JP2017107076A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性に優れるトナーを提供する。
【解決手段】静電潜像現像用トナーが、コアと、コアの表面を覆うシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む。コアはポリエステル樹脂を含有する。シェル層は樹脂粒子を含む。シェル層に含まれる樹脂粒子を構成する高分子の主鎖骨格は、50mol%以上の割合で(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位を含む。(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位のうち、60mol%以上の繰返し単位は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルのいずれかに由来する繰返し単位である。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関し、特にカプセルトナーに関する。
カプセルトナーに含まれるトナー粒子は、コアと、コアの表面を覆うシェル層(カプセル層)とを備える。コアをシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性を向上させることができる。特許文献1に記載されるトナーでは、コアとシェル層との接着性を向上させるために、シェル層に特定のビニル系樹脂を含有させている。このビニル系樹脂は、スチレンモノマーと、エステル結合及びアリール基の両方を有するビニル重合性モノマーとを重合させて得られる。
特開2012−177787号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術でトナーの耐久性が改善されるとしても、トナーの用途によっては、必ずしもトナーの耐久性が十分とはいえない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れるトナーを提供することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、コアと、前記コアの表面を覆うシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む。前記コアはポリエステル樹脂を含有する。前記シェル層は樹脂粒子を含む。前記樹脂粒子を構成する高分子の主鎖骨格は、50mol%以上の割合で(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位を含む。前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位のうち、60mol%以上の繰返し単位は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルのいずれかに由来する繰返し単位である。
本発明によれば、耐久性に優れるトナーを提供することが可能になる。
本発明の実施形態に係る静電潜像現像用トナーについて、特定エステル単位の割合を求めるためのクロマトグラムの一例を示す図である。
本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、粉体(より具体的には、トナーコア、トナー母粒子、外添剤、又はトナー等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。また、粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき測定した値である。また、酸価及び水酸基価の各々の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本工業規格)K0070−1992」に従って測定した値である。また、数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)の各々の測定値は、何ら規定していなければ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロイル(CH2=CH−CO−)及びメタクリロイル(CH2=C(CH3)−CO−)を包括的に「(メタ)アクリロイル」と総称する場合がある。
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含む粉体である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤を調製してもよい。高画質の画像を形成するためには、キャリアとしてフェライトキャリアを使用することが好ましい。また、長期にわたって高画質の画像を形成するためには、キャリアコアと、キャリアコアを被覆する樹脂層とを備える磁性キャリア粒子を使用することが好ましい。磁性キャリア粒子を作製するためには、磁性材料でキャリアコアを形成してもよいし、磁性粒子を分散させた樹脂でキャリアコアを形成してもよい。また、キャリアコアを被覆する樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。高画質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの量は、キャリア100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。なお、正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。
本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子は、コア(以下、トナーコアと記載する)と、トナーコアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とを備える。シェル層は、トナーコアの表面を覆っている。シェル層は、トナーコアの表面全体を覆っていてもよいし、トナーコアの表面を部分的に覆っていてもよい。トナーコア及び/又はシェル層の表面に外添剤が付着していてもよい。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されてもよい。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、画像データに基づいて感光体(例えば、感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像する。現像工程では、現像スリーブ(例えば、現像器内の現像ローラーの表層部)上のトナー(摩擦帯電したトナー)を感光体の静電潜像に付着させて、感光体上にトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、感光体上のトナー像を中間転写体(例えば、転写ベルト)に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する静電潜像現像用トナーである。
