以下、図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。但し、本発明の適用は以下で説明する実施形態に限定されない。実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
本明細書では、シュリンクラベルが容器等の被装着物に装着された状態で、被装着物側を向くシュリンクラベルの面を「裏面」、裏面と反対側の面を「表面」とし、シュリンクラベルの各構成要素についても「表裏」の用語を使用して相対的な位置関係を説明する。また、シュリンクラベルを筒状に成形してなる筒状シュリンクラベルでは、シュリンクラベルの裏面が筒の内側に向く内面となる。また、本明細書において「端縁」とは、印刷領域を例に挙げて説明すると、印刷領域の端に位置する部分を意味し、「端部」とは印刷領域の端縁及びその近傍部分を意味する。
[シュリンクラベル]
図1及び図2に、実施形態の一例であるシュリンクラベル10を示す。
図1及び図2に示すように、シュリンクラベル10は、熱収縮性のラベル基材11と、ラベル基材11上に形成された有版印刷層12と、ラベル基材11上に形成された無版印刷層13とを備え、有版印刷層12の一部と無版印刷層13の一部とが互いに重なった状態で形成されている。シュリンクラベル10は、有版印刷層12と無版印刷層13との間において、当該各印刷層のうち裏側の印刷層に対応する印刷領域の端縁に重なって形成された隠蔽印刷層14を備える。詳しくは後述するが、有版印刷層12は有版印刷法により形成された印刷層であり、無版印刷層13は無版印刷法により形成された印刷層である。いずれの印刷層も、商品名や絵柄、製造者名、ロゴマーク、商品説明等を表示するための印刷層である。
本実施形態では、無版印刷層13の一部が有版印刷層12の裏側に重なって形成され、隠蔽印刷層14は、有版印刷層12と無版印刷層13との間において、無版印刷層13が形成された無版印刷領域Z13の端縁E13に重なって形成されている。また、有版印刷層12、無版印刷層13、及び隠蔽印刷層14のいずれも、ラベル基材11の一方の面上(裏面上)に形成されている。ラベル基材11は、好ましくは無色透明であるが、有版印刷層12及び無版印刷層13がシュリンクラベル10の表側から視認可能であれば着色されていてもよい。
ここで、無版印刷領域Z13とは、ラベル基材11上において無版印刷層13が形成された領域を意味する。同様に、後述の有版印刷領域Z12とは、ラベル基材11上において有版印刷層12が形成された領域を意味し、後述の隠蔽印刷領域Z14とは、ラベル基材11上において隠蔽印刷層14が形成された領域を意味する。
シュリンクラベル10は、例えば平面視略矩形形状を有する。シュリンクラベル10では、ラベル基材11がラベルの形状を決定し、上記各印刷層の支持体として機能する。ラベル基材11は、熱収縮性を有するシュリンク基材であって、例えば長辺方向と短辺方向の熱収縮率は異なり、長辺方向が主収縮方向となる。シュリンクラベル10(ラベル基材11)の形状は、平面視略矩形形状に限定されず、楕円形状、円形状、矩形形状以外の多角形状、端部が波形等に形成された形状などであってもよい。本明細書において平面視とは、シュリンクラベル10(ラベル基材11)の表裏面に対して垂直に見た状態を意味する。
シュリンクラベル10では、ラベル基材11の端部と後述する窓領域Z1とを除くラベル基材11の裏面上に有版印刷層12が形成されている。ラベル基材11の一方の短辺に沿った端部には、有版印刷層12が形成されないラベル基材11の裏面が露出した露出領域が他の端部の露出領域よりも幅広に設けられている。以下、当該幅広の露出領域を一方側露出領域18とする。シュリンクラベル10は、例えば長辺方向を筒周方向として筒状シュリンクラベル20に成形され、一方側露出領域18に接合部21が形成される(後述の図7,8参照)。有版印刷層12は、接合部21の接合強度向上等の観点から少なくとも接合部21となる部分には形成されないことが好ましい。但し、粘着テープを用いて筒状シュリンクラベル20の筒周方向端部同士を接合する場合など、接合形態によってはラベル基材11の端縁22c(後述の図8参照)まで有版印刷層12等を形成してもよい。
ラベル基材11上には、有版印刷領域Z12によって周りが囲まれた領域である窓領域Z1が設けられている。窓領域Z1とは、有版印刷領域Z12によって周りが囲まれ、且つ有版印刷層12が形成されていない領域である。なお、窓領域Z1の端縁となるのは有版印刷領域Z12の端縁E12である。窓領域Z1内には、無版印刷層13が形成されており、隠蔽印刷層14は形成されていないことが好ましい。無版印刷層13が形成され、隠蔽印刷層14が形成されていない窓領域Z1は、無版印刷層13により表示される文字や絵柄が有版印刷層12及び隠蔽印刷層14に隠れることなくシュリンクラベル10の表側から見える領域(以下、「無版印刷層表示領域」という場合がある)となる(図1のドット表示した部分)。
窓領域Z1の端縁となる有版印刷領域Z12の端縁E12は、環状に形成されている。窓領域Z1は、例えば平面視略円形状を有し、ラベル基材11の長辺方向中央部において一方の長辺寄りに形成されている。窓領域Z1の形状、配置、及び寸法は、図1に示すものに限定されず、例えば窓領域Z1の形状は平面視楕円形状、多角形状、端縁E12が波形等に形成された形状などであってもよい。また、窓領域Z1はラベル基材11上の任意の位置に形成できる。窓領域Z1は1つに限定されず、複数設けられていてもよい。
無版印刷層13は、ラベル基材11の窓領域Z1に形成されると共に、窓領域Z1の周囲に位置する有版印刷層12の裏側に重なって形成されている。図1に示す例では、無版印刷層13が、窓領域Z1内の全域と、窓領域Z1の全周囲に位置する有版印刷層12の裏側に重なって形成されている。窓領域Z1内に形成された無版印刷層13、及び窓領域Z1の周囲に位置する有版印刷層12の裏側に重なって形成された無版印刷層13は、連続している。無版印刷層13は、有版印刷層12の裏側において所定幅を有する環状に設けられており、無版印刷領域Z13の全ての端縁E13は有版印刷層12(有版印刷領域Z12)の裏側に位置する。無版印刷領域Z13は、端縁E13が有版印刷領域Z12の端縁E12と交差することなく、有版印刷領域Z12の裏側に重なっている。そして、この端縁E13は、後述するように隠蔽印刷層14によって隠蔽されている。このため、無版印刷領域Z13の全ての端縁E13を高度に隠蔽することができる。
無版印刷領域Z13は、例えば窓領域Z1よりも直径が大きな平面視略円形状を有している。無版印刷領域Z13の形状は、窓領域Z1の形状に対応して適宜変更可能であり、平面視楕円形状、多角形状、端縁E13が波形等に形成された形状などであってもよい。なお、無版印刷領域Z13の形状は窓領域Z1の形状と異なっていてもよいが、上述の通り端縁E13は窓領域Z1内に存在せず有版印刷領域Z12の裏側に位置することが好ましい。
本実施形態では、有版印刷領域Z12によって周りが囲まれ、且つ有版印刷層12が形成されていない窓領域Z1のみにおいて、無版印刷層13が有版印刷層12を介することなくラベル基材11の裏面上に形成されている。窓領域Z1内には、隠蔽印刷層14も形成されておらず、本実施形態では、窓領域Z1のみが無版印刷層表示領域となる。なお、窓領域Z1以外に無版印刷層表示領域を設けてもよく、例えばラベル基材11の端部近傍等の有版印刷領域によって周りが囲まれていない領域に無版印刷層表示領域を設けてもよい。
隠蔽印刷層14は、有版印刷層12と無版印刷層13の間において、無版印刷層13が形成された無版印刷領域Z13の端縁E13に重なって形成されている。つまり、無版印刷領域Z13の端縁E13の表側には、有版印刷層12と隠蔽印刷層14が形成されている。シュリンクラベル10は、無版印刷領域Z13の端縁E13に対応する部分において、表側(ラベル基材11側)から有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び無版印刷層13が順に積層形成された層構造を有する。無版印刷領域Z13と、隠蔽印刷領域Z14との重なり幅は、無版印刷層13と隠蔽印刷層14の位置ずれ(印刷ずれ)を考慮して決定される。例えば、シュリンクラベル10の製造過程で許容限度の印刷ずれが発生した場合においても、無版印刷領域Z13の端縁E13が隠蔽印刷領域Z14と重なるように重なり幅が決定される。
