以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<画像形成装置>
まず、画像形成装置について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。図2は図1に示す画像形成装置の画像形成部(要部)の構成を示す概略構成図である。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示す。
図1に示すように、画像形成装置10は、電子写真方式により記録媒体としての記録媒体Pに画像を形成する画像形成部12、記録媒体Pを搬送する媒体搬送装置50、及び画像が形成された記録媒体Pに対する後処理等を行う後処理部60を備えている。また、画像形成装置10は、装置各部に電力を供給する電源部80、及び装置各部の制御を行う制御部70を備えている。
画像形成部12は、トナー画像を形成するトナー画像形成部20、トナー画像形成部20で形成されたトナー画像を記録媒体Pに転写する転写装置30、及び記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着する定着装置40を備えている。
媒体搬送装置50は、画像形成部12に記録媒体Pを供給する媒体供給部52、及びトナー画像が形成された記録媒体Pを排出する媒体排出部54を備えている。また、媒体搬送装置50は、記録媒体Pの両面に画像を形成させる際に用いられる媒体戻し部56、及び中間搬送部58を備えている。
後処理部60は、画像形成部12でトナー画像が転写された記録媒体Pを冷却する媒体冷却部62、記録媒体Pの湾曲を矯正する矯正装置64、及び記録媒体Pに形成された画像を検査する画像検査部66を備えている。後処理部60を構成する各部は、媒体搬送装置50の媒体排出部54中に配置されている。
画像形成装置10は、排出媒体受け部541を除く各部が筐体90内に収容されている。この実施の形態における筐体90は、装置幅方向に隣り合う第1筐体91及び第2筐体92より成る2分割構造とされている。これにより、画像形成装置10の搬送単位が装置幅方向に小型化されている。
第1筐体91には、定着装置40を除く画像形成部12の主要部、及び媒体供給部52が収容されている。第2筐体92には、画像形成部12を構成する定着装置40、媒体排出部54、媒体冷却部62、画像検査部66、媒体戻し部56、制御部70、及び電源部80が収容されている。
第1筐体91と第2筐体92とは、一例として図示しないボルト・ナット等の締結手段によって結合されている。この結合状態で第1筐体91と第2筐体92との間には、画像形成部12の転写ニップNTから定着ニップNFへの記録媒体Pの連絡開口部90C1、及び媒体戻し部56から媒体供給部52への記録媒体Pの連絡路90C2が形成されている。
(画像形成部)
ここで「画像形成部」について詳細に説明する。
画像形成部12は、トナー画像形成部20、転写装置30、及び定着装置40を備えている。本実施の形態では、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の、各色毎にトナー画像を形成するトナー画像形成部20V、20W、20Y、20M、20C、20Kが設けられている。
トナー画像形成部20V、20W、20Y、20M、20C、20Kは、転写ベルト31の上辺部に沿って、転写ベルト31の移動方向上流側から、トナー画像形成部20W→20Y→20M→20C→20K→20Vの順で配置されている。即ち、転写ベルト31上には、W色→Y色→M色→C色→K色→V色の順でトナー画像が形成される。
また、本実施の形態では、第1特別色(V)は白色であり、トナー画像形成部20Vは、白色トナーによりトナー画像を形成する。以下では、V色は「白色」と言い換える。一方、第2特別色(W)は、他の色に比して頻繁に使用されるユーザ特有のコーポレート色である。なお、白色トナーについての詳細、及び白色トナーにより記録媒体上に画像を形成する際の制御部70による各部の制御等については後述する。
トナー画像形成部20V、20W、20Y、20M、20C、20Kの各々は、同様に構成されている。これらを色毎に区別する必要がない場合は、トナー画像形成部20と総称する。トナー画像形成部20は、図2に示すように、画像形成ユニット14、及びトナーを保持するトナーカートリッジ27を備えている。各色の画像形成ユニット14についても、色毎に区別することなく説明する。画像形成ユニット14は、像保持体の一例である感光体ドラム21、帯電器22、露光装置23、現像器の一例である現像装置24、清掃装置25、及び除電装置26を備えている。
感光体ドラム21の表面には、感光層が形成されている。帯電器22は、例えば、コロナ放電方式等により、感光体ドラム21の表面(感光層)を帯電させる。露光装置23は、帯電器22により帯電された感光体ドラム21の表面に露光光Lを照射して、感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成する。露光光Lは、制御部70の画像信号処理部71(図1参照)から受け取った画像データに応じて変調されている。現像装置24は、トナーを含む現像剤Gで感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を現像することで、感光体ドラム21の表面にトナー画像を形成する。
清掃装置25は、ブレード状とされており、転写装置30へのトナー画像の転写後に感光体ドラム21の表面に残留したトナーを感光体ドラム21の表面から掻き取る。除電装置26は、転写後の感光体ドラム21に光を照射して除電を行う。これにより、感光体ドラム21の表面の帯電履歴がキャンセルされる。トナーカートリッジ27は、現像装置24にトナーを供給する。
転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー画像を転写ベルト31に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー画像を記録媒体Pに二次転写する。以下、具体的に説明する。
