JP2017190390A - 積層体の製造方法および積層体、ならびに物品 - Google Patents

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【課題】本発明は、フッ素樹脂層の接着性を向上させた積層体の製造方法および積層体、ならびに上記積層体を用いた物品を提供することを主目的とする。【解決手段】本発明は、フッ素樹脂層および上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に配置された接着層を有する積層体の製造方法であって、上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の表面に対してエッチング処理を行うエッチング工程と、上記フッ素樹脂層の上記エッチング処理を行ったエッチング処理面上に、電子線硬化性樹脂を含む接着層用組成物を塗布する塗布工程と、上記フッ素樹脂層の上記接着層用組成物が塗布された面側から電子線を照射し、上記電子線硬化性樹脂を硬化させて上記接着層を形成する照射工程と、を有することを特徴とする積層体の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素樹脂層を有する積層体の製造方法に関する。
フッ素樹脂は、耐熱性、絶縁性、難燃性、耐候性、防湿性、防汚性等の特性に優れることから、これらの特性を生かし、耐蝕材料、ライニング材料、絶縁材料、被覆材料、ガスバリア材等としてフッ素樹脂フィルムの利用が進められている。
しかし、フッ素樹脂フィルムは、その撥水撥油性のため接着性に難があり、フッ素樹脂フィルムと他の部材とを接着層を介して接着させても、フッ素樹脂フィルムが容易に剥離してしまうという課題を有している。このため、フッ素樹脂フィルムの接着性の改善についての検討が行われている。
フッ素樹脂フィルムの接着性を改善する方法としては、例えば、金属ナトリウム含有の表面改質剤を用いてフッ素樹脂フィルムの表面の改質を行う方法がある。これは、金属ナトリウムの還元力を利用して、フッ素樹脂フィルムの表面に官能基を形成する方法であり、上記方法によれば、官能基により表面自由エネルギーが高くなるため、フッ素樹脂フィルムの接着性を向上させることができる。
他の表面改質方法としては、フッ素樹脂フィルムの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、真空プラズマ処理等を施して粗面とし、接着面積を増加させることにより接着性を向上させる物理的方法がある。中でも、特許文献1で開示されるように、高真空下でアルゴンガス等の不活性ガスを存在させながら、フッ素樹脂フィルムの表面にスパッタリングやイオンプレーティング等を施してエッチングする方法は、コロナ放電処理等よりもさらに高い接着性向上効果を得ることができるとされる。
また、上述の方法の他に、例えば特許文献2では、フッ素樹脂フィルム上に紫外線吸収型アクリル系樹脂およびカチオン系ポリマーを主成分とする材料を塗布し、その塗布層を硬化させて被覆層を形成することで、被覆層に対するフッ素樹脂フィルムの接着性を向上させる方法が開示されている。さらに、特許文献3では、珪素酸化物およびアルカリ土類金属のフッ化物をプラスチックフィルム上に真空蒸着させて薄膜層を形成することで、フッ化物含有の薄膜層の接着性を向上させる方法が開示されている。
特開平5−043721号公報 特開平7−214732号公報 特開平8−224795号公報
しかし、上記の表面処理を施したフッ素樹脂フィルムの表面に接着層を設けても、上記フッ素樹脂フィルムの初期接着性は向上するものの、経時により上記接着性が低下してしまい、フッ素樹脂フィルムが接着層から剥離してしまうという問題がある。すなわち、上述の表面処理だけでは、フッ素樹脂フィルムの接着性の改善効果が十分に得られないという問題がある。
また、フッ素樹脂の種類によっては、上述の表面処理だけでは接着性の改善が図りにくいという課題も有している。例えば、フッ素樹脂の中でもポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略する場合がある。)は、他のフッ素樹脂よりも耐薬品性が高く、動摩擦係数が低いという特長を有し、またポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEと略する場合がある。)は、他のフッ素樹脂よりもガスバリア性が高く透明性、防湿性に優れるという特長を有していることから、これらのフッ素樹脂を用いたフィルムやシートは産業資材、医療資材として更なる用途展開が期待される。しかし、PTFEやPCTFEは特に接着性が悪く、これらのフッ素樹脂を用いたフィルムに対しては、上述した従来の方法により表面処理をしても、接着性が向上しにくい。
ここで、フッ素樹脂層の接着性を向上させる方法としては、フッ素樹脂層上に感圧接着剤により接着層を形成することで、フッ素樹脂層と接着層との密着性を高める方法も想定される。しかし、上記方法の場合、フッ素樹脂層および感圧接着層の間に所望の層間接着強度を得るためには、感圧接着層を厚膜にする必要があるところ、感圧接着層は劣化や凝集破壊が生じやすく、また、膜厚が大きくなると端面にタックが生じやすくなるため、加工や製品に不具合が生じやすくなるという課題がある。中でも、PTFEやPCTFEを用いたフッ素樹脂層の場合、上述したように特に接着性が悪いことから、層間接着強度を向上させるために感圧接着層の膜厚をさらに大きくする必要があり、上述の不具合が生じやすくなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フッ素樹脂層の接着性を向上させた積層体の製造方法および積層体、ならびに上記積層体を用いた物品を提供することを主目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、フッ素樹脂層および上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に配置された接着層を有する積層体の製造方法であって、上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の表面に対してエッチング処理を行うエッチング工程と、上記フッ素樹脂層の上記エッチング処理を行ったエッチング処理面上に、電子線硬化性樹脂を含む接着層用組成物を塗布する塗布工程と、上記フッ素樹脂層の上記接着層用組成物が塗布された面側から電子線を照射し、上記電子線硬化性樹脂を硬化させて上記接着層を形成する照射工程と、を有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、エッチング工程にてフッ素樹脂層の表面をエッチング処理することで、フッ素樹脂層表面に有する微細孔を拡大することが可能となる。これにより、塗布工程にて塗布される接着層用組成物が、微細孔内に浸入し易くなる。そして、照射工程にて上記微細孔内の電子線硬化性樹脂が、電子線照射により硬化されることで、アンカー効果により接着層とフッ素樹脂層との層間接着強度を向上させることができる。
また、エッチング処理により、フッ素樹脂層のエッチング処理面は、表面積が増加することから、上記エッチング処理面上に形成される接着層との接着面積も増加する。これにより上記層間接着強度を向上させることができる。
さらに、照射工程では、電子線照射により、電子線硬化性樹脂が硬化するのと同時に、フッ素樹脂層内に生じた反応活性種と電子線硬化性樹脂が有する重合性官能基との架橋結合が形成されるため、接着層とフッ素樹脂層との層間接着強度を更に向上させることができる。
このように、本発明によれば、一連の工程によりフッ素樹脂層と接着層との間に生じる機械的結合および化学的相互作用により、フッ素樹脂層の接着性を向上させた積層体を得ることができる。
上記発明においては、上記エッチング処理がドライエッチング処理であることが好ましい。ウエットエッチング処理では、エッチャントの種類によってフッ素樹脂層の変色や透明性の低下が生じる場合があるところ、ドライエッチング処理ではそのような不具合が生じにくく、本発明により得られる積層体を、透明性が要求される用途にも使用可能となるからである。
上記発明においては、上記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、PTFEまたはPCTFEであることが好ましい。PTFEまたはPCTFEに電子線を照射すると、フッ素樹脂内に生じた反応活性種により電子線硬化性樹脂との間で架橋結合が形成されることに加え、電子線照射によりフッ素樹脂の分子内で生じた分子鎖の切断部分と電子線硬化性樹脂との反応によっても架橋結合が形成されるため、フッ素樹脂層と接着層との層間接着強度を向上させることができるからである。
上記発明の場合、上記照射工程で照射される上記電子線の照射線量が5MGy以上20MGy未満であることが好ましい。フッ素樹脂層への過剰な電子線照射を抑制しつつ、フッ素樹脂の分子内における分子鎖の切断を促進させることができ、PTFEまたはPCTFEにより構成されたフッ素樹脂層と接着層との層間接着強度をより向上させることができるからである。
