JP2017091617A - カーボンフェルト、二次電池、及び、カーボンフェルトの製造方法 - Google Patents

カーボンフェルト、二次電池、及び、カーボンフェルトの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い電気伝導性及び高い電気化学活性を有するカーボンフェルト、これを用いた二次電池、及び、前記カーボンフェルトの製造方法を提供する。【解決手段】電極に用いられるカーボンフェルトであって、カーボン繊維で構成されたフェルト基材と、前記フェルト基材を構成する前記カーボン繊維の表面を被覆し、且つ、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物を含み、平均被覆率が前記カーボン繊維の表面積の10%〜100%の範囲であるコーティング層と、を有するカーボンフェルト、及びこれを用いた二次電池、並びに、カーボンフェルトの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性の高い物質を表面コーティングしたカーボンフェルト及びこれを用いた二次電池(特にはレドックスフロー電池)、並びに、前記カーボンフェルトの製造方法に関する。
従前から二次電池の蓄電容量や入出力電力を大きくするための開発が継続されている。近年は、風力発電や太陽光発電等の再生可能エネルギーの利用が注目されている。しかし、再生可能エネルギーは発電量が変動するため、電力の変動を平準化したり又は余剰の電力を蓄えたりする必要がある。このような電力を利用し、家庭や工場等に電力を供給できる蓄電容量の大きな二次電池としては、レドックスフロー電池が知られている。レドックスフロー電池は、電解液に含まれるイオンの酸化反応及び還元反応を利用した電池である。レドックスフロー電池としては、鉄−クロム系やバナジウム系等が知られている。
レドックスフロー電池は、充放電に伴う反応がイオンの価数の変化のみであるために蓄電池の寿命が長いという特徴を有する。また、常温で運転可能であり、燃焼性の物質を用いないために、安全性が高いという特徴を有する。このレドックスフロー電池は、正極電解液が充填された正極電解液室と負極電解液が充填された負極電解液室とが隔膜にて仕切られた構造を有する。そして、レドックスフロー電池は、正極電解液のタンク及び負極電解液のタンクを備え、正極電解液室と正極電解液のタンクとの間、及び、負極電解液室と負極電解液のタンクとの間、で電解液を循環させる構造を有する。
このようなレドックスフロー電池の性能を向上させる為には、電池の内部抵抗を削減しエネルギー効率やエネルギー密度を高めることが必要である。その手段の一つとして電極を改良することによりレドックスフロー電池の内部抵抗の削減を図ることが検討されている。
レドックスフロー電池の電極に関してはいくつかの文献に記載がある。例えば、下記非特許文献1には、カーボンフェルト表面にIr(イリジウム)をコーティングすることによって、電気伝導率の向上と反応活性とを高めることが示されている。
下記非特許文献2には、酸化ニオブのナノロッドをフェルト上に分散させることによって、バナジウム系レドックスフロー電池のエネルギー効率を向上させることが示されている。
下記非特許文献3には、ビスマスのナノ粒子をカーボンフェルト上に分散しバナジウム系レドックスフロー電池のエネルギー効率を向上できることが示されている。
下記特許文献1には、炭素電極材集合体の黒鉛結晶構造と表面酸性官能基量、圧縮率、及び、圧縮弾性率とを調整して、レドックスフロー電池のセル抵抗を低減することが示されている。
下記特許文献2には、炭素電極材料の結晶子の大きさ、表面酸性官能基量、表面結合窒素原子数を調整して、バナジウム系レドックスフロー電池の総合効率を高め、かつ充放電サイクル寿命を改善することができることが示されている。
Electrochimica Acta 52 (2007) 6755-6762, W.H. Wang, X.D. Wang Nano Lett. 2014, 14, 158-165, Bin Li, Meng Gu, Zimin Nie,Xiaoliang Wei, Chongmin Wang, Vincent Sprenkle, and Wei Wang Nano Lett. 2013, 13, 1330-1335, Bin Li, Meng Gu, Zimin Nie, Yuyan Shao, Qingtao Luo, Xiaoliang Wei, Xiaolin Li, Jie Xiao, Chongmin Wang,Vincent Sprenkle, and Wei Wang
特開2001−85027号公報 特開2000−357520号公報
上述のように、レドックスフロー電池は、正極室、隔膜及び負極室を含む電池セルを備える。正極室及び負極室の各々には柔軟性のあるカーボンフェルトが電極として用いられており、正極室カーボンフェルトと負極室カーボンフェルトとによって隔膜が挟まれている。カーボンフェルトは、数ミクロンから数十ミクロンの線径のカーボン繊維が絡み合って構成されている。カーボンフェルトはレドックスフロー電池内において電解液に浸されており、電子はカーボンフェルトのカーボン繊維内を導通し、当該カーボン繊維表面で電解液中のイオンと電気化学反応を起こす。
レドックスフロー電池を始めとする電気化学セルの性能を向上させるためには、電極内部のオーム損と、電極表面の反応抵抗とを小さくすることが必要である。レドックスフロー電池では、電解液中に高濃度の硫酸が用いられている。このような腐食性の強い条件で、電気伝導性を有し電気化学反応がおこなえる材料は限定されている。現在は耐蝕性の高いカーボンが用いられており、例えば正極・負極を仕切る隔壁(双極板)としては、黒鉛を主成分としたカーボンプレート、電極としては上述のようにカーボンフェルトが用いられている。また、電気化学セルの性能向上の為には、電気伝導性を有しながら適度な弾性と復元性とを有する電極が有効であるが、その観点からも、現在は電極としては、弾性と復元性に優れたカーボンフェルトが用いられている。しかし、一般的にカーボンは金属に比べて電気伝導性が低く、電極としての反応活性も高いとはいえない。そのため、レドックスフロー電池の性能ロスの多くがカーボンフェルト電極の電極内部オーム損(電気伝導抵抗)と、電極表面反応抵抗ロスとに起因しているという問題がある。
このようなロスを改善するために、前記非特許文献1においては、正極側に用いるカーボンフェルトの表面に、カーボンフェルト質量の50%にも相当するIrをコーティングする方法を開示している。Irは非常に高価な白金族金属である。そのためカーボンフェルト表面に電気伝導性を高めるのに十分な量の厚みでIrをコーティングするとコストが高くなり過ぎるという欠点がある。更にIrを含めた白金族金属は、水素発生の過電圧が低い。このため、負極側で白金族金属を用いた電極を用いると、副反応として水素の発生が多くなる等の不都合が生じるため電極とし使用することが困難であった。また前記非特許文献2においては、酸化ニオブのナノロッドをフェルト上に分散させることによって電極反応の活性を高める工夫をしている。しかし、当該工夫においてもフェルト電極の電気伝導性は改善できないため電池としての性能は十分に高められない。また、このようなナノ粒子はカーボンフェルトから脱落しやすく長時間の使用には耐えられない。前記非特許文献3においてはビスマスのナノ粒子をカーボンフェルト上に分散して反応活性を高める工夫をしている。しかし非特許文献3においても、フェルト電極の電気伝導性を高めていない。
前記特許文献1は表面酸性官能基量を全表面炭素原子数の一定割合として電極材表面の接触抵抗を低く抑えながら、水溶液系電解液との濡れ性を適度に付与して電池性能を改善するものである。また、前記特許文献2にはカーボンフェルトの黒鉛結晶を制御することで性能を改善することが提案されている。しかし、これらはいずれもカーボン材料由来の電気伝導性や電気化学反応活性を本質的に改善できるものではなく、電池性能の改善効果が不十分である。
また、ある種の電池用の電極として性能を高めるため、電極基材に電気化学反応活性の高い触媒をコーティングし、反応抵抗を削減することが通常おこなわれている。このような場合、使用される電極基材として導電性の高い金属が用いられるが、それらの電極基材は、レドックスフロー電池を始めとする電気化学セルの性能向上に必要な、適度な弾性と復元性に乏しい。例えば、電気化学セルの双極板や、高分子の隔膜との密着性を確保しながら、隔膜を物理的に傷つけない為には、適度な弾性と復元性を有した基材が必要であるが、そのような基材は限定されており、金属基材は使用できず、カーボンフェルトが使用できることが知られている。しかし、カーボンフェルトの電気伝導性は、鉄、ニッケル、銅等の金属の1/100以下である。また、高出力の電池には、電極基材としての抵抗を低くし、電圧ロスを下げつつ、電流密度を高めることが重要となる。このため、カーボンフェルトの電気伝導性を高め(即ち、電極内部オーム損を削減し)、同時に反応抵抗を削減できれば、高出力・高性能の電池を形成できる。
一方、白金族金属は、高価であるが、電極触媒として活性が高く、レドックスフロー電池のような高濃度硫酸中でも溶解しにくい。しかし、上述のように、負極側で用いると副反応として水素発生が生じるなどの不都合があり、正極側でしか使用できなかった。
