JP2017097307A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 省エネ、高速印刷に対応したすぐれた低温定着性を有し、かつ、メディア等速性に対応した定着可能温度領域の広いトナーを提供すること。【解決手段】 結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステル、着色剤、およびワックスを含有する、溶融混練工程を経て製造されたトナーにおいて、前記結晶性ポリエステルは、触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、前記非晶性ポリエステルは、触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、前記チタン化合物が特定の化合物であることを特徴とするトナー。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高い生産性が要求されるようになってきている。特に、1つのジョブ内で厚紙から薄紙への切り替えを行う場合や小さいサイズから大きいサイズの紙へ切り替えを行う場合である。すなわち、紙種にあわせてプロセススピードや定着器温度設定を変更する必要がない効果(以下この効果を「メディア等速性」という。)を有する複写機が求められている。メディア等速性を実現させる為に、トナーには、低温から高温の広い領域において定着しかつオフセットを発生させない性能を有することが求められている。また、省エネの観点からも、より低温で定着可能なトナーが求められている。結晶性ポリエステル樹脂を使用することで、より低温で定着可能なトナーを実現させた発明が特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1には、非晶性ポリエステル樹脂にスズ含有触媒が含まれ、結晶性ポリエステル樹脂にチタン含有触媒が含まれることを特徴とするトナーが開示されている。特許文献2には、第一の非晶性ポリエステル樹脂、第二の非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂および離型剤のSP値の関係を規定したトナーが開示されている。これらのトナーは、結晶性ポリエステル樹脂に由来する優れた低温定着性は有しているものの、前述したメディア等速性を達成する為に十分な定着可能温度領域は持ち合わせていなかった。
特開2008−191260号公報 特開2012−63559号公報
本発明の目的は、上記の課題を解決したトナーを提供することにある。具体的には、省エネ、高速印刷に対応したすぐれた低温定着性を有し、かつ、メディア等速性に対応した定着可能温度領域の広いトナーを提供することにある。
上述の課題は、以下の本発明により解決できる。
本発明は、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、着色剤、およびワックスを含有する、溶融混練工程を経て製造されたトナーにおいて、
該結晶性ポリエステル樹脂が、触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、
該非晶性ポリエステル樹脂が、触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
該チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とするトナー。
Ti(−X)m(−OH)n (1)
O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
[式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。]
に関する。
更に、本発明は、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、着色剤、およびワックスを含有するトナー組成物を溶融混練する工程を有するトナーの製造方法において、
該結晶性ポリエステル樹脂が、
触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、
該非晶性ポリエステル樹脂が、
触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
該チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とするトナーの製造方法。
Ti(−X)m(−OH)n (1)
O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
[式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。]
に関する。
本発明によれば、省エネ、高速印刷に対応したすぐれた低温定着性を有し、かつ、メディア等速性に対応した定着可能温度領域の広いトナーを提供することができる。
本発明のトナーは、触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合された結晶性ポリエステル樹脂と、触媒として特定のチタン化合物を用いて縮重合された非晶性ポリエステル樹脂と、着色剤、およびワックスを含有していることを特徴とする。また、溶融混練工程を経て製造されたトナーであることを特徴としている。このような構成にすることによって、省エネ、高速印刷に対応した低温定着性を有し、かつ、メディア等速性に対応した定着可能温度領域の広いトナーを提供することができる。
従来、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を組み合わせたトナーが低温定着性の観点から検討されている。結晶性ポリエステル樹脂は一般に、シャープメルト性を有するためトナーをより低温で軟化させることができ、低温定着性に有利にはたらく。一方で、高温においてトナーの粘度が低くなるために耐ホットオフセット性に対しては不利な傾向となっていた。
本発明者らは、結晶性ポリエステル樹脂による優れた低温定着性を有しつつも、さらに耐ホットオフセット性に優れ、定着可能温度領域の広いトナーを得るべく検討を進めた。検討の過程で本発明者らは、トナー中でワックスと結晶性ポリエステル樹脂が近傍に存在すると、耐ホットオフセット性が向上することがわかってきた。一方で、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とが相溶してしまうと、耐ホットオフセット性の向上効果が得られにくいこともわかってきた。これは、ワックスと結晶性ポリエステル樹脂の一部が相溶し、ワックスの近傍に存在する結晶性ポリエステル樹脂に離型効果が発現したためと考えた。溶融混練法によってワックスと結晶性ポリエステル樹脂が近傍に存在するようなトナーを検討する中で、結晶性ポリエステル樹脂および非晶性ポリエステル樹脂の縮重合に使用した触媒種が重要であることがわかってきた。本発明者らは鋭意検討の結果、無機スズ化合物の触媒で縮重合された結晶性ポリエステル樹脂と、特定のチタン化合物の触媒で縮重合された非晶性ポリエステル樹脂、およびワックスを用いることによって、本発明に至った。
特定の触媒の組み合わせにより耐ホットオフセット性が特に優れたトナーが得られる詳細なメカニズムは不明だが、本発明者らは以下のように推定している。