上記発明においては、上記接着層用組成物の粘度が20Pa・s以下であることが好ましい。接着層用組成物がフッ素樹脂層表面に有する微細孔に入り込みやすくなるため、フッ素樹脂層のエッチング処理面と接着層用組成物との密着性が向上して、アンカー効果が得られやすくなるからである。
上記発明においては、上記エッチング工程と上記塗布工程との間に、上記フッ素樹脂層の上記エッチング処理面に上記接着層用組成物に対する親液性を付与する親液化処理工程を有することが好ましい。接着層用組成物がフッ素樹脂層表面に有する微細孔に入り込みやすくなるため、フッ素樹脂層のエッチング処理面と接着層用組成物との密着性が向上して、アンカー効果が得られやすくなるからである。
また、本発明は、フッ素樹脂層および上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に配置された接着層を有し、上記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリクロロトリフルオロエチレンであり、上記フッ素樹脂層と上記接着層との層間接着強度が300gf/cm以上であることを特徴とする積層体を提供することを目的とする。
本発明によれば、所定のフッ素樹脂で構成されたフッ素樹脂層の面上に接着層が配置されており、フッ素樹脂層と上記接着層との層間接着強度が所定値を示すことから、フッ素樹脂層と接着層との間で剥離が生じにくい積層体とすることができる。
また、本発明は、フッ素樹脂層および上記フッ素樹脂層の少なくとも一方面上に配置された接着層を有する積層体と、上記積層体の上記接着層上に配置された構造体と、を有し、上記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリクロロトリフルオロエチレンであり、上記フッ素樹脂層と上記接着層との層間接着強度が300gf/cm以上であることを特徴とする物品を提供することを目的とする。
本発明によれば、所定のフッ素樹脂で構成されたフッ素樹脂層の面上に接着層が配置されており、フッ素樹脂層と上記接着層との層間接着強度が所定値を示す積層体を用いることで、フッ素樹脂層と接着層との間で剥離が生じにくく、構造体に対して接着層を介してフッ素樹脂層を強固に接着させることができる。これにより、フッ素樹脂の物性を利用することが可能な、耐久性に優れた物品とすることができる。
本発明においては、フッ素樹脂層の接着性を向上させた積層体を製造することができるという効果を奏する。
本発明の積層体の製造方法の一例を示す工程図である。 エッチング工程前後のフッ素樹脂層表面のSEM画像である。 本発明における積層体の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明の積層体の製造方法および積層体、ならびに上記積層体を用いた物品について詳細に説明する。
A.積層体の製造方法
まず、本発明の積層体の製造方法について説明する。本発明の積層体の製造方法は、フッ素樹脂層および上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に配置された接着層を有する積層体の製造方法であって、上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の表面に対してエッチング処理を行うエッチング工程と、上記フッ素樹脂層の上記エッチング処理を行ったエッチング処理面上に、電子線硬化性樹脂を含む接着層用組成物を塗布する塗布工程と、上記フッ素樹脂層の上記接着層用組成物が塗布された面側から電子線を照射し、上記電子線硬化性樹脂を硬化させて上記接着層を形成する照射工程と、を有することを特徴とする。
本発明の積層体の製造方法について、図を参照して説明する。図1は本発明の積層体の製造方法の一例を示す工程図である。
まず、フッ素樹脂層1を準備し、フッ素樹脂層1の一方の表面に対してエッチング処理を行う(図1(a)、(b)、エッチング工程)。図1(a)では、エッチング処理として、プラズマXによるドライエッチング処理を行う例を示している。ここで、フッ素樹脂層1は、通常、その表面に多数の微細孔を有しているが、エッチング処理を行うことで、既存の微細孔が削られて孔径や深さが大きくなる。このため、フッ素樹脂層1のエッチング処理面は、エッチング処理前よりも拡大された微細孔を多数有する微細凹凸面となり、表面積が増加する。
次に、フッ素樹脂層1のエッチング処理を行ったエッチング処理面上に、電子線硬化性樹脂を含む接着層用組成物2Aを塗布する(図1(c)、塗布工程)。このとき、接着層用組成物2Aは、微細孔内に浸入する。
続いて、フッ素樹脂層1の接着層用組成物2Aが塗布された面側から電子線Yを照射して(図1(d))、接着層用組成物2A中の電子線硬化性樹脂を硬化させて接着層2を形成する(図1(e))。このとき、微細孔内の電子線硬化性樹脂が、電子線Yの照射により硬化されることで、接着層2とフッ素樹脂層1との間にアンカー効果が生じて、層間接着強度が向上する。また、電子線Yの照射により、接着層2が形成されるのと同時に、電子線Yが接着層用組成物2Aを介してフッ素樹脂層1に到達することで、フッ素樹脂層1と接着層2との層間に架橋結合が形成される等の化学的相互作用が生じる。
これにより、フッ素樹脂層1の接着性を向上させた積層体10が得られる。
ここで、本発明において、エッチング工程にて行われる「エッチング処理」とは、フッ素樹脂層表面に存在する微細孔の孔径や深さを大きくする、すなわち微細孔を拡大する処理をいう。
本発明によれば、エッチング工程にてフッ素樹脂層の表面をエッチング処理することで、フッ素樹脂層表面に有する微細孔を拡大することが可能となる。
一般に、フッ素樹脂層の表面には、構成材料であるフッ素樹脂の種類を問わず、図2(a)で示すような微細孔が多数存在する。本発明によれば、エッチング処理工程において、フッ素樹脂層表面に対して所望の方法でエッチング処理をすることで、フッ素樹脂層表面の既存の微細孔が削られ、その孔径や孔深さが大きくなる。このように、エッチング処理を行うことにより、フッ素樹脂層のエッチング処理面には、エッチング処理前よりも拡大された微細孔が多数存在することとなり、エッチング処理前よりも表面積や空孔率の高い粗面、すなわち微細凹凸面となる。
なお、図2(a)は、エッチング工程前のフッ素樹脂(PTFE)層表面のSEM画像であり、図2(b)はエッチング工程後のフッ素樹脂(PTFE)層表面のSEM画像である。
続く塗布工程において、フッ素樹脂層のエッチング処理面に接着層用組成物を塗布すると、接着層用組成物が、フッ素樹脂層表面の微細孔内に浸入し易くなるため、フッ素樹脂層表面と接着層用組成物との密着性が向上する。そして、このような密着状態で電子線照射を行い、接着層用組成物中の電子線硬化性樹脂を硬化させることで、アンカー効果により接着層とフッ素樹脂層表面との層間接着強度を向上させることができる。また、フッ素樹脂層のエッチング処理面は、微細孔の拡大により表面積が増加していることから、上記エッチング処理面上に形成される接着層との接着面積も増加する。これにより、接着層とフッ素樹脂層表面との層間接着強度がより向上する。
さらに、本発明によれば、本発明は、照射工程において、上記フッ素樹脂層の上記接着層用組成物が塗布された面側から照射された電子線が、フッ素樹脂層表面に到達することにより、フッ素樹脂層内ではラジカル等の反応活性種が生成される。この反応活性種は、電子線硬化性樹脂が有する重合性官能基と架橋結合を形成することから、接着層とフッ素樹脂層との層間接着強度がさらに向上することとなる。
このとき、フッ素樹脂層および接着層間で架橋結合が形成されるため、接着層が薄厚であっても、所望の層間接着強度を得ることが可能である。中でも、PTFEやPCTFEを用いたフッ素樹脂層は、他のフッ素樹脂を用いた場合と比較して接着性が特に劣るところ、本発明によれば、これらのフッ素樹脂を用いたフッ素樹脂層に対しても、薄厚な接着層を形成することができ、且つフッ素樹脂層および接着層間に所望の層間接着強度を有することが可能となる。なお、フッ素樹脂層表面に到達する電子線は、接着層用組成物の塗布層を透過してエネルギーが減衰しているため、電子線照射によるフッ素樹脂の分解を抑えることができる。
このように、本発明によれば、一連の工程によりフッ素樹脂層と接着層との間に生じる機械的結合および化学的相互作用により、フッ素樹脂層、中でもPTFEやPCTFEを用いたフッ素樹脂層の接着性を向上させることが可能である。
また、本発明によれば、薄膜且つフッ素樹脂層の接着性を向上させることが可能な接着層が形成されることから、接着層の形成に感圧接着剤を用いた場合に想定される上述の不具合の発生を抑制することができる。
以下、本発明の積層体の製造方法の各工程について説明する。
1.エッチング工程