本実施形態では、上述の通り無版印刷領域Z13が窓領域Z1及びその周囲のみに設けられ、無版印刷領域Z13の全ての端縁E13が隠蔽印刷層14を介して有版印刷領域Z12に重なっている。無版印刷領域Z13の端縁E13を有版印刷領域Z12の裏側に重ねることで、無版印刷領域Z13の端縁E13は目立ち難くなるが、端縁E13を十分に隠蔽する構成とすることは難しい。シュリンクラベル10では、デザイン上の制約がない有版印刷層12の裏側に設けられた隠蔽印刷層14を無版印刷領域Z13の端縁の表側に形成することにより、端縁E13を高度に隠蔽することができる。
隠蔽印刷層14は、例えば有版印刷領域Z12の裏側において当該領域の略全域に重なって形成されている。図1に示す例では、有版印刷領域Z12の端縁E12の近傍を除く有版印刷領域Z12の略全域に重なって隠蔽印刷層14が形成されている。隠蔽印刷層14は、窓領域Z1の周囲において、有版印刷領域Z12の端縁E12から離れた位置に形成され、端縁E12から所定幅の環状領域には隠蔽印刷層14が形成されていない。窓領域Z1の周囲のうち端縁E12から所定幅離れた位置ではラベル基材11側から有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び無版印刷層13が順に重なっており、窓領域Z1を囲む隠蔽印刷領域Z14の端縁E14は、窓領域Z1の端縁である有版印刷領域Z12の端縁E12よりも無版印刷領域Z13の端縁E13側に位置しており、端縁E12と端縁E13の間に位置する。こうすることで端縁E12と端縁E13の境界が目立つことを防止でき、表面側から見たデザインを美麗にすることが可能となる。端縁E12と端縁E14との間隔は、有版印刷層12と隠蔽印刷層14の印刷ずれを考慮して決定される。例えば、シュリンクラベル10の製造過程で許容限度の印刷ずれが発生したときにおいても、隠蔽印刷領域Z14が窓領域Z1内に食み出さないように端縁E12と端縁E14との間隔が決定される。また、隠蔽印刷層14は、無版印刷領域Z13の端縁E13だけでなく、端縁E13の重なり領域側と、重ならない領域側とに跨って存在している。
シュリンクラベル10は、無版印刷層13に接して、無版印刷層13とラベル基材11との間に形成されたアンカーコート層15を備えることが好適である。アンカーコート層15は、例えばラベル基材11、有版印刷層12及び隠蔽印刷層14と無版印刷層13とを密着させる機能を有し、少なくとも無版印刷層13とラベル基材11との間に形成される。アンカーコート層15は、好ましくは無色透明であるが、無版印刷層13がシュリンクラベル10の表側から視認可能であれば着色されていてもよい。
アンカーコート層15は、例えば印刷ずれを考慮して、無版印刷領域Z13の全体を含み、且つ無版印刷領域Z13よりも大きな領域(図1では略円形状)に形成されることが好適である。図1及び図2の実施形態では、アンカーコート層15は、無版印刷層13とラベル基材11との間(窓領域Z1の全域)、無版印刷層13と有版印刷層12との間(端縁E12と端縁E14とで囲われる環状領域)、及び無版印刷層13と隠蔽印刷層14との間(端縁E14と端縁E13とで囲われる環状領域)にも介在している。換言すると、無版印刷層13はアンカーコート層15上から食み出すことなく、アンカーコート層15の裏側に重なって形成されている。なお、ラベル基材11等と無版印刷層13との密着性が良好である場合には、アンカーコート層15を設けない形態としてもよい。
シュリンクラベル10は、無版印刷層13を覆って、無版印刷層13のラベル基材11と反対側に形成された保護層16を備えることが好適である。無版印刷層13の一方側(表側)にはラベル基材11が存在するため、一方側からの無版印刷層13の損傷は抑制されるが、無版印刷層13のラベル基材11と反対側(他方側)についても保護層16を設けて無版印刷層13の損傷を抑制できるからである。保護層16は、例えば無色透明であるが、白色顔料等の添加により着色されていてもよい。図1の形態では、保護層16が白色顔料を含み、ラベルを表側から見たときに、有版印刷層12及び無版印刷層13のデザインが透けて見えることを防止する(隠蔽機能を有する)。なお、保護層16も無版印刷層13と同様に無版印刷法により形成してもよいが、保護性に優れる保護層が容易に形成できる理由から、有版印刷法により形成されることが好ましい。即ち、保護層16は有版保護印刷層であることが好ましい。
保護層16は、無版印刷層13上だけでなく、有版印刷層12及び隠蔽印刷層14上にも形成されることが好ましい。保護層16は、ラベル基材11の端部に形成されてもよいが、筒状シュリンクラベル20の接合部21が形成される部分には形成されないことが好ましい。図1の形態では、保護層16が無版印刷領域Z13、有版印刷領域Z12、及び隠蔽印刷領域Z14の全体を覆い、ラベルの最裏層として形成されている。最裏面に形成された保護層16はシュリンクラベル10の裏面の滑り性、耐摩擦性等を向上させるため、例えば滑剤等を含有していていることが好ましい。
図2に示す例では、無版印刷領域Z13の端縁と重なる位置、即ち窓領域Z1の周囲において、表側(ラベル基材11側)から有版印刷層12、隠蔽印刷層14、アンカーコート層15、無版印刷層13、及び保護層16が順に積層形成されている。窓領域Z1内においては、表側からアンカーコート層15、無版印刷層13、及び保護層16が積層形成されている。また、窓領域Z1から離れた部分には、表側から有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び保護層16が積層形成されている。
図3〜図6は、実施形態の他の一例であるシュリンクラベル10x,10y,10zを示す断面図である。図3及び図4では、各層の積層配置がシュリンクラベル10と異なるシュリンクラベル10x,10yを示している。図5では、各層の積層配置はシュリンクラベル10と同様であるが、各印刷層により形成される印刷領域の形状、配置等がシュリンクラベル10と異なるシュリンクラベル10zを示している。図6は図5中のBB線断面図である。
図3に例示するシュリンクラベル10xは、ラベル基材11の表面上に有版印刷層12、無版印刷層13、隠蔽印刷層14、アンカーコート層15、及び保護層16が形成されている点で、シュリンクラベル10と異なる。シュリンクラベル10xでは、シュリンクラベル10の場合と同様に、無版印刷層13等を覆って保護層16が形成されているが、保護層16はラベルの最表面に形成されている。なお、ラベル基材11の最裏面に滑り性を付与するための層(例えば、保護層16)を形成してもよい。アンカーコート層15はラベル基材11と無版印刷層13の間に形成されるため、シュリンクラベル10xでは、無版印刷層13の裏側にアンカーコート層15が形成されている。
図4に例示するシュリンクラベル10yは、ラベル基材11の表面上に有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び保護層16が、ラベル基材11の裏面上に無版印刷層13、アンカーコート層15、及び保護層16がそれぞれ形成されている点で、シュリンクラベル10と異なる。シュリンクラベル10yは、シュリンクラベル10xにおいて無版印刷層13及びアンカーコート層15をラベル基材11の裏側に移動させた構成と言うことができる。アンカーコート層15はラベル基材11と無版印刷層13の間に形成されるため、シュリンクラベル10yでは、シュリンクラベル10の場合と同様に無版印刷層13の表側にアンカーコート層15が形成される。
シュリンクラベル10yは、無版印刷層13を保護する保護層16と、有版印刷層12を保護する保護層16とを備えることが好ましい。図4に示す例では、シュリンクラベル10yの最表面と最裏面にそれぞれ保護層16が形成されている。
シュリンクラベル10x,10yにおいても、有版印刷層12が形成された有版印刷領域に重なって当該領域の裏側に無版印刷層13の一部が形成されている。そして、有版印刷層12と無版印刷層13の間に介在し、無版印刷層13が形成された無版印刷領域の端縁に重なって隠蔽印刷層14が形成されている。シュリンクラベル10yの場合は、隠蔽印刷層14と無版印刷層13との間にラベル基材11が介在している。
シュリンクラベル10x,10yにおいても、有版印刷領域Z12によって周りが囲まれた領域である窓領域Z1が設けられている。窓領域Z1内には、無版印刷層13が形成されており、隠蔽印刷層14は形成されていない。そして、隠蔽印刷層14は、有版印刷層12と無版印刷層13との間において有版印刷領域の端縁から離れた位置に形成される。シュリンクラベル10x,10yは、例えばシュリンクラベル10と同様の表示形態を有する。即ち、図3及び図4に例示する層構造においても、ラベルを表側から見たときには、シュリンクラベル10の場合と同様の文字や絵柄を表示することができる。