溶融混練中、高温でせん断力のかかった状態では結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂間でエステル交換反応が一部で起こるため、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂が相溶しやすくなると考えている。本発明における非晶性ポリエステル樹脂の縮重合に使用される特定のチタン化合物の触媒は、このエステル交換反応を抑制する効果があるものと推測している。ただし、あくまでも推測であり、非晶性ポリエステル樹脂がチタン化合物の残留物を含んでいることが、実際に耐ホットオフセット性の向上に効いているかどうかを確認することは困難である。
本発明における非晶性ポリエステル樹脂の縮重合に使用される特定のチタン化合物の触媒は、モノもしくはポリアルカノールアミンに由来するユニットを持つ。このユニットは金属とキレート構造をとりうる構造であることと、窒素原子が存在するという特徴をもつ。溶融混練時にこのチタン化合物の前記ユニット部分の一部が非晶性ポリエステル樹脂に含まれる−OH残基または−COOH残基またはエステル結合部分と反応することで非晶性ポリエステル樹脂の一部が架橋されると推定される。また、ポリアルカノールアミンに由来する窒素原子の非共有電子対が塩基として作用し反応速度を速めているため、この非晶性ポリエステル樹脂間の架橋反応は、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とのエステル交換反応よりも速く起こる。その結果、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂が相溶することを抑制しているものと推測している。
さらに、本発明の非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の組み合わせの場合、メカニズムは不明であるが結晶性ポリエステル樹脂とワックスがなじみやすくなるため、ワックスと結晶性ポリエステル樹脂が近傍に存在しやすくなると推測している。Sn−C結合をもつ有機スズ化合物を触媒として縮重合された結晶性ポリエステル樹脂を使用した場合、非晶性ポリエステル樹脂とのエステル交換反応速度が増加してしまう。その結果、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とが相溶しやすくなり、結晶性ポリエステル樹脂とワックスとの一部相溶による本発明の耐ホットオフセット改良効果が得られなくなると推測している。ただし、あくまでも推測であり、結晶性ポリエステル樹脂が有機スズ化合物の残留物を含んでいることが、実際に耐ホットオフセット性に関与しているどうかを確認することは困難である。
以下、本発明における構成について詳述する。
〔結晶性ポリエステル樹脂〕
本発明のトナーは、触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合された結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする。無機スズ化合物としては、酢酸スズ、ヘキサン酸スズ、オクタン酸スズ、デカン酸スズ、ステアリン酸スズなどの非分岐型アルキルカルボン酸スズ;2−エチルヘキシル酸スズなどの分岐型アルキルカルボン酸スズ;シュウ酸スズなどのカルボン酸スズ;ジオクチロキシスズ、ジラウロキシスズ、ジステアロキシスズ、ジオレイロキシスズなどの炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシスズ;酸化スズ、硫酸スズなどが挙げられる。特に、ヘキサン酸スズ、オクタン酸スズ、2−エチルヘキサン酸スズ、デカン酸スズ、ステアリン酸スズが好ましい。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数2〜22の脂肪族ジオールと、炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を縮重合させることにより得られる。
炭素数2〜22(より好ましくは炭素数2〜12)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,6−ヘキサンジオールのような直鎖脂肪族、α,ω−ジオールが好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2〜22の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
本発明において、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のアルコ−ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性アルコールなどが挙げられる。
一方、炭素数2〜22(より好ましくは炭素数4〜14)の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
本発明において、上記炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなども含まれる。また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体等も含まれる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル樹脂の合成法に従って製造することができる。例えば、前記カルボン酸単量体とアルコ−ル単量体とを前記無機スズ化合物触媒の存在下、エステル化またはエステル交換反応した後、減圧下または窒素ガスを導入して縮重合させることで得ることができる。
この際、得られる結晶性ポリエステル樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
本発明のトナーにおいて、結晶性ポリエステル樹脂の含有量はトナー100質量部に対して
2質量部以上15質量部以下であると、優れた低温定着性とトナーの保存性とが両立しやすいため好ましい。
〔非晶性ポリエステル樹脂〕
本発明のトナーは、非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記非晶性ポリエステル樹脂は、触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
前記チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とする。
Ti(−X)m(−OH)n (1)
O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
[式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。]
前記構造式(1)または(2)で表されるチタン化合物は2種以上を併用して使用してもよい。
構造式(1)および(2)において、Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のH原子を除いた残基であり、窒素原子の数、すなわち、1級、2級、および3級アミノ基の合計数は、通常1〜2個、好ましくは1個である。
上記モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミン、およびプロパノールアミンなどが挙げられる。ポリアルカノールアミンとしては、ジアルカノールアミン(ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびN−ブチルジエタノールアミンなど)、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミン、およびトリプロパノールアミンなど)、およびテトラアルカノールアミン(N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンなど)が挙げられる。
