以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。なお、以下では、黄色をY、マゼンタ色をM、シアン色をC、黒色をKで表すと共に、各構成部品及びトナー画像(画像)を色毎に区別する必要がある場合には、符号の末尾に各色に対応する色の符号(Y、M、C、K)を付して説明する。また、以下では、各構成部品及びトナー画像を色毎に区別せずに総称する場合には、符号の末尾の色の符号を省略して説明する。
(全体構成)
図1に示すように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力された画像データをY、M、C、Kの4色の階調データに変換する画像処理を行う画像処理部12が設けられている。
また、装置本体10Aの中央側には、各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット16が、水平方向に対して傾斜する方向に間隔をおいて配置されている。また、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向の上方には、各色の画像形成ユニット16で形成されたトナー画像が多重に転写される一次転写ユニット18が設けられている。
さらに、一次転写ユニット18の側方(図1の左側)には、後述する供給搬送ユニット30によって搬送経路60に沿って搬送された記録媒体Pに、一次転写ユニット18に多重に転写されたトナー画像を転写する二次転写ロール22が設けられている。
二次転写ロール22に対して記録媒体Pの搬送方向(以下、単に「搬送方向」という。)の下流側には、定着装置24が設けられている。定着装置24は、記録媒体Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によって記録媒体Pに定着させる。
また、定着装置24に対して搬送方向の下流側には、トナー画像が定着された記録媒体Pを画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部26に排出する排出ロール28が設けられている。
一方、画像形成ユニット16の鉛直方向の下方及び側方には、記録媒体Pを供給し搬送する供給搬送ユニット30が設けられている。また、一次転写ユニット18の鉛直方向の上方には、装置本体10Aの正面から装置本体10Aに対して着脱可能とされ、後述する現像器38に補給されるトナーが充填されるトナーカートリッジ14が色別に4個(14K〜14Y)装置幅方向に並んで配置されている。各色のトナーカートリッジ14は、装置奥行方向に延びる円柱状とされ、各色の現像器38と図示しない補給管を介して接続されている。
(画像形成ユニット)
図1に示すように、各色の画像形成ユニット16は、すべて同様に構成されている。本実施の形態に係る画像形成ユニット16は、回転する円柱状の像保持体34と、像保持体34の表面を帯電させる帯電器36と、を備えている。
また、画像形成ユニット16は、帯電した像保持体34の表面に静電潜像を形成する露光光を照射するLED(Light Emitting Diode)ヘッド32を備えている。また、画像形成ユニット16は、LEDヘッド32による露光光の照射によって形成された静電潜像を現像剤(本実施の形態では、負極に帯電したトナー)で現像してトナー画像として可視化する現像器38を備えている。また、画像形成ユニット16は、像保持体34の表面を清掃する図示しない清掃ブレードを備えている。
現像器38には、像保持体34と対向して現像ロール39が配置されており、現像器38は、現像ロール39を用いて像保持体34に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー画像として可視化する。
そして、帯電器36、LEDヘッド32、現像ロール39、及び清掃ブレードは、像保持体34の表面と対向して、像保持体34の回転方向(図1の例では反時計回りの方向)の上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
(転写部(一次転写ユニット・二次転写ロール))
一次転写ユニット18は、無端状の中間転写ベルト42と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、図示しないモータにより回転駆動して中間転写ベルト42を矢印A方向に周回させる駆動ロール46と、を備えている。また、一次転写ユニット18は、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、中間転写ベルト42に張力を付与する張力付与ロール48と、張力付与ロール48の鉛直方向上方に配置されて中間転写ベルト42と従動回転する補助ロール50と、を備えている。また、一次転写ユニット18は、中間転写ベルト42を挟んで各色の像保持体34の反対側に各々配置される一次転写ロール52を備えている。
以上の構成により、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に順次形成されたY、M、C、Kの各色のトナー画像が、各色の一次転写ロール52によって、中間転写ベルト42上に多重に転写される。
さらに、中間転写ベルト42の表面に接して中間転写ベルト42の表面を清掃する清掃ブレード56が、中間転写ベルト42を挟んで駆動ロール46の反対側に配置されている。
また、中間転写ベルト42を挟んで補助ロール50の反対側には、中間転写ベルト42上に転写されたトナー画像を、搬送される記録媒体Pに転写する二次転写ロール22が設けられている。二次転写ロール22は接地されており、補助ロール50は二次転写ロール22の対向電極を形成しており、補助ロール50は、二次転写電圧が印加されることにより、記録媒体Pにトナー画像が転写される。
(供給搬送ユニット)
供給搬送ユニット30は、装置本体10A内において、画像形成ユニット16に対して鉛直方向の下方に配置され、複数の記録媒体Pが積載される給紙部材62を備えている。
さらに、供給搬送ユニット30は、給紙部材62に積載された記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す給紙ロール64と、給紙ロール64によって送り出された記録媒体Pを1枚ずつ分離する分離ロール66と、記録媒体Pの搬送タイミングを合わせる位置合わせロール68と、を備えている。そして、各ロールが、搬送方向の上流側から下流側に向けてこの順番で配置されている。なお、位置合わせロール68は、記録媒体Pの画像形成面を挟んで搬送する搬送手段の一例である。
また、位置合わせロール68は、駆動ロール68A及び従動ロール68Bを備えている。そして、駆動ロール68Aは、駆動手段の一例としてのモータ112(図2参照。)により駆動(回転)し、従動ロール68Bは、駆動ロール68Aの回転に伴い、従動して回転する。
以上の構成により、給紙部材62から供給された記録媒体Pは、回転する位置合わせロール68によって中間転写ベルト42と二次転写ロール22との接触部(二次転写位置)へ定められたタイミングで送り出される。
