以下に、本発明に係る苗移植機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る苗移植機の側面図である。図2は、実施形態に係る苗移植機の平面図である。なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、操縦席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。本実施形態に係る苗移植機1は、作業者が乗車して植え付け作業を行う、いわゆる乗車型の苗移植機1として構成されている。この苗移植機1の走行車体2は、左右一対で配設される前輪5と、同様に左右一対で配設される後輪10とを有しており、走行時には各車輪が駆動する四輪駆動車としている。また、前輪5は、後輪10よりも前方側に位置し、操舵輪として設けられている。また、走行車体2の後部には、苗植付部昇降機構70によって昇降可能な苗植付部60が備えられている。なお、図8に示すように、後輪10の内側には、後輪10の車軸を介して、補助車輪10aを着脱自在に装着する。この補助車輪10aは後輪10と略同径とし、後輪10と共に圃場に接地することにより、機体の推進力を発生させる構成とする。これにより、圃場の抵抗により機体が走行できなくなることが防止される。
この走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム3と、このメインフレーム3の上に搭載されたエンジン20と、エンジン20で発生した動力を駆動輪と苗植付部60とに伝える動力伝達装置25と、を備えている。つまり、本実施形態に係るこの苗移植機1では、動力源であるエンジン20の動力が走行車体2を前進や後進させるために用いるのみでなく、苗植付部60を駆動させるためにも使用され、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
また、エンジン20は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、機体の搭乗ステップであるフロアステップ40よりも上方に突出させた状態で配置されている。このフロアステップ40は、左右方向において機体中央に位置するメインステップ41と、メインステップ41の左右両側に位置するサイドステップ42と、で構成されており、メインステップ41は、サイドステップ42よりも上方に位置している。また、フロアステップ40は、走行車体2の前部とエンジン20の後部との間に渡って設けられており、メインフレーム3上に取り付けられており、その一部が網目状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とせるようになっている。また、このフロアステップ40の左右方向における両側には、作業者がフロアステップ40に乗り降りする際に足をかける乗降ステップ45が配設されている。
また、フロアステップ40の後方には、後輪10のフェンダを兼ねた後部ステップであるリアステップ47が設けられている。このリアステップ47は、フロアステップ40よりも高い位置に配設されており、エンジン20の左右それぞれの側方から後方にかけて配置されている。
また、このリアステップ47の後端部から両側端部にかけて、手摺り48が配設されている。この手摺り48は、リアステップ47から上方に突出して設けられている。この手摺り48は、リアステップ47の左右両側に立設する、走行車体2の側方から乗り降りする作業者が手で掴む左右の側方手摺り48aと、該左右の側方手摺り48aの上部を連結する後部手摺り48bを組み合わせて構成する。なお、後部手摺り48bは、リアステップ47の後端部の上方に配置されると共に、左右の側方手摺り48aよりも左右両側に突出するものである。
エンジン20は、これらのフロアステップ40とリアステップ47とから上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン20を覆うエンジンカバー21が配設されている。即ち、エンジンカバー21は、フロアステップ40とリアステップ47とから上方に突出した状態で、エンジン20を覆っている。
また、走行車体2には、エンジンカバー21の上部に操縦席55が設置されており、操縦席55の前方で、且つ、走行車体2の前側中央部には、操縦部50が配設されている。この操縦部50は、フロアステップ40の床面から上方に突出した状態で配置されている。
この操縦部50の内部には、各種の操作装置やエンジン用燃料の燃料タンク等が配設されており、操縦部50の前部には、開閉可能なフロントカバー51が設けられている。また、操縦部50の上部には、操作装置を作動させる操作レバー等や計器類、ハンドル52が配設されている。このハンドル52は、作業者が前輪5を操舵操作することにより走行車体2を操舵する操舵部材として設けられており、操縦部50内の操作装置等を介して前輪5を転舵させることが可能になっている。また、レバーとしては、走行車体2の前後進及び走行速度を操作する走行操作部材である変速レバーと、苗植付部60の動作状態を、少なくとも苗植付部昇降機構70による上昇状態を含んで切り替えることができる植付操作部材である植付昇降レバーとが配設されている。
図3は、図1に示す予備苗枠の説明図である。図4は、図3のA−A矢視図である。フロアステップ40における操縦部50の左右それぞれの側方に位置する部分、即ち、機体前側には、補充用の苗を載積する予備苗枠90が配設されている。この予備苗枠90は、外側端部が左右方向における機体のフロアステップ40の外側端部からはみ出さない位置となって設けられており、フロアステップ40の床面から突出した支持軸91によって支持されている。支持軸91は、予備苗枠90に対して、予備苗枠90の前後方向における中心付近に接続されている。
また、このように配設される予備苗枠90の下部には、予備苗枠90の前後方向における中心よりも機体後ろ側に、苗移植機1が有する各電気装置で使用する電気を蓄電するバッテリ95が配設されている。即ち、バッテリ95は、フロアステップ40上における支持軸91の前後方向の中心位置を基準として、該前後方向の中心位置よりも後方側に配設されている。
また、動力伝達装置25は、エンジン20で発生した動力を変速する主変速機としての油圧式無段変速装置26と、この油圧式無段変速装置26にエンジン20からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構27とを有している。このうち、油圧式無段変速装置26とは、HST(Hydro Static Transmission)と云われる静油圧式の無段変速機として構成されている。このため、油圧式無段変速装置26は、エンジン20からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)に変換して出力する。
この油圧式無段変速装置26は、エンジン20よりも前方で、且つ、フロアステップ40の床面よりも下方に配置されており、本実施形態1に係る苗移植機1では、走行車体2の上面から見て、エンジン20の前方に配置されている。
また、ベルト式動力伝達機構27は、エンジン20の出力軸に取り付けたプーリと、油圧式無段変速装置26の入力軸に取り付けたプーリと、双方のプーリに巻き掛けたベルトと、さらに、このベルトの張力を調整するテンションプーリとを備えている。これにより、ベルト式動力伝達機構27は、エンジン20で発生した動力を、ベルトを介して油圧式無段変速装置26に伝達可能になっている。
さらに、動力伝達装置25は、エンジン20からの出力がベルト式動力伝達機構27と油圧式無段変速装置26とを介して伝達されるミッションケース28を有している。このミッションケース28は、メインフレーム3の前部に取り付けられている。ミッションケース28は、ベルト式動力伝達機構27と油圧式無段変速装置26とを介して伝達されたエンジン20からの出力を、当該ミッションケース28内の副変速機で変速して、前輪5と後輪10への走行用動力と、苗植付部60への駆動用動力とに分けて出力可能になっている。
