JP2017167256A - 定着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着液を噴霧するノズルの外周面上の定着液を除去することを目的とする。【解決手段】定着装置7は、記録シート上の現像剤像に向けて定着液Lを噴霧するノズルNを有する定着ヘッド71と、ノズルN内の定着液Lと、ノズルNから離れた位置で搬送される記録シートとの間に電位差を形成するための電位差形成部(第1電極74、第2電極72)と、定着液Lに圧力を加える圧力付与手段(加圧装置75)と、電位差形成部に印加する電圧と定着液Lに加える圧力とを制御する制御部100を備える。制御部100は、定着液Lに加える圧力を第1圧力とし、電位差形成部に電圧を印加することで、ノズルNから記録シートに向けて定着液Lの噴霧を行う定着噴霧処理と、定着噴霧処理を実行していないときに、圧力を第1圧力よりも小さな第2圧力にした状態で、電位差形成部に電圧を印加する液滴除去処理を行う。【選択図】図2

Description

本発明は、用紙上にトナー像を定着させる定着装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置において、転写されたトナー像を加熱によりトナーを溶融させ用紙にトナーを定着させる定着装置を備えたものが知られている。定着装置は、トナーを溶融するためにハロゲンヒータやセラミックヒータ等の発熱体を有する。溶融されたトナーは、用紙に対して加圧され用紙上に定着される。このような定着装置は、定着速度が速く、画像品質が良いことから広く普及している。しかしながら、このような熱定着方式の定着装置を用いる画像形成装置は、トナーを加熱することから多量の電力を消費するため画像形成装置の省電力には向かなかった。
上記のような課題に対し、トナーを溶解または膨潤させる定着液を用紙上のトナーに付与して、トナー像を用紙上に定着する定着装置を備えた画像形成装置がある。この定着装置は、熱定着方式のようなトナーを溶融させるための加熱処理が不要であり、消費電力が低く、省電力化に優れている。定着液をトナー像に塗布する方法としては、静電噴霧によって定着液をトナー像に塗布する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開2009−69256号公報
ところで、静電噴霧による定着方式において、定着液を噴霧するノズルからの定着液の噴霧を停止したときに、定着液がノズルの外周面に付着して残留すると、次回の噴霧開始時に正常な噴霧を行うことができない場合がある。
そこで、本発明は、定着液を噴霧するノズルの外周面に付着した定着液を除去することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、定着液を内部に収容する収容部、および、前記収容部に連通し、記録シート上の現像剤像に向けて定着液を噴霧するノズルを有する定着ヘッドと、前記ノズル内の定着液と、前記ノズルから離れた位置で搬送される記録シートとの間に電位差を形成するための電位差形成部と、定着液に圧力を加える圧力付与手段と、前記電位差形成部に印加する電圧と前記定着液に加える圧力とを制御する制御部と、を備える。
前記制御部は、前記圧力付与手段が前記定着液に加える圧力を第1圧力とし、前記電位差形成部に電圧を印加することで、前記ノズルから前記記録シートに向けて定着液の噴霧を行う定着噴霧処理と、前記定着噴霧処理を実行していないときに、前記圧力付与手段が前記定着液に加える圧力を前記第1圧力よりも小さな第2圧力にした状態で、前記電位差形成部に電圧を印加する液滴除去処理と、を行う。
この構成によれば、ノズルの外周面に定着液が付着した場合であっても、液滴除去処理を実行することで、ノズルの外周面に付着した定着液を取り除くことができるので、噴霧を開始する際に、迅速に安定した噴霧状態とすることができる。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記定着噴霧処理を行う前に前記液滴除去処理を行うように構成されていてもよい。
また、前記した構成において、前記第2圧力は、メニスカス耐圧以下であってもよい。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記液滴除去処理において、電圧印加を第1時間の間行うように構成されていてもよい。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記液滴除去処理において電圧印加を前記第1時間行った後、圧力を前記第2圧力から前記第1圧力に変更して前記定着噴霧処理を開始するように構成されていてもよい。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記液滴除去処理において前記電位差形成部に電流が流れていない状態が第2時間続いた場合に、圧力を前記第2圧力から前記第1圧力に変更して前記定着噴霧処理を開始するように構成されていてもよい。
また、前記した構成において、前記制御部は、印刷ジョブの入力に基づいて、前記液滴除去処理を行うように構成されていてもよい。
また、前記した構成において、前記制御部は、前回の定着噴霧処理の終了から第3時間以上経過した場合には、前記液滴除去処理を行わないように構成されていてもよい。
ここで、「第3時間」は、ノズルの外周面に付着した定着液を蒸発させるための十分長い時間をいう。
これによれば、前回の定着噴霧処理の終了から第3時間以上が経過した場合には、ノズル外周面に付着した定着液が蒸発してなくなるため、この場合に、液滴除去処理を行わないことで、電力消費を抑えることができる。
また、前記液滴除去処理において前記電位差形成部に印加する電圧は、定着噴霧処理時の電圧値の範囲内であってもよい。