本実施の形態に係る定着装置24は、加熱ベルト24A及び加圧ロール24Bを備えている。定着装置24は、電磁誘導を利用して加熱ベルト24Aを発熱させる方式の定着装置、所謂IH(Induction Heating)方式の定着装置である。また、加圧ロール24Bは、図示しないモータにより駆動(回転)し、加熱ベルト24Aは、加圧ロール24Bの回転に伴い、従動して回転する。
以上の構成により、定着装置24に搬送された記録媒体Pは、定着装置24により加熱及び加圧されて、記録媒体Pの一方の面(画像形成面)にトナー画像が定着される。
さらに、供給搬送ユニット30は、定着装置24によって一方の面にトナー画像が定着された記録媒体Pを、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出させずに、他方の面にトナー画像を形成するために用いる両面搬送装置70を備えている。
両面搬送装置70は、排出ロール28から位置合わせロール68に向けて記録媒体Pの表裏が反転されて記録媒体Pが搬送される両面搬送経路72と、両面搬送経路72に沿って記録媒体Pを搬送する搬送ロール74及び搬送ロール76とを備えている。
(その他)
画像形成装置10は、搬送経路60に沿って位置合わせロール68の上流側に設けられた媒体検知センサ80、及び定着装置24の上流側に設けられた媒体検知センサ82を備えている。本実施の形態に係る媒体検知センサ80、82は、一例として、一組の発光素子及び受光素子を備えた反射型のセンサである。媒体検知センサ80、82は、発光素子から設置位置に対応する搬送経路60上の検知位置に対して光を照射する。また、媒体検知センサ80、82は、受光素子で受光した光量に応じた信号レベルの信号(以下、「検知信号」という。)を出力する。記録媒体Pが上記検知位置を通過している期間は、発光素子から照射された光が記録媒体Pにより反射される。従って、媒体検知センサ80、82は、記録媒体Pが上記検知位置を通過している期間と通過していない期間とで異なる信号レベルの検知信号を出力する。
このように、本実施の形態では、媒体検知センサ80、82として、反射型のセンサを適用しているが、これに限定されず、例えば、透過型のセンサ等、他のセンサを適用してもよい。
(画像形成工程)
まず、画像処理部12から各色のLEDヘッド32に対応する色の階調データが順次出力される。そして、LEDヘッド32により、入力された階調データに応じた露光光が出射される。LEDヘッド32から出射された露光光は、帯電器36によって帯電された像保持体34の表面に照射される。これにより、像保持体34の表面には静電潜像が形成される。像保持体34上に形成された静電潜像は、各色の現像器38によって現像され、各々Y、M、C、Kの各色のトナー画像として可視化される。
さらに、一次転写ユニット18の一次転写ロール52によって、像保持体34上に形成された各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト42上に多重に転写される。
中間転写ベルト42上に多重に転写された各色のトナー画像は、給紙部材62から給紙ロール64、分離ロール66、位置合わせロール68によって搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写ロール22によって二次転写位置で二次転写される。
さらに、トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置24へと搬送される。そして、トナー画像が定着装置24によって記録媒体Pに定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
一方、記録媒体Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置24によって一方の面(表面)にトナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出されない。この場合、排出ロール28が逆回転されることで、記録媒体Pの搬送方向が切り替えられる。そして、この記録媒体Pは、搬送ロール74、76により両面搬送経路72に沿って搬送される。
両面搬送経路72に沿って搬送された記録媒体Pは、表裏が反転されて再度位置合わせロール68へと搬送される。そして、記録媒体Pの他方の面(裏面)にトナー画像が転写及び定着された後、記録媒体Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成について説明する。
図2に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、画像形成装置10の全体的な動作を司るCPU(Central Processing Unit)100、及び各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)102を備えている。また、画像形成装置10は、CPU100による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)104、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部106を備えている。
また、画像形成装置10は、外部装置と通信データの送受信を行う通信回線I/F(Interface)部108を備えている。また、画像形成装置10は、画像形成装置10に対するユーザからの指示を受け付ける一方、ユーザに対して画像形成装置10の動作状況等に関する各種情報を表示する操作表示部110を備えている。なお、操作表示部110は、例えば、プログラムの実行により操作指示の受け付けを実現する表示ボタンや各種情報が表示される表示面にタッチパネルが設けられたディスプレイ、及びテンキーやスタートボタン等のハードウェアキーを含む。
また、画像形成装置10は、駆動ロール68Aを回転駆動するモータ112の負荷(トルク)を検出する検出手段の一例としてのトルク検出部114を備えている。本実施の形態に係るトルク検出部114は、モータ112に接続されており、モータ112のトルクを、モータ112に流れる電流値として検出する。
なお、本実施の形態に係るトルク検出部114の構成は、モータ112のトルクを検出可能であれば特に限定されない。例えば、トルク検出部114として、シャント抵抗間の電圧値を測定して電流値を検出する構成のものを適用してもよい。また、例えば、トルク検出部114として、モータ112に電流が流れる経路上に抵抗を設け、該抵抗間の電圧値を測定して電流値を検知する構成のものを適用してもよい。また、例えば、トルク検出部114として、モータ112に電流が流れる経路上にホール素子による電流センサを設けて電流値を検知する構成のものを適用してもよい。また、トルク検出部114は、検出した電流値を電圧値に変換して出力する構成でもよい。さらに、例えば、トルク検出部114として、モータ112のトルクを検出するトルク検出器を適用してもよい。