このうち、走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース22(図12参照)を介して前輪5に伝達可能になっており、残りが左右の後輪ギヤケース23(図12参照)を介して後輪10に伝達可能になっている。一方、駆動用動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチ(図示省略)に伝達され、この植付クラッチの係合時に植付伝動軸(図示省略)によって苗植付部60へ伝達される。
また、走行車体2の後部に備えられる苗植付部60を昇降させる苗植付部昇降機構70は、昇降リンク装置71を有しており、苗植付部60は、この昇降リンク装置71を介して走行車体2に取り付けられている。この昇降リンク装置71は、略前後方向に向かって延在する2つの部材を有しており、相対的に上側に位置する上部リンク部材であるアッパーリンク73と、アッパーリンク73の下側に位置する下部リンク部材であるロワーリンク74と、を有している。これらのアッパーリンク73とロワーリンク74とは、共に左右一対ずつが設けられている。
昇降リンク装置71は、これらのアッパーリンク73とロワーリンク74とが、メインフレーム3の後部端に立設した背面視門型の後部フレームであるリンクベースフレーム75に回動自在に連結され、各リンクの他端側が苗植付部60に回転自在に連結されることにより、苗植付部60を昇降可能に走行車体2に連結している。即ち、リンクベースフレーム75は、走行車体2の後部に上下方向に延在して配設されており、アッパーリンク73とロワーリンク74とが、リンクベースフレーム75から後方に向かって延在している。昇降リンク装置71は、アッパーリンク73とロワーリンク74とが共に、前端側がリンクベースフレーム75に対して回動可能に連結されている。
また、苗植付部昇降機構70は、油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ76を有しており、油圧昇降シリンダ76の伸縮動作によって、苗植付部60を昇降させることが可能になっている。苗植付部昇降機構70は、その昇降動作によって、苗植付部60を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることが可能になっている。
また、苗植付部60は、苗を植え付ける範囲を複数の区画、或いは複数の列で植え付けることができる。つまり、苗植付部60は、複数の条で苗を植え付けることが可能な構成になっている。この苗植付部60は、植付装置61と、苗載置台65及びフロート81を備えている。このうち、苗載置台65は、圃場に植え付ける苗を載置することができるように構成されている。詳しくは、苗載置台65は、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面66を有しており、それぞれの苗載せ面66に土付きのマット状苗を載置することが可能になっている。これにより、苗載置台65に載置した苗が植え付けられて無くなるたびに、圃場外に用意している苗を取りに戻る必要が無く、連続した作業を行えるので、作業能率が向上する。
また、植付装置61は、苗載置台65に載置された苗を圃場に植え付ける装置になっている。この植付装置61は、2条毎に1つずつ配設されており、2条分の植込杆62を備えている。この植込杆62は、苗載置台65から苗を取って各条ごとに植え付けることができるように構成されている。また、フロート81は、苗載置台65の下部に配設され、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して均すことにより整地をすることができるように設けられている。
なお、フロート81は、機体左右方向の中央部に圃場の凹凸を均しつつ回動角度を検知するポテンショメータ等の検知部材(図示省略)により圃場の深さを検知し、圃場の深さに合わせて苗植付部60を昇降させる機能を有するメインフロートと、該メインフロートの左右両側で苗を植え付ける圃場面を滑走して均す左右のサイドフロートで構成すると、圃場の深さの変化に合わせて自動的に苗の植付深さを合わせることが可能となり、苗の植付精度の向上が図られる。これに加えて、本件で示す8条植えの苗移植機や、それ以上の条数、例えば10条植えの苗移植機においては、サイドフロートとメインフロートの間に左右のサブフロートを設ける構成とし、メインフロートや左右のサイドフロートの形状を変えることなく圃場面の整地性を確保する構成とすると、大型化による機体コストの高騰を抑えることができる。
また、フロート81は、苗植付部60で植え付ける苗の植付深さを調節する植付深さ調節装置80を構成しており、換言すると、フロート81は植付深さ調節装置80が有している。植付深さ調節装置80は、圃場に対する苗植付部60の上下方向における位置を調節することにより、苗の植付深さを調節することが可能になっており、上下方向におけるフロート81と苗植付部60との相対的な位置を調節することにより、圃場に対する苗植付部60の上下位置を調節可能になっている。
また、苗植付部60の左右両側には、次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ85が備えられている。即ち、線引きマーカ85は、苗移植機1が圃場内における直進前進時に、圃場の畦際で転回した後に直進前進する際の目印を圃場上に線引きする。この線引きマーカ85は、走行車体2が旋回するごとに、左右の線引きマーカ85が入れ替わって作動することができるように構成されている。
また、機体左右方向におけるリアステップ47の両側には、圃場に粒状体を供給する粒状体供給装置である施肥装置100が配設されており、施肥装置100は、具体的には粒状体の肥料を圃場に供給することが可能になっている。このように機体左右方向の両側に配設される施肥装置100は、具体的には、リアステップ47の機体左側に位置する左側施肥装置101と、リアステップ47の機体右側に位置する右側施肥装置102とが配設されている。これらの左右の施肥装置100は、機体左右方向の両側に位置する後輪10よりも、機体左右方向の外側に配設されている。
図5は、図1のB−B矢視図である。図6は、図5のD−D矢視図である。図7は、図5のE−E矢視図である。図8は、図1のC−C矢視図である。このように、機体左右方向における両側に配設される施肥装置100は、粒状体の肥料を貯留する貯留部材である貯留ホッパ103と、肥料を設定量ずつ繰り出す繰出部材である繰出しロール108と、肥料を圃場に案内する案内部材である施肥ホース115と、肥料を搬送する搬送風を施肥ホース115に供給する左右の通風部材である通風ダクト116と、をそれぞれ備えている。このうち、貯留ホッパ103は、機体左右方向におけるリアステップ47の両側に配設されており、繰出しロール108は、機体左右方向のそれぞれの貯留ホッパ103の下方に配設されている。また、施肥ホース115は、機体左右方向のそれぞれの繰出しロール108の下方に配設されており、通風ダクト116は、機体左右方向のそれぞれの施肥ホース115に連結されている。
また、機体左右方向の両側に配設される通風ダクト116は、中継部材である中継ダクト117により接続されている。この中継ダクト117は、機体左右方向に延在することにより、機体左右方向の両側の双方の通風ダクト116に接続されており、また、中継ダクト117は、リアステップ47の下方に配設されている。そして、この中継ダクト117の左右方向の中央部で、且つ、中継ダクト117よりも上方に、搬送風を発生させる起風装置であるブロア118を備えている。なお、ブロア118は、左右の通風ダクト116,116のうち、左右どちらか一側に配置する構成としてもよい。
