JP2017198975A - 液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、液晶素子、重合体並びに化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
<3> 上記<2>の液晶配向膜を具備する液晶素子。
<5> 上記式(1)で表される部分構造及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体。ただし、R3は、R3に隣接する2個の窒素原子の少なくとも一方に対して、カルボニル基、メチレン基、脂環式基、芳香環基又は複素環基で結合している。
<6> 下記式(4)で表される化合物。
本開示の液晶配向剤は、上記式(1)で表される部分構造及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体[A]を含有する。この重合体[A]は、上記式(1)及び式(2)中のQ1に、上記式(3)で表される骨格を有する。
「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状又は分岐状の炭化水素基を意味する。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含む炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有していてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
「テトラカルボン酸誘導体」は、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物を含む意味である。
R3は、上記の中でも、R3に隣接する2個の窒素原子の少なくとも一方に対して、カルボニル基、メチレン基、脂環式基、芳香環基又は複素環基で結合していることが好ましく、当該2個の窒素原子の両方に対して、カルボニル基、メチレン基、脂環式基、芳香環基又は複素環基でそれぞれ結合していることがより好ましい。この場合、隣接する2個の窒素原子に結合しているそれぞれの基は、同じでも異なっていてもよい。特に好ましくは、R3は、2個の窒素原子にカルボニル基でそれぞれ結合している構造である。すなわち、Q1は、下記式(3−1)で表される基であることが好ましい。
R4、R5は、R4とR5とが結合して、R4が結合する窒素原子、R5が結合する窒素原子及びR3とともに環を形成していてもよい。この場合の環としては、ピペラジン、ホモピペラジン、ピラジン等の窒素含有複素環が挙げられる。
特定酸二無水物の具体例としては、例えば下記式(4−1)〜式(4−17)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。なお、特定酸二無水物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)等を;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。その他のテトラカルボン酸二無水物は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他のテトラカルボン酸二無水物として脂環式テトラカルボン酸二無水物を使用する場合、その使用割合は、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して、5モル%以上とすることが好ましく、10モル%以上とすることがより好ましく、15〜95モル%とすることがさらに好ましく、20〜85モル%とすることが特に好ましい。
で表される化合物等の側鎖型ジアミン:
p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、ビス(4−アミノフェニル)アミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−(4−アミノフェノキシカルボニル)−1−(4−アミノフェニル)ピペリジン、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン等の非側鎖型ジアミンを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサン等を;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミン化合物を用いることができる。
ポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤(例えば、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物等)とともに反応させることによって得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。
重合体[A]のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。なお、液晶配向剤に含有させる重合体[A]は1種のみでもよく、又は2種以上を組み合わせてもよい。
本開示の液晶配向剤は、上記の如き重合体[A]を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、上記式(1)で表される部分構造及び上記式(2)で表される部分構造のいずれも有さない重合体(以下「その他の重合体」という。)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物、光重合性化合物、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤等が挙げられる。上記その他の重合体について、その主骨格は特に限定されず、例えばポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を主骨格とする重合体が挙げられる。その他の成分の配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
窒素含有ジアミンが有する2級アミノ基及び3級アミノ基は、例えば下記式(5)で表すことができる。
