JP2013192504A - 苗移植機 - Google Patents

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龍之 鳥津
Satoru Kato
哲 加藤
Masaru Nomura
野村  勝
Hikari Osano
光 小佐野
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Abstract

【課題】圃場に肥料を正常に供給することが可能な苗移植機を提供すること。
【解決手段】リンク機構3の後側に配置された、苗を圃場に植え付ける苗植え付け装置4と、リンク機構3の昇降位置を検出する昇降検出センサ102と、苗植え付け装置の高さをリンク機構により変更する高さ調節機構25と、肥料貯蔵部60から肥料を圃場面に放出する放出通路62と、放出通路62の出口の前側に設けられた、圃場に溝を形成する作溝部材64と、走行車体の走行状態を検出する回転検出センサ104と、昇降検出センサによって、苗植え付け装置が苗植え付け作業を行う作業高さに位置していることが検出され、回転検出センサによって走行車体が停止状態であることが所定時間以上継続して検出されると、高さ調節機構を用いて前記リンク機構を上昇させ、苗植え付け装置を圃場面から離間させる制御部100とを備えた、苗移植機である。
【選択図】図1

Description

本発明は、苗移植機に関するものである。
苗移植機の構成としては、圃場に苗を植え付ける苗移植機と、圃場に肥料を供給する施肥装置と、施肥装置から供給される肥料が圃場に浸透しやすくするための溝を圃場面に形成する作溝器を備えているものが開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開2010−252638号公報 特開2011−011742号公報
しかしながら、苗植え付け装置への苗の補充作業や、施肥装置への肥料の補充作業、並びに機体外部から苗や肥料を機体上に補充作業する際には機体を停止させるが、このとき苗植え付け装置を下げた状態でいると、圃場面に近接する作溝器や施肥装置の施肥ホースの出口側に泥土が付着することがあり、泥土が施肥ホースの出口を塞ぐと肥料が圃場に供給されなくなる。
肥料が圃場に供給されていないことに作業者が気付かないと、肥料の供給が行われた部分と行われていない部分とで作物の生育に差がでてしまうので、収穫時期が乱れたり、収穫作業に要する労力が増大したりする問題がある。
また、途中で肥料供給がされていないことに作業者が気付いたとしても、肥料が供給されなかった区間には作業者が手作業で肥料を供給しなければならないので、作業者の労力が増大する問題がある。
本発明は、従来の苗移植機の課題を考慮し、圃場に肥料を正常に供給することが可能な苗移植機を供給することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後部に設けられた、昇降自在なリンク機構(3)と、
前記リンク機構(3)の後側に配置された、苗を圃場に植え付ける苗植え付け装置(4)と、
前記リンク機構(3)の昇降位置を検出する昇降検出センサ(102)と、
前記苗植え付け装置(4)の高さを前記リンク機構により変更する高さ調節機構(25)と、
圃場に供給する肥料が貯められる肥料貯蔵部(60)と、
前記肥料貯蔵部(60)から肥料を圃場面に放出する放出通路(62)と、
前記放出通路(62)の出口の前側に設けられた、圃場に溝を形成する作溝部材(64)と、
前記走行車体(2)の走行状態を検出する走行状態検出センサ(104)と、
前記昇降検出センサ(102)によって、前記苗植え付け装置(4)が苗植え付け作業を行う作業高さに位置していることが検出され、前記走行状態検出センサ(104)によって前記走行車体(2)が停止状態であることが所定時間以上継続して検出されると、前記高さ調節機構(25)を用いて前記リンク機構(3)を上昇させ、前記苗植え付け装置(4)を圃場面から離間させる制御部(100)とを備えたことを特徴とする苗移植機である。
請求項2に記載の本発明は、
前記苗植え付け装置(4)の接地を検知する接地検知装置(90)と、
前記接地検知装置(90)の反応感度を鈍感側と敏感側の間で調節し、前記高さ調節機構(25)の作動を開始する、前記接地検知装置(90)の検知量を調節する感度調節装置(150)と、
前記苗植え付け装置(4)に植え付け用の苗が積載されているか否かを検出する苗検出センサ(530)とを備え、
前記制御部(100)は、前記苗検出センサ(530)によって前記苗が積載されていないことが検出され、前記昇降検出センサ(102)によって、前記苗植え付け装置(4)が苗植え付け作業を行う作業高さに位置していることが検出され、前記走行状態検出センサ(104)によって前記走行車体(2)が走行状態であることが検出されると、前記感度調節装置(150)によって前記反応感度を前記敏感側に設定し、前記接地検知装置(90)の検知量が小さい場合でも高さ調節機構(25)を作動させる
ことを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
請求項3に記載の本発明は、
前記走行車体のエンジンの作動を検知するエンジン作動センサ(152)を備え、
前記制御部(100)は、前記エンジン作動センサ(152)が作動状態を検出しないときは、前記リンク機構(3)を上昇させて、前記苗植え付け装置(4)を圃場面から離間させることを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
請求項4に記載の本発明は、
前記走行車体(2)を後進させると、前記苗植え付け装置(4)を自動的に上昇させる後進上昇機構(74、151)と、
前記後進上昇機構(74、151)と、前記放出通路(62)の出口側部分(62a)を連結する連結部材(93)とを備え、
前記放出通路(62)の出口側部分(62a)は前後方向に回動自在に構成されており、
前記苗植え付け装置(4)を上昇させると、前記連結部材(93)の作用により前記出口側部分(62a)が後方に回動し、
前記苗植え付け装置(4)を下降させると、前記連結部材(93)の作用により前記出口側部分(62a)が前方に回動することを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
請求項5に記載の本発明は、
前記走行車体(2)の前後進、停止並びに走行速度を操作する走行操作レバー(74)と、
前記作溝部材(64)と前記走行操作レバー(74)を連結する連結部材(93)とを備え、
前記作溝部材(64)の底面(641)の後端部(641a)が上下方向に回動自在に構成されており、
前記走行操作レバー(74)が後進側に操作されると、前記連結部材(93)の作用により、前記作溝部材(64)の底面(641)の後端部(641a)が上方に回動し、
前記走行操作レバー(74)が中立側又は前進側に操作されると、前記連結部材(93)の作用により、前記作溝部材(64)の底面(641)の後端部(641a)が下方に回動することを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
請求項6に記載の本発明は、
前記走行車体(2)を後進させると、前記苗植え付け装置(4)を自動的に上昇させる後進上昇機構(74、151)と、
