JP2013025226A - トナー、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

トナー、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013025226A
JP2013025226A JP2011161941A JP2011161941A JP2013025226A JP 2013025226 A JP2013025226 A JP 2013025226A JP 2011161941 A JP2011161941 A JP 2011161941A JP 2011161941 A JP2011161941 A JP 2011161941A JP 2013025226 A JP2013025226 A JP 2013025226A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
fixing
image
plasticizer
electrostatic latent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2011161941A
Other languages
English (en)
Inventor
Fuminari Kaneko
史育 金子
Yasuo Katano
泰男 片野
Shinji Tezuka
伸治 手塚
Koji Takeuchi
弘司 竹内
Yukimichi Someya
幸通 染矢
秀和 ▲柳▼沼
Hidekazu Yaginuma
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2011161941A priority Critical patent/JP2013025226A/ja
Publication of JP2013025226A publication Critical patent/JP2013025226A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】低温定着(例えば、60℃以下)における定着性、耐熱保存性、トナースペント防止、トナーフィルミング防止、及び定着後の画像面の貼りつき防止に優れるトナーなどの提供。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤、脂肪酸金属塩、及び所定の圧力により破壊されるカプセルを含有し、前記結着樹脂が、熱可塑性エラストマーを含み、前記カプセルが、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかと前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤とを内包するカプセル、並びに前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかを内包するカプセル及び前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤を内包するカプセル、の少なくともいずれかであるトナーである。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、電気的又は磁気的に形成された潜像を、トナーによって顕像化する。例えば、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、該潜像をトナーにより現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の被転写体(記録媒体)上に転写され、次いで、記録媒体上に定着される。
従来、トナー画像の記録媒体上への定着工程においては、そのエネルギー効率の良さから、加熱ローラ定着方式及び加熱ベルト定着方式といった熱定着方式が広く用いられている。
近年、画像形成装置の省エネルギー化に対する市場からの要求は益々大きくなり、常温に近い定着温度(以下、低温定着と略記)で定着性に優れ、高品位な画像を提供できるトナーが求められている。
しかし、加熱ローラ定着方式及び加熱ベルト定着方式といった熱定着方式は、これら要求、特に、省エネルギー化を満足するものではない。
トナーの低温定着性を達成するためには、例えば、結着樹脂の軟化点を低くする方法がある。
しかし、結着樹脂の軟化点が低いと、トナーの耐熱性が低下し、特に高温環境下においてトナー粒子同士が融着する、いわゆるブロッキングが発生するという問題がある。また、現像器内においてもトナーが現像器内部及びキャリアに融着して汚染する問題(トナースペント問題)、及びトナーが感光体表面にフィルミングしやすくなる問題(トナーフィルミング問題)がある。更に、定着後の画像に関しても、画像面に粘着性が表れ、長期保存時などに画像面が重ねた記録媒体に貼りつくこと(画像面の貼りつき)が生じやすくなるという問題がある。
また、トナー中に結着樹脂と該結着樹脂の可塑剤とを含有することで、トナーとしてのガラス転移温度Tgを下げて、従来よりも低温の加熱温度にて定着を可能とする技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、現像器内は、50℃近い温度になる恐れがある。また画像形成装置外においても夏場の自動車内などは、40℃〜50℃程度になることは珍しくない。そのため、この提案の技術のように、可塑剤を用いてトナーとしてのTgを40℃〜50℃程度まで下げてしまうと、低軟化点の結着樹脂の場合と同様に、トナースペント、トナーフィルミング、及び定着後の画像面の貼りつきが発生するという問題がある。即ち、トナースペント、トナーフィルミング、及び定着後の画像面の貼りつきが生じることなく、常温に近い60℃程度の低温で定着させることは、単にトナー中に可塑剤を含有させるだけでは困難である。
なお、定着手段の定着温度を60℃に設定しても、記録媒体などへの熱損失により、トナーの温度は、40℃〜50℃程度になる。よってトナーに求められる特性は、単なる常温での保存性ではなく、現像部や定着後画像が40℃〜50℃程度に晒されたとしても定着時以外において軟化しないことが肝要である。
また、トナー中に弾性を有する環化ゴムと該環化ゴムの可塑剤であるワックスとを含有する技術が提案されている(特許文献2参照)。この提案の技術では、トナーの低温軟化を達成しながら、耐熱保存性と耐ホットオフセット性を得ることを課題としている。
しかし、この提案の技術は、60℃程度の低温で定着させようとするとトナースペント防止、トナーフィルミング防止、及び画像面の貼りつき防止とを両立させることができないという問題がある。
また、粘着ラベルに関する技術ではあるが、粘着層中に高Tgの熱可塑性樹脂と常温固体可塑剤を含有させ、加熱しない限り粘着性が発現せず、加熱により固体可塑剤が溶融し、熱可塑性樹脂を軟化させることで粘着性が発現する所謂ディレードタック方式の粘着ラベルが提案されている(特許文献3参照)。この技術を、トナーの低温定着の実現に利用することも考えられる。しかし、固体可塑剤が溶融する温度を40℃〜50℃程度に設定すると、50℃に近い温度となる現像器内で、固体可塑剤が溶融し、トナースペントが発生してしまうという問題がある。
上記と同様に、粘着ラベルに関する技術であるが、粘着層中に熱可塑性樹脂と液状可塑剤を内包したマイクロカプセルとを含有させ、マイクロカプセルの破壊により液状可塑剤が漏出し、漏出した液状可塑剤が熱可塑性樹脂を軟化させ粘着層に粘着性を発現させる感熱性ディレードタック粘着剤に関する技術が提案されている(特許文献4参照)。この技術を、トナーの低温定着の実現に利用することも考えられる。しかし、マイクロカプセルが破壊され、液状可塑剤が熱可塑性樹脂を軟化した状態は、定着工程時のみならず、定着工程後、即ち排紙時も続くため、排出後の画像面の貼りつきのみならず、排紙手段に軟化したトナーが固着し、紙ジャム及び画像はがれを発生させるという問題があり、低温定着を実現することはできない。
また、トナーにマイクロカプセルを用いる技術として、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材中に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側に分散したマイクロカプセルトナーを用いる画像形成装置が提案されている(特許文献5参照)。
しかし、この提案の技術では、低温定着を想定しておらず、また、低温定着を実現できる技術ではない。また、この技術を、上記提案の技術と組合せても、低温定着、トナースペント、トナーフィルミング及び画像面の貼りつき防止の全てを満足できるものではない。
また、トナーにマイクロカプセルを用いる技術として、所定の刺激によって破壊可能なカプセルに紫外線硬化樹脂を内包し、カプセルの破壊の後に紫外線照射を行う技術が提案されている(特許文献6参照)。
しかし、この提案の技術では、紫外線の照射による樹脂の硬化の速度が十分でなく、排出後の画像面の貼りつきのみならず排紙手段に軟化したトナーが固着し、紙ジャム及び画像はがれを発生させるという問題があり、低温定着を実現することはできない。更に、紫外線照射装置を別途搭載する必要があり、コストや装置の大きさが大きなデメリットとなり、特に紫外線照射エネルギーが余分に必要となるため、省エネルギーでの定着技術に応用できるものではない。
また、印刷インキに関する技術であるが、脂肪酸金属塩をカプセル内に封入し、カプセルを印刷インキ中に分散させることで、印刷インキの保存時はインキのビヒクルである不飽和脂肪酸と触媒である脂肪酸金属塩が仕切られているために酸化重合が起こらず乾燥抑制でき、印刷後はカプセルが破壊され不飽和脂肪酸と脂肪酸金属塩が接触し不飽和脂肪酸の酸化重合が促進されインキの乾燥を促進するという、保存時の乾燥抑制と印刷後の乾燥を両立させる技術が提案されている(特許文献7参照)。この技術を、トナーの低温定着の実現に利用することも考えられる。しかし、脂肪酸金属塩は固体であり、同様に固体である結着樹脂中では、例えカプセルが破壊されたとしても脂肪酸金属塩はほとんど拡散しないため、トナー全体を十分に硬化させることはできない。更に、不飽和脂肪酸をトナー中に混合すると、トナーが非常に微細な粒子であるが故の比表面積の大きさのために、保存時も不飽和脂肪酸が空気中の酸素と反応して酸化重合が速やかに進行してしまうため、保存性と定着性を両立することはできない。
以上のように、従来技術では、50℃に近い温度となる現像器内でトナースペント及びトナーフィルミングを発生しない程度にトナーの硬さを保ちつつ、60℃以下の低温定着が可能で、定着後の画像についても耐熱性を有するという条件を両立させることはできないていない。
したがって、低温定着(例えば、60℃以下)における定着性、耐熱保存性、トナースペント防止、トナーフィルミング防止、及び定着後の画像面の貼りつき防止に優れるトナー、並びに該トナーを用いた画像形成装置、及び画像形成方法の提供が求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低温定着(例えば、60℃以下)における定着性、耐熱保存性、トナースペント防止、トナーフィルミング防止、及び定着後の画像面の貼りつき防止に優れるトナー、並びに該トナーを用いた画像形成装置、及び画像形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも結着樹脂、着色剤、脂肪酸金属塩、及び所定の圧力により破壊されるカプセルを含有し、
前記結着樹脂が、熱可塑性エラストマーを含み、
前記カプセルが、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかと前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤とを内包するカプセル、並びに前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかを内包するカプセル及び前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤を内包するカプセル、の少なくともいずれかであることを特徴とするトナーである。
<2> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、
前記トナーが、前記<1>に記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
<3> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含み、
前記トナーが、前記<1>に記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、低温定着(例えば、60℃以下)における定着性、耐熱保存性、トナースペント防止、トナーフィルミング防止、及び定着後の画像面の貼りつき防止に優れるトナー、並びに該トナーを用いた画像形成装置、及び画像形成方法を提供することができる。
図1は、物理的刺激として熱と圧力を与えた場合の本発明のトナー状態を表すグラフである。 図2は、カプセルに内包された可塑剤をトナーに添加した場合における定着工程から排紙におけるトナーの状態変化を表すグラフである。 図3Aは、トナー保存時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤と不飽和脂肪酸類の状態を示す概念図である。 図3Bは、定着時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤と不飽和脂肪酸類の状態を示す概念図である。 図3Cは、排紙時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤と不飽和脂肪酸類の状態を示す概念図である。 図4は、カプセルを含有したトナーの概略断面図である。 図5は、本発明の画像形成装置(タンデム型画像形成装置)の直接転写方式の一例を示す概略図である。 図6は、本発明の画像形成装置(タンデム型画像形成装置)の間接転写方式の一例を示す概略図である。 図7は、本発明の画像形成装置におけるベルト方式の定着手段の一例を示す概略図である。 図8は、本発明の画像形成装置における電磁誘導加熱方式の定着手段の一例を示す概略図である。 図9は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 図10は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。 図11は、図10の各画像形成要素の拡大図である。 図12は、本発明に関するプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
(トナー)
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、脂肪酸金属塩、及び所定の圧力により破壊されるカプセルを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記結着樹脂は、熱可塑性エラストマーを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
