JP6632317B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、高速印刷化や省エネルギー対応への要求が更に高まっている。また、ユーザーの使用環境も多様化しており、様々な環境下において高品質な画像を安定的に出力できることも求められている。
高速印刷に対応するため、定着工程においてトナーをより素早く溶融させる技術が検討されている。また、省エネルギー対応策として、定着工程での消費電力を低下させるために、トナーをより低い定着温度で定着させる技術が検討されている。
高速印刷に対応し、トナーの低温定着性を向上させるためには、トナーの結着樹脂のガラス転移点や軟化点を下げる、シャープメルト性を有する結着樹脂を用いるといった方法がある。
近年、そのシャープメルト性をさらに向上させるために、結着樹脂に結晶性ポリエステル樹脂を含有させたトナーが開発されてきている。トナー中に結晶性ポリエステルを含有させることで、定着温度で素早く溶融しながらも、定着温度までは硬さを維持できるため、低温定着性と保存安定性を両立させることが可能である。
特許文献1では、主たる結着樹脂と結晶性ポリエステルに加え、結晶性ポリエステル分散剤を使用し、結着樹脂と結晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル分散剤の溶解度パラメーターの関係を規定したトナーが提案されている。溶解度パラメーターを所定の範囲に調整することにより、結着樹脂中に結晶性ポリエステルを微分散させかつトナー表面に偏在させないことにより、従来の保存性を満足しつつ低温定着性と耐フィルミング性を良化することが開示されている。
また、様々な環境下において高品質な画像を安定的に出力できるためには、トナーの帯電性、特に高温高湿下における帯電性を向上させることが必要である。この手法の一つとして、トナー中に荷電制御剤を添加することが提案されている。
特許文献2では、結晶性ポリエステル樹脂と荷電制御剤としてアゾ系鉄錯体化合物とを含有するトナーが提案されている。アゾ系鉄錯体化合物を用いることで、トナーの初期の帯電性を向上させるとともに、長期間の使用においても帯電性の変化が小さく、カブリ等の画像弊害を起こさないトナーが得られることが開示されている。
特開2012−063559号公報 特開2013−222052号公報
しかし、上記の提案によるトナーを用いて高温高湿下で画像を出力したところ、印刷された画像の白地部にカブリが発生しているものが得られる場合があった。したがって、前述の市場要求である、様々な環境下において高品質な画像を安定的に出力できるところまでは至っておらず、さらなる改善の余地がある。
本発明の目的は、上記の課題を解決したトナーを提供することにある。具体的には、低温定着性と耐熱保存性を満足させ、さらに高温高湿環境においても高品質な画像を安定的に得られる環境安定性に優れたトナーを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明のトナーは、結着樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂は、多価アルコールの総モル数に対して芳香族多価アルコールを90モル%以上含有したアルコール成分と、多価カルボン酸成分とを含む単量体組成物を縮重合して得られた非晶性樹脂であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコールの主成分として炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、多価カルボン酸の主成分として炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸とを含む単量体組成物を縮重合して得られた結晶性ポリエステル樹脂であり、
さらに前記トナー粒子は、下記式(1)で示される化合物を含有する
ことを特徴とするトナーである。
Figure 0006632317
(式(1)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。Bは水素原子又はアルキル基を示す。Mは、Fe原子、Cr原子、又はAl原子を示し、Xは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。)
本発明によれば、低温定着性を有して定着装置における電力消費を抑えることができて省エネを達成しつつ、優れた耐熱保存性を有し、高温高湿環境下においてもカブリのない高品質な画像を安定的に得られる環境安定性に優れたトナーを提供することができる。
トナーの流動曲線の模式図である。 本発明に用いられる熱球形化処理装置の図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明のトナーは、結着樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂は、多価アルコールの総モル数に対して芳香族多価アルコールを90モル%以上含有したアルコール成分と、多価カルボン酸成分とを含む単量体組成物を縮重合して得られた非晶性樹脂であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコールの主成分として炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、多価カルボン酸の主成分として炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸とを含む単量体組成物を縮重合して得られた結晶性ポリエステル樹脂であり、
さらに前記トナー粒子は、下記式(1)で示される化合物を含有する。
Figure 0006632317
式(1)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。Bは水素原子又はアルキル基を示す。Mは、Fe原子、Cr原子、又はAl原子を示し、化合物の対イオンXは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示すが、好ましくは、水素イオンである。
前記結着樹脂、前記結晶性ポリエステル樹脂及び前記式(1)で示される化合物を含有しているトナーは、これらを満たさないトナーに比べ、低温定着性および高温高湿環境における帯電性が向上するとともに、耐熱保存性が格段に向上することが確認された。
この効果が発現するメカニズムは完全には明らかになっていないが、本発明者らは次のように推定している。
式(1)で示される化合物は、吸水しにくい特性を有しているため、主に荷電制御剤として式(1)で示される化合物を用いることで、高湿環境に晒されても荷電制御剤の摩擦帯電性を維持することができ、画像濃度やカブリが良好になる。
また、式(1)で示される化合物がトナー内部で微分散することにより、式(1)で示される化合物の中心に存在している金属と結着樹脂中に存在しているエステル結合部が相互作用していると考えられる。加えて、式(1)で示される化合物の中心に存在している金属と結晶性樹脂中に存在するエステル結合部とも相互作用を起こすことにより、式(1)で示される化合物が結着樹脂と結晶性樹脂間の架橋剤的な役割を果たすことにより、トナーの軟化点が上昇する。
また、定着温度近辺においては結晶性ポリエステル樹脂が可塑効果を発現するが、この可塑効果は芳香族多価アルコールを90モル%以上含有したアルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮重合して得られた非晶性樹脂に対して顕著に効果を発揮する。
以上の組み合わせにより、低温定着性および高温高湿環境における帯電性が向上するとともに、耐熱保存性が格段に向上すると考えられる。
<荷電制御剤>