上述の問題を解決すべく、本発明は、高い電気伝導性及び高い電気化学活性を有するカーボンフェルト、これを用いた二次電池、及び、前記カーボンフェルトの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、カーボンフェルトを用いた電池の電極内部オーム抵抗(電気伝導抵抗)と電気化学反応抵抗とを分離して解析し、カーボンフェルトを用いた電池の電極内部オーム抵抗損が電池性能ロスの50%以上を占める場合もあることに注目した。その着眼点を元に検討を行い、本発明者らは、カーボンフェルト基材の繊維の表面を、カーボンよりも導電性の高い物質として白金族貴金属以外の安価な物質でコーティングする事で、電極内部オーム抵抗ばかりでなく電気化学反応抵抗(電気化学活性)についても同時に大幅な改善ができ、且つ負極側での水素発生も起きないことを見いだし、本発明を完成させたものである。
(1)電極に用いられるカーボンフェルトであって、カーボン繊維で構成されたフェルト基材と、
前記フェルト基材を構成する前記カーボン繊維の表面を被覆し、且つ、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物を含み、平均被覆率が前記カーボン繊維の表面積の10%〜100%の範囲であるコーティング層と、を有するカーボンフェルト。
(2)前記非白金族化合物が、銅、鉛、錫、アンチモン及びビスマスから選ばれる少なくとも一種の金属、合金、又は、金属若しくは合金の酸化物である前記(1)に記載のカーボンフェルト。
(3)前記コーティング層の平均厚みが、0.05μm〜5μmの範囲である前記(1)又は(2)に記載のカーボンフェルト。
(4)前記カーボンフェルトの体積弾性係数が、前記コーティング層をコーティングする前の前記フェルト基材の体積弾性係数に対して1.0倍〜5倍の範囲である前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のカーボンフェルト。
(5)前記カーボンフェルトの電気抵抗率が、前記コーティング層をコーティングする前の前記フェルト基材の電気抵抗率の0.95倍〜0.001倍の範囲である前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のカーボンフェルト。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のカーボンフェルトを少なくとも負極側に備えた二次電池。
(7)電極に用いられるカーボンフェルトの製造方法であって、無電解めっきによって、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物で、フェルト基材を構成するカーボン繊維の表面を被覆するコーティング工程を含むカーボンフェルトの製造方法。
(8)前記コーティング工程において、前記フェルト基材に対して一方向からめっき液を供給し、前記めっき液を前記フェルト基材内に通過させつつ前記無電解めっきを施す前記(7)に記載のカーボンフェルトの製造方法。
本発明によれば、高い電気伝導性及び高い電気化学活性を有するカーボンフェルト、これを用いた二次電池、及び、カーボンフェルトの製造方法を提供することができる。
本実施形態におけるカーボンフェルトの表層、中心層、裏層の定義を示す模式図である。 実施例1で用いためっき装置を示す概略図である。 実施例1で作製したカーボンフェルトの写真であって、(1)はフェルト表面の面相対方向の表面写真であり、(2)はフェルト断面(面垂直方向の断面写真)であり、(3)は実施例1のフェルト断面(中心層)の電子顕微鏡写真である。(4)は表面コーティングする前のカーボンフェルト(比較例1)の断面(中心層)の電子顕微鏡写真である。 実施例1で製作したカーボンフェルトの体積弾性係数を測定した体積弾性率測定装置を示す概略図である。 実施例1で製作したカーボンフェルトの電気抵抗率を測定したフェルト抵抗測定装置を示す概略図である。 実施例1で製作したカーボンフェルトを備えるバナジウム系レドックスフロー電池を示す概略図である。 実施例1、並びに、比較例1における電池の電流密度と電圧ロスとの関係を示すグラフである。 インピーダンス測定における等価回路を示す概略図である。 実施例及び比較例における電池のインピーダンス特性を示す図である。 比較例2で用いたカーボンフェルトのめっき装置図を示す概略図である。 (1)〜(6)は、実施例2で製作したカーボンフェルトの電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。なお、本明細書において「〜」を用いて記載される数値範囲は、その前後に記載される数値を含むものである。
≪カーボンフェルト≫
電極に用いられるカーボンフェルトであって、カーボン繊維で構成されたフェルト基材と、前記フェルト基材を構成する前記カーボン繊維の表面を被覆し、且つ、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物を含むコーティング層と、を有する。
本実施形態のカーボンフェルトによれば、二次電池及び電解槽等の電極に用いられ、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物でフェルト基材のカーボン繊維表面をコーティングすることによって、カーボンそのものより高い電気化学活性と高い電子伝導性とを発揮することができる。更に、本実施形態のカーボンフェルトは、コーティング層の厚み等を調整することで、繊維相互の接触抵抗を低くする為の適度な弾性を保持させることができる。これにより、本実施形態によれば、フェルト特有の弾性及び復元性を有するカーボンフェルトを提供することができる。
<フェルト基材>
本実施形態のカーボンフェルトは、フェルト基材を含む。フェルト基材はカーボン繊維(炭素繊維)を含んで構成される。本実施形態における「フェルト基材」は、本実施形態におけるコーティング層の被覆対象となる炭素繊維系材料であって、アクリル繊維のフェルト等からなるプリカーサーを焼成し炭素化した材料(所謂カーボンフェルト)を意味する。
フェルト基材は本実施形態のカーボンフェルトの奏する効果を阻害しない範囲で市販のものを適宜使用することができる。特に限定されるものではないが、適度な弾性率及び復元性の担保と電気化学セル内の圧力損失低減の観点から、フェルト基材のかさ密度は0.2g/m3〜10g/m3が好ましく、1g/m3〜2g/m3が更に好ましく、1.4g/m3〜1.8g/m3が特に好ましい。
フェルト基材に含まれるカーボン繊維は、長繊維状のものや短繊維状のものを用いることができる。本実施形態におけるカーボン繊維の素線径は、カーボンフェルトの柔軟性や表面の粗さ等を考慮すると、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜20μmが更に好ましく、8μm〜12μmが特に好ましい。
フェルト基材自体の体積弾性係数(圧縮率50%)は、フェルト特有の弾性及び復元性を発揮する観点から、0.1kPa〜10.0kPaであることが好ましく、0.5kPa〜5.0kPaが更に好ましく、0.8kPa〜1.2kPaが特に好ましい。前記体積弾性係数の求め方は後述する。
フェルト電極基材の電気抵抗率は、本技術がコーティング層により電極の電気抵抗率を削減するものである為、特に上限を限定されるものではないが、コーティング工程への負荷軽減の観点から、電気抵抗率(体積抵抗率)が1〜1000Ω・mmであることが好ましく、1〜100Ω・mmであることが更に好ましく、1〜15Ω・mmであることが特に好ましい。前記電気抵抗率は、後述に示された方法によって測定することができる。
本実施形態においてフェルト基材のサイズは特に限定されるものではなく、本実施形態のカーボンフェルトの用途に応じて適宜選定することができる。前記用途としては、例えば、二次電池(例えば、レドックスフロー電池)や電解槽に用いられる電極が挙げられる。
本実施形態に用いられる電極の基材は、カーボンフェルトに限定されるものでは無く、同等の特性を有するものであれば構わない。例えば、シート状のカーボン材、多孔質状のカーボン材、またはカーボンと同等の化学的安定性を有する多孔質状の高分子材料でも構わない。
<コーティング層>
本実施形態のカーボンフェルトは、フェルト基材を構成する繊維表面がコーティング層によって被覆されている。また、コーティング層は、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物を含む。ここで、「カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物」とは、カーボンよりも高い導電性を有する物質であって、且つ、白金族化合物以外の物質を意味する。以下、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物を単に「本実施形態における非白金族化合物」と称することがある。また、本明細書において「導電性」とは、単位“S/m”で示される電気伝導率と同義であり、電気抵抗率の逆数に相当する物性値である。カーボンの導電率は、カーボン中の不純物の含有量によって変動するが、標準的には約0.06×106S/mである。このため、本実施形態における非白金族化合物の導電率は、0.06×106S/mよりも高いことが好ましく、0.6×106S/m以上が更に好ましく、6.0×106S/m以上が特に好ましい。但し、カーボンの導電率が0.06×106S/m以下であっても、本技術の適用は妨げられるものではない。非白金族化合物の導電率の上限は、特に限定されるものではないが、非白金族化合物材料の材料元来の物性により上限が存在し、例えば、100×106S/m以下程度である。
