本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。図1から図3は、本発明の作業機の一実施例である乗用型田植機の側面図、平面図と正面図である。なお、図2に開示されている田植機は4条植えの構成であるが、本構成を4条未満の田植機、並びに5条以上の田植機に用いても構わない。
また、図3は主として左右の予備苗枠38,87を装着した状態を示すものであり、煩雑化を避けるべく、苗植付部4等を省略した図面としている。そして、本願構成における各制御に関する部品同士の関係を、図10のブロック図で説明している。
この乗用型田植機は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4を昇降可能に設け、該走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分を配置している。そして、該走行車体2の前部にミッションケース12を設け、該ミッションケース12の左右側方にそれぞれ前輪ファイナルケース13,13を設けると共に、該左右の前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右の前輪車軸14に駆動輪である左右一対の前輪10,10を設ける。
また、前記ミッションケース12の背面部に機体のメインフレーム15の前端部を固着し、該メインフレーム15の後端部で且つ左右方向中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸(図示省略)を支点として左右の後輪ギアケース18,18をローリング自在に設け、該後輪ギアケース18,18から外側方向に向けて突出させた左右の後輪車軸18a,18aにそれぞれ後輪11,11を軸着する。
さらに、前記メインフレーム15の上部で且つ、機体の前後及び左右方向の略中央位置にエンジン20を設け、該エンジン20の駆動力をベルト伝動装置21及び油圧式無段変速装置(HST)23を介して前記ミッションケース12に伝動する構成とする。そして、前記ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ミッションケース12に内装するトランスミッション(図示省略)により変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
これにより、走行駆動力の一部が前記左右の前輪ファイナルケース13,13に伝達されて左右の前輪10,10を回転駆動させると共に、残りの走行駆動力は前記左右の後輪ギアケース18,18に伝達されて左右の後輪11,11を回転駆動させる。
また、外部取出動力は、前記走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、該植付クラッチケース25から植付伝動軸26を経由して苗植付部4へ伝動されると共に、施肥伝動機構(図示省略)を経由して前記施肥装置5に伝動される。
前記メインフレーム15の上部に、該メインフレーム15を覆う平坦なフロアステップ35を前記エンジン20を避けて設け、該フロアステップ35上で且つエンジン20の外周に、エンジン20を覆うエンジンカバー30を設ける。該エンジンカバー30は前側下部を回動支点として回動可能に構成すると共に、上部に作業者が着座する作業座席31を装着する。
そして、該作業座席31よりも機体前側で且つフロアステップ35上に、本件作業車両の各種作業機構を内装するボンネット32を設け、該ボンネット32の上部に各作業部の設定を変更操作するスイッチ類を配置する操作パネル33と、作業者が前記左右の前輪10,10を操舵するハンドル34を設ける。
また、前記フロアステップ35のうち、作業座席31の左右両側は格子状に形成し、フロアステップ35上を異動する作業者の足等に付着した泥土が圃場に落下する構成としている。そして、前記フロアステップ35の後部には、前記左右の後輪11,11のフェンダを兼ねるリアステップ36,36を設ける。
さらに、図1から図3で示すとおり、前記走行車体2の右前側に支柱37を設け、該支柱37に補充用の苗を載置する予備苗載せ台38a…を上下方向に複数、本件では図1で示すとおり上段側の第1予備苗載せ台38a1と下段側の第2予備苗載せ台38a2の2つを設けて、固定側の予備苗枠38を構成する。
一方、図3から図5で示す通り、前記走行車体2の左前側には、機体の前側フレーム15aから機体右側に向かう途中から上方に向かって屈曲する前側支柱83aと、前記フロアステップ35の左前側に設ける後側支柱83bを設け、該前側支柱83aと後側支柱83bの上部に扇形状の下部支持板83cと円状の上部支持板83dを重ねて設ける。そして、該円状の上部支持板83dに取付フレーム84を共に回転自在に設け、該取付フレーム84の機体内側部に下段アーム85aを前側傾斜姿勢で取り付けると共に、機体外側方向に向かって突出する前後の下側苗枠アームを取り付ける。