(トナーの基本構成)
静電潜像現像用トナーが、トナーコア及びシェル層を備えるトナー粒子を、複数含む。トナーコアはポリエステル樹脂を含有する。シェル層は樹脂粒子を含む。その樹脂粒子を構成する高分子の主鎖骨格は、50mol%以上の割合で(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位を含む。また、(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位のうち、60mol%以上の繰返し単位は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルのいずれかに由来する繰返し単位である。以下、(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰返し単位を、特定骨格単位と記載する。また、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルのいずれかに由来する繰返し単位を、特定エステル単位と記載する。
上記基本構成を有するトナーが耐久性に優れることを、発明者が見出した。詳しくは、特定骨格単位の割合が50mol%以上であり、かつ、特定エステル単位の割合が60mol%以上である場合に、トナーコアとシェル層(特に、樹脂粒子)との境界で、トナーコアの表面に存在する水酸基(特に、ポリエステル樹脂に由来する水酸基)と、シェル層に含有される樹脂のエステル部位とが、エステル交換反応により結合し易くなることを、発明者が見出した。特定骨格単位のうち、特に特定エステル単位が、トナーコアとシェル層との間にエステル交換反応による結合を形成し易いと考えられる。トナーコアとシェル層とが化学的に結合されることで、トナーの耐久性が向上すると考えられる。なお、樹脂粒子を構成する高分子の主鎖骨格中に複数種の特定エステル単位が含まれる場合には、それら特定エステル単位のモル数の合計を、全ての特定骨格単位のモル数の合計で除した値が、特定エステル単位の割合に相当する。割合を百分率(mol%)で表記する場合には、算出された値を100倍すればよい。
式(1)に、特定骨格単位の一例(アクリル酸ブチルに由来する繰返し単位)を示す。式(2)に、特定エステル単位の一例(メタクリル酸メチルに由来する繰返し単位)を示す。式(3)に、(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウム化合物に由来する繰返し単位の一例(2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドに由来する繰返し単位)を示す。式(4)に、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーに由来する繰返し単位の一例(スチレンに由来する繰返し単位)を示す。式(1)〜式(4)において、nは、各々独立して、繰返し単位の繰返し数(モル数)を示す。
Figure 2017107076
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Figure 2017107076
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例えば、上記基本構成において、樹脂粒子の高分子が、式(1)〜式(4)で示される4つの繰返し単位のみを含む場合、式(1)〜式(3)で示される3つの繰返し単位のモル数の合計を、全ての繰返し単位(4つの繰返し単位)のモル数の合計で除した値が、特定骨格単位の割合に相当する。また、式(2)で示される繰返し単位のモル数を、式(1)〜式(3)で示される3つの繰返し単位のモル数の合計で除した値が、特定エステル単位の割合に相当する。なお、割合を百分率(mol%)で表記する場合には、算出された値を100倍すればよい。
樹脂に含まれる繰返し単位のモル数は、GC/MS法による定量分析で測定できる。図1に、樹脂粒子の上記高分子が実質的に式(1)〜式(3)で示される3つの繰返し単位のみを含む例(詳しくは、後述する実施例1に係るトナーT−1)について、GC/MS法で測定されたクロマトグラムの一例(クロマトグラムL1)を示す。また、参考例として、樹脂粒子の材料(アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、及び2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド)を加熱せずに混合して乾燥させた例(混合物)についてGC/MS法で測定されたクロマトグラムの一例(クロマトグラムL0)も、図1に示す。図1において、縦軸は信号強度(単位:任意単位)を示し、横軸は保持時間(単位:分)を示す。測定条件は、後述する実施例と同じである。
図1中のクロマトグラムL1では、ジメタクリル酸エチレングリコールに特徴的なピークが現れる保持時間9.25分で、ピークが検出されている。こうした測定結果から、トナーコアとシェル層との境界で、トナーコアの表面に存在する水酸基と、シェル層に含有される樹脂のエステル部位とが、エステル交換反応により結合していると考えられる。図1に示されるジメタクリル酸エチレングリコールの構造式のうち、両末端部がシェル層に由来し、中央部がトナーコアに由来すると考えられる。
トナーの耐久性を向上させるためには、トナーコアが乾式法により作製され、シェル層が湿式法によりトナーコアの表面に形成されることが好ましい。乾式法としては、粉砕法が特に好ましい。粉砕法は、複数種の材料(樹脂等)を溶融混練して混練物を得る工程と、得られた混練物を粉砕する工程とを経て、粉体(例えば、トナーコア)を得る方法である。乾式法により作製されたトナーコアと、樹脂粒子(シェル層の材料)とを、液中で反応させることにより、トナーコアと樹脂粒子とのエステル交換反応が進行し易くなる。
