JP7218161B2 - トナー - Google Patents

トナー Download PDF

Info

Publication number
JP7218161B2
JP7218161B2 JP2018226393A JP2018226393A JP7218161B2 JP 7218161 B2 JP7218161 B2 JP 7218161B2 JP 2018226393 A JP2018226393 A JP 2018226393A JP 2018226393 A JP2018226393 A JP 2018226393A JP 7218161 B2 JP7218161 B2 JP 7218161B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
acid
inorganic fine
fine particles
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018226393A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020091305A (ja
Inventor
望 小松
伊知朗 菅野
一幸 坂本
良 中島
裕斗 小野▲崎▼
尚邦 小堀
博之 藤川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2018226393A priority Critical patent/JP7218161B2/ja
Publication of JP2020091305A publication Critical patent/JP2020091305A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7218161B2 publication Critical patent/JP7218161B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
電子写真法を用いた画像形成方法において、様々な使用環境下においても長期間にわたって安定した高品位な画像を出力することが要求されている。そのため、画像品位に影響するトナーの帯電性能は、温度や湿度に影響されにくく、帯電量の変化が小さいことが必要とされている。
トナーの帯電性は、トナー組成物中で原材料ごとに帯電性能や抵抗が異なるため、トナー中における分散状態によっては不均一になりやすい。そこで、無機微粒子をトナー内部に含有させることによりトナー中の材料分散を改善させようとする検討が行われている。特許文献1では、粒径の異なる複数の無機微粒子をトナー粒子内部に含有することにより、高印字比率で長時間印刷した後の現像安定性が得られるトナーが提案されている。
特開2015-15855号公報
しかしながら、上記文献で提案されたトナーでは、高湿環境で長時間放置された場合において、帯電性が変化し画像濃度が変動する場合があった。
本発明の目的は、上記の課題を解決することを目的とする。高湿環境で長時間放置された場合においても、トナーの帯電安定性に優れ、高品位な画像を得られるトナーを提供することである。
上記の課題は、下記の構成のトナーにより解決することができる。
すなわち本発明は、結着樹脂、ワックス、無機微粒子Aを有するトナー粒子と無機微粒子Bとを含有するトナーにおいて、
該無機微粒子Aは、
(i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上60nm以下のチタン酸ストロンチウム粒子であり、
(ii)25℃、1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が25pF/m以上100pF/m以下であり、
(iii)トナー粒子に対して0.1質量%以上10.0質量%以下含有されており、
該無機微粒子Bは、
(i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上60nm以下のチタン酸ストロンチウム粒子であり、
(ii)体積抵抗率が2.0×10 9 Ω・cm以上2.0×10 12 Ω・cm以下であり、
該トナー表面における該無機微粒子Bの被覆率が0.5%以上30.0%以下であることを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、高湿環境で長時間放置された場合においても、トナーの帯電安定性に優れ、高品位な画像を得られるトナーを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、ワックス、無機微粒子Aを含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、該無機微粒子Aは、チタン酸化合物であり、25℃、1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が25pF/m以上100pF/m以下であり、トナー粒子に対して0.1質量%以上10.0質量%以下含有されていることを特徴とする。
上記のようなトナーは、高湿環境で長時間放置された場合においても、トナーの帯電安定性に優れ、高品位な画像を得られる。
本発明において、上記課題を解決するに至った理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えている。
一般的に、トナー表面は、トナー組成物が混在した状態にあり、原材料ごとに帯電性能や抵抗が異なるため、帯電の高い部分と低い部分がまばらに存在する。さらに、トナーの耐久性や流動性のために各種無機微粒子が外添されており、特にシリカ粒子などは抵抗が高く、強く帯電していると考えられる。さらに、高湿環境においては水分の影響によりトナー電荷の漏洩が起こり、帯電の分布状態がさらに広がりやすく、特に長時間放置された場合には、その傾向がより顕著となる。その結果、画像の濃度が変化したり、濃度均一が悪くなったりするなど画像品位の低下原因となる。このようにトナー表面は必ずしも均一に帯電しているわけでなく、この均一性をできるだけ保つことが重要であると考えている。
本発明のトナーは、トナー粒子中に25℃、1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が25pF/m以上100pF/m以下である無機微粒子Aを含有することを特徴とする。上記特定の誘電率を有する無機微粒子Aを有することにより、トナー表面が帯電した際、トナー粒子内部にある無機微粒子Aが適度に分極することによって、表面電荷を保持することができる。さらに、放置された場合においても、内部にある分極した無機微粒子Aがトナー表面からの電荷漏洩を抑制する。その結果、トナー全体の帯電低下が抑制でき、画像濃度安定が安定し、濃度均一性に優れると考えている。