転写ベルト31は、図2に示すように、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられている。ロール32Dは、図示しないモータの動力により転写ベルト31を矢印A方向に周回させる駆動ロールとして機能する。また、ロール32Tは、転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロールとして機能する。ロール32Bには、転写ベルト31の鈍角を成す下端側の頂部が巻き掛けられている。ロール32Bは、後述する二次転写ロール34の対向ロールとして機能する。この転写ベルト31は、装置幅方向に延びる上辺部において、各色の感光体ドラム21に下方から接触している。
転写ベルト31の内側には、各感光体ドラム21のトナー画像を転写ベルト31に転写させる転写部材の一例である一次転写ロール33が配置されている。各一次転写ロール33は、転写ベルト31を挟んで対応する色の感光体ドラム21に対して対向配置されている。また、一次転写ロール33には、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加される。この転写バイアス電圧の印加により、感光体ドラム21に形成されたトナー画像が転写ベルト31に転写される
また、転写装置30は、転写ベルト31に重畳されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写ロール34を備えている。二次転写ロール34は、ロール32Bとの間に転写ベルト31を挟むように配置され、転写ベルト31との間に転写ニップNTを形成している。この転写ニップNTには、媒体供給部52から適時に記録媒体Pが供給される。二次転写ロール34には、図示しない給電部によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加される。この転写バイアス電圧の印加により、転写ニップNTを通過する記録媒体Pに、転写ベルト31から記録媒体Pにトナー画像が転写される。
さらに、転写装置30は、二次転写後に転写ベルト31を清掃する清掃装置35を備えている。清掃装置35は、転写ベルト31の周回方向において、二次転写が行われる部分(転写ニップNT)の下流側で、かつ一次転写が行われる部分の上流側に配置されている。清掃装置35は、ブレード351を備え、転写ベルト31の表面に残留したトナーを転写ベルト31の表面から掻き取る。
定着装置40は、転写装置30においてトナー画像が転写された記録媒体Pに、該トナー画像を定着させる。本実施の形態では、定着装置40は、複数のロール413に巻き掛けられた定着ベルト411と加圧ロール42とで形成される定着ニップNFにおいてトナー画像を加熱しつつ加圧することで、トナー画像を記録媒体Pに定着する。
ロール413Hは、内部に例えばヒータを備えると共に図示せぬモータから伝達される駆動力により回転する加熱ロールとされている。これにより、定着ベルト411が矢印R方向に周回するようになっている。また、加圧ロール42も図示せぬモータから伝達される駆動力により、定着ベルト411の周速度と同様の周速度で回転するようになっている。
(媒体搬送装置)
ここで「媒体搬送装置」について詳細に説明する。
媒体搬送装置50は、媒体供給部52、媒体排出部54、媒体戻し部56、及び中間搬送部58を含んで構成されている。
媒体供給部52は、記録媒体Pが積載して収容される収容器521を備えている。本実施の形態では、収容器521は、転写装置30に対して下方で装置幅方向に沿って2つ並べて配置されている。各収容器521から二次転写位置である転写ニップNTまでには、複数の搬送ロール対522等によって媒体供給経路52Pが形成されている。
各収容器521の上側には、収容器521に積載された最上位の記録媒体Pを送り出す送出ロール523が配置されている。複数の搬送ロール対522のうち、記録媒体Pの搬送方向の最上流側の搬送ロール対522Sは、送出ロール523によって収容器521から重なって送り出された記録媒体Pを一枚ずつに分離する分離ロールとして機能する。また、複数の搬送ロール対522のうち、記録媒体Pの搬送方向において転写ニップNTの直上流に位置する搬送ロール対522Rは、転写ベルト31上のトナー画像の移動タイミングと記録媒体Pの搬送タイミングを合わせるように動作される。
また、媒体供給部52は、予備搬送経路52Prを備えている。予備搬送経路52Prは、第1筐体91の第2筐体92側とは反対側の開口部91Wから発し、媒体供給経路52Pの折返部52P2に合流している。予備搬送経路52Prは、第1筐体91の開口部91W側に隣接して配置されるオプションの記録媒体供給装置(図示省略)から送り出された記録媒体Pを画像形成部12に送り込む際の搬送経路とされている。
中間搬送部58は、転写装置30の転写ニップNTから定着装置40の定着ニップNFまでの間に配置され、ロールに巻き掛けられた無端状の搬送ベルトを備えたベルト搬送部材581を複数備えている。ベルト搬送部材581は、内側から空気を吸引(負圧吸引)して記録媒体Pを搬送ベルトの表面に吸い付けながら、搬送ベルトが周回して記録媒体Pを搬送する仕組みとされている。
媒体排出部54は、画像形成部12の定着装置40でトナー画像が定着された記録媒体Pを、第2筐体92における第1筐体91側とは反対側の端部に形成された排出口92Wから筐体90の外部に排出する。媒体排出部54は、排出口92Wから排出された記録媒体Pを受ける排出媒体受け部541を備えている。
媒体排出部54は、定着装置40(定着ニップNF)から排出口92Wまでに記録媒体Pを搬送する媒体排出経路54Pを有する。媒体排出経路54Pは、ベルト搬送部材543、複数のロール対542等によって形成されている。そして、複数のロール対542のうち、記録媒体Pの排出方向の最下流に配置されたロール対542Eは、記録媒体Pを排出媒体受け部541上に排出する排出ロールとして機能する。