本発明におけるエッチング工程は、上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の表面に対してエッチング処理を行う工程である。
(1)フッ素樹脂層
本工程に用いられるフッ素樹脂層は、本発明により得られる積層体の用途に適した表面滑性、絶縁性、ガスバリア性、耐薬品性、その他の種々物性を示すことが好ましい。
フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとの共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体(ECTFE)、パーフルオロエチレンプロピレン共重合(PFEP)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。
上記フッ素樹脂層は、上記のフッ素樹脂の1種またはそれ以上で構成されるフィルム乃至シートである。
中でも上記フッ素樹脂層が、電子線照射によりフッ素樹脂の分子内において生じた反応活性種により、分子鎖の切断が分子内の架橋形成よりも優先的に起こる電子線崩壊性フッ素樹脂で構成されていること、すなわち電子線崩壊性フッ素樹脂層であることが好ましい。その理由については以下の通りである。
本発明者らは電子線照射によるフッ素樹脂層および接着層間の接着性について鋭意検討を行ったところ、電子線崩壊性フッ素樹脂層においては、接着層用組成物の塗布面側から電子線を照射すると、フッ素樹脂内に生じた反応活性種により、電子線硬化性樹脂との間で架橋結合が形成されることに加え、フッ素樹脂の分子内で生じた分子鎖の切断部分と電子線硬化性樹脂との反応によっても架橋結合が形成されることを知得した。このため、電子線崩壊性フッ素樹脂層を用いることで、接着層との層間に架橋結合が多く形成されることとなり、フッ素樹脂層の接着性をより向上させることが可能となるのである。
電子線崩壊性フッ素樹脂としては、例えばPTFE、PCTFE、PFA、PFEP等が挙げられる。
本発明においては、中でも、上記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、PTFEまたはPCTFEであることが好ましい。PTFEまたはPCTFEは、フッ素樹脂の中でも特に接着性に劣るが、電子線崩壊性であることから、接着層との間に上述した反応活性種による架橋結合と分子鎖の切断部分による架橋結合とが形成されるため、フッ素樹脂層と接着層との層間接着強度を向上させることができ、本発明の製造方法を用いることの効果をより奏することができるからである。
フッ素樹脂層の膜厚は、フッ素樹脂の物性を発揮可能であり、エッチング処理に耐え得る厚さであれば特に限定されず、例えば10μm〜300μmの範囲内が望ましく、中でも30μm〜150μmの範囲内が望ましい。フッ素樹脂層の膜厚が上記範囲よりも小さいと、本発明により得られる積層体がフッ素樹脂の特性を十分に示すことができない場合がある。また、フッ素樹脂の種類によっては、後述する照射工程において電子線の照射を受けることによりフッ素樹脂層が劣化してしまい、フッ素樹脂層に要求される物性が想定される物性よりも低下する場合がある。一方、上記範囲よりも大きいと、フッ素樹脂層の形成に使用するフッ素樹脂の使用量が増加するため、製造コストが高くなる場合がある。
フッ素樹脂層の膜厚は、例えば(株)ミツトヨ製 デジマティックマイクロメータで測定した平均値である。
フッ素樹脂層の形態は、所望の面にエッチング処理を行うことが可能であれば、ロール状であってもよく、枚葉であってもよい。フッ素樹脂層がロール状であれば、搬送させながらエッチング処理を行うことができる。
フッ素樹脂層の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。上記製造方法としては、例えば、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削(スカイブ)法、インフレーション法等の成膜方法を用いる方法、2種以上のフッ素樹脂を使用して多層共押し出しにより成膜する方法、2種以上のフッ素樹脂を混合したフッ素樹脂層用組成物を用いて成膜する方法等が挙げられる。また、必要に応じて、上述の方法により製造されたフッ素樹脂層は、テンター方式、チューブラー方式等で1軸または2軸方向に延伸してもよい。
(2)エッチング処理
上記エッチング処理の種類は特に限定されず、ドライエッチング処理であってもよくウエットエッチング処理であってもよい。中でも、上記エッチング処理がドライエッチング処理であることが好ましい。ウエットエッチング処理では、エッチャントの種類によってフッ素樹脂層の変色や透明性の低下が生じる場合があるところ、ドライエッチング処理ではそのような不具合が生じにくく、本発明により得られる積層体を、透明性が要求される用途等の幅広い用途に使用可能となるからである。
以下、本工程において実施されるエッチング処理について、種類ごとに説明する。
(a)ドライエッチング処理
本工程で実施可能なドライエッチング処理としては、フッ素樹脂層表面の微細孔を拡大することが可能な処理であればよく、その種類としては、原子と原子との衝突散乱現象による物理エッチング処理を含むことが好ましい。物理エッチング処理によれば、不活性イオンや原子がフッ素樹脂層表面に衝突してフッ素樹脂を除去することから、微細孔を効果的に拡大することができるからである。
すなわち、本工程で実施可能なドライエッチング処理の種類としては、物理エッチング処理、または、上記物理エッチング処理および化学エッチング処理の両方が生じる物理化学エッチング処理が挙げられる。化学エッチング処理は、反応性ガス、ラジカル、イオン等とフッ素樹脂層のフッ素樹脂との化学反応によりエッチングする処理である。物理化学エッチング処理を行う場合は、物理エッチング処理と化学エッチング処理との比重を、物理エッチング処理が主処理となるように調整して行う。
なお、フッ素樹脂層が、ETFE、PVDF等のフッ素比率の低いフッ素樹脂を含む場合は、物理化学エッチング処理を行うことが好ましい。衝突散乱により微細孔を拡大することに加え、化学反応により一部フッ素原子が外れた部分が化学修飾されるため、フッ素樹脂層のエッチング処理面上に形成される接着層との接着力をより高めることができるからである。
また、フッ素樹脂層がPTFE、PCTFE等のフッ素樹脂を含む場合は、物理エッチング処理が好ましい。
このようなドライエッチング処理として、具体的には、プラズマエッチング処理が挙げられる。
すなわち、本工程におけるプラズマエッチング処理とは、処理ガスをプラズマイオン化してフッ素樹脂層表面に衝突させて衝突散乱によりエッチングする処理である。
なお、本明細書内におけるプラズマエッチング処理には、プラズマ処理装置を用いたプラズマエッチング処理の他、スパッタ装置を用いてエッチング処理を行うスパッタエッチング処理も含む。プラズマ処理装置によるプラズマエッチング処理と、スパッタ装置によるエッチング処理とは、装置の真空度、処理ガスの種類、電位のかけ方等の装置の設定条件が異なるが、プラズマによるエッチング方法は同様である。
プラズマエッチング処理に用いられるプラズマ処理装置としては、プラズマ源を用いる装置であれば特に限定されず、プラズマエッチング処理の種類や印加電圧の種類、エッチング方向等に応じて適宜選択が可能である。
プラズマ処理装置として、上述した処理が可能な装置であればよく、具体的には、容量結合型、誘導結合型、平行平板型、マイクロ波型、バレル型が挙げられる。中でも誘導結合型やマイクロ波型は、有効に原子にエネルギーを与えて加速させることができるため好適であるが、装置の構造や真空度等から総合的にエッチング効率が求められるため、方式は特定しない。
プラズマ処理装置として、従来公知のスパッタ装置を用いることも可能である。以下のプラズマ処理装置の説明には、スパッタ装置も含むものとする。
各種プラズマ処理装置は、従来公知の構造を有することができる。例えば、平行平板型のプラズマ処理装置であれば、チャンバーと、上記チャンバー内に配置される上部電極および下部電極と、上記上部電極及び下部電極に接続された電源と、を少なくとも有する。また、バレル型プラズマ処理装置であれば、チャンバーと、上記チャンバーの外側に設置した外部電極と、上記外部電極に接続された電源と、を少なくとも有する。
本工程において、プラズマエッチング処理は、チャンバー内にフッ素樹脂層を設置し、処理ガスの成分、印加電圧、処理ガスの種類や流量、処理圧力、処理時間等を制御して行われる。
プラズマ処理装置において、電源から電極に印加する電圧としては、直流電圧、高周波(RF)電圧等が挙げられるが、中でも高周波(RF)電圧が好ましい。直流電圧を用いる場合、フッ素樹脂層表面をプラズマエッチングする際にフッ素樹脂層が帯電してプラズマエッチングが阻害される場合があるところ、高周波(RF)電圧を用いる場合はそのような不具合が生じにくいからである。また、フッ素樹脂層が絶縁性を有するため、直流電圧は適さないからである。