また、該下段アーム85aの前部に、後下側に突出する屈曲形状の前側リンクアーム85cを前後方向に回動自在に設けると共に、下段アーム85aの後側に、前上側に突出する屈曲形状の後側リンクアーム85dを前後方向に回動自在に設ける。さらに、前側リンクアーム85cと後側リンクアーム85dの上端部に上段アーム85bを前側傾斜姿勢で取り付け、該上段アーム85bから機体外側方向に向かって突出する前後の上側取付アームを取り付ける。前記下段アーム85aと上段アーム85bとは、上下方向に重なり合う位置に配置する。
前記前後の下側取付アームと上側取付アームには、それぞれ補充用の苗を載置する上段側の第1予備苗載せ台38a1と、下段側の予備苗載せ台38a2をボルト等の固定部材で取り付ける。
上記の通り構成することにより、前後のリンクアーム85c,85dを前方に向かって回動させると、第1予備苗載せ台38a1が機体前側に突出すると共に、第2予備苗載せ台38a2が機体後側に位置する展開形態とすることができると共に、前後のリンクアーム85c,85dを後方に向かって回動させると、第1予備苗載せ台38a1と第2予備苗載せ台38a2が上下方向に重なり合う積層形態とすることのできる、回動式の予備苗枠87が構成される。
そして、前記上段アーム85bの前端部で且つ第1予備苗載せ台38a1から機体内側に離間する位置に、棒材をループ状に形成した前側の操作グリップ86aを設け、前記上段アーム85bの後端部で且つ第1予備苗載せ台38a1から機体内側に離間する位置に、樹脂製の後側の操作グリップ86bを設ける。さらに、前記下段アーム85aの後部側に、積層状態としたときの後側のリンクアーム85dの回動を規制して作業者の操作によらない可動式予備苗輪枠87の積層形態から展開形態への変形を防止する、円弧形状のロック装置88を回動自在に設ける。
上記構成としたことにより、圃場の外周部に水路が形成されているなど、圃場内まで移動するか、圃場外から圃場内に身を乗り出さないと苗や肥料袋の補充が容易に行えない作業条件であっても、可動式予備苗枠87の上段の第1予備苗載せ台38a1を前方に移動させ、積層形態から展開形態に切り替えることにより、少なくとも第1予備苗載せ台38aの前後長さの分、圃場外に突出させることができるので、圃場外からの苗や肥料袋の積み込みが容易になり、作業能率が向上すると共に、作業者が圃場内に入り込んだり、無理な姿勢で苗や肥料袋を走行車体2に積み込んだりする作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
また、ロック装置88を回動自在に設け、積層状態としたときに後側リンクアーム85dに接触して回動を規制する構成としたことにより、作業中に生じる振動で前後のリンクアーム85c,85dが前方に回動することを防止することができるので、作業者が意図しない積層形態から展開形態への変形が生じることがなく、第1及び第2の予備苗載せ台38a1,38a2に積載した苗が落下することが防止され、苗を拾い直す作業が不要となり、作業能率が控除すると共に、落下の際に苗が傷付くことが防止され、苗が生育不良を起こすことが防止される。
そして、上段アーム85bの前端部に前側の操作グリップ86aを設けたことにより、圃場外の作業者が可動式予備苗枠87を積層形態から展開形態、あるいは展開形態から積層形態に切替操作する際、手を大きく伸ばすことなく作業することができるので、作業能率が向上する。
また、上段アーム85bの後端部に後側の操作グリップ86bを設けたことにより、走行車体2上の作業者が可動式予備苗枠87を積層形態から展開形態、あるいは展開形態から積層形態に切替操作する際、手を大きく伸ばすことなく作業することができるので、作業能率が向上する。
さらに、前後の操作グリップ86a,86bはいずれも上段の第1予備苗載せ台38a1から機体内側に離間する位置に設けられていることにより、前後の操作グリップ86a,86bを作業者が掴む際、苗や苗の栽培土に手が触れることを防止できるので、苗が握り潰されて無駄になる苗の発生が抑えられると共に、苗の破片や土が作業者の手に付着することが防止され、作業者が不快感を覚えることなく作業を継続することができる。
図2及び図3で示すとおり、前記走行車体2及びボンネット32の前側で且つ左右方向の中央位置に畦越えアーム39を設け、該畦越えアーム39の上端部に、前後方向に回動自在にセンターマスコット40aを取り付ける。そして、該畦越えアーム39には、緊急停止スイッチ40bを設ける。
さらに、図1で示す通り、前記メインフレーム15の後端部で且つ左右中央位置に上下方向の支持フレーム41を設け、該支持フレーム41に上下一対の昇降リンクアーム42,42の基部を平行に配置する。そして、該昇降リンクアーム42,42の端部を苗植付部4のリンクフレーム43に取り付けて平行リンクとし、前記メインフレーム15と支持フレーム41に亘って昇降シリンダ44を伸縮自在に取り付ける。該昇降シリンダ44が伸びると苗植付部4が下降し、縮むと苗植付部4が上昇する構成とする。なお、該昇降シリンダ44は、メインフレーム15に設ける油圧バルブ44aの開閉により伸縮する構成とする。