媒体戻し部56は、複数のロール対561を備えている。複数のロール対561は、両面に画像を形成する要求がある場合に、画像検査部66を通過した記録媒体Pが送り込まれる反転経路56Pを形成している。反転経路56Pは、分岐パス56P1、搬送パス56P2、及び反転パス56P3を有する。分岐パス56P1は、媒体排出経路54Pから分岐されている。搬送パス56P2は、分岐パス56P1から受け取った記録媒体Pを媒体供給経路52Pに送り込む。反転パス56P3は、搬送パス56P2の途中に設けられ、搬送パス56P2を搬送される記録媒体Pの搬送方向を逆向きに折り返すことで(スイッチバック搬送させて)表裏を反転させる。
(後処理部)
後処理部60を構成する媒体冷却部62、矯正装置64、及び画像検査部66は、媒体排出部54の媒体排出経路54P上において分岐パス56P1の分岐部分に対する記録媒体Pの排出方向の上流側に、排出方向の上流側からこの順で配置されている。
媒体冷却部62は、記録媒体Pの熱を吸収する吸熱装置621、及び記録媒体Pを吸熱装置621に押し付ける押付装置622を備えている。吸熱装置621は、媒体排出経路54Pに対する上側に配置され、押付装置622は、媒体排出経路54Pに対する下側に配置されている。
吸熱装置621は、無端状の吸熱ベルト6211、吸熱ベルト6211を支持する複数のロール6212、吸熱ベルト6211内に配置されたヒートシンク6213、及びヒートシンク6213を冷却するためのファン6214を備えている。吸熱ベルト6211は、外周面において記録媒体Pと熱交換可能に接触する。複数のロール6212のうち、ロール6212Dは、吸熱ベルト6211に駆動力を伝達する駆動ロールとして機能する。ヒートシンク6213は、媒体排出経路54Pに沿った定められた範囲で吸熱ベルト6211の内周面に摺動可能に面接触されている。
押付装置622は、無端状の押付ベルト6221、及び押付ベルト6221を支持する複数のロール6222を備えている。押付ベルト6221は、複数のロール6222に巻き掛けられている。押付装置622は、記録媒体Pを吸熱ベルト6211(ヒートシンク6213)へ押し付けながら、吸熱ベルト6211と共に記録媒体Pを搬送する。
矯正装置64は、媒体排出部54における媒体冷却部62の下流側に設けられている。矯正装置64は、媒体冷却部62から受け取った記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正するようになっている。また、画像検査部66の主要部を成す光学センサ661は、媒体排出部54における矯正装置64の下流側に配置されている。
光学センサ661は、発光素子(例えば、LED)等の光源と、受光素子(例えば、PD)等の受光部とを備え、光源から記録媒体Pに光を照射し、記録媒体Pから反射された正反射光や拡散反射光を受光して、定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等の有無や程度を検出する。また、後述する通り、光学センサ661により、白色画像のL*値や記録媒体のL*値の測定に使用してもよい。測定結果は制御部70に出力される。
<画像形成装置の電気的構成>
次に、画像形成装置の電気的構成について説明する。
図3は第1の実施の形態に係る画像形成装置の電気的構成の一例を示す概略図である
。図3に示すように、制御部70は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。即ち、制御部70は、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)70A、ROM(Read Only Memory)70B、RAM(Random Access Memory)70C、不揮発性のメモリ70D、及び入出力インターフェース(I/O)70Eを備えている。
CPU70A、ROM70B、RAM70C、メモリ70D、及びI/O70Eの各々は、バス70Fを介して互いに接続されている。CPU70Aは、ROM70Bに記憶されたプログラムを読み出して、RAM70Cをワークエリアとしてプログラムを実行する。制御部70のI/O70Eには、画像形成部12、媒体搬送装置50、後処理部60、操作表示部100、通信部102、及び記憶部104の各部が接続されている。制御部70は、これら各部を制御する。
操作表示部100は、スタートボタンやテンキー等の各種ボタン、設定画面等の各種画面を表示するためのタッチパネルなどを含んで構成されている。操作表示部100は、上記構成により、利用者の操作を受け付けると共に、利用者に各種情報を表示する。
通信部102は、有線又は無線の通信回線を介して外部装置と通信を行うためのインターフェースである。例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されたコンピュータと通信を行うためのインターフェースとして機能する。記憶部104は、ハードディスク等の記憶装置を備えている。記憶部104には、ログデータ等の各種データ、制御プログラム等が記憶される。
画像情報は、画像形成装置内の画像読取装置(図示せず)から取得してもよく、通信部102を介して外部装置から取得してもよい。画像形成指示及び選択設定情報は、操作表示部100から取得してもよく、通信部102を介して外部装置から取得してもよい。ここで「選択設定情報」とは、利用者により選択及び設定された画像形成条件に関する情報である。
本実施の形態では、選択設定情報には「記録媒体の明度」に関する情報が含まれる。本実施の形態では、記録媒体の明度は、CIE1976L*a*b*表色系において明度を表す指数L*値で表される。L*値が100に近いほど白に近くなり、L*値が低いほど暗い色となる。記録媒体の明度をL*値で表すことで、記録媒体上に形成される白色画像に及ぼす影響が適切に表現される。なお、L*値は、特に指定しない場合は、市販の反射分光濃度計を用いて測定した値である。また、L*値は一例であり、記録媒体の明度を表すのに、L*値以外のパラメータを用いてもよい。