高周波(RF)電圧の周波数帯としては、チャンバー内においてプラズマを発生させ、処理ガスをイオン化することが可能な周波数帯であればよく、5MHz以上20GHz以下で設定することができる。
チャンバー内は、高真空状態であることが求められる。具体的には、上記チャンバー内に処理ガスを導入した状態での到達真空度が1.0E-3mbar以下であることが好ましく、中でも5.0E-4mbar以下であることが好ましい。
チャンバー内に導入する処理ガスは、ドライエッチングの種類、使用する装置等に応じて適宜選択される。上記処理ガスとして、上述したプラズマエッチング処理が可能なガスであればよく、反応性ガスであってもよく、不活性ガスであってもよい。中でも不活性ガスが好ましい。エッチングにより残ったフッ素樹脂が化学修飾され、脆弱になることを防ぐことが可能となるからである。
不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガス、窒素(N)等の公知のガスが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、エッチング速度やエッチング選択比を調整するために、2種以上を混合して用いてもよい。中でも高エッチング率が得られ且つ高純度で低コストであることから、アルゴンが好適である。
なお、スパッタ装置を用いて本処理を行う場合は、処理ガスとしては、通常、アルゴンが用いられるが、上記処理ガスには、アルゴンの他、一部に酸素や窒素等が含まれていてもよい。
また、上記処理ガスは、不活性ガス以外のガスを含まないことが好ましい。不活性ガス以外のガスとは、例えば反応性ガスや水、酸素等をいう。不活性ガス以外のガスを含むと、真空度やエッチングレートが安定し難いからである。ここで、上記処理ガスが「不活性ガス以外のガスを含まない」とは、不活性ガス以外のガスを実質的に含まないことをいい、具体的には、チャンバー内に導入する処理ガスの全体量に含まれる不活性ガスの割合が80体積%以上であることをいい、好ましくは、不活性ガスの割合が100体積%である。
処理ガスの流量は、プラズマエッチング処理により微細孔を拡大することが可能な量であればよく、チャンバーの大きさや到達真空度等に応じて適宜設定することができる。
例えば、流量は1sccm〜5000sccm程度とすることができる。ここでsccmとは、標準状態(STP:0℃、1atm)での1分間当たりの処理ガスの平均導入量(cc)を意味する。
処理時間としては、フッ素樹脂層表面の微細孔を拡大することが可能な時間であれば特に限定されず、プラズマ発生条件等に応じて適宜設定することができる。
プラズマエッチング処理によるエッチング方向としては、全ての方向にエッチングが進む等方性であってもよく、特定の方向にエッチングが進む異方性であってもよく、等方性と異方性との混合であってもよい。中でも、処理時間や処理能力の点から、等方性エッチングと異方性エッチングとの混合エッチングであることが好ましい。
なお、プラズマエッチング処理において、エッチング方向は、電極方向、処理ガスの濃度や直進性等により決定することができる。
(b)ウエットエッチング処理
ウエットエッチング処理は、エッチャントと呼ばれる薬液を用いて被エッチング材のエッチングを行う表面処理法である。
本工程においては、フッ素樹脂層の表面に対してウエットエッチング処理を行うことにより、微細孔内にエッチャントが入りこみ、微細孔の壁が化学反応によりエッチングされることで、フッ素樹脂層の表面の既存の微細孔を拡大することができる。
また、ウエットエッチング処理によれば、微細孔の拡大に加えて、化学反応によりフッ素樹脂層のフッ素原子を外し、除去部分を化学修飾することができる。これにより、フッ素樹脂層は、その表面の微細孔の形状による接着力の向上に加えて、化学修飾による表面改質により接着力の向上を図ることができる。
ウエットエッチング処理に用いられるエッチャントとしては、フッ素樹脂層の表面の微細孔を拡大することが可能な物性を示す薬液であればよく、公知のエッチャントから適宜選択することができる。エッチャントとしては、例えば、金属ナトリウムを液体アンモニアに溶かした金属ナトリウム−液体アンモニア混合液や、金属ナトリウムをナフタレン溶液に溶かした金属ナトリウム−ナフタレン混合液等が挙げられる。
ウエットエッチング処理は、所望のエッチング方式により上記のエッチャントをフッ素樹脂層の片面に塗布して行う。エッチング方式としては、特に限定されず、エッチャントを満たした容器内に浸漬させるディップ方式、エッチャントを滴下するスピナー方式、エッチャントを所定の噴霧圧力で噴霧するスプレー方式の何れであってもよい。
ウエットエッチング処理の処理条件については特に限定されず、例えば、エッチング温度は、エッチャントがその性能を発揮可能な温度であればよく、エッチャントの種類やエッチング方式、エッチングレート、処理時間等に応じて適宜設定することができる。
ウエットエッチング処理によるによるエッチング方向は、全ての方向にエッチングが進む等方性であってもよく、特定の方向にエッチングが進む異方性であってもよく、等方性と異方性との混合であってもよい。中でも、処理時間や処理能力の点から、等方性エッチングと異方性エッチングとの混合エッチングであることが好ましい。
ウエットエッチング処理の処理時間としては、フッ素樹脂層表面に所望のエッチング処理を行うことが可能な時間であれば特に限定されず、使用するエッチャントやエッチング方式等に応じて適宜設定することができる。
(c)エッチング処理後のフッ素樹脂層
エッチング処理後のフッ素樹脂層は、エッチング処理面に多数の微細孔を有する。エッチング処理後のフッ素樹脂層は、エッチング処理の前と同等の物性を示すことができる。
上記エッチング処理面に有する微細孔の平均孔径、平均孔深さ、エッチング処理後のフッ素樹脂層の空孔率については、要求される接着層との層間接着強度等に応じて適宜設定することができる。
2.塗布工程
本発明における塗布工程は、上記フッ素樹脂層の上記エッチング処理を行ったエッチング処理面上に、電子線硬化性樹脂を含む接着層用組成物を塗布する工程である。
(1)接着層用組成物
本工程において使用される接着層用組成物は、電子線硬化性樹脂を含む。本工程において接着層は、電子線照射により接着層用組成物中の電子線硬化性樹脂が硬化することで形成される。
電子線硬化性樹脂は、分子中にラジカル重合性および/またはカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合した樹脂である。
電子線硬化性樹脂としては、一般的な接着層の形成に使用される樹脂を用いることができるが、中でも電子線照射により硬化して得られる接着層が、フッ素樹脂層と同程度の弾性および伸び特性を有することが可能となる樹脂が好ましい。
このような電子線硬化性樹脂としては、電子線照射を受けた際に直接、重合や二量化等の反応を起こす重合性官能基を有するモノマー、ダイマー、オリゴマーおよびポリマーを用いることができる。例えば、アクリル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性のモノマーやオリゴマーを挙げることができる。
重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)クリル」等の他の類似する表記も同様の意である。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。
上記多官能性(メタ)アクリレートとして具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上記多官能性(メタ)アクリレートとともに、粘度を低下させる等の目的で、本発明の目的を損なわない量で単官能性(メタ)アクリレートを併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等の各種オリゴマーが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えばポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電子線硬化性樹脂として、エチレン性不飽和結合を有するポリマーを用いることもできる。上記ポリマーは、一分子内にエチレン性不飽和結合と共に付加又は縮合反応を起こし得る極性基を有するモノマーまたはオリゴマーをラジカル(共)重合させて中間体ポリマーを合成した後、一分子内にエチレン性不飽和結合と共に、中間体ポリマーの極性基と反応し得る官能基を有する化合物を反応させることによって得られる。そのようなラジカル重合性基と極性基を有するモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート類、グリセロールモノ(メタ)アクリレート類、グリセロールジ(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性品、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性品、リン酸(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体の(メタ)アクリレート類、コハク酸アクリレート類、アクリルアミド等が挙げられる。
