JP2024060451A - タイヤ - Google Patents

タイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2024060451A
JP2024060451A JP2022167822A JP2022167822A JP2024060451A JP 2024060451 A JP2024060451 A JP 2024060451A JP 2022167822 A JP2022167822 A JP 2022167822A JP 2022167822 A JP2022167822 A JP 2022167822A JP 2024060451 A JP2024060451 A JP 2024060451A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
tire
less
rubber
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022167822A
Other languages
English (en)
Inventor
大喜 向口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2022167822A priority Critical patent/JP2024060451A/ja
Priority to EP23202654.2A priority patent/EP4357154A1/en
Publication of JP2024060451A publication Critical patent/JP2024060451A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • B60C1/0016Compositions of the tread
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/0041Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts comprising different tread rubber layers
    • B60C11/005Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts comprising different tread rubber layers with cap and base layers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/03Tread patterns
    • B60C11/0306Patterns comprising block rows or discontinuous ribs
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/03Tread patterns
    • B60C11/13Tread patterns characterised by the groove cross-section, e.g. for buttressing or preventing stone-trapping
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/0008Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts characterised by the tread rubber
    • B60C2011/0016Physical properties or dimensions
    • B60C2011/0025Modulus or tan delta
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/0008Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts characterised by the tread rubber
    • B60C2011/0016Physical properties or dimensions
    • B60C2011/0033Thickness of the tread
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/03Tread patterns
    • B60C2011/0337Tread patterns characterised by particular design features of the pattern
    • B60C2011/0339Grooves
    • B60C2011/0341Circumferential grooves
    • B60C2011/0353Circumferential grooves characterised by width
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/03Tread patterns
    • B60C2011/0337Tread patterns characterised by particular design features of the pattern
    • B60C2011/0339Grooves
    • B60C2011/0341Circumferential grooves
    • B60C2011/0355Circumferential grooves characterised by depth

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】摩耗後のノイズ性能の悪化が抑制されたタイヤを提供すること。【解決手段】トレッド面を構成する最外層と、ベルト層のタイヤ半径方向外側に隣接する最内層と、前記最外層および前記最内層の間に介在する1以上の中間層とを備えたトレッド部を有するタイヤであって、前記最外層、前記最内層、および前記中間層が、それぞれゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記最外層を構成するゴム成分が、ガラス転移温度-80℃以上-40℃以下のスチレンブタジエンゴムを含み、前記最外層を構成するゴム組成物のガラス転移温度T(℃)が-35以上であり、前記最外層の30℃における複素弾性率をE*T(MPa)、前記最内層の30℃における複素弾性率をE*B(MPa)としたとき、E*T>E*Bであるタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
走行中のタイヤの振動音(ノイズ)を抑制する手法としては、例えば、空気入りタイヤのトレッドゴムを二層構造とし、その内側のゴム層に発泡ゴムを用いる手法が知られている(特許文献1)。
特開平6-156016号公報
従来のタイヤは、トレッド部が摩耗するにつれて、トレッドの陸部の剛性が高くなり、振動音抑制効果も低減してゆくため、走行を重ねるにつれてノイズが大きくなる傾向がある。
本発明は、摩耗後のノイズ性能の悪化が抑制されたタイヤを提供することを目的とする。
鋭意検討の結果、タイヤのトレッド部に三層以上のゴム層を積層させ、トレッド面を構成する最外層のゴム成分が所定のガラス転移温度を有するスチレンブタジエンゴムを含み、該最外層のガラス転移温度が所定の範囲内であり、かつ最外層の30℃における複素弾性率E*T(MPa)を、最内層の30℃における複素弾性率よりも大きくすることにより、前記課題が解決されることが見出された。
すなわち、本発明は、トレッド面を構成する最外層と、ベルト層のタイヤ半径方向外側に隣接する最内層と、前記最外層および前記最内層の間に介在する1以上の中間層とを備えたトレッド部を有するタイヤであって、前記最外層、前記最内層、および前記中間層が、それぞれゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記最外層を構成するゴム成分が、ガラス転移温度-80℃以上-40℃以下のスチレンブタジエンゴムを含み、前記最外層を構成するゴム組成物のガラス転移温度T(℃)が-35以上であり、前記最外層の30℃における複素弾性率をE*T(MPa)、前記最内層の30℃における複素弾性率をE*B(MPa)としたとき、E*T>E*Bであるタイヤに関する。
本発明によれば、摩耗後のノイズ性能の悪化が抑制されたタイヤが提供される。
本発明の一実施形態であるタイヤの一例についての断面図である。 トレッドを平面に押し付けたときのタイヤの接地面の模式図である。 本発明の一実施形態に係るタイヤのトレッドの一部が示された断面図である。 本発明の一実施形態に係るタイヤのトレッドの一部が示された断面図である。
本発明の一実施形態であるタイヤは、トレッド面を構成する最外層と、ベルト層のタイヤ半径方向外側に隣接する最内層と、前記最外層および前記最内層の間に介在する1以上の中間層とを備えたトレッド部を有するタイヤであって、前記最外層、前記最内層、および前記中間層が、それぞれゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記最外層を構成するゴム成分が、ガラス転移温度-80℃以上-40℃以下のスチレンブタジエンゴムを(好ましくは50質量%以上90質量%以下)含み、前記最外層を構成するゴム組成物のガラス転移温度T(℃)が-35以上であり、前記最外層の30℃における複素弾性率をE*T(MPa)、前記最内層の30℃における複素弾性率をE*B(MPa)としたとき、E*T>E*Bであるタイヤである。
タイヤのトレッド部に三層以上のゴム層を積層させ、トレッド面を構成する最外層のゴム成分が所定のガラス転移温度を有するスチレンブタジエンゴムを含み、該最外層のガラス転移温度が所定の範囲内であり、かつ最外層の30℃における複素弾性率を、最内層の30℃における複素弾性率よりも大きくすることにより、得られたタイヤは、摩耗後のノイズ性能の悪化が抑制される。その理由については、理論に拘束されることは意図しないが、以下のように考えられる。
本発明のタイヤは、トレッド部を3層以上のゴム層とすることで、溝底が3層以上となる。トレッド部の振動は、路面に接地した陸部だけでなく、隣りあう陸部の共振によるものも生じると考えられる。トレッドの陸部において、摩耗後は中間層が主として路面に触れることとなり、隣り合う陸部に振動が伝達されるには、溝底部を通過する必要がある。この時、衝撃が溝底の最外層を介して伝達される場合には中間層から、最外層へ一度衝撃が伝達されることとなり、この界面で衝撃の減衰効果を得ることができると考えられる。また、溝底部の中間層を介して衝撃が伝達される場合においては、溝底部での中間層が占める体積が小さくなっていることで、衝撃の伝達が抑制されることとなる。以上のことから、隣り合う陸部間での衝撃の伝達が阻害されやすく、陸部での振動を抑えやすくすることができると考えられる。
また、最外層のゴム組成物中にガラス転移温度が低いスチレンブタジエンゴムを配合することで、最外層のゴム組成物中のポリマー鎖が動きやすく、最外層内で衝撃を吸収しやすくすることができると考えられる。同時にゴム組成物のガラス転移温度を高くすることで、発熱性を高くすることができる。以上のことから、ポリマー鎖およびゴム組成物全体で衝撃を吸収しやすくなり、伝播を抑制しやすくすることができると考えられる。
さらに、最外層よりも最内層を柔らかくすることにより、摩耗後の陸部端部において、トレッド表面側が選択的に衝撃を受けやすい状態となり、最外層内部での衝撃の吸収性を得やすくすることができ、かつ、中間層が存在するため、最内層に衝撃が伝播しにくくなると考えられる。
以上のことから、隣り合う陸部間での振動の伝達が抑えられ、かつ陸部端部において、摩耗後に残っている最外層が衝撃を吸収しやすい状態にあり、摩耗後において、溝底部での衝撃の伝達の抑制および吸収性が向上することから、摩耗後のノイズ性能の悪化が抑制されるという、特筆すべき効果が達成されると考えられる。
最外層の厚みt1(mm)、前記中間層の厚みt2(mm)、およびTは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
