JP7237667B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

トナー及びトナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、及び、静電印刷方式などに用いられるトナー、及び、該トナーの製造方法に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、さらなる高速化、高画質化はもちろんのこと、ユーザーの使用環境の変化に伴い、求める性能も多様化している。例えば、オフィス環境においては、ランニングコスト削減意識の高まりや、文字文書に加えてグラフィック文書の出力の増加が挙げられる。一般的に、複写機において消費される電力の大半は、トナーを溶融させ、紙媒体に定着させる工程において消費されている。また、文字文書などの画像の印字比率の小さい画像を出力した直後に、グラフィック文書などの印字比率の大きい画像を出力した場合、画像濃度が徐々に変動してしまう場合がある。かかる変動は、現像機に存在しているトナーの帯電量と新しく現像機内に供給されるトナーの帯電量とが異なることに起因するものと考えられる。
そのため、省エネルギー性に対応したトナーとして、定着工程での消費電力を低下させるために、より低い温度で定着できるトナーが求められている。また、画像安定性に対応したトナーとして、補給されたトナーの帯電量が瞬時に立ち上がるトナーが求められている。
そこで、低温定着性の優れたトナーとして、結晶性樹脂を使用したトナーが提案され(特許文献1)、帯電の立ち上がりに優れたトナーとして、低電気抵抗の酸化チタン微粒子を用いたトナーが提案されている(特許文献2)。
特開2014-130243号公報 特開2005-122151号公報
特許文献1に記載のトナーは、側鎖にシャープメルト性を有する結晶性を有するアクリル樹脂を用いることから、優れた低温定着が可能となっている。近年、シャープメルト性を有する樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有させたトナーが多く提案されているが、結晶性ポリエステルは高温高湿環境下に放置後の帯電性の維持という面で課題のある材料であった。それに対し、結晶性アクリル樹脂は、高温高湿環境下に放置後でも優れた帯電性の維持性を示す材料である。しかしながら、これら結晶性アクリル樹脂を結着樹脂として使用したトナーは、帯電の立ち上がりが遅いということがわかってきた。そのため、印字比率の異なる画像の出力の際に、画像濃度が変動し、画像安定性が損なわれる場合があった。
一方、特許文献2に記載のトナーは、低電気抵抗の酸化チタン微粒子がトナー粒子の表面に被覆されていることから、優れた帯電の立ち上がり性を示す。しかしながら、無機微粒子がトナー粒子の表面に多量に被覆されていることから、定着阻害を招き、低温定着性が損なわれる場合があった。
以上のことから、結晶性アクリル樹脂において、低温定着性と画像安定性はトレードオフ関係にある。そこで、このトレードオフ関係を脱却し、優れた低温定着性を示した上で、印字比率の異なる画像の出力においても優れた画像安定性を示すトナーの開発が急務となっている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、優れた低温定着性を示した上で、印字比率の異なる画像の出力においても優れた画像安定性を示すトナー、並びに該トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、シリコーンオイルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面からその中心に向かって300nm以内の領域にビニル重合体Aが存在し、
該ビニル重合体Aが、第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び、該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットを有し、
前記第一の重合性単量体が、炭素数18~36の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
前記第二の重合性単量体が、エステル基またはニトリル基を有し、
該第一のモノマーユニットのSP値をSP11とし、該第二のモノマーユニットのSP値をSP21としたとき、該SP11と該SP21とが、下記式(1)と下記式(2)とを満たし、
SP11≦18.40(J/cm0.5 ・・・(1)
21.00(J/cm0.5≦SP21 ・・・(2)
該ビニル重合体A中の該第一のモノマーユニットの割合が、該ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として5.0~60.0モル%であり、
該ビニル重合体A中の該第二のモノマーユニットの割合が、該ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として20.0~95.0モル%であり、
該トナーのESCAにより測定される結合エネルギー102ev~103evにおけるSi量をAとし、結合エネルギー285ev~288evにおけるC量をBとしたとき、下記式(3)を満たすトナーが提供される。
1.0≦A/B≦3.0 ・・・(3)
また、本発明の他の態様によれば、シリコーンオイルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面からその中心に向かって300nm以内の領域にビニル重合体Aが存在し、
該ビニル重合体Aが、第一の重合性単量体、及び、該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体を含有する組成物の重合体であり、
前記第一の重合性単量体が、炭素数18~36の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
前記第二の重合性単量体が、エステル基またはニトリル基を有し、
該第一の重合性単量体のSP値をSP12とし、該第二の重合性単量体のSP値をSP22としたとき、該SP12と該SP22とが、下記式(4)と下記式(5)とを満たし、
SP12≦17.72(J/cm0.5 ・・・(4)
18.30(J/cm0.5≦SP22 ・・・(5)
該組成物中の該第一の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として5.0モル%~60.0モル%であり、
該組成物中の該第二の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として20.0モル%~95.0モル%であり、
該トナーの電子分光化学分析法(ESCA)を用いて測定される結合エネルギーのピーク位置が102ev~103evにあるケイ素原子のピーク面積をAとし、結合エネルギーのピーク位置が285ev~288evにある炭素原子のピーク面積をBとしたとき、該Aと該Bとが下記式(3)を満たすトナーが提供される。
1.0≦A/B≦3.0 ・・・(3)
さらに、本発明の他の態様によれば、
シリコーンオイルを含有するトナー組成物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
該溶融混練物を粉砕分級してトナー母粒子を得る工程と、
該トナー母粒子を熱処理する工程と、を経て製造される前記トナーの製造方法が提供される。
本発明によれば優れた低温定着性を示した上で、印字比率の異なる画像の出力においても優れた画像安定性を示すトナー、並びに該トナーの製造方法を提供することができる。
本発明に用いられる熱球形化処理装置の図である。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
本発明において、「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂を指す。
本発明において、SP値とは、溶解度パラメータ(soluble parameter)の略であり、溶解性の指標となる値である。算出方法については後述する。
本発明の第一のトナーは、シリコーンオイルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面からその中心に向かって300nm以内の領域にビニル重合体Aが存在し、
該ビニル重合体Aが、第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び、該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットを有し、
前記第一の重合性単量体が、炭素数18~36の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
前記第二の重合性単量体が、エステル基またはニトリル基を有する。
該第一のモノマーユニットのSP値をSP11とし、該第二のモノマーユニットのSP値をSP21としたとき、該SP11と該SP21とが、下記式(1)と下記式(2)とを満たす。
SP11≦18.40(J/cm0.5 ・・・(1)
21.00(J/cm0.5≦SP21 ・・・(2)
該ビニル重合体A中の該第一のモノマーユニットの含有割合が、該ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として5.0モル%~60.0モル%であり、
該ビニル重合体A中の該第二のモノマーユニットの含有割合が、該ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として20.0モル%~95.0モル%である。
該トナーの電子分光化学分析法(ESCA)を用いて測定される結合エネルギーのピーク位置が102ev~103evにあるケイ素原子のピーク面積をAとし、結合エネルギーのピーク位置が285ev~288evにある炭素原子のピーク面積をBとしたとき、
該Aと該Bとが下記式(3)を満たす。
1.0≦A/B≦3.0 ・・・(3)
本発明者らは、優れた低温定着性を示した上で、印字比率の異なる画像の出力においても優れた画像安定性を示すトナーの検討を進めた。
まず、本発明者らは、帯電の立ち上がり性の向上の手段について検討した。トナーの帯電の立ち上がり性を向上させるためには、トナー表面のある一部で発生した電荷を、瞬時にトナー表面全体に均一に受け流すことが重要であると考えられる。本発明者らは、トナー表面全体に電荷を受け流す材料の探索を行い、シリコーンオイルに電荷発散効果があることを見出した。これは、液体であるシリコーンオイルの分子運動性の高さに由来していると考えらえる。