本発明のトナーは、上記の式(1)に示す化合物を主に荷電制御剤として用いることで、従来のトナーに比較して、吸水性を飛躍的に抑制できることを見出した。上記の式(1)に示す化合物を主に荷電制御剤として用いることで吸水性が抑制される詳しい理由は明らかではないが、ピラゾロン骨格を配位子内に有することが吸水性の抑制に寄与していると考えられる。上述した様に、式(1)に示す化合物を用いることにより、トナーの摩擦帯電性を維持することができる。その結果、トナーの低温定着性と摩擦帯電性とを高いレベルで両立させることができる。
上記式(1)で表される化合物は、下記式(2)で表されるモノアゾ鉄錯体化合物であることが好ましい。
Figure 0006632317
(式(2)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。Bは水素原子又はアルキル基を示す。Xは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。)
即ち、配位金属が鉄であることが好ましい。配位金属を鉄とすることで、トナーに長期に亘り安定な摩擦帯電性を与えることができる。
上記式(1)で表される化合物は、下記式(3)で表されるモノアゾ鉄錯体化合物であることがさらに好ましい。
Figure 0006632317
(式(3)中、Xは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。)
式(3)に示す構造をとることで、湿度履歴の影響をより受け難くなる。
荷電制御剤である化合物をトナー粒子に含有させる方法としては、予めトナー粒子を製造し、トナー粒子の表面に荷電制御剤を添加(外添)する方法や内部に添加(内添)する方法が挙げられる。
内部に添加(内添)する方法としては、荷電制御剤を着色剤とともに結着樹脂に添加し、混練し、粉砕する方法、又は重合性の単量体モノマーに荷電制御剤を添加し、重合させてトナー粒子を得る方法が挙げられる。
前記式(1)で示される化合物の含有量は、結着樹脂(非晶性樹脂)と結晶性ポリエステル樹脂との合計100質量部に対し0.5質量部以上5.0質量部以下が好ましい。
前記式(1)で示される化合物の含有量が0.5質量部以上であると高温高湿下での帯電性及び保存性に優れる。
前記式(1)で示される化合物の含有量が5.0質量部以下であると低温定着性が優れる。
<結晶性ポリエステル樹脂>
本発明のトナーは、定着助剤として結晶性ポリエステル樹脂を含有する。
トナー粒子に含まれる結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸とを、主成分として含む単量体組成物を縮重合反応させることにより得られる。
炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖状の脂肪族ジオールがより好ましい。例えば、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコールが挙げられる。これらの中でも、特に1,6−ヘキサンジオールの如き直鎖脂肪族、α,ω−ジオールが好ましく例示される。
「主成分として」とは、多価アルコールのうち、50質量%以上、好ましくは70質量%以上が、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを含む、ことを意味する。
炭素数6以上12以下の脂肪族ジオール以外のアルコール成分としては、特に限定されないが、炭素数2以上5以下又は13以上22以下の鎖状の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖状の脂肪族ジオールがより好ましい。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。
また、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を含むこともできる。
該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA(ビスフェノールA EO付加物)、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA(ビスフェノールA PO付加物)等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のアルコ−ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性アルコールなどが挙げられる。
一方、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸であることがより好ましい。具体例としてはアジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
「主成分として」とは、多価カルボン酸のうち、50質量%以上、好ましくは70質量%以上が、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を含む、ことを意味する。
炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸成分としては、特に限定されないが、炭素数2以上5以下又は13以上22以下の鎖状の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタコン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
また、脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。
その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなども含まれる。
また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体等も含まれる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコ−ル単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応させた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って縮重合反応させることで所望の結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。
上記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記縮重合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応または縮重合反応において、得られる結晶性ポリエステル樹脂の強度を上げるために、全単量体を一括混合してもよい。また、低分子量成分を少なくするために、2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、非晶性樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との合計100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、1.0質量部以上であると、低温定着性が優れる。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、20.0質量部以下であると保存性が優れる。
<結着樹脂 非晶性樹脂>
本発明のトナーに用いられる非晶性樹脂は、多価アルコールの総モル数に対して芳香族多価アルコールを90モル%以上含有したアルコール成分と、多価カルボン酸成分とを含む単量体組成物を縮重合して得られた非晶性樹脂である。ここで、分岐ポリマーを作製する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