また、画像形成装置10は、前述した画像形成ユニット16や一次転写ユニット18等の記録媒体Pに対する画像形成に関する各種処理を行う構成部位を含む画像形成部116を備えている。そして、CPU100、ROM102、RAM104、記憶部106、通信回線I/F部108、操作表示部110、モータ112、トルク検出部114、画像形成部116、加熱ベルト24A、及び媒体検知センサ80、82の各部がアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス118を介して互いに接続されている。
以上の構成により、本実施の形態に係る画像形成装置10は、CPU100により、ROM102、RAM104、及び記憶部106に対するアクセス、並びに通信回線I/F部108を介した外部装置との間での通信データの送受信を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU100により、操作表示部110を介した各種指示情報の取得、及び操作表示部110に対する各種情報の表示を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU100により加熱ベルト24Aによる加熱量を制御することによって、定着装置24による定着温度を制御する。また、画像形成装置10は、CPU100により、モータ112の制御、トルク検出部114から出力された電流値の取得、及び画像形成部116の制御を各々行う。
さらに、画像形成装置10は、CPU100により、媒体検知センサ80、82の各々から出力された検知信号を各々取得する。従って、画像形成装置10は、CPU100により、取得した該検知信号の信号レベルによって、記録媒体Pが媒体検知センサ80、82の各々による検知位置を通過しているか否かを検知する。
ところで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、トルク検出部114により検出される電流値は、記録媒体Pの位置合わせロール68に対する突入時や排出時、及び記録媒体Pの厚さ等によって変わる。
一例として図3に示すように、記録媒体Pの位置合わせロール68への突入時には、電流値は増加して電流値が大きい側(負荷が大きい側)に凸(図3に示す例では上に凸)のピーク値となる。また、記録媒体Pの位置合わせロール68からの排出時には、電流値は減少して電流値が小さい側(負荷が小さい側)に凸(図3に示す例では下に凸)のピーク値となる。なお、図3の縦軸は、トルク検出部114により検出される電流値を示し、図3の横軸は時間を示している。また、図3では、記録媒体Pが普通紙やコート紙等の画像形成面に搬送方向に沿った段差を有しない場合の電流値の時系列データを示している。
また、上記上に凸のピーク値は、記録媒体Pが厚くなるほど大きい値となり、上記下に凸のピーク値は、記録媒体Pが厚くなるほど小さい値となる。また、これらのピーク値以外の期間の電流値は、記録媒体Pが厚くなるほど大きい値となる。また、例えば、定着装置24、及び二次転写ロール22と中間転写ベルト42等の記録媒体Pを挟んで搬送する搬送手段を駆動するモータ等の駆動手段の電流値についても、図3に示した電流値の時系列データと同様の傾向の時系列データが取得される。
一方、画像形成装置10は、例えばマチ付きの薬袋、封筒、及び画像形成面の一部にシールが貼られた普通紙等の重なり部を有することによって搬送方向に沿った段差(以下、単に「段差」という。)を有する記録媒体Pに画像を形成する場合がある。この場合、記録媒体Pが段差を有するか否かに関係なく一定の定着温度で定着装置24による定着処理を行うと、定着不良が発生することがある。
図4〜図6を参照して、段差を有する記録媒体Pを搬送した場合におけるトルク検出部114により検出される電流値について説明する。なお、図4〜図6は、各々上段がトルク検出部114により検出された電流値の時系列データを示し、下段が記録媒体Pの側面図を示している。
図4に示すように、重なり部が記録媒体Pの搬送方向の後端部(以下、単に「後端部」という。)にある場合、記録媒体Pの搬送方向の先端部(以下、単に「先端部」という。)が定着装置24に突入(進入)する際に電流値は上に凸のピーク値となる。また、この場合、記録媒体Pの段差部が定着装置24に突入する際に電流値は再び上に凸のピーク値となる。また、この際のピーク値は、段差部により記録媒体Pの厚さが厚くなっているため、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入する際のピーク値より大きくなる。さらに、この場合、記録媒体Pの後端部が定着装置24から排出される際に電流値は下に凸のピーク値となる。
また、図5に示すように、重なり部が記録媒体Pの搬送方向の先端部にある場合、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入する際に電流値は上に凸のピーク値となる。この際のピーク値は、図4に示した場合のピーク値よりも大きくなる。また、この場合、記録媒体Pの段差部が定着装置24から排出される際に電流値は下に凸のピーク値となる。さらに、この場合、記録媒体Pの後端部が定着装置24から排出される際に電流値は再び下に凸のピーク値となる。
また、図6に示すように、重なり部が記録媒体Pの搬送方向の中間部にある場合、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入する際に電流値は上に凸のピーク値となる。また、この場合、搬送方向から見た場合における記録媒体Pが厚くなる段差部が定着装置24に突入する際に電流値は再び上に凸のピーク値となる。また、この場合、搬送方向から見た場合における記録媒体Pが薄くなる段差部が定着装置24から排出される際に電流値は下に凸のピーク値となる。さらに、この場合、記録媒体Pの後端部が定着装置24から排出される際に電流値は再び下に凸のピーク値となる。
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10は、トルク検出部114により検出された電流値から記録媒体Pが段差を有することを検出し、段差を検出したタイミングに応じて定着装置24による定着温度を調整する制御を行う。
具体的には、本実施の形態に係る画像形成装置10は、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入した後から、後端部が定着装置24から排出される前までに電流値のピーク値を検出した場合に、定着装置24による定着温度を調整する。より具体的には、画像形成装置10は、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入する際の電流値のピーク値を検出してから、後端部が定着装置24から排出される際の電流値のピーク値を検出するまでの期間Tにピーク値を検出した場合に、定着装置24による定着温度を調整する。