機体左右方向の両側の施肥装置100は、リアステップ47の左右両外側で、且つ、左右のサイドステップ42の上方に、左右の基底フレーム201を設け、該左右の基底フレーム201の上方に正面視L字形状の左右の載置フレーム202を設ける。該左右の基底フレーム201の基部側は、リアステップ47の左右両側の下部に取り付ける。さらに、左右の載置フレーム202の上部に、左右の施肥フレーム203を各々上下方向に立設し、該左右の施肥フレーム203の上部に、左右の繰出しケース105を各々設ける。
なお、図6及び図7で示すとおり、該左右の繰出しケース105は、機体前後方向に複数並べて配置するものであり、走行車体2の左右両側に配置される複数の繰出しケース105の合計の数は、苗の植付条数と同数とするとよい。特に、左右に同じ数の繰出しケース105を設けると、機体左右方向の重量バランスが安定する。
図9は、図7のF−F断面図である。前記各繰出しケース105は、図9に示すとおり、左右の施肥フレーム203上に固定する固定ケース106と、該固定ケース106から着脱可能な着脱ケース107で構成する。該固定ケース106の上面には機体内側よりも機体外側が上方に向かう第1傾斜部を形成し、着脱ケース107の下面には固定ケース106の第1傾斜部と同じ傾斜角度の第2傾斜部を形成する。そして、図5及び図6で示す通り、走行車体2の左右両側に機体前後方向に亘って複数設けられた繰出しケース105の上方に、肥料を貯留する左右の貯留ホッパ103を載置し、該左右の貯留ホッパ103の機体外側端部に左右のホッパ蓋部104を各々回動自在に装着する。
該貯留ホッパ103の下部には、複数の繰出しケース105に貯留した肥料を投下させる投下口103aが繰出しケース105と同数形成されており、該複数の投下口103aが繰出しケース105の着脱ケース107の上面と接触する構成である。また、貯留ホッパ103の長手方向が、機体の前後方向を向く構成である。
上記のとおり、肥料を貯留する貯留ホッパ103を走行車体2の左右両側に配置したことにより、走行車体2の後部と苗植付部60の間を遮る部材がなくなると共に、リアステップ47上を作業者が移動することができるので、走行車体2の後部と苗植付部60の各条の苗載置台65との間隔を狭めることができ、苗の補充作業の際に作業者が楽な姿勢で作業しやすく、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
また、苗の補充作業を行う際、貯留ホッパ103のホッパ蓋部104が開いた状態で苗植付部60を上昇させても、苗植付部60がホッパ蓋部104に接触することを防止できるので、苗の補充作業が円滑に行えて作業能率が向上すると共に、ホッパ蓋部104が苗植付部60と接触して破損することが防止される。
ホッパ蓋部104は、図5で示すとおり、機体外側方向に回動させると貯留ホッパ103の上方が開放され、機体内側方向に回動させると貯留ホッパ103の上方を覆うものである。上記の機体外側方向への回動操作を開操作、機体内側方向への回動操作を閉操作とする。上記のとおり、左右のホッパ蓋部104を開くときは、機体外側方向に回動させる構成としたことにより、左右の貯留ホッパ103に肥料を投入する際に左右のホッパ蓋部104が作業者の動作を妨げることを防止できるので、作業能率が向上する。
なお、左右の貯留ホッパ103と左右のホッパ蓋部104の間には、左右のホッパ蓋部104を閉じたときにロックし、作業中に左右のホッパ蓋部104が開くことを防止するロック部材(パッチン錠)Rを設けると、作業中に左右のホッパ蓋部104が開き、肥料が外部に飛び出したり、雨水や圃場の水等が左右の貯留ホッパ103内に入り込み、肥料同士がくっついて塊になったりすることが防止されるので、肥料の消費量の削減が図られる。また、肥料が塊になり、後述する繰出しロール108の繰出し溝108aに入り込めなくなり、肥料の圃場への供給量が設定と異なることが防止される。
各固定ケース106の内部には、図9で示すとおり、繰出し軸109が機体前後方向に回転自在に装着され、該繰出し軸109には貯留ホッパ103の各投下口103aから投下される肥料を受け、設定量の肥料を所定間隔毎に下方に送り出す繰出しロール108が設けられる。
なお、該繰出しロール108には、円周方向の所定間隔ごと、例えば60度ごとに肥料を受ける繰出し溝108aが複数形成されており、投下口103aの直下に位置するときに繰出し溝108aが肥料を受け、繰出しロール108の回転によりこの肥料を受けた繰出し溝108aが機体下部側を向く位相になると、繰出し溝108aに貯留された肥料が放出される構成となっている。1つの繰出し溝108aに貯留され、所定位置で放出される肥料の量は、繰出し軸109の回転速度によって変動する。
また、各着脱ケース107の内部には、繰出し溝108a内の肥料を均すと共に、繰出し溝108aを覆って肥料が放出位置よりも前の位相から放出されることを防止する鎮圧部材110を設け、該鎮圧部材110の鎮圧作用面を、繰出しロール108の外周縁部に向けて配置する。
該鎮圧部材110は、合成樹脂または繊維で構成するブラシ式とすると、繰出しロール108の外周面や肥料に接触する際に強い抵抗がかかることが防止できるので、繰出しロール108の回転速度が抵抗で遅くなり、肥料の放出量が設定量と異なることが防止されると共に、抵抗で肥料が崩れて粉末状になり、繰出しケース105内等に粉末が残留することが防止される。ただし、ブラシ毛が柔らか過ぎると繰出し溝108aから出ようとする肥料を抑えられなくなるので、ブラシ毛は硬めに構成することが望ましい。
また、各着脱ケース107の内部で、且つ、機体内側には、貯留ホッパ103の投下口103aから投下される肥料の通過を切り替える、投下シャッタ111を機体前後方向に移動可能に設ける。該投下シャッタ111を機体外側に向かって移動させて着脱ケース107の上部開口部を塞ぐと、肥料は貯留ホッパ103内、特に投下口103aに留まる。
これにより、貯留ホッパ103と着脱ケース107が繋がった状態で着脱ケース107を固定ケース106から外すと、貯留ホッパ103の肥料をこぼすことなく外すことができるので、貯留ホッパ103をメンテナンスの際に外すとき、残った肥料が周辺に散らばることが防止される。
さらに、各着脱ケース107の内部で、且つ、機体外側には、肥料を繰出しロール108に繰り出させるか、繰出しケース105の機体外側に各々上下方向に設ける落下排出口112から落下させて排出するかを切り替える、切替シャッタ121が各々回動自在に設けられる。作業終了後、繰出しロール108の回転を停止させ、切替シャッタ121を機体外側に回動させると、貯留ホッパ103に貯留された肥料は固定ケース106の機体外側に形成された排出傾斜部113に沿って機体外側に移動し、落下排出口112から下方に落下して排出される。該落下排出口112の下方には、バケツ等の回収容器を設置して、排出される肥料を回収する。
そして、図6と図9で示す通り、各落下排出口112の下端部には、各々排出蓋114を着脱自在に設け、該排出蓋114を外すと落下排出口112から肥料が排出される構成とすると、排出される肥料の量が少なくなるので、排出される肥料の回収作業に要する労力が軽減される。
なお、排出蓋114は、ゴム等の弾性部材で構成すると、落下排出口112の下端部に押し込むと排出蓋114が装着され、引っ張れば排出蓋114が外れる構成とできるので、着脱作業が容易になり、作業能率が向上する。
各繰出しロール108の下方には、図5から図7で示すとおり、放出された肥料を搬送する左右の通風ダクト116を機体前後方向に向けて取り付ける。該左右の通風ダクト116には複数の開口部が前後方向に複数形成されており、この開口部に各繰出しケース105の固定ケース106の下端部を接触させている。なお、該左右の通風ダクト116は、左右の繰出しケース105よりも走行車体2寄りとなる位置に配置する。
そして、各開口部の機体外側の下方で且つ左右の通風ダクト116に、肥料を複数の植込杆62の苗の植付位置の近傍に案内する施肥ホース115を、開口部と同数配置する。
