JP2014007997A - 苗移植機 - Google Patents

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哲 加藤
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Abstract

【課題】植付作業を終えた後に施肥ホッパ内に残った肥料を取り除く方法として、施肥装置に送風ダクトと排出ダクトの2つのダクトを備えた苗移植機がある。しかし、肥料の排出作業に要する時間が極端に長くなる問題や、肥料の搬送量によっては肥料の移動が停滞するという問題がある。上記の問題を解決する苗移植機を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。
【解決手段】施肥装置(5)の下方に、施肥装置(5)を左右の傾斜姿勢に切り替える施肥傾斜装置(6)を備え、この施肥傾斜装置(6)が上昇動作の入切を変更する作動切替部材を含み、かつ、前記施肥伝動機構(28)で分割した駆動力を利用して上昇動作を行うことを特徴とする苗移植機により上記問題を解決した。
【選択図】図3

Description

本発明は、施肥装置を備える苗移植機に関するものである。
先行技術文献1には、施肥装置を走行車体の後上部に備えた苗移植機が開示されている。この苗移植機の施肥装置は、その下方に施肥伝動機構を設けると共に、送風ダクトと排出ダクトの2つのダクトを備える。送風ダクトは、繰出部で定量ずつ送り出される肥料をブロアからのエアで圃場に供給する際に使用され、排出ダクトは作業終了後に施肥装置に残った肥料をブロアからのエアで排出口に送る際に使用される。排出ダクトを設けたことにより、施肥装置に残った肥料の排出が容易になる。
先行技術文献2には、施肥装置のホッパを中央で分割し、左右別々に機体外側方向に回動させることにより、ホッパの左右端部の蓋を開けると肥料を落下させて排出可能な施肥装置を備えた苗移植機が開示されている。これにより、施肥装置内に肥料が残りにくく、またホッパを傾斜させるだけで肥料が排出されることにより、作業時間の大幅な短縮や燃料、電力などの大幅な節約が図られる。
特開2006−166820号公報 特開2011−217624号公報
先行技術文献1に記載の苗移植機の場合、施肥装置に残った肥料を排出するときは、送り出し装置から定量ずつ肥料が排出されて落下するので、肥料の残量によっては肥料の排出作業に要する時間が極端に長くなる。そのため、肥料の排出が終了するまで、施肥装置の駆動力やブロアの作動電力を確保すべく、苗移植機を駆動状態とする必要があり、時間がかかるほど燃料や電力の消費量が増大し、作業コストが増大すると共に、排気ガス等の排出量が増える問題がある。
また、ブロアから放出されるエアで肥料を排出口まで搬送するので、ブロアから遠い排出口に近付くほど肥料を送るエアの圧力が弱まり、肥料の搬送量によっては肥料の移動が停滞してしまい、肥料が詰まってしまう問題がある。
加えて、粒状の肥料から振動等で欠け落ち粉状となった肥料は、送り出し装置まで落下してこないことがあり、こうした肥料が施肥装置内に残ると、こびり付いて掃除にかかる時間と労力を増大させると共に、部品を腐食させ、耐久度を低下させる問題がある。
先行技術文献2に記載の苗移植機の場合、ホッパの傾斜は作業者が手作業で行う必要があるため、肥料の残量が多いほど作業者が費やす労力が増大する問題がある。これは左右にホッパが分割されていることにより、左右別々に作業する必要があり、作業者の労力は増大し、作業能率が低くなる問題がある。
また、ホッパを中央で分割していることにより、施肥装置の駆動軸も分割されるため、ホッパを傾斜させる前に駆動軸を分割する作業が必要となり、更に作業能率が低下する。合わせて、伝動構成が複雑化すると共に、接続操作を間違うと駆動力が突然途切れる問題がある。
上記の問題を解決する苗移植機を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。
本発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行車体(2)の後方に昇降自在に動作する苗植付装置(4)を備え、走行車体(2)の後上部に植え付けた苗に肥料を供給する施肥装置(5)を備え、エンジン(20)からの外部取出動力を受け、前記苗植付装置(4)及び前記施肥装置(5)への動力を供給する植付クラッチ機構とを設けるとともに、この植付クラッチ機構と前記施肥装置(5)の間に動力伝達のための施肥伝動機構(28)を備える苗移植機において、前記施肥装置(5)の下方に、施肥装置(5)を左右の傾斜姿勢に切り替える施肥傾斜装置(6)を備え、この施肥傾斜装置(6)が昇降動作の入切を変更する作動切替部材を含み、かつ、前記施肥伝動機構(28)で分割した駆動力を利用して昇降動作を行うことを特徴とする苗移植機である。
また、請求項2記載の発明は、前記施肥傾斜装置(6)を、ラック(107)とピニオン(108)とを組み合わせ、このピニオン(108)を回転させることでラック(107)及びこのラック(107)に接続した施肥装置(5)を昇降させる構成とすると共に、前記作動切替部材を、前記ピニオン(108)と一体として回転するラチェット歯車(111c)と、このラチェット歯車(111c)と噛み合うラチェット駆動爪(111a)とから構成し、このラチェット駆動爪(111a)を前記ラチェット歯車(111c)に噛み合わせることで駆動力を前記ピニオン(108)へ伝達し、更に前記施肥伝動機構(28)を、前記施肥装置(5)への動力を分割する駆動分岐アーム(104)と、この駆動分岐アーム(104)と一体として移動する前記ラチェット爪(111a)とで構成し、この駆動分岐アーム(104)の往復回動動作を利用して前記施肥傾斜装置(6)が昇降動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機である。
