JP2017089007A - 電極、膜電極複合体、電気化学セルおよびスタック - Google Patents

電極、膜電極複合体、電気化学セルおよびスタック Download PDF

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Abstract

【課題】少ない量の貴金属で安定な水電解性能が得られる電極、膜電極複合体、電気化学セルおよびスタックを提供する。
【解決手段】 実施形態の電極は、基材と、基材上に設けられ、多孔質構造を持つ複数の触媒ユニットを含む触媒層と、を備え、触媒層が、基材の近傍で、第1分散度で触媒ユニットが分散している第1触媒層と、第1触媒層の上方に設けられ、第2分散度で触媒ユニットが分散している第2触媒層とを有し、第2分散度が前記第1分散度とは異なる。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、電極、膜電極複合体および、これを用いた電気化学セルとスタックに関する。
近年、電気化学セルは盛んに研究されている。電気化学セルのうち、例えば、固体高分子型水電解セル(PEMEC:Polymer Electrolyte MembraneElectrolysis Cell)は、太陽光発電など再生可能エネルギーへの応答性が優れるため、大規模エネルギー貯蔵システムの水素生成としての利用が期待されている。十分な耐久性と電解特性を確保するため、PEMECの陰極には白金ナノ粒子触媒が、陽極には粒子状イリジウム系触媒が、一般に使用されている。
PEMECの普及化への一つの大きな課題は、貴金属触媒使用量の低減によるコスト減である。
近年、電気化学セルの貴金属触媒として多孔体構造または空隙層を含む積層構造を持つ担体レス触媒ユニットが提案されている。これら触媒ユニットに含まれた触媒の形態は、スポンジ状またはナノシート状になっており、高い耐久性が報告されている。また、これら触媒ユニットを含む触媒層の空孔率が高いため電気化学セルの電極反応に不可欠の物質移動に有利であり、貴金属量低減技術として有力と考えられる。但し、前記技術をPEMECに適用した場合は水電解性能の安定性は未だ十分とは言えず、更なる改善の必要性がある。
特開2010−33759号公報
本発明が解決しようとする課題は、少ない量の貴金属で安定な水電解性能が得られる電極、膜電極複合体、電気化学セルおよびスタックを提供することにある。
実施形態の電極は、基材と、基材上に設けられ、多孔質構造を持つ複数の触媒ユニットを含む触媒層と、を備え、触媒層が、基材の近傍で、第1分散度で触媒ユニットが分散している第1触媒層と、第1触媒層の上方に設けられ、第2分散度で触媒ユニットが分散している第2触媒層とを有し、第2分散度が前記第1分散度とは異なる。
また、実施形態の膜電極複合体は、本発明の電極を具備する。
また、実施形態の電気化学セルは、本発明の膜電極複合体を具備する。
また、実施形態のスタックは、本発明の電気化学セルを具備する。
一実施形態に係る膜電極複合体(MEA)の断面図。 一実施形態に係る電極を示す図とSEM写真。 一実施形態に係る触媒ユニットの高さとユニット同士間距離を定義する説明図。 一実施形態に係る電極の測定スポットを示す図。 一実施形態に係る電極、膜電極複合体の作製方法を概略的に示す図。 一実施形態に係る電気化学セルの断面図。 一実施形態に係るスタックの断面図。 一実施形態に係る触媒層厚みを定義する説明図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明では、同一部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る膜電極複合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)の断面図を示している。
MEA1は、第1の電極2および第2の電極3と、これらの間に配置された電解質膜4により構成される。
電解質膜4と隣接する第1の電極2は、図面上から順に、第1のガス拡散層(基材)6、触媒層5が積層されている。第2の電極3は、図面下から順に、第2のガス拡散層(基材)8、触媒層7が積層されている。ここでは触媒層5が、基材6近傍の第1触媒層5A、中間触媒層(中間層)5Cおよび電界質膜4近傍の第2触媒層5Bを重ねた多層構造を有し、各触媒層はそれぞれ多数の触媒ユニットを含んでいる多孔質構造である。多孔質構造とは、触媒ユニット同士の間、または触媒ユニット内部に存在する多数の空孔を含む構造のことをいう。空孔の形状を特に限定しない。各触媒ユニットは、多孔体構造または/および空隙層を含む積層構造である。基材6を底とした場合、基材6と接する上部に第1触媒層5Aがあり、その上方に第2触媒層5Bがある。上方とは、中間層5Cを介して上部にある場合と、単に第1触媒層5Aの上部にある場合との両方を含むものとする。つまり、基材6と第2触媒層5Bの間に第1触媒層5Aが存在する。そして、第1触媒層5Aと第2触媒層5Bの間には、1層または多層の中間層5Cを含むことが好ましい。基材6は第1触媒層5Aと物理的に接している。また、第2触媒層5Bは、中間層5C又は第1触媒層5Aと物理的に接している。さらに、第2触媒層5Bは、電解質膜4と物理的に接している。