図5に例示するシュリンクラベル10zは、無版印刷領域Z13が有版印刷領域Z12よりも大面積に設けられている点で、シュリンクラベル10と異なる。また、シュリンクラベル10zでは、無版印刷領域Z13が有版印刷領域Z12の周りを囲み、無版印刷領域Z13の端縁E13が有版印刷領域Z12の裏側に重なって設けられている部分を有する。周りが無版印刷領域Z13によって囲まれた有版印刷領域Z12である領域Z2(図5のドット表示した部分)には、有版印刷領域Z12の表側に無版印刷層13は形成されておらず、領域Z2は、有版印刷層12により表示される文字や絵柄がシュリンクラベル10の表側から見える領域(以下、「有版印刷層表示領域」という場合がある)の1つである。隠蔽印刷層14は、例えば領域Z2における有版印刷領域Z12の端縁E12から所定幅の環状領域には形成されておらず、当該環状領域以外の有版印刷領域Z12の全体に重なって形成されている。隠蔽印刷層14は、シュリンクラベル10の場合と同様に、有版印刷層12と無版印刷層13の間において、無版印刷領域Z13の端縁E13に重なって形成されている。領域Z2は、ラベル基材11の長手方向に長く延びた平面視略矩形形状を有し、ラベル基材11の長辺方向中央部において一方の長辺寄りに形成されている。領域Z2の形状、配置、寸法、及び個数は、窓領域Z1と同様に特に限定されない。
図5及び図6に示すように、有版印刷層12は、領域Z2及び一方側露出領域18に隣接する領域Z3に形成されている。無版印刷層13は、領域Z2,Z3の端部以外の領域とラベル基材11の端部とを除くラベル基材11の裏面上に形成されている。無版印刷層13は、領域Z2,Z3の端部に位置する有版印刷層12の裏側に重なって形成されており(有版印刷層12と無版印刷層13との重なり領域が形成され)、端縁E13が有版印刷領域Z12の端縁E12と交差することなく有版印刷領域Z12の裏側に重なり、また隠蔽印刷領域Z14の裏側に重なり隠蔽印刷層14によって隠蔽されている。領域Z2の裏側に位置する無版印刷領域Z13の端縁E13は、環状に形成されており、領域Z2の端部の全長に亘って有版印刷領域Z12の裏側に位置すると共に、隠蔽印刷層14によって隠蔽されている。隠蔽印刷層14は、端縁E13だけでなく、端縁E13の重なり領域側と、重なっていない領域側(有版印刷層12が形成されているが無版印刷層13が形成されていない領域)とに広がって設けられている。なお、領域Z2,Z3に形成された有版印刷層12は、連続している。有版印刷層12は、領域Z2において無版印刷層13の表側において所定幅を有する環状に形成されている。領域Z3は、ラベル基材11の幅方向に長く延びた平面視略矩形形状の一方側露出領域18に隣接した領域であって、領域Z2と同様に、有版印刷領域Z12の表側に無版印刷層13が形成されていない有版印刷層表示領域である。無版印刷層13は、領域Z3における有版印刷領域Z12のうち一方側露出領域18と反対側の幅方向端部の裏側に重なって形成されている。そして、領域Z3の裏側に位置する無版印刷領域Z13の端縁E13は、有版印刷層12と無版印刷層13の間に介在する隠蔽印刷層14によって隠蔽されている。
以下、シュリンクラベル10(シュリンクラベル10x,10y)の各構成要素について更に詳説する。
[ラベル基材]
ラベル基材11は、熱収縮性を有するシュリンク基材であって、シュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)から構成されることが好ましく、無色透明なシュリンクフィルムがより好ましい。ラベル基材11は、有版印刷層12や無版印刷層13の支持体となり、シュリンクラベル10の強度や剛性、シュリンク特性(収縮特性)に主たる影響を及ぼす。ラベル基材11を構成するシュリンクフィルムとしては、特に限定されず、従来公知のシュリンクフィルムを用いることができる。
上記シュリンクフィルムを構成する樹脂の種類は、要求物性、用途、コストなどに応じて、適宜選択することが可能であり、特に限定されないが、例えばポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましい。これらの樹脂は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記シュリンクフィルムは、単層フィルムであってもよく、同種又は異種の樹脂を積層した積層フィルムであってもよい。シュリンクフィルムの好適な一例としては、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系樹脂を主成分とするポリスチレン系フィルム、ポリエステル系樹脂を外層とし、ポリオレフィン系樹脂又はポリスチレン系樹脂を内層とした異種積層フィルムや、ポリスチレン系樹脂を外層とし、ポリオレフィン系樹脂を内層とした異種積層フィルムが挙げられる。
上記ポリエステル系フィルムに用いられるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂やポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等を用いることができる。中でも、PET系樹脂が好ましい。
上記PET系樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いたポリエチレンテレフタレート(PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(CHDM共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ネオペンチルグリコール(NPG)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(NPG共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ジエチレングリコール等のエチレングリコール以外のジオール成分を共重合成分として用いた共重合ポリエステルなどのジオール変性PET、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分を共重合成分として用いたジカルボン酸変性PET、ジオール成分とジカルボン酸成分の両方が共重合成分を含むジオール・ジカルボン酸変性PETなどが挙げられる。
上記ポリオレフィン系フィルムに用いられるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒系LLDPE(mLLDPE)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、環状オレフィン樹脂などが挙げられる。特に、ポリオレフィン系フィルムとしては、環状オフィン樹脂を外層とするものが好ましい。例えば、環状オレフィン樹脂を外層とし、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を内層(中心層)とするものが好ましい。
上記ポリスチレン系フィルムに用いられるポリスチレン系樹脂としては、構成モノマーとして、例えばスチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体を1種又は2種以上含む樹脂が挙げられる。好適な例としては、汎用ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレン共重合体(SBIS)、スチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
上記シュリンクフィルムは、良好なシュリンク特性を発揮する観点から、少なくとも一方向に配向したフィルム(例えば、一方向に配向したフィルムや、一方向及び一方向と直交する方向に配向したフィルム)であることが好ましい。ラベル基材11は、シュリンクフィルムの配向方向に主に熱収縮する。シュリンクフィルムが積層フィルムの場合には、積層フィルム中の少なくとも1層のフィルム層が配向していることが好ましく、全てのフィルム層が少なくとも一方向に配向していることがより好ましい。シュリンクフィルムとしては、一方向に配向した一軸配向フィルム(一方向に主に延伸され、当該一方向と直交する方向にわずかに延伸された、実質的に一方向に延伸されたフィルムを含む)、又は一方向及び一方向と直交する方向に配向した二軸配向フィルムが用いられることが好ましい。
