以下では、本発明の一実施形態に係る「二次電池の製造方法」および「二次電池」をより詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
本明細書で直接的または間接的に説明される「平面視(または平面図)」は、二次電池を構成する電極材層の積層方向(電池、電極組立体または電極材層の厚み方向)に沿って対象物を外側からとらえた場合の形態に基づいて基づいている。また、本明細書で直接的または間接的に説明される「断面視(または断面図)」は、二次電池を構成する電極材層の積層方向(電池または電極材層の厚み方向)に沿って対象物を切り取った仮想的な断面に基づいて基づいている。
更に、本明細書で直接的または間接的に用いる上下方向および左右方向は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材または同じ意味内容を示すものとする。
[本発明で製造される二次電池の構成]
本発明の製造方法では二次電池が得られる。本明細書でいう「二次電池」とは、充電・放電の繰り返しが可能な電池のことを指している。従って、本発明の製造方法で得られる二次電池は、その名称に過度に拘泥されるものでなく、例えば蓄電デバイスなども対象に含まれ得る。
本発明に係る二次電池は、正極、負極及びセパレータを含む電極構成層が積層した電極組立体を有して成る。図1には電極組立体を模式的に例示している。図1(A)および1(B)に示されるように、正極1と負極2とはセパレータ3を介して積み重なって電極構成層10を成しており、かかる電極構成層10が少なくとも1つ以上積層して電極組立体が構成されている。二次電池ではこのような電極組立体が電解質(例えば非水電解質)と共に外装体に封入されている。
正極は、少なくとも正極材層および正極集電体から構成されている。正極では正極集電体の少なくとも片面に正極材層が設けられており、正極材層には電極活物質として正極活物質が含まれている。例えば、電極組立体における複数の正極は、それぞれ、正極集電体の両面に正極材層が設けられていてよいし、あるいは、正極集電体の片面にのみ正極材層が設けられていてよい。二次電池のさらなる高容量化の観点でいえば正極は正極集電体の両面に正極材層が設けられていることが好ましい。
負極は、少なくとも負極材層および負極集電体から構成されている。負極では負極集電体の少なくとも片面に負極材層が設けられており、負極材層には電極活物質として負極活物質が含まれている。例えば、電極組立体における複数の負極は、それぞれ、負極集電体の両面に負極材層が設けられていてよいし、あるいは、負極集電体の片面にのみ負極材層が設けられていてよい。二次電池のさらなる高容量化の観点でいえば負極は負極集電体の両面に負極材層が設けられていることが好ましい。
正極および負極に含まれる電極活物質、即ち、正極活物質および負極活物質は、二次電池において電子の受け渡しに直接関与する物質であり、充放電、すなわち電池反応を担う正負極の主物質である。より具体的には、「正極材層に含まれる正極活物質」および「負極材層に含まれる負極活物質」に起因して電解質にイオンがもたらされ、かかるイオンが正極と負極との間で移動して電子の受け渡しが行われて充放電がなされる。正極材層および負極材層は特にリチウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、非水電解質を介してリチウムイオンが正極と負極との間で移動して電池の充放電が行われる非水電解質二次電池となっていることが好ましい。充放電にリチウムイオンが関与する場合、本発明の製造方法で得られる二次電池は、いわゆるリチウムイオン電池に相当し、正極および負極がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層を有している。
正極材層の正極活物質は例えば粒状体から成るところ、粒子同士の十分な接触と形状保持のためにバインダー(結着材とも称される)が正極材層に含まれていることが好ましい。更には、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が正極材層に含まれていてもよい。同様にして、負極材層の負極活物質は例えば粒状体から成るところ、粒子同士の十分な接触と形状保持のためにバインダーが含まれることが好ましく、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が負極材層に含まれていてもよい。このように、複数の成分が含有されて成る形態ゆえ、正極材層および負極材層はそれぞれ正極合材層および負極合材層などと称すこともできる。
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であることが好ましい。かかる観点でいえば、正極活物質は例えばリチウム含有複合酸化物であることが好ましい。より具体的には、正極活物質は、リチウムと、コバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄から成る群から選択される少なくとも1種の遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物であることが好ましい。つまり、本発明の製造方法で得られる二次電池の正極材層においては、そのようなリチウム遷移金属複合酸化物が正極活物質として好ましくは含まれている。例えば、正極活物質はコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、または、それらの遷移金属の一部を別の金属で置き換えたものであってよい。このような正極活物質は、単独種として含まれてよいものの、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。あくまでも例示にすぎないが、本発明の製造方法で得られる二次電池では、正極材層に含まれる正極活物質がコバルト酸リチウムとなっていてよい。