また、トナーの耐久性を向上させるためには、トナー1gに対して0.1nmol以上50nmol以下の割合で、炭素数10以上18以下のアルキル基を有するアルキルスルホン酸及びその塩と、炭素数10以上18以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩とからなる群より選択される1種以上の化合物(以下、特定スルホン酸化合物と記載する)が、トナーに含有されることが好ましい。2種以上の特定スルホン酸化合物がトナーに含有される場合には、それら特定スルホン酸化合物のモルの合計が、トナー1gに対して0.1nmol以上50nmol以下であることが好ましい。シェル層を形成する時に特定スルホン酸化合物を適量(製造されたトナー1gに対して0.1nmol以上50nmol以下の割合で残る程度の量)存在させることで、トナーコアと樹脂粒子(シェル層の材料)とのエステル交換反応が進行し易くなる。特定スルホン酸化合物は界面活性剤として機能し得る。なお、液中でトナーコアの表面にシェル層を形成させる場合、液中の特定スルホン酸化合物の量が少な過ぎると、液中でトナーコア同士が凝集し易くなる。また、液中の特定スルホン酸化合物の量が多過ぎると、液中でトナーコアと樹脂粒子とのエステル交換反応が進行しにくくなる。また、特定スルホン酸化合物は、トナーコアと樹脂粒子(シェル層の材料)とのエステル交換反応を促進させる作用が強い。例えば、ポリエチレングリコール200を使用しても上記エステル交換反応が進行しない条件において、ポリエチレングリコール200に代えて特定スルホン酸化合物を用いることにより、上記エステル交換反応が進行するようになることがある。
本実施形態に係るトナーは、前述の基本構成で規定されるトナー粒子(以下、本実施形態のトナー粒子と記載する)を複数含む。本実施形態のトナー粒子を複数含むトナーは、耐久性に優れる(後述する表1及び表2を参照)。なお、トナーの耐久性を向上させるためには、トナーが、80個数%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことが好ましく、90個数%以上の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことがより好ましく、100個数%の割合で本実施形態のトナー粒子を含むことがさらに好ましい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、シェル層が、トナーコアの表面領域のうち、50%以上99%以下の面積を覆っていることが好ましい。トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、シェル層の最大厚さが1nm以上100nm以下であることが好ましい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナーの体積中位径(D50)が1μm以上10μm未満であることが好ましい。
次に、トナーコアを形成するための材料(以下、トナーコア材料と記載する)と、シェル層を形成するための材料(以下、シェル材料と記載する)とについて説明する。トナー粒子を形成するために適した樹脂は、以下のとおりである。
<好適な熱可塑性樹脂>
トナー粒子(特に、トナーコア及びシェル層)を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂を好適に使用できる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)も、トナー粒子を構成する熱可塑性樹脂として好適に使用できる。
熱可塑性樹脂は、1種以上の熱可塑性モノマーを、付加重合、共重合、又は縮重合させることで得られる。なお、熱可塑性モノマーは、単独重合により熱可塑性樹脂になるモノマー(より具体的には、アクリル酸系モノマー又はスチレン系モノマー等)、又は縮重合により熱可塑性樹脂になるモノマー(例えば、縮重合によりポリエステル樹脂になるアルコール及びカルボン酸)である。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためには、例えば以下に示すような、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを好適に使用できる。アクリル酸系モノマーを用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、水酸基を有するモノマー(より具体的には、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等)を用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂に水酸基を導入できる。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレン等)、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、1種以上のアルコールと1種以上のカルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類又はビスフェノール類等)又は3価以上のアルコールを好適に使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロパンジオール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
以下、トナーコア(結着樹脂及び内添剤)、シェル層、及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、内添剤又は外添剤)を割愛してもよい。
[トナーコア]
トナーコアは、結着樹脂を含有する。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含有してもよい。
(結着樹脂)
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。結着樹脂が強いアニオン性を有するためには、結着樹脂の水酸基価及び酸価がそれぞれ10mgKOH/g以上であることが好ましい。
結着樹脂としては、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基、及びメチル基からなる群より選択される1種以上の基を有する樹脂が好ましい。このような官能基を有する結着樹脂は、シェル材料と反応して化学的に結合し易い。こうした化学的な結合が生じると、トナーコアとシェル層との結合が強固になる。また、結着樹脂としては、活性水素を含む官能基を分子中に有する樹脂も好ましい。
高速定着時におけるトナーの定着性を向上させるためには、結着樹脂のガラス転移点(Tg)が、20℃以上55℃以下であることが好ましい。また、高速定着時におけるトナーの定着性を向上させるためには、結着樹脂の軟化点(Tm)が100℃以下であることが好ましい。なお、Tg及びTmの各々の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