前記カプセルは、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれか(以下、「不飽和脂肪酸類」と称することがある。)と前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤とを内包するカプセル、並びに前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかを内包するカプセル及び前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤を内包するカプセル、の少なくともいずれかである。
前記トナーによると、保存、現像時は、耐熱性がよく、定着時にはカプセルが破壊され可塑剤によって結着樹脂が軟化されることで低温定着ができ、更に、定着後は、不飽和脂肪酸類の酸化重合による自然硬化によって、画像面の貼りつき防止が可能なトナーを得ることができる。
可塑剤によって結着樹脂が軟化する速度に比べて、不飽和脂肪酸類による硬化は、たとえ触媒である脂肪酸金属塩が存在したとしてもゆっくりと進行するために、軟化と硬化が競合することはなく、結着樹脂は、軟化して定着した後に硬化するため、低温定着と定着後の硬化を両立することができる。
そのため、上記のように、低温定着と、画像面の貼りつき防止を両立することができる。
従来のトナーを用いた画像形成装置では、一般に、定着部(定着手段)で、トナーを軟化させる温度以上に加熱しながら圧力をかけて紙などの記録媒体にトナーを定着させる。その加熱温度は、一般には、120℃〜160℃である。この定着方式における加熱に要する消費電力は、画像形成装置の消費電力の多くを占める。そのため、常温に近い加熱温度(トナーの温度として、概ね40℃〜50℃)で紙などの記録媒体にトナーを定着できれば、従来の画像形成装置に比べ、消費電力を50%以上削減することができる。
一方で、トナースペント及びトナーフィルミングは、画像形成装置内でトナー同士又はトナーと機械類との摩擦による摩擦熱でトナー温度が上がり、トナーが軟化することで発生する。その摩擦熱によるトナーの温度上昇は、印刷速度により異なるが、概ね50℃前後と考えられる。また、画像形成装置から出力後の画像は長期保存されることもあり、保存される場所によっては同様に40℃〜50℃に達することも珍しくない(例えば、夏場の自動車内など)。
消費電力を大幅に削減するために定着温度を常温に近づけると、定着温度と、画像形成装置内でのトナーの摩擦熱による温度及び出力画像保存時の温度とが重なり、従来のトナーでは、常温に近い定着(低温定着;例えば、60℃以下)と、トナースペント防止、トナーフィルミング防止、及び定着後の画像面の貼りつき防止とを両立することができない。
そこで、本発明者らは、トナーへ2つの物理的刺激を与え、それらの2つの物理的刺激がある閾値を超えて初めて定着時のトナーの軟化及び定着後のトナーの硬化が起こるようにトナーに工夫をすることで、常温に近い定着とトナースペント防止、トナーフィルミング防止、及び定着後の画像面の貼りつき防止とを図ることにたどり着いた。
前記2つの物理的刺激は、1つは熱で、もう1つは圧力である。図1に、物理的刺激として熱と圧力を与えた場合の本発明のトナー状態を表すグラフを示す。図1に示すように、刺激1を熱(温度)、刺激2を圧力(加圧力)とすると、現像部でトナーにかかる圧力(刺激2、加圧力1)が閾値以下であれば、加熱温度が、例えば、50℃になっても、トナースペント及びトナーフィルミングが発生するほどにトナーは、軟化しない。一方、加熱温度が50℃で、定着部でトナーにかかる圧力(刺激2、加圧力2)が、閾値を超えていれば、トナーは、定着部において定着に必要な程度に軟化する。このように、現像部と定着部が同じ温度になっていても、もう1つの物理的刺激である圧力により、定着部でのみ軟化するようにトナーに工夫ができれば、常温に近い定着(低温定着)とトナースペント防止及びトナーフィルミング防止とを両立することができる。
そこで、本発明者らは、定着部での圧力に閾値を設ける方法として、トナー中に分散された、結着樹脂を軟化させる可塑剤を閉じ込めたカプセルを破壊する圧力を閾値とすることに思い至った。定着部において、該閾値を超えた圧力が、結着樹脂を軟化させる可塑剤を閉じ込めたカプセルに付与されると、前記カプセルが破壊され、前記カプセルから漏出した可塑剤がトナー中に浸透して結着樹脂が軟化される。従来は、熱でトナー中の結着樹脂を軟化させるのに対して、この技術的思想は、トナー中に含まれる、可塑剤を内包するカプセルを、圧力で破壊し、その可塑剤により結着樹脂を軟化させる点において、従来と考え方が大きく異なる。
ただし、単にトナー中に結着樹脂とカプセルに内包された可塑剤とを含有させ、その可塑剤によりトナーを軟化させるだけでは、新たな問題点がある。それは、以下のとおりである。
図2に、定着工程から排紙におけるトナーの状態変化を表すグラフを示す。
図2に示すように、例えば、定着部においては、0.1秒間以内に定着部の加圧手段によりトナーが軟化及び変形した後、0.3秒間程度で、印刷紙(記録媒体)は、機内の排紙手段を通過する。排紙手段を通過する時点では、トナーはある程度硬化しておく必要がある。なぜなら、排紙手段に軟化したトナーが固着するためである。しかし、通常、可塑剤で軟化したトナーは、可塑剤が除去されない限りは、軟化状態を維持し、硬化することがない。このため、排紙手段に軟化したトナーが固着し、紙ジャム及び画像はがれを発生させる恐れがあり、装置として信頼性が悪くなりかねない。更に、排紙後は出力画像の保存性を考慮すると、トナーは元の保存時並の硬化状態か、又はそれ以上に硬化しておく必要がある。
そこで、本発明者らは、結着樹脂に熱可塑性エラストマーを含有させると共に、トナー中に脂肪酸金属塩を含有させ、更にカプセルに不飽和脂肪酸類を内包させることに思い至った。
図3A〜図3Cに、トナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤と不飽和脂肪酸類の状態を示す。図3Aは、トナー保存時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤と不飽和脂肪酸類の状態を示す概念図である。図3Bは、定着時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤と不飽和脂肪酸類の状態を示す概念図である。図3Cは、排紙時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤と不飽和脂肪酸類の状態を示す概念図である。図3A〜図3Cにおける熱可塑性エラストマー601は、硬いハードセグメント601aとゴム状弾性を示すソフトセグメント601bとを有するブロック共重合体である。熱可塑性エラストマー601は、破線の丸で示した箇所のようにハードセグメント601a同士が分子間力により物理的架橋を形成することで流動性がなく、ソフトセグメント601bの弾性によりゴム状特性を示す。図3A〜図3Cにおける可塑剤604は、常温で固体であり、熱可塑性エラストマー601の少なくともハードセグメント601aに対して可塑性を有する。
ここで、物理的架橋とは、ハードセグメント同士が分子間力により集まって分子運動を拘束する状態を意味する。
トナー保存時には、図3Aに示すように、トナー中の熱可塑性エラストマー601は、弾性変形をするが、ハードセグメント601aによる物理的架橋により、流動性がなく、塑性変形はしない。また、カプセル602は破壊されず、カプセル602に内包されている可塑剤604及び不飽和脂肪酸類603の漏出はない。現像部においても同様である。
定着時には、トナーは、加熱されると共に、閾値を超えた圧力が付与される。そうすると、図3Bに示すように、カプセル602が破壊されて可塑剤604と不飽和脂肪酸類603が漏出し、漏出した可塑剤604の軟化作用により、破線の丸で示した箇所のように、熱可塑性エラストマー601のハードセグメント601a同士の物理的架橋が崩れ、熱可塑性エラストマー601は、一気に軟化する。それに伴ってトナーが軟化する。
通常の熱可塑性樹脂は、樹脂分子同士のいたるところで分子間力により相互作用しており、その相互作用を緩めるために、可塑剤が多めに必要で、かつ軟化応答が遅い。
一方、熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントのみで物理的架橋を形成し、ソフトセグメントは、もともと柔らかい状態にある。そのため可塑剤は、ハードセグメント部のみ物理的架橋を緩めればよい。したがって、熱可塑性エラストマーを用いると、可塑剤濃度低減が可能で、かつ軟化応答を速めることができる。
更に、不飽和脂肪酸類603は、可塑剤604と同様にトナー中に拡散していき、予めトナー中に混入されていた脂肪酸金属塩(不図示)に接触することで酸化重合が促進され徐々に硬化が始まる。この酸化重合反応は、可塑剤604による熱可塑性エラストマー601の軟化の速度に比べると非常に遅く、定着時に熱可塑性エラストマー601が軟化して変形する程度の時間では、硬化はほとんど進行しない。そのため、不飽和脂肪酸類603の硬化が定着に悪影響を及ぼすことはない。
定着部で軟化し変形されたトナーは、排紙時には、自然冷却される。その際、図3Cに示すように、トナー中の常温で固体の可塑剤604は、流動性を失い、大部分はハードセグメント601aから外れる。そうすると、可塑剤604と熱可塑性エラストマー601は、相分離する。この現象により、軟化していた熱可塑性エラストマー601は、物理的架橋を形成し、トナーは、再び硬化する。
本発明者らは、熱可塑性エラストマーは、通常の熱可塑性樹脂と異なり、ハードセグメント同士が物理的架橋を形成しやすい性質があることが特徴で、可塑剤が固化するにつれて、ハードセグメント同士が再結合しやすく、硬化が一般的な樹脂よりも促進することを見出した。また、可塑剤が常温で液体であっても、熱可塑性エラストマーを用いた場合には、硬化が一般的な熱可塑性樹脂よりも速い。
単なる熱可塑性樹脂は、液体の可塑剤が含有されたままであると粘調な液体であるのに対して、液体の可塑剤を含有した熱可塑性エラストマーは、半固体状のゲルになる。これは、単なる水溶性高分子が水に溶解するとそのまま粘調な液体を維持するのに対して、高分子ゲルは、水に溶解後、冷却に伴い高分子同士が架橋し、水を閉じ込めたままゲル化し半固体状態になる現象に類似した現象といえる。ましてや、可塑剤が常温で固体の場合、可塑剤を含有する前の樹脂の硬さか、それ以上の硬さになる。これらを、本発明者らは、見出した。
しかし、可塑剤の融点以上の温度域においては、定着前のトナーの保存時並みの硬化状態にまでは回復しない。なぜなら、一部の可塑剤は、熱可塑性エラストマーのハードセグメントに作用して、ハードセグメント同士の物理的架橋を崩しているためである。そのため、定着後に画像面の貼りつきが生じる。
そこで、本発明のトナーでは、脂肪酸金属塩を含有し、更にトナー中のカプセルに不飽和脂肪酸類を内包している。そうすることにより、図3Cに示すように、定着後に時間が経過すると、トナー中の脂肪酸金属塩(不図示)の作用により、定着時にカプセル602から漏出した不飽和脂肪酸類603が酸化重合によって徐々に硬化していく。そのため、定着後の画像面の貼りつきを防止することができる。
酸化重合を利用することによって紫外線照射装置などの装置や追加エネルギーを必要とせずに硬化が可能である。また、不飽和脂肪酸類をカプセルに内包することで定着時までの保存性との両立を可能としている。これによって、定着直後からの短期的及び長期的なトナーの硬化を達成することができる。
<結着樹脂>
前記結着樹脂は、熱可塑性エラストマーを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の樹脂を含む。
−熱可塑性エラストマー−
前記熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性体としての挙動をとり、温度上昇によって塑性変形をする樹脂である。
ここで、常温とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度であり、JIS Z8703にて定義されている、5℃〜35℃であることが好ましい。
前記熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分子中にハードセグメントとソフトセグメントとを有することが好ましい。
また、前記熱可塑性エラストマーは、分子中に酸化重合可能な炭素−炭素二重結合を含まないものが好ましい。前記熱可塑性エラストマーが、分子中に酸化重合可能な炭素−炭素二重結合を含むと、脂肪酸金属塩の作用により、炭素−炭素二重結合が徐々に酸化重合して硬化してしまい、保存性に悪影響を及ぼすことがあるためである。
前記熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック共重合体が好ましく、A−B−Aトリブロック共重合体(ただし、Aは、ハードセグメントを表し、Bは、ソフトセグメントを表す。)がより好ましい。1分子中にハードセグメントとソフトセグメントとを有さない、いわゆるブレンド型の熱可塑性エラストマーでは、ハードセグメント相の物理的な大きさが、ブロック共重合体型の熱可塑性エラストマーに比べて大きくなりがちであり、可塑剤がハードセグメント相の内部深くまで拡散して軟化するまでの時間が長くなり、軟化応答性に悪影響を及ぼすことがある。
ここで、ハードセグメントとは、加硫ゴムの架橋点に相当して塑性変形を防止する分子運動拘束成分を意味し、ソフトセグメントとは、ゴム弾性を示す柔軟性成分を意味する。
前記熱可塑性エラストマーにおけるハードセグメントとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
前記熱可塑性エラストマーにおけるソフトセグメントとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアルキルアクリレート、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
なお、前記ポリエステル及び前記ポリ塩化ビニルは、その具体的組成により、ハードセグメントにもなるし、ソフトセグメントにもなる。
前記ハードセグメントと前記ソフトセグメントの質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハードセグメント:ソフトセグメントが、1:9〜6:4が好ましい。前記質量比が、1:9よりもハードセグメントの割合が低いと、常時、トナーに粘着性が出ることがあり、6:4よりもハードセグメントの割合が高いと、硬くなりすぎて、定着に必要な軟化が確保できなくなることがある。
前記熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、ハードセグメントがポリスチレンでソフトセグメントが水添ポリブタジエンであるSEBS(スチレン−水添ブタジエン−スチレン)、ハードセグメントがポリスチレンでソフトセグメントが水添ポリイソプレンであるSEPS(スチレン−水添イソプレン−スチレン)、ハードセグメントがポリウレタンでソフトセグメントがポリエーテルであるTPU(ポリウレタン−ポリエーテル−ポリウレタン)、ハードセグメントがポリエチレンでソフトセグメントがポリ酢酸ビニルであるEVA(エチレン−酢酸ビニル−エチレン)、ハードセグメントがポリ塩化ビニルでソフトセグメントがポリ塩化ビニルであるTPVCなどが挙げられる。
