JP2015210278A - 電子写真用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 炭素数2〜8の脂肪族ジオールAと炭素数9〜14の脂肪族ジオールBを0.33〜3.0のモル比(A/B)で含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂部分と、付加重合系樹脂部分とを含む結晶性樹脂を含有した、電子写真用トナー、並びに
〔2〕 炭素数2〜8の脂肪族ジオールAと炭素数9〜12の脂肪族ジオールBを0.33〜3.0のモル比(A/B)で含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂部分と、付加重合系樹脂部分とを含む、電子写真トナー用結晶性樹脂
に関する。
また、炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。また、トナーの高温高湿下での帯電安定性の観点から、100モル%以下が好ましく、97モル%以下がより好ましく、95モル%以下がさらに好ましく、92モル%以下がさらに好ましい。
この方法では、重縮合反応に適した反応温度条件下で工程(A)を行い、反応温度を低下させ、付加重合反応に適した温度条件下で工程(B)を行う。付加重合系樹脂部分の原料モノマー及び両反応性モノマーは、付加重合反応に適した温度で反応系内に添加にすることが好ましい。両反応性モノマーは付加重合反応と共に重縮合系樹脂部分とも反応する。
工程(B)の後に、再度反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上等の重縮合系樹脂部分の原料モノマー等を重合系に添加し、工程(A)の重縮合反応や両反応性モノマーとの反応をさらに進めることができる。
この方法では、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(B)を行い、反応温度を上昇させ、重縮合反応に適した温度条件下で、工程(A)の重縮合反応を行う。両反応性モノマーは付加重合反応と共に重縮合反応にも関与する。
重縮合系樹脂部分の原料モノマーは、付加重合反応時に反応系内に存在してもよく、重縮合反応に適した温度条件下で反応系内に添加してもよい。前者の場合は、重縮合反応に適した温度でエステル化触媒を添加することで調節できる。
この方法では、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(A)と工程(B)とを行い、反応温度を上昇させ、重縮合反応に適した温度条件下で、必要に応じて架橋剤となる3価以上の重縮合系樹脂部分の原料モノマーを重合系に添加し、工程(A)の重縮合反応をさらに行うことが好ましい。その際、重縮合反応に適した温度条件下では、ラジカル重合禁止剤を添加して重縮合反応だけを進めることもできる。両反応性モノマーは付加重合反応と共に重縮合反応にも関与する。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる樹脂であることが好ましい。
フローテスター「CFT-500D」(島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで0℃まで冷却しそのまま1分間静止させる。その後、昇温速度50℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの頂点の温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の数平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
結晶性樹脂の製造例1
表1、2に示すアルコール成分を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L 容の四つ口フラスコに入れ、120℃に加熱した。120℃にて、表1、2に示すカルボン酸成分の混合物から2.0kgを添加し、さらに160℃まで加熱し、6時間反応させた。その後、表1、2に示す付加重合系樹脂部分の原料モノマー及び両反応性モノマーを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、8.3kPaにて1時間付加重合系樹脂部分の原料モノマーの除去を行った。さらに、残りのカルボン酸成分を添加し、200℃まで8時間かけて昇温、8.3kPaにて30分反応させた。さらに、2-エチルヘキサン酸錫(II)20g及び没食子酸2gを添加し、1時間200℃ にて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、結晶性ハイブリッド樹脂(樹脂C−1〜C−15、C−17、C−18)を得た。
表2に示すアルコール成分とカルボン酸成分を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、140℃で6時間保持、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、2-エチルヘキサン酸錫(II)20g及び没食子酸2gを入れ、200℃にて1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステル(樹脂C−16)を得た。