正極材層に含まれる得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、ポリフッ化ビリニデン、ビリニデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビリニデンフルオライド−テトラフルオロチレン共重合体およびポリテトラフルオロチレンなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。正極材層に含まれる得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維等の炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀等の金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。例えば、正極材層のバインダーはポリフッ化ビニリデンであってよく、また、正極材層の導電助剤はカーボンブラックであってよい。あくまでも例示にすぎないが、正極材層のバインダーおよび導電助剤は、ポリフッ化ビニリデンとカーボンブラックとの組合せとなっていてよい。
負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であることが好ましい。かかる観点でいえば、負極活物質は例えば各種の炭素材料、酸化物、または、リチウム合金などであることが好ましい。
負極活物質の各種の炭素材料としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、ハードカーボン、ソフトカーボン、ダイヤモンド状炭素などを挙げることができる。特に、黒鉛は電子伝導性が高く、負極集電体との接着性が優れる点などで好ましい。負極活物質の酸化物としては、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛および酸化リチウムなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。負極活物質のリチウム合金は、リチウムと合金形成され得る金属であればよく、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、Laなどの金属とリチウムとの2元、3元またはそれ以上の合金であってよい。このような酸化物は、その構造形態としてアモルファスとなっていることが好ましい。結晶粒界または欠陥といった不均一性に起因する劣化が引き起こされにくくなるからである。あくまでも例示にすぎないが、本発明の製造方法で得られる二次電池では、負極材層の負極活物質が人造黒鉛となっていてよい。
負極材層に含まれる得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド系樹脂およびポリアミドイミド系樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。例えば、負極材層に含まれるバインダーはスチレンブタジエンゴムとなっていてよい。負極材層に含まれる得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維等の炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀等の金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。なお、負極材層には、電池製造時に使用された増粘剤成分(例えばカルボキシルメチルセルロース)に起因する成分が含まれていてもよい。
あくまでも例示にすぎないが、負極材層における負極活物質およびバインダーは人造黒鉛とスチレンブタジエンゴムとの組合せになっていてよい。
正極および負極に用いられる正極集電体および負極集電体は電池反応に起因して活物質で発生した電子を集めたり供給したりするのに資する部材である。このような集電体は、シート状の金属部材であってよく、多孔または穿孔の形態を有していてよい。例えば、集電体は金属箔、パンチングメタル、網またはエキスパンドメタル等であってよい。正極に用いられる正極集電体は、アルミニウム、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものが好ましく、例えばアルミニウム箔であってよい。一方、負極に用いられる負極集電体は、銅、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものが好ましく、例えば銅箔であってよい。
