JP7194361B2 - 電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池 - Google Patents

電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池 Download PDF

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Description

本発明は、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池に関するものである。
特許文献1は、電解液の流路となる溝を有する流れ場板(双極板)と、電極とを備えるレドックスフロー電池を開示する。また、特許文献1は、上記電極として、0.8MPaの圧縮応力で20%未満の圧縮ひずみを有するカーボン紙を開示する。
特表2015-505148号公報
本開示の電池セルは、
電極と、前記電極の一面に対向する隔膜と、前記電極の他面に対向する双極板とを備え、レドックスフロー電池に用いられる電池セルであって、
前記双極板は、前記電極との対向面に電解液の流路を備え、
前記電極は、カーボン素材を含む多孔質体であり、
前記電極の厚さ方向に0.8MPaの面圧を加えた状態における前記電極の厚さ方向の圧縮ひずみが20%以上60%以下である。
本開示のセルスタックは、
本開示の電池セルを備える。
本開示のレドックスフロー電池は、
本開示の電池セル、又は本開示のセルスタックを備える。
図1は、実施形態のレドックスフロー電池の基本構造を模式的に示す説明図である。 図2は、実施形態の電池セル及びセルスタックの概略構成図である。 図3Aは、電極における0.8MPaの面圧での圧縮ひずみを測定する方法を説明する図であり、測定試料を固定下盤の上に配置した状態を示す。 図3Bは、電極における0.8MPaの面圧での圧縮ひずみを測定する方法を説明する図であり、測定試料を可動上盤と固定下盤とで圧縮する状態を示す。 図3Cは、電極における嵩密度の分布状態を説明する図である。 図4は、実施形態のレドックスフロー電池における電解液の流通状態を説明する断面図である。 図5は、実施形態の電池セルに備えられる電極の組織を示す模式図である。 図6Aは、実施形態の電池セルに備えられる双極板の一例を示す部分平面図である。 図6Bは、実施形態の電池セルに備えられる双極板の別例を示す部分平面図である。 図7は、試験例において、レドックスフロー電池の圧力損失の測定に用いる測定システムの概略構成図である。
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1は、上述の0.8MPaの圧縮応力での圧縮ひずみが20%未満という相対的に硬いカーボン紙であれば、双極板に設けられた溝内への侵入が低減される旨を開示する。また、特許文献1は、上記溝内に侵入した電極によって溝内における電解液の流れが制限されることを低減して、性能の安定性(一貫性)を向上させる旨を開示する。しかし、上記0.8MPaの圧縮応力での圧縮ひずみが20%未満という電極は、電池性能の更なる向上ができない。
そこで、本開示は、電池性能を向上できるレドックスフロー電池を構築可能な電池セルを提供することを目的の一つとする。また、本開示は、電池性能を向上できるレドックスフロー電池を構築可能なセルスタックを提供することを別の目的の一つとする。更に、本開示は、電池性能を向上できるレドックスフロー電池を提供することを別の目的の一つとする。
[本開示の効果]
本開示の電池セル、及び本開示のセルスタックは、電池性能を向上できるレドックスフロー電池を構築できる。本開示のレドックスフロー電池は、電池性能を向上できる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る電池セルは、
電極と、前記電極の一面に対向する隔膜と、前記電極の他面に対向する双極板とを備え、レドックスフロー電池に用いられる電池セルであって、
前記双極板は、前記電極との対向面に電解液の流路を備え、
前記電極は、カーボン素材を含む多孔質体であり、
前記電極の厚さ方向に0.8MPaの面圧を加えた状態における前記電極の厚さ方向の圧縮ひずみが20%以上60%以下である。
本開示の電池セルは、上記の特定の電極を備えるため、従来よりも電池性能に優れるレドックスフロー電池(以下、RF電池と呼ぶことがある)を構築できる。この理由は、以下の(a),(b)のように考えられる。
(a)上述の特定の電極は硬過ぎない。そのため、上記電極は、RF電池に組み付けられて所定の面圧を受けても、ある程度変形し易い。従って、上述の電極における表面近くの領域が双極板に密着するように変形すると考えられる。この密着により、上記電極と双極板との接触抵抗を低減することができる。更に、本開示の電池セルに備えられる双極板は、例えば溝といった流路を備える。そのため、上記電極は、双極板の溝(流路)の開口部近くに張り出すように変形して、溝に若干入り込むと考えられる。上記電極の一部が溝に若干入り込むことで、上記電極における溝に対向する領域の空隙率は、上記電極における溝以外の箇所(後述の畝部)に対向する領域の空隙率よりも相対的に高まることがある。空隙率が相対的に高まることで、上記電極における溝に対向する領域は、溝から未反応の電解液を受け取り易くなる。結果として、上記電極は、電池反応を行う領域(以下、活用領域と呼ぶことがある)を大きく確保し易く、電池反応を良好に行えると考えられる。このような電極を備える本開示の電池セルは、RF電池のセル抵抗の低減に寄与する。
(b)上記の特定の電極は柔らか過ぎない。そのため、多孔質体からなる電極自体が有する空孔が潰れ難く、上記空孔によって電解液を良好に流し易いと考えられる。更に、上記電極は、変形しても、上述の双極板の溝(流路)内に大きく侵入しないと考えられる。上記電極が溝に入り込み過ぎないことで、双極板は、溝内における電解液の流通空間を良好に確保でき、電解液の流通性に優れる。このような本開示の電池セルは、上記空孔の潰れ過ぎや、上記電極が溝に入り込み過ぎることに起因するセル内の圧力の上昇(圧力損失(以下、圧損)の増大)を招き難く、RF電池の圧損の増大抑制に寄与する。
(2)本開示の電池セルの一例として、
前記流路は、幅が0.6mm以上5.0mm以下である溝を含む形態が挙げられる。
上述の特定の電極は、上記特定の溝に若干入り込みつつ、入り込み過ぎない。このような形態は、RF電池のセル抵抗の低減、圧損の増大抑制に寄与する。
(3)本開示の電池セルの一例として、
前記流路は、深さが0.6mm以上5.0mm以下である溝を含む形態が挙げられる。
上述の特定の電極は、上記特定の溝に若干入り込める。上記特定の溝は、上記電極が入り込んでも電解液の流通空間を確保し易い。このような形態は、RF電池のセル抵抗の低減、圧損の増大抑制に寄与する。
(4)本開示の電池セルの一例として、
前記電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣とを含むカーボン紙である形態が挙げられる。
上記形態は、カーボンバインダー残渣によってカーボン繊維が三次元的に結着された電極を備える。カーボンバインダー残渣は、電極の製造過程で樹脂等のバインダーが炭化して生じたものである。上記バインダーの添加量によって上記電極の剛性を変更することができる。そのため、上記電極の剛性を調整することに関する自由度が高い。また、電極の製造工程で電極を圧縮することで、上記電極の厚さを薄くし易い。上記電極の厚さが薄いと、電子伝導に関わる抵抗が低下し、セル抵抗を低減し易い。更に、上記電極は、カーボン繊維が三次元的に結着されることで形成される気孔を利用して、電解液を流通させ易い。このような電極を備える形態は、RF電池のセル抵抗の低減、圧損の増大抑制に寄与する。
(5)本開示の電池セルの一例として、
前記電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣と、カーボン粒子とを含むカーボン紙である形態が挙げられる。
上記形態は、カーボンバインダー残渣によってカーボン繊維が三次元的に結着された電極を備える。このような電極を備える形態は、上述の理由により、RF電池のセル抵抗の低減、圧損の増大抑制に寄与する。かつ、上記電極は、カーボン粒子を含むため、表面積の増大により電池反応を良好に行える。従って、上記形態はRF電池のセル抵抗の更なる低減に寄与する。
(6)上述の(5)の電池セルの一例として、
前記カーボン粒子の含有量が10質量%以上50質量%以下である形態が挙げられる。
上記形態に備えられる電極は、表面積を大きく確保できて電池反応を良好に行える。また、このような電極では、電極内における電解液の流れが阻害され難い。上記電極を備える形態は、RF電池の圧損の増大抑制に寄与しつつ、RF電池のセル抵抗の更なる低減に寄与する。
(7)本開示の電池セルの一例として、
前記電極の初期厚さが0.3mm以上2.0mm以下である形態が挙げられる。
ここでの電極の初期厚さとは、後述するように小さな面圧(0.7kPa)を加えた状態における電極の厚さである。上記形態に備えられる電極は、大きな表面積を有し易く、電池反応を良好に行える。また、上記電極は、電極内における電解液の流速を低下させ難く、電解液の流通性に優れる。このような電極を備える形態は、RF電池のセル抵抗の低減、圧損の増大抑制に寄与する。
(8)本開示の電池セルの一例として、
前記電極の嵩密度が0.11g/cm以上0.7g/cm以下である形態が挙げられる。
上記形に備えられる電極は、大きな表面積を有し易く、電池反応を良好に行える。また、上記電極は、電極内における電解液の流速を低下させ難く、電解液の流通性に優れる。このような電極を備える形態は、RF電池のセル抵抗の低減、圧損の増大抑制に寄与する。
(9)本開示の電池セルの一例として、
前記電極の嵩密度が前記電極の厚さ方向に異なっており、
前記電極における前記隔膜との近傍領域、及び前記電極における前記双極板との近傍領域の少なくとも一方の領域に前記嵩密度の極大値を有する形態が挙げられる。
上記形態に備えられる電極は、電極の厚さ方向に嵩密度の分布を有し、隔膜の近傍領域や双極板の近傍領域に嵩密度の極大値をとる。隔膜の近傍領域に嵩密度の極大値を有する形態は、電解液中の活物質と、電極との反応性に優れる。双極板の近傍領域に嵩密度の極大値を有する形態は、電極と双極板との接触抵抗を低減し易い。従って、いずれの形態も、RF電池のセル抵抗を低減し易い。両近傍領域が嵩密度の極大値を有してもよい。
(10)本開示の電池セルの一例として、
前記電極の剛軟度が10mN以上450mN以下である形態が挙げられる。
上記形態に備えられる電極は、硬過ぎず柔らか過ぎないといえる。上記電極は、上述した0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが上述の特定の範囲を満たすことと合わせて、上述の双極板の溝に若干入り込みつつ、入り込み過ぎない。このような電極を備える形態は、電解液の流通性に優れつつ、電池反応を良好に行えて、RF電池のセル抵抗の低減、圧損の増大抑制に寄与する。
(11)本開示の電池セルの一例として、
前記電極は、非カーボン系材料からなる触媒を担持している形態が挙げられる。
上記形態に備えられる電極は、触媒を担持しているため、電池反応をより良好に行える。このような電極を備える形態は、RF電池のセル抵抗の更なる低減に寄与する。
(12)上記(11)の電池セルの一例として、
前記非カーボン系材料は、酸化物及び炭化物の少なくとも一種の材料である形態が挙げられる。
上記形態に備えられる電極は、上述の特定の材料からなる触媒を担持するため、電池反応を更に良好に行える。このような電極を備える形態は、RF電池のセル抵抗を一層低減することに寄与する。
(13)本開示の電池セルの一例として、
前記流路は、前記双極板の供給縁寄りに設けられる第一の溝と、前記双極板の排出縁寄りに設けられる第二の溝とが隣り合って並ぶ溝の組を含む形態が挙げられる。
上記形態における第一の溝は、電極に電解液を供給することに利用できる。上記形態における第二の溝は、電解液を排出することに利用できる。このような特定の溝の組を備える双極板は、電極に未反応の電解液を供給すること、及び電極からの反応済の電解液を電極外に排出することを良好に行える。また、上記双極板は、隣り合う溝間に両溝を仕切る畝部を備える。このような双極板に対向する電極は、第一の溝から未反応の電解液を受け取ると、畝部との対向領域で電池反応を良好に行え、更に第二の溝に反応済みの電解液を排出できる。そのため、上記電極は電池反応をより良好に行える。従って、上記形態は、RF電池の圧損の増大抑制に寄与しつつ、セル抵抗の更なる低減に寄与する。
(14)本開示の電池セルの一例として、
前記流路は、蛇行溝を含む形態が挙げられる。
上記形態に備えられる双極板は、蛇行溝を含むため、電極のより広い範囲に電解液を供給し易い。このような双極板を備える形態は、電極の活用領域を大きく確保し易く、電池反応をより良好に行える。従って、上記形態は、RF電池の圧損の増大抑制に寄与しつつ、セル抵抗の更なる低減に寄与する。
(15)本開示の電池セルの一例として、
前記隔膜の厚さが7μm以上60μm以下である形態が挙げられる。
上記形態に備えられる隔膜は、RF電池に組み付けられた状態で所定の面圧を受けても損傷し難い上に、セル抵抗の増大を招き難い。従って、上記形態は、RF電池において、隔膜の損傷に起因する短絡の発生防止、セル抵抗の低減に寄与する。
(16)本開示の電池セルの一例として、
前記隔膜は、イオン交換膜である形態が挙げられる。
上記形態に備えられる隔膜は、正負の電解液の隔離性、水素イオンの透過性(プロトン伝導性)に優れる。このような隔膜を備える形態は、電池反応を良好に行えて、RF電池のセル抵抗の低減に寄与する。
(17)上述の(16)の電池セルの一例として、
前記イオン交換膜は、イオン交換基を有するフッ素系高分子電解質ポリマーを含むフッ素系陽イオン交換膜であり、
前記イオン交換基は、スルホン酸であり、
前記イオン交換基のクラスタ径が2.5nm以上であり、
前記フッ素系高分子電解質ポリマーにおける前記イオン交換基1当量あたりの乾燥質量グラム数が950g/eq以下である形態が挙げられる。
上記形態に備えられる隔膜は、プロトン伝導性に優れる。このような隔膜を備える形態は、RF電池の電圧効率の向上に寄与する。また、上記隔膜は耐久性に優れる。このような隔膜を備える形態は、RF電池において隔膜の損傷に起因する短絡の発生防止、セル抵抗の低減に寄与する。
(18)本開示の一態様に係るセルスタックは、
上述の(1)から(17)のいずれか一つの電池セルを備える。
本開示のセルスタックは、上述の本開示の電池セルを備えるため、従来よりも電池性能に優れるRF電池を構築できる。
(19)本開示の一態様に係るレドックスフロー電池(RF電池)は、
上述の(1)から(17)のいずれか一つの電池セル、又は上述の(18)のセルスタックを備える。
本開示のRF電池は、上述の本開示の電池セル、又は上述の本開示のセルスタックを備えるため、従来よりも電池性能に優れる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態の電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池(RF電池)を説明する。図において同一符号は同一名称物を意味する。
[実施形態]
まず、図1,図2を参照して、実施形態の電池セル1、セルスタック2、RF電池10の概要を説明する。その後、実施形態の電池セル1に備えられる電極12、双極板15、隔膜11を順に説明する。なお、後述するように一つの電池セル1は、電極12として正極電極13及び負極電極14を含む。以下の説明では、主として、正極電極13及び負極電極14の少なくとも一方を電極12として説明する。
(概要)
実施形態の電池セル1は、電極12と、電極12の一面に対向する隔膜11と、電極12の他面に対向する双極板15とを備え、RF電池10の主要素に用いられる。電極12は、カーボン素材を含む多孔質体である。双極板15は、電極12との対向面に電解液の流路4(図2)を備える。
特に、実施形態の電池セル1に備えられる電極12は、定性的には硬過ぎず、柔らか過ぎない。定量的には、電極12の厚さ方向に0.8MPaの面圧を加えた状態における電極12の厚さ方向の圧縮ひずみ(以下、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみと呼ぶことがある)が20%以上60%以下である。実施形態のセルスタック2は、実施形態の電池セル1を備える。実施形態のRF電池10は、実施形態の電池セル1、又は実施形態のセルスタック2を備える。
(電池セル)