前記熱可塑性エラストマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結着樹脂に対して50質量%〜95質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。前記含有量が、50質量%未満であると、定着後のトナー層にタック感が発生し、印刷紙などの記録媒体を重ねたときにブロッキングを生じることがあり、95質量%を超えると、定着時に、印刷紙のパルプ繊維に結着樹脂がからみつきにくくなり、紙へのアンカリングが弱くなり、定着不良を生じることがある。前記含有量が、前記好ましい範囲内であると、ブロッキング及び定着不良を生じることなく、画像形成ができる点で有利である。
−その他の樹脂−
前記その他の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記可塑剤により軟化される樹脂が好ましい。前記その他の樹脂が、前記可塑剤により軟化されることにより、印刷紙のパルプ繊維に結着樹脂がからみつきやすくなり、紙へのアンカリングが強くなり、定着性に優れる。
また、前記その他の樹脂としては、前記熱可塑性エラストマーと相溶性の良い樹脂が好ましい。前記熱可塑性エラストマーと相溶性の良い樹脂としては、例えば、前記熱可塑性エラストマーがハードセグメントとソフトセグメントとを有する場合、ハードセグメントと類似の構造を有する樹脂などが挙げられる。
前記その他の樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等の単独又は2種類以上からなる重合体;ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
前記重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリブチルアクリレートなどが挙げられる。
また、前記その他の樹脂としては、変性ポリエステル樹脂が挙げられる。前記変性ポリエステル樹脂とは、樹脂中に酸、アルコールのモノマーユニットに含まれる官能基とエステル結合以外の結合基が存在したり、また樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合したポリエステル樹脂をいう。
前記変性ポリエステル樹脂としては、例えば、活性水素基含有化合物と、該化合物の活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステル樹脂とを反応させ前記ポリエステル樹脂を伸長反応、架橋反応等させたもの(ウレア変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂など)が挙げられる。
前記活性水素基含有化合物としては、例えば、アミン類などが挙げられる。前記アミン類としては、例えば、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知の染料及び顔料を選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
前記マスターバッチと共に混練される樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<脂肪酸金属塩>
前記脂肪酸金属塩としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、平版インキに代表される酸化重合乾燥型印刷インキに通常用いられる有機カルボン酸の金属塩が好ましい。
前記金属塩における金属としては、例えば、コバルト、マンガン、鉛、鉄、亜鉛、ジルコニウム、錫、銅、カルシウム、セリウム、レアアースなどが挙げられる。
前記有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチル酪酸、ナフテン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、セカノイック酸、トール油脂肪酸、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ジメチルヘキサノイック酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイック酸、ジメチルオクタノイック酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記脂肪酸金属塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステル100質量部に対して、0.01質量部〜20質量部が好ましく、0.1質量部〜10質量部がより好ましい。前記含有量が、0.01質量部未満であると、定着後の不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの硬化が不十分で定着後に画像面の貼りつきが生じることがあり、20質量部を超えると、定着性、帯電性、流動性、及び画像の色彩等に悪影響を与えることがある。
<カプセル>
前記カプセルは、所定の圧力により破壊されるものである。
前記所定の圧力とは、定着時の圧力であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5MPaを超えることが好ましく、1MPa以上がより好ましい。前記圧力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5MPa以下が好ましく、2MPa以下がより好ましい。前記所定の圧力とは、画像形成装置の定着手段のニップ部における設定圧力である。
定着部(定着手段)の圧力(ニップ圧)と現像部等の機内でトナーにかかる圧力に差があればあるほど、トナーの耐久性は、上がる。しかしながら、定着部の圧力を高くしすぎる(例えば、10MPa以上)と定着部の機械構成を堅牢にする必要があり、定着部が大型化及び重量化してしまう。一般的なオフィス内で使用するデスクトップタイプ及びフロアタイプの複写機やプリンターを想定した場合の定着部の大きさ及び重さを重視すると、定着部にかけられる圧力は、通常5MPa以下であり、1MPa以下が好ましい。一方、画像形成装置内でトナーに摩擦が生じる場合の圧力は、0.5MPa以下と推定される。
したがって、前記カプセルは、0.5MPa程度では破壊されず、1MPa以上の圧力で破壊されるカプセルが好ましい。
前記カプセルは、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかと前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤とを内包するカプセル(以下、「第1のカプセル」と称することがある。)であってもよいし、前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかを内包するカプセル及び前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤を内包するカプセル(以下、「第2のカプセル」と称することがある。)であってもよいし、これらを併用していてもよい。
前記第1のカプセルは、前記不飽和脂肪酸類と前記可塑剤とを1つのカプセルに内包しているカプセルである。
なお、前記トナー中の個々の前記第1のカプセルにおける前記不飽和脂肪酸類と前記可塑剤との混合割合は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
前記カプセルとしては、前記不飽和脂肪酸類と前記可塑剤とが別々にカプセルに内包されており、前記可塑剤により前記不飽和脂肪酸類の酸化重合が起こらない点で、前記第1のカプセルよりも、前記第2のカプセルが好ましい。
−可塑剤−
前記可塑剤は、前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記可塑剤としては、前記熱可塑性エラストマーの前記ハードセグメントに対して相溶性を示す可塑剤が好ましい。
ここでの「相溶性を示す」とは、液体状態の前記可塑剤と前記熱可塑性エラストマーを接触した状態で接触面が膨潤する又は粘着性が発現する状態である、又は前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して前記可塑剤を30質量部混練した場合に、貯蔵弾性率が1×10Pa以下となる状態である。
前記可塑剤は、常温で固体の可塑剤であることが好ましい。
前記可塑剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜60℃が好ましい。前記融点が、前記好ましい範囲内であると、融解に必要な熱量が少なくなり、省エネルギー化の点で有利である。
前記可塑剤としては、具体的には、例えば、n−アルカン類、二塩基酸ジアルキル類、脂肪酸ジアルコキシアルキル類、脂肪酸ジアルコキシアルコキシアルキル類、長鎖有機酸、フタル酸ジシクロヘキシル、4−ブトキシフタロニトリル、塩素化パラフィン、リン酸トリフェニルなどが挙げられる。
なお、前記可塑剤として、脂肪族基を有する可塑剤の場合は、該脂肪族基としては、例えば、飽和脂肪族基などが挙げられる。
また、前記可塑剤としては、例えば、酸化重合可能な炭素−炭素二重結合を有しない可塑剤などが挙げられる。
これらの可塑剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、常温で液体の可塑剤と固体の可塑剤を混合し、常温でベースト状となる程度の可塑剤も好ましい。
常温で液体の前記n−アルカン類としては、例えば、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカンなどが挙げられる。
常温で固体の前記n−アルカン類としては、例えば、n−オクタデカン、n−ヘプタデカン、n−ノナデカン、融点が40℃〜50℃のパラフィンなどが挙げられる。
常温で液体の前記二塩基酸ジアルキル類としては、例えば、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジオクチルなどが挙げられる。
常温で液体の前記脂肪酸ジアルコキシアルキル類としては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジメトキシエチルなどが挙げられる。
常温で液体の前記脂肪酸ジアルコキシアルコキシアルキル類としては、例えば、コハク酸ジエトキシエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエトキシエチルなどが挙げられる。
常温で固体の前記長鎖有機酸としては、例えば、飽和脂肪酸などが挙げられる。前記鎖飽和脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、これらの混合物などが挙げられる。
前記n−アルカン類は、ハードセグメントであるエチレンに構造が類似していることから、前記熱可塑性エラストマーとしてのEVAの可塑剤に適している。
前記二塩基酸ジアルキル類、前記脂肪酸ジアルコキシアルキル類、前記脂肪酸ジアルコキシアルコキシアルキル類、前記長鎖有機酸、前記フタル酸ジシクロヘキシル、前記4−ブトキシフタロニトリル、前記塩素化パラフィン、及び前記リン酸トリフェニルは、ハードセグメントがスチレンであるSEBS、SEPBなどの熱可塑性エラストマーの可塑剤に適している。
前記可塑剤として、常温で固体の可塑剤を用いることで、前記カプセルの強度を高くすることができる効果がある。
一般的に、樹脂のような可とう性を有するシェルにより形成されるカプセルは、破壊に強く、内部が気体のように圧縮性をもつ部材の場合には、20MPa程度の高加圧でも破壊できない。
しかし、内部に液体が充填されており、非圧縮性であると、加圧によりカプセルが変形するに従い、内圧が一気に上昇し、カプセル内部から液体が押し出ようとする力が働き1PMa以下の圧力で簡単にカプセルが破壊することがある。
このように液体を閉じ込めたカプセルは、比較的弱い圧力で破壊されやすい。
一方、カプセル内が固体であれば、加圧による変形そのものを抑えるため内圧が上昇せずカプセルが割れにくくなる。即ち、画像形成装置内で、現像部等で固体可塑剤の融点よりも低い温度条件下で、トナーに圧力がかかっても内包する可塑剤カプセルの破壊を防止でき保存安定性を高くすることができる。
前記可塑剤の含有量は、前述のとおり、前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、5質量部〜30質量部が好ましく、10質量部〜20質量部がより好ましい。
なお、前記カプセルのシェルが薄い場合には、前記カプセルの質量は、内包される成分(前記可塑剤及び前記不飽和脂肪酸類)の質量と同一視できる。
−不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステル−
前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、常温において液体状であることが好ましい。
前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルのヨウ素価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100以上であることが好ましい。前記ヨウ素価が、100以上であると、定着後の硬化速度及び硬度が増大し、定着後の画像面の貼りつきをより確実に防止できる点で有利である。
ここで、ヨウ素価とは、ある化学物質100gと反応するハロゲンの量を、ヨウ素のグラム数に置き換えて表した値であり、例えば、JIS K 0070などにその測定法が示されている。このヨウ素価は、物質中の炭素−炭素二重結合量を推測するのによく用いられる値であり、一般に二重結合量が多いほどヨウ素価が大きな値となる。本発明においてのヨウ素価は、JIS K 0070に則して測定した値とする。
前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルは、合成したものであってもよいし、天然物から採取、又は抽出したものであってもよい。
前記不飽和脂肪酸の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、22以下が好ましい。
前記不飽和脂肪酸としては、例えば、アクリル酸、ブテン酸、ヘキセン酸、オクテン酸、ドデセン酸、リシノール酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸などが挙げられる。
前記不飽和脂肪酸エステルとしては、例えば、前記不飽和脂肪酸とアルコールとのエステル化物などが挙げられる。
前記不飽和脂肪酸エステルの炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、12〜22が好ましい。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