また、図1及び図2で示すとおり、前記リンクフレーム43に伝動ケース45を設け、該伝動ケース45の前側上部に植付部フレーム46を上下方向に配置する。該植付部フレーム46の上端部には受けローラ47を回転自在に設け、該受けローラ47と伝動ケース45の後部で複数の苗を載置する苗タンク48を支持する。該苗タンク48には、苗を仕切る苗フェンス49を等間隔に設け、苗タンク48の上端部には、苗を一対の苗フェンス49,49の左右間に案内する苗ガイド50を1条ごとに設ける。
なお、一対の苗フェンス49,49はその左右間隔は約30cmとし、苗ガイド50の左右幅もこの左右間隔と同じ約30cmとすると、苗が苗タンク48にずれることなく案内されやすくなる。
そして、前記苗タンク48の下端部には、苗を受け止める側面視L字形状の苗受け板51を固定すると共に、苗タンク48の機体前部には、苗を下方に送り出す苗送り装置52,52を、1条につき左右一対配置する。該苗送り装置52,52の左右間には、積載される苗に押され、苗が減少して押されなくなると苗の補充時期が近い、即ち苗が減少していることを検知する苗減少センサ52aを各々設ける。さらに、前記伝動ケース45の後側下部に複数の、本件では図2で示すとおり2つの植付伝動ケース53,53を設け、該植付伝動ケース53の左右両側に、2つの植込稈54,54を備える植付ロータリ55をそれぞれ配置する。
なお、前記伝動ケース45は、植付伝動ケース53,53に駆動力を供給するだけでなく、苗タンク48を左右方向に移動させる摺動装置(図示省略)も駆動している。この摺動装置の駆動によって苗タンク48が左右端に到着すると、苗送り装置52,52を所定距離に亘って作動させるスイッチ(図示省略)が入る構成とする。
また、前記植付部フレーム46の下部で且つ左右中央部に回動支持アーム56を上下方向に回動自在に設け、左右両側部にフロート支持アーム(図示省略)を設ける。該回動支持アーム56の下部に圃場に接触して滑走するセンターフロート57Cを設け、左右のフロート支持アームの下部に圃場に接触して滑走するサイドフロート57L,57Rをそれぞれ設ける。そして、該センターフロート57Cの取付部にポテンショメータ58を設け、該ポテンショメータ58の検知するセンターフロート57Cの角度に合わせて前記油圧バルブ44aを微細に開閉し、昇降シリンダ44を微細に伸縮させる構成とする。
さらに、前記植付部フレーム46の上部側に一対のロータリンクアーム59,59を設け、該ロータリンクアーム59,59の一方にロータ吊下アーム60を伸縮自在に設けると共に、ロータリンクアーム59の他側にロータ支持アーム61を設ける。なお、ロータ支持アーム61は、左右に1本ずつ設ける。
そして、機体右側の後輪ギアケース18の後部に後側下方に向けてロータ伝動軸62の基部を設け、該ロータ伝動軸62の端部をロータ伝動ケース(図示省略)を設ける。該ロータ伝動ケースの右側に、右側のサイドフロート57Rの前側の圃場面を回転しながら均す右側のサイドロータ63Rを設け、ロータ伝動ケースの左側に、前後方向の接続伝動ケース64Rの後部側を設ける。
さらに、該右側の接続伝動ケース64Rの前部側に、センターフロート57Cの前側の圃場面を回転しながら均すセンターロータ63Cの右側端部を連結し、該センターロータ63Cの左側端部を左側の接続伝動ケース64Lの前部側に設けると共に、該左側の接続伝動ケース64Lの後部側に左側のサイドフロート57Lの前側の圃場面を回転しながら均す左側のサイドフロート57Lを設ける。
さらに、前記センターロータ63Cの上部を覆うセンターロータカバー65Cを左右の接続伝動ケース64L,64Rの左右間に亘って設け、左右の接続伝動ケース64L,64Rの後部側に左右のサイドロータ63L,63Rの上部を覆うサイドロータカバー65L,65Rを設けることにより、整地ロータユニット66が構成される。
上記構成により、センターロータ63C及び左右のサイドロータ63L,63Rで圃場面を均した後をセンターフロート57C及び左右のサイドフロート57L,57Rが接地しながら移動することができるので、植込稈54…で圃場に植え付ける苗の深さが一定に保たれるため、苗の生育が安定する。
また、センターフロート57Cの上下角度に合わせて苗植付部4が微細に昇降する構成となっているが、センターロータ63C及び左右のサイドロータ63L,63Rで圃場面を均しているため、センターフロート57Cの角度変化が過度に発生することが防止され、大きな圃場の凹凸があるときのみ苗植付部4が上下動するため、いっそう苗の植付精度が向上する。
さらに、センターロータ63C及び左右のサイドロータ63L,63Rの上部をセンターロータカバー65C及びサイドロータカバー65L,65Rで覆うことにより、センターロータ63C及び左右のサイドロータ63L,63Rが圃場の泥土を跳ね上げても、この泥土が周辺に飛散することを防止できるので、機体や作業者が泥土で汚れることが防止される。