芳香族多価アルコールとしては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン;下記式(A)で示されるビスフェノールA及びその誘導体;下記式(B)で示されるジオール類;が挙げられる。
下記式(A)で示されるビスフェノールAの誘導体としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物など)が好ましい。
Figure 0006632317
(式(A)中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、「x+y」の平均値は0以上10以下である。)
Figure 0006632317
芳香族多価アルコール以外の多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールAが挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。
これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
結着樹脂(非晶性樹脂)に用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。
これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂を主成分とするならば他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であっても良い。例えば、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。
ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットとポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、
ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニット及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、本発明では結着樹脂として、ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来より結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用することができる。このような樹脂化合物としては、例えばフェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
また、本発明の結着樹脂のピーク分子量は8000以上13000以下であることが、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を得ることができるという観点から好ましい。また、本発明の結着樹脂の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における優れた帯電安定性を得ることができるという観点から好ましい。さらに、本発明の結着樹脂の水酸基価は2mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが、優れた低温定着性と保存性を得ることができるという観点から好ましい。
また、本発明の結着樹脂は、低分子量の結着樹脂Bと高分子量の結着樹脂Aを混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量の結着樹脂Aと低分子量の結着樹脂Bの含有比率(A/B)は質量基準で10/90以上60/40以下であることが、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を得ることができるという観点から好ましい。
高分子量の結着樹脂Aのピーク分子量は10000以上20000以下であることが、優れた耐ホットオフセット性を得ることができるという観点から好ましい。また、高分子量の結着樹脂の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における優れた帯電安定性を得ることができるという観点から好ましい。
低分子量の結着樹脂Bの数平均分子量は1500以上3500以下であることが、優れた低温定着性を得ることができるという観点から好ましい。また、低分子量の結着樹脂の酸価は10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における優れた帯電安定性を得ることができるという観点から好ましい。
<その他の結着樹脂>
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、顔料分散性を向上させたり、トナーの帯電安定性、耐ブロッキング性を改善したりする目的で上記非晶性樹脂以外に下記の重合体を本発明の効果を阻害しない量で添加することも可能である。
本発明のトナーの結着樹脂に用いられるその他の樹脂としては、例えば以下の樹脂が挙げられる。ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
<ワックス>
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、定着ラチチュードと画像安定性を両立させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。含有量が1質量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのオフセットや分離不良を起こす場合がある。一方、20質量部を超えると、トナーの機械的強度が低下するため、連続出力時の画像安定性が低下する場合がある。
<着色剤>
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
<無機微粒子(主に外添剤)>
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粉体が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粉体であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粉体を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができる。
<現像剤>
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
<製造方法>
トナー粒子を製造する方法としては、溶融混練法、乳化転相法、懸濁重合法、乳化凝集法など、従来から公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。荷電制御剤や結晶性ポリエステル樹脂を非晶性樹脂中に微分散させるという観点から、結着樹脂と、樹脂組成物と、結晶性ポリエステル樹脂を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する溶融混練法が好ましい。
以下、溶融混練法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂及びワックス、着色剤、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機((株)池貝製)、2軸押出機((有)ケイシーケイ応用技術研究所製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、分級品(トナー粒子)を得る。中でも、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)は、分級と同時にトナー粒子の球形化処理を行うことができ、転写効率の向上という点で好ましい。
