JP2000173558A

JP2000173558A - 薄型電池用袋体

Info

Publication number: JP2000173558A
Application number: JP10346068A
Authority: JP
Inventors: Masahiko Tatsuki; 雅彦辰木; Masaki Goto; 正樹後藤
Original assignee: Sumitomo Riko Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date: 1998-12-04
Filing date: 1998-12-04
Publication date: 2000-06-23

Abstract

(57)【要約】【課題】絶縁層を設けることなくリード線との短絡が防
止でき、しかも、製造コストを抑えるとともに、薄型電
池の薄型化のニーズに応えることができる薄型電池用袋
体を提供する。【解決手段】アルミニウム箔製金属層２とポリプロピレ
ン製シーラント層３とからなるラミネートシート材１の
シーラント層３同士をヒートシールすることにより袋状
に形成した薄型電池収納用の袋体であって、上記シーラ
ント層３には、多数の酸化アルミニウム製絶縁性粒子５
が分布している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池（ＬＩＢ）等の薄型電池用の発電要素を収納する
薄型電池用袋体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】最近の種々の電子機器の発達に伴い、電
子機器の小型化，省スペース化のニーズが高まってお
り、これに用いる薄型電池（シート状電池）にも更なる
薄型化と可撓性が求められている。このようなニーズに
応えるものとして、ゲル状ポリマー電解質を用いたリチ
ウムイオン二次電池が実用化段階に入りつつある。

【０００３】図２および図３はそのゲル状ポリマー電解
質を用いたリチウムイオン二次電池の構造例を示してい
る。図において、２１は正極集電体（アルミニウム
箔）、２２は正極（コバルト酸リチウム等のリチウム含
有複合酸化物）、２３は隔離材（溶媒で可塑化されたポ
リマー電解質）、２４は負極（炭素材）、２５は負極集
電体（銅箔）であり、これら発電要素が収納手段２６
（この構造例では、収納手段２６として外側のアルミニ
ウム箔層と内側のポリエチレン層とからなるアルミニウ
ムラミネートフィルムが用いられている）に収納されて
いる。また、２６ａは収納手段２６の外周部に形成され
たヒートシール部、２７は外周部に絶縁皮膜が形成（絶
縁処理）されているリード線である。このリード線２７
に形成された絶縁皮膜は、収納手段２６のアルミニウム
箔層との短絡を防止している。

【０００４】しかしながら、ヒートシールの条件によっ
ては、上記リード線２７の導線（金属部）と収納手段２
６のアルミニウム箔層とが短絡する。そこで、この短絡
を防止するために、特開平９−２８３１００号公報に
は、図４に示すように、上記アルミニウム箔層に相当す
る金属層３１と上記ポリエチレン層に相当するヒートシ
ール用プラスチック層３２との間に、ヒートシール時に
溶融しない絶縁層３３および低融点プラスチック層３４
を設けている。そして、上記ヒートシール用プラスチッ
ク層３２同士がリード線（図示せず）を挟んでヒートシ
ールされて上記収納手段２６（図２および図３参照）に
相当する封入袋が作製される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記絶
縁層を設けると、上記封入袋の製造時において上記絶縁
層を設ける工程が増え、製造コストが高くなる。さら
に、絶縁層（または絶縁層およびこの絶縁層を金属層に
接着するための接着材層）の厚みが増して封入袋の厚み
も増し、薄型電池の薄型化のニーズに逆行する。

【０００６】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、絶縁層を設けることなくリード線との短絡が防
止でき、しかも、製造コストを抑えるとともに、薄型電
池の薄型化のニーズに応えることができる薄型電池用袋
体の提供をその目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、金属層とシーラント層とからなるラミネ
ート材のシーラント層同士をヒートシールすることによ
り袋状に形成した薄型電池用発電要素収納用の袋体であ
って、上記シーラント層に多数の絶縁性粒子が分布して
いるという構成をとる。

【０００８】すなわち、本発明の薄型電池用袋体は、そ
のシーラント層に多数の絶縁性粒子が分布しているた
め、ヒートシールされる各シーラント層間からリード線
を取り出してヒートシールしても、リード線と金属層と
の間に上記絶縁性粒子が介在し、リード線の導線（金属
部）とラミネート材の金属層とが短絡する恐れがない。
このため、絶縁層を設ける必要がなく、薄型電池の薄型
化のニーズに応えることができる。さらに、上記ラミネ
ート材の製造において、金属層の表面にシーラント層を
設ける場合には、その材料の中に予め絶縁性粒子を分布
させてラミネート加工すればよいため、製造コストを抑
えることができる。