また、中間体ポリマーにエチレン性不飽和結合のペンダント構造を導入するために用いる化合物としては、エチレン性不飽和結合と共に極性基を有するモノマーまたはオリゴマーの中から、中間体ポリマーの極性基と反応可能な樹脂を選択し用いることができる。
中でも、電子線硬化性樹脂は、ポリエステル系ポリオールを主原料とした多官能のウレタンアクリレート化合物(オリゴマー)であることが好ましい。上述のウレタンアクリレート化合物は、フッ素樹脂と複数個所で架橋した上、その後の熱・加工伸縮応力に対し柔軟に追随する高い引張り伸度を有するからである。
接着層用組成物は、電子線硬化性樹脂の他に、得られる接着層の物性に応じて任意の添加剤を配合することができる。任意の添加剤としては、例えば、光安定剤や熱安定剤等の耐候性改善剤、反応希釈剤、消泡剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素、体質顔料、光拡散剤、カップリング剤等を挙げることができる。
なお、電子線硬化性樹脂は電子線照射により硬化することから、上記接着層用組成物には、通常、重合開始剤は含まれない。
接着層用組成物は、低分子材料を含まないことが好ましい。本発明により得られる積層体を食品や薬剤等を内包する食品用資材、医療資材として用いる際に、接着層から低分子材料が溶出し、内包物の安全性が損なわれる可能性があるからである。
ここで、低分子材料とは、分子量が1000以下の材料をいい、具体的には、未反応のモノマーやオリゴマー、各種溶剤、紫外線重合開始剤のような光崩壊ラジカル発生材料、フタル酸エステル類等の可塑剤、添加剤等が挙げられる。
本発明において、接着層用組成物が「低分子材料を含まない」とは、低分子材料を実質的に含まないことをいい、不純物としての低分子材料が含まれる場合は除かれる。具体的には、接着層用組成物が「低分子材料を含まない」とは、接着層用組成物の全体量に対して含有される低分子材料の割合が0.5質量%以下、好ましくは0.05質量%以下であることをいう。
上記接着層用組成物は、粘度が低いことが好ましく、具体的には、上記接着層用組成物の粘度が20Pa・s以下であることが好ましく、中でも15Pa・s以下であることが好ましく、特に10Pa・s以下であることが好ましい。また、上記粘度は0.5Pa・s以上であることが好ましい。上記接着層用組成物の粘度を上記の範囲内とすることで、接着層用組成物がフッ素樹脂層表面に有する微細孔に入り込みやすくなるため、フッ素樹脂層のエッチング処理面と接着層用組成物との密着性が向上して、アンカー効果が得られやすくなるからである。
上記接着層用組成物の粘度は、JIS K7117−1に準拠した方法に従い、B型粘度計を用いて25℃の環境下にて測定することができる。
(2)塗布方法
本工程において、フッ素樹脂層のエッチング処理面上に接着層用組成物を塗布する方法としては、所望の膜厚の塗布層を形成することが可能な方法であれば特に限定されず、接着層用組成物の組成に応じて適宜選択される。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、コンマコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等の公知の方式が挙げられる。
なお、上記接着層用組成物は、通常、溶剤を用いずにフッ素樹脂層上に直接塗布される。
本工程において形成される塗布層の膜厚は、照射工程において照射される電子線がフッ素樹脂層に到達可能な厚みであることが好ましく、電子線の照射条件、電子線の減衰傾向等に応じて適宜選択されるが、例えば2μm〜50μmの範囲内が好ましく、中でも5μm〜25μmの範囲内が好ましい。塗布層の膜厚が上記範囲よりも大きいと、上記塗布層の透過中に電子線のエネルギーが十分に減衰されてしまい、電子線がフッ素樹脂層に到達できない、または、フッ素樹脂層に到達できても電子線のエネルギーが減衰し、塗布層とフッ素樹脂層との間に架橋結合が形成されない場合があるからである。一方、塗布層の膜厚が上記範囲よりも小さいと、接着層としての機能を果たせない場合があるからである。
3.照射工程
本発明における照射工程は、上記フッ素樹脂層の上記接着層用組成物が塗布された面側から電子線を照射し、上記電子線硬化性樹脂を硬化させて上記接着層を形成する工程である。
本工程における電子線の照射条件としては、接着層用組成物の塗布層を介してフッ素樹脂層にも電子線を照射させることができ、フッ素樹脂層と接着層用組成物の塗布層との間に架橋結合を形成することが可能な条件であればよく、接着層用組成物に含まれる電子線硬化性樹脂の種類や塗布層の膜厚等により適宜設定することができる。
電子線源は特に限定されないが、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電子線の照射線量は、電子線硬化性樹脂が十分な架橋を形成することができ、且つ、フッ素樹脂層にも電子線が到達してフッ素樹脂層と上記塗布層との界面にて架橋結合を形成することが可能な量であればよく、上記塗布層の膜厚、フッ素樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。具体的には、本工程で照射される上記電子線の照射線量が5MGy以上20MGy未満であることが好ましく、特に9MGy〜16MGyの範囲内であることが好ましい。
電子線の照射線量を上記範囲内とすることで、フッ素樹脂層への過剰な電子線照射を抑制しつつ、フッ素樹脂層と接着層との間に架橋結合を形成することが可能だからである。また、フッ素樹脂層が電子線崩壊性フッ素樹脂層である場合、上記照射線量とすることで、上記フッ素樹脂の分子内において反応活性種による分子鎖の切断が促進されるため、分子鎖の切断箇所と電子線硬化性樹脂に含まれる重合性官能基との反応により架橋結合を形成することができ、接着層およびフッ素樹脂層間の層間接着強度をより向上させることが可能となるからである。
なお、電子線の照射線量が上記範囲よりも小さいと、フッ素樹脂の分子内に発生する反応活性種の数が減少する、電子線崩壊性フッ素樹脂の分子内において分子鎖の切断が促進されない等の理由から、フッ素樹脂層および接着層間に形成される架橋結合の割合が減少し、層間接着強度が十分に得られない場合がある。一方、電子線の照射線量が上記範囲よりも大きいと、高エネルギーの電子線がフッ素樹脂層に照射されることとなり、フッ素樹脂の種類によっては劣化が生じる場合があるからである。
電子線照射の際の加速電圧は、接着層用組成物の塗布層の膜厚、フッ素樹脂層内での電子線の透過深度、電子線硬化性樹脂やフッ素樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。中でも、加速電圧が高いほど電子線の透過能力が増加することから、照射した電子線が接着層用組成物の塗布層内を透過して、塗布層およびフッ素樹脂層との界面に到達したときの電子線の減衰率が5%以上60%以下となるように、加速電圧に設定することが好ましい。具体的には、上記加速電圧が50kV〜400kVの範囲内であることが好ましく、中でも100kV〜250kVの範囲内であることが好ましい。
加速電圧を上記範囲内とすることにより、フッ素樹脂層内にも電子線が透過することとなり、フッ素樹脂の分子内に反応活性種を発生させることができる。また、フッ素樹脂層が電子線崩壊性フッ素樹脂層である場合では、上記加速電圧で電子線を照射することで、フッ素樹脂の分子内において反応活性種による分子鎖の切断が促進される。
電子線の照射回数は、1回でもよく、複数回行ってもよい。電子線を複数回照射する場合、照射される電子線の照射線量の総和が上述の規定範囲内となればよい。
電子線の照射環境下の酸素濃度は100ppm以下とすることが好ましい。酸素存在下で電子線を照射するとオゾンが発生するため装置や環境に悪影響を及ぼす場合があるからである。酸素濃度を100ppm以下とするには、真空下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下において電子線照射を行えばよく、例えば、電子線照射装置内を窒素で充填することにより、酸素濃度100ppm以下を達成することができる。
本工程において、電子線はフッ素樹脂層の接着層用組成物が塗布された面側から照射される。フッ素樹脂層の接着層用組成物が塗布されていない面側から電子線を照射すると、高エネルギーの電子線がフッ素樹脂層に照射されることとなり、フッ素樹脂の種類によっては劣化が生じる場合があるからである。
本工程において形成される接着層は、接着層用組成物の塗布層内に存する電子線硬化性樹脂が硬化してなる硬化樹脂層であり、その接着力については、本発明により得られる積層体の用途に応じて適宜設計することができる。
上記接着層の膜厚は、上述した接着層用組成物の塗布層の膜厚と同様とすることができる。