該複数の施肥ホース115の肥料案内端部は、各フロート81の前側の幅広部の後部に各々配置される。具体的に言えば、左右方向に突出する左右幅広部を有する左右のメインフロートは、この左右幅広部の後部側に施肥ホース115の肥料案内端部を臨ませており、機体外側方向に片側幅広部を有する左右のサブフロートは、各々の片側突出部の後部側に施肥ホース115の肥料案内端部を臨ませている。
そして、走行車体2の後方、詳細にはリアステップ47の後方で且つ下方に、左右の通風ダクト116を連結する中継ダクト117を、機体左右方向に配置する。さらに、該中継ダクト117の左右方向の中央部で、且つ中継ダクト117よりも上方に、肥料の搬送風を発生させるブロア118を取り付ける(図1、図2参照)。
該ブロア118は、カバー118b内に設けられるブロアモータ118aで起風ファン部119に内装される起風ファン(図示省略)を回転させ、該カバー118bに形成されているスリットから取り込んだ空気を搬送風とするものである。起風ファン部119は、起風ファンを内装することにより、ブロアモータ118aを内装するカバー118bよりも大径となるものであり、ブロアモータ118aとカバー118bは、起風ファン部119の径内に配置する。
そして、機体右側の貯留ホッパ103の機体内側に、ブロアモータ118aの駆動を入切するブロアスイッチ120を設ける。ブロアスイッチ120は、苗の植付と同時に肥料を供給しない作業時や、圃場の一部に限って肥料の供給を停止させる作業時に、左側施肥装置101と右側施肥装置102とを共に停止させるときに切操作することにより、余分な電力の消費が抑えられる。
上記の構成により、ブロア118が発生させた搬送風は、中継ダクト117から機体左右両側の通風ダクト116,116に入り込み、機体左右両側の貯留ホッパ103,103から投下される肥料等の肥料を機体左右両側の各施肥ホース115,115に案内することができるので、一つのブロア118で左右の貯留ホッパ103から投下された肥料を左右両側の各施肥ホース115に案内する搬送風を発生させることができ、部品点数の削減や、機体重量の軽量化が図られる。
また、中継ダクト117を走行車体2の後方で且つ下方を通過させて配置したことにより、作業者がリアステップ47上で苗の補充作業等を行うとき、中継ダクト117が作業者の移動範囲を制限することが無く、作業能率が向上する。
さらに、左右の通風ダクト116を左右の繰出しケース105よりも走行車体2寄りに配置したことにより、左右の施肥ホース115の一側端部は機体外側にのみ装着可能となるので、左右の施肥ホース115がフロアステップ40及びリアステップ47上に位置することがなく、作業者が走行車体2上を移動しやすくなり、作業能率が向上する。
そして、重量物であるブロア118を機体右側で、且つ、後ろ側に設けたことにより、機体左側で且つ前側の予備苗枠90の下方に設けた重量物であるバッテリ95による重量バランスの偏りを相殺することができるので、機体の重量バランスが安定し、走行性や操作性が向上する。
なお、ブロア118は、起風ファンの回転軸(図示省略)を機体左右方向に向けて配置し、搬送風の発生方向を機体左右方向とする。このとき、起風ファン部119よりも機体内側にブロアモータ118aとカバー118bを設けると共に、起風ファン部119よりも機体外側に通風ダクト116の機体前側端部を連結する構成とする。これにより、ブロアモータ118aと空気が入り込むスリットを形成したカバー118bが機体内側を向くと共に、起風ファン部119が機体外側に位置することにより、走行車体2の走行に伴って飛散する泥土や水が付着することを防止できるので、ブロア118の破損が防止されると共に、ブロア118のメンテナンス作業に要する時間が短縮される。
図10は、実施形態に係る苗移植機の要部構成図である。左右の貯留ホッパ103の内側下部には、図10で示すとおり、通電抵抗値から肥料の有無を判定し、肥料との接触が途切れると、肥料の残量が僅かである、或いは肥料切れであることを検出する残量センサ221が設けられている。該残量センサ221は、左右の繰出しケース105の直上に、左右の繰出しケース105の配置数と同数設けることにより、どの条の植込杆62の植付位置近傍に投下する肥料切れ(または不足)を検出することができる。なお、該残量センサ221のうち、1つでも肥料切れ(または不足)を検知すると、操縦部50の上部に設ける表示パネル部に、肥料切れ(または不足)が生じている情報を表示する。
しかしながら、表示パネルの情報表示だけでは、施肥用の肥料が不足しているということしかわからない。特に、本件構成は左右の貯留ホッパ103を走行車体2の後部の左右両側に設けているので、肥料が不足している部分がどこであるかがわからないと、肥料の補充作業に余分な作業時間と労力を費やすことになる。
この問題の発生を防止すべく、図7で示すとおり、左右の貯留ホッパ103のどちらか一側に、複数の表示ランプ223を設けた、肥料切れ表示パネル222を装着する。該肥料切れ表示パネル222の複数の表示ランプ223は、複数の残量センサ221と各々ハーネス(図示省略)で連結され、残量センサ221が肥料切れ(または不足)を検出すると対応する表示ランプ223が点灯する構成とする。上記の残量センサ221が発信する信号は、制御装置Uで受信され、表示ランプ223に発信される。
なお、肥料切れ表示パネル222は、上記の配置に代えて、後部手摺り48bに設けてもよい。補助作業者がリアステップ47に待機する、走行車体2上に搭乗者が2人以上の作業時において、補助作業者は待機位置で肥料切れ表示パネル222を監視することができるので、肥料切れ(または不足)を早急に知ることができ、圃場に供給される肥料が不足して苗の成育不良が発生することが防止される。
上記構成により、作業者は肥料切れ表示パネル222を目視し、点灯している表示ランプ223から肥料が不足している部分を把握することができるので、肥料の補充作業位置に速やかに移動することができ、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
次に、左側施肥装置101及び右側施肥装置102の駆動力の伝動について説明する。
図11は、施肥装置の駆動系統の説明図である。図11で示す通り、左右の後輪ギヤケース23の左右どちらか一側に、該後輪ギヤケース23の施肥出力軸23fから駆動力を得て上下回動する出力カムの基部を設け、該出力カムの後ろ側端部に第1施肥伝動ロッド225の下側の基部を設け、該第1施肥伝動ロッド225の上端部に揺動連結プレート226の基部を設ける。該揺動連結プレート226は、機体前後方向に設ける。
また、該揺動連結プレート226の前後方向の略中央部には、メインフレーム3の後部側に揺動連結プレート226を回動自在に装着する取付軸227を左右方向に装着する。該取付軸227の左右両側には、ベアリング等の軸受部材227aを装着している。そして、揺動連結プレート226の後端部に、上下方向に延びる向きで配設される第2施肥伝動ロッド228の基部を設け、該第2施肥伝動ロッド228の上端部に、機体前後方向を向いた揺動アーム229の基部を装着する。さらに、該揺動アーム229の前端部を、左右の施肥装置100から圃場に供給される肥料の量を調節する施肥量調節装置230に装着する。この施肥量調節装置230は、操縦席55及びエンジンカバー21の後方で、且つ、リアステップ47の下方に配置されている。
該施肥量調節装置230は、左右側面に長孔部(図示省略)を形成した調節回動アーム231と、該左右の長孔部の内部に前後方向に摺動自在に設ける回動位置変更ピン232と、該回動位置変更ピン232を前後方向に摺動させて肥料の供給量を増減調節する調節ハンドル233とで構成する。回動位置変更ピン232は、調節ハンドル233の操作によって前後回動する支持プレート(図示省略)に装着されている。