本実施形態における非白金族化合物としては、例えば、銅、鉛、錫、アンチモン及びビスマスから選ばれる少なくとも一種の金属、合金、又は、金属若しくは合金の酸化物を用いることができる。前記合金としては、例えば、鉛・錫合金、錫・アンチモン合金が挙げられる。また、前記金属若しくは合金の酸化物としては、例えば、二酸化鉛が挙げられる。これらの物質は、電気伝導性が高いだけでなく、負極として用いても水素の発生が少ない。また電池として作動している際に、コーティング層の溶解も殆ど起こらない。これらの元素の電気伝導率は、銅:59×106S/m、鉛:4.8×106S/m、錫:9.2×106S/m、アンチモン:2.4×106S/m、ビスマス:0.78×106S/mである。本実施形態における非白金族化合物の導電率は、例えば、非白金族化合物の棒状成型体について、一般的な直流四端子法による電気抵抗測定装置を用いる事で測定することができる。また、本実施形態においてコーティング層は、本実施形態のカーボンフェルトの奏する効果を損なわない範囲で本実施形態における非白金族化合物以外の添加物や添加元素を含んでいてもよいが、コーティング層全体が本実施形態における非白金族化合物で構成されていることが好ましい。
本実施形態において、コーティング層は、フェルト基材の繊維表面全てを被覆している必要はなく、フェルト基材の繊維表面の少なくとも一部を被覆していればよい。本実施形態においては、前記フェルト基材を構成する前記カーボン繊維表面に対する平均被覆率が、カーボンフェルト表面積の10%〜100%の範囲である。フェルト基材は細いカーボン繊維が絡み合って構成されている。電池内で発生した電流は細いカーボン繊維を通して流れるため、そのオーム抵抗損失が大きい。一方、本実施形態のカーボンフェルトによれば、導電性の高い物質でフェルト基材のカーボン繊維が覆われているため、フェルト基材のカーボン繊維とコーティング層との両方において電流を流すことになり大幅にオーム抵抗損失を減らすことができる。このような観点から、被覆率があまりに低いと、導電率の高いコーティング層を流れる電流が少なくなり好ましくない。また、本実施形態における非白金族化合物で被覆されている箇所においては、フェルトを構成するカーボン繊維同士の接点を通じて流れる電流も、電気伝導性の高いコーティング層同士の接触となるため、その接触オーム抵抗損失を減らすことができる。そのため、被覆率があまりに低いと、被覆同士の接触とならず、オーム抵抗損失を減らすことができず好ましくない。以上の観点から、前記平均被覆率としては、少なくとも10%以上であり、50%以上が更に好ましく、80%以上が最も好ましい。本実施形態において、前記平均被覆率は、電子顕微鏡(SEM)で測定した値を用いて算出することができる。
ここで、平均被覆率は、フェルトの厚み方向に対して、カーボン繊維をコーティング元素が被覆している割合の平均値であり、下記式1にて示される。下記式1は、本実施形態におけるカーボンフェルトの平均被覆率の定義式である。
前記式1において、Csurfaceはフェルト断面表層の被覆率、Cmiddleはフェルト断面中心層の被覆率、Cbackはフェルト断面裏層の被覆率である。ここで、フェルト断面の表層、中心層、裏層は図1に示すように、フェルトを厚み方向に垂直に切断した断面において、フェルト表面を0、裏面を1として表した場合の、0〜1/3の領域を表層、1/3〜2/3の領域を中心層、2/3〜1の領域を裏層と定義するものである。
始めに、電子顕微鏡(SEM)による被覆率の算出方法について述べる。電子顕微鏡写真における見かけ上の面積より、各層の被覆率Cx(x:surface、middle、back)は下記式2にて示される。下記式2は、本実施形態におけるカーボンフェルトの各層の被覆率の定義式である。
前記式2において、Acoatingは電子顕微鏡写真におけるカーボン繊維表面を被覆しているコーティング元素の占める見かけ上の面積、Acarbonは同写真において、コーティング元素で被覆されず、露出しているカーボン繊維表面の見かけ上の面積である。電子顕微鏡写真の画像解析により、Acoating、Acarbonを測定することで、各層の被覆率Cxを算出することができ、ひいては被覆率Cx(x:surface、middle、back)をそれぞれ算出することで前記式1から平均被覆率Caveも算出することができる。
次に、EDXによって各層の被覆率を算出する手法について述べる。各層の被覆率Cxは、EDX測定元素被覆率Cedxxと下記式3の関係にある。後述するように、EDXによって各層の被覆率を算出した場合には、実際の被覆率CxよりもEDX測定元素被覆率Cedxxは低めに見積もられるため、当該値は参照値として用いることができる。下記式3は、本実施形態におけるカーボンフェルトの各層の被覆率とEDX測定での元素量比との関係式である。
前記式3において、ScoatingはEDX測定でのコーティング元素の元素量比(At%)、Scarbonは同EDX測定でのカーボンの元素量比(At%)である。前記式3より、EDX測定により、Scoating、Scarbonを測定することで、各層のEDX測定元素被覆率Cedxx(x:surface、middle、back)を算出することができる。ここで、EDX測定により得られる分析情報深さは数μmに及ぶ為、コーティング層下基材カーボンの信号強度が強めに出る。よって実際の被覆率Cxより、EDX測定元素被覆率Cedxxは低めに見積もられる。逆に言うと、前記式3に表されるように、EDX測定でCedxxを見積もることにより、実際の被覆率Cxがそれ以上であることが分かる。
本実施形態においてはコーティング層の平均厚みが、0.05μm〜5μmの範囲であることが好ましい。コーティング層による平均厚みが薄すぎると、カーボンフェルトの電気抵抗が高くなる。一方、コーティング層の平均厚みが厚すぎるとカーボンフェルトの柔軟性が失われるばかりでなく、コーティング費用が高くなるなどの欠点がある。また、電池等に使用されるカーボンフェルト中のカーボン繊維の素線径はカーボンフェルトの柔軟性や表面の粗さ等も考慮して5μm〜20μm程度のものを用いることができる。このような素線(カーボン繊維)を被覆する場合、細い素線を用いたカーボンフェルト(フェルト基材)は、素線断面積に対するコーティング層断面積の割合が相対的に大きくなる。このため、細い素線を用いたカーボンフェルトでは、薄いコーティング層でも効果が出やすくなる。これに対し、太い素線を用いた場合は逆に厚めのコーティング層でなければ効果は小さくなる。これらを考慮し、コーティング層の平均被覆率を高め、コーティング層に流れる電流の抵抗削減効果を高める観点から、上述の一般的に電池で用いられる素線径の範囲では、コーティング層の平均厚みは、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上が更に好ましい。また、上述のように、カーボンフェルトの柔軟性やコーティング費用、及び、電池を形成する際のフェルトの弾性及び復元性を考慮すると、コーティング層の平均厚みは、5μm以下が好ましく、1μm以下が更に好ましい。
前記コーティング層の平均厚みLaveは、例えば、重量測定により算出することが出来、その関係は下記式4で表される。下記式4は、本実施形態におけるカーボンフェルトのコーティング層の平均厚みの定義式である。
前記式4において、mcoatedはコーティング後のフェルト基材の質量、minitialはコーティング前のフェルト基材の質量、dcoatingはコーティング化合物の密度、Ainitialはコーティング前のフェルト基材の表面積である。ここでコーティング化合物の密度dcoatingには例えば一般的な化合物固有の密度値を用いて算出することが出来る。またコーティング前のフェルト基材の表面積Ainitialは、水銀圧入法等によって測定することが出来る。
ここで、体積弾性係数κは、系にかかる圧力に対して、系の体積がどの程度変化するかを表す状態量であり、下記式5にて示される。
[前記式において、Pは系にかかる圧力、ΔVは圧力をかけた際の系の減少体積、Vは圧力をかける前の系の元の体積を意味する。]
上述のように、体積弾性係数と硬さとには相関があり、体積弾性係数が大きい場合、その物質は硬い場合が多い。カーボンフェルト(本体)の体積弾性係数は、めっき処理を施す前後で大きく変わらないことが好ましい。カーボンフェルトは、例えばレドックスフロー電池に用いる場合、バイポーラプレート、カーボンフェルト、隔膜、カーボンフェルト、バイポーラプレートの順番に繰り返し配置される。言い換えれば、双極板、負極、隔膜、正極、双極板で形成される一つの電池セルを繰り返し並べた直列型電池である。これらの電池は、組み立ての際に一定の厚みに電池セルを圧縮して、電池から電解液が漏れないようにシールされる。このため、カーボンフェルトの体積弾性係数があまりに大きくなると、電池セルを圧縮する上で大きな力が必要になるだけでなく、カーボンフェルトの反発力により電池セル間のシール圧力が小さくなり、電解液漏れが起こる恐れもある。またカーボンフェルトの体積弾性係数があまりに大きくなると、組み立ての際の締め付け力によって、隔膜を損傷することもある。
また、本実施形態における非白金族化合物の種類や、コーティング層の厚みによってカーボンフェルトの体積弾性係数は異なる。本実施形態においては、上述の観点から、コーティング前のフェルト基材の厚みを1/2(50%)まで圧縮した場合の体積弾性係数(κ1)に対し、コーティング後の同様な測定による本実施形態におけるカーボンフェルトの体積弾性係数(κ2)が、元の体積弾性係数(κ1)の1.0倍〜5倍の範囲であることが好ましく、1.0倍〜2倍の範囲が更に好ましく、1.0倍〜1.2倍の範囲が特に好ましい。例えば、レドックスフロー電池によく用いられるカーボンフェルトの体積弾性係数は、本発明者等の測定では、0.9〜1.1kPa程度である。したがって、前記カーボンフェルトの体積弾性係数(κ2)が、前記コーティング層をコーティングする前の前記フェルト基材の体積弾性係数(κ1)に対して5倍以下であると、積層したセルをシールする上で大きな圧力を必要とせず、またカーボンフェルトが堅くなりすぎるのを抑制して、隔膜の損傷を防止することができる。更に前記カーボンフェルトの体積弾性係数(κ2)が、前記コーティング層をコーティングする前の前記フェルト基材の体積弾性係数(κ1)に対して1.0倍以上であると、適度な押圧力により、双極板との良好な電気的接触を担保しつつ、隔膜との良好な密着が得られ、電気化学セルの性能を向上させる事ができる。さらには、電気化学セル内で圧力損失を上昇させる事も無く形状を保持する事ができる為、長期に渡り安定した特性を得る事ができる。
