JP2017050168A - 蓄電装置用外装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】シーラント層が薄層化した場合であっても良好な絶縁性を維持することのできる蓄電装置用外装材を提供すること。【解決手段】少なくとも基材層、接着剤層、金属箔層及びシーラント層を備え、シーラント層は無機系フィラーを含有し、かつ積層方向に沿った断面において、シーラント層の総厚に対する無機系フィラーの占める割合が5〜50%である、蓄電装置用外装材。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電装置用外装材に関する。
蓄電装置としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが知られている。携帯機器の小型化又は設置スペースの制限等により蓄電装置のさらなる小型化が求められており、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池に用いられる外装材としては、従来は金属製の缶が用いられていたが、軽量で、放熱性が高く、低コストで作製できる多層フィルム(例えば、基材層/金属箔層/シーラント層のような構成)が用いられるようになっている(例えば、特許文献1)。
特開2013−157287号公報
ところで、蓄電装置用外装材の薄型化を実現する手段の一つとして、シーラント層の薄層化を行うことが挙げられる。しかしながら、特許文献1等の従来技術に従いシーラント層を薄層化した場合、トップシールを施す際にタブリードと金属層の距離が近づき易くなるため、短絡が発生してしまう虞がある。また薄層化が進むことにより、ヒートシール時(トップシール、サイドシール及びデガッシングヒートシール)におけるシーラント層側の樹脂の流れによる層厚の変動が起こり易くなり、それが短絡を発生し易くすることも考えられる。なお、ここでいうトップシールとはタブリードを挟んだ箇所をヒートシールすること、サイドシールとはそれ以外の箇所をヒートシールすること、デガッシングヒートシールとはこれらヒートシールをして袋状にした外装材に電解液を注入した後、例えば外装材中央部分をヒートシールすること、をそれぞれ意味する。
そこで本発明は、上記事情に鑑み、シーラント層を薄層化した場合であっても良好な絶縁性を維持することのできる蓄電装置用外装材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも基材層、接着剤層、金属箔層及びシーラント層を備え、シーラント層は無機系フィラーを含有し、かつ積層方向に沿った断面において、シーラント層の総厚に対する無機系フィラーの占める割合が5〜50%である、蓄電装置用外装材を提供する。これにより、シーラント層が薄層化した場合であっても、良好な絶縁性を維持することが可能となる。
本発明において、無機系フィラーの含有量が、シーラント層の全質量を基準として5〜35質量%であることが好ましい。これにより、無機系フィラーがスペーサーとしての役割を十分に果たし易くなり、また接着性の低下も抑制しやすくなる。
シーラント層は2以上の層から構成され、そのうちの少なくとも1層が前記無機系フィラーを含有しないことが好ましい。無機系フィラーが添加されていない層については、無機系フィラーを含有させることによるシーラント層本来の特性の低下が生じることを抑制することができる。
無機系フィラーを含有する層の厚さが、シーラント層の総厚に対して50%以上であることが好ましい。この範囲を外れると、ヒートシール時に熱や圧がかかった場合、樹脂の流動が発生し易く、短絡が発生し易い傾向がある。
シーラント層において、無機系フィラーを含有する層が無機系フィラーを含有しない層に挟持されていることが好ましい。これにより、金属箔層13との接着性や、ヒートシール特性を阻害することなく絶縁特性を発現することができる。
無機系フィラーを含有する層が、酸変性ポリオレフィンからなる層であることが好ましい。これにより、無機系フィラーとの密着性を高め、ヒートシール時に熱や圧がかかっている場合であっても低流動性を確保し易い。
無機系フィラーは表面処理されたものであることが好ましい。これにより、シーラント層を形成する樹脂と無機系フィラーとの密着性が高まり、溶融時の樹脂流動性をより低下させることができる。
本発明によれば、シーラント層が薄層化した場合であっても良好な絶縁性を維持することのできる蓄電装置用外装材を提供することができる。加えて、本発明によれば、シーラント層が35μm以下の構成においても、トップシール、サイドシール、デガッシングヒートシールにおける短絡発生が抑制されるだけでなく、シーラント層に求められるラミ強度、シール強度の低下を伴わない外装材を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電装置用外装材の概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る蓄電装置用外装材の概略断面図である。 シーラント層の総厚に対する無機系フィラーの占める割合の算出方法を説明する模式図である。 実施例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。 実施例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。 実施例における評価サンプルの作製方法を説明する模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[蓄電装置用外装材]
図1は、本発明の蓄電装置用外装材の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示すように、本実施形態の外装材(蓄電装置用外装材)10は、基材層11と、該基材層11の一方の面上に形成された第一の接着剤層12と、該第一の接着剤層12の基材層11とは反対の面上に形成された金属箔層13と、該金属箔層13の第一の接着剤層12とは反対の面上に形成された腐食防止処理層14と、該腐食防止処理層14の金属箔層13とは反対の面上に形成されたシーラント層15と、が順次積層された積層体である。外装材10は、基材層11が最外層、シーラント層15が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を蓄電装置の外部側、シーラント層15を蓄電装置の内部側に向けて使用される。以下、各層について説明する。
<基材層11>
基材層11は、蓄電装置製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通の際に起こりうるピンホール対策という目的で設けるものであり、絶縁性を有する樹脂層を用いることが好ましい。そのような樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸または未延伸フィルムを、単層または2層以上積層した多層フィルムとして使用することができる。より具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)とナイロンフィルム(Ny)とを接着性樹脂を用いて共押出後に、延伸処理を施した共押し出し多層延伸フィルムを用いることが可能である。
基材層11の厚さは、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であると、蓄電装置用外装材10の耐ピンホール性及び絶縁性を向上できる傾向がある。
<第一の接着剤層12>
第一の接着剤層12は、基材層11と金属箔層13とを接着する層である。第一の接着剤層12を構成する材料としては、具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系;イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系の二塩基酸の一種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコルなどの脂環式系;キシリレングリーコルなどの芳香族系のジオールの一種以上と、を用いて得られる。
また、ポリエステルポリオールとしては、上述した二塩基酸とジオールとを用いて得られるポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、あるいは少なくとも一種以上から選択される上記イソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテル系のポリオールや、鎖長伸長剤として上述したイソシアネート化合物を作用させたポリエーテルウレタンポリオールを用いることが可能である。
アクリルポリオールとしては、上述したアクリル系モノマーを用いて重合したアクリル樹脂を用いることが可能である。