天然の前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルとしては、例えば、アマニ油、キリ油、シナキリ油、大豆油、紅花油、ケシ油、シソ油、クルミ油、エゴマ油、ヒマワリ油、コーン油、ゴマ油などが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1質量部〜10質量部が好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、定着後の不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの硬化が不十分で定着後に画像面の貼りつきが生じることがあり、10質量部を超えると、定着性、帯電性、流動性、及び画像の色彩等に悪影響を与えることがある。
前記カプセルは、シェル(外殻)を有する。
前記カプセルの粒径と前記シェルの厚みは、カプセルの破壊強度に大きな影響を与える。本発明者らは、前記シェルが樹脂部材である場合、前記カプセルの粒径が1mm以下の範囲では、前記カプセルの粒径と前記シェルの厚みの比率が、カプセルの破壊に影響を与えることを見出した。定着部におけるカプセルの破壊に必要な圧力を1MPa程度とした場合、前記カプセルの粒径と前記シェルの厚みの比率(カプセルの粒径:シェルの厚み)は、20:1〜5:1が好ましい。
前記カプセルの粒径の下限は、前記シェルの厚みの強度限界に影響を与える。前記カプセルの前記シェルの厚みが数分子鎖オーダーの場合、カプセルの強度が保てず、分子鎖間距離を0.3nm程度と仮定すると10分子鎖以上は必要と考えられる。そうすると、前記シェルの厚みとの比率の関係から、1MPaの圧力で前記カプセルを破壊するための前記カプセルの粒径は、60nm以上が好ましい。
また、前記カプセルの粒径の上限は、定着に必要なトナー中の前記熱可塑性エラストマーに対する前記可塑剤の濃度と前記カプセル破壊後の前記可塑剤の結着樹脂中への浸透性に影響する。不飽和脂肪酸類の硬化に関しては、可塑剤による軟化よりもゆっくりと進行するために浸透性に関しては時間的余裕がある。そのため前記カプセルの粒径の上限は、可塑剤が熱可塑性エラストマーを軟化するのに好ましい粒径の範囲内であれば特に問題はない。
定着部のニップ部での加圧時間は、印刷速度及び加圧ニップ幅により異なるが、10ms〜30ms程度である。この短時間でカプセル破壊後に前記可塑剤が前記結着樹脂中に均一拡散する必要がある。
したがって、トナー中の結着樹脂内部での前記カプセル同士が離れすぎていると、前記可塑剤が前記結着樹脂中に浸透しきれず、トナーが十分に軟化しなくて定着不良となる。
前記可塑剤の前記結着樹脂への浸透は、拡散係数で決まり、おおよそ拡散係数が1×10−12〜1×10−13程度であると、ニップ時間が10ms〜30msの範囲内に浸透可能な距離は100nm〜200nm程度である。即ちトナー樹脂中で可塑剤カプセル同士は100nm〜200nmの距離となるように分散させることが好ましい。
以上のことから、前記可塑剤が前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、10質量部〜20質量部の範囲で、かつ前記不飽和脂肪酸類が前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1質量部〜10質量部の範囲で、更に前記カプセル同士が100nm〜200nmの距離となるようにするには、前記カプセルの粒径は、おおよそ400nmが上限となる。
即ち、前記カプセルの粒径は、60nm〜400nmが好ましい。
前記カプセルの粒径は、例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)又はSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、その平均値により求めることができる。また、カプセルを分散した液を、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子社製)を用いた動的光散乱法により測定することができる。
前記カプセルのシェル(外殻)は、前記所定の圧力により破壊されるシェルであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記シェルの材質としては、例えば、無機物、樹脂などが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
また、前記シェルは、トナーの製造時に用いる溶剤に対して溶解しないことが好ましい。
−カプセルの製造方法−
前記カプセルの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、いわゆる一般的に知られているマイクロカプセル製法により製造できる。前記マイクロカプセル製法としては、例えば、界面重合法、in−situ重合法などの油相と水相のエマルジョン系で2相間の界面でシェルを形成する方法;液中乾燥法、コアセベーション法などのように油相と水相のエマルジョンにおける蒸発及び凝集を利用してシェルを形成する方法;光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などによりシェルを形成する方法;マイクロ流路を用いて直接連続相に分散相を注ぎ込み微粒子化する方法などが挙げられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、無機微粒子、磁性体、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、金属石鹸などが挙げられる。
−無機微粒子−
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。また、これらの表面に疎水化処理を施すことにより、結着樹脂への分散性が向上する効果があり好ましい。
前記トナーの内部に適切な特性の無機微粒子が存在することで、トナー成分である前記結着樹脂、前記着色剤、ワックスの微分散を達成できる。これは、前記無機微粒子が存在することにより、これらトナー成分にフィラー効果による混合シェアがかかり、均一混合できるためである。
前記無機微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜1,000nmが好ましく、50nm〜600nmがより好ましい。前記平均一次粒径が、10nm未満であると、無機微粒子の凝集が生じやすく、トナーの体積固有抵抗値の低下、及びトナー成分の分散悪化が生じることがある。一方、前記平均一次粒径が、1,000nmを超えると、フィラー効果による分散効果が得られないことがある。
また、前記無機微粒子は、外添剤として用いることもできる。
−磁性体−
前記磁性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金;これらの混合物などが挙げられる。
前記磁性体の具体例としては、例えば、Fe、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、Fe、γ−Feの微粉末が好ましい。
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。
前記異種元素としては、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、スズ、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウムなどが挙げられる。これらの中でも、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ジルコニウムが好ましい。
前記異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、表面に酸化物又は水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、又は各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
前記磁性体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、磁性体10質量部〜200質量部が好ましく、20質量部〜150質量部がより好ましい。
前記磁性体の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜2μmが好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましい。
前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザーなどで測定することにより求めることができる。
前記磁性体の磁気特性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20エルステッド〜150エルステッド、飽和磁化50emu/g〜200emu/g、残留磁化2emu/g〜20emu/gのものが好ましい。
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知のものを選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製);銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。
前記帯電制御剤は、マスターバッチ、結着樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、勿論、有機溶剤に直接溶解又は分散する際に加えてもよい。また、トナー母体粒子調製後にその表面に固定化させてもよい。
−外添剤−
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えば、チタニア、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。
これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア微粒子、疎水化されたチタニア微粒子が好ましい。
前記シリカ微粒子としては、例えば、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。
前記チタニア微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製);STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−140(富士チタン工業株式会社製);MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化されたチタニア微粒子としては、例えばT−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれも、テイカ株式会社製);IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化されたシリカ微粒子、前記疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子は、親水性の微粒子を疎水化処理剤で処理(疎水化処理)して得ることができる。
前記疎水化処理剤としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
また、無機微粒子にシリコーンオイルを処理(必要に応じて熱を加えて処理)したシリコーンオイル処理無機微粒子も好ましい。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜100nmが好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記平均粒径が、1nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいことがあり、100nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけてしまうことがある。
前記外添剤として樹脂微粒子を用いることもできる。前記樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の縮重合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。このような樹脂微粒子を機微粒子と併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。
前記樹脂微粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
−流動性向上剤−
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することが可能なものであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
−クリーニング性向上剤−
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体及び中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加される。
前記クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものがより好ましい。
前記カプセルを含有した前記トナーの一例について説明する。
図4は、カプセルを含有したトナーの概略断面図である。トナー201は、熱可塑性エラストマーを含む結着樹脂202と、着色剤203と、可塑剤及び不飽和脂肪酸類を内包するカプセル204と、帯電制御剤205と、外添剤206と、脂肪酸金属塩207とを有している。
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法、重合法、溶解懸濁法、噴霧造粒法などが挙げられる。これらの中でも、粉砕法、溶解懸濁法が好ましい。
−粉砕法−
前記粉砕法は、例えば、トナー材料を溶融し、混練した後、粉砕し、分級等することにより、トナー粒子を得る方法である。
前記トナー材料の溶融、混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸の連続混練機、二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機などが挙げられる。例えば、株式会社神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、有限会社ケイシーケイ製二軸押出機、株式会社池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、前記カプセルを破壊しない条件で行うことが好ましい。前記カプセルを破壊しない条件としては、例えば、前記トナー材料に、前記結着樹脂を溶解する溶剤を含有する方法が挙げられる。そうすることで、前記トナー材料を柔らかい状態にすることができる。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターとの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記トナーは、前記熱可塑性エラストマーを含有しているため、通常の粉砕条件では砕けない場合がある。その場合には、冷凍粉砕することが好ましい。前記冷凍粉砕としては、例えば、低温環境(例えば、0℃以下)で粉砕する方法が挙げられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナーを製造する。前記粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5μm〜20μmが挙げられる。