電池セル1は、正極セル1A及び負極セル1Bを備える。正極セル1Aは、正極電極13(電極12の一例)と、隔膜11と、双極板15とを備える。負極セル1Bは、負極電極14(電極12の別例)と、隔膜11と、双極板15とを備える。RF電池10が単セル電池である場合、一つの正極セル1Aと一つの負極セル1Bとを備える。RF電池10が多セル電池である場合、正極セル1Aと負極セル1Bとの組を複数組備える。正極セル1Aと負極セル1Bとの組を複数備える多セル電池は、代表的にはセルスタック2を備える。電池セル1は、代表的には後述のセルフレーム3を用いて構築される。
(RF電池)
RF電池10は、電解液循環型の蓄電池の一つである。RF電池10は、電池セル1(セルスタック2でもよい)と、電池セル1に電解液を供給する循環機構とを備える。代表的には、RF電池10は、介在機器6を介して、発電部7と負荷8とに接続される。介在機器6は、例えば交流/直流変換器、変電設備等が挙げられる。発電部7は、例えば太陽光発電機、風力発電機、その他一般の発電所等が挙げられる。負荷8は、例えば電力系統や電力の需要家等が挙げられる。RF電池10は、発電部7を電力供給源として充電を行い、負荷8を電力提供対象として放電を行う。RF電池10は、負荷平準化、瞬低補償や非常用電源、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギー発電の出力平滑化等に利用される。
〈循環機構〉
循環機構は、タンク16,17と、配管160,170(往路配管161,171、復路配管162,172)と、ポンプ18,19とを備える。タンク16は、正極電極13に循環供給する正極電解液を貯留する。往路配管161及び復路配管162はタンク16と正極セル1A間を接続する。タンク17は、負極電極14に循環供給する負極電解液を貯留する。往路配管171及び復路配管172はタンク17と負極セル1B間を接続する。ポンプ18,19はそれぞれ、往路配管161,171に接続されて、正極セル1A,負極セル1Bに電解液を循環供給する。図1の黒矢印は、電解液の流れを例示する。
〈電解液〉
電解液には、活物質となるイオンを含む溶液が利用できる。代表的な電解液は、上記イオンと、酸とを含む水溶液が挙げられる。図1は、正負の活物質としてバナジウムイオンを含む全バナジウム系RF電池を例示する。正極活物質としてマンガンイオンを含み、負極活物質としてチタンイオンを含むMn-Ti系RF電池等、公知の組成の電解液を利用することができる。
〈セルフレーム〉
セルフレーム3は、双極板15と、枠体30とを備える。双極板15は、電流を流す導電性の部材であり、電解液を通さない部材である。双極板15は、電解液の流路4(図2)を備えるため、電解液の流通性に優れる。枠体30は、双極板15を支持すると共に、双極板15に配置される電極12への電解液の供給、電極12からの電解液の排出に利用される電気絶縁性の部材である。単セル電池又は多セル電池の端部に利用されるセルフレーム3では、双極板15の一面に電極12が配置される。多セル電池の中間部に利用されるセルフレーム3では、双極板15の一面に正極電極13が配置される。この双極板15の他面に負極電極14が配置される。つまり、一組の正極電極13及び負極電極14は、一つの双極板15の両面を挟むように配置される。
図2に示すように、枠体30は、双極板15の周縁側の領域を覆うように設けられる。枠体30は、窓部31と、電解液の供給路及び排出路とを備える。窓部31は、枠体30の中央部に設けられて、双極板15における電極12が配置される領域を露出させる。図2は、枠体30として、外形及び窓部31の形状が長方形である場合を例示する。枠体30の外形、窓部31の形状は適宜変更できる。
代表的には、枠体30は、一面に正極側の供給路及び排出路を備え、他面に負極側の供給路及び排出路を備える。上記供給路は、給液マニホールド33(正極),34(負極)と、給液マニホールド33,34から窓部31に至るスリット等とを備える。上記排出路は、排液マニホールド35(正極),36(負極)と、窓部31から排液マニホールド35,36に至るスリット等とを備える。双極板15の周縁のうち、上記供給路のスリットが開口する内周縁に接する箇所は、電解液の供給縁4i(後述の図6A,図6Bも参照)として利用される。双極板15の周縁のうち、上記排出路のスリットが開口する内周縁に接する箇所は、電解液の排出縁4o(後述の図6A,図6Bも参照)として利用される。その他、本例の枠体30は、シール材38を備えており、隣り合うセルフレーム3間を液密に保持する(図1)。
枠体30の構成材料は、電解液に対する耐性及び電気絶縁性を有する材料、例えば塩化ビニル樹脂等の樹脂が挙げられる。枠体30は、例えば分割片の組物が挙げられる。このセルフレーム3は、双極板15を挟むように上記分割片を組み合わせて適宜接合することで製造できる。又は、枠体30は、射出成形等による一体成形物が挙げられる。このセルフレーム3は、双極板15の周囲に枠体30を射出成形等で成形することで製造できる。
(セルスタック)
セルスタック2は、代表的には複数の電池セル1の積層体と、一対のエンドプレート21と、締結部材22とを備える。上記積層体は、正極セル1A、負極セル1Bが順に積層されて構築される。具体的には、上記積層体は、複数のセルフレーム3を備え、セルフレーム3(双極板15)、正極電極13、隔膜11、負極電極14が順に積層される(図2の分解図参照)。締結部材22は、長ボルト等の連結材及びナット等が挙げられる。締結部材22によってエンドプレート21間が締め付けられる。上記積層体は、その積層方向の締付力によって積層状態を保持する。この締付力によって、各電池セル1を構成する電極12に所定の面圧が負荷される。この負荷状態で、電池セル1はRF電池10に使用される。
セルスタック2は、図2に例示するように、複数のサブセルスタック20を備えてもよい。サブセルスタック20は、所定数の電池セル1の積層体と、この積層体を挟む一対の給排板23とを備える。給排板23に上述の配管160,170が接続される。
(電極)
以下、図3から図5を参照して、電極12を詳細に説明する。
図3Cは、電極12における厚さ方向に平行な面、ここでは電極12の側面を平面視した状態を示す。電極12の側面は、電極12の表面120であって隔膜11に対向する面(図3Cでは紙面上側の面)と、電極12の表面120であって電極12における双極板15に対向する面(図3Cでは紙面下側の面)とを繋ぐ面である。
図4は、一つの正極セル1Aと一つの負極セル1Bとを備える単セル電池(RF電池10の一例)を構成部材の積層方向に平行する平面で切断した状態を示す部分断面図である。図4は、隔膜11、電極12、双極板15を模式的に示す。これら各部材の寸法(厚さ等)は実際の寸法とは異なる。図4に示す双極板15の断面図は、図6Aに示す切断線(IV)-(IV)で切断した場合に相当する。
図5は、電極12の組織を模式的に示す拡大図である。
〈厚さ方向の圧縮ひずみ〉
実施形態の電池セル1に備えられる正極電極13及び負極電極14の少なくとも一方の電極12は、上述のように0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下である。
上述の0.8MPaの面圧での圧縮ひずみとは、電極12の初期厚さtと、電極12に0.8MPaの面圧を加えた状態での電極12の厚さ(以下、厚さt0.8と呼ぶ)との差(t-t0.8)を、初期厚さtで除した割合である。即ち、上記圧縮ひずみは、{(t-t0.8)/t}×100で求める。
初期厚さt、厚さt0.8の測定方法を説明する。
電極12の初期厚さtは、JIS L 1096(2010年)のA法(JIS法)に準拠して測定する。具体的には、市販の厚さ測定装置を用いて、一定の時間及び一定の圧力の下で、電極12の厚さを測定する。上記時間は10秒間とする。上記圧力は、0.7kPaとする。測定した厚さを初期厚さtとする。初期厚さt及び厚さt0.8はいずれも、RF電池10に組み付ける前の電極12について測定するとよい。
厚さt0.8の測定は、市販の強度評価装置を用いて、以下のように測定する。電極12を10mm×10mmのサイズに切り取る。切り取ったものを測定試料128(図3A)とする。強度評価装置は、図3Aに示すように、固定下盤201と、可動上盤202とを備える。固定下盤201及び可動上盤202における測定試料128に接する面のサイズは、測定試料128のサイズ(10mm×10mm)よりも十分に大きくする。測定試料128を固定下盤201の上に配置する。図3Bに示すように測定試料128の上方から可動上盤202を下降し、固定下盤201と可動上盤202とで測定試料128を挟む。可動上盤202の位置は、測定試料128に印加される圧力が0.8MPaとなるように調整される。測定試料128は、主として、可動上盤202からの加圧によって圧縮される。この圧縮状態で測定試料128の厚さを測定する。測定した厚さを厚さt0.8とする。
上述の0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上であれば、電極12は硬過ぎないといえる。そのため、電極12は、RF電池10に組み付けられて所定の面圧を受けても、ある程度変形し易いと考えられる。例えば、電極12の表面120(図4)近くの領域は、双極板15、特に後述の畝部48に密着するように変形して、電極12と双極板15との接触抵抗を低減できると考えられる。また、双極板15は、電解液の流路4となる溝40を有する。そのため、図4に示すように、電極12は、RF電池10に組み付けられた状態において、溝40の開口部近くに張り出すように変形して、溝40に若干入り込むと考えられる。図4は、電極12における変形前の表面120を二点鎖線で仮想的に示す。また、図4は、電極12における変形前の表面120から溝40内に張り出す箇所(張出部124)を実線で示す。
上述のように電極12の一部が溝40に若干入り込むことで、電極12における溝40に対向する領域の空隙率は、電極12における溝40以外の箇所(畝部48)に対向する領域の空隙率よりも相対的に高まることがある。空隙率が相対的に高まることで、電極12における溝40に対向する領域は、溝40内を流れる未反応の電解液を受け取り易くなる。その結果、電極12は、電池反応を行う領域(活用領域)を大きく確保し易く、電池反応を良好に行えると考えられる。電極12が硬過ぎないことで、電極12の利用率を増大できるといえる。このような電極12を備える電池セル1は、RF電池10のセル抵抗の低減といった電池特性の向上に寄与する。
上述の0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが60%以下であれば、電極12は柔らか過ぎないといえる。そのため、電極12は、RF電池10に組み付けられて所定の面圧を受けても、変形し過ぎないと考えられる。従って、多孔質体からなる電極12の空孔が過度に潰されない。このような電極12は、空孔によって電解液を良好に流し易いと考えられる。また、電極12は、RF電池10に組み付けられた状態において、変形しても溝40内に大きく侵入しない、即ち溝40に入り込み過ぎないと考えられる。その結果、溝40は、電解液の流通空間を良好に確保できる。双極板15は、溝40を良好に活用できるため、電解液の良好な流通性を確保できる。電極12は、溝40への入り込みに起因する電解液の流通性の低下を招き難い。つまり、電極12が柔らか過ぎないことで、電池セル1は電解液の流通性に優れるといえる。このような電極12を備える電池セル1は、上記空孔の潰れ過ぎや、電極12が溝40に入り込み過ぎることに起因する圧損の増大を抑制するといった電池特性の向上に寄与する。
上述の0.8MPaの面圧での圧縮ひずみは、21%以上、更に22%以上、25%以上でもよい。上記圧縮ひずみが大きいほど、電極12が変形し易い。そのため、電極12は、双極板15との接触抵抗を低減したり、溝40への若干の入り込みを行ったりし易い。その結果、RF電池10は、セル抵抗の低減効果をより得易い。
上述の0.8MPaの面圧での圧縮ひずみは、55%以下、更に50%以下、45%以下でもよい。上記圧縮ひずみが小さいほど、電極12が変形し難い。そのため、電極12の空孔が潰れ過ぎたり、電極12が溝40に入り込み過ぎたりすることを防止し易い。その結果、電池セル1は電解液の流通性により優れて、RF電池10の圧損の増大をより抑制し易い。好ましくは圧損の増大が実質的に生じない。
〈構成材料〉
電極12は、カーボン素材を含む多孔質体であり、カーボン素材を主体とすることが好ましい。ここでの主体とするとは、電極12を100質量%として、カーボン素材の含有量が95質量%以上を満たすことをいう。このような多孔質体は、上述の0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下を満たすように製造すればよい。電極12は、例えば、カーボン素材の種類、含有量、形状、大きさ、嵩密度、剛軟度等を調整して製造することが挙げられる。
カーボン素材は、実質的に炭素元素から構成される材料である。カーボン素材は、例えば、カーボン繊維50、カーボンバインダー残渣51、カーボン粒子52等が挙げられる(図5)。なお、黒鉛繊維は、カーボン繊維50の一種とみなす。
《具体例》
電極12の具体例として、カーボン繊維50と、カーボンバインダー残渣51とを含むカーボン紙が挙げられる。この電極12は、カーボン繊維50がカーボンバインダー残渣51によって三次元的に結着されて、多孔質体となっている。
カーボンバインダー残渣51は、電極12の製造過程において、カーボン繊維50を結合するバインダーが熱処理によって炭化することで生じたものである。上記バインダーとして、炭素元素を含む材料、代表的にはフェノール樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。
上記バインダーの添加量を調整すれば、電極12の剛性を変更することができる。バインダーの添加量が多ければ、電極12の剛性を高め易い。そのため、電極12は変形し難い。従って、電極12は、空孔を確保でき、電解液の流通性に優れる。バインダーの添加量が少なければ、電極12の剛性を低くし易い。そのため、電極12は変形し易い。従って、電極12は、上述の張出部124を形成し易い。このような電極12は、セル抵抗の低減、圧損の増大抑制等、RF電池10の電池特性の向上に寄与する。また、このような電極12は、剛性の調整の自由度が高く、利用し易い。更に、電極12は、その製造工程で圧縮されることで薄くされる。電極12の厚さが薄ければ、電子伝導に関わる抵抗を低減でき、セル抵抗を低減し易い。この点からも、上記電極12は、RF電池10の電池特性の向上に寄与する。なお、カーボンバインダー残渣51の含有量は、バインダーの添加量に依存する。
電極12の別例として、カーボン繊維50と、カーボンバインダー残渣51と、カーボン粒子52とを含むカーボン紙が挙げられる(図5)。この電極12は、上述のカーボン繊維50及びカーボンバインダー残渣51を含む場合に比較して、カーボン粒子52を含むことで電極12の表面積を増大できる。従って、この電極12は、電池反応をより良好に行えて、RF電池10のセル抵抗の更なる低減に寄与する。カーボン粒子52は、例えば、カーボンブラック、黒鉛粒子が挙げられる。
カーボンブラックの平均粒径は、例えば4nm以上500nm以下が挙げられる。上記平均粒径が4nm以上であれば、カーボンブラックの粒子が凝集し難く、均一的に分散し易い。微細なカーボン粒子52の分散によって、電極12は、表面積を増大し易い。上記平均粒径が500nm以下であれば、電極12の表面積を良好に増大することができる。従って、カーボンブラックの平均粒径が上記範囲を満たす場合、電極12が電池反応を良好に行える。その結果、RF電池10は、セル抵抗の低減効果を得易い。上記平均粒径は5nm以上495nm以下、更に10nm以上490nm以下でもよい。
黒鉛粒子における電解液の酸化力に対する耐性は、カーボンブラックよりも優れる。そのため、黒鉛粒子は、カーボンブラックを適用し難いような電解液であっても利用できる。黒鉛粒子の平均粒径は例えば1μm以上50μm以下が挙げられる。上記平均粒径が1μm以上であれば、電解液に対する黒鉛粒子の耐酸化力を良好に発揮できる。上記平均粒径が50μm以下であれば電極12の表面積を良好に増大することができる。従って、黒鉛粒子の平均粒径が上記範囲を満たす場合、電極12が電池反応を良好に行える。その結果、RF電池10は、セル抵抗の低減効果を得易い。上記平均粒径は2μm以上45μm以下、更に3μm以上40μm以下でもよい。