また、請求項3記載の発明は、走行車体(2)の後方に昇降自在に動作する苗植付装置(4)を備え、走行車体(2)の後上部に植え付けた苗に肥料を供給する施肥装置(5)を備え、エンジン(20)からの外部取出動力を受け、前記苗植付装置(4)及び前記施肥装置(5)への動力を供給する植付クラッチ機構とを設けるとともに、この植付クラッチ機構と前記施肥装置(5)の間に動力伝達のための施肥伝動機構(28)を備える苗移植機において、前記施肥装置(5)の下方に、施肥装置(5)を左右の傾斜姿勢に切り替える施肥傾斜装置(6)を備え、この施肥傾斜装置(6)が昇降動作の入切を変更する作動切替部材を含み、かつ、前記植付クラッチ機構で分割した駆動力を利用して昇降動作を行うことを特徴とする苗移植機である。
また、請求項4記載の発明は、前記施肥傾斜装置(6)を、ラック(107)とピニオン(108)とを組み合わせ、このピニオン(108)を回転させることでラック(107)及びこのラック(107)に接続した施肥装置(5)を昇降させる構成とすると共に、前記作動切替部材を、スプライン軸受を内周に形成した前記ピニオン(108)と、スプライン軸(110)とを組み合わせ、前記ピニオン(108)をスライドさせて前記ラック(107)にかみ合わせることで昇降動作へ切り替える構成とし、更に前記植付クラッチ機構の駆動出力軸(112)に嵌合した傾斜駆動回転体(113)と、前記ピニオン(108)と一体として回転する傾斜従動回転体(114)との間に傾斜伝動無端体(115)を巻き回し、かつ前記傾斜従動回転体(114)の動作を規制するラチェット機構(111)とを設け、前記駆動出力軸(112)の回転動作を利用して昇降動作を行うことを特徴とする請求項3に記載の苗移植機である。
また、請求項5記載の発明は、走行車体(2)の後方に昇降リンク機構(3)を介して昇降自在に動作する苗植付装置(4)を備えると共に、前記昇降リンク機構(3)を昇降させる昇降油圧シリンダ(46)を配置し、走行車体(2)の後上部には植え付けた苗に肥料を供給する施肥装置(5)を備え、エンジン(20)からの外部取出動力を受け、前記苗植付装置(4)及び前記施肥装置(5)への動力を供給する植付クラッチ機構とを設け、更にこの植付クラッチ機構と前記施肥装置(5)の間に動力伝達のための施肥伝動機構(28)を備える苗移植機において、前記施肥装置(5)の下方に、施肥装置(5)を左右の傾斜姿勢に切り替える施肥傾斜装置(6)を備え、この施肥傾斜装置(6)が昇降動作の入切を変更する作動切替部材を含み、かつ、前記昇降リンク機構(3)の昇降動作に連動して昇降動作を行うことを特徴とする苗移植機である。
また、請求項6記載の発明は、走行車体(2)の後部に施肥装置(5)を支持する後部フレーム(42)を立設すると共に、前記施肥傾斜装置(6)が、前記後部フレーム(42)上部に回動自在に取り付けた傾斜フレーム(116)と、この傾斜フレーム(116)を含む平行リンク機構(117)とにより施肥装置(5)を昇降させる構成とし、前記昇降リンク機構(3)には、昇降油圧シリンダ(46)のピストン(46a)端部に接続する昇降受プレート(118)を備えると共に、この昇降受プレート(118)に連結リンクアーム(119)を接続し、前記作動切替部材を、前記連結リンクアーム(119)の上端に回動自在に設け、この連結リンクアーム(119)と傾斜フレーム(116)下端を結合する作動切替フック(120)とし、かつ、この作動切替フック(120)で連結状態とした場合に前記昇降リンク機構(3)の昇降動作に連動して傾斜フレーム(116)が回動し、前記施肥傾斜装置(6)が昇降動作を行うことを特徴とする請求項5に記載の苗移植機である。
また、請求項7記載の発明は、前記施肥装置(5)の繰出部(61)と、施肥伝動機構(28)との接続を入切する施肥クラッチ(121)を、前記施肥装置(5)の傾斜方向の回動支点(122)がある側に設け、前記施肥傾斜装置(6)が施肥装置(5)を傾斜姿勢にすると、前記施肥クラッチ(121)により繰出部(61)への動力が遮断されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の苗移植機である。
また、請求項8記載の発明は、走行車体(2)後部の左右両側に後輪(11)を配置し、この後輪(11)の外側に、軟質土壌で作業する際の駆動力を向上させる補助車輪(11a)を設け、施肥装置(5)の傾斜方向の回動支点(122)を、前記補助車輪(11a)よりも機体外側に位置させたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の苗移植機である。
請求項1記載の発明によれば、作動切替部材を操作し、施肥伝動機構(28)から駆動力を受けると施肥装置(5)を傾斜姿勢に変更させることができることにより、施肥装置(5)内に残留している肥料を傾斜姿勢の低位側から滑り出させて排出することができるので、肥料の排出作業が短時間で確実に行える。これにより作業能率が向上すると共に、回収できずに廃棄される肥料が減少し、肥料の使用量が減少する。
また施肥装置(5)内に肥料が残留することがないので、こびり付いた肥料の除去に要する時間と労力が不要になると共に、構成部品の腐食が防止され、耐久性が向上する。
加えて手作業で施肥装置(5)を傾ける必要がなく、作業者の労力が軽減される。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、作動動切替部材を「入」状態、即ちラチェット駆動爪(111a)をラチェット歯車(111c)に噛み合わせる状態とすると、ラチェット駆動爪(111a)と一体として動作する駆動分岐アーム(104)の往復回動動作を利用して施肥傾斜装置(6)が上昇または下降の動作を行うことができる。これにより既存の駆動力を分割して施肥装置(5)を傾斜姿勢にしたり作業姿勢に戻したりすることができるので、シリンダやモータなどの傾斜部材を別途設ける必要がなく、伝動機構の構成が簡潔になると共に、部品点数が削減される。
また、作動切替部材を「切」状態、即ちラチェット駆動爪(111a)をラチェット歯車(111c)に噛み合わない状態とすると、駆動分岐アーム(104)が往復回動運動をしてもラチェット駆動爪(111a)が空振りする。これにより植付作業中に施肥傾斜装置(6)が作動することがなく、安定した施肥作業が可能となり、苗に十分な肥料が供給され、苗の生育が安定する。