正極および負極に用いられるセパレータは、正負極の接触による短絡防止および電解質保持などの観点から設けられる部材である。換言すれば、セパレータは、正極と負極と間の電子的接触を防止しつつイオンを通過させる部材であるといえる。好ましくは、セパレータは多孔性または微多孔性の絶縁性部材であり、その小さい厚みに起因して膜形態を有している。あくまでも例示にすぎないが、ポリオレフィン製の微多孔膜がセパレータとして用いられてよい。この点、セパレータとして用いられる微多孔膜は、例えば、ポリオレフィンとしてポリエチレン(PE)のみ又はポリプロピレン(PP)のみを含んだものであってよい。更にいえば、セパレータは、“PE製の微多孔膜”と“PP製の微多孔膜”とから構成される積層体であってもよい。セパレータの表面が無機粒子コート層や接着層等により覆われていてもよい。セパレータの表面が接着性を有していてもよい。なお、本発明において、セパレータは、その名称によって特に拘泥されるべきでなく、同様の機能を有する固体電解質、ゲル状電解質、絶縁性の無機粒子などであってもよい。
本発明の製造方法で得られる二次電池では、正極、負極およびセパレータを含む電極構成層から成る電極組立体が電解質と共に外装に封入されている。正極および負極がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層を有する場合、電解質は有機電解質・有機溶媒などの“非水系”の電解質であることが好ましい(すなわち、電解質が非水電解質となっていることが好ましい)。電解質では電極(正極・負極)から放出された金属イオンが存在することになり、それゆえ、電解質は電池反応における金属イオンの移動を助力することになる。
非水電解質は、溶媒と溶質とを含む電解質である。具体的な非水電解質の溶媒としては、少なくともカーボネートを含んで成るものが好ましい。かかるカーボネートは、環状カーボネート類および/または鎖状カーボネート類であってもよい。特に制限されるわけではないが、環状カーボネート類としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)およびビニレンカーボネート(VC)から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。鎖状カーボネート類としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジプロピルカーボネート(DPC)から成る群から選択される少なくも1種を挙げることができる。あくまでも例示にすぎないが、非水電解質として環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組合せが用いられてよく、例えばエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物が用いられる。また、具体的な非水電解質の溶質としては、例えば、LiPF6および/またはLiBF4などのLi塩が好ましく用いられる。
二次電池の外装体は、正極、負極及びセパレータを含む電極構成層が積層した電極組立体を包み込むものであるが、ハードケースの形態であってよく、あるいは、ソフトケースの形態であってもよい。具体的には、外装体は、いわゆる金属缶に相当するハードケース型であってもよく、あるいは、いわゆるラミネートフィルムから成るパウチに相当するソフトケース型であってもよい。
[本発明の製造方法の特徴]
本発明の製造方法は、外装体への電極組立体の収納に特徴を有している。特に、本発明は、端子要素に関連した電極組立体の収納の点で特徴を有する。
本発明では、電極組立体100の端子要素80が、金属層60と樹脂層70とから少なくとも成る積層構造を有するところ、樹脂層70の形態を局所的に変えることによって曲げ応力集中ポイント50を樹脂層70に設ける(図2(a)および2(b)ならびに図3参照)。電極組立体100を外装体200に収納するに際しては、曲げ応力集中ポイント50を起点にして端子要素80を曲げに付す(図2(b)および2(c)ならびに図3参照)。図示する態様から分かるように、金属層60と樹脂層70とから構成される端子要素80の樹脂層70に対して外観形態の点で一部変化した箇所を設け、その一部変化した箇所を曲げ応力集中ポイント50として端子要素80を曲げに付す。
本発明において「端子要素」とは、広義には、電極組立体に含まれる要素であって、外装体の電池外部端子に対して電気接続される要素のことを指している。狭義には、「端子要素」は、電極組立体のいわゆるタブと称される導電性部材、または、タブとリードとが互い一体化した導電性部材のことを指している。「タブ」は、正極または負極の集電体の一部であって、特に電極活物質(正極材・負極材)が設けられておらず、電極組立体において正極または負極から突出した形態を有する集電体要素を意味している。また、「リード」とは、電池製造において常套的に用いられる、タブと共に端子を形成する導電性部材のことを指している。
