JP2017097307A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
該結晶性ポリエステル樹脂が、触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、
該非晶性ポリエステル樹脂が、触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
該チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とするトナー。
O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
[式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。]
に関する。
該結晶性ポリエステル樹脂が、
触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、
該非晶性ポリエステル樹脂が、
触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
該チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とするトナーの製造方法。
O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
[式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。]
に関する。
本発明のトナーは、触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合された結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする。無機スズ化合物としては、酢酸スズ、ヘキサン酸スズ、オクタン酸スズ、デカン酸スズ、ステアリン酸スズなどの非分岐型アルキルカルボン酸スズ;2−エチルヘキシル酸スズなどの分岐型アルキルカルボン酸スズ;シュウ酸スズなどのカルボン酸スズ;ジオクチロキシスズ、ジラウロキシスズ、ジステアロキシスズ、ジオレイロキシスズなどの炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシスズ;酸化スズ、硫酸スズなどが挙げられる。特に、ヘキサン酸スズ、オクタン酸スズ、2−エチルヘキサン酸スズ、デカン酸スズ、ステアリン酸スズが好ましい。
2質量部以上15質量部以下であると、優れた低温定着性とトナーの保存性とが両立しやすいため好ましい。
本発明のトナーは、非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記非晶性ポリエステル樹脂は、触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
前記チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とする。
Ti(−X)m(−OH)n (1)
O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
[式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。]
式(B)で示されるジオール類;
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明のトナーは、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が結合した構造を有する重合体を含有することが特に好ましい。この重合体は、ビニル系樹脂成分にポリオレフィンが結合した重合体、またはポリオレフィンにビニル系モノマーが結合したビニル系樹脂成分を有する重合体であることが好ましい。重合体は、トナー中において、ワックスが大きなドメインとして存在するのを抑制する効果があると考えられる。そのため、溶融混練後のトナー粒子において、ワックスと結晶性ポリエステル樹脂が近傍に存在し、かつトナー全体に分散した状態が得られやすく、定着時の離型効果が高まるため耐ホットオフセット性が向上するので好ましい。特に、炭化水素ワックスと組み合わせた時に効果が大きくなる。
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤として使用できる。ドット再現性をより向上させるために、また長期間に亘り安定した画像を得るためには、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いること好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば以下のものが挙げられる。表面を酸化した鉄粉;未酸化の鉄粉;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子;それらの合金粒子;酸化物粒子、フェライト等の磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)である。
トナー粒子を製造する方法としては、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、着色剤、およびワックスを含有するトナー組成物を溶融混練する必要があることから、原材料を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕および分級する粉砕法が好ましい。
<1.樹脂の軟化点の測定>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダ内に充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得る。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
無機微粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
S=Vm×N×0.162×10−18
ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。
トナー粒子の質量体積平均重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。更に、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、質量体積平均重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が質量体積平均重量平均粒径(D4)である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定および解析条件で測定する。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200以上1.000以下の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
<チタン化合物製造例1>
冷却管、撹拌機および液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)1617部とイオン交換水126部を入れ、窒素にて液中バブリング下、90℃まで徐々に昇温し、90℃で4時間反応(加水分解)させることで、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を得た。さらに、100℃にて、2時間減圧下で反応(脱水縮合)させることで、分子内重縮合物(x1)を得た。
<製造例1>
・1,10−デカンジオール:
46.9質量部(0.27モル;多価アルコール総モル数に対して100mol%)
・セバシン酸:
53.1質量部(0.26モル;多価カルボン酸総モル数に対して100mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2−エチルヘキサン酸スズ:0.5質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをヘキサン酸スズに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂2を得た。
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをオクタン酸スズに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂3を得た。
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをデカン酸スズに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂4を得た。
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをジブチルスズオキサイドに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂5を得た。
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをチタンテトラブトキシドに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂6を得た。
<製造例A1>
・ポリオキシプロピレン(2.5)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
68.2質量部(0.196モル;多価アルコール総モル数に対して100mol%)
・テレフタル酸:
16.4質量部(0.096モル;多価カルボン酸総モル数に対して60mol%)
・アジピン酸:
6.0質量部(0.04モル;多価カルボン酸総モル数に対して25mol%)
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮重合触媒):
0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:
4.8質量部(0.023モル;多価カルボン酸総モル数に対して15mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させた。ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表1に示す所望温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、非晶性ポリエステル樹脂A1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂A1の軟化点とガラス転移点を表1に示す。
<製造例A1>において、使用する縮重合触媒をチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)から表1に記載の触媒に変えた以外は同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂A2〜A11を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂A2〜A11の物性を表1に示す。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
59.3質量部(0.167モル:多価アルコールの総モル数に対して100mol%)
・テレフタル酸:24.2質量部(0.146モル:多価カルボン酸の総モル数に対して94mol%)
・フマル酸:0.48質量部(0.0016モル:多価カルボン酸の総モル数に対して1mol%)
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮重合触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸1.6質量部(0.008モル:多価カルボン酸の総モル数に対して5mol%)を添加し、180℃で1時間反応させ(第2反応工程)、非晶性ポリエステル樹脂B1を得た。
<製造例B1>において、使用する縮重合触媒をチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)から表1に記載の触媒に変えた以外は同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂B2〜B10を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂B2〜B10の物性を表1に示す。
・不飽和結合を1つ以上有するポリエチレン(Mw:1400、Mn:850、DSCによる吸熱ピーク:が100℃) 20質量部
・スチレン 59質量部
・アクリル酸−n−ブチル 18.5質量部
・アクリロニトリル 2.5質量部
上記原料をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のジ−tert−ブチルパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が結合した構造を有する重合体C1を得た。重合体C1は、軟化点(Tm)110℃、ガラス転移温度(Tg)64℃であり、重合体C1のTHF可溶分のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)7400、数平均分子量(Mn)2800であった。原料の、不飽和結合を1つ以上有するポリエチレンに相当するピークは認められなかった。
・結晶性ポリエステル樹脂1 10質量部
・非晶性ポリエステル樹脂A1 20質量部
・非晶性ポリエステル樹脂B1 65質量部
・重合体C1 5質量部
・炭化水素ワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃) 6質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
トナー製造例1において、非晶性ポリエステル樹脂A1、非晶性ポリエステル樹脂B1を表2に示したものに変更したほかは同様にして製造を行い、トナー2〜8、16,17を得た。
トナー製造例1において、結晶性ポリエステル樹脂1を表2に示したものに変更したほかは同様にして製造を行い、トナー9〜11、15を得た。
トナー製造例1において、重合体C1を使用しなかったこと以外は同様にして製造を行い、トナー12を得た。
トナー製造例12において、炭化水素ワックスをエステルワックス(最大吸熱ピークのピーク温度75℃)に変更したこと以外は同様にして製造を行い、トナー13を得た。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1を8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、トナーを表3のように変更する以外は同様にして製造を行い、二成分系現像剤2〜19を得た。
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C1+のシアンステーションに上記二成分系現像剤を入れた現像器を搭載し、定着温度を取り外した状態で画像形成できるように改造し、未定着画像を形成した。評価には、普通紙:CS−680(A4 68.0g/cm2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
A:120℃未満 (抜群に優れている)
B:120℃以上130℃未満 (優れている)
C:130℃以上145℃未満 (やや優れている)
D:145℃以上170℃未満 (従来技術レベル;本発明の効果が得られていない)
E:170℃以上 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
評価には、普通紙:CS−680(A4 68.0g/cm2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
A:230℃以上 (抜群に優れている)
B:200℃以上230℃未満 (優れている)
C:185℃以上200℃未満 (やや優れている)
D:170℃以上185℃未満 (従来技術レベル;本発明の効果が得られていない)
E:170℃未満 (従来より劣る)
上記の低温定着性評価において、評価紙をA4サイズの厚紙:Color Copy(坪量250g/m2、mondi社製)に変更した以外は同様にして画像形成を行い、以下のようにして評価を行った。評価結果を表4に示す。
A:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が60℃以上。(抜群に優れている)
B:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が50℃以上60℃未満。(とても優れている)
C:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が40℃以上50℃未満。(優れている)
D:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が10℃以上40℃未満。(従来技術レベル:本発明の効果が得られていない)
E:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が10℃未満。(本発明では許容できない)
Claims (7)
- 結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、着色剤、およびワックスを含有するトナー組成物を溶融混練する工程を経て製造されたトナーにおいて、
該結晶性ポリエステル樹脂は、
触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、
該非晶性ポリエステル樹脂は、
触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
該チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とするトナー。
Ti(−X)m(−OH)n (1)
O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
[式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。] - 前記トナー組成物は、更に、ビニル系モノマーに由来するユニットと炭化水素化合物とが結合した構造を有する重合体を含有する請求項1に記載のトナー。
- 前記ワックスは、炭化水素化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、着色剤、およびワックスを含有するトナー組成物を溶融混練する工程を有するトナーの製造方法において、
該結晶性ポリエステル樹脂は、
触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、
該非晶性ポリエステル樹脂は、
触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
該チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とするトナーの製造方法。
Ti(−X)m(−OH)n (1)
O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
[式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。] - 前記トナー組成物は、更に、ビニル系モノマーに由来するユニットと炭化水素化合物とが結合した構造を有する重合体を含有する請求項4に記載のトナーの製造方法。
- 前記ワックスは、炭化水素化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載のトナーの製造方法。
- 前記溶融混練工程は、二軸押出機により、混練設定温度が80℃〜180℃の範囲でおこなわれることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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