(t1/t2)×|T|>0.90 ・・・(1)
(t1/t2)×|T|を前記の範囲とすることにより、溝底部での最外層の比と最外層での発熱性を十分に確保することができ、衝撃の伝達抑制効果が得られやすくなると考えられる。
最外層を構成するゴム組成物は、発熱性を高め、衝撃を吸収しやすくする観点から、平均一次粒子径18nm以下のシリカを含有することが好ましい。
最外層を構成するゴム組成物の、ゴム成分100質量に対するシリカおよび軟化剤の合計含有量は、110質量部以上であることが好ましい。
シリカおよび軟化剤の合計含有量を前記の範囲とし、ゴム成分よりもこれらの量を多くすることで、ポリマー鎖を伝った衝撃の伝播の抑制効果と、最外層での衝撃吸収効果を得やすくすることができると考えられる。
最外層を構成するゴム組成物は、樹脂成分を含む軟化剤を含有することが好ましい。また、該軟化剤中の樹脂成分の含有量が30質量%以上であることが好ましい。
軟化剤中の樹脂成分の含有量を前記の範囲とすることにより、ゴム成分内のスチレン部と相互作用し、衝撃を吸収しやすくすることができると考えられる。
トレッド部は、タイヤ周方向に連続して延びる2以上の周方向溝、前記周方向溝および接地端によって仕切られた一対のショルダー陸部、ならびに前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部を有し、前記周方向溝のうち、少なくとも一つの周方向溝において、溝底の最深部が、前記中間層の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されていることが好ましい。
中間層と最外層との界面が溝底の最深部よりもタイヤ半径方向外側にあることで、摩耗した際に中間層が露出しやすくなり、本発明の効果が得られやすくなると考えられる。
前記最深部を有する周方向溝において、トレッド表面端を結ぶ線分と、前記線分に平行で前記最深部を通る直線との距離をH1(mm)とするとき、H1、t1、およびE*Tが下記式(2)を満たすことが好ましい。
E*T/(t1/H1)≧6.0 ・・・(2)
t1/H1が小さい時は、路面から中間層へ振動が伝わる距離が短くなるが、それに伴い最外層を柔らかくすることで、最外層内で振動を吸収しやすくすることができると考えられる。
本発明のタイヤは、車両装着時に最外側に位置する前記周方向溝のトレッド表面における溝幅をL0、車両装着時に最外側に位置する前記周方向溝の溝底の最深部の95%位置における対する溝幅をL95としたとき、L95/L0が0.20~0.80であることが好ましい。
95/L0を前記の範囲とすることにより、タイヤ製造時に陸部側面に複数のゴム層が均一に形成されやすくなるため、ノイズ性能の悪化を抑制しやすくなると考えられる。
本発明のタイヤは、接地面内の陸部面積比率が60%以上80%以下であることが好ましい。
接地面内の陸部面積比率を前記の範囲とすることにより、局所的に路面からの振動を受ける部分を減らすことができるため、ノイズ性能も向上させやすくなると考えられる。
ショルダー陸部における溝面積比率は、センター陸部における溝面積比率よりも大きいことが好ましい。
ショルダー陸部における溝面積比率をセンター陸部における溝面積比率よりも大きくすることにより、転動時に接地するセンター陸部では、局所的な入力の増加を抑制しやすくすることができ、ノイズ性能も向上させやすくすることができると考えられる。
本発明のタイヤは、前記トレッド部のタイヤ内周面に、シーラント層、制音体、および立体網目構造体からなる群より選ばれる1以上の低密度部材を備えることが好ましい。
タイヤ内周面に低密度部材を設けることにより、トレッド表面から振動が伝わった際に、タイヤ内部でこれらの低密度部材が振動することで、トレッド部内の振動を相殺することが可能になり、本発明の効果を発揮することが期待できると考えられる。
<定義>
「トレッド部」は、ベルト層のタイヤ半径方向外側に隣接した部材である。ベルト層とは、カーカス層よりもタイヤ半径方向外側に備わった層であり、内部の補強材がタイヤ周方向に対して18~30°程度傾き、逆向きに重なりあう複数の作業層や、内部の補強材がタイヤ周方向に対して±10°の角度で配向した周方向ベルト層等が該当する。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、JATMAであれば“標準リム”、ETRTOであれば“Measuring Rim”、TRAであれば“Design Rim”であり、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、そのタイヤにリム組み可能であり、かつリムとタイヤとの間でエア漏れを発生させない最小径のリムのうち、最も幅の狭いものを指すものとする。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”、TRAであれば、表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値であり、正規リムの場合と同様に、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。なお、規格に定められていないタイヤの場合、前記正規リムが標準リムとして記載されている別のタイヤサイズ(規格に定められているもの)の正規内圧(ただし、250kPa以上)を指す。なお、250kPa以上の正規内圧が複数記載されている場合には、その中の最小値を指す。
「正規状態」は、タイヤが正規リムにリム組みされ、かつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。なお、本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法は、前記正規状態で測定される。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば“最大負荷能力”、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”、TRAであれば、表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値であり、正規リムの場合と同様に、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、以下の計算により、正規荷重WLを求める。
V={(Dt/2)2-(Dt/2-Ht)2}×π×Wt
L=0.000011×V+175
L:正規荷重(kg)
V:タイヤの仮想体積(mm3
Dt:タイヤ外径Dt(mm)
Ht:タイヤ断面高さ(mm)
Wt:タイヤ断面幅(mm)
「接地端」とは、正規状態のタイヤに正規荷重が負荷され、キャンバー角0度で平面に接地したときの、最もタイヤ幅方向(図2における左右方向)外側の接地位置である。
「陸部」とは、トレッド部において、接地端およびタイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝によって仕切られた領域をいう。例えば、周方向溝が2つの場合、陸部は一対のショルダー陸部とそれらに挟まれたセンター陸部とに分けられ、周方向溝が3つの場合、センター陸部がさらに車両装着時に車両内側となる陸部と、同外側となる陸部とに分けられる。
周方向溝、横溝を含め「溝」とは、少なくとも2.0mmよりも大きい幅の凹みをいう。一方、「サイプ」とは、幅が2.0mm以下、好ましくは0.5~2.0mmの細い切り込みをいう。
「接地面の総面積」とは、正規状態において、正規荷重を負荷し、キャンバー角0度でトレッドを平面に押し付けたときの接地形状において、全ての溝を埋めた状態での総面積である。「接地面内の陸部面積比率」とは、接地面の総面積に対する、ショルダー陸部およびセンター陸部の合計面積の比を指す。
「ショルダー陸部における溝面積比率」とは、ショルダー陸部の合計面積に対する、該陸部を横断する横溝および/またはサイプの合計面積を指す。「センター陸部における溝面積比率」とは、センター陸部の合計面積に対する、該陸部を横断する横溝および/またはサイプの合計面積を指す。
「トレッド部を構成する各ゴム層の厚み」は、タイヤを、タイヤ回転軸を含む面で切断した断面において、タイヤ赤道面CL上における各ゴム層の厚みを指す。例えば、最外層の厚みは、タイヤ赤道面CL上における、トレッド最表面から最外層のタイヤ半径方向内側界面までのタイヤ半径方向の直線距離を指す。なお、タイヤ赤道面CL上に周方向溝を有する場合には、トレッド部を構成する各ゴム層の厚みは、タイヤ赤道面に最も近い陸部のタイヤ幅方向中央部における各ゴム層の厚みとする。「タイヤ赤道面に最も近い陸部」とは、タイヤ赤道面に存在する周方向溝の、タイヤ赤道面に最も近い溝縁を有する陸部を指すものとし、そのような陸部がタイヤ幅方向両横に存在する場合は、トレッド部を構成する各ゴム層の厚みは、当該2つの陸部のタイヤ幅方向中央部における各ゴム層の厚みの平均値とする。また、タイヤ赤道面上の陸部に通電部材などが存在し、界面が不明瞭である場合には、通電部材などにより遮られた界面を仮想的につなぎ合わせて測定するものとする。
「軟化剤」とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、ゴム組成物からアセトンを用いて抽出される成分である。軟化剤は、25℃で液体(液状)の軟化剤および25℃で固体の軟化剤を含む。ただし、通常タイヤ工業で使用されるワックスおよびステアリン酸は含まないものとする。
「軟化剤の含有量」は、予めオイル、樹脂成分、液状ゴム成分等の軟化剤により伸展された伸展ゴム成分中に含まれる軟化剤の量も含む。また、オイルの含有量、樹脂成分の含有量、液状ゴムの含有量についても同様であり、例えば、伸展成分がオイルである場合には伸展オイルはオイルの含有量に含まれる。
<測定方法>
「接地面の総面積」、「ショルダー陸部の合計面積」、「センター陸部の合計面積」、およびこれらの陸部を横断する「横溝および/またはサイプの合計面積」は、前記接地形状を基に計算される値である。接地形状は、タイヤを正規リムに装着させ、正規内圧を保持させた後、例えば、トレッド部1にインクを塗布し、正規荷重を負荷して厚紙等に垂直に押し付け、トレッド部1に塗布されたインクを転写することにより得られる。また、得られた接地形状から、ショルダー陸部を横断する横溝およびサイプ全てを埋めた状態でのショルダー陸部の面積の総和をショルダー陸部の合計面積とし、センター陸部を横断する横溝およびサイプ全てを埋めた状態でのセンター陸部の面積の総和をセンター陸部の合計面積とする。
「30℃E*」は、温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪±1%、伸長モードの条件下で測定する複素弾性率(MPa)である。本測定用サンプルは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの加硫ゴム組成物である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出す。
「30℃tanδ」は、温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪±1%、伸長モードの条件下で測定する損失正接である。本測定用サンプルは、30℃E*の場合と同様にして作製される。
「ガラス転移温度(Tg)」は、JIS K 7121:2012に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製の示差走査熱量計(Q200)を用いて昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することにより、測定される値であり、例えば、SBR等のゴム成分に適用される。
「ゴム層のガラス転移温度(Tg)」は、動的粘弾性測定装置(例えば、GABO社製のイプレクサーシリーズ)を用い、周波数10Hz、初期歪10%、振幅±0.5%、および昇温速度2℃/minの条件下で、-60℃から40℃の範囲におけるtanδの温度分布曲線を測定し、得られた温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度(tanδピーク温度)をTgとして決定する。-60℃から40℃の範囲内において、tanδの最大値が2点存在した場合にはそのうちの温度が低い側をTgとする。また、-60℃から40℃の範囲において、温度上昇に伴いtanδが漸減する温度分布曲線が得られた場合には上述の定義から、Tgを-60℃とする。本測定用サンプルは、30℃E*の場合と同様にして作製される。