本発明に係るトナーは、前記無機微粒子Aの25℃、1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が25pF/m以上100pF/m以下であり、好ましくは30pF/m以上70pF/m以下であり、より好ましくは30pF/m以上50pF/m以下である。前記無機微粒子Aの25℃、1MHzでの誘電率が上記範囲にあると、適度に分極することで電荷受け渡しという電荷充放出性が向上し、トナー表面電荷の安定性が向上する。
さらに、本発明に係るトナーは、前記無機微粒子Aをトナー粒子に対して0.1質量%以上10.0質量%以下含有されており、好ましくは0.5質量%以上8.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以上6.0質量%以下である。前記無機微粒子Aの含有量が上記範囲にあると、トナー表面全体の帯電安定性がより向上する。含有量が0.1質量%未満の場合、上述した帯電安定性の効果が十分得られない場合がある。
本発明のトナーは、該トナー粒子と無機微粒子Bを有し、該無機微粒子Bは、体積抵抗率が2.0×109Ω・cm以上2.0×1012Ω・cm以下であり、該トナー表面における該無機微粒子Bの被覆率が0.5%以上30.0%以下であることが好ましい。無機微粒子Bの体積抵抗率が上記範囲であると、トナー表面の電荷集中を緩和することにより均一帯電性が良化しやすい。また、被覆率が上記範囲であると、長期使用時においてもトナー全体にわたり均一帯電性の効果がより得られやすく、画像濃度が均一な高品位な画像が得られる。より好ましくは、体積抵抗率が1.0×1010Ω・cm以上2.0×1011Ω・cm以下であり、被覆率が2.0%以上15.0%以下である。
本発明のトナーの該無機微粒子Aは、一次粒子の個数平均粒径が10nm以上60nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下のチタン酸ストロンチウム粒子であることがより好ましい。無機微粒子Aの粒径が上記範囲であると、従来一般的なチタン酸ストロンチウム粒子よりも前述した特定の誘電率にコントロールされやすい。
本発明のトナーの該無機微粒子Bは、一次粒子の個数平均粒径が10nm以上60nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下のチタン酸ストロンチウム粒子であることがより好ましい。無機微粒子Bの粒径が上記範囲であると、トナーの流動性が良好となり長期使用時においても帯電が安定するため画像濃度変動の少ない画像が得られる。
本発明において好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
[樹脂]
本発明に係るトナーは、結着樹脂を有する。トナーに使用される結着樹脂としては、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
これらの中で帯電性制御の観点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
[ポリエステル樹脂]
本発明のトナーに用いられるポリエステル樹脂は、芳香族ジオールを主成分としたアルコール成分とカルボン酸成分との縮重合樹脂が好ましい。なお、本発明において、主成分とは、その含有量が50質量%以上であることを示す。
ポリエステル樹脂で用いられる芳香族ジオールとしては、特に限定されないが、下記式(A)で示されるビスフェノール誘導体及び下記式(B)で示されるジオール類が好ましい。
Figure 0007218161000001
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2以上7以下である。)
Figure 0007218161000002
上記式(A)で示されるビスフェノール誘導体としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。また、場合により、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAのような他のジオール類を上記式(A)で示されるビスフェノール誘導体又は上記式(B)で示されるジオール類と併用することも可能である。
その他、ポリエステル樹脂に用いることができるアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
上述のように、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分の主成分は、芳香族ジオールである。ここで、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分において、芳香族ジオールを、80mol%以上100mol%以下の割合で含有することが好ましく、90mol%以上100mol%以下の割合で含有することがより好ましい。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n-ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独で又は複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分とするならば他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であってもよい。例えば、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットとポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニット及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、本発明ではポリエステル樹脂として、ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用することができる。このような樹脂化合物としては、例えばフェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