本実施形態に係るトナーは、前述の基本構成を有する。本実施形態に係るトナーでは、トナーコアが、1種以上のポリエステル樹脂を含有する。トナーコアの結着樹脂はポリエステル樹脂のみであってもよいし、トナーコアは、結着樹脂として、ポリエステル樹脂以外の樹脂(より具体的には、前述の好適な熱可塑性樹脂から選ばれる樹脂等)を含有してもよい。トナーコア中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるためには、結着樹脂としてスチレン−アクリル酸系樹脂又はポリエステル樹脂を用いることが好ましい。トナーの低温定着性及び耐久性の両立を図るためには、トナーコアに含有される樹脂のうち、80質量%以上の樹脂がポリエステル樹脂であることが好ましく、90質量%以上の樹脂がポリエステル樹脂であることがより好ましく、100質量%の樹脂がポリエステル樹脂であることがさらに好ましい。
トナーコアの結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、トナーコアの強度及びトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上21以下であることが好ましい。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。また、トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナーコアに電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、又はニッケル等)もしくはその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)が施された材料を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコア同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコア同士の固着を抑制することができると考えられる。
[シェル層]
本実施形態に係るトナーでは、シェル層が、前述の基本構成の要件を満たす高分子から実質的に構成される樹脂粒子を含む。トナーの帯電安定性(特に、高温高湿環境下での安定性)を向上させるためには、樹脂粒子を構成する高分子が非水溶性熱可塑性樹脂であることが好ましい。トナーの正帯電性を向上させるためには、樹脂粒子を構成する高分子が正帯電性の電荷制御剤を含有することが好ましい。樹脂粒子に電荷制御剤を含有させるためには、樹脂中に電荷制御剤に由来する繰返し単位を組み込んでもよいし、樹脂中に帯電粒子を分散させてもよい。樹脂粒子を構成する高分子に含有させる正帯電性の電荷制御剤の好適な例としては、アジン化合物(より具体的には、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オキサジン、チアジン、トリアジン、オキサジアジン、チアジアジン、テトラジン、フタラジン、キナゾリン、又はキノキサリン等)、ニグロシン、又は4級アンモニウム化合物が挙げられる。
帯電性、耐熱保存性、及び低温定着性に優れるトナーを得るためには、樹脂粒子を構成する高分子が、(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウム化合物に由来する繰返し単位を電荷制御剤として含むことが特に好ましい。(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウム化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩(より具体的には、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド等)、又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメチルアンモニウム塩(より具体的には、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド等)を好適に使用できる。
帯電性、耐熱保存性、及び低温定着性に優れるトナーを得るためには、シェル層が、前述の基本構成に規定される樹脂粒子に加えて、電荷制御剤を含有しない樹脂粒子をさらに含むことが好ましい。以下、シェル層が、電荷制御剤を含有する樹脂粒子と、電荷制御剤を含有しない樹脂粒子とを含む場合には、電荷制御剤を含有する樹脂粒子を帯電粒子と記載し、電荷制御剤を含有しない樹脂粒子を非帯電粒子と記載する。
トナーの低温定着性を向上させるためには、非帯電粒子が熱可塑性樹脂(より具体的には、前述の好適な熱可塑性樹脂等)を含有することが好ましい。また、低温定着性及び帯電安定性に優れるトナーを得るためには、非帯電粒子を構成する樹脂が、アクリル酸系モノマーに由来する1種以上の繰返し単位を含むことが好ましく、1種以上のスチレン系モノマー(例えば、スチレン)と1種以上のアクリル酸系モノマー(例えば、アクリル酸エステル)との共重合体であることが特に好ましい。スチレン−アクリル酸系樹脂は、ポリエステル樹脂と比べて、疎水性が強く、正帯電し易い傾向がある。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に、外添剤として無機粒子を付着させてもよい。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の量が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤(無機粒子)としては、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子を好適に使用できる。1種類の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
[トナーの製造方法]
以下、上記構成を有する本実施形態に係るトナーを製造する方法の一例について説明する。
(トナーコアの準備)
好適なトナーコアを容易に得るためには、凝集法又は粉砕法によりトナーコアを製造することが好ましく、粉砕法によりトナーコアを製造することがより好ましい。
以下、粉砕法の一例について説明する。まず、結着樹脂と、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)とを混合する。続けて、得られた混合物を溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。
以下、凝集法の一例について説明する。まず、結着樹脂、離型剤、及び着色剤の各々の微粒子を含む水性媒体中で、これらの粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含む凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。その結果、トナーコアの分散液が得られる。その後、トナーコアの分散液から、不要な物質(界面活性剤等)を除去することで、トナーコアが得られる。
(シェル層の形成)