本発明の特徴は、電解質膜4近傍の第2触媒層5Bに含まれる触媒ユニットが基材6近傍の第1触媒層5Aより分散していることである。これで、基材6及び電極の高い耐久性を維持できると同時に、触媒層5と電解質膜4との間に凹凸界面を形成し、安定した水電解性能が得られる。
以下に、本実施形態の触媒層5を詳細に説明する。なお、第1の電極2の触媒層5について説明するが、第2の電極3の触媒層7が第1電極2の触媒層と同じ構造を有していてもよい。
本実施形態にかかる触媒層5は、多孔体構造または空隙層を含む積層構造を持つ複数の担体レス触媒ユニットから構成され、高い触媒比表面積(10〜40m/g)、高い空孔率(70vol%以上)と優れた耐久性を有している。担体レスとは、触媒層を構成する触媒には担体を使用しないことである。上記触媒層の一つ特徴は、触媒ユニット内の触媒が実質的に連続しており、触媒ユニット同士も部分的に結合している場合が多いため、触媒層5は、構造的に非常に安定した状態となっている。担体によって担持された触媒または触媒粒子によって構成される従来の触媒層は、空孔率が70vol%(体積%)未満であり、構造的な安定性が不十分である。従来のPEMEC陽極にはイリジウムブラックまたは酸化イリジウムブラックが使用されており、担体レスであるが、粒子直径が十数nm以上の場合が多い。電極反応に不可欠の物質輸送が触媒層5の空孔率に強く依存し、電極反応面積は触媒の比表面積に比例するため、十分な水電解効率と耐久性を達成するには多量な触媒が使用されている。なお、実施形態における直径とは、外接円直径を表すものである。
本実施形態にかかる触媒層5に含まれた触媒ユニットが多孔体である場合は、触媒ユニットに含まれる触媒のうち80%以上(ユニット個数の比率)の触媒は、直径が2nm以上8nm以下の触媒粒子と直径1nm以上5nm以下の微細孔が混在する集合体であり、スポンジ状とも言える。上記触媒ユニットが空隙層を含む積層構造である場合は、触媒ユニットは主に複数のナノシート状触媒とナノシート状触媒同士間の空隙層を含んだ積層構造である。ナノシート状触媒は触媒の組成などによって、形態が連続膜、または直径が2nm〜50nmの孔を含む多孔体膜、または直径が2nm〜8nmの粒子が構成する連続凝集シート体である場合がある。第1触媒層5Aは、積層方向に対して垂直方法に延びるシート状構造が積層した触媒構造を有することが好ましい。また、第2触媒層5Bは、積層方向に延びる柱状構造が束ねられた触媒構造を有することが好ましい。かかる柱状構造を有する第2触媒層5Bは、第1触媒層5Aから電解質膜4方向に延びた構造を有し、中間層5C又は第1触媒層5Aと電解質膜4を物理的に連結していることが好ましい。
本実施形態にかかる触媒層5の空孔率は、50vol%以上、95vol%以下であることが好ましい。触媒層5の空孔率は70vol%以上、95vol%以下であることが構造安定性の観点からより好ましい。触媒層5の空孔率がこの範囲内であれば、貴金属の利用効率を低下させることなく、物質を十分に移動させることができるからである。触媒ユニット内の触媒の直径については、結晶体である場合はX線回折分析によって結晶粒直径が求められる。白金または酸化イリジウムの結晶直径が2〜20nmであることが多い。
本実施形態の触媒層5は、基材6近傍と電解質膜4近傍で触媒ユニットの分散度が異なり、基材6近傍で分散度の低い触媒ユニットを有し、電解質膜4近傍で分散度が高い触媒ユニットから構成されていることが特徴である。
分散度とは、触媒ユニット同士の距離のことを示しており、分散度が高い場合は、触媒ユニット同士の距離が離れていることを指し、分散度が低い場合は、触媒ユニット同士の距離が狭いことを指している。この分散度は、基材6が触媒層2に対向する面に平行な方向の触媒ユニット間の平均距離である。そして、第1触媒層5Aの触媒ユニット間平均距離と第2触媒層5Bの触媒ユニット間平均距離の差が10nm以上であるとき、第1触媒層5Aの第1分散度と第2触媒層5Bの第2分散度は異なる。