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される値であり、例えば、SBR等のスチレンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「ビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、SBR、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。例えば、SBR、BR等に適用される。
「カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、JIS K 6217-2:2017に準じて測定される。「シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される。「シリカの平均一次粒子径」は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
本発明の一実施形態であるタイヤの作製手順について、以下に詳細に説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。
[タイヤ]
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のタイヤを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のタイヤは、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、タイヤ回転軸を通る平面によるタイヤの断面図であって、タイヤ赤道面CLで分割された、向かって右側のみを示したものである。図1のタイヤは、トレッド部1、サイドウォール32、ビード部33、カーカス34、ベルト35、バンド36、リム38を含んでなるものである。トレッド部1は、トレッド面を構成する最外層6を含む三層以上のゴム層(図示せず)により構成されている。ビード部33はビードコア31を含む。カーカス34はカーカスコード(図示せず)を含んでいてもよい。ベルト35はベルトコード(図示せず)を含んでいてもよい。バンド36は、ベルト35のエッジ部のみをカバーするエッジバンド61と、ベルト5の全域をカバーするフルバンド62とからなる。エッジバンド61およびフルバンド62のいずれも、バンドコード(図示せず)を含んでいてもよい。
図2は、トレッド部1を平面に押し付けたときのタイヤの接地面の模式図である。トレッド部1には、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されている。トレッド部1のトレッドパターンは、タイヤ赤道Cに関して、非対称形状で形成されている。
トレッド部1は、外側接地端Toおよび内側接地端Tiを有している。外側接地端Toは、車両装着時に車両の外側(図2では右側)に位置する。内側接地端Tiは、車両装着時に車両の内側(図2では左側)に位置する。
トレッド部1は、周方向Cに連続して延びる複数の周方向溝11、12、13を有している。図2においては、周方向溝11、12、13は3本設けられている。しかし、周方向溝の数は特に限定されず、例えば2本~5本であってもよい。また、周方向溝11、12、13は、本実施形態では、周方向Cに沿って直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、周方向Cに沿って波状、正弦波状、ジグザグ状等に延びていてもよい。
本実施形態において「ショルダー陸部」は、タイヤ赤道Cから幅方向Wの最外側に位置する周方向溝と各接地端To、Tiとの間に形成された一対の陸部を指す。図2では、車両装着時に最外側に位置する周方向溝12と外側接地端Toとの間に形成された外側ショルダー陸部16、および、車両装着時に最内側に位置する周方向溝11と内側接地端Tiとの間に形成された内側ショルダー陸部17がそれぞれ設けられている。
本実施形態において「センター陸部」は、前記の一対のショルダー陸部に挟まれる全ての陸部を指す。図2では、タイヤ赤道Cに沿って設けられた周方向溝13と車両装着時に最外側に位置する周方向溝12との間に形成された外側センター陸部18、および、タイヤ赤道Cに沿って設けられた周方向溝13と車両装着時に最内側に位置する周方向溝11との間に形成された内側センター陸部19がそれぞれ設けられているが、センター陸部の数は特に限定されず、例えば1つ~5つであってもよい。
本実施形態のショルダー陸部16、17およびセンター陸部18、19には、該陸部を横断する横溝および/またはサイプが設けられている。図2においては、ショルダー陸部16、17には、末端が周方向溝1に開口している複数のショルダー横溝21と、片端が周方向溝11、12に開口している複数のショルダーサイプ22とが設けられ、センター陸部18、19には、片端が周方向溝11、13に開口している複数のセンターサイプ23が設けられている。
ショルダー陸部における溝面積比率は、前記センター陸部における溝面積比率よりも大きいことが好ましい。ショルダー陸部における溝面積比率をセンター陸部における溝面積比率よりも大きくすることにより、コーナリング時にショルダー陸部が変形しやすくなり、ショルダー陸部から力を発生させやすくすることができる。また、転動時に接地するセンター陸部では、局所的な入力の増加を抑制しやすくすることができ、ノイズ性能も向上させやすくすることができると考えられる。
ショルダー陸部における溝面積比率は、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましい。また、ショルダー陸部における溝面積比率は、50%以下が好ましく、45%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。
センター陸部における溝面積比率は、10%以上が好ましく、15%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。また、センター陸部における溝面積比率は、45%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、35%以下がさらに好ましい。
接地面内の陸部面積比率は、60%以上が好ましく、63%以上がより好ましく、65%以上がさらに好ましい。また、接地面内の陸部面積比率は、80%以下が好ましく、77%以下がより好ましく、75%以下がさらに好ましい。接地面内の陸部面積比率を前記の範囲とすることにより、コーナリング時にトレッド全体で力が伝わりやすくなるとともに、局所的に路面からの振動を受ける部分を減らすことができるため、ノイズ性能も向上させやすくなると考えられる。
<低密度部材>
本実施形態に係るタイヤは、トレッド部のタイヤ内周面に、低密度部材を備えることができる。低密度部材としては特に限定されず、当該タイヤ内周面に伝わった振動を共振により打ち消す効果のあるものであれば、特に限定されない。そのような低密度部材としては、例えば、パンク防止に用いられるシーラント層、制音体、立体網目構造体などが挙げられる。
低密度部材は、トレッド部のタイヤ内周面に配置することでその効果を発揮することができる。低密度部材について、タイヤ半径方向でのその厚さ、および、タイヤ回転軸方向でのその幅、または、その体積ないし断面積や、その他の諸性質は、低密度部材の種類等により異なり得るが、当業者は、適宜、決定することができる。
低密度部材は、単独で用いる他、複数のものを組合せて用いることができる。組合せの例としては、例えば、トレッド部のタイヤ内周面に、まず、シーラント層を設置したのち、その上に、さらに、制音体または立体網目構造体等を設置することなどが挙げられるが、これらに限定されない。
(シーラント層)
シーラント層としては、一般にパンク防止用として、トレッド部のタイヤ内周面に用いられるものを好適に使用することができる。そのようなシーラント層の具体例としては、例えば、特開2020-23152号公報に記載のものが挙げられる。シーラント層の厚さは、1mm以上10mm以下であることが好ましい。シーラント層の幅は、ベルト層の最大幅の85%以上115%以下であることが好ましく、95%以上105%以下であることがより好ましい。
(制音体)
制音体としては、タイヤ内腔で制音効果を発揮できるものであればいずれも好適に用いることができる。そのような制音体の具体例としては、例えば、特開2019-142503号公報に記載のものが挙げられる。制音体は、例えば、多孔質状のスポンジ材により構成される。スポンジ材は、海綿状の多孔構造体であり、例えばゴムや合成樹脂を発泡させた連続気泡を有するいわゆるスポンジそのものの他、動物繊維、植物繊維または合成繊維等を絡み合わせて一体に連結したウエブ状のものを含む。また「多孔構造体」には、連続気泡のみならず独立気泡を有するものを含む。制音体としては、ポリウレタンからなる連続気泡のスポンジ材が挙げられる。スポンジ材としては、例えば、エーテル系ポリウレタンスポンジ、エステル系ポリウレタンスポンジ、ポリエチレンスポンジなどの合成樹脂スポンジ、クロロプレンゴムスポンジ(CRスポンジ)、エチレンプロピレンゴムスポンジ(EDPMスポンジ)、ニトリルゴムスポンジ(NBRスポンジ)などのゴムスポンジを好適に用いることができ、とりわけエーテル系ポリウレタンスポンジを含むポリウレタン系またはポリエチレン系等のスポンジが、制音性、軽量性、発泡の調節可能性、耐久性などの観点から好ましい。
制音体39は、トレッド部の内腔面に固着される底面を有する長尺帯状をなし、タイヤ周方向にのびる。このとき周方向の外端部を互いに突き合わせて略円環状に形成し得る他、外端部間を周方向に離間させてもよい。制音体39は、外端部を除く周方向の各位置で、実質的に同じ断面形状を有する。この断面形状として、走行時の倒れや変形を防止するために、タイヤ軸方向の巾に対して高さを小とした偏平横長のものが好ましい。特に、半径方向内面側に周方向に連続してのびる凹溝37を備えると、制音体の表面積を増加させ、より多くの共鳴エネルギーを吸収し得るとともに、放熱性を高めてスポンジ材の温度上昇を抑え得る。
制音体のガラス転移温度(Tg)は、耐久性や柔軟性を良好に保つ観点から、-55℃以上-45℃以下であることが好ましい。低温下での制音体の柔軟性が維持されると、例えば、寒冷時の走行にあっても、制音体が空気の振動エネルギーを熱エネルギーに効果的に変換し、走行ノイズが十分に低減される。本明細書において、Tgは、TA Instruments社製の示差走査熱量計SC Q2000を用いて、ASTM D 6604(公開日2013年)に従って測定する値である。
制音体の密度は、タイヤの重量増加を招くことなく走行ノイズを低減する観点から、密度が1.0×10-2g/cm3以上4.0×10-2g/cm3以下であることが好ましい。
制音体の体積は、空気の振動エネルギーの十分な変換等の観点から、タイヤ内腔の全体積の0.4~30%が望ましい。制音体の体積とは、制音体の見かけの全体積であって、内部の気泡を含めた外形から定められる体積を意味する。本明細書において、タイヤ内腔の全体積Vは、空気入りタイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷の正規状態において、下記式(3)により近似的に求めるものとする。なお、下記Aは、タイヤ内腔表面および一対のビード部のタイヤ半径方向内側端点を結ぶ線分により囲まれる面積を指す。
V=A×{(Di-Dr)/2+Dr}×π ・・・(3)
A:正規状態のタイヤ・リム組立体をCTスキャニングして得られるタイヤ内腔の横断面積(mm)
Di:正規状態でのタイヤの内腔面の最大外径(mm)
Dr:リム径(mm)
制音体の引張強さは、制音体の耐久性能等の観点から、70kPa以上115kPa以下であることが好ましい。
(立体網目構造体)
立体網目構造体としては、一般に、吸音材として作用するものであればいずれも好適に用いることができる。そのような吸音材の具体例としては、例えば、特開2018-90131号公報に記載のものが挙げられる。立体網目構造体は、より詳しくは、樹脂を溶融させた複数の線条が不規則に絡み合い、その絡合部が溶着されることにより形成されたものである。
