JP6610358B2 - 定着装置 - Google Patents
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本発明は、用紙上にトナー像を定着させる定着装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置において、転写されたトナー像を加熱によりトナーを溶融させ用紙にトナーを定着させる定着装置を備えたものが知られている。定着装置は、トナーを溶融するためにハロゲンヒータやセラミックヒータ等の発熱体を有する。溶融されたトナーは、用紙に対して加圧され用紙上に定着される。このような定着装置は、定着速度が速く、画像品質が良いことから広く普及している。しかしながら、このような熱定着方式の定着装置を用いる画像形成装置は、トナーを加熱することから多量の電力を消費するため画像形成装置の省電力には向かなかった。
上記のような課題に対し、トナーを溶解または膨潤させる定着液を用紙上のトナーに付与して、トナー像を用紙上に定着する定着装置を備えた画像形成装置がある。この定着装置は、熱定着方式のようなトナーを溶融させるための加熱処理が不要であり、消費電力が低く、省電力化に優れている。定着液をトナー像に塗布する方法としては、静電噴霧によって定着液をトナー像に塗布する方法が知られている(特許文献1参照)。
ところで、静電噴霧による定着方式において、定着液を噴霧するノズルからの定着液の噴霧を停止したときに、定着液がノズルの外周面に付着して残留すると、次回の噴霧開始時に正常な噴霧を行うことができない場合がある。
そこで、本発明は、定着液を噴霧するノズルの外周面に定着液が付着するのを抑えることを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、定着液を内部に収容する収容部、および、前記収容部に連通し、記録シート上の現像剤像に向けて前記定着液を噴霧するノズルを有する定着ヘッドと、前記ノズル内の前記定着液と、前記ノズルから離れた位置で搬送される記録シートとの間に電位差を形成するための電位差形成部と、前記ノズルの先端に定着液を供給するために、前記定着液に圧力を加える圧力付与手段と、前記電位差形成部に印加する電圧と前記定着液に加える圧力とを制御する制御部と、を備える。
前記制御部は、前記定着液の噴霧を停止する場合には、前記定着液に加えている圧力を小さくするように前記圧力付与手段を制御する圧力低下処理を開始した後、前記定着液に印加される電圧を、前記圧力低下処理の開始時の電圧よりも低下させるように前記電位差形成部を制御する電圧低下処理を行う。
前記制御部は、前記定着液の噴霧を停止する場合には、前記定着液に加えている圧力を小さくするように前記圧力付与手段を制御する圧力低下処理を開始した後、前記定着液に印加される電圧を、前記圧力低下処理の開始時の電圧よりも低下させるように前記電位差形成部を制御する電圧低下処理を行う。
この構成によれば、定着液の噴霧停止時において、電圧を低下させる前に定着液に加えている圧力を先に小さくすることで、圧力によってノズル先端に送り込まれる定着液の量が少なくなるので、圧力を下げた後において、電圧の印加によって形成されるテイラーコーン形状の定着液の体積が徐々に小さくなりながら、噴霧が継続される。これにより、ノズル先端に残る定着液の量を少なくすることができるので、電圧の低下後に、テイラーコーン形状となっていた定着液の表面形状が球面状に変化しても、定着液がノズル先端からノズル外周面に回り込むことが抑えられ、ノズル外周面に定着液が付着するのを抑えることができる。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記圧力低下処理を開始した後、前記定着液の噴霧が停止したか否かを判断し、噴霧が停止したと判断した場合に前記電圧低下処理を行うように構成されていてもよい。
これによれば、定着液の噴霧が停止するまで電圧印加を継続するので、テイラーコーン形状の定着液の体積を極めて小さくすることができる。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記電位差形成部に流れる電流が所定値以下になったか否かを判断し、電流が所定値以下になった場合に噴霧が停止したと判断するように構成されていてもよい。
これによれば、電位差形成部に流れる電流によって噴霧の停止を良好に判断することができる。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記圧力低下処理を行ってから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過したと判断した場合に噴霧が停止したと判断するように構成されていてもよい。
これによれば、圧力低下処理の開始からの経過時間によって噴霧の停止を判断することで、制御を簡易化することができる。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記圧力低下処理において、圧力をメニスカス耐圧以下にするように構成されていてもよい。
また、前記した構成において、前記制御部は、印刷ジョブにおける最終ページの画像の上流端が、前記定着液の噴霧領域を通り抜ける前に、前記圧力低下処理を開始するように構成されていてもよい。
これによれば、圧力低下処理後に噴霧される定着液を有効活用することができる。
また、前記した構成において、前記制御部は、印刷ジョブにおける最終ページの画像の上流端が、前記定着液の噴霧領域を通り抜けた後に、前記圧力低下処理を行うように構成されていてもよい。
これによれば、例えば最終ページの画像の上流側部分の画像濃度が高く、多量の定着液が必要な場合(テイラーコーンの体積分の定着液の量では足りない場合)などにおいて、画像の上流側部分を良好に定着することができる。
また、前記した構成において、前記制御部は、記録シートが詰まった場合に、前記圧力低下処理を開始し、その後前記電圧低下処理を行うように構成されていてもよい。