請求項3記載の発明によれば、作動切替部材を操作し、植付クラッチ機構から駆動力を受けると施肥装置(5)を傾斜姿勢に変更させることができることにより、施肥装置(5)内に残留している肥料を傾斜させて傾斜姿勢の低位側から滑り出させて排出することができるので、肥料の排出作業が短時間で確実に行える。これにより作業能率が向上すると共に、回収できず廃棄される肥料が減少し、肥料の使用量が減少する。
また施肥装置(5)内に肥料が残留することがなく、こびり付いた肥料の除去に要する時間と労力が不要になると共に、構成部品の腐食が防止され、耐久性が向上する。
加えて手作業で施肥装置を傾ける必要がなく、作業者の労力が軽減される。
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果に加えて、作動動切替部材を「入」状態、即ちピニオン(108)をスライドさせることでラック(107)に噛み合わせる状態とすると、ラチェット機構(111)を有する傾斜従動回転体(114)の回転動作を利用して施肥傾斜装置(6)が上昇または下降の動作を行うことができる。これにより既存の駆動力を分割して施肥装置(5)を傾斜姿勢にしたり、作業姿勢に戻したりすることができるので、シリンダやモータなどの傾斜部材を別途設ける必要がなく、伝動機構の構成が簡潔になると共に、部品点数が削減される。
また、作動切替部材を「切」状態、即ちピニオン(108)をラック(107)とは噛み合わない状態にするとピニオン(108)が空転する。これにより施肥装置(5)を短時間で作業姿勢に戻すことができると共に、植付作業中に施肥傾斜装置(6)が作動することがなく、安定した施肥作業が可能となり、苗に十分な肥料が供給され、苗の生育が安定する。
加えて駆動出力軸(112)に傾斜駆動回転体(113)を設け、傾斜伝動無端体(115)を介して駆動力を伝動することにより、伝動経路が簡潔になり、メンテナンス性が向上する。
請求項5記載の発明によれば、作動切替部材を操作し、苗植付装置(4)を昇降させる昇降リンク機構(3)の上昇動作と連動して施肥装置(5)を傾斜姿勢に変更させることができることにより、施肥装置(5)内に残留している肥料を傾斜させて傾斜姿勢の低位側から肥料を滑り出させて排出することができるので、肥料の排出作業が短時間で確実に行える。これにより作業能率が向上すると共に、回収できず廃棄される肥料が減少し、肥料の使用量が減少する。
また、施肥装置(5)内に肥料が残留することがなく、こびり付いた肥料の除去に要する時間と労力が不要になると共に、構成部品の腐食が防止され、耐久性が向上する。
加えて手作業で施肥装置を傾ける必要がなく、作業者の労力が軽減される。
請求項6記載の発明によれば、請求項5の記載の発明の効果に加えて、作動切替部材を「入」状態、即ち作動切替フック(120)により連結リンクアーム(119)と傾斜フレーム(116)とを連結状態とし、連結リンクアーム(119)の動作に合わせて傾斜フレーム(116)が昇降する構成とすることにより、昇降リンク機構(3)の上昇によって施肥装置(5)を傾斜姿勢とすることができるので、シリンダやモータなどの傾斜部材を別途設ける必要がなく、伝動機構の構成が簡潔になると共に、部品点数が削減される。
また、作動切替部材を「切」状態、即ち連結リンクアーム(119)と傾斜フレーム(116)を解除状態にすると、連結リンクアーム(119)が動作しても傾斜フレーム(116)に駆動力が伝わらない。これにより植付作業中に施肥傾斜装置(6)が作動することがなく、安定した施肥作業が可能となり、苗に十分な肥料が供給され、苗の生育が安定する。
請求項7記載の発明によれば、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、施肥装置(5)が傾くと自動的に施肥クラッチ(121)が切れ、肥料の供給動力が停止することにより、施肥装置(5)側方から排出しようとする肥料が、下方に落下することを防止できるので、回収できなくなる肥料が減少し、肥料の節約が図られる。
また、施肥クラッチ(121)により繰出部(61)への動力を切断し、施肥傾斜装置(6)への駆動力の分配比率を大きくできるので、施肥装置の傾斜姿勢を維持すること容易となり、確実に施肥装置内に残留した肥料が排出され、肥料の回収作業の能率が向上する。
請求項8記載の発明によれば、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、施肥装置(5)の傾斜回動支点(122)を、後輪(11)の外側に設ける補助車輪(11a)よりも機体外側に配置したことにより、施肥装置(5)の傾斜角度を急角度に設定しても補助車輪(11a)や後輪(11)等に干渉することを防止できる。これにより、肥料が施肥装置(5)から排出されやすくなり、肥料の回収量が増大する。

本発明の一実施形態にかかる苗移植機の側面図である。 図1の苗移植機の平面図である。 第一実施形態にかかる施肥傾斜装置の左側面図である。 図3の施肥傾斜装置の動作背面図である。 第一実施形態にかかる施肥傾斜装置の部分拡大図である。 第二実施形態にかかる施肥傾斜装置の部分拡大図である。 第三実施形態にかかる施肥傾斜装置の右側面図である。 図4の施肥傾斜装置の背面拡大図である。 第四実施形態にかかる施肥ホッパの側面部分拡大図である。 第五実施形態にかかる繰出部の部分拡大図である。 第六実施形態にかかる繰出部の部分拡大図である。
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつ
つ説明する。
本発明の苗移植機は、その側面図および平面図を図1、図2にそれぞれ示すように、左右の前輪10と左右の後輪11とによる走行部および、エンジン20と一体に変速動力を伝動するミッションケース12、左右の前輪10を伝動支持する左右の前輪ファイナルケース13、左右の後輪11を伝動支持する左右の後輪ギアケース18等の伝動部を備えて圃場走行可能に走行車体2を構成し、この走行車体2の後部に昇降リンク機構3によって昇降動作可能に設けられて苗株の植付けを行う苗植付装置4とを備えて構成される。