上述のカーボン粒子52の平均粒径は、レーザー回折法によって測定することが挙げられる。上記平均粒径の測定装置は、市販の測定装置、例えば株式会社島津製作所製のレーザー回折式粒子分布測定装置SALD-2300を利用できる。測定に用いる分散媒液は、スルホこはく酸ジイソオクチルナトリウムと純水との混合液が挙げられる。上記分散媒液におけるスルホこはく酸ジイソオクチルナトリウムの濃度が0.2質量%となるように、純水を加える。カーボン粒子52の一部をビーカーにとり、このビーカー内に約30mLの分散媒液を加える。カーボン粒子52と分散媒液との混合液に、ホモジナイザー照射(200W)による分散処理を施す。ホモジナイザー照射の照射時間は3分間とする。この分散処理後、上述の測定装置によって、カーボン粒子52の平均粒径を測定する。
カーボン粒子52の含有量は、例えば電極12を100質量%として、10質量%以上50質量%以下が挙げられる。上記含有量が10質量%以上であれば、カーボン粒子52によって電極12の表面積を増大できて、電極12は電池反応を良好に行える。上記含有量が50質量%以下であれば、カーボン粒子52によって電解液の流通性が阻害され難い。そのため、電極12は電解液の流通性に優れる。上記含有量が13質量%以上、更に15質量%以上、20質量%以上であれば、電極12の表面積をより増大し易い。ひいてはRF電池10はセル抵抗を低減し易い。上記含有量が48質量%以下、更に45質量%以下、43質量%以下であれば、電解液の流通性により優れ、圧損の増大を低減し易い。
《触媒》
電極12は、非カーボン系材料からなる触媒55を担持してもよい。触媒55は、電解液中の活物質(イオン)と反応活性を示す物質である。触媒55を備えることで、電極12は、電池反応をより良好に行える。
ここでの非カーボン系材料とは、黒鉛質構造を実質的に含まない材料である。例えば、非カーボン系材料は、酸化物及び炭化物の少なくとも一種の材料が挙げられる。酸化物及び炭化物を構成する元素は、例えば、以下の金属元素や非金属元素が挙げられる。
W(タングステン)、Si(珪素)、Ti(チタン)、Ce(セリウム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Sn(錫)、Mo(モリブデン)、In(インジウム)、Sb(アンチモン)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Ru(ルテニウム)、Ir(イリジウム)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Ba(バリウム)等。
酸化物、炭化物は、上記に列挙する元素のうち、一種又は二種以上の元素を含むとよい。電極12は、一種以上の酸化物からなる触媒55、一種以上の炭化物からなる触媒55、又は上記の双方の触媒55を担持してもよい。上記に列挙する非カーボン系材料からなる触媒55を備える電極12は、電池反応をより良好に行えて、セル抵抗の低減効果を得易い。
なお、触媒55は、RF電池10の運転電圧の範囲で電解液に溶解しないものを選定する必要がある。この条件を満たせば、触媒55の大きさは問わない。但し、触媒55が小さいほど触媒55自体の表面積が増大する。そのため、反応活性の点で、触媒55は小さいほど望ましい。また、触媒55の担持量は、例えば、電極12を100質量%として、1質量%以上15質量%以下程度が挙げられる。
〈厚さ〉
電極12の初期厚さtは、例えば0.3mm以上2.0mm以下が挙げられる。初期厚さtが0.3mm以上であれば、電極12は大きな体積を有することで大きな表面積を有し易い。このような電極12は、RF電池10に組み付けられて所定の面圧を受けた状態でも、電池反応を良好に行える。初期厚さtが2.0mm以下であれば、RF電池10に組み付けられて所定の面圧を受けて圧縮された状態でも電極12が厚過ぎない。このような電極12は、電極12内における電解液の流速を低下させ難い。適切な流速の電解液は、良好な電池反応を可能にする。この理由は、電解液が電極12の広範囲に行き渡るからである。また、このような電極12は、電解液の流通性にも優れる。初期厚さtが0.33mm以上、更に0.35mm以上、0.38mm以上であれば、電極12の表面積をより増大し易い。ひいてはRF電池10はセル抵抗を低減し易い。初期厚さtが1.8mm以下、更に1.5mm以下、1.3mm以下であれば、上述の流速の低下を抑制し易い。ひいてはRF電池10はセル抵抗を低減し易い。また、初期厚さtがより薄い電極12は、電解液の流通性により優れるため、圧損の増大をより低減し易い。
〈嵩密度〉
電極12の嵩密度は、例えば0.11g/cm以上0.7g/cm以下が挙げられる。ここでの嵩密度は、電極12に面圧を加えていない状態(以下、非圧縮状態と呼ぶ)で測定する。嵩密度が0.11g/cm以上であれば、カーボン素材が少な過ぎない。そのため、電極12は大きな表面積を有し易い。このような電極12は、電池反応を良好に行える。嵩密度が0.7g/cm以下であれば、カーボン素材が多過ぎない。このような電極12は、電解液の流通性に優れる。そのため、電極12内での圧損が増大し難い。嵩密度が0.15g/cm以上、更に0.18g/cm以上、0.20g/cm以上であれば、電極12は、表面積をより増大し易い。ひいてはRF電池10はセル抵抗を低減し易い。嵩密度が0.65g/cm以下、更に0.60g/cm以下、0.57g/cmであれば、電解液の流通性により優れ、圧損の増大を低減し易い。
電極12は、一様な嵩密度を有してもよいが、嵩密度の分布を有してもよい。例えば、電極12の嵩密度が電極12の厚さ方向に異なることが挙げられる。この場合に、電極12における隔膜11との近傍領域121、及び電極12における双極板15との近傍領域125の少なくとも一方の領域に嵩密度の極大値を有することが挙げられる(図3C)。電極12の近傍領域121,125とは、非圧縮状態の電極12において、電極12の表面120から厚さtの10%までの範囲とする。図3Cは、近傍領域121,125に二点鎖線のクロスハッチングを付して、近傍領域121,125を仮想的に示す。電極12の表面120は、隔膜11又は双極板15との対向面である。
嵩密度が局所的に高い箇所を隔膜11の近傍領域121に含む電極12は、電解液中の活物質との反応性に優れる。このような電極12は、RF電池10のセル抵抗を低減し易い。また、この電極12における双極板15側の領域の嵩密度が相対的に低いため、双極板15側の領域は、相対的に電解液の流通性に優れる。そのため、上記双極板15側の領域と、双極板15の流路4との間で電解液の供給、排出を良好に行うことができる。このような電極12は電解液の流通性に優れるといえる。嵩密度が局所的に高い箇所を双極板15の近傍領域125に含む電極12は、双極板15との接触抵抗を低減し易い。このような電極12は、RF電池10のセル抵抗を低減し易い。嵩密度が局所的に高い箇所を近傍領域121,125の双方に備える電極12は、RF電池10のセル抵抗をより低減し易い。
上述の嵩密度の分布を有する電極12は、例えば、カーボン繊維50とカーボンバインダー残渣51とカーボン粒子52とを含む場合、以下のようにして製造することが挙げられる。まず、カーボン繊維50の集合体に、以下の懸濁液を塗布する。懸濁液は、炭化前のバインダー樹脂とカーボン粒子52とを溶媒等に溶解、分散させた液体である。懸濁液の塗布は、例えば塗工、ディッピング、スプレー塗布等を利用して行うとよい。懸濁液の塗布後、乾燥して、上記溶媒を揮発させる。溶媒が揮発されたもの(以下、電極前駆体と呼ぶ)に対して、再度、電極前駆体の表層のみを上記懸濁液に浸す。その後、乾燥して溶媒を揮発させる。このような懸濁液の表層への塗布(浸漬)、乾燥、揮発という処理を1回以上行うことで、表面120の近傍領域121,125に嵩密度の極大値を有するような電極12が得られる。
電極12の嵩密度の分布は、例えば以下のように測定することが挙げられる。
(1)電極12の空隙率を求める。
空隙率の測定は、市販の三次元画像解析装置によってX線-CT三次元画像を取得し、取得した三次元画像を解析することが挙げられる。三次元画像において、電極12の表面120から厚さ方向に10等分して、電極12を10個の領域に分割する。各領域の厚さは、電極12の厚さtの10%である。各領域の空隙率Pを求める。
空隙率P(%)は、三次元画像の解析から求められる。基本式は、P={(各領域の全体体積-各領域を構成するカーボン素材の体積)/各領域の全体体積}×100が挙げられる。
(2)空隙率を嵩密度に変換する。
上述の各領域の空隙率Pと電極12の真密度dとを用いて、嵩密度Bに変換する。真密度dは、例えばピクノメーター法によって求めることが挙げられる。
嵩密度B(g/cm)は、B=d×(1-P/100)から求める。
(3)嵩密度の極大値を求める。
電極12を電極12の厚さ方向に分割した10個の領域の嵩密度Bを比較し、近傍領域121,125の嵩密度Bが極大値をとるか否かを調べる。
〈剛軟度〉
電極12の剛軟度は、例えば10mN以上450mN以下が挙げられる。剛軟度が10mN以上であれば電極12が柔らか過ぎない。そのため、上述の0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが60%以下であることと合わせて、電極12がある程度変形し難い。従って、電極12の空孔が過度に潰されることをより防止し易い。また、このような電極12は、双極板15の溝40に入り込み過ぎない。そのため、電極12は、溝40への入り込みに起因する電解液の流通性の低下を抑制し易い。剛軟度が450mN以下であれば電極12が硬過ぎない。そのため、上記圧縮ひずみが20%以上であることと合わせて、電極12がある程度変形し易い。従って、電極12における表面120近くの領域が双極板15により密着し易い。この密着により、電極12は、双極板15との接触抵抗をより低減し易い。また、電極12は、上述の双極板15の溝40への若干の入り込みにより電池反応を良好に行える。剛軟度が15mN以上、更に20mN以上、25mN以上であれば、電解液の流通性により優れ、圧損の増大を低減し易い。剛軟度が430mN以下、更に400mN以下、380mN以下であれば、RF電池10のセル抵抗を低減し易い。
電極12の剛軟度は、例えばJIS L 1096(2010年)に準拠したガーレ式剛軟度試験を用いて測定することが挙げられる。この測定は、市販の測定装置を利用して行うとよい。
(双極板)
以下、主に図6A,6Bを参照して、双極板15を詳細に説明する。
図6A,図6Bはいずれも、双極板15のうち、枠体30に覆われる周縁側の領域を省略し、セルフレーム3の窓部31(図2)から露出される領域(以下、露出領域と呼ぶ)のみを示す平面図である。露出領域には、電極12が配置される。
以下の説明では、双極板15の露出領域の周縁において、セルフレーム3の窓部31の内周縁から電解液を供給することに利用される箇所を双極板15の供給縁4iと呼ぶ。また、上記露出領域の周縁において、窓部31の内周縁に電解液を排出することに利用される箇所を双極板15の排出縁4oと呼ぶ。
図6A,図6Bは、双極板15の露出領域の平面形状が長方形状である場合を例示する。また、図6A,図6Bは、上記露出領域の周縁のうち、上記長方形の対向する二辺(ここでは長辺)をなす箇所がそれぞれ、供給縁4i、排出縁4oに利用される場合を例示する。双極板15における電解液の流通方向は、図6A,図6Bにおいて紙面上下方向に沿って下側から上側に向う方向とする。本例のように供給縁4i、排出縁4oが長方形の対向する長辺である場合、電解液の流通方向は、両縁間の最短距離をとる直線の方向、ここでは短辺方向が挙げられる。ここでの電解液の流通方向とは、電解液の基本的な流れ方向であり、必ずしも流路4の形状に沿った方向ではない。上記露出領域の平面形状、供給縁4i,排出縁4oの配置位置、電解液の流通方向等は適宜変更できる。
〈流路〉
双極板15が電極12との対向面に電解液の流路4を備えると、電解液の流通性に優れるRF電池10を構築できて好ましい。流路4は、例えば、双極板15における電極12との対向面に開口する溝40を含むことが挙げられる。上述の硬過ぎず柔らか過ぎない特定の電極12と、溝40を有する双極板15とを用いてRF電池10を構築すると、上述のように電極12は、溝40の開口部近くに若干張り出すものの、溝40の全体を塞がない(図4も参照)。従って、溝40は電解液の流通空間を確保できる。このようなRF電池10は、溝40といった流路4を備えることによる良好な電解液の流通性を確保しつつ、電池反応も良好に行える。
《形状》
溝40は、例えば、電解液の流通方向に沿って直線状に設けられ、平面形状が長方形であるもの(図6A、溝41,42)が挙げられる。その他、平面形状は、曲線の波形、ジグザグ形状(三角波状)、矩形波状、鋸波状(直角三角波状)等が挙げられる。図6Bは、曲線の波形からなる蛇行溝45を例示する。溝40は、供給縁4i側から排出縁4o側に向かって連続して設けられることが挙げられる(例、溝41,42、蛇行溝45)。また、溝40は、一端が開口し、他端が閉じた形状(例、溝41,42)、両端が開口した形状(例、蛇行溝45)が挙げられる。
流路4は、供給縁4i(又は排出縁4o)の延伸方向に所定の間隔で並ぶ複数の溝40を備えると(図6A,図6B)、電解液の流通性に優れる。また、このような流路4を備える双極板15に対向する電極12は電池反応を良好に行える。この理由は、隣り合う溝40間に畝部48が設けられることで、電極12は、畝部48に対向する領域を活用領域として確保できるからである(図4も参照)。本例のように隣り合う溝40が同一形状、同一の大きさであれば、畝部48が上記延伸方向に所定の間隔で存在する。特に、複数の溝40を上記延伸方向に等間隔に備えると、畝部48も等間隔に存在する。畝部48が存在することで、電極12は、活用領域を大きく確保し易く、電池反応を良好に行える。上記所定の間隔は、等間隔でなくてもよい。図6A,図6Bは、分かり易いように、畝部48にクロスハッチングを付し示す。
流路4が複数の溝40を備える場合、例えば、双極板15の供給縁4i寄りに設けられる第一の溝41と、双極板15の排出縁4o寄りに設けられる第二の溝42とが隣り合って並ぶ溝40の組を含むことが挙げられる(図6A)。
双極板15の供給縁4i寄りの溝41とは、以下の形態が挙げられる。なお、双極板15の排出縁4o寄りの溝42については、以下の説明において、溝41を「溝42」、供給縁4iを「排出縁4o」、排出縁4oを「供給縁4i」に読み替えるとよい。双極板15が後述する整流溝43,44を備える場合、供給縁4iを「整流溝43」、排出縁4oを「整流溝44」に読み替えるとよい。
(A)溝41の一端が供給縁4iに開口し、他端が排出縁4oに閉口する。
(B)溝41の両端がいずれも供給縁4i、排出縁4oに開口しない。かつ、溝41の一端から供給縁4iまでの距離L1と、溝41の他端から排出縁4oまでの距離L2とを比較すると、供給縁4i側の距離L1が距離L2よりも短い。
第一の溝41は、供給縁4iに近い、又は供給縁4iに開口する。そのため、第一の溝41は、セルフレーム3の枠体30から電解液が供給されると、双極板15の露出領域に配置される電極12に電解液を供給し易い。このような第一の溝41は、電極12への電解液の供給に利用され易いといえる。第二の溝42は、排出縁4oに近い、又は排出縁4oに開口する。そのため、第二の溝42は、電極12からの電解液を枠体30に排出し易い。このような第二の溝42は、電極12からの電解液の排出に利用され易いといえる。これらの溝41,42の組を備える双極板15は、電極12に未反応の電解液を良好に供給できる上に、電極12から反応済の電解液を電極12外に排出し易い。また、この双極板15と上述の電極12とを用いてRF電池10を構築すれば、上述のように電極12が溝41,42の開口部近くに張り出すものの、溝41,42は電解液の流通空間を確保できる。従って、このRF電池10は、電池反応を良好に行えて、セル抵抗を低減し易い上に、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を低減し易い。
また、双極板15は、隣り合う第一の溝41と第二の溝42との間に両溝41,42を仕切る畝部48を備える。電極12は、畝部48に対向する領域を活用領域として確保でき、電池反応を良好に行える。特に、電極12は、第一の溝41から電解液を受け取ると、畝部48との対向領域で電池反応を良好に行えつつ、第二の溝42に反応済みの電解液を排出できる。このような双極板15と電極12とを備えるRF電池10は、図4の白抜き矢印に示すように、双極板15の第一の溝41から、畝部48を乗り越えると共に電極12の一部を通過して、隣り合う第二の溝42に電解液を流せる。このようなRF電池10は、電池反応をより良好に行えて、セル抵抗を低減し易い。また、このRF電池10は、電解液の流通性に優れるため、圧損の増大もより抑制し易い。
図6Aに例示する第一の溝41、第二の溝42は、上述のように、
(a)電解液の流通方向に沿った直線状の溝である、
(b)同一形状、同一の大きさである、