また、前記した構成において、前記制御部は、圧力によって前記ノズルから定着液を外部に排出させるパージ処理を行った場合に、前記液滴除去処理を行うように構成されていてもよい。
これによれば、パージ処理においてノズル外周面に付着した定着液を、液滴除去処理によって良好に除去することができる。
また、前記した構成において、前記圧力付与手段は、前記定着ヘッド内の気体を加圧するポンプを有していてもよい。
また、前記した構成において、前記電位差形成部は、前記定着液に接触する第1電極と、前記ノズルと向かい合う第2電極とを有していてもよい。
本発明によれば、定着液を噴霧するノズルの外周面に付着した定着液を除去することができる。
本発明の一実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタを示す図である。 定着装置を詳細に示す図である。 定着ヘッドを、斜め上方から見た斜視図(a)と、第1定着ヘッドを斜め下方から見た斜視図(b)である。 定着ヘッドを下方から見た下面図である。 制御部の動作を示すフローチャートである。 ノズルの外周面に付着した定着液が除去される様子を示す図(a)〜(c)である。 変形例に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、レーザプリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2と、記録シートの一例としての用紙SHを給紙するためのフィーダ部3と、用紙SHに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
フィーダ部3は、本体筐体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内の用紙SHを画像形成部4に向けて給紙する給紙機構32とを備えている。給紙機構32は、給紙ローラ32Aと、分離ローラ32Bと、分離パッド32Cと、紙粉取りローラ32Dと、レジストローラ32Eとを備えている。レジストローラ32Eは、用紙SHの先端位置を揃えるローラであり、後述する制御部100によって適宜停止・回転が切り替えられるようになっている。
画像形成部4は、本体筐体2内に収容されており、主に、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラTRと、定着装置7とを備えている。
スキャナユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光ドラム61の表面上に高速走査にて照射する。
プロセスカートリッジ6は、本体筐体2に着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、静電潜像が形成される感光ドラム61と、図示しない帯電器と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部62と、トナー収容部62内のトナーを感光ドラム61に供給する供給ローラ63および現像ローラ64を備えている。
このプロセスカートリッジ6では、図示せぬ帯電器が、回転する感光ドラム61の表面を一様に帯電する。スキャナユニット5は、感光ドラム61の表面にレーザビームを出射して、感光ドラム61の表面を露光することで、感光ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像を形成する。
次いで、回転駆動される現像ローラ64が、感光ドラム61の静電潜像にトナーを供給して、感光ドラム61の表面上にトナー像を形成する。その後、感光ドラム61の表面上に担持されたトナー像は、用紙SHが感光ドラム61と転写ローラTRの間で搬送される際に、転写ローラTRに引き寄せられて用紙SH上に転写する。
定着装置7は、帯電された定着液Lを静電噴霧により用紙SH上のトナー像に供給することで、用紙SH上にトナー像を定着させる装置である。なお、定着装置7の構成については、後で詳述する。
定着装置7の下流側には、定着装置7から排出された用紙SHを挟持して下流側に搬送するための一対の下流側搬送ローラRdが設けられている。下流側搬送ローラRdによって搬送された用紙SHは、排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ21上に排出される。
次に、定着装置7の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、定着装置7は、用紙SH上のトナー像に向けて定着液Lを噴霧するための定着ヘッド71と、定着ヘッド71の下で用紙SHを支持する第2電極72と、圧力付与手段の一例としての加圧装置75と、定着液カートリッジ76と、タンク77と、制御部100とを備えている。
定着液Lは、良好に静電噴霧を行い、かつ、定着を行うために、トナーを溶解させる溶質を誘電率の高い溶媒に分散させたもの使用することが出来る。誘電率の高い溶媒として、安全な水を用いることができる。つまり、本実施形態では、トナーを溶解させる溶質を水に分散するタイプ、いわゆる、水中油滴型のエマルジョンでトナーの溶解を行っている。つまり、溶媒としての水に対して不溶または難溶な溶質を水に分散した定着液を用いている。溶質としては、脂肪族モノカルボン酸エステル系として、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、脂肪族ジカルボン酸エステル系として、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、脂肪族トリカルボン酸エステル系として、oアセチルクエン酸トリエチル、oアセチルクエン酸トリブチル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル系としてコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、炭酸エステル系として炭酸エチレン、炭酸プロピレンを使用することができる。これらの溶質はトナーを軟化させる機能を有する。