前記後進上昇機構(74、151)と、前記作溝部材(64)を連結する連結部材(93)とを備え、
前記作溝部材(64)の底面(641)の後端部(641a)が上下方向に回動自在に構成されており、
前記苗植え付け装置(4)を上昇させると、前記連結部材(93)の作用により、前記後端部(641a)が上方に回動し、
前記苗植え付け装置(4)を下降させると、前記連結部材(93)の作用により、前記後端部(641a)が下方に回動することを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
請求項7に記載の本発明は、
前記走行車体(2)の前後進、停止並びに走行速度を操作する走行操作レバー(74)と、
前記走行操作レバー(74)と、前記放出通路(62)の出口側部分(62a)を連結する連結部材(93)と備え、
前記放出通路(62)の出口側部分(62a)は、前後方向に回動自在に構成されており、
前記走行操作レバー(74)が後進側に操作されると、前記連結部材(93)の作用により、前記出口側部分(62a)が後方に回動し、
前記走行操作レバー(74)が中立側又は前進側に操作されると、前記連結部材(93)の作用により、前記出口側部分(62a)が前方に回動することを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
請求項1に記載の本発明によって、苗植え付け装置(4)が作業高さにある状態で走行車体(2)を所定時間以上停止させていると、自動的に苗植え付け装置(4)が上昇する構成としたことにより、放出通路(62)の出口側部分(62a)や作溝部材(64)が土中及び水中に入り込んだまま放置されることを防止出来るので、放出通路(62)や作溝部材(64)が泥詰まりを起こすことが防止され、肥料が供給されない区間の発生が防止される。これにより、肥料不足による作物の生育不良が防止され、作物の品質が向上すると共に、肥料が供給されていない区間に手作業で肥料を供給する作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
請求項2の本発明によって、請求項1の本発明の効果に合わせて、苗を積載せず、植え付け作業の下準備(圃場端の直進走行目安線の線引き作業)を行うとき、自動的に植え付け深さ調節機構(150)の感度が「敏感(軟)」側に切り替わる構成としたことにより、放出通路の出口側や作溝部材(64)に泥が詰まることを防止出来るので、肥料が確実に圃場に供給され、作物の育成が安定する。
請求項3の本発明によって、請求項1の本発明の効果に合わせて、エンジン作動センサ(152)が作動状態を検出しない状態、即ちエンジンを切ると苗植え付け装置(4)を上昇側に作動させる構成としたことにより、走行車体(2)を停止させると苗植え付け装置(4)の下部を自動的に圃場面から離間させることができるので、放出通路(62)や作溝部材(64)が泥詰まりを起こすことが防止され、肥料が供給されない区間の発生が防止される。
請求項4の本発明によって、請求項1の本発明の効果に合わせて、走行車体(2)を後進させると苗植え付け装置(4)が上昇し、この上昇に連動して放出通路(62)が回動して後退することにより、放出通路(62)が上昇する際に泥土に接触することを防止出来るので、放出通路の出口に肥料が滞留することが防止され、肥料が供給されない区間の発生が防止される。
また、苗植え付け装置(4)を下降させると放出通路(62)が自動的に前方回動するので、放出通路(62)の姿勢を戻し忘れることがなく、肥料の放出量が減少して十分な肥料供給が行われない区間の発生が防止されるため、作物の育成が安定する。
請求項5の本発明によって、請求項1の本発明の効果に合わせて、走行操作レバー(74)を後進側に操作すると苗植え付け装置(4)が上昇するが、作溝部材(64)の後端部(641a)が上方に回動することにより、機体の後進時に作溝部材(64)の後端部(641a)が泥土を押し上げることを防止できるので、押し上げた泥土が放出通路(62)の出口に詰まることが防止され、肥料が供給されない区間の発生が防止される。
また、走行操作レバー(74)を中立又は前進に移動させると、作溝部材(64)の後端部(641a)が自動的に下方に回動することにより、作溝状態に戻し忘れることがなく、圃場に確実に溝を形成して肥料を圃場に浸透させることができ、作物の育成が良好なものとなる。
請求項6の本発明によって、請求項1の本発明の効果に合わせて、走行車体(2)を後進させると苗植え付け装置(4)が上昇し、このとき作溝部材(64)の後端部(641a)が上方に回動することにより、機体の後進時に作溝部材(64)の後端部(641a)が泥土を押し上げることを防止できるので、押し上げた泥土が放出通路(62)の出口に詰まることが防止され、肥料が供給されない区間の発生が防止される。
また、苗植え付け装置(4)を下降させると、作溝部材(64)の後端部(641a)が自動的に下方に回動することにより、作溝状態に戻し忘れることがなく、圃場に確実に溝を形成して肥料を圃場に浸透させることができ、作物の育成が良好なものとなる。
請求項7の本発明によって、請求項1の本発明の効果に合わせて、
走行操作レバー(74)を後進側に操作すると苗植え付け装置(4)が上昇するが、この上昇に連動して放出通路(62)が回動して後退することにより、放出通路(62)が上昇する際に泥土に接触することを防止出来るので、放出通路の出口に肥料が滞留することが防止され、肥料が供給されない区間の発生が防止される。
また、走行操作レバー(74)を中立又は前進に移動させると、放出通路(62)が自動的に前方回動するので、放出通路(62)の姿勢を戻し忘れることがなく、肥料の放出量が減少して十分な肥料供給が行われない区間の発生が防止されるため、作物の育成が安定する。
本発明にかかる実施の形態における田植機の左側面図 本発明にかかる実施の形態における田植機の平面図 本発明にかかる実施の形態における田植機のフロートの近傍の側面図 本発明にかかる実施の形態における田植機の部分正面図 センターフロート55近傍の左側面模式図 本発明にかかる実施の形態の田植機の制御を示すブロック図 本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の制御を示すブロック図 本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の制御を示すブロック図 本発明にかかる実施の形態における施肥ホースの出口側部分の回動を示す側面図 本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機のフロート近傍の側面図 本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の作溝体の底面の後端部が下方に位置した状態を示す斜視図 本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の作溝体の底面の後端部が下方に移動した状態を示す斜視図 本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の正面図 本発明にかかる他の実施の形態における田植機のフロートの近傍の側面図 (a)本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の植え付けレバーを動作させるモータを示す正面図(b)本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の植え付けレバーを動作させるモータを示す側面図 (a)蓋を開いた状態の肥料ホッパの側面構成図(b)蓋を閉じた状態の肥料ホッパ60の側面構成図(c)アーム部材の上端近傍の拡大図 本発明にかかる実施の形態の第1ロータ及び第2ロータを駆動させるクラッチケースの構成図