また、本実施形態のカーボンフェルト自体の体積弾性係数(圧縮率50%)は、フェルト特有の弾性及び復元性を発揮する観点から、0.4kPa〜5.5kPaであることが好ましく、0.8kPa〜2.2kPaが更に好ましく、0.9kPa〜1.3kPaが特に好ましい。前記体積弾性係数は、後述の実施例で示された方法によって測定することができる。
カーボン繊維をカーボンより導電性の高い物質でコーティングするとカーボンフェルトの導電率が高くなる。このため、本実施形態のカーボンフェルトを用いて、電池を形成した場合その電気抵抗率に応じて性能が向上する。コーティング前のフェルト基材の電気抵抗率よりも本実施形態のカーボンフェルトの電気抵抗率が0.95倍以下であると、電気抵抗削減効果が明確になり好ましい。また、コーティング前のフェルト本体の電気抵抗率に対する本実施形態のカーボンフェルトの電気抵抗率の変化倍率の下限値は、特に限定されるものでは無いが、カーボンフェルトの体積弾性率が過度に高くなり、フェルトの復元性が損なわれる懸念が生じる観点から、コーティング層は過度に厚くなりすぎず、電気抵抗率の変化倍率としては、0.001倍以上が好ましい。上述の観点から、本実施形態において、カーボンフェルトの電気抵抗率は前記コーティング層をコーティングする前の前記フェルト基材の電気抵抗率の、0.95倍〜0.001倍の範囲であることが好ましく、0.8倍〜0.01倍の範囲が更に好ましく、0.1〜0.01倍が特に好ましい。電気抵抗率の絶対値としては、0.001〜0.95Ω・mmであることが好ましく、0.01〜0.8Ω・mmであることが更に好ましく、0.01〜0.1Ω・mmであることが特に好ましい。カーボンフェルトの電気抵抗率は、後述の実施例で示された方法によって測定することができる。
また、コーティング層がフェルト基材の一部、例えばフェルト基材の外周部(表層、裏層)のみがめっきされ、フェルト基材の内部(中心層)がめっきされていない場合や、フェルト基材の一部のみが集中的に厚くコーティングされている場合には、平均的にはカーボンフェルトの体積弾性係数は問題ない。しかし、これらの場合、カーボンフェルトの応力が局部的に高くなり、隔膜の破損の要因となることがある。電気抵抗率の観点からも同様であり、局部的に電流が集中することによるカーボンフェルトの性能の悪化などが予想される。かかる観点から、コーティング層は、フェルト基材内部のカーボン繊維表面までも均一に被覆されていることが好ましい。即ち、フェルト中心層の被覆率Cmiddleに対するフェルト表層の被覆率Csurfaceの比(Csurface/Cmiddle)、及びフェルト中心層の被覆率Cmiddleに対するフェルト裏層の被覆率Cbackの比(Cback/Cmiddle)は、10%〜200%であることが好ましく、35%〜160%であることが更に好ましく、60%〜120%であることが特に好ましい。
上述の被覆率の比は、EDXによる元素量比に基づくと、フェルト中心層の被覆率Cedxmiddleに対するフェルト表層の被覆率Cedxsurfaceの比(Cedxsurface/Cedxmiddle)、及びフェルト中心層の被覆率Cedxmiddleに対するフェルト裏層の被覆率Cedxbackの比(Cedxback/Cedxmiddle)として算出でき、10%〜200%であることが好ましく、35%〜160%である事が更に好ましく、60%〜120%であることが特に好ましい。
本実施形態のカーボンフェルト、即ち、本実施形態における非白金族化合物でカーボン繊維表面がコーティングされたカーボンフェルトは、電池の正極側、負極側のいずれでも使用できる。特に、水素発生電位より卑な電位で運転される電池の負極側で使用した場合、本実施形態のカーボンフェルトは水素過電圧が高いため、水素発生が殆どなく好適である。
本実施形態における非白金族化合物によるコーティングは、電池部材として使用される、バイポーラプレート(双極板)や隔膜にも適用することができる。バイポーラプレートを本実施形態における非白金族化合物で被覆した場合、カーボンフェルトとの接触抵抗が小さくなり、電池抵抗を削減できる効果があると予想される。また隔膜を本実施形態における非白金族化合物によるコーティング層を適度に適用すると、隔膜とカーボンフェルトとの接触面積が大きくなり、やはり電池抵抗を低減できると予想できる。
≪カーボンフェルトの製造方法≫
本実施形態において、フェルト基材に本実施形態における非白金族化合物をコーティングするには、無電解めっきを好適に採用することができる。無電解めっきによって本実施形態におけるコーティング層を形成すると、電気めっきで作製した場合に比してカーボンフェルトの厚みを薄くすることができ、これによりめっき反応がフェルト内まで均一となり、めっき量にばらつきが生じるのを抑制することができる。即ち、無電解めっきを利用すると、めっき液がフェルト基材内に均一に供給できれば、均一なめっき処理を施すことができる。即ち、本実施形態におけるカーボンフェルトは、無電解めっきによって、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物で、フェルト基材を構成するカーボン繊維表面を被覆するコーティング工程を含むカーボンフェルトの製造方法で作製されることが好ましい。
本実施形態おいては、フェルト基材を構成するカーボン繊維表面に本実施形態における非白金族化合物をコーティングする際、即ち、前記コーティング工程において、前記フェルト基材に対して一方向からめっき液を連続的に供給し、前記めっき液を前記フェルト基材内に通過させ、もう一方向からめっき液を排出させながら、前記無電解めっきを施すことが好ましい。無電解めっきは、めっきによりめっき液濃度が低下するので、均一なめっきをするために、めっき液を補給しながらめっき処理を進めることができる。特にカーボンフェルトのような空隙率の高い素材では、めっき浴に浸漬して攪拌するだけでは、表面だけめっきされてフェルト内部まで均一にめっきしにくい場合もある。このため、本発明者等はフェルト基材内部まで均一にめっき処理を施すため、フェルト基材内にめっき液が恒に一定流速で通過できるようにめっき装置を工夫した結果、フェルト内部まで均一にめっきできることを見出した。
即ち、フェルト基材をめっき枠に固定した状態で、めっき液をポンプにより供給し、めっき液がフェルト基材を通過し、排出できるようにする方法である。めっき液がフェルト基材を通過できるようにすることによって、めっき液がフェルト基材内全体を均一な流速で通過できるため、フェルト内のどこの部分にもめっき液の供給が確保され均一なめっきが可能となる。また、前記方法によれば、フェルト基材を固定するめっき枠には、フェルト基材を何枚も重ねることができ、それに応じてめっき液補給量も増加させることで、簡単に多くのフェルト基材をめっきできるという利点も有する。更に、無電解めっきではめっき中にガスが発生する場合があり、そのガスによりめっきが不均一になる欠点がある。しかし、上述の方法のようにフェルト内にめっき液を通過、排出させればさせる、めっき中に発生したガスをフェルト基材内から追い出すことができ、これによりフェルト基材内部までも均一にめっきできるという利点も生ずる。
また、前述のフェルト基材を固定するめっき枠には、レドックスフロー電池のセルの治具を用いる事が出来る。レドックスフロー電池のセルの治具は、フェルト基材内部の送液が均一であることから、前述のめっき治具として好適である。
本実施形態においては、カーボンフェルトを構成するカーボン繊維表面に非白金族化合物をコーティングする際、即ち、前記コーティング工程においては、前処理液、めっき液、及び後処理液を連続的に供給することもできる。コーティング工程においてめっき処理を施す場合、当該めっき処理はいくつかの工程に分けることができる。めっき処理を大きく分ければ、前処理工程(水洗、脱脂、界面活性剤吸着処理、活性化剤吸着処理、活性化処理等)、めっき工程、後処理工程(水洗、さび止め処理、乾燥処理等)とすることができる。従来、これら工程毎に処理槽を設ける必要があり、めっき処理が煩雑であった。しかし、本実施形態では、上述の方法のように、めっき枠にフェルトを固定したまま、工程に応じた処理液に変えて連続的にめっき作業ができる。このように連続的にめっき作業をおこなえる方法としては、例えば、前処理、めっき処理、後処理工程に応じた薬液をタンクに準備しておき、工程に応じた薬液をポンプによってめっき枠に供給し、次の工程に移行する際には、薬液タンクを切り替えて薬液を供給する方法が挙げられる。この際、例えば、めっき処理をメッキ液の量に応じて何回かに分けておこなうこともできる。また、メッキ液の循環速度は、例えば、10l/hr〜0.1l/hrが好ましく、1.2l/hr〜0.3l/hrが更に好ましく、0.7l/hr〜0.5l/hrが特に好ましい。メッキ工程に前記無電解めっきは公知の方法を適宜採用することができるが、例えば、後述の実施例で挙げた図2で示すめっき装置を使用して無電解めっきをおこなうことができる。
上述のように、本実施形態カーボンフェルトは、カーボンそのものより高い電気化学活性と高い電気伝導性が付与されたカーボンフェルトであるため、電池を構成する電極として好適に用いることができる。更に、上述の本実施形態のカーボンフェルトの製造方法によって、カーボン繊維表面がコーティングされた本実施形態におけるカーボンフェルトを効率的に製作することができる。
