JP2018120082A - シュリンクラベルおよびその製造方法 - Google Patents

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大作 山本
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Abstract

【課題】コストアップを殆ど招くことなく、容器に密着させた際に表面に凹凸が形成された凹凸部を確実に形成できるシュリンクラベルおよびその製造方法を提供する。【解決手段】透明なフィルム層102の下層側主面に、印刷層104を形成し、この印刷層104の下層側主面に保護インキ層106を形成し、活性エネルギー線硬化型インキからなる凹凸部形成部108を、保護インキ層106の下層側主面の凹凸部となるべき領域に形成、硬化してシュリンクラベル100を完成し、活性エネルギー線硬化型インキ層を容器に向けて加熱することで、フィルム100を収縮させる。活性エネルギー線硬化型インキ印刷層は、容器300に密着し、活性エネルギー線硬化型インキ印刷部に対応するフィルム100の少なくとも表面は、熱収縮しにくく、凹凸が形成された凹凸部となる。【選択図】図1

Description

この発明は、シュリンクラベルおよびその製造方法に関するものである。特に、表面に凹凸が形成され、化粧品や食品、その他各種日用雑貨品等のパッケージのラベルに用いられるものに関する。
従来より、化粧品や食品、日常雑貨品等をパッケージするために、缶、瓶、ボトル容器、アルミホイル等による各種のパッケージ手段が用いられてきている。そして自社の商品や他社の類似品を消費者が容易に区別できるように、このようなパッケージ手段は、その形状、色調、表示等の点で多くの工夫がなされてきている。
たとえば、パッケージに配色される色彩を変化させることにより、視覚的に判別する方法が採用されている。さらに、最近においては、色彩などの視覚的情報だけでなく、目の不自由な人にも容易に区別できるようにするなどの工夫が採用されている。また健常者であっても、形状等の触覚情報からも識別できるようにするなどの工夫も採用されている。
具体例を示すと、たとえばシャンプーとリンスという類似品を、洗髪中であっても容易に区別できるように、容器全体の形状を変える方法が施されている。また、容器の一部の形状のみを変形させる方法や、容器の一部に立体的な模様を付加する方法も施されている。
このような容器の形状変更や立体模様の付与は、利用者にとって、識別性の点では有用である。しかしながら、容器の成形方法として特異な形状とすることや立体模様を付与することは、多品種の類似商品を製造することを意味する。従って、その製造に多大なコストがかかり、必ずしも最善の方法とは言い難かった。
そこで、コストをそれほどかけずに、視覚障害者にとっても有用な、容器の形状や模様に係わる触覚的情報としての識別の容易化を図ったシュリンクフィルムが、例えば特許文献1により既に提案されている。
図9は、従来のこの種のシュリンクラベルの断面を示す。図10は、容器に密着される前の従来のこの種のシュリンクラベルを示す。図11は、従来のこの種のシュリンクフィルムが装着された容器の一例を示す。
図9に示すように、従来のシュリンクラベルは、まず、例えば14cm×15cmの塩化ビニル系樹脂からなる透明なフィルム層202の下層側主面に、汎用インキにより花柄等の絵柄、文字、図形等が形成された印刷層204を形成する。次に、この印刷層204の下層側主面に、印刷層204を保護する保護インキ層206を形成する。
その後、フィルム層202の上層側の主面上の一部、すなわち、フィルム層202の印刷層形成面とは反対側の主面の一方の短辺の端部付近および長手方向の中程に、それぞれ幅方向に沿って、図柄となるべきアクリル系の紫外線硬化型インキ208を等間隔に形成する。
次いで、紫外線を照射し、紫外線硬化型インキ208を硬化させる。これにより、硬化した紫外線硬化型インキ208による図柄としての凸部を有するシュリンクフィルム200が完成する。
このシュリンクラベル200を、図10に示すように、図柄としての凸部208が外側に位置するように円筒形に丸める。そして、この状態で、シャンプー用のプラスチック製の容器400に被せ、例えばシュリンクトンネルにより、80℃の熱風等で加熱する。この加熱により、シュリンクラベル200は、収縮する。その結果、図11に示すように、凸部208が、容器400の楕円筒状の胴体部の、楕円長径の両端付近の側面にそれぞれ密着する。なお、円筒形に丸めたシュリンクラベル200の径dは、容器400の径よりも3%大きなものとした。
このように、熱収縮性フィルムに紫外線硬化型インキを印刷塗布することにより、紫外線硬化型インキを印刷した部分は、紫外線硬化型インキの非印刷部分よりも加熱による収縮度が小さくなる。このため、収縮後、容器外周部において凸状の立体模様として浮かび上がらせることが可能となる。従って、コストをそれほどかけずに、触覚的情報による識別のための凸部208を形成できる。
特開平09−330030号公報
しかしながら、この従来のシュリンクラベルは、これを実際に使用する際、容器の識別が不十分である。すなわち、シャンプーとリンスとの容器の違いを認識できるほどの凹凸が形成されない問題があった。また、容器を使用する過程で、シュリンクラベル200表面から凸部208が脱落しやすい。従って、機能面でも問題があった。
この発明は、上記のような従来のものの問題点を解決するためになされたもので、製造コスト増を殆ど招くことなく、触感や耐久性を大きく向上させることが可能なシュリンクラベルを提供することを目的としている。
また、製造コスト増を殆ど招くことなく、ラベルの色調を変えることが可能なシュリンクラベルを提供することを目的としている。
さらに、製造コスト増を殆ど招くことなく、シュリンクラベルが装着された被包体の出所を表示し、シュリンクラベルが装着された被包体の模造品の出現防止に寄与する偽造防止機能を、持たせることが可能なシュリンクラベルを提供することを目的としている。
本願の請求項1に係るシュリンクラベルによれば、一方の主面と他方の主面とを有し、加熱により主面の面方向に沿って収縮するフィルム体と、前記フィルム体の、凹凸部となるべき領域に該当する一方の主面の領域に、活性エネルギー線照射により硬化する活性エネルギー線硬化型インキを塗布し、活性エネルギー線照射により硬化してなる凹凸部形成部とを備え、前記凹凸部形成部が被覆すべき被包体に対向する状態で加熱を行うことにより、収縮し、前記被包体に密着して貼付けられた前記フィルム体は、前記凹凸部形成部が存在する領域が、前記加熱により熱収縮し、該熱収縮部における前記フィルム体の少なくとも他方の主面は、シュリンクラベルの厚み方向に凹凸となる前記凹凸部が形成されたことを特徴とするものである。