本開示の液晶配向剤は、重合体[A]及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(fringe field switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
先ず基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。基板への液晶配向剤の塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行う。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることによって塗膜に液晶配向能を付与するラビング処理、基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理等が挙げられる。垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、液晶配向膜が対向するように間隙を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面とシール剤で囲まれたセルギャップ内に液晶を注入充填し注入孔を封止する方法、ODF方式による方法等が挙げられる。シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましい。
2Lのフラスコに化合物(a)24g、N,N−ジメチルホルムアミド0.01g、脱水ジクロロメタン600mLを入れ、窒素雰囲気下で0℃まで冷却した。続いて、塩化チオニル60gをシリンジを用いてゆっくりと滴下した。滴下終了後、40℃で2時間反応させた後、エバポレーターにて溶媒を溜去して化合物(4−1−1)を25g得た(収率90%)。
・化合物(4−1−2)の合成
得られた化合物(4−1−1)25gをテトラヒドロフラン(THF)400mLに溶解させ、窒素雰囲気下で0℃に冷却した。別の1Lフラスコに芳香族アミン化合物(c)42gをとり、400mLのTHFに溶解させ、この溶液をカニュラーを用いて化合物(4−1−1)のフラスコに1時間かけてゆっくりと滴下した。滴下後、室温まで昇温し、さらに2時間反応させた。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液1Lを加えて反応液を分液漏斗に移液し、さらに酢酸エチル1Lを加えて分液抽出を行った。有機層を飽和食塩水で洗浄後、エバポレーターにて溶媒を内容量が50gになるまで溜去し、生じた固体をろ過にて回収し、化合物(4−1−2)を30g得た(収率53%)。
・化合物(4−1−3)の合成
2Lのフラスコに化合物(4−1−2)30gを取り、THF400mL及び水100mLを加え溶解させた。氷冷にて溶液の温度を0℃まで下げ、水酸化ナトリウム5gを加え0℃にて3時間反応させた。反応後、10%水酸化ナトリウム水溶液500mLを加えて分液漏斗に移し、酢酸エチル500mLを加えて分液操作を行った。水層にTHF1Lを加え、更に、氷冷しながら15%希硫酸1Lをゆっくりと加えた。THFを用いて分液抽出を行い、有機層を洗浄、濾過後エバポレーターにて溶媒を溜去し、内容量が100gになるまで溜去し、生じた固体をろ過にて回収し、化合物(4−1−3)を15g得た(収率54%)。
・化合物(4−1)の合成
還流管を付けた1Lのフラスコに化合物(4−1−3)15g、及び無水酢酸11gを加え、反応溶液をゆっくりと65℃まで昇温し、24時間反応させた。反応後、容器を室温まで冷却し、反応中に生じた固体をろ過により回収し、化合物(4−1)を12g得た(収率88%)。
[実施例1−5]
下記スキーム4に従って化合物(4−15)を合成した。
2Lのフラスコにパラジウム炭素10g、ギ酸アンモニウム200g、水/メタノール=1/10の混合溶媒600mLを入れ、室温にてゆっくりと撹拌した。次いで、化合物(m)45g及び化合物(c)170gを同様の混合溶媒700mLに溶解させ、パラジウム触媒を撹拌したフラスコに滴下し、室温のまま3時間撹拌した。反応後、溶液をセライトを用いて濾過し、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。さらに、濃縮後の混合物にジクロロメタン800mL及び飽和食塩水300mLを加え、分液抽出を行った。有機層を分離し、エバポレーターを用いて溶媒を留去することで、化合物(4−16−1)120gを得た(収率62%)。
・化合物(4−16−2)の合成
2Lのフラスコに化合物(4−16−1)110gを取り、実施例1−1において化合物(4−1−3)を得たのと同様の方法で化合物(4−16−2)を63g得た(収率65%)。
・化合物(4−7)の合成
2Lのフラスコに化合物(4−16−2)58gを取り、実施例1−1において化合物(4−1−3)から化合物(4−1)を得たのと同様の方法で、化合物(4−7)を32g得た(収率60%)。
・化合物(4−16)の合成
最後に、1Lのフラスコに化合物(4−7)を27g取り、実施例1−2において化合物(4−1)から化合物(4−2)を得たのと同様の方法で化合物(4−16)を4g得た(収率10%)。
[実施例2−1]
テトラカルボン酸二無水物として化合物(t−5)80モル部、及び化合物(4−3)20モル部、並びにジアミンとして化合物(d−8)100モル部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、60℃で4時間反応を行い、ポリアミック酸(「重合体(A−1)」とする。)を20質量%含有する溶液を得た。
[実施例2−2〜2−7、合成例1−1〜1−4、及び比較合成例1−1〜1−4]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量を下記表1及び表2のとおり変更した以外は上記実施例2−1と同様にしてポリアミック酸をそれぞれ合成した。なお、表1及び表2中、テトラカルボン酸無水物及びジアミンの括弧内の数値は、重合体の合成に使用したテトラカルボン酸誘導体の合計100モル部に対する各化合物の使用割合[モル部]を表す。「−」は、対応する化合物を使用しなかったことを示す。
1.液晶配向剤の調製
