JP2017044169A - エンジン及び鞍乗型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】オフセット型エンジンにおいて、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を低減する。【解決手段】エンジン(14)は、運動変換機構(32)と、バランサ機構(34)とを備える。エンジン(14)においては、運動変換機構(32)の動作に伴って発生する1次慣性力と、バランサ機構(34)の動作に伴って発生する慣性力とを利用して、或いは、バランサ機構(60)の動作に伴って発生する慣性力を利用して、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を低減する。【選択図】図3

Description

本発明は、クランクシャフトの軸心がシリンダ軸線に対してオフセットして配置されたエンジンに関し、詳しくは、ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を低減する機構を備えたエンジンに関する。
エンジンには、例えば、レシプロエンジンがある。レシプロエンジンは、ピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換する動作変換機構(以下、ピストン・クランク機構)を備える。
上記ピストン・クランク機構の動作に伴って、振動が発生する。そのため、レシプロエンジンでは、ピストン・クランク機構の動作に伴って発生する振動を低減するために、バランサ機構が設けられている。
バランサ機構は、例えば、特開2003−237674号公報に開示されている。この公報には、1軸式のバランサ機構が開示されている。1軸式のバランサ機構では、ピストン・クランク機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分(以下、1次慣性力)に対して、逆方向で、且つ、同じ大きさの慣性力を発生させる。これにより、ピストン・クランク機構の動作に伴って発生する1次慣性力に起因する振動を低減する。
特開2003−237674号公報
近年、クランクシャフトの軸心をシリンダ軸線に対してオフセットして配置したエンジン(以下、オフセット型エンジン)が提案されている。オフセット型エンジンでは、クランクシャフトの軸方向から見て、クランクシャフトの軸心がシリンダ軸線上になく、ピストンが上死点から下死点に移動するときのクランクシャフトの回転角度が、ピストンが下死点から上死点に移動するときのクランクシャフトの回転角度よりも大きくなっている。そのため、オフセット型エンジンでは、クランクシャフトの軸心をシリンダ軸線上に配置したエンジン(以下、非オフセット型エンジン)と比べて、膨張時間が長くなる。その結果、オフセット型エンジンでは、非オフセット型エンジンと比べて、燃費を向上させることができる。
オフセット型エンジンでは、非オフセット型エンジンと比べて、ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分(以下、1次慣性偶力)が大きくなる。そのため、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を低減することについて検討する必要が生じてきた。
本発明の目的は、オフセット型エンジンにおいて、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を低減することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の実施の形態によるエンジンは、運動変換機構と、バランサ機構とを備える。運動変換機構は、クランクシャフトと、シリンダ内に配置されたピストンとを含む。運動変換機構は、ピストンのシリンダ内での往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換する。バランサ機構は、運動変換機構の動作に伴って発生する振動を低減する。クランクシャフトの軸方向から見て、クランクシャフトの軸心は、シリンダが有するシリンダ軸線上にはない。運動変換機構では、ピストンが上死点から下死点まで移動するときのクランクシャフトの回転角度が、ピストンが下死点から上死点まで移動するときのクランクシャフトの回転角度よりも大きい。バランサ機構は、第1バランサ軸を含む。第1バランサ軸は、クランクシャフトと平行に配置され、クランクシャフトが回転する方向とは反対の方向に、クランクシャフトと同じ速さで回転する。第1バランサ軸は、クランクシャフトの軸方向から見た場合に、シリンダ軸線に対して、クランクシャフトとは反対側に位置する。
上記エンジンにおいては、運動変換機構の動作に伴って発生する1次慣性力と、バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とを利用して、或いは、バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力を利用して、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を低減する。
エンジンは、単気筒エンジンであってもよいし、並列2気筒エンジン(360°クランク)であってもよい。360°クランクとは、2つのクランクピンがクランクシャフトの回転方向で同じ位置にあることをいう。エンジンは、4サイクルエンジンであってもよいし、2サイクルエンジンであってもよい。
バランサ機構は、1軸式のバランサ機構であってもよいし、2軸式のバランサ機構であってもよい。
バランサ機構が1軸式のバランサ機構である場合、運動変換機構はクランクバランサを含み、第1バランサ軸はバランサを含む。クランクバランサは、クランクシャフトに設けられ、クランクシャフトの回転に伴って慣性力を発生させる。バランサは、第1バランサ軸の回転に伴って慣性力を発生させる。
上記のバランサ機構が1軸式のバランサ機構である態様では、好ましくは、運動変換機構の往復運動質量による慣性力の1次成分(以下、1次慣性力)の一部と、第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部とを利用して、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を抑制する。
ここで、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力をmrω・A・sin(θ+α)で表す。ただし、mは、往復運動質量を示す。rは、クランク半径を示す。ωは、クランクシャフトが回転するときの角速度を示す。Aは、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力の大きさを示す。αは、1次慣性偶力の基準位相を示す。θ+αは、ある瞬間における1次慣性偶力の位相を示す。1次慣性偶力の位相は、クランクシャフトの位相に対するものである。クランクシャフトの位相は、クランクシャフトの軸方向から見て、シリンダ軸線と平行であって、且つ、クランクシャフトの軸心を通過する基準線上に、クランクピンの軸心が位置するときを基準(0°)とする。この基準となる位置は、クランクピンの軸芯がクランクシャフトの回転によって描く軌跡(真円)と上記の基準線との交点のうち、ピストンに近いほうの交点である。