図6で示すとおり、前記ミッションケース12には、前記無段変速装置23から駆動力を伝動する入力ギア機構100と、ボンネット32の下部に設ける副変速レバー92の操作により走行伝動を切り替える副変速ギア機構101と、該副変速ギア機構101から入力される駆動力を前記左右の前輪ファイナルケース13,13と走行伝動下手側に分岐させる分岐ギアケース102と、該分岐ギアケース102から駆動力を前記左右の後輪ギアケース18a,18aに伝動する左右のドライブシャフト103,103と、前記分岐ギアケース102と左右のドライブシャフト103,103の前後間に、左右のドライブシャフト103,103への駆動力に抵抗をかけて減速させると共に、駆動力の伝動を遮断する、左右のクラッチブレーキ機構104,104を設ける。
該左右のクラッチブレーキ機構104,104は、前記分岐ギアケース102から駆動力を受ける入力ギア105によって回転する伝動回転軸106の左右両側にブレーキステー107,107を固定して設け、サイドクラッチ108,108を左右方向に摺動自在に設け、該ブレーキステー107,107とサイドクラッチ108,108の間にサイドクラッチ108,108を機体外側に付勢する付勢スプリング109,109を設けると共に、複数の板バネで構成するブレーキ板110,110を設けて構成する。
なお、前記分岐伝動ケース102は、デファレンシャルギア機構を内装し、フロアステップ35に設けるデフロックペダルを操作すると、左右の前輪10,10の回転を同調させる構成とする。
そして、前記左右のサイドクラッチ108,108の機体外側方には、回動するとサイドクラッチ108,108を機体内側に摺動させてブレーキ板110,110を構成する板バネの間隔を縮めて前記左右のドライブシャフト103,103の回転速度を減速させると共に、サイドクラッチ108,108を切状態にして左右のドライブシャフト103,103への駆動力の伝動を遮断する減速停止カム111,111を回動自在に設ける。
さらに、該左右の減速停止カム111,111を回動させるシリンダモータ112,112を各々配置し、ブレーキペダル93,93を操作すると該左右のシリンダモータ112,112の左右どちらか一方、あるいは両方が作動して減速停止カム111,111を回動させる構成とする。左右に分割し、両方に操作を検知するブレーキセンサ93a,93aを各々設けると共に、分割されたペダルの左右どちらか一方の操作に他方を連動させる連結部材93bを設けることにより、上記の構成が達成される。
なお、上記のブレーキペダル93,93は足踏み式であるが、レバー等を用いて手動操作する構成としてもよい。
また、前記ボンネット32の上部には、無段変速装置23の出力を切替操作する走行操作レバー113と、苗植付部4の昇降操作及び植付クラッチ25aを入切操作する植付操作レバー114を設ける。そして、該走行操作レバー113の操作位置を検知する操作位置スイッチ115を設ける。該操作位置スイッチ115は走行操作レバー113と接触することにより位置を検知するものであり、少なくとも中立を検知するものとする。前進、後進を検知するときは、一つの操作位置スイッチ115に複数の検知箇所を形成するか、あるいは操作位置スイッチ115を複数配置する。
前記操作位置スイッチ115が検知する走行操作レバー113の操作位置が中立であるとき、前記左右のシリンダモータ112,112は、ブレーキペダルの操作にかかわらず作動して減速停止カム111,111を回動させ、左右のサイドクラッチ108,108を切状態として走行車体2の走行速度を減速させると共に、走行を停止させる。
上記構成では、中立から前進方向に走行操作レバー113を操作すると、無段変速装置23の出力が伝動されても、左右のシリンダモータ112,112が減速停止カム111,111を回動させてサイドクラッチ108,108を入状態にすると共に、ブレーキ板110,110の板バネ同士が左右方向に離間し始めるまでは走行を開始しない。
このとき、前記左右のシリンダモータ112,112の作動速度を、走行車体2が走行可能になるまでに前記植付ロータリ55が苗を一株植え付けられるものとすると、走行開始時にその場で苗を一株植え付けてから走行が開始されるので、苗の植付開始位置を別の作業条の苗の植付開始位置、及び植付終了位置と揃えることができ、苗の植付精度が向上する。
なお、上記のその場植付は、植付操作レバー114により植付クラッチ25aが入状態であるときに作動するものである。
また、田植機での植付作業後に作業者が手作業で苗を植え付ける、所謂補植作業が不要になるので、作業の要する時間と労力が軽減される。
上記のその場で苗を植え付けてから走行を開始する作業において、図11のフローチャートで示すとおり、左右のシリンダモータ112,112の作動速度は圃場内の作業場所によって異なると共に、作業条件によっては走行開始してから植付が開始される方が植付精度が高くなることがあるので、ボンネット32に左右のシリンダモータ112,112の作動速度を調節するタイミングダイヤルや、入操作時のみ左右のシリンダモータ112,112の作動時間を長くするタイミングスイッチ等の、その場植え操作部材116を設ける。