後述する通り、本実施の形態では、記録媒体の種類、記録媒体の色、記録媒体のサイズ、及び記録媒体の明度が、記録媒体を収容する収容器と関連付けられており、利用者により収容器が選択されると共に、記録媒体の種類、記録媒体の色、記録媒体のサイズ、及び記録媒体の明度も選択される。したがって、選択設定情報には、記録媒体の種類、記録媒体の色、記録媒体のサイズに関する情報が含まれる。また、選択設定情報は、ページ、部数、記録媒体1枚に画像形成するページ数、余白等、画像形成条件に関する他の情報を含んでいてもよい。
<画像形成動作(作用)>
次に、画像形成装置10による記録媒体Pへの画像形成工程及び後処理工程について説明する。画像形成工程は、利用者により選択及び設定された種々の画像形成条件に基づいて実施される。本実施の形態では、画像形成工程に対して、白色トナー及び有色トナーにより記録媒体に画像を形成する「通常モード」と、白色トナーにより記録媒体上に白色下地層を形成し、有色トナーにより白色下地層上に有色画像を形成する「白色モード」とが用意されている。
(白色トナー及び有色トナー)
白色トナーは、白色顔料とバインダー樹脂と各種添加剤とを含んで構成されている。イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色の有色トナーは、各色顔料とバインダー樹脂と各種添加剤とを含んで構成されている。なお、有色とは、透明や白色ではないことを意味する。これらのトナーは、キャリアと組み合わせることにより現像剤として使用される。
白色トナー及び有色トナーの各々は、中心粒径を3μm以上9μm以下の範囲とし、比重を1以上1.7以下の範囲とするのがよい。例えば、中心粒径6μm、比重1.4の白色トナーを用いてもよい。本実施の形態では、記録媒体のL*値に応じたTMAで白色画像を形成することにより、白色画像のL*値が目標値以上となるように調整される。なお、記録媒体のL*値に応じたTMAの設定については後述する。
(記録媒体)
画像形成装置では、種類やサイズ等が異なる複数の記録媒体が使用される。本実施の形態では、画像形成装置10は、記録媒体Pが積載して収容される2つの収容器521を備えている(図1参照)。2つの収容器521には、L*値が異なる記録媒体を収容してもよい。収容器52に収容される記録媒体のL*値は、利用者により収容器52毎に設定登録される。
以下では、2つの収容器521を「トレイ1、トレイ2」という。また、記録媒体を「用紙」という。図4は操作表示部に表示される設定画面の一例を示す模式図である。図4に示すように、操作表示部100には、用紙種類、用紙色、用紙サイズ、及び用紙明度を設定する設定画面106が表示される。図示した例は「トレイ1」に対する設定画面である。
設定画面106は、普通紙、コート紙、再生紙等の用紙種類を選択設定する設定部108、用紙サイズを入力する入力部110、白、ピンク、水色、黒等の用紙色を選択設定する設定部112、用紙明度としてL*値を入力する入力部113、取り消しボタン114、及び閉じるボタン116を含んでいる。利用者は、設定画面106を操作することにより、トレイ1に対して用紙種類、用紙色、用紙サイズ、及び用紙明度を設定する。同様に、トレイ2に対しても用紙種類、用紙色、用紙サイズ、及び用紙明度を設定する。
利用者は、記録媒体に付随する情報に基づいて、用紙種類、用紙色、用紙サイズ、及び用紙明度を設定してもよい。また、用紙明度については、装置外部の測色機で測定して得られた値を設定してもよく、画像形成装置内の画像読取装置(図示せず)で読み取った画像情報から取得した値を設定してもよい。
設定されたトレイと用紙種類、用紙色、用紙サイズ、及び用紙明度との関係は、例えば、図5に示すテーブル形式で制御部70のメモリ70D等に記憶される。したがって、利用者がトレイを選択することで、用紙種類、用紙色、用紙サイズ、及び用紙明度も選択される。即ち、収容器の選択により記録媒体の種類、色、サイズ、明度(L*値)が選択される。
(モード選択処理)
次に、モード選択処理について説明する。
本実施の形態では、画像形成処理の前に、通常モードと白色モードのいずれか一方を選択するモード選択処理が実行される。図6はモード選択処理の手順の一例を示すフローチャートである。モード選択処理は、制御部70のCPU70Aにより実行される。
また、モード選択処理は、制御部70が利用者からの画像形成指示、選択設定情報、及び画像情報を受け取ると開始される。なお、画像形成指示に際して、利用者は収容器を選択することにより、記録媒体の種類、色、サイズ、及び明度(L*値)も選択している。制御部70は、画像形成指示と共にこれらの選択設定情報も受け取る。
まず、ステップ100で、記録媒体のL*値を取得し、ステップ102で、記録媒体のL*値が閾値未満か否かを判断する。L*値が100に近いほど白色に近いので、例えば、閾値を90として、記録媒体のL*値が90未満か否かを判断してもよい。L*値が閾値未満の場合は、ステップ104に進む。L*値が閾値以上の場合は、ステップ110に進んで、通常モードを選択する。
次に、ステップ104で、画像情報を取得し、ステップ106で、白色画像の画像データを含むか否かを判断する。白色画像の画像データを含む場合は、ステップ108に進んで、白色モードを選択する。ここで、白色画像の画像データを含まない場合は、ステップ110に進んで、通常モードを選択する。
上記のモード選択処理により、記録媒体のL*値が閾値未満で、画像情報が白色画像の画像データを含む場合に、白色トナーにより記録媒体上に白色下地層を形成し、有色トナーにより白色下地層上に有色画像を形成する「白色モード」が選択される。また、「白色モード」が選択されない場合は、「通常モード」が選択される。制御部70は、選択されたモードに応じて画像形成指令を行う。なお、記録媒体のL*値が閾値未満という条件は外してもよい。