カーボネートポリオールとしては、カーボネート化合物とジオールとを反応させて得ることができる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを用いることができる。一方、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリールなどの脂環式ジオール;キシリレングリールなどの芳香族ジオール等の1種以上の混合物を用いたカーボネートポリオール、あるいは上述したイソシアネート化合物により鎖伸長を施したポリカーボネートウレタンポリオールが挙げられる。
上述した各種ポリオールは、外装材に求められる機能や性能に応じて、単独または2種以上を併用して用いることができる。また、これらの主剤に、上述したイソシアネート系化合物を硬化剤として用いることでポリウレタン系接着剤として用いることも可能である。
さらに、接着促進を目的として、上述したポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合してもよい。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどが挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、例えば、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリンなどのモノオキサゾリン化合物、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などのジオキサゾリン化合物が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールのような脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパンなどの脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル、レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンなどの多価フェノールのジグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエーテル、N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタンのようにアミンのN−グリシジル誘導体、アミノフェールのトリグリシジル誘導体、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシが挙げられる。
リン化合物としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなど各種シランカップリング剤を使用することが可能である。
また、接着剤に求められる性能に応じて、上述したポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
第一の接着剤層12の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
<金属箔層13>
金属箔層13は、水分が蓄電装置の内部に浸入することを防止する水蒸気バリア性を有する。また、金属箔層13は、深絞り成形をするために延展性を有する。金属箔層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができ、質量(比重)、防湿性、加工性及びコストの面から、アルミニウム箔が好ましい。
アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができるが、さらなる耐ピンホール性、及び成形時の延展性を付与させる目的で、鉄を含むアルミニウム箔を用いるのが好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量は、アルミニウム箔100質量%中、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた耐ピンホール性及び延展性を有する外装材10を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた外装材10を得ることができる。
また、アルミニウム箔としては、所望の成型時の延展性を付与できる点から、焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔(例えば、JIS規格でいう8021材、8079材よりなるアルミニウム箔)がさらに好ましい。
金属箔層13の厚さは、特に限定されるものではないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9〜200μmとすることが好ましく、15〜100μmとすることがより好ましい。
金属箔層13にアルミニウム箔を用いる場合、アルミニウム箔としては、未処理のアルミニウム箔を用いてもよいが、耐電解液性を付与する点で脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプが挙げられる。
ウェットタイプとしては、酸脱脂やアルカリ脱脂などが挙げられる。酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸が挙げられ、これら無機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルミニウム箔のエッチング効果を向上させるという観点から、必要に応じてFeイオンやCeイオンなどの供給源となる各種金属塩を配合しても構わない。アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。これらの脱脂は浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプとしては、アルミニウムを焼鈍処理する工程で、脱脂処理を行う方法が挙げられる。また、脱脂処理の他にも、フレーム処理やコロナ処理などを行ってもよい。さらには特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去するような脱脂処理も挙げられる。
なお、アルミニウム箔に脱脂処理する場合は、アルミニウム箔の片面のみに脱脂処理を施してもよく、両面に脱脂処理を施してもよい。
<腐食防止処理層14>
腐食防止処理層14は、電解液、又は、電解液と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層13の腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層14としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせにより形成される。腐食防止処理層は金属箔層13の第一の接着剤層12側の面に形成されていてもよく、金属箔層13の両面に形成されていてもよい。金属箔層13の両面に腐食防止処理層が形成されている場合、両腐食防止処理層の構成は、同一であっても異なっていてもよい。
脱脂処理としては、酸脱脂あるいはアルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸の単独、またはこれらの混合液を使用する方法などが挙げられる。また、酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を上記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、特に金属箔層13にアルミニウム箔を用いた場合に、アルミニウムの脱脂効果が得られるだけでなく、不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成させることができ、耐フッ酸性という点で有効である。アルカリ脱脂としては、水酸化ナトリウムなどを使用する方法が挙げられる。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。
陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、浸漬型、塗工型が挙げられる。浸漬型の化成処理としては、例えばクロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理が挙げられる。一方、塗工型の化成処理としては、腐食防止性能を有するコーティング剤を金属箔層13上に塗工する方法が挙げられる。
これら腐食防止処理のうち、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理のいずれかで腐食防止処理層の少なくとも一部を形成する場合は、事前に上述した脱脂処理を行うことが好ましい。なお、金属箔層13として脱脂処理済みの金属箔を用いる場合は、腐食防止処理層の形成において改めて脱脂処理する必要なはい。
塗工型の化成処理に用いられるコーティング剤は、好ましくは3価クロムを含有する。また、コーティング剤には、後述するカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーが含まれていてもよい。