また、本願の請求項2に係るシュリンクラベルによれば、前記凹凸部形成部は、前記活性エネルギー線硬化型インキを、2μm以上10μm以下の厚みとなるように塗布してなるものである。
また、本願の請求項3に係るシュリンクラベルによれば、前記フィルム体は、前記凹凸部形成部が存在する領域以外の領域において、前記加熱により高密度に熱収縮し、該高密度熱収縮部における前記フィルム体の少なくとも他方の主面は、略平坦状であるものである。
また、本願の請求項4に係るシュリンクラベルによれば、全領域を同一色に着色した前記フィルム体は、前記高密度熱収縮部では濃く呈色し、前記熱収縮部では薄く呈色する、ものである。
また、本願の請求項5に係るシュリンクラベルによれば、前記熱収縮部、あるいは、前記高密度熱収縮部は、本シュリンクラベルが密着する被包体の出所を示す偽造防止用標章を示す形状に形成されているものである。
また、本願の請求項6に係るシュリンクラベルの製造方法によれば、一方の主面と他方の主面とを有し、加熱により主面の面方向に沿って収縮するフィルム体の、凹凸部となるべき領域に該当する一方の主面の領域に、活性エネルギー線硬化型インキを塗布する工程と、前記活性エネルギー線硬化型インキに活性エネルギー線を照射し、硬化させ、該硬化した活性エネルギー線硬化型インキが存在する領域における前記フィルム体の少なくとも他方の主面を、シュリンクラベルの厚み方向に凹凸が形成された凹凸部とするための凹凸部形成部を形成する工程とを含み、前記フィルム体は、前記凹凸部形成部が被覆すべき被包体に対向する状態で加熱を行うことにより、収縮し、前記被包体に密着するとともに、前記凹凸部形成部が存在する領域が、前記加熱により熱収縮し、該熱収縮部における前記フィルム体の少なくとも他方の主面は、前記フィルム体の厚み方向に凹凸となる前記凹凸部が形成されるものである。
この発明によれば、熱収縮によりシュリンクラベルを容器に密着させた際、活性エネルギー線硬化型インキが被包体に密着する。活性エネルギー線硬化型インキは、事前に活性エネルギー線の照射により硬化している。このため、活性エネルギー線硬化型インキが存在する領域のフィルム体は、高密度には熱収縮しない熱収縮部となり、熱収縮部の活性エネルギー線硬化型インキが存在する領域の少なくとも一方の主面は、凹凸が形成された凹凸部となる。これにより、視覚上でも触覚上でも実際に識別できる凹凸を形成でき、製造コスト増を殆ど招くことなく、触感や耐久性を大きく向上させることが可能なシュリンクラベルおよびその製造方法を提供できる。
また、活性エネルギー線硬化型インキが存在する領域以外のフィルム体は、熱収縮しやすく高密度熱収縮部となり、高密度熱収縮部の、活性エネルギー線硬化型インキが存在する領域の主面は、略平坦状面となる。更に、熱収縮部は、薄く呈色し、高密度熱収縮部は、濃く呈色する。これにより、製造コスト増を殆ど招くことなく、触感や耐久性を大きく向上させることができるとともに、視認性を大きく向上させることが可能なシュリンクラベルおよびその製造方法を提供できる。
さらに、熱収縮部あるいは高密度熱収縮部は、シュリンクラベルが密着する被包体の出所を示す偽造防止用標章の形状となるように形成することが可能である。これにより、製造コスト増を殆ど招くことなく、触感や耐久性を大きく向上させることができるとともに、被包体の出所を示す情報を浮き彫り状に表示可能であるため、悪意ある第三者に、被包体の模造品製造を断念させる偽造防止機能を、製造コスト増を殆ど招くことなく、提供できる。
この発明の一実施の形態によるシュリンクラベルの積層構造を示す断面図であり、図1(A)は、図2のIA−IA線断面図、図1(B)は、図2のIB−IB線断面図、図1(C)は、図4(A)のIC−IC線断面図である。 この発明の一実施の形態によるシュリンクラベルにおける紫外線硬化型インキの塗布パターンの一例を示す正面図である。 この発明の一実施の形態によるシュリンクラベルを円筒形に丸めた状態を示す斜視図である。 この発明の他の実施の形態によるシュリンクラベルを密着させた容器を示す斜視図であり、図4(A)は、ロゴ入りシュリンクラベルを密着させた容器を示す斜視図、図4(B)は、ロゴ入りシュリンクラベルの一例を示す正面図である。 この発明の一実施の形態によるシュリンクラベルを密着させた容器を示す斜視図であり、図5(A)は、ロゴ入りシュリンクラベルを密着させた容器の表側および裏側を示す斜視図、図5(B)は、ロゴ入りシュリンクラベルの一例を示す正面図である。 この発明の変形例によるシュリンクラベルを密着させた容器を示す図であり、図6(a)は、シュリンクラベルが円筒状あるいは楕円柱状等の容器全体を覆うように、収縮させた状態の容器を示す図、図6(b)は、円筒状の容器本体に半球状のキャップを被せた容器全体を覆うようにシュリンクラベルを収縮させた状態の容器を示す図である。 この発明で使用するシュリンクトンネルの概略構成を示す図であり、図7(a)はその上面図、図7(b)はその側面図である。 この発明の他の実施の形態によるシュリンクラベルにおける紫外線硬化型インキの塗布パターンの一例を示す正面図である。 従来のシュリンクラベルの積層構造を示す断面図である。 従来のシュリンクラベルを円筒状に丸めた状態を示す斜視図である。 従来のシュリンクラベルを密着させた容器を示す斜視図である。
本発明にかかる、シュリンクラベルの一例について説明する。このシュリンクラベルは、円筒状の被包体である容器の胴体部の表面に周回,密着させるものである。図1(A)は、このシュリンクラベルの構造を示す断面図、図1(B),及び図1(C)は、図2に示すように、シュリンクラベルを円筒状に丸める前の状態のIA−IA線断面(横断面),及びIB−IB線断面(縦断面)を示す。
シュリンクラベル100は、加熱により収縮するフィルム体102と、前記フィルム体の一方の主面に密着され、表示すべき情報が印刷された印刷層104と、前記印刷層の前記フィルム体とは反対側の主面に密着された、被包体である容器300への装着を容易にするための保護インキ層106と、前記保護インキ層の前記印刷層とは反対側の主面の所要の領域、すなわち凹凸部を形成すべき領域に、活性エネルギー線照射により硬化する活性エネルギー線硬化型インキを印刷してなる凹凸部形成部108とを備える。