本発明の苗移植機の一例としての田植機について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明にかかる実施の形態の乗用型の田植機1の左側面構成図である。図2は、本発明にかかる実施の形態の田植機1の平面構成図である。
図1及び図2に示す通り、この田植機1は、施肥装置付きの乗用型であり、走行車体2の後側にリンク機構3を介して植え付け装置4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10、10及び左右一対の後輪11、11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13、13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13、13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右の前輪10、10が各々取り付けられている。
又、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に、前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギアケース18、18がローリング自在に支持され、その後輪ギアケース18、18から外向きに突出する後輪車軸11aに後輪11、11が取り付けられている。この後輪ローリング軸に隣接して後輪11の回転数を検出する回転検出センサ104が設けられている。このような構造によって、後輪11が回転しても検出された回転数が安定する。
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13、13に伝達されて前輪10、10を駆動すると共に、残りが後輪ギアケース18、18に伝達されて後輪11、11を駆動する。また、ミッションケース12の右側面側より取り出された外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植え付けクラッチケースに伝達され、それから植え付け伝動軸26によって植え付け装置4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。エンジン20を冷却する冷却ファンはエンジン20の右側面にあって冷却風は機体右側から左側に排風される構成となっている。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10、10を操向操作するハンドル34が設けられている。フロントカバー32には、走行車体2の加減速を行うためのHSTレバー74が設けられている。
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の左右側には貫通孔が多数設けられた格子状部(図2参照)が形成されており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右前輪10、10を見通せることができて操縦が容易な構成となっていると共に、フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38、38
が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
リンク機構3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41、41を備えている。これら上リンク40及び下リンク41、41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に植え付け装置4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として植え付け装置4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ25が設けられており、昇降油圧シリンダ25を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、植え付け装置4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
次に、走行車体2の後側に設けられている植え付け装置4の構成について説明する。
本実施の形態における植え付け装置4は、6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50と、マット苗を載せて左右往復運動し苗を一株分ずつ各条の苗取り出し口51aに供給するとともに横一列分の苗を全て下方に移動させる苗送りベルト51bを有する苗載置台51と、苗載置台51の苗を圃場に植え付ける植え付け部52と、次工程における機体進路を圃場面に線引きする左右一対の線引きマーカ184が設けられている。又、各条の2つの苗送りベルト51bの間には、マット苗が存在しているか否かを検出する苗検出センサ530が設けられている。
植え付け部52は、条毎に設けられており、図2に示す通り、左側面側から第1植え付け部52a、第2植え付け部52b、第3植え付け部52c、第4植え付け部52d、第5植え付け部52e、第6植え付け部52fと符号を付す。尚、区別する必要のない場合には、植え付け部52と記載する。それぞれの植え付け部52では、回転プレート521に2つの植え付け爪522が配置され、回転プレート521が回転することにより、2つの植え付け爪522が交互に一株分の苗を植え付けていく。また、本実施の形態では、2つの植え付け部52の回転プレート521は、1つの回転軸101によって回転する。すなわち、右側面側の2つの第1植え付け部52a及び第2植え付け部52bは、第1回転軸101gによって回転し、中央側の2つの第3植え付け部52c及び第4植え付け部52dは、第2回転軸101hによって回転し、左側面側の2つの第5植え付け部52e及び第6植え付け部52fは、同じ第3回転軸101iによって回転する。
尚、上記第1植え付け部52a、第2植え付け部52b及び第1回転軸101gを含む部分を第1植え付け部組108gとし、第3植え付け部52c、第4植え付け部52d、及び第2回転軸101hを含む部分を第2植え付け部組108hとし、第5植え付け部52e、第6植え付け部52f、及び第3回転軸101iを含む部分を第3植え付け部組108iとする。
植え付け装置4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56、…がそれぞれ設けられている。