立体網目構造体は、タイヤ内腔に固定されていることが好ましい。タイヤ内腔への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤等によりタイヤ内面に接着すればよいが、上記シーラント層を構成するシーラント材により固定されることもでき、そのように固定されることが好ましい。
立体網目構造体の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1.0mm以上150mm以下、より好ましくは30mm以上120mm以下である。幅は、特に限定されないが、効果がより好適に得られるという理由から、上記シーラント層の幅の50%以上95%以下であることが好ましく、60%以上90%以下であることがより好ましい。
立体網目構造体の断面積比(すなわち、(立体網目構造体の断面積/タイヤ内腔の断面積)×100)は、効率的な吸音性能の観点から、2%以上90%以下が好ましく、5%以上80%以下がより好ましく、20%以上70%以下がさらに好ましい。ここで、断面積比を変化させるためには、例えば、立体網目構造体の幅、厚さを変化すればよい。立体網目構造体の断面積とは、立体網目構造体の見かけの断面積であって、内部の空洞を含めた立体網目構造体の外形から定められる断面積を言う。立体網目構造体の断面積は、立体網目構造体の体積を立体網目構造体の平均厚さ(タイヤ半径方向の厚さ)で除することにより算出される。ここで、立体網目構造体の体積とは、立体網目構造体の見かけの全体積であって、内部の空洞を含めた立体網目構造体の外形から定められる体積を言う。また、立体網目構造体の平均厚さも、内部の空洞を含めた立体網目構造体の外形から定められる平均厚さを言う。また、本明細書において、タイヤ内腔の断面積は、タイヤ内腔の全体積を、タイヤ内腔のタイヤ半径方向の高さで除することにより算出される。
立体網目構造体の見かけ密度は、効率的な吸音性能の観点から、1.0g/cm3以上25.0×10-2g/cm3が好ましく、2.0g/cm3以上20.0×10-2g/cm3以下がより好ましく、3.0g/cm3以上10.0×10-2g/cm3以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、見かけ密度とは、立体網目構造体の内部に存在する空洞も立体網目構造体の体積とみなして計算される密度であり、立体網目構造体の質量を、立体網目構造体の見かけの全体積(内部の空洞を含めた立体網目構造体の外形から定められる体積)で除することにより算出される。具体的には、立体網目構造体を用いて、概形1m×1m×1mの立方体状の測定試料を作成し、作成した測定試料の質量を測定することにより算出できる。
図3は、タイヤのトレッドの一部が示された拡大断面図である。図3において、上下方向がタイヤ半径方向であり、左右方向がタイヤ幅方向であり、紙面に垂直な方向がタイヤ周方向である。
本実施形態に係るタイヤのトレッド部は、トレッド面を構成する最外層6と、ベルト層のタイヤ半径方向外側に隣接する最内層8と、最外層6および最内層8の間に介在する中間層7を備える(以下、単に「最外層6」、「中間層7」、「最内層8」と表記することがある)。中間層7は単一の層でもよく、タイヤ半径方向に2以上に分割されていてもよい。最外層6は、典型的にはキャップトレッドに相当する。最内層8は、典型的にはベーストレッドまたはアンダートレッドに相当する。中間層7は、典型的な形は決まっていないことから、ベーストレッドであってもよく、アンダートレッドであってもよい。
図3において、両矢印t1は最外層6の厚み、両矢印t2は中間層7の厚み、両矢印t3は最内層8の厚みを示す。なお、前記のようにタイヤ赤道面CL上に周方向溝を有する場合には、トレッド部を構成する前記各ゴム層の厚みは、タイヤ赤道面に最も近い陸部のタイヤ幅方向中央部における前記各ゴム層の厚みとする。
最外層6の厚みt1は特に限定されないが、溝底部に最外層が形成されやすくする観点から、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上がさらに好ましい。一方、上限は特に限定されないが、7.0mm以下が好ましく、6.5mm以下がより好ましく、6.0mm以下がさらに好ましい。
中間層7の厚みt2は特に限定されないが、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましい。また、中間層7の最大厚みt2は、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
最内層8の厚みt3は特に限定されないが、2.0mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3.0mm以上がさらに好ましい。また、最内層8の最大厚みt3は、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
t2に対するt1の比(t1/t2)は、本発明の効果の観点から、0.20以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、0.40以上がさらに好ましく、0.50以上が特に好ましい。一方、t1/t2は、4.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましく、0.90以下が特に好ましい。
本実施形態に係るタイヤは、周方向溝のうち、少なくとも一つの周方向溝において、溝底の最深部が、中間層の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されていることが好ましい。図3では、複数の周方向溝14のうち最も深い溝深さを有する周方向溝14の溝底の最深部は、その周方向溝に隣接する陸部2内の中間層7の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されている。すなわち、複数の周方向溝14のうち最も深い溝深さを有する周方向溝14の溝底の最深部は、その周方向溝に隣接する陸部2内の中間層7の最外部の延長線9よりもタイヤ半径方向内側に位置している。複数の周方向溝14のうち最も深い溝深さを有する周方向溝14の直下(タイヤ半径方向内側)では、その周方向溝に隣接する陸部2内の中間層7の最外部に対してタイヤ半径方向内側に凹んだ凹部を有し、最外層6の一部が中間層7の前記凹部内に所定の厚さで形成されている。
前記最深部を有する周方向溝において、トレッド表面端を結ぶ線分と、前記線分に平行で前記最深部を通る直線との距離H1は、3.0mm以上が好ましく、4.0mm以上がより好ましく、5.0mm以上がさらに好ましい。また、H1は、15.0mm以下が好ましく、12.0mm以下がより好ましく、10.0mm以下がさらに好ましい。
1に対するt1の比(t1/H1)は、本発明の効果の観点から、0.20以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.30以上がさらに好ましく、0.35以上が特に好ましい。一方、t1/H1は、0.90以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.75以下がさらに好ましく、0.70以下がさらに好ましく、0.65以下が特に好ましい。
t1/H1に対するE*Tの比(E*T/(t1/H1))は、本発明の効果の観点から、6.0以上が好ましく、7.0以上がより好ましく、8.0以上がさらに好ましく、10以上がさらに好ましく、12以上が特に好ましい。一方、E*T/(t1/H1)の上限値は特に制限されないが、例えば、40以下、35以下、30以下、25以下とすることができる。
本実施形態において、少なくとも1つの前記陸部の幅方向長さは、タイヤ半径方向外側から内側に向かって漸増していることが好ましい。これにより、タイヤ製造時に陸部側面に複数のゴム層が均一に形成されやすくなるため、摩耗後期におけるノイズ性能の悪化を抑制しやすくなると考えられる。なお、本実施形態の周方向溝の溝壁7は、タイヤ半径方向外側から内側に向かって直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、曲線状や階段状に延びていてもよい。
車両装着時に最外側に位置する周方向溝12のトレッド表面における溝幅L0に対する、前記周方向溝12の溝底の最深部の95%位置における溝幅L95の比(L95/L0)は、本発明の効果の観点から、0.20以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.30以上がさらに好ましく、0.35以上が特に好ましい。また、L95/L0は、0.90以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.70以下がさらに好ましく、0.60以下が特に好ましい。なお、図4において、各ゴム層の図示は省略している。
本実施形態に係るトレッド部は、最外層6の30℃における複素弾性率をE*T(MPa)、最内層8の30℃における複素弾性率をE*B(MPa)としたとき、E*T>E*Bであることを特徴とする。E*TをE*Bよりも大きくすることにより、摩耗後の陸部端部において、トレッド表面側が選択的に衝撃を受けやすい状態となり、最外層内部での衝撃の吸収性を得やすくすることができ、かつ、中間層が存在するため、最内層に衝撃が伝播しにくくなると考えられる。E*TとE*Bとの差(E*T-E*B)は、本発明の効果の観点から、1.0MPa以上が好ましく、1.5MPa以上がより好ましく、2.0MPa以上がさらに好ましく、2.5MPa以上が特に好ましい。一方、上限としては特に限定されないが、20.0MPa以下が好ましく、15.0MPa以下がより好ましく、10.0MPa以下がさらに好ましく、8.0MPa以下が特に好ましい。E*T-E*Bを前記の範囲とすることにより、隣接するゴム層間の共振をより効果的に抑制することができる。
最外層6の30℃E*(E*T)は、衝撃を吸収させやすくする観点から、20.0MPa以下が好ましく、15.0MPa以下がより好ましく、10.0MPa以下がさらに好ましい。一方、E*Tは、3.0MPa以上が好ましく、4.0MPa以上がより好ましく、5.0MPa以上がさらに好ましく、6.0MPa以上が特に好ましい。
中間層の30℃E*は、20.0MPa以下が好ましく、15.0MPa以下がより好ましく、10.0MPa以下がさらに好ましい。一方、中間層の30℃E*は、3.0MPa以上が好ましく、4.0MPa以上がより好ましく、5.0MPa以上がさらに好ましく、6.0MPa以上が特に好ましい。
最内層8の30℃E*(E*B)は、2.0MPa以上が好ましく、2.5MPa以上がより好ましく、3.0MPa以上がさらに好ましい。一方、E*Bは、15.0MPa以下が好ましく、10.0MPa以下がより好ましく、8.0MPa以下がさらに好ましい。
なお、各ゴム層の30℃E*は、後記のゴム成分、充填剤、軟化剤等(特に軟化剤)の種類や配合量により適宜調整することができる。
最外層6の30℃tanδは、本発明の効果を得られやすくする観点から、0.40以下が好ましく、0.35以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましく、0.25以下が特に好ましい。一方、最外層6の30℃tanδは、衝撃を吸収しやすくする観点から、0.06以上が好ましく、0.08以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましい。
中間層7の30℃tanδは、0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.25以下がさらに好ましく、0.20以下が特に好ましい。最内層8の30℃tanδは、0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましく、0.15以下が特に好ましい。一方、中間層7および最内層8を構成するゴム組成物の30℃tanδは、0.03以上が好ましく、0.04以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましい。なお、各ゴム層の30℃tanδは、後記のゴム成分、充填剤、軟化剤等(特に軟化剤)の種類や配合量により適宜調整することができる。