(c)供給縁4i(又は排出縁4o)の延伸方向に隣り合って等間隔に並ぶ。つまり、第一の溝41と第二の溝42とが交互に並ぶ。また、第一の溝41、畝部48、第二の溝42が順に繰り返し並ぶ。
更に、図6Aに例示する双極板15は、第一の溝41、第二の溝42の組を複数備える。この双極板15では、複数の第一の溝41が上記延設方向に所定の間隔で並ぶと共に、複数の第二の溝42が上記延設方向に所定の間隔で並ぶ。かつ、隣り合う第一の溝41間に第二の溝42が配置される。第一の溝41群の各溝41と第二の溝42群の各溝42とが噛み合うように配置される。いわば、双極板15は、インターディジタル状又は櫛歯が対向するように配置される溝40を備える。このような流路4が設けられた双極板15を備えるRF電池10は、セル抵抗の低減、圧損の増大抑制により一層寄与し易い。
流路4が蛇行溝45を含む場合(図6B)、双極板15は、上述の直線状の溝に比較して、電極12のより広い範囲に電解液を供給できる。電極12は、蛇行溝45に対向する領域の周囲の領域を活用領域にできる。そのため、電極12は、電池反応を行う領域を大きく確保し易く、電池反応をより良好に行える。図6Bに例示する双極板15は、複数の蛇行溝45を備える。各蛇行溝45の両端が供給縁4i、排出縁4oにそれぞれ開口する。かつ、各蛇行溝45は、上述の条件(b),(c)を満たす。このような流路4が設けられた双極板15を備えるRF電池10は、電池反応をより良好に行えて、セル抵抗をより一層低減し易い。また、このRF電池10は、電解液の流通性に優れるため、圧損の増大も抑制し易い。
《整流溝》
流路4が供給縁4i又は排出縁4oの延伸方向に並ぶ複数の溝40を備える場合、流路4は、供給縁4iの延伸方向に沿って設けられる整流溝43、及び排出縁4oの延伸方向に沿って設けられる整流溝44の少なくとも一方を含んでもよい。図6Aは整流溝43,44を備える場合を例示する。図6Bは整流溝43,44を備えていない場合を例示する。供給縁4i側の整流溝43を備えることで、セルフレーム3の枠体30からの電解液は、供給縁4iに沿って拡散して、整流溝43から延びる複数の溝40(図6Aでは溝41)に均一的に流れ易い。排出縁4o側の整流溝44を備えることで、整流溝44に繋がる各溝40(図6Aでは溝42)からの電解液は、枠体30に排出され易い。
双極板15が整流溝43,44を備えていない場合、枠体30が窓部31の内周縁に沿って整流溝(図示せず)を備えてもよい。
《溝幅》
流路4は、幅w(図4)が0.6mm以上5.0mm以下である溝40を含むことが挙げられる。ここでの溝40の幅wとは、溝40の形状に沿った電解液の流れ方向に対して直交する平面で切断した断面において、溝40の開口部の長さとする。図4に例示するように溝40の断面形状が長方形であり、直方体の内部空間を有する溝40であれば、幅wは溝40の全長にわたって一様である。
溝40の幅wが0.6mm以上であれば、電極12は、溝40の開口部近くに若干入り込むことを確実に行い易い。そのため、電極12は、電池反応を良好に行える。また、溝40が細過ぎず、電解液の流通性にも優れる。溝40の幅wが5.0mm以下であれば、電極12は、溝40に入り込み過ぎない。そのため、溝40は、電解液の流通空間を確保でき、電解液の流通性に優れるRF電池10を構築できる。幅wが0.8mm以上、更に1.0mm以上、1.2mm以上であれば、電極12が電池反応をより良好に行える上に、電解液の流通性にも優れる。幅wが4.5mm以下、更に、4.0mm以下、3.5mm以下であれば、電解液の流通性により優れ、圧損の増大を低減し易い。
《溝深さ》
流路4は、深さd(図4)が0.6mm以上5.0mm以下である溝40を含むことが挙げられる。ここでの溝40の深さdとは、溝40の形状に沿った電解液の流れ方向に対して直交する平面で切断した断面において、双極板15の厚さ方向に沿って、溝40の開口部から溝40の底面までの最大距離とする。図4に例示するように溝40の断面形状が長方形であり、直方体の内部空間を有する溝40であれば、深さdは溝40の全長及び全幅にわたって一様である。
溝40の深さdが0.6mm以上であれば、電極12が溝40に入り込んでも、電解液の流通空間を確保し易く、電解液の流通性に優れるRF電池10を構築できる。溝40の深さdが5.0mm以下であれば、電極12は、溝40の開口部近くに若干入り込めて、電池反応を良好に行える。従って、RF電池10はセル抵抗を低減し易い。深さdが0.8mm以上、更に1.0mm以上、1.2mm以上であれば、電解液の流通性により優れ、圧損の増大を低減し易い。深さdが4.5mm以下、更に4.0mm以下、3.5mm以下であれば、電極12が電池反応をより良好に行える上に、双極板15の厚さも薄くできる。
《幅及び深さの条件》
流路4は、以下の条件(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすことが挙げられる。流路4は、以下の条件(1)及び(2)の双方を満たすことが好ましい。また、流路4が複数の溝40を含む場合には、全ての溝40が以下の条件(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
(1)一つの溝40における全長の50%以上の領域について、一様な大きさの幅wを有し、かつ幅wが0.6mm以上5.0mm以下を満たす。一つの溝40における全長の80%以上の領域、更には溝40の全長について、一様な大きさの幅wを有し、かつ幅wが上記の範囲を満たすことが好ましい。図6A,図6Bは、溝41,42、蛇行溝45の全長にわたって一様な大きさの幅wを有する場合を例示する。
(2)一つの溝40における全長の50%以上の領域について、一様な大きさの深さdを有し、かつ深さdが0.6mm以上5.0mm以下を満たす。一つの溝40における全長の80%以上の領域、更には溝40の全長について、一様な大きさの深さdを有し、かつ上記の範囲を満たすことが好ましい。
《溝間の間隔》
流路4が並列される複数の溝40含む場合、隣り合う二つの溝40の最小間隔は、例えば溝幅wの1/2倍以上、溝幅wの7倍以下が挙げられる。上記最小間隔は畝部48の幅に相当する。図6Aは、溝41,42間に一様な幅を有する長方形状の畝部48を備える場合を例示する。図6Bは、隣り合う蛇行溝45間に一様な幅を有する波形の畝部48を備える場合を例示する。
上記最小間隔が溝幅wの1/2倍以上であれば、畝部48を確保できる。そのため、電極12が電池反応を良好に行える。ひいてはRF電池10はセル抵抗を低減し易い。上記間隔が溝幅wの7倍以下であれば、溝40の個数を多くできる。そのため、RF電池10は電解液の流通性に優れ、圧損の増大を低減し易い。
《個数》
流路4が溝40を含む場合、溝40の個数は適宜選択できる。溝40の個数がある程度多いと、電解液の流通性に優れ、RF電池10は圧損の増大を低減し易い。溝40の個数がある程度少ないと、畝部48を確保し易い。そのため、電極12が電池反応を良好に行えて、RF電池10はセル抵抗を低減し易い。
《溝の断面形状》
溝40の断面形状は、適宜選択できる。図4は、溝40の断面形状が長方形である場合を例示するが、上記断面形状はV字形状、半円形状等でもよい。ここでの溝40の断面形状とは、溝40の形状に沿った電解液の流れ方向に対して直交する平面で切断した断面における形状である。
《構成材料》
双極板15の構成材料は、例えば有機複合材、いわゆる導電性プラスチック等が挙げられる。有機複合材は、例えば、炭素系材料や金属等の導電性材料と、熱可塑性樹脂等の有機材とを含むものが挙げられる。双極板15は、例えば公知の方法によって板状に成形するとよい。導電性プラスチックの成形方法は、例えば射出成型、プレス成型、真空成型等が挙げられる。流路4を備える双極板15は、例えば、板状に成形する際に同時に流路4も成形することが挙げられる。又は、流路4は、平坦な平板材に切削加工等を行って形成してもよい。
(隔膜)
《構成材料》
隔膜11は、正極電解液と負極電解液とを隔てる部材である。隔膜11は、例えば、電解液中の活物質(イオン)を通さず、活物質の酸化還元反応によって生じ得る水素イオンを通過させるものが利用できる。隔膜11の一例として、イオン交換膜が挙げられる。イオン交換膜は、(a)正負の電解液の隔離性に優れる、(b)RF電池10内で電荷担体として利用される水素イオンの透過性に優れるといった効果を有する。そのため、隔膜11としてイオン交換膜を備える電池セル1は、電池反応を良好に行えるRF電池10を構築できる。
イオン交換膜からなる隔膜11の一例として、イオン交換基を有するフッ素系高分子電解質ポリマーを含むフッ素系陽イオン交換膜が挙げられる。イオン交換基の一例として、スルホン酸が挙げられる。イオン交換基のクラスタ径は例えば2.5nm以上が挙げられる。フッ素系高分子電解質ポリマーにおけるイオン交換基1当量あたりの乾燥質量グラム数(以下、当量質量EWと呼ぶことがある)は例えば950g/eq以下が挙げられる。上記の要件を満たす隔膜11は、プロトン伝導性に優れる。そのため、上記隔膜11を備えるRF電池10は、電圧効率等、電池特性を向上できる。また、上記隔膜11は、耐久性にも優れる。そのため、上記隔膜11を備えるRF電池10は、隔膜11の損傷に起因する短絡の発生を防止し易い。
ここでのイオン交換基のクラスタ径とは、25℃の水中における小角X線散乱法(SAXS)を用いて測定される値とする。上記クラスタ径の測定は、公知の測定方法を参照して行うとよい。例えば、特許第6005065号公報に記載の測定方法を参照することができる。この測定方法の概略は以下の通りである。クラスタ構造が、粒径分布を持つコア-シェル型の剛体球で表されると仮定する。この仮定モデルに基づく理論散乱式を用いて、実測の散乱プロフィールにおけるクラスタ由来の散乱が支配的な領域をフィッティングすることで、平均クラスタ直径を求める。上記仮定モデルにおいて、コア部分がクラスタに相当し、コア部分の直径がクラスタ径(平均クラスタ直径)である。シェルは仮想的なものである。シェルの厚さは0.25nmとする。
上記当量質量EWは、隔膜11を構成するフッ素系高分子電解質ポリマーを塩置換し、その溶液をアルカリ溶液で逆滴定することで測定することが挙げられる。
上記イオン交換基のクラスタ径が2.5nm以上であると、水素イオンが透過し易く、電気抵抗を低減し易い。ひいてはRF電池10はセル抵抗を低減し易い。上記クラスタ径が2.55nm以上、更に2.60nm以上であれば、セル抵抗をより低減し易い。上記クラスタ径が例えば3.20nm以下であると、大きなイオンを透過し難く、プロトン伝導性により優れる。また、この場合、活物質となるイオンの透過率が高くなり過ぎず、電流効率の低下を抑制し易い。これらの点から、上記クラスタ径は3.00nm以下、更に2.95nm以下でもよい。クラスタ径が所望の値となるように、ポリマー構造やポリマー組成、製膜条件等を調整するとよい。例えば、上記当量質量EWを低くすると、クラスタ径が大きくなる傾向にある。
上記当量質量EWが950g/eq以下であると、親水性に優れる上に、電気抵抗を低減し易い。ひいてはRF電池10はセル抵抗を低減し易い。上記当量質量EWが900g/eq以下、850g/eq以下、800g/eq以下であれば、セル抵抗をより低減し易い。上記当量質量EWが例えば500g/eq以上であると、親水性に優れつつ、膜の耐水性に優れる。これらの点から、上記当量質量EWは550g/eq以上、580g/eq以上、620g/eq以上でもよい。上記当量質量EWが所望の値となるように、フッ素系高分子電解質ポリマーの原料であるフッ素系モノマーの共重合比、モノマー種等を調整するとよい。
《厚さ》
隔膜11の厚さt11(図4)は、例えば、7μm以上60μm以下が挙げられる。厚さt11が7μm以上であれば、RF電池10に組み付けられて所定の面圧を受けても、隔膜11が損傷し難い。厚さt11が60μm以下であれば、セル抵抗の増大を招き難い。厚さt11が12μm以上、更に15μm以上、18μm以上であれば、隔膜11の損傷をより防止し易い。厚さt11が50μm以下、更に45μm以下、40μm以下であれば、セル抵抗の増大をより抑制し易い。
(主要な効果)
実施形態の電池セル1は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが上述の特定の範囲を満たす電極12を備える。この電極12は、特許文献1に記載される電極に比較して硬過ぎず、柔らか過ぎない。そのため、電極12は、双極板15に設けられる流路4(溝40)に入り込み過ぎず、かつ溝40から電解液を受け取り易い。このような電極12を備える実施形態の電池セル1は、電極12が良好に電池反応を行える上に、電解液の流通性にも優れる。従って、実施形態の電池セル1は、RF電池10のセル抵抗を低減できる上に、圧損の増大を抑制できる。このような電池セル1は、従来よりも電池特性に優れるRF電池10を構築できる。この効果を以下の試験例で具体的に説明する。
実施形態のセルスタック2は、実施形態の電池セル1を備えるため、従来よりも電池特性に優れるRF電池10を構築できる。
実施形態のRF電池10は、実施形態の電池セル1又は実施形態のセルスタック2を備えるため、従来よりも電池特性を向上できる。
[試験例]
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なる電極を用いて、RF電池を構築して充放電を行い、以下のようにセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価した。評価結果を表1~表10に示す。
まず、以下の試験例1~10の共通事項を説明する。
(セル抵抗)
この試験では、以下のようにして、RF電池のセル抵抗率を求める。
RF電池は、単セル電池とする。単セル電池は、各試料の条件を満たす電極、隔膜、双極板を備える。正極電極及び負極電極はいずれも、各試料の条件を満たす電極とする。一対のセルフレームはいずれも、各試料の条件を満たす双極板を備える。正極電解液及び負極電解液は、硫酸バナジウム溶液とする。バナジウムイオンの濃度は1.7mol/Lである。なお、以下の試験では、正極電極及び負極電極の双方に同じ仕様の電極を用いているが、正極電極の仕様と負極電極の仕様とが異なってもよい。電極における正極活物質との反応性及び負極活物質との反応性、圧損等の観点から、正極電極及び負極電極のいずれか一方のみが、各試料の条件を満たす電極であってもよい。
作製した単セル電池を用いて、定電流で充放電を行う。電流密度は、140mA/cmである。ここでは、予め設定した所定の切替電圧に達したら、充電と放電とを切り替えて、複数サイクルの充放電を行う。充放電後、複数サイクルのうち、任意の1サイクルにおいて平均電圧及び平均電流を求める。更に平均電流に対する平均電圧の割合(平均電圧/平均電流)を求める。セル抵抗率は、この平均電圧/平均電流とする。
隔膜は、イオン交換基を有するフッ素系高分子電解質ポリマーを含むフッ素系陽イオン交換膜である。イオン交換基はスルホン酸である。双極板は、電極との対向面に電解液の流路を備える。流路は、図6Aに例示するように、双極板の供給縁寄りに設けられる第一の溝と、双極板の排出縁寄りに設けられる第二の溝とが交互に並ぶ。各溝は、電解液の流通方向に沿った直線状の溝である。また、第一の溝及び第二の溝は、供給縁又は排出縁の延設方向に等間隔に並ぶ。
(圧力損失)
この試験では、図7に示す測定システム600を用いて、RF電池の圧力損失ΔPを測定する。測定システム600は、測定セル610と、流体槽620と、配管630と、ポンプ640と、流量計650と、差圧計660とを備える。
測定セル610は、上述のセル抵抗率の測定に用いる単セル電池と同じ構造の単セル電池である。流体槽620は、測定セル610内の電極に供給される流体622を貯留する。流体622は、水等が挙げられる。配管630は、流体槽620と、測定セル610との間を接続する。ポンプ640は、配管630に設けられて、測定セル610に流体槽620内の流体622を圧送する。測定セル610から排出された流体622は配管630を介して流体槽620に戻される。このようにポンプ640及び配管630によって、流体槽620内の流体622を測定セル610に循環供給する。図7に示す一点鎖線の矢印は、流体622の流通方向を示す。流量計650は、配管630におけるポンプ640の排出側(下流側)であって、測定セル610よりも上流側に設けられる。流量計650は、ポンプ640から排出された流体622の流量を測定する。配管630における流量計650の下流側には、測定セル610をバイパスする分岐管632が設けられる。差圧計660は、分岐管632に設けられる。また、差圧計660は、測定セル610と並列に設けられる。