しかしながら、先行技術文献に記載の結晶性アクリル樹脂を結着樹脂として使用したトナーにシリコーンオイルを添加したところ、印字比率の異なる画像の出力において、優れた画像安定性は得ることができなかった。本発明者らは、この原因を調査し、結晶性アクリル樹脂の結晶性を発現するアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットが、他のモノマーユニットとランダムに結合されていることが原因であることを見出した。具体的には、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットは、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニット同士が集合することで結晶性を発現するが、通常の場合、他のモノマーユニットが組み込まれていると結晶化が阻害されやすくなる。これは、重合体の一分子内にてアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットと他のモノマーユニットとがランダムに結合されていると考えられる。これにより、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットと親和性の高いシリコーンオイルは、隣り合う親和性の低い他のモノマーユニットと反発することも相まって、ドメイン化し、トナー表面に厚膜のシリコーンオイル層が形成される。その結果、他のモノマーユニットに極性基等を持たせても、磁性キャリアとの摩擦機会が阻害されるため、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力における画像安定性は損なわれていると考えられる。さらに、液架橋に伴い静電潜像担持体や中間転写体に対する非静電付着力が増加するため、転写性も損なわれることを確認した。
つまり、優れた低温定着性を示した上で、印字比率の異なる画像の出力においても優れた画像安定性を示すためには、次のことが重要であることを見出した。すなわち、トナー表面に、薄層のシリコーンオイル層を形成し、極性基と磁性キャリアとの摩擦機会を良好に保ちつつ、摩擦により発生した電荷を、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流すことが重要であることを見出した。
本発明者らは、さらに検討を進め、特定の構造を有する結晶性アクリル樹脂を用いることで、トナー表面に薄層のシリコーンオイル層を形成させることができ、所望のトナーを得ることができることを見出した。
具体的には、
シリコーンオイルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子の表面からその中心に向かって300nm以内の領域にビニル重合体Aが存在し、
該ビニル重合体Aが、第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び、該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットを有し、
前記第一の重合性単量体が、炭素数18~36の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
前記第二の重合性単量体が、エステル基またはニトリル基を有し、
該第一のモノマーユニットのSP値と、該第二のモノマーユニットのSP値と、
該ビニル重合体A中の第一のモノマーユニットの割合と、該ビニル重合体A中の第二のモノマーユニットの割合と
を制御することで、第一のモノマーユニットと第二のモノマーユニットとがランダムに結合するのではなく、ある程度連続して結合できることを見出した。
これにより、第一のモノマーユニットと親和性の高いシリコーンオイルは広がりをみせ、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。その結果、第二のモノマーユニットは、磁性キャリアとの摩擦機会が良好に保たれ、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流される。そして、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られていると考えられる。
本発明のトナーは、シリコーンオイルを含有している。シリコーンオイルを含有していることから、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
一方、シリコーンオイルを含有していない場合、シリコーンオイルの電荷発散効果が得られず、摩擦により発生した電荷は、トナー表面に局在化するため、帯電の立ち上がり性は損なわれ、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られない。さらに、トナー表面に電荷が局在化するため、静電潜像担持体や中間転写体に対する静電付着力が増加するため、優れた転写性が得られない。
本発明のトナーは、トナー粒子の表面からその中心に向かって300nm以内の領域にビニル重合体Aが存在している。
トナー粒子の表面に、ビニル重合体Aが存在していることから、シリコーンオイルとの親和性が高まり、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
一方、トナー粒子の表面からその中心に向かって300nm以内の領域にビニル重合体Aが存在していない場合、シリコーンオイルとの親和性が低くなり、シリコーンオイルはドメイン化し、トナー表面に厚膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、磁性キャリアとの摩擦機会が阻害され、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性は得られない。さらに、液架橋に伴い静電潜像担持体や中間転写体に対する非静電付着力が増加するため、優れた転写性が得られない。
本発明のトナーのビニル重合体Aは、第一の重合性単量体と、第一の重合性単量体とは異なる第二の重合体単量体と、を含有する組成物の重合体である。また、ビニル重合体Aは、第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニットと、第一の重合性単量体とは異なる第二の重合体単量体に由来する第二のモノマーユニットと、を有する。
第一の重合性単量体は、炭素数18~36の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つである。また、第一のモノマーユニットは、第一の重合性単量体に由来するものである。第一の重合性単量体が、鎖長の長いアルキル基を有していることから、ビニル重合体Aに結晶性を付与することができる。そのため、トナーがシャープメルト性を発揮し、優れた低温定着性が得られる。
さらに、第一の重合性単量体は、シリコーンオイルとの親和性が高いため、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
一方、第一の重合性単量体が、炭素数18未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである場合、アルキル基の鎖長が短いため、シリコーンオイルとの親和性が低くなり、シリコーンオイルはドメイン化し、トナー表面に厚膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、磁性キャリアとの摩擦機会が阻害され、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性は得られない。さらに、液架橋に伴い静電潜像担持体や中間転写体に対する非静電付着力が増加するため、優れた転写性が得られない。
また、第一の重合性単量体が、炭素数が36を超えるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである場合、かかる(メタ)アクリル酸エステルは鎖長が長いアルキル基を有するため融点が高いため、優れた低温定着性が得られない。
炭素数18~36の直鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては以下のものが挙げられる。(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコサ、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドドリアコンタ等。
炭素数18~36の分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル等が挙げられる。
これらの内、優れた低温定着性を得ることができるという観点から、炭素数18~36の直鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つが好ましい。炭素数18~30の直鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つがより好ましく、直鎖状の(メタ)アクリル酸ステアリル又は(メタ)アクリル酸ベヘニルがさらに好ましい。
第一の重合性単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーの第二の重合性単量体は、第一の重合性単量体とは異なる重合性単量体であって、エステル基またはニトリル基を有する。また、第二のモノマーユニットは、第二の重合性単量体に由来するものである。第二の重合性単量体が、エステル基またはニトリル基を有していることから、磁性キャリアとの摩擦による電荷が発生しやすくなる。そして、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。一方、第二の重合性単量体が、エステル基またはニトリル基を有していない場合、磁性キャリアとの摩擦による電荷が発生しにくくなる。そのため、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られない。
第二の重合性単量体としては、具体的には、例えば以下に挙げる重合性単量体を用いることができる。
ニトリル基を有する単量体;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
エステル基を有する単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニルなどのビニルエステル、アクリルアミド、アクリル酸メチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステル。
なかでも、下記式(A)からなる群から選ばれるビニルエステル類は、非共役モノマーであって第一の重合性単量体との反応性が適度に保たれやすく、ビニル重合体Aの結晶性をあげやすいため、低温定着性と画像安定性の抑制を両立しやすい。
Figure 0007237667000001
(Rは、炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す。)
第二のモノマーユニットは、第二の重合性単量体に由来するものである。第二の重合性単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
第一のトナーのビニル重合体Aは、第一のモノマーユニットのSP値をSP11(J/m0.5とし、第二のモノマーユニットのSP値をSP21(J/m0.5としたとき、該SP11と該SP21とが、下記式(1)と下記式(2)とを満足する。
SP11≦18.40(J/cm0.5 ・・・(1)
21.00(J/cm0.5≦SP21 ・・・(2)