シュリンクラベル100は、活性エネルギー線照射により、活性エネルギー線硬化型インキを硬化させ、凹凸部形成部108とした後、前記凹凸部形成部が被覆すべき容器に対向する状態で加熱を行うことにより、収縮し、前記容器に密着する。
なお、活性エネルギー線の照射は、その際に発生する熱でフィルム体102,印刷層104,保護インキ層106を収縮させないが、活性エネルギー線硬化型インキは硬化できる条件で実施する。
フィルム体102は、熱収縮性の透明なフィルムから構成され、従来公知の樹脂フィルムを用いることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選択される1種単独又は2種以上の混合物からなるフィルムが例示できる。これらのうち、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、又はポリオレフィン系樹脂から構成される樹脂フィルムが好ましく、特にポリエステル系樹脂が好ましい。
フィルム体102の厚みは、特に限定されないが、好ましくは10μm〜100μm、より好ましくは15μm〜80μm、特に好ましくは20μm〜60μmである。
印刷層104は、グラビア印刷またはデジタル印刷により、商品名やデザイン、商品に関する情報等の表示を付与するための印刷層であって、フィルム体102上のプライマリー層(図示せず)に形成される。
プライマリー層は、フィルム体102及び印刷層104の両者に対する密着性が良好な樹脂から構成される。
具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、イソシアネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、アミド系樹脂、ロジン樹脂等が挙げられる。プライマリー層は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の汎用印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、これらの樹脂を含有するアンカーコート剤をフィルム体102上に塗布し、乾燥固化して形成することができる。上記プライマリー層を形成するアンカーコート剤には、市販品を用いることができる。
プライマリー層の厚みは、特に限定されないが、フィルム体102より薄い0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜3μmがより好ましい。
印刷層104を光学顕微鏡等で観察すると、層を構成するトナーの粒子に起因するドット形状が確認できる。印刷層104には、白ベタ印刷等の背景印刷層が含まれていてもよい。即ち、印刷層104は、表示を付与する印刷層(表示印刷層)と背景印刷層とからなる構成であってもよい。或いは、印刷層104は、トナー印刷層に背景印刷層を含むことなく、表示印刷層のみで形成されていても良い。
背景印刷層を含まない表示印刷層からなるトナー印刷層104を形成する場合、背景印刷をしないということも考えられるが、背景印刷として、トナー印刷層と異なる背景印刷層、例えば、グラビア印刷により設けられた背景印刷層、を形成してもよく、保護インキ層106に白色顔料等を添加して背景印刷層兼保護コーティング層を形成してもよい。
グラビア印刷で印刷層を形成する場合、印刷層としては、樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インキビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。
着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は、無機顔料と有機顔料とに分けられる。無機顔料としては、酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としては、アゾ系のものを好適に使用することができる。印刷層104の厚み(この厚みは、インキ乾燥後の値である)は特に限定されないが、フィルム体102の厚みより薄い0.1μm〜15μmが好ましく、0.2μm〜10μmがより好ましい。
保護インキ層106は、フィルム体102の熱収縮に追従して収縮可能な樹脂層であって、熱収縮過程における印刷層104の割れを防止すると共に、容器に対する滑り性を良好にする機能を有する。保護インキ層106は、上記のように、印刷層104上の全域を覆って形成される。保護インキ層106は、印刷層104の全域を覆っていれば、印刷層104の全域と同じ領域に同じ面積で設けられていてもよい。
本実施形態では、印刷層104よりも全周において大きな領域に、印刷層104よりも大面積で、且つプライマリー層よりも全周において小さな領域に、プライマリー層よりも小面積の保護インキ層106が形成されている。プライマリー層及び印刷層104は、上記のように、平面視略矩形状に形成されており、保護インキ層106も平面視略矩形状に形成されている(図1参照)。
即ち、保護インキ層106は、大部分が印刷層104上に形成され、一部が印刷層104のないプライマリー層上に形成されている。そして、保護インキ層106の端部は、プライマリー層と印刷層104との間に位置している。これにより、印刷層104は、その端部まで保護インキ層106によって覆われる。なお、保護インキ層106とフィルム体102との密着性が良好である場合には、保護インキ層106は、プライマリー層が形成されていない領域(印刷層104も設けられていない領域)に、フィルム体102上に直接形成されてもよい。
保護インキ層106は、印刷層104の割れを防止する観点から柔軟性の高い樹脂から構成されることが好ましく、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を樹脂の主成分として構成されることが好ましい。
なお、アクリル系樹脂は、水溶性樹脂(水性)であることが好ましく、ウレタン系樹脂及びアミド系樹脂は、水溶性樹脂であってもよいが、水には溶解し難く有機溶剤に溶解し易い油性であることが好適である。また、保護インキ層106は、滑り性を改良する滑剤を含有することが好適である。また、本発明の目的を損なわない範囲で、可塑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、硬化剤、消泡剤などの添加剤を含有していてもよい。