表3に示す無水トリメリット酸以外の重縮合系樹脂部分の原料モノマー、2-エチルヘキサン酸錫(II)45g及び没食子酸2gを入れ、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコ中、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で235℃で6時間重縮合させた後、160℃まで冷却した。その後、付加重合系樹脂部分の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合物を、160℃で攪拌しながら1時間かけて滴下し、さらに1時間160℃を保持して付加重合反応を行った後、200℃に昇温した。その後、無水トリメリット酸を添加した後、210℃に昇温し、重縮合反応を行い、軟化点が表3に示す軟化点に達するまで反応させて、複合樹脂(樹脂HB−1、HB−2)を得た。
表4に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー、2-エチルヘキサン酸錫(II)45g及び没食子酸2gを入れ、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコ中、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で235℃で6時間重縮合させた後、200℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸を添加した後、210℃に昇温し、重縮合反応を行い、軟化点が表4に示す軟化点に達するまで反応させて、非晶質ポリエステル(樹脂a−1、a−2)を得た。
実施例1〜15及び比較例1〜8
表5に示す樹脂を混合した結着樹脂100質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製、C.I.ピグメントブルー15:3)5質量部、負帯電性荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1質量部及び離型剤「NP-105」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:140℃)2質量部を、ヘンシェルミキサーによく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱温度は120℃であり、混合物の供給速度は10kg/hr、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ジェットミルで体積中位粒径(D50)6.5μmの粉体を得た。
トナーを複写機「AR-505」(シャープ(株)製)に実装し、トナー付着量が0.7mg/cm2の未定着画像(2cm×12cm)を得た。複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機をオフラインで定着可能なように改良した定着機(定着速度200mm/sec)を用い、定着温度を90℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各定着温度で定着試験を行った。定着紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ社製、75g/m2)を使用した。
試験例1の最低定着温度で定着させて得られた印刷物に、縦3cm、横3cm、高さ6.5cm、重さ500gのステンレス製の重りをのせて、速度で0.5m/sで印字上を往復させた。1往復を1回とし、黒い帯状のトナーの付着物が非印字部に最初に現れた時の回数を目視で確認し、スメア性を評価した。回数が多いほど、耐スメア性が良好である。結果を表5に示す。
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)にトナーを実装し、2cm×12cmのベタ画像部(トナー付着量:0.5mg/cm2)を有する未定着の画像を得た。複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した定着機(定着速度:100mm/sec)を用い、定着温度を170℃とし、紙を定着ローラーに通過させ、定着ローラーから剥がれるか定着ローラーに付着するかを目視にて観察し、以下の評価基準に従って、ローラー剥離性を評価した。結果を表5に示す。
A:定着ローラーから紙が剥離し、通過後の紙の折れ曲がりもない。
B:定着ローラーから紙が剥離するが、通過後の紙が折れ曲がる。
C:定着ローラーに紙が付着する。
トナー10gを半径12mmの円筒型容器に入れ、上から100gの重りをのせ、50℃及び相対湿度80%の環境で72時間保持した。パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)に、上から順に、篩いA(目開き250μm)、篩いB(目開き150μm)、篩いC(目開き75μm)の3つの篩を重ね合わせて設置し、篩いA上にトナー10gを乗せて60秒間振動を与えた。篩いA上に残存したトナー質量WA(g)を、篩いB上に残存したトナー質量WB(g)を、篩いC上に残存したトナー質量WC(g)を、それぞれ測定し、下記式に従って算出される値(α)をもとに、保存性を評価した。値(α)が100に近いほど、保存性に優れる。結果を表5に示す。
α=100−(WA+WB×0.6+WC×0.2)/10×100
実施例4と9との対比から、脂肪族ジオールAの炭素数を4から6に変更することで、高湿保存性がやや向上するものの、耐スメア性がやや低下することがわかる。
実施例4と8との対比から、脂肪族ジオールBの炭素数を10から12に変更することで、低温定着性及び高湿保存性がやや向上するものの、耐スメア性がやや低下することがわかる。