基材6近傍に存在する触媒ユニットの分散度が電極、特にPEMECセルの陽極の耐久性には重要である。基材6近傍の触媒ユニットの分散度は、本実施形態のように分散度の低い触媒ユニットとしていた方が、基材6及び電極全体の寿命や耐久性といった面では好ましい。
電解質膜4近傍の第2触媒層5Bの触媒ユニットの分散度を高くすることで、MEAを作製する際に、各触媒ユニットは電解質膜4内部に深く食い込み、第2触媒層5Bと電解質膜4との間に凹凸界面を形成することと、触媒層5と電解質膜4との接触面積を増加させることで、安定した水電解性能が得られる。第2の電極3の触媒層7も上述した触媒層5と同様の構成となることが望ましい。
図1の拡大図で示すように、触媒層5全体の厚みを1とした場合、触媒ユニット分散度がそれぞれ異なる領域は、電解質膜4と触媒層5の界面近傍、たとえば界面から少なくとも厚みが0.1までの領域は分散度が異なる領域(たとえば分散度が高い領域)となっているのが良い。かかる領域の触媒の分散度が高いことで高い耐久性を有する電極が得られる。界面から厚みが0.4までの領域よりも厚いところにまで分散度が高い領域が存在すると耐久性が低下することが好ましくない。そこで、分散度が高い領域は、界面から厚みが0.4までの領域に存在することが好ましい。かかる分散度が高い領域は、第2触媒層5Bで構成されることが好ましい。また、基材6と触媒層5の界面近傍、たとえば界面から少なくとも厚みが0.1までの領域は分散度が異なる領域(たとえば分散度が低い領域)となっているのが望ましい。かかる領域は厚くても高い耐久性と高い触媒能に寄与することから界面から0.9までの厚さの領域に分散度が低い領域が存在することが好ましい。かかる分散度が低い領域は、第1触媒層5Aで構成されることが望ましい。
本触媒層5は、分散度の異なる触媒層との間に中間層があることは否定しない。
中間領域にある中間層5Cの触媒ユニットの分散度については特に限定しないが、たとえば、第2触媒層5Bの分散度よりも分散度は低いことが好ましい。また、中間領域ないし中間層5Cは、第2触媒層5B側から第1触媒層5A側に向かって分散度が高い領域から低い領域に徐々に分散度が変化するような領域や構造であっても良い。
図2には本発明の一実施形態に係る電極の断面イメージ図と関連部分のSEM写真を示す。図2(A)は、基材6、第1触媒層5Aと第2触媒層5Bの順に積層した触媒層5のイメージ図である。図2(B)は、図1において5Bで示す電解質膜近傍の分散度の高い第2触媒層5Bの触媒ユニットの断面SEM写真を示している。一方、図2(C)は、図1において5Aで示す基材近傍の分散度の低い第1触媒層5Aの触媒ユニットの断面SEM写真を示している。図2(D)は、分散度の高い第2触媒層5Bの触媒ユニットの断面SEM写真を示している。図2(E)は、分散度の低い第1触媒層5Aの触媒ユニットの断面SEM写真を示している。なお、図2(B)と図2(C)は、基材6の主面に対する垂直方向の断面を撮像したものである。また、図2(D)と図2(E)は、図2(B)と図2(C)の断面に対する垂直方向の断面を撮像したものである。各箇所で触媒ユニット分散度の差が見られる。触媒領域とそれ以外の空隙領域はSEM写真のコントラストから判別する。白色領域が触媒で、黒色領域が空隙を表している。触媒ユニット間距離を求める際は、10万倍で撮影したSEM写真を用いる。また、ピント及び濃淡から断面よりも奥行き方向に存在する触媒ユニットを判別して、触媒ユニット間距離を求める対象から除外する。
触媒層5が、基材6近傍で分散度の高い触媒ユニットを持ち、電解質膜4近傍又は表面領域で分散度の低い触媒ユニットを持つ、本実施形態とは逆の実施形態も考えられる。
この場合、基材6近傍の触媒ユニットの分散度が高いことで、電極への水供給がスムーズになることと、電解質膜4へのイオンの移動に無駄がなくなるメリットがある。しかし、基材6近傍の触媒ユニットの分散度が高く、触媒ユニット同士の間に隙間が大きいと、電極が劣化する可能性が高い。劣化メカニズムについてはまだ十分に解明されていないが、基材が液体やプロトンの影響を受けるためと考えられる。
本実施形態では、触媒ユニット間の平均距離を用いて触媒ユニットの分散度を定義する。
電解質膜4近傍又は表面領域の第2触媒層5Bの触媒ユニット同士間の平均距離が30nm以上、2000nm以下であり、触媒ユニットの平均高さは30nm以上、1000nm以下であるのが望ましい。また、基材6近傍の第1触媒層5Aの触媒ユニット同士間の平均距離は、0nm以上、30nm未満であるのが望ましい。