さらに、画像形成装置10は、期間Tに検出したピーク値が上に凸のピーク値である場合は、定着装置24による定着温度を上昇させる。また、画像形成装置10は、期間Tに検出したピーク値が下に凸のピーク値である場合は、定着装置24による定着温度を低下させる。なお、以下では、ピーク値として、頂部である最大値又は底部である最小値を適用した例を用いて説明するが、これに限定されない。例えば、ピーク値として、最大値付近の最大値より小さい値又は最小値付近の最小値より大きい値を適用してもよく、本実施の形態で述べるピーク値にはこれらも含まれる。
次に、図7及び図8を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、図7は、CPU100によって実行される段差検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。本段差検出処理プログラムは、例えば、画像の形成指示が入力され、記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ80による検知位置を通過したことが検知された場合に実行される。また、本段差検出処理プログラムはROM102に予めインストールされている。
一方、図8は、CPU100によって実行される第1定着温度制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。本第1定着温度制御処理プログラムは、例えば、画像の形成指示が入力され、記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ82による検知位置を通過したことが検知された場合に実行される。また、本第1定着温度制御処理プログラムはROM102に予めインストールされている。
図7のステップ130で、CPU100は、トルク検出部114から出力された電流値を取得する。次のステップ132で、CPU100は、記録媒体Pの先端部が位置合わせロール68に突入したか否かを判定する。具体的には、一例として、CPU100は、ステップ130で取得された電流値が、記録媒体Pの先端部が位置合わせロール68に突入した値として予め定められた閾値以上となった場合に、記録媒体Pの先端部が位置合わせロール68に突入したと判定する。この場合の閾値としては、画像形成装置10の実機を用いた実験等により、記録媒体Pの先端部が位置合わせロール68に突入した場合の上に凸のピーク値の下限値として予め得られた値等を適用すればよい。CPU100は、この判定が否定判定となった場合はステップ130に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ134に移行する。
ステップ134で、CPU100は、直前のステップ130で取得された電流値をピーク値として記憶部106に記憶する。次のステップ136で、CPU100は、トルク検出部114から出力された電流値を取得する。なお、本実施の形態では、ステップ130及びステップ136によるトルク検出部114から出力された電流値の取得処理は、予め定められた取得間隔(サンプリングレート。本実施の形態では10ms間隔)で取得するものとされている。
ステップ138で、CPU100は、直前のステップ136で取得された電流値が下に凸のピーク値であるか否かを判定する。具体的には、一例として、CPU100は、ステップ136で取得された電流値が予め定められた閾値以下となった場合に、該電流値が下に凸のピーク値であると判定する。この場合の閾値としては、画像形成装置10の実機を用いた実験等により、下に凸のピーク値の上限値として予め得られた値等を適用すればよい。CPU100は、この判定が肯定判定となった場合はステップ144に移行する一方、否定判定となった場合はステップ140に移行する。
ステップ140で、CPU100は、直前のステップ136で取得された電流値が上に凸のピーク値であるか否かを判定する。具体的には、一例として、CPU100は、ステップ136で取得された電流値が予め定められた閾値以上となった場合に、該電流値が上に凸のピーク値であると判定する。CPU100は、この判定が否定判定となった場合はステップ136に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ142に移行する。
ステップ142で、CPU100は、定着装置24による定着温度の制御に用いる温度制御情報を記憶部106に記憶した後、ステップ136に戻る。具体的には、CPU100は、温度制御情報として、定着装置24による定着温度の目標温度(以下、単に「目標温度」という。)を記憶する。前述したように、上記上に凸のピーク値は、記録媒体Pが厚くなるほど大きい値となり、高い温度での定着が必要となる。そこで、本実施の形態では、上記上に凸のピーク値が大きくなるほど、高い温度として目標温度を記憶部106に記憶する。
さらに、CPU100は、温度制御情報として、媒体検知センサ80による記録媒体Pの通過を検知してから、ステップ140で上に凸のピーク値であると判定された電流値を取得するまでの期間にマージンを減算した期間を目標温度と対応付けて記憶部106に記憶する。この場合のマージンは、例えば、定着温度が目標温度となるように加熱ベルト24Aを制御してから、定着温度が実際に目標温度となるまでの期間等から定めればよい。
一方、ステップ144で、CPU100は、記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ80による検知位置を通過したことを検知してから経過した期間が、記録媒体Pの後端部が位置合わせロール68から排出されるまでの期間の範囲として予め定められた範囲内であるか否かを判定する。この範囲としては、例えば、次に示すように導出した範囲等を適用すればよい。まず、CPU100は、媒体検知センサ80による検知位置から位置合わせロール68までの記録媒体Pの搬送距離、記録媒体Pの搬送速度、及び記録媒体Pの搬送方向の長さに基づいて、記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ80による検知位置を通過してから後端部が位置合わせロール68から排出されるまでの期間を導出する。そして、導出した期間にマージンを加味した範囲を、記録媒体Pの後端部が位置合わせロール68から排出される期間の範囲として適用する。CPU100は、ステップ144の判定が否定判定となった場合はステップ146に移行する。
ステップ146で、CPU100は、温度制御情報を記憶部106に記憶する。具体的には、CPU100は、温度制御情報の目標温度として、例えばユーザにより設定された記録媒体Pの種類等から定まる温度を記憶部106に記憶する。
さらに、CPU100は、温度制御情報として、媒体検知センサ80による記録媒体Pの通過を検知してから、ステップ140で下に凸のピーク値であると判定された電流値を取得するまでの期間にマージンを減算した期間を目標温度と対応付けて記憶部106に記憶する。この場合のマージンも上記ステップ142と同様に定めればよい。一方、ステップ144の判定が肯定判定となった場合は、CPU100は、本段差検出処理を終了する。