また、第二のトナーのビニル重合体Aは、第一の重合性単量体のSP値をSP12(J/cm0.5とし、第二の重合性単量体のSP値をSP22(J/cm0.5としたとき、該SP12と該SP22とが、下記式(4)と下記式(5)とを満足する。
SP12≦17.72(J/cm0.5 ・・・(4)
18.30(J/cm0.5≦SP22 ・・・(5)
なお、上記SP値は単位を、(J/m0.5としたが、1(cal/cm0.5=2.045×10(J/m0.5を用いて(cal/cm0.5の単位に換算することができる。
上記式(1)及び(2)を満たす場合又は上記式(4)及び(5)を満たす場合、第一及び第二のモノマーユニット間に極性差が生じる。かかる極性差により、重合時に第一のモノマーユニットと第二のモノマーユニットとがランダムに結合するのではなく、ある程度連続して結合できる。これにより、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する第一のモノマーユニットと親和性の高いシリコーンオイルは広がりをみせ、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。その結果、エステル基またはニトリル基を有する第二のモノマーユニットは、磁性キャリアとの摩擦機会が良好に保たれ、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流される。その結果、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
一方、上記式(1)及び(2)を満たさない場合又は上記式(4)及び(5)を満たさない場合、第一及び第二のモノマーユニット間にあまり極性差が生じない。そのため、第一のモノマーユニットと第二のモノマーユニットとがランダムに結合される。これにより、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットと親和性の高いシリコーンオイルは、隣り合う親和性の低いエステル基またはニトリル基を有する第二のモノマーユニットと反発することも相まって、ドメイン化し、トナー表面に厚膜のシリコーンオイル層が形成される。その結果、エステル基またはニトリル基を有する第二のモノマーユニットは、磁性キャリアとの摩擦機会が阻害されるため、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られない。さらに、液架橋に伴い静電潜像担持体や中間転写体に対する非静電付着力が増加するため、優れた転写性も得られない。
また、上記式(1)又は(4)を満たさない場合、第一のモノマーユニットは、アルキル基の鎖長が短いことを意味するため、シリコーンオイルとの親和性が低くなり、シリコーンオイルはドメイン化し、トナー表面に厚膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、磁性キャリアとの摩擦機会が阻害され、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性は得られない。さらに、液架橋に伴い静電潜像担持体や中間転写体に対する非静電付着力が増加するため、優れた転写性が得られない。
また、上記式(2)又は(5)を満たさない場合、第二のモノマーユニットは、極性が低いことを意味するため、磁性キャリアとの摩擦による電荷が発生しにくくなる。そのため、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られない。
なお、本発明においてビニル重合体A中に上記第一のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニットが複数種類存在する場合、式(1)におけるSP11の値はそれぞれのモノマーユニットのSP値を加重平均した値とする。例えば、以下のとおりである。
SP値がSP111のモノマーユニットAを第一のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニット全体のモル数を基準としてAモル%含み、
SP値がSP112のモノマーユニットBを第一のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニット全体のモル数を基準として(100-A)モル%含む場合のSP値(SP11)は、以下の計算式を用いて算出される。
SP11=(SP111×A+SP112×(100-A))/100
第一のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニットが3以上含まれる場合も同様に計算する。
SP12も同様に、それぞれの第一の重合性単量体のモル比率を用いて算出した加重平均値とする。
一方、第二の重合性単量体が2種類以上の重合性単量体である場合、SP21はそれぞれの重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値を表し、各SP21が前記式(2)を満たす。同様に、SP22はそれぞれの重合性単量体のSP値を表し、各SP22が前記式(5)を満たす。
ビニル重合体A中の第一のモノマーユニットの含有割合は、ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、5.0モル%~60.0モル%であり、
ビニル重合体A中の第二のモノマーユニットの含有割合は、ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、20.0モル%~95.0モル%である。
また、ビニル重合体Aを構成する組成物中の第一の重合性単量体の含有割合は、組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、5.0モル%~60.0モル%であり、
組成物中の第二の重合性単量体の含有割合は、組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、20.0モル%~95.0モル%である。
第一のモノマーユニットの含有割合、及び第一の重合性単量体の含有割合が上記範囲であることで、ビニル重合体Aに結晶性を付与することができる。そのため、トナーがシャープメルト性を発揮し、優れた低温定着性が得られる。さらに、第一の重合性単量体は、シリコーンオイルとの親和性が高いため、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
また、第二のモノマーユニットの含有割合、及び第二の重合性単量体の含有割合が上記範囲であることで、磁性キャリアとの摩擦による電荷が発生しやすくなる。そして、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
一方、第一のモノマーユニットの含有割合が5.0モル%未満の場合、及び第一の重合性単量体の含有割合が5.0モル%未満の場合、結晶性を有する部位が少ないため、シャープメルト性が発揮できず、優れた低温定着性が得られない。
また、第一のモノマーユニットの含有割合が60.0モル%より多い場合、及び第一の重合性単量体の含有割合が60.0モル%より多い場合、相対的に第二のモノマーユニットの含有割合、及び第二の重合性単量体の含有割合が少ないことを意味する。そして、磁性キャリアとの摩擦による電荷が発生しにくくなる。そのため、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られない。
また、第二のモノマーユニットの含有割合が20.0モル%未満の場合、及び第二の重合性単量体の含有割合が20.0モル%未満の場合、磁性キャリアとの摩擦による電荷が発生しにくくなる。そのため、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られない。
また、第二のモノマーユニットの含有割合が95.0モル%より多い場合、及び第二の重合性単量体の含有割合が95.0モル%より多い場合、結晶性を有する部位が少ないため、シャープメルト性が発揮できず、優れた低温定着性が得られない。
第一のモノマーユニットの含有割合、及び第一の重合性単量体含有割合は、優れた低温定着性と画像の安定性を得ることができるという観点から、好ましくは10.0モル%~60.0モル%であり、より好ましくは20.0モル%~40.0モル%である。
第二のモノマーユニットの含有割合、及び第二の重合性単量体含有割合は、優れた低温定着性と画像の安定性を得ることができるという観点から、好ましくは40.0モル%~95.0モル%であり、より好ましくは40.0モル%~70.0モル%である。
なお、ビニル重合体Aが、2種以上の炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを有する場合、第一のモノマーユニットの含有割合は、それらの合計のモル比率を表す。
また、ビニル重合体Aに用いる組成物が2種以上の炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む場合も同様に、第一の重合性単量体の含有割合は、それらの合計のモル比率を表す。
なお、ビニル重合体Aにおいて、式(2)を満足する第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットが2種類以上存在する場合、第二のモノマーユニットの割合は、それらの合計のモル比率を表す。
また、ビニル重合体Aに用いる組成物が2種以上の第二の重合性単量体を含む場合も同様に、第二の重合性単量体の含有割合は、それらの合計のモル比率を表す。
本発明のトナー及びトナー粒子の電子分光化学分析法(ESCA)を用いて測定される結合エネルギーのピーク位置が102ev~103evにあるケイ素原子のピーク面積をAとし、
結合エネルギーのピーク位置が285ev~288evにある炭素原子のピーク面積をBとしたとき、A/Bは下記式(3)を満たす。
1.0≦A/B≦3.0 ・・・(3)
これは、トナー粒子の表面に存在するシリコーンオイルの割合を示しており、トナー粒子の表面に由来する表面部分(シリコーンオイルに被覆されていない表面部分)に対する、シリコーンオイルに被覆されている表面部分の割合を示している。
A/Bが上記式(3)を満たす場合、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成されていることを意味する。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
一方、A/Bが1.0未満である場合、トナー粒子の表面におけるシリコーンオイルの被覆率が低いため、シリコーンオイルの電荷発散効果が得られず、摩擦により発生した電荷は、トナー表面に局在化する。そのため、帯電の立ち上がり性は損なわれ、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られない。さらに、トナー表面に電荷が局在化するため、静電潜像担持体や中間転写体に対する静電付着力が増加するため、優れた転写性が得られない。