更に必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤が外添処理される。外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
トナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
<樹脂の重量平均分子量の測定方法>
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定した。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。その後得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー(株)製)で濾過してサンプル溶液を得た。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整した。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定した。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー(株)製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー(株)製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用した。
<無機微粒子のBET比表面積の測定>
無機微粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行った。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000((株)島津製作所製)」を用いた。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続されている。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明における無機微粒子のBET比表面積とした。
なお、BET比表面積は以下のようにして算出した。
まず、無機微粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)と外添剤の窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定した。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得た。次いで、外添剤の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求めた。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプルの種類、吸着ガスの種類、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて該の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、該で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、無機微粒子のBET比表面積S(m2/g)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定した。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5mL)の風袋を精秤した。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約0.1gの外添剤を入れた。
無機微粒子を入れた該試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061((株)島津製作所製)」にセットし、温度23℃にて真空脱気を約10時間継続した。なお、真空脱気の際には、無機微粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気した。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となった。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外した。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差から外添剤の正確な質量を算出した。なお、この際に、試料セル内の外添剤が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をした。
次に、無機微粒子が入った該試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付けた。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、該装置の分析ポートに試料セルをセットした。なお、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行った。フリースペースは、温度23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を、同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出した。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却した。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してトナーに窒素分子を吸着させた。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより該吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換した。なお、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定した。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出した。さらに、このVmの値を用いて、上述したように無機微粒子のBET比表面積を算出した。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定した。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れた。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定した。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行った。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡をあらかじめ除去した。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加えた。