前記粉砕法の場合、前記トナーの平均円形度を高くする目的で、得られたトナー母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、前記機械的衝撃力は、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いてトナー母体粒子に付与することができる。
−溶解懸濁法−
前記溶解懸濁法としては、例えば、前記結着樹脂を溶媒中に溶解させた溶液(油相)を水系媒体(水相)中に添加することにより懸濁液を調製する工程と、懸濁液から溶媒を除去する工程を有する方法などが挙げられる。
このとき、結着樹脂と共に、添加剤を溶媒中に溶解乃至分散させることができる。
前記溶解懸濁法においては、前記結着樹脂を溶解しつつ、前記カプセルの前記シェルを溶解しない溶媒を用いることが好ましい。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(現像剤)
本発明に関する現像剤は、上述の本発明のトナーを含んでなる。本発明のトナーは、一成分現像剤として使用してもよく、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。中でも、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
−芯材−
前記芯材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均粒径(質量平均粒径(D50))で、10μm〜200μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。
前記平均粒径(重量平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
−樹脂層−
前記樹脂層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性した変性シリコーン樹脂などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができる。
前記ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)などが挙げられる。
なお、前記シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテートなどが挙げられる。
前記焼付の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよい。
前記焼付の装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉、マイクロウエーブを備えた装置などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が二成分現像剤である場合には、前記キャリアの前記現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90質量%〜98質量%が好ましく、93質量%〜97質量%がより好ましい。
(トナー入り容器)
本発明に関するトナー入り容器は、本発明のトナーを容器中に収容してなる。
前記トナー入り容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、現像剤容器本体とキャップとを有してなるものなどが挙げられる。前記現像剤容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などにつき、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記現像剤容器本体の形状としては、例えば、前記円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部乃至全部が蛇腹機能を有しているものなどが特に好ましい。前記現像剤容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂などが好適に挙げられる。前記現像剤入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述するプロセスカートリッジに着脱可能に取り付けて現像剤の補給に好適に使用することができる。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段などを有する。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程などを含む。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は、前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は、前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により行うことができる。
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(以下、「感光体」と称することがある。)の材質、形状、構造、大きさなどについては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコンが好ましい。前記静電潜像担持体の形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記静電潜像担持体の構造は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。前記静電潜像担持体の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。
前記アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50℃〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を有する感光体を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適である。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光手段とを少なくとも有する。
−帯電手段−
前記帯電は、例えば、前記帯電手段を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
前記帯電手段の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等どのような形態をとってもよく、前記画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択することができる。
前記帯電手段として前記磁気ブラシを用いる場合、該磁気ブラシとしては、例えば、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を帯電手段として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
前記帯電手段として前記ファーブラシを用いる場合、該ファーブラシの材質として、例えば、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電手段とすることができる。
前記帯電手段としては、前記接触式の帯電手段に限定されるものではないが、帯電手段から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電手段を用いることが好ましい。
−露光手段−
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光手段などが挙げられる。
前記露光手段に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般などが挙げられる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記トナーとしては、本発明の前記トナーを用いる。
前記現像剤としては、本発明に関する前記現像剤を用いる。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段としては、前記トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるものなどが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像手段に収容される現像剤は、前記トナーを含む前記現像剤であるが、前記現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
前記一成分現像手段としては、例えば、前記トナーが供給される現像剤担持体と、前記現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材とを有する一成分現像装置が好適に用いられる。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、転写手段を用いて行われる。
前記転写手段としては、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段であってもよいし、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段であってもよい。
前記転写は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
ここで、前記記録媒体上に二次転写される画像が複数色のトナーからなるカラー画像である場合に、前記転写手段により、前記中間転写体上に各色のトナーを順次重ね合わせて当該中間転写体上に画像を形成し、前記中間転写手段により、当該中間転写体上の画像を前記記録媒体上に一括で二次転写する構成とすることができる。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
これらの転写手段は、タンデム型画像形成装置においても好適に用いられる。
前記タンデム型画像形成装置は、少なくとも静電潜像担持体、帯電手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列したものである。このタンデム型画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4つの画像形成要素を搭載し、各々の可視像を4つの画像形成要素で並列に作成し、記録媒体又は中間転写体上で重ね合わせることから、より高速にフルカラー画像を形成できる。
前記タンデム型の画像形成装置としては、(1)図5に示すように、複数の画像形成要素の各静電潜像担持体1との対向領域である転写位置を通過するように、搬送ベルト3により移動する記録媒体Sに、転写手段2により、順次、前記各静電潜像担持体1上に形成された可視像を転写する直接転写方式と、(2)図6に示すように、複数の画像形成要素の各静電潜像担持体1上の可視像を転写手段(一次転写手段)2により一旦中間転写体4に順次転写した後、中間転写体4上の画像を二次転写手段5により記録媒体Sに一括転写する間接転写方式とがある。なお、図6では二次転写手段として転写搬送ベルトを用いているが、ローラ形状であってもよい。
前記(1)の直接転写方式と、前記(2)の間接転写方式とを比較すると、前記(1)の直接転写方式は、静電潜像担持体1を並べたタンデム型画像形成部Tdの上流側に給紙装置6を、下流側に定着手段としての定着装置7を配置しなければならず、記録媒体の搬送方向に大型化する。これに対し、前記(2)の間接転写方式は、二次転写位置を比較的自由に設置することができ、給紙装置6、及び定着装置7をタンデム型画像形成部Tdと重ねて配置することができ、小型化が可能となるという利点がある。
また、前記(1)の直接転写方式では、記録媒体の搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成部Tdに接近して配置することとなる。そのため、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、記録媒体Sの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚い記録媒体で顕著となる)や、定着装置7を通過するときの記録媒体の搬送速度と、転写搬送ベルトによる記録媒体の搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい。これに対し、前記(2)の間接転写方式は、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるので、定着装置7はほとんど画像形成に影響を及ぼさない。
以上のようなことから、最近では、特に間接転写方式のものが注目されている。このようなカラー画像形成装置では、図6に示すように、一次転写後に静電潜像担持体1上に残留する転写残トナーを、クリーニング手段としてのクリーニング装置8で除去して静電潜像担持体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。また、二次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着工程は、定着手段により行うことができる。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着手段が好ましい。
前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せなどが挙げられる。中でも、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
また、前記定着部材としては、例えば、公知の加熱加圧手段(加熱手段と加圧手段との組合せ)が挙げられる。
前記加熱加圧手段としては、前記無端状ベルトと前記ローラとの組合せの場合には、例えば、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せが挙げられ、前記ローラと前記ローラとの組合せの場合には、例えば、加熱ローラと加圧ローラとの組合せなどが挙げられる。
前記定着部材が無端状ベルトである場合、該無端状ベルトは、熱容量の小さい材料で形成されるのが好ましく、例えば、基体上にオフセット防止層が設けられてなる態様などが挙げられる。
前記基体を形成する材料としては、例えば、ニッケル、ポリイミドなどが挙げられる。
前記オフセット防止層を形成する材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記定着部材がローラである場合、該ローラの芯金は、高い圧力による変形(たわみ)を防止するため非弾性部材で形成されるのが好ましい。