第2触媒層5Bの触媒ユニット同士間の平均距離が30nm未満、または触媒ユニットの平均高さが30nm未満の場合は特性の安定性が不十分である。また、第2触媒層5Bの触媒ユニット同士間の平均距離が2000nmを超え、または触媒ユニットの平均高さが1000nmを超えると安定性効果の向上が少なく、作製コストが高い場合が多い。同観点から、第2触媒層5Bの触媒ユニット同士間の平均距離が100nm以上、500nm以下、または触媒ユニットの平均高さが50nm以上、800nm以下であるのがより望ましい。また、第1触媒層5Aの触媒ユニット同士間の平均距離は、20nm以上の場合は特性の安定性が不十分である。第1触媒層5Aの触媒ユニットの同士間の触媒層5厚さ方向の距離が5nm未満であると、触媒が密集しすぎることで、触媒能が低下してしまう。かかる観点から、第1触媒層5Aの触媒ユニットの平均距離は0nm以上、20nm以下であるのが望ましい。なお、金属メッシュなど触媒ユニットと接している基材表面にはサイズが5μm以上の孔または開口部が存在し、それらによる触媒ユニットの分散もあるが、本実施形態の分散度と意味合いが異なるため、触媒ユニット同士の距離が3μm以上である場合は、分散度測定から除外する。
本実施形態では、上記触媒ユニットの高さまたは触媒ユニット同士間の距離を定量的に評価するため、以下のように定義している。電極の断面SEM写真を撮影し、SEM写真上で上述した触媒層5の構造的特徴から電解質膜4近傍と基材6近傍と区別した上、図3のイメージ図に示されるように、電解質膜4近傍における触媒ユニットとその他の触媒ユニットとの界面は基準線62とする。触媒ユニットの高さは基準線と垂直方向の長さであり、それぞれの触媒ユニットの表面各点から基準線62までの距離の中の最大距離63を触媒ユニットの高さと定義する。
触媒ユニット同士間の距離については、それぞれの触媒ユニット表面に当触媒ユニット高さの半分の位置において中間線を求め、SEM写真上に隣接する触媒ユニット同士の中間線の間の最短距離を触媒ユニット間距離61と定義する。図1拡大図を例にとると、第2触媒層5Bのように、分散度の高い触媒ユニットの厚みが、例えば触媒層厚みの0.1であるときは、それぞれの触媒ユニットの表面から触媒層厚みの0.05の位置において中間線を求め、SEM写真上に隣接する触媒ユニット同士の中間線間の最短距離をユニット間距離61と定義する。
SEM写真中の触媒ユニットがすべて分離している場合は、単純に触媒ユニット間距離を求めることができる。SEM写真中の触媒ユニットには、隣接する触媒ユニットと接触面を有するものが含まれる場合がある。接触面を有する触媒ユニットを1つの触媒ユニットとみなすか、複数の触媒ユニットとみなすかは次の条件で定める。SEM写真中の一方(SEM写真左側)の触媒ユニットの接触面を有する辺の長さをLとする。SEM写真中の他方(SEM写真右側)の触媒ユニットの接触面を有す辺の長さをLとする。接触面の辺の長さをLとする。L,LおよびLが2*L/(L+L)>0.7を満たすとき、隣接し、接触面を有する複数の触媒ユニットを単一の触媒ユニットとして取り扱う。隣接する触媒ユニットが分離したユニットかどうかの判別は、SEM写真の左側から右側に向かって行う。3以上の触媒ユニットを単一の触媒ユニットとしてみなしてもよい。なお、複数の触媒ユニットと判定されたもので、前段落の方法で測定した触媒ユニット間距離61がゼロの場合は、触媒ユニット間距離をゼロとする。
図3のイメージ図は、第2触媒層5Bを想定したものである。第1触媒層5Aの触媒ユニット間距離を求める方法も次に説明するように同様である。第2触媒層5Bの触媒ユニット間平均距離を求める方法と第1触媒層5Aの触媒ユニット間平均距離を求める方法で、共通するものは、第1触媒ユニット間平均距離を求める方法の説明において、省略する。第1触媒層5Aは、平面状の触媒が積層した構造である場合、例えば、図8のSEM写真に示される構造が観察される。触媒層5の全体の厚さを1としたとき、基材6の面から第2触媒層5Bに向かって0,1の厚さ分の位置に存在する触媒ユニット又は0,1の厚さ分の位置から最近傍の触媒ユニットの距離を第1触媒層5Aの触媒ユニット間距離とする。そして、同様に接触面を有する触媒ユニットを1つの触媒ユニットとみなすか、複数の触媒ユニットとみなすかの判定を行うと多くのユニットが単一のユニットとしてみなされる。積層方向に分離した触媒ユニット間の距離は、分散度を測定する際の触媒ユニット間距離に含まれない。すべての触媒がくっついている場合は、ユニット間距離がゼロである。ユニット間距離がゼロである触媒層は、究極の低分散である。
ここで、第1触媒層5Aの触媒ユニット間平均距離をD1とし、第2のユニット間平均距離をD2とする。D1、D2は、0.00≦D1/D2≦0.01を満たすことが好ましい。かかる条件を満たすと、水だけでなくガスの拡散性に優れるため、触媒性能が向上する。より好ましい範囲は、0.000≦D1/D2≦0.006である。