該調節ハンドル233を回転操作すると、回動位置変更ピン232が機体前側または後ろ側に摺動することにより、調節回動アーム231の回動支点位置が変更され、調節回動アーム231の上下回動量が変更されるので、調節回動アーム231が一往復分上下回動するときの繰出しロール108の回転角度が変わる。これにより、繰出し溝108aが肥料の放出位相に移動する間隔が変更され、左側施肥装置101と右側施肥装置102との肥料の供給量が変更される。
例えば、回動位置変更ピン232を機体後ろ側に摺動させると、調節回動アーム231の上下回動幅が大きくなるので、繰出しロール108の回転角度が大きくなり、繰出しロール108が肥料の放出位相に移動する間隔が短くなるので、左右の施肥装置100による肥料の供給量が増加する。一方、回動位置変更ピン232を機体前側に摺動させると、調節回動アーム231の上下回動幅が小さくなるので、繰出しロール108の回転角度が小さくなり、繰出しロール108が肥料の放出位相に移動する間隔が長くなるので、左右の施肥装置100による肥料の供給量が減少する。施肥量調節装置230は、これらのように調節ハンドル233を回転操作することにより、後述する施肥伝動軸235の作動量を調節して、施肥装置100での肥料の供給量を調節することが可能になっている。
また、調節回動アーム231の機体後ろ側端部には、揺動アーム229の前端部を装着し、調節回動アーム231の機体前側端部は、上下方向に延びる向きで配設される第3施肥伝動ロッド234の基部に連結する。この該第3施肥伝動ロッド234の下端部は、機体左右方向に延在する施肥伝動軸235から機体前側下方に向かって突出する取付ステー236に連結する。これらのように、後輪ギヤケース23から施肥伝動軸235にかけて配設されるこれらの部材は、後輪ギヤケース23に配設され、施肥伝動軸235に駆動力を伝達する第1施肥伝動機構141として構成されている。
また、施肥伝動軸235は、機体左右方向両側の施肥装置100に駆動力を供給する部材として設けられている。この施肥伝動軸235は、左右両側に設ける軸受部材237aを左右の施肥フレーム203に装着して、回転自在に装着する。また、施肥伝動軸235は、リアステップ47の下方で、さらに、揺動連結プレート226の下方で、且つ、左右の後輪10の各駆動軸よりも機体前側に配置する。機体左右方向に延在する中継ダクト117は、この施肥伝動軸235よりも後ろ側に配設されている。
また、施肥伝動軸235の左右両端寄りの位置で、且つ、軸受部材237aよりも機体内側には、機体前側下方に向かって突出する左右の伝動取付ステー236L,236Rを溶接して設ける。該左右の伝動取付ステー236L,236Rには、左右の第4施肥伝動ロッド237L,237Rの基部を設ける。また、該左右の第4施肥伝動ロッド237L,237Rの上端部には、駆動力を伝動する左右の駆動伝動プレート238を、機体外側方向に向けて回動自在に取り付ける。
ここで、複数の繰出しロール108の繰出し軸109は、繰出しケース105の前後間で連結している。このうち、機体後ろ側に位置する繰出しケース105から機体前側に向かって突出する繰出し軸109と、この繰出しケース105よりも一つ機体前側に位置する繰出しケース105から機体後ろ側に突出する繰出し軸109は、ワンウェイクラッチ239を備える左右の連結ボス240で各々連結する。
この左右の連結ボス240に、左右の駆動伝動プレート238の機体外側端部を連結することにより、後輪ギヤケース23から出力された駆動力を、複数の繰出しロール108まで伝達することが可能になる。つまり、伝動取付ステー236L,236Rや、第4施肥伝動ロッド237L,237R、駆動伝動プレート238、連結ボス240は、機体左右方向における施肥伝動軸235の両側に配設され、機体左右方向の両側のそれぞれの繰出しロール108に駆動力を伝動する第2施肥伝動機構142を構成している。
後輪ギヤケース23から連結ボス240にかけて、第1施肥伝動機構141と第2施肥伝動機構142とを用いて構成することにより、施肥量調節装置230で調節した肥料の供給量に対応する回転角度ごとに、複数の繰出しロール108が回転する左右の施肥装置100の施肥伝動経路の構成となる。
図12は、車輪に動力を伝達する伝達系統の説明図である。ミッションケース28内の副変速機で変速されて前輪5と後輪10に出力される走行用動力は、ミッションケース28から前輪ファイナルケース22に伝達されることにより前輪5に出力され、後輪ギヤケース23に伝達されることにより後輪10に出力される。このうち、ミッションケース28内と前輪ファイナルケース22との間には、ミッションケース28の機体左右方向両側に配設され、機体左右方向両側の前輪5に駆動力を供給する前輪伝動機構である前輪伝動シャフト150が配設されている。
前輪伝動シャフト150は、左右の前輪5に合わせて、ミッションケース28から機体左右方向両側の前輪ファイナルケース22にかけて配設されている。機体左右方向における両側に配設される前輪ファイナルケース22は、前輪伝動シャフト150における機体左右方向外側の端部を覆っており、前輪伝動シャフト150によって伝達された駆動力を、前輪5に伝達可能になっている。
図13は、図12のG部詳細図である。ミッションケース28内には、エンジン20で発生する動力によってそれぞれ駆動する左右の前輪5の差動装置であるデフ機構151が配設されており、デフ機構151には、左右の前輪伝動シャフト150における機体左右方向の内側端部が連結されている。このデフ機構151は、左右の前輪5の連動を切り替えることができ、これにより左右の前輪5を別々に駆動させたり、左右で同調させたりすることが可能になっている。
また、ミッションケース28内には、デフ機構151の作動を切り替えるデフ切換部材であるデフロック爪152が配設されている。このデフロック爪152は、機体左右方向両側に配設される前輪ファイナルケース22のうち、一方の前輪ファイナルケース22寄りに配設されている。デフロック爪152は、デフ機構151と一体となって回転する部材と、前輪伝動シャフト150と一体となって回転する部材との一対の部材から構成されており、少なくともいずれか一方が前輪伝動シャフト150の軸方向に移動することにより、双方の部材は連結したり離間したりすることが可能になっている。
このように構成されるデフロック爪152は、一対の部材が離間している状態では、前輪伝動シャフト150はデフ機構151とは一体回転しないため、左右の前輪伝動シャフト150は、デフ機構151の動作に応じて別々に回転することができる。一方、デフロック爪152の一対の部材が連結している状態では、前輪伝動シャフト150はデフ機構151と一体回転する。このため、デフ機構151は、左右の前輪伝動シャフト150を、異なる回転速度で支持することができず、左右の前輪伝動シャフト150は、デフ機構151と共に一体となって回転する。
図14は、植付クラッチと施肥クラッチの動力の伝達系統の説明図である。ミッションケース28の後方側には、エンジン20で発生した動力の苗植付部60側への伝達の入切を切り替える植付クラッチ160が配設されている。また、後輪ギヤケース23の近傍には、施肥装置100による施肥の入切を切り替える施肥クラッチ163が配設されており、施肥クラッチ163は、メインフレーム3における後輪ギヤケース23の近傍に位置する部分に取り付けられている。これらの植付クラッチ160と施肥クラッチ163とは、電動で作動させることが可能になっており、即ち、電動で駆動するモータユニット166から伝達される動力によって入切の切り替えを行うことが可能になっている。
モータユニット166は、リアステップ47(図1参照)の下方に配設されており、前後方向における位置が後輪ギヤケース23寄りの位置で、後輪ギヤケース23よりも高い位置に配置され、メインフレーム3に取り付けられている。即ち、モータユニット166は、植付クラッチ160よりも後方で、施肥クラッチ163よりも上方に配設されている。モータユニット166は、電力によって駆動する電動モータ167と、電動モータ167で発生した動力を減速して出力するギヤ168と、を有している。このうち、電動モータ167は、制御装置Uに接続されており、制御装置Uによって制御可能になっている。