前記非弾性部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮等の高熱伝導率体が好ましい。
また、前記ローラは、その表面がオフセット防止層で被覆されていることが好ましい。
前記オフセット防止層を形成する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、RTV(Room Temperature Vulcanization)シリコーンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
前記定着工程においては、前記トナーによる画像を前記記録媒体に転写し、該画像が転写された記録媒体を、前記ニップ部に通過させることにより、前記画像を前記記録媒体に定着させてもよいし、前記ニップ部にて前記画像の前記記録媒体への転写及び定着を同時に行ってもよい。
また、前記定着工程は、各色のトナーに対し、前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記ニップ部は、少なくとも2つの前記定着部材構成要素(例えば、前記無端状ベルトと前記ローラ、前記ローラと前記ローラ)が互いに当接して形成される。
前記ニップ部の面圧としては、前記カプセルを破壊可能な面圧であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1MPa以上が好ましく、1MPa〜5MPaがより好ましく、1MPa〜2MPaが特に好ましい。該ニップ部の面圧が高すぎると、ローラの耐久性が低下し、定着手段が重量化及び大型化してしまう。
前記トナーによる画像の前記記録媒体への定着の温度(即ち、前記定着部材の表面温度)としては、トナー層(記録媒体に転写されたトナー)の実効温度が40℃〜50℃となる温度が好ましく、このような定着の温度としては、紙等の未定着画像担持体への熱損失を考慮し、50℃〜70℃が好ましく、50℃〜60℃がより好ましい。
また、前記可塑剤として常温で固体の可塑剤を用いる場合、前記定着の温度は、前記定着工程における前記トナー中の前記可塑剤が液化する温度が好ましい。
前記定着手段としては、(1)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(内部加熱方式)と、(2)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(外部加熱方式)とに大別される。なお、両者を組み合わせたものを用いることも可能である。
前記(1)の内部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材それ自体が内部に加熱手段を有するものが挙げられる。このような加熱手段としては、例えばヒーター、ハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
前記(2)の外部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される態様が好ましい。このような加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電磁誘導加熱手段などが挙げられる。
前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好ましい。
前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好ましい。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。
前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルトなど)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
−内部加熱方式の定着手段−
図7は、内部加熱方式の定着手段の一例を示すベルト式定着装置である。この図7のベルト式定着装置510は、加熱ローラ511と、定着ローラ512と、定着ベルト513と、加圧ローラ514とを備えている。
定着ベルト513は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ511と定着ローラ512とによって張架され、加熱ローラ511により所定の温度に加熱されている。加熱ローラ511は、内部には加熱源515が内蔵されており、加熱ローラ511の近傍に取り付けられた温度センサ517により温度調節可能に設計されている。定着ローラ512は、定着ベルト513の内側に、かつ定着ベルト513の内面に当接しながら回転可能に配置されている。加圧ローラ514は、定着ベルト513の外側に、かつ定着ベルト513の外面に、定着ローラ512を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。また、定着ベルト513の表面硬度は、加圧ローラ514の表面硬度よりも低く、定着ローラ512及び加圧ローラ514間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、定着ローラ512側に位置する。
図7に示すベルト式定着装置510において、まず、定着処理すべきトナー画像Tが形成された記録媒体Sが加熱ローラ511まで搬送される。そして、内蔵されている加熱源515の働きにより所定の温度に加熱された加熱ローラ511及び定着ベルト513により記録媒体S上のトナー画像Tが加熱されて溶融状態となる。この状態において、該記録媒体Sが定着ローラ512及び加圧ローラ514間に形成されたニップ部Nに挿入される。該ニップ部Nに挿入された記録媒体Sは、定着ローラ512及び加圧ローラ514の回転に連動して回転する定着ベルト513の表面に当接され、前記ニップ部Nを通過する際に押圧され、トナー画像Tが記録媒体S上に定着される。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ512及び加圧ローラ514間を通過し、定着ベルト513から剥離され、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ514側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト513への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト513はクリーニングローラ516で清浄化される。
−外部加熱方式の定着手段−
図8は、外部加熱方式の定着手段の一例を示す電磁誘導加熱式定着装置570である。この電磁誘導加熱式定着装置570は、加熱ローラ566と、定着ローラ580と、定着ベルト567と、加圧ローラ590と、電磁誘導加熱手段560とを備えている。
定着ベルト567は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ566と定着ローラ580とによって張架され、加熱ローラ566により所定の温度に加熱されている。
加熱ローラ566は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材を有し、例えば、外径が20mm〜40mm、肉厚が0.3mm〜1.0mmに設けられ、低熱容量で昇温の速い構成となっている。
定着ローラ580は、例えば、ステンレススチール等の金属製の芯金581を有し、その表面が耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状又は発泡状にした弾性層582で被覆されて形成されており、定着ベルト567の内側に、かつ定着ベルト567の内面に当接しながら回転可能に配置されている。定着ローラ580は、加圧ローラ590からの押圧力により、加圧ローラ590と定着ローラ580との間に所定幅のニップ部Nを形成するために、外径を20mm〜40mm程度に設け、加熱ローラ566よりも大きくしている。弾性層582は、その肉厚を4mm〜6mm程度とし、加熱ローラ566の熱容量が定着ローラ580の熱容量よりも小さくなるように形成され、加熱ローラ566のウォームアップ時間の短縮化を図っている。
加圧ローラ590は、例えば、銅、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金591を有し、その表面を耐熱性及びトナー離型性の高い弾性層592で被覆されて形成されており、定着ベルト567の外側に、かつ定着ベルト567の外面に、定着ローラ580を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。なお、芯金591には上記金属以外にSUSを使用してもよい。
電磁誘導加熱手段560は、加熱ローラ566の近傍であって、加熱ローラ566の軸方向にわたって配設されている。電磁誘導加熱手段560は、磁界発生手段である励磁コイル561と、この励磁コイル561が巻き回されたコイルガイド板562とを有している。コイルガイド板562は加熱ローラ566の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル561は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板562に沿って加熱ローラ566の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル561は、発振回路が周波数可変の駆動電源(不図示)に接続されている。励磁コイル561の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア563が、励磁コイルコア支持部材564に固定されて励磁コイル561に近接配置されている。
<除電工程及び除電手段>
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが好適に挙げられる。
<クリーニング工程及びクリーニング手段>
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。なお、クリーニング手段を用いることなく、摺擦部材で残留トナーの電荷を揃え、現像ローラで回収する方法を採用することもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが好適に挙げられる。
<リサイクル工程及びリサイクル手段>
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
<制御工程及び制御手段>
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
前記画像形成装置は、前記静電潜像担持体と少なくとも前記現像手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを備える画像形成装置であることが好ましい。
次に、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図9を参照しながら説明する。図9に示す画像形成装置100は、静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置による露光Lと、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段60と、除電手段としての除電ランプ70とを備えている。
中間転写体50は無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、図中矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍に中間転写体用クリーニング装置90が配置されており、また、記録媒体95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、この中間転写体50上の可視像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、静電潜像担持体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、この現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラにより回転可能に張架され、一部が感光体ドラム10と接触している。
図9に示す画像形成装置100においては、まず、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置(不図示)が感光体ドラム10上に像様に露光Lを行い、静電潜像を形成する。感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像を形成する。該可視像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に記録媒体95上に転写(二次転写)される。その結果、記録媒体95上には転写像が形成される。なお、静電潜像担持体10上の残存トナーは、クリーニングブレード60により除去され、静電潜像担持体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図10を参照しながら説明する。図10に示すタンデム型画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。このタンデム型カラー画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図10中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング手段17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像手段120が配置されている。タンデム型現像手段120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像手段120が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、定着ベルト26と加圧ローラ27を有している。