なお、該その場植え操作部材116の操作は、植付クラッチ25aが入状態であるときのみ受け付けるものとすると、苗の植付作業時以外では、サイドクラッチ108,108の入状態、及びブレーキ板110,110のブレーキ解除までのタイミングが早くなるので、走行開始が遅くなることが防止される。
また、前記副変速レバー92の操作位置を検知する副変速ポジションスイッチ92aを設け、該副変速ポジションスイッチ92aが植付走行ポジションを検知しているときのみ前記その場植え操作部材116の操作を受け付ける構成とすると、圃場外で移動するときの走行開始が遅くなることが防止され、機体の圃場や運搬車両への移動に要する時間が短縮される。
上記構成により、その場植え操作部材116を設けたことにより、圃場内の作業位置や作業条件に合わせて左右のシリンダモータ112,112の作動によりサイドクラッチ108,108が入状態になり、ブレーキ板110,110のブレーキ状態が解除されるまでの時間を切り替えることができるので、その場植えされた次の苗の植付位置が別の作業条の苗の植付位置からずれることが防止され、苗の植付精度が向上し、苗の生育が良好になる。
なお、上記の左右のシリンダモータ112,112の作動時間を変更すべく、制御装置200をボンネット32の内部に配置する。なお、該制御装置200は、左右のシリンダモータ112,112の作動時間の制御以外にも用いる。
上記構成の変形例として、前記植付操作レバー114の操作位置を検知する植付操作ポジションセンサ114aを設け、前記操作位置スイッチ115が走行操作レバー113の中立位置(出力停止操作位置)を検知した状態で、該植付操作ポジションセンサ114aが植付入ポジション以外(植付上昇、植付昇降中立、植付下降)から植付入ポジションに移動したことを検知し、その後で走行操作レバー113が前進側に操作されたときには、制御装置200は左右のシリンダモータ112,112の作動時間を長くしない構成としてもよい。このとき、その場植え操作部材116が作動操作されていても、無視するものとする。
上記構成により、苗の植付走行途中で苗や肥料の補充作業を行うべく走行停止し、補充作業後に走行を再開するときに左右のシリンダモータ112,112の作動時間が長くならないので、植付走行の再開が早く、作業能率が向上する。
また、停止前の苗植付位置、または他の箇所の苗同士の前後間隔よりも狭い前後間隔となる位置に苗が植え付けられることを防止できるので、余分な苗の消費が防止されると共に、苗の植付間隔が均等になり、植付精度が向上する。
あるいは、図7で示すとおり、前記ボンネット32に形成する、前記走行操作レバー113の移動範囲を決める操作ガイド117の前進操作側の最も中立位置寄りとなる位置に、その場植えポジションスイッチ118を設け、該その場植えポジションスイッチ118が所定時間(例:1〜3秒)以上に亘って継続して操作されると、制御装置200は前記無段変速装置23が前進出力を開始しても前記左右のシリンダモータ112,112の作動を保留し、走行車体2の走行を規制したまま苗植付部4にのみ駆動力を伝動し、その場植付を行わせる構成としてもよい。
このとき、走行操作レバー113がその場植えポジションスイッチ118に接触し続けていると、同じ箇所に何度も苗を植え付けてしまい、余分に苗を消費することになるので、制御装置200は、前記植付ロータリ55が一株苗を植え付ける時間(例:1〜3秒)だけ無段変速装置23を作動させた後、無段変速装置23の出力を中立に戻す、あるいは植付クラッチ25aを切状態にして、一株植付後に植付ロータリ55が停止する構成とするとよい。
上記の構成の例としては、無段変速装置23のトラニオン軸(図示省略)を回動させる出力制御モータ23mを設ける、走行操作レバー113を強制的に中立位置に戻すレバー操作モータ113mを設ける、あるいは植付クラッチ25aを入切する植付クラッチモータ25mを設けることが考えられる。
なお、上記では走行操作レバー113にその場植えポジションスイッチ118が接触することでその場植えを行う構成としたが、走行操作レバー113の回動角度を検知するレバーポテンショメータ113sを設け、該レバーポテンショメータ113sが検知する走行操作レバー113の操作角度がその場植え操作位置であると制御装置200が判定すると、左右のシリンダモータ112,112の作動が保留される構成としてもよい。このときも、レバーポテンショメータ113sが所定時間以上同じ角度を検知していることを条件とすることで、不要なタイミングでその場植付が行われることが防止される。
このとき、作業者がその場植付位置であることを把握しやすくすべく、前記操作ガイド117に、「その場植え」のラベルを貼る、あるいはその部分だけ色を変える等して、視覚的に把握しやすくすると誤操作が防止でき、その場植えが必要な場所で意図しない前進操作が行われ、補植作業が必要となることが防止され、作業に要する時間と労力が軽減される。
上記の操作ガイド117を、誤って前進操作位置まで走行操作レバー113を操作することなく、確実にその場植え操作が行える構成を図8に示す。