上記アクリル系樹脂としては、以下の単量体成分を含有する樹脂が例示できる。単量体成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1〜12アルキルエステル等]、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和化合物又はその無水物、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1〜8アルキルエステル等]などが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」という意味である。
また、必要に応じて(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド誘導体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類やジエン類などの重合性不飽和化合物を単量体成分として用いることもできる。
アクリル系樹脂は、単独又は単量体組成の異なる2種以上の樹脂を組み合わせて用いることができる。例えば、アクリル系樹脂として、カルボキシル基及びヒドロキシル基含有アクリル系重合体、カルボキシル基含有アクリル系重合体とヒドロキシル基含有アクリル系重合体との混合物、カルボキシル基及びヒドロキシル基非含有アクリル系重合体と、カルボキシル基含有アクリル系重合体と、ヒドロキシル基含有アクリル系重合体との混合物などを使用できる。
なお、アクリル系樹脂は、上記のように水性であることが好ましいことから、上記単量体に親水基を導入して構成されることが好適である。当該親水基としては、上記した親水基(例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基など)の他に、リン酸エステル基、スルホン酸基、アミノ基、イミノ基、4級アンモニウム基、3級スルホニウム基などが挙げられる。
上記ウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族及び脂環族の公知のジイソシアネート類の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例として、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。また、必要に応じて3官能以上のポリイソシアネート類やポリイソシアネートアダクト体を上記ジイソシアネートと混合して用いることもできる。
上記ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール(1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等)、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの低分子量グリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール−ポリカプロラクトン共重合体等のポリエーテルジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのジオール類とアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸などの2塩基酸類とから得られるポリエステルジオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、ラクトンブロック共重合ポリオールなどのラクトンジオールなどの公知のジオール類を使用できる。また、必要に応じて上記のジオール類と、3官能以上のポリオール化合物とを混合して用いることもできる。
上記アミド系樹脂は、多塩基酸と多価アミンとを重縮合して得られる熱可塑性ポリアミドであって、イソプロパノールに対する溶解度が30重量%以上のものが好適である。
上記多塩基酸としては、アジピン酸、セパシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸、重合脂肪酸が挙げられる。これらのうち、特に重合脂肪酸が好ましい。重合脂肪酸とは、乾性又は半乾性油脂脂肪酸、或いはそのエステル重合に得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸、三量化重合脂肪酸等を含む。多塩基酸には、モノカルボン酸を併用することもできる。併用されるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
上記多価アミンとしては、ポリアミン、一級及び二級モノアミン挙げることができる。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン、キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン、イソホロンジアミン等の脂環族ジアミンが好ましく、又は一級及び二級モノアミンとしては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が好ましく、これらの多価アミンを単独或いは任意の割合で併用することができる。
上記滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン系ワックス等のポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックス等の各種ワックス(ワックス類)や樹脂ビーズが挙げられる。滑剤の含有量は、特に限定されないが、保護インキ層106の全重量に対して0.1重量%〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは2重量%〜5重量%である。また、保護インキ層106には、滑剤以外の添加剤(例えば、可塑剤や帯電防止剤)が含有されていてもよい。
保護インキ層106は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の汎用印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、上記樹脂や滑剤を含有するインキを印刷層104上に塗布し、乾燥して形成することができる。保護インキ層106は、好ましくはグラビア印刷又はフレキソ印刷により形成される。