これによれば、記録シートが詰まった場合にも、ノズル外周面に定着液が付着するのを抑えることができる。
また、前記した構成において、前記圧力付与手段は、前記定着ヘッド内の気体を加圧するポンプを有していてもよい。
また、前記した構成において、前記制御部は、前記圧力低下処理を開始してから前記電圧低下処理を開始するまでの間、電圧を一定に保つように構成されていてもよい。
また、前記した構成において、前記電界形成部は、前記収容部内の定着液と接触する第1電極と、前記ノズルと間隔を空けて配置される第2電極と、を有していてもよい。
本発明によれば、定着液を噴霧するノズルの外周面に定着液が付着するのを抑えることができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、レーザプリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2と、記録シートの一例としての用紙SHを給紙するためのフィーダ部3と、用紙SHに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
フィーダ部3は、本体筐体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内の用紙SHを画像形成部4に向けて給紙する給紙機構32とを備えている。給紙機構32は、給紙ローラ32Aと、分離ローラ32Bと、分離パッド32Cと、紙粉取りローラ32Dと、レジストローラ32Eとを備えている。レジストローラ32Eは、用紙SHの先端位置を揃えるローラであり、後述する制御部100によって適宜停止・回転が切り替えられるようになっている。
画像形成部4は、本体筐体2内に収容されており、主に、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラTRと、定着装置7とを備えている。
スキャナユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光ドラム61の表面上に高速走査にて照射する。
プロセスカートリッジ6は、本体筐体2に着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、静電潜像が形成される感光ドラム61と、図示しない帯電器と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部62と、トナー収容部62内のトナーを感光ドラム61に供給する供給ローラ63および現像ローラ64を備えている。
このプロセスカートリッジ6では、図示せぬ帯電器が、回転する感光ドラム61の表面を一様に帯電する。スキャナユニット5は、感光ドラム61の表面にレーザビームを出射して、感光ドラム61の表面を露光することで、感光ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像を形成する。
次いで、回転駆動される現像ローラ64が、感光ドラム61の静電潜像にトナーを供給して、感光ドラム61の表面上にトナー像を形成する。その後、感光ドラム61の表面上に担持されたトナー像は、用紙SHが感光ドラム61と転写ローラTRの間で搬送される際に、転写ローラTRに引き寄せられて用紙SH上に転写する。
定着装置7は、帯電された定着液Lを静電噴霧により用紙SH上のトナー像に供給することで、用紙SH上にトナー像を定着させる装置である。なお、定着装置7の構成については、後で詳述する。
定着装置7の下流側には、定着装置7から排出された用紙SHを挟持して下流側に搬送するための一対の下流側搬送ローラRdが設けられている。下流側搬送ローラRdによって搬送された用紙SHは、排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ21上に排出される。
次に、定着装置7の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、定着装置7は、用紙SH上のトナー像に向けて定着液Lを噴霧するための定着ヘッド71と、定着ヘッド71の下で用紙SHを支持する第2電極72と、圧力付与手段の一例としての加圧装置75と、定着液カートリッジ76と、タンク77と、制御部100とを備えている。
図2に示すように、定着装置7は、用紙SH上のトナー像に向けて定着液Lを噴霧するための定着ヘッド71と、定着ヘッド71の下で用紙SHを支持する第2電極72と、圧力付与手段の一例としての加圧装置75と、定着液カートリッジ76と、タンク77と、制御部100とを備えている。
定着液Lは、良好に静電噴霧を行い、かつ、定着を行うために、トナーを溶解させる溶質を誘電率の高い溶媒に分散させたもの使用することが出来る。誘電率の高い溶媒として、安全な水を用いることができる。つまり、本実施形態では、トナーを溶解させる溶質を水に分散するタイプ、いわゆる、水中油滴型のエマルジョンでトナーの溶解を行っている。つまり、溶媒としての水に対して不溶または難溶な溶質を水に分散した定着液を用いている。溶質としては、脂肪族モノカルボン酸エステル系として、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、脂肪族ジカルボン酸エステル系として、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、脂肪族トリカルボン酸エステル系として、oアセチルクエン酸トリエチル、oアセチルクエン酸トリブチル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル系としてコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、炭酸エステル系として炭酸エチレン、炭酸プロピレンを使用することができる。これらの溶質はトナーを軟化させる機能を有する。