差圧計660は、測定セル610に供給される流体622の圧力Pと、測定セル610から排出された流体622の圧力Pとの差(P-P)を測定する。圧力損失ΔPは、上記の圧力の差(P-P)である。圧力損失ΔPが小さいほど、測定セル610は、電解液の流通性に優れるといえる。
次に、評価方法を説明する。
(セル抵抗の評価)
各試料のセル抵抗率について基準値に対する相対値を求める。セル抵抗は、上記相対値を用いて、S,A~Cの四段階で評価する。具体的には、各試料のセル抵抗率xと、表1~表10に「基準」と示す試料のセル抵抗率xとの差(x-x)を求める。更に、基準値であるセル抵抗率xに対する上記差の割合{(x-x)/x}×100(%)を求める。この割合をセル抵抗の評価に用いる。上記割合が負の値であれば、当該試料のセル抵抗率xは、「基準」とする試料のセル抵抗率xよりも低いといえる。四段階の評価は、以下の通りである。
S:当該試料のセル抵抗率は表中の「基準」よりも低く、上記割合の絶対値が5%以上である。即ち、当該試料のセル抵抗率は、基準値よりも5%以上低下している。
A:当該試料のセル抵抗率は表中の「基準」よりも低く、上記割合の絶対値が2%以上5%未満である。即ち、当該試料のセル抵抗率は、基準値よりも2%以上5%未満の範囲で低下している。
B:当該試料のセル抵抗率は表中の「基準」と同等程度であり、上記割合の絶対値が0%以上2%未満である。
C:当該試料のセル抵抗率は表中の「基準」よりも高い。
(圧力損失の評価)
各試料の圧力損失ΔPについて基準値に対する相対値を求める。圧損は、上記相対値を用いて、S,A,Bの三段階で評価する。具体的には、各試料の圧力損失ΔPと、表1~表10に「基準」と示す試料の圧力損失ΔPとの差(ΔP-ΔP)を求める。更に、基準値である圧力損失ΔPに対する上記差の割合{(ΔP-ΔP)/ΔP}×100(%)を求める。この割合を圧損の評価に用いる。上記割合が負の値であれば、当該試料の圧力損失ΔPは、「基準」とする試料の圧力損失ΔPよりも低いといえる。三段階の評価は、以下の通りである。
S:当該試料の圧力損失ΔPは表中の「基準」よりも低く、上記割合の絶対値が10%超である。即ち、当該試料の圧力損失ΔPは、基準値よりも10%超低下している。
A:当該試料の圧力損失ΔPは表中の「基準」と同等程度であり、上記割合は±10%以内である。
B:当該試料の圧力損失ΔPは表中の「基準」よりも高く、上記割合の絶対値が10%超である。
(性能の安定性)
各試料について、上述のセル抵抗率を5回測定し(n=5)、5回の平均値及び標準偏差を求める。求めた平均値と標準偏差とを用いて、RF電池の性能の安定性を以下のA,Bの二段階で評価する。n=5の標準偏差が小さいほど、セル抵抗率のばらつきが小さく、RF電池の性能が安定しているといえる。
A:n=5の測定の標準偏差が平均値の10%以下である。
B:n=5の測定の標準偏差が平均値の10%より大きい。
(総合評価)
更に、この試験では、以下のS,A~Cの四段階で総合的に評価する。
S:セル抵抗及び圧損の少なくとも一方が「S」の評価を有する。
A:セル抵抗及び圧損の双方が「A」の評価を有する。このような試料は、後述の従来試料よりも優れた性能を有する。
B:セル抵抗及び圧損の少なくとも一方が「B」の評価を有する。このような試料は、従来試料と同等程度である。なお、後述の従来試料の総合評価は「B」とする。
C:セル抵抗が「C」の評価を有し、圧損が「B」の評価を有する。このような試料は、従来試料よりも劣る。
〈試験例1〉
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なる電極を用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表1に示す。
試験例1に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣とを含むカーボン紙であり、カーボン粒子を含んでおらず、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
初期厚さt:0.3mm以上2.0mm以下
嵩密度:0.11g/cm以上0.7g/cm以下
電極は、電極の厚さ方向に一様な嵩密度を有し、極大値を有さない。
剛軟度:10mN以上450mN以下
触媒:担持せず
試験例1に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:20μm
イオン交換基のクラスタ径:2.5nm
フッ素系高分子電解質ポリマーにおけるイオン交換基1当量あたりの乾燥質量グラム数(以下、当量質量EWと呼ぶ):750g/eq
試験例1に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:2.0mm
溝深さ:1.5mm
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
各試料の電極は、上述の《電極の条件》を満たしつつ、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが表1に示す値(%)を満たすように、カーボン繊維の大きさやカーボンバインダーの添加量を調整して作製する。例えば、製造過程でカーボンバインダーの添加量を多くすると、カーボンバインダー残渣が多くなり易い。そのため、電極の剛性が高まり易い。その結果、上記圧縮ひずみが小さくなり易い。
各パラメータの測定方法の詳細は、各パラメータの項目を参照するとよい。
初期厚さtは、上述のようにJIS法に準拠して、市販の厚さ測定装置(例、株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器PG-16J、測定子径:Φ25.2mm)を用いて測定する(面圧:0.7kPa、時間:10秒間)。
上記圧縮ひずみは、上記の初期厚さtと、厚さt0.8とを用いて求める。厚さt0.8は、市販の強度評価装置(例、株式会社島津製作所製の微小強度評価試験機MST-I type HR)を用いて、上述のように0.8MPaの面圧を負荷した状態で測定する。
嵩密度は、上述のように市販の三次元画像解析装置(例、ZEISS社製のXradia520Versa)によって、X線-CT三次元画像を取得し、空隙率を嵩密度に変換して求めるとよい。
剛軟度は、上述のようにガーレ式剛軟度試験に準拠して、市販の測定装置(例、株式会社東洋精機製作所、デジタルガーレ・柔軟度試験機、型番No.826)を用いて求めるとよい。
クラスタ径は、上述のようにSAXSを用いて求めるとよい。
当量質量EWは、フッ素系高分子電解質ポリマーを塩置換した溶液をアルカリ溶液で逆滴定して求めるとよい。
上述の0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なる電極の製造方法に関する事項、及び各パラメータの測定方法については、後述する試験例2~10も同様に適用される。
《試料の説明》
各試料における0.8MPaの面圧での圧縮ひずみ(%)は、18%以上65%以下の範囲であり、表1に示す値(%)である。
試料No.100の上記圧縮ひずみは20%未満である。セル抵抗の評価、圧損の評価において、試料No.100は、その他の試料に対する「基準」とする。
試料No.1~No.3の上記圧縮ひずみは20%以上60%以下である。
試料No.200の上記圧縮ひずみは60%超である。
以下、試験例1~10において、「0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である試料」を従来試料と呼ぶことがある。
Figure 0007194361000001
表1に示すように、試料No.1~No.3は、従来試料No.100に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を低減できることが分かる。また、試料No.1~No.3は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。一方、試料No.200のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.100に比較して高い。また、試料No.200は、従来試料No.100に比較してセル抵抗の安定性に劣る。
試料No.1~No.3が圧損の増大を招き難く、セル抵抗をより低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.1~No.3では、電極が硬過ぎない。そのため、電極の一部が双極板の流路(溝)に若干入り込める。その結果、これらの試料は、電池反応を良好に行えてセル抵抗を低減できる、と考えられる。また、試料No.1~No.3では、電極が柔らか過ぎない。そのため、電極が上記流路に大きく侵入しない。その結果、これらの試料は、流路内における電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。一方、試料No.200は、電極が柔らか過ぎて上記流路に入り込み過ぎることで、セル抵抗の増大及び圧損の増大を招いた、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、上述の従来試料の電極を備える場合に比較して、セル抵抗を低減したり、圧損の増大を抑制したりして、電池性能を向上できることが示された。
〈試験例2〉
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なる電極と、流路の溝幅が異なる双極板とを用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表2に示す。
試験例2に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣と、カーボン粒子とを含むカーボン紙であり、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
カーボン粒子の組成:平均粒径が480nmのカーボンブラック
カーボン粒子の含有量:カーボン紙を100質量%として25質量%
初期厚さt:0.75mm
嵩密度:0.32g/cm
電極は、電極の厚さ方向に一様な嵩密度を有し、極大値を有さない。
剛軟度:170mN
触媒:担持せず
試験例2に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:25μm
イオン交換基のクラスタ径:2.7nm
当量質量EW:850g/eq
試験例2に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:0.55mm以上5.2mm以下の範囲であり、表2に示す値(mm)
溝深さ:1.5mm
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
《試料の説明》
試料No.101~No.104は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である従来試料である。各試料の上記圧縮ひずみ(%)を表2に示す。セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.101は、試料No.51に対する「基準」とする。試料No.102~No.104は順に、試料No.4,No.5,No.6及びNo.52に対する「基準」とする。
試料No.4~No.6の上記圧縮ひずみは35%であり、溝幅は0.6mm以上5.0mm以下である。
試料No.51の上記圧縮ひずみは35%であり、溝幅は0.6mm未満である。試料No.52の上記圧縮ひずみは35%であり、溝幅は5.0mm超である。
Figure 0007194361000002
以下、基本的には、溝幅が同じである試料同士を比較する。
表2に示すように、試料No.4~No.6はそれぞれ、従来試料No.102~No.104に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を低減できることが分かる。また、試料No.4~No.6は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。更に、試料No.4のセル抵抗は、試料No.51のセル抵抗に比較して低い。試料No.6のセル抵抗及び圧損は、試料No.52のセル抵抗及び圧損に比較して低い。
試料No.4~No.6が圧損の増大を招き難く、セル抵抗をより低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.4~No.6では、電極が硬過ぎず、かつ双極板の流路(溝)の溝幅が適切である。そのため、電極の一部が双極板の流路に若干入り込める。その結果、これらの試料は、電池反応を良好に行えてセル抵抗を低減できる、と考えられる。また、試料No.4~No.6では、電極が柔らか過ぎず、かつ上記溝幅が適切である。そのため、電極が上記流路に入り込み過ぎない。その結果、これらの試料は、流路内における電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。
一方、試料No.51のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.101と同等程度である。このような結果が得られた理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.51では、溝幅が細過ぎる。そのため、電極の一部が流路に入り込み難い。その結果、試料No.51は、上述の流路への若干の入り込みによるセル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。また、電極の一部が流路に入り込み難いことで、試料No.51は、圧損の増大を招き難くなり、従来試料No.101の圧損と同等程度になった、と考えられる。
他方、試料No.52は、試料No.104に比較して、同等程度のセル抵抗を有するものの、圧損の低下が不十分である。このような結果が得られた理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.52は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、試料No.52では、溝幅が太過ぎる。そのため、電極が流路に入り込み過ぎて、電極における流路の周囲に電解液が十分に行き渡らない。その結果、試料No.52は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。また、上述のように電極が流路に入り込み過ぎることで、試料No.52は、圧損を増大させ易くなった、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、溝幅が0.6mm以上5.0mm以下である流路が設けられた双極板を備えると、電池性能をより確実に向上できることが示された。
〈試験例3〉
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なる電極と、流路の溝深さが異なる双極板とを用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表3に示す。
試験例3に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣と、カーボン粒子とを含むカーボン紙であり、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
カーボン粒子の組成:平均粒径が10μmの黒鉛粒子
カーボン粒子の含有量:カーボン紙を100質量%として40質量%
初期厚さt:0.9mm
嵩密度:0.35g/cm
電極は、電極の厚さ方向に一様な嵩密度を有し、極大値を有さない。
剛軟度:210mN
触媒:担持せず
試験例3に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:15μm
イオン交換基のクラスタ径:2.5nm
当量質量EW:700g/eq
試験例3に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:2.0mm
溝深さ:0.55mm以上5.2mm以下の範囲であり、表3に示す値(mm)
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
《試料の説明》
試料No.105~No.108は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である従来試料である。各試料の上記圧縮ひずみ(%)を表3に示す。セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.105は、試料No.53に対する「基準」とする。試料No.106~No.108は順に、試料No.7,No.8,No.9及びNo.54に対する「基準」とする。