上記配向フィルムは、例えばテンター方式、ロール方式、チューブ方式等によって、未延伸フィルムを少なくとも一方向に延伸することで得られる。例えば、一軸配向フィルムは未延伸フィルムを一方向に延伸することで得られ、二軸配向フィルムは未延伸フィルムを一方向及び当該一方向と直交する方向に延伸することで得られる。一軸配向フィルムは一軸延伸フィルムとも呼ばれ、二軸配向フィルムは二軸延伸フィルムとも呼ばれる。
上記シュリンクフィルムの主収縮方向の熱収縮率は、90℃の熱水に10秒浸漬する条件において、例えば30〜90%が好ましく、より好ましくは40〜85%、特に好ましくは45〜80%である。上記シュリンクフィルムの主収縮方向と直交する方向の熱収縮率(90℃の熱水に10秒浸漬)は、特に限定されないが、−3〜15%が好ましく、−1~10%がより好ましい。なお、シュリンクフィルムの「主収縮方向」とは最も熱収縮率が大きい方向であり、一般的には主延伸方向が主収縮方向となる。
上記シュリンクフィルムの厚みは、特に限定されないが、好ましくは10μm〜100μm、より好ましくは15μm〜80μm、特に好ましくは20μm〜60μmである。
上記シュリンクフィルムは、溶融製膜又は溶液製膜などの慣用の方法によって作製することができる。積層構成のシュリンクフィルムを作製する場合、積層の方法には、例えば共押出法、ドライラミネート法などを用いることができる。シュリンクフィルムには、市販品を用いることも可能である。例えば、東洋紡績(株)製「スペースクリーン S7042」、「SV−808」、三菱樹脂(株)製「LX−10S」、「LX−18S」、「LX−61S」(以上、ポリエステル系フィルム);シーアイ化成(株)製「ボンセット」、グンゼ(株)製「GMLS」(以上、ポリスチレン系フィルム);グンゼ(株)製「FL」(ポリオレフィン系フィルム);三菱樹脂(株)製「エコロージュ」(ポリ乳酸系フィルム);三菱樹脂(株)製「DL」、グンゼ(株)製「HGS」(以上、表層がポリエステル系樹脂、中心層がポリスチレン系樹脂の積層フィルム)等が挙げられる。
ラベル基材11は、必要に応じて、コロナ放電処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。また、ラベル基材11にはシュリンク特性等を損なわない範囲で上記各有版印刷層、無版印刷層13、アンカーコート層15、及び保護層16以外の層を設けてもよい。特にコロナ放電処理は、濡れ性(濡れ張力)を向上させ、印刷特性等を改善させることが可能となる。このため、例えばラベル基材11の印刷特性が低い場合にラベル基材11の裏面側に当該処理を施すことが好適である。また、アンカーコート層15と無版印刷層13との密着性を向上させるために、例えばアンカーコート層15に重ねて無版印刷層13を形成する前にアンカーコート層15の裏面側に当該処理を行い無版印刷層13の印刷を行うことが好適である。
[有版印刷層]
有版印刷層12は、商品名や絵柄、製造者名、ロゴマーク、商品説明等を表示するための印刷層であって、任意の印刷パターン(有版印刷パターン)で形成される。印刷パターンとは、文字や絵柄等のデザイン、及びデザインの配置を意味する。例えば、有版印刷層12の印刷パターンが異なる場合とは、デザインが異なる場合はもとより、デザインが同じで配置が異なる場合も含まれる。有版印刷層12は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、スクリーン印刷法などの従来公知の有版印刷法により形成される。有版印刷法は、印刷層の文字や絵柄等に応じて作製された版を用いる印刷法である。例えば、グラビア印刷法には凹版が、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法には凸版が、スクリーン印刷法には孔版がそれぞれ用いられる。有版印刷層12の形成に適用される印刷法は、有版印刷法であれば特に限定されないが、好ましくはグラビア印刷法又はフレキソ印刷法であり、特に好ましくはグラビア印刷法である。グラビア印刷法は、綺麗な印刷層を短時間に形成できる優れた印刷法であり、一般的に無版印刷法よりも高速の印刷が可能である。
有版印刷層12は、例えば色材及びバインダ樹脂を含み、また各種添加剤を含んでいてもよい。有版印刷層12は、従来公知の油性インキ(溶剤系インキ)又は水性インキを用いて形成できる。これらインキは、例えば色材と、バインダ樹脂と、任意の添加剤と、溶媒又は分散媒(以下、溶媒等という)とを含有し、バインダ樹脂や色材が溶媒等に溶解又は分散したものである。溶媒等は、バインダ樹脂等を溶解又は分散させることができれば特に限定されないが、水性インキの場合は水を主成分とする。
有版印刷層12は、一般的に有彩色の色材を含む層である。有版印刷層12の色(色相、明度、彩度)は、文字や絵柄等のデザインに応じて任意に設定でき、例えば赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫、金属色(銀色、金色等)、パール色等が挙げられる。有版印刷層12には、白色、黒色、灰色の無彩色の色材が含まれていてもよいが、有版印刷層12は隠蔽印刷層14と異なる色、例えば白色以外の色で形成されていることが好ましい。有版印刷層12は、少なくとも1つの色材を含む1つの印刷層によって、又は異なる色材を含む2以上の印刷層を組み合わせることによって文字や絵柄等を形成している。有版印刷層12は、金属色を示す場合は金属顔料を含み、パール色を示す場合はパール顔料を含む。なお、金属色及びパール色は無版印刷法により形成することは困難である。有版印刷層12は、これらの色材を含む印刷層を少なくとも1つ含むことが好ましい。
有版印刷層12は、例えばラベル基材11上に所望の印刷インキがドット状に多数付着して形成されており、当該ドットの大きさとラベル基材11の単位面積当たりのドット数によって有版印刷層12の色(特に濃淡等)が表現される。印刷インキのドット密度、寸法等は、版の凹凸パターンを変更することにより調整可能である。有版印刷層12には版の凹凸パターンの跡が残っている。
有版印刷層12に含まれる色材は、文字や絵柄等のデザインに応じて所望の色を表現できるものであれば特に限定されず、従来公知の染料や顔料を用いることが可能である。顔料としては、無機顔料、有機顔料のいずれを用いてもよい。色材の具体例としては、銅フタロシアニンブルー、ウルトラマリン青、プロシア青等の青顔料、アゾレーキ系顔料、黄鉛、亜鉛黄等の黄顔料、縮合アゾ系顔料、鉛丹等の赤顔料などが挙げられる。また、有彩色を表現できる染料や顔料に加えて、光沢調整などの目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料を使用してもよい。顔料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。顔料の含有量は、顔料の種類や目的の色の濃度等に応じて設定される。
有版印刷層12に含まれるバインダ樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂などから選択される1種又は2種以上の混合物が例示できる。中でも、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂が好ましい。
有版印刷層12は、必要に応じて、可塑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色別れ防止剤、香料、消臭剤、消泡剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでいてもよい(無版印刷層13、隠蔽印刷層14、アンカーコート層15、保護層16についても同様)。
有版印刷層12の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜5μmである。なお、無版印刷層13の端縁E13を隠蔽するために、例えば有版印刷層12を厚く形成することは、デザイン上の制約等から容易ではない。
[無版印刷層]
無版印刷層13は、有版印刷層12と同様に、商品名や絵柄、製造者名、ロゴマーク、商品説明等を表示するための印刷層である。一方、無版印刷層13は、電子写真方式、インクジェット方式等の版を必要としない無版印刷法により形成される。電子写真方式、インクジェット方式等の無版印刷法によれば、製版にかかる時間やコストをカットすることができる。無版印刷法は、デジタル印刷法又はオンデマンド印刷法とも呼ばれ、グラビア印刷法のような高速印刷は難しいが、製版に時間やコストをかけることが難しい少数印刷(多品種小ロット品の印刷)に好適な方法である。詳しくは後述するが、連続生産される複数のシュリンクラベル10において、例えば無版印刷層13は複数の異なる印刷パターン(無版印刷パターン)で形成され、好ましくは、無版印刷層13は複数の異なる印刷パターン(無版印刷パターン)で形成され、且つ有版印刷層12は同じ印刷パターンで形成される。