また、A/Bが3.0より多い場合、トナー粒子の表面にシリコーンオイルの厚膜が形成されていることを意味し、磁性キャリアとの摩擦機会が阻害され、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性は得られない。さらに、液架橋に伴い静電潜像担持体や中間転写体に対する非静電付着力が増加するため、優れた転写性が得られない。
なお、トナー粒子にシリカ等の無機微粒子が外添されているトナーを測定した場合も、無機微粒子によって被覆されている表面部分は、計測されないため、トナーの測定値とトナー粒子の測定値とは、基本的に同じ値になる。さらに、シリカ等の無機微粒子は、抵抗が低いため、計測しなかった部分の電荷発散効果は問題ないレベルにあるので、A/Bが上記範囲であれば、無機微粒子の有無にかかわらず、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性は得られる。
ビニル重合体Aには、上述した第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットのモル比率を損ねない範囲で、第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットが含まれていてもよい。
第三の重合性単量体としては、上記第二の重合性単量体として例示した単量体のうち、上記式(1)又は式(2)を満たさない単量体を用いることができる。
また、以下の単量体も用いることが可能である。例えば、スチレン、o-メチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類。なお、式(1)又は式(2)を満たす場合には、第二の重合性単量体として用いることができる。
ビニル重合体Aの酸価は、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性を得ることができるという観点から、30.0mgKOH/g以下であることが好ましく、20.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が上記範囲の場合、ビニル重合体Aとの親和性が高まり、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。酸価の下限は特に制限されないが、好ましくは0mgKOH/g以上である。
また、ビニル重合体Aは、GPCにより測定されるテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)が、10,000以上200,000以下であることが好ましく、20,000以上150,000以下であることがより好ましい。
GPC:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
Mwが上記範囲内であることで、ビニル重合体Aとの親和性が高まり、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
また、ビニル重合体Aの融点は、50℃以上80℃以下であることが好ましく、53℃以上70℃以下であることがより好ましい。ビニル重合体Aの融点が上記範囲内であると、より優れた低温定着性が得られる。
ビニル重合体Aの融点は、使用する第一の重合性単量体の種類や量、第二の重合性単量体の種類や量などによって調整可能である。
本発明のトナーのシリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルであることが、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性を得ることができるという観点から好ましい。シリコーンオイルがジメチルシリコーンである場合、ビニル重合体Aとの親和性が高まり、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
本発明のトナーのシリコーンオイルは、GPC測定による重量平均分子量(以下、Mwともいう)は、1,000以上25,000以下であることが、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性を得ることができるという観点から好ましい。シリコーンオイルの重量平均分子量を1,000以上とすることで、シリコーンオイルのトナー粒子の表面への染み出しを制御しやすく、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
また、GPC測定による分子量分布において、シリコーンオイル中に含まれる重量平均分子量が500以下の成分の含有量が、0.05質量%以下であることが、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性を得ることができるという観点から好ましい。シリコーンオイル中に含まれる重量平均分子量が500以下の成分の含有量を0.05質量%以下とすることによって、シリコーンオイルのトナー粒子の表面への染み出しを制御しやすくなり、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
その理由については以下のように考えている。重量平均分子量が500以下の低分子量シリコーンオイルはトナー粒子中での運動性が高いことから、特異的に保管時にトナー粒子の表面に析出しやすい。さらに、低分子量シリコーンオイルがトナー粒子中に一定量以上存在すると、主成分である分子量の高いシリコーンオイルも運動性が高まり、表面へ析出しやすくなると考えている。
重量平均分子量が500以下の成分の含有量は、好ましくは0.03質量%以下である。なお、下限は特に制限されないが、0.001質量%以上であることが好ましい。
シリコーンオイル中の重量平均分子量が500以下の成分の含有量を0.05質量%以下にする方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。一例として、加熱減圧法を以下に示す。
<加熱減圧法>
シリコーンオイルを高い密閉性が得られる容器に投入し、用いるシリコーンオイルの高分子量成分が熱酸化反応しない温度以下で加熱を行う。加熱温度は前記高分子量成分が熱酸化反応しない温度であれば高いほど低分子量成分を速く減らすことができる。加熱を行うとともに真空ポンプなどにより、減圧を行うことでより効率良く低分子量成分を除くことができる。減圧したときの圧力は10torr以下まで減圧することが好ましく、圧力は低いほど好ましい。重量平均分子量が500以下の成分の含有量が0.05質量%以下になったら加熱減圧を終了し、回収する。
本発明のトナーは、
シリコーンオイルを含有するトナー組成物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
溶融混練物を粉砕分級してトナー母粒子を得る工程と、
例えば、図1で表される表面処理装置を用いて、熱風によりトナー母粒子を熱処理する工程を行うことが、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性を得ることができるという観点から好ましい。
図1で表される表面処理装置により、トナー粒子は遠心力を受けて熱風処理されるため、トナー粒子の表面の余分なシリコーンオイルは除去され、トナー表面に薄膜のシリコーンオイル層が形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
本発明のトナーは、懸濁重合法、混練粉砕法、乳化凝集法、及び溶解懸濁法などの公知のトナーの製造方法において、製造工程中あるいは製造後に得られたトナーを、有機溶剤と接触させる工程を有することが好ましい。トナーを有機溶剤と接触させる工程を有することによって印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性を得ることができるためである。トナーを有機溶剤と接触させる工程を有することによって、有機溶剤と親和性の高い低分子量のシリコーン化合物が洗浄され、分子量分布がシャープなシリコーン化合物の薄膜がトナー粒子の表面に形成される。そのため、摩擦により発生した電荷は、シリコーンオイルの電荷発散効果により、トナー表面全体に均一に受け流されることにより、印字比率の異なる画像の出力において優れた画像安定性が得られる。
<ビニル重合体A以外の樹脂>
結着樹脂には、必要に応じて、ビニル重合体A以外の樹脂を含有することもできる。結着樹脂に用いられるビニル重合体A以外の樹脂としては、例えば以下の樹脂が挙げられる。
ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、スチレン系共重合体やポリエステル樹脂が好ましい。また、ビニル重合体A以外の樹脂は非晶性であることが好ましい。
また、結着樹脂中のビニル重合体Aの含有量が50.0質量%以上であると、優れた低温定着性が得られる。より好ましくは80.0質量%~100.0質量%であり、結着樹脂がビニル重合体Aであることがさらに好ましい。
<着色剤>
トナーは、必要に応じて着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤としては、顔料を単独で使用してもよく、染料と顔料とを併用してもよい。フルカラー画像において優れた画質を得ることができるという観点から、染料と顔料とを併用することが好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナーへの分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、樹脂成分の総量に対して0.1質量部~30.0質量部であることが好ましい。
<離型剤>
トナー粒子は、離型剤としてワックスを含んでいてもよい。かかるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、定着分離性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、若しくはカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
上記ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部あたり3質量部~8質量部であることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線における、上記ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、45℃~140℃であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であると、トナーの保存性と耐ホットオフセット性とを両立できる。
<荷電制御剤>
トナー粒子は、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く、かつ一定の帯電量を安定して保持できる、芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物。スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩あるいはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩あるいはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物。ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン。
荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし、外添してもよい。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、0.2質量部~10.0質量部が好ましく、0.5質量部~10.0質量部がより好ましい。
<無機微粒子>
トナーは、必要に応じて無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし、外添剤としてトナーと混合してもよい。無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が、流動性の改良及び帯電の均一化のために好ましい。
無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性を向上させる観点からは、外添剤としての無機微粒子は、比表面積が50m/g~400m/gであることが好ましい。また、耐久安定性を向上させる観点からは、外添剤としての無機微粒子は、比表面積が10m/g~50m/gであることが好ましい。流動性向上と耐久安定性とを両立させるために、比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部~10.0質量部であることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
<現像剤>
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、また、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
該磁性キャリアとしては、例えば以下のものが挙げられる。酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子。フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持する結着樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)。
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際の磁性キャリアの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%~15質量%であることが好ましく、より好ましくは4質量%~13質量%以下である。
<トナーの製造方法>
トナー粒子を製造する方法としては、特に限定されないが、シリコーンオイルの分散の観点から粉砕法が好ましい。その理由は、水系媒体中でトナー粒子を製造すると、シリコーンオイルは、トナー粒子の表面に析出するため、トナー粒子の表面に厚膜のシリコーンオイル層が形成される。その結果、磁性キャリアとの摩擦機会が阻害されるため、帯電の立ち上がり性は向上せず、印字比率の異なる画像の出力における優れた画像安定性が得られない。
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
<混合工程>
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、離型剤、着色剤、結晶性ポリエステル、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
<混錬工程>
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
<粉砕工程>
樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、粉砕機で粗粉砕した後、さらに、微粉砕機で微粉砕する。
粉砕機としては、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどが挙げられる。
微粉砕機としては、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(ターボ工業(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機が挙げられる。
<分級工程>
必要に応じて分級機や篩分機を用いて分級する。
分級機や篩分機としては、例えば以下のものが挙げられる。慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)。
<表面処理工程>
加熱によるトナー粒子の表面処理を行い、トナーの円形度を増加させる。例えば、図1で表される表面処理装置を用いて、熱風により表面処理を行うこともできる。
図1に示す表面処理装置においては、原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管3を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室6に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段出口11における温度が100℃~300℃であることが好ましい。熱風供給手段出口11における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を抑制しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。
さらに熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は-20℃~30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を抑制することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m以上15.0g/m以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室6の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室6の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口14から供給されるトナーの旋回方向、冷風供給手段8から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段7から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナーに強力な遠心力がかかり、トナーの分散性がさらに向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナーを得ることができる。
トナーの平均円形度は、0.960以上0.980以下であると、非静電付着力を低く抑えることができるため、優れた転写性を得ることができるという観点から好ましい。
<有機溶剤と接触させる工程および分離工程>
有機溶剤と接触させる工程および分離工程においては、必要に応じて、表面処理工程を経たトナー粒子を、有機溶剤と接触させ、分離する。このようにすることにより、有機溶剤と親和性の高い低分子量のシリコーンオイルが洗浄され、分子量分布がシャープなシリコーンオイルの薄膜をトナー表面に形成させることができる。用いられる有機溶剤は、シリコーンオイルとの親和性があることが重要である。親和性が高すぎると、シリコーンオイルをトナー粒子から引き抜きすぎてしまい、電荷発散効果が損なわれる。具体的な有機溶剤としては、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、及びこれらの混合物などが挙げられる。
有機溶剤は水を含んでいても良く、含水量は、有機溶剤100質量部に対し、0質量部以上10質量部以下であることが好ましい。有機溶剤の含水量を有機溶剤100質量部に対し、10質量部以下にすることで、トナー粒子の表面近傍に存在する低分子量のシリコーン化合物を除去することができる。
トナー粒子と有機溶剤の接触工程の処理時間は、1分以上60分以下であることが好ましい。
トナー粒子と有機溶剤の接触工程において、トナー粒子と有機溶剤とを混合してトナー粒子の有機溶剤分散液を得る場合、攪拌は攪拌翼による攪拌でも良く、ホモジナイザーや超音波分散機などによる攪拌でも良い。しかし、トナー粒子を均一に処理する観点から、ホモジナイザーや超音波分散機などでの攪拌下処理することが好ましい。
トナー粒子と前記有機溶剤との分離工程は、接触工程で得られたトナー粒子の有機溶剤分散液あるいは、トナーウェットケーキと有機溶剤との混合物をろ過などにより物理的に分離する工程である。トナー粒子と有機溶剤とを分離することができれば、特に方法に限定されるものではないが、吸引ろ過、加圧ろ過、あるいは遠心分離による分離方法が挙げられる。
トナー粒子と有機溶剤との接触工程および分離工程は、接触と分離の工程を複数回繰り返して処理しても良い。特に、トナーウェットケーキと有機溶剤の混合物を処理する場合は、トナーウェットケーキ中に存在する水の影響により、シリコーン化合物の除去性が落ちる場合があるため、複数回処理することがより好ましい。
<乾燥工程>
乾燥工程においては、上記工程で得られたトナー粒子の乾燥を行う。
<外添工程>
その後、外添処理する方法としては、以下の方法が挙げられる。ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法。その際、必要に応じて、流動化剤等のシリカ微粒子A以外の外添剤を外添処理しても良い。
トナー粒子及び原材料の各種物性の測定方法について以下に説明する。
<ESCAによるA/Bの測定方法>
トナーの表層のシリコーンオイルに由来するSi量は、電子分光化学分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)によって求めたものである。
装置 :Quantum2000(アルバック・ファイ(株)製)
サンプル測定範囲 :Φ100μm
光電子取り込み角度 :45°
X線 :ビーム径50μm、12.5W、15kV
PassEnergy :46.95eV
Step Size :0.200eV
No of Sweeps :1~20
設定測定時間 :30min
測定原理としては、X線源を利用して光電子を発生させ、物質の固有の化学的な結合に基づくエネルギーを計測する。X線としては単色化されたAl-Kαを使用し、ビーム径50μm、Pass Energy46.95eVの条件で測定を行う。そして、下記の式から、トナー粒子の表面に存在するシリコーンオイルの割合を算出することができる。
トナー粒子の表面に存在するシリコーンオイルの割合=(A/B)
Aは、結合エネルギー(Binding Energy)のピーク位置が102ev~103evにあるケイ素(Si)原子のピーク面積を示す。