苗移植機の動力伝達経路は以下のようになる。エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び油圧式無段変速装置23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13に伝達されて前輪10を駆動すると共に、残りが後輪ギアケース18に伝達されて後輪11を駆動する。左右の前輪ファイナルケース13は、ミッションケース12の側方で左右の前輪10を伝動支持し、左右の後輪ギアケース18は、機体左右側に左右の後輪11を軸着する車軸を機体左右側に突出させて設け、該ミッションケース12から左右それぞれの変速動力を受ける。
作業者は主変速レバー203を操作することで油圧式無段変速装置23を前進9段から中立位置を経て後進6段まで連続的(無段階的)に変速でき、副変速レバー(不図示)を操作することで歯車式変速装置内の周知の副変速装置により「路上走行モード」と「植付作業走行モード」とを変更することができる構成である。
次に外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25内部の植付クラッチ機構に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付装置4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5等へ伝動される。この苗植付装置4は、機体後部の植付伝動軸26から動力を受ける伝動ケース50を備え、苗載台51に作業者が苗を供給するとともに、植付条別に並列配置した苗植付具52で載置された苗株の圃場への植付けを行う。
上記苗植付装置4の構成は以下のようになる。
本件に示す苗移植機の走行車体2の後方に設けられた苗植付装置4は6条植の構成で、フレームを兼ねる苗植付伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付具52、…、次工程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ184等を備えている。苗植付装置4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらフロート55、56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55、56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付具52、…により苗が植付けられる。各フロート55、56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付装置4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。苗植付装置4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付装置4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
苗植付装置4を昇降させる昇降リンク機構3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41を備えている。これらリンク40,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形の後部フレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付装置4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付装置4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアームの先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付装置4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。なお、後部フレーム42と、上リンク40及び下リンク41との間には昇降検知部材であるポテンショメータを配置し、苗植付装置4の上昇または下降を検知している。
走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられ、それぞれ傾斜支持部材で三段に構成されている。
苗移植機の作業者周辺の構成は以下のようになる。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10を操向操作するハンドル34が設けられている。ハンドル34の右側には、主変速レバー203が設けられ、その下方に副変速レバー(不図示)を設けている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になって畦クラッチペダル等が配置されている。フロアステップ35は一部格子状になっており、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
施肥装置5は、走行車体2の後上部に設け、施肥ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド59、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体63、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ39を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。そして、施肥装置5は、その下方に施肥傾斜装置6を有する構成を採用する。
第一実施形態にかかる施肥傾斜装置6について図3から図5を用いて説明する。図3は施肥傾斜装置6を構成する要素の左側面図である。図3では右側が苗移植機の前方、左側が後方であり、施肥装置5は作業姿勢である。図4は図3の施肥傾斜装置の背面図であり、(a)図では施肥傾斜装置6が作動しておらず作業姿勢の施肥装置5を示しており、(b)図では施肥傾斜装置6を作動させ傾斜姿勢となった施肥装置5を示している。
