JP7129185B2 - トナー - Google Patents
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Description
幅広い定着可能温度で定着を完了させるために、シャープメルト性を有する結晶性樹脂をトナーへ添加し、低温定着性能を向上させたトナーも種々提案されている(特許文献1)。 また、その他の方法としてガラス転移温度の低い樹脂を用いることで、定着温度を下げることが提案されている。ガラス転移温度の低い樹脂としてエチレン-酢酸ビニル共重合体やエチレン-アクリル酸メチル系共重合体のようなエチレン系エステル基含有共重合体を含有したトナーが提案されている(特許文献2~8)。
また、特許文献2~6で提案されているようなトナー中にこれらのオレフィン系エステル基含有共重合体を一部含有させるだけでは、高速条件での低温定着性を満足することは困難であった。
一方、特許文献7及び8にあるように、これらのオレフィン系エステル基含有共重合体をトナーの主たる樹脂として使用すると、低温定着性は良化するものの高温高湿環境下における帯電保持性が低下する課題が発生した。
以上のように、低温定着性に優れ、高温高湿環境下における帯電保持性を満足させるためには、依然として検討の余地がある。
本発明は、以上のような課題を鑑みたものであり、低温定着性、及び高温高湿環境下における帯電保持性に優れたトナーを提供するものである。
すなわち、本発明は、非晶性樹脂を含有するコアと、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を含有し且つ前記コアを被覆するシェルとを有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、下記式(1)で示されるユニットY1と下記式(2)で示されるユニットY2とを有し、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基価が、20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の全質量をX、前記式(1)で示されるユニットY1、前記式(2)で示されるユニットY2の質量をそれぞれa、bとしたとき、(a+b)/Xの値が、0.80以上1.00以下である
ことを特徴とするトナーに関する。
式(1)で示されるモノマーユニットY1の質量をaとし、
式(2)で示されるモノマーユニットY2の質量をbとしたときに、
低温定着性や帯電維持性の観点から、樹脂成分に含まれるオレフィン系水酸基含有共重合体における(a+b)/Xの値は、0.80以上1.00以下であり、0.95以上1.00以下であることが好ましく、1.00であることがさらに好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知のトナー製造方法であれば特に限定されるものではない。
ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂微粒子は公知の方法で調製できる。例えば、前記樹脂を有機溶剤に溶かして水系媒体に添加し、界面活性剤や高分子電解質と共にホモジナイザーなどの分散機により水系媒体に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を除去することにより、樹脂粒子分散液を作製することができる。溶解させるために使用する有機溶剤としては、前記樹脂を溶解させるものであればどのようなものでも使用可能であるが、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルムなどが溶解性の観点から好ましい。
凝集工程とは、上述の樹脂微粒子、色材微粒子、離型剤微粒子を必要量に応じて混合し混合液を調製し、ついで、調製された混合液中に含まれる粒子を凝集し、凝集体を形成させる工程である。当該凝集体を形成させる方法としては、例えば凝集剤を上記混合液中に添加・混合し、温度、機械的動力等を適宜加える方法が好適に例示できる。
融合工程とは、上記凝集体を、樹脂のガラス転移点(Tg)以上に加熱し融合することで、凝集体表面を平滑化させた粒子を製造する工程である。一次融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤等を適宜投入することができる。
冷却工程とは、上記粒子を含む水系媒体の温度を、コア用樹脂のガラス転移点(Tg)より低い温度まで冷却する工程である。冷却をTgより低い温度まで行わないと、粗大粒子が発生してしまう。具体的な冷却速度は0.1℃/分以上50℃/分以下である。
また本発明では必要に応じて、下記の洗浄乾燥工程の前に被覆工程を入れることができる。被覆工程はこれまでの工程で作製した粒子に、樹脂微粒子を新たに添加し付着させて、被覆させる工程である。
上記工程を経て作製した粒子を、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムでpHを調整されたイオン交換水で洗浄ろ過を行い、続いて、イオン交換水で洗浄、ろ過を複数回行う。その後、乾燥し、乳化凝集トナー粒子を得ることができる。
上記式(1)で示されるモノマーユニットのアルキレン基の水素原子、上記式(2)で示されるモノマーユニットの水酸基が結合するメチン基の水素の積分比をそれぞれ比較することで、各モノマーユニットの含有比率が算出できる。
樹脂の酸価は、試料1g中に含まれる、遊離脂肪酸又は樹脂酸のような酸成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。該酸価は、JIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の水酸基価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
(A)本試験
粉砕した樹脂の試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
結着樹脂の試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
A=[{(B-C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:結着樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。
上記融点は示査走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。具体的には、試料を0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温から昇温速度10℃/minでサンプルを昇温しながら熱量測定を行う。次いで、得られたDSC曲線より、吸熱ピークのピーク温度を融点とする。また、トナー中に存在する結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の融点も同様の手法で測定できる。その際に、トナー中に存在する離型剤による融点が観察される場合がある。離型剤の融点と結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の融点の判別は、トナーからヘキサン溶媒を使用したソックスレー抽出によって離型剤を抽出し、離型剤単体の示査走査熱量測定を上記方法で行い、得られた融点とトナーの融点を比較することにより行う。
本発明におけるワックス、結晶性ポリエステルの最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
本発明において、非晶性樹脂の軟化温度の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用いて行った。尚、CFT-500Dは、上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させながら溶融してシリンダ底部の細管孔から押し出し、この際のピストンの降下量(mm)と温度(℃)から流動曲線をグラフ化できる装置である。
試験モード:昇温法