Bは、結合エネルギー(Binding Energy)のピーク位置が285ev~288evにある炭素(C)原子のピーク面積を示す。
トナーに無機微粒子としてシリカが外添されている場合でも、シリコーンオイル由来のケイ素原子のピーク面積とシリカ由来のケイ素原子のピーク面積とをそれぞれ求めることができる。結合エネルギーのピーク位置が102ev~103evにあるピークがシリコーンオイルに由来するものである。一方、結合エネルギーのピーク位置が103eV~104eVにあるピークがシリカ(SiO)に由来するものである。
<GPCによるシリコーンオイルの重量平均分子量及び分子量分布の測定方法>
サンプルビンに高速液体クロマトグラフ用のトルエンとシリコーンオイルを入れ、溶解させる。
シリコーンオイルが溶解したのを確認後、東ソー(株)製ディスポーザブルディスクフィルター(商品名:マイショリディスク、目開き0.5μm)を用いてろ過し、通過したものをGPCサンプルとする。
なお、サンプル溶液は、濃度が約1.0質量%となるように調整する。
このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置: Prominence GPCシステム((株)島津製作所製)
検出器: RID
カラム: トルエン専用LF804 2連
温度: 45.0℃
溶媒: 高速液体クロマトグラフ用トルエン
流速: 1.0mL/min
注入量: 0.05mL
シリコーンオイルの分子量の算出にあたっては、下記の標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
・標準ポリスチレン樹脂:商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」東ソー(株)製
<ビニル重合体A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合の測定方法>
ビニル重合体A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合の測定は、H-NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子(株)製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :測定試料(ビニル重合体A)50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
得られたH-NMRチャートより、第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの中から、他の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択する。そして、このピークの積分値Sを算出する。
同様に、第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの中から、他の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。
さらに、第三の重合性単量体を使用している場合は、第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークから、他の重合性単量体に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択する。そして、このピークの積分値Sを算出する。
第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合は、上記積分値S、S及びSを用いて、以下のようにして求める。なお、n、n2、はそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
同様に、第二の重合性単量体、第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合は以下のように求める。
第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
なお、ビニル重合体Aにおいて、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、H-NMRの場合と同様にして算出する。
また、トナーが懸濁重合法によって製造される場合、離型剤やその他の樹脂のピークが重なり、独立したピークが観測されないことがある。それにより、ビニル重合体A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合が算出できない場合が生じる。その場合、離型剤やその他の樹脂を使用しないで同様の懸濁重合を行うことで、ビニル重合体A’を製造し、ビニル重合体A’をビニル重合体Aとみなして分析することができる。
<SP値算出方法>
重合性単量体のSP値及び重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値は、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。
・重合性単量体のSP値
それぞれの重合性単量体又は離型剤について、分子構造中の原子又は原子団に対して、下記の文献に記載の表からΔei及びΔviを求め、下記式よりSP値を算出する。
R. F. Fedors: “A Method for Estimating Both the Solubility Parameters and Molar Volumes of Liquids”,polym.Eng.Sci.,Vol.14(2),147-154(1974)
SP値(J/cm0.5=(4.184×ΣΔei/ΣΔvi)0.5
Δei:各々の原子又は原子団の蒸発エネルギー(cal/mol)
Δvi:各々の原子又は原子団のモル体積(cm/mol)
・重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値
なお、SP11、SP21は、該重合性単量体の二重結合が重合によって開裂した状態の分子構造の原子又は原子団に対して、上記と同様の算出方法によって算出する。
SP11:第一の重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値
SP21:第二の重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値
SP31(第三の重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値)は、以下のようにして求める。
まず、ビニル重合体Aを構成する重合性単量体に由来するモノマーユニットの蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)をモノマーユニット毎に求め、各モノマーユニットのビニル重合体Aにおけるモル比(j)との積をそれぞれ算出する。そして、下記式によりSP31値を算出する。
SP31={4.184×(Σj×ΣΔei)/(Σj×ΣΔvi)}0.5
<GPCによるビニル重合体A重量平均分子量測定>
ビニル重合体AのTHF可溶分の分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー(株)製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー(株)製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、下記の標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
・標準ポリスチレン樹脂:商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」東ソー(株)製)
<ビニル重合体Aの融点(Tp)の測定>
融点(Tp)は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料3mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度 :10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
なお、測定においては、まず180℃まで昇温させて10分間保持し、続いて10℃/minの降温速度で30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度60℃~90℃の範囲において温度―吸熱量曲線が最大吸熱ピーク(融解ピーク)を示す温度をビニル重合体Aの融点(Tp)とする。
<ビニル重合体Aの酸価の測定方法>
酸価とは、試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などの酸成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。測定方法は、JIS-K0070-1992に準じ以下のように測定する。
(1)試薬
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間静置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した該水酸化カリウム溶液の量から求める。該0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定」ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm~60μmに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
・コンタミノンN:非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)上記(2)のビーカーを上記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ上記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃~40℃となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した上記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス(株)製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローセルに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512画素×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37μm×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200以上1.000以下の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下のとおりである。