また、エマルジョンを良好に形成するために界面活性剤を加えても良く、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を使用することができる。アニオン系界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類を使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩を使用することができる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、ショ糖ラウリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル類を使用することができる。
また、エマルジョンを良好に形成するために界面活性剤を加えても良く、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を使用することができる。アニオン系界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類を使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩を使用することができる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、ショ糖ラウリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル類を使用することができる。
定着ヘッド71は、図3(a)に示すように、幅方向に千鳥状に並ぶ、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71B、第3定着ヘッド71C、第4定着ヘッド71Dおよび第5定着ヘッド71Eを有している。第1定着ヘッド71A、第3定着ヘッド71Cおよび第5定着ヘッド71Eは、前後方向、つまり用紙SHの搬送方向において略同じ位置に配置され、左右方向、つまり用紙SHの幅方向において間隔を空けて配置されている。第2定着ヘッド71Bは、搬送方向において第1定着ヘッド71Aおよび第3定着ヘッド71Cの上流側に配置され、幅方向における中央部が幅方向において第1定着ヘッド71Aと第3定着ヘッド71Cとの間に配置されている。第4定着ヘッド71Dは、搬送方向において第3定着ヘッド71Cおよび第5定着ヘッド71Eの上流側に配置され、幅方向における中央部が幅方向において第3定着ヘッド71Cと第5定着ヘッド71Eとの間に配置されている。
第1定着ヘッド71Aは、定着液Lを内部に収容する収容部73と、収容部73に連通し、トナー像に向けて定着液Lを噴霧する複数のノズルNと、収容部73内および各ノズルN内の定着液Lに電圧を印加する第1電極74と、を備えている。なお、その他の定着ヘッド71B〜71Eは、第1定着ヘッド71Aと略同様の構成となっているため、その他の定着ヘッド71B〜71Eを構成する部材には第1定着ヘッド71Aを構成する部材と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。つまり、各定着ヘッド71A〜71E(各収容部73)は、同一形状であり、それぞれ別体に構成されている。また、各収容部73には、それぞれ同じ数のノズルNが同じ配置で設けられている。
収容部73は、幅方向に長尺となる矩形の絶縁性の容器であり、上壁73A、前壁73B、後壁73C、左壁73D、右壁73Eおよび下壁73Fを有している。図3(b)に示すように、各定着ヘッド71A〜71Eにおける複数のノズルNは、それぞれ収容部73の下壁73Fから下方に向けて突出しており、下方に向かう程、徐々に縮径している。複数のノズルNは、幅方向に複数配列されるとともに、搬送方向に複数配列されている。
詳しくは、複数のノズルNは、搬送方向に並ぶ第1千鳥配列群U1および第2千鳥配列群U2を構成している。図4に示すように、第1千鳥配列群U1は、幅方向に一定の間隔を空けて配列される複数の第1ノズルN1と、幅方向に一定の間隔を空けて配列される複数の第2ノズルN2とからなり、幅方向の一方側から他方側に向けて、第1ノズルN1と第2ノズルN2とが搬送方向の一方側と他方側に交互に配置されている。
また、各第2ノズルN2は、幅方向において2つの第1ノズルN1の間に配置されている。そして、幅方向で隣り合う2つの第1ノズルN1と、これら2つの第1ノズルN1の間に配置される第2ノズルN2とを結んだ形状は、正三角形または二等辺三角形となっている。また、幅方向で隣り合う2つの第2ノズルN2と、これら2つの第2ノズルN2の間に配置される第1ノズルN1とを結んだ形状も、正三角形または二等辺三角形となっている。
第2千鳥配列群U2は、第1千鳥配列群U1と同じ構造となっている。本実施形態においてノズルピッチ(隣接するノズルの外径間の最短距離)は、1mm以上、14mm以下の範囲で設定すればよい。
また、幅方向で隣接する2つの定着ヘッド(例えば第1定着ヘッド71Aと第2定着ヘッド71B)は、搬送方向から見て各収容部73が重なるように配置されている。具体的には、所定の定着ヘッド(例えば第1定着ヘッド71A)における複数のノズルNの幅方向における最小ピッチ(例えば、第1ノズルN1と第2ノズルN2間のピッチ)は、Daとなっている。これに対し、所定の定着ヘッドの幅方向の最も一方側のノズルN(例えば第1定着ヘッド71Aの最も図示左側の第1ノズルN1)から当該所定の定着ヘッドの一方側に隣接する定着ヘッド(例えば第2定着ヘッド71B)の幅方向の最も他方側のノズルN(例えば第2定着ヘッド71Bの最も図示右側の第1ノズルN1)までの距離Dbが、最小ピッチDaよりも小さくなっている。
つまり、定着ヘッド71A〜71Eごとに設定される各定着領域A1〜A5(各定着ヘッド71A〜71Eの各ノズルNによって用紙SHに対して定着液Lが噴霧される領域)が、搬送方向から見て重なるように、各定着ヘッド71A〜71Eが配置されている。なお、本実施形態では、各定着ヘッド71A〜71Eの各定着領域A1〜A5を、便宜上、各収容部73の下面と同じ形状・大きさ・位置として説明する。