また、上記処理のうち、特に熱水変成処理、陽極酸化処理は、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させる。そのため、アルミニウム箔を用いた金属箔層13から腐食防止処理層14まで共連続構造を形成した形態になるので、化成処理の定義に包含されるが、後述するように化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14を形成することも可能である。この方法としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。
上記希土類元素系酸化物のゾルとしては、例えば、水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系などの各種溶媒を用いたゾルが挙げられる。なかでも、水系のゾルが好ましい。
上記希土類元素系酸化物のゾルには、通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸またはその塩、酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸が分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸は、外装材10において、(1)ゾルの分散安定化、(2)リン酸のアルミキレート能力を利用した金属箔層13との密着性の向上、(3)フッ酸の影響で溶出したアルミニウムイオンを捕獲(不動態形成)することよる電解液耐性の付与、(4)低温でもリン酸の脱水縮合を起こしやすいことによる腐食防止処理層14(酸化物層)の凝集力の向上、などが期待される。
上記リン酸またはその塩としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。なかでも、外装材10における機能発現には、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が好ましい。また、上記希土類酸化物のゾルを用いて、各種コーティング法により希土類酸化物からなる腐食防止処理層を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると、低温での脱水縮合性に優れる点から、ナトリウム塩がより好ましい。リン酸塩としては、水溶性の塩が好ましい。
希土類元素酸化物に対するリン酸(あるいはその塩)の配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。上記配合比が希土類元素酸化物100質量部に対して1質量部以上であれば、希土類元素酸化物ゾルがより安定になり、外装材10の機能がより良好になる。上記配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して5質量部以上がより好ましい。また、上記配合比が希土類元素酸化物100質量部に対して100質量部以下であれば、希土類元素酸化物ゾルの機能が高まり、電解液の浸食を防止する性能に優れる。上記配合比は、希土類元素酸化物100質量部に対して、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
上記希土類酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層14は、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低くなるおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層14は、凝集力を補うために、下記アニオン性ポリマー、またはカチオン性ポリマーにより複合化されていることが好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、あるいはポリ(メタ)アクリル酸を主成分として共重合した共重合体が挙げられる。この共重合体の共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基など。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。
これらアニオン性ポリマーは、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層14(酸化物層)の安定性を向上させる役割を果たす。これは、硬くて脆い酸化物層をアクリル系樹脂成分で保護する効果、および、希土類酸化物ゾルに含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミ(特にナトリウムイオン)を捕捉する(カチオンキャッチャー)効果によって達成される。つまり、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層14中に、特にナトリウムなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、このイオンを含む場所を起点にして腐食防止処理層14が劣化しやすくなる。そのため、アニオン性ポリマーによって希土類酸化物ゾルに含まれるナトリウムイオンなどを固定化することで、腐食防止処理層14の耐性が向上する。
アニオン性ポリマーと希土類元素酸化物ゾルを組み合わせた腐食防止処理層14は、アルミニウム箔にクロメート処理を施して形成した腐食防止処理層14と同等の腐食防止性能を有する。アニオン性ポリマーは、本質的に水溶性であるポリアニオン性ポリマーが架橋された構造であることが好ましい。この構造の形成に用いる架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシ基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類;あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類;あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化したブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸などのジカルボン酸と、エピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いてもよい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物、あるいはイソプロペニルオキサゾリンのような重合性モノマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどのアクリル系モノマーを共重合させたものが挙げられる。
また、アニオン性ポリマーには、シランカップリング剤のように、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にさせてもよい。この場合、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどが使用できる。なかでも、特にアニオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮すると、エポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好ましい。
アニオン性ポリマーに対するこれらの架橋剤の比率は、アニオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して1質量部以上であれば、架橋構造が充分に形成されやすい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して50質量部以下であれば、塗液のポットライフが向上する。
アニオン性ポリマーを架橋する方法は、上記架橋剤に限らず、チタニウム、ジルコニウム化合物を用いてイオン架橋を形成する方法などであってもよい。
カチオン性ポリマーとしては、アミンを有するポリマーが挙げられ、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノールなどのカチオン性のポリマーが挙げられる。
カチオン性ポリマーは、カルボキシ基やグリシジル基などのアミン/イミンと反応が可能な官能基を有する架橋剤と併用することが好ましい。カチオン性ポリマーと併用する架橋剤としては、ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーも使用でき、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入した共重合体、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などのカルボキシ基を有する多糖類などが挙げられる。ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体などが挙げられる。これらのアミンは、フリーのアミンであってもよく、酢酸あるいは塩酸による安定化物であってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化硫黄などを使用してもよい。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与したタイプも使用でき、また、アミノフェノールも使用できる。特に、アリルアミンあるいはその誘導体が好ましい。