無版印刷層13は、例えば色材等を含有するトナーを含む。トナーは、一般的に有彩色の色材を含有する。トナーには、白色、黒色、灰色の無彩色の色材が含まれていてもよい。無版印刷層13は、少なくとも1種類のトナーを含む1つの印刷層によって、又は異なるトナーを含む2以上の印刷層を組み合わせることによって文字や絵柄等を形成している。トナーを用いた電子写真方式により形成された無版印刷層13を光学顕微鏡等で観察すると、印刷層を構成するトナーの粒子に起因したドットが確認できる。インクジェット方式で形成された無版印刷層13の場合は、インクジェット滴に起因したドットが確認できる。これらのドットは、一般的に有版印刷層12の版の凹凸に起因したドットよりも小さい。無版印刷層13は、無版印刷法により形成される印刷層であればよいが、生産性、意匠性等の観点から、好ましくはトナーを用いた電子写真方式により形成される。
電子写真方式による無版印刷層13の形成は、例えば感光体ドラムに電荷を与えた後、トナーを載せたくない部分をレーザー等で描画して電荷を除去し、所望のパターンでトナーを感光体ドラム上に付着させ、ブランケットを介して該トナーをラベル基材11上に転写することで行われる。無版印刷層13が複数の色を有する場合は、上記工程を1色ずつラベル基材11に転写して表示を形成してもよいが、上記プロセスにより各色のトナーをブランケット上に1色ずつ転写して乾燥させた後、全ての色が載ったブランケットをラベル基材11に押し付けて転写し表示を形成してもよい。
無版印刷層13を構成するトナーは、バインダ樹脂、ワックス、荷電制御剤(CCA)、所望の色材等を含有する粒子径が1〜15μm程度の粒子である。バインダー樹脂は、ワックス、CCA、顔料、添加剤等を結着する役割を担うものである。バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂(スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合系樹脂、スチレン−共役ジエン共重合体も含まれるものとする)、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、イソシアネート系樹脂、ロジン樹脂、ポリスチレン−ポリエステルグラフト共重合体などが挙げられ、耐ブロッキング性、低温定着性に優れる樹脂が好ましい。
CCAは、帯電性を調整する機能を有し、クロム錯体等の負帯電型CCA、ニグロシン等の正帯電型CCAが例示できる。ワックスは、低温定着性や定着時における離型性をトナーに付与する機能を有し、天然ワックス、石油ワックス、合成ワックスのいずれを用いることもできる。色材は、従来公知の染料や顔料を用いることが可能であり、例えば有版印刷層12に適用される顔料と同様のものを用いることができる。
上記添加剤としては、例えば表面処理剤、架橋剤、離型剤、流動性向上剤、金属酸化物(例えば、シリカ、アルミナ、チタニア等)の微粒子の表面をシランカップリング剤で処理して疎水化したものなどが挙げられる。
上記トナーには、一般的な複写機に使用されるものを使用することもできるが、印刷機に応じてそれに適合する専用品を使用することが好適である。トナーとしては、粉体トナーを使用してもよいし、液体トナーを使用してもよい。汎用性等の観点からは、粉体トナーが好ましい。他方、一般的に液体トナーは粉体トナーに比べて粒子径が小さい。そのため、液体トナーを用いた場合は、無版印刷層13の厚みを薄くすることができ、シュリンク加工の際に無版印刷層13の割れが発生し難くなる。
粉体トナーである場合、トナーの平均粒子径(体積平均粒子径)は、特に限定されないが3〜8μm程度が好ましい。また、液体トナーである場合、トナーの平均粒子径(体積平均粒子径)は、特に限定されないが、1〜5μm程度が好ましい。
無版印刷層13の厚みは、特に限定されないが、0.1μm〜20μmが好ましく、0.2μm〜15μmがより好ましい。
[隠蔽印刷層]
隠蔽印刷層14は、上述の通り文字や絵柄を表示するための印刷層ではなく、有版印刷層12と無版印刷層13との間に介在して、当該各印刷層のうち裏側の印刷層に対応する印刷領域の端縁を隠蔽するための印刷層である。上述の実施形態では、隠蔽印刷層14が無版印刷層13の端縁E13を隠蔽している。隠蔽印刷層14は、無版印刷法により形成されてもよいが、隠蔽性等の観点から、有版印刷層12と同様に、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、スクリーン印刷法などの従来公知の有版印刷法により形成されることが好ましい。即ち、隠蔽印刷層14は、有版隠蔽印刷層であることが好ましい。中でも、グラビア印刷法又はフレキソ印刷法により形成されることが好ましく、グラビア印刷法により形成されることが特に好ましい。特に、それぞれの位置合わせが比較的正確にできるため、有版印刷層12の裏面に有版隠蔽印刷層が形成されていることが好ましい。
隠蔽印刷層14は、無版印刷層13の端縁E13を隠蔽するだけでなく、例えば有版印刷層12の透けを防止して当該印刷層のデザイン等を際立たせる役割を果たす。また、隠蔽印刷層14の色が有版印刷層12によって表示されるデザインの背景色となる構成であってもよい。例えば、部分的に形成された有版印刷層12の裏側に、有版印刷層12とその周囲を覆うように隠蔽印刷層14を設けた場合、有版印刷層12によって表示されるデザインの周囲から見える隠蔽印刷層14の色が当該デザインの背景色として見える。隠蔽印刷層14は、有版印刷領域Z12の裏側に形成されると共に、有版印刷層12が形成されない領域では、例えばラベル基材11上に直接形成される。図1の形態では、上述の通り隠蔽印刷層14が有版印刷領域Z12の裏側の略全域に設けられ、それぞれの領域の端縁は端縁同士が重なる位置又は近い位置に設けられているので、隠蔽印刷層14の色が有版印刷層12越しに透けて見えた場合にも隠蔽印刷領域の端縁が目立ち難く有版印刷層12のデザインが損なわれない。但し、隠蔽印刷層14は有版印刷領域Z12の裏側に部分的に形成されていてもよい。また、図1の形態では、有版印刷領域Z12と無版印刷領域Z13とが重なった部分において、無版印刷領域Z13の端縁E13だけでなく、有版印刷領域Z12の端縁E12から所定領域を除いて、その重なった部分の全面に広がって隠蔽印刷層14が形成されている。このため、隠蔽印刷層14は端縁E13だけでなく、当該重なった部分における無版印刷領域Z13の大部分が透けて見えない。
隠蔽印刷層14は、例えば隠蔽性を付与する色材及びバインダ樹脂を含み、また各種添加剤を含んでいてもよい。隠蔽印刷層14は、有版印刷層12の場合と同様に、従来公知の油性インキ(溶剤系インキ)又は水性インキを用いて形成できる。隠蔽印刷層14の色は、特に限定されず、例えば有版印刷層12のデザイン等に応じて適宜変更できるが、好ましくは白色系、金属色系で、より好ましくは白色系(特に白色)である。隠蔽印刷層14の色が白色系である場合には、隠蔽印刷層14は、例えば白色の色材を含む。金属色の色材は、アルミニウム、チタニウム、スズなどの金属顔料が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。隠蔽印刷層14は、白色の色材又は金属色の色材に加えてさらに白色以外の色材を含み、若干その色材の色を呈しているものであってもよい。
上記バインダ樹脂には、有版印刷層12の場合と同様の樹脂を用いることができる。白色の色材としては、酸化チタン、亜鉛華(亜鉛白)、鉛白、リトボン(硫酸バリウムと硫化亜鉛の混合物)等の白色顔料が例示できる。白色顔料には、2種以上を併用してもよいが、少なくとも酸化チタンが含まれることが好適である。酸化チタンには、印刷インキに用いられる従来公知の酸化チタンを適用することができる。酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型のいずれを用いてもよいが、好ましくはルチル型が用いられる。白色の色材(例えば、酸化チタン)の含有量は、隠蔽印刷層14の総重量に対して、例えば20重量%以上、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。