より詳しくは、第1定着ヘッド71Aから定着液Lが噴霧される領域である第1定着領域A1は、第2定着ヘッド71Bから定着液Lが噴霧される領域である第2定着領域A2に搬送方向から見て重なっている。第5定着ヘッド71Eから定着液Lが噴霧される領域である第5定着領域A5は、第4定着ヘッド71Dから定着液Lが噴霧される領域である第4定着領域A4に搬送方向から見て重なっている。
第3定着ヘッド71Cから定着液Lが噴霧される領域である第3定着領域A3は、第2定着領域A2および第4定着領域A4に搬送方向から見て重なっている。このように各定着ヘッド71A〜71Eが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Eの間に、定着液Lが噴霧されない領域が生じるのを抑えることが可能となっている。
第1定着ヘッド71Aは、レーザプリンタ1で印刷を行うことが可能な複数種類の用紙SHのうち最も幅狭の第1用紙SH1に対して定着液Lを噴霧するためのヘッドであり、第1用紙SH1の幅よりも小さな幅で形成されている。第1定着ヘッド71Aは、第1用紙SH1の左右両端よりも左右方向内側に配置されている。詳しくは、第1定着ヘッド71Aの第1定着領域A1が、第1用紙SH1の画像が形成される領域である画像形成領域の幅以上の幅となるような大きさに形成され、第1定着領域A1の幅内に画像形成領域の全幅が入るように配置されている。
なお、本実施形態では、図4に示すように、用紙幅の異なる用紙SH1〜SH5は、左側の端部を基準として搬送されるようになっている。詳しくは、本体筐体2内には、各用紙SH1〜SH5の左側の端部に接触して当該左端部をガイドする図示せぬガイド部材が設けられている。
第2定着ヘッド71Bは、第1定着ヘッド71Aに対して右側(幅方向の一方側)に隣接しており、第1用紙SH1よりも幅広の第2用紙SH2の右側の端部よりも左側(他方側)に配置されている。詳しくは、第2定着ヘッド71Bの第2定着領域A2の右側端部が、第2用紙SH2の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第2用紙SH2の画像形成領域の左側端部は、第1用紙SH1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、第1定着ヘッド71Aおよび第2定着ヘッド71Bが配置されることで、第1定着ヘッド71Aおよび第2定着ヘッド71Bは、第2用紙SH2の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第3定着ヘッド71Cは、第2定着ヘッド71Bに対して右側に隣接しており、第2用紙SH2よりも幅広の第3用紙SH3の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第3定着ヘッド71Cの第3定着領域A3の右側端部が、第3用紙SH3の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第3用紙SH3の画像形成領域の左側端部は、第1用紙SH1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71Bおよび第3定着ヘッド71Cが配置されることで、第1定着ヘッド71A、第2定着ヘッド71Bおよび第3定着ヘッド71Cは、第3用紙SH3の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第4定着ヘッド71Dは、第3定着ヘッド71Cに対して右側に隣接しており、第3用紙SH3よりも幅広の第4用紙SH4の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第4定着ヘッド71Dの第4定着領域A4の右側端部が、第4用紙SH4の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第4用紙SH4の画像形成領域の左側端部は、第1用紙SH1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、各定着ヘッド71A〜71Dが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Dは、第4用紙SH4の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
第5定着ヘッド71Eは、第4定着ヘッド71Dに対して右側に隣接しており、第4用紙SH4よりも幅広の第5用紙SH5の右側の端部よりも左側に配置されている。詳しくは、第5定着ヘッド71Eの第5定着領域A5の右側端部が、第5用紙SH5の画像形成領域の右側端部と同じ位置もしくは右側端部よりも右側の位置に配置されている。なお、第5用紙SH5の画像形成領域の左側端部は、第1用紙SH1の画像形成領域の左側端部と略同じ位置となっている。以上のように、各定着ヘッド71A〜71Eが配置されることで、各定着ヘッド71A〜71Eは、第5用紙SH5の画像形成領域に対して定着液Lを噴霧可能となっている。
図2に戻って、第1電極74は、収容部73内の定着液Lに電圧を印加して各ノズルNの先端に電界を発生させるための電極である。第1電極74は、収容部73の上壁73Aを上から下に貫通するように設けられ、下端部が収容部73内の定着液L内に配置されて定着液Lに接触し、上端部が、電圧印加部120を有する制御部100に接続されている。第1電極74に印加される電圧は、1kV〜10kVであることが好ましい。