開始温度:60℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):5.0kgf(49N)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102~107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF-801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができる。
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
乳化微粒子など粒子の粒度分布は、動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定する。具体的には、前記測定装置の試料導入部で、透過率が測定範囲内(70乃至95%)になるように、測定試料を調整し、体積分布を測定した。体積分布基準の50%粒径は、累積50%に相当する粒子径(メジアン径)である。
トナー粒子表面の走査電子顕微鏡(SEM)によるシェル被覆率の評価は、以下のように実施することができる。
トナー粒子表面のシェルの厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により、以下のようにして実施することができる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体A(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、重量平均分子量:110000、軟化点(Tm):128℃、融点:86℃)100部を、トルエン500mLとエタノール500mLの混合溶媒中に90℃で溶解させた。
エチレン-酢酸ビニル共重合体Aの代わりにエチレン-酢酸ビニル共重合体B(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:98℃、融点:81℃)を使用した以外はE1の製造例と同様に共重合体E2を製造した。
エチレン-酢酸ビニル共重合体Aの代わりにエチレン-酢酸ビニル共重合体C(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:155℃、融点:89℃)を使用した以外はE1の製造例と同様に共重合体E3を製造した。
エチレン-酢酸ビニル共重合体Aの代わりにエチレン-酢酸ビニル共重合体D(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:5質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:140℃、融点:105℃)を使用した以外はE1の製造例と同様に共重合体E4を製造した。
エチレン-酢酸ビニル共重合体Aの代わりにエチレン-酢酸ビニル共重合体E(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:3質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:138℃、融点:110℃)を使用した以外はE1の製造例と同様に共重合体E5を製造した。
エチレン-酢酸ビニル共重合体Aの代わりにエチレン-酢酸ビニル共重合体F(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:22質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:141℃、融点:116℃)を使用した以外はE1の製造例と同様に共重合体E6を製造した。
エチレン-酢酸ビニル共重合体Aの代わりにエチレン-酢酸ビニル共重合体E(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:26質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:144℃、融点:118℃)を使用した以外はE1の製造例と同様に共重合体E7を製造した。
オートクレーブにキシレン50部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で160℃まで昇温した。スチレン90部、酢酸ビニル10部、ジ-t-ブチルパーオキサイド3部、およびキシレン20部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を160℃にコントロールしながら、3時間連続的に滴下し重合させた。更に同温度で1時間保ち重合を完了させ、溶媒を除去し、スチレン-酢酸ビニル共重合体(Tm:140℃、融点:117℃)を得た。
窒素導入管、冷却管、撹拌機及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコを窒素で置換した後、表2に示した原料モノマー及びオクチル酸錫(II)を投入し、180℃で昇温後、10時間反応させた。さらに15mmHgで5時間反応させた後、第二の反応工程として、表2に従い無水トリメリット酸を加え、180℃で3時間反応させて、非晶性樹脂A1を得た。樹脂物性を表2に示した。
非晶性ポリエステル樹脂A1製造例において、表2に示した原材料を用い、第二の反応工程において、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が表2に示す所望の温度に到達したのを確認して、反応を停止した以外は樹脂A1の製造例とほぼ同様にして、非晶性樹脂B1を合成した。樹脂物性を表2に示した。
オートクレーブにキシレン50質量部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で160℃まで昇温した。スチレン90部、n-ブチルアクリレート10部、ジ-t-ブチルパーオキサイド5部、およびキシレン20部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を160℃にコントロールしながら、3時間連続的に滴下し重合させた。更に同温度で1時間保ち重合を完了させ、溶媒を除去し、非晶性樹脂C1を得た。得られた非晶性樹脂C1の数平均分子量(Mn)は3000で、ガラス転移温度(Tg)は60℃、軟化点(Tm)は90℃であった。
非晶性樹脂A1、B1、C1を、それぞれイオン交換水80%、非晶性樹脂の濃度が20%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、加熱100℃の条件でキャビトロンを運転し、非晶性樹脂A1、B1、C1の分散液(固形分:20%)を得た。
・1,6-ヘキサンジオール:
34.5部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5部(0.29モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
結晶性ポリエステルD1を80部、イオン交換水720部を各々ステンレスビーカーに入れ、100℃に加熱した。結晶性ポリエステルD1が溶融した時点で、ホモジナイザーを用いて撹拌した。次いで、アニオン性界面活性剤(固形分:20%)2.0部を滴下しながら、乳化分散を行い、結晶性ポリエステルD1分散液(固形分:10%)を得た。
・トルエン(和光純薬製) 300部
・結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体E1 100部
を混合し、90℃で溶解させた。
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体E1の代わりに結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体E2~E8を使用した以外は樹脂微粒子1分散液の製造例と同様に樹脂微粒子2~8を製造した。
・トルエン(和光純薬製) 300部
・結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体E9 100部
を混合し、90℃で溶解させた。
結晶性ポリエステルD1を80部、イオン交換水720部を各々ステンレスビーカーに入れ、100℃に加熱した。結晶性ポリエステルC1が溶融した時点で、ホモジナイザーを用いて撹拌した。次いで、アニオン性界面活性剤(固形分:20%)2.0部を滴下しながら、乳化分散を行い、結晶性ポリエステルD1分散液(固形分:10%)を得た。
・C.I.ピグメントブルー15:3 1000部
・アニオン界面活性剤 150部
・イオン交換水 9000部