保護インキ層106の厚みは、特に限定されないが、フィルム体102の厚みより薄い0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜3μmがより好ましい。
凹凸部形成部108は、活性エネルギー線硬化型インキ、例えば、紫外線硬化型インキを保護インキ層106の下層側主面に印刷した紫外線硬化型インキ印刷層からなる。このような活性エネルギー線硬化型インキは、単官能モノマーを80重量%以上含有し、かつ、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、パラクミルフェノールEO変性アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートからなる群より選ばれたモノマーを50重量%以上含有するモノマー成分より形成されたアクリル系ポリマーを含む。
凹凸部形成部108の厚みは、フィルム体102の厚みより薄い2〜10μmが好ましい。
凹凸部形成部108は、図2にその一例を示すように、保護インキ層106の、印刷層104が印刷された側とは反対側の主面の中央に、平面視略矩形状に印刷される。この活性エネルギー線硬化型インキ印刷部Pの幅(紙面縦方向の長さ)は、保護インキ層106の幅(紙面縦方向の長さ)と等しい。また、この矩形領域の両側の領域は、いずれも活性エネルギー線硬化型インキが印刷されない活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部NPとなっている。
(シュリンクラベルの製造方法)
本発明にかかるシュリンクラベルの製造方法の一例は、加熱により収縮するフィルム体102の一方の主面に、表示すべき情報を印刷した印刷層104を形成する工程(印刷層形成工程)と、前記印刷層の前記フィルム層とは反対側の主面に、被包体への装着を容易にするための保護インキ層106を形成する工程(保護インキ層形成工程)と、前記保護インキ層の前記印刷層とは反対側の主面の所要の領域、すなわち、凹凸部形成部108を形成すべき領域に、活性エネルギー線硬化型インキを印刷する工程(活性エネルギー線硬化型インキ印刷工程)と、前記活性エネルギー線硬化型インキに活性エネルギー線を照射し、硬化させることで、フィルム体の少なくとも表面をシュリンクラベルの厚み方向に凹凸が形成された凹凸部とする工程(凹凸部形成工程)とを含み、前記凹凸部形成部が被覆すべき被包体に対向する状態で加熱を行うことにより、シュリンクラベルが収縮し、前記容器に密着する、というものである。
まず初めに、フィルム体102として、長尺状のフィルム体を準備する。フィルム体102は、熱収縮性を有し、例えば長尺状の長手方向に直交する幅方向(以下、「TD方向」という)に対して2〜8倍程度の延伸倍率で延伸処理され、当該方向に熱収縮性を有するものを用いる。
フィルム体102は、長尺状の長手方向(以下、「MD方向」という)に対して1.01〜2倍程度の延伸倍率で延伸されてもよい。延伸処理は、例えば、70℃〜100℃の温度で、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を用いて行うことができる。フィルム体102は、TD方向が主延伸方向、即ち主収縮方向となる。なお、帯状ラベルを容器に巻き付けて装着することで筒状体を形成する場合(巻付方式の筒状体の場合)には、MD方向が主収縮方向となるフィルム体102を用いる。
なお、フィルム体102は、生産性向上の観点から、TD方向に印刷層104の列を複数形成可能な幅広のものを用いることが好適である。この場合、フィルム体102に、印刷層104、及び保護インキ層106形成した後、MD方向に沿ってスリットしてラベル1枚分の幅のフィルム体102とする。
次に、フィルム体102上に印刷層104を形成する。印刷層104は、フィルム体102のMD方向に沿って断続的に形成される。印刷層104は、上記のように、トナーを用いて電子写真方式の印刷機により形成される。
上記のように、トナーを用いた電子写真方式の印刷機は、例えば、感光体ドラムに電荷を与えた後、トナーを載せたくない部分をレーザー等で描画して電荷を除去し、所望のパターンでトナーを感光体ドラム上に付着させ、フィルム体102上に転写することで印刷層104を形成する。フィルム体102上に転写されたトナーは、加熱されて溶融し、フィルム体102上に定着する。トナーとしては、一般的な複写機に使用されるものを使用することもできるが、印刷機に応じてそれに適合する専用品を使用することが好適である。
次に、印刷層104が形成された領域(トナー印刷形成領域)の全域を覆う範囲で保護インキ層106を形成する。印刷層104が形成された領域(トナー印刷形成領域)の全域を覆う範囲で保護インキ層106を形成するのが好ましい。具体的には、保護インキ層106は、トナー印刷形成領域の両端より所定幅大きい領域、好ましくはトナー印刷形成領域の両端より所定幅大きく且つプライマリー層形成領域より所定幅小さい領域に、フィルム体102のMD方向に沿って連続的に形成される。
保護インキ層106は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版輪転印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の汎用印刷法や、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の従来公知の汎用コーターを用いた塗工法により、上記の保護インキ層106を形成する成分が溶融又は分散されたインキを塗工・乾燥固化して形成することができる。保護インキ層106は、グラビア印刷又はフレキソ印刷により形成することが好適である。
保護インキ層106を形成するインキは、固形分の主成分として、上記アクリル系樹脂、上記ウレタン系樹脂、及び上記アミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
活性エネルギー線硬化型インキ、例えば、紫外線硬化型インキを、保護インキ層106の下層側主面の中央に印刷して、凹凸部形成部108を形成する。このような活性エネルギー線硬化型インキは、単官能モノマーを80重量%以上含有し、かつ、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、パラクミルフェノールEO変性アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートからなる群より選ばれたモノマーを50重量%以上含有するモノマー成分より形成されたアクリル系ポリマーを含む。市販の紫外線硬化型インキとしては、例えばDIC株式会社製のエポキシ・アクリレート系インキを使用できる。