隠蔽印刷層14の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.5μm〜10μmである。
[アンカーコート層]
アンカーコート層15は、上述の通り無版印刷層13とラベル基材11との間、無版印刷層13と有版印刷層12との間、及び無版印刷層13と隠蔽印刷層14との間に形成され、ラベル基材11に対して無版印刷層13を密着させる機能を有する。アンカーコート層15は、プライマー層とも呼ばれる。シュリンクラベル10では、窓領域Z1及びその周囲にアンカーコート層15が形成されている。アンカーコート層15が無版印刷層13の表側に形成される場合、アンカーコート層15は無色透明な樹脂から構成されることが好ましい。
アンカーコート層15は、ラベル基材11及び無版印刷層13の両者に対する密着性が良好な樹脂から構成される。具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、イソシアネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、アミド系樹脂、ロジン系樹脂等が挙げられる。アンカーコート層15は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、スクリーン印刷等の従来公知の有版印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、上記樹脂を含有するアンカーコート剤をラベル基材11上に塗布し、乾燥固化して形成することができる。アンカーコート層15を形成するアンカーコート剤には、市販品を用いてもよい。
アンカーコート層15の厚みは、特に限定されないが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜3μmがより好ましい。
[保護層]
保護層16は、無版印刷層13が形成された無版印刷領域Z13の全体を覆って形成されることが好適である。保護層16は、無版印刷領域Z13を覆っていれば、無版印刷領域Z13と同じ範囲に同じ面積で設けられていてもよいが、好ましくは有版印刷層12が形成された有版印刷領域Z12及び隠蔽印刷層14が形成された隠蔽印刷領域Z14を覆って形成される。保護層16は、例えば有版印刷層12、無版印刷層13、及び隠蔽印刷層14を保護すると共に、ラベルの最裏面に設けられた場合は被装着物と接触するシュリンクラベル10の裏面に滑り性を付与する。保護層16は、無版印刷層13等の表側に形成される場合、無色透明な樹脂から構成されることが好ましい。一方、保護層16が無版印刷層13の裏側に形成される場合、保護層16は白色顔料等の色材を含んでいてもよい。
保護層16を構成する樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂等)、イソシアネート系樹脂、ロジン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)、イミン系樹脂などが例示できる。中でも、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を樹脂の主成分とすることが好ましい。また、保護層16は滑剤を含有することが好適であり、必要により可塑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、硬化剤、消泡剤などの添加剤を含有していてもよい。保護層16は、上述のように白色顔料を含んでいてもよく、この場合、有版印刷層12及び無版印刷層13のデザインが透けて見えることを防止できる。白色顔料には、隠蔽印刷層14に添加されるものと同様のものを用いることができる。例えば、隠蔽印刷層14及び保護層16のいずれにも白色顔料が含まれ、有版印刷層12及び無版印刷層13のいずれの裏側にも白色層が存在する構成は、一体感が増すため好ましい。
上記滑剤としては、例えばポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン系ワックス等のポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックス等の各種ワックス(ワックス類)や樹脂ビーズが挙げられる。滑剤の含有量は、特に限定されないが、保護層16の総重量に対して0.1〜10重量%が好ましく、更に好ましくは2〜5重量%である。
保護層16は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、スクリーン印刷等の従来公知の有版印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、上記樹脂を含有するインキをラベル基材11上に塗布し、乾燥固化して形成することができる。保護層16を形成するインキには、市販品を用いてもよい。保護層16は、有版印刷法により形成される有版保護印刷層であることが好ましい。
保護層16の厚みは、特に限定されないが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜3μmがより好ましい。
[筒状シュリンクラベル]
図7及び図8は、上記構成を備えたシュリンクラベル10を筒状に成形してなる筒状シュリンクラベル20を示す図である。筒状シュリンクラベル20は、シュリンクラベル10の裏面が内側を向いた状態で当該ラベルが筒状に成形されてなる。即ち、シュリンクラベル10の裏面が筒状シュリンクラベル20の内側を向いた内面となり、シュリンクラベル10の表面が筒状シュリンクラベル20の外側を向いた外面となる。筒状シュリンクラベル20は、例えば後述する筒状シュリンクラベル長尺体40(図10参照)を切断して製造される。
筒状シュリンクラベル20は、ラベル基材11の筒周方向一端部22(以下、「一端部22」とする)を筒周方向他端部23(以下、「他端部23」とする)に一端部22を外側にして重ね合わせた状態で、一端部22の内面22aの少なくとも一部が他端部23側の外面23bに接合された接合部21を有する。ラベル基材11の一端部22の内面22aのうち他端部23と重なる範囲であって接合部21を除く領域には、後述するように有版印刷層12が形成されていることが好適である。一方、当該領域には無版印刷層13が形成されないことが好ましい。
筒状シュリンクラベル20では、筒の内側を向いたラベル基材11の内面に有版印刷層12、無版印刷層13、隠蔽印刷層14、アンカーコート層15、及び保護層16が形成されている。筒の外側を向いたラベル基材11の外面には、例えば各層が形成されておらず、ラベル基材11を構成するフィルムの表面が露出している。無版印刷層13は、接合部21から離れた位置に形成されている(図7,8では図示せず)。無版印刷層13は、上述の通り平面視略矩形形状を有するラベル基材11の長辺方向中央部に形成された窓領域Z1及びその周囲に形成されており、例えば筒状シュリンクラベル20において接合部21と対向する部分に配置される。
図8に示す例では、有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び保護層16が、一端部22の内面22aのうち他端部23と重なる範囲であって接合部21を除く領域(以下、「内面22aの非接合領域」という場合がある)に形成されている。一端部22の内面22aの各印刷層は、他端部23と重なる部分だけでなく、それに隣接する領域(例えば、他端部23と重なる部分の端から5mm幅の領域)を含めて形成されている。なお、内面22aの非接合領域には、アンカーコート層15が形成されていてもよいが、後述するように無版印刷層13は形成されないことが好適である。他端部23の内面23aにおいて、有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び保護層16は、接合部21に対応する位置を超えて他端部23側のラベル基材11の端縁23cの近傍まで形成されている。有版印刷層12等は、端縁23cまで形成されていてもよく、アンカーコート層15が端縁23c又はその近傍まで形成されていてもよい。また、無版印刷層13が端縁23c又はその近傍まで形成されていてもよい。
接合部21は、互いに重なり合う一端部22の内面22aと他端部23の外面23bの一部同士を接合し、筒状シュリンクラベル20の筒形状を維持する。接合部21は、他端部23と重なる内面22aの全域を外面23bに接合してもよいが、好ましくは一端部22の内面22aのうち上記各印刷層が形成されていない領域を他端部23の外面23bに接合して形成される。接合部21は、例えば一端部22の内面22aの一部を他端部23の外面23bに溶剤溶着して形成される。一端部22の内面22aに各印刷層が形成されずラベル基材11を構成するフィルムの表面が露出した露出面(一方側露出領域18)を設けることで、ラベル基材11同士(内面22aの露出面と他端部23の外面23bの露出面)を溶剤溶着することが容易になり、接着強度が良好な接合部21が形成できる。
