JP2019064138A - 長尺装飾原反、及びラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】 デザインが綺麗に表されている長尺装飾原反を提供する。【解決手段】 長尺装飾原反9は、長尺帯状の基材4と、前記基材4の長さ方向に繰り返して印刷された複数の印刷部と、を有し、前記印刷部が、第1インキ固化物からなる第1印刷部1と、第2インキ固化物からなり且つ前記第1印刷部1上に重なった重なり領域を有する第2印刷部2と、を有し、前記第2印刷部2が、前記第1印刷部1の面内において縁部を有し、前記重なり領域の縁部21における第2インキ固化物の単位面積当たりに占める面積割合が、60%以下とされている。【選択図】 図3

Description

本発明は、印刷部が長さ方向に繰り返し設けられた長尺装飾原反などに関する。
一般に、ラベル、包装材、ラッピングリボンなどの装飾シート物は、デザインなどを表した印刷部によって装飾された長尺帯状の原反を切断することによって得られる。
このような原反は、通常、長尺帯状の基材と、前記基材の長さ方向に繰り返して印刷された複数の印刷部と、を有する。この長尺装飾原反を長さ方向に沿って切断することによって長尺装飾シートが得られる。
具体的に、容器などに貼り付けて使用されるラベルを例に採って説明する。
ラベルを得るための長尺装飾原反は、基材の長さ方向に、任意のデザインなどを表した印刷部が繰り返して印刷され、この長さ方向に繰り返された印刷部の列が幅方向に複数配置されている。この原反を印刷部の列毎に分割するために、前記原反を長さ方向に沿って切断することによって、1つの印刷部が長さ方向に繰り返された長尺装飾シートが得られる。この長尺装飾シートを1つの印刷部ごとに切断することによって、1つのラベルが得られる。
前記印刷部は、印刷法によって基材に形成されたインキ固化物からなり、着色インキ及び無着色インキを用いて形成される。
印刷部は、1つのインキから形成される場合もあるが、一般的には、2つ以上のインキを用い、1つのインキを印刷して着色インキ固化物からなる着色印刷部を形成した後、他のインキを印刷して着色インキ固化物からなる着色印刷部を形成する。
例えば、2つの着色インキを用いてデザインを表す印刷部を形成する場合、第1着色インキを印刷して第1着色印刷部を形成した後、その第1着色印刷部の全体若しくは一部分に重なる又は第1着色印刷部に重ならない領域に第2着色インキを印刷して第2着色印刷部を形成する。
また、基材にデザインを表すという目的以外の目的で、基材にインキを印刷する場合もある。例えば、基材の一部分にデザインを表し且つその部分以外にはデザインを表示しないこともあり、このような場合には、着色インキを用いて、基材の一部分にデザインを表す着色印刷部を形成する。この場合、前記着色印刷部を有する領域の厚みが、着色印刷部を有さない領域に比して大きくなるので、長尺装飾原反を良好な円筒ロール状に巻き取ることが困難になり、型崩れを生じ易くなる。特に、基材の厚みが薄くなるほど、着色印刷部を有する領域と着色印刷部を有さない領域の厚み差の影響が顕著に生じる。それ故、前記着色印刷部を有さない領域に、無着色インキを印刷してインキ固化物からなる無着色印刷部を形成し、厚みの平準化を図っている。かかる無着色印刷部を形成する場合、理論的には、無着色印刷部の縁が着色印刷部の縁に一致するように、無着色インキを印刷すればよいが、長尺帯状の基材を印刷ラインに搬送中に位置ずれするので、長尺帯状の基材にそのような精度で印刷できるものではない。かかる位置ずれを考慮して、ある程度無着色印刷部の範囲を大きく設定し(いわゆる逃げ幅の確保)、無着色印刷部の縁部が着色印刷部の縁部に重なるようにして、無着色印刷部を印刷している。かかる位置ずれを考慮して、上記2つ以上の着色印刷部についても、逃げ幅を有して印刷している。
前記ラベルを得るための長尺装飾原反においては、前記印刷部は、グラビア版シリンダを用いたグラビア印刷法にて印刷されていることが多い。
この点、本発明者等は、前記印刷部をフレキソ印刷法にて印刷した長尺装飾原反を製造したが、外観上、着色印刷部の一部分が不鮮明になるおそれがあることが判ってきた。
本発明の目的は、デザインが綺麗に表されている長尺装飾原反を提供することである。
本発明者等は、上記事項について鋭意研究した。
フレキソ印刷法は、円筒状の版胴とその版胴の周囲に巻き付けたシート状凸版とを有する円筒状版を用いてフレキソインキを印刷する凸版印刷方式である。
一般に、フレキソ印刷法や凸版輪転印刷法などの円筒状版を用いた凸版印刷方式にあっては、円筒状版の凸版上にインキが載せられており、長さ方向に搬送される基材に同期して円筒状版が回転することにより、凸版が基材側に押しつけられ、インキが基材に転移して印刷される。従って、デザインを表した既存の第1印刷部の上に重ねて印刷する際には、前記第1印刷部の面内に凸版が押しつけられる。凸版印刷方式は、インキが載せられた凸版を基材側に比較的大きな力で押しつけて印刷する方式であるため(印圧が大きいため)、前記凸版によって第1印刷部の厚み方向に押圧力が加わることになる。
本発明者らは、既存の第1印刷部の上に重ねて第2印刷部を印刷する場合、図19に示すように、回転する円筒状版の凸版の縁部が第1印刷部に当たった際に、前記第1印刷部に局所的に比較的大きい印圧が加わり、その印刷部に亀裂が生じることを発見した。この亀裂が原因で、重なり領域(第1印刷部の上に重ねて印刷される第2印刷部のうち、第1印刷部に重なった領域)の縁部に対応する第1印刷部は、そのデザインが不鮮明になると推定される。このような点に鑑みて、既存の第1印刷部に対する印圧を小さくするために、重なり領域の縁部におけるインキ固化物の量を小さくするという着想に至り、本発明を完成した。
本発明の長尺装飾原反は、長尺帯状の基材と、前記基材の長さ方向に繰り返して印刷された複数の印刷部と、を有し、前記印刷部が、第1インキ固化物からなる第1印刷部と、第2インキ固化物からなり且つ前記第1印刷部上に重なった重なり領域を有する第2印刷部と、を有し、前記第2印刷部が、前記第1印刷部の面内において縁部を有し、前記重なり領域の縁部における第2インキ固化物の単位面積当たりに占める面積割合が、60%以下とされている。