試料No.7~No.9の上記圧縮ひずみは50%であり、溝深さは0.6mm以上5.0mm以下である。
試料No.53の上記圧縮ひずみは50%であり、溝深さは0.6mm未満である。試料No.54の上記圧縮ひずみは50%であり、溝深さは5.0mm超である。
Figure 0007194361000003
以下、基本的には、溝深さが同じである試料同士を比較する。
表3に示すように、試料No.7~No.9はそれぞれ、従来試料No.106~No.108に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を低減できることが分かる。また、試料No.7~No.9は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。更に、試料No.7のセル抵抗及び圧損は、試料No.53のセル抵抗及び圧損に比較して低い。試料No.9のセル抵抗は、試料No.54のセル抵抗に比較して低い。
試料No.7~No.9が圧損の増大を招き難く、セル抵抗をより低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.7~No.9では、電極が硬過ぎず、かつ双極板の流路(溝)の溝深さが適切である。そのため、電極の一部が双極板の流路に若干入り込める。その結果、これらの試料は、電池反応を良好に行えてセル抵抗を低減できる、と考えられる。また、試料No.7~No.9では、電極が柔らか過ぎず、かつ上記溝深さが適切である。そのため、電極が上記流路に入り込み過ぎない。その結果、これらの試料は、流路内における電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。
一方、試料No.53は、従来試料No.105に比較して、同等程度のセル抵抗を有するものの、圧損の低下が不十分である。このような結果が得られた理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.53では、溝深さが浅過ぎる。そのため、試料No.53は、上述の電極における流路への入り込みによってセル抵抗を若干低くできたものの、電解液の流通性を低下させ易くなった、と考えられる。
他方、試料No.54のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.108と同等程度である。このような結果が得られた理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.54では、溝深さが深過ぎる。そのため、試料No.54は、上述の流路への若干の入り込みによるセル抵抗の低減効果を十分に得難かった、と考えられる。電極が流路に入り込み過ぎないことで、試料No.54は、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、溝深さが0.6mm以上5.0mm以下である流路が設けられた双極板を備えると、電池性能をより確実に向上できることが示された。
〈試験例4〉
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なると共に、カーボン粒子の含有量が異なる電極を用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表4に示す。
試験例4に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣と、カーボン粒子とを含むカーボン紙であり、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
カーボン粒子の組成:平均粒径が250nmのカーボンブラック及び平均粒径が30μmの黒鉛粒子の少なくとも一方
カーボン粒子の含有量(ここでは合計含有量):カーボン紙を100質量%として、9質量%以上55質量%以下の範囲であり、表4に示す量(質量%)
初期厚さt:0.3mm以上2.0mm以下
嵩密度:0.11g/cm以上0.7g/cm以下
電極は、電極の厚さ方向に一様な嵩密度を有し、極大値を有さない。
剛軟度:10mN以上450mN以下
触媒:担持せず
試験例4に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:30μm
イオン交換基のクラスタ径:2.7nm
当量質量EW:950g/eq
試験例4に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:2.0mm
溝深さ:1.5mm
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
《試料の説明》
試料No.109~No.111は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である従来試料である。セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.109~No.111は順に、試料No.55及びNo.10,No.11,No.12及びNo.56に対する「基準」とする。
試料No.10~No.12の上記圧縮ひずみは30%又は50%であり、カーボン粒子の含有量は10質量%以上50質量%以下である。
これらの試料の上記圧縮ひずみ(%)を表4に示す。
試料No.55の上記圧縮ひずみは40%であり、カーボン粒子の含有量は10質量%未満である。試料No.56の上記圧縮ひずみは35%であり、カーボン粒子の含有量は50質量%超である。
Figure 0007194361000004
以下、基本的には、カーボン粒子の含有量が同じである試料同士を比較する。
表4に示すように、試料No.10~No.12はそれぞれ、従来試料No.109~No.111に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を非常に低減できることが分かる。また、試料No.10~No.12は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。更に、試料No.10のセル抵抗は、試料No.55のセル抵抗に比較して低い。試料No.12のセル抵抗及び圧損は、試料No.56のセル抵抗及び圧損に比較して低い。
試料No.10~No.12が圧損の増大を招き難く、セル抵抗を非常に低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.10~No.12では、電極が硬過ぎず、かつカーボン粒子の含有量が適切である。そのため、これらの試料は、電極の一部が双極板の流路(溝)に若干入り込めることと、カーボン粒子の含有による表面積の増大とによって、電池反応を更に良好に行えてセル抵抗を非常に低減できる、と考えられる。また、試料No.10~No.12では、電極が柔らか過ぎず、かつカーボン粒子の含有量が適切である。そのため、これらの試料は、電極が上記流路に大きく侵入せず、かつカーボン粒子による流通性の阻害を招き難いことで、流路内における電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。
一方、試料No.55のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.109と同等程度である。このような結果が得られた理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.55は、電極における双極板の流路(溝)への若干の入り込み及びカーボン粒子の含有によって、セル抵抗の低減効果を得ている。試料No.109は、試料No.55よりも多くのカーボン粒子を含むため、カーボン粒子の含有によるセル抵抗の低減効果をより得ている。これらのことから、試料No.55,No.109のセル抵抗は同等程度になった、と考えられる。また、試料No.55における上述の電極の圧縮ひずみは試料No.109に比較して大きいものの、試料No.55のカーボン粒子の含有量は試料No.109よりも少ない。そのため、試料No.55の圧損は、カーボン粒子が多い試料No.109と同等程度になった、と考えられる。
他方、試料No.56は、従来試料No.111と比較して、同等程度のセル抵抗を有するものの、圧損の低下が不十分である。このような結果が得られた理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.56は、電極における双極板の流路(溝)への若干の入り込み及びカーボン粒子の含有によって、セル抵抗の低減効果を得ている。しかし、カーボン粒子が多過ぎるため、電極内における電解液の流通性に劣り、電極に電解液が十分に拡散されない。その結果、試料No.56は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。試料No.56は、上述のように電極内における電解液の流通性の低下によって圧損を増大させ易くなった、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、電極がカーボン粒子を含む場合にカーボン粒子の含有量が10質量%以上50質量%以下であると、電池性能をより確実に向上できることが示された。
〈試験例5〉
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なると共に、初期厚さtが異なる電極を用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表5に示す。
試験例5に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣とを含むカーボン紙であり、カーボン粒子を含んでおらず、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
初期厚さt:0.25mm以上2.3mm以下の範囲であり、表5に示す値(mm)
嵩密度:0.11g/cm以上0.7g/cm以下
電極は、電極の厚さ方向に一様な嵩密度を有し、極大値を有さない。
剛軟度:10mN以上450mN以下
触媒:担持せず
試験例5に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:45μm
イオン交換基のクラスタ径:2.9nm
当量質量EW:650g/eq
試験例5に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:2.0mm又は3.0mmであり、表5に示す値(mm)
溝深さ:1.0mm、1.5mm、2.0mmのいずれかであり、表5に示す値(mm)
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
《試料の説明》
試料No.112~No.114は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である従来試料である。セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.112~No.114は順に、試料No.57及びNo.13,No.14,No.15及びNo.58に対する「基準」とする。
試料No.13~No.15の上記圧縮ひずみは23%、30%、35%のいずれかであり、電極の初期厚さtは0.3mm以上2.0mm以下である。
これらの試料の上記圧縮ひずみ(%)を表5に示す。
試料No.57の上記圧縮ひずみは30%であり、電極の初期厚さtは0.3mm未満である。試料No.58の上記圧縮ひずみは35%であり、電極の初期厚さtは2.0mm超である。
Figure 0007194361000005
以下、基本的には、電極の初期厚さtが同じである試料同士を比較する。
表5に示すように、試料No.13~No.15はそれぞれ、従来試料No.112~No.114に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を低減できることが分かる。また、試料No.13~No.15は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。更に、試料No.13のセル抵抗は、試料No.57のセル抵抗に比較して低い。試料No.15のセル抵抗は、試料No.58のセル抵抗に比較して低い。
試料No.13~No.15が圧損の増大を招き難く、セル抵抗をより低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.13~No.15では、電極が硬過ぎず、かつ初期厚さtが適切である。そのため、これらの試料は、電極の一部が双極板の流路(溝)に若干入り込めることと、電極が大きな表面積を有し易いこととによって、電池反応を良好に行えてセル抵抗を低減できる、と考えられる。また、試料No.13~No.15では、電極が柔らか過ぎず、かつ初期厚さtが適切である。そのため、これらの試料は、電極が上記流路に大きく侵入せず、かつ電極内における電解液の流速を低下させ難いことで、電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。
一方、試料No.57のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.112と同等程度である。この理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.57は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、電極の初期厚さtが薄過ぎるため、電極の表面積を十分に確保し難い。その結果、試料No.57は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。電極が流路に入り込み過ぎないことで、試料No.57は、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
他方、試料No.58のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.114と同等程度である。この理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.58は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、電極の初期厚さtが厚過ぎるため、電極内における電解液の流速を低下させ易く、電極に電解液が行き渡り難い。その結果、試料No.58は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。電極が流路に入り込み過ぎないことで、試料No.58は、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、電極の初期厚さtが0.3mm以上2.0mm以下であると、電池性能をより確実に向上できることが示された。
(試験例6)
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なると共に、電極の嵩密度が異なる電極を用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表6に示す。
試験例6に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣とを含むカーボン紙であり、カーボン粒子を含んでおらず、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
初期厚さt:0.3mm以上2.0mm以下
嵩密度:0.10g/cm以上0.73g/cm以下であり、表6に示す値(g/cm
剛軟度:10mN以上450mN以下
触媒:担持せず
試験例6に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:20μm
イオン交換基のクラスタ径:2.7nm
当量質量EW:750g/eq
試験例6に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:2.0mm
溝深さ:1.5mm
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
《試料の説明》