これらセンターフロート55、サイドフロート56、…を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート55及びサイドフロート56、56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に植え付け部52、…により苗が植付けられる。センターフロート55及びサイドフロート56、56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、詳しくは後述するが、植え付け作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎い角センサ(ポテンショメータ90)により検出され、該迎い角センサ(ポテンショメータ90)の検出結果に合わせて前記昇降油圧シリンダ25を制御する油圧バルブを切り替えて植え付け装置4を昇降させることにより、苗の植え付け深さを常に一定に維持する。
植え付け装置4には整地を行うための第1ロータ27aと、第2ロータ27bが取り付けられている。また、苗載置台51は植え付け装置4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65に支持されている。この支持枠体65は、支持ローラ65aと、両側辺部材65bとを有しており、苗載置台51が、支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする。
図3は、本実施の形態の田植機のフロートの近傍の側面図である。図1及び図3に示す通り、施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でセンターフロート55及びサイドフロート56、56の左右両側に取り付けた施肥ガイド63…まで導き、施肥ガイド63…の前側に設けた作溝体64、…によって苗植え付け条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
図3に示す通り、上記支持枠体65に施肥ホース62が固定フレーム94を介して固定されている。この固定フレーム94には、第1トルクスプリング91が配置されており、第1トルクスプリング91の一端91aが施肥ホース62に掛けられ、他端91bが固定フレーム94に掛けられている。この第1トルクスプリング91により、施肥ホース62の出口側部分62aは、前方に向かって回動するように付勢されている(矢印A参照)。そして、施肥ホース62の出口62bと固定フレーム94の間には、前側に向かって突起部92が設けられており、この突起部92に連結部材93の一端93aが固定されている。尚、連結部材93は、走行車体2のフレームに固定された筒状部材930の中に、移動可能にワイヤ部材931が配置されて構成されている。又、施肥ホース62の出口62bは、後側に向かって斜めに開口するように形成されている。
図4は、本発明にかかる実施の形態の田植機の部分正面図である。図4に示す通り、ハンドル34の右側には、HSTレバー74が設けられている。このHSTレバー74を、右側面側(R方向)に移動させると、走行車体2は後進する。HSTレバー74は、フロントカバー32内に回動支点74aを有している。そして、回動支点74aよりも下側である、HSTレバー74の下端には、上記連結部材93の他端93bが接続されている。
又、フロントカバー32の上部には、感度調整ダイヤル150が設けられている。詳しくは後述するが、この感度調整ダイヤル150は、センターフロート55に配置されているポテンショメータ90の感度を「敏感」から「鈍感」の間で調整するためのものである。
尚、図1に示すように、メインフレーム15の後部側には、HST23から植え付け装置4への駆動力を入切する植付クラッチ機構46を設けており、該植付クラッチ機構46は、HSTレバー74の側部に手動操作可能に設けた植付入切スイッチ74s(図4参照)の操作によって一括して入切される。
また、図2に示すように、作業者が搭乗する座席31の左右側方には、植付クラッチ機構46に内装された部分クラッチ機構(図示省略)を入切操作する部分条クラッチレバー19g、19h、19iが設けられており、該部分条クラッチレバー19h、19i、19gを操作すると対応する部分クラッチ機構が入切操作され、複数の植え付け部52のうち、二条毎に任意の植え付け部52を停止させることができ、圃場の大きさや形状に合わせて、苗の植え付けが不要な箇所では一部の植え付け部52の植え付け作動を停止させ、様々な作業条件への適応性を向上させている。
なお、本件出願は図1、図2で示す通り6条植えを行う田植機であるので、部分条クラッチレバー19g,19h,19iの三本としているが、4条植えの田植機であれば二本、8条植えの田植機であれば四本…と、機体の構成に合わせて増減させてもよい。
次に、センターフロートの構成について説明する。
又、図5は、センターフロート55近傍の左側面模式図である。
リンク機構3の縦リンク43から後方に延びた第1フロート支持フレーム(図示せず)が設けられおり、このフロート支持フレームは、図5に示す、フロート支持軸81と、第2フロート支持フレーム83に繋がっている。フロート支持軸81の下側には、後側支持杆84が回動軸84aを中心に上下方向に回動可能に配置されている。一方、センターフロート55の後部には、その平面に立設している後側支持部85が形成されており、後側支持部85に、後側支持杆84の下端が回動可能に支持されている。
フロート支持フレーム83の前端部には、前側支持杆89が上下方向に回動可能に設けられており、前側支持杆89の回動角度θを検出するためのフロートポテンショメータ90が設けられている。一方、センターフロート55の前部には、その平面に立設している前側支持部95が形成されており、前側支持部95に前側支持杆89の下端89aが回動可能に固定されている。このフロートポテンショメータ90の感度を調整する感度調整ダイヤル150がフロントカバー32の右側上部に設けられている(図2、図4参照)。
上記のとおり、センターフロート55は第1フロート支持フレーム、第2フロート支持フレーム83及びフロート支持軸81等によって支持されており、上述したようにセンターフロート55には、中央側に配置されている2つの作溝体64及び施肥ガイド63等が支持されている。
ここで、苗移植作業中、進むに従って圃場面が上昇している場合、θの角度が小さくなり、このフロートポテンショメータ90による角度θの情報が、制御部100に送信される。すると、制御部100は、昇降油圧シリンダ25を収縮制御し、リンク機構3を上昇させ、植え付け装置4を上昇させる。一方、圃場面が下降する場合、θの角度が大きくなり、このフロートポテンショメータ90による角度θの情報が、制御部100に送信される。すると、制御部100は、昇降油圧シリンダ25を伸張制御し、リンク機構3を下降させ、植え付け装置4を下降させる。上記のとおり制御することによって、苗の植え付け深さを一定に保つことが可能となる。
尚、感度調整ダイヤル150は、敏感側と鈍感側に回転させるダイヤルであり、フロートポテンショメータ90の感度を変更し、敏感側では、圃場面の高さの変化が小さくても敏感に反応して、植え付け装置4を上下動させる。一方、鈍感側では、圃場面の高さの変化が小さい場合、即ち細かい凹凸に対しては、植え付け装置4をあまり上下動させない構成とする。
又、上述したようにセンターフロート55の左右には、一対の作溝体64が設けられているが、左右のサイドフロート56のそれぞれにも、左右に一対の作溝体64が設けられている。