また、ギヤ168は、電動モータ167側の出力軸に取り付けられるピニオンギヤと噛み合っている。その向きは、回動軸が、機体左右方向になる向きになっており、電動モータ167で発生する動力により、回動軸を中心として回動するように設けられている。
苗植付部60への駆動力の伝動を切り替える植付クラッチ160は、ミッションケース28に設けられており、詳しくは、植付クラッチ160は、ミッションケース28における前輪伝動シャフト150よりも機体上側に配設されている。この植付クラッチ160とモータユニット166との間には植付作動ロッド161が配設されており、施肥クラッチ163とモータユニット166との間には施肥作動ロッド164が配設されている。植付作動ロッド161は、前端部分が植付クラッチ160の上端寄りの位置で植付クラッチ160に接続されており、植付クラッチ160は、植付作動ロッド161が前後方向に移動することにより、苗植付部60の植付け動作の入切を切り替えることが可能になっている。
また、植付作動ロッド161は、後端部分がモータユニット166のギヤ168に接続されており、詳しくは、ギヤ168の下端付近に接続されている。このため、植付作動ロッド161は、ギヤ168の回動に応じて、前後方向に移動することが可能になっている。植付クラッチ160は、このようにモータユニット166からの動力が植付作動ロッド161を介して植付クラッチ160に伝達されることにより、エンジン20で発生した動力の苗植付部60側への伝達の入切の切り替えることができる。
これに対し、施肥作動ロッド164は、下端部分が施肥クラッチ163に接続されており、施肥クラッチ163は、施肥作動ロッド164が上下方向に移動することにより、施肥装置100の施肥動作の入切を切り替えることが可能になっている。また、施肥作動ロッド164は、上端部分がモータユニット166のギヤ168に接続されており、詳しくは、ギヤ168の前端付近に接続されている。このため、施肥作動ロッド164は、ギヤ168の回動に応じて、上下方向に移動することが可能になっている。施肥クラッチ163は、このようにモータユニット166からの動力が施肥作動ロッド164を介して施肥クラッチ163に伝達されることにより、エンジン20で発生した動力の施肥装置100側への伝達の入切を切り替えることができる。
図15は、フロアステップの概略図である。メインステップ41とサイドステップ42とから構成されるフロアステップ40の外周部には、フロアステップ40の上面よりも上方に突出する苗受け突起である苗受けフェンス170が設けられている。つまり、苗受けフェンス170は、リアステップ47には設けられておらず、機体前後方向の中央部から機体前側に亘って、フロアステップ40に配設されている。この苗受けフェンス170は、例えば、5cm〜10cm程度の比較的低い高さで、フロアステップ40から上方に立ち上がった壁状の部材として設けられている。詳しくは、苗受けフェンス170は、メインステップ41とサイドステップ42との接続部分には設けられておらず、この接続部分以外のメインステップ41とサイドステップ42の外周部の多くの部分に設けられている。
また、苗受けフェンス170は、機体前後方向における乗降ステップ45が配設されている位置に、機体前後方向に画成される乗降間隔部171が設けられている。つまり、苗受けフェンス170は、機体前後方向における乗降ステップ45が配設されている位置では、他の部分よりも高さが低くなっている、または、苗受けフェンス170が設けられておらず、この部分は乗降間隔部171となっている。具体的には、乗降ステップ45は、サイドステップ42の機体左右方向外側端部における後端付近に配設されており、サイドステップ42の後方には、施肥装置100が設けられている。このため、乗降間隔部171は、機体前後方向における施肥装置100と苗受けフェンス170との間に設けられている。
図16は、油圧式無段変速装置に備えられるプーリの平面図である。HSTからなる油圧式無段変速装置26には、動力の入力軸(図示省略)にプーリ180が設けられており、エンジン20で発生した動力は、プーリ180に巻き掛けられるベルト(図示省略)を介してプーリ180に伝達されることにより、油圧式無段変速装置26に伝達される。このプーリ180は、ベルトが巻き掛けられる外周部181と、油圧式無段変速装置26の入力軸に取り付けられる内側ボス182と、外周部181と内側ボス182とを連結する複数のリブ183と、を有している。
さらに、外周部181と内側ボス182との間には、複数の羽根185が設けられている。この羽根185は、リブ183と同様に、プーリ180の軸方向における外端側が外周部181に接続され、内端側が内側ボス182に接続されている。また、各羽根185は、エンジン20から伝達される動力によってプーリ180が回転する際には、入力軸の軸方向における油圧式無段変速装置26側に風を送ることができる向きで形成されている。
なお、このようにプーリ180に羽根185を設ける場合は、リブ183を設けなくてもよい。図17は、リブを設けないプーリの平面図である。プーリ180に羽根185を設ける場合は、図17に示すようにリブ183は設けず、外周部181と内側ボス182とは、複数の羽根185のみで連結してもよい。即ち、外周部181と内側ボス182とは、円周方向の等間隔に配置した複数の羽根185のみで支持してもよい。この場合も、羽根185は、プーリ180の回転時に油圧式無段変速装置26側に風を送ることができる向きで形成するのが好ましい。
図18は、図1に示す植付装置が有するロータリケースの側面図である。図19は、図18のH−H矢視図である。図20は、図18のJ−J断面図である。植付装置61が有するロータリケース190は、機体左右方向に延在するロータリ軸191を中心として回転可能になっており、当該回転の外周端付近に、当該ロータリケース190に対して回転可能に植込杆62が配設されている。このように構成されるロータリケース190には、回転時に藁等が巻き付かないようにするカバー195が取り付けられている。
このカバー195は、針金状の部材によって形成されており、ロータリケース190に取り付ける部分である取付部196と、回転時に藁等が巻き付かないように保護する部分である保護部197と、を有している。このように形成されるカバー195は、取付部196を、ロータリケース190におけるロータリ軸191が位置する部分の近傍にビス198によって取り付けることにより、ロータリケース190に取り付けられている。また、保護部197は、ロータリ軸191におけるロータリケース190からの露出部付近に配設されるオイルシール192の近傍に位置するように形成されている。これにより、カバー195は、ロータリケース190の回転時に、ロータリケース190から露出しているロータリ軸191の周囲に、藁等が巻き付くことを防止でき、また、藁等の巻き付きにより、オイルシール192が損傷することを防ぐことができる。
図21は、ハンドルが設けられるコラム部の詳細図である。ハンドル52が配設されるコラム部265には、苗移植機1の運転時における各種情報を表示するモニタパネル260が取り付けられている。このモニタパネル260は、作業者が操縦席55に着座した場合における作業者の顔の方向に面して、情報を表示する表示面261が形成されている。
具体的には、モニタパネル260は、表示面261の上端側が、当該表示面261の下端側に対して機体前方側に位置する方向に傾斜して配設されている。このように配設されるモニタパネル260には、表示面261における上端付近に、表示面261から突出する庇262が設けられている。
本実施形態に係る苗移植機1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。苗移植機1の運転時は、エンジン20で発生する動力によって、走行車体2の走行と、苗載置台65に載せた苗の植え付け作業を行う。このうち、植え付け作業は、回転軸が左右方向になる向きで植付装置61全体が回転しながら、植込杆62も回転することにより、苗載置台65に載せられた苗を各条ごとに徐々に圃場に植え付ける。植え付け作業時は、このように植付装置61を作動させながら圃場内を走行車体2で走行することにより、複数条に苗を植え付ける。