本発明の好ましい長尺装飾原反は、前記重なり領域の縁部における第2インキ固化物の面積割合が、10%〜50%である。
本発明の好ましい長尺装飾原反は、前記第1インキ固化物が、着色インキの固化物であり、第2インキ固化物が、無着色インキの固化物である。
本発明の好ましい長尺装飾原反は、前記第1インキ固化物及び第2インキ固化物が、いずれも凸版印刷によって形成された固化物である。
本発明の好ましい長尺装飾原反は、前記第2印刷部が重なった領域を除く前記第1印刷部の裏面、及び、前記第2印刷部の裏面が、長尺装飾原反の最裏面を構成している。
本発明の好ましい長尺装飾原反は、前記第1インキ固化物及び第2インキ固化物が、いずれも滑り成分を含んでいる。
本発明の別の局面によれば、ラベルを提供する。
本発明のラベルは、基材と、前記基材に印刷された印刷部と、を有し、前記印刷部が、第1インキ固化物からなる第1印刷部と、第2インキ固化物からなり且つ前記第1印刷部上に重なった重なり領域を有する第2印刷部と、を有し、前記第2印刷部が、前記第1印刷部の面内において縁部を有し、前記重なり領域の縁部における第2インキ固化物の単位面積当たりに占める面積割合が、60%以下とされている。
本発明の長尺装飾原反は、デザインを表示する印刷部に亀裂などの損傷が生じ難く、デザインが綺麗に見えるようになる。
第1実施形態に係る長尺装飾原反を表面側から見た表面図。 同長尺装飾原反を裏面側から見た裏面図。 一部拡大裏面図。 図3のIV−IV線で切断した端面図。なお、端面図は、切断面のみを表した図をいう(以下、同じ)。 図3のV−V線で切断した端面図。 図3のVI部を拡大した更なる拡大裏面図。 長尺装飾原反の製造工程を示す参考側面図。 (a)は、第1印刷部を印刷する際に用いられる第1凸版の一部省略表面図、(b)は、VIIIb−VIIIb線で切断した断面図。 (a)は、第2印刷部を印刷する際に用いられる第2凸版の一部省略表面図、(b)は、IXb−IXb線で切断した断面図。 (a)は、第3印刷部を印刷する際に用いられる第3凸版の一部省略表面図、(b)は、Xb−Xb線で切断した断面図。 図9のXI部を拡大した断面を含む斜視図。 シート状凸版とそれが装着された版胴とを有する円筒状版の一部省略斜視図。 印刷過程を基材の裏面側から見た一部省略裏面図。 長尺装飾シートの製造工程を示す表面図であって、長尺装飾原反の表面側から見た一部省略表面図。 ラベルを物品に装着する過程を示す正面図。 長尺装飾シートから筒状ラベルを形成する過程を示す参考斜視図。 第4実施形態の第1例に係る長尺装飾原反を図3のV−V線と同様の箇所で切断した端面図。 第4実施形態の第2例に係る長尺装飾原反を裏面側から見た裏面図。 印刷部に亀裂が生じる原因と考えられる事項の参考説明図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本明細書において、平面視は、基材(又は長尺装飾原反又は長尺装飾シート)の表面側又は裏面側から法線方向に基材を見ることをいい、平面視形状は、そのときの形状をいう。また、用語の頭に、「第1」、「第2」などを付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものであり、その順序や優劣などの特別な意味を持たない。「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「〜」で結んだ範囲とすることができるものとする。
また、各図における印刷部などの各構成の寸法、厚み、縮尺比などは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
[第1実施形態]
<長尺装飾原反>
図1は、長尺装飾原反を表面側から見た図であり、図2は、裏面側から見た図である。ただし、長さ方向において長尺装飾原反を省略して表している。省略された部分は同じ構成が繰り返されている。図3は、図2の一部分を拡大した図である。
図1及び図2において、本発明の長尺装飾原反9は、平面視で、長尺帯状である。
本明細書において、長尺帯状は、長さ方向の長さが幅方向よりも十分に長い平面視略長方形状をいう。前記幅方向は、長さ方向と直交する方向である。長尺帯状の長さ方向の長さとしては、例えば、5m以上、好ましくは10m以上である。
長尺装飾原反9は、長尺帯状の基材を有し、その基材には、長尺装飾原反9の表面側から視認できる任意のデザインが表示されている。
前記デザインは、着色インキを印刷した印刷部によって表されている。
具体的には、図1乃至図6に示すように、長尺装飾原反9は、平面視長尺帯状の基材4と、基材4の長さ方向に繰り返して印刷されたデザインを表した印刷部を含む少なくとも2つの印刷部1,2と、を有する。印刷部は、インキによって形成され、そのインキが固化したインキ固化物からなる。以下、デザインを表した印刷部を「デザイン表示の印刷部」という場合がある。
基材4は、柔軟性並びに適宜な強度及び剛性を有するものであれば特に限定されず、例えば、合成樹脂製シート、金属蒸着シート、発泡樹脂シート、紙、合成紙、不織布、及びこれらが2層以上積層された積層シートなどが挙げられる。好ましくは、基材4として、合成樹脂製シート又はこれを含む積層シートが用いられる。なお、シートという用語には、一般にフィルムと呼ばれるものも含まれる。
合成樹脂製シートなどの材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリエチレンを含む共重合ポリマーなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系などが挙げられる。
また、基材4は、熱収縮性及び/又は自己伸縮性を有するものでもよく、或いは、実質的に熱収縮性及び自己伸縮性を有さないものでもよい。前記熱収縮性は、所定温度(例えば、70℃〜100℃)に加熱されることによって収縮する性質をいう。自己伸縮性は、引っ張り力を加えることによって伸張し、その後、引っ張り力を解除することによってほぼ元の状態に復元する性質をいう。熱収縮性を有する基材4としては、例えば、幅方向(又は長さ方向)の熱収縮率が20%以上の基材、好ましくは同熱収縮率が30%以上の基材が挙げられる。幅方向(又は長さ方向)を主たる熱収縮方向とする基材4は、長さ方向(又は幅方向)に熱収縮性を有していてもよく、その場合の長さ方向(又は幅方向)の熱収縮率は、例えば、10%以下である。なお、実質的に熱収縮性を有さない基材4としては、例えば、長さ方向及び幅方向のそれぞれの熱収縮率が5%以下の基材、好ましくは同熱収縮率が3%以下の基材が挙げられる。