コンタミノンN:非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加した。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続した。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行った。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出した。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」を重量平均粒径(D4)とした。
<トナー粒子の平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス(株)製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は、1視野が512画素×512画素であり、1画素あたり0.37×0.37μmの画像処理解像度で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円形当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円形当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が真円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなるほど円形度は小さい値になる。
各粒子の円形度を算出後、円形度0.2から1.0の範囲を800分割したチャンネルに振り分け、各チャンネルの中心値を代表値として平均値を計算し平均円形度の算出を行う。
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mLに、分散剤として界面活性剤、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.02g加えた後、測定試料0.02gを加え、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
分散処理には、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」、(株)ヴェルヴォクリーア製)を用いる。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定し、トナーの平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置(DSC:Differential Scanning Calorimetry)「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲温度30〜200℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
<ワックスおよび結晶性ポリエステルのDSC吸熱量(ΔH)の測定>
本発明におけるトナー等(トナー、結晶性ポリエステル)の最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、DSC Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/分
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
トナーを試料とする場合において、
最大吸熱ピーク(結着樹脂由来の最大吸熱ピーク)がワックス及び結晶性樹脂以外の樹脂の吸熱ピークと重なっていない場合は、
得られた最大吸熱ピークの吸熱量をそのままワックス及び結晶性樹脂に由来する最大吸熱ピークの吸熱量として扱う。
一方、結着樹脂の最大吸熱ピークがワックス及び結晶性樹脂以外の樹脂の吸熱ピークと重なっている場合は、
得られた最大吸熱ピークの吸熱量からワックス及び結晶性樹脂以外の樹脂に由来する吸熱量を、差し引く必要がある。
なお、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことを意味する。また、最大吸熱ピークの吸熱量(ΔH)はピークの面積から装置付属の解析ソフトを用いて計算により求める。
<トナーの軟化点の測定方法>
トナーの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」((株)島津製作所製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminとの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である(流動曲線の模式図を図1に示す)。
測定試料は、約1.0gのトナーを、温度25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム(株)製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:150℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/分
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例に基づいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。
[非晶性樹脂A1の製造例]
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコールの総モル数に対して100.0モル%)
・テレフタル酸:
28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸の総モル数に対して100.0モル%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、温度180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:
1.3質量部(0.01モル;多価カルボン酸の総モル数に対して4.0モル%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させた。そして、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、Tg=57℃の非晶性樹脂A1を得た。
[非晶性樹脂A2〜A5の製造例]
多価アルコール成分のモノマー及びモル%を表1に示すように変更した以外は非晶性樹脂A1の製造例と同様にして、非晶性樹脂A2〜A5を得た。
Figure 0006632317
[結晶性ポリエステル樹脂B1の製造例]
・1,6−ヘキサンジオール:
34.5質量部(0.29モル;多価アルコールの総モル数に対して100.0モル%)
・ドデカン二酸:
65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸の総モル数に対して100.0モル%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した。その後、表2に示した、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた1種以上の脂肪族化合物を、原料モノマー100.0モル%に対し7.0モル%加え、常圧下にて温度200℃で2時間反応させた。
その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して温度200℃で3時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂B1を得た。
また、DSC測定による吸熱ピークより求めた結晶性ポリエステル樹脂B1のTm(融点)は、73℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂B2の製造例]