凹凸部形成部108は、紫外線硬化型インキが、フィルム体102、印刷層104、保護インキ層106からなる長尺状の積層体100の中央に、その幅(TD方向の長さ)と同じ幅(TD方向の長さ)の矩形の領域となるように印刷されることで形成される。この矩形の領域の両側のシュリンクラベルは、保護インキ層106の下層側主面が露出した活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部となっている。
続いて、上記各層が形成された所定幅のフィルム体102を筒状にして、のりしろに相当するシール部を形成する。具体的には、まず、一端縁の内面及び他端縁の外面となるフィルムのMD方向に沿った端縁のうち少なくとも一方(フィルム露出面)に、THF等のシール溶剤をMD方向に沿って所定幅で塗布する。THF等のシール溶剤は、接着剤に比べて低粘度であるため、フィルム体102を高速でMD方向に搬送しながら連続的に塗布可能である。フィルム体102に沿った一方の端縁にシール溶剤を塗布した後、溶剤塗布部を他方の端縁に重ね合わせることでMD方向に連続したシール部を形成する。これにより、筒状体に形成されたフィルム体102が得られる。そして、このフィルム体102をTD方向に沿って個々のラベルサイズにカットすることで、筒状シュリンクラベルが得られる。
このように、シュリンクラベルは、ベースフィルムとなるフィルム体102の下層側主面に、印刷層104を形成する。その後、印刷層104の下層側主面に、保護インキ層106を形成する。そして、保護インキ層106の下層側主面の中央の矩形領域に、紫外線硬化型インキを印刷し、紫外線を照射し、硬化させる。紫外線照射は、熱によるシュリンクラベルの収縮が懸念されるが、シュリンクラベルが収縮しない程度で、かつ活性エネルギー線硬化型インキが硬化する条件下で、紫外線照射を実施する。
そして、紫外線照射により活性エネルギー線硬化型インキを硬化させた凹凸部形成部108を有するシュリンクラベル100を、内部の空洞に容器300を収容できるように、凹凸部形成部108が内側を向くように円筒状に丸めることで、図3に示す円筒状シュリンクラベルが完成する。
その際、人手作業で容器300を収容する場合は、円筒形に丸めたシュリンクラベルの直径dは、容器300の長径よりも2〜3%大きなものとする。また、機械作業で容器300を収容する場合は、円筒形に丸めたシュリンクラベルの直径dは、容器300の長径よりも3〜4%大きなものとする。
なお、本発明の筒状シュリンクラベルを添付しうる容器としては、ガラス容器;PETなどの合成樹脂性容器;セラミックボトルなどの無機物容器;アルミや鉄、SUSなどの金属製容器;ガラス、合成樹脂、セラミック、金属、紙などを含む複合材からなる容器に好適に装着することができる。
一方、前記容器が合成樹脂製容器である場合には、該容器を構成する熱可塑性樹脂層としては、PETなどのポリエステル樹脂、PPなどのポリオレフィン系樹脂を使用することが、軽量で、機械的強度、耐熱性、ガス遮断性、耐薬品性、保香性、衛生性等に優れるため好ましい。容器は、ポリエステル樹脂やポリオレフィン系樹脂を射出成形、真空成形、圧空成形等することにより製造することができる。
容器の形状としては、筒状シュリンクラベルが装着される容器の横断面が丸型に限定されず、四角、八角などの多角型であってもよい。また、筒状シュリンクラベルが装着される容器胴部は、胴部の全長に亘って同一径である場合に限定されず、容器の胴部縦断面が四角である以外に、たとえばひょうたん型などであってもよい。むしろ、本発明では、熱収縮率に優れる横一軸延伸フィルムを使用するため、容器が凹凸のある形状であっても好適に装着することができる。従って、容器の筒状シュリンクラベル装着部の最大周径に対する最小周径(最小周径×100/最大周径(%))が50%以上、より好ましくは70〜90%、特に好ましくは75〜85%のものを好適に使用することができる。
シュリンクラベル100は、活性エネルギー線硬化型インキにより構成される凹凸部形成部108が、比較的平面状あるいは断面円弧状の面に位置し、角部には保護インキ層106が位置するように、容器300に被包させる。
(シュリンクラベルの使用方法)
上述の製造方法により完成した、図3に示す円筒型シュリンクラベルを、凹凸部形成部108を容器300の正面部の表面に対向するようにしてその空洞内に容器300が収容されるように、容器300に被せる。保護インキ層106は、容器300の左右の角部及び容器300の背面部に位置する。その際、円筒形に丸めたシュリンクラベルの直径dは、容器300の長径よりも3%大きなものとした。その際、保護インキ層106が存在することで、容器に対する滑り性が向上する。このため、円筒型シュリンクラベルに引っかかることなく、容器を円滑に収容できる。
その後、ベルトコンベアに円筒型シュリンクラベルを被せた容器を載せ、加熱区間長100cmのシュリンクトンネル内で67℃、速度60cm/min、風量調整不可の熱風により1回加熱することで、シュリンクさせる。
このシュリンクにより、円筒型シュリンクラベルが収縮して容器300の表面と密着し、容器300に貼付けられる。その際、活性エネルギー線硬化型インキが存在する凹凸部形成部108は、事前に紫外線が照射されており、硬化している。このため、硬化した活性エネルギー線硬化型インキが存在している領域のフィルム体は、収縮しにくく、熱収縮は、低密度である。よって、凹凸部形成部108が存在する領域のフィルム体の一方の主面と他方の主面のうち、少なくとも容器側とは反対側の主面は、微細な凹凸が形成された凹凸部となる。一方、下地に活性エネルギー線硬化型インキ印刷層が存在しない活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部のフィルム体は、熱収縮しやすく、高密度となる。よって、活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部のフィルム体の一方の主面と他方の主面のうち、少なくとも容器側とは反対側の主面は、略平坦状面となる。