まず、ガラス製の容器中にあらかじめ不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として前記コンタミノンNをイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。
さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃~40℃となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS-150」((株)ヴェルヴォクリーア製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス(株)製)を使用する。該手順に従い調製した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。
そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm~39.96μmとし、トナーの平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
標準ラテックス粒子としては、例えば以下のものが挙げられる。Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈したもの。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
<ビニル重合体A1の製造例>
・溶媒:トルエン 100.0部
・単量体組成物 100.0部
(単量体組成物は以下のアクリル酸ベヘニル・メタクリロニトリル・スチレンを以下に示す割合で混合したものとする)
・アクリル酸ベヘニル(第一の重合性単量体) 60.0部(26.2モル%)
・メタクリロニトリル(第二の重合性単量体) 30.0部(57.9モル%)
・スチレン(第三の重合性単量体) 10.0部(15.9モル%)
・重合開始剤 t-ブチルパーオキシピバレート(日油(株)製:パーブチルPV)0.5部
還流冷却管、撹拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、上記材料を投入した。反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、さらにメタノールで洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥してビニル重合体A1を得た。ビニル重合体A1の重量平均分子量は64,600、融点は56℃、酸価は0.0mgKOH/gであった。
上記ビニル重合体A1をNMRで分析したところ、アクリル酸ベヘニル由来のモノマーユニットが26.2モル%、メタクリロニトリル由来のモノマーユニットが57.9モル%、スチレン由来のモノマーユニットが15.9モル%含まれていた。重合性単量体及び重合性単量体由来のモノマーユニットのSP値を上記の方法により算出した。算出したSP値を含む物性値を表2,3に示す。
<ビニル重合体A2~A13の製造例>
ビニル重合体A1の製造例において、それぞれの重合性単量体及び部数を表1に示すように変更した以外は同様にして反応を行い、ビニル重合体A2~A13を得た。ビニル重合体A2~A13についても算出したSP値を含む物性値を表2~4に示す。
Figure 0007237667000002
表1~4中の略号は以下のとおり。
BEA:ベヘニルアクリレート(アルキル基の炭素数:22)
SA:ステアリルアクリレート(アルキル基の炭素数:18)
MYA:ミリシルアクリレート(アルキル基の炭素数:30)
HA:ヘキサデシルアクリレート(アルキル基の炭素数:16)
MN:メタクリロニトリル(CH=C(CH)CN)
AA:アクリルアミド (CH=CH(C=O)NH
VA:酢酸ビニル (CH=CHO(C=O)CH
MA:アクリル酸メチル (CH=CH(C=O)OCH
St:スチレン (CCH=CH
MM:メタクリル酸メチル(CH=C(CH)(C=O)OCH
Figure 0007237667000003
Figure 0007237667000004
Figure 0007237667000005
<低分子量低減シリコーンオイル1の製造例>
・ジメチルシリコーンオイル 100部
(信越化学工業(株)製:KF96-500CS、25℃における動粘度500mm/S、Mw20,000)
上記を500mLのナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターR-100(BUCHI製)を用いて低分子量成分の低減を行った。オイルバスを用いて180℃で加熱し、100rpmで回転させながら10torrまで減圧して3時間処理を行い、低分子量低減シリコーンオイル1を得た。重量平均分子量は20,000であり、重量平均分子量500以下の成分は低分子量低減シリコーンオイル1の0.03質量%であった。
<低分子量低減シリコーンオイル2~低分子量低減シリコーンオイル6の製造例>
低分子量低減シリコーンオイル1の製造例において、それぞれのシリコーンオイルを表5に示すように変更した以外は同様にして反応を行い、低分子量低減シリコーンオイル2~低分子量低減シリコーンオイル6を得た。低分子量低減シリコーンオイル2~低分子量低減シリコーンオイル6の物性を表5に示す。
Figure 0007237667000006
<トナー1の製造例>
・ビニル重合体A1 100部
・低分子量低減シリコーンオイル1 4部
・カーボンブラック 10部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1,500rpm、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、(株)池貝製)を用いて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルを用いて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)を用いて微粉砕した。さらにファカルティ(F-300、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を11,000rpm、分散ローター回転数を7,200rpmとした。
得られたトナー粒子1を用い、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い、熱処理工程を経たトナー粒子1を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、熱風温度C=160℃、熱風流量=6m/min.、冷風温度E=-5℃、冷風流量=4m/min.、ブロワー風量=20m/min.、インジェクションエア流量=1m/min.とした。
熱処理工程を経たトナー粒子1 100部
エタノール 400部
次に、上記を混合した後、超音波洗浄機を用い5分間分散させて、熱処理を経たトナー粒子1のエタノール分散液を得た。続いて、熱処理を経たトナー粒子1のエタノール分散液をろ過・固液分離した後、真空乾燥機を用いて乾燥することで、熱処理工程及び有機溶剤接触工程を経たトナー粒子1を得た。
・熱処理工程及び有機溶剤の接触工程を経たトナー粒子1 100部
・シリカ微粒子A:ヘキサメチルジシラザンで表面処理したヒュームドシリカ
(個数基準におけるメジアン径(D50)が120nm) 8部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1,900rpm、回転時間10minで混合し、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は6.1μm、平均円形度は0.975、及び、ESCAを用いて測定されるA/Bは1.5であった。トナー1の物性を表6に示す。
Figure 0007237667000007
<トナー2~トナー20の製造例>
トナー1の製造例において、ビニル重合体A、低分子量低減シリコーンオイル、熱処理工程、及び、有機溶剤接触工程を表6となるように変更した以外は同様の操作を行い、トナー2~トナー20を得た。トナー2~トナー20の物性を表6に示す。
<磁性キャリア1の製造例>
・個数平均粒径0.30μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト1
・個数平均粒径0.50μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト2
上記の材料それぞれ100部に対し、4.0部のシラン化合物(3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール:10質量%
・ホルムアルデヒド溶液:6質量%
(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト1 :58質量%
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト2 :26質量%
上記材料100部と、28質量%アンモニア水溶液5部、及び水20部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温し、3時間保持して重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。
その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性キャリア1を得た。体積基準の50%粒径(D50)は、34.21μmであった。
<二成分系現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリア1と8.0部のトナー1をV型混合機(V-20、(株)セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<二成分系現像剤2~二成分系現像剤20の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、表7のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2~二成分系現像剤20を得た。
Figure 0007237667000008
<実施例1>
上記二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン(株)製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5560改造機(以下「評価機」とも記載する。)を用い、シアン位置の現像器に二成分系現像剤1を入れた。装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及び、レーザーパワーを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、紙上におけるFFh画像上のトナーの載り量が所望になるようにVDC、V、及びレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。
FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表8に示す。
[低温定着性]
紙:GFC-081(81.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)
紙上のトナーの載り量:0.50mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:低温低湿環境:温度15℃/相対湿度10%(以下「L/L」)
定着温度:150℃
プロセススピード:377mm/sec
上記評価画像を出力し、低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。
画像濃度低下率は、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摩擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。
そして、下記式を用いて摩擦前後での画像濃度の低下率を算出した。得られた画像濃度の低下率を下記の評価基準に従って評価した。評価がA~Dであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
画像濃度の低下率=(摩擦前の画像濃度-摩擦後の画像濃度)/摩擦前の画像濃度×100
(評価基準)
A:画像濃度の低下率3.0%未満
B:画像濃度の低下率3.0%以上、5.0%未満
C:画像濃度の低下率5.0%以上、7.0%未満
D:画像濃度の低下率7.0%以上、9.0%未満
E:画像濃度の低下率9.0%以上
[転写性]
紙:CS-680(68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/相対湿度80%(以下「H/H」))
評価機の安定化及び耐久評価として、画像比率0.1%の帯チャートを用いて、A4用紙に10,000枚出力を行った。その後、静電潜像担持体上に上記評価画像を形成し、中間転写体に転写された後、かつ記録紙に転写される前に、評価機を止めた。止めた評価機の中間転写体を取り出し、転写された画像に透明な粘着テープを貼ってトナーを採取し、粘着テープごと記録紙に貼り付けた。光学濃度計で画像の濃度を測定し、粘着テープのみを記録紙に貼った箇所の濃度を差し引き、転写濃度Aを求めた。また、評価機の静電潜像担持体を取り出し、転写残トナーについても同様の方法で転写残濃度Bを求めた。粘着テープは透明で弱粘着のスーパーステック(リンテック(株)製)を使用し、光学濃度計はX-Riteカラー反射濃度計(X-Rite社製)を使用した。そして、下記式を用いて、転写効率を算出した。得られた転写効率を下記の評価基準に従って評価した。評価がA~Dであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
転写効率 = {転写濃度A/(転写濃度A+転写残濃度B)}×100
(評価基準)
A:転写効率98.0%以上
B:転写効率95.0%以上、98.0%未満
C:転写効率92.0%以上、95.0%未満
D:転写効率87.0%以上、92.0%未満
E:転写効率87.0%未満
[画像安定性]
紙:GFC-081(81.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株))
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
定着試験環境:常温常湿環境:温度23℃/相対湿度50%(以下「N/N」)
評価機の安定化として、画像比率1%の帯チャートを用いて、100枚のA4用紙に出力を行った。その後、上記評価画像を出力し、光学濃度計で画像の濃度を測定し、画像濃度Aを求めた。
次に、画像比率80%の帯チャートを用いて、100枚のA4用紙に出力を行った。その後、上記評価画像を出力し、光学濃度計で画像の濃度を測定し、画像濃度Bを求めた。
光学濃度計はX-Riteカラー反射濃度計(X-Rite社製)を使用した。そして、下記式を用いて、濃度変動差を算出した。得られた濃度変動差を下記の評価基準に従って評価した。評価がA~Dであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
濃度変動差 = |画像濃度A-画像濃度B|
(評価基準)
A:濃度変動差0.02未満
B:濃度変動差0.02%以上、0.04未満
C:濃度変動差0.04%以上、0.06%未満
D:濃度変動差0.06%以上、0.10%未満
E:濃度変動差0.10%以上
<実施例2~実施例15、及び、比較例1~比較例5>
二成分系現像剤2~二成分系現像剤20を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表8に示す。
Figure 0007237667000009
1.原料定量供給手段
2.圧縮気体流量調整手段
3.導入管
4.突起状部材
5.供給管
6.処理室
7.熱風供給手段
8.冷風供給手段
9.規制手段
10.回収手段
11.熱風供給手段出口
12.分配部材
13.旋回部材
14.粉体粒子供給口

Claims (9)

  1. シリコーンオイルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナー粒子の表面からその中心に向かって300nm以内の領域にビニル重合体Aが存在し、
    該ビニル重合体Aが、第一の重合性単量体に由来する第一のモノマーユニット、及び、該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体に由来する第二のモノマーユニットを有し、
    前記第一の重合性単量体が、炭素数18~36の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
    前記第二の重合性単量体が、エステル基またはニトリル基を有し、
    該第一のモノマーユニットのSP値をSP11とし、該第二のモノマーユニットのSP値をSP21としたとき、該SP11と該SP21とが、下記式(1)と下記式(2)とを満たし、
    SP11≦18.40(J/cm0.5 ・・・(1)
    21.00(J/cm0.5≦SP21 ・・・(2)
    該ビニル重合体A中の該第一のモノマーユニットの含有割合が、該ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として5.0モル%~60.0モル%であり、
    該ビニル重合体A中の該第二のモノマーユニットの含有割合が、該ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として20.0モル%~95.0モル%であり、
    該トナーの電子分光化学分析法(ESCA)を用いて測定される結合エネルギーのピーク位置が102ev~103evにあるケイ素原子のピーク面積をAとし、結合エネルギーのピーク位置が285ev~288evにある炭素原子のピーク面積をBとしたとき、該Aと該Bとが下記式(3)を満たすことを特徴とするトナー。
    1.0≦A/B≦3.0 ・・・(3)
  2. 前記ビニル重合体A中の前記第二のモノマーユニットの含有割合が、前記ビニル重合体A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、40.0モル%~95.0モル%である請求項1に記載のトナー。
  3. シリコーンオイルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナー粒子の表面からその中心に向かって300nm以内の領域にビニル重合体Aが存在し、
    該ビニル重合体Aが、第一の重合性単量体、及び、該第一の重合性単量体とは異なる第二の重合性単量体を含有する組成物の重合体であり、
    前記第一の重合性単量体が、炭素数18~36の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
    前記第二の重合性単量体が、エステル基またはニトリル基を有し、
    該第一の重合性単量体のSP値をSP12とし、該第二の重合性単量体のSP値をSP22としたとき、該SP12と該SP22とが、下記式(4)と下記式(5)とを満たし、
    SP12≦17.72(J/cm0.5 ・・・(4)
    18.30(J/cm0.5≦SP22 ・・・(5)
    該組成物中の該第一の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として5.0モル%~60.0モル%であり、
    該組成物中の該第二の重合性単量体の含有割合が、該組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として20.0モル%~95.0モル%であり、
    該トナーの電子分光化学分析法(ESCA)を用いて測定される結合エネルギーのピーク位置が102ev~103evにあるケイ素原子のピーク面積をAとし、結合エネルギーのピーク位置が285ev~288evにある炭素原子のピーク面積をBとしたとき、該Aと該Bとが下記式(3)を満たすことを特徴とするトナー。
    1.0≦A/B≦3.0 ・・・(3)
  4. 前記組成物中の前記第二の重合性単量体の含有割合が、前記組成物中の全重合性単量体の総モル数を基準として、40.0モル%~95.0モル%である請求項3に記載のトナー。
  5. 前記Aが前記トナー粒子のESCAを用いて測定される結合エネルギーのピーク位置が102ev~103evにあるケイ素原子のピーク面積であり、
    前記Bが前記トナー粒子のESCAを用いて測定される結合エネルギーのピーク位置が285ev~288evにある炭素原子のピーク面積である請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルを含有する請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記シリコーンオイルのGPC測定による分子量分布において、重量平均分子量が500以下である成分の含有量が、前記シリコーンオイルの0.05質量%以下である請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記第二の重合性単量体が、下記式(A)で示される重合性単量体からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
    Figure 0007237667000010
    (Rは、炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す。)
  9. シリコーンオイルを含有するトナー組成物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
    該溶融混練物を粉砕分級してトナー母粒子を得る工程と、
    該トナー母粒子を熱処理する工程と、を経て製造される請求項1または3に記載のトナーの製造方法。

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