本発明では、樹脂層70の形態を局所的に変えることで設けた曲げ応力集中ポイント50を好適に利用する。具体的には、応力集中ポイント50を起点にして端子要素80を曲げており、かかる曲げを通じて電極組立体100を外装体200に収納する(図3参照)。より具体的には、曲げ応力集中ポイントは、端子要素にて他のポイントよりも曲げ易くなっている。よって、その曲げ易いポイントで端子要素を曲げに付すので外装体への電極組立体のより好適な挿入がもたされる。例えば、曲げ応力集中ポイントは、曲げのための折り目などを入れ易いので、かかる折り目によって端子要素をよりスムーズに曲げることができる。つまり、端子要素が長尺状形態を有し、その端子要素を曲げなければ電極組立体が外装体内に収まらない場合であっても、よりスムーズに端子要素を曲げることができ、電極組立体をより効率的に外装体に収めることができる。また、曲げに先立って曲げ応力集中ポイントを設けるので、曲げ箇所をより正確に発現させることができ、端子要素を当初意図した曲げの通りで外装体内に収めることができる。つまり、当初意図した曲げとならずに端子要素が外装体内に首尾よく収まりきらないといった不都合な事象が減じられると共に、複数の二次電池を製造する場合では電池間における曲げのバラツキが減じられ得る。
本発明の製造方法で設ける「曲げ応力集中ポイント」は、端子要素に対して曲げるような外力をかけた際、端子要素に生じる応力が、端子要素の曲げにより効くように作用するポイントのことを指している。曲げ応力集中ポイントなるものを仮に端子要素に設けなかった場合、曲げのための外力によって端子要素にもたらされる応力は、端子要素全体により分散したものとなる。よって、曲げの発生に実際に要する力が大きくなり、また、曲げの発生箇所が偶発的なものとなってしまう。
本発明における「曲げ応力集中ポイント」とは、そのように曲げ外力が端子要素に加えられた場合に端子要素にもたらされる応力が分散せずにより集中したものとなるポイントのことを指している。つまり、「曲げ応力集中ポイント」が存在することで、曲げを実際に引き起こすのに要する力がより減じられたり、または、曲げの発生箇所が意図的かつ正確的なものとなり得る。
特に本発明の製造方法では「曲げ応力集中ポイント」は、樹脂層の形態を局所的に変えることで設けられる。つまり、端子要素の積層構造を成す樹脂層の形態を部分的に変えることによって曲げ応力集中ポイントを設ける。ここでいう「樹脂層の形態を局所的に変える」とは、広義には、端子要素の樹脂層が、その有する外観形態の点で一部変化した箇所を具備するように処理することを意味している。狭義には、「樹脂層の形態を局所的に変える」は、そのような一部変化した箇所を端子要素の曲げの点で意図的に樹脂層に付加することを意味している。
ある好適な態様では、樹脂層の一部を切り欠いた形態とすることによって曲げ応力集中ポイントを設ける。つまり、端子要素において、樹脂層を局所的に切り欠いた形態がもたらされるように処理する。図4(A)に示すように、金属層60と樹脂層70とから成る端子要素80の積層構造において、樹脂層70の一部をその厚み方向に全て切り欠いて応力集中ポイント50を設けてよい。また、図4(B)および図4(C)に示すように、樹脂層70の一部をその厚み方向において部分的に切り欠いて応力集中ポイント50を設けてもよい。換言すれば、図示するように、樹脂層の局所的な箇所で樹脂層70の厚みを部分的に減じるようにして応力集中ポイント50を設けてよい。切り欠き自体は、樹脂層に対して機械的な切除(例えば機械工具を用いた切除プロセス)を施すことによって設けてよいし、あるいは、樹脂層に対して熱的切除(例えば、レーザ加工プロセスなど、局所的な加熱デバイスを用いた切除プロセス)を施すことによって設けてもよい。
図4に示す態様から分かるように、樹脂層の切欠き幅は略一定であってよいし(図4(B)参照)、あるいは、樹脂層の切欠き幅を漸次変化させてもよい(図4(C)参照)。図4(C)に示す態様では、樹脂層70の外側から内側に向かって切欠き幅をテーパ状に減少させている。
このような態様に従えば、端子要素に対して曲げ外力が加えられた際に端子要素にもたらされる応力が、樹脂層の切欠き箇所により集中することになり、切欠き箇所が応力集中ポイントとして好適に機能し得る。よって、端子要素で樹脂層の一部を切り欠いた箇所は、その箇所を起点に端子要素を曲げ易く、電極組立体の外装体収納が助力される。
別のある好適な態様では、樹脂層に切込みを入れることによって曲げ応力集中ポイントを設ける。つまり、端子要素において、樹脂層の連続性が少なくとも部分的に断絶した形態が得られるように処理する。図5に示すように、金属層60と樹脂層70とから成る端子要素80の積層構造において、樹脂層70の厚み方向に沿うような切込み55を入れて応力集中ポイント50を設けてよい。図示する態様では、樹脂層70の切込み55は、金属層60にまで達していないものの、金属層60に達するように切込み55を延在させてもよい。切込み自体は、樹脂層に対して機械的な加工(例えば、カッター具などの機械的な加工具を用いたプロセス)を施すことによって設けてよいし、あるいは、樹脂層に対して熱的切除(例えば、レーザ加工プロセスなど、局所的な加熱デバイスを用いた切込みプロセス)を施すことによって設けてもよい。
このような態様に従えば、端子要素に対して曲げ外力が加えられた際に端子要素にもたらされる応力が、樹脂層の切込み箇所により集中することになり、切込み箇所が応力集中ポイントとして好適に機能し得る。よって、端子要素で樹脂層に切込みを入れた箇所は、その箇所を起点に端子要素を曲げ易く、電極組立体の外装体収納が助力される。