また、シュリンクラベル全体が同一色に着色されているとすると、活性エネルギー線硬化型インキ印刷部に該当するフィルム体は、低密度に熱収縮するために、薄く呈色する。これに対し、活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部に該当するフィルム体は、高密度に熱収縮するために、濃く呈色する。
ところで、シュリンクフィルムのシュリンクは、図7に示すような、シュリンクトンネル800により実行される。シュリンクトンネル800は、ベルトコンベア802にシュリンクフィルムを被せた容器300を載せてシュリンクさせるが、基本的にはトンネル内は両サイドから熱風が吹き出している。このため、容器をコンベア中央に載せるとシュリンクラベルが均一に収縮する。また、熱風が当たった部分は、収縮しやすくなる。
このため、コンベア幅方向の中央部付近に容器を載せるのが好ましい。しかしながら、実際には、ベルトコンベア802の幅方向の任意の位置でよい。但し、熱風は、容器300の正面側に、容器300の高さ分のみにしか当てないように、該当する以外の熱風噴出口804は塞いでいる。
これにより、シュリンクラベル100の裏面(一方の主面)が、活性エネルギー線硬化型インキ印刷部となっているか、あるいは活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部となっているかに応じて、シュリンクラベル100の少なくとも表面(他方の主面)は、それぞれ、凹凸が形成された凹凸部、あるいは略平坦状面となる。これら凹凸部および略平坦状面は、視覚上も触覚上も互いに識別可能である。また、指が凹凸部に触れるように容器300を把持すると、容器300を把持した際のグリップが向上する。さらに、活性エネルギー線硬化型インキにより構成された凹凸部形成部108は、シュリンクラベル100のフィルム体102の収縮によって容器300と密着するため、長期間の使用によってもシュリンクラベル100表面の低収縮状態、すなわち、凹凸部は維持される。
これにより、従来の、シュリンクラベル上に孤立して存在する複数の凸部が、凹凸を充分に実現できず、また凸部がシュリンクラベルより脱落しやすい、という問題を解決できる。
また、従来のシュリンクラベルとは工程を大幅に変えることなく製造でき、殆どコストアップを招くことなく、視認性、触認性、耐久性に優れたシュリンクフィルムが得られる。
実施例
この実施例は、フィルム体が、市販のフィルム体として、例えば、グンゼ株式会社製HGL40μm(40μm厚のハイブリッド延伸ポリスチレンフィルム)で、印刷層が、プライマリー層にトナー粒子を含むことで、活性エネルギー線硬化型インキとしての紫外線硬化型インキが、例えばDIC株式会社製のエポキシ・アクリレート系インキで、保護インキ層が、上述のように、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を主成分とする樹脂で、それぞれ構成される。
まず、フィルム体102の裏面側に、上述のように電子写真方式等により印刷層104を形成する。
次に、印刷層104を覆うように保護インキ層106を、上述のように、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を樹脂の主成分として構成する。
更に、保護インキ層106上の、凹凸部を形成すべき領域に、紫外線硬化型インキ108を印刷し、その後紫外線を照射して硬化させることで、硬化した紫外線硬化型インキ108を容器に密着させた際に凹凸部を形成できるシュリンクラベルが完成する。
図2は、この発明の一実施例による、シュリンクラベルの紫外線硬化型インキ108の印刷パターンを示す。
活性エネルギー線硬化型インキ印刷層の印刷パターンは、図2に示すように、矩形の凹凸部形成部108が、保護インキ層106上に形成されるように、紫外線硬化型インキを印刷する。このため、紫外線硬化型インキ印刷部の紙面左右両側の領域は、紫外線硬化型インキ非印刷部である。
この図2の印刷パターンが形成されたシュリンクラベルは、フィルム体を左右の端縁(左側の端縁102aと右側の端縁102b)を接着して、図3に示すように円筒形に丸め、楕円柱型の容器に被せ、加熱することで、図4に示すように、容器の楕円筒状の胴体部の、楕円短径の一端付近の側面に、帯状の図柄を形成できた。
図4は、このシュリンクラベルを楕円柱型の容器に密着させた状態を示す。この図4(A)では、シュリンクラベル100の中央の矩形領域全面を、紫外線硬化型インキ印刷部とはしない。紫外線硬化型インキ印刷部の一部、すなわち、シュリンクラベル100に印刷されたメーカーのロゴ(偽造防止用標章:同図の例では、AAAは、AAA社のロゴLである)Lを囲繞する領域を、紫外線硬化型インキ非印刷部とした例を示す。
また、図4(B)は、この容器に収縮貼付けするシュリンクラベルを示す。
この実施例では、シュリンクラベルに印刷されたメーカーのロゴLを囲繞する領域は、凹凸部形成部108が形成されていない。このためメーカーのロゴLを囲繞する領域は、凹凸部とはならず、略平坦状面となっている。
このため、メーカーのロゴを囲繞する領域に浮き彫り感が生じ、商品の高級感を使用者に訴える広告宣伝機能や、品質等保証機能を持たせることができる。
併せて、このような浮き彫り感を有するロゴの模倣、再現は困難であり、模造品の製造を試みる者に対し、シュリンクラベルに、これが装着された被包体の出所を顕示する自他商品識別機能を持たせることができ、シュリンクラベルが装着された被包体の模造品の出現防止に寄与する偽造防止機能の役割を果たす。しかも、これらの機能を、コストアップを招くことなく実現できる。
なお、容器の底部付近では、シュリンクラベルが容器底面の一部に回り込んでいるため気密が維持される。
なお、上記実施例では、紫外線硬化型フィルム印刷層の形状を矩形としたが、これに限るものではなく、他の形状であってもよい。
また、上記実施例では、楕円柱状の容器にシュリンクラベルを収縮させるようにしたが、図5(A)に示すように、円筒型容器に収縮させるようにしてもよい。
また、図5(B)に示すように、メーカーのロゴ(偽造防止用標章)Lを、シュリンクラベル100の幅方向、すなわち、円筒型容器の高さ方向に沿って、横置きに小さく印刷し、そのロゴを囲繞する領域には、凹凸部形成部108を形成せず、略平坦状面としている。
これにより、その模倣、再現がより困難となり、シュリンクラベルが装着された被包体の模造品の出現防止に寄与する偽造防止機能の役割をより果たすことが可能となる。しかも、この機能を、コストアップを招くことなく実現できる。