本発明におけるポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸成分とアルコール成分とをエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望のポリエステル樹脂を得ることができる。
上記エステル化又はエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。
また、ポリエステル樹脂のピーク分子量は8000以上13000以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量は1500以上3500以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。
[ワックス]
本発明のトナーは、ワックスを含有する。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、又はカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
前記ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。ワックスの含有量がこの範囲にあるとき、高温での耐ホットオフセット性を維持に効率的に発揮することが可能となり易い。
また、トナーの保存性と耐高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーに含有できる着色剤(色材)としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下が好ましい。
[磁性体]
本発明のトナーは磁性トナーであっても非磁性トナーであってもよい。磁性トナーとして用いる場合は、磁性体として磁性酸化鉄を用いることが好ましい。磁性酸化鉄としては、マグネタイト、マグヘマタイト、フェライト等の酸化鉄が用いられる。トナーに含有される磁性酸化鉄の量は、結着樹脂100質量部に対して、25質量部以上95質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30質量部以上45質量部以下である。
[荷電制御剤]
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。例えば、ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下が好ましい。
[キャリア]
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、あるいは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
[製造方法]
本発明のトナーは、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知のトナー製造方法で製造することが可能であり、特に限定されない。
溶融混練法は、トナー粒子の原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。製造方法の例を挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、ワックス、無機微粒子、必要に応じて有機金属化合物、着色剤等の他の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に他原材料等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。また、溶融混錬の設定温度は、主な結着樹脂の軟化点(Tm)に対して、Tm+15℃以内に設定することが好ましく、Tm以下の温度に設定することがより好ましい。ここでいう主な結着樹脂とは、材料組成として50質量%を占める結着成分を示す。上記の場合、溶融混錬物に十分なシェアが掛るため、材料分散性がより良好になる。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
本発明では、必要に応じ得られたトナー粒子表面に無機微粉体や樹脂粒子などの添加剤を加えて混合分散させ、その分散させた状態で熱風による表面処理により添加剤をトナー粒子表面に固着させる熱処理工程を行ってもよい。熱処理工程を経ることにより、トナー粒子形状の調整も可能となる。
上記のような製造方法で製造されたトナー粒子に、必要に応じ選択された外部添加剤を加えて混合(外添)してもよい。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機微粉体や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子などがあげられる。これらの無機微粉体や樹脂粒子は、帯電性制御、流動性助やクリーニング助剤等の外添剤として機能する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、各物性の測定方法について記載する。
[ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)の測定方法]
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
[トナーの重量平均粒径(D4)の測定]
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なう。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の(1)~(7)の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mlの丸底ビーカー内に前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100mlの平底ビーカー内に前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液中に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
[無機微粒子の個数平均粒径、被覆率の算出]
無機微粒子の個数平均粒径は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面の画像から算出される。S-4800の画像撮影条件は以下のとおりである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S-4800観察条件設定