ただし、本明細書において、熱収縮率は、加熱前(23℃雰囲気下)の基材の長さ(元の長さ)と、90℃温水中に10秒間浸漬した後の基材の長さ(浸漬後の長さ)とを下記式に代入して求められる。
熱収縮率(%)=[{(幅方向(又は長さ方向)の元の長さ)−((幅方向(又は長さ方向)の浸漬後の長さ)}/((幅方向(又は長さ方向)の元の長さ)]×100。
基材4の厚みは、特に限定されず、例えば、8μm〜500μmであり、好ましくは、10μm〜200μmである。例えば、合成樹脂製シート、金属蒸着シート、合成紙及びこれらを含む積層シートなどからなる基材4の厚みは、8μm〜200μmであり、好ましくは、10μm〜120μmである。
また、基材4は、透明又は不透明のいずれでもよい。本明細書において、透明は、有色透明又は無色透明という意味である。好ましくは透明な基材4が用いられ、より好ましくは無色透明な基材4が用いられる。上記例示した中で、透明な基材4としては、合成樹脂製シート、合成樹脂製シートと透明な別のシートの積層シートなどが挙げられる。
ここで、透明(有色透明又は無色透明)は、対象物の裏面側に、その裏面から1cm離れた箇所に、白地の紙に黒色インキで任意の数字(大きさ12ポイント)を印刷したものを配置し、前記対象物を透かしてその数字を表面側から識別できる状態をいう。不透明は、前記と同じ条件で裏面側に配置した数字を対象物の表面側から視認できない状態(数字を認識できない状態)をいう。透明(無色透明又は有色透明)の指標としては、例えば、全光線透過率などを用いて表すことができる。透明(無色透明又は有色透明)の指標としては、例えば、全光線透過率が70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、透明である測定対象(透明な基材4である場合にはその基材4が測定対象、透明な印刷部である場合には、前記透明な基材4に透明な印刷部を設けたものが測定対象)を、JIS K 7361(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
少なくとも2つの印刷部1,2は、基材4の表面側からデザインが視認できるように、基材4の表面又は/及び裏面に設けられている。
基材4が透明である場合、デザイン表示の印刷部は、基材4の表面及び裏面の少なくともいずれか一方に設けられる。基材4が不透明である場合、デザイン表示の印刷部は、基材4の少なくとも表面(表面のみ又は表面及び裏面)に設けられる。
図示例では、透明な基材4の裏面に、デザイン表示の印刷部を含む印刷部が設けられている。
デザイン表示の印刷部に表されるデザインは、特に限定されず、任意である。
デザイン表示の印刷部は、纏まりある任意のデザインを1つのデザインパターンとし、そのデザインパターンが基材4の長さ方向に繰り返して印刷されている。その長さ方向に並んだ複数の印刷部を「列」とすると、デザイン表示の印刷部は、基材4の幅方向に1列だけ設けられていてもよいが、通常、幅方向に2列以上(複数列)設けられる。
なお、図1及び図2では、平面視で、長方形と文字Aとを1つのデザインパターンとし、このデザインパターンが幅方向に10列且つ長さ方向に順で配設されたデザインを例示している(図1参照)。
基材4には、異なるインキから形成された少なくとも2つの印刷部1,2(第1印刷部1及び第2印刷部2)が設けられており、必要に応じて、3つ以上の印刷部が設けられていてもよい。
第1印刷部1は、第1インキによって形成されており、その第1インキが固化した第1インキ固化物から構成される。第2印刷部2は、第2インキによって形成されており、その第2インキが固化した第2インキ固化物から構成される。図示例では、さらに、第3インキによって形成された第3印刷部3を有し、第3印刷部3は、その第3インキが固化した第3インキ固化物から構成される。
各印刷部1,2,3は、少なくとも1つがデザイン表示の印刷部であればよい。
各印刷部1,2,3を形成するインキは、少なくとも1つのインキが着色インキであればよく、全てが着色インキでもよく、或いは、少なくとも1つが着色インキで且つ少なくとも1つが無着色インキでもよい。
2つ以上の着色インキを用いる場合、それらは、同じ色彩のインキでもよく、或いは、同系色のインキでもよく、或いは、異なる色彩のインキ(色違いのインキ)でもよい。
なお、前記同じ色彩のインキは、複数の健康な成人が2つの色彩を隔離的観察したときに同じ色であると認識する程度に同じという意味であり、前記同系色のインキは、同様に観察したときに異なる色であると認識する者と同じ色である認識する者の双方が出現する程度に似た色彩という意味であり、異なる色彩のインキ(色違いのインキ)は、同様に観察したときに異なる色であると認識する程度に異なるという意味である。
前記着色インキは、有色透明又は有色不透明のいずれでもよい。有色透明なインキを重ね印刷した領域を基材4の表面側から見たときには、2つのインキの色彩が融合された色に見える。有色不透明のインキを重ね印刷した領域を基材4の表面側から見たときには、最も表面側に印刷されたインキの色に見える。
図示例では、第1印刷部1は、任意の色彩を呈する着色インキから形成され、デザイン表示の印刷部である。
第2印刷部2は、無色透明な無着色インキから形成され、デザインを表す目的以外を目的(本実施形態の場合には、原反厚みの平準化目的)とする印刷部である。
第3印刷部3は、任意の色彩を呈する着色インキから形成され、デザイン表示の印刷部である。
前記第1印刷部1は、基材4の裏面に設けられ、前記第3印刷部3は、前記第1印刷部1に重ならないように、基材4の裏面に設けられている。
デザインは、所望の絵柄、文字、記号、背景色などの視認できるものであれば特に限定されない。
図示例では、便宜上、平面視で長方形のデザインを表しているものが第1印刷部1であり、文字Aのデザインを表しているものが第3印刷部3である。なお、表面図及び裏面図において、第1印刷部1は、長方形の外形線だけを表しているが、その長方形の外形線で囲まれる中にも第1インキ固化物が存在している。