用いた脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた1種以上の脂肪族化合物を表2に示すとおり変更した以外は、結晶性ポリエステル樹脂B1の製造例と同様に製造した。
Figure 0006632317
[荷電制御剤C1の製造例]
水76.5質量部及び35%塩酸15.2質量部の混合溶液中に、4−クロロ−2−アミノフェノールの10質量部を加え、冷却下で撹拌した。氷冷し、溶液の温度が0℃〜5℃になるように維持し、水24.6質量部に溶解させた亜硝酸ナトリウム13.6質量部を塩酸水溶液に滴下し、2時間撹拌しジアゾ化した。これにスルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、濾過を行ってジアゾ溶液とした。
次に、3−メチル−1−(3,4−ジクロロフェニル)−5−ピラゾロンの12.0質量部を水87質量部、25%水酸化ナトリウム12.1質量部、炭酸ナトリウム4.9質量部、及びn−ブタノール104.6質量部の混合溶液に添加し溶解させた。そこに上記ジアゾ溶液を加え、温度20℃〜22℃で4時間攪拌し、カップリング反応を行った。その後、水92.8質量部、25%水酸化ナトリウム水溶液43.5質量部を加え攪拌洗浄し、下層の水層を分液除去した。
次に、水42.2質量部、サリチル酸5.9質量部、ブタノール24.6質量部、及び15%炭酸ナトリウム48.5質量部を上記反応液に添加し攪拌した。さらに、38%塩化第二鉄水溶液15.1質量部と15%炭酸ナトリウム18.0質量部を加え、酢酸で反応液のpHを4.5に調整した。液温を温度30℃に昇温した後、8時間攪拌し錯体化反応を行った。攪拌停止後、静置して下部水層を分液した。更に水189.9質量部を加え攪拌洗浄し、下部水層を分液した。濾過後、水253質量部でケーキを洗浄した。温度60℃で24時間真空乾燥の後、モノアゾ金属錯体化合物である荷電制御剤(C−1)を得た。
赤外吸収スペクトル、可視部吸収スペクトル、元素分析(C,H,N)、原子吸光分析、マススペクトルより、荷電制御剤(C−1)の構造を同定した。荷電制御剤(C−1)の構造を表3に示す。表3中の置換基A、A、Aの結合部位は、下記式(1)中の数字に対応している。
Figure 0006632317
[荷電制御剤C2の製造例]
荷電制御剤(C1)の製造例において、3−メチル−1−(3,4−ジクロロフェニル)−5−ピラゾロンを3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロンに変更した。それ以外は、荷電制御剤(C1)の製造例と同様にして、モノアゾ金属錯体化合物である荷電制御剤(C2)を得た。
[荷電制御剤C3の製造例]
荷電制御剤(C2)の製造例において、金属化に用いた塩化第二鉄水溶液を塩化アルミニウム水溶液に変更した。それ以外は、モノアゾ金属錯体化合物(C2)の製造例と同様にして、モノアゾ金属錯体化合物である荷電制御剤(C3)を得た。
Figure 0006632317
<トナー製造例1>
・非晶性樹脂A1 90質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B1 10質量部
・化合物C1 2質量部
・ワックス(フィッシャートロプシュワックス、融点90℃) 5質量部
・カーボンブラック(キャボット社製 Nipex35) 5質量部
該処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5分で混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイント・ターボ(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が6.5μmであった。
得られたトナー粒子を用い、図2に示す熱球形化処理装置によって熱処理を行い熱処理トナー粒子を得た。運転条件はフィード量=5kg/時間とし、また、熱風温度C=220℃、熱風流量=6m/分、冷風温度E=5℃、冷風流量=4m/分、冷風絶対水分量=3g/m、ブロワー風量=20m/分.、インジェクションエア流量=1m/分とした。得られた処理トナー粒子は、平均円形度が0.964、重量平均粒径(D4)が6.5μmであった。
得られた処理トナー粒子100質量部に、一次平均粒子径13.0nmのシリカ微粒子 1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM75型、日本コークス工業(株)製)で周速度45m/秒、5分混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1を得た。トナー1の概要および円形度を表4に示す。
また、トナー1を温度55℃/相対湿度41%に48時間静置し、DSC吸熱量(ΔH)を求めたところ、温度63℃付近をピークに持つ結晶性ポリエステル由来の吸熱曲線と、温度90℃付近をピークに持つワックス由来の吸熱曲線が得られた。
<トナー製造例2〜15、17〜20>
表4に示す通り、材料の種類、添加部数、熱処理の有無を変更した以外は、トナー製造例1と同様に行った。トナー2〜15、17〜20の概要を表4に示す。
また、トナー2〜15、17〜20を温度55℃/相対湿度41%に48時間静置し、DSC吸熱量(ΔH)を求めたところ、トナー2〜15、トナー17及びトナー20において温度63℃付近をピークに持つ結晶性ポリエステル由来の吸熱曲線が得られた。トナー19においては温度97℃付近をピークに持つ結晶性ポリエステル由来の吸熱曲線が得られた。
また、すべてトナーにおいて温度90℃付近をピークに持つワックス由来の吸熱曲線が得られた。
Figure 0006632317
<トナー製造例16>
[結着樹脂微粒子分散液(1)]
前記非晶性樹脂A4 100質量部をテトラヒドロフラン150質量部に溶解した。このテトラヒドロフラン溶液を室温においてホモジナイザー(IKAジャパン製:ウルトラタラクス)にて10000rpmで2分間攪拌しながら、界面活性剤として水酸化カリウム5質量部およびドデシルベンゼン−スルホン酸ナトリウム10質量部を添加したイオン交換水1000質量部を滴下した。この混合溶液を約75℃に加温することによりテトラヒドロフランを除去した。その後、固形分が8%になるようにイオン交換水で希釈し、体積平均粒径0.09μmの結着樹脂微粒子分散液(1)を得た。
[結着樹脂微粒子分散液(2)]
前記結着樹脂微粒子分散液(1)の調製において、前記結着樹脂A4を前記結晶性ポリエステル樹脂B1に代えた以外は同様にして結着樹脂微粒子分散液(2)を得た。
[荷電制御剤分散液の調製]
・化合物C3 90質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC) 10質量部
・イオン交換水 250質量部
上記成分を、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で10分間撹拌後、超音波バスにより30分間分散し、黒色着色剤分散液を得た。分散液中の顔料粒子の体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装(株)製)を用いて測定し、0.21μmであった。
[黒色着色剤分散液の調製]
・カーボンブラック(キャボット社製 Nipex35) 90質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC) 10質量部
・イオン交換水 250質量部
上記成分を、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で10分間撹拌後、超音波バスにより30分間分散し、黒色着色剤分散液を得た。分散液中の顔料粒子の体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装(株)製)を用いて測定し、0.11μmであった。