試料No.115~No.118は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である従来試料である。セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.115は、試料No.59に対する「基準」とする。試料No.116~No.118は順に、試料No.16~No.18,No.19及びNo.20,No.21及びNo.60に対する「基準」とする。
試料No.16~No.21の上記圧縮ひずみは25%、30%、50%のいずれかであり、電極の嵩密度は0.11g/cm以上0.7g/cm以下である。
これらの試料の上記圧縮ひずみ(%)を表6に示す。
試料No.59の上記圧縮ひずみは55%であり、電極の嵩密度は0.11g/cm未満である。試料No.60の上記圧縮ひずみは25%であり、電極の嵩密度は0.7g/cm超である。
表6の嵩密度の欄に(*)を付した試料No.17の電極は、隔膜との近傍領域に嵩密度の極大値を有する。上記嵩密度の欄に(**)を付した試料No.18の電極は、双極板との近傍領域に嵩密度の極大値を有する。上記嵩密度の欄に(***)を付した試料No.20の電極は、隔膜との近傍領域及び双極板との近傍領域の双方に嵩密度の極大値を有する。これらの試料の電極は、上述の懸濁液の塗布、乾燥、揮発という処理を行うことで作製する。
Figure 0007194361000006
以下、基本的には、電極の嵩密度が同じである試料同士を比較する。
表6に示すように、試料No.16~No.21はそれぞれ、従来試料No.116~No.118に比較して、同等程度以上の圧損を有しつつ、セル抵抗を低減できることが分かる。また、試料No.16~No.21は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。更に、試料No.16のセル抵抗は、試料No.59のセル抵抗に比較して低い。試料No.21のセル抵抗及び圧損は、試料No.60のセル抵抗及び圧損に比較して低い。
試料No.16~No.21が圧損の増大を招き難く、セル抵抗をより低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.16~No.21では、電極が硬過ぎず、かつ嵩密度が適切である。そのため、これらの試料は、電極の一部が双極板の流路(溝)に若干入り込めることと、電極が大きな表面積を有し易いこととによって、電池反応を良好に行えてセル抵抗を低減できる、と考えられる。また、試料No.16~No.21では、電極が柔らか過ぎず、かつ嵩密度が適切である。そのため、これらの試料は、電極が上記流路に大きく侵入せず、かつ電極を構成するカーボン素材が多過ぎないことで、電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。
特に、試料No.17,No.18,No.20に示すように、電極における隔膜の近傍領域及び双極板の近傍領域の少なくとも一方に嵩密度の極大値を有すると、セル抵抗を非常に低減できることが分かる。この理由の一つは、以下のように考えられる。上記隔膜の近傍領域に嵩密度の極大値を有する電極は、電解液中の活物質との反応性を高められることでセル抵抗を低減し易い、と考えられる。上記双極板の近傍領域に嵩密度の極大値を有する電極は、双極板との接触抵抗を低減できることでセル抵抗を低減し易い、と考えられる。この試験では、試料No.17に示すように、電極が上記隔膜の近傍領域に嵩密度の極大値を有すると、圧損も非常に低減できるといえる。この理由の一つは、以下のように考えられる。電極全体の嵩密度は0.11g/cmであっても、電極の表層のうち、隔膜の近傍領域の嵩密度が相対的に高ければ、双極板の近傍領域の嵩密度が相対的に低くなる。そのため、試料No.17では、圧損が低下すると考えられる。
一方、試料No.59のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.115と同等程度である。この理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.59は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、電極の嵩密度が小さ過ぎるため、電極の表面積を十分に確保し難い。その結果、試料No.59は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。電極が流路に入り込み過ぎないことで、試料No.59は、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
他方、試料No.60は、従来試料No.118に比較して、同等程度のセル抵抗を有するものの、圧損の低下が不十分である。この理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.60は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、電極の嵩密度が大き過ぎるため、電極内における電解液の流速を低下させ易く、電極に電解液が行き渡り難い。その結果、試料No.60は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。また、試料No.60は、上述の電極内における電解液の流速の低下により、圧損を増大させ易かった、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、電極の嵩密度が0.11g/cm以上0.7g/cm以下であると、電池性能をより確実に向上できることが示された。
(試験例7)
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なると共に、電極の剛軟度が異なる電極を用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表7に示す。
試験例7に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣とを含むカーボン紙であり、カーボン粒子を含んでおらず、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
初期厚さt:0.3mm以上2.0mm以下
嵩密度:0.10g/cm以上0.7g/cm以下
電極は、電極の厚さ方向に一様な嵩密度を有し、極大値を有さない。
剛軟度:8mN以上470mN以下であり、表7に示す値(mN)
触媒:担持せず
試験例7に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:20μm、30μm、55μmのいずれかであり、表7に示す値(μm)
イオン交換基のクラスタ径:2.7nm
当量質量EW:750g/eq
試験例7に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:3.0mm
溝深さ:1.0mm
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
《試料の説明》
試料No.119~No.122は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である従来試料である。セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.119~No.122は順に、試料No.61及びNo.22,No.23,No.24,No.25及びNo.62に対する「基準」とする。
試料No.22~No.25の上記圧縮ひずみは30%、40%、50%のいずれかであり、電極の剛軟度は10mN以上450mN以下である。
これらの試料の上記圧縮ひずみ(%)を表7に示す。
試料No.61の上記圧縮ひずみは50%であり、電極の剛軟度は10mN未満である。試料No.62の上記圧縮ひずみは32%であり、電極の剛軟度は450mN超である。
Figure 0007194361000007
以下、基本的には、電極の剛軟度が同じである試料同士を比較する。
表7に示すように、試料No.22~No.25はそれぞれ、従来試料No.119~No.122に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を低減できることが分かる。また、試料No.22~No.25は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。更に、試料No.22のセル抵抗及び圧損は、試料No.61のセル抵抗及び圧損に比較して低い。試料No.25のセル抵抗は、試料No.62のセル抵抗に比較して低い。
試料No.22~No.25が圧損の増大を招き難く、セル抵抗をより低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.22~No.25では、電極が硬過ぎず、かつ剛軟度が適切である。そのため、これらの試料は、電極の一部が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を良好に得られる、と考えられる。また、試料No.22~No.25では、電極が柔らか過ぎず、かつ剛軟度が適切である。そのため、これらの試料は、電極が上記流路に入り込み過ぎることを抑制でき、電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。
一方、試料No.61は、従来試料No.119と比較して、同等程度のセル抵抗を有するものの、圧損の低下が不十分である。このような結果が得られた理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.61は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、電極の剛軟度が小さ過ぎるため、電極が流路に入り込み過ぎる。電極が過度に入り込むことによって、電極における流路の周囲に電解液が十分に行き渡らない。その結果、試料No.61は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。また、試料No.61は、上述のように電極が流路に入り込み過ぎることで、圧損を増大させ易かった、と考えられる。
他方、試料No.62のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.122と同等程度である。この理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.62は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、電極の剛軟度が大き過ぎるため、上述の電極における流路への入り込み量を十分に確保できない。その結果、試料No.62は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。電極が流路に入り込み過ぎないことで、試料No.62は、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、電極の剛軟度が10mN以上450mN以下であると、電池性能をより確実に向上できることが示された。
(試験例8)
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なると共に、触媒を担持する電極を用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表8に示す。
試験例8に用いた各試料の電極の基本的構成は、上述の試験例7の試料No.23と同様である。但し、試験例8の各試料の電極は、触媒を担持する。そのため、試験例8の各試料の電極における0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが試料No.23と異なる。試験例8の各試料の電極は、上記圧縮ひずみが29.5%を満たし、かつ上述の《電極の条件》を満たすように、触媒の担持量を調整する。触媒の担持量は、各試料の電極を100質量%として、1質量%以上15質量%以下の範囲で選択する。
《試料の説明》
試料No.26~No.39の電極は、酸化物又は炭化物からなる触媒を担持する。触媒の組成は、表8に示す試料順に、炭化タングステン(WC)、酸化アンチモン(Sb)、炭化珪素(SiC)、炭化チタン(TiC)、酸化セリウム(CeO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化錫(SnO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化レニウム(ReO)、酸化タンタル(Ta)、酸化イリジウム(IrO)、ルテニウム酸バリウム(BaRuO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化鉛(PbO)である。
セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.23は、その他の試料に対する「基準」とする。
Figure 0007194361000008
表8に示すように、試料No.26~No.39はいずれも、試料No.23に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を更に低減できることが分かる。つまり、試料No.26~No.39はいずれも、上述の試験例7の従来試料No.120に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を非常に低減できるといえる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、電極が触媒を担持することで、電池性能をより向上できることが示された。
(試験例9)
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なる電極と、厚さが異なる隔膜とを用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表9に示す。
試験例9に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣とを含むカーボン紙であり、カーボン粒子を含んでおらず、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
初期厚さt:0.3mm以上2.0mm以下
嵩密度:0.11g/cm以上0.7g/cm以下
電極は、電極の厚さ方向に一様な嵩密度を有し、極大値を有さない。
剛軟度:10mN以上450mN以下
触媒:担持せず
試験例9に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:5μm以上65μm以下であり、表9に示す値(μm)
イオン交換基のクラスタ径:2.5nm以上
当量質量EW:950g/eq
試験例9に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:2.0mm
溝深さ:1.5mm
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
《試料の説明》
試料No.124~No.126は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である従来試料である。セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.124~No.126は順に、試料No.63及びNo.40,No.41,No.42及びNo.64に対する「基準」とする。
試料No.40~No.42の上記圧縮ひずみは25%、30%、40%のいずれかであり、隔膜の厚さは7μm以上60μm以下である。
これらの試料の上記圧縮ひずみ(%)を表9に示す。
試料No.63の上記圧縮ひずみは30%であり、隔膜の厚さが7μm未満である。試料No.64の上記圧縮ひずみは25%であり、隔膜の厚さが60μm超である。
Figure 0007194361000009
以下、基本的には、隔膜の厚さが同じである試料同士を比較する。
表9に示すように、試料No.40~No.42はそれぞれ、従来試料No.124~No.126に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を低減できることが分かる。また、試料No.40~No.42は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。更に、試料No.40のセル抵抗は、試料No.63のセル抵抗に比較して低い。試料No.42のセル抵抗は、試料No.64のセル抵抗に比較して低い。