各定着ヘッド71A〜71Eには、加圧装置75が接続されている。加圧装置75は、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに圧力をかける装置であり、各定着ヘッド71A〜71E内の空気を加圧するポンプ75Aと、各定着ヘッド71A〜71E内から空気を逃がすことで減圧する減圧弁75Bとを有している。また、各定着ヘッド71A〜71Eには、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lの圧力を検出する圧力センサSP(1つのみを代表して図示)がそれぞれ設けられている。
第2電極72は、用紙SHに接触して、ノズルN内の定着液Lと用紙SHとの間に電位差を形成するための電極であり、各定着ヘッド71A〜71Eの各ノズルNの先端から所定距離離れるように、各定着ヘッド71A〜71Eの下に配置されている。ここで、所定距離は、用紙SHの厚さよりも大きな距離であり、実験やシミュレーション等によって静電噴霧を好適に行うことが可能な距離に設定されている。
第2電極72は、接地されている。なお、第2電極72は、必ずしも接地させる必要はなく、例えば第1電極74に印加される電圧よりも小さな電圧を第2電極72に印加してもよい。第2電極72は、ノズルNの先端との間で電界を形成している。
第1電極74に電圧が印加されるとノズルNの先端付近の空間に電界が形成される。第2電極72は、定着液Lが加圧装置75によってノズルNの先端に向けて供給されているので、ノズルNの先端の定着液Lとの間に電界を形成する。すると、ノズルNの先端では、定着液Lが電界に引っ張られていわゆるテイラーコーンが形成される。このテイラーコーンの先端から定着液Lが引きちぎられることによって微細な液滴が生成される。
ノズルNから噴霧された液滴状の定着液Lは、正に帯電している。これに対し、用紙SHは実質的にゼロ電位状態になっている。このため、液滴状の定着液Lは、クーロン力によって用紙SHに向かって飛んでゆき、用紙SH上やトナー像上に付着する。
第1電流センサSBは、第1電極74に流れる電流を検出することで、定着液Lに流れる電流を間接的に検出するセンサであり、各第1電極74に対応して設けられている。第1電流センサSBは、ノズルNから用紙SHに定着液Lが噴霧された際に第1電極74に流れる電流を検出し、その検出値を制御部100に出力している。ここで、第1電極74に電圧が印加されても、ノズルNから定着液Lが噴霧されていないときには、第1電極74には電流が流れず、ノズルNから定着液Lが噴霧されること、つまり帯電された定着液LがノズルNから用紙SHに移動することによって、第1電極74に電流が流れるようになっている。
第2電流センサSAは、第2電極72に流れる電流を検出するセンサである。第2電流センサSAは、ノズルNから用紙SHに定着液Lが噴霧された際に第2電極72に流れる電流を検出し、その検出値を制御部100に出力している。ここで、第1電極74に電圧が印加されても、ノズルNから定着液Lが噴霧されていないときには、第2電極72には電流が流れず、ノズルNから定着液Lが噴霧されること、つまり帯電された定着液LがノズルNから用紙SHに移動することによって、第2電極72に電流が流れるようになっている。
このように構成された第1電極74および第2電極72は、ノズルN内の定着液Lと、ノズルNから離れた位置で搬送される用紙SHとの間に電位差を形成するための電位差形成部となっている。
定着液カートリッジ76は、内部に定着液Lが充填されたカートリッジであり、本体筐体2に着脱可能に構成されている。定着液カートリッジ76は、配管76Aを介してタンク77に接続されている。なお、配管76Aに、定着液カートリッジ76からタンク77に定着液Lを供給するための液圧ポンプや、定着液Lの供給・停止を切り替えるための切替弁などを設けてもよい。
タンク77は、本体筐体2に設けられており、複数の配管77Aを介して各定着ヘッド71A〜71Eの収容部73に接続されている。各配管77Aには、タンク77から各定着ヘッド71A〜71Eに定着液Lを供給するための液圧ポンプや、定着液Lの供給・停止を切り替えるためのバルブ77Bがそれぞれ設けられている。バルブ77Bは、絶縁性の部材で構成されている。
制御部100は、RAMやROMなどからなる記憶部110、第1電極74に電圧を印加する電圧印加部120、CPU、入出力回路などを備えている。制御部100は、外部から入力されてくる画像データや、各センサSP,SA,SBからの信号に基づいて、加圧装置75の制御や第1電極74に印加する電圧の制御を実行する機能を有している。詳しくは、制御部100は、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに印加する電圧と、各定着ヘッド71A〜71E内の定着液Lに加える圧力とを、定着ヘッドごとに個別に制御するように構成されている。
具体的に、制御部100は、定着液Lの噴霧を行う場合には、定着液Lに加える圧力Pを第1圧力P1に設定し、各第1電極74に印加する電圧Vを、画像データに基づいて求めた目標噴霧量ρに基づいて制御するように構成されている。ここで、目標噴霧量ρは、用紙SHの単位面積当たりに噴霧する定着液Lの目標値であり、画像濃度が高いほど大きな噴霧量に設定される。また、第1圧力P1は、例えば実験やシミュレーション等によって適宜設定される。
また、制御部100は、定着液Lの噴霧を停止する場合には、定着液Lに加えている圧力Pを小さくする圧力低下処理を開始した後に、電圧を、圧力低下処理の開始時の電圧よりも低下させる電圧低下処理を行うように構成されている。詳しくは、制御部100は、電圧低下処理において、各第1電極74への電圧印加を停止することで、電圧を0Vまで低下させる。また、制御部100は、定着噴霧処理が完了した場合(つまり、印刷ジョブにおける最終ページの最上流側にある画像への定着液Lの噴霧が完了した場合)や、印刷制御中におけるエラーが発生した場合などに、定着液Lの噴霧を停止することを決定する。