また、収縮前のシュリンクラベルは、容器の胴部を覆うようにしたが、図6(a)に示すように、シュリンクラベルが円筒状あるいは楕円柱状等の容器全体を覆うように、収縮させてもよく、あるいはさらに、図6(b)に示すように、円筒状の容器本体に半球状のキャップを被せた容器全体を覆うように収縮したシュリンクラベルに付されたミシン目に沿って、容器頭部に密着する部分を切り取ることで、収縮したシュリンクラベルが容器の胴部のみを覆うようにすることも可能である。
図8は、この発明の他の実施の形態である、シュリンクラベルの紫外線硬化型インキ108の印刷パターンを示す。
本実施の形態のシュリンクラベル100は、保護インキ層106の下層側主面の大部分を活性エネルギー線硬化型インキ印刷層108とし、残りのごく一部を円形状の活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部110としたものである。
図1図示の実施の形態のシュリンクラベル100の活性エネルギー線硬化型インキ印刷層108は、110との境界は直線状の端縁であったが、図8図示の実施の形態のシュリンクラベル100の活性エネルギー線硬化型インキ印刷層108は、活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部110との境界が円弧状の端縁である。
このシュリンクラベルを加熱することで、シュリンクラベル表面の活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部に対応する領域が略平坦部、活性エネルギー線硬化型インキ印刷層に対応する領域が凹凸部となり、シュリンクラベル表面の一部に、凹凸部が散在する図柄を形成できた。
なお、上記実施例では、印刷層および保護インキ層を有するものとしたが、これらを有することなく、フィルム体上に直接凹凸部形成部を形成するようにしてもよい。
また、インキの塗布を、印刷により行うようにしたが、他の手法により塗布してもよい。
さらに、偽造防止用標章を、容器に充填された商品のメーカー名のロゴとしたが、これは、商品の商品名や愛称のロゴ、あるいは、商品の機能、効能等を示唆するシンボルマーク等、商品の偽造、複製防止を期待できるものであれば、他の形状のものであってもよい。
また、偽造防止用標章を紫外線硬化型インキ非印刷部とし、偽造防止用標章を囲繞する領域を紫外線硬化型インキ印刷部としたが、これとは逆に、造防止用標章を紫外線硬化型インキ印刷部とし、偽造防止用標章を囲繞する領域を紫外線硬化型インキ非印刷部としてもよい。
さらに、フィルム体を、主面の面方向に沿って収縮するものとし、その一例として、長手方向、あるいは幅方向に一軸収縮するものを使用したが、幅方向、長手方向の二軸方向に収縮するものを使用してもよい。
また、被包体は、容器に限るものではない。
このように、本発明は、前記実施の形態に限定されず、この発明の思想に基づき種々変更することができる。
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
この発明にかかるシュリンクラベルは、実際に識別可能な凹凸が形成されたシボ状面を、従来とあまり変わることのない工程で形成でき、コストアップを殆ど招くことなく、密着させた容器を他の容器と確実に識別可能なシュリンクラベルを提供でき、容器印刷業界に貢献する。
100,200 シュリンクラベル
102,202 フィルム体
104,204 印刷層
106,206 保護インキ層
108 凹凸部形成部
110 紫外線硬化型インキ非印刷部
208 紫外線硬化型インキ層
300,400 容器
P 活性エネルギー線硬化型インキ印刷部
NP 活性エネルギー線硬化型インキ非印刷部
L ロゴ

Claims (6)

  1. 一方の主面と他方の主面とを有し、加熱により主面の面方向に沿って収縮するフィルム体と、
    前記フィルム体の、凹凸部となるべき領域に該当する一方の主面の領域に、活性エネルギー線照射により硬化する活性エネルギー線硬化型インキを塗布し、活性エネルギー線照射により硬化してなる凹凸部形成部とを備え、
    前記凹凸部形成部が被覆すべき被包体に対向する状態で加熱を行うことにより、収縮し、前記被包体に密着して貼付けられた前記フィルム体は、
    前記凹凸部形成部が存在する領域が、前記加熱により熱収縮し、該熱収縮部における前記フィルム体の少なくとも他方の主面は、シュリンクラベルの厚み方向に凹凸となる前記凹凸部が形成された、ことを特徴とするシュリンクラベル。
  2. 前記凹凸部形成部は、前記活性エネルギー線硬化型インキを、2μm以上10μm以下の厚みとなるように塗布してなる、請求項1に記載のシュリンクラベル。
  3. 前記フィルム体は、前記凹凸部形成部が存在する領域以外の領域において、前記加熱により高密度に熱収縮し、該高密度熱収縮部における前記フィルム体の少なくとも他方の主面は、略平坦状である、請求項2に記載のシュリンクラベル。
  4. 全領域を同一色に着色した前記フィルム体は、前記高密度熱収縮部では濃く呈色し、前記熱収縮部では薄く呈色する、請求項3に記載のシュリンクラベル。
  5. 前記熱収縮部、あるいは、前記高密度熱収縮部は、本シュリンクラベルが密着する被包体の出所を示す偽造防止用標章を示す形状に形成されている、請求項3に記載のシュリンクラベル。
  6. 一方の主面と他方の主面とを有し、加熱により主面の面方向に沿って収縮するフィルム体の、凹凸部となるべき領域に該当する一方の主面の領域に、活性エネルギー線硬化型インキを塗布する工程と、
    前記活性エネルギー線硬化型インキに活性エネルギー線を照射し、硬化させ、該硬化した活性エネルギー線硬化型インキが存在する領域における前記フィルム体の少なくとも他方の主面を、シュリンクラベルの厚み方向に凹凸が形成された凹凸部とするための凹凸部形成部を形成する工程とを含み、
    前記フィルム体は、前記凹凸部形成部が被覆すべき被包体に対向する状態で加熱を行うことにより、収縮し、前記被包体に密着するとともに、前記凹凸部形成部が存在する領域が、前記加熱により熱収縮し、該熱収縮部における前記フィルム体の少なくとも他方の主面は、前記フィルム体の厚み方向に凹凸となる前記凹凸部が形成される、シュリンクラベルの製造方法。
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