[離型剤微粒子分散液の調製]
・離型剤(フィッシャートロプシュワックス、融点90℃) 10質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK) 1質量部
イオン交換水 89質量部
以上を撹拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック(株)製)へ循環しながらローター外径が3cm、クリアランスが0.3mmの剪断撹拌部位にて、ローター回転数19000r/分、スクリーン回転数19000r/分の条件にて撹拌し、60分間分散処理した後、ローター回転数1000r/分、スクリーン回転数0r/分、冷却速度10℃/分の冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、離型剤微粒子の水系分散液を得た。また、体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装(株)製)を用いて測定し、0.15μmであった。
(トナー粒子16の製造例)
・結着樹脂微粒子分散液(1) 7.8質量部(非晶性樹脂相当分)
・結着樹脂微粒子分散液(2) 2.2質量部(結晶性樹脂相当分)
・荷電制御剤分散液 0.2質量部(荷電制御剤相当分)
・黒色着色剤分散液 0.5質量部(着色剤相当分)
・離型剤微粒子分散液 0.5質量部(離型剤相当分)
・1.5質量%硫酸マグネシウム水溶液 10質量部
・イオン交換水 残部
全量 100質量部
上記を、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた。続いて、0.1N水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.1に調整した。その後、加熱用ウォーターバス中で45℃まで撹拌翼にて撹拌しながら加熱した。温度45℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。5質量%クエン酸三ナトリウム水溶液40質量部加えた後、撹拌を継続しながら85℃まで昇温して90分間保持しコア粒子を融合させた。次いで、撹拌を継続しながら、ウォーターバス内に水を入れ、25℃まで冷却した。また、コア粒子の粒径をコールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:コールター社製)で測定したところ、体積基準のメジアン径は5.6μmであった。
その後、ろ過・固液分離した後、水酸化ナトリウムでpHを8に調整した800質量部のイオン交換水を固形分に加え30分間撹拌洗浄した。その後再びろ過・固液分離を行った。続いて、800質量部のイオン交換水を固形分に加え30分間撹拌洗浄した。その後再びろ過・固液分離を行い、これを5回繰り返した。次に、得られた固形分を乾燥させることにより、トナー粒子16を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、一次平均粒子径13.0nmのシリカ微粒子 1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM75型、日本コークス工業(株)製)で周速度45m/秒、5分混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー16を得た。トナー16の粒径および円形度を表4に示す。
また、トナー16を温度55℃/相対湿度41%に48時間静置し、DSC吸熱量(ΔH)を求めたところ、温度63℃付近をピークに持つに結晶性ポリエステル由来の吸熱曲線と、温度90℃付近をピークに持つワックス由来の吸熱曲線が得られた。
<トナー21製造例>
荷電制御剤(化合物C4)として、下記式(4)の構造を有する鉄アゾ錯体(保土谷化学工業(株)製、商品名:T−77)を用い、その他の材料を表4に示したものを用いた以外は、トナー製造例1と同様にしてトナー21を作製した。下記式(4)中、a+b+cは1である。
Figure 0006632317
また、トナー21を温度55℃/相対湿度41%に48時間静置し、DSC吸熱量(ΔH)を求めたところ、温度63℃付近をピークに持つ結晶性ポリエステル由来の吸熱曲線と、温度90℃付近をピークに持つワックス由来の吸熱曲線が得られた。
<磁性コア粒子の製造例>
工程1(秤量・混合工程):
・Fe23 60.2質量%
・MnCO3 33.9質量%
・Mg(OH)2 4.8質量%
・SrCO3 1.1質量%
となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、ジルコニア(直径:10mm)のボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中で温度1000℃で3時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。フェライトの組成は、下記の通り。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe)d
上記式において、a=0.39、b=0.11、c=0.01、d=0.50
工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、ジルコニア(直径:10mm)のボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで2時間粉砕した。
そのスラリーを、ジルコニアのビーズ(直径:1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで4時間粉砕し、フェライトスラリーを得た。
工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対してポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、約36μmの球状粒子に造粒した。
工程5(本焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%以下)で、温度1150℃で4時間焼成した。
工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性コア粒子1を得た。
<コート樹脂の製造例>
・シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量部
・メチルメタクリレートモノマー 0.2質量部
・メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量部
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
・トルエン 31.3質量部
・メチルエチルケトン 31.3質量部
上記材料を、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、2.0質量部のアゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してコート樹脂を得た。
<磁性キャリア製造例>
・コート樹脂 20.0質量%
・トルエン 80.0質量%
上記材料をビーズミルで分散混合し、樹脂液を得た。
該磁性コア粒子100質量部をナウタミキサに投入し、さらに、該樹脂液を樹脂成分として2.0質量部になるようにナウタミキサに投入した。減圧下で温度70℃に加熱し、100rpmで混合し、4時間かけて溶媒除去及び塗布操作を行った。その後、得られた試料をジュリアミキサーに移し、窒素雰囲気下、温度100℃で2時間熱処理した後、目開き70μmの篩で分級して磁性キャリアを得た。得られた磁性キャリアの体積分布基準50%粒径(D50)は、38.2μmであった。