ポリアルカノールアミンの場合、Ti原子とTi−O−C結合を形成するのに用いられるHを除いた残基となるOH基以外にOH基が1個以上存在する。それが同一のTi原子に直接結合したOH基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。重合度が6以上の場合、触媒活性が低下するためオリゴマー成分が増え、トナーのブロッキング性悪化の原因になる。
Xとして好ましいものは、モノアルカノールアミン(とくにエタノールアミン)、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)の残基、およびトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基であり、特に好ましいものはトリエタノールアミンの残基である。
RはH、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、β−メトキシエチル基、およびβ−エトキシエチル基などが挙げられる。これらRのうち好ましくは、H、およびエーテル結合を含まない炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは、H、エチル基、およびイソプロピル基である。
式(1)中、mは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。nは0〜3の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。mとnの和は4である。
式(2)中、pは1〜2の整数、qは0〜1の整数であり、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
本発明における、上記チタン化合物のうち、構造式(1)で表されるものの具体例としては、チタニウムテトラキス(モノエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノプロパノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N−メチルジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N−ブチルジエタノールアミネート)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンとの反応生成物、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。前記これらの分子内または分子間重縮合物の例としては、下記一般式(3)、(4)、または(5)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
Figure 2017097307
Figure 2017097307
Figure 2017097307
[式中、Q1およびQ6はH、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。Q2〜Q5およびQ7〜Q9は炭素数1〜6のアルキレン基である。Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。]
一般式(2)で表されるものの具体例としては、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(モノエタノールアミネート)、チタニルヒドロキシエタノールアミネート、チタニルヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニルエトキシトリエタノールアミネート、チタニルイソプロポキシトリエタノールアミネート、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。前記分子内または分子間重縮合物の例としては、下記一般式(6)または(7)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
Figure 2017097307
Figure 2017097307
[式中、Q1およびQ6はH、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。Q2〜Q5は炭素数1〜6のアルキレン基である。]
これらのうちで好ましいものは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニウムテトラキス(エタノールアミネート)、チタニルヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)の分子内もしくは分子間重縮合物〔下記(8)および(10)〕、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)の分子内重縮合物〔下記(9)〕、およびこれらの併用であり、さらに好ましくは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、それらの分子内重縮合物〔(8)および(9)〕、とくに(8)である。
Figure 2017097307
Figure 2017097307
Figure 2017097307
これらのチタン化合物は、例えば市販されているチタニウムジアルコキシビス(アルコールアミネート;Dupont製など)を、水存在下で70〜90℃にて反応させることで安定的に得ることができる。また、重縮合物は、更に100℃にて縮合水を減圧留去することで得ることができる。
本発明で用いられる非晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコールユニットと多価カルボン酸ユニットを有している。本発明における多価アルコールユニットというのは、ポリエステル樹脂製造における縮重合の際に使用した多価アルコール成分に由来する構成要素である。また、本発明における多価カルボン酸ユニットというのは、ポリエステル樹脂製造における縮重合の際に使用した多価カルボン酸またはその無水物、低級アルキルエステルに由来する構成要素のことである。
ポリエステル樹脂の多価アルコールユニットを構成する成分としては、以下の多価アルコール成分を使用することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノールおよびその誘導体;
Figure 2017097307
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、xおよびyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
式(B)で示されるジオール類;
Figure 2017097307
が挙げられる。
本発明の非晶性ポリエステル樹脂に含有される多価カルボン酸ユニットとしては、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸類またはその無水物が挙げられる。更に、炭素数6〜18のアルキル基もしくはアルケニル基で置換されたコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸のような不飽和ジカルボン酸類またはその無水物が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やそれらの無水物のような、芳香環をもつカルボン酸またはその誘導体が好ましく用いられる。