個数平均径の算出は、S-4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。被覆率を測定する際には、予めエネルギー分散型X線分析装置(EDAX)による元素分析を行う。S-4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[1.1kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[4.5mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を80,000(80k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。複数の写真を撮影し、少なくとも粒子500個以上が解析できる量の画像を得る。
(5)画像解析
トナー表面上の少なくとも500個の無機微粒子について粒径を測定して、個数平均粒径を求める。本発明では画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0を用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで個数平均径を算出する。また、無機微粒子Bの被覆率については、トナー粒子表面の面積に対する無機微粒子Bの占める面積の割合として算出する。
[誘電率測定]
284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、1kHz及び1MHzの周波数で校正後、周波数1MHzにおける複素誘電率を測定した。測定するシリカ粒子およびチタン酸ストロンチウム粒子に39200kPa(400kg/cm2)の荷重を5分間かけて、直径25mm,厚さ1mm以下(好ましくは0.5~0.9mm)の円盤状の測定試料に成型する。この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度25℃の雰囲気下で0.49N(50g)の荷重をかけた状態で1MHzの周波数で測定することにより得られる。
[体積抵抗率測定]
無機微粒子の体積抵抗率は、以下のようにして測定する。装置としてはケースレーインスツルメンツ社製6517型エレクトロメータ/高抵抗システムを用いる。直径25mmの電極を接続し、電極間にサンプルを厚みが約0.5mmとなるように乗せて、約2.0Nの荷重をかけた状態で、電極間の距離を測定する。サンプルに1,000Vの電圧を1分間印加した時の抵抗値を測定し、以下の式を用いて体積抵抗率を算出する。
体積抵抗率(Ω・cm)=R×L
R:抵抗値(Ω)
L:電極間距離(cm)
以下、製造例及び実施例により本発明を説明する。実施例6~27は参考例である。
[無機微粒子1の製造例]
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiO2として1.5モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.5とし解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行ったメタチタン酸をTiO2として採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、SrO/TiO2モル比で1.15となるよう添加した後、TiO2濃度0.8モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、窒素ガスのマイクロバブリングを600ml/minで行いながら10N水酸化ナトリウム水溶液444mLを50分間かけて添加し、その後、窒素ガスのマイクロバブリングを400ml/minで行いながら95℃で1時間撹拌を行った。
その後、当該反応スラリーを反応容器のジャケットに10℃の冷却水を流しながら撹拌して15℃まで急冷し、pH2.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄した後、6Nの塩酸を加えてpH2.0に調整し、固形分100質量部に対して7.0質量部のn-オクチルエトキシシランを加え18時間撹拌を行った。4N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、2時間撹拌した後にろ過・分離を行い、120℃の大気中で8時間乾燥して無機微粒子1を得た。無機微粒子1は粉末X線回折の測定で、チタン酸ストロンチウムの回折ピークを示した。無機微粒子1を、電子顕微鏡観察により個数基準で算出した平均一次粒子径は35nmであった。物性を表1に示す。
[無機微粒子2~11の製造例]
無機微粒子1と同様の製法で、10N水酸化ナトリウム水溶液の添加時間、n-オクチルエトキシシランの添加量を変えて無機微粒子2~11を製造した。物性を表1に示す。
[無機微粒子12の製造例]
無機微粒子1と同様の製法で、塩化ストロンチウム水溶液に代えて、塩化カルシウム水溶液を用い、さらに反応温度、仕込み濃度、および冷却速度を変えて無機微粒子12を製造した。無機微粒子12は粉末X線回折の測定で、チタン酸カルシウムの回折ピークを示した。物性を表1に示す。
[無機微粒子13の製造例]
TiO2相当分を50質量%含有しているイルメナイト鉱石を、150℃で3時間乾燥した後、硫酸を添加して溶解させ、TiOSO4の水溶液を得た。
得られた水溶液を濃縮した後、ルチル型結晶を有するチタニアゾルをシードとして8質量部添加した後、160℃で加水分解を行い、不純物を含有するTiO(OH)2のスラリーを得た。
このスラリーをpH5乃至pH6で繰り返し洗浄を行い、硫酸、FeSO4及び不純物を十分に除去することで、高純度のメタチタン酸〔TiO(OH)2〕のスラリーを得た。
このスラリーを濾過した後、炭酸リチウム(Li2CO3)を0.5質量部添加し、350℃で4時間焼成した後、ジェットミルによる解砕処理を繰り返し行い、無機微粒子を得た。得られた無機微粒子100質量部をエタノール中に分散させて撹拌しながら、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシランを5質量部滴下混合して反応させた。乾燥した後、170℃で3時間加熱処理し、凝集体が無くなるまでジェットミルで繰り返し解砕処理を行い、無機微粒子13を得た。無機微粒子13の一次粒子の個数平均径は35nmであった。無機微粒子13は粉末X線回折の測定で、ルチル型チタニアの回折ピークを示した。物性を表1に示す。