≪二次電池≫
本実施形態の二次電池は、本実施形態のカーボンフェルトを少なくとも負極側に備える。本実施形態の二次電池としては、例えば、レドックスフロー電池が挙げられる。但し、本実施形態の二次電池はこれに限定されるものではない。前記レドックスフロー電池としては、例えば、バナジウム系レドックスフロー電池、鉄−クロム系レドックスフロー電池等が挙げられるが、バナジウム系レドックスフロー電池であることが好ましい。
レドックスフロー電池の構成は特に限定されるものではないが、例えば、炭素電極からなる正極を含む正極セル室と、炭素電極からなる負極を含む負極セル室と、正極セル室と、負極セル室とを隔離分離させる隔膜としての電解質膜と、を含む電解槽を有することができる。正極セル室は活物質を含む正極電解液を、負極セル室は活物質を含む負極電解液を含むことができる。また、活物質を含む正極電解液及び負極電解液は、例えば、正極電解液タンク及び負極電解液タンクによって貯蔵され、ポンプ等によって各セル室に供給される。また、レドックスフロー電池によって生じた電流は、交直変換装置を介して、直流から交流に変換されてもよい。本実施形態のカーボンフェルトは、正極及び負極に用いられる炭素電極として使用することができるが、特に負極側での水素発生を抑制できることから、少なくとも前記負極の炭素電極として実施形態のカーボンフェルトとして用いられる。
レドックスフロー電池は、正極電解液中に4価若しくは5価のバナジウムイオン、又はその双方の価数のバナジウムイオンが溶存しており、負極電解液に2価若しくは3価のバナジウムイオン、又はその双方の価数のバナジウムイオンが溶存していることが好ましい。電池の充電及び放電がおこなわれるとき、充電時には、正極セル室においては、バナジウムイオンが電子を放出するため4価のバナジウムイオンが5価のバナジウムイオンに酸化され、負極セル室では外路を通じて戻って来た電子により3価のバナジウムイオンが2価のバナジウムイオンに還元される。この酸化還元反応では、正極セル室ではプロトン(H+)が過剰になる。隔膜は正極セル室の過剰なプロトンを選択的に負極室に移動させ電気的中性が保たれる。放電時には、この逆の反応が進む。
また、本実施の形態に係るレドックスフロー電池において、バナジウムイオンの価数を除いた溶液の組成が、正極電解液と負極電解液とで等しいことが好ましい。これにより、浸透圧により隔膜を透過するイオン量を最小限に抑えることができる。また電池の充放電や継時変化に伴い、電解液の組成が変化したとしても、元々の正極電解液と負極電解液との組成が等しいため、定期的に正極と負極との液を混合することで、液の組成を元に戻し、充放電や継時変化の影響をリセットすることができる。
本実施形態においては、蓄電池(二次電池)としてレドックスフロー電池を例示して説明したが、この例に限られず、本実施形態のカーボンフェルトは正極電解液室及び負極電解液室が隔壁(双極板)や隔膜にて仕切られている電池や電解槽にも本発明を適用することができる。
以下、図を参照して、実施例及び比較例について説明する。また、それぞれの図において、同一又は相等する部分には同一の符号を付している。なお、下記実施例は本発明を限定するものではない。
[実施例1,比較例1]
図2は、実施例1で用いためっき装置を示す概略図である。本実施例において、図2に示すめっき装置を用いて、以下の手順でカーボンフェルト(カーボンフェルト基材)に無電解めっきを施した。カーボンフェルトは、SGL CARBON GmbH社製の「GFA6EA」)を、10cm2(縦3.3cm、横3.0cmサイズ)に切断したものを使用した。
ここで、図2に示すめっき装置は、タンク1と、ポンプ2と、めっき枠3と、により構成される。図2においては、タンク1を一つだけ有する構成が示されているが、前記めっき装置は、水、前処理液、めっき液等種類に応じた数のタンクを備えていてもよい。同様に、前記めっき装置は、タンクの数に応じた数のポンプ2を備えていてもよい。めっき枠3は、カーボンフェルト5を固定し、薬液供給が全体均一にできるようなディストリビュータ4を備える。また、めっき枠3には、カーボンフェルト5、スペーサー6が重ねた状態で組み込まれている。薬液はタンク1からポンプ2により一定流量でめっき枠3に供給され、めっき枠3から排出された薬液はタンク1に戻る。
[コーティング工程]
(前処理工程)
前処理工程においては、カーボンフェルト5に対し、脱脂→水洗→界面活性剤吸着処理→水洗→活性化剤吸着処理→水洗→活性化処理→水洗の順序で処理をおこなった。具体的には、脱脂は65℃で奥野製薬工業(株)製の「コンディショナーMA」を用い5分間処理した。その後、20℃の蒸留水でカーボンフェルト5を5分間水洗した。更に奥野製薬工業(株)製の「OPCプリディップ液」49Lと98%硫酸とを6:1で混合した溶液を用いて、カーボンフェルト5に対し20℃で2分間界面活性剤吸着処理をおこない、その後、蒸留水で水洗した。奥野製薬工業(株)製の「OPC−50インデューサーA」と「OPC−50インデューサーC」とを1:1で混合した溶液で、カーボンフェルト5を45℃で5分間処理し、活性化剤吸着処理を行った。この後、20℃の蒸留水で2分間水洗し、さらに奥野製薬工業(株)製「OPC−150 クリスタMU150」を、1L中に150ml含む溶液にて20℃、5分間処理してカーボンフェルト表面の活性化処理をおこなった。その後、更に20℃蒸留水にて2分間水洗した。上記の各工程での処理液及び水洗液は、定量ポンプによりめっき装置へ0.6l/hrの送液速度で送液した。
(めっき工程)
めっき工程において、予備めっきとして奥野製薬工業(株)の「OPL−BSM」を125ml/Lの濃度で溶解した溶液で前記より得られたカーボンフェルト5を20℃5分間で処理した後、20〜30℃の温度で、奥野製薬工業(株)の「OPCカッパーMN−A」45ml/L、「MN−B」50ml/L、「MN−C」150ml/L、「MN−M」100ml/Lの混合液にて、ポンプでめっき液を循環しながら25分間銅めっき処理をおこなった。銅めっき処理は、めっき液を更新して2回繰り返した。尚、めっき処理はタンク1中のめっき液の量に応じて、何回かに分けておこなうこともできる。めっき工程において、めっき液の循環は0.6l/hrでおこなった。
(後処理工程)
めっき工程におけるめっき後、得られたカーボンフェルト5を20℃の蒸留水にて5分水洗した。その後、めっき枠3を解体し、カーボンフェルト5を取り出し、乾燥させた。乾燥は、空気中で12時間自然乾燥させておこなった。
−平均厚み−
上述の各工程を経て得られた銅がコーティングされたカーボンフェルトは、表面には光沢があり、一部を切断して断面を目視により観察したところ、表面と同様の光沢が認められた。また、コーティング後のカーボンフェルト5の質量は、コーティング前のカーボンフェルト5の質量よりも33%増加していた。コーティング前後の質量差から上述の式4に従い算出したコーティング層平均厚みLaveは0.26μmであった。
−平均被覆率−
実施例1で作製したカーボンフェルトについて、図3(1)にフェルトの面相対方向の表面写真、図3(2)にフェルトの面垂直方向の断面写真を示す。カーボンフェルトの断面は一様に光沢ある橙赤色であった。
また、フェルト断面の表層、中心層、裏層の3か所での100μm×100μmの領域を(株)キーエンス社製の電子顕微鏡(3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡「VE8800」)にて観察した。中心層の電子顕微鏡写真を、図3(3)に示す。図3(4)には比較の為にコーティングする前のカーボンフェルト内面の電子顕微鏡写真を示す。これらの写真から、実施例1で作製したカーボンフェルトについて、カーボン繊維上に均一なコーティングがなされていることが確認された。さらにフェルト断面の表層、中心層、裏層の各領域で、電子顕微鏡にて100μm×100μmの視野領域内のカーボン繊維の面積Acarbon、コーティング元素の面積Acoatingを測定し、上述の式2に従い各層の被覆率を算出した所、Csurfaceは95%以上、Cmiddleは95%以上、Cbackは95%以上であり、平均被覆率Caveは95%以上であり、断面全域に渡り100%に近い良好な被覆が得られていることが確認できた。
−元素存在量比−
さらに、上記電子顕微鏡付属のエダックス・ジャパン(株)社製のエネルギー分散型元素分析装置「EDAX−Genesis」を用いてEDX測定を行った。フェルト断面の表層、中心層、裏層の各領域で、500μm×500μmの領域内で検出元素の元素量比の測定結果を表1に示す。表1は、実施例1で製作したカーボンフェルトの断面の各層のEDX測定による元素量比の測定結果を示す表である。
上述の分析領域で、コーティング層である銅と、基材のカーボン、また基材層に含まれる酸素が検出された。上述の式3にてEDX測定元素被覆率Cedxxを算出した所、Cedxsurfaceは13%、Cedxmiddleは19%、Cedxbackは17%であり、それらの平均値は16%であった。前述の通り、EDX測定では基材のカーボンの信号強度が強めに出ており、電子顕微鏡写真より見積もれる被覆率Cxよりかなり低めに見積もられているが、少なくとも断面に渡り被覆率が10%以上であり、平均被覆率は16%以上であることは明らかである。
また、フェルト中心層に対するフェルト表層及び裏層の被覆率の比を算出すると、Cedxsurface/Cedxmiddleが68%、Cedxback/Cedxmiddleが88%であり、フェルト表層から中心層、裏層に渡り60〜90%の比率で均一に被覆されていることが分かる。