図3に示すように、施肥傾斜装置6は施肥装置5の下方に位置し、施肥装置5を左右の傾斜姿勢にする。そして、施肥ホッパ60の側方に設けた排出口(不図示)から植付作業で残った肥料を機外へ排出する。第一実施形態における施肥傾斜装置6は、ラック107とピニオン108とを組み合わせ、このピニオン108を回転させることで、そのピニオン108と噛み合ったラック107を表面に形成しているリフトフレーム、及びそのリフトフレームに接続した施肥装置5を上昇させる。また、施肥傾斜装置6には、施肥装置の上昇動作の入切を変更する作動切替部材を含み、施肥傾斜装置6は施肥伝動機構28で分割した駆動力を利用して上昇動作を行う。
作動切替部材を操作し、施肥伝動機構28から駆動力を受けると施肥装置5を傾斜姿勢に変更させることができることにより、施肥装置5内に残留している肥料を傾斜姿勢の低位側から滑り出させて排出することができるので、肥料の排出作業が短時間で確実に行える。これにより作業能率が向上すると共に、回収できずに廃棄される肥料が減少し、肥料の使用量が減少する。また施肥装置5内に肥料が残留することがないので、こびり付いた肥料の除去に要する時間と労力が不要になると共に、構成部品の腐食が防止され、耐久性が向上する。 加えて手作業で施肥装置5を傾ける必要がなく、作業者の労力が軽減される。
図5は施肥傾斜装置6の部分拡大図である。(a)図はラック&ピニオン部分の左側面図であり、(b)図は、その部分の正面図である。第一実施形態において作動切替部材は、ラチェット機構111で構成する。即ちピニオン108と一体として回転するラチェット歯車111cと、このラチェット歯車111cと噛み合うラチェット駆動爪111aとから構成する。そしてこのラチェット駆動爪111aをラチェット歯車111cに噛み合わせることで駆動力を前記ピニオン108へ伝達し、施肥傾斜装置6の上昇または下降動作を行う。図面には上昇動作をする場合の構成を示し、下降動作の場合はラチェット機構111が逆回転で噛み合うように構成する。
施肥伝動機構28において施肥傾斜装置6に対する駆動力を分割する構成について説明する。施肥傾斜装置6においては、ピニオン108を回転させることにより施肥傾斜装置6の上昇動作を行う。施肥伝動機構28は、植付クラッチケース25内の植付クラッチ機構と施肥装置5との間で動力を伝達する全ての要素により構成される。植付クラッチ機構の駆動出力軸102に嵌装したクランクアーム102により回転運動を往復運動に変換し、このクランクアーム102に、駆動側第一揺動ロッド103、駆動分岐アーム104、駆動側第二揺動ロッド105、カウンターアーム109と接続することで駆動力を伝達し、カウンターアーム109の往復回動運動により、施肥装置5の繰出部61の内部にある繰出ロール90が回転する。第一実施形態においては、駆動分岐アーム104を駆動側第一揺動ロッド103と駆動側第二揺動ロッド105の間に配置して、その往復回動運動を利用してピニオン108を回転させることにより施肥傾斜装置6の上昇動作を行う。
施肥傾斜装置6の動作を説明する。作動動切替部材を「入」状態、即ちラチェット駆動爪111aをラチェット歯車111cに噛み合わせる。このとき駆動分岐アーム104の一端に、ラチェット機構111を有する傾斜伝動プレート106は接続され、駆動分岐アーム104と一体として移動する。駆動分岐アーム104は矢印Sに示すように上下方向に往復回動運動を行う。駆動分岐アーム104が図の下方に回動すると、ラチェット機構111を構成するラチェット駆動爪111aがラチェット歯車111cに噛み合い、ラチェット歯車111cが矢印Uの方向に回転する。駆動分岐アーム104が図の上方に回動する場合は、ラチェット規制爪111bとラチェット歯車111cが噛み合うのでラチェット歯車は回転せず、駆動分岐アーム104の上方への回動動作のみが行われる。また、作動切替部材を「切」状態、即ちラチェット駆動爪111aをラチェット歯車111cに噛み合っていない状態にすると、ラチェット歯車111cは回転しない。
スプラインの係合によりラチェット歯車111cとピニオン108とは一体として回転するので、駆動分岐アーム104が下方に回動するとラチェット歯車111cと同様ピニオン108が回転する。ピニオン108が矢印Uの方向に回転することにより、ラック107及びラック107に接続した施肥装置5を上昇させる。ピニオン108を再度スライドさせ、ピニオン108をラック107と噛み合わない状態とするとラック107及びラック107の接続した施肥装置5は下降し作業姿勢となる。
作動動切替部材を「入」状態、即ちラチェット駆動爪111aをラチェット歯車111cに噛み合わせる状態とすると、ラチェット機構111を有する駆動分岐アーム104の往復回動動作を利用して施肥傾斜装置6が昇降動作を行うことができる。これにより既存の駆動力を分割して施肥装置5を傾斜姿勢にすることができるので、シリンダやモータなどの傾斜部材を別途設ける必要がなく、伝動機構の構成が簡潔になると共に、部品点数が削減される。
また、作動切替部材を「切」状態、即ちラチェット駆動爪111aをラチェット歯車111cに噛み合っていない状態にするとラチェット駆動爪111aが空振りする。これにより植付作業中に施肥傾斜装置6が作動することがなく、安定した施肥作業が可能となり、苗に十分な肥料が供給され、苗の生育が安定する。
第二実施形態にかかる施肥傾斜装置6について図6を用いて説明する。図6は施肥傾斜装置6の駆動部の部分拡大図であり、(a)図は駆動部を苗移植機1の前方から見た図を示しており、(b)図はその左側面図を示している。第一実施形態とは、施肥傾斜装置6への駆動力への供給方法が異なるのでその部分について詳細に説明する。
図6に示すように、施肥傾斜装置6は施肥装置5の下方に位置し、ラック107とピニオン108とを組み合わせる構成である点は第一実施形態と同じである。また、施肥傾斜装置6には、施肥装置の昇降動作の入切を変更する作動切替部材を含む点及び構成についても第一実施形態と同じであるが、第二実施形態では施肥傾斜装置6は植付クラッチケース25内の植付クラッチ機構で分割した駆動力を利用して上昇動作を行う点が異なっている。