触媒ユニットの平均高さまたは触媒ユニット同士間の平均距離については、図4に示される触媒層5面内に9個のスポットを指定し、この9個のスポットの中の触媒ユニットの高さと触媒ユニット間距離の平均値を当電極の平均高さとユニット平均距離とした。各スポットは、正方形状で少なくとも5mmの領域を有する。また、電極長さ80と電極幅82はLとWをそれぞれとした場合、距離81はW/10、距離83はL/10とした。
本実施形態の触媒層5に採用される所定の触媒材料は、電極反応に応じて適宜選択することができる。触媒活性と耐久性の観点から貴金属または貴金属酸化物触媒が望ましい。例えば、PEMECの陽極として使用する場合、A1−u−vで示される組成を有する触媒が望ましい。ここで、0.5≦u+v<1.0であり、uは、0.5≦u<1.0、vは、0≦v<0.5であり、元素Aは、Ir、Pt、Ru、Rh、Os、PdおよびAuなどの貴金属元素から選択される少なくとも1種であり、元素Mは、Ta、W、Hf、Si、Mo、Ti、Zr、Nb、V、CrおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種であり、元素Xは、Co、Ni、Fe、Mn、AlおよびZnよりなる群から選択される少なくとも1種である。前述の材料は、金属または酸化物として用いることもでき、2種以上の金属を含む複合酸化物または混合酸化物であっても良い。触媒の結晶構造については特に限定しないが、アモルファスより結晶体の方が耐久性は良い場合が多い。中間層も触媒層の触媒材料の結晶及びアモルファスを含む層であることが好ましい。
本実施形態の電極を水電解の陽極に適用した場合は、電解質膜4近傍の触媒層の50vol%以上は白金であり、基材6近傍の触媒層5の60vol%以上は酸化イリジウムを主体とする酸化物触媒であることが望ましい。触媒層5の構成、元素、酸化物分布について、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)の元素マッピングによって確認できる。基材6近傍の触媒層5が空隙層と触媒レイヤーを含む積層構造を有する触媒ユニットから構成される場合は、触媒ユニット内部に酸化イリジウムら酸化物触媒レイヤーの間に、白金など貴金属レイヤーを配置した方が、または酸化イリジウムと白金との混合レイヤーを用いた方が、水電解安定性をより向上させることがある。メカニズムは不明であるが、プロトン伝導または電気伝導を向上させた可能性がある。
電極の基材6は、多孔性と導電性が一般的に要求される。水電解セルの陽極として使用される場合は耐久性を確保するためチタン材料が一般的に採用されている。基材の形態については特に限定しないが、チタンメッシュ、チタン繊維からなるクロース、チタン焼結体などが挙げられる。多孔質基材の開口率、特に触媒層に接する部分の空孔構造などの調整、またはブラスト処理など基材の表面処理によって水電解特性を向上させる場合がある。触媒層への水供給、電極反応生成物の排出などがスムーズになり、触媒層における電極反応が促進されたためと考えられる。基材の上に他のコーティング層を付けても良い。導電性のある緻密なコーティング層によって電極の耐久性を大きく向上させる場合がある。コーティング層は特に限定されないが、金属材料、酸化物、窒化物などセラミックス材料、カーボンなどを使用できる。
チタンなどの金属材料を基材とする場合は、基材6表面に基材保護層として上記のコーティングを導入すること等、基材6の耐久性を改善できる。基材保護層については異なる材料から構成された多層構造または傾斜構造を形成させることで耐久性を更に高めることが可能である。基材にチタンを用いた場合は、基材保護層として厚みが10nm以上のイリジウムを含む酸化物層が特に有効である。基材保護層にはイリジウムとチタンとの緻密な複合酸化物層が形成されたと考えられる。
電解質膜4は、イオン伝導性が要求されることが多い。プロトン伝導性を有する電解質膜としては、例えばスルホン酸基を有するフッ素樹脂(例えば、ナフィオン(デュポン社製)、フレミオン(旭化成社製)、およびアシブレック(旭硝子社製)など)や、タングステン酸やリンタングステン酸などの無機物を使用することができる。
電解質膜4の厚さは、MEAの特性を考慮して適宜決定することができる。強度、耐溶解性およびMEAの出力特性の観点から、電解質膜の厚さは、好ましくは10μm以上200μm以下である。
本実施形態にかかる電極及びMEAの製造方法を簡単に説明する(図5)。