また、エマルジョンを良好に形成するために界面活性剤を加えても良く、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を使用することができる。アニオン系界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類を使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩を使用することができる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、ショ糖ラウリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル類を使用することができる。
定着ヘッド71は、図3(a)に示すように、幅方向に千鳥状に並ぶ、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71B、第3定着ヘッド71C、第4定着ヘッド71Dおよび第5定着ヘッド71Eを有している。第1定着ヘッド71A、第3定着ヘッド71Cおよび第5定着ヘッド71Eは、前後方向、つまり用紙SHの搬送方向において略同じ位置に配置され、左右方向、つまり用紙SHの幅方向において間隔を空けて配置されている。第2定着ヘッド71Bは、搬送方向において第1定着ヘッド71Aおよび第3定着ヘッド71Cの上流側に配置され、幅方向における中央部が幅方向において第1定着ヘッド71Aと第3定着ヘッド71Cとの間に配置されている。第4定着ヘッド71Dは、搬送方向において第3定着ヘッド71Cおよび第5定着ヘッド71Eの上流側に配置され、幅方向における中央部が幅方向において第3定着ヘッド71Cと第5定着ヘッド71Eとの間に配置されている。
第1定着ヘッド71Aは、定着液Lを内部に収容する収容部73と、収容部73に連通し、トナー像に向けて定着液Lを噴霧する複数のノズルNと、収容部73内および各ノズルN内の定着液Lに電圧を印加する第1電極74と、を備えている。なお、その他の定着ヘッド71B〜71Eは、第1定着ヘッド71Aと略同様の構成となっているため、その他の定着ヘッド71B〜71Eを構成する部材には第1定着ヘッド71Aを構成する部材と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。つまり、各定着ヘッド71A〜71E(各収容部73)は、同一形状であり、それぞれ別体に構成されている。また、各収容部73には、それぞれ同じ数のノズルNが同じ配置で設けられている。
収容部73は、幅方向に長尺となる矩形の絶縁性の容器であり、上壁73A、前壁73B、後壁73C、左壁73D、右壁73Eおよび下壁73Fを有している。図3(b)に示すように、各定着ヘッド71A〜71Eにおける複数のノズルNは、それぞれ収容部73の下壁73Fから下方に向けて突出しており、下方に向かう程、徐々に縮径している。複数のノズルNは、幅方向に複数配列されるとともに、搬送方向に複数配列されている。
詳しくは、複数のノズルNは、搬送方向に並ぶ第1千鳥配列群U1および第2千鳥配列群U2を構成している。図4に示すように、第1千鳥配列群U1は、幅方向に一定の間隔を空けて配列される複数の第1ノズルN1と、幅方向に一定の間隔を空けて配列される複数の第2ノズルN2とからなり、幅方向の一方側から他方側に向けて、第1ノズルN1と第2ノズルN2とが搬送方向の一方側と他方側に交互に配置されている。
また、各第2ノズルN2は、幅方向において2つの第1ノズルN1の間に配置されている。そして、幅方向で隣り合う2つの第1ノズルN1と、これら2つの第1ノズルN1の間に配置される第2ノズルN2とを結んだ形状は、正三角形または二等辺三角形となっている。また、幅方向で隣り合う2つの第2ノズルN2と、これら2つの第2ノズルN2の間に配置される第1ノズルN1とを結んだ形状も、正三角形または二等辺三角形となっている。
第2千鳥配列群U2は、第1千鳥配列群U1と同じ構造となっている。本実施形態においてノズルピッチ(隣接するノズルの外径間の最短距離)は、1mm以上、14mm以下の範囲で設定すればよい。
また、幅方向で隣接する2つの定着ヘッド(例えば第1定着ヘッド71Aと第2定着ヘッド71B)は、搬送方向から見て各収容部73が重なるように配置されている。具体的には、所定の定着ヘッド(例えば第1定着ヘッド71A)における複数のノズルNの幅方向における最小ピッチ(例えば、第1ノズルN1と第2ノズルN2間のピッチ)は、Daとなっている。これに対し、所定の定着ヘッドの幅方向の最も一方側のノズルN(例えば第1定着ヘッド71Aの最も図示左側の第1ノズルN1)から当該所定の定着ヘッドの一方側に隣接する定着ヘッド(例えば第2定着ヘッド71B)の幅方向の最も他方側のノズルN(例えば第2定着ヘッド71Bの最も図示右側の第1ノズルN1)までの距離Dbが、最小ピッチDaよりも小さくなっている。
つまり、定着ヘッド71A〜71Eごとに設定される各定着領域A1〜A5(各定着ヘッド71A〜71Eの各ノズルNによって用紙SHに対して定着液Lが噴霧される領域)が、搬送方向から見て重なるように、各定着ヘッド71A〜71Eが配置されている。なお、本実施形態では、各定着ヘッド71A〜71Eの各定着領域A1〜A5を、便宜上、各収容部73の下面と同じ形状・大きさ・位置として説明する。
より詳しくは、第1定着ヘッド71Aから定着液Lが噴霧される領域である第1定着領域A1は、第2定着ヘッド71Bから定着液Lが噴霧される領域である第2定着領域A2に搬送方向から見て重なっている。第5定着ヘッド71Eから定着液Lが噴霧される領域である第5定着領域A5は、第4定着ヘッド71Dから定着液Lが噴霧される領域である第4定着領域A4に搬送方向から見て重なっている。