作動切替部材を操作し、植付クラッチ機構から駆動力を受けると施肥装置5を傾斜姿勢に変更させることができることにより、施肥装置5内に残留している肥料を傾斜させて傾斜姿勢の低位側から滑り出させて排出することができるので、肥料の排出作業が短時間で確実に行える。これにより作業能率が向上すると共に、回収できず廃棄される肥料が減少し、肥料の使用量が減少する。また施肥装置5内に肥料が残留することがなく、こびり付いた肥料の除去に要する時間と労力が不要になると共に、構成部品の腐食が防止され、耐久性が向上する。加えて手作業で施肥装置を傾ける必要がなく、作業者の労力が軽減される。
植付クラッチ機構において施肥傾斜装置6に対する駆動力を分割する構成に付いて説明する。植付クラッチケース25からの駆動出力軸112を突出させる。この駆動出力軸112は施肥装置5への駆動力を供給するものと兼用であっても、施肥傾斜装置6への駆動力を供給するための専用のものであっても問題ない。またラチェット歯車111cと結合し、ピニオン108と一体として回転するスプライン軸110の端部のうち、ラチェット歯車111c側を伸長する。駆動出力軸112に嵌合した傾斜駆動回転体113と、伸長したスプライン軸110に嵌合した傾斜従動回転体114とに、傾斜伝動無端体115を巻きまわし、これにより植付クラッチ機構からの駆動力を得る構成とする。傾斜伝動無端体115は、具体的には歯付ベルトや、チェーンである。この構成により駆動出力軸112からピニオン108に回転駆動力を伝達でき、ピニオン108を回転させることにより施肥傾斜装置6の上昇または下降動作を行う。
施肥傾斜装置6の上昇動作を説明する。駆動出力軸112は回転運動を行うと、傾斜伝動無端体115等によりラチェット歯車111c及びピニオン108が一方向のみに回転する。作動切替部材を「入」状態、即ちピニオン108を軸方向にスライドさせ、ラック107と噛み合う位置にすると、ラック107及びラック107に接続した施肥装置5を上昇させる。上昇させた場合、駆動出力軸112等に負担を掛けないために、ラチェット歯車111cと噛み合うラチェット規制爪112bを設けて反対方向の回転を規制する。ピニオン108を再度スライドさせ、ピニオン108をラック107と噛み合わない状態、即ち作動切替部材を「切」状態とすると、ラック107及びラック107の接続した施肥装置5は下降する。また、ピニオン108とラック107が噛み合わない状態であれば、ピニオン108が回転するだけで、ラック107等が上昇することはない。
作動動切替部材を「入」状態、即ちピニオン108をスライドさせることでラック107に噛み合わせる状態とすると、ラチェット機構111を有する傾斜従動回転体114の回転動作を利用して施肥傾斜装置6が昇降動作を行うことができる。これにより既存の駆動力を分割して施肥装置5を傾斜姿勢にすることができるので、シリンダやモータなどの傾斜部材を別途設ける必要がなく、伝動機構の構成が簡潔になると共に、部品点数が削減される。
また、作動切替部材を「切」状態、即ちピニオン108をラック107とは噛み合わない状態にするとピニオン108が空転する。これにより施肥装置5を作業姿勢に戻すことができると共に、植付作業中に施肥傾斜装置6が作動することがなく、安定した施肥作業が可能となり、苗に十分な肥料が供給され、苗の生育が安定する。
加えて駆動出力軸112に傾斜駆動回転体113を設け、傾斜伝動無端体115を介して駆動力を伝動することにより、伝動経路が簡潔になり、メンテナンス性が向上する。
第三実施形態にかかる施肥傾斜装置6について図7を用いて説明する。図7は施肥傾斜装置6を構成する要素の右側面図である。図7では左側が苗移植機の前方、右側が苗移植機の後方であり、施肥装置5は作業姿勢である。
図7に示すように、施肥傾斜装置6は施肥装置5の下方に位置し、施肥装置5を左右の傾斜姿勢にする。第三実施形態における施肥傾斜装置6は、昇降リンク機構3を昇降させる昇降油圧シリンダ46を利用して施肥装置5を上昇させる。また、施肥傾斜装置6には、施肥装置の昇降動作の入切を変更する作動切替部材を含み、施肥傾斜装置6は昇降油圧シリンダ46からの分割した駆動力を利用して昇降動作を行う。
作動切替部材を操作し、苗植付装置4を昇降させる昇降リンク機構3の昇降動作と連動して施肥装置5を傾斜姿勢に変更させることができるにより、施肥装置5内に残留している肥料を傾斜させて傾斜姿勢の低位側から肥料を滑り出させて排出することができるので、肥料の排出作業が短時間で確実に行える。これにより作業能率が向上すると共に、回収できず廃棄される肥料が減少し、肥料の使用量が減少する。また、施肥装置5内に肥料が残留することがなく、こびり付いた肥料の除去に要する時間と労力が不要になると共に、構成部品の腐食が防止され、耐久性が向上する。加えて手作業で施肥装置を傾ける必要がなく、作業者の労力が軽減される。
第三実施形態にかかる施肥傾斜装置6の構成について説明する。苗移植機の走行車体2の後部に施肥装置5を支持する背面視門型の後部フレーム42を立設する。施肥傾斜装置6は、後部フレーム42の上部に回転自在に取り付けた傾斜フレーム116と、この傾斜フレームを含む平行リンク機構117とにより構成し、傾斜フレーム116を矢印Wの方向へ回動させると平行リンク機構117が矢印Vの方向に移動し略鉛直姿勢となり、施肥装置5を上昇させる。
また、第三実施形態にかかる昇降リンク機構3には、昇降油圧シリンダ46のピストン46a端部に接続する昇降受プレート118を備え、更にこの昇降受プレート118にはその上部に連結リンクアーム119を接続する。
第三実施形態にかかる作動切替部材は、連結リンクアーム119の上端に回動自在に設けた作動切替フック120であり、この作動切替フッ120により、連結リンクアーム119と、傾斜フレーム116の下端とを着脱自在に結合する。
施肥傾斜装置6の動作を説明する。作動切替部材を「入」状態、即ち作動切替フック120で連結リンクアーム119と傾斜フレーム116とを連結状態とし、昇降リンク機構3の上昇動作を行うとそれと連動して傾斜フレーム116の上端が矢印V方向へ回動する。これにより、施肥傾斜装置6が上昇動作を行う。逆に、昇降リンク機構3の下降動作を行うとそれと連動して傾斜フレーム116の上端が矢印Vとは逆方向へ回動し、これにより施肥傾斜装置が下降動作を行う。連結リンクアーム119と傾斜フレーム116との連結を解く、即ち作動切替部材を「切」状態とすると、昇降リンク機構3の動作と施肥傾斜装置6の動作は連動しない。