この第1印刷部1と第3印刷部3が1つのデザインパターンを構成しており、これらが基材4の幅方向に10列、長さ方向に複数繰り返し設けられている。
第2印刷部2は、第1印刷部1上に部分的に重なり、且つ、第3印刷部3上に全体的に重なって設けられている。
詳しくは、第2印刷部2は、基材4の裏面に直接的に設けられた領域と、第1印刷部1上に重なった重なり領域と、第3印刷部3上に重なった重なり領域と、を有する。
第2印刷部2は、幅方向に並んだ複数列(10列)のデザインパターンの全てに連続して設けられている。なお、第2印刷部2は、1つのデザインパターン(1つの第1印刷部1及び第3印刷部3)にそれぞれ対応して設けられていてもよい(図示せず)。
少なくとも第1印刷部1及び第2印刷部2は、凸版印刷によって形成されていることが好ましい。
第1印刷部1上に重なっている第2印刷部2の重なり領域は、第1印刷部1に部分的に重なっているので、第1印刷部1の面内において縁部21を有する。図示例では、第2印刷部2は第1印刷部1の周縁部に重なっているので、第2印刷部2の重なり領域の縁部21は、平面視で帯環状である。第2印刷部2の縁形状が図示のように長方形の場合には、その周縁部に重なった第1印刷部1の縁部11は、平面視で長方形の帯環状である。
ここで、前記第1印刷部1上に重なっている第2印刷部2の重なり領域の縁部21は、概念上、第2印刷部2の縁21aから内側に1mmの範囲をいう。前記第1印刷部1上に重なっている第2印刷部2の重なり領域は、概念上、前記縁部21を含んでおり、第2印刷部2の縁21aから内側に1mmを超える場合もある。上述のように、第2印刷部2の縁が第1印刷部1の縁の一致するように精度よく印刷することは困難である。一方で、(第2印刷部2の縁21aが第1印刷部1上に重ならずに)第2印刷部2の縁21aと第1印刷部1の縁11aの間に隙間を有すると、その隙間が外見上目立つおそれがある。このような事情から、第2印刷部2が前記第1印刷部1上に重ねられている(つまり、第2印刷部2が重なり領域を有する)。
一方、第3印刷部3上に重なっている第2印刷部2の重なり領域は、第3印刷部3の全体に重なっているので、第3印刷部3の面内において縁部を有さない。
以下、「第2印刷部2のうち、第1印刷部1に重なった重なり領域」を「対第1重なり領域」という場合がある。
全ての印刷部のうち、第2印刷部2が重なった領域を除く第1印刷部1の裏面、及び、第2印刷部の裏面には他の層が設けられていない。従って、全ての印刷部において、第2印刷部2が重なった領域を除く第1印刷部1の裏面、及び、第2印刷部の裏面は、長尺装飾原反9の最裏面を構成している。なお、基材4において、基材4の裏面全体に印刷部が設けられていない場合(つまり、基材4の裏面の一部分に各印刷部を有し、且つ、一部分に印刷部を有さない場合)、基材4の全体において、印刷部が設けられていない部分における基材4の裏面が、長尺装飾原反9の最裏面を構成している。
換言すると、第1インキ固着物のうち、対第1重なり領域で覆われている領域を除く第1インキ固化物が、長尺装飾原反9の最裏面において露出されており、同様に、第2インキ固着物の全体が、長尺装飾原反9の最裏面において露出されている。第3印刷部には第2印刷部2が全体に重ねられているので、第3インキ固着物は、原反9の最裏面において実質的に露出されていない。
前記対第1重なり領域の縁部21における第2インキ固化物の面積割合が60%以下とされている。以下、「第2インキ固化物の面積割合が60%以下」であることを「特定面積割合」という場合がある。
本明細書において、インキ固化物の面積割合は、平面視で単位面積当たりに付着しているインキ固化物の総面積である。面積割合(%)=(インキ固化物の総面積÷単位面積)×100)。
前記インキ固化物の面積割合は、対象面をレーザー顕微鏡で拡大し、その任意の箇所の単位面積(例えば、1平方cm)当たりのインキ固化物の総面積を算出することにより求めることができる。前記測定は、例えば、オリンパス(株)製の商品名「OLS−4100」などを用いることにより、簡単に測定できる。
前記対第1重なり領域の縁部21における第2インキ固化物の面積割合は、50%以下が好ましく、さらに、40%以下がより好ましい。第2インキ固化物の面積割合を小さくすることにより、第1印刷部1の亀裂を効果的に防止できる。また、前記対第1重なり領域の縁部21における第2インキ固化物の面積割合の下限は、特に限定されないが、余りに小さいと、第2インキ固化物の占める割合が小さくなり、それを設ける意義が無くなるため、前記面積割合は、10%以上であり、好ましくは20%以上であり、より好ましくは、30%以上である。
対第1重なり領域の縁部21における第2インキ固化物の面積割合の構成方法は、その縁部21を構成する第2インキ固化物の面積及びその第2インキ固化物の単位面積当たりの数を適宜設定すればよい。
少なくとも対第1重なり領域の縁部21が、特定面積割合とされていればよく、前記縁部21及びこの縁部21に続く内側の領域の一部分も、特定面積割合とされていてもよい。
印刷時には若干の位置ずれが生じる可能性が高いことから、対第1重なり領域の縁部21及びこの縁部21に続く内側の領域の一部分も、特定面積割合とされていることが好ましい。
例えば、対第1重なり領域の縁21aから内側に3mmの範囲が特定面積割合とされている。
この場合、特定面積割合の範囲が、図3及び図6に示すように、第1印刷部1の縁11aに跨がっていてもよく、或いは、特に図示しないが、その範囲の全部が第1印刷部1上に重なっていてもよい。
図3において、特定面積割合とされた範囲を判り易くする表すために、その範囲に網掛けを付している。さらに、図6において、第1印刷部の範囲を判り易く表すために、第1印刷部に斜線を付している。また、図6の黒丸塗潰し及び黒ベタ塗潰しは、第2インキ固化物を表し、複数の黒丸塗潰しが集まった範囲が、上記特定面積割合の範囲であり、黒ベタ塗潰しの範囲が、後述する特定面積割合の範囲を除く範囲である。
なお、図4及び図5において、特定面積割合の範囲を、(その範囲は、図6の黒丸塗潰しで示すように、無数の第2インキ固化物が島状に点在しているので、端面においても断続的に表すべきであるが)便宜上、厚みを小さくして表している。