以上を混合し、溶解した後、高圧衝撃式分散機を用いて分散した。得られた着色剤分散液における着色剤粒子の体積平均粒径D50は0.16μm、着色剤濃度は23%であった。
・炭化水素ワックス(日本精蝋社製FNP0090;最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 45部
・アニオン性界面活性剤 5部
・イオン交換水 150部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(ワックス濃度:20%)を調製した。
・非晶性樹脂A1分散液 70部(樹脂相当分)
・非晶性樹脂B1分散液 30部(樹脂相当分)
・結晶性ポリエステルD1分散液 10部(樹脂相当分)
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザーで混合・分散した。これにポリ塩化アルミニウム0.15部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。その後、
・着色剤分散液 7部(着色剤相当分)
・離型剤分散液 5部(離型剤相当分)
以上を追加し、さらにポリ塩化アルミニウム0.05部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。
・樹脂微粒子1分散液 15部(樹脂相当分)
を3分間かけて投入した。投入後30分間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で96℃まで昇温し、96℃で保持した。30分ごとに光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡(FE-SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、平均円形度が0.960になったところで、1℃/分で20℃まで降温して粒子を固化させた。
・非晶性樹脂A1 70部
・非晶性樹脂B1 30部
・結晶性ポリエステルD1 10部
・炭化水素ワックス(日本精蝋社製FNP0090;最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 5部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(CA剤) 0.3部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度150℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子2を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
トナー1の製造例において、表3に記載の材料を、表3に従い配合して製造した以外は、トナー1の製造例とほぼ同様にして、トナー3~23を得た。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性キャリア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた重合体溶液1を30部、トルエン40部、メチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填トナー粒子1の100部に対して樹脂成分として2.5部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
以上のトナー1~23と磁性キャリア1で、トナー濃度が8.0質量%になるようにV型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤1~23を得た。
上記二成分系現像剤1を用いて、下記の低温定着性評価及び帯電保持性評価を行った。
紙:CF-C104(104.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.90mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の中心に25cm2の画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
紙上のトナーの載り量が上記になるように、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーを調整した後、プロセススピードを300mm/sec、定着温度を130℃に設定し低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。画像濃度低下率は、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。そして、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)を測定した。
A:濃度低下率1.0%未満 (非常に優れている)
B:濃度低下率1.0%以上5.0%未満 (優れている)
C:濃度低下率5.0%以上10.0%未満(従来技術レベル)
D:濃度低下率10.0%以上 (従来より劣る)
キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROを使用し、高温高湿環境下(30℃/80%Rh)において、画像出力した。出力画像は単色モードのシアンの4A横で10cm幅の縦帯画像で、紙上のシアンの反射濃度が1.35になるように調整した。評価紙は、コピー用紙GF-C081(A4、坪量81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。その後、現像器を取り出して150時間放置し、本体を立ち上げてから現像器を本体内に戻し、同じ現像条件で再度同じ画像の画像出力を行った。得られた出力画像の反射濃度を、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を用いて9か所の平均値を測定し、放置前後の反射濃度と比較して以下の基準により評価した。
A:Δ0.05未満 (非常に優れている)
B:Δ0.05以上Δ0.10未満(優れている)
C:Δ0.10以上Δ0.20未満(従来技術レベル)
D:Δ0.20以上 (従来より劣る)
表4に示す現像剤2~18、及び比較例1~5を用いて、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表4に示した。
Claims (5)
- 非晶性樹脂を含有するコアと、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を含有し且つ前記コアを被覆するシェルとを有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、下記式(1)で示されるユニットY1と下記式(2)で示されるユニットY2とを有し、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基価が、20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の全質量をX、前記式(1)で示されるユニットY1、前記式(2)で示されるユニットY2の質量をそれぞれa、bとしたとき、(a+b)/Xの値が、0.80以上1.00以下である
ことを特徴とするトナー。
- 前記シェルの平均厚さが0.1μm以上1.0μm以下であり、前記シェルによる前記コアに対する被覆率が90%以上である請求項1に記載のトナー。
- 前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の含有量が、前記トナー粒子100質量部に対して1質量部以上30質量部以下である請求項1または2に記載のトナー。
- 前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステルである請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記コアが、さらに結晶性ポリエステルを含有する請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
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