一方、図8のステップ160で、CPU100は、定着温度が目標温度となるように、加熱ベルト24Aによる加熱を開始する。具体的には、一例として、CPU100は、定着温度が上記ステップ134で記憶部106に記憶されたピーク値に応じて定まる、記録媒体Pの厚さに応じた目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱を開始する。
ステップ162で、CPU100は、記憶部106に対応する温度制御情報が記憶されているか否かを判定する。CPU100は、この判定が否定判定となった場合は、記録媒体Pが段差を有しないものと見なしてステップ172に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ164に移行する。
ステップ164で、CPU100は、記憶部106から温度制御情報を読み出す。なお、温度制御情報に複数のレコードが含まれる場合は、温度制御情報に含まれる期間が最も短いレコードから順番に1レコードずつを処理対象(以下、「処理対象温度制御情報」という。)として、後述するステップ166及びステップ168の処理が実行されるものとする。
ステップ166で、CPU100は、記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ82による検知位置を通過してから現時点までに経過した期間が、処理対象温度制御情報に含まれる期間となるまで待機する。なお、記録媒体Pの位置合わせロール68による搬送速度と定着装置24による搬送速度とが異なる場合は、位置合わせロール68による搬送速度に対する定着装置24による搬送速度の比に応じた係数を、処理対象温度制御情報に含まれる期間に乗算すればよい。
ステップ168で、CPU100は、定着温度が処理対象温度制御情報に含まれる目標温度となるように、加熱ベルト24Aによる加熱量を制御する。
ステップ170で、CPU100は、上記ステップ164で読み出された温度制御情報の全レコードについてステップ166及びステップ168の処理を実行したか否かを判定する。CPU100は、この判定が否定判定となった場合は、ステップ166に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ172に移行する。
ステップ172で、CPU100は、記録媒体Pが定着装置24から排出されるまで待機する。具体的には、例えば、CPU100は、媒体検知センサ82による検知位置から定着装置24までの記録媒体Pの搬送距離、記録媒体Pの搬送速度、及び記録媒体Pの搬送方向の長さに基づいて、記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ82による検知位置を通過してから後端部が定着装置24から排出されるまでの期間を導出する。そして、CPU100は、媒体検知センサ82による検知位置を通過してから経過した期間が、導出した期間を超えるまで待機する。次のステップ174で、CPU100は、ステップ160で開始された加熱を終了した後、本第1定着温度制御処理を終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、位置合わせロール68を駆動するモータ112の電流値に基づいて、記録媒体Pの段差が検出される。そして、段差が検出されたタイミングに基づいて、加熱ベルト24Aによる加熱量が調整されることによって定着温度が調整される。図9〜図11に、加熱ベルト24Aによる加熱量の制御のタイミングチャートを示す。
なお、図9〜図11は、各々上段が記録媒体Pの側面図を示し、下段が加熱ベルト24Aによる加熱量の制御のタイミングチャートを示している。図9〜図11に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、搬送方向から見て記録媒体Pが厚くなる段差がある場合は加熱量を増加させる一方、搬送方向から見て記録媒体Pが薄くなる段差がある場合は、加熱量を減少させる。従って、記録媒体Pの厚みの変化に応じて、定着温度が調整されるので、一定の定着温度で記録媒体Pに形成された画像の定着させる場合に比較して、画像の定着不良が抑制される。
なお、本実施の形態では、位置合わせロール68を駆動するモータ112の電流値を用いて記録媒体Pの段差を検出する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、二次転写ロール22と中間転写ベルト42等の定着装置24より記録媒体Pの搬送経路の上流側に設けられた、記録媒体Pを挟んで搬送する搬送手段を駆動する駆動手段の負荷を用いて記録媒体Pの段差を検出する形態としてもよい。
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。上記第1の実施の形態では、位置合わせロール68を駆動するモータ112の電流値を用いて記録媒体Pの段差を検出して、定着装置24による定着温度を調整する形態例について説明した。本第2の実施の形態では、定着装置24の加圧ロール24Bを駆動するモータの電流値を用いて記録媒体Pの段差を検出して、定着装置24による定着温度を調整する形態例について説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成は、第1の実施の形態と同様(図1参照。)であるため、ここでの説明は省略する。
図12を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成について説明する。なお、図12における図2と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図12に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、加圧ロール24Bを回転駆動するモータ122の負荷(トルク)を検出する検出手段の一例としてのトルク検出部124を備えている。本実施の形態に係るトルク検出部124は、モータ122に接続されており、第1の実施の形態に係るトルク検出部114と同様に、モータ122のトルクを、モータ122に流れる電流値として検出する。
次に、図13を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、図13は、CPU100によって実行される第2定着温度制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。本第2定着温度制御処理プログラムは、例えば、画像の形成指示が入力され、該形成指示における1枚目の記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ82による検知位置を通過したことが検知された場合に実行される。また、本第2定着温度制御処理プログラムはROM102に予めインストールされている。
図13のステップ200で、CPU100は、定着温度が目標温度となるように、加熱ベルト24Aによる加熱を開始する。具体的には、一例として、CPU100は、定着温度がユーザにより設定された記録媒体Pの種類等から定まる、記録媒体Pの厚さに応じた目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱を開始する。