ここで、エラーとしては、例えば、レーザプリンタ1内の搬送経路に用紙SHが詰まった場合や、プロセスカートリッジ6等を交換するための開口を開閉するカバーを印刷制御中に開けてしまった場合などが挙げられる。また、エラー判断としては、例えば搬送経路中に配置される、図示せぬ通紙センサからの信号に基づいて用紙SHの詰まりを判断してもよいし、カバーの開閉を検知するための、図示せぬ開閉検知センサからの信号に基づいて、印刷制御中のカバーの開放を判断してもよい。
制御部100は、定着液Lの噴霧を停止することを決定した場合には、定着液Lに印加する電圧Vを所定電圧Vaに設定し、圧力低下処理を開始する。ここで、所定電圧Vaは、定着制御で使用する電圧の範囲内の値であり、適宜実験やシミュレーション等によって決定される。また、制御部100は、定着液Lの噴霧を停止することを決定してから電圧低下処理を開始するまでの間、電圧Vを所定電圧Vaに維持する。
制御部100は、圧力低下処理において、定着液Lに加えている圧力Pを、第1圧力P1から当該第1圧力P1よりも低い第2圧力P2に変更する。ここで、第2圧力P2は、0≦P2<P1の範囲内の値であり、メニスカス耐圧以下の圧力となるように実験やシミュレーション等により適宜決定される。
ここで、メニスカス耐圧とは、定着液Lに電圧を印加していない状態において、ノズルN内において定着液Lを保持することができる最大の圧力をいい、以下の式(1)で表される。
Pm = (4・σ・cosθ)/d ・・・ (1)
Pm:メニスカス耐圧
σ:定着液Lの表面張力
θ:接触角
d:ノズルNの先端の内径(直径)
Pm = (4・σ・cosθ)/d ・・・ (1)
Pm:メニスカス耐圧
σ:定着液Lの表面張力
θ:接触角
d:ノズルNの先端の内径(直径)
つまり、定着液Lに電圧を印加していない状態において、定着液Lにメニスカス耐圧よりも大きな圧力を加えると、ノズルNの先端から定着液Lが漏れ出し、定着液Lに加える圧力をメニスカス耐圧以下とすると、ノズルN内に定着液Lが保持される。
制御部100は、圧力低下処理を開始した後、定着液Lの噴霧が停止したか否かを判断し、噴霧が停止したと判断した場合に電圧低下処理を行う。詳しくは、制御部100は、第2電流センサSAで検出した電流Aが所定値Ath以下になったか否かを判断し、電流Aが所定値Ath以下になった場合に噴霧が停止したと判断する。
次に、制御部100の動作について図5を参照して詳細に説明する。制御部100は、図5に示す処理を定着ヘッド71A〜71Eごとに実行する。以下においては、第1定着ヘッド71Aについての制御を代表して説明する。
図5に示すように、制御部100は、まず、印刷指令があるか否かを判断する(S1)。ステップS1において印刷指令がないと判断した場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。
ステップS1において印刷指令があると判断した場合には(Yes)、制御部100は、印刷データに基づいて第1定着ヘッド71Aに対応した画像に基づいて目標噴霧量ρを設定する(S2)。ステップS2の後、制御部100は、第1定着ヘッド71A内の定着液Lに加える圧力Pを第1圧力P1に設定する(S3)。
ステップS3の後、制御部100は、目標噴霧量ρに基づいて第1電極74に印加する電圧Vを設定し、当該電圧Vを第1電極74に印加することで、第1定着ヘッド71Aから用紙SHの画像に対して定着液Lの噴霧を行う定着噴霧処理を実行する(S4)。ステップS4の後、制御部100は、定着噴霧処理が終了したか否かを判断する(S5)。
ステップS5において定着噴霧処理が終了していないと判断した場合には(No)、制御部100は、エラーが発生したか否かを判断する(S6)。ステップS6においてエラーが発生していないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS4の処理に戻る。
ステップS5において定着噴霧処理が終了したと判断した場合や(Yes)、ステップS6においてエラーが発生したと判断した場合には(Yes)、制御部100は、定着液Lの噴霧を停止することを決定し、第1電極74に印加する電圧Vを所定電圧Vaに設定する(S7)。ステップS7の後、制御部100は、加圧装置75の減圧弁75Bを開けて(S8)、圧力低下処理を開始する。
ステップS8の後、制御部100は、圧力センサSPからの信号に基づいて、第1定着ヘッド71A内の定着液Lの圧力Pが第2圧力P2以下になったか否かを判断する(S9)。ステップS9において、制御部100は、P>P2の場合には(No)、ステップS11の処理に移行し、P≦P2の場合には(Yes)、減圧弁75Bを閉じて(S10)、圧力低下処理を終了する。
ステップS10の後、または、ステップS9でNoと判断した場合には、制御部100は、第2電流センサSAで検出した電流Aが所定値Ath以下になったか否かを判断する(S11)。ステップS11において、制御部100は、A>Athの場合には(No)、ステップS9の処理に戻り、A≦Athの場合には(Yes)、電圧Vを0にする電圧低下処理を実行した後(S12)、本制御を終了する。なお、ステップS12において減圧弁75Bが開放した状態である場合には、制御部100は、減圧弁75Bを閉じる制御も行う。
次に、定着液Lの噴霧を停止する際のノズルNの先端付近の定着液Lの状態を図6(a)〜(c)を参照して説明する。
図6(a)に示すように、定着噴霧処理においては、ノズルNの先端に、円錐形状の定着液L、つまりテイラーコーンが形成され、テイラーコーンの先端から目標噴霧量ρの定着液Lが噴霧される。定着噴霧処理が終了して、圧力低下処理が開始されると、ノズルNの先端に送り込まれる定着液Lの量が徐々に少なくなることで、図6(b)に示すように、テイラーコーンの体積が徐々に少なくなっていく。
図6(a)に示すように、定着噴霧処理においては、ノズルNの先端に、円錐形状の定着液L、つまりテイラーコーンが形成され、テイラーコーンの先端から目標噴霧量ρの定着液Lが噴霧される。定着噴霧処理が終了して、圧力低下処理が開始されると、ノズルNの先端に送り込まれる定着液Lの量が徐々に少なくなることで、図6(b)に示すように、テイラーコーンの体積が徐々に少なくなっていく。