第2印刷部2のうち、前記特定面積割合の範囲を除く範囲における第2インキ固化物の面積割合は、60%を超え、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。図6に示す例では、第2印刷部2のうち、特定面積割合の範囲を除く範囲が、第2インキ固化物の面積割合を実質的に100%に設定した例であり、実質的に100%の場合には、第2インキ固化物がベタ状に存在する。なお、実質的に100%とは、印刷部は平面視でドット状の無数のインキ固化物の集合から構成され、隣接するインキ固化物同士が隙間無く互いに交わることによってベタ状になるが、微視的には所々でピンホール的な間隙が生じる可能性が含まれるという意味である。
第1印刷部1における第1インキ固化物の面積割合は、適宜設定でき、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上である。
第3印刷部3における第3インキ固化物の面積割合は、適宜設定でき、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上である。
第1印刷部1、第2印刷部2及び第3印刷部3の厚み(第1インキ固化物、第2インキ固化物及び第3インキ固化物の厚み)は、特に限定されず、それぞれ独立して、例えば、0.5μm〜5μmである。
デザイン表示の印刷部である第1印刷部1及び第3印刷部3は、それぞれ着色インキから形成され、同じ色彩のインキでもよく、或いは、同系色のインキでもよく、或いは、異なる色彩のインキでもよい。
着色インキとしては、酸化チタンなどの白色顔料及びインキ成分を含む白色インキ、カーボンブラックなどの黒色顔料及びインキ成分を含む黒色インキ、アルミニウム粉末などの銀色顔料及びインキ成分を含む銀色インキ、酸化鉄赤などの赤色顔料及びインキ成分を含む赤色インキ、亜鉛黄などの黄色顔料及びインキ成分を含む黄色インキ、ウルトラマリン青などの青色顔料及びインキ成分を含む青色インキ、混合インキなどの公知のインキを用いることができる。
なお、前記インキ成分は、顔料などの着色剤を除いたインキの構成成分をいい、例えば、水性インキの場合には、樹脂成分、水系溶媒及び各種の添加剤が該当する。
無色透明な印刷部である第2印刷部2は、無着色インキから形成される。無着色インキは、顔料などの着色剤を含まないインキであり、上述のインキ成分のみからなるインキである。このようなインキは、一般に、メジウムインキとも呼ばれており、公知のものを使用できる。
例えば、第1印刷部1が白色インキで形成され、第2印刷部2が無着色インキで形成され、第3印刷部3が黒色インキで形成される。
前記各印刷部を形成するインキの種類は、印刷方式に応じて適宜選択でき、例えば、フレキソインキ、凸版輪転インキなどの凸版印刷インキが挙げられる。好ましくは、フレキソインキが用いられる。
インキの性状としては、水性インキ、溶剤揮発型インキ、紫外線硬化型などの電離線硬化型インキなどが挙げられ、好ましくは、水性インキが用いられる。
<長尺装飾原反の製造方法>
上記長尺装飾原反9は、例えば、次のような方法で得ることができる。ただし、本発明の長尺装飾原反9は、下記製法によって得られたものに限定されるわけではない。
長尺装飾原反9は、長尺帯状の基材4を長さ方向に搬送する工程、搬送中の基材4に、少なくとも2つのインキ(第1インキ及び第2インキ)を印刷して少なくとも第1印刷部1及び第2印刷部2を形成する工程、によって得られる。
前記印刷部の形成工程において、第1印刷部1を形成した後、第1印刷部1上に一部分が重なるように第2インキを印刷することにより、第2インキ固化物からなり且つ第1印刷部1上に縁部21を有する第2印刷部2を形成する。この第2印刷部2の縁部21における第2インキ固化物の単位面積当たりに占める面積割合が60%以下となるように、第2インキを印刷する。
前記第1印刷部1及び第2印刷部2を形成する際の印刷方式は、シート状凸版を版胴に巻き付けた円筒状版を用いた凸版印刷方式であり、好ましくは、前記円筒状版を用いたフレキソ印刷方式である。
基材4を長さ方向に送る途中に、印刷機が配置されている。印刷機は、例えば、フレキソ印刷方式の円筒状版を有する。前記円筒状版の数は、印刷部の数に対応しており、上述のように、印刷部が第1印刷部1、第2印刷部2及び第3印刷部3から構成される場合には、3つの円筒状版(第1円筒状版、第2円筒状版及び第3円筒状版)が配設される。
詳しくは、図7に示すように、印刷機は、基材4を搬送するセンタードラム55と、前記基材4を挟んでセンタードラム55の周囲に配置された3つの円筒状版(第1円筒状版51、第2円筒状版52及び第3円筒状版53)と、を有する。
上述のように、第2印刷部2が第1印刷部1及び第3印刷部3に重なるように印刷される場合には、第1円筒状版51、第3円筒状版53及び第2円筒状版52が、基材4の搬送方向上流側から下流側にこの順に配設されている。なお、特に図示しないが、上流側から順に、第3円筒状版53、第1円筒状版51及び第2円筒状版52のように配置されていてもよい。
第1円筒状版51、第2円筒状版52及び第3円筒状版53には、それぞれアニロックスロール56とドクターチャンバー57が具備されている。ドクターチャンバー57からアニロックスロール56にインキが付着し、アニロックスロール56から円筒状版の凸版にインキが転移し、円筒状版の凸版から基材4にインキが印刷される。
前記円筒状版は、円筒状の版胴と、その版胴の周囲に巻き付けたシート状凸版と、を有する。版胴、アニロックスロール及びドクターチャンバーは、従来公知のフレキソ印刷方式で用いられているものを用いることができる。
シート状凸版は、例えば、エラストマーやゴムなどの柔軟性を有するシートに、凸版が形成されたものである。図8は、上記第1印刷部1を印刷する凸版512が形成されたシート状第1凸版511を示し、図9は、上記第2印刷部2を印刷する凸版522が形成されたシート状第2凸版521を示し、図10は、上記第3印刷部3を印刷する凸版532が形成されたシート状第3凸版531を示す。