本発明の製造方法では、樹脂層に設けた曲げ応力集中ポイントが、曲げの内側に位置付けられるように端子要素を曲げることが好ましい。つまり、図4(A)および図5に示すように、曲げ応力集中ポイント50が、いわゆる谷折りとなるように端子要素を曲げに付す。これにより、曲げ応力集中ポイントが、端子要素の外側でより露出した状態とならず、ショートなどの不都合な事象が好適に回避され得る。樹脂層自体は電極組立体において端子要素の絶縁化のために施されているものなので、その樹脂層に切欠き/切込みを設けることは絶縁化の効果を減じる方向に働き得るものの、切欠き/切込みを曲げの内側とすることで、それを最小限化できる。
曲げ応力集中ポイントの設置に起因した絶縁化効果の低減をなるたけ抑える観点でいえば、応力集中ポイントが内側となる端子要素の曲げ箇所の内角α(図5参照)は、好ましくは鋭角であって、より好ましくは60°以下、更に好ましくは45°以下である。
ある好適な態様では、図4(A)および図5に示すように、樹脂層70には第1樹脂層70Aおよび第2樹脂層70Bが含まれ、第1樹脂層70Aと第2樹脂層70Bとの間に金属層60が介在している。つまり、図示するような端子要素80の断面視において、上下両側に対を成すように樹脂層(70A,70B)が形成されており、その対を成す樹脂層に挟持されるように金属層60が設けられていることが好ましい。かかる態様では、第1樹脂層70Aおよび第2樹脂層70Bの少なくとも一方に曲げ応力集中ポイント50を設けてよい。つまり、端子要素の断面視において、上下両側に対を成す樹脂層の少なくとも一方に対して曲げ応力集中ポイントを設けてよい。
端子要素の積層構造を成す樹脂層は、端子要素の絶縁化に資すると共に、曲げ応力集中ポイントの形成に資するものであれば、特に制限はない。例えば、樹脂層の形成には、シーラント材および/またはテープ材を用いてよい。シーラント材は、一般的に構造物の防水性または気密性を保持するために継ぎ目または隙間に充填される材料であるところ、そのような材料から端子要素の樹脂層が形成されてよい。シーラント材自体は、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂などから成る樹脂材であってよく、例えば軟質樹脂材であってよい。より具体的なシーラント材を1つ例示すると、ポリプロピレン(PP)であってよい。また、テープ材は、粘着層を有するフィルム基材であるところ、そのようなテープ材が金属層に貼り付けられることで端子要素の樹脂層が構成されていてよい。テープ材のフィルム基材は、非粘着性の樹脂基材に相当し、例えば、セロハン、塩化ビニル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)および/またはポリスチレン(PS)などから成る基材であってよい。一方、テープ材の粘着層はいわゆる接着性を有する材料、すなわち、接着剤から成っていてよい。かかる接着剤成分としては、、アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系接着剤、天然ゴム等のゴム系接着剤、シリコーンゴム等のシリコーン系接着剤、ウレタン樹脂等のウレタン系接着剤、α−オレフィン系接着剤、エーテル系接着剤、エチレン−酢酸ビニル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、水性高分子−イソシアネート系接着剤、スチレン−ブタジエンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ニトロセルロース系接着剤、反応性ホットメルト系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、変性シリコーン系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、ポリオレフィン樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル樹脂系接着剤、ポリスチレン樹脂溶剤系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤、ポリビニルブチラール樹脂系接着剤、ポリベンズイミダソール系接着剤、ポリメタクリレート樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤等を挙げることができる。
端子要素の積層構造を成す第1樹脂層および第2樹脂層は、上述のようなシーラント材および/またはテープ材が金属層の両主面に設けられることで供されてよい。なお、金属層の両主面にそれぞれ別個にシーラント材が設けられてよいものの、金属層の両主面を含むように全体として金属層を包み込むようにシーラント材が設けられることで第1樹脂層および第2樹脂層が形成されてよい。同様にして、金属層の両主面にそれぞれ別個にテープ材が貼り付けられてよいものの、金属層の両主面を含むように全体として金属層を包み込むようにテープ材が貼り付けられることで第1樹脂層および第2樹脂層が設けられてよい。かかる説明から分かるように、端子要素に関連していう「樹脂層に第1樹脂層および第2樹脂層が含まれる」とは、端子要素の断面視で少なくとも捉えてみて金属層の両主面側に2つの樹脂層が設けられている態様を実質的に意味している。