このように苗の植え付けを行う苗植付部60は、油圧昇降シリンダ76が作動することにより、必要に応じて昇降する。例えば、作業者が植付昇降レバーを操作したり、植え付け作業中に走行車体2が圃場の端に到達して、作業者がハンドル52を回動させたりした場合等に、苗植付部60は昇降する。
この苗植付部60は、エンジン20からの動力が植付クラッチ160を介して苗植付部60に伝達されることにより作動する。即ち、植付クラッチ160が係合状態になったら、エンジン20の動力は苗植付部60に伝達されて苗植付部60は作動し、植付クラッチ160の解放時には、エンジン20の動力は苗植付部60に伝達されなくなるため、苗植付部60は停止する。このように、苗植付部60の作動状態を切り替える植付クラッチ160は、ミッションケース28における前輪伝動シャフト150よりも機体上側に配設されているため、植付クラッチ160には泥が入り込み難くなっている。
また、走行車体2の走行時には、エンジン20で発生した動力はベルト式動力伝達機構27に伝達され、ベルト式動力伝達機構27から油圧式無段変速装置26に伝達されて、油圧式無段変速装置26で所望の回転速度や回転方向、トルクに変換されて出力される。
その際に、油圧式無段変速装置26に取り付けられるプーリ180には、回転時に油圧式無段変速装置26側に風を送ることができる羽根185が設けられている。このため、油圧式無段変速装置26の動力が入力される際には、この風によって油圧式無段変速装置26は冷却が行われる。
油圧式無段変速装置26から出力された動力は、ミッションケース28に伝達され、ミッションケース28内の副変速機で、路上走行時の走行速度に適した回転速度、または苗の植付時の走行速度に適した回転速度に変速されて、前輪5側や後輪10側に出力される。また、ミッションケース28から出力される動力の一部は、苗植付部60側にも伝達され、苗植付部60での植え付け作業にも用いられる。その際に、苗植付部60のロータリケース190にはカバー195が取り付けられているため、ロータリケース190の回転時に藁等が巻き付くことを、このカバー195によって防止できる。
また、左右の施肥装置100によって施肥作業を行う場合は、貯留ホッパ103に肥料を貯留した状態で、繰出しケース105内の繰出しロール108を回転させる。その際に、投下シャッタ111は、貯留ホッパ103の投下口103aを開いた状態にし、貯留ホッパ103の肥料が投下口103aから繰出しケース105内に落下する状態にする。
繰出しケース105内に入り込んだ肥料は、繰出しロール108における上半側の位置で繰出し溝108aに入り込み、繰出しロール108の回転に伴って下方に移動する。つまり、左右の施肥装置100がそれぞれ有する繰出しロール108には、第1施肥伝動機構141と第2施肥伝動機構142とを介して、後輪ギヤケース23から駆動力が伝達され、左右の繰出しロール108は、この駆動力によって回転する。左右の施肥装置100において繰出し溝108aに入り込んだ肥料は、この繰出しロール108の回転に伴って上方から下方に移動する。
繰出し溝108aに入り込んでいる肥料は、繰出し溝108aが下方に開口した状態になることにより、繰出し溝108aの開口部分から抜け出て落下する。繰出し溝108aから落下する肥料は、繰出しケース105の下方に配設される施肥ホース115に入り込む。施肥装置100は、このように繰出しケース105内に入り込んだ肥料を、繰出しロール108によって上方から下方に移動させることにより、設定量ずつ施肥ホース115の方向に繰り出す。
一方、施肥作業は、ブロア118を作動させながら行う。ブロア118は、駆動することにより、吸入した空気を搬送風として中継ダクト117に供給し、該中継ダクト117の左右両端部から左右の通風ダクト116,116に各々供給する。通風ダクト116,116に供給された搬送風は、施肥ホース115に流れる。
ここで、ブロア118は、中継ダクト117の左右方向の中央部で、且つ中継ダクト117よりも上方に設けられており、該中継ダクト117の左右両側に左右の通風ダクト116,116が連結されていることにより、搬送風の供給が可能な構成となっている。
左右それぞれの施肥装置100が有する繰出しケース105内から施肥ホース115に繰り出された肥料は、左右の通風ダクト116から施肥ホース115に流れる搬送風により、施肥ホース115の出口方向に送出される。これにより、左右の施肥装置100の施肥ホース115に送出された肥料は、搬送風によってそれぞれの施肥ホース115内を通って施肥ホース115から送出され、圃場への施肥が行われる。このように施肥を行う施肥装置100は、施肥量調節装置230が有する調節ハンドル233を回転操作し、施肥伝動軸235の作動量を調節することにより、繰出しロール108の回転角度を変更することができ、左右の施肥装置100による肥料の供給量を調節することができる。
このように、苗移植機1の機体左右方向における左右両側に施肥装置100で施肥を行いながら、植付け作業を行う場合には、走行車体2を操縦する作業者のみでなく、苗や肥料の供給を行う補助作業者も走行車体2上に搭乗して作業を行うことができる。この場合、補助作業者は、リアステップ47に待機し、必要に応じて苗載置台65に苗を補給したり、施肥装置100に肥料を補給したりする。その際に、機体左右方向の延在する中継ダクト117と施肥伝動軸235、及び施肥量調節装置230は、全てリアステップ47に位置しているため、これらが邪魔になることなく、補助作業者はリアステップ47上で作業を行うことができる。
これらのように、苗移植機1に搭乗する作業者や補助作業者は、乗降ステップ45からフロアステップ40に対して乗り降りするが、フロアステップ40に設けられる苗受けフェンス170には乗降間隔部171が設けられているため、作業者や補助作業者は、この乗降間隔部171から乗り降りをする。一方、フロアステップ40には、このように苗受けフェンス170が設けられているため、フロアステップ40上には、ロール苗を搭載することができ、より多くの苗を搭載した状態で、植付け作業を開始することができる。
また、作業者は、苗移植機1の運転時は、コラム部265に配設されるモニタパネル260を見ながら操縦を行うが、モニタパネル260には庇262が設けられているため、モニタパネル260の表示面261を、この庇262によって日陰にすることができる。
このため、表示面261に表示されている情報は、作業者から見易くなり、作業者は、この情報を視認しながら操縦を行う。
また、苗移植機1の走行時は、デフ機構151が作動することにより、左右の前輪5が回転差を有して走行したり、デフロック爪152を係合させることにより、左右の前輪5を等速にして走行したりするが、デフロック爪152は交換が必要になることがある。この場合、デフロック爪152は、機体左右方向における一方の前輪ファイナルケース22寄りに配設されている。このため、デフロック爪152は、機体左右方向において当該デフロック爪152が配設されている側の前輪ファイナルケース22を取り外すことにより、交換することができる。
以上の実施形態に係る苗移植機1は、左右の施肥装置100をリアステップ47の左右両側に配置すると共に、施肥伝動軸235と施肥量調節装置230をリアステップ47の下方に配置したことにより、リアステップ47と苗植付部60の前後間を塞ぐ部材が配置されなくなる。これにより、施肥性能を維持しつつ、リアステップ47から苗植付部60に近付いて苗を補充することを可能にできる。この結果、施肥作業の作業能率を低減することなく、苗植付部60への苗の補充作業の作業性を向上させることができる。また、安定した姿勢で苗の補充作業を行うことができるので、作業者の労力を軽減することができる。