なお、二次転写手段22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像手段120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像手段120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像手段120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図11に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体10を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図11中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電装置64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録媒体を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写装置本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上の記録媒体を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録媒体の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写手段22との間に記録媒体を送出させ、二次転写手段22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該記録媒体上に転写(二次転写)することにより、該記録媒体上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記記録媒体は、二次転写手段22により搬送されて、定着装置25へと送出され、この定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該記録媒体上に定着される。その後、該記録媒体は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
(プロセスカートリッジ)
本発明に関するプロセスカートリッジは、少なくとも静電像担持体と、静電像担持体上に形成された静電潜像を本発明の前記トナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段とを一体に具備するように形成される。
前記プロセスカートリッジは、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、現像剤担持体に担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。具体的には、上記画像形成装置及び画像形成方法で説明した一成分現像手段、及び二成分現像手段のいずれかを好適に用いることができる。
また、前記帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段としては、上述した画像形成装置と同様なものを適宜選択して用いることができる。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図12に示すように、静電潜像担持体101を内蔵し、帯電手段102、現像手段104、転写手段108、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図12中、103は露光手段による露光、105は記録媒体をそれぞれ示す。
次に、図12に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<カプセルの作製>
コアセルベーション法により、可塑剤としてのコハク酸ジエトキシエチル(クローダDES、クローダジャパン社製)及び不飽和脂肪酸類としてのオレイン酸(関東化学社製、ヨウ素価90)を内包しシェルがポリビニルアルコールであるカプセルを作製した。作製方法を以下に示す。
ビーカーに水(イオン交換水)を100mL入れた後、分散剤(ソルビトール系界面活性剤、花王TW120s、花王社製)を水100質量部に対して2質量部混合し、更に攪拌して分散剤を水に溶解させた。その後、水温を70℃に保ちつつ、ポリビニルアルコール(Mw=500)粉末を水100質量部に対して1質量部混合し十分に溶解させた。溶解後、70℃に保ちつつ、超音波ホモジナイザー(UT−300、日本精機社製)にてビーカー中の水溶液を攪拌しながら液体のコハク酸ジエトキシエチルとオレイン酸の混合物(質量比で3:1)を水100質量部に対して100質量部混合し、10分間攪拌を続けた。攪拌後、ビーカーに攪拌子を入れて300rpmで回転しながらビーカーの周りに氷を置き、10℃まで一気に冷やしながら10分間攪拌し、乳化液を得た。この時点で乳化液をレーザ顕微鏡で観察したところ、直径300nm程度のコハク酸ジエトキシエチルとオレイン酸の混合微粒子が多数観察された。次に、混合微粒子が分散した水分散液を500rpmで攪拌しながらエタノール50mLをビーカー中の水分散液に滴下して10分間攪拌した。攪拌後、遠心分離器にて固形分と液を分離し、上澄みの液を捨てて酢酸エチルを混合した。この作業を10回繰り返し、酢酸エチル中に固形微粒子が分散した液ができた。得られた固形微粒子についてTEM(透過型電子顕微鏡)による観察をしたところ、ポリビニルアルコールをシェルとして、コハク酸ジエトキシエチルとオレイン酸の混合物を内包する、粒径が300nmのカプセルであった。
<トナーの作製>
熱可塑性エラストマーとしてのスチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS、タフテックH1052、旭化成社製)を、酢酸エチル100質量部に対して前記SEBSが20質量部となるように酢酸エチルに溶解させた。次に、上記で作製した酢酸エチルに分散した前記カプセルを、前記SEBSの酢酸エチル溶解液(前記SEBSが20質量%)に、前記SEBS100質量部に対して前記カプセルが20質量部となるように混合し、100rpmにて3分間攪拌した。これら一連の混合は、20℃の環境で行った。前記SEBSと前記カプセルを混合した酢酸エチル液に、該液の固形分全体に対して、ポリスチレン(ピコラスティックA−75、イーストマン社製)を10質量%、カーボンブラックマスターバッチを10質量%、脂肪酸金属塩としてのナフテン酸コバルト(DIC社製)を0.2質量%加え攪拌した。この酢酸エチル液を油相とした。分散剤(ソルビトール系界面活性剤、花王TW120s、花王社製)を2質量%溶解した水を水相とし、該水相をホモミキサー(TKホモミキサーMARK II、プライミクス社製)にて攪拌しながら、油相である前記酢酸エチル液を徐々に加え、平均粒子径15μmのO/Wエマルジョンを作製した。3時間攪拌(液温は、30℃)し、余分な酢酸エチルをほとんど蒸発させたところで、疎水性シリカ微粒子を前記O/Wエマルジョンの固形分に対して、1質量%加えて、微粒子表面に疎水性外添剤層を形成した。その後、水を除去し、十分に乾燥し、乾燥したトナー(平均粒子径10μm)を得た。
得られたトナーにおいて、SEBSの含有量は、結着樹脂に対して、87質量%であった。可塑剤の含有量は、SEBSに対して、約15質量%であった。不飽和脂肪酸類の含有量は、SEBSに対して、約5質量%であった。
<評価>
得られたトナーを以下の評価に供した。結果を表1に示す。
<<耐熱試験>>
耐熱試験は、針入度試験器(日科エンジニアリング社製)を用いて測定した。具体的には、トナーを10g計量し、温度20℃〜25℃、40%〜60%RHの環境下で30mLのガラス容器(スクリューバイアル)に入れ、蓋を閉めた。トナーを入れたガラス容器を100回タッピングした後、温度を50℃にセットした恒温槽に24時間放置した。放置後のガラス容器中のトナーに対し、針入度試験器で針入度を測定した。
〔結果〕
針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例1のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
紙(Mypaper、株式会社リコー製)を用い、カスケード現像法(紙の表面にトナーをふりかけて画像を形成する方法)により1層のトナー層を、5cm角の前記紙に形成した。金属ローラ及び金属ローラの構成にて加圧力及びローラ表面温度を所定の圧力及び温度に設定しながら、ニップ幅1mm、及び線速100mm/sにてトナー層を形成した紙を通過させ、通過後、定着トナー面をウエスで擦り、ウエスの汚れ具合を反射濃度計(X−rite939、X−rite社製)で測定し定着性を評価した。
所定の圧力としては、0.3MPa及び1.0MPaとした。
所定の温度としては、25℃、40℃、60℃、80℃及び100℃とした。
そのため、設定条件は、圧力2種類及び温度5種類の計10種類とした。
〔結果〕
0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
前記定着性試験にて良好な定着ができた画像に対し、定着1時間後に画像面同士が接触するように重ねてホットプレート上に置き、その上に紙(Mypaper、株式会社リコー社製)を500枚重ねて載せた。ホットプレートの温度を50℃に設定し、24時間放置した後に、画像面同士を剥がし、トナーが互いに接着したことによる画像抜けの発生の有無を確認し、以下の評価基準で評価した。
〔結果〕
良好な定着ができた画像に対し、いずれの条件でも画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例2)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例1において、不飽和脂肪酸類をアマニ油(カネダ社製、ヨウ素価190)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カプセル及びトナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例2のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例3)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例1において、不飽和脂肪酸類をキリ油(カネダ社製、ヨウ素価160)に代えた以外は、実施例1と同様にしてカプセル及びトナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例3のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例4)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例1において、不飽和脂肪酸類を大豆油(カネダ社製、ヨウ素価120)に代えた以外は、実施例1と同様にしてカプセル及びトナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例4のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例5)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例1において、可塑剤をパラフィン(関東化学社製、融点42〜44℃)に代え、熱可塑性エラストマーをエチレン−酢酸ビニル−エチレン共重合体(EVA、DQDJ−3868、日本ユニカー社製)に代え、ポリスチレン10質量%をポリブチルアクリレート(和光純薬社製)5質量%に変えた以外は、実施例1と同様にして、カプセル及びトナーを得た。トナーにおけるEVAの含有量は、結着樹脂に対して、93質量%であった。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例5のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例6)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例5において、不飽和脂肪酸類をアマニ油(カネダ社製、ヨウ素価190)に代えた以外は、実施例5と同様にして、カプセル及びトナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例6のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例7)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例1において、可塑剤をラウリン酸(関東化学社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カプセル及びトナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例7のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例8)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例7において、不飽和脂肪酸類をアマニ油(カネダ社製、ヨウ素価190)に代えた以外は、実施例7と同様にして、カプセル及びトナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例8のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例9)
<トナーの作製>
実施例8において、脂肪酸金属塩をナフテン酸マンガン(DIC社製)に代えた以外は、実施例8と同様にして、トナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例9のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例10)
<トナーの作製>
実施例8において、脂肪酸金属塩をオクチル酸コバルト(DIC社製)に代えた以外は、実施例8と同様にして、トナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例10のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例11)
<トナーの作製>
実施例8において、脂肪酸金属塩をオクチル酸亜鉛(DIC社製)に代えた以外は、実施例8と同様にして、トナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例11のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例12)
<カプセルの作製>
<<可塑剤を内包するカプセルの作製>
実施例1のカプセルの作製において、可塑剤と不飽和脂肪酸類の混合物を、コハク酸ジエトキシエチル(クローダDES、クローダジャパン社製、可塑剤)に代えた以外は、実施例1と同様にして、コハク酸ジエトキシエチルを内包するカプセルA(粒径300nm)を作製した。
<<不飽和脂肪酸類を内包するカプセルの作製>
実施例1のカプセルの作製において、可塑剤と不飽和脂肪酸類の混合物を、アマニ油(カネダ社製、ヨウ素価190、不飽和脂肪酸類)に代えた以外は、実施例1と同様にして、アマニ油を内包するカプセルB(粒径300nm)を作製した。
<トナーの作製>
実施例1のトナーの作製において、カプセルを、カプセルAとカプセルBとを可塑剤:不飽和脂肪酸類=3:1(質量比)となるように混合した混合カプセルに代えた以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。トナーにおけるSEBSの含有量は、結着樹脂に対して、87質量%であった。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例12のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(実施例13)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例12の可塑剤を内包するカプセルの作製において、可塑剤をラウリン酸(関東化学社製)に代えた以外は、実施例12と同様にして、カプセル及びトナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、実施例13のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けは発生しておらず、定着後の画像面の耐熱放置安定性が確認できた。