本実施形態では、カチオン性ポリマーも腐食防止処理層14を構成する一構成要素として記載している。その理由は、蓄電装置用外装材で要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与するべく様々な化合物を用い鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体も、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることが判明したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基で捕捉する(アニオンキャッチャー)ことで、アルミニウム箔が損傷することを抑制しているためであると推測される。
カチオン性ポリマーは、接着性の向上という点でより好ましい材料である。また、カチオン性ポリマーも、上記アニオン性ポリマーと同様に、水溶性であることから、架橋構造を形成させて耐水性を付与することがより好ましい。カチオン性ポリマーに架橋構造を形成する際の架橋剤は、アニオン性ポリマーの項で説明した架橋剤を使用できる。腐食防止処理層として希土類酸化物ゾルを用いた場合、その保護層として上記アニオン性ポリマーを用いる代わりに、カチオン性ポリマーを用いてもよい。
クロメート処理に代表される化成処理による腐食防止処理層14は、アルミニウム箔との傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いてアルミニウム箔に処理を施し、次いでクロムやノンクロム系の化合物を作用させて化成処理層をアルミニウム箔に形成させるものである。しかしながら、上記化成処理は、化成処理剤に酸を用いていることから、作業環境の悪化やコーティング装置の腐食を伴う。一方、前述したコーティングタイプの腐食防止処理層14は、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、アルミニウム箔を用いた金属箔層13に対して傾斜構造を形成させる必要がない。そのため、コーティング剤の性状は、酸性、アルカリ性、中性などの制約を受けることがなく、良好な作業環境を実現できる。加えて、クロム化合物を用いるクロメート処理は、環境衛生上、代替案が求められている点からも、コーティングタイプの腐食防止処理層14が好ましい。
以上の内容から、上述したコーティングタイプの腐食防止処理の組み合わせの事例として、(1)希土類酸化物ゾルのみ、(2)アニオン性ポリマーのみ、(3)カチオン性ポリマーのみ、(4)希土類酸化物ゾル+アニオン性ポリマー(積層複合化)、(5)希土類酸化物ゾル+カチオン性ポリマー(積層複合化)、(6)(希土類酸化物ゾル+アニオン性ポリマー:積層複合化)/カチオン性ポリマー(多層化)、(7)(希土類酸化物ゾル+カチオン性ポリマー:積層複合化)/アニオン性ポリマー(多層化)、等が挙げられる。中でも(1)及び(4)〜(7)が好ましく、(4)〜(7)が特に好ましい。ただし、本実施形態は、上記組み合せに限られるわけではない。たとえば腐食防止処理の選択の事例として、カチオン性ポリマーは、後述するシーラント接着層(シーラント層又は第二の接着剤層)の説明で挙げる変性ポリオレフィン樹脂との接着性が良好であるという点でも非常に好ましい材料であることから、シーラント接着層が変性ポリオレフィン樹脂で構成される場合においては、シーラント接着層に接する面にカチオン性ポリマーを設ける(例えば、構成(5)及び(6)などの構成)といった設計が可能である。
また、腐食防止処理層14は、前述した層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノールなど)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いて形成してもよい。この処理剤を用いれば、腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。また、塗液の安定性を考慮する必要があるものの、希土類酸化物ゾルとポリカチオン性ポリマーあるいはポリアニオン性ポリマーとを事前に一液化したコーティング剤を使用して腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。
腐食防止処理層14の単位面積当たりの質量は、多層構造、単層構造いずれであっても、0.005〜0.200g/mが好ましく、0.010〜0.100g/mがより好ましい。上記単位面積当たりの質量が0.005g/m以上であれば、金属箔層13に腐食防止機能を付与しやすい。また、上記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能はあまり変らない。一方、希土類酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不充分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、腐食防止処理層14の厚みについては、その比重から換算できる。
<シーラント層15>
シーラント層15は、外装材10にヒートシールによる封止性を付与する層である。シーラント層15を構成する材質としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、または酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。なお、外装材10(すなわち、後述する第二の接着剤層17を有しない構成:熱ラミネート)の場合において、シーラント層15が単層であるときは、酸変性ポリオレフィン樹脂(SPP)を用いることが好ましい。また、シーラント層15が多層であるときも、少なくとも最外層側である金属箔層13と接する側には、酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましいが、その他の層においては、ポリオレフィン樹脂及び酸変性ポリオレフィン樹脂のいずれを用いてもよい。これに対し、後述する外装材20(すなわち、第二の接着剤層17を有する構成:ドライラミネート)の場合においては、シーラント層15の層構成(単層又は多層)によらず、全ての層において、ポリオレフィン樹脂及び酸変性ポリオレフィン樹脂のいずれを用いてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入して得られた樹脂である。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられ、カルボキシ基が特に好ましい。カルボキシ基をポリオレフィン樹脂に導入した酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂に対し、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物、又は不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルをラジカル開始剤の存在下でグラフト変性してなる酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。以下、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルを合わせてグラフト化合物ということがある。
なお、ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂中のグラフト化合物の割合は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.2〜100質量部が好ましい。グラフト反応の温度条件は、50〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましい。反応時間は製造方法にも左右されるが、二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、押出機の滞留時間内が好ましい。具体的には、2〜30分が好ましく、5〜10分がより好ましい。グラフト反応は、常圧、加圧いずれの条件下においても実施できる。