4.親液化処理工程
本発明は、上記エッチング工程と上記塗布工程との間に、上記フッ素樹脂層の上記エッチング処理面に上記接着層用組成物に対する親液性を付与する親液化処理工程を有することが好ましい。上記エッチング工程と上記塗布工程との間に本工程を有することで、接着層用組成物がフッ素樹脂層表面に有する微細孔に入り込みやすくなるため、フッ素樹脂層のエッチング処理面と接着層用組成物との密着性が向上して、アンカー効果が得られやすくなるからである。
親液化処理としては、上記フッ素樹脂層の上記エッチング処理面に所望の親液性を付与することが可能な処理であれば特に限定されないが、フッ素樹脂層の変色や透明性の低下を生じない処理であることが好ましい。このような親液化処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、紫外線処理、UVオゾン処理、電子線照射、火炎処理、スパッタリング、ラビング処理等が挙げられる。中でも、コロナ放電処理、特にインラインコロナ放電処理が好ましい。塗工まで時間が短く処理が安定しやすいからである。
親液化処理を行う際の処理条件については、親液化処理の種類や親液性の程度に応じて適宜設定することができる。
上記親液化処理は、フッ素樹脂層のエッチング処理面の全域に施すことが好ましい。接着層に対する接着性がより向上するからである。
本工程は、塗布工程の直前に行うことが好ましい。経時によりフッ素樹脂層の親液性が低下して、本処理による効果が得られにくくなるからである。
ここで、「塗布工程の直前」とは、親液化処理を完了してから接着層用組成物の塗布開始までの時間が0.5秒〜60秒の範囲内であることが好ましく、中でも1.0秒〜30秒の範囲内であることが好ましい。
本工程は、親液化処理の種類に応じて、従来公知の表面改質に用いられる装置を用いて行うことができる。また、親液化処理手段を備えた塗布装置を用いれば、親液化処理と塗布工程とを連続して実施することができ、親液化処理を行った直後に接着層用組成物の塗布が可能となる。
5.任意工程
本発明においては、塗布工程および照射工程によりフッ素樹脂層の一方の面に接着層を形成した後、上記フッ素樹脂層の接着層が形成されていない面に対して、第2エッチング工程、第2塗布工程および第2照射工程を行ってもよい。これにより、フッ素樹脂層の両面にそれぞれ接着層が配置された積層体を得ることができる。さらに、上記第2エッチング工程と上記第2塗布工程との間に第2親液化処理工程を有してもよい。
6.積層体
本発明により得られる積層体は、フッ素樹脂層および上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に配置された接着層を有する。上記フッ素樹脂層の上記接着層と接する面は、多数の微細孔を有する微細凹凸面である。上記積層体は、例えば、図1(e)で示す構造を有する。
上記積層体のフッ素樹脂層と接着層との層間接着強度は、フッ素樹脂層の剥離が生じにくければ特に限定されないが、中でも300gf/cm以上であることが好ましく、特に500gf/cm以上であることが好ましい。層間接着強度が上記範囲内にあることで、フッ素樹脂層と接着層との間で剥離がより生じにくい積層体とすることができる。
層間接着強度は、JIS K6854−3(1999)(T型剥離試験法)に準じて測定される。テンシロン(オリエンテック社製引張試験機 RTA−250)を用い、標準ロードセルで20%加重しながら毎分100mmの速度で剥離し、試験片の剥離開始側端部からT型剥離強度が安定する上記試験片の長さ方向30mm長の位置における剥離強度の平均値(例えば、測定数N=5〜10)を層間接着強度とする。
また、上記積層体は、実質的に低分子材料を含まないことが好ましい。その理由および低分子材料についての詳細は、上述した「2.塗布工程」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。なお、低分子材料には、「2.塗布工程」の項で挙げた材料の他、接着層内の未硬化反応材料、フッ素樹脂層内の分解未反応材料等も含まれる。
ここで、積層体が「実質的に低分子材料を含まない」とは、具体的には、接着層1cmあたりから溶出される低分子材料の溶出量が5mg/cm以下、好ましくは0.5mg/cm以下であることをいう。
低分子材料の溶出量は、プラスチック食品容器や医薬品容器、医療器具の溶出物試験法(日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験法)により測定することができる。
本発明により得られる積層体は、図1(e)で示すようにフッ素樹脂層1の少なくとも片面上に接着層2を有していてもよく、図3で示すようにフッ素樹脂層1の両面上に接着層2をそれぞれ有していてもよい。フッ素樹脂層の両面上に接着層をそれぞれ有することで、フッ素樹脂層の両面に同一のまたは異なる構造体をそれぞれ貼り合わせることができ、得られる物品において、フッ素樹脂層を中間層として機能させることができる。
また、上記接着層上には、通常、剥離層が設けられる。剥離層としては、従来公知の接着シートに使用される剥離層を用いることができる。
B.積層体
次に、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、フッ素樹脂層および上記フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に配置された接着層を有し、上記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリクロロトリフルオロエチレンであり、上記フッ素樹脂層と上記接着層との層間接着強度が300gf/cm以上であることを特徴とする。
本発明の積層体は、フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に接着層が配置されていればよく、例えば、先に説明した図1(e)で例示した構造とすることができる。また、本発明の積層体は、先に説明した図3で例示したように、フッ素樹脂層1の両面上にそれぞれ接着層2を有する構造であってもよい。上記フッ素樹脂層の上記接着層と接する面は、多数の微細孔を有する微細凹凸面である。
本発明によれば、所定のフッ素樹脂で構成されたフッ素樹脂層の面上に接着層が配置されており、フッ素樹脂層と上記接着層との層間接着強度が所定値を示すことから、フッ素樹脂層と接着層との間で剥離が生じにくい積層体とすることができる。
なお、本発明の積層体を構成するフッ素樹脂層および接着層、ならびに本発明の積層体の詳細については、上記「A.積層体の製造方法」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明の積層体の用途としては、フッ素樹脂層の示す物性に応じて、産業資材、食品用資材、医療資材等の各種資材として用いることができる。具体的には、本発明の積層体は、飲食品、医薬品、電子部材等の包装材、注射器の滑栓や医薬バイアルの栓等の種々のゴム製品のラミネート材、ディスプレイの表示素子の劣化を抑えるための封止材等の周辺部材として用いることができる。
また、本発明の積層体は、ドライクリーニング等の耐薬品・耐熱性の必要なIDタグの封止材、放熱・耐熱板、ファン、チラーのボード、パイプ、軸、軸受け等として用いることができる。
C.物品
次に、本発明の物品について説明する。本発明の物品は、フッ素樹脂層および上記フッ素樹脂層の少なくとも一方面上に配置された接着層を有する積層体と、上記積層体の上記接着層上に配置された構造体と、を有し、上記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリクロロトリフルオロエチレンであり、上記フッ素樹脂層と上記接着層との層間接着強度が300gf/cm以上であることを特徴とする。
本発明によれば、所定のフッ素樹脂で構成されたフッ素樹脂層の面上に接着層が配置されており、フッ素樹脂層と上記接着層との層間接着強度が所定値を示す積層体を用いることで、フッ素樹脂層と接着層との間で剥離が生じにくく、構造体に対して接着層を介してフッ素樹脂層を強固に接着させることができる。これにより、フッ素樹脂の物性を利用することが可能な、耐久性に優れた物品とすることができる。
以下、本発明の物品の各構成について説明する。なお、本発明における積層体の詳細については、上述の「A.積層体の製造方法」および「B.積層体」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
1.構造体
本発明における構造体は、上記積層体の上記接着層上に配置される。
上記構造体としては、フッ素樹脂層の物性を利用する用途に用いられる物体であれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレンや塩化ビニル等の樹脂シート、薬栓、ガスケットのラミネートゴム、PTP(press through pack)包装材料の防湿シート等の医療用部品、太陽電池フロントパネル、LED、CPU等の電子部品(具体的には、LEDの反射基材、CPUの放熱ファン、各種電子部品の耐熱層等)、車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス等の車両用部品等が挙げられる。