(比較例1)
<トナー>
リコーMFP機CX3000用の黒トナー(株式会社リコー社製)を用いて評価を行った。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、比較例1のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPa及び1.0MPaのいずれでも、100℃では、ウエスにわずかな汚れが見られるものの定着を行うことができたが、それ未満の温度条件では、ウエスに汚れが見られ、定着できていなかった。
(比較例2)
<カプセル及びトナーの作製>
実施例1において、不飽和脂肪酸類及び脂肪酸金属塩を混合しなかった以外は、実施例1と同様にしてカプセル及びトナーを得た。
<評価>
<<耐熱試験>>
実施例1と同様にして、耐熱試験を行ったところ、針入度は、21mmであり、良好な結果を示した。この結果から、比較例2のトナーは、50℃での保存において、ほとんど軟化しておらず、耐熱保存性、トナースペント性、及びトナーフィルミング性に優れることが確認できた。
<<定着性試験>>
実施例1と同様にして、定着性試験を行ったところ、0.3MPaでは、ウエスに汚れが見られ、いずれの温度でも定着できていなかったが、1.0MPaでは、60℃以上でウエスに汚れが見られず、良好な定着ができた。
<<ブロッキング試験>>
実施例1と同様にして、ブロッキング試験を行ったところ、いずれの画像も画像抜けが発生した。
以上の結果を、表1にまとめた。
なお、比較例1のブロッキング試験における「−」は、定着性試験が不十分であったために、評価を行わなかったことを表す。
表1中、SEBSは、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体を表し、EVAは、エチレン−酢酸ビニル−エチレン共重合体を表し、DESは、コハク酸ジエトキシエチルを表す。
表1中の評価基準は以下のとおりである。
<耐熱試験>
○ :耐熱性が良好
× :耐熱性が不十分
<定着性試験>
○ :低温定着性が良好
× :低温定着性が不十分
<ブロッキング試験>
○ :耐ブロッキング性が良好
× :耐ブロッキング性が不十分
以上の結果より、本発明のトナーは、加圧力1.0MPaで、温度60℃(ローラ表面温度)のときに定着でき、従来の市販トナーに比べ定着温度を40℃も下げることができた。また、本発明のトナーは、耐熱保存性、トナースペント性、トナーフィルミング性、及び定着後の画像面の貼りつき防止にも優れていた。
1 静電潜像担持体(感光体ドラム)
2 転写手段(一次転写手段)
3 搬送ベルト
4 中間転写体
5 二次転写手段
6 給紙装置
7 定着装置
8 クリーニング装置
9 中間転写体クリーニング装置
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング手段
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック現像ユニット
45Y イエロー現像ユニット
45M マゼンタ現像ユニット
45C シアン現像ユニット
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング手段
61 現像装置
62 転写帯電器
63 クリーニング装置
64 除電装置
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 記録媒体
100 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像手段
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
201 トナー
202 結着樹脂
203 着色剤
204 カプセル
205 帯電制御剤
206 外添剤
207 脂肪酸金属塩
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
510 ベルト式定着装置
511 加熱ローラ
512 定着ローラ
513 定着ベルト
514 加圧ローラ
515 加熱源
516 クリーニングローラ
517 温度センサ
561 励磁コイル
562 コイルガイド板
563 励磁コイルコア
564 励磁コイルコア支持部材
560 電磁誘導加熱手段
566 加熱ローラ
567 定着ベルト
570 電磁誘導加熱式定着装置
580 定着ローラ
581 芯金
582 弾性層
590 加圧ローラ
591 芯金
592 弾性層
601 熱可塑性エラストマー
601a ハードセグメント
601b ソフトセグメント
602 カプセル
603 不飽和脂肪酸類
604 可塑剤
L 露光
S 記録媒体
T トナー画像
N ニップ部
Td タンデム型画像形成部
特開2006−330392号公報 特開2002−221825号公報 特開2002−88678号公報 特開2002−97444号公報 特開2004−347893号公報 特開平02−082266号公報 特許第4686818号公報

Claims (6)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、脂肪酸金属塩、及び所定の圧力により破壊されるカプセルを含有し、
    前記結着樹脂が、熱可塑性エラストマーを含み、
    前記カプセルが、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかと前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤とを内包するカプセル、並びに前記不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかを内包するカプセル及び前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤を内包するカプセル、の少なくともいずれかであることを特徴とするトナー。
  2. 不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルの少なくともいずれかのヨウ素価が、100以上である請求項1に記載のトナー。
  3. 可塑剤が、常温で固体である請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
  4. 熱可塑性エラストマーが、1分子中にハードセグメントとソフトセグメントとを有する請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、
    前記トナーが、請求項1から4のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
  6. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含み、
    前記トナーが、請求項1から4のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
JP2011161941A 2011-07-25 2011-07-25 トナー、画像形成装置、及び画像形成方法 Withdrawn JP2013025226A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011161941A JP2013025226A (ja) 2011-07-25 2011-07-25 トナー、画像形成装置、及び画像形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011161941A JP2013025226A (ja) 2011-07-25 2011-07-25 トナー、画像形成装置、及び画像形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013025226A true JP2013025226A (ja) 2013-02-04

Family

ID=47783596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011161941A Withdrawn JP2013025226A (ja) 2011-07-25 2011-07-25 トナー、画像形成装置、及び画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013025226A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013161066A (ja) * 2012-02-09 2013-08-19 Canon Inc トナー用離型剤およびこれらの離型剤を用いたトナー
JP2016143023A (ja) * 2015-02-05 2016-08-08 富士ゼロックス株式会社 導電性部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置、および導電性部材の製造方法
JP2018163256A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用圧力定着トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2019168490A (ja) * 2018-03-22 2019-10-03 キヤノン株式会社 トナー
JP2020140049A (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 キヤノン株式会社 記録物形成方法、記録物およびトナー

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013161066A (ja) * 2012-02-09 2013-08-19 Canon Inc トナー用離型剤およびこれらの離型剤を用いたトナー
JP2016143023A (ja) * 2015-02-05 2016-08-08 富士ゼロックス株式会社 導電性部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置、および導電性部材の製造方法
JP2018163256A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用圧力定着トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2019168490A (ja) * 2018-03-22 2019-10-03 キヤノン株式会社 トナー
JP7129185B2 (ja) 2018-03-22 2022-09-01 キヤノン株式会社 トナー
JP2020140049A (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 キヤノン株式会社 記録物形成方法、記録物およびトナー
JP7237650B2 (ja) 2019-02-27 2023-03-13 キヤノン株式会社 記録物形成方法、記録物およびトナー

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5769016B2 (ja) 電子写真用トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP6066447B2 (ja) トナー並びにこれを用いた画像形成方法
JP6079325B2 (ja) トナー
JP4668887B2 (ja) トナー、並びにこれを用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2010224517A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2009230027A (ja) 静電荷現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2013186219A (ja) 電子写真用トナー、現像剤、及び該トナーの製造方法
JP5678713B2 (ja) 二成分現像剤用キャリア、二成分現像剤、画像形成方法、及び、画像形成装置
JP2013025226A (ja) トナー、画像形成装置、及び画像形成方法
JP5807438B2 (ja) 二成分現像剤用キャリア、二成分現像剤、画像形成方法、及び、画像形成装置
JP2009025744A (ja) 静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP4909233B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2008129416A (ja) トナー、並びにこれを用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP2013007996A (ja) トナー、現像剤、トナー入り容器、画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP5678649B2 (ja) 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像用現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法
JP2009116320A (ja) トナー、並び現像剤、及び画像形成装置
JP2013054085A (ja) 定着装置、画像形成装置、定着方法及び画像形成方法
JP2009151189A (ja) 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置
JP2007079381A (ja) トナー及びその製造方法、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2008111987A (ja) 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像用キャリアの製造方法、静電荷像現像用現像剤及び画像形成装置
JP5949580B2 (ja) 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2015072359A (ja) トナー、現像剤、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2013105051A (ja) 画像形成装置
JP2014095814A (ja) 画像定着方法、画像定着装置、画像形成方法、及び画像形成装置
JP2014119627A (ja) 画像定着装置、画像定着方法、画像形成装置、及び画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20141007