−体積弾性係数−
図4に、実施例1で製作したカーボンフェルトの体積弾性係数を測定した体積弾性率測定装置の概略図を示す。図4において、プレス7として、(株)エー・アンド・デイ社製のフォースゲージ「AD−4932A−50N」を用いた。図4における押さえ板8としては、20mm厚みのポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と称することがある。)製の押さえ板を用いた。支え板9としては、20mm厚みのPTFE製の支え板を用いた。スペーサー兼保持板10としては、PTFE製スペーサー兼保持板を用いた。ここでPTFE製のスペーサー兼保持板10は、上部からプレス7によって押さえ板8がカーボンフェルト5を圧縮する際に、カーボンフェルト5を横方向に広げずに、面積を維持しつつ厚みだけ圧縮し、圧縮高さの目安とするために設けた。
本実施例において得られたカーボンフェルトについて、図4に示す体積弾性率測定装置によって、コーティングする前のカーボンフェルトの体積弾性係数とコーティング後のカーボンフェルトの体積弾性係数を測定した。尚、前記コーティングする前のカーボンフェルトは、未処理のカーボンフェルト(SGL CARBON GmbH社製の「GFA6EA」)を、10cm2(縦3.3cm、横3.0cmサイズ)に切断したものであり、比較例1では当該未処理のカーボンフェルトをそのまま用いた。測定は、元の厚みから50%圧縮することによりおこなった。当該測定により求めた実施例1におけるカーボンフェルト(コーティング後)の体積弾性係数は、コーティング前(比較例1)のカーボンフェルトの体積弾性係数の1.1倍であった。この結果から、実施例1において、コーティング後のカーボンフェルトの柔軟性は殆ど失われていないことが分かる。
−電気抵抗率−
図5に実施例1で製作したカーボンフェルトの電気抵抗率を測定したフェルト抵抗測定装置の概略図を示す。図5におけるフェルト抵抗測定装置は、測定されるカーボンフェルト5と、20mm厚みのPTFE製の押さえ板8と、20mm厚みのPTFE製の支え板9と、PTFE製のスペーサー兼保持板10と、締め付けボルト11と、一対の銅板12、銅板12と電気的に接続された抵抗測定端子13とからなる。測定するカーボンフェルト5は1cm2に切断したものを用いた。一対の銅板12の間には100mAの電流を流し抵抗測定端子13の間で電圧を測定し、抵抗を算出した。本実施例においては、銅板12とカーボンフェルト5との接触抵抗を小さくするため、紙面上下に位置する一対の銅板12と接触する部分のカーボンフェルト5表面には、あらかじめ銅を蒸着した。また銅板12は研磨して表面の酸化被膜を除去したものを用いた。
図5に示す抵抗測定装置によってコーティングする前のカーボンフェルト(比較例1)の電気抵抗と、コーティング後のカーボンフェルト(実施例1)の電気抵抗とを測定した。さらにフェルト面積及び厚みから電気抵抗率(体積抵抗率)に換算した。尚、測定に当たってカーボンフェルト5は元の厚みから35%圧縮することによっておこなった。当該測定により求めた電気抵抗率は、コーティング前のカーボンフェルト(比較例1)は1Ω・mmであったのに対し、コーティング後のカーボンフェルトの(実施例1)は、0.01Ω・mmであった。これにより、コーティング後の実施例1のカーボンフェルトは、コーティング層を形成することによって電気抵抗が1/100(0.01倍)に減少したことがわかる。
(レドックスフロー電池)
図6に、電池性能を測定するために、実施例1で製作したカーボンフェルトを備えるバナジウム系レドックスフロー電池を示す概略図(原理図)を示す。図6において、レドックスフロー電池29は、正極側バイポーラプレート18及び正極カーボンフェルト20を内蔵する正極セル26と、負極側バイポーラプレート19及び負極カーボンフェルト21を内蔵する負極セル27と、正極セル26と負極セル27とを分離すると共に適宜イオンを透過させる隔膜28と、を備える。正極セル26には、正極電解液用のタンク16が導管22,24を介して接続される。負極セル27には、負極電解液用のタンク17が導管23,25を介して接続される。導管24及び25には、それぞれ各極の電解液を循環させるための正極電解液循環ポンプ14及び負極電解液循環ポンプ15が備えられている。レドックスフロー電池29は、導管22,23,24及び25、正極電解液循環ポンプ14及び負極電解液循環ポンプ15を利用して、正極セル26及び負極セル27に、それぞれタンク16の正極電解液、タンク17の負極電解液を循環供給して、各極の電解液中の活物質となる金属イオンの価数変化反応に伴って充放電をおこなう。
詳細な図示を省略するが、レドックスフロー電池29は、正極セル26及び負極セル27を多数積層させたセルスタックと呼ばれる構成である。正極セル26内には正極側バイポーラプレート18と正極カーボンフェルト20とが配置され、負極セル27内には負極側バイポーラプレート19と負極カーボンフェルト21とが配置される。尚、正極側バイポーラプレート18及び負極側バイポーラプレート19は、スタックを構成する場合は、1枚のバイポーラプレートの片面が正極側に面し、もう片面が負極側に面した状態で設置される。正極セル26及び負極セル27は、電解液を供給するための給液孔及び電解液を排出する排液孔が備えている。また、セルスタックとしては、バイポーラプレートの外周に形成された正極室・負極室を含むセルフレームを用いた構成が代表的である。
前記レドックスフロー電池では、正極電解液に4価のバナジウムイオン(VOSO4)1.7mol及び硫酸(H2SO4)1.5molを50ml含有し、負極電解液に3価バナジウムイオン(V2(SO43)0.75mol及び硫酸1.5molを50ml含有する。これらの電解液は、バナジウムイオンを活物質として、正極側電解液の充電深度が20%〜80%の間で運転される。充電深度は、充電深度=充電電気量/理論充電電気量で表される。この関係はあらかじめ、充電電気量と正極及び負極間の電位との関係を測定しておくことにより充電深度を電位の測定のみで算出することが可能である。本実施例においては電位測定から充電深度を算出している。
図6に示すレドックスフロー電池において、前記の方法でコーティングした実施例1のカーボンフェルトを負極カーボンフェルト21として装着した。一方正極カーボンフェルト20にはコーティングをしていないカーボンフェルト(上述のSGL CARBON GmbH社製の「GFA6EA」)を装着し、測定温度25℃、充電深度50%の電位で、電流0A〜4Aの間で充電時の電圧ロスを測定した。比較のために、正極側、負極側ともにコーティングをしていないカーボンフェルト(比較例1)を装着した場合を合わせて実験した。前記電圧ロスは、各電流における電位から充電電流ゼロの時のセル電位を差し引いて計算した。結果を図7に示す。コーティング層として銅を被覆した実施例1のカーボンフェルトを負極カーボンフェルト21に用いた場合、電流密度100mA/cm2において、電圧ロスは70mVであった。これに対し、両極のカーボンフェルトとしてコーティング層を形成していない比較例1のカーボンフェルトを用いた場合、電圧ロスは175mVであった。
また、上述の充電時の電圧ロスの測定後の負極側タンク内の気相部分の水素分析を理研計器(株)製「SP−205ASC」を用いておこなったが、水素は検出されなかった。
また、電流をゼロとして、上述のように負極に実施例1のカーボンフェルトを用いた場合と負極に比較例1のカーボンフェルトを用いた場合(正極はいずれもコーティングをしていない、上述のSGL CARBON GmbH社製の「GFA6EA」カーボンフェルトを使用)について、図6に示す電池と同一構成のレドックスフロー電池を用いて、インピーダンス測定をおこなった。インピーダンス測定の等価回路としては、図8に示す等価回路を仮定して、直流抵抗(オーム損)R(L)、反応抵抗R(R)とを求めた。測定は、Bio−logic社製のマルチチャンネルポテンショスタット「VMP−300」を用いて、周波数100kHz〜1Hzの範囲で実施した。インピーダンス測定の結果を図9に示す。図9に示すように、実施例1のオーム損による直流抵抗R(L)は0.065Ωで、反応抵抗R(R)は0.01Ωと測定された。また比較例1の直流抵抗R(L)は0.115Ωで、反応抵抗R(R)は0.06Ωであった。負極側のみ実施例1のカーボンフェルトを使用した場合でも、オーム損による直流抵抗R(L)と反応抵抗R(R)が低下していることが分かる。
[比較例2]
実施例1において、銅めっき処理を図10に示すようにバッチ式処理方法で実施した以外は、実施例1と同様な手順でめっきをおこなった。図10において、ビーカー31内に、実施例1と同様な処理工程において用いられる薬剤溶液30を入れ、バッチ処理で同様な手順で処理した。カーボンフェルト5は10cm2の面積のSGL CARBON GmbH社製の「GFA6EA」を用い、吊りひも33でビーカー内につるした。カーボンフェルト5を液面下3cmまで押し込み1kPaまで減圧することでカーボンフェルト5内の気泡を排出させ、めっき液を浸透させた。薬剤溶液30は回転子32によって攪拌した。回転子32は、マグネット式回転装置34によって回転させた。
−平均被覆率・元素存在量比・平均厚み−
前記パッチ処理でコーティングされたカーボンフェルトは表面には光沢が認められた。しかし、フェルトの一部を切断し断面を目視によって観察したところ、表面から0.5mm以外は内部に銅めっきが施されていなかった。実施例1と同様な手段で電子顕微鏡写真より算出した各層の被覆率は、Csurfaceは10%、Cmiddleは10%未満、Cbackは10%であり、平均被覆率Caveは10%未満であった。またEDX測定より算出した各層の被覆率は、Cedxsurfaceは5%、Cedxmiddleは1%未満、Cedxbackは4%であり、それらの平均値は3%であった。フェルト中心層に対するフェルト表層及び裏層の被覆率の比は400%以上であり、これら結果からも、比較例2においてはめっきが均一でないことが分かる。コーティング後のカーボンフェルトの質量は、コーティング前のカーボンフェルト(比較例1の質量より5%増加していたが、コーティング前後の質量差から上述の式4に従いコーティング層のLaveを算出すると0.04μmであった。