2.物品
本発明の物品は、上述の構造体とフッ素樹脂層とが接着層を介して貼り合わされていることから、構造体にフッ素樹脂層の物性が付与された物品や、上記構造体によりフッ素樹脂層の機械的特性(例えば、熱収縮度、光透過、屈折、強度、反り等)が調整された物品とすることができる。
本発明の物品において、積層体の上記接着層上に構造体が配置されるとは、構造体の表面の一部が積層体の接着層と接していてもよく、上記構造体の表面が上記積層体により被覆されていてもよい。
3.用途
本発明の物品は、構造体の種類に応じて、医療用物品、食品衛生用物品、自動車用物品、電子用物品、一般工業用物品等として用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[材料]
実施例および比較例で使用した接着層用組成物およびフッ素樹脂層は下記の通りである。
1.接着層用組成物
実施例および比較例で使用した接着層用組成物A〜Iは、それぞれ下記組成を含む。
また、接着層用組成物A〜Fの粘度を表1に示す。なお、接着層用組成物の粘度は、JIS K7117−1に準拠した方法に従い、B型粘度計を用いて測定した(25℃の環境下)。
(接着層用組成物A)
・電子線硬化性樹脂:紫光UV−3200B(イソホロンジイソシアネートと、ポリエステル系ポリオールおよび3−メチル−1,5ペンタメチレンジオールならびにアジピン酸およびイソフタル酸の反応物と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを主原料とする残存イソシアネートを有する硬化時に柔軟性を有する2〜3官能ウレタンアクリレート反応物とを含む。日本合成化学工業社製) … 60質量部
・反応希釈剤:アクリロイルモルフォリン … 40質量部
(接着層用組成物B)
・電子線硬化性樹脂:紫光UV−3200B … 50質量部
・反応希釈剤:アクリロイルモルフォリン … 50質量部
(接着層用組成物C)
・電子線硬化性樹脂:紫光UV−3200B … 60質量部
・反応希釈剤:フェノキシエチルアクリレート … 40質量部
(接着層用組成物D)
・電子線硬化性樹脂:紫光UV−3200B … 80質量部
・反応希釈剤:アクリロイルモルフォリン … 20質量部
(接着層用組成物E)
・電子線硬化性樹脂:紫光UV−3200B … 70質量部
・反応希釈剤:アクリロイルモルフォリン … 30質量部
(接着層用組成物F)
・電子線硬化性樹脂:紫光UV−3200B … 80質量部
・反応希釈剤:フェノキシエチルアクリレート … 20質量部
(接着層用組成物G)
・接着層用組成物Dに光重合開始剤(イルガキュア184 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)4質量部を十分に分散および溶解させた紫外線硬化型の接着層用組成物。
(接着層用組成物H)
・接着層用組成物Eに光重合開始剤(イルガキュア184 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)4質量部を十分に分散および溶解させた紫外線硬化型の接着層用組成物。
(接着層用組成物I)
・接着層用組成物Fに光重合開始剤(イルガキュア184 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)4質量部を十分に分散および溶解させた紫外線硬化型の接着層用組成物。
2.フッ素樹脂層
実施例および比較例で用いたフッ素樹脂層(エッチング処理前)は、以下の通りである。
・フッ素樹脂層A:PTFEキャスト製膜フィルム、厚さ43μm、中興化成工業社製
・フッ素樹脂層B:PCTFEキャスト製膜フィルム、厚さ50μm、ダイキン社製
[実施例1(実施例1A〜1D)]
1.エッチング工程
フッ素樹脂層Aの片面に対し、以下の方法でドライエッチング処理を行った。まず、誘電型真空プラズマ装置(マーチン社製)のチャンバー中にフッ素樹脂層Aを設置した後、減圧手段によりチャンバー内を10−5Torrに減圧真空にした。印加電圧には、13.56MHzの高周波電圧を用いた。処理ガスとしてアルゴンガスを用い、到達真空度を5.0E−4mbarとしてプラズマエッチング処理を実施した。
2.塗布工程
フッ素樹脂層Aのエッチング処理面に、接着層用組成物Aを15g/mの厚さとなるように塗布した。
3.照射工程
電子線照射装置を用いて、接着層用組成物Aの塗布面側から表2に示す照射条件I〜IVの各条件で電子線を照射して電子線硬化性樹脂を硬化させて接着層を形成し、積層体1A〜1Dをそれぞれ得た。
[実施例2(実施例2A〜2D)]
接着層用組成物Aに代えて接着層用組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体2A〜2Dをそれぞれ得た。
[実施例3(実施例3A〜3D)]
接着層用組成物Aに代えて接着層用組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体3A〜3Dをそれぞれ得た。
[実施例4(実施例4A〜4D)]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体4A〜4Dをそれぞれ得た。
[実施例5(実施例5A〜5D)]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で積層体5A〜5Dをそれぞれ得た。
[実施例6(実施例6A〜6D)]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、実施例3と同様の方法で積層体6A〜6Dをそれぞれ得た。
[実施例7(実施例7A〜7D)]
エッチング工程後、接着層用組成物Aを塗布する直前に、下記の方法で親液化処理工程を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体7A〜7Dを得た。
(親液化処理工程)
フッ素樹脂層Aのエッチング処理面に対しコロナ処理をした。コロナ処理後の上記エッチング処理面の接触角は60°(処理前の接触角=75°)であった。上記接触角の測定は、JIS K6768に準じてθ/2法にて行った。また、同じくJIS K6768に準じた方法により、試薬を綿棒につけて塗布して2秒後に液膜が破れるか否か判定し、コロナ処理によりエッチング処理面の濡れ性が向上されたことが確認された。
[実施例8(実施例8A〜8D)]
エッチング工程後、接着層用組成物Bを塗布する直前に、フッ素樹脂層Aのエッチング処理面に対し、実施例7と同様の親液化処理工程を行ったこと以外は、実施例2と同様の方法で積層体8A〜8Dを得た。
[実施例9(実施例9A〜9D)]
エッチング工程後、接着層用組成物Cを塗布する直前に、フッ素樹脂層Aのエッチング処理面に対し、実施例7と同様の親液化処理工程を行ったこと以外は、実施例3と同様の方法で積層体9A〜9Dを得た。
[実施例10(実施例10A〜10D)]
エッチング工程後、接着層用組成物Aを塗布する直前に、フッ素樹脂層Bのエッチング処理面に対し、実施例7と同様の親液化処理工程を行ったこと以外は、実施例4と同様の方法で積層体10A〜10Dを得た。
[実施例11(実施例11A〜11D)]
エッチング工程後、接着層用組成物Bを塗布する直前に、フッ素樹脂層Bのエッチング処理面に対し、実施例7と同様の親液化処理工程を行ったこと以外は、実施例5と同様の方法で積層体11A〜11Dを得た。
[実施例12(実施例12A〜12D)]
エッチング工程後、接着層用組成物Cを塗布する直前に、フッ素樹脂層Bのエッチング処理面に対し、実施例7と同様の親液化処理工程を行ったこと以外は、実施例6と同様の方法で積層体12A〜12Dを得た。
[実施例13(実施例13A〜13D)]
接着層用組成物Aに代えて接着層用組成物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体13A〜13Dをそれぞれ得た。
[実施例14(実施例14A〜14D)]
接着層用組成物Aに代えて接着層用組成物Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体14A〜14Dをそれぞれ得た。
[実施例15(実施例15A〜15D)]
接着層用組成物Aに代えて接着層用組成物Fを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体15A〜15Dをそれぞれ得た。
[実施例16(実施例16A〜16D)]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、実施例13と同様の方法で積層体16A〜16Dをそれぞれ得た。