図9において、シート状第2凸版521の凸版522の面内に形成された縁522aは、第2印刷部2の縁21aに対応する。図11は、その凸版522の縁部を拡大した断面を含む斜視図である。凸版522の表面には、無数の小突起526が密集して突設されており、凸版522は、微視的には、無数の小突起526の集合で構成されている。印刷時には、各小突起526の頂面527にインキ(第2インキ)が付着しており、この小突起526の頂面527から基材4にインキが移転する。
図11に示すように、凸版522の表面には、凸版522の縁522aから内側の所定範囲に設けられた粗小突起領域と、その粗小突起領域よりも内側に設けられた密小突起領域と、を有する。
粗小突起領域は、単位面積当たりの頂面の面積割合が小さく、密小突起領域は、粗小突起領域よりも単位面積当たりの頂面の面積割合が大きい。
前記面積割合は、平面視で単位面積当たりの頂面の総面積である。面積割合(%)=(頂面527の総面積÷単位面積)×100)。
かかる粗小突起領域は、第2印刷部2の特定面積割合の範囲を形成するものであり、密小突起領域は、特定面積割合の範囲を除く範囲を形成するものである。
粗小突起領域の形成範囲は、上記第2印刷部2の特定面積割合の範囲と略同様であり、密小突起領域の形成範囲は、前記特定面積割合の範囲を除く範囲と同様である。
粗小突起領域の、単位面積当たりの頂面の面積割合の調整方法は、その領域の小突起526の頂面527の面積及びその小突起526の単位面積当たりの数を適宜設定すればよい。例えば、(a)隣接する小突起526の中心間距離を所定距離とし且つ小突起526の頂面527の面積を比較的小さくする、(b)隣接する小突起526の中心間距離を比較的大きくして単位面積当たりの小突起526数を減らし且つ小突起526の頂面527の面積を比較的大きくする、(c)隣接する小突起526の中心間距離を比較的大きくして単位面積当たりの小突起526数を減らし且つ小突起526の頂面527の面積を比較的小さくする、などの方法が挙げられる。
密小突起領域の、単位面積当たりの頂面527の面積割合の調整方法も、同様に、その領域の小突起526の頂面527の面積及び単位面積当たりの数を適宜設定すればよい。例えば、(a)隣接する小突起526の中心間距離を所定距離とし且つ小突起526の頂面527の面積を比較的大きくする、(b)隣接する小突起526の中心間距離を比較的小さくして単位面積当たりの小突起526数を増やし且つ小突起526の頂面527の面積を比較的小さくする、(c)隣接する小突起526の中心間距離を比較的小さくして単位面積当たりの小突起526数を増やし且つ小突起526の頂面527の面積を比較的大きくする、などの方法が挙げられる。
なお、特に図示しないが、シート状第1凸版511の凸版512及びシート状第3凸版531の凸版532の各表面にも、それぞれ、無数の小突起が形成されている。これらの凸版512,532の小突起の頂面の面積及び単位面積当たりの数を適宜調整することにより、第1インキ固化物及び第3インキ固化物の各面積割合を所望に設定できる。
次に、図12を参照して、図9に示すシート状第2凸版521を、版胴581の周囲に巻き付け且つ第2凸版521の長さ方向両端部を付き合わせ、その突き合わせ部分の隙間に目地接着剤582を充填して装着することにより、第2凸版521を有する第2円筒状版52が得られる。
図8に示すシート状第1凸版511及び図10に示すシート状第3凸版531も、図12と同様にして、版胴581に装着することにより、それぞれ第1円筒状版51及び第3円筒状版53が得られる。
図13は、円筒状版を用いて基材に印刷する過程を示す裏面図である。この裏面図は、図7のセンタードラム55の外側から基材4の裏面側を見た図でもある。
図13も参照して、第1円筒状版51により、基材4の裏面に第1インキを印刷し、第1印刷部1を形成する。次に、第3円筒状版53により、基材4の裏面に第3インキを印刷し、第3印刷部3を形成する。次に、第2円筒状版52により、基材4の裏面に第2インキを印刷し、第2印刷部2を形成する。なお、インキの種類に応じて、インキの乾燥或いは紫外線などの電離線照射などを行い、各インキを固化させることにより、各インキ固化物を生じる。
得られた長尺装飾原反9は、通常、図7に示すように芯材59に巻き取られて、保管・運搬に供される。
上記長尺装飾原反9は、デザイン表示の印刷部(第1印刷部1及び第3印刷部3)が設けられていない領域に、無色透明な第2印刷部2を設けているので、厚みが平準化されている。このため、型崩れし難く、良好にロール状に巻き取ることができる長尺装飾原反9を提供できる。なお、第1印刷部1の縁部11に第2印刷部2が重なっているが、この縁部の重なり領域の幅は非常に小さいため(例えば、対第1重なり領域の幅は、1mm〜5mm程度に設定される)、厚みの平準化に殆ど影響を与えない。さらに、第1印刷部1は第3印刷部3の全体に重なっているが、第3印刷部3は文字を表す印刷部であって比較的細い線画であるため、厚みの平準化に殆ど影響を与えない。もっとも、その文字を表す第3印刷部3が比較的太い線画である場合には、第2印刷部2が第3印刷部3の全体に重ならず且つ第3印刷部3の縁部に第2印刷部2の縁部が重なるようにすることが好ましい。
本発明の長尺装飾原反9は、対第1重なり領域の縁部21における第2インキ固化物の面積割合が60%以下であるので、その対第1重なり領域の縁部21に対応する第1印刷部1の縁部が亀裂などの損傷を生じ難い。
具体的には、上述のように、特定面積割合となる対第1重なり領域の縁部21は、凸版の粗小突起領域によって印刷される。粗小突起領域は、単位面積当たりの小突起526の頂面527の面積割合が小さいので、それが第1印刷部1上に接触した際の印圧が小さくなり、第1印刷部1に亀裂などの損傷が生じ難い長尺装飾原反9を提供できる。
かかる長尺装飾原反9は、第1印刷部1に表されたデザインの外観が損なわれず、綺麗に見える。
一般に、インキを印刷して固化させる前に、インキを乾燥させるが、比較的厚みの大きい印刷部を形成する場合には、インキ塗布厚が大きく、乾燥させ難い。例えば、第1印刷部1を白色インキで形成する場合(第1印刷部を白色印刷部とする場合)、白色濃度を高める目的で、インキ塗布厚を比較的大きくするが、前述のように乾燥させ難いので、半乾きの状態で、その第1印刷部の縁部に第2インキを重ねて印刷することになる。この際、凸版の縁にて半乾き状態の第1印刷部が掻き取られるため、第1印刷部の縁部に亀裂が生じやすい。