なお、一端部22と他端部23を重ね合わせた状態で、一端部22の外面と他端部23の外面とに跨って粘着テープを貼付することで一端部22と他端部23を接合してもよい。また、接着剤を用いて接合部21を形成してもよい。この場合、一方側露出領域18を設けることは必ずしも必要とされない。
接合部21は、例えば一端部22側のラベル基材11の端縁22cから所定長さの範囲に位置する内面22aと、他端部23側のラベル基材11の端縁23cから所定長さ離れた外面23bとを接合している。これにより、他端部23には、一端部22と重なり合う部分において端縁23cから所定長さの範囲に一端部22と接合されない延出部24が形成される。延出部24は、接合部21から筒状シュリンクラベル20の内側に延出した部分であって、他端部23のうち接合部21の端縁23c側の端に対応する位置から端縁23cまでの部分である。図8に示す例では、有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び保護層16が延出部24を含む他端部23の内面23aに形成されている。
筒状シュリンクラベル20では、内面22aの非接合領域に有版印刷層12が形成されており、他端部23には、一端部22に形成された有版印刷層12と重なる位置に有版印刷層12が形成されている。内面22aの非接合領域には、無版印刷層13は形成されないことが好ましいが、他端部23側には有版印刷層12と共に、又は有版印刷層12に代えて無版印刷層13が形成されていてもよい。具体的には、一端部22のうち接合部21等の印刷層のない部分に対応する他端部23の部分にはその内面23aに有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び保護層16が形成されており、延出部24及び延出部24と重なる一端部22の一部には各内面に有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及び保護層16が重なるように形成されている。即ち、一端部22と他端部23とが重なり合う部分において、ラベルの厚み方向に連続する透明部が存在せず、筒状シュリンクラベル20を被装着物に装着したときに当該重なり部分から被装着物が見えることを防止できる。図8に示す例では、一端部22と他端部23とが重なり合う部分において3つの層が重なっているが、それらのうち1つが重なっていればよい。但し、隠蔽印刷層14、保護層16が重なる場合には、それらが有色の場合に限られる。
内面22aの非接合領域には、上述の通り有版印刷層12が形成されていることが好ましく、無版印刷層13が形成されないことが好ましい。延出部24は一端部22に接合されていないため、筒状シュリンクラベル20のシュリンク加工時に収縮することで延出部24(他端部23)の端縁23cが内面22aの非接合領域に強く接触し、当該領域に形成される印刷層に強い摩擦力が作用する場合がある。特に、被装着物に深い凹部(括れ部)等が存在し、ラベルを高収縮させる必要がある場合には、シュリンク加工時の加熱温度を高くするが、熱処理条件が過酷になると延出部24の収縮量が増えて内面22aの非接合領域に形成された印刷層を損傷させ易くなる。このように、内面22aの非接合領域はシュリンク加工時に延出部24の端縁23cが接触して印刷層の損傷が発生し易い領域であるが、有版印刷層12は無版印刷層13に比べて耐損傷性に優れるため、当該領域に有版印刷層12を形成することで、当該領域における印刷層の損傷(インキ割れ)を抑制できる。
[シュリンクラベル長尺体]
図9は、シュリンクラベル長尺体30を表側から見た平面図である。シュリンクラベル長尺体30は、シュリンクラベル10となる部分であるラベル部33が長手方向に複数つながった長尺体である。シュリンクラベル長尺体30は、ラベル基材11の長尺体である長尺状ラベル基材31を備える。なお、ラベル部33はシュリンクラベル長尺体30が切断予定部Xで切断されることによりシュリンクラベル10となる。シュリンクラベル長尺体30において、各ラベル部33の少なくとも1つにおける無版印刷層13は、他のラベル部33における無版印刷層13と異なる印刷パターンで形成されている。無版印刷層13の形成には、版の作製を必要としないから、異なる複数の印刷パターンを形成するために必要とされる時間やコストを節約できる効果がある。
一方、シュリンクラベル長尺体30を構成する各ラベル部33は、有版印刷層12及び隠蔽印刷層14の印刷パターンが互いに同じであり、窓領域Z1の形状、配置、及び寸法もそれぞれ同一である。各ラベル部33では、例えばアンカーコート層15及び保護層16の印刷パターンも互いに同じであり、換言すると無版印刷層13の印刷パターンのみが複数存在する。なお、長尺状ラベル基材31には、少なくとも基材の幅方向一端部に長手方向に沿って上記各層が形成されず基材を構成するフィルムが露出した一方側露出領域32が設けられていることが好適である。一方側露出領域32は、後述する長尺体接合部41(図10参照)となる部分である。
シュリンクラベル長尺体30を切断予定部Xで切断することにより、少なくとも2種類のシュリンクラベル10が得られる。即ち、少なくとも2種類のシュリンクラベル10は、有版印刷パターンが同じで、無版印刷パターンが互いに異なっている。無版印刷層13の印刷パターンの数は特に限定されないが、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。シュリンクラベル長尺体30を構成する全てのラベル部33の無版印刷層13を異なる印刷パターンとすることも可能である。これに対して有版印刷の場合、複数の印刷パターンを形成することは可能であるが、版(一般に円筒形状である。)の円周長とラベル部33の長さの関係により、形成される印刷パターン数の上限はかなり限定される。なお、シュリンクラベル長尺体30は、例えば後述する筒状シュリンクラベル長尺体40に成形され、被装着物に各シュリンクラベル10が装着される過程(シュリンクラベラー)で個々のラベルに分割される。
シュリンクラベル長尺体30において、例えば隣り合うラベル部33の各無版印刷層13は、互いに異なる印刷パターンで形成されている。図9に示す例では、シュリンクラベル長尺体30の長手方向に連続したラベル部33A,33B,33Cの各無版印刷層13A,13B,13Cが互いに異なる印刷パターンで形成されている。各無版印刷層13A,13B,13Cは、例えば文字や絵柄等のデザイン(無版印刷領域Z13A,Z13B,Z13Cに表示されるデザイン)が互いに異なり、無版印刷領域Z13A,Z13B,Z13Cの外形、配置、及び寸法は互いに同じである。シュリンクラベル長尺体30は、それぞれ異なる無版印刷層13を備えたラベル部33の組が繰り返される形態(図9参照)であってもよく、同じ無版印刷層13を備えたラベル部33が所定数連続した後、別の無版印刷層13を備えたラベル部33が所定数連続する形態であってもよい。このように、本実施形態ではラベル部33の特定領域(無版印刷層表示領域)以外のデザインは全く同一である一方、特定領域のデザインは異ならせる場合に有用である。とりわけ、特定領域のデザインの数が多ければ多いほど、その有用性は増す。
[筒状シュリンクラベルの製造方法]
図10は、筒状シュリンクラベル20の製造方法を説明するための図である。図10では、シュリンクラベル長尺体30を裏側から見た状態を示している。筒状シュリンクラベル20は、シュリンクラベル長尺体30を作製する工程と、筒状シュリンクラベル長尺体40を作製する工程と、筒状シュリンクラベル長尺体40を個々の筒状シュリンクラベル20に切断する工程とを経て製造される。有版印刷層12等の印刷層は長尺状ラベル基材31の両面に形成されてもよいが、ここでは長尺状ラベル基材31の一方の面のみに各印刷層が形成され、当該一方の面が筒状シュリンクラベル20の内面(シュリンクラベル10の裏面)となる場合について主に説明する。
(シュリンクラベル長尺体の製造方法)