まず、水性媒体(例えば、イオン交換水)を準備する。シェル層形成時におけるトナーコア成分(特に、結着樹脂及び離型剤)の溶解又は溶出を抑制するためには、水性媒体中でシェル層を形成することが好ましい。水性媒体は、水を主成分とする媒体(より具体的には、純水、又は水と極性媒体との混合液等)である。水性媒体は溶媒として機能してもよい。水性媒体中に溶質が溶けていてもよい。水性媒体は分散媒として機能してもよい。水性媒体中に分散質が分散していてもよい。水性媒体中の極性媒体としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール又はエタノール等)を使用できる。
続けて、例えば塩酸を用いて水性媒体のpHを所定のpH(例えば、4)に調整する。続けて、pHが調整された水性媒体(例えば、酸性の水性媒体)に、トナーコアと、シェル材料とを添加する。シェル材料としては、例えば、帯電粒子の分散液と、非帯電粒子の分散液とを添加する。
帯電粒子及び非帯電粒子はそれぞれ、液中でトナーコアの表面に付着する。トナーコアの表面に均一に帯電粒子及び非帯電粒子を付着させるためには、帯電粒子及び非帯電粒子を含む液中にトナーコアを高度に分散させることが好ましい。液中にトナーコアを高度に分散させるために、液中に界面活性剤を含ませてもよいし、強力な攪拌装置(例えば、プライミクス株式会社製「ハイビスディスパーミックス」)を用いて液を攪拌してもよい。トナーコアがアニオン性を有する場合には、同一極性を有するアニオン界面活性剤を使用することで、トナーコアの凝集を抑制できる。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩、又は石鹸を使用できる。
続けて、上記トナーコア、帯電粒子、及び非帯電粒子を含む液を攪拌しながら液の温度を所定の速度(例えば、0.1℃/分以上3.0℃/分以下から選ばれる速度)で所定の保持温度(例えば、50℃以上85℃以下から選ばれる温度)まで上昇させる。さらに、液を攪拌しながら液の温度を上記保持温度に所定の時間(例えば、30分間以上4時間以下から選ばれる時間)保つ。その後、冷水を加えて液を急冷することで、トナー母粒子の分散液が得られる。液の温度を高温に保っている間に、トナーコアの表面にシェル材料(帯電粒子及び非帯電粒子)が付着する。また、シェル材料はトナーコアと反応する。また、トナーコアの表面で樹脂粒子が2次元的に連なることで、粒状感のある膜(シェル層)が形成されると考えられる。
(洗浄工程)
得られたトナー母粒子を洗浄してもよい。トナー母粒子の洗浄方法としては、例えば、トナー母粒子を含む分散液を固液分離して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を回収し、回収されたウェットケーキ状のトナー母粒子を水で洗浄する方法が好ましい。また、トナー母粒子の洗浄方法としては、トナー母粒子を含む分散液中のトナー母粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子を水に再分散させる方法が好ましい。
(乾燥工程)
洗浄工程の後、トナー母粒子を乾燥してもよい。例えば、乾燥機(より具体的には、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、又は減圧乾燥機等)を用いてトナー母粒子を乾燥することができる。乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制するためには、スプレードライヤーを用いてトナー母粒子を乾燥することが好ましい。スプレードライヤーを用いる場合には、例えば、外添剤が分散した分散液をトナー母粒子に噴霧することで、乾燥工程と後述の外添工程とを同時に行うことが可能になる。
(外添工程)
その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー又はUMミキサー)を用いてトナー母粒子と外添剤とを混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。こうして、トナー粒子を多数含むトナーが得られる。
なお、上記トナーの製造方法の内容及び順序はそれぞれ、要求されるトナーの構成又は特性等に応じて任意に変更することができる。例えば、液中で材料(例えば、シェル材料)を反応させる場合、液に材料を添加した後、所定の時間、液中で材料を反応させてもよいし、長時間かけて液に材料を添加して、液に材料を添加しながら液中で材料を反応させてもよい。また、シェル材料は、一度に液に添加されてもよいし、複数回に分けて液に添加されてもよい。外添工程の後で、トナーを篩別してもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。例えば、市販品をそのまま材料として用いることができる場合には、市販品を用いることで、その材料を調製する工程を割愛できる。また、液のpHを調整しなくても、シェル層を形成するための反応が良好に進行する場合には、pH調整工程を割愛してもよい。また、外添剤が不要であれば、外添工程を割愛してもよい。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。トナーコア材料とシェル材料とはそれぞれ、前述の化合物(樹脂を合成するための各種モノマー等)に限られない。例えば、必要に応じて、前述の化合物の誘導体をトナーコア材料又はシェル材料として使用してもよいし、モノマーに代えてプレポリマーを使用してもよい。また、前述の化合物を得るために、原料として、その化合物の塩、エステル、水和物、又は無水物を使用してもよい。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーT−1〜T−13(それぞれ静電潜像現像用の正帯電性トナー)を示す。なお、表1中の項目「(メタ)アクリル酸エステル」において、「低級アルキルモノマー」は、樹脂粒子中に特定エステル単位を導入するために使用したモノマーを示し、「骨格」は、特定骨格単位の割合(単位:mol%)を示し、「低級アルキル」は、特定エステル単位の割合(単位:mol%)を示す。また、表1中の「界面活性剤(残量)」は、トナー1gに含まれる界面活性剤(詳しくは、シェル層の形成で使用した1−デカンスルホン酸ナトリウム又はオクチルデカンスルホン酸ナトリウム)の量(単位:nmol)を示す。
Figure 2017107076
以下、トナーT−1〜T−13の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。サスペンションに含まれる樹脂粒子の個数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定された1次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、Tg(ガラス転移点)及びTm(軟化点)の測定方法はそれぞれ、次に示すとおりである。