本発明によれば、このような比較的厚みの大きい第1印刷部に重ねて印刷する場合であっても、第1印刷部の亀裂発生を防止できる。
<長尺装飾シートの製造方法>
上記長尺装飾シートは、上記長尺装飾原反9を長さ方向に沿って切断することによって得られる。
具体的には、ロール状に巻き取られた長尺装飾原反9を長さ方向に引き出し、製造ライン中に搬送する。図14に示すように、長さ方向に搬送している途中には、長尺装飾原反9をスリット加工するための切断機6が配設されている。切断機6としては、図示のような鍔状の刃61を有するスリッターのほか、カッター、レーザー切断機6などが挙げられる。
長尺装飾原反9は切断機6によって長さ方向に沿って切断される。通常、図14に示すように、長尺装飾原反9を1列毎に分割するように、隣接する列間において長さ方向に沿って切断される。ただし、前記のように1列毎に分割するように切断する場合に限られず、2列又は3列などの複数列毎に分割してもよい。
なお、長尺装飾原反9の一方の側部9a及びその反対側の側部9bは廃棄される。
上記のような切断は、スリット加工(又はスリッター加工)と呼ばれており、公知のスリット加工システムを用いて実施できる。
このようにして図14に示すような、長尺装飾シート7が得られる。この長尺装飾シート7は、長尺帯状の基材4の長さ方向に1つのデザインパターンの印刷部が繰り返して印刷されている。
<長尺装飾シートの用途>
長尺装飾シート7は、デザイン表示の印刷部によって表されたデザインが長さ方向に繰り返して配置されている。
かかる長尺装飾シート7は、各種のラベル、包装材、ラッピングリボンなどとして使用できる。
例えば、容器などの物品に巻き付けるように装着するラベル(以下、巻き付けラベルという)として使用する場合、1つのデザイン毎に分割するべく、長尺装飾シート7を幅方向に沿って切断することにより、巻き付けラベルが得られる。
この巻き付けラベル81の裏面を容器側に向け、その少なくとも両端部81a,81bの裏面に接着剤を塗布し、図15(a)に示すように、その一方の端部81aを容器などの物品に貼り付け、巻き付けラベル81を物品の周囲に巻き付けた後、同図(b)に示すように、その他方の端部81bの裏面を一方の端部81aの表面に貼り付ける(又はその他方の端部の裏面を物品に貼り付ける)ことにより、ラベル付き物品が得られる。
また、特に図示しないが、巻き付けラベル81の一方の端部81aの裏面を容器などの物品に貼り付け、巻き付けラベル81を物品の周囲に巻き付けた後、その他方の端部81bの裏面をその物品に貼り付けてもよい。
また、熱収縮性及び/又は自己伸縮性を有する基材4を使用した長尺装飾原反9及び長尺装飾シート7にあっては、物品に嵌め入れて装着するラベル(以下、筒状ラベルという)として使用することもできる。かかる筒状ラベル82は、図16に示すように、長尺装飾シート7を、その幅方向を周方向とし且つ裏面を内側にして筒状に形成した後、その筒状に形成した長尺装飾シート7を1つのデザイン毎に分割するべく幅方向に沿って切断することによって、得られる。
その他、熱収縮性を有する基材4を使用した長尺装飾シート7は、オーバーラッピングフィルムとして使用することもできる。
また、特に図示しないが、長尺装飾シート7の裏面に粘着剤層又は感熱接着剤層が設けられていてもよく、或いは、長尺装飾シート7の裏面に粘着剤層と離型紙が設けられていてもよい。このような粘着剤層が設けられた長尺装飾シート7は、例えば、タックラベルとして使用できる。すなわち、粘着剤層が設けられた長尺装飾シート7を1つのデザイン毎に分割することにより、粘着剤層を有するラベル(タックラベル)が得られる。
その他、粘着剤層を予め設けずに、物品に貼り付ける際にグルーなどの水系接着剤を塗布して物品に貼り付けるグルーラベルとして使用することもできる。
いずれのラベルも上記長尺装飾原反9を切り取って得られたものであるため、そのラベルは、基材4と、第1インキ固化物からなる第1印刷部1と第2インキ固化物からなり且つ第1印刷部1上に重なった重なり領域を有する第2印刷部2とを有する印刷部を有し、第2印刷部2が第1印刷部1の面内において縁部21を有し、前記重なり領域の縁部21における第2インキ固化物の単位面積当たりに占める面積割合が60%以下とされている。
また、本発明の長尺装飾シート7は、包装材を形成するために使用することができる。例えば、本発明の長尺装飾シート7は、包装袋を形成するための長尺シート、パウチ容器を形成するための長尺シート、樹脂容器のシート蓋を形成するための長尺シートなどとして使用できる。
本発明は、上記第1実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に変更できる。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、主として上記で示した実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成等については、その説明を省略し、用語及び符号を援用することがある。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、第1印刷部1及び第3印刷部3が着色インキから形成され、第2印刷部2が無着色インキから形成されているが、これに限られず、上記第1実施形態で説明したように、複数の印刷部のそれぞれの形成に用いるインキは様々に組み合わせることができる。以下に、幾つかの例を示す。
(1)第1印刷部1及び第2印刷部2のいずれもが着色インキから形成されていてもよい。第3印刷部3などの他の印刷部(第1及び第2印刷部1,2以外の印刷部)を有する場合、その他の印刷部は、着色インキ又は無着色インキのいずれから形成されていもよい。例えば、第1印刷部が白色以外の色彩の着色インキで形成され、第2印刷部が白色インキで形成され、少なくとも第1及び第2印刷部1,2がデザインを表示する。
(2)第1印刷部1及び第2印刷部2のいずれもが無着色インキから形成されていてもよい。この場合、第3印刷部3は、着色インキから形成され、デザイン表示の印刷部とされる。なお、第4印刷部などの更なる印刷部は、着色インキ又は無着色インキのいずれから形成されていてもよい。例えば、第1印刷部1が滑り成分を含まないメジウムインキで形成され、第2印刷部2が滑り成分を含むメジウムインキで形成される。