特に、本発明の非晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸ユニットとして、炭素数4以上16以下の長鎖状炭化水素を主鎖として両末端にカルボキシル基を有する脂肪族ジカルボン酸に由来する多価カルボン酸ユニットを含有するものが好ましい。溶融混練時に前記チタン化合物と非晶性ポリエスエルの反応性を高められるからである。
炭素数4以上16以下の直鎖状炭化水素を主鎖として両末端にカルボキシル基を有する脂肪族ジカルボン酸は、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラデカン二酸やオクタデカン二酸などのアルキルジカルボン酸が挙げられる。更に、その無水物、低級アルキルエステルなどが挙げられる。また、それらの主鎖の一部がメチル基やエチル基、オクチル基などのアルキル基、またはアルキレン基で分岐した構造を持つ化合物が挙げられる。該直鎖状炭化水素の炭素数は好ましくは4以上12以下である。
また、炭素数4以上16以下の長鎖状炭化水素を主鎖として両末端にカルボキシル基を有する脂肪族ジカルボン酸に由来する多価カルボン酸ユニットは、多価カルボン酸ユニットの総モル数に対し、15mol%以上50mol%以下含有することが好ましい。この範囲であると、トナーの保存性と耐ホットオフセット性がともに良好である。
また、本発明のトナーの非晶性ポリエステル樹脂は、低軟化点の非晶性ポリエステル樹脂Aと高軟化点の非晶性ポリエステル樹脂Bを含有することが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高軟化点の結着樹脂Aと低軟化点の結着樹脂Bの含有比率(A/B)は質量基準で10/90以上60/40以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高軟化点の非晶性ポリエステル樹脂Aの軟化点は110℃以上180℃以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
低軟化点の結着樹脂の軟化点は70℃以上100℃以下であることが、トナーの保存性と低温定着性の両立の観点から好ましい。
本発明のトナーにおいて、非晶性ポリエステル樹脂の含有量はトナー粒子100質量部に対して60質量部以上90質量部以下であると、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性とが両立しやすいため好ましい。
〔ワックス〕
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、トナーの耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、トナーの耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
本発明では、ワックスは、トナー粒子100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
〔重合体〕
本発明のトナーは、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が結合した構造を有する重合体を含有することが特に好ましい。この重合体は、ビニル系樹脂成分にポリオレフィンが結合した重合体、またはポリオレフィンにビニル系モノマーが結合したビニル系樹脂成分を有する重合体であることが好ましい。重合体は、トナー中において、ワックスが大きなドメインとして存在するのを抑制する効果があると考えられる。そのため、溶融混練後のトナー粒子において、ワックスと結晶性ポリエステル樹脂が近傍に存在し、かつトナー全体に分散した状態が得られやすく、定着時の離型効果が高まるため耐ホットオフセット性が向上するので好ましい。特に、炭化水素ワックスと組み合わせた時に効果が大きくなる。
重合体の含有比率は、好ましくは結着樹脂100質量部中において2質量部以上10質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上8質量部以下である。重合体の含有比率が上記範囲内の場合、トナーの低温定着性を維持しつつ耐久安定性を更に良化することができる。
重合体におけるポリオレフィンは、二重結合を一つ有する不飽和炭化水素系モノマーの重合体または共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィンとしては、特にポリエチレン系、ポリプロピレン系が好ましく用いられる。
重合体におけるビニル系樹脂成分に用いられるビニル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレンおよびその誘導体などのスチレン系モノマー。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなアミノ基含有α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などのN原子を含むビニル系モノマー。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸のような不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物のような不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルのような不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸のような不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸のようなα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物のようなα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物、およびこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を含むビニル系モノマー。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどの水酸基を含むビニル系モノマー。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類などのアクリル酸エステルからなるエステル単位。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステルからなるエステル単位。
重合体におけるビニル系樹脂成分の構成単位として、スチレン系単位、エステル系単位さらにはアクリロニトリル単位、またはメタアクリロニトリル単位を含むことが好ましい。
本発明に用いられるビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が結合した構造を有する重合体は、前述したこれらのビニル系モノマー同士の反応や、一方の重合体のモノマーと他方の重合体との反応等、公知の方法によって得ることができる。
更に、樹脂として、顔料分散性、トナーの帯電安定性、耐ブロッキング性を改善する目的で、上記結晶性ポリエステル樹脂、前記非晶性ポリエステル樹脂以外に下記の「その他の樹脂」を本発明の効果を阻害しない量で添加することも可能である。
「その他の樹脂」としては、例えば以下の樹脂が挙げられる。ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂。
〔着色剤〕
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤およびシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