<Tgの測定方法>
示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、試料(例えば、樹脂)の吸熱曲線を求めた。続けて、得られた吸熱曲線から試料のTg(ガラス転移点)を読み取った。得られた吸熱曲線中の比熱の変化点(ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度が、試料のTg(ガラス転移点)に相当する。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(例えば、樹脂)をセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を求めた。続けて、得られたS字カーブから試料のTm(軟化点)を読み取った。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度が、試料のTm(軟化点)に相当する。
[トナーT−1の製造方法]
(トナーコアの作製)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(詳しくは、ビスフェノールAを骨格にしてエチレンオキサイドを付加したアルコール)に、多官能基を有する酸(詳しくは、テレフタル酸)を反応させることにより、ポリエステル樹脂(トナーコアの結着樹脂)を合成した。得られたポリエステル樹脂に関して、水酸基価は20mgKOH/g、酸価は10mgKOH/g、Tmは100℃、Tgは48℃であった。
上記のようにして得られたポリエステル樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3、成分:銅フタロシアニン顔料)5質量部と、離型剤(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3」、融点73℃のエステルワックス)5質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて回転速度2400rpmで混合(乾式混合)した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルT250」)を用いて粉砕した。続けて、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6μmのトナーコアが得られた。
(第1シェル材料の調製)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内に30℃のイオン交換水815mLとアニオン界面活性剤(花王株式会社製「ラテムル(登録商標)WX」、成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、固形分濃度:26質量%)75mLとを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に昇温させた後、その温度(80℃)に保った。続けて、80℃のフラスコ内容物に2種類の液(第1の液及び第2の液)をそれぞれ5時間かけて滴下した。第1の液は、スチレン15gとアクリル酸ブチル3gとの混合液であった。第2の液は、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液であった。続けて、フラスコ内の温度を80℃にさらに2時間保って、フラスコ内容物を重合させた。その結果、固形分濃度21質量%の樹脂微粒子(非帯電粒子)のサスペンション(以下、サスペンションAと記載する)が得られた。得られたサスペンションAに含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は32nmであり、Tgは71℃であった。
(第2シェル材料の調製)
温度計、冷却管、窒素導入管、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコ内に、イソブタノール90gと、メタクリル酸メチル100gと、アクリル酸ブチル37gと、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(Alfa Aesar社製)30gと、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)6gとを入れた。続けて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物を3時間反応させた。その後、フラスコ内に2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)3gを加えて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物をさらに3時間反応させて、重合体を含む液を得た。続けて、得られた重合体を含む液を、減圧雰囲気、温度150℃の条件で乾燥した。続けて、乾燥した重合体を解砕し、正帯電性樹脂を得た。
続けて、混合装置(プライミクス株式会社製「ハイビスミックス(登録商標)2P−1型」)の容器に、上記のようにして得られた正帯電性樹脂200gと、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製「酢酸エチル特級」)184mLとを入れた。続けて、回転速度20rpmで容器内容物を1時間攪拌して、高粘度の溶液を得た。その後、得られた高粘度の溶液に、酢酸エチル等の水溶液(詳しくは、1N−塩酸18mLとアニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール(登録商標)0」、成分:ラウリル硫酸ナトリウム)20gと酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製「酢酸エチル特級」)16gとをイオン交換水562mLに溶かした水溶液)を加えた。その結果、固形分濃度26質量%の正帯電性樹脂微粒子(帯電粒子)のサスペンション(以下、サスペンションBと記載する)が得られた。得られたサスペンションBに含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは90℃であった。
(シェル層形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、塩酸を用いてフラスコ内容物のpHを4に調整した。続けて、フラスコ内に、第1シェル材料(前述の手順で調製したサスペンションA)37gと、第2シェル材料(前述の手順で調製したサスペンションB)1gとを添加し、さらにトナーコア(前述の手順で作製したトナーコア)300gと1−デカンスルホン酸ナトリウム1gとをフラスコ内に加えて、フラスコ内容物を十分攪拌した。