第3定着ヘッド71Cから定着液Lが噴霧される領域である第3定着領域A3は、第2定着領域A2および第4定着領域A4に搬送方向から見て重なっている。このように各定着ヘッド71A〜71Eが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Eの間に、定着液Lが噴霧されない領域が生じるのを抑えることが可能となっている。
第1定着ヘッド71Aは、レーザプリンタ1で印刷を行うことが可能な複数種類の用紙SHのうち最も幅狭の第1用紙SH1に対して定着液Lを噴霧するためのヘッドであり、第1用紙SH1の幅よりも小さな幅で形成されている。第1定着ヘッド71Aは、第1用紙SH1の左右両端よりも左右方向内側に配置されている。詳しくは、第1定着ヘッド71Aの第1定着領域A1が、第1用紙SH1の画像が形成される領域である画像形成領域の幅以上の幅となるような大きさに形成され、第1定着領域A1の幅内に画像形成領域の全幅が入るように配置されている。
なお、本実施形態では、図4に示すように、用紙幅の異なる用紙SH1〜SH5は、左側の端部を基準として搬送されるようになっている。詳しくは、本体筐体2内には、各用紙SH1〜SH5の左側の端部に接触して当該左端部をガイドする図示せぬガイド部材が設けられている。
第2定着ヘッド71Bは、第1定着ヘッド71Aに対して右側(幅方向の一方側)に隣接しており、第1用紙SH1よりも幅広の第2用紙SH2の右側の端部よりも左側(他方側)に配置されている。詳しくは、第2定着ヘッド71Bの第2定着領域A2の右側端部が、第2用紙SH2の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第2用紙SH2の画像形成領域の左側端部は、第1用紙SH1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、第1定着ヘッド71Aおよび第2定着ヘッド71Bが配置されることで、第1定着ヘッド71Aおよび第2定着ヘッド71Bは、第2用紙SH2の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第3定着ヘッド71Cは、第2定着ヘッド71Bに対して右側に隣接しており、第2用紙SH2よりも幅広の第3用紙SH3の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第3定着ヘッド71Cの第3定着領域A3の右側端部が、第3用紙SH3の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第3用紙SH3の画像形成領域の左側端部は、第1用紙SH1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71Bおよび第3定着ヘッド71Cが配置されることで、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71Bおよび第3定着ヘッド71Cは、第3用紙SH3の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第4定着ヘッド71Dは、第3定着ヘッド71Cに対して右側に隣接しており、第3用紙SH3よりも幅広の第4用紙SH4の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第4定着ヘッド71Dの第4定着領域A4の右側端部が、第4用紙SH4の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第4用紙SH4の画像形成領域の左側端部は、第1用紙SH1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、各定着ヘッド71A〜71Dが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Dは、第4用紙SH4の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第5定着ヘッド71Eは、第4定着ヘッド71Dに対して右側に隣接しており、第4用紙SH4よりも幅広の第5用紙SH5の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第5定着ヘッド71Eの第5定着領域A5の右側端部が、第5用紙SH5の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第5用紙SH5の画像形成領域の左側端部は、第1用紙SH1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、各定着ヘッド71A〜71Eが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Eは、第5用紙SH5の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
図2に戻って、第1電極74は、収容部73内の定着液Lに電圧を印加して各ノズルNの先端に電界を発生させるための電極である。第1電極74は、収容部73の上壁73Aを上から下に貫通するように設けられ、下端部が収容部73内の定着液L内に配置されて定着液Lに接触し、上端部が、電圧印加部120を有する制御部100に接続されている。第1電極74に印加される電圧は、1kV〜10kVであることが好ましい。