〔添加剤〕
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸またはカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン。ポジ系荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良く外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良く外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムのような無機微粒子が好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイルまたはそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m/g以上、400m/g以下の無機微粒子が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m/g以上、50m/g以下の無機微粒子であることが好ましい。トナーの流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲内の無機微粒子を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上、10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
〔二成分系現像剤〕
本発明のトナーは、一成分系現像剤として使用できる。ドット再現性をより向上させるために、また長期間に亘り安定した画像を得るためには、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いること好ましい。
[磁性キャリア]
磁性キャリアとしては、例えば以下のものが挙げられる。表面を酸化した鉄粉;未酸化の鉄粉;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子;それらの合金粒子;酸化物粒子、フェライト等の磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)である。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、二成分系現像剤中のトナー濃度は、2質量%以上、15質量%以下、好ましくは4質量%以上、13質量%以下である。
〔トナーの製造方法〕
トナー粒子を製造する方法としては、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、着色剤、およびワックスを含有するトナー組成物を溶融混練する必要があることから、原材料を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕および分級する粉砕法が好ましい。
以下、粉砕法でのトナー製造手順の一例について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、着色剤、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。溶融混練工程における、混練装置の混練設定温度は、通常80℃〜180℃の範囲で設定される。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、分級品(トナー粒子)を得る。中でも、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)は、分級と同時にトナー粒子の球形化処理を行うことができ、転写効率の向上という点で好ましい。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)を用いて、球形化処理のようなトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
以下、実施例等により本発明を説明する。実施例に先立って、トナーおよび原材料の各種物性の測定法、および結着樹脂(ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B、および重合体C)の製造例を説明する。
〔測定法〕
<1.樹脂の軟化点の測定>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダ内に充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得る。
本発明においては、本装置に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2の値Xを求める(X=(Smax−Smin)/2)。そして、前記流動曲線においてピストンの降下量が「Smin+X」となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<2.樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度35℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
<3.ワックスの最大吸熱ピークの測定>
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックス約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度一旦200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示す温度を、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度とする。
<4.無機微粒子のBET比表面積の測定>
無機微粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行う。本装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明における無機微粒子のBET比表面積とする。
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、無機微粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)と外添剤の窒素吸着量Va(モル/g)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル/g)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、外添剤の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル/g)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる。この直線をBETプロットという。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きの値と切片の値が算出できる。これらの値を上記の数式に代入して、得られた連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、ここで算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、無機微粒子のBET比表面積S(m/g)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋の質量を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約0.1gの外添剤を入れる。