ステップ202で、CPU100は、トルク検出部124から出力された電流値を取得する。次のステップ204で、CPU100は、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入したか否かを判定する。具体的には、一例として、CPU100は、ステップ202で取得された電流値が、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入した値として予め定められた閾値以上となった場合に、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入したと判定する。この場合の閾値としては、画像形成装置10の実機を用いた実験等により、記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入した場合の上に凸のピーク値の下限値として予め得られた値等を適用すればよい。CPU100は、この判定が否定判定となった場合はステップ202に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ206に移行する。
ステップ206は、直前のステップ202で取得された電流値(上に凸のピーク値)が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。この場合の閾値としては、画像形成装置10の実機を用いた実験等により、先端部に重なり部が存在する記録媒体Pの先端部が定着装置24に突入した場合の上に凸のピーク値の下限値として予め得られた値等を適用すればよい。CPU100は、この判定が否定判定となった場合は重なり部が先端部以外にあると見なしてステップ210に移行する一方、肯定判定となった場合は重なり部が先端部にあると見なしてステップ208に移行する。
ステップ208では、CPU100は、定着温度が直前のステップ202で取得されたピーク値に応じて定まる、記録媒体Pの厚さに応じた目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を増加させる。次のステップ210では、CPU100は、トルク検出部124から出力された電流値を取得する。なお、本実施の形態においても、ステップ202及びステップ210によるトルク検出部124から出力された電流値の取得処理は、予め定められた取得間隔(サンプリングレート。本実施の形態では10ms間隔)で取得するものとされている。
次のステップ212では、CPU100は、上記ステップ138の処理と同様に、直前のステップ210で取得された電流値が下に凸のピーク値であるか否かを判定する。CPU100は、この判定が肯定判定となった場合はステップ220に移行する一方、否定判定となった場合はステップ214に移行する。
ステップ214で、CPU100は、上記ステップ140の処理と同様に、直前のステップ210で取得された電流値が上に凸のピーク値であるか否かを判定する。CPU100は、この判定が否定判定となった場合はステップ210に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ216に移行する。
ステップ216で、CPU100は、定着温度が直前のステップ210で取得されたピーク値に応じて定まる、記録媒体Pの厚さに応じた目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を増加させる。次のステップ218で、CPU100は、定着装置24による定着温度の制御に用いる温度制御情報を記憶部106に記憶した後、ステップ210に戻る。具体的には、CPU100は、温度制御情報として、上に凸のピーク値が大きくなるほど、高い温度として目標温度を記憶部106に記憶する。
さらに、CPU100は、温度制御情報として、媒体検知センサ82により記録媒体Pの通過を検知してから、ステップ214で上に凸のピーク値であると判定された電流値を取得したまでの期間にマージンを減算した期間を目標温度と対応付けて記憶部106に記憶する。この場合のマージンは、例えば、定着温度が目標温度となるように加熱ベルト24Aを制御してから、定着温度が実際に目標温度となるまでの期間等から定めればよい。
一方、ステップ220で、CPU100は、記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ82による検知位置を通過したことを検知してから経過した期間が、記録媒体Pの後端部が定着装置24から排出されるまでの期間の範囲として予め定められた範囲内であるか否かを判定する。この範囲としては、例えば、次に示すように範囲を導出して適用すればよい。まず、CPU100は、媒体検知センサ82による検知位置から定着装置24までの記録媒体Pの搬送距離、記録媒体Pの搬送速度、及び記録媒体Pの搬送方向の長さに基づいて、記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ82による検知位置を通過してから後端部が定着装置24から排出されるまでの期間を導出する。そして、導出した期間にマージンを加味した範囲を、記録媒体Pの後端部が定着装置24から排出される期間の範囲として適用する。CPU100は、ステップ220の判定が否定判定となった場合はステップ222に移行する。
ステップ222で、CPU100は、定着温度がユーザにより設定された記録媒体Pの種類等から定まる、記録媒体Pの厚さに応じた目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を減少させる。次のステップ224で、CPU100は、温度制御情報を記憶部106に記憶した後、ステップ210に戻る。具体的には、CPU100は、温度制御情報の目標温度として、例えばユーザにより設定された記録媒体Pの種類等から定まる温度を記憶部106に記憶する。
さらに、CPU100は、温度制御情報として、媒体検知センサ82による記録媒体Pの通過を検知してから、直前のステップ212で下に凸のピーク値であると判定された電流値を取得したまでの期間にマージンを減算した期間を目標温度と対応付けて記憶部106に記憶する。この場合のマージンも上記ステップ218と同様に定めればよい。一方、ステップ220の判定が肯定判定となった場合は、CPU100は、ステップ226に移行する。
ステップ226で、CPU100は、定着温度がユーザにより設定された記録媒体Pの種類等から定まる目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を調整した後、本第2定着温度制御処理を終了する。なお、画像の形成指示が1枚の記録媒体Pに対する指示である場合は、本ステップ226において、CPU100は、ステップ200で開始された加熱を終了してもよい。