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、アルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらの有機過酸化物は、温度条件と反応時間によって適宜選択できる。前記した二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましく、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3、ジクミルペルオキシドがより好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸により変性されたポリオレフィン樹脂が好ましく、例えば、三井化学社製の「アドマー」、三菱化学社製の「モディック」などが適している。このような酸変性ポリオレフィン樹脂成分は、各種金属や各種官能基を有するポリマーとの反応性に優れるため、該反応性を利用してシーラント層15に密着性を付与することができ、耐電解液性を向上することができる。
シーラント層15は無機系フィラー16を含有する。無機系フィラー16には、絶縁性、耐電解液性、耐熱性(ヒートシール時の熱対策)、硬度(ヒートシール時の圧対策)、耐酸性(電解液と水が反応することで発生するフッ化水素対策)等の特性や、好ましくはさらに熱伝導性(低温ヒートシールが可能であり、電池としての放熱性が期待できる)が要求される。
無機系フィラー16としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、珪酸ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄、酸化アンチモン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等から構成されるフィラーが挙げられる。これらの中でも、耐電解液性、耐酸性、耐熱性、硬度、熱伝導性の観点から、酸化アルミニウム又は窒化ホウ素が好ましい。
なお、無機系フィラー16は1次フィラー(単独フィラー)、2次フィラー(凝集フィラー)のいずれも含む用語として定義される。無機系フィラー16の形状(単独フィラーの形状)としては特に限定されるものではなく、球状、板状、針状、繊維、柱状、不定形等の形状のフィラーを好適に用いることができる。例えば、無機系フィラー16として球状のフィラーを採用した場合、その平均一次粒子径は0.5〜20μm程度とすることができる。
これらの無機系フィラー16は表面処理されたものであることがより好ましい。無機系フィラー16に対してシランカップリング材等で表面処理を施すと、シーラント層15を形成する樹脂と無機系フィラー16との密着性が高まり、溶融時の樹脂流動性をより低下させることができる。これにより、ヒートシール時に熱や圧がかかっている場合でも樹脂の流れを抑制することができ、短絡防止に繋げることができる。なお、表面処理にはさらに、シーラント層15から無機系フィラー16が脱落することを防止し易くするという観点もある。
本実施形態では、蓄電装置用外装材の積層方向に沿った断面において、シーラント層15の総厚に対するこれらの無機系フィラー16の占める割合は5〜50%である。これにより、シーラント層15が薄層化した場合であっても、良好な絶縁性を維持することが可能となる。以下、簡潔にその理由を説明する。
蓄電装置を作製する際のヒートシール時の熱や圧力によって、一般的にはシーラント層15では溶融や潰れが発生する。例えば、トップシールにおいては、シーラント層15の溶融や潰れが起こることでタブリードと金属層との距離が近くなり、短絡が発生し易くなる。これに対し、シーラント層15中に所定量の無機系フィラー16が存在することにより、熱や圧力が掛かってもシーラント層15の溶融や潰れが発生し難く、タブリードと金属層にある一定以上の距離を作り出すことができる。これにより、短絡の発生を抑制することが可能となる。
またシーラント層15の薄層化が進むと、層単体の抵抗が小さくなるため、層厚の変化や多少のクラックでも絶縁性が低下し易い。特に、ヒートシール時(トップシール、サイドシールおよびデガッシングヒートシール)の層厚変動が影響していると考えられる短絡が確認されている。そのため、無機系フィラー16を添加することで、フィラーがギャップを保つ役割を担うとともに、分子間相互作用によりヒートシール時の溶融による樹脂の流動を抑制することができ、短絡を防止することが可能となる。
なお、シーラント層15の総厚に対する無機系フィラー16の占める割合が5%未満であると、スペーサーとしての役割が不十分となり、タブリードと金属層が近づくことで、短絡が発生する虞がある。また、当該割合が50%より大きいと、フィラーの含有量が多すぎるため、シーラント層15を形成することが困難になるとともに、接触面積が少なくなることでの層間での接着性が低下する。また、ヒートシール強度が低下する。このような観点から、上記割合は20〜30%がより好ましい。
シーラント層15の全質量を基準としたとき、無機系フィラー16の含有量は5〜35質量%であることが好ましい。含有量が5質量%未満であるとスペーサーとしての役割が不十分となり、タブリードと金属層が近づくことで、短絡が発生してしまう虞がある。また、含有量が少ないと、シーラント層15の粘度が低くなり易く、流動性を制御することが困難となる傾向がある。一方、当該含有量が35質量%より多いと、接触面積が少なくなることで接着性が低下し易くなる。また、ヒートシール強度が低下し易くなったり、シーラント層15の粘度が高くなりすぎることで、製膜加工性が低下し易い傾向がある。このような観点から、無機系フィラー16の含有量は15〜25質量%がより好ましい。
シーラント層15は、単層フィルムであっても、複数の層を積層させた多層フィルムであってもよい。必要とされる機能に応じて、例えば、防湿性を付与するという点ではエチレン−環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテンなどの樹脂を介在させた多層フィルムを用いてもよい。
本実施形態においては、シーラント層15が2以上の層から構成され、そのうちの少なくとも1層が無機系フィラー16を含有しない態様とすることが好ましい。シーラント層15を2層以上の多層で構成することにより、無機系フィラー16が添加されていない層については、無機系フィラー16を含有させることによるシーラント層15本来の特性の低下を生じることなく、絶縁性を発現することができる。
無機系フィラー16を含有する層の厚さは、シーラント層15の総厚に対して50%以上であることが好ましい。シーラント層15の総厚に対して、無機系フィラーを含有する層の厚さが50%未満であると、ヒートシール時に熱や圧がかかった場合、樹脂の流動が発生し易く、短絡が発生し易い傾向がある。そのため、当該比率は60%以上であることがより好ましい。なお、シーラント層15を多層とすること、すなわち無機系フィラーを含有しない層を設けることによる上述のメリットを享受するためには、当該比率の上限値は90%とすることができる。
シーラント層15が2以上の層から構成される場合において、無機系フィラー16を含有する層が無機系フィラー16を含有しない層に挟持されていること(例えば3層構成の内の中間層であること)が好ましい。これにより、金属箔層13との接着性や、ヒートシール特性を阻害することなく絶縁特性を発現することができる。なお、例えばこのような3層構成のシーラント層15とした場合、当然ながら無機系フィラー16を含有する層を外層側あるいは内層側に配置することも可能であるが、前者においては金属箔層13との接着性が低下し易くなったり、後者においてはシール強度が低下し易くなったりする傾向がある。
シーラント層15が2以上の層から構成される場合において、各層は上記に説明した各成分を適宜用いて独立に形成することができる。すなわち、例えば各層を構成する樹脂材料が同一であっても異なっていてもよく、各層の厚みが同一であっても異なっていてもよい。ただし、無機系フィラー16との密着性を高め、ヒートシール時に熱や圧がかかっている場合であっても低流動性を確保し易いという観点から、少なくとも無機系フィラー16を含有する層が酸変性ポリオレフィンからなる層であることが好ましい。
シーラント層15には各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などを配合してもよい。
シーラント層15の厚さは、10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。シーラント層15が多層から構成される場合は、各層の合計厚さ(総厚)がこの範囲にあることが好ましい。
以上、本発明の蓄電装置用外装材の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図1では、腐食防止処理層14が金属箔層13のシーラント層15側の面に形成されている場合を示したが、腐食防止処理層14は金属箔層13の第一の接着剤層12側の面に形成されていてもよく、金属箔層13の両面に形成されていてもよい。金属箔層13の両面に腐食防止処理層14が形成されている場合、金属箔層13の第一の接着剤層12側に形成される腐食防止処理層14の構成と、金属箔層13のシーラント層15側に形成される腐食防止処理層14の構成とは、同一であっても異なっていてもよい。