(3)第1印刷部1が無着色インキから形成され、第2印刷部2が着色インキから形成されていてもよい。この場合、第3印刷部3などの他の印刷部を有する場合、その他の印刷部は、着色インキ又は無着色インキのいずれから形成されていてもよい。例えば、第1印刷部がメジウムインキで形成され、第2印刷部が白色インキで形成される。
[第3実施形態]
また、上記第1印刷部1、第2印刷部2などの複数の印刷部の中から選ばれる少なくとも1つの印刷部が、滑り成分を含む無着色インキから形成されていてもよい。換言すると、第1インキ固化物、第2インキ固化物などの複数のインキ固化物の中から選ばれる少なくとも1つのインキ固化物が、滑り成分を含んでいてもよい。
滑り成分としては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン系ワックスなどのポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックスなどの各種ワックス類;樹脂ビーズなどの微粒子;などが挙げられる。
例えば、上記第1実施形態において、第1印刷部1及び第2印刷部2が、いずれも滑り成分を含んでいてもよい。上記第1実施形態で説明したように、第2印刷部2が重なった領域を除く第1印刷部1の裏面、及び、第2印刷部の裏面は、長尺装飾原反9の最裏面を構成している。原反9(これから得られるシート及びラベル)の最裏面を成す印刷部に滑り成分が含まれていることにより、ラベルを容器に装着する際、容器に対して滑り易くて装着適性に優れたラベルを構成できる。特に、裏面を筒の内側とする筒状ラベルとした場合に、容器への装着適性に優れた筒状ラベルを提供できる。また、長尺装飾原反9や長尺装飾シート7などを繰り出して容器に装着する際の搬送適性にも優れる。
なお、上記第2実施形態の(1)乃至(3)及び下記第4実施形態の例示においても、第1印刷部1及び第2印刷部2などに滑り成分が含まれていてもよい。
[第4実施形態]
また、上記第1実施形態では、第1印刷部1などはインキの一度塗りで形成されているが、2度の重ね塗りで形成されていてもよい。
さらに、上記第1実施形態では、第1印刷部1は基材4に直接的に印刷されているが、例えば、図17に示すように、基材4の裏面に第4印刷部14が設けられ、その第4印刷部14の裏面に第1印刷部1が設けられていてもよい。この場合、例えば、第4印刷部14は白色インキで形成され、第1印刷部1は、白色インキで形成され、第2印刷部2は、メジウムインキで形成される。
また、上記第1実施形態では、第2印刷部2は、第1印刷部1の周縁部の全体に重なっているが、第1印刷部1の周縁部の一部分に重なっていてもよい。さらに、第2印刷部2は、第1印刷部1が設けられている領域以外の領域の全体に設けられる場合に限定されず、適宜、設計変更可能である。
例えば、図18に示すように、第1印刷部1の一部分に第2印刷部2が重なって設けられ、その第2印刷部2の一部分に第3印刷部3が重なって設けられていてもよい。第2印刷部2のうち、第1印刷部1上に重なった重なり領域の縁部21及びその縁部21に続く内側の領域の一部分における第2インキ固化物の面積割合が60%以下とされている。さらに、第3印刷部3のうち、第2印刷部2上に重なった重なり領域の縁部31及びその縁部31に続く内側の領域の一部分における第3インキ固化物の面積割合が60%以下とされている。図18において、面積割合が60%以下とされている範囲に網掛けを付している。この第1印刷部1、第2印刷部2及び第3印刷部3は、いずれも着色インキから形成されている。もっとも、これらから選ばれる少なくとも1つを無着色インキで形成してもよい。
[その他]
上記様々な実施形態から選ばれる2以上の実施形態を適宜組み合わせてもよく、或いは、上記様々な実施形態から選ばれる1つ又は2つ以上の構成を、それ以外の実施形態に置換などしてもよい。
1 第1印刷部
2 第2印刷部
21 第2印刷部の重なり領域の縁部
3 第3印刷部
4 基材
7 長尺装飾シート
81,82 ラベル
9 長尺装飾原反

Claims (7)

  1. 長尺帯状の基材と、
    前記基材の長さ方向に繰り返して印刷された複数の印刷部と、を有し、
    前記印刷部が、第1インキ固化物からなる第1印刷部と、第2インキ固化物からなり且つ前記第1印刷部上に重なった重なり領域を有する第2印刷部と、を有し、
    前記第2印刷部が、前記第1印刷部の面内において縁部を有し、
    前記重なり領域の縁部における第2インキ固化物の単位面積当たりに占める面積割合が、60%以下とされている、長尺装飾原反。
  2. 前記重なり領域の縁部における第2インキ固化物の面積割合が、10%〜50%である、請求項1に記載の長尺装飾原反。
  3. 前記第1インキ固化物が、着色インキの固化物であり、第2インキ固化物が、無着色インキの固化物である、請求項1または2に記載の長尺装飾原反。
  4. 前記第1インキ固化物及び第2インキ固化物が、いずれも凸版印刷によって形成された固化物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の長尺装飾原反。
  5. 前記第2印刷部が重なった領域を除く前記第1印刷部の裏面、及び、前記第2印刷部の裏面が、長尺装飾原反の最裏面を構成している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の長尺装飾原反。
  6. 前記第1インキ固化物及び第2インキ固化物が、いずれも滑り成分を含んでいる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の長尺装飾原反。
  7. 基材と、
    前記基材に印刷された印刷部と、を有し、
    前記印刷部が、第1インキ固化物からなる第1印刷部と、第2インキ固化物からなり且つ前記第1印刷部上に重なった重なり領域を有する第2印刷部と、を有し、
    前記第2印刷部が、前記第1印刷部の面内において縁部を有し、
    前記重なり領域の縁部における第2インキ固化物の単位面積当たりに占める面積割合が、60%以下とされている、ラベル。
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