−体積弾性係数−
実施例1と同様の装置及び手順にて測定した体積弾性係数は、コーティング前のカーボンフェルトの1.0倍であった。
−電気抵抗率−
実施例1と同様の装置及び手順にて、比較例2にて製作したフェルトの電気抵抗率を測定した所、1.1Ω・mmであった。コーティング前のカーボンフェルト(1Ω・mm)に比べて、電極の内部オーム損は減少していないことが分かる。
(レドックスフロー電池)
実施例1と同様の装置及び手順にて、比較例2にて製作したフェルトの電池特性を測定した。図6に示すレドックスフロー電池において、比較例2にて製作したカーボンフェルトを負極カーボンフェルト21として装着し、正極カーボンフェルトにはコーティングをしていないカーボンフェルトを装着し、測定温度25℃、充電深度50%の電位で、電流0A〜4Aの間で充電時の電圧ロスを測定した。その結果、電流密度100mA/cm2において、電圧ロスは170mVであった。測定後に負極側タンク内の気相部分の水素分析を実施したが、水素は検出されなかった。
さらに電流をゼロとし、実施例1と同様の装置及び手順にて、インピーダンス測定を行った。その結果、オーム損による直流抵抗R(L)は0.120Ωで、反応抵抗R(R)は0.05Ωと測定された。
[実施例2]
図2に示すめっき装置を用いて、鉛めっきをおこなった。カーボンフェルトは、実施例1と同様にSGL CARBON GmbH社製の「GFA6EA」を、10cm2(縦3.3cm、横3.3cmサイズ)に切断したものを使用した。
(前処理工程)
前処理工程においては、脱脂→水洗→活性化処理→水洗の順序で処理をおこなった。具体的には、脱脂は20℃で、98%硫酸によって5時間浸漬処理した。その後、20℃の蒸留水で洗浄液のphが7になるまで水洗した。次いで、塩化スズを、0.20g/l及び37%塩酸を0.24g/L溶解した水溶液で2分間処理し、その後20℃蒸留水で1分間水洗し、塩化パラジウムを0.99g/L、37%塩酸を1.2g/L溶解した水溶液で2分間処理し、その後20℃蒸留水で1分間水洗し、活性化処理工程を3回繰り返した。前処理でのポンプによる循環は0.6l/hrでおこなった。
(めっき工程)
めっき工程において、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を29.8g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物を102.9g/L、ニトリロ三酢酸を38.2g/L、塩化鉛を11.1g/L、三塩化チタン25%水溶液を三塩化チタン純分で14.3g/Lとなるように水に溶解し、25%アンモニア水にてpHが9に調整されためっき液を用意した。50〜60℃の温度で、前記めっき液をポンプで循環しながら1時間鉛めっき処理をおこなった。めっき工程でのめっき液の循環は0.6l/hrでおこなった。また、めっき液は窒素雰囲気下で扱った。
(後処理工程)
めっき後、20℃蒸留水にて5分間水洗した。その後、めっき枠3を解体し、カーボンフェルトを取り出し、空気中で自然乾燥させた。
−平均被覆率・元素存在量比・平均厚み−
上述の各工程を経て得られた鉛がコーティングされたカーボンフェルトは、表面に灰色の着色が認められた。また、一部を切断して断面を目視により観察したところ、内部も同様に灰色に着色していた。コーティング後のカーボンフェルトの質量は、コーティング前のカーボンフェルト5の質量よりも67%増加していた。コーティング前後の質量差から、上述の式4に従いコーティング層の平均厚みLaveを算出すると、0.41μmであった。
実施例2において得られたカーボンフェルトについて、実施例1と同様な装置、手段で電池顕微鏡にて観察を行った。図11(1)及び(2)にカーボンフェルトの断面表層の電子顕微鏡写真、図11(3)及び(4)にカーボンフェルトの断面の中心層の電子顕微鏡写真、並びに、図11(5)及び(6)にカーボンフェルトの断面の裏層の電子顕微鏡写真を示した。これらの電子顕微鏡写真より上述の式2に従い算出した各層の被覆率は、Csurfaceは10%、Cmiddleは95%以上、Cbackは10%であり、平均被覆率Caveは40%であった。
また、実施例1と同様な装置、手段でEDX測定を行った。上述の式3に従い算出した各層の被覆率は、Cedxsurfaceは2%、Cedxmiddleは18%、Cedxbackは1%であり、それらの平均値は7%であった。フェルト中心層に対するフェルト表層及び裏層の被覆率の比は8〜9%であった。中央部に対し表面付近及び裏面付近の被覆率はやや低いが、フェルト内部までコーティングされていることが分かる。
−体積弾性係数−
実施例1と同様の装置及び手順にて測定した体積弾性係数は、コーティング前のカーボンフェルトの1.2倍であった。大幅な弾性率増加には至らず、電池として使用もできており、電極として問題無く使用できる弾性、復元性を有していた。
−電気抵抗率−
実施例1と同様の装置及び手順にて、実施例2にて製作したフェルトの電気抵抗率を測定した所、0.7Ω・mmであった。コーティング前のカーボンフェルト(1Ω・mm)に比べて、電極の内部オーム損はやや減少している事が分かる。
(レドックスフロー電池)
実施例1と同様の装置及び手順にて、実施例2にて製作したフェルトの電池特性を測定した。図6に示すレドックスフロー電池において、実施例2にて製作したカーボンフェルトを負極カーボンフェルト21として装着し、正極カーボンフェルトにはコーティングをしていないカーボンフェルトを装着し、測定温度25℃、充電深度50%の電位で、電流0A〜4Aの間で充電時の電圧ロスを測定した。結果を図7に示す。図7から分かるように、電流密度100mA/cm2において、電圧ロスは140mVであった。測定後に負極側タンク内の気相部分の水素分析を実施したが、水素は検出されなかった。
さらに電流をゼロとし、実施例1と同様の装置及び手順にて、インピーダンス測定を行った。結果を図9に示す。図9から分かるように、その結果、オーム損による直流抵抗R(L)は0.095Ωで、反応抵抗R(R)は0.04Ωと測定された。負極側のみ実施例2のカーボンフェルトを使用した場合でも、比較例1と比べてオーム損による直流抵抗R(L)も反応抵抗R(R)も低下していることが分かる。
[実施例3]
図2に示すめっき装置を用いて、アンチモンめっき処理をおこなった。
めっき工程において、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を29.8g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物を94.1g/L、ニトリロ三酢酸を19.1g/L、塩化アンチモンを23.3g/L、三塩化チタン25%水溶液を三塩化チタン純分で19.0g/Lとなるように水に溶解し、25%アンモニア水にてpHが7.5に調整されためっき液を用い、20℃の温度でめっきした以外は実施例2と同様な前処理工程、後処理工程でめっきをおこなった。
実施例2と同様な方法でコーティング層の平均厚みLaveを算出すると、0.43μmであった。また実施例2と同様な装置、手段で電池顕微鏡にて測定した各層の被覆率は、Csurfaceは30%、Cmiddleは25%、Cbackは25%であり、平均被覆率Caveは約25%であった。さらに実施例2と同様な装置、手段でEDX測定を行い、上述の式3に従い算出した各層の被覆率は、Cedxsurfaceは8%、Cedxmiddleは6%、Cedxbackは7%であり、それらの平均値は7%であった。フェルト中心層に対するフェルト表層及び裏層の被覆率の比は117〜133%であった。
−体積弾性係数−
実施例2と同様の装置及び手順にて測定した体積弾性係数は、コーティング前のカーボンフェルトの1.2倍であった。大幅な弾性率増加には至らず、電池として使用もできており、電極として問題無く使用できる弾性、復元性を有していた。
−電気抵抗率−
実施例2と同様の装置及び手順にて測定したフェルトの電気抵抗率は、0.7Ω・mmであった。コーティング前のカーボンフェルト(1Ω・mm)に比べて、電極の内部オーム損はやや減少していることが分かる。
(レドックスフロー電池)
図6に示すレドックスフロー電池において、実施例3にて製作したカーボンフェルトを負極カーボンフェルト21として装着した以外は、実施例2と同様な条件で電圧ロスを測定した。その結果、電流密度100mA/cm2において、電圧ロスは155mVであった。測定後に負極側タンク内の気相部分の水素分析を実施したが、水素は検出されなかった。
さらに電流をゼロとし、実施例2と同様の装置及び手順にて、インピーダンス測定を行った。その結果、オーム損による直流抵抗R(L)は0.095Ωで、反応抵抗R(R)は0.05Ωと測定された。負極側のみ実施例3のカーボンフェルトを使用した場合でも、比較例1と比べてオーム損による直流抵抗R(L)も反応抵抗R(R)も低下していることが分かる。
[実施例4]