試料No.40~No.42が圧損の増大を招き難く、セル抵抗をより低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.40~No.42では、電極が硬過ぎない。そのため、これらの試料は、電極の一部が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を良好に得られる、と考えられる。また、これらの試料では、隔膜の厚さが適切である。そのため、これらの試料は、隔膜の損傷を防止できる上に、隔膜自体に起因するセル抵抗の増大を招き難い、と考えられる。これに対し、従来試料No.124では、電極によって隔膜が部分的に損傷している。そのため、短絡が生じている。この短絡に起因して、従来試料No.124ではセル抵抗が増大した、と考えられる。また、隔膜の損傷により、従来試料No.124では性能が安定し難かった、と考えられる。
圧損に関して、試料No.40~No.42では、電極が柔らか過ぎない。そのため、これらの試料は、電極が上記流路に大きく侵入せず、電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。
一方、試料No.63のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.124と同等程度である。この理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.63は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが適切な電極であっても、隔膜が薄過ぎると局所的に損傷することがある。隔膜の損傷によって局所的な短絡が生じた結果、試料No.63は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。また、隔膜の局所的な損傷により、性能が安定し難くなることがある、と考えられる。但し、試料No.63に備えられる隔膜の損傷は、従来試料No.124よりも十分に少ない。このことから、試料No.63の電極は、従来試料No.124の電極よりも隔膜の損傷を防止し易いといえる。電極が流路に入り込み過ぎないことで、試料No.63は、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
他方、試料No.64のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.126と同等程度である。この理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.64は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、試料No.64は、隔膜が厚過ぎることで、隔膜自体の電気抵抗に起因してセル抵抗率の増大を招き、結果として、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。電極が流路に入り込み過ぎないことで、試料No.64は、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、隔膜の厚さが7μm以上60μm以下であると、電池性能をより確実に向上できることが示された。
(試験例10)
0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが異なる電極と、イオン交換基のクラスタ径及び当量質量EWが異なる隔膜とを用いて、上述のようにRF電池を構築してセル抵抗、圧損、性能の安定性を評価し、評価結果を表10に示す。
試験例10に用いた各試料の電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣とを含むカーボン紙であり、カーボン粒子を含んでおらず、かつ、以下の条件を満たす。
《電極の条件》
初期厚さt:0.3mm以上2.0mm以下
嵩密度:0.11g/cm以上0.7g/cm以下
電極は、電極の厚さ方向に一様な嵩密度を有し、極大値を有さない。
剛軟度:10mN以上450mN以下
触媒:担持せず
試験例10に用いた各試料の隔膜は、以下の条件を満たす。
《隔膜の条件》
隔膜の厚さ:20μm、25μm、30μmのいずれかであり、表10に示す値(μm)
イオン交換基のクラスタ径:2.3nm以上3.1nm以下であり、表10に示す値(nm)
当量質量EW:630g/eq以上980g/eq以下であり、表10に示す値(g/eq)
試験例10に用いた各試料の双極板に設けられた流路は、以下の条件を満たす。
《流路の条件》
溝幅:2.0mm
溝深さ:1.5mm
溝幅、及び溝深さは、溝の長手方向に一様である。
《試料の説明》
試料No.127~No.129は、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%未満である従来試料である。セル抵抗の評価及び圧損の評価において、試料No.128,No.129は順に、No.44,No.45及びNo.66に対する「基準」とする。セル抵抗の評価において、試料No.65は、試料No.127及びNo.43に対する基準とする(この理由は後述する)。圧損の評価において、試料No.127は、試料No.65及びNo.43に対する基準とする。
試料No.43~No.45の上記圧縮ひずみは30%、40%、55%のいずれかであり、イオン交換基のクラスタ径は2.5nm以上であり、かつ当量質量EWが950g/eq以下である。
これらの試料の上記圧縮ひずみ(%)を表10に示す。
試料No.65の上記圧縮ひずみは30%であり、イオン交換基のクラスタ径は2.5nm未満であり、かつ当量質量EWは950g/eq以下である。試料No.66の上記圧縮ひずみは25%であり、イオン交換基のクラスタ径は2.5nm以上であり、かつ当量質量EWが950g/eq超である。
Figure 0007194361000010
以下、基本的には、隔膜のイオン交換基のクラスタ径が同じである試料同士を比較する。
表10に示すように、試料No.43~No.45はそれぞれ、従来試料No.127~No.129に比較して、同等程度の圧損を有しつつ、セル抵抗を低減できることが分かる。また、試料No.43~No.45は、性能の安定性の評価から、低いセル抵抗を安定して有することが分かる。更に、試料No.43のセル抵抗は、試料No.65のセル抵抗に比較して低い。試料No.45のセル抵抗は、試料No.66のセル抵抗に比較して低い。
試料No.43~No.45が圧損の増大を招き難く、セル抵抗をより低減できる理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.43~No.45では、電極が硬過ぎない。そのため、これらの試料は、電極の一部が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を良好に得られる、と考えられる。また、これらの試料では、隔膜のイオン交換基のクラスタ径及び当量質量EWが適切である。そのため、これらの試料は、隔膜によってセル抵抗の増大を招き難い、と考えられる。これに対し、従来試料No.127では、上記クラスタ径が小さ過ぎることで、隔膜自体の電気抵抗が高い。また、膜強度が低い。そのため、電極によって隔膜が部分的に損傷している。その結果、短絡が生じている。これらのことから、従来試料No.127ではセル抵抗が増大した、と考えられる。また、従来試料No.127では、上記短絡によって、電池性能も不安定である。これらを鑑みて、セル抵抗の評価の基準は、試料No.127ではなく試料No.65を用いる。
圧損に関して、試料No.43~No.45では、電極が柔らか過ぎない。そのため、これらの試料は、電極が上記流路に大きく侵入せず、電解液の流通性に優れて圧損を増大させ難い、と考えられる。
一方、試料No.65は、従来試料No.127と同等程度の圧損を有するものの、試料No.65のセル抵抗は試料No.43よりも高い。このような結果が得られた理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.65は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、試料No.65では、隔膜のイオン交換基のクラスタ径が小さ過ぎるため、隔膜自体の電気抵抗が高過ぎる。その結果、試料No.65は、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。なお、試料No.65の隔膜は損傷していない。このことから、試料No.65の電極は、従来試料No.127の電極よりも隔膜の損傷を防止し易いといえる。また、試料No.65は、電極が流路に入り込み過ぎないことで、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
他方、試料No.66のセル抵抗及び圧損は、従来試料No.129と同等程度である。この理由の一つは、以下のように考えられる。試料No.66は、電極が双極板の流路(溝)に若干入り込むことによるセル抵抗の低減効果を得ている。しかし、試料No.66は、隔膜の当量質量EWが大き過ぎることでセル抵抗率の増大を招き、結果として、セル抵抗の低減効果を十分に得られなかった、と考えられる。電極が流路に入り込み過ぎないことで、試料No.66は、電解液の流通性に優れて、圧損の増大を招き難かった、と考えられる。
この試験から、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみが20%以上60%以下の電極を備えるRF電池は、更に、隔膜のイオン交換基のクラスタ径が2.5nm以上であり、かつ当量質量EWが950g/eq以下であると、電池性能をより確実に向上できることが示された。
以上の試験例1~10は、正負の活物質をバナジウムイオンとするバナジウム系電解液を用いた場合の評価を示すが、正極活物質としてマンガンイオンを含む正極電解液と、負極活物質としてチタンイオンを含む負極電解液とを用いた場合でも同様の傾向がある。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、上述の試験例1~10において、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみ、嵩密度、剛軟度、初期厚さt、カーボン素材の材質、触媒の組成・含有量、双極板の流路の形状、溝幅、溝深さ、隔膜の厚さ、イオン交換基のクラスタ径、当量質量EW等を変更してもよい。
その他、例えば、以下の(1)~(3)の少なくとも一つの変更が可能である。
(1)複数の電池セルを備える場合に、仕様が異なる電極を含む。
上記仕様として、0.8MPaの面圧での圧縮ひずみ、嵩密度、剛軟度、初期厚さt、カーボン素材の材質等が挙げられる。
(2)双極板の流路の仕様を変更する。
例えば、流路4は、上述の直線状の溝41,42と蛇行溝45とを含んでもよい。又は、流路4は、例えば、図6Aの流路4において、整流溝43,44を省略してもよい。又は、流路4は、例えば、図6Bの流路4において、整流溝43,44の少なくとも一方を含んでもよい。
(3)多セル電池の場合に、仕様が異なる隔膜を含む。
上記仕様として、隔膜の材質、イオン交換膜の場合にイオン交換基の種類・クラスタ径・当量質量EW等が挙げられる。
10 レドックスフロー電池(RF電池)
1 電池セル、1A 正極セル、1B 負極セル
11 隔膜、12 電極、13 正極電極、14 負極電極、15 双極板
16,17 タンク、160,170 配管
161,171 往路配管、162,172 復路配管
18,19 ポンプ、120 表面、121,125 近傍領域
124 張出部
2 セルスタック
20 サブセルスタック、21 エンドプレート、22 締結部材
23 給排板
3 セルフレーム
30 枠体、31 窓部、33,34 給液マニホールド
35,36 排液マニホールド、38 シール材
4 流路
4i 供給縁、4o 排出縁
40,41,42 溝、43,44 整流溝、45 蛇行溝、48 畝部
50 カーボン繊維、51 カーボンバインダー残渣、52 カーボン粒子
55 触媒
6 介在機器、7 発電部、8 負荷
128 測定試料、201 固定下盤、202 可動上盤
600 測定システム
610 測定セル、620 流体槽、622 流体、630 配管
632 分岐管、640 ポンプ、650 流量計、660 差圧計

Claims (17)

  1. 電極と、前記電極の一面に対向する隔膜と、前記電極の他面に対向する双極板とを備え、レドックスフロー電池に用いられる電池セルであって、
    前記双極板は、前記電極との対向面に電解液の流路を備え、
    前記電極は、カーボン素材を含む多孔質体であり、
    前記電極の厚さ方向に0.8MPaの面圧を加えた状態における前記電極の厚さ方向の圧縮ひずみが20%以上60%以下であり、
    前記流路は、幅が0.6mm以上5.0mm以下であり、かつ深さが0.6mm以上5.0mm以下である溝を含む、
    電池セル。
  2. 前記電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣とを含むカーボン紙である請求項に記載の電池セル。
  3. 前記電極は、カーボン繊維と、カーボンバインダー残渣と、カーボン粒子とを含むカーボン紙である請求項に記載の電池セル。
  4. 前記カーボン粒子の含有量が10質量%以上50質量%以下である請求項に記載の電池セル。
  5. 前記電極の初期厚さが0.3mm以上2.0mm以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電池セル。
  6. 前記電極の嵩密度が0.11g/cm以上0.7g/cm以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電池セル。
  7. 前記電極の嵩密度が前記電極の厚さ方向に異なっており、
    前記電極における前記隔膜との近傍領域、及び前記電極における前記双極板との近傍領域の少なくとも一方の領域に前記嵩密度の極大値を有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電池セル。
  8. 前記電極の剛軟度が10mN以上450mN以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電池セル。
  9. 前記電極は、非カーボン系材料からなる触媒を担持している請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電池セル。
  10. 前記非カーボン系材料は、酸化物及び炭化物の少なくとも一種の材料である請求項に記載の電池セル。
  11. 前記流路は、前記双極板の供給縁寄りに設けられる第一の溝と、前記双極板の排出縁寄りに設けられる第二の溝とが隣り合って並ぶ溝の組を含む請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電池セル。
  12. 前記流路は、蛇行溝を含む請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の電池セル。
  13. 前記隔膜の厚さが7μm以上60μm以下である請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電池セル。
  14. 前記隔膜は、イオン交換膜である請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の電池セル。
  15. 前記イオン交換膜は、イオン交換基を有するフッ素系高分子電解質ポリマーを含むフッ素系陽イオン交換膜であり、
    前記イオン交換基は、スルホン酸であり、
    前記イオン交換基のクラスタ径が2.5nm以上であり、
    前記フッ素系高分子電解質ポリマーにおける前記イオン交換基1当量あたりの乾燥質量グラム数が950g/eq以下である請求項14に記載の電池セル。
  16. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の電池セルを備える、
    セルスタック。
  17. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の電池セル、又は請求項16に記載のセルスタックを備える、
    レドックスフロー電池。
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