(白色下地層)
「白色モード」では、記録媒体上に下地層として白色画像が形成され、有色トナーにより下地層である白色画像上に有色画像が形成される。例えば、有色の記録媒体は、下地層として白色画像を形成することで、有色画像を形成した場合の色味変化が回避される。また、画像形成済みの記録媒体は、形成済みの画像を白色画像で上書きすることで、白色の記録媒体として再利用される。しかしながら、図7(A)〜(D)に示すように、記録媒体の明度(L*値)がその記録媒体上に形成された画像に影響を及ぼす場合がある。
図7(A)に示す例では、記録媒体PのL*値が10であり、記録媒体のL*値は低い。一方、図7(B)に示す例では、記録媒体PのL*値が90であり、記録媒体のL*値は高い。同じTMAで白色画像を形成しても、図7(A)及び(B)に示すように、L*値が90と高い記録媒体P上に形成した白色画像のL*値に比べて、L*値が10と低い記録媒体P上に形成した白色画像のL*値は低下する。
また、図7(C)に示す例では、L*値が低い白色画像上に有色画像を形成している。一方、図7(D)に示す例では、L*値が高い白色画像上に、図7(C)に示す有色画像と同じ色、同じTMAで同じ有色画像を形成している。同じTMAで同じ色の有色画像を形成しても、図7(C)及び(D)に示すように、L*値が低い白色画像上に形成した有色画像と、L*値が高い白色画像上に形成した有色画像とでは、色味が異なってしまう。例えば、L*値が低い白色画像上に形成された赤色画像は、L*値が高い白色画像上に形成された赤色画像よりも暗い赤色となる。
そこで、本実施の形態では、「白色モード」を実施する際に、記録媒体のL*値に応じてTMAを設定することで、記録媒体上に下地層として形成される白色画像のL*値を予め定めた目標値とする。これにより、下地層として形成される白色画像のL*値のばらつきが低減され、白色画像上に形成される有色画像の色味が安定する。
(通常モード)
図8は「通常モード」での画像形成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図1及び図2も参照しながら「通常モード」での画像形成工程、及び後処理工程について説明する。「通常モード」での画像形成指令を受けた制御部70は、画像形成部12(トナー画像形成部20、転写装置30、定着装置40)、媒体搬送装置50、及び後処理部60等を作動させる。例えば、各色の画像形成ユニット14の感光体ドラム21、現像装置24の現像ロール242が回転され、転写ベルト31が周回される。また、加圧ロール42が回転されると共に、定着ベルト411が周回される。
まず、ステップ200で、各色のトナー画像を形成するように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。各色の感光体ドラム21上に、白色(V)、特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のうち、対応する色のトナー画像が形成される。具体的には、感光体ドラム21は、帯電器22によって帯電され、露光装置23により対応する色の画像データに応じて露光光Lで露光されて、表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム21に形成された静電潜像は、現像装置24から供給される対応する色の現像剤によって現像される。これにより、各色の感光体ドラム21上には、対応する色のトナー画像が形成される。
次に、ステップ202で、各色のトナー画像が一次転写されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。各色の感光体ドラム21に形成された各色のトナー画像は、各色の一次転写ロール33を通じた転写バイアス電圧の印加によって、周回する転写ベルト31に順次転写される。これにより、転写ベルト31上には、6色分のトナー画像が重畳された重畳トナー画像が形成される。本実施の形態では、転写ベルト31側からW色、Y色、M色、C色、K色、白色の順で6色分のトナー画像が重畳される。この重畳トナー画像は、転写ベルト31の周回によって転写ニップNTに搬送される。
次に、ステップ204で、重畳トナー画像が二次転写されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。転写ニップNTには、重畳トナー画像の搬送にタイミングを合わせて、媒体供給部52の搬送ロール対522Rによって記録媒体Pが供給される。この転写ニップNTにおいて転写バイアス電圧が印加されることで、転写ベルト31から重畳トナー画像が記録媒体Pに転写される。転写後は、記録媒体P側から白色、K色、C色、M色、Y色、W色の順で6色分のトナー画像が重畳されることになる。
次に、ステップ206で、記録媒体P上のトナー画像が定着されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。重畳トナー画像が転写された記録媒体Pは、中間搬送部58によって定着装置40の定着ニップNFに向けて搬送される。定着装置40は、定着ニップNFを通過する記録媒体Pに熱及び圧力を付与する。これにより、記録媒体Pに転写されたトナー画像が定着される。
次に、ステップ208で、両面印刷が指示されているか否か判断する。両面印刷が指示されていない場合は、ステップ210に進む。ステップ210では、後処理を行った後に記録媒体Pを排出するように、後処理部60及び媒体搬送装置50の各部に指示して、ルーチンを終了する。
定着装置40から排出された記録媒体Pは、媒体排出部54によって装置外の排出媒体受け部541に向けて搬送されつつ、後処理部60により処理が施される。定着工程により加熱された記録媒体Pは、先ず媒体冷却部62において冷却される。次いで、記録媒体Pは、矯正装置64によって湾曲が矯正される。さらに、記録媒体Pに定着されたトナー画像は、画像検査部66によって、トナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等の有無や程度が検出される。そして、記録媒体Pは、媒体排出部54に排出される。