また、図1では、金属箔層13とシーラント層15とが(腐食防止処理層14を介して)直接積層されている場合を示したが、図2に示す蓄電装置用外装材20のように、第二の接着剤層17を用いて金属箔層13とシーラント層15とが積層されていてもよい。以下、第二の接着剤層17について説明する。
<第二の接着剤層17>
第二の接着剤層17は、腐食防止処理層14が形成された金属箔層13とシーラント層15とを接着する層である。第二の接着剤層17には、金属箔層13とシーラント層15とを接着するための一般的な接着剤を用いることができる。
腐食防止処理層14が上述したカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む層を有する場合、第二の接着剤層17は、腐食防止処理層14に含まれる上記ポリマーと反応性を有する化合物(以下、「反応性化合物」とも言う)を含む層であることが好ましい。
例えば、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層17はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。腐食防止処理層14がアニオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層17はアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。また、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーを含む場合、第二の接着剤層17はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物とを含む。ただし、第二の接着剤層17は必ずしも上記2種類の化合物を含む必要はなく、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーの両方と反応性を有する化合物を含んでいてもよい。ここで、「反応性を有する」とは、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーと共有結合を形成することである。また、第二の接着剤層は、酸変性ポリオレフィン樹脂をさらに含んでいてもよい。
カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
これら多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示した多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、カチオン性ポリマーとの反応性が高く、架橋構造を形成しやすい点で、多官能イソシアネート化合物が好ましい。
アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。これらグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示したグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性ポリマーとの反応性が高い点で、グリシジル化合物が好ましい。
第二の接着剤層17が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合、反応性化合物は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基とも反応性を有する(すなわち、酸性基と共有結合を形成する)ことが好ましい。これにより、腐食防止処理層との接着性がより高まる。加えて、酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋構造となり、外装材10の耐溶剤性がより向上する。
反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基に対し、等量から10倍等量であることが好ましい。等量以上であれば、反応性化合物が酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基と十分に反応する。一方、10倍等量を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂との架橋構造が不十分となり、上述した耐溶剤性などの物性の低下が懸念される。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられ、カルボキシ基が特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、シーラント層に用いる変性ポリオレフィン樹脂として例示したものと同様のものを用いることができる。
第二の接着剤層17には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
なお、金属箔層13とシーラント層15とを接着させるために用いる一般的な接着剤には、シランカップリング剤が含まれている場合がある。これは、シランカップリング剤を配合することで接着を促進し、接着強度を高めるためである。しかし、シランカップリング剤を配合する接着剤を用いると、シランカップリング剤に含まれる官能基の種類によっては、接着剤層に含まれるシランカップリング剤以外の成分とシランカップリング剤とが副反応を起こし、本来の目的の架橋反応に弊害が生じるおそれがある。そのため、金属箔層13とシーラント層15とを接着させるために用いる接着剤には、シランカップリング剤が含まれていないことが好ましい。
第二の接着剤層17が上述した反応性化合物を含むことにより、腐食防止処理層14中のポリマーと共有結合を形成し、腐食防止処理層14と第二の接着剤層17との接着強度が向上する。よって、第二の接着剤層17には接着を促進する目的でシランカップリング剤を配合する必要がなく、第二の接着剤層17はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
第二の接着剤層17の厚さは、3〜50μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。第二の接着剤層17の厚さが下限値以上であれば、優れた接着性が得られやすい。第二の接着剤層の厚さが上限値以下であれば、外装材の側端面から透過する水分量が低減される。
第二の接着剤層17以外の蓄電装置用外装材20の構成は、蓄電装置用外装材10と同様である。なお、蓄電装置用外装材20におけるシーラント層15の厚さは、第二の接着剤層17の厚さに応じて調整する。蓄電装置用外装材20におけるシーラント層15の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5〜100μmの範囲であることが好ましく、10〜80μmの範囲であることがより好ましい。
[外装材の製造方法]
次に、図1に示す外装材10の製造方法の一例について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材10の製造方法は、金属箔層13に腐食防止処理層14を積層する工程と、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程と、シーラント層15をさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体を熱処理する工程とを含んで概略構成されている。
(金属箔層13への腐食防止処理層14の積層工程)
本工程は、金属箔層13に対して、腐食防止処理層14を形成する工程である。その方法としては、上述したように、金属箔層13に脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理を施したり、腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工したりする方法などが挙げられる。
また、腐食防止処理層14が多層の場合は、例えば、下層側(金属箔層13側)の腐食防止処理層を構成する塗工液(コーティング剤)を金属箔層13に塗工し、焼き付けて第一層を形成した後、上層側の腐食防止処理層を構成する塗工液(コーティング剤)を第一層に塗工し、焼き付けて第二層を形成すればよい。また、第二層は、後述するシーラント層15の積層工程において形成することもできる。
脱脂処理についてはスプレー法または浸漬法にて、熱水変成処理や陽極酸化処理については浸漬法にて、化成処理については化成処理のタイプに応じ浸漬法、スプレー法、コート法などを適宜選択して行えばよい。
腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法については、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を用いることが可能である。
上述したように、各種処理は金属箔層13の両面または片面のどちらでも構わないが、片面処理の場合、その処理面はシーラント層15が積層する側に施すことが好ましい。なお、要求に応じて、基材層11の表面にも上記処理を施してもよい。