続けて、フラスコ内にイオン交換水500mLをさらに添加した。続けて、フラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を1℃/分の速度で65℃まで上げた。続けて、温度65℃かつ回転速度100rpmの条件でフラスコ内容物を1時間攪拌した。続けて、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。続けて、フラスコ内容物をその温度が常温(約25℃)になるまで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。
(洗浄工程)
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥工程)
続けて、得られたトナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、トナー母粒子のスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、トナー母粒子の粉体が得られた。
(外添工程)
続けて、得られたトナー母粒子を外添処理した。詳しくは、トナー母粒子100質量部と乾式シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」)1.0質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。その後、得られたトナーを、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数のトナー粒子を含むトナーT−1が得られた。
[トナーT−2の製造方法]
トナーT−2の製造方法は、1−デカンスルホン酸ナトリウム1gの代わりにオクチルデカンスルホン酸ナトリウム10gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。
[トナーT−3の製造方法]
トナーT−3の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100gの代わりにアクリロニトリル100gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は37nmであり、Tgは92℃であった。
[トナーT−4の製造方法]
トナーT−4の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100g及びアクリル酸ブチル37gの代わりに、メタクリル酸メチル30g、アクリル酸ブチル32g、及びスチレン47gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは86℃であった。
[トナーT−5の製造方法]
トナーT−5の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100g及びアクリル酸ブチル37gの代わりに、メタクリル酸メチル27g、アクリル酸ブチル29g、及びスチレン52gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は37nmであり、Tgは88℃であった。
[トナーT−6の製造方法]
トナーT−6の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100g及びアクリル酸ブチル37gの代わりに、メタクリル酸メチル27g、アクリル酸ブチル36g、及びスチレン47gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは83℃であった。
[トナーT−7の製造方法]
トナーT−7の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100gの代わりにアクリル酸メチル26gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは56℃であった。
[トナーT−8の製造方法]
トナーT−8の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100gの代わりにアクリル酸エチル32gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは48℃であった。
[トナーT−9の製造方法]
トナーT−9の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100gの代わりにアクリル酸ノルマルプロピル35gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは61℃であった。
[トナーT−10の製造方法]
トナーT−10の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100gの代わりにアクリル酸イソプロピル35gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは62℃であった。
[トナーT−11の製造方法]
トナーT−11の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100gの代わりにメタクリル酸エチル35gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは78℃であった。
[トナーT−12の製造方法]
トナーT−12の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100gの代わりにメタクリル酸ノルマルプロピル39gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは65℃であった。
[トナーT−13の製造方法]
トナーT−13の製造方法は、第2シェル材料の調製において、メタクリル酸メチル100gの代わりにメタクリル酸イソプロピル26gを用いた以外は、トナーT−1の製造方法と同じであった。得られた第2シェル材料(サスペンション)に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは75℃であった。
上記のようにして得られたトナーT−1〜T−13の各々について、特定骨格単位及び特定エステル単位の各々の割合、及び界面活性剤(1−デカンスルホン酸ナトリウム又はオクチルデカンスルホン酸ナトリウム)の量を測定した。詳しくは、検量線(標準物質に基づく検量線)を用いて下記条件でGC/MS法による定量分析を行った。その測定結果は、表1に示すとおりであった。
<GC/MS法>