一方、両面印刷が指示されている場合は、ステップ212に進む。ステップ212では、記録媒体Pを表裏反転して媒体供給経路52Pに戻すように、媒体搬送装置50の各部に指示する。
記録媒体Pの画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)、制御部70は、画像検査部66の通過後の記録媒体Pの搬送経路を、媒体排出部54の媒体排出経路54Pから媒体戻し部56の分岐パス56P1に切り替える。これにより記録媒体Pは、反転経路56Pを経由して表裏反転されて媒体供給経路52Pに送り込まれる。この記録媒体Pの裏面には、前述した表面への画像形成工程と同様の工程で画像が形成(定着)される。この記録媒体Pは、前述した表面への画像成形後の処理工程と同様の工程を経て、媒体排出部54によって装置外の排出媒体受け部541に排出される。
そして、ステップ200に戻り、ステップ200からステップ210までを実行して、ルーチンを終了する。なお、ステップ208では「両面印刷が指示されていない」と判定する。
(白色モード)
図9は「白色モード」での画像形成処理の手順の一例を示すフローチャートである。図1及び図2も参照しながら「白色モード」での画像形成工程について説明する。第1の実施の形態では、操作表示部100を介して利用者が設定した記録媒体のL*値を用いる例について説明する。また、後処理工程や両面印刷工程は、通常モードの場合と同じであるため説明を簡略化する。なお、本実施の形態では、白色画像は下地層として形成されるため、記録媒体の画像形成領域の全体に白色のベタ画像を形成する。
「白色モード」での画像形成指令を受けた制御部70は、通常モードの場合と同様に、トナー画像形成部20、転写装置30、定着装置40、媒体搬送装置50、及び後処理部60等を作動させる。
まず、ステップ300で、記録媒体のL*値を取得する。上記の通り、収容器52に収容される記録媒体PのL*値は、利用者により収容器52毎に設定登録されている。したがって、収容器52の選択により、白色画像を形成する記録媒体のL*値も選択及び設定されて記憶されている。ここでは、記憶された記録媒体のL*値を読み出して使用する。例えば、図5に示す例でトレイ2が選択されると、記録媒体のL*値は20である。
次に、ステップ302で、記録媒体のL*値からTMAを設定する。本実施の形態では、下記表1に示すように、記録媒体のL*値の異なる範囲毎に、白色画像のL*値(目標値)と、当該L*値の白色画像を形成する際のTMAとの関係が予めテーブルの形式で記憶されている。したがって、下記表1の関係を参照して、記録媒体のL*値と白色画像のL*値(目標値)とに応じてTMAを設定する。
上記表1では、記録媒体のL*値は、「10〜30」、「30〜50」、「50〜70」、「70〜90」と異なる4つの範囲に分けられている。ここで「X〜Y」は、X以上Y未満を意味する。白色画像のL*値(目標値)は、「70」、「75」、「80」、「85」、「90」の5種類である。例えば、記録媒体のL*値が「30〜50」の範囲内であり、白色画像のL*値(目標値)が「80」である場合には、TMAは「8.8」に設定される。
記録媒体のL*値は、記録媒体内で一定とは限らず、計測箇所や計測条件等によって、ばらつく場合がある。本実施の形態では、記録媒体のL*値を4つの範囲に分けてTMAと対応付けているので、記録媒体のL*値とTMAを1対1で対応付ける場合に比べて、記録媒体のL*値のばらつきが問題とならない。
次に、ステップ304で、設定されたTMAを実現するために、画像形成部12による画像形成条件における制御値を変更する。例えば、設定されたTMAに応じて、白色トナー像を形成する際の電位制御や転写電流制御の制御値を変更する。制御値の変更により、設定されたTMAで白色画像が形成されるようになる。
次に、ステップ306で、各色のトナー画像を形成するように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。通常モードと同様に、各色の感光体ドラム21上には、対応する色のトナー画像が形成される。
次に、ステップ308で、各色のトナー画像が一次転写されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。通常モードと同様に、転写ベルト31上には、6色分のトナー画像が重畳された重畳トナー画像が形成される。本実施の形態では、転写ベルト31側からW色、Y色、M色、C色、K色、白色の順で6色分のトナー画像が重畳される。この重畳トナー画像は、転写ベルト31の周回によって転写ニップNTに搬送される。
次に、ステップ310で、重畳トナー画像が二次転写されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。通常モードと同様に、転写ニップNTにおいて転写バイアス電圧が印加されることで、転写ベルト31から重畳トナー画像が記録媒体Pに転写される。転写後は、記録媒体P側から白色、K色、C色、M色、Y色、W色の順で6色分のトナー画像が重畳されることになる。
次に、ステップ312で、記録媒体上のトナー画像が定着されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。各色のトナー画像が転写された記録媒体Pは、中間搬送部58によって定着装置40の定着ニップNFに向けて搬送される。定着装置40は、定着ニップNFを通過する記録媒体Pに熱及び圧力を付与する。これにより、記録媒体Pに転写されたトナー画像が定着される。
次に、ステップ314で、両面印刷が指示されているか否か判断する。両面印刷が指示されていない場合は、ステップ316に進む。ステップ316では、後処理を行った後に記録媒体Pを排出するように、後処理部60及び媒体搬送装置50の各部に指示して、ルーチンを終了する。