該操作ガイド117の前進操作域(前進出力操作域)117fと後進操作域(後進出力操作域)117rの左右間に、前後方向の走行中立域(出力停止操作域)117cを形成し、操作ガイド117を平面視でクランク形状とする。そして、該走行中立域117cの機体前側に前記その場植えポジションスイッチ118を設けると共に、機体後側に操作位置スイッチ115を設ける。
なお、前進操作域117fの後端部と走行中立域117cの前端部、後進操作域117rの前端部と走行中立域117cの後端部は各々連結し、走行操作レバー113を左右方向に操作するものとする。
また、前記その場植えポジションスイッチ118と操作位置スイッチ115を設けず、走行操作レバー113のレバーポテンショメータ113sの検知角度で前後進、中立及びその場植え位置を検知する構成としてもよい。
上記構成により、中立操作域117cから前進操作域117f、または後進操作域117rに操作するときには左右方向への走行操作レバー113の操作が必要になるので、その場植え位置で走行操作レバー113の操作を止め損なって前進操作域117fに移動させることが防止される。
上記構成によりその場植えを行った箇所にも、前記施肥装置5から肥料を供給する必要がある。しかしながら、走行車体2の後側上部に設ける施肥装置5から圃場への肥料の供給は、施肥装置5に条数分装着する施肥ホース119を経由して行われるので、走行車体2の前進走行に連動して施肥装置5に駆動力が伝動されてから肥料が圃場に届くまで、若干の時間が必要となる。
一方、苗植付部4は走行車体2の前進走行と略同時に作動するので、施肥装置5の作動から肥料の圃場到達までのタイムラグにより、その植付作業条で最初に植え付けられる苗には肥料が供給されないことがある。これにより、肥料が供給されなかった苗の生育が遅れ、作物の品質や収量の低下が生じる問題がある。
上記の問題を防止すべく、施肥装置5に駆動力を供給する施肥駆動モータ120を設け、施肥装置5の駆動を独立させる。そして、その場植え操作部材116が操作された状態で植付クラッチ25aを入操作し、さらに走行操作レバー113が前進操作されたとき、あるいは植付クラッチ25aが入状態で走行操作レバー113がその場植えポジションに操作されたとき、制御装置200は、前記無段変速装置23の出力開始、及び左右のシリンダモータ112,112の作動開始前に、該施肥駆動モータ120を作動させ、施肥装置5の肥料供給を開始させる。
該施肥駆動モータ120の作動開始から所定時間(例:0.5〜1秒)が経過すると、制御装置200は無段変速装置23の前進出力を開始し、苗植付部4の植付ロータリ55を回転させてその場植えを行い、その後左右のシリンダモータ112,112を作動させ、苗の植付走行を開始させる。
前記施肥装置5の駆動が一番最初に行われ、直後に無段変速装置23から苗植付部4に駆動力が伝動されることにより、肥料が施肥ホース119を通過して圃場に到達するタイミングでその場植え、即ちその条の最初の苗の植付が行われるので、肥料不足により生育不良となる苗の発生が減少し、作物の品質や収量が向上する。
上記構成は、制御装置200に記録された設定に基づき行われるが、圃場の条件や作業場所によっては、設定の変更が必要となることがある。
これに対応すべく、前記操作ガイド117のその場植えポジションよりも中立位置寄りに、施肥駆動スイッチ121を設け、前記走行操作レバー113が施肥駆動スイッチ121に接触すると施肥駆動モータ120が作動し、走行操作レバー113の操作を続けるとその場植えポジションスイッチ118が操作されて無段変速装置23と左右のシリンダモータ112,112が作動する構成としてもよい。
上記構成では、走行操作レバー113の操作により施肥装置5の駆動タイミングとその場植えの開始タイミングを任意に変更することができるので、作業条件が違っても肥料が供給されない苗の発生や、苗の植付位置が隣接条の植付位置とずれることが防止され、作物の品質や収量が増加すると共に、補植作業に要する時間と労力が軽減される。
あるいは、前記ボンネット32に、施肥駆動モータ120を作動させる施肥入切スイッチや施肥入切レバー等の、施肥入切部材122を設け、該施肥入切部材122を操作して施肥装置5の作動タイミングを調節可能に構成してもよい。
または、図9で示すとおり、前記操作ガイド117の中立操作域117cを前進操作域117fよりも機体外側に延長して植付施肥操作域117wを形成し、該植付施肥操作域117wの機体外側位置に施肥駆動スイッチ121を設け、該施肥駆動スイッチ121よりも機体内側にその場植えポジションスイッチ118を設けてもよい。
このとき、走行操作レバー113を前後進操作時に誤って植付施肥操作域117wに移動させることを防止すべく、植付施肥操作域117wの機体内側端部には、機体内側に向かってスプリング等で付勢される規制体117gを回動可能に装着し、走行操作レバー113を付勢力に抗して押し込まないと移動できない構成とするとよい。また、規制体117gの長さは、走行操作レバー113が施肥駆動スイッチ121に当たるときに略90度回動して操作ガイド117の下部に収まるものとするとよい。