その後、テイラーコーンからの噴霧が停止して、制御部100が、定着液Lへの電圧Vの印加を停止すると、図6(c)に示すように、テイラーコーン形状となっていた定着液Lの表面形状が球面状に変化する。この際、定着噴霧処理が終了してから電圧Vの印加を停止するまでの間、定着液Lの噴霧によりテイラーコーンの体積が減少していることから、ノズルNの先端に残る定着液Lの量(ノズルNの先端よりも下方に位置する定着液Lの量)が少なくなっているため、ノズルNの先端に残る定着液Lは、ノズルNの外周面に回り込むことなく、ノズルN内に保持される。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
定着噴霧処理の終了後において、圧力低下処理を行った後、電圧低下処理を行うことで、定着液LがノズルNの先端からノズルNの外周面に回り込むことが抑えられるので、ノズルNの外周面に定着液Lが付着するのを抑えることができる。
定着噴霧処理の終了後において、圧力低下処理を行った後、電圧低下処理を行うことで、定着液LがノズルNの先端からノズルNの外周面に回り込むことが抑えられるので、ノズルNの外周面に定着液Lが付着するのを抑えることができる。
定着噴霧処理の終了後において、定着液Lの噴霧が停止するまで電圧印加(V=Va)を継続するので、テイラーコーン形状の定着液Lの体積を極めて小さくすることができる。
第2電流センサSAで検出した電流Aに基づいて定着液Lの噴霧の停止を判断するので、噴霧の停止を良好に判断することができる。
用紙SHが詰まった場合などのエラー発生時においても、圧力低下処理および電圧低下処理を行うので、エラー発生時においても、ノズルNの外周面に定着液Lが付着するのを抑えることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、定着液Lの噴霧の停止の判断を、第2電流センサSAで検出した電流Aに基づいて判断したが、本発明はこれに限定されず、例えば、電圧センサで検出した電圧に基づいて噴霧の停止の判断を行ってもよい。具体的には、第2電極72に繋がる配線に抵抗と当該抵抗にかかる電圧を検出する電圧センサを設け、この電圧センサで検出した電圧が所定値以下になったか否かを判断することで、電流値が所定値以下になった(噴霧が停止した)か否かを判断してもよい。
また、噴霧の停止の判断を、圧力低下処理を行ってからの時間で判断してもよい。具体的には、例えば、図5のステップS11の代わり、図7に示すステップS21の処理を設ければよい。
具体的に、ステップS21において、制御部100は、圧力低下処理を開始してから(ステップS8を実行してから)所定時間が経過したか否かを判断する。そして、制御部100は、ステップS21において、所定時間が経過していないと判断した場合には(No)、ステップS9の処理に戻り、所定時間が経過したと判断した場合には(Yes)、噴霧が停止したと判断して、ステップS12の処理に移行する。
この形態によれば、圧力低下処理の開始からの経過時間によって噴霧の停止を判断するので、前記実施形態に比べ、制御を簡易化することができる。
前記実施形態では、常に定着噴霧処理の終了後、つまり印刷ジョブにおける最終ページの画像の上流端が、定着液Lの定着領域A1〜A5(噴霧領域)を通り抜けた後に、圧力低下処理を行うようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御部100は、印刷ジョブにおける最終ページの画像の上流端が、定着液Lの定着領域A1〜A5を通り抜ける前に、圧力低下処理を開始するように構成されていてもよい。
具体的には、図8に示すように、図5のフローチャートに対して新たなステップS31,S32の処理を設けてもよい。ステップS31の処理は、ステップS4とステップS5との間に設けられている。
制御部100は、ステップS31において、印刷ジョブにおける最終ページの最上流に配置される最上流画像Gr(定着領域A1〜A5と同じ大きさの画像)に対して設定した目標噴霧量ρrが所定の閾値ρthよりも大きいか否かを判断する。ここで、閾値ρthは、ステップS7〜ステップS12間で噴霧される定着液Lの量に対応した値として、実験やシミュレーション等で適宜設定される。
ステップS31においてρr>ρthである場合には(Yes)、制御部100は、ステップS7〜ステップS12間で噴霧される定着液Lの量では最上流画像Grを良好に定着できないと判断して、ステップS5の処理に移行する。つまり、最上流画像Grの画像濃度が高く、最上流画像Grの定着に多量の定着液Lが必要な場合(テイラーコーンの体積分の定着液Lの量では足りない場合)には、ステップS5の処理に移行して、その後ステップS4の処理に移行することで、目標噴霧量ρr分の定着液Lが最上流画像Grに対して噴霧されるので、最上流画像Grを良好に定着することができる。
ステップS31においてρr≦ρthである場合には(No)、制御部100は、ステップS7〜ステップS12間で噴霧される定着液Lの量で最上流画像Grを十分定着できると判断して、最上流画像Grが噴霧領域(例えば定着領域A1)に到達したか否かを判断する(S32)。ステップS32において最上流画像Grが噴霧領域に到達していないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS4の処理に戻る。
ステップS32において最上流画像Grが噴霧領域に到達したと判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS7の処理に移行する。これにより、最上流画像Grが噴霧領域を通り抜ける前に、ステップS7以降の処理が実行されるので、ステップS7〜ステップS12間で噴霧される定着液Lを最上流画像Grの定着に用いることができ、定着液Lの有効活用を図ることができる。