[実施例17(実施例17A〜17D)]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、実施例14と同様の方法で積層体17A〜17Dをそれぞれ得た。
[実施例18(実施例18A〜18D)]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、実施例15と同様の方法で積層体18A〜18Dをそれぞれ得た。
[比較例1(比較例1A〜1D)]
エッチング工程を行わなかったこと以外は、実施例13と同様の方法で積層体19A〜19Dをそれぞれ得た。
[比較例2(比較例2A〜2D)]
エッチング工程を行わなかったこと以外は、実施例14と同様の方法で積層体20A〜20Dをそれぞれ得た。
[比較例3(比較例3A〜3D)]
エッチング工程を行わなかったこと以外は、実施例15と同様の方法で積層体21A〜21Dをそれぞれ得た。
[比較例4(比較例4A〜4D)]
エッチング工程を行わなかったこと以外は、実施例16と同様の方法で積層体22A〜22Dをそれぞれ得た。
[比較例5(比較例5A〜5D)]
エッチング工程を行わなかったこと以外は、実施例17と同様の方法で積層体23A〜23Dをそれぞれ得た。
[比較例6(比較例6A〜6D)]
エッチング工程を行わなかったこと以外は、実施例18と同様の方法で積層体24A〜24Dをそれぞれ得た。
[比較例7]
エッチング工程として、実施例1と同様の方法で、フッ素樹脂層Aの片面に対してドライエッチング処理を行った。次に、塗布工程として、フッ素樹脂層Aのエッチング処理面に15g/mの厚さとなるように接着層用組成物Gを塗布した。続いて、硬化工程として、紫外線照射装置を用いて、出力80W/cm、高圧水銀UV灯下、積算光量800mJ/cmで、塗布面側から紫外線を照射し、接着層用組成物Gの塗布層を硬化して接着層を形成し、積層体25を得た。
[比較例8]
接着層用組成物Gに代えて接着層用組成物Hを用いたこと以外は、比較例7と同様の方法で積層体26を得た。
[比較例9]
接着層用組成物Gに代えて接着層用組成物Iを用いたこと以外は、比較例7と同様の方法で積層体27を得た。
[比較例10]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、比較例7と同様の方法で積層体28を得た。
[比較例11]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、比較例8と同様の方法で積層体29を得た。
[比較例12]
フッ素樹脂層Aに代えてフッ素樹脂層Bを用いたこと以外は、比較例9と同様の方法で積層体30を得た。
[評価1]
実施例1〜18、および比較例1〜12で得た積層体を15mm巾の短冊状に切断し、接着層上にガムテープを貼合して補強したサンプルを作製した。
各サンプルについてT型剥離試験を行いてT型剥離強度を測定し、得られた測定値をフッ素樹脂層と接着層との層間接着強度とした。
T型剥離試験は、JIS K6854−3 1999(T型剥離試験法)に準じて、テンシロン(オリエンテック社製 引張試験機RTA−250)を用い、標準ロードセルで20%加重しながら毎分100mmの速度で剥離して行った。
剥離強度は、サンプルの剥離開始側に位置するサンプルの端部から、T型剥離強度が安定する位置(サンプルの端部から長さ方向30mmの位置)での強度の平均値(測定数N=6)を記録した。
実施例1〜6の各積層体を用いたサンプルの層間接着強度の結果を表3に、実施例13〜実施例18の各積層体を用いたサンプルの層間接着強度の結果を表5に、比較例1〜6の各積層体を用いたサンプルの層間接着強度の結果を表6に、比較例7〜12の各積層体を用いたサンプルの層間接着強度の結果を表7にそれぞれ示す。
また、表4に示さないが、実施例7〜12については、親液化未処理の実施例1〜6において対応するサンプルの層間接着強度よりも上回る結果となった。
フッ素樹脂層表面にエッチング処理をした実施例1〜18で得られた積層体は、接着層とフッ素樹脂層との間の層間接着強度が、フッ素樹脂層表面にエッチング処理をしなかった比較例1〜6で得られた積層体よりも高かった(特に、エッチング処理の有無以外の条件が同じ実施例13〜18の結果および比較例1〜6の結果を参照)。このことから、フッ素樹脂層表面に対してエッチング処理を施すことで、フッ素樹脂層の接着性が向上することが示唆された。
また、実施例1〜18と比較例7〜12とは、共にフッ素樹脂層表面に対してエッチング処理を施しているが、電子線照射による電子線硬化性樹脂の硬化により接着層を形成した実施例1〜18で得られた積層体は、接着層とフッ素樹脂層との間の層間接着強度が、紫外線照射による電子線硬化性樹脂の硬化により接着層を形成した比較例7〜12で得られた積層体よりも高かった。このことから、電子線照射により接着層用組成物中の電子線硬化性樹脂を硬化させることで、得られる積層体は、フッ素樹脂層と接着層との層間接着強度が向上し、フッ素樹脂層と接着層との間で剥離が生じにくいことが示唆された。
次に、実施例1〜6と実施例13〜18とを比較すると、実施例1〜6で得られた積層体の方が層間接着強度が、実施例13〜18で得られた積層体の層間接着強度よりもさらに高くなった。このことから、粘度が20Pa・s以下の接着層用組成物を用いることで、フッ素樹脂層のエッチング処理面の濡れ性の向上と、低粘度の接着層用組成物による濡れ性との相乗効果で、得られる積層体のフッ素樹脂層と接着層との層間接着強度が向上することが示唆された。
実施例1〜6と実施例7〜12とを比較すると、同じ粘度の接着層用組成物を用いる場合であっても、実施例7〜12で得られた積層体の方が、層間接着強度がさらに高くなった。このことから、塗布工程前に親液化処理工程を行うことで、フッ素樹脂層のエッチング処理面の濡れ性が更に高まり、得られる積層体のフッ素樹脂層と接着層との層間接着強度がさらに向上することが示唆された。
さらに、親液化処理工程を行うことで、親液化処理工程を行なわない場合よりも、接着層用組成物を塗布したときに均一に広がり、得られる積層体のフッ素樹脂層と接着層との層間接着強度のばらつきが小さくなった。
1 … フッ素樹脂層
2 … 接着層
2A … 接着層用組成物
10 … 積層体

Claims (8)

  1. フッ素樹脂層および前記フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に配置された接着層を有する積層体の製造方法であって、
    前記フッ素樹脂層の少なくとも一方の表面に対してエッチング処理を行うエッチング工程と、
    前記フッ素樹脂層の前記エッチング処理を行ったエッチング処理面上に、電子線硬化性樹脂を含む接着層用組成物を塗布する塗布工程と、
    前記フッ素樹脂層の前記接着層用組成物が塗布された面側から電子線を照射し、前記電子線硬化性樹脂を硬化させて前記接着層を形成する照射工程と、
    を有することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記エッチング処理がドライエッチング処理であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリクロロトリフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記照射工程で照射される前記電子線の照射線量が5MGy以上20MGy未満であることを特徴とする請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記接着層用組成物の粘度が20Pa・s以下であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記エッチング工程と前記塗布工程との間に、前記フッ素樹脂層の前記エッチング処理面に前記接着層用組成物に対する親液性を付与する親液化処理工程を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の積層体の製造方法。
  7. フッ素樹脂層および前記フッ素樹脂層の少なくとも一方の面上に配置された接着層を有し、
    前記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリクロロトリフルオロエチレンであり、
    前記フッ素樹脂層と前記接着層との層間接着強度が300gf/cm以上であることを特徴とする積層体。
  8. フッ素樹脂層および前記フッ素樹脂層の少なくとも一方面上に配置された接着層を有する積層体と、
    前記積層体の前記接着層上に配置された構造体と、
    を有し、
    前記フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリクロロトリフルオロエチレンであり、
    前記フッ素樹脂層と前記接着層との層間接着強度が300gf/cm以上であることを特徴とする物品。
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