【０００９】つぎに、本発明を詳しく説明する。

【００１０】本発明の薄型電池用袋体は、金属層と多数
の絶縁性粒子が分布しているシーラント層とからなるラ
ミネート材からなる。

【００１１】上記薄型電池用袋体を構成するラミネート
材の金属層の材料としては、圧延，電解等により得られ
る、アルミニウム，アルミニウム合金，銅，銅合金，
鉄，ステンレス，チタン，チタン合金等が用いられ、箔
等各種形態に成形される。そして、その膜厚は５〜１０
０μｍの範囲に設定されることが好ましい。上記膜厚が
５μｍを下回ると、金属層にピンホールが発生し易くな
り、ラミネート材のガスバリア性や遮水性が低下し、１
００μｍを上回ると、薄型電池用袋体の薄型化や可撓性
に不利となる。

【００１２】また、上記シーラント層の材料としては、
ポリプロピレン，ポリエチレン，ポリエステル，ポリア
クリロニトリル，ポリ酢酸ビニル，エチレン酢酸ビニル
コポリマー（ＥＶＡ），ポリビニルアルコール（ＰＶ
Ａ），変性ポリプロピレン，ポリビニルアセテート等が
用いられる。特に、バリア性および耐薬品性の面からポ
リプロピレン，ポリエチレンが好ましい。そして、その
膜厚は５〜１０００μｍの範囲に設定されることが好ま
しい。上記膜厚が５μｍを下回ると、上記絶縁性粒子を
分布させにくくなくなり、１０００μｍを上回ると、薄
型電池用袋体の薄型化に不利となる。

【００１３】また、上記絶縁性粒子の材料としては、酸
化アルミニウム（Ａｌ₂Ｏ₃），酸化ケイ素（Ｓｉ
Ｏ₂），酸化マグネシウム（ＭｇＯ），ガラス，ポリエ
チレンテレフタレート（ＰＥＴ），ナイロン，エポキシ
樹脂，フェノール樹脂等が用いられる。特に、コストの
面から酸化アルミニウムが好ましい。そして、上記絶縁
性粒子の粒径（直径）は５〜１００μｍの範囲に設定さ
れることが好ましい。上記粒径が５μｍを下回ると、リ
ード線の導線（金属部）とラミネート材の金属層とが短
絡する恐れがあり、１００μｍを上回ると、シーラント
層の厚みを厚くすることを要し、薄型電池の薄型化のニ
ーズに逆行する。さらに、上記絶縁性粒子の含有量は、
シーラント層の表面から深みが１０μｍまでの間の層
に、１００個／ｃｍ²〜８００万個／ｃｍ²、好ましく
は、１万個／ｃｍ²〜１００万個／ｃｍ ²の範囲に設定
される。上記含有量が１００個／ｃｍ²を下回ると、リ
ード線の導線（金属部）とラミネート材の金属層とが短
絡する恐れがあり、８００万個／ｃｍ²を上回ると、ヒ
ートシール力が低下し始め、１万個／ｃｍ²〜１００万
個／ｃｍ²の範囲では、絶縁性粒子の分散が悪くても、
局部的に絶縁性粒子の少ないところや凝集したところが
できにくい。また、上記絶縁性粒子は、ヒートシール時
に溶融しないことが好ましい。

【００１４】

【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を図
面にもとづいて詳しく説明する。

【００１５】図１は、本発明の薄型電池用袋体の一実施
の形態を示している。この実施の形態では、薄型電池用
袋体は、その袋体を構成するシート材１がアルミニウム
箔製金属層２と、この金属層２の表面に設けられたポリ
プロピレン製シーラント層３と、上記金属層２の裏面に
設けられたポリプロピレン製樹脂層４とからなるラミネ
ート材であり、このラミネート材（シート材１）の表面
のシーラント層３には、酸化アルミニウム製絶縁性粒子
５が分布している。そして、上記ラミネート材（シート
材１）のシーラント層３同士がヒートシールされること
により袋体に形成されている。また、上記薄型電池用袋
体に収納される薄型電池用発電要素の大きさは、通常、
４０ｍｍ×８０ｍｍ×２ｍｍ（厚み）程度である。さら
に、上記発電要素の電極には、リード線６が接続されて
おり、このリード線６は、上記ヒートシールされるシー
ラント層３間をリード線６の取り出し口として、上記薄
型電池用袋体の外部に取り出されている。それ以外の構
成は、図２および図３に示す従来の技術と同様である。