電極について、まず、基材の上に、スパッタリングまたは蒸着により触媒材料を含む材料と造孔剤材料をスパッタリングし、触媒層前駆体を作製する。次いで、造孔剤を除去し電極を得る。基本的に、空隙層を含む積層構造前駆体の場合は、触媒材料を含む材料と造孔剤材料をスパッタリングまたは蒸着によって順次下地の上に形成する。多孔体構造前駆体の場合は、触媒材料と造孔剤材料を同時にスパッタリングまたは蒸着によって下地の上に形成できる。分散度の高い触媒ユニットを有する触媒層は、触媒材料と造孔材料の割合、造孔材料の除去プロセスなどの調整によって作製できる。触媒の組成にもよるが、造孔材料の割合を増やすことで作製が容易になるケースが多い。また、分散度の低い触媒ユニットを有する触媒層の上に多孔質マスクを置いてスパッタリングまたは蒸着を行っても良い。多孔質マスクの空孔率と空孔サイズを調整して分散度の高い触媒ユニットを有する触媒層を作製できる。
酸化イリジウム触媒など酸化物から構成する触媒層を作製する場合は、スパッタリングまたは蒸着の際にチャンバーに酸素ガスを添加するなど反応スパッタ法を採用できる。酸素ガスの分圧、スパッタリングまたは蒸着時の電源パワー、基板温度などパラメータの最適化によって電極の耐久性と電気化学セルの特性を大きく向上させることが可能である。
また、造孔剤を除去後に熱処理など後処理を実施することによって触媒の活性と耐久性を向上させ、触媒層の構造を改良することが可能である。
チタンなど基材に本発明の触媒層を直接形成する場合は触媒層と基材との間に緻密な界面層の形成が可能であり、基材保護層として基材の劣化を大幅に抑制することが可能である。それによって本発明の電極は、優れた耐久性を齎した。
実施形態に係るMEAは、図1中の第1および第2の触媒層5,7の少なくとも一方として前述の触媒層を用いて、電解質膜と結合させることで作製する。本実施形態のMEAの触媒層と電解質膜との間の凹凸界面の形成は触媒層と電解質膜との接合プロセスが重要である。この接合プロセスによって電解質膜への触媒ユニットの食い込み量、触媒層全体の各触媒ユニットの食い込み分布、均等度を制御できる。
一般的に加熱・加圧して触媒層と電解質膜を接合させ、膜電極複合体を作製する。膜電極複合体の両極は共に触媒層の形成基材がガス拡散層の場合は触媒層5と触媒層7を含む電極で電解質膜4を挟んで図1に示すように積層し、接合することによりMEA1が得られる。触媒層の形成基材が転写用基板の場合は、加熱・加圧して転写用基板から触媒層を電解質膜に転写してから、触媒層の上にガス拡散層を配置して、対極と接合させてMEA1を作製することができる。
上記のような各部材の接合は、一般的には、ホットプレス機を使用して行われる。プレス温度は、電極2、3および電解質膜4において結着剤として使用される高分子電解質のガラス転移温度より高い温度であり、一般的には、100℃以上、300℃以下である。プレス圧とプレス時間は、電極2、3の硬さに依存するが、一般的には、圧力が5kg/cm以上200kg/cm以下であり、時間が5秒から20分である。触媒ユニットの食い込み量を精密に制御するため、ホットプレス機のパラメータ調整が重要である。本発明は最適な食い込み量、分布と均等度を得るため、触媒層付き基材の物性と平たん度に合わせてホットプレス機の加熱板の局所温度または局所圧力を制御している。
なお、触媒層と電解質膜との接合は以下のようなプロセスを採用しても良い。触媒層付き基材の上に電解質膜を形成し、その上に対極の触媒層を付ける。基材はガス拡散層であればそのままMEA1として使用できる。基板は転写用基板である場合はガス拡散層を入れ替えてからMEA1として使用する。この場合は触媒ユニットの食い込みは電解質膜形成用の溶媒の濃度、構成と形成温度、時間などによって制御できる。
上述したように、一実施形態にかかるMEA1は、最適な電極―電解質膜界面が用いられるので、高い水電解安定性を有する。
なお、セルの組立、例えばMEAと垂直方向の締め付け圧力などによって電解質膜への触媒ユニット食い込みを制御することも可能である。
本実施形態にかかる電気化学セルの構成と製造方法を、図6を用いて簡単に説明する。電気化学セル10は、実施形態のMEA1と、ガスケット11,12と、集電板13,14と、締め付け板15,16とを有する。MEA1は、ガスケット11,12で支持される。ガスケット11,12で支持されたMEA1は、集電板13,14で挟まれる。MEA1と締め付け板15の間に集電板13が存在する。MEA1と締め付け板16の間に集電板14が存在する。実施形態のMEA1の両側に、ガスケット11,12を介して、集電板13,14と締め付け板15,16を取り付け、適当な圧力で締め付けることによって電気化学セル10を作製する。
本実施形態にかかるスタックの構成と製造方法を、図7を用いて簡単に説明する。スタック20は、電気化学セル10を複数個、直列に接続した構成である。電気化学セルの両端に締め付け板21,22を取り付け、適当な圧力で締め付けることによってスタックを作製する。