作動切替部材を「入」状態、即ち作動切替フック120により連結リンクアーム119と傾斜フレーム116とを連結状態とし、連結リンクアーム119の動作に合わせて傾斜フレーム116が昇降する構成とすることにより、昇降リンク機構3の上昇によって施肥装置5を傾斜姿勢とすることができるので、シリンダやモータなどの傾斜部材を別途設ける必要がなく、伝動機構の構成が簡潔になると共に、部品点数が削減される。
また、作動切替部材を「切」状態、即ち連結リンクアーム119と傾斜フレーム116を解除状態にすると、連結リンクアーム119が動作しても傾斜フレーム116に駆動力が伝わらない。これにより植付作業中に施肥傾斜装置6が作動することがなく、安定した施肥作業が可能となり、苗に十分な肥料が供給され、苗の生育が安定する。
図4に施肥傾斜装置6の動作背面図を示す。第一実施形態から第三実施形態の施肥傾斜装置6のいずれも施肥装置5の繰出部61と、施肥伝動機構28との接続を入切する施肥クラッチ121を設ける。この施肥クラッチ121は、施肥装置5の傾斜方向の回動支点122がある側、即ち施肥装置5が傾斜姿勢になったときの低位側に設ける。そして、施肥傾斜装置6が上昇動作を行い、施肥装置5を傾斜姿勢にすると、施肥クラッチ121により繰出部61への動力が遮断される構成とする。
施肥装置5が傾くと自動的に施肥クラッチ121が切れ、肥料の供給動力が停止することにより、施肥装置5側方から排出しようとする肥料が、下方に落下することを防止できるので、回収できなくなる肥料が減少し、肥料の節約が図られる。また、施肥クラッチ121により繰出部61への動力を切断し、施肥傾斜装置6への駆動力の分配比率を大きくできるので、施肥装置の傾斜姿勢を維持すること容易となり、確実に施肥装置内に残留した肥料が排出され、肥料の回収作業の能率が向上する。
図8に施肥傾斜装置6の背面拡大図を示す。走行車体2の後輪11の機体外側に、軟質土壌で作業する際の駆動力を向上させる補助車輪11aを設ける場合がある。施肥装置5の傾斜方向の回動支点122を、この補助車輪11aよりも機体外側に位置させる。
施肥装置5の傾斜回動支点122を、後輪11の外側に設ける補助車輪11aよりも機体外側に配置したことにより、施肥装置5の傾斜角度を急角度に設定しても補助車輪11aや後輪11等に干渉することを防止できる。これにより、肥料が施肥装置5から排出されやすくなり、肥料の回収量が増大する。
図9に第四実施形態にかかる施肥装置5の施肥ホッパ60を示す。施肥ホッパ60の下方には、前後方向に回動可能な回動板82を設け、トルクスプリング81により内側に付勢する。また回動板82の動作は、回動板ガイド83により案内する。肥料を供給したときは、回動板82が略鉛直に近い姿勢となり、施肥ホッパ60内に入る肥料の容量を大きくできる。施肥ホッパ60内の肥料を消費すると、トルクスプリング81のバネ力により回動板82が回動板ガイド83に案内されて傾斜姿勢となる。傾斜姿勢となることで、肥料を最後まで排出することが可能となる。
図10には第五実施形態にかかる施肥装置5の繰出部61を構成する繰出ロール90の部分拡大図を示す。繰出部61において繰出ロール90の外周に形成した凹部に肥料が入り込み、繰出ロール90が180度回転することで、その凹部から肥料が落下する。これにより定量の肥料を送り出す構成である。(a)図が軸方向からのL面での断面図、(b)図が半径方向からの断面図である。
本実施形態にかかる繰出ロール90は肥料が入り込む溝の容積を変更することができる。即ち、凹部を形成する溝を外周に4箇所設け、その溝に容積変更ブロック91をそれぞれ配置する。その容積変更ブロック91が繰出ロール90の半径方向に移動することでその溝の容積を変更するものである。容積変更ブロック91はT字ジョイント92(T溝とそれに対応するT型突起)により、調節くさび93と軸方向に動作可能に連結しねじ機構により調節くさび93を軸方向に動作させ、その動作に連動して容積変更ブロック91が4個同時に半径方向に移動する構成としている。また図11に示すように、容積変更ブロック91同士を結合スプリング94で結合することで、4個同時に半径方向に移動する構成とすることもできる。
また、別実施形態の繰出ロールとして、繰出ロールを軟質材料の円筒形状体で構成し、肥料が落下した後に繰出ロールの内側に設けた押出体により肥料の残りを押出す構成とすることもできる。押出体は硬質材料の回転ローラとする。繰出ロールの外側にもスクレーパを設けて、押出体により押出された軟質材料の溝部の肥料の残りを取り除くことも可能である。
1 苗移植機
2 走行車体
3 昇降リンク機構
4 苗植付装置
5 施肥装置
6 施肥傾斜装置
11 後輪
11a 補助車輪
20 エンジン
28 施肥伝動機構
42 後部フレーム
46 昇降油圧シリンダ
46a ピストン
61 繰出部
104 駆動分岐アーム
107 ラック
108 ピニオン
110 スプライン軸
111 ラチェット機構
111a ラチェット駆動爪
111c ラチェット歯車
112 駆動出力軸
113 傾斜駆動回転体
114 傾斜従動回転体
115 傾斜伝動無端体
116 傾斜フレーム
117 平行リンク機構
118 昇降受プレート
119 連結リンクアーム
120 作動切替フック
121 施肥クラッチ
122 回動支点

Claims (8)

  1. 走行車体(2)の後方に昇降自在に動作する苗植付装置(4)を備え、
    走行車体(2)の後上部に植え付けた苗に肥料を供給する施肥装置(5)を備え、
    エンジン(20)からの外部取出動力を受け、前記苗植付装置(4)及び前記施肥装置(5)への動力を供給する植付クラッチ機構とを設けるとともに、
    この植付クラッチ機構と前記施肥装置(5)の間に動力伝達のための施肥伝動機構(28)を備える苗移植機において、
    前記施肥装置(5)の下方に、施肥装置(5)を左右の傾斜姿勢に切り替える施肥傾斜装置(6)を備え、