各定着ヘッド71A〜71Eには、加圧装置75が接続されている。加圧装置75は、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに圧力をかける装置であり、各定着ヘッド71A〜71E内の空気を加圧するポンプ75Aと、各定着ヘッド71A〜71E内から空気を逃がすことで減圧する減圧弁75Bとを有している。また、各定着ヘッド71A〜71Eには、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lの圧力を検出する圧力センサSP(1つのみを代表して図示)がそれぞれ設けられている。
第2電極72は、用紙SHに接触して、ノズルN内の定着液Lと用紙SHとの間に電位差を形成するための電極であり、各定着ヘッド71A〜71Eの各ノズルNの先端から所定距離離れるように、各定着ヘッド71A〜71Eの下に配置されている。ここで、所定距離は、用紙SHの厚さよりも大きな距離であり、実験やシミュレーション等によって静電噴霧を好適に行うことが可能な距離に設定されている。
第2電極72は、接地されている。なお、第2電極72は、必ずしも接地させる必要はなく、例えば第1電極74に印加される電圧よりも小さな電圧を第2電極72に印加してもよい。第2電極72は、ノズルNの先端との間で電界を形成している。
第1電極74に電圧が印加されるとノズルNの先端付近の空間に電界が形成される。第2電極72は、定着液Lが加圧装置75によってノズルNの先端に向けて供給されているので、ノズルNの先端の定着液Lとの間に電界を形成する。すると、ノズルNの先端では、定着液Lが電界に引っ張られていわゆるテイラーコーンが形成される。このテイラーコーンの先端から定着液Lが引きちぎられることによって微細な液滴が生成される。
ノズルNから噴霧された液滴状の定着液Lは、正に帯電している。これに対し、用紙SHは実質的にゼロ電位状態になっている。このため、液滴状の定着液Lは、クーロン力によって用紙SHに向かって飛んでゆき、用紙SH上やトナー像上に付着する。
第1電流センサSBは、第1電極74に流れる電流を検出することで、定着液Lに流れる電流を間接的に検出するセンサであり、各第1電極74に対応して設けられている。第1電流センサSBは、ノズルNから用紙SHに定着液Lが噴霧された際に第1電極74に流れる電流を検出し、その検出値を制御部100に出力している。ここで、第1電極74に電圧が印加されても、ノズルNから定着液Lが噴霧されていないときには、第1電極74には電流が流れず、ノズルNから定着液Lが噴霧されること、つまり帯電された定着液LがノズルNから用紙SHに移動することによって、第1電極74に電流が流れるようになっている。
第2電流センサSAは、第2電極72に流れる電流を検出するセンサである。第2電流センサSAは、ノズルNから用紙SHに定着液Lが噴霧された際に第2電極72に流れる電流を検出し、その検出値を制御部100に出力している。ここで、第1電極74に電圧が印加されても、ノズルNから定着液Lが噴霧されていないときには、第2電極72には電流が流れず、ノズルNから定着液Lが噴霧されること、つまり帯電された定着液LがノズルNから用紙SHに移動することによって、第2電極72に電流が流れるようになっている。
このように構成された第1電極74および第2電極72は、ノズルN内の定着液Lと、ノズルNから離れた位置で搬送される用紙SHとの間に電位差を形成するための電位差形成部となっている。
定着液カートリッジ76は、内部に定着液Lが充填されたカートリッジであり、本体筐体2に着脱可能に構成されている。定着液カートリッジ76は、配管76Aを介してタンク77に接続されている。なお、配管76Aに、定着液カートリッジ76からタンク77に定着液Lを供給するための液圧ポンプや、定着液Lの供給・停止を切り替えるための切替弁などを設けてもよい。
タンク77は、本体筐体2に設けられており、複数の配管77Aを介して各定着ヘッド71A〜71Eの収容部73に接続されている。各配管77Aには、タンク77から各定着ヘッド71A〜71Eに定着液Lを供給するための液圧ポンプや、定着液Lの供給・停止を切り替えるためのバルブ77Bがそれぞれ設けられている。バルブ77Bは、絶縁性の部材で構成されている。
制御部100は、RAMやROMなどからなる記憶部110、第1電極74に電圧を印加する電圧印加部120、CPU、入出力回路などを備えている。制御部100は、外部から入力されてくる画像データや、各センサSP,SA,SBからの信号に基づいて、加圧装置75の制御や第1電極74に印加する電圧の制御を実行する機能を有している。詳しくは、制御部100は、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに印加する電圧と、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに加える圧力とを、定着ヘッドごとに個別に制御するように構成されている。
具体的に、制御部100は、定着ヘッド71A〜71Eから用紙SHに向けて定着液Lを噴霧して用紙SH上にトナー像を定着させる定着噴霧処理と、ノズルNの外周面に付着した液滴を除去するための液滴除去処理と、を実行する機能を有している。制御部100は、定着噴霧処理を行う場合には、定着液Lに加える圧力Pを第1圧力P1に設定し、定着液Lに加える圧力Pを第1圧力P1に設定し、各第1電極74に印加する電圧Vを、画像データに基づいて求めた目標噴霧量ρに基づいて制御するように構成されている。ここで、目標噴霧量ρは、用紙SHの単位面積当たりに噴霧する定着液Lの目標値であり、画像濃度が高いほど大きな噴霧量に設定される。また、第1圧力P1は、例えば実験やシミュレーション等によって適宜設定される。
制御部100は、定着噴霧処理を行う前に、液滴除去処理を実行する。詳しくは、制御部100は、印刷ジョブが入力されてから定着噴霧処理を実行するまでの間で液滴除去処理を実行する。