重合体成分として、上記実施例2−1で得た重合体(A−1)を含有する溶液、及び上記合成例1−1で得た重合体(B−1)を含有する溶液を、重合体(固形分)の質量比が重合体(A−1):重合体(B−1)=30:70となるように混合し、さらにNMP、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、γ−ブチロラクトン(FGBL)及びブチルセロソルブ(BC)を加えて十分に撹拌し、溶媒組成がNMP:DMI:FGBL:BC=40:20:20:20(質量比)、固形分濃度3.5質量%の溶液とした。この溶液を孔径0.20μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤(S−1)を調製した。
図1に示すFFS型液晶表示素子10を作製した。先ず、パターンを有さないボトム電極15、絶縁層14としての窒化ケイ素膜、及び櫛歯状にパターニングされたトップ電極13がこの順で形成された電極対を片面に有するガラス基板11aと、電極が設けられていない対向ガラス基板11bとを一対とし、ガラス基板11aの透明電極を有する面と対向ガラス基板11bの一面とに、それぞれ上記(1)で調製した液晶配向剤(S−1)を、スピンナーを用いて塗布した。次いで、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で230℃にて15分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。ここで使用したトップ電極13の平面模式図を図2に示した。本実施例では、電極の線幅d1を4μm、電極間の距離d2を6μmとした。トップ電極13としては、電極A、電極B、電極C及び電極Dの4系統の駆動電極を用いた。図3に、用いた駆動電極の構成を示した。この場合、ボトム電極15は、4系統の駆動電極の全てに作用する共通電極として働き、4系統の駆動電極の領域のそれぞれが画素領域となる。
次いで、ガラス基板11a,11b上に形成した塗膜の各表面にコットンにてラビング処理を実施し、液晶配向膜12とした。塗膜に対するラビング方向は、図2(b)の矢印に直交する方向とした。次に、一対の基板のうちの一方の基板における液晶配向膜12を有する面の外縁にシール剤を塗布した後、これらの基板を、互いの基板11a,11bのラビング方向が逆平行となるように直径3.5μmのスペーサーを介して貼り合わせ、シール剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネガ型液晶「MLC−6608(メルク社製)」を注入し、液晶層16を形成した。さらに、基板11a,11bの外側両面に偏光板(図示略)を、2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせ、液晶表示素子10を作製した。
上記で製造したFFS型液晶表示素子につき、23℃において1Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率[%]を測定し、その値を初期VHRとした。次いで、初期VHR測定後の液晶表示素子につき、LEDランプ照射下の80℃オーブン中で200時間静置した後、室温中に静置して室温まで自然冷却した。光照射後の液晶表示素子につき、上記と同様の方法により、再度、電圧保持率を測定し、この値を光ストレス後VHRとした。光照射に伴う電圧保持率の減少量ΔVHRを下記数式(1)から求め、BL信頼性を評価した。
ΔVHR=初期VHR−光ストレス後VHR …(1)
なお、実施例3−1で製造した液晶表示素子は、電極とラビング方向とが直交するため、ポジ型液晶セルに比べて電極の段差部分でラビングがかかりにくく、液晶表示素子の信頼性が低下しやすい傾向にある。ΔVHRが5%以下であった場合をBL信頼性「良好A(◎)」、5%よりも大きく10%以下であった場合を「良好B(○)」、10%よりも大きく15%以下であった場合を「可(△)」、15%よりも大きかった場合を「不良(×)」と判断した。その結果、本実施例の液晶表示素子ではΔVHR=5%であり、BL信頼性は「良好A(◎)」の評価であった。なお、電圧保持率の測定装置としては、(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。
上記(1)で調製した液晶配向剤(S−1)を、ガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換した200℃のオーブンで1時間加熱(ポストベーク)することにより、平均膜厚0.08μmの塗膜を形成した。これと同様の操作を繰り返すことにより、塗膜が形成されたガラス基板を2枚作製した。塗膜を形成した1枚のガラス基板の塗膜上に、ODFシール剤(積水化学製S−WB42)を直径が5mmになるように塗布し、もう一枚のガラス基板の塗膜とODFシール剤が接触するように貼り合わせた。その後、メタルハライドランプを用いて30,000J/m2(365nm換算)の光を照射した後、120℃のオーブンで1時間加熱した。その後、今田製作所の引張圧縮試験機(型番:SDWS−0201−100SL)を用いて密着力を測定することにより、膜の基板に対する密着性を評価した。評価は、密着力が200N/cm2以上であった場合を「良好A(◎)」、175N/cm2以上200N/cm2未満であった場合を「良好B(○)」、150N/cm2以上175N/cm2未満であった場合を「可(△)」、150N/cm2未満であった場合を「不良(×)」とした。その結果、この実施例では密着力221N/cm2であり、密着性「良好A(◎)」の評価であった。
使用する重合体の種類及び量、並びに溶剤の種類及び量を下記表3に示す通り変更した以外は、上記実施例3−1と同じ固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、調製したそれぞれの液晶配向剤を用いて実施例3−1と同様にして液晶表示素子を製造し、実施例3−1と同様に各種評価を行った。評価結果については下記表3に示した。
1.液晶配向剤の調製
使用する重合体の種類及び量、並びに溶剤の種類及び量を下記表3に示す通り変更した以外は、上記実施例3−1と同じ固形分濃度で液晶配向剤(S−3)を調製した。
2.光水平配向型液晶表示素子の製造