図6は、本発明にかかる実施の形態の田植機の制御を示すブロック図である。
図6に示す通り、本実施の形態の田植機には、リンク機構3の昇降位置を検出する昇降検出センサ102と、走行車体2の走行状態を検出する回転検出センサ104と、上記フロートポテンショメータ90と、これら昇降検出センサ102と回転検出センサ104の検出結果を受けて、昇降油圧シリンダ25を上下動させる制御部100が設けられている。この昇降検出センサ102は、ポテンショメータやスイッチ等で構成され、リンク機構3等に設けられている(図示せず)。
尚、本発明の高さ調節機構の一例は、本実施の形態の昇降油圧シリンダ25に対応し、本発明の肥料貯蔵部の一例は、本実施の形態の肥料ホッパ60に対応する。又、本発明の放出通路の一例は、本実施の形態の肥料ホース62に対応し、本発明の作溝部材の一例は、本実施の形態の作溝体64に対応する。又、本発明の走行状態検出センサの一例は、本実施の形態の回転検出センサ104に対応する。又、本発明の感度調節装置の一例は、本実施の形態の感度調整ダイヤル150に対応し、本発明の接地検知装置の一例は、本実施の形態のポテンショメータ90に対応する。
次に、本発明にかかる実施の形態の田植機の動作について説明する。
はじめに、本実施の形態の田植機が所定時間以上停止している場合について説明する。
本実施の形態の田植機では、昇降検出センサ102によって植え付け装置4が植え付け作業を行う位置、すなわち圃場面に配置されていることが検出され、回転検出センサ104によって走行車体2が停止状態であることが所定時間以上継続して検出されると、制御部100は、昇圧油圧シリンダ25を動作させてリンク機構3を上昇させて、植え付け装置4を圃場面から離間させる。この際、植え付け装置4を最高位置まで上昇させる必要はなく、少なくとも圃場面から離間させるだけ上昇させればよい。
このように制御することによって、停止して苗や肥料の補充を行い、再出発する際に、泥が施肥ガイド63等に詰まることが防止されるので、安定した施肥作業が実現できる。
安定した施肥作業が行われることにより、同じ圃場内で苗の成長に著しい差が生じることが防止され、作物の品質が安定すると共に、収穫時期が同じ時期になるので、計画的な作業が可能となる。また、施肥作業が行われなかった領域に手作業で肥料を供給する作業が不要となるので、作業者の労力の軽減が図られる。
尚、本発明の走行状態検出センサの一例は、本実施の形態の回転検出センサ104に対応するが、これに限らず、HSTレバー74の位置を検出するレバーポテンショメータが設けられており、このレバーポテンショメータによって走行車体2の走行状態が検出されてもよい。図7は、本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の制御を示すブロック図である。図7に示すように、レバーポテンショメータ151が設けられている。このレバーポテンショメータ151は、図4に示すHSTレバー74の根元部分等に設けられていればよい。
そして、昇降検出センサ102によって植え付け装置4が植え付け作業を行う位置に配置されていることが検出され、HSTレバー74の位置が停止状態の位置に所定時間以上あることがポテンショメータによって継続検知されると、制御部100は、昇圧油圧シリンダ25を動作させてリンク機構3を上昇させて、植え付け装置4を圃場面から離間させる。
図8は、本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の制御を示すブロック図である。図8に示すとおり、走行車体2の停止を検知する回転検出センサ104の代わりに、エンジン20の動作を検出するエンジン作動センサ152が設けられていてもよい。昇降検出センサ102によって植え付け装置4が植え付け作業を行う位置に配置されていることが検出され、エンジン作動センサ152によりエンジン20の作動状態が検出されないときは、制御部100は、昇圧油圧シリンダ25を動作させてリンク機構3を上昇させて、植え付け装置4を圃場面から離間させる。このとき、エンジン20のオフの際の惰性の動力を用いて昇圧油圧シリンダ25を動作させる方がより好ましい。
次に、枕地植え付けを最後に行う場合に、枕地植え付けの下準備作業を行う時について説明する。
枕地植え付けを最後に行う場合には、マット苗などを植え付け装置4に載せない空車走行にて、マーカ跡を付ける作業が行われることがある。ここで、苗検出センサ530によって苗が植え付け装置4に載置されていないことが検出され、昇降検出センサによって植え付け装置4が植え付け作業を行う作業高さに位置していることが検出され、更に回転検出センサ104によって走行車体2が走行状態であることが検出されると、制御部100は、自動的にポテンショメータ90の感度を敏感側に設定する。
この下準備作業の際に、ポテンショメータ90の感度が鈍感側に設定されている状態では、圃場の変化に対して植え付け装置4が鈍感にしか反応しないため、泥押しなどで施肥ホース62や施肥ガイド63の詰まりなどを起こす可能性がある。そこで、本実施の形態のように、制御部100の制御により自動的に敏感側に設定されることにより、施肥ホース62や施肥ガイド63への泥詰まりを防ぐことが出来、植え付け作業時に安定して肥料を供給することが出来る。
次に、植え付け動作を停止し、後進を行う際の動作について説明する。
植え付け装置4を昇降するための植え付け操作レバー(図示せず)が設けられており、この植え付け操作レバーを自動で動かすためのモータ(実施の形態2の図11参照)が設けられている。
植え付け装置4が作業位置(圃場面上)に配置されている状態で、HSTレバー74を後進側に操作すると、レバーポテンショメータ151からの信号を受信した制御部100は、モータを動作させて自動的に植え付け操作レバーを上昇側に移動させる。植え付け操作レバーの上昇側への移動により、昇降油圧シリンダ25が動作され、リンク機構3が上昇し、植え付け装置4が上昇する。このとき、HSTレバー74の後進側への操作により、HSTレバー74は、その回動支点74aを中心にして回動し、HSTレバー74の下端側に接続されているワイヤ部材931が押される。ワイヤ部材931が押されると、図3に示すようにワイヤ部材931のもう一方の端93aが、施肥ホース62と接続している突起部92を後方(矢印B方向)に押すことになる。図9は、本発明にかかる実施の形態における施肥ホースの出口側部分の回動を示す側面図である。図9に示すように、突起部92が後方に押されると、図9に示す通り、施肥ホース62の出口側部分62aは、固定フレーム94を中心に後方に回動し、出口62bが後方に回動する。回動した状態を実線で示すと共に、回動する前の状態を点線で示している。
この通り、植え付け動作を停止し、後進を行う際に施肥ホース62の出口62bを後方に向けて回動することにより、出口62bが施肥ホース62の内壁側へ移動するため、泥が入り難く、施肥ホース62の出口62bへの泥の詰まりを防止することが出来るので、肥料が確実に圃場に供給されるため、作物の生育が良好となると共に、手作業による肥料供給作業が不要となり、作業者の労力の軽減が図られる。
又、HSTレバー74を中立又は前進側(図4中矢印S参照)に移動させると、ワイヤ部材931が引かれるとともに、第1トルクスプリング91によって矢印A方向に付勢されているため、施肥ホース62は回動する前の状態に戻る。