実施例4〜6の対比から、脂肪族ジオールAとBのモル比(A/B)が、2.33、1.00、0.46と脂肪族ジオールBが多くなるにつれて、高湿保存性が向上し、脂肪族ジオールAが多くなるにつれて、耐スメア性は向上するが、モル比(A/B)が、1以上では変わらないことがわかる。
結晶性樹脂の重縮合系樹脂部分と付加重合系樹脂部分の質量比が、各々90/10、65/35、95/5である実施例4、10、11の対比から、結晶性樹脂の重縮合系樹脂部分と付加重合系樹脂部分の質量比が90/10である実施例4が耐スメア性、低温定着性、高湿保存性及びローラー剥離性のバランスの観点から優れていることがわかる。
実施例4と12との対比から、付加重合系樹脂部分に、スチレン以外のアルキル(メタ)アクリレートを用いると、耐スメア性、低温定着性、高湿保存性及びローラー剥離性が低下することがわかる。
実施例1、3、4、13の対比から、結晶性樹脂の重縮合系樹脂部分に、1価の炭素数6〜22の脂肪族アルコール又は1価の炭素数6〜22の脂肪酸を用いた場合、高湿保存性及びローラー剥離性に優れ、両方用いることで、さらに耐スメア性にも優れることがわかる。これは、1価の炭素数6〜22の脂肪族アルコール及び/又は1価の炭素数6〜22の脂肪酸が末端のカルボン酸又は水酸基と反応して、樹脂が疎水化したため向上したのではないかと考えられる。
実施例4と実施例14との対比から、結晶性樹脂の酸価が20KOHmg/gである実施例14は、低温定着性、高湿保存性及びローラー剥離性が低下することがわかる。
実施例1と2との対比から、非晶質樹脂に対する結晶性樹脂の質量比が、10/90から30/70に高くなると、高湿保存性及び耐スメア性が低下することがわかる。
実施例1と15との対比から、非晶質樹脂が、重縮合系樹脂部分と付加重合系樹脂部分とを有する複合樹脂である場合、耐スメア性、低温定着性、高湿保存性及びローラー剥離性に優れることがわかる。これは、重縮合系樹脂部分と、付加重合系樹脂部分とを含む結晶性樹脂との相溶性が向上し、より結晶性樹脂が微分散されたためと推定される。
比較例2では、脂肪族ジオールAが多すぎるため、高湿保存性の低下が顕著である。
比較例3では、結晶性樹脂が付加重合系樹脂部分を有していないため、ローラー剥離性及び高湿保存性が低下する。
比較例4では、脂肪族ジオールAだけであり、高湿保存性が低く、比較例5では、脂肪族ジオールBだけであり、耐スメア性及びローラー剥離性の低下が顕著である。
比較例6、7のように結晶性樹脂を用いない場合は、低温定着性及び耐スメア性が低下する。
比較例8のように、脂肪族ジオールAのみが用いられた重縮合系樹脂部分と付加重合系樹脂部分とを含む結晶性樹脂と、脂肪族ジオールBのみが用いられた重縮合系樹脂部分と付加重合系樹脂部分とを含む結晶性樹脂とを単に混合するだけでは、高温保存性、耐スメア性及びローラー剥離性の低下が顕著であり、1つの樹脂中に、脂肪族ジオールAと脂肪族ジオールBが併用されていることが重要であることがわかる。
Claims (10)
- 炭素数2〜8の脂肪族ジオールAと炭素数9〜14の脂肪族ジオールBを0.33〜3.0のモル比(A/B)で含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂部分と、付加重合系樹脂部分とを含む結晶性樹脂を含有した、電子写真用トナー。
- 結晶性樹脂の重縮合系樹脂部分のカルボン酸成分が、炭素数8〜14の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する、請求項1記載の電子写真用トナー。
- 結晶性樹脂の酸価が0.1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である、請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
- 結晶性樹脂における重縮合系樹脂部分と付加重合系樹脂部分の質量比(重縮合系樹脂部分/付加重合系樹脂部分)が、97/3〜60/40である、請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナー。
- 結晶性樹脂の付加重合系樹脂部分がスチレン系樹脂である、請求項1〜4いずれか記載の電子写真用トナー。
- 結晶性樹脂の重縮合系樹脂部分の原料モノマーが、さらに、1価の炭素数6〜22の脂肪族アルコール及び/又は1価の炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸化合物を含む、請求項1〜5いずれか記載の電子写真用トナー。
- 脂肪族ジオールAが炭素数4〜6の脂肪族ジオールを含み、脂肪族ジオールBが炭素数10〜12の脂肪族ジオールを含む、請求項1〜6いずれか記載の電子写真用トナー。
- さらに、非晶質樹脂を含有する、請求項1〜7いずれか記載の電子写真用トナー。
- 非晶質樹脂が、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、及び重縮合系樹脂部分と付加重合系樹脂部分とを有する複合樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項8記載の電子写真用トナー。
- 炭素数2〜8の脂肪族ジオールAと炭素数9〜12の脂肪族ジオールBを0.33〜3.0のモル比(A/B)で含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂部分と、付加重合系樹脂部分とを含む、電子写真トナー用結晶性樹脂。
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