本実施形態において、最外層6を構成するゴム組成物のガラス転移温度T(℃)は、-35℃以上であり、-32℃以上が好ましく、-29℃以上がより好ましく。-26℃以上がさらに好ましい。最外層6のガラス転移温度を前記の範囲とすることにより、通常走行時の転動時に発生した振動の周波数に対応するエネルギーロスを大きくすることができ、振動を吸収しやすくすることができると考えられる。一方、Tの上限としては特に限定されないが、0℃以下が好ましく、-10℃以下がより好ましく、-15℃以下がさらに好ましい。なお、各ゴム層のガラス転移温度は、後記のゴム成分等の種類や配合量により適宜調整することができる。
前記式(1)で表されるt1/t2とおよびTの絶対値との積((t1/t2)×|T|)は、0.90超が好ましく、2.0超がより好ましく、4.0超がさらに好ましく、6.0超が特に好ましい。(t1/t2)×|T|を前記の範囲とすることにより、表層での衝撃の吸収効果を得やすくすることができると考えられる。一方、(t1/t2)×|T|の上限値は特に制限されないが、70未満が好ましく、50未満がより好ましく、30未満がさらに好ましく、20未満が特に好ましい。
[ゴム組成物]
本実施形態に係るトレッド部は三層以上のゴム層からなり、最内層の30℃における複素弾性率E*Bが最外層の30℃における複素弾性率E*Tよりも大きいことを特徴とする。トレッド部の各層を構成するゴム組成物は、いずれも以下に説明する原料を用いて、要求される30℃E*、30℃tanδ等に応じて製造することができる。以下、本実施形態に係るゴム組成物について説明するが、特に断りのない限り、本実施形態に係るトレッド部のいずれのゴム層にも適用可能なものとする。
<ゴム成分>
本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分としてジエン系ゴムが好適に用いられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。これらのジエン系ゴム成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分100質量%中のジエン系ゴムの含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましい。また、ジエン系ゴムのみからなるゴム成分としてもよい。
本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。最外層6および中間層7を構成するゴム組成物は、ゴム成分としてSBRを含むことが好ましく、SBRおよびBRを含むことがより好ましく、SBRおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。一方、最内層8を構成するゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムを含むことが好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRを含むことがより好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
最外層6および中間層7を構成するゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。一方、該含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上とすることができる。
最内層8を構成するゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。また、該含有量の上限値は特に制限されない。
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、未変性の溶液重合SBR(S-SBR)や乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。
前記で列挙されたSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記で列挙されたSBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ZSエラストマー(株)等より市販されているものを使用することができる。
最外層6を構成するゴム成分は、ガラス転移温度-80℃以上-40℃以下(好ましくは-70℃以上-40℃以下、より好ましくは-65℃以上-40℃以下、さらに好ましくは-60℃以上-40℃以下、特に好ましくは-60℃以上-45℃以下)のSBRを含む。最外層6を構成するゴム成分にかかるSBRを配合することにより、ゴム成分の運動性を高め、衝撃を吸収しやすくすることができると考えられる。
SBRのスチレン含量は、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、グリップ性能の温度依存性および耐ブロー性能の観点からは、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。なお、SBRのスチレン含有量は、前記測定方法により測定される。
SBRのビニル含量は、シリカとの反応性の担保、ウェットグリップ性能、ゴム強度、および耐摩耗性能の観点から、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル含量は、温度依存性の増大防止、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。なお、SBRのビニル含量は、前記測定方法により測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、ウェットグリップ性能の観点から、20万以上が好ましく、25万以上がより好ましい。また、架橋均一性の観点から、重量平均分子量は200万以下が好ましく、180万以下がより好ましく、150万以下がさらに好ましい。なお、SBRの重量平均分子量は、前記測定方法により測定される。
最外層6を構成するゴム成分中のガラス転移温度-80℃以上-40℃以下のSBRの含有量は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上が特に好ましい。一方、該含有量の上限値は特に制限されないが、例えば、100質量%、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下とすることができる。
最外層6および中間層7を構成するゴム成分中のSBRの含有量(複数のSBRを併用する場合は全ての合計量)は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上が特に好ましい。一方、該含有量の上限値は特に制限されないが、例えば、100質量%、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下とすることができる。なお、最内層8ゴム層を構成するゴム組成物において、ゴム成分中のSBRの含有量は特に制限されない。
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス含量が50質量%未満のBR(ローシスBR)、シス含量が90質量%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。これらのBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)、JSR(株)等より市販されているものを使用することができる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。ハイシスBRのシス含量は、95質量%以上が好ましく、96質量%以上より好ましく、97質量%以上さらに好ましい。なお、BRのシス含量は、前記測定方法により測定される。
変性BRとしては、末端および/または主鎖がケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)が好適に用いられる。
その他の変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、BRの重量平均分子量は、前記測定方法により測定される。
最外層6および中間層7を構成するゴム成分中のBRの含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。また、該含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上とすることができる。
最内層8を構成するゴム成分中のBRの含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。また、該含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上とすることができる。
(その他のゴム成分)
ゴム成分は、本発明の効果に影響を与えない範囲で、ジエン系ゴム以外の他のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。これら他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<フィラー>
本実施形態に係るゴム組成物は、カーボンブラックおよび/またはシリカを含むフィラーが好適に使用される。最外層6および中間層7を構成するゴム組成物は、フィラーとしてシリカを含むことが好ましく、カーボンブラックおよびシリカを含むことがより好ましい。最内層8を構成するゴム組成物は、フィラーとしてカーボンブラックを含むことが好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なお、一般的な鉱油を燃焼させて生成されるカーボンブラック以外に、リグニン等のバイオマス材料を用いたカーボンブラックを用いてもよい。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、ゴム成分と相互作用させ、エネルギーロスにより衝撃を吸収しやすくする観点から、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、110m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、200m2/g以下が好ましく、180m2/g以下がより好ましく、160m2/g以下がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、前記測定方法により測定される。
最外層6および中間層7を構成するゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、耐摩耗性能およびウェットグリップ性能の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、低燃費性能の観点からは、50質量部以下が好ましく、35質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
最内層8を構成するゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。なお、上記のシリカの他に、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたシリカを適宜用いてもよい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、エネルギーロスにより衝撃を吸収しやすくする観点から、120m2/g以上が好ましく、140m2/g以上がより好ましく、160m2/g以上がさらに好ましく、180m2/g以上が特に好ましい。一方、分散性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記測定方法により測定される。
シリカの平均一次粒子径は、エネルギーロスにより衝撃を吸収しやすくする観点から、22nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、18nm以下がさらに好ましく17nm以下がさらに好ましく、16nm以下が特に好ましい。一方、分散性の観点からは、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましい。なお、シリカの平均一次粒子径は、前記測定方法により測定される。