制御部100は、液滴除去処理において、定着液Lに加える圧力Pを第1圧力P1よりも小さな第2圧力P2に設定するとともに、定着液Lに印加する電圧Vを所定電圧Vaに設定する。ここで、所定電圧Vaは、定着噴霧処理時の電圧値の範囲内の値であり、適宜実験やシミュレーション等によって決定される。なお、所定電圧Vaを高くするほどノズルNの外周面に付着した定着液Lを飛散させることができるので、所定電圧Vaは、定着噴霧処理時の電圧値の範囲内のうち最大の電圧値に設定するとよい。また、第2圧力P2は、0≦P2<P1の範囲内の値であり、メニスカス耐圧以下の圧力となるように実験やシミュレーション等により適宜決定される。
ここで、メニスカス耐圧とは、定着液Lに電圧を印加していない状態において、ノズルN内において定着液Lを保持することができる最大の圧力をいい、以下の式(1)で表される。
Pm = (4・σ・cosθ)/d ・・・ (1)
Pm:メニスカス耐圧
σ:定着液Lの表面張力
θ:接触角
d:ノズルNの先端の内径(直径)
つまり、定着液Lに電圧を印加していない状態において、定着液Lにメニスカス耐圧よりも大きな圧力を加えると、ノズルNの先端から定着液Lが漏れ出し、定着液Lに加える圧力をメニスカス耐圧以下とすると、ノズルN内に定着液Lが保持される。
制御部100は、液滴除去処理において、所定電圧Vaとなる電圧Vを第1電極74に第1時間T1の間印加した後、圧力Pを第2圧力P1から第1圧力P1に変更して定着噴霧処理を開始するように構成されている。ここで、第1時間T1は、所定電圧Vaの印加によってノズルNの外周面に付着した定着液Lが除去されるのにかかる時間をいい、実験やシミュレーション等により適宜設定されている。
また、制御部100は、印刷ジョブが入力された際に前回の定着噴霧処理の終了から第3時間T3以上経過したか否かを判断し、経過したと判断した場合には、液滴除去処理を行わないように構成されている。ここで、「第3時間T3」は、ノズルNの外周面に付着した定着液Lを自然に蒸発させるための十分長い時間をいい、実験やシミュレーション等により適宜設定される。
なお、第3時間T3は、温度や湿度などに応じて適宜変更されてもよい。例えば、第3時間T3を、温度が高いほど短い時間に設定してもよいし、湿度が低いほど短い時間に設定してもよい。
また、制御部100は、ノズルNの先端に入っている定着液Lの水分が蒸発して当該定着液Lの粘性が高まった場合(例えば定着動作を一定時間以上行っていない場合など)には、ノズルNの先端に詰まった定着液Lを圧力により外部に排出させるパージ処理を実行する機能も有している。パージ処理において、制御部100は、例えば、定着液Lに電圧を印加することなく、ポンプ75Aの駆動によって定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lを加圧することで、ノズルNの先端から定着液Lを排出させる。
このようなパージ処理を行った場合には、ノズルNの外周面に定着液Lが付着しやすい。そのため、本実施形態では、制御部100は、パージ処理を行った場合にも、液滴除去処理を行うように構成されている。
次に、制御部100の動作について図5を参照して詳細に説明する。制御部100は、図5に示す処理を定着ヘッド71A〜71Eごとに実行する。以下においては、第1定着ヘッド71Aについての制御を代表して説明する。
図5に示すように、制御部100は、まず、印刷ジョブが入力されたか否かを判断する(S1)。ステップS1において印刷ジョブが入力されたと判断した場合には(Yes)、制御部100は、前回の定着噴霧処理から第3時間T3が経過しているか否かを判断する(S2)。
ステップS2において第3時間T3が経過していないと判断した場合には(No)、制御部100は、定着液Lに加える圧力Pを低めの第2圧力P2に設定する(S3)。詳しくは、制御部100は、ステップS3において、現状の圧力Pが第2圧力P2と同じ場合には、加圧装置75を制御せずに圧力Pをそのまま第2圧力P2に維持する。また、制御部100は、ステップS3において、現状の圧力Pが第2圧力P2より小さい場合には、ポンプ75Aを作動させて圧力Pを第2圧力P2まで上昇させ、現状の圧力Pが第2圧力P2より大きい場合には、減圧弁75Bを開いて圧力Pを第2圧力P2まで下げた後、減圧弁75Bを閉じる。
ステップS3の後、制御部100は、所定電圧Vaを定着液Lに印加する(S4)。これにより、液滴除去処理が開始される。
ステップS4の後、制御部100は、所定電圧Vaを定着液Lに印加してから第1時間T1が経過したか否かを判断することで、ノズルNの外周面に付着した定着液Lが除去されたか否かを判断する(S5)。ステップS5において第1時間T1が経過していないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS3の処理に戻って、液滴除去処理を継続する。ステップS5において第1時間T1が経過したと判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS6の処理に移行する。
ステップS1において印刷ジョブが入力されていないと判断した場合には(No)、制御部100は、パージ処理を実行したか否かを判断する(S7)。ステップS7においてパージ処理を実行していないと判断した場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。
ステップS7においてパージ処理を実行したと判断した場合には(Yes)、制御部100は、パージ処理を実行したことを示すフラグFを1にした後(S8)、液滴除去処理(S3,S4)を実行する。ステップS6では、制御部100は、フラグFが0であるか否かを判断することで、印刷ジョブの入力をきっかけにして液滴除去処理が実行されたか否かを判断する。