無機微粒子を入れた該試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、無機微粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。試料セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、試料セル内に窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋の質量との差から外添剤の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内の外添剤が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、無機微粒子が入った該試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、本装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を、同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、本装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してトナーに窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、上述したように無機微粒子のBET比表面積を算出する。
<5.トナー粒子の質量体積平均重量平均粒径(D4)の測定>
トナー粒子の質量体積平均重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の(1)〜(7)の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。更に、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、質量体積平均重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が質量体積平均重量平均粒径(D4)である。
<6.トナーの平均円形度の測定>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定および解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローセルに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200以上1.000以下の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」を脱イオン水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。該手順に従い調製した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲内の粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出することができる。トナーの平均円形度は、円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」を脱イオン水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定および解析条件で測定を行った。
〔チタン化合物の製造例〕
<チタン化合物製造例1>
冷却管、撹拌機および液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)1617部とイオン交換水126部を入れ、窒素にて液中バブリング下、90℃まで徐々に昇温し、90℃で4時間反応(加水分解)させることで、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を得た。さらに、100℃にて、2時間減圧下で反応(脱水縮合)させることで、分子内重縮合物(x1)を得た。
本発明に用いる前記構造式(1)または構造式(2)で表わされる他のチタン化合物についても、同様の合成法にて得ることができる。
〔結晶性ポリエステル樹脂の製造例〕
<製造例1>
・1,10−デカンジオール:
46.9質量部(0.27モル;多価アルコール総モル数に対して100mol%)
・セバシン酸:
53.1質量部(0.26モル;多価カルボン酸総モル数に対して100mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2−エチルヘキサン酸スズ:0.5質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
<製造例2>
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをヘキサン酸スズに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂2を得た。
<製造例3>
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをオクタン酸スズに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂3を得た。
<製造例4>
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをデカン酸スズに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂4を得た。
<製造例5>
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをジブチルスズオキサイドに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂5を得た。
<製造例6>
<製造例1>において、2−エチルヘキサン酸スズをチタンテトラブトキシドに変えた以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂6を得た。
〔非晶性ポリエステル樹脂の製造例〕
<製造例A1>
・ポリオキシプロピレン(2.5)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
68.2質量部(0.196モル;多価アルコール総モル数に対して100mol%)
・テレフタル酸:
16.4質量部(0.096モル;多価カルボン酸総モル数に対して60mol%)
・アジピン酸:
6.0質量部(0.04モル;多価カルボン酸総モル数に対して25mol%)
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮重合触媒):
0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:
4.8質量部(0.023モル;多価カルボン酸総モル数に対して15mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させた。ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表1に示す所望温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、非晶性ポリエステル樹脂A1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂A1の軟化点とガラス転移点を表1に示す。
