とが逆向きに形成されており、ショルダーリブ20においても、タイヤ赤道面CLを挟んで右側のショルダーリブ20と左側のショルダーリブ20とでは、第1ショルダーサイプ34、第2ショルダーサイプ36の傾斜方向が逆方向に設定されているため、トレッドパターンに方向性が無い。したがって、車両装着時のタイヤ回転方向の指定が無くなり、タイヤローテンションが容易になる。
[その他の実施形態]
前記第1の実施形態では、第1サイプ26の直線部26Aがリブ中心線よりも第1周方向溝14側に配置され、第2サイプ28の直線部28Aがリブ中心線よりも第2周方向溝側に配置されていたが、図3に示すように、第1サイプ26の直線部26Aがリブ中心線よりも第2周方向溝16側に配置され、第2サイプ28の直線部28Aがリブ中心線よりも第1周方向溝14側に配置されていても良い。
第1の実施形態では、トレッド12にセンターリブ18、及びショルダーリブ20が形成され、トレッド全体で4本のリブが形成されていたが、トレッド12に形成されるリブの本数は4本以外であっても良い。
第1サイプ26及び第2サイプ28がセンターリブ18に形成されていたが、第1サイプ26及び第2サイプ28を、ショルダーリブ20に形成しても良い。
上記実施形態では、トレッド12を方向性の無いパターンとしたが、センターリブ18において第1サイプ26と第2サイプ28の向きを同じ向きとして方向性パターンとしても良い。この場合、サイプの終端側から接地するように回転方向を指定する。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、本発明の適用された実施例の空気入りタイヤ、及び比較例の空気入りタイヤを用意し、各供試タイヤについて転がり抵抗、ドライ路面(乾燥路面)での制動性能試験、ウエット路面での制動性能試験を実施すると共に、耐摩耗性能の評価を行った。
実施例の空気入りタイヤ:上記実施形態で説明したトレッドパターンを有する空気入りタイヤである。
比較例の空気入りタイヤ:図4に示すトレッドパターンを有する空気入りタイヤである。なお、図4において、符号100はトレッド、符号100Eは接地端、符号102、104は周方向溝、符号106はラグ溝、符号108、110はリブ、符号112、114はサイプである。なお、ネガティブ比は、実施例と同等に設定されている。
ここで、各供試タイヤは、タイヤサイズ195/80R15であり、リムに組み付けて国産車セダンに装着し、ドライバーの体重に600Nを加えた荷重条件の下で、車両指定内圧を充填し、試験を行った。
制動試験においては、ABS機能を発揮した状態で時速100km/hからの減速度を測定した。評価は、比較例の空気入りタイヤを装着した際の減速度を100とする指数表示とし、指数の数値が大きいほど減速度が大きく、制動性能に優れていることを表している。
転がり抵抗値の測定は、タイヤ単体を上記同様の条件下で回転させた際の転がり抵抗値を試験機で測定した。評価は、比較例の空気入りタイヤの転がり抵抗の逆数を100とする指数表示とし、指数の数値が大きいほど転がり抵抗が少ないことを表している。
また、耐摩耗性能の評価は、制動試験終了後の各ブロックの摩耗量を測定しその平均値を求めた。評価は、比較例の空気入りタイヤの摩耗量の平均値の逆数を100とする指数表示とし、指数の数値が大きいほど摩耗が少ない、つまり耐摩耗性に優れることを表している。
Figure 2011025786
試験の結果、本発明の適用された実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比較して、転がり抵抗、ドライ路面での制動性能、ウエット路面での制動性能、及び耐摩耗性の何れについても性能向上が認められた。
10 空気入りタイヤ
12 トレッド
14 第1周方向溝
16 第2周方向溝
18 センターリブ
20 ショルダーリブ
22 第1切欠
24 第2切欠
26 第1サイプ
26A 直線部
26B 連結部
28 第2サイプ
28A 直線部
28B 連結部
30 鋭角部分
30A 傾斜面

Claims (6)

  1. 路面に接地するトレッドと、
    前記トレッドに形成される周方向溝によって区画され、タイヤ周方向に沿って連続して延びる複数のリブと、
    複数の前記リブの内の少なくとも一つに形成されタイヤ周方向に沿って延びる複数の片側開口サイプと、
    を備え、
    前記片側開口サイプは、一端がリブ内で終端し、他端が1つの前記周方向溝にのみ連結され、さらに一端側がタイヤ周方向に沿って延び、他端側がタイヤ周方向に対して傾斜して延びている、空気入りタイヤ。
  2. 前記リブには、リブ幅方向両側に前記片側開口サイプが形成され、
    リブ幅方向一方側に配置される前記片側開口サイプと、リブ幅方向他方側に配置される前記片側開口サイプとは、タイヤ幅方向に離間して配置されていると共に、タイヤ周方向に沿って延びる一端側部分がリブ幅方向から見てオーバーラップしている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. リブ幅方向一方側に配置される前記片側開口サイプと、リブ幅方向他方側に配置される前記片側開口サイプとは、他端側のタイヤ周方向に対して傾斜している部分のタイヤ周方向に対する向きが互いに反対方向を向いている、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記リブの側部には、一端側が前記周方向溝に開口し、他端側がリブ内で終端しかつ前記片側開口サイプに連結する切欠が形成されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記切欠と前記リブの側面との間に形成されるトレッド平面視で鋭角形成とされた鋭角部には、鋭角先端側に向けてリブ高さが低くなる傾斜面が形成されている、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 最もタイヤ赤道面に近い前記周方向溝に連結される前記切欠に隣接する前記鋭角部に、前記傾斜面が形成されている、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
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