ステップS6においてF=0であると判断した場合には(Yes)、印刷ジョブが入力されている場合であるため、制御部100は、定着噴霧処理(S9〜S11)に移行する。ステップS6においてF=1であると判断した場合には(No)、印刷ジョブが入力されていない場合であるため、制御部100は、定着噴霧処理(S9〜S11)に移行することなく、フラグFを0に戻して(S13)、本制御を終了する。
ここで、フラグFを0に戻す場合には、制御部100は、液滴除去処理を終了すべく、例えば電圧の印加を停止させる。なお、液滴除去処理の終了後における圧力P、つまり待機時の圧力Pは、液滴除去処理時の第2圧力P2で維持してもよいし、第2圧力P2とは異なる圧力値としてもよい。
ステップS2において第3時間T3が経過していると判断した場合には(Yes)、前回の定着噴霧処理から十分長い時間が経過してノズルNの外周面に付着した定着液Lが蒸発した状態であるため、制御部100は、液滴除去処理(S3,S4)を実行することなく、定着噴霧処理(S9〜S11)に移行する。
ステップS9では、制御部100は、印刷データに基づいて第1定着ヘッド71Aに対応した画像に基づいて目標噴霧量ρを設定する。ステップS9の後、制御部100は、第1定着ヘッド71A内の定着液Lに加える圧力Pを第2圧力P2から第1圧力P1に変更する(S10)。詳しくは、制御部100は、ステップS10において、ポンプ75Aを作動させることで、圧力Pを第2圧力P2から第1圧力P1まで上昇させる。
ステップS10の後、制御部100は、目標噴霧量ρに基づいて第1電極74に印加する電圧Vを設定し、当該電圧Vを第1電極74に印加することで、第1定着ヘッド71Aから用紙SHの画像に対して定着液Lの噴霧を行う定着噴霧処理を実行する(S11)。ステップS11の後、制御部100は、定着噴霧処理が終了したか否かを判断する(S12)。
ステップS12において定着噴霧処理が終了していないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS11の処理に戻って、定着噴霧処理を継続する。ステップS12において定着噴霧処理が終了したと判断した場合には(Yes)、制御部100は、電圧の印加を停止して、本制御を終了する。なお、定着噴霧処理の終了後における圧力Pは、液滴除去処理時の第2圧力P2まで下げてもよいし、第2圧力P2とは異なる圧力値まで下げてもよい。
次に、ノズルNの外周面に付着した定着液Lが除去される様子を図6(a)〜(c)を参照して説明する。
図6(a)に示すように、定着噴霧処理の終了後やパージ処理の後には、ノズルNの先端部の外周面に液滴状の定着液Lが付着する場合がある。この場合に、液滴除去処理を行うことで、第1電極74への電圧の印加によってノズルNの先端部の外周面に付着した定着液L周りに電界が発生し、この電界の影響により、図6(b)に示すように、定着液Lが飛散する。これにより、図6(c)に示すように、ノズルNの先端部の外周面に付着した定着液Lを良好に除去することができる。
なお、液滴除去処理においては、定着液Lに加える圧力Pを定着噴霧処理時の第1圧力P1よりも低い第2圧力P2にするので、ノズルNの先端部に送られる定着液Lの量が少なくなる。これにより、液滴除去処理中において、ノズルNの開口から定着液Lが外部に押し出されて外周面まで回り込んでしまうことが抑えられるので、ノズルNの外周面の定着液Lの量が増幅することなく、ノズルNの外周面から良好に定着液Lを除去することができる。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ノズルNの外周面に定着液Lが付着した場合であっても、液滴除去処理を実行することで、ノズルNの外周面に付着した定着液Lを取り除くことができるので、定着噴霧処理を開始する際に、迅速に安定した噴霧状態とすることができる。
前回の定着噴霧処理の終了から第3時間T3以上が経過した場合には、液滴除去処理を行わないので、電力消費を抑えることができる。
パージ処理の後に液滴除去処理を行うので、パージ処理においてノズルNの外周面に付着した定着液Lを良好に除去することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、ノズルNの外周面に付着した定着液Lが除去されたか否かの判断を、第1時間T1が経過したか否かを判断することによって行ったが、本発明はこれに限定されず、第1電極74に電流が流れていない状態が第2時間T2以上続いたか否かを判断することで行ってもよい。具体的には、図7に示すように、図5のフローチャートにおけるステップS5の代わりに新たなステップS21を設けてもよい。
ステップS21において、制御部100は、第2電流センサSAから検出値が出力されてこない状態が第2時間T2以上続いているか否かを判断する。詳しくは、制御部100は、ステップS4にて電圧Vを所定電圧Vaに設定したときに、カウンタによるカウントを開始し始め、カウンタのカウント数が第2時間T2に対応するカウント数になる前に第2電流センサSAから検出値を取得した場合には、カウンタを0にリセットする。そして、カウントのリセット後、制御部100は、再度カウンタによるカウントを開始する。そして、制御部100は、カウンタのカウント数が第2時間T2に対応するカウント数以上になった場合には、ステップS21においてYesと判定する。
これによれば、第1電極74に電流が流れていない状態が第2時間T2以上続いたか否かを判断することで、ノズルNの外周面上の定着液Lの飛散が終了したか否かを精度良く判断することができる。なお、第2時間T2は、実験やシミュレーション等により適宜設定すればよい。
前記実施形態では、液滴除去処理を行うタイミングを、印字ジョブの入力から定着噴霧処理を開始するまでの間と、パージ処理の終了後に設定したが、本発明はこれに限定されず、定着噴霧処理を実行していないときであれば、どのようなタイミングであってもよい。例えば、液滴除去処理を、定着噴霧処理の終了後に行ってもよい。