<製造例A2〜A11>
<製造例A1>において、使用する縮重合触媒をチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)から表1に記載の触媒に変えた以外は同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂A2〜A11を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂A2〜A11の物性を表1に示す。
<製造例B1>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
59.3質量部(0.167モル:多価アルコールの総モル数に対して100mol%)
・テレフタル酸:24.2質量部(0.146モル:多価カルボン酸の総モル数に対して94mol%)
・フマル酸:0.48質量部(0.0016モル:多価カルボン酸の総モル数に対して1mol%)
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮重合触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸1.6質量部(0.008モル:多価カルボン酸の総モル数に対して5mol%)を添加し、180℃で1時間反応させ(第2反応工程)、非晶性ポリエステル樹脂B1を得た。
非晶性ポリエステル樹脂B1の軟化点は93℃、ガラス転移点は55℃であった。
<製造例B2〜B10>
<製造例B1>において、使用する縮重合触媒をチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)から表1に記載の触媒に変えた以外は同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂B2〜B10を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂B2〜B10の物性を表1に示す。
次に、本発明に用いられる重合体Cの製造例を示す。
<製造例C1>
・不飽和結合を1つ以上有するポリエチレン(Mw:1400、Mn:850、DSCによる吸熱ピーク:が100℃) 20質量部
・スチレン 59質量部
・アクリル酸−n−ブチル 18.5質量部
・アクリロニトリル 2.5質量部
上記原料をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のジ−tert−ブチルパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が結合した構造を有する重合体C1を得た。重合体C1は、軟化点(Tm)110℃、ガラス転移温度(Tg)64℃であり、重合体C1のTHF可溶分のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)7400、数平均分子量(Mn)2800であった。原料の、不飽和結合を1つ以上有するポリエチレンに相当するピークは認められなかった。
Figure 2017097307
<トナー製造例1>
・結晶性ポリエステル樹脂1 10質量部
・非晶性ポリエステル樹脂A1 20質量部
・非晶性ポリエステル樹脂B1 65質量部
・重合体C1 5質量部
・炭化水素ワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃) 6質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度120℃に設定した二軸押出機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s−1、分散ローター回転数を120s−1とした。
100質量部のトナー粒子に、ヘキサメチルジシラザン4質量%で表面処理したBET比表面積25m/gの疎水性シリカ微粒子1.0質量部、ポリジメチルシロキサン10質量%で表面処理したBET比表面積100m/gの疎水性シリカ微粒子0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30/秒、回転時間10分間として混合して、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は6.2μm、平均円形度は0.955であった。
<トナー製造例2〜8、16、17>
トナー製造例1において、非晶性ポリエステル樹脂A1、非晶性ポリエステル樹脂B1を表2に示したものに変更したほかは同様にして製造を行い、トナー2〜8、16,17を得た。
<トナー製造例9〜11、14、15>
トナー製造例1において、結晶性ポリエステル樹脂1を表2に示したものに変更したほかは同様にして製造を行い、トナー9〜11、15を得た。
<トナー製造例12>
トナー製造例1において、重合体C1を使用しなかったこと以外は同様にして製造を行い、トナー12を得た。
<トナー製造例13>
トナー製造例12において、炭化水素ワックスをエステルワックス(最大吸熱ピークのピーク温度75℃)に変更したこと以外は同様にして製造を行い、トナー13を得た。
これら各トナーの物性を表2に示す。
Figure 2017097307
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調整>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管および攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<二成分系現像剤1の製造例>
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1を8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<二成分系現像剤2〜19の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、トナーを表3のように変更する以外は同様にして製造を行い、二成分系現像剤2〜19を得た。
Figure 2017097307
〔定着性評価〕
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C1+のシアンステーションに上記二成分系現像剤を入れた現像器を搭載し、定着温度を取り外した状態で画像形成できるように改造し、未定着画像を形成した。評価には、普通紙:CS−680(A4 68.0g/cm)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cmとなるように現像条件を適宜調整し、A4評価紙先端から3cm、評価紙中心の位置に2cm×10cmのベタ未定着画像を形成した。未定着画像は常温低湿環境下(25℃/5%RH)に24時間調湿した。
キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROから定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるよう定着試験用治具を常温低湿環境下(25℃/5%RH)準備した。プロセススピードを450mm/secに調整し、前記定着試験用治具の上ベルト温度を100〜200℃の範囲で5℃おきに調整した。下ベルト温度は100℃に固定した状態で、前記の調湿済み未定着画像を通紙した。定着器を通過させた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたレンズクリーニングワイパー(ダスパー 小津産業株式会社製)で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。10%を超えて濃度低下がおこると定着できていないとの判定基準のもと、画像濃度低下率10%を超えない最も低い上ベルト設定温度を低温定着温度とし、下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表4に示す。