また、重量のある左右の施肥装置100を、走行車体2の後ろ側の左右両側に配置することにより、機体の重量バランスを安定させることができる。この結果、機体の進行方向が左右方向にずれることを防止でき、操作性や苗の植付精度を向上させることができる。
また、リアステップ47の左右両側に貯留ホッパ103を設けたため、リアステップ47から近付き易い位置に貯留ホッパ103を配置することができる。この結果、肥料の供給作業の能率が向上する。また、左右の通風ダクト116を連結する中継ダクト117を、リアステップ47の後ろ側下方に設けたため、中継ダクト117がリアステップ47上で作業者の移動を妨げることを防止できる。この結果、作業能率を向上すると共に、作業者の足との接触により中継ダクト117が破損することを防止できる。
また、左右の施肥装置100は、左右の後輪10よりも機体外側に設けたため、左右の施肥装置100の上下位置を調節可能な範囲を拡げることができる。この結果、機体左右両側の上下高さを低く抑えることができ、収納時等のスペースを小さくできる。また、左右の施肥装置100の上下位置が下がった分、貯留ホッパ103を上方に向かって拡張することができるので、貯留できる肥料の量を増加することができる。この結果、肥料の補充作業の頻度を減少させることができ、作業能率を向上させることができる。
また、後輪ギヤケース23から第1施肥伝動機構141を介して駆動力を施肥伝動軸235に伝動することにより、走行系の駆動力を用いて施肥装置100を駆動させることができるので、施肥装置100への伝動経路を、別途構築する必要がなくなる。この結果、部品点数の削減やコストダウンを図ることができ、また、構成の簡潔化によるメンテナンス性の向上を図ることができる。
また、施肥量調節装置230は、操縦席55及びエンジンカバー21の後方で、且つ、リアステップ47の下方に配置し、施肥伝動軸235もリアステップ47の下方に設けたため、施肥量調節装置230や施肥伝動軸235は、操縦席55から作業者が降りてリアステップ47に移動する際、作業者の移動を妨げることがなくなる。この結果、作業能率を向上させることができる。
また、一本の施肥伝動軸235で左右の複数の繰出しロール108に駆動力を伝動することにより、左右別々に施肥伝動経路を構成する必要がなく、部品点数の削減が図られると共に、左右の繰出しロール108から供給される肥料の量を同じ量にすることができるこの結果、植込杆62の植付条ごとに肥料の供給量が異なることを防止でき、苗の生育を全体的に安定させることができる。
フロアステップ40の外周部に苗受けフェンス170を配置したため、フロアステップ40上に置いた苗が、走行車体2の外に落下することを防止できる。この結果、苗の積載数を増加させることができ、苗を補充する頻度が低くなるので、作業能率が向上する。また、左右の施肥装置100と左右の苗受けフェンス170の間に、乗降間隔部171を設けたため、苗受けフェンス170を設けつつ、作業者は容易に走行車体2から乗り降りすることができる。この結果、作業能率が向上すると共に、作業者の労力を軽減することができる。
また、デフ機構151の作動を切り替えるデフロック爪152を、左右どちらか一側の前輪ファイナルケース22寄りとなる位置に配置したため、前輪ファイナルケース22を外すことにより、デフロック爪152を前輪伝動シャフト150沿いに移動させて取り外すことができる。この結果、デフロック爪152の交換が容易になり、メンテナンス性が向上する。
また、植付クラッチ160を、前輪伝動シャフト150よりも機体上側に設けたため、植付クラッチ160の取付位置を圃場面から上方に離間した位置とすることができ、作業中に跳ね上がった泥土が、植付クラッチ160の動作を妨げることを防止することができる。この結果、植付クラッチ160が入状態にならず、苗が植え付けられない欠株区間が生じることを防止でき、欠株区間を補うために作業者が苗を植え付ける作業を不要にすることができる。また、植付クラッチ160が切状態にならず、不要な箇所に苗を植え付けることを防止でき、苗の余分な消費を抑えることができる。さらに、植付クラッチ160に付着した泥土による負荷で、植付クラッチ160が破損することを防止でき、耐久性を向上させることができる。
また、油圧式無段変速装置26のプーリ180に、油圧式無段変速装置26側、即ち、機体内部側へ風を送ることができる羽根185を設けたため、冷却用のファンを別途設ける必要がなくなる。この結果、部品点数を低減することができ、コストダウンを図ることができる。
また、ロータリケース190に、藁の巻き付きを防止するカバー195を設けたため、ロータリケース190の回転時に藁等が巻き付くことを防止でき、藁等の巻き付きによりオイルシール192が損傷することを防ぐことができる。この結果、オイルシール192の損傷に起因するオイル漏れや、ロータリケース190内への水の浸入を防止することができ、ロータリケース190の耐久性を向上させることができる。
また、モニタパネル260の表示面261側における上部に庇262を設けたため、表示面261で表示されている情報を、日中でも見易くすることができる。この結果、苗移植機1の運転時における操縦ミスを防ぐことができ、確実な走行や各動作を行わせることができる。
〔変形例〕
なお、上述した苗移植機1では、調節ハンドル233は、手動操作にて回転操作を行うようになっているが、調節ハンドル233は、モータやシリンダ等の調節アクチュエータ(図示省略)の作動により、作業者が直接触れることなく回転操作される構成にしてもよい。この場合、作業者がスイッチやダイヤルの操作を行うことにより、調節アクチュエータを作動させる構成にしてもよい。調節アクチュエータによる操作は、手動操作よりも速く、しかも細かい調節を行うことが可能であるので、肥料の供給量の変更に要する時間を短縮することができる。これにより、変更調節に伴って肥料の供給量に過不足が生じることを防止できると共に、僅かな量の増減調節を行うことができ、肥料の消費量を抑えることができる。
また、第1施肥伝動機構141は、第2施肥伝動ロッド228の上端部から駆動力を機体左右方向に切り替える切替伝動部材(図示省略)の基部を設けて、機体左右両側のどちらか一方に駆動力を伝動し、左右の貯留ホッパ103の下方の空間部で揺動アーム229を該切替伝動部材の端部に設け、その後揺動アーム229の前側端部を施肥量調節装置230と連結する構成としてもよい。これにより、施肥量調節装置230を左右の貯留ホッパ103のどちらか一側の下方に配置することができるので、リアステップ47上を移動する作業者の足元に接触することを防止でき、作業能率を大幅に向上させることができる。
また、上述した苗移植機1では、モニタパネル260に庇262を設けることにより、表示面261を見易くしているが、表示面261を見易くする手法は、これ以外によって実現してもよい。図22は、実施形態に係る苗移植機の変形例であり、モニタパネルの斜視図である。モニタパネル260は、例えば、表示面261における情報を表示する部分であるレンズ部263の裏面をダイヤモンド形状にし、レンズ部263全体が光るようにしてもよい。または、レンズ部263の内側には、指向性のあるLED(Light Emitting Diode)電球を使用し、レンズ部263におけるLED電球からの照射範囲に印字面を設けてもよい。これらにより、日中に表示面261に光が当たった場合でも、レンズ部263に表示されている情報を視認することができる。
また、モニタパネル260で表示する情報は、苗移植機1が使用される国で用いられる言語を用いるのが好ましい。例えば、苗移植機1が中国で使用される場合には、モニタパネル260で表示する情報は中国語を用いるのが好ましい。このように、モニタパネル260で表示する情報を、その国の言語を用いて表示することにより、モニタパネル260で表示する情報を、作業者が理解し易くなるようにすることができる。この結果、苗移植機1の運転時における操縦ミスを防ぐことができ、確実な走行や各動作を行わせることができる。