(実施例)
以下、実施例および比較例を説明する。
表1、2には、実施例1〜7、比較例1〜3の電極の観測結果、およびPEMECセルの評価結果等をまとめる。
<電極の作製>
(PEMEC標準陰極作製)
基材として、厚みが1μm以上、50μm以下の炭素層を有するカーボンペーパーToray060(東レ社製)を用意した。この基材上に、Pt触媒のローディング密度0.1mg/cmになるように、スパッタリング法により空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットから構成する触媒層を形成し、多孔質触媒層を有する電極を得た。この電極は実施例1〜7、比較例1〜3の標準陰極として使用した。
(PEMEC陽極作製 実施例1〜7、比較例1〜3)
基材として、表面処理を行ったチタンメッシュ基材を用意した。
この基材上に、スパッタリング法により触媒層を有する電極を得た。スパッタリングにあたっては、触媒ユニットの形態、触媒層の厚さが上記表1、2に示す値となるように、プロセスを調整した。場合によって300〜500℃の温度において30分〜4時間の熱処理を行った。
作製した各種電極の空孔率、触媒ユニット平均高さと触媒ユニット同士の平均距離を以下のように評価した。まず、実施例1〜7および比較例1〜3で得られた電極から9スポットのサンプルを切り出した(図4)。次に9スポットのサンプルの中心からサンプルを切断し、SEM観察用サンプルを作製した。各電極の9サンプルについて、それぞれ3箇所でSEMにより観察した。2000〜30万倍のSEM像を得て、コントラストから、触媒と細孔とを区別した。本発明は触媒層厚みをSEM写真から計測した。具体的に、上記各箇所において得た2〜5万倍のSEM像を用い、図8に示されるように、各視野において3個所の触媒層厚みを計測し、上記各サンプルの計測値の平均値をこの電極の触媒層平均厚みとして算出した。こうして得た触媒層厚みを元に、貴金属触媒厚みは各電極の貴金属触媒量(g)とその密度から計算し、触媒層の空孔率を(1−貴金属触媒厚み/触媒層厚み)求めた。触媒密度は同触媒の文献値がない場合は理論的にまたは実験的に求めることが可能である。なお、実施例1〜7および比較例1〜3に用いた白金触媒と酸化イリジウム触媒の密度については文献値の21.45g/cmと11.66g/cmを採用した。
実施例1〜7、および比較例1、3の触媒層に対してSEM観察を行い、いずれも多孔体構造または空隙層を含む積層ユニットを含むことと、触媒層の空孔率が何れも80〜95vol%であると確認された。
触媒の結晶粒のサイズについてX線回折法(XRD)によって電極のXRDパターンを得て、当触媒に帰属する特徴ピークの半値幅を計測し、Scherrer法によって求めた。
実施例1〜7、および比較例1〜3の触媒結晶粒のサイズは何れも3〜20nmである。
電解質膜近傍の触媒ユニット平均高さと触媒ユニット同士の平均距離については、前文の記載と同様な方法によって求めた。各電極の全スポットの計測値の平均値をこの電極の平均値とし、表1、2にまとめた。なお、各電極の基材近傍の触媒ユニット同士は殆ど隙間がなく連結していることが確認された。
<PEMEC用MEAの作製>
上記PEMEC標準陰極と各種PEMEC陽極から4cm×4cmの正方形の切片を切り取った。標準陰極、電解質膜(ナフィオン117(デュポン社製))と各種陽極をそれぞれ合わせて、熱圧着して接合することにより各種PEMEC用MEAを得た(電極面積は約16cmである、熱圧着条件:140℃〜300℃、圧力10〜200kg/cmで、10秒〜5分間)。
<PEMEC単セルの作製>
得られたMEAを流路が設けられている二枚のセパレータの間にセッティングし、PEMEC単セル(電気化学セル)を作製した。
作製した単セルを用いて、PEMECセルの水電解特性及びその安定性を評価した。
得られた単セルに対して、セル温度を60℃に維持し、陽極に水を供給した。単セルに1.3〜2.5Vの電圧をかけ、MEAのコンディショニングとして約5時間において水電解を行った。その後、電流密度が2.5A/cmになるように単セルに電圧をかけ、1時間連続水電解した後の電圧(V)を水電解の電圧特性指標とし、各電極の電圧を表1、2にまとめる。