定着装置40から排出された記録媒体Pは、媒体排出部54によって装置外の排出媒体受け部541に向けて搬送されつつ、後処理部60により処理が施される。そして、記録媒体Pは、媒体排出部54に排出される。
一方、両面印刷が指示されている場合は、ステップ318に進む。ステップ318では、記録媒体Pを表裏反転して媒体供給経路52Pに戻すように、媒体搬送装置50の各部に指示する。そして、ステップ306に戻り、ステップ306からステップ316までを実行して、ルーチンを終了する。なお、ステップ314では「両面印刷が指示されていない」と判定する。
以上の動作により、記録媒体上に下地層として白色画像が形成され、有色トナーにより下地層である白色画像上に有色画像が形成される。白色画像のL*値(目標値)が得られるように、記録媒体のL*値に応じて白色画像を形成する際のTMAを設定するので、記録媒体上に形成される白色画像のL*値は目標値となる。また、下地層として白色画像を形成することで、白色画像上に形成される有色画像の色味が安定する。
また、本実施の形態では、利用者が設定した記録媒体のL*値を用いるので、記録媒体のL*値の取得が容易である。更に、本実施の形態では、記録媒体のL*値と白色画像のL*値(目標値)とTMAとの関係が予め与えられているので、記録媒体のL*値及び白色画像のL*値(目標値)から、TMAの設定値が容易に求められる。
なお、上記では、TMAの取得を容易にするために、記録媒体のL*値と白色画像のL*値(目標値)とTMAとの関係がテーブルで記憶されている例について説明したが、記録媒体のL*値の異なる範囲毎に、白色画像のL*値(目標値)とTMAとの関係を式で与えてもよい。
例えば、TMAを「x」、白色画像のL*値(目標値)を「y」とすると、記録媒体のL*値が「10〜30」の場合のxyの関係は下記式(1)で与えられ、記録媒体のL*値が「70〜90」の場合のxyの関係は下記式(2)で与えられる。
y=3x+40 式(1)
y=0.5x+83.5 式(2)
<第2の実施の形態>
図10は第2の実施の形態に係る画像形成部(要部)の構成の一例を示す概略図である。第1の実施の形態では、利用者が設定した記録媒体のL*値を用いる例について説明したが、第2の実施の形態では、図10に示すように、媒体供給部52の媒体供給経路52P上に光学センサ52Sを設置して、光学センサ52Sにより記録媒体PのL*値を直接検出する。光学センサ52Sにより、記録媒体のL*値が正確に求められる。
光学センサ52Sを設置した以外は、第1の実施の形態の画像形成装置と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。また、画像形成装置の動作についても、「白色モード」での画像形成処理において、光学センサ52Sから記録媒体PのL*値(検出値)を取得し、白色画像のみを形成する以外は、第1の実施の形態と同じであるため説明を省略する。なお、下地層である白色画像のみを形成した場合は、一旦排出した記録媒体上に有色画像を形成する、いわゆる「追い刷り」を実施する。
なお、光学センサ52Sは、光学センサ661と同様に、光源と受光部とを備え、光源から記録媒体Pに光を照射し、記録媒体Pから反射された正反射光や拡散反射光を受光して、記録媒体のL*値を検出する。
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態では、利用者が設定した記録媒体のL*値を用いる例について説明したが、第3の実施の形態では、予め定めたTMAで試しに白色画像を形成して、予め定めたTMAと形成された白色画像のL*値(測定値)とから、記録媒体のL*値を推定する。L*値が不明の記録媒体の場合でも、記録媒体のL*値が推定される。
画像形成装置の構成は、第1の実施の形態の画像形成装置と同じ構成であるため説明を省略する。また、画像形成装置の動作についても、「白色モード」での画像形成処理に先立って「記録媒体のL*値推定処理」を実行し、白色画像のみを形成する以外は、第1の実施の形態と同じであるため、「記録媒体のL*値推定処理」以外は説明を省略する。
図11は第3の実施の形態で画像形成処理に先立って実行される「記録媒体のL*値推定処理」の手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、操作表示部100を介して利用者から「記録媒体のL*値推定処理」の実行が指示されたら開始される。
まず、ステップ400で、予め定めたTMAで白色のトナー画像を形成するように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。白色(V)用のトナー画像形成部20Vにより、感光体ドラム21V上に白色トナーのトナー画像が形成される。
次に、ステップ402で、白色のトナー画像が一次転写されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。感光体ドラム21Vに形成された白色のトナー画像は、一次転写ロール33Vを通じた転写バイアス電圧の印加によって、周回する転写ベルト31Vに転写される。
次に、ステップ404で、白色のトナー画像が二次転写されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。転写ベルト31からトナー画像が記録媒体Pに転写される。次に、ステップ406で、記録媒体上のトナー画像が定着されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。定着装置40は、定着ニップNFを通過する記録媒体Pに熱及び圧力を付与し、記録媒体Pに転写された白色のトナー画像が定着される。
次に、ステップ408で、記録媒体Pに形成された白色画像のL*値を測定するように、後処理部60及び媒体搬送装置50の各部に指示する。後処理部60の光学センサ661により、白色画像のL*値が測定されて、白色画像のL*値(測定値)が取得される。