なお、画像の形成指示における2枚目以降の記録媒体Pに対する定着温度の制御処理は、上記第1の実施の形態に係る第1定着温度制御処理と同様に、記憶部106に記憶された温度制御情報を用いて行えばよいため、ここでの説明を省略する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、定着装置24の加圧ロール24Bを駆動するモータ122の電流値に基づいて、記録媒体Pの段差が検出される。そして、段差が検出されたタイミングに基づいて、加熱ベルト24Aによる加熱量が調整されることによって定着温度が調整される。図14に、加熱ベルト24Aによる加熱量の制御のタイミングチャートを示す。
なお、図14は、各々上段が電流値の時系列データを示し、中段が記録媒体Pの側面図を示し、下段が加熱ベルト24Aによる加熱量の制御のタイミングチャートを示している。また、図14の左側は画像の形成指示における1枚目の記録媒体Pを示し、図14の右側は画像の形成指示における2枚目の記録媒体Pを示している。
図14に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、記録媒体Pが画像の形成指示における1枚目で、かつ重なり部が記録媒体Pの後端部にある場合、期間T内で段差を検出した場合、加熱量を増加させる。一方、この場合、画像形成装置10は、画像の形成指示における2枚目以降の記録媒体Pについては、1枚目の記録媒体Pにおいて段差を検出したタイミングに応じて、加熱量を増加させる。また、画像形成装置10は、画像の形成指示における2枚目以降の記録媒体Pについても1枚目の記録媒体Pと同様に加熱量の制御を行ってもよいことは言うまでもない。
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成は、第2の実施の形態と同様(図1及び図12参照。)であるため、ここでの説明は省略する。
本実施の形態に係る画像形成装置10は、前述した上に凸のピーク値の大きさ(すなわち、記録媒体Pの重なり部の厚み)に加え、定着装置24による定着対象とする画像のトナー量(現像材量)に応じて定着温度を上昇させる。具体的には、画像形成装置10は、上記トナー量が多いほど、定着温度を上昇させる度合いを大きくする。
また、本実施の形態に係る画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値及び上記トナー量に応じて定まる定着温度の目標温度が、定着温度の上限値を超える場合、定着温度を上限値まで上昇させる。そして、この場合、画像形成装置10は、定着装置24の記録媒体Pを挟む圧力(所謂ニップ圧)を高くする。
具体的には、画像形成装置10は、一例として以下の表1に示すように、定着温度を上昇させる。なお、表1では、定着温度を10度上昇させた場合の定着温度が定着温度の上限値である場合の例について示している。
表1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値を小及び大の2段階に分け、上記トナー量を少、中、及び多の3段階に分ける。そして、画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値が小で、上記トナー量が少の場合は、定着温度を3度上昇させる。また、画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値が小で、上記トナー量が中の場合は、定着温度を5度上昇させる。また、画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値が小で、上記トナー量が多の場合は、定着温度を10度上昇させる。
また、画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値が大で、上記トナー量が少の場合は、定着温度を5度上昇させる。また、画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値が大で、上記トナー量が中の場合は、定着温度を10度上昇させる。また、画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値が大で、上記トナー量が多の場合は、定着温度を10度上昇させたうえで、定着装置24のニップ圧を5%高くする。
次に、図15を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、図15は、CPU100によって実行される第3定着温度制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。本第3定着温度制御処理プログラムは、例えば、画像の形成指示が入力され、該形成指示における1枚目の記録媒体Pの先端部が媒体検知センサ82による検知位置を通過したことが検知された場合に実行される。また、本第3定着温度制御処理プログラムはROM102に予めインストールされている。また、図15における図13と同一の処理を実行するステップについては図13と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
また、ここでは、錯綜を回避するために本第3定着温度制御処理プログラムの実行を開始する時点で、定着装置24のニップ圧が、例えばユーザにより設定された記録媒体Pの種類等から定まる圧力となるように定着装置24が制御されているものとする。
図15のステップ198で、CPU100は、定着装置24による定着対象とする画像のトナー量を導出する。例えば、CPU100は、定着対象とする画像を示す画像データの画素値の平均値から該トナー量を導出する。なお、画像形成装置10がトナーカートリッジのトナーの残量を検知する残量検知センサを備えている場合、例えば、CPU100は、以下に示す処理で上記トナー量を導出してもよい。すなわち、この場合、CPU100は、定着対象とする画像を現像する前後での上記残量検知センサの出力値の差分を導出することによって上記トナー量を導出してもよい。
ステップ208Aで、CPU100は、定着温度が、ステップ198で導出されたトナー量、及び直前のステップ202で取得されたピーク値に応じて定まる、該トナー量及び記録媒体Pの厚さに応じた目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を増加させる。なお、前述したように、CPU100は、該目標温度が定着温度の上限値を超える場合は、定着温度が該上限値となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を増加させたうえで、定着装置24のニップ圧を高くする制御を行う。
ステップ216Aで、CPU100は、定着温度が、ステップ198で導出されたトナー量、及び直前のステップ210で取得されたピーク値に応じて定まる、該トナー量及び記録媒体Pの厚さに応じた目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を増加させる。なお、前述したように、CPU100は、該目標温度が定着温度の上限値を超える場合は、定着温度が該上限値となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を増加させたうえで、定着装置24のニップ圧を高くする制御を行う。