(評価基準:低温定着性)
A:120℃未満 (抜群に優れている)
B:120℃以上130℃未満 (優れている)
C:130℃以上145℃未満 (やや優れている)
D:145℃以上170℃未満 (従来技術レベル;本発明の効果が得られていない)
E:170℃以上 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
<耐ホットオフセット性>
評価には、普通紙:CS−680(A4 68.0g/cm)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.08mg/cmとなるように現像条件を調整し、未定着のFFH画像を得た。
その後、低温定着性評価と同様に、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROから取り外した定着器を改造した定着評価治具を用いて常温低湿環境にて評価を行った。
画出し前の評価紙について反射率をリフレクトメータ(「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」、東京電色株式会社製)によって測定し、5箇所測定した平均値をD(%)とした。上記外部定着器における定着温度を100〜200℃の範囲で10℃おきに調整し、各定着温度における定着画像の白地部についてリフレクトメータで反射率を測定し、最大値をD(%)とした。
そして、D(%)とD(%)の差が0.5%を超えない、最も高い定着温度を定着上限温度とし、下記の基準にて耐ホットオフセット性を評価した。評価結果を表4に示す。
(評価基準:対ホットオフセット性)
A:230℃以上 (抜群に優れている)
B:200℃以上230℃未満 (優れている)
C:185℃以上200℃未満 (やや優れている)
D:170℃以上185℃未満 (従来技術レベル;本発明の効果が得られていない)
E:170℃未満 (従来より劣る)
<メディア等速性評価>
上記の低温定着性評価において、評価紙をA4サイズの厚紙:Color Copy(坪量250g/m、mondi社製)に変更した以外は同様にして画像形成を行い、以下のようにして評価を行った。評価結果を表4に示す。
異種メディア対応性の評価は以下に示す基準で行った。
A:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が60℃以上。(抜群に優れている)
B:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が50℃以上60℃未満。(とても優れている)
C:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が40℃以上50℃未満。(優れている)
D:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が10℃以上40℃未満。(従来技術レベル:本発明の効果が得られていない)
E:上記厚紙における定着下限温度と上記普通紙における定着上限温度との差が10℃未満。(本発明では許容できない)
Figure 2017097307


Claims (7)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、着色剤、およびワックスを含有するトナー組成物を溶融混練する工程を経て製造されたトナーにおいて、
    該結晶性ポリエステル樹脂は、
    触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、
    該非晶性ポリエステル樹脂は、
    触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
    該チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とするトナー。
    Ti(−X)m(−OH)n (1)
    O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
    [式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。]
  2. 前記トナー組成物は、更に、ビニル系モノマーに由来するユニットと炭化水素化合物とが結合した構造を有する重合体を含有する請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ワックスは、炭化水素化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. 結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、着色剤、およびワックスを含有するトナー組成物を溶融混練する工程を有するトナーの製造方法において、
    該結晶性ポリエステル樹脂は、
    触媒として無機スズ化合物を用いて縮重合されたものであり、
    該非晶性ポリエステル樹脂は、
    触媒としてチタン化合物を用いて縮重合されたものであり、
    該チタン化合物が下記の構造式(1)または構造式(2)で表わされる化合物であることを特徴とするトナーの製造方法。
    Ti(−X)m(−OH)n (1)
    O=Ti(−X)p(−OR)q (2)
    [式中、Xは炭素数2以上12以下のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。ポリアルカノールアミンの他のOH基のHを除いた残基が同一のTi原子に結合し分子内で環構造を形成していても良く、他のTi原子に結合し分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していても良い。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2以上5以下である。RはH、または1個以上3個以下のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1以上8以下のアルキル基である。mは1以上4以下の整数、nは0以上3以下の整数、mとnの和は4である。pは1または2、qは0または1、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていても良い。]
  5. 前記トナー組成物は、更に、ビニル系モノマーに由来するユニットと炭化水素化合物とが結合した構造を有する重合体を含有する請求項4に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記ワックスは、炭化水素化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記溶融混練工程は、二軸押出機により、混練設定温度が80℃〜180℃の範囲でおこなわれることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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