【００１６】上記リード線６は、外周部に絶縁皮膜が形
成（絶縁処理）されていないもので、正極接続用のもの
は、アルミニウム，チタンおよびこれらの合金製導線
（金属部）からなるものであり、負極接続用のものは、
ニッケル，銅およびこれらの合金製導線（金属部）から
なるものである。

【００１７】上記構成において、シーラント層３間のリ
ード線６の取り出し口からリード線６を取り出し、上記
シーラント層３間をヒートシールすると、上記絶縁性粒
子５がリード線６と上記金属層２との間に介在するた
め、リード線６が金属層２に接することなく、上記シー
ラント層３同士がヒートシールされる。また、上記ヒー
トシールの圧力を高くしても同様に、上記絶縁性粒子５
がリード線６と上記金属層２との間に介在し、リード線
６が金属層２に接することなく、上記シーラント層３同
士がヒートシールされる。

【００１８】上記実施の形態によれば、シーラント層３
に絶縁性粒子５が分布しているため、リード線６が上記
金属層２に接することがない。このため、リード線６の
外周部に絶縁皮膜を形成する必要がない。このことか
ら、リード線６を端子等と接続する際に、リード線６の
絶縁皮膜を取り除いてリード線６の導線（金属部）を露
出させる作業が不要となる。その結果、リード線６に絶
縁皮膜を形成する作業および絶縁皮膜を取り除く作業を
省略できる分製造コストを低減することができる。さら
に、リード線６に絶縁皮膜を形成する必要がなくなるた
め、リード線６の取り出し口のヒートシール部では、絶
縁皮膜の分薄くなり、シーラントの埋まりがよくなる。

【００１９】また、上記実施の形態のシート材１の製造
において、金属層２の表面にポリプロピレン製シーラン
ト層３を設ける場合には、その材料の中に予め酸化アル
ミニウム製絶縁性粒子５を分布させてラミネート加工す
るだけでよく、従来の技術の絶縁層を設ける場合より
も、製造コストが低くなる。さらに、上記実施の形態で
は、絶縁層を設けないため、従来の技術の絶縁層を設け
る場合よりも、薄型電池を薄型化することができる。

【００２０】なお、上記実施の形態では、シート材１が
ヒートシールされることにより袋体に形成されたが、さ
らにシール性を向上させるために、接着層を導入しても
よい。この場合、接着剤には、変性ポリオレフィン，ウ
レタン系，エポキシ系，ＥＥＡ系，シランカップリング
剤等が用いられる。

【００２１】

【発明の効果】以上のように、本発明の薄型電池用袋体
は、そのシーラント層に多数の絶縁性粒子が分布してい
るため、ヒートシールされる各シーラント層間からリー
ド線を取り出してヒートシールしても、リード線と金属
層との間に上記絶縁性粒子が介在し、リード線の導線
（金属部）とラミネート材の金属層とが短絡する恐れが
ない。このため、絶縁層を設ける必要がなく、薄型電池
の薄型化のニーズに応えることができる。さらに、上記
ラミネート材の製造において、金属層の表面にシーラン
ト層を設ける場合には、その材料の中に予め絶縁性粒子
を分布させてラミネート加工すればよいため、製造コス
トを抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態の薄型電池用袋体を示す
部分断面図である。

【図２】従来のリチウムイオン二次電池を示す斜視図で
ある。

【図３】従来のリチウムイオン二次電池の構造例を示す
断面図である。

【図４】従来の絶縁層が設けられた非水電解質電池用封
入袋を示す部分断面図である。

【符号の説明】

１シート材２金属層３シーラント層５絶縁性粒子

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】金属層とシーラント層とからなるラミネ
ート材のシーラント層同士をヒートシールすることによ
り袋状に形成した薄型電池用発電要素収納用の袋体であ
って、上記シーラント層に多数の絶縁性粒子が分布して
いることを特徴とする薄型電池用袋体。
【請求項２】シーラント層の材料が、ポリプロピレ
ン，ポリエチレン，ポリエステル，ポリアクリロニトリ
ル，ポリ酢酸ビニル，エチレン酢酸ビニルコポリマーお
よびポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少な
くともひとつの高分子物質であり、絶縁性粒子の材料
が、酸化アルミニウム，酸化ケイ素，酸化マグネシウ
ム，ガラス，ポリエチレンテレフタレート，ナイロン，
エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選ば
れる少なくともひとつの物質である請求項１記載の薄型
電池用袋体。