上記構成により、走行車体2の前後進及び停止操作とは異なる方向に走行操作レバー113を操作することでその場植え及び施肥装置5の先行駆動を操作できるので、誤操作が生じにくく、苗の植付や肥料の供給が不要な箇所で行われることが防止され、余分な苗や肥料の消費が防止される。
上記のその場植えを行う構成では、その場植えが行われるとサイドクラッチ108,108が入状態になると共に、ブレーキ板110,110のブレーキ状態が解除されて走行車体2の前進が開始される。このとき、作業者が走行操作レバー113を高速域に操作していると、前進開始時に急発進するので、搭乗している作業者が揺れでハンドル操作等を誤り進行方向がずれて苗の植付位置が乱れることや、苗植付部4が急発進による反動で上下に揺れて植付作業高さが僅かに異なり、苗の植付深さが乱れることがある。
上記の問題を解消すべく、まず、前記エンジン20に回転数を検知するエンジン回転センサ123を設ける。前記エンジン20は、トルク不足によりエンジン20が停止することや、余分なエンジン出力により燃料を過度に消費することを防止すべく、無段変速装置23の出力の増減操作に連動してスロットルモータ20aが作動し、エンジン回転数を増減させる構成としている。
前記制御装置200は、その場植え作業操作が行われたときのエンジン20の回転数が所定回転数(例:2800rpm)以上であると、その場植え終了後の走行開始時に走行車体2が急発進するおそれがあるので、無段変速装置23の出力を増加させず、その場植え作業をキャンセルする。このとき、作業者にその場植え作業に適さないことを認識させるべく、ブザー124aやランプ124b等の報知装置124を設ける。
これにより、その場植え作業後に走行車体2が急発進することを防止できるので、作業者が誤操作することや、苗植付部4が上下に揺動することを防止できるので、苗の植付位置や植付深さが安定する。
なお、エンジン回転数の代わりに、レバーポテンショメータ113sで走行操作レバー113の操作位置を検知し、急発進の可能性があればその場植えをキャンセルする構成としてもよい。走行操作レバー113の操作角度が、前進側最大出力となる角度の半分の角度以上であるとき、制御装置200はその場植えをキャンセルし、報知装置124を作動させる。
また、その場植え作業がキャンセルされたとき、制御装置200は施肥駆動モータ120を停止させ、圃場に余分な肥料が供給されることを防止する。
肥料が過剰に供給されると苗の成長が過剰になるので、適切なタイミングで肥料の追加や防除作業が行えず、また他の苗が収穫適期に成長するときには収穫適期を超過してしまい、結果的に品質の低い作物の割合が増加するが、余分な肥料を供給しないことにより、問題の発生が防止される。
前記畦越えアーム39には緊急停止スイッチ40bを設けており、圃場の出入口の傾斜地の移動時など、機体前側で作業するときに機体を停止させる必要があれば、すぐにエンジン20を停止させることができるので、走行車体2に乗り込んでエンジン20の切操作をする必要がなく、作業能率がよい。
一方、機体後側にはエンジン20を停止させる部材を設けていないので、苗植付部4の周辺、例えば植付ロータリ55や整地ロータ66等に問題が生じたとき、一旦走行車体2から降りて苗植付部4の側方または後方まで移動して植付ロータリ55や整地ロータ66の挙動を確認し、問題があれば走行車体2に乗り込んでエンジン20を停止させる必要があり、作業者に余分な時間と労力を費やさせる問題がある。
これを防止すべく、図13及び図14に示すとおり、植付伝動ケース53,53の少なくとも一つの上面に第2緊急停止スイッチ40cを設け、該第2緊急停止スイッチ40cを第1緊急停止スイッチ40bと共に制御装置200にハーネスで連結、あるいはエンジン20にハーネスで直結し、緊急停止スイッチ40bまたは第2緊急停止スイッチ40cのどちらか一方が操作されるとエンジン20が停止状態になる構成とする。
上記構成により、第2緊急停止スイッチ40cが苗植付部4の側方または後部から操作しやすいので、作業者が走行車体2に一旦乗り込むことなくエンジン20を停止させることができるので、作業能率が向上すると共に、苗植付部4の周囲でメンテナンス作業を行う際、何らかの問題が生じてもすぐにエンジン20を停止させることができるので、作業の安全性が向上する。
また、苗植付部4の植付ロータリ55は、メンテナンス作業時には挙動に問題が無いかどうかを確認すべく、植付クラッチ25aを入切操作する必要がある。しかしながら、植付クラッチ25aの入切操作は植付操作レバー114により行う必要があるので、植付ロータリ55の回転を確認する作業者と、走行車体2上で植付操作レバー114を操作する作業者の少なくとも2名が必要となる。
この作業を一人でも行えるようにすべく、前記植付伝動ケース53,53の少なくとも一つに植付クラッチ操作レバー25bを設け、該植付クラッチ操作レバー25bと植付クラッチ25aを連繋ワイヤ25cで連結する。
これにより、苗植付部4側で植付クラッチ25aの入切操作できるので、走行車体2で植付操作レバー114を操作する作業者が不要となり、作業人数の軽減が図られる。