最外層6および中間層7を構成するゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、エネルギーロスを得やすくする観点から、50質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましく、85質量部以上がさらに好ましく、95質量部以上がさらに好ましく、105質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、150質量部以下が好ましく、140質量部以下がより好ましく、130質量部以下がさらに好ましい。なお、最内層8を構成するゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、特に制限されない。
最外層6および中間層7を構成するゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対するシリカとカーボンブラックの合計含有量は、耐摩耗性能の観点から、55質量部以上が好ましく、75質量部以上がより好ましく、90質量部以上がさらに好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、110質量部以上が特に好ましい。また、低燃費性能および破断時伸びの観点からは、160質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、140質量部以下がさらに好ましい。
最外層6および中間層7を構成するゴム組成物における、フィラー100質量%中のシリカの含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、85質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
(その他のフィラー)
フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ以外に、さらにその他のフィラーを用いてもよい。そのようなフィラーとしては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、クレー、バイオ炭(BIOCHAR)等、従来からタイヤ工業において一般的に用いられているものを配合することができる。これらその他のフィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、エボニックデグサ社、モメンティブ社等より市販されているものを使用することができる。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、シリカの分散性を高める観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましく、4.0質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の低下を防止する観点からは、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。
シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量は、シリカの分散性を高める観点から、1.0質量部以上が好ましく、3.0質量部以上がより好ましく、5.0質量部以上がさらに好ましい。また、コストおよび加工性の観点からは、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。
<その他の配合剤>
本実施形態に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、軟化剤、ワックス、加工助剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(軟化剤)
本実施形態に係るゴム組成物は、軟化剤を含有することが好ましい。軟化剤としては、例えば、樹脂成分、オイル、液状ゴム等が挙げられる。最外層6を構成するゴム組成物は、樹脂成分を含有することが好ましい。
樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられ、これらが水素添加されたものであってもよい。これらの樹脂成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
石油樹脂としては、C5系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。
本明細書において「C5系石油樹脂」とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂しては、シクロペンタジエン系樹脂が好適に用いられる。シクロペンタジエン系樹脂としては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)、シクロペンタジエン樹脂、メチルシクロペンタジエン樹脂、ならびにこれらのシクロペンタジエン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたシクロペンタジエン系樹脂)が挙げられる。シクロペンタジエン系樹脂としては、例えば、エクソンモービルケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
本明細書において「芳香族系石油樹脂」とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。芳香族系石油樹脂の具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。
芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレン誘導体もしくはスチレン誘導体の単独重合体またはα-メチルスチレン誘導体とスチレン誘導体および/またはインデンとの共重合体が好ましい。なお、前記の「α-メチルスチレン誘導体」とは、ベンゼン環上が置換されていてもα-メチルスチレン化合物(好ましくは、ベンゼン環上が炭素数1~4の飽和炭化水素基で置換されていてもよいα-メチルスチレン化合物、より好ましくはα-メチルスチレン)を意味し、前記の「スチレン誘導体」とは、ベンゼン環上が置換されていてもスチレン化合物(好ましくは、ベンゼン環上が炭素数1~4の飽和炭化水素基で置換されていてもよいスチレン化合物、より好ましくはスチレン)を意味する。前記の芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、三井化学(株)、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
本明細書において「C5C9系石油樹脂」とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9系石油樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン等のテルペン化合物から選ばれる少なくとも1種からなるポリテルペン樹脂;前記テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂;前記テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂;並びにこれらのテルペン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたテルペン系樹脂)が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。テルペン系樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)等より市販されているものを使用することができる。
ロジン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、天然樹脂ロジン、変性ロジン樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、荒川化学工業(株)、ハリマ化成(株)等より市販されているものを使用することができる。
フェノール系樹脂としては、特に限定されないが、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールアセチレン樹脂、オイル変性フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
樹脂成分としては、石油樹脂およびテルペン系樹脂からなる群から選ばれる1以上が好ましく、シクロペンタジエン系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、およびテルペン系樹脂からなる群より選ばれる1以上がより好ましい。
樹脂成分を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、樹脂成分の含有量は、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル(ミネラルオイル)、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。プロセスオイルの具体例としては、例えば、MES(Mild Extract Solvated)、DAE(Distillate Aromatic Extract)、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)、TRAE(Treated Residual Aromatic Extract)、RAE(Residual Aromatic Extract)等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、MES、TDAE、重ナフテン系オイル等が挙げられる。また、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム混合機やエンジンに用いられた後の廃油や、調理店で使用された廃食用油を精製したものを用いてもよい。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましく、9質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、120質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましい。
液状ゴムは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレンイソプレンゴム(液状SIR)、液状ファルネセンゴム等が挙げられる。これらの液状ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状ゴムを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、液状ゴムの含有量は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
最外層6および中間層7を構成するゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対する軟化剤の含有量(複数の軟化剤を併用する場合は全ての合計量)は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましく、18質量部以上がさらに好ましく、25質量部以上が特に好ましい。また、該含有量は、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましく、70質量部以下が特に好ましい。