次に、ステップ410で、予め定めたTMAと白色画像のL*値(測定値)とから、記録媒体のL*値を推定する。そして、ステップ412で、推定された記録媒体のL*値を記憶して、ルーチンを終了する。次に、「白色モード」の画像形成処理を実行する際には、この記録媒体のL*値(推定値)を読み出して使用する。或いは、利用者に記録媒体のL*値(推定値)を表示し、これを見た利用者が自ら設定してもよい。
ここで、記録媒体のL*値の推定方法の一例について説明する。上記の表1にように、記録媒体のL*値と白色画像のL*値(目標値)とTMAとの関係をテーブルで記憶しておいて、予め定めたTMAと白色画像のL*値(測定値)とから、記録媒体のL*値(推定値)を取得する。
例えば、予め定めたTMAを「8」とすると、上記の表1から、白色画像のL*値(測定値)が70未満の場合は、記録媒体のL*値(推定値)は10〜30の範囲である。同様に、白色画像のL*値(測定値)が70以上75未満の場合は、記録媒体のL*値(推定値)は30〜50の範囲である。白色画像のL*値(測定値)が75以上80未満の場合は、記録媒体のL*値(推定値)は50〜70の範囲である。白色画像のL*値(測定値)が80以上の場合は、記録媒体のL*値(推定値)は70〜90の範囲である。
<第4の実施の形態>
第1の実施の形態では、1つの記録媒体の画像形成処理を行う例について説明したが、第4の実施の形態では、複数の記録媒体に画像形成を行うことを前提として、記録媒体上の白色画像のL*値が目標値に達するまでTMAの再設定を繰り返すフィードバック制御を行う。この場合は、実際に形成される白色画像のL*値が確実に目標値以上となる。
画像形成装置の構成は、第1の実施の形態の画像形成装置と同じ構成であるため説明を省略する。また、画像形成装置の動作についても、「白色モード」で白色画像のみを形成する画像形成処理以外は、第1の実施の形態と同じであるため説明を省略する。
図12は第4の実施の形態の白色モードでの画像形成処理の手順の一例を示すフローチャートである。まず、ステップ500で、最新の記録媒体のL*値を取得する。次に、ステップ502で、白色トナーのTMAを設定する。本実施の形態では、初回は、第1の実施の形態と同様に、記録媒体のL*値と白色画像のL*値(目標値)とに応じたTMAを設定する。そして、白色画像のL*値(測定値)が目標値に達しない場合は、記録媒体のL*値(測定値)は考慮せずに、TMAの設定値を段階的に増加するものとする。例えば、TMAを+0.5ずつ増加させる。
次に、ステップ504で、設定されたTMAを実現するために、画像形成部12による画像形成条件における制御値を変更する。制御値の変更により、設定されたTMAで白色画像が形成されるようになる。
次に、ステップ506で、設定されたTMAで白色のトナー画像を形成するように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。白色(V)用のトナー画像形成部20Vにより、感光体ドラム21V上に白色トナーのトナー画像が形成される。
次に、ステップ508で、白色のトナー画像が一次転写されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。感光体ドラム21Vに形成された白色のトナー画像は、一次転写ロール33Vを通じた転写バイアス電圧の印加によって、周回する転写ベルト31Vに転写される。
次に、ステップ510で、白色のトナー画像が二次転写されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。転写ベルト31からトナー画像が記録媒体Pに転写される。次に、ステップ512で、記録媒体上のトナー画像が定着されるように、画像形成部12及び媒体搬送装置50の各部に指示する。定着装置40は、定着ニップNFを通過する記録媒体Pに熱及び圧力を付与し、記録媒体Pに転写された白色のトナー画像が定着される。
次に、ステップ514で、記録媒体Pに形成された白色画像のL*値と記録媒体PのL*値とを測定するように、後処理部60及び媒体搬送装置50の各部に指示する。後処理部60の光学センサ661により、白色画像のL*値と記録媒体のL*値とが測定されて、取得された白色画像のL*値(測定値)と記録媒体のL*値(測定値)とが記憶される。
次に、ステップ516で画像形成が終了か否かを判断する。画像形成が終了する場合は、ルーチンを終了する。画像形成が終了しない場合は、ステップ518に進んで、白色画像のL*値(測定値)が目標値以上か否かを判断する。
白色画像のL*値(測定値)が目標値以上の場合は、今回はTMAを再設定する必要が無いので、ステップ506に戻って、ステップ506〜ステップ518を繰り返す。白色画像のL*値(測定値)が目標値未満の場合は、TMAを再設定する必要があるので、ステップ500に戻って、ステップ500〜ステップ518を繰り返す。
即ち、画像形成が終了するまでは、毎回、白色画像のL*値(測定値)が目標値以上か否かを判断して、白色画像のL*値(測定値)が目標値未満の場合は、TMAを増加させて再設定する。これにより、白色画像のL*値(測定値)は目標値に維持されるようになる。
なお、記録媒体のL*値(測定値)も毎回取得されるので、TMAの再設定時には、最新の記録媒体のL*値を取得して、記録媒体のL*値が大幅に変更された場合は、第1の実施の形態と同様に、記録媒体のL*値と白色画像のL*値(目標値)とに応じたTMAを設定してもよい。
<変形例>
なお、上記実施の形態で説明した画像形成装置の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
上記実施の形態では、タンデム方式の画像形成装置について説明したが、「白色モード」での画像形成工程において、記録媒体の明度に応じて設定された単位面積当たりの白色トナー量で白色画像が形成されればよく、複数の現像器が装着された回転体を回転させ、複数色の現像器を順次感光体に対向または接触させて現像するいわゆるロータリー方式の画像形成装置としてもよい。