まず初めに、ラベル基材11の長尺体である長尺状ラベル基材31を準備する。長尺状ラベル基材31は、熱収縮性を有し、長手方向に直交する幅方向(以下、「TD方向」という)に主配向し、TD方向が主収縮方向であることが好ましい。長尺状ラベル基材31は、例えばTD方向に対して2〜8倍程度の延伸倍率で延伸処理される。長尺状ラベル基材31は、長手方向(以下、「MD方向」という)に配向していてもよく、MD方向に対して1.01〜2倍程度の延伸倍率で延伸されていてもよい。延伸処理は、例えば70〜100℃の温度で、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を用いて行うことができる。なお、帯状ラベルを被装着物に巻き付けて装着することで筒状体を形成する場合(巻付方式の筒状体の場合)には、MD方向が主収縮方向となる長尺状ラベル基材31を用いることが好ましい。
長尺状ラベル基材31は、生産性向上の観点から、TD方向に各印刷層の列を複数形成可能な幅広のものを用いることが好適である。この場合、幅広の長尺状ラベル基材31に各印刷層を形成した後、MD方向に沿ってスリットし、ラベル1枚分の幅の長尺状ラベル基材31とする。
次に、長尺状ラベル基材31の一方の面(裏面)上に有版印刷層12を形成する。有版印刷層12は、例えば長尺状ラベル基材31のTD方向両端縁及び窓領域Z1を除く長尺状ラベル基材31の一方の面上に、長尺状ラベル基材31のMD方向に沿って断続的に形成される。長尺状ラベル基材31のTD方向一端部に沿った一方側露出領域32には、有版印刷層12等が形成されない領域がTD方向他端部に沿った端縁よりも幅広に設けられる。有版印刷層12は、上述の通り従来公知の油性インキ(溶剤系インキ)又は水性インキを用いて、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、スクリーン印刷法などの従来公知の有版印刷法により形成される。中でも、グラビア印刷法又はフレキソ印刷法が好ましく、グラビア印刷法が特に好ましい。
次に、有版印刷層12上に隠蔽印刷層14を形成する。隠蔽印刷層14は、例えば窓領域Z1の外周縁を除く有版印刷層12の裏側に重なって形成される。隠蔽印刷層14は、例えば白色、銀色、金色等の色材により形成され、好ましくは白色の色材により形成される。白色の場合、上述の通り白色の色材を含有するインキ(好ましくはバインダ樹脂と白色顔料とを含有するインキ)を用いて、グラビア印刷法等の有版印刷法で形成されることが好ましい。白色の色材には、酸化チタンを用いることが好適である。隠蔽印刷層14は、特に有版印刷層12と同じ印刷法で形成することが好ましい。
次に、後工程で無版印刷層13が形成される無版印刷領域Z13に対応してアンカーコート層15を形成する。本実施形態では、窓領域Z1及びその周囲にアンカーコート層15を形成する。アンカーコート層15は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、スクリーン印刷等の従来公知の有版印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、無色透明の樹脂を含有するアンカーコート剤を長尺状ラベル基材31の一方の面上に塗布し、乾燥固化して形成することができる。アンカーコート層15は、グラビア印刷等の有版印刷法により形成されることが好ましい。有版印刷層12、隠蔽印刷層14、及びアンカーコート層15は、いずれも同じ印刷法で形成することが好ましい。
次に、アンカーコート層15上に無版印刷層13を形成する。本実施形態では、窓領域Z1及びその周囲においてアンカーコート層15が形成された領域からはみ出すことなく、無版印刷層13が形成される。無版印刷層13が形成された無版印刷領域Z13の端縁の表側には隠蔽印刷層14が存在し、無版印刷領域Z13の端縁E13を隠蔽している。トナーを用いた電子写真方式の印刷機は、例えば感光体ドラムに電荷を与えた後、トナーを載せたくない部分をレーザー等で描画して電荷を除去し、所望のパターンでトナーを感光体ドラム上に付着させ、長尺状ラベル基材31の一方の面上に転写することで無版印刷層13を形成する。ラベル基材11上に転写されたトナーは、加熱されて溶融し、ラベル基材11上に定着する。トナーとしては、上述の通り一般的な複写機に使用されるものを使用することもできるが、印刷機に応じてそれに適合する専用品を使用することが好適である。
電子写真方式の印刷機には、市販品を用いることができる。好適な市販品としては、エプソン社製の「LP−S9000シリーズ」、リコー社製の「SPC831/831M」、「SPC830/830M」、「SPC810−ME」、「SPC731/731M」、「SPC730/730M」、ヒューレット・パッカード社製の「HP Indigo WS20000」、「HP Indigo WS6600」、「HP Indigo WS6000」、「HP Indigo WS4600」、富士ゼロックス社製の「DocuPrint C5000」、「DocuPrint C4000」、「DocuPrint C3360」、「DocuPrint C3350」などが挙げられる。
次に、上記各印刷層を覆って保護層16を形成する。保護層16は、例えば長尺状ラベル基材31のTD方向両端縁を除く一方の面上に、MD方向に沿って連続的に形成される。保護層16は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、スクリーン印刷等の従来公知の有版印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、保護層16を形成する成分を含有するインキを長尺状ラベル基材31上に塗布し、乾燥固化して形成することができる。保護層16は、有版印刷法により形成されることが好ましい。
(筒状シュリンクラベル長尺体、及び当該長尺体の製造方法)
筒状シュリンクラベル長尺体40は、シュリンクラベル長尺体30の裏面が内側を向いた状態で筒状に成形されてなる。筒状シュリンクラベル長尺体40は、長尺状ラベル基材31の筒周方向一端部を筒周方向他端部に重ね合わせた状態で、当該一端部の内面の少なくとも一部が当該他端部側の外面に接合された長尺体接合部41を有する。長尺状ラベル基材31の筒周方向一端部のうち筒周方向他端部と重なる部分には、有版印刷層12が形成されている。
図10に示す例では、有版印刷層12の印刷パターンが同じで、無版印刷層13の印刷パターンが互いに異なった筒状ラベル部43A,43B,43Cが、筒状シュリンクラベル長尺体40の長手方向に連続している。筒状ラベル部43A,43B,43Cは、例えばシュリンクラベル長尺体30のラベル部33A,33B,33Cにそれぞれ対応し、筒状シュリンクラベル長尺体40を切断予定部Xで切断したときにそれぞれ筒状シュリンクラベル20となる。
筒状シュリンクラベル長尺体40の製造過程では、まず長尺状ラベル基材31の筒周方向一端部の内面及び筒周方向他端部の外面となる長尺状ラベル基材31のTD方向端部のうち一方(露出面)に、テトラヒドロフラン(THF)等の溶剤をMD方向に沿って所定幅で塗布する。そして、溶剤塗布部を他方のTD方向端部に重ね合わせることでMD方向に連続した長尺体接合部41を形成する。これにより、シュリンクラベル長尺体30が筒状に成形されてなる筒状シュリンクラベル長尺体40が得られる。
筒状シュリンクラベル長尺体40を切断予定部XでTD方向に沿って切断することにより、複数の筒状シュリンクラベル20が得られる。筒状シュリンクラベル長尺体40は、例えば被装着物に各シュリンクラベル10が装着される過程(シュリンクラベラー)で個々の筒状シュリンクラベル20に切断される。
[ラベル付き容器]
シュリンクラベル10が装着される被装着物は特に限定されないが、シュリンクラベル10は、例えば容器に装着されてラベル付き容器として用いられる。容器としては、ペットボトル、カップ麺容器、牛乳瓶、調味料などの飲料・食品用容器、医薬品用容器、洗剤、スプレー等の化学製品・トイレタリー製品用容器などが例示できる。
上記ラベル付き容器は、例えば筒状シュリンクラベル20を容器に外嵌した後、加熱処理によって筒状シュリンクラベル20を熱収縮させて容器に追従密着させること(シュリンク加工)によって作製できる。上記加熱処理の方法としては、例えば熱風トンネルやスチームトンネルを通過させる方法、赤外線などの輻射熱で加熱する方法等が挙げられる。特に、80〜100℃のスチームで処理する(スチーム及び湯気が充満した加熱トンネルを通過させる)方法が好ましい。また、101〜140℃のドライスチームを用いることもできる。上記加熱処理温度は、特に限定されないが、筒状シュリンクラベル20の温度が85〜100℃(特に、90〜97℃)となる温度範囲で実施することが好ましい。処理時間は、生産性、経済性の観点から、4〜20秒程度が好ましい。