櫛歯状にパターニングされたクロムからなる金属電極を片面に有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板の面上に、上記で調製した液晶配向剤(S−3)を膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布した。次いで、80℃のホットプレートで1分間乾燥した後、この塗膜表面にHg−Xeランプを用いて254nmの輝線を含む偏光の紫外線10,000J/m2を基板法線方向から照射した。その後、200℃のクリーンオーブンで1時間乾燥した。次に、光照射処理を行った一対の基板について、液晶配向膜を形成した面の縁に液晶注入口を残して直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、光照射時の偏光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネガ型液晶(メルク社製、MLC−7026)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。その後、基板の外側両面に偏光板を貼り合わせて液晶表示素子を作製した。
上記2.で製造した光水平配向型液晶表示素子を用い、実施例3−1の3.と同様にしてBL信頼性の評価を行ったところ、この実施例ではΔVHR=14%であり、「良好B(○)」の評価であった。また、液晶配向剤(S−3)を用いて、実施例3−1の4.と同様にして膜の密着性評価を行ったところ、この実施例では190N/cm2であり、密着性「良好B(○)」の評価であった。
使用する重合体の種類及び量、並びに溶剤の種類及び量を下記表3に示す通り変更した以外は、上記実施例3−1と同じ固形分濃度で液晶配向剤(R−2)を調製した。また、調製した液晶配向剤(R−2)を用いて、上記実施例3−3と同様にして光水平配向型液晶表示素子を製造するとともに、実施例3−1と同様にしてBL信頼性及び膜の密着性の評価を行った。評価結果は下記表3に示した。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
FGBL:γ−ブチロラクトン
BC:ブチルセロソルブ
DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
1.液晶配向剤の調製
使用する重合体の種類及び量、並びに溶剤の種類及び量を下記表4に示す通り変更した以外は、上記実施例3−1と同じ固形分濃度で液晶配向剤(S−4)を調製した。
2.垂直配向型液晶表示素子の製造
ITO膜からなる透明電極を片面に有する一対のガラス基板上に、上記で調製した液晶配向剤(S−4)をスピンナーにより塗布し、80℃のホットプレート上で1分間のプレベークを行った後、230℃のホットプレート上で10分間ポストベークして、膜厚約0.08μmの塗膜を形成した。続いて、どちらか一方の基板の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、間隙を介して2枚の基板を対向配置し、外縁部同士を圧着して接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止した。
3.BL信頼性の評価
上記2.で製造した垂直配向型液晶表示素子を用い、実施例3−1の3.と同様にしてΔVHRによりBL信頼性を評価した。なお、垂直配向型の液晶表示素子では、ΔVHRが1%未満であった場合をBL信頼性「良好A(◎)」、1%以上1.5%未満であった場合を「良好B(○)」、1.5%以上3%未満であった場合を「可(△)」、3%以上であった場合を「不良(×)」と評価した。その結果、本実施例の液晶表示素子ではΔVHR=1.3%であり、BL信頼性は「良好B(○)」の評価であった。
4.膜の密着性の評価
液晶配向剤(S−4)を用いて、実施例3−1の4.と同様にして膜の密着性評価を行ったところ、この実施例では202N/cm2であり、密着性「良好A(◎)」の評価であった。
使用する重合体の種類及び量、並びに溶剤の種類及び組成を下記表4に記載の通りとした点以外は上記実施例3−1と同じ固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、調製したそれぞれの液晶配向剤を用いて、上記実施例3−4と同様にして垂直配向型液晶表示素子を製造するとともに、実施例3−1と同様にして各種評価を行った。なお、BL信頼性の評価は実施例3−4に準じて行った。評価結果は下記表4に示した。
Claims (10)
- 下記式(1)で表される部分構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体[A]を含有する、液晶配向剤。
- 前記R3は、前記R3に隣接する2個の窒素原子の少なくとも一方に対して、カルボニル基、メチレン基、脂環式基、芳香環基又は複素環基で結合している、請求項1に記載の液晶配向剤。
- 重合体成分において、前記重合体[A]と同一分子中又は異なる分子中に、窒素含有複素環、2級アミノ基及び3級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有するジアミン化合物に由来する構造単位を含む、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体[A]は、上記式(3)で表される部分構造を有さない脂環式テトラカルボン酸誘導体に由来する構造単位をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体[A]は光配向性を示す重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体[A]は、偏光紫外線の照射後に150℃以上に加熱することによって光配向性を示す重合体である、請求項5に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
- 請求項7に記載の液晶配向膜を具備する液晶素子。
- 下記式(1)で表される部分構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体。
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