最外層6を構成するゴム組成物において、軟化剤中の樹脂成分の含有量は、ゴム成分中のスチレン部との相互作用によりエネルギーロスを得やすくする観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。一方、最外層6を構成するゴム組成物において、軟化剤中の樹脂成分の含有量の上限値は特に制限されないが、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
最外層6を構成するゴム組成物において、ゴム成分100質量に対するシリカおよび軟化剤の合計含有量は、ゴム組成物のエネルギーロスを高め、衝撃を吸収しやすくする観点から、80質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、110質量部以上がさらに好ましく、114質量部以上がさらに好ましく、120質量部以上が特に好ましい。一方、耐摩耗性能の観点からは、180質量部以下が好ましく、170質量部以下がより好ましく、160質量部以下がさらに好ましい。
最内層8を構成するゴム組成物における、ゴム成分100質量部に対する軟化剤の含有量(複数の軟化剤を併用する場合は全ての合計量)は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、15質量部以下が特に好ましい。一方、該含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上とすることができる。
ワックスとしては、特に限定されず、タイヤ工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、石油系ワックス、鉱物系ワックス、合成ワックス等が挙げられ、石油系ワックスが好ましい。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、これらの精選特殊ワックス等が挙げられ、パラフィンワックスが好ましい。なお、本実施形態に係るワックスは、ステアリン酸を含まないものとする。ワックスは、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、パラメルト社等より市販されているものを使用することができる。これらのワックスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加工助剤としては、例えば、Schill+Seilacher社、パフォーマンスアディティブス社等より市販されているものを使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8.0質量部以下がより好ましい。
老化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、カプロラクタムジスルフィド等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、およびグアニジン系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、TBBSおよびCBSが好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)またはその塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。なかでも、MBTSおよびMBTが好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、DPGが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の加硫促進剤を併用する場合は全ての合計量)は、1.0質量部以上が好ましく、1.2質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、8.0質量部以下が好ましく、7.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
[ゴム組成物およびタイヤの製造]
本実施形態に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
最外層6および中間層7を含むトレッドを備えたタイヤは、それぞれに対応するゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、前記の方法により得たそれぞれのゴム層に対応する未加硫のゴム組成物を、所定の形状の口金を備えた押し出し機で各ゴム層の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
[タイヤの用途]
本実施形態に係るタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤに好適に用いることができ、なかでも乗用車用タイヤに用いることが好ましい。なお、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。また、本実施形態に係るタイヤは、全シーズン用タイヤ、夏用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤに使用可能である。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。以下に示す各種薬品を用いて、表1の配合に従って得られるトレッド部の最外層、第一中間層、第二中間層、および最内層を有するタイヤを検討して下記評価方法に基づいて算出した結果を表2および表3に示す。
<ゴム組成物およびタイヤの製造>
以下、実施例および比較例において用いる各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
SBR1:Versalis社製のEUROPRENE(登録商標) SOL R C2525(Tg:-50℃、スチレン含量:26質量%、ビニル含量:24モル%、Mw:60万、非油展品)
SBR2:ZSエラストマー(株)製のNipol NS522(S-SBR、Tg:-25℃、スチレン含量:39質量%、ビニル含量:40モル%、Mw:120万、ゴム固形分100質量部に対して油展オイル分37.5質量部含有)
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR(登録商標)150B(シス含量:97質量%、Mw:44万)
シリカ1:エボニックデグサ社製のULTRASIL VN3(N2SA:175m2/g、平均一次粒子径:17nm)
シリカ2:Rhodia社製のZeosil Premium 200MP(N2SA:220m2/g、平均一次粒子径:15nm)
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシースト9(SAF、N2SA:142m2/g)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:H&R(株)製のVivaTec400(TDAEオイル)
樹脂成分1:クレイトン社製のSylvatraxx4401(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体)
樹脂成分2:エクソンモービルケミカル社製のOppera PR-120(水素添加されたジシクロペンタジエン樹脂)
液状ゴム:クレイバレー社製のRicon100(液状SBR)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛1号
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
ワックス:日本精蝋(株)のオゾエース0355(パラフィンワックス)
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS))
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン(DPG))
<低密度部材の製造>
(低密度部材1(制音体))
制音体39として、図1に示す形状のエーテル系ポリウレタンスポンジを含むポリウレタン系スポンジを用いる。該制音体は、その体積がタイヤ内腔の全体積の15%、その密度が2.7×10-2g/cm3、Tgが-50℃である。
(実施例および比較例)
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150~160℃になるまで1~10分間混練りし、混練物を得る。次に、2軸オープンロールを用いて、該混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。該未加硫ゴム組成物を用いて、トレッド部の最外層、中間層、および最内層の形状に合わせて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で加硫して表2および表3に記載の各試験用タイヤ(サイズ:205/55R16、リム:16×6.5J)を得る。なお、最内層の厚みt3は2.0mm、実施例12の第一中間層および第二中間層の厚さはそれぞれ2.5mm、周方向溝の最深部の溝深さH1は7.0mmとする。
<損失正接tanδ、複素弾性率E*、およびガラス転移温度(Tg)の測定>
各試験用タイヤのトレッド部の各ゴム層内部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出して作製される各加硫ゴム試験片について、動的粘弾性測定装置(GABO社製のイプレクサーシリーズ)を用い、温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪±1%、伸長モードの条件下で損失正接tanδおよび複素弾性率E*を測定する。また、周波数10Hz、初期歪10%、振幅±0.5%、および昇温速度2℃/minの条件下でtanδの-60~40℃の温度分布曲線を測定し、得られる温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度(tanδピーク温度)をガラス転移温度(Tg)とする。
<ノイズ悪化抑制性能>
新品時の各試験用タイヤおよび摩耗後の各試験用タイヤを、排気量2000ccのFF乗用車の四輪にそれぞれ装着し、ドライアスファルト面のテストコースにて実車走行を行う。120km/h走行時にテストドライバーが車内で感じたノイズを、各々のフィーリングに基づいて評価する。評価は1点~10点の整数値で行い、評点が高いほどノイズ性能に優れる評価基準のもと、テストドライバー10名の合計点を算出する。各試験タイヤについて、下記式により摩耗前後でのノイズ性能の評点の変化率を計算し、対照タイヤ(比較例8)の変化率を100として換算し、各試験タイヤの摩耗後のノイズ悪化抑制指数とする。数値が高いほど、摩耗前後でのノイズ性能の変化が少なく、ノイズ悪化抑制性能に優れることを示す。
(対照タイヤのノイズ変化率)=(対照タイヤの摩耗後のノイズ性能評点)/(対象タイヤの新品時のノイズ性能評点)
(各試験用タイヤのノイズ変化率)=(各試験用タイヤの摩耗後のノイズ性能評点)/(各試験用タイヤの新品時のノイズ性能評点)
(各試験タイヤのノイズ悪化抑制指数)=(各試験用タイヤのノイズ変化率)/(対照タイヤのノイズ変化率)×100
なお、摩耗後の各試験用タイヤは、新品タイヤの最も深い周方向溝の深さが新品時の50%となるように、トレッドラジアスに沿ってトレッド部を摩耗させた後、このタイヤを80℃で7日間熱劣化させることにより作製する。摩耗後の各試験用タイヤは、中間層が露出し、トレッド面を形成している。
Figure 2024060451000001
Figure 2024060451000002
Figure 2024060451000003
<実施形態>
本発明の実施形態の例を以下に示す。
〔1〕トレッド面を構成する最外層と、ベルト層のタイヤ半径方向外側に隣接する最内層と、前記最外層および前記最内層の間に介在する1以上の中間層とを備えたトレッド部を有するタイヤであって、前記最外層、前記最内層、および前記中間層が、それぞれゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記最外層を構成するゴム成分が、ガラス転移温度-80℃以上-40℃以下のスチレンブタジエンゴムを含み、前記最外層を構成するゴム組成物のガラス転移温度T(℃)が-35以上であり、前記最外層の30℃における複素弾性率をE*T(MPa)、前記最内層の30℃における複素弾性率をE*B(MPa)としたとき、E*T>E*Bであるタイヤ。