尚、本実施の形態では、植え付け動作を停止し、後進を行った際に植え付け装置を上昇させる場合、施肥ホース62の出口62bを後方に回動させていたが、要するに泥が施肥ホース62の出口62bに詰まりさえしなければよく、例えば、以下に示すような構成であってもよい。
図10(a)は、本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機のフロート近傍の側面図である。図10(b)は、本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の作溝体の底面の後端部が下方に位置した状態を示す斜視図である。図10(c)は、本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の作溝体の底面の後端部が上方に移動した状態を示す斜視図である。
図10(a)に示す通り、本実施の形態の変形例の田植機の作溝体64は、その底面部が前端を中心にして上下方向に回動するように構成されている。尚、図10に示す施肥ホース62には突起部92、第1トルクスプリング91等が設けられていない。
詳しく説明すると、図10(a)〜(c)に示す変形例の田植機の作溝体64は、その底面部641と、底面部641の前端641fから上方に向かって形成された前端部642とを有している。前端641fには、底面部641及び前端部642の回動支点643が設けられている。この回動支点643には、第2トルクスプリング644が配置されており、第2トルクスプリング644の一端644aは、底面部641を上側から押圧するように配置され、第2トルクスプリング644の他端644bはフロートのフレーム645に、フレーム645を上側から押圧するように配置されている。このように第2トルクスプリング644を配置することによって、底面部641及び前端部642は、下方(矢印E方向)に向かって回動する方向に付勢されている。又、前端部642の上端には、連結部材93の一端93aが取り付けられている。
図11は、本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機の正面図である。本実施の形態と同様に、図11に示す田植機には、ハンドル34の左側にHSTレバー74が設けられており、このHSTレバー74のフロントカバー32内の下端には、連結部材93の他端93bが接続されている。図11に示す田植機では、実施の形態1と異なり、連結部材93の他端93bは、HSTレバー74に右側面側から接続されている。
次に、本実施の形態の田植機が植え付け動作を停止し、後進を行う際の動作について説明する。
植え付け装置4が作業位置(圃場面上)に配置されている状態で、HSTレバー74を後進側に操作すると、レバーポテンショメータ151からの信号を受信した制御部100は、昇圧油圧シリンダ25を動作し、リンク機構3を上昇させ、植え付け装置4を上昇させる。このとき、HSTレバー74の後進側への操作により、図11に示す通り、HSTレバー74は、その回動支点74aを中心にして回動し、HSTレバー74の下端側に接続されているワイヤ部材931が引かれる。ワイヤ部材931が引かれると、図10(b)に示すようにワイヤ部材931のもう一方の端93aが、前端部642の上端を前側に引っ張ることになる。すると、図10(c)に示す通り、前端部642及び底面部641が回動支点74aを中心に回動するため、底面部641の後端部641aが上方(矢印F)へ回動することになる。
このように、植え付け動作を停止し、後進を行う際に施肥ホース62の出口62bを後方に向けて回動することにより、後進する際に出来るだけ泥をすくい取らないようにして、作溝体64への泥の進入を防止可能な構造とすることが可能となる。
一方、HSTレバー74を中立又は前進側(矢印S方向)に移動させると、ワイヤ部材931によって底面部641は下方に回動するように押されると供に、第2トルクスプリング644の付勢力によって下方に回動するように付勢され、下方に回動し、作溝を行う状態に戻る。
このように、HSTレバー74を中立又は前進に移動させると、作溝体64の後部側641aが自動的に下方に回動することにより、作溝状態に戻し忘れることがなく、圃場に確実に溝を形成して肥料を圃場に浸透させることができ、作物の育成が良好なものとなる。
尚、上記図10(a)に示すような、作溝体64の後部側641aが回動する構成では、施肥ホース62の出口62bは、後側に向かって斜めに開口していなくてもよく、例えば、前側に向かって斜めに開口していても良い。
又、図3、図4及び図9の構成では、ワイヤ部材931を押すことによって、施肥ホース62の出口側部分62aが回動していたが、ワイヤ部材931を引くことによって、施肥ホース62の出口側部分62aが回動するように構成されていても良い。図12は、本発明にかかる他の実施の形態の田植機のフロート近傍の側面図である。図12に示す田植機では、図3の構成と異なり、後側に向かって突起部92が設けられており、この突起部92に連結部材93の一端93aが固定されている。一方、この場合の連結部材93の他端93bは、図11に示す構成のように、HSTレバー74に右側面側から接続されている。
次に、植え付け動作を停止し、後進を行う際の動作について説明すると、植え付け装置4が作業位置(圃場面上)に配置されている状態で、HSTレバー74を後進側(図11矢印R方向)に操作すると、レバーポテンショメータ151からの信号を受信した制御部100は、モータを動作させて自動的に植え付け操作レバーを上昇側に移動させる。植え付け操作レバーの上昇側への移動により、昇降油圧シリンダ25が動作され、リンク機構3が上昇し、植え付け装置4が上昇する。このとき、HSTレバー74の後進側への操作により、HSTレバー74は、その回動支点74aを中心にして回動し、HSTレバー74の下端側に接続されているワイヤ部材931が引かれる。ワイヤ部材931が引かれると、図12に示すようにワイヤ部材931のもう一方の端93aが、施肥ホース62と接続している突起部92を後方(矢印B方向)に引くことになる。すると、施肥ホース62の出口側部分62aは、固定フレーム94を中心に後方に回動する。
この通り、植え付け動作を停止し、後進を行う際に施肥ホース62の出口62bを後方に向けて回動することにより、出口62bが施肥ホース62の内壁側に移動するため、泥が入り難く、施肥ホース62の出口62bへの泥の詰まりを防止することが出来るので、肥料が確実に圃場に供給されるため、作物の生育が良好となると共に、手作業による肥料供給作業が不要となり、作業者の労力の軽減が図られる。
又、HSTレバー74を中立又は前進側(図4中矢印S参照)に移動させると、施肥ホース62を矢印A方向に押すととともに、第1トルクスプリング91によって矢印A方向に付勢されているため、施肥ホース62は回動する前の状態に戻る。
図4及び図11では、連結部材93の他端93bは、HSTレバー74に接続されていたが、それに限られなくても良い。例えば、図13(a)、(b)に示す通り、モータ200に連結部材93の他端が接続されていても良い。図13(a)は、本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機のモータ近傍の側面図である。図13(b)は、本発明にかかる実施の形態の変形例の田植機のモータ近傍の正面図である。このモータ200は、植え付け装置4を昇降するための植え付け操作レバー(図示せず)を自動で動かすために設けられている。