本発明の製造方法では、図6に示すように、第1樹脂層70Aおよび第2樹脂層70Bの双方に曲げ応力集中ポイント50を設け、端子要素80を少なくとも2箇所で曲げに付してよい。つまり、ある好適な態様では、樹脂層には第1樹脂層70Aおよび第2樹脂層70Bが含まれ、かかる第1樹脂層70Aと第2樹脂層70Bとの間に金属層60が介在するところ、第1樹脂層70Aおよび第2樹脂層70Bの双方に対して曲げ応力集中ポイント50(50A,50B)を設け、端子要素80を少なくとも2箇所で曲げに付す。
第1樹脂層70Aに設ける応力集中ポイント50Aと、第2樹脂層70Bに設ける応力集中ポイント50Bとは、互いに対向しないように、端子要素の延在方向に沿ってずれていることが好ましい(図6参照)。これにより、第1樹脂層70Aに設けた応力集中ポイント50Aと、第2樹脂層70Bに設けた応力集中ポイント50Bとでそれぞれ別個に端子要素80を曲げることができる。かかる場合、それぞれの応力集中ポイントが曲げの内側に位置付けられるように端子要素を曲げに付すことが好ましい(すなわち、曲げの谷折り部が第1樹脂層の第2樹脂層のそれぞれの応力集中ポイントに位置するように曲げることが好ましい)。換言すれば、そのように曲げることで蛇行形態またはベローズ形態の端子要素を得ることができる。蛇行形態またはベローズ形態では、端子要素をよりスムーズに折り曲げることができると共に、曲げ応力集中ポイントの露出が減じられるのでショートなどの不都合な事象が好適に回避され得る。
さらにいえば、3つ以上の応力集中ポイントを端子要素に設けてよい。そのように複数の応力集中ポイントを端子要素に設ける場合、端子要素の延在方向に沿って(図示する断面視でいえば左右の横方向に)応力集中ポイントが第1樹脂層と第2樹脂層とで交互に現れるように、複数の応力集中ポイントを端子要素に設けることが好ましい。かかる場合であっても、それぞれの応力集中ポイントが曲げの内側に位置付けられるように端子要素を曲げに付すことが好ましく(すなわち、曲げの谷折り部が第1樹脂層の第2樹脂層のそれぞれの応力集中ポイントに位置するように曲げることが好ましく)、それによって、蛇行形態またはベローズ形態の端子要素を得ることが好ましい。
ある好適な態様では、端子要素が、電極組立体のタブ82とそのタブに接続されたリード84とから成る長尺要素となっている(図7参照)。つまり、そのような長尺要素に対して応力集中ポイント(図示せず)を設け、かかる応力集中ポイントを起点にして端子要素80を曲げに付して電極組立体を外装体へと収納することが好ましい。
より具体的には、タブは、正極または負極の集電体の一部であって、特に電極活物質(正極材・負極材)が設けられておらず、電極組立体において正極または負極から突出した形態を有する集電体要素である。よって、かかる集電体要素に対してリードが接合されて電極組立体の端子要素が構成されていてよい。リードは50μm以上200μm以下の厚さを有し得るところ、例えばアルミニウムおよび/またはアルミ合金から成るものであってよく(特に正極リードの場合)、あるいは、ニッケル、SUSおよび/またはニッケルメッキ銅から成るものであってもよい(特に負極リードの場合)。タブとリードとの接合には熱接合を利用してよく、かかる熱接合としては、例えばアーク溶接、高エネルギービーム溶接、抵抗溶接、エレクトロスラグ溶接、ガス溶接、テルミット溶接および超音波溶接から成る群から選択される少なくとも1つを行ってよい。
タブとリードとの一体化物は端子要素の金属層に相当するところ、かかるタブ/リードの一体化物に対して樹脂層(上述したような対向配置される第1樹脂層および第2樹脂層など)が設けられることで端子要素が長尺状に構成されていてよい。よって、タブ/リードの一体化物に設けられた樹脂層の形態を局所的に変えることで応力集中ポイントが設けられ、それを起点に端子要素を曲げに付す。タブ/リードの一体化物の場合では、端子要素を外装体の電池外部端子に対して電気接続し易くなるので、実際の電池製造のプロセス効率の点で好ましい。
ここで、電極組立体の外装体への収納について好適な一態様を説明する。電極組立体の端子要素は外装体の電池外部端子に対して電気接続され得るところ、かかる電気接続は、電極組立体を外装体に収納するに先立って行ってよいし、あるいは、電極組立体を外装体に収納した後に行ってもよい。
図8は、電極組立体の収納に先立って端子要素を外装体の電池外部端子へと電気接続する例示的プロセス態様を示している。図8に示すように、電極組立体100を外装体200に収納するに先立っては、端子要素80の先端部85(特にその部分の金属層)を外装体200の内部側面(すなわち、外装体の内側壁面部)に接合させる。接合自体は、それらが互いに電気的に接合されるのではあれば特に制限はなく、適当な熱接合処理を行ってよい。あくまでも例示にすぎないが、熱接合として、アーク溶接、高エネルギービーム溶接、抵抗溶接、エレクトロスラグ溶接、ガス溶接、テルミット溶接および超音波溶接から成る群から選択される少なくとも1つを行ってよい。かかる接合が完了すると、応力集中ポイント50を起点にして端子要素80を曲げに付しつつ電極組立体を外装体に収納する。このような電極組立体の外装体への収納に先立っては、上記接合の前あるいは後において応力集中ポイントで端子要素80に折り目(または折り曲げくせ)を付けておいてもよい。折り目の存在で端子要素をよりスムーズに曲げることができ、電極組立体の外装体への収納をより効率良く実施できるからである。
[本発明の二次電池]