[無機微粒子14~17の製造例]
無機微粒子13と同様の製法で、表面処理剤の処理量を変えて無機微粒子14~17を製造した。物性を表1に示す。
Figure 0007218161000003
<ポリエステル樹脂の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:多価アルコール総モル数に対して100.0mol%
・テレフタル酸:多価カルボン酸総モル数に対して80.0mol%
・無水トリメリット酸:多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を投入した。そして、モノマー総量100質量部に対して、触媒として2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒)ジオクチル酸錫を1.5質量部添加した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、そのまま反応させASTM D36-86に従って測定した軟化点が122℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた。得られたポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は112℃、ガラス転移温度(Tg)は63℃であった。
[実施例1]
<トナー1の製造例>
・ポリエステル樹脂 88.0質量部
・無機微粒子1 1.8質量部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物
0.2質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
5.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
前記処方で示した原材料をヘンシェルミキサ(FM75J型、三井三池化工機(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度110℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1とした。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.6μmであった。
得られたトナー粒子100.0質量部に、無機微粒子1を1.0質量部、及びヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次平均粒子径15nmの疎水性シリカ微粒子1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM75J型、三井三池化工機(株)製)で混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1を得た。
前記トナー1とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が8質量%になるようにV型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、5分間で混合し、二成分系現像剤1を得た。二成分系現像剤1を用い、後述する評価を行い、結果を表3に示す。
[実施例2~27、比較例1~2]
表2に記載の様に、添加する無機微粒子を変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2~29を作製し、さらに二成分現像剤2~29を作製した。得られた現像剤を実施例1と同様にして評価を行った。現像剤の評価結果を表3に示す。
〔画像評価〕
画像形成装置として、キヤノン(株)製のフルカラー複写機(商品名:imagePRESS C10000VP)の改造機を用い、シアンステーションの現像器に二成分系現像剤を投入し、評価を行った。高温高湿環境下(HH;30℃/80%RH)において、50万枚の画像出力耐久試験を行い、その後、以下の方法で評価を行った。なお、耐久試験中は、1枚目と同じ現像条件および転写条件(ただし、キャリブレーションは無し)で通紙を行うこととした。出力画像の印字比率は5%とし、初期の画像濃度が1.55となるように現像バイアスを調整した。評価用の紙としては、コピー用のA4サイズの普通紙(商品名:GF-C081、坪量:81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン(株)販売)を用いた。
以下の方法に従って、トナーの性能評価を行った。
<評価1>カブリの評価
カブリの評価は、耐久試験後、及び、耐久試験後に同環境下で3日間放置した後に行った。A3紙前面にベタ白画像を印字し、以下の基準で判断した。印字しない紙の6点の平均反射率Dr(%)と、印字した紙の6点の平均反射率Ds(%)とを、リフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC-6DS」)によって測定し、カブリ率(%)を求めた。
カブリ率(%)=Dr(%)-Ds(%)
A:カブリ率が0.5%未満
B:カブリ率が0.5%以上1.0%未満
C:カブリ率が1.0%以上2.0%未満
D:カブリ率が2.0%以上
<評価2>画像均一性の評価
画像均一性の評価は、連続通紙後、A3紙全面にハーフトーン画像を3枚出力し、3枚目の画像を評価に用いた。画像均一性の評価は、5箇所の画像濃度を測定し、最大値と最小値の差を求めた。画像濃度は、分光濃度計500シリーズ(X-Rite社)により濃度測定を行い、以下の基準で判断した。
A:ハーフトーン領域に濃度差が、0.04未満
B:ハーフトーン領域の濃度差が、0.04以上0.08未満
C:ハーフトーン領域の濃度差が、0.08以上0.12未満
D:ハーフトーン領域の濃度差が、0.12以上
<評価3>画像濃度の評価
画像濃度の評価は、連続通紙後、得られた画像に対して、A3紙全面にベタ画像を3枚出力し、3枚目の画像を評価に用いた。分光濃度計500シリーズ(X-Rite社)により濃度測定を行い、5点の平均値をとって画像濃度とし、下記の指標で判断した。
A:耐久後の画像濃度維持率が95%以上
B:耐久後の画像濃度維持率が90%以上95%未満
C:耐久後の画像濃度維持率が85%以上90%未満
D:耐久後の画像濃度維持率が85%未満
Figure 0007218161000004
Figure 0007218161000005