前記固定側の予備苗枠38は、予備苗載せ台38a…を上下方向に複数設けており、複数の苗を載置しておくことで、苗植付部4に設置した苗が減少したとき、その場で苗の補充作業ができる。
しかしながら、上方が開放されている最上段の予備苗載せ台38a1以外は、上側に位置する他の予備苗載せ台38a…が壁となり、上方に持ち上げ可能な範囲が制限され、苗の取り出し作業の能率を低下させることがある。
特に、固定側の予備苗載せ台38a…を上下に3つ設けるときは、中段と下段の予備苗載せ台38a2,38a3から苗が取り出しにくく、いっそう苗の取り出し作業に要する時間を費やす問題がある。
上記の問題を解消すべく、図14(a)(b)で示すとおり、前記支柱37に予備苗載せ台38a…を装着する苗載せ台支持アーム38b…を機体外側に突出させ、且つ上下方向に所定間隔を空けて各々設け、上段と下段の苗載せ台支持アーム38b1,38b3に各々予備苗載せ台38a1,38a3を設ける。
そして、中段の苗載せ台支持アーム38b2は、該苗載せ台支持アーム38b2を左右方向に摺動させるスライドアーム38dに装着する。該スライドアーム38dと、中段の苗載せ台支持アーム38b2の基部側(機体内側)と端部側(機体外側)には各々移動規制孔を形成し、この移動規制孔に移動規制ピン38eを着脱自在に装着する。
上記構成により、移動規制ピン38eを外すとスライドアーム38dが左右摺動可能になるので、中段の予備苗載せ台38a2を機体外側にスライドさせることができ、中段と下段の予備苗載せ台38a2,38a3の上方から苗が取り出しやすくなり、苗の補充作業の能率が向上する。
また、移動規制ピン38eを装着するとスライドアーム38dが左右摺動することを規制できるので、機体の振動や傾斜によってスライドアーム38dが摺動し、積載した苗が落下することが防止され、苗を拾う作業が不要になると共に、苗が傷付くことが防止される。
前記施肥装置5は、供給する肥料に含まれる水分を除去し、肥料が施肥ホース119内に付着して塊になることを防止すべく、エンジン20よりも後方、具体的には施肥装置5及び機体のメインフレーム15の後方に、エンジン排熱を吸入する吸気ダクト125を設け、肥料を案内する搬送風を発生させるブロア126がこのエンジン排熱を利用し、高温の搬送風を発生させられる構成としている。
しかしながら、エンジン排熱が出にくい作業の初期段階や、エンジン20が冷却されやすい気温の比較的低い時期では、吸気ダクト125から入り込む空気の温度が低く、搬送風の温度が低いことがある。これにより、肥料に含まれる水分が抜けにくく、搬送中に施肥ホース119内に肥料が付着して塊になり、肥料が十分に圃場に供給されなくなる問題がある。
上記の問題を解消すべく、前記吸気ダクト125の吸入口の前方に、電熱線128により発熱可能な加熱ダクト127を間隔を空けて取り付ける。該加熱ダクト127は熱伝導率の高い金属、例えば銅やアルミ等で構成し、この加熱ダクト127をメインフレーム15の後部から、熱伝導率の低い金属、例えばチタンや鉛で支持する。また、加熱ダクト127の外周縁部には複数のリブ127a…を形成し、該リブ127aの前後間に電熱線128を巻回する。また、前記加熱ダクト127の径を吸気ダクト125の径よりも大径とする。
前記走行車体2に設けるバッテリ(図示省略)と該電熱線126の間には、電熱線128への通電を入切する通電スイッチ129を設け、前記制御装置200は、施肥駆動モータ120が作動状態であるときのみ通電スイッチ129を入状態とする。
上記により、吸気ダクト125に移動する空気が加熱ダクト127に暖められ、ブロア126が発生させる搬送風の温度を高くすることができるので、肥料が施肥ホース119内部に付着して塊となることが防止され、圃場に供給される肥料が設定量どおりになり、苗の生育が安定する。
また、加熱ダクト127を熱伝導率の低い金属でメインフレーム15に装着することにより、加熱ダクト127の熱がメインフレーム15側に伝わりにくく、熱による構成部品の耐久性の低下が防止される。
そして、加熱ダクト127の径を吸気ダクト125の径よりも大径としたことにより、加熱ダクト127を空気が通過する空気はゆっくりと吸気されるので、空気が十分に加熱され、肥料の水分がより確実に除去される。
さらに、加熱ダクト127と吸気ダクト125の間に隙間を形成したことにより、吸気ダクト125の耐久性が熱により低下することを防止できる。
特に、吸気ダクト125を樹脂製とするときは、熱による変形が防止され、空気の吸気効率が低下することが防止される。
また、電熱線128をリブ127a…の前後間に配置したことにより、電熱線128の取付位置がずれることが防止されると共に、電熱線128が吸気経路上に突出しないので、吸気効率が低下することが防止される。
そして、施肥駆動モータ120の作動時のみ通電スイッチ129が入状態となり、電熱線128に通電されることにより、バッテリの電気の消費量を抑えることができるので、バッテリ切れによる作業の中断が防止される。