    この施肥傾斜装置(6)が昇降動作の入切を変更する作動切替部材を含み、かつ、前記施肥伝動機構(28)で分割した駆動力を利用して昇降動作を行うことを特徴とする苗移植機。
  2. 前記施肥傾斜装置(6)を、
    ラック(107)とピニオン(108)とを組み合わせ、このピニオン(108)を回転させることでラック(107)及びこのラック(107)に接続した施肥装置(5)を昇降させる構成とすると共に、
    前記作動切替部材を、
    前記ピニオン(108)と一体として回転するラチェット歯車(111c)と、
    このラチェット歯車(111c)と噛み合うラチェット駆動爪(111a)とから構成し、
    このラチェット駆動爪(111a)を前記ラチェット歯車(111c)に噛み合わせることで駆動力を前記ピニオン(108)へ伝達し、
    更に前記施肥伝動機構(28)を、前記施肥装置(5)への動力を分割する駆動分岐アーム(104)と、この駆動分岐アーム(104)と一体として移動する前記ラチェット爪(111a)とで構成し、
    この駆動分岐アーム(104)の往復回動動作を利用して前記施肥傾斜装置(6)が昇降動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
  3. 走行車体(2)の後方に昇降自在に動作する苗植付装置(4)を備え、
    走行車体(2)の後上部に植え付けた苗に肥料を供給する施肥装置(5)を備え、
    エンジン(20)からの外部取出動力を受け、前記苗植付装置(4)及び前記施肥装置(5)への動力を供給する植付クラッチ機構とを設けるとともに、
    この植付クラッチ機構と前記施肥装置(5)の間に動力伝達のための施肥伝動機構(28)を備える苗移植機において、
    前記施肥装置(5)の下方に、施肥装置(5)を左右の傾斜姿勢に切り替える施肥傾斜装置(6)を備え、
    この施肥傾斜装置(6)が昇降動作の入切を変更する作動切替部材を含み、かつ、前記植付クラッチ機構で分割した駆動力を利用して昇降動作を行うことを特徴とする苗移植機。
  4. 前記施肥傾斜装置(6)を、
    ラック(107)とピニオン(108)とを組み合わせ、このピニオン(108)を回転させることでラック(107)及びこのラック(107)に接続した施肥装置(5)を昇降させる構成とすると共に、
    前記作動切替部材を、
    スプライン軸受を内周に形成した前記ピニオン(108)と、スプライン軸(110)とを組み合わせ、前記ピニオン(108)をスライドさせて前記ラック(107)にかみ合わせることで昇降動作へ切り替える構成とし、
    更に前記植付クラッチ機構の駆動出力軸(112)に嵌合した傾斜駆動回転体(113)と、
    前記ピニオン(108)と一体として回転する傾斜従動回転体(114)との間に傾斜伝動無端体(115)を巻き回し、
    かつ前記傾斜従動回転体(114)の動作を規制するラチェット機構(111)とを設け、
    前記駆動出力軸(112)の回転動作を利用して昇降動作を行うことを特徴とする請求項3に記載の苗移植機。
  5. 走行車体(2)の後方に昇降リンク機構(3)を介して昇降自在に動作する苗植付装置(4)を備えると共に、
    前記昇降リンク機構(3)を昇降させる昇降油圧シリンダ(46)を配置し、
    走行車体(2)の後上部には植え付けた苗に肥料を供給する施肥装置(5)を備え、
    エンジン(20)からの外部取出動力を受け、前記苗植付装置(4)及び前記施肥装置(5)への動力を供給する植付クラッチ機構とを設け、
    更にこの植付クラッチ機構と前記施肥装置(5)の間に動力伝達のための施肥伝動機構(28)を備える苗移植機において、
    前記施肥装置(5)の下方に、施肥装置(5)を左右の傾斜姿勢に切り替える施肥傾斜装置(6)を備え、
    この施肥傾斜装置(6)が昇降動作の入切を変更する作動切替部材を含み、かつ、前記昇降リンク機構(3)の昇降動作に連動して昇降動作を行うことを特徴とする苗移植機。
  6. 走行車体(2)の後部に施肥装置(5)を支持する後部フレーム(42)を立設すると共に、
    前記施肥傾斜装置(6)が、前記後部フレーム(42)上部に回動自在に取り付けた傾斜フレーム(116)と、この傾斜フレーム(116)を含む平行リンク機構(117)とにより施肥装置(5)を昇降させる構成とし、
    前記昇降リンク機構(3)には、昇降油圧シリンダ(46)のピストン(46a)端部に接続する昇降受プレート(118)を備えると共に、
    この昇降受プレート(118)に連結リンクアーム(119)を接続し、
    前記作動切替部材を、前記連結リンクアーム(119)の上端に回動自在に設け、この連結リンクアーム(119)と傾斜フレーム(116)下端を結合する作動切替フック(120)とし、
    かつ、この作動切替フック(120)で連結状態とした場合に前記昇降リンク機構(3)の昇降動作に連動して傾斜フレーム(116)が回動し、前記施肥傾斜装置(6)が昇降動作を行うことを特徴とする請求項5に記載の苗移植機。
  7. 前記施肥装置(5)の繰出部(61)と、施肥伝動機構(28)との接続を入切する施肥クラッチ(121)を、前記施肥装置(5)の傾斜方向の回動支点(122)がある側に設け、
    前記施肥傾斜装置(6)が施肥装置(5)を傾斜姿勢にすると、
    前記施肥クラッチ(121)により繰出部(61)への動力が遮断されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の苗移植機。
  8. 走行車体(2)後部の左右両側に後輪(11)を配置し、
    この後輪(11)の外側に、軟質土壌で作業する際の駆動力を向上させる補助車輪(11a)を設け、
    施肥装置(5)の傾斜方向の回動支点(122)を、
    前記補助車輪(11a)よりも機体外側に位置させたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の苗移植機。
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