〔2〕前記最外層を構成するゴム成分中の、前記ガラス転移点が-80℃以上-40℃以下のスチレンブタジエンゴムの含有量が50質量%以上90質量%以下である、上記〔1〕記載のタイヤ。
〔3〕前記最外層の厚みt1(mm)、前記中間層の厚みt2(mm)、およびTが下記式(1)を満たす、上記〔1〕または〔2〕記載のタイヤ。
(t1/t2)×|T|>0.90 ・・・(1)
〔4〕前記最外層を構成するゴム組成物が、平均一次粒子径18nm以下のシリカを含有する、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔5〕前記最外層を構成するゴム組成物の、前記ゴム成分100質量に対するシリカおよび軟化剤の合計含有量が110質量部以上である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔6〕前記最外層を構成するゴム組成物が樹脂成分を含む軟化剤を含有し、前記軟化剤中の樹脂成分の含有量が30質量%以上である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔7〕前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる2以上の周方向溝、前記周方向溝および接地端によって仕切られた一対のショルダー陸部、ならびに前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部を有し、前記周方向溝のうち、少なくとも一つの周方向溝において、溝底の最深部が、前記中間層の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されている、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔8〕前記最深部を有する周方向溝において、トレッド表面端を結ぶ線分と、前記線分に平行で前記最深部を通る直線との距離をH1(mm)とするとき、H1、t1、およびE*Tが下記式(2)を満たす、上記〔7〕記載のタイヤ。
E*T/(t1/H1)≧6.0 ・・・(2)
〔9〕車両装着時に最外側に位置する前記周方向溝のトレッド表面における溝幅をL0、車両装着時に最外側に位置する前記周方向溝の溝底の最深部の95%位置における溝幅をL95としたとき、L95/L0が0.20以上0.80以下である、上記〔7〕または〔8〕記載のタイヤ。
〔10〕接地面内の陸部面積比率が60%以上80%以下である、上記〔7〕~〔9〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔11〕前記ショルダー陸部における溝面積比率が、前記センター陸部における溝面積比率よりも大きい、上記〔7〕~〔10〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔12〕前記トレッド部のタイヤ内周面に、シーラント層、制音体、および立体網目構造体からなる群より選ばれる1以上の低密度部材を備えた、上記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のタイヤ。
1 トレッド部
2 陸部
4 トレッド表面端を結ぶ線分
5 線分4に平行で周方向溝の溝底の最深部を通る直線
6 最外層
7 中間層
8 最内層
9 中間層の最外部の延長線
10 トレッド面
11、12、13、14 周方向溝
15 周方向溝の溝壁
16 外側ショルダー陸部
17 内側ショルダー陸部
18 外側センター陸部
19 内側センター陸部
20 センター陸部
21 ショルダー横溝
22 ショルダーサイプ
23 センターサイプ
31 ビードコア
32 サイドウォール
33 ビード部
34 カーカス
35 ベルト
36 バンド
37 凹溝
38 リム
39 制音体
61 エッジバンド
62 フルバンド
C タイヤ赤道
CL タイヤ赤道面
To 外側接地端
Ti 内側接地端
W タイヤ幅方向

Claims (12)

  1. トレッド面を構成する最外層と、ベルト層のタイヤ半径方向外側に隣接する最内層と、前記最外層および前記最内層の間に介在する1以上の中間層とを備えたトレッド部を有するタイヤであって、
    前記最外層、前記最内層、および前記中間層が、それぞれゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、
    前記最外層を構成するゴム成分が、ガラス転移温度-80℃以上-40℃以下のスチレンブタジエンゴムを含み、
    前記最外層を構成するゴム組成物のガラス転移温度T(℃)が-35以上であり、
    前記最外層の30℃における複素弾性率をE*T(MPa)、前記最内層の30℃における複素弾性率をE*B(MPa)としたとき、E*T>E*Bであるタイヤ。
  2. 前記最外層を構成するゴム成分中の、前記ガラス転移点が-80℃以上-40℃以下のスチレンブタジエンゴムの含有量が50質量%以上90質量%以下である、請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記最外層の厚みt1(mm)、前記中間層の厚みt2(mm)、およびTが下記式(1)を満たす、請求項1または2記載のタイヤ。
    (t1/t2)×|T|>0.90 ・・・(1)
  4. 前記最外層を構成するゴム組成物が、平均一次粒子径18nm以下のシリカを含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記最外層を構成するゴム組成物の、前記ゴム成分100質量に対するシリカおよび軟化剤の合計含有量が110質量部以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記最外層を構成するゴム組成物が樹脂成分を含む軟化剤を含有し、前記軟化剤中の樹脂成分の含有量が30質量%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる2以上の周方向溝、前記周方向溝および接地端によって仕切られた一対のショルダー陸部、ならびに前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部を有し、
    前記周方向溝のうち、少なくとも一つの周方向溝において、溝底の最深部が、前記中間層の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ。
  8. 前記最深部を有する周方向溝において、トレッド表面端を結ぶ線分と、前記線分に平行で前記最深部を通る直線との距離をH1(mm)とするとき、H1、t1、およびE*Tが下記式(2)を満たす、請求項7記載のタイヤ。
    E*T/(t1/H1)≧6.0 ・・・(2)
  9. 車両装着時に最外側に位置する前記周方向溝のトレッド表面における溝幅をL0、車両装着時に最外側に位置する前記周方向溝の溝底の最深部の95%位置における溝幅をL95としたとき、L95/L0が0.20以上0.80以下である、請求項7または8記載のタイヤ。
  10. 接地面内の陸部面積比率が60%以上80%以下である、請求項7~9のいずれか一項に記載のタイヤ。
  11. 前記ショルダー陸部における溝面積比率が、前記センター陸部における溝面積比率よりも大きい、請求項7~10のいずれか一項に記載のタイヤ。
  12. 前記トレッド部のタイヤ内周面に、シーラント層、制音体、および立体網目構造体からなる群より選ばれる1以上の低密度部材を備えた、請求項1~11のいずれか一項に記載のタイヤ。
JP2022167822A 2022-10-19 2022-10-19 タイヤ Pending JP2024060451A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022167822A JP2024060451A (ja) 2022-10-19 2022-10-19 タイヤ
EP23202654.2A EP4357154A1 (en) 2022-10-19 2023-10-10 Tire

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022167822A JP2024060451A (ja) 2022-10-19 2022-10-19 タイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024060451A true JP2024060451A (ja) 2024-05-02

Family

ID=88315633

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022167822A Pending JP2024060451A (ja) 2022-10-19 2022-10-19 タイヤ

Country Status (2)

Country Link
EP (1) EP4357154A1 (ja)
JP (1) JP2024060451A (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06156016A (ja) 1992-11-27 1994-06-03 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
WO2016104142A1 (ja) * 2014-12-24 2016-06-30 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
JP7158127B2 (ja) 2016-12-05 2022-10-21 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
KR102000408B1 (ko) 2017-01-25 2019-07-15 스미토모 고무 고교 가부시키가이샤 공기입 타이어
JP7275805B2 (ja) 2018-08-01 2023-05-18 住友ゴム工業株式会社 シーラント付き空気入りタイヤの製造方法及び製造装置
JP6863504B1 (ja) * 2020-04-24 2021-04-21 住友ゴム工業株式会社 タイヤ
JP2022029368A (ja) * 2020-08-04 2022-02-17 住友ゴム工業株式会社 タイヤ
JP2022029764A (ja) * 2020-08-05 2022-02-18 住友ゴム工業株式会社 タイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
EP4357154A1 (en) 2024-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7140310B1 (ja) タイヤ
EP3950381B1 (en) Tire
WO2021256123A1 (ja) タイヤ
JP2022086476A (ja) タイヤ
EP4166351A1 (en) Tire
WO2021256124A1 (ja) タイヤ
EP3950387A1 (en) Tire
WO2021261010A1 (ja) タイヤ
EP4046820A1 (en) Rubber composition for tires, and tire
JP2022029764A (ja) タイヤ
JP2024060451A (ja) タイヤ
EP4134248A1 (en) Tire
JP6809631B1 (ja) 空気入りタイヤ
JP6809632B1 (ja) 空気入りタイヤ
EP4331869A1 (en) Tire
EP4000955A1 (en) Tire
EP4186711A1 (en) Pneumatic tire
EP3909787A1 (en) Tire
WO2021261221A1 (ja) タイヤ
EP4331868A1 (en) Heavy duty tire
WO2021235400A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP2024057969A (ja) タイヤ
JP2024032595A (ja) タイヤ
JP2024037079A (ja) タイヤ
JP2023062957A (ja) タイヤ