次のステップ218Aで、CPU100は、定着装置24による定着温度の制御に用いる温度制御情報を記憶部106に記憶した後、ステップ210に戻る。具体的には、CPU100は、温度制御情報として、上に凸のピーク値が大きくなるほど、高い温度として目標温度を記憶部106に記憶する。
また、CPU100は、温度制御情報として、媒体検知センサ82により記録媒体Pの通過を検知してから、ステップ214で上に凸のピーク値であると判定された電流値を取得したまでの期間にマージンを減算した期間を目標温度と対応付けて記憶部106に記憶する。この場合のマージンは、例えば、定着温度が目標温度となるように加熱ベルト24Aを制御してから、定着温度が実際に目標温度となるまでの期間等から定めればよい。
さらに、CPU100は、定着温度の目標温度が定着温度の上限値を超えて、定着装置24のニップ圧を高くする制御を行った場合は、該ニップ圧も対応付けて、温度制御情報として記憶部106に記憶する。
一方、ステップ222Aで、CPU100は、定着温度がユーザにより設定された記録媒体Pの種類等から定まる、記録媒体Pの厚さに応じた目標温度となるように加熱ベルト24Aによる加熱量を減少させる。また、CPU100は、定着装置24のニップ圧がユーザにより設定された記録媒体Pの種類等から定まる圧力より高くされている場合は、定着装置24のニップ圧を該圧力に戻す制御を行う。
なお、画像の形成指示における2枚目以降の記録媒体Pに対する定着温度の制御処理は、上記第1の実施の形態に係る第1定着温度制御処理と同様に、記憶部106に記憶された温度制御情報を用いて行えばよいため、ここでの説明を省略する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、定着装置24の加圧ロール24Bを駆動するモータ122の電流値及び定着対象とする画像のトナー量に基づいて、加熱ベルト24Aによる加熱量が調整されることによって定着温度が調整される。さらに、定着温度の目標温度が上限値を超える場合は、定着温度を上限値とし、定着装置24のニップ圧が高くされる。図16に、加熱ベルト24Aによる加熱量の制御、及びニップ圧の制御のタイミングチャートを示す。
なお、図16は、1段目が電流値の時系列データを示し、2段目が記録媒体Pの側面図を示し、3段目が加熱ベルト24Aによる加熱量の制御のタイミングチャートを示し、4段目が定着装置24のニップ圧の制御のタイミングチャートを示している。また、図16の左側は画像の形成指示における1枚目の記録媒体Pを示し、図16の右側は画像の形成指示における2枚目の記録媒体Pを示している。また、3段目及び4段目の実線は、各々上記上に凸のピーク値が小で、上記トナー量が中の場合のタイミングチャートを示している。また、3段目及び4段目の破線は、各々上記上に凸のピーク値が大で、上記トナー量が多の場合のタイミングチャートを示している。
図16に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、上記上に凸のピーク値大きいほど、かつ上記トナー量が多いほど、定着温度を高くしている。また、画像形成装置10は、定着温度の目標温度が定着温度の上限値を超える場合は、定着温度を上限値とし、ニップ圧を高くしている。
なお、本第3の実施の形態において、一例として図17に示すように、画像の形成指示における1枚目の記録媒体Pへの定着工程で定着温度を上昇させる場合に、最初の予め定められた期間は目標温度よりも若干高い温度に定着温度を上昇させてもよい。
また、本第3の実施の形態において、画像の形成指示における2枚目以降の記録媒体Pへの定着工程で定着温度を上昇させる場合に、重なり部が定着装置24に突入する時点より加熱ベルト24A一周分に対応する回転時間の分、早く定着温度を上昇させてもよい。
また、本第3の実施の形態において、定着対象とする画像を示す画像データの一部から上記トナー量を導出してもよい。この場合、例えば、該画像の中央の予め定められた矩形の領域に対応する画像データから上記トナー量を導出する形態が例示される。
また、本第3の実施の形態において、定着対象とする画像の搬送方向に交差する交差方向のライン毎に上記トナー量を導出してもよい。この場合、例えば、該ライン毎にトナー量に応じて定着温度を調整する形態が例示される。
また、上記第1の実施の形態において、本第3の実施の形態と同様に、トルク検出部114により検出された電流値と、上記トナー量とに基づいて定着温度を調整してもよい。
なお、上記各実施の形態では、IH(Induction Heating)方式の定着装置を用いた場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ハロゲンランプ等を用いた別の方式の定着装置を用いてもよい。
また、上記各実施の形態では、期間T内に電流値のピーク値を検出した場合に、定着温度を調整する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、期間T内に電流値のピーク値を検出した場合で、かつユーザにより設定された記録媒体の種類が普通紙やコート紙等の段差を有しない記録媒体である場合に、エラーであることを報知する形態としてもよい。この場合の形態例として、記録媒体が段差を有することを示すエラーメッセージを操作表示部110のディスプレイに表示する形態が例示される。
また、上記各実施の形態では、電流値と閾値との比較により電流値がピーク値であるか否かを判定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電流値を予め定められた期間で積分して得られた値や電流値の移動平均値等と閾値との比較により電流値がピーク値であるか否かを判定する形態としてもよい。
また、上記各実施の形態では、各種処理プログラムがROM102に予めインストールされている場合について説明したが、これに限定されない。例えば、各種処理プログラムが、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の記憶媒体に格納されて提供される形態、又はネットワークを介して提供される形態としてもよい。
さらに、上記各実施の形態では、各種処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、各種処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
その他、上記各実施の形態で説明した画像形成装置10の構成(図1、図2、及び図12参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記各実施の形態で説明した各種処理プログラムの処理の流れ(図7、図8、図13、及び図15参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。