第一層及び第二層を形成するためのコーティング剤の塗布量はいずれも、0.005〜0.200g/mが好ましく、0.010〜0.100g/mがより好ましい。
また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層14の乾燥条件に応じて、母材温度として60〜300℃の範囲で行うことができる。
(基材層11と金属箔層13との貼り合わせ工程)
本工程は、腐食防止処理層14を設けた金属箔層13と、基材層11とを、第一の接着剤層12を介して貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法を用い、上述した第一の接着剤層12を構成する材料にて両者を貼り合わせる。第一の接着剤層12は、ドライ塗布量として1〜10g/mの範囲、より好ましくは3〜7g/mの範囲で設ける。
(シーラント層15の積層工程)
本工程は、先の工程により形成された腐食防止処理層14上に、シーラント層15を形成する工程である。その方法としては、押出ラミネート機を用いてシーラント層15をサンドラミネーションする方法が挙げられる。さらには、シーラント層15をタンデムラミネート法、共押出法で押出すことによっても積層可能である。
本工程により、図1に示すような、基材層11/第一の接着剤層12/金属箔層13/腐食防止処理層14/シーラント層15の順で各層が積層された積層体が得られる。
また、多層の腐食防止処理層14を形成する場合、押出ラミネート機にアンカーコート層を塗工することが可能なユニットを備えていれば、該ユニットにて腐食防止処理層14の第二層を塗工してもよい。
(熱処理工程)
本工程は、積層体を熱処理する工程である。積層体を熱処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/シーラント層15間での密着性を向上させ、より優れた耐電解液性や耐フッ酸性を付与することができ、また、シーラント層15の結晶化の進行を抑えて成形時の白化現象の発生を抑制する効果も得られる。従って本工程では、上述した各層間での密着性を向上させるとともに、シーラント層15の結晶化が促進されない程度に熱処理するのが好ましい。熱処理の温度は、シーラント層15を構成する材料の種類などに依存するが、目安としては、積層体の最高到達温度が、シーラント層15の融点よりも20〜100℃高くなるように熱処理するのが好ましく、シーラント層15の融点よりも20〜60℃高くなるように熱処理するのがより好ましい。積層体の最高到達温度がこの範囲未満であると、結晶核が残り結晶化が促進されやすくなる。一方、積層体の最高到達温度がこの範囲を超えると、例えば、金属箔の熱膨張や、貼り合せ後の基材層の熱収縮が発生し、加工性や特性を低下させる可能性がある。そのため、熱処理時間は、処理温度に依存するが、短時間(例えば30秒未満)で行うのが望ましい。
また、冷却は結晶化を抑制するために、急速に冷却することが好ましい。冷却速度としては50〜100℃/秒程度が好ましい。
このようにして、図1に示すような、本実施形態の外装材10を製造することができる。
次に、図2に示す外装材20の製造方法の一例について説明する。なお、外装材20の製造方法は以下の方法に限定されない。
本実施形態の外装材20の製造方法は、金属箔層13に腐食防止処理層14を積層する工程と、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程と、第二の接着剤層17を介してシーラント層15をさらに積層して積層体を作製する工程と、必要に応じて、得られた積層体をエージング処理する工程とを含んで概略構成されている。なお、基材層11と金属箔層13とを貼り合わせる工程までは、上述した外装材10の製造方法と同様に行うことができる。
(第二の接着剤層17およびシーラント層15の積層工程)
本工程は、金属箔層13の腐食防止処理層14側に、第二の接着剤層17を介してシーラント層15を貼り合わせる工程である。貼り合わせの方法としては、ウェットプロセスが挙げられる。
ウェットプロセスの場合は、第二の接着剤層17を構成する接着剤の溶液又は分散液を、腐食防止処理層14上に塗工し、所定の温度(接着剤が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合は、その融点以上の温度)で溶媒を飛ばし、焼き付けを行う。その後、シーラント層15を積層し、外装材20を製造する。塗工方法としては、先に例示した各種塗工方法が挙げられる。
(エージング処理工程)
本工程は、積層体をエージング(養生)処理する工程である。積層体をエージング処理することで、金属箔層13/腐食防止処理層14/第二の接着剤層17/シーラント層15間の接着を促進させることができる。エージング処理は、室温〜100℃の範囲で行うことができる。エージング時間は、例えば、1〜10日である。
このようにして、図2に示すような、本実施形態の外装材20を製造することができる。
以上、本発明の蓄電装置用外装材及びその製造方法の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の蓄電装置用外装材は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタなどの蓄電装置用の外装材として好適に用いることができる。中でも、本発明の蓄電装置用外装材は、リチウムイオン電池用の外装材として好適である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例で使用した材料を以下に示す。
<基材層(厚さ15μm)>
ナイロンフィルム(Ny)(東洋紡社製)を用いた。
<第一の接着剤層(厚さ4μm)>
ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ社製)を用いた。
<腐食防止処理層>
溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」を用いた。なお、ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルは、酸化セリウム100質量部に対して、リン酸のNa塩を10質量部配合して得た。
<金属箔層(厚さ35μm)>
焼鈍脱脂処理した軟質アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、「8079材」)を用
いた。
<第二の接着剤層(厚さ4μm)>
トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、イソシアヌレート構造のポリイソシアネート化合物を10質量部(固形分比)で配合した接着剤を用いた。
<シーラント層(厚さは表中に記載)>
SPP:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学社製 アドマー)
PP :ポリプロピレン(プライムポリマー社製 プライムポリプロ)
<無機系フィラー>
酸化アルミニウム:電気化学工業社製(球状)
窒化ケイ素:日本セラテック社製(不定形)
窒化ホウ素:住友スリーエム社製(板状)
酸化ケイ素:電気化学工業社製(球状)
酸化チタン:富士チタン工業社製(球状)
*無機系フィラーの表面処理:シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング社製)
[実施例1](シーラント層:熱ラミネート)
金属箔層の一方の面にポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルを、ドライ塗布量として70mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗工し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施した。これにより、金属箔層に第一の腐食防止処理層を形成した。
次に、金属箔層の他方の面にもポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルを、ドライ塗布量として70mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗工し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施した。これにより、金属箔層に第二の腐食防止処理層を形成した。
次に、第一及び第二の腐食防止処理層を設けた金属箔層の第一の腐食防止処理層側をドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(第一の接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。これを押出ラミネート機の巻出部にセットし、第二の腐食防止処理層上に290℃、100m/分の加工条件で共押出しすることで構成−1のシーラント層(厚さ35μm)を積層した。なお、シーラント層については、事前に二軸押出機を用いて所望の層を作製しておき、水冷・ペレタイズの工程を経て、上記押出ラミネートに使用した。なお、シーラント層の構成は表1及び2に示すとおりとした。