以上のトナー1〜21と該磁性キャリアで、トナー濃度が8.0質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s−1、回転時間5分で混合し、二成分系現像剤1〜21を得た。
Figure 0006632317
<実施例1>
画像形成装置として、キヤノン(株)製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C9075 PRO改造機を用いて、後述の評価を行った。シアン位置または/及びマゼンタ位置の現像器に二成分系現像剤1を入れ、紙上のトナーの載り量が所望になる画像を形成した。改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表6に示す。
[低温定着性評価]
紙:CS−680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)
紙上のトナーの載り量:1.20mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に10cmの画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境:温度15℃/相対湿度10%(以下「L/L」)
定着温度:170℃
プロセススピード:450mm/秒
上記評価画像を出力し、低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。画像濃度低下率は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定した。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、画像濃度を再度測定した。そして、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)を測定した。評価結果は以下の基準でA〜Dにランク付けしたが、本発明ではランクCまでが許容できるレベルである。
(評価基準)
A:濃度低下率2.0%未満 (非常に優れている)
B:濃度低下率2.0%以上、5.0%未満 (良好である)
C:濃度低下率5.0%以上、15.0%未満 (普通)
D:濃度低下率15.0%以上 (悪い)
[高温高湿下での帯電性]
高温高湿下での帯電性の評価は、高温高湿環境下(温度30℃/80%)において、初期および画像印字比率40%の条件で連続50000枚出力後、A3紙全面に00hのベタ画像(ベタ白画像)を印字し、以下の基準で判断した。印字しない紙の6点の平均反射率Dr(%)と、印字した紙の6点の平均反射率Ds(%)とを、リフレクトメータ((有)東京電色製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定し、カブリ率(%)を求めた。
カブリ率(%)=Dr(%)−Ds(%)
評価結果は以下の基準でA〜Dにランク付けしたが、本発明ではランクCまでが許容できるレベルである。
(評価基準)
A:カブリ率が0.5%未満 (非常に優れている)
B:カブリ率が0.5以上1.5%未満 (良好である)
C:カブリ率が1.5以上3.0%未満 (普通)
D:カブリ率が3.0%以上 (悪い)
[保存性]
100ccのポリカップにトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(温度55℃/41%)に48時間静置し、静置後にトナーの凝集性を評価した。凝集性は、ホソカワミクロン(株)製パウダーテスタPT-Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き20μmのメッシュで振るった際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。
評価結果は以下の基準でA〜Dにランク付けしたが、本発明ではランクCまでが許容できるレベルである。
(評価基準)
A:残存率2.0%未満 (非常に優れている)
B:残存率2.0%以上、10.0%未満 (良好である)
C:残存率10.0%以上、15.0%未満 (普通)
D:残存率15.0%以上 (悪い)
<実施例2〜16、および比較例1〜5>
二成分系現像剤2〜21を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表6に示す。
Figure 0006632317
1.原料定量供給手段
2.圧縮気体流量調整手段
3.導入管
4.突起状部材
5.供給管
6.処理室
7.熱風供給手段
8.冷風供給手段
9.規制手段
10.回収手段
11.熱風供給手段出口
12.分配部材
13.旋回部材
14.粉体粒子供給口

Claims (7)

  1. 結着樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結着樹脂は、多価アルコールの総モル数に対して芳香族多価アルコールを90モル%以上含有したアルコール成分と、多価カルボン酸成分とを含む単量体組成物を縮重合して得られた非晶性樹脂であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコールの主成分として炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、多価カルボン酸の主成分として炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸とを含む単量体組成物を縮重合して得られた結晶性ポリエステル樹脂であり、
    さらに前記トナー粒子は、下記式(1)で示される化合物を含有する
    ことを特徴とするトナー。
    Figure 0006632317
    (式(1)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基又はハロゲン原子を示す。Bは水素原子又はアルキル基を示す。Mは、Fe原子、Cr原子、又はAl原子を示し、Xは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。)
  2. 前記式(1)の化合物が、下記式(2)で示される化合物である請求項1に記載のトナー。
    Figure 0006632317
    (式(2)中、Xは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン又はこれらの混合イオンを示す。)
  3. 前記非晶性樹脂中の芳香族多価アルコールは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記式(1)で示される化合物は、前記非晶性樹脂と前記結晶性ポリエステル樹脂との合計100質量部に対して、0.5質量部以上5.0質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、前記非晶性樹脂と前記結晶性ポリエステル樹脂との合計100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記トナーは、前記非晶性樹脂、前記結晶性ポリエステル樹脂及び前記式(1)で示される化合物を含有する混合物を溶融混練する工程を経て製造されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記トナーは、得られた混練物を冷却し、得られた冷却物を粉砕して得られたトナー粒子を熱処理する工程を経て製造されたものである請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。

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