本発明の二次電池は、上述の製造方法で得られるものである。従って、本発明の一態様に係る二次電池300は、図9に示すように、電極組立体100、および、その電極組立体を収納する外装体200を有して成る。特に、本発明の二次電池300では、電極組立体100の端子要素80が金属層60と樹脂層70とから少なくとも成る積層構造を有しており、外装体200に収納された電極組立体100の端子要素80は、樹脂層70に設けられた局所的な形態相違箇所で曲がっている(図9参照)。換言すれば、樹脂層70の局所的な形態相違箇所50で曲がった端子要素80と一体化した電極組立体100が外装体200に収納されている。
本発明の二次電池300は、樹脂層70の局所的な形態相違箇所に起因して、端子要素80の曲りが好適にもたらされている。特に曲げ応力が局所的な形態相違箇所で集中するようになっているので、端子要素80がその箇所で曲げ易くなっているだけでなく、曲げられた端子要素が好適に維持され易くなっている。これは、曲げられた端子要素において元の形状へと戻ろうとする力が働きにくくなっていることを意味している。それゆえ、電池の外装体内部において不都合な応力が発生にくくなっており、長期的な電池安定性の点でより優れている。例えば、外装体内で端子要素が元の形状へと戻ろうとする力が過度に働く場合では、電池内部で不都合な応力が発生したり、端子要素と外装体との間で非所望の電気的接触が引き起こされたりする虞がある。本発明の二次電池では、局所的な形態相違箇所に起因して、端子要素が元の形状へと戻る力が働きにくく、そのような虞が好適に回避されている。
図示する態様から分かるように、本発明の二次電池における「局所的な形態相違箇所」とは、本発明の製造方法における「応力集中ポイント」に相当する。したがって、本発明の二次電池の局所的な形態相違箇所50では、好ましくは樹脂層70の一部が切り欠かれている。図4(A)に示すように、局所的な形態相違箇所50では、金属層60と樹脂層70とから成る端子要素80の積層構造において樹脂層70の一部がその厚み方向に全て切り欠かれていてよい。また、図4(B)および図4(C)に示すように、局所的な形態相違箇所50では、樹脂層70の一部がその厚み方向において部分的に切り欠かれていてもよい。換言すれば、図示するように、局所的な形態相違箇所50において、樹脂層70の厚みが少なくとも部分的に減じられていてよい。上述したように、かかる態様では、切欠き幅が略一定であってよく(図4(A)および(B)参照)、あるいは、切欠き幅が漸次変化していてもよい(図4(C))。
このような態様に従えば、樹脂層の一部を切り欠いた局所的な形態相違箇所において、端子要素80がその箇所で曲げ易くなっているだけでなく、端子要素の曲げが好適に維持され易くなっている。つまり、本発明の二次電池は、電池の外装体内部において不都合な応力が発生にくく、長期的な安定性により優れている。
ある好適な態様では、樹脂層70の局所的な形態相違箇所において切込みが設けられている。具体的には、図5に示すように、金属層60と樹脂層70とから成る端子要素80の積層構造において、その厚み方向に沿うように切込み55が設けられている。図5に示す態様では、樹脂層70の切込み55は、金属層60に達していないものの、金属層60に達するように切込み55が延在するものであってもよい。樹脂層の一部切欠きと同様、樹脂層に切込みを入れた局所的な形態相違箇所では、端子要素80がその箇所で曲げ易くなっているだけでなく、端子要素の曲げが好適に維持され易くなっている。つまり、本発明の二次電池は、電池の外装体内部において不都合な過度の応力が発生にくく、長期的な安定性により優れている。
本発明の二次電池では、好ましくは、樹脂層の局所的な形態相違箇所が端子要素の曲げ内側に位置付けられている。つまり、図4(A)および図5に示すように、局所的な形態相違箇所が、いわゆる谷折り部となるように端子要素が曲げられた状態となっている。これにより、局所的な形態相違箇所の露出が減じられた状態となるので、ショートなどの不都合な事象が好適に回避され得る。つまり、樹脂層自体は電極組立体において端子要素の絶縁化のための層であるところ、その樹脂層に切欠き/切込みが設けられているということは絶縁化の効果を減じる方向に働き得る。これにつき、本発明の二次電池は、樹脂層の切欠き/切込みが曲げの内側となっているので、絶縁化効果の不都合な低減が抑制されており、電気的な安定性の点でもより優れた電池となっている。
本発明の二次電池のある好適な態様では、端子要素の樹脂層として第1樹脂層および第2樹脂層が設けられ、かかる第1樹脂層と第2樹脂層との間に金属層が介在している。つまり、図4(A)に示すような端子要素80の断面視において、上下両側に対を成す樹脂層(70A,70B)が設けられており、その対を成す樹脂層に挟持されるように金属層60が設けられていることが好ましい。かかる態様では、第1樹脂層70Aおよび第2樹脂層70Bの少なくとも一方に局所的な形態相違箇所50が設けられていてもよい。つまり、端子要素の断面視において、上下両側に対を成す樹脂層の少なくとも一方に対して局所的な形態相違箇所50が設けられていてよい。
端子要素の樹脂層としては、上述したようなシーラント材および/またはテープ材が好ましくは用いられる。例えば金属層の両主面を含むように全体として金属層を包み込むようにシーラント材が設けられ、それによって、第1樹脂層および第2樹脂層が設けられてよい。同様にして、例えば金属層の両主面を含むように全体として金属層を包み込むようにテープ材が貼り付けられることで第1樹脂層および第2樹脂層が設けられてよい。