このようにして得られた積層体を、該積層体の最高到達温度が190℃になるように、熱ラミネーションにより熱処理を施して、外装材(基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/シーラント層の積層体)を製造した。
[実施例2〜31、比較例1〜3](シーラント層:熱ラミネート)
構成−1のシーラント層に代えて、表1及び表2に示す各構成のシーラント層を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外装材を製造した。
[実施例32〜40](シーラント層:ドライラミネート)
実施例1と同様にして、基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層の積層体を作製した。次に、第二の腐食防止処理層上にドライラミネート法により、ドライ塗工量4〜5g/mで接着剤(第二の接着剤層)を塗工し、乾燥及び造膜後、シーラント層を貼り付けた。なお、シーラント層の接着剤貼り合わせ面にはコロナ処理を施しておいた。その後、40℃で5日間のエージングを行い、外装材(基材層/第一の接着剤層/第一の腐食防止処理層/金属箔層/第二の腐食防止処理層/第二の接着剤層/シーラント層の積層体)を製造した。
Figure 2017050168
Figure 2017050168
なお、表中、シーラント層の総厚に占める無機系フィラーの占める割合は、図3に示すようにして算出した。
まず、外装材の積層方向に沿って切出したシーラント層の断面をマイクロスコープで撮影し、画像処理を行う。その際、任意の始点としてn=1の測定点を決定する。測定点は始点から0.1mm刻み毎に面方向に9点設け、始点を含め計10点の測定点を決定する。次に、図3に示すように、例えばn=1の測定点では、シーラント層の総厚t及び無機系フィラー(n=1の測定点においては二個)の垂直方向の積算長さx+yを決定する。そして、(x+y)/t×100(%)を計算することにより、任意のn=1の測定点におけるシーラント層の総厚に占める無機系フィラーの占める割合(垂直方向の長さ)を測定する。この作業を、n=2〜n=10の測定点に対して行い、その平均値を求めることにより、シーラント層の総厚に占める無機系フィラーの占める割合を決定することができる。
<評価>
実施例及び比較例で得られた外装材に対し、以下の評価試験を行った。
(電解液ラミネート強度)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPFを1Mになるように加えた電解液をテフロン(登録商標)容器に充填し、その中に外装材を15mm×100mmにカットしたサンプルを入れ、密栓後85℃、24時間で保管した。その後、共洗し、金属箔層/シーラント層間又は金属箔層/第二の接着剤層間のラミネート強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じて、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:ラミネート強度が9N/15mm超
B:ラミネート強度が7N/15mm以上、9N/15mm以下
C:ラミネート強度が5N/15mm以上、7N/15mm未満
D:ラミネート強度が5N/15mm未満
(電解液ヒートシール強度)
外装材を60mm×120mmにカットしたサンプルを2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで190℃、0.5MPa、3secで熱封緘した。その後、残りの2辺も熱封緘し袋状になった外装材に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPFを1Mになるように加えた電解液を1ml注入したパウチを60℃で24時間保管後、熱封緘1辺目を15mm幅にカットし(図4を参照)、シール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じ、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:シール強度が80N/15mm以上、バースト幅が5mm超
B:シール強度が80N/15mm以上、バースト幅が3〜5mm
C:シール強度が60N/15mm以上、80N/15mm未満
D:シール強度が60N/15mm未満
(デガッシングヒートシール強度)
外装材を75mm×150mmにカットしたサンプルを37.5mm×150mmに2つ折りにした後(図5(a)を参照)、150mm辺と37.5mm辺をヒートシールし、製袋する。その後、パウチ内に、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合溶液にLiPFを1Mになるように加えた電解液を5ml注液し、ヒートシールにて封止し、60℃で24時間保管後、パウチ中央部を190℃、0.3MPa、2secでデガッシングヒートシールした(図5(b)を参照)。シール部を安定化させるため、常温で24時間保管後、デガッシングシール部を15mm幅にカットし(図5(c)を参照)、ヒートシール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じて、23℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/minで行った。その結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:シール強度が60N/15mm以上
B:シール強度が40N/15mm以上、60N/15mm未満
C:シール強度が30N/15mm以上、40N/15mm未満
D:シール強度が30N/15mm未満
(絶縁性能)
外装材を75mm×150mmにカットしたサンプルを37.5mm×150mmに2つ折りにした。その後、タブシーラントとタブを挟んでトップシール(ギャップを用いてシール圧を制御する)、続けてサイドシールを行った。その後、電極を接触させるために外層の一部を削り金属層を露出させた後、タブ(図6(a)の点A)と露出させた金属層(図6(a)の点B)に電極を繋ぎ、25V印加を行い、抵抗値の測定を行った(絶縁試験1)。
続いて、残りの1辺から電解液を5ml注入し、ヒートシールにて封止した。60℃24時間保管後、パウチ中央部を190℃、0.3MPa、2secでデガッシングヒートシールした。シール部を安定化させるため、常温で24時間保管した後、タブ(図6(b)の点A)と露出させた金属層(図6(b)の点B)に電極を繋ぎ、25V印加を行い、抵抗値の測定を行った(絶縁試験2)。
絶縁試験1及び2の結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:200MΩ以上
B:100MΩ以上200MΩ以下
C:30MΩ以上100MΩ未満
D:30MΩ未満
(総合品質)
上記各評価の結果を表3に示す。下記表3において、各評価結果にD評価がないものは、総合的な品質が優れていると言える。
Figure 2017050168
表1〜3の結果から明らかなように、実施例の蓄電装置用外装材であれば、シーラント層が薄層化した場合であっても、十分なヒートシール強度を達成しつつ、良好な絶縁性を維持できることが理解される。また、無機系フィラーの含有層がSPPからなりかつ中間層であると、特に優れたラミ強度・シール強度を保持したまま良好な絶縁性を維持することができることが理解される。
10,20…蓄電装置用外装材(外装材)、11…基材層、12…第一の接着剤層、13…金属箔層、14…腐食防止処理層、15…シーラント層、16…無機系フィラー、17…第二の接着剤層。

Claims (7)

  1. 少なくとも基材層、接着剤層、金属箔層及びシーラント層を備え、
    前記シーラント層は無機系フィラーを含有し、かつ積層方向に沿った断面において、前記シーラント層の総厚に対する前記無機系フィラーの占める割合が5〜50%である、蓄電装置用外装材。
  2. 前記無機系フィラーの含有量が、シーラント層の全質量を基準として5〜35質量%である、請求項1に記載の蓄電装置用外装材。
  3. 前記シーラント層が2以上の層から構成され、そのうちの少なくとも1層が前記無機系フィラーを含有しない、請求項1又は2記載の蓄電装置用外装材。
  4. 前記無機系フィラーを含有する層の厚さが、シーラント層の総厚に対して50%以上である、請求項3記載の蓄電装置用外装材。
  5. 前記シーラント層において、前記無機系フィラーを含有する層が前記無機系フィラーを含有しない層に挟持されている、請求項3又は4記載の蓄電装置用外装材。
  6. 前記無機系フィラーを含有する層が、酸変性ポリオレフィン樹脂からなる層である、請求項1〜5のいずれか一項記載の蓄電装置用外装材。
  7. 前記無機系フィラーが表面処理されたものである、請求項1〜6のいずれか一項記載の蓄電装置用外装材。
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