すなわち、田植機が植え付け動作を停止し、後進を行う場合、植え付け装置4が作業高さに位置した状態で、HSTレバー74を後進側に操作すると、制御部100はモータ200を動作させて植え付け操作レバーを自動的に上昇側に移動させ、植え付け装置4が上昇する。このモータ200の回転(図中矢印T参照)に伴って連結部材93の他端93bが引かれ、図10に示す一端93aが引っ張られ、作溝体64の底面部641の後端が上方に回動することになる。
又、植え付け操作レバーを下降側に移動させると、モータ200が逆回転することになり、底面部641に対して一端93aによる引く力がなくなり、第2トルクスプリング644の付勢力によって底面部641は下方に回動する。
尚、本発明の実施の形態で説明した施肥ホース62の回動に対して適用する場合には、植え付け操作レバーを上昇側に移動させるようにモータ200を回転させた時に、連結部材93が押されるように連結部材93の他端がモータ200に接続されていればよい。具体的には、図12(a)において、下側からモータ200に接続されていればよい。
又、このHSTレバー74及びモータ200が、本発明の後進上昇機構に対応するが、このような構成に限らず、連結部材93の他端93bは、リンク機構3の上部リンクに接続されていてもよい。
次に、肥料ホッパ60の構成について説明する。
図14(a)は、蓋を開いた状態の肥料ホッパ60の側面構成図である。図14(b)は、蓋を閉じた状態の肥料ホッパ60の側面構成図である。図14(a)、(b)に示す通り、肥料ホッパ60は、本体601と、本体601の上部の蓋602とを備えている。蓋602は、本体601の後端上部に支点602aを有し、開閉自在に構成されている。蓋602の上側の後部には、突部603が形成されている。そして、突部603には、湾曲されたアーム部材604の一端が回動自在に接続されており、アーム部材604の他端は、スプリング605の上端と接続されている。このスプリング605の下端は、本体601の後側の下部分に接続されている。
また、スプリング605の上部の拡大図である図14(c)に示すように、アーム部材604のスプリング605の上側には、ストッパ606が設けられており、蓋602の開度を調整することが出来る。図14(c)に示すストッパ606は、ネジ式であり、上下移動可能に構成されており、スプリング605に近づける場合(矢印G方向参照)、蓋602の開度は小さくなり、ストッパ606をスプリング605から遠ざける場合(矢印H方向参照)、蓋602の開度は大きくなる。
従来は、トルクスプリングで蓋を上げる方向に押し上げ、ワイヤ等で止めていたが、トルクスプリングの力が必要の無いときにも作用し続けているので、蓋が開いた時に戻り、閉じた時に開いたりすることがあり、肥料の補充や苗の植付作業が始められず、作業能率が低下する問題がある。
また、肥料ホッパ60内に水が入り込み、肥料が塊になって施肥ホッパから出なくなり、施肥作業が行われない区間が発生し、肥料不足による作物の生育不良や、作業者が手作業で肥料を供給する必要が生じ、余分な労力が必要となる問題がある。
さらに、肥料ホッパ60内の肥料を風が吹き飛ばしてしまい、肥料の消費量が増加すると共に、圃場に肥料が偏って供給され、肥料の無駄が生じると共に、肥料過多による作物の品質の低下が生じる問題がある。
これに対して、図14(a)〜(c)に示す構成では、蓋602が閉まっている状態では、アーム部材604が支点602aを越えるように配置されているため、スプリング605の付勢力によって蓋602が下方に向かって押さえ付けられることになり不用意に蓋602が開かない。一方、蓋602が開いている状態では、支点602aよりも後側に突部603が位置することになり、突部603が下方に引っ張られる。このように、スプリング605の付勢力によって蓋602は、その支点602aよりも後端の突部603が下方に付勢されることになり、開いたときに戻らないようにすることが可能となる。
上記構成としたことにより、肥料を肥料ホッパ60内に補充する時には確実に蓋を開け、苗の植付作業を始めるときには確実に蓋を閉めることができるので、作業に滞りが生じなくなり、作業能率が向上する。
また、雨天時等に肥料ホッパ60内に水が浸入し、肥料が塊になって圃場に供給されなくなることを防止できるので、圃場に必要量の肥料を確実に供給することができるので、作物の生育不良が防止されると共に、手作業で肥料を供給する作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
さらに、肥料ホッパ60内の肥料が風に飛ばされることを防止できるので、無駄な肥料の発生が防止されると共に、圃場に肥料が偏って供給されることが防止されるため、肥料過多による作物の品質低下が防止される。
図15は、第1ロータ27a及び第2ロータ27bを駆動させるクラッチケース300の構成図である。図15に示す通り、後輪駆動シャフト301が設けられており、後輪駆動シャフト301には、クラッチケース300の側面に配置された第1固定部302と、第1ネジ部303と、移動する第1移動プーリ304と、固定されている第1固定プーリ305が設けられている。そして、第1移動プーリ304と第1ネジ部303の間には第1スプリング306が設けられている。そして、第1ネジ部303の第1ギア部307を移動させる第1モータ部308が設けられている。この第1モータ部308は第1モータ308aとモータの第2ギア308bとを有している。
又、第1ロータ27a及び第2ロータ27bを駆動させるロータ駆動シャフト351が設けられている。そして、後輪駆動シャフト301側と同様に、第2固定部352と、第2ネジ部353と、第2移動プーリ354と、第2固定プーリ355と、第2スプリング356と、第2ギア部357、が設けられており、第2モータ部358は、第2モータ358aと、第2ギア358bを有している。そして、第1固定プーリ305及び第1移動プーリ304と、第2固定プーリ355及び第2移動プーリ354の間に、ベルト360が捲き掛けられている。
第1モータ部308及び第2モータ部358によって第1ギア部307および第2ギア部357を移動させ、第1スプリング306及び第2スプリング357をかいして第1移動プーリ304及び第2移動プーリ354を連動させ、プーリの開度を変更することによって、第1ロータ27a及び第2ロータ27bの回転数を変更することが可能となる。第1モータ部308及び第2モータ部358は連動して作動し、車速と油圧感度によって変更される。
従来は、第1ロータ27a及び第2ロータ27bの回転数は車速連動になっているので、高速にすると第1ロータ27a及び第2ロータ27bも高速になるため、ロータへの負荷が大きくなっていた。そこで、図15に示す通り、ロータの回転速度を、車速と油圧感度により変更出来るので、感度を鈍感側にした時、車速を速くしてもロータの回転数を下げることが出来るので、ロータへの負荷が少なくなり破損を防ぐことが可能となる。
又、本実施の形態では、作溝体64は三角錐形状に形成されており、これにより圃場との接触面積が小さくなり、溝を切る際に生じる抵抗が小さくなり、直進性が向上する。
又、接触面に近づくほど細くなるので、泥土を押しにくくなり、泥土で植え付け苗を押し倒すことが防止され、苗を植え直す作業が不要になる。