本発明の二次電池においては、図6に示すように、樹脂層の局所的な形態相違箇所が第1樹脂層および第2樹脂層の双方に設けられてよく、端子要素が局所的な形態相違箇所に相当する少なくとも2箇所で曲げられていてよい。第1樹脂層70Aの局所的な形態相違箇所50Aと、第2樹脂層70Bの局所的な形態相違箇所50Bとは、互いに対向しないように、端子要素80の延在方向に沿ってずれていることが好ましい(図6参照)。これにより、第1樹脂層の局所的な形態相違箇所と、第2樹脂層の局所的な形態相違箇所とでそれぞれ別個に端子要素が曲げられた電極組立体となり得る。かかる場合、それぞれの局所的な形態相違箇所が曲げ内側に位置付けられるように端子要素が曲げられていることが好ましい(すなわち、曲げの谷折り部が第1樹脂層の第2樹脂層のそれぞれの局所的な形態相違箇所に位置付けられるように曲げられていることが好ましい)。このような曲げに起因して、端子要素が蛇行形態またはベローズ形態を有し得る。本発明に従った蛇行形態またはベローズ形態では、端子要素の曲げ形態が好適に維持され易くなっている。よって、電池の外装体内部において端子要素に起因した不都合な過度の応力が発生しにくくなっており、二次電池の長期的な安定性がより優れている。また、局所的な形態相違箇所が端子要素の外側でより露出した状態となっておらず、ショートなどの不都合な事象がより好適に回避されているので電気的な安定性の点でもより優れている。なお、3つ以上の局所的な形態相違箇所が端子要素に設けられている場合では、端子要素の延在方向に沿って、局所的な形態相違箇所が第1樹脂層と第2樹脂層とで交互に現れるようになっていることが好ましい。かかる場合であっても、それぞれの形態相違箇所が端子要素の曲げ内側に位置付けられていることが好ましい(すなわち、曲げの谷折り部が第1樹脂層および第2樹脂層のそれぞれに交互に位置付けられることが好ましい)。
本発明の二次電池では、電極組立体の端子要素は外装体の電池外部端子に対して電気接続されている。より具体的には、端子要素の先端が外装体の内部側面に対して接合されている。つまり、局所的な形態相違箇所を備えた端子要素が曲げられた状態で電極組立体と共に外装体の内部に収納されているところ、端子要素の先端は外装体の内部側面に対して接合されている。かかる端子要素の先端の外装体の内部側面への接合によって、外装体の電池外部端子がその所与の機能を果たすことになる(なお、必要に応じて電池端子およびそれに関連する部分にはガスケットなどの絶縁化部材が設けられていてよく、それによって、正極と負極とが個々にそれぞれ好適に機能する電池構成となり得る)。
本発明は、種々の態様で具現化することができる。以下それについて詳述しておく。
(タブ/リードの一体化態様)
かかる態様では、端子要素80は、電極組立体のタブ82と該タブに接続されたリード84とから成る長尺要素となっている(図7参照)。つまり、そのような長尺要素に設けられた局所的な形態相違箇所を起点にして端子要素が曲げられた状態で電極組立体と共に外装体の内部に収納されている。
より具体的には、タブは、電極活物質(正極材・負極材)が設けられていない突出要素であるところ、その突出要素に対して導電性リードが接合されて電極組立体の端子要素が構成されていてよい。タブとリードとの一体化物は端子要素の金属層に相当するところ、かかるタブ/リードの一体化物に対して樹脂層(上述したような対向形成される第1樹脂層および第2樹脂層など)が設けられることで端子要素が全体として長尺状に構成されている。よって、タブ/リードの一体化物では樹脂層形態が局所的に相違した箇所が存在し、その箇所で端子要素80が曲げられている。
(金属缶の態様)
かかる態様は、外装体がいわゆる金属缶となる態様である。つまり、外装体としてハードケース型外装体が用いられている態様である。
本明細書における「ハードケース型外装体」といった用語は、ソフトケース型外装体(ラミネートフィルムから成るパウチ等のフレキシブルケース)との対比で用いられるものであり、いわゆる“缶”の如く、剛体材質から成る外装体のことを指している。例えば、ハードケース型外装体としては、ステンレス鋼(SUS鋼)またはアルミニウムなどから成る剛体の外装体であってよい。典型的には、ハードケース型外装体200は、箱形状の本体部250と、蓋部270とから構成される(図9参照)。かかる場合、特に箱形状の本体部250に対して端子要素80が曲げられた状態で電極組立体100と共に収納されている。
ハードケース型の場合、その高い剛性ゆえ、外装体内において端子要素80が曲げられた状態をより好適に維持し易くなっており、長期的な安定性がより優れた二次電池が実現され得る。
本発明の二次電池のより詳細な事項、更なる具体的な態様などその他の事項は、上述の[本発明で製造される二次電池の構成]および[本発明の製造方法の特徴]で説明しているので、重複を避けるために説明を省略する。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
例えば、応力集中ポイント/局所的な形態相違箇所として設ける樹脂の切欠き50などは、端子要素80の幅方向に全て切り欠いた態様(図10(A))であることは必ずしも必要でなく、その幅方向の一部に沿ってのみ切り欠いた態様であってもよい(図10(B))。