前記実施形態では、第1電極74を収容部73の内部に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えばノズルおよび収容部を金属等の導電性部材で形成して、ノズルまたは収容部に対して電圧を印加してもよい。なお、この場合には、電圧が印加されるノズルまたは収容部が、第1電極として機能する。また、この場合には、複数の導電性の収容部を互いに離間させたり、各収容部の間に絶縁性の部材を設けたりすることで、各収容部間での電荷の移動を遮断させるとよい。また、収容部を樹脂等の非導電性の部材で形成し、ノズルを金属等の導電性の部材で形成し、ノズルに電圧を印加するようにしてもよい。なお、この場合には、ノズルが第1電極として機能する。
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、記録シートとして、厚紙、はがき、薄紙などの用紙SHを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
前記実施形態では、収容部内の定着液に圧力を付与する圧力付与手段として、ポンプ75Aや減圧弁75Bを有する加圧装置75を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、水頭差を利用して各ヘッド内の液体を加圧または減圧する装置などであってもよい。
前記実施形態では、説明の便宜上、定着領域A1〜A5を収容部73の下面と同じ形状・大きさ・位置としたが、本発明はこれに限定されず、定着領域は、収容部の下面よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。つまり、定着領域は、用紙上における噴霧される定着液の前後方向および左右方向に幅によって定義すればよい。
前記実施形態では、電圧低下処理において、電圧を0まで下げたが、本発明はこれに限定されず、電圧低下処理において、電圧を、圧力低下処理の開始時の電圧よりも小さな値であって、0よりも大きな値まで低下させてもよい。言い換えると、電圧低下処理において、電圧を、定着噴霧処理で使用する電流範囲の最小値よりも小さな値であって、0よりも大きな値まで低下させてもよい。
7 定着装置
71 定着ヘッド
72 第2電極
73 収容部
74 第1電極
75 加圧装置
100 制御部
L 定着液
N ノズル
SH 用紙
71 定着ヘッド
72 第2電極
73 収容部
74 第1電極
75 加圧装置
100 制御部
L 定着液
N ノズル
SH 用紙
Claims (11)
- 定着液を内部に収容する収容部、および、前記収容部に連通し、記録シート上の現像剤像に向けて前記定着液を噴霧するノズルを有する定着ヘッドと、
前記ノズル内の前記定着液と、前記ノズルから離れた位置で搬送される記録シートとの間に電位差を形成するための電位差形成部と、
前記ノズルの先端に定着液を供給するために、前記定着液に圧力を加える圧力付与手段と、
前記電位差形成部に印加する電圧と前記定着液に加える圧力とを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記定着液の噴霧を停止する場合には、前記定着液に加えている圧力を小さくするように前記圧力付与手段を制御する圧力低下処理を開始した後、前記定着液に印加される電圧を、前記圧力低下処理の開始時の電圧よりも低下させるように前記電位差形成部を制御する電圧低下処理を行うことを特徴とする定着装置。 - 前記制御部は、前記圧力低下処理を開始した後、前記定着液の噴霧が停止したか否かを判断し、噴霧が停止したと判断した場合に前記電圧低下処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記制御部は、前記電位差形成部に流れる電流が所定値以下になったか否かを判断し、電流が所定値以下になった場合に噴霧が停止したと判断することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記制御部は、前記圧力低下処理を行ってから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過したと判断した場合に噴霧が停止したと判断することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記制御部は、前記圧力低下処理において、圧力をメニスカス耐圧以下にすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記制御部は、印刷ジョブにおける最終ページの画像の上流端が、前記定着液の噴霧領域を通り抜ける前に、前記圧力低下処理を開始することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記制御部は、印刷ジョブにおける最終ページの画像の上流端が、前記定着液の噴霧領域を通り抜けた後に、前記圧力低下処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記制御部は、記録シートが詰まった場合に、前記圧力低下処理を開始し、その後前記電圧低下処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記圧力付与手段は、前記定着ヘッド内の気体を加圧するポンプを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記制御部は、前記圧力低下処理を開始してから前記電圧低下処理を開始するまでの間、電圧を一定に保つことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記電界形成部は、
前記収容部内の定着液と接触する第1電極と、
前記ノズルと間隔を空けて配置される第2電極と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の定着装置。
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