図2に示すめっき装置を用いて、ビスマスめっき処理をおこなった。めっき工程において、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を29.8g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物を100g/L、ニトリロ三酢酸を38.2g/L、三塩化ビスマス25.2g/L、塩化錫二水和物9.0g/Lとなるように水に溶解し、25%アンモニア水にてpHが8.8に調整されためっき液を用い、60℃の温度でめっきした以外は実施例2と同様な前処理工程、後処理工程でめっきをおこなった。
実施例2と同様な方法でコーティング層の平均厚みLaveを算出すると、0.18μmであった。また実施例2と同様な装置、手段で電池顕微鏡にて測定した各層の被覆率は、Csurfaceは45%、Cmiddleは30%、Cbackは35%であり、平均被覆率Caveは約40%であった。さらに実施例2と同様な装置、手段でEDX測定を行い、上述の式3に従い算出した各層の被覆率は、Cedxsurfaceは8%、Cedxmiddleは5%、Cedxbackは7%であり、それらの平均値は7%であった。フェルト中心層に対するフェルト表層及び裏層の被覆率の比は140〜160%であった。
−体積弾性係数−
実施例2と同様の装置及び手順にて測定した体積弾性係数は、コーティング前のカーボンフェルトの1.0倍であった。大幅な弾性率増加には至らず、電池として使用もできており、電極として問題無く使用できる弾性、復元性を有していた。
−電気抵抗率−
実施例2と同様の装置及び手順にて測定したフェルトの電気抵抗率は、0.8Ω・mmであった。コーティング前のカーボンフェルト(1Ω・mm)に比べて、電極の内部オーム損はやや減少していることが分かる。
(レドックスフロー電池)
図6に示すレドックスフロー電池において、実施例4にて製作したカーボンフェルトを負極カーボンフェルト21として装着した以外は、実施例2と同様な条件で電圧ロスを測定した。その結果、電流密度100mA/cm2において、電圧ロスは115mVであった。測定後に負極側タンク内の気相部分の水素分析を実施したが、水素は検出されなかった。
さらに電流をゼロとし、実施例2と同様の装置及び手順にて、インピーダンス測定を行った。その結果、オーム損による直流抵抗R(L)は0.105Ωで、反応抵抗R(R)は0.02Ωと測定された。負極側のみ実施例4のカーボンフェルトを使用した場合でも、比較例1と比べてオーム損による直流抵抗R(L)も反応抵抗R(R)も低下していることが分かる。
[実施例5]
(前処理工程)
前処理工程においては、カーボンフェルト5に対し、脱脂→水洗→界面活性剤吸着処理→水洗→活性化剤吸着処理→水洗→活性化処理→水洗の順序で処理をおこなった。具体的には、脱脂は65℃で奥野製薬工業(株)製の「コンディショナーMA」を用い5分間処理した。その後、20℃の蒸留水でカーボンフェルト5を5分間水洗した。更に奥野製薬工業(株)製の「OPCプリディップ液」49Lと98%硫酸とを6:1で混合した溶液を用いて、カーボンフェルト5に対し20℃で2分間界面活性剤吸着処理をおこない、その後、蒸留水で水洗した。奥野製薬工業(株)製の「OPC−50インデューサーA」と「OPC−50インデューサーC」とを1:1で混合した溶液で、カーボンフェルト5を45℃で5分間処理し、活性化剤吸着処理を行った。この後、20℃の蒸留水で2分間水洗し、さらに奥野製薬工業(株)製「OPC−150 クリスタMU150」を、1L中に150ml含む溶液にて20℃、5分間処理してカーボンフェルト表面の活性化処理をおこなった。その後、更に20℃蒸留水にて2分間水洗した。上記の各工程での処理液及び水洗液は、定量ポンプによりめっき装置へ0.6l/hrの送液速度で送液した。
図2に示すめっき装置を用いて、錫めっき処理をおこなった。
(前処理工程)
前処理工程においては、カーボンフェルト5に対し、脱脂→水洗の順序で処理を行った。具体的には、脱脂は20℃で、98%硫酸によって5時間処理した。その後、20℃の蒸留水で洗浄液のphが7になるまで水洗した。
(めっき工程)
めっき工程において、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を33.5g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物を70.6g/L、ニトリロ三酢酸を19.1g/L、塩化錫二水和物を18.1g/L、三塩化チタン25%水溶液を三塩化チタン純分で19.0g/Lとなるように水に溶解し、25%アンモニア水にてpHが7.0に調整されためっき液を用意した。60℃の温度で、前記めっき液をポンプで循環しながら1時間鉛めっき処理をおこなった。めっき工程でのめっき液の循環は0.6l/hrでおこなった。また、めっき液は窒素雰囲気下で扱った。
(後処理工程)
めっき後、20℃蒸留水にて5分間水洗した。その後、めっき枠3を解体し、カーボンフェルトを取り出し、空気中で自然乾燥させた。
実施例2と同様な方法でコーティング層の平均厚みLaveを算出すると、0.25μmであった。また実施例2と同様な装置、手段で電池顕微鏡にて測定した各層の被覆率は、Csurfaceは85%、Cmiddleは70%、Cbackは80%であり、平均被覆率Caveは約80%であった。さらに実施例2と同様な装置、手段でEDX測定を行い、上述の式3に従い算出した各層の被覆率は、Cedxsurfaceは12%、Cedxmiddleは11%、Cedxbackは12%であり、それらの平均値は12%であった。フェルト中心層に対するフェルト表層及び裏層の被覆率の比は109%であり、表層から裏層まで均一に被覆されていることが確認できた。
−体積弾性係数−
実施例2と同様の装置及び手順にて測定した体積弾性係数は、コーティング前のカーボンフェルトの1.1倍であった。大幅な弾性率増加には至らず、電池として使用もできており、電極として問題無く使用できる弾性、復元性を有していた。
−電気抵抗率−
実施例2と同様の装置及び手順にて測定したフェルトの電気抵抗率は、0.2Ω・mmであった。コーティング前のカーボンフェルト(1Ω・mm)に比べて、電極の内部オーム損は大幅に減少していることが分かる。
(レドックスフロー電池)
図6に示すレドックスフロー電池において、実施例5にて製作したカーボンフェルトを負極カーボンフェルト21として装着した以外は、実施例2と同様な条件で電圧ロスを測定した。その結果、電流密度100mA/cm2において、電圧ロスは140mVであった。測定後に負極側タンク内の気相部分の水素分析を実施したが、水素は検出されなかった。
さらに電流をゼロとし、実施例2と同様の装置及び手順にて、インピーダンス測定を行った。その結果、オーム損による直流抵抗R(L)は0.08Ωで、反応抵抗R(R)は0.05Ωと測定された。負極側のみ実施例5のカーボンフェルトを使用した場合でも、比較例1と比べてオーム損による直流抵抗R(L)も反応抵抗R(R)も低下していることが分かる。
1 タンク
2 ポンプ
3 めっき枠
4 ディストリビュータ
5 カーボンフェルト
6 スペーサー
7 プレス
8 押さえ板
9 支え板
10 スペーサー兼保持板
11 締め付けボルト
12 銅板
13 抵抗測定端子
14 正極電解液循環ポンプ
15 負極電解液循環ポンプ
16 正極液用のタンク
17 負極液用のタンク
18 正極側バイポーラプレート
19 負極側バイポーラプレート
20 正極カーボンフェルト
21 負極カーボンフェルト
22,24 正極側導管
23,25 負極側導管
26 正極セル
27 負極セル
28 隔膜
29 レドックスフロー電池
30 薬剤溶液
31 ビーカー
32 回転子
33 吊りひも
34 マグネット式回転装置

Claims (8)

  1. 電極に用いられるカーボンフェルトであって、
    カーボン繊維で構成されたフェルト基材と、
    前記フェルト基材を構成する前記カーボン繊維の表面を被覆し、且つ、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物を含み、平均被覆率が前記カーボン繊維の表面積の10%〜100%の範囲であるコーティング層と、
    を有するカーボンフェルト。
  2. 前記非白金族化合物が、銅、鉛、錫、アンチモン及びビスマスから選ばれる少なくとも一種の金属、合金、又は、金属若しくは合金の酸化物である請求項1に記載のカーボンフェルト。
  3. 前記コーティング層の平均厚みが、0.05μm〜5μmの範囲である請求項1又は請求項2に記載のカーボンフェルト。
  4. 前記カーボンフェルトの体積弾性係数が、前記コーティング層をコーティングする前の前記フェルト基材の体積弾性係数に対して1.0倍〜5倍の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンフェルト。
  5. 前記カーボンフェルトの電気抵抗率が、前記コーティング層をコーティングする前の前記フェルト基材の電気抵抗率の0.95倍〜0.001倍の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーボンフェルト。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーボンフェルトを少なくとも負極側に備えた二次電池。
  7. 電極に用いられるカーボンフェルトの製造方法であって、
    無電解めっきによって、カーボンよりも高い導電性を有する非白金族化合物で、フェルト基材を構成するカーボン繊維の表面を被覆するコーティング工程を含むカーボンフェルトの製造方法。
  8. 前記コーティング工程において、前記フェルト基材に対して一方向からめっき液を供給し、前記めっき液を前記フェルト基材内に通過させつつ前記無電解めっきを施す請求項7に記載のカーボンフェルトの製造方法。
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