Claims (1)

  1. 結着樹脂、ワックス、無機微粒子Aを有するトナー粒子と無機微粒子Bとを含有するトナーにおいて、
    該無機微粒子Aは、
    (i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上60nm以下のチタン酸ストロンチウム粒子であり、
    (ii)25℃、1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が25pF/m以上100pF/m以下であり、
    (iii)トナー粒子に対して0.1質量%以上10.0質量%以下含有されており、
    該無機微粒子Bは、
    (i)一次粒子の個数平均粒径が10nm以上60nm以下のチタン酸ストロンチウム粒子であり、
    (ii)体積抵抗率が2.0×10 9 Ω・cm以上2.0×10 12 Ω・cm以下であり、
    該トナー表面における該無機微粒子Bの被覆率が0.5%以上30.0%以下であることを特徴とするトナー。
JP2018226393A 2018-12-03 2018-12-03 トナー Active JP7218161B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018226393A JP7218161B2 (ja) 2018-12-03 2018-12-03 トナー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018226393A JP7218161B2 (ja) 2018-12-03 2018-12-03 トナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020091305A JP2020091305A (ja) 2020-06-11
JP7218161B2 true JP7218161B2 (ja) 2023-02-06

Family

ID=71013746

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018226393A Active JP7218161B2 (ja) 2018-12-03 2018-12-03 トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7218161B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009115832A (ja) 2007-11-01 2009-05-28 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置
JP2010078862A (ja) 2008-09-25 2010-04-08 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2016090638A (ja) 2014-10-30 2016-05-23 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法及び画像形成装置
JP2018141957A (ja) 2017-02-28 2018-09-13 キヤノン株式会社 トナー

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6317460A (ja) * 1986-07-09 1988-01-25 Kao Corp 静電荷像現像用トナ−

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009115832A (ja) 2007-11-01 2009-05-28 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置
JP2010078862A (ja) 2008-09-25 2010-04-08 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2016090638A (ja) 2014-10-30 2016-05-23 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法及び画像形成装置
JP2018141957A (ja) 2017-02-28 2018-09-13 キヤノン株式会社 トナー

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020091305A (ja) 2020-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10474049B2 (en) Toner
CN108107691B (zh) 调色剂
US10401748B2 (en) Toner
JP6942614B2 (ja) トナー
US10935902B2 (en) Toner
JP6914741B2 (ja) トナーおよび画像形成方法
JP6532315B2 (ja) トナー
JP7229701B2 (ja) トナー
JP2017198869A (ja) トナー及びトナーの製造方法
JP6821388B2 (ja) トナー
JP2018205662A (ja) トナー
JP6700779B2 (ja) トナー
JP7218161B2 (ja) トナー
JP7350565B2 (ja) トナー
JP7187246B2 (ja) トナー
JP6727819B2 (ja) トナー
JP5419658B2 (ja) トナーキット及び画像形成方法
JP6786281B2 (ja) トナー及びトナーの製造方法
JP7129185B2 (ja) トナー
JP7346112B2 (ja) トナー
JP7207984B2 (ja) トナー
JP7475982B2 (ja) トナー
JP7309477B2 (ja) トナーの製造方法
JP7166899B2 (ja) 白色トナー
US20230375953A1 (en) Toner

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221018

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230125

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7218161

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151