測定装置としては、ガスクロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製「GCMS−QP2010 Ultra」)及びマルチショット・パイロライザー(フロンティア・ラボ株式会社製「PY−3030D」)を用いた。カラムとしては、金属キャピラリーカラム(フロンティア・ラボ株式会社製「Ultra ALLOY(登録商標)−5(MS/HT)」、内径0.25mm、膜厚0.25μm、長さ30m)を用いた。
(測定条件)
・熱分解温度:加熱炉「600℃」、インターフェイス部「400℃」
・昇温条件:40℃から速度14℃/分で320℃まで昇温(320℃で15分間保持)
・キャリアガス:ヘリウム(He)ガス
・カラムヘッド圧力:53.5kPa
・注入モード:スプリット注入(スプリット比1:200)
・キャリア流量:全流量「204mL/分」、カラム流量「1mL/分」、パージ流量「3mL/分」
[評価方法]
各試料(トナーT−1〜T−13)の評価方法は、以下の通りである。
(耐久性)
ボールミルを用いて、試料(トナー)及び現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa5550ci」用キャリア)を30分間混合して、評価用現像剤(2成分現像剤)を調製した。試料(トナー)及び現像剤用キャリアはそれぞれ、評価用現像剤全部の質量に対して、試料(トナー)の量が12質量%になるように添加された。
評価機としてカラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa5550ci」)を用いた。上記のようにして調製した評価用現像剤を評価機の現像器に投入し、試料(補給用トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。温度20℃かつ湿度60%RHの環境下で、初期に形成される画像の画像濃度が1.0〜1.2の範囲内になるように、評価機の現像スリーブとマグネットロールとの間の電圧を200V〜300Vの間で調整した。その後、調整された評価機を用いて、温度20℃かつ湿度60%RHの環境下、印字率5%で1万枚の紙(A4サイズの普通紙)に連続印刷を行う耐刷試験を行った。耐刷試験後、Q/mメーター(トレック社製「MODEL210HS−1」)を用いて、下記方法により上記評価機の現像器内のトナーの帯電量を測定した。
<現像剤中のトナーの帯電量の測定方法>
Q/mメーターの測定セルに現像剤(キャリア及びトナー)0.10gを投入し、投入された現像剤のうちトナーのみを篩(金網)を介して10秒間吸引した。そして、式「吸引されたトナーの総電気量(単位:μC)/吸引されたトナーの質量(単位:g)」に基づいて、現像剤中のトナーの帯電量(単位:μC/g)を算出した。
測定された帯電量は、下記基準に従って評価した。
○(良い):帯電量が20μC/g以上27μC/g以下であった。
×(良くない):帯電量が20μC/g未満又は27μC/g超であった。
[評価結果]
トナーT−1〜T−13の各々についての評価結果(耐久性:帯電量の○/×)を、表2に示す。
Figure 2017107076
トナーT−1、T−2、T−4、及びT−7〜T−13(実施例1〜10に係るトナー)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、実施例1〜10に係るトナーではそれぞれ、トナーコアがポリエステル樹脂を含有していた。シェル層は帯電粒子を含んでいた。その帯電粒子を構成する高分子の主鎖骨格は、50mol%以上の割合で1種以上の特定骨格単位を含んでいた。また、(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位のうち、60mol%以上の繰返し単位は、1種以上の特定エステル単位であった。表2に示されるように、実施例1〜10に係るトナーはそれぞれ、比較例1〜3に係るトナー(トナーT−3、T−5、及びT−6)に比べて、耐久性に優れていた。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。

Claims (8)

  1. ポリエステル樹脂を含有するコアと、前記コアの表面を覆うシェル層とを備えるトナー粒子を、複数含む静電潜像現像用トナーであって、
    前記シェル層は樹脂粒子を含み、
    前記樹脂粒子を構成する高分子の主鎖骨格は、50mol%以上の割合で(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位を含み、
    前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する1種以上の繰返し単位のうち、60mol%以上の繰返し単位は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルのいずれかに由来する繰返し単位である、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記樹脂粒子を構成する前記高分子は、非水溶性熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記コアは、乾式法により作製され、
    前記シェル層は、湿式法により前記コアの表面に形成される、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記トナー1gに対して0.1nmol以上50nmol以下の割合で、炭素数10以上18以下のアルキル基を有するアルキルスルホン酸及びその塩と、炭素数10以上18以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩とからなる群より選択される1種以上の化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記樹脂粒子を構成する前記高分子は、電荷制御剤を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 前記樹脂粒子を構成する前記高分子は、前記電荷制御剤として、(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウム化合物に由来する繰返し単位を含む、請求項5に記載の静電潜像現像用トナー。
  7. 前記シェル層は、前記樹脂粒子に加えて、電荷制御剤を含有しない樹脂粒子をさらに含む、請求項5又は6に記載の静電潜像現像用トナー。
  8. 前記コアの表面に存在する水酸基と、前記樹脂粒子を構成する前記高分子のエステル部位とがエステル交換反応により結合している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
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