水電解安定性については、PEMECセルの10分の水電解(陽極に水を供給、電流密度2.5A/cm)と10分の休止(陽極への水供給を窒素供給に切り替える)を一サイクルとし、2000サイクルを行った。各サイクル開始時の電圧を開始電圧(V0)、各サイクル終了時後の電圧は終了電圧(Vf)とし、各サイクルの電圧変動率((V0―Vf)/V0)を計測し、当PEMECセルの安定性指標1として2000サイクルの平均電圧変動率を求めた。また、第一サイクル後の電圧(Vf1)と2000サイクル後の電圧(Vf2000)の差をΔVとし、当PEMECセルの安定性指標2として劣化率(=ΔV/Vf1)を求めた。以下の基準によって安定性を評価し、各電極の評価結果を表1、2にまとめた。

電圧変動率 <7% A;電圧変動率 8〜15% B; 電圧変動率 >15% C; 劣化率 <7% A; 劣化率 8〜15% B; 劣化率 >15% C;
表1、2に示されるように、実施例1〜7のMEAは、比較例1〜3と比較すると、水電解単セルに必要の電解電圧(V)が低く、水電解の効率が良いとわかる。安定性についても電圧変動率と劣化率の何れも比較例より低い。比較例1、2のMEAは安定性が劣っており、電解質膜近傍に高分散度の触媒ユニットが存在しない、または分散度が不十分と考えられる。比較例3のMEAは水電解特性の劣化が激しく、分散度が低い触媒ユニットを持つ触媒層によるものと考えられる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、電解質膜近傍の高分散度の触媒ユニットを有する電極により、少ない量の貴金属で高い安定性を有する電極、膜電極複合体を提供できる。同時に、この電極、膜電極複合体を採用した電気化学セルは、高い安定性と高い耐久性を発揮することができる。
明細書中、元素の一部は元素記号のみで表している。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。電気化学セルとして、PEMEC単セルを挙げたが、これ以外の電解セルでも、同様に本発明を適用できる。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…膜電極複合体; 2…第1の電極; 3…第2の電極; 4…電解質膜; 5…触媒層; 5A…第1触媒層 5B…第2触媒層 5C…中間層; 6…第1のガス拡散層; 7…触媒層; 8…第2のガス拡散層;

Claims (13)

  1. 基材と、
    前記基材上に設けられ、多孔質構造を持つ複数の触媒ユニットを含む触媒層と、を備え、
    前記触媒層が、前記基材の近傍で、第1分散度で触媒ユニットが分散している第1触媒層と、前記第1触媒層の上方に設けられ、第2分散度で触媒ユニットが分散している第2触媒層とを有し、前記第2分散度が前記第1分散度とは異なる、電極。
  2. 前記第1分散度よりも、前記第2分散度が高い、請求項1に記載の電極。
  3. 前記触媒層は、前記第1触媒層と第2触媒層の間に、中間層を有する、請求項1又は2に記載の電極。
  4. 前記触媒層は、触媒層の空孔率が50vol%以上、95vol%以下である請求項1ないし3のいずれか1に記載の電極。
  5. 前記第2触媒層の触媒ユニットは、触媒ユニット間の平均距離が30nm以上、2000nm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電極。
  6. 前記第1触媒層の触媒ユニットは、少なくとも酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化タンタル、酸化チタン、白金、酸化白金の一つが含まれる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電極。
  7. 前記第2触媒層の触媒ユニットの平均高さは、30nm以上、1000nm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電極。
  8. 前記第2触媒層の触媒ユニットのうち50vol%以上は、白金であり、前記第1触媒層の触媒ユニットのうち60vol%以上は、酸化イリジウムである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電極。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電極と電解質膜を含む膜電極複合体。
  10. 前記第2触媒層は、前記第1触媒層と前記電解質膜の間に存在する請求項9に記載の膜電極複合体。
  11. 前記電解質膜は、前記第2触媒層と物理的に接している請求項9又は10に記載の膜電極複合体。
  12. 請求項9ないし11のいずれか1項に記載の膜電極複合体を含む電気化学セル。
  13. 請求項12に記載の電気化学セルを含むスタック。
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