前記実施形態では、液滴除去処理において、電圧Vを所定電圧Vaに維持したが、本発明はこれに限定されず、液滴除去処理において電圧の値を変動させてもよい。
前記実施形態では、第1電極74を収容部73の内部に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えばノズルおよび収容部を金属等の導電性部材で形成して、ノズルまたは収容部に対して電圧を印加してもよい。なお、この場合には、電圧が印加されるノズルまたは収容部が、第1電極として機能する。また、この場合には、複数の導電性の収容部を互いに離間させたり、各収容部の間に絶縁性の部材を設けたりすることで、各収容部間での電荷の移動を遮断させるとよい。また、収容部を樹脂等の非導電性の部材で形成し、ノズルを金属等の導電性の部材で形成し、ノズルに電圧を印加するようにしてもよい。なお、この場合には、ノズルが第1電極として機能する。
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、記録シートとして、厚紙、はがき、薄紙などの用紙SHを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
前記実施形態では、収容部内の定着液に圧力を付与する圧力付与手段として、ポンプ75Aや減圧弁75Bを有する加圧装置75を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、水頭差を利用して各ヘッド内の液体を加圧または減圧する装置などであってもよい。
前記実施形態では、説明の便宜上、定着領域A1〜A5を収容部73の下面と同じ形状・大きさ・位置としたが、本発明はこれに限定されず、定着領域は、収容部の下面よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。つまり、定着領域は、用紙上における噴霧される定着液の前後方向および左右方向に幅によって定義すればよい。
1 レーザプリンタ
7 定着装置
71 定着ヘッド
72 第2電極
73 収容部
74 第1電極
75 加圧装置
100 制御部
L 定着液
N ノズル
SH 用紙

Claims (12)

  1. 定着液を内部に収容する収容部、および、前記収容部に連通し、記録シート上の現像剤像に向けて定着液を噴霧するノズルを有する定着ヘッドと、
    前記ノズル内の定着液と、前記ノズルから離れた位置で搬送される記録シートとの間に電位差を形成するための電位差形成部と、
    定着液に圧力を加える圧力付与手段と、
    前記電位差形成部に印加する電圧と前記定着液に加える圧力とを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記圧力付与手段が前記定着液に加える圧力を第1圧力とし、前記電位差形成部に電圧を印加することで、前記ノズルから前記記録シートに向けて定着液の噴霧を行う定着噴霧処理と、
    前記定着噴霧処理を実行していないときに、前記圧力付与手段が前記定着液に加える圧力を前記第1圧力よりも小さな第2圧力にした状態で、前記電位差形成部に電圧を印加する液滴除去処理と、を行うことを特徴とする定着装置。
  2. 前記制御部は、前記定着噴霧処理を行う前に前記液滴除去処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記第2圧力は、メニスカス耐圧以下であることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記制御部は、前記液滴除去処理において、電圧印加を第1時間の間行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記制御部は、前記液滴除去処理において電圧印加を前記第1時間行った後、圧力を前記第2圧力から前記第1圧力に変更して前記定着噴霧処理を開始することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記制御部は、前記液滴除去処理において前記電位差形成部に電流が流れていない状態が第2時間続いた場合に、圧力を前記第2圧力から前記第1圧力に変更して前記定着噴霧処理を開始することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の定着装置。
  7. 前記制御部は、印刷ジョブの入力に基づいて、前記液滴除去処理を行うことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記制御部は、前回の定着噴霧処理の終了から第3時間以上経過した場合には、前記液滴除去処理を行わないことを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
  9. 前記液滴除去処理において前記電位差形成部に印加する電圧は、定着噴霧処理時の電圧値の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
  10. 前記制御部は、圧力によって前記ノズルから定着液を外部に排出させるパージ処理を行った場合に、前記液滴除去処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の定着装置。
  11. 前記圧力付与手段は、前記定着ヘッド内の気体を加圧するポンプを有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の定着装置。
  12. 前記電位差形成部は、前記定着液に接触する第1電極と、前記ノズルと向かい合う第2電極とを有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の定着装置。
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