又、本実施の形態では、作溝体64の上面とフロートの下面とを略同じ高さにしたことにより、作溝体がフロートの下部に突出するので、フロートの下面に凹凸がなくなり、整地性や接地性が向上する。
本発明の苗移植機は、圃場に肥料を正常に供給することが可能な効果を有し、田植機等として有用である。
1 田植機
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 植え付け装置
5 施肥装置
10 前輪
11 後輪
12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース
15 メインフレーム
18 後輪ギアケース
20 エンジン
21 ベルト伝動装置
26 植え付け伝動軸
28 施肥伝動機構
30 エンジンカバー

Claims (7)

  1. 走行車体(2)と、
    前記走行車体(2)の後部に設けられた、昇降自在なリンク機構(3)と、
    前記リンク機構(3)の後側に配置された、苗を圃場に植え付ける苗植え付け装置(4)と、
    前記リンク機構(3)の昇降位置を検出する昇降検出センサ(102)と、
    前記苗植え付け装置(4)の高さを前記リンク機構により変更する高さ調節機構(25)と、
    圃場に供給する肥料が貯められる肥料貯蔵部(60)と、
    前記肥料貯蔵部(60)から肥料を圃場面に放出する放出通路(62)と、
    前記放出通路(62)の出口の前側に設けられた、圃場に溝を形成する作溝部材(64)と、
    前記走行車体(2)の走行状態を検出する走行状態検出センサ(104)と、
    前記昇降検出センサ(102)によって、前記苗植え付け装置(4)が苗植え付け作業を行う作業高さに位置していることが検出され、前記走行状態検出センサ(104)によって前記走行車体(2)が停止状態であることが所定時間以上継続して検出されると、前記高さ調節機構(25)を用いて前記リンク機構(3)を上昇させ、前記苗植え付け装置(4)を圃場面から離間させる制御部(100)とを備えたことを特徴とする苗移植機。
  2. 前記苗植え付け装置(4)の接地を検知する接地検知装置(90)と、
    前記接地検知装置(90)の反応感度を鈍感側と敏感側の間で調節し、前記高さ調節機構(25)の作動を開始する、前記接地検知装置(90)の検知量を調節する感度調節装置(150)と、
    前記苗植え付け装置(4)に植え付け用の苗が積載されているか否かを検出する苗検出センサ(530)とを備え、
    前記制御部(100)は、前記苗検出センサ(530)によって前記苗が積載されていないことが検出され、前記昇降検出センサ(102)によって、前記苗植え付け装置(4)が苗植え付け作業を行う作業高さに位置していることが検出され、前記走行状態検出センサ(104)によって前記走行車体(2)が走行状態であることが検出されると、前記感度調節装置(150)によって前記反応感度を前記敏感側に設定し、前記接地検知装置(90)の検知量が小さい場合でも高さ調節機構(25)を作動させる
    ことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
  3. 前記走行車体のエンジンの作動を検知するエンジン作動センサ(152)を備え、
    前記制御部(100)は、前記エンジン作動センサ(152)が作動状態を検出しないときは、前記リンク機構(3)を上昇させて、前記苗植え付け装置(4)を圃場面から離間させることを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
  4. 前記走行車体(2)を後進させると、前記苗植え付け装置(4)を自動的に上昇させる後進上昇機構(74、151)と、
    前記後進上昇機構(74、151)と、前記放出通路(62)の出口側部分(62a)を連結する連結部材(93)とを備え、
    前記放出通路(62)の出口側部分(62a)は前後方向に回動自在に構成されており、
    前記苗植え付け装置(4)を上昇させると、前記連結部材(93)の作用により前記出口側部分(62a)が後方に回動し、
    前記苗植え付け装置(4)を下降させると、前記連結部材(93)の作用により前記出口側部分(62a)が前方に回動することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
  5. 前記走行車体(2)の前後進、停止並びに走行速度を操作する走行操作レバー(74)と、
    前記作溝部材(64)と前記走行操作レバー(74)を連結する連結部材(93)とを備え、
    前記作溝部材(64)の底面(641)の後端部(641a)が上下方向に回動自在に構成されており、
    前記走行操作レバー(74)が後進側に操作されると、前記連結部材(93)の作用により、前記作溝部材(64)の底面(641)の後端部(641a)が上方に回動し、
    前記走行操作レバー(74)が中立側又は前進側に操作されると、前記連結部材(93)の作用により、前記作溝部材(64)の底面(641)の後端部(641a)が下方に回動することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
  6. 前記走行車体(2)を後進させると、前記苗植え付け装置(4)を自動的に上昇させる後進上昇機構(74、151)と、
    前記後進上昇機構(74、151)と、前記作溝部材(64)を連結する連結部材(93)とを備え、
    前記作溝部材(64)の底面(641)の後端部(641a)が上下方向に回動自在に構成されており、
    前記苗植え付け装置(4)を上昇させると、前記連結部材(93)の作用により、前記後端部(641a)が上方に回動し、
    前記苗植え付け装置(4)を下降させると、前記連結部材(93)の作用により、前記後端部(641a)が下方に回動することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
  7. 前記走行車体(2)の前後進、停止並びに走行速度を操作する走行操作レバー(74)と、
    前記走行操作レバー(74)と、前記放出通路(62)の出口側部分(62a)を連結する連結部材(93)と備え、
    前記放出通路(62)の出口側部分(62a)は、前後方向に回動自在に構成されており、
    前記走行操作レバー(74)が後進側に操作されると、前記連結部材(93)の作用により、前記出口側部分(62a)が後方に回動し、
    前記走行操作レバー(74)が中立側又は前進側に操作されると、前記連結部材(93)の作用により、前記出口側部分(62a)が前方に回動することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015139374A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 井関農機株式会社 苗移植機
JP2015173636A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 ヤンマー株式会社 田植機

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