上記のバランサ機構が1軸式のバランサ機構である態様において、第1バランサ軸は、好ましくは、クランクシャフトが回転する方向で、基準位置からα+150°+τ〜α+210°+τの範囲内に配置される。ただし、基準位置は、シリンダ軸線と平行に延び、且つ、クランクシャフトの軸心を通過する基準線と、クランクピンの軸芯がクランクシャフトの回転に伴って描く軌跡(真円)との交点のうち、ピストンに近いほうの交点である。τは、運動変換機構の往復運動質量による1次慣性力の位相遅れを示す。
上記のバランサ機構が1軸式のバランサ機構である態様では、好ましくは、以下の式が成立する。
Figure 2017044169
ただし、kM1は、クランクバランサのうち、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動の抑制に寄与する成分の大きさを示す。rは、クランク半径を示す。Lは、第1バランサ軸の軸心とクランクシャフトの軸心との距離を示す。
上記のバランサ機構が1軸式のバランサ機構である態様では、好ましくは、以下の式が成立する。
Figure 2017044169
ただし、位相αM1は、クランクバランサのうち、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動の抑制に寄与する成分の位相である。
上記のバランサ機構が1軸式のバランサ機構である態様では、好ましくは、以下の式が成立する。
Figure 2017044169
ただし、位相αBM1は、バランサのうち、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動の抑制に寄与する成分の位相である。
なお、バランサのうち、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動の抑制に寄与する成分の大きさkBM1は、上記のkM1と同じである。
上記のバランサ機構が1軸式のバランサ機構である態様では、好ましくは、往復運動質量による1次慣性力の残りと、クランクバランサによる慣性力の残りと、バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力の残りとを利用して、運動変換機構の動作に伴って発生する1次慣性力とバランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減することにより、エンジンの瞬間回転中心を所定の位置に設定する。
この場合、クランクバランサの大きさktotal、クランクバランサの位相αtotal、バランサの大きさkBtotal及びバランサの位相αBtotalについては、以下の式が成立する。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ただし、kICは、クランクバランサのうち、運動変換機構の動作に伴って発生する1次慣性力とバランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減する成分の大きさを示す。αICは、クランクバランサのうち、運動変換機構の動作に伴って発生する1次慣性力とバランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減する成分の位相を示す。kBICは、バランサのうち、運動変換機構の動作に伴って発生する1次慣性力とバランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減する成分の大きさを示す。αBICは、バランサのうち、運動変換機構の動作に伴って発生する1次慣性力とバランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減する成分の位相を示す。
例えば、エンジンが車体フレームに対してリンク機構を介さずに直接配置される場合、上記エンジンの瞬間回転中心は、好ましくは、エンジンに形成され、車体フレームに設けられたピボット軸が挿入される孔の位置に設定される。この場合、車体フレームへのエンジン振動の伝達が抑制される。
例えば、エンジンが車体フレームに対してリンク機構を介して配置される場合、上記エンジンの瞬間回転中心は、好ましくは、エンジンに形成され、リンク機構に設けられた支持軸が挿入される孔の位置に設定される。この場合、例えば、リンク機構のリンク角を適当に設定することにより、車体フレームへのエンジン振動の伝達をさらに抑制することできる。
上記のバランサ機構が2軸式のバランサ機構である場合、バランサ機構は、第2バランサ軸をさらに含む。第2バランサ軸は、クランクシャフトの軸方向から見て、シリンダ軸線に対して第1バランサ軸とは反対側に配置される。
上記のバランサ機構が2軸式のバランサ機構である場合、第1バランサ軸は、クランクシャフトの軸方向から見て、シリンダ軸線が延びる方向で、第2バランサ軸とは異なる位置に配置される。
上記のバランサ機構が2軸式のバランサ機構である場合、第1バランサ軸及び第2バランサ軸は、好ましくは、クランクシャフトの軸方向から見て、クランクシャフトの軸心を通過し、且つ、シリンダ軸線と直交する方向に延びる仮想線に対して、ピストンとは反対側に配置される。
上記のバランサ機構が2軸式のバランサ機構である場合、第1バランサ軸及び第2バランサ軸は、バランサを含む。第1バランサ軸が有するバランサは、第1バランサ軸の回転に伴って慣性力を発生させる。第2バランサ軸が有するバランサは、第2バランサ軸の回転に伴って慣性力を発生させる。
第2バランサ軸は、例えば、クランクシャフトが回転する方向とは反対の方向にする。好ましくは、運動変換機構の動作に伴って発生する1次慣性力をベクトル表示したときのベクトルの先端の軌跡は、真円である。この場合、第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部と、第2バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部とを利用して、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を抑制できる。
上記の態様において、好ましくは、クランクバランサによる慣性力と、第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の残りと、第2バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の残りとを利用して、運動変換機構の往復運動質量による1次慣性力に起因する振動を抑制する。
第2バランサは、例えば、クランクシャフトが回転する方向と同じ方向に回転する。この場合、第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部と、第2バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部とを利用して、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を抑制できる。
上記の態様において、好ましくは、第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の残りと、第2バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の残りとを利用して、運動変換機構の往復運動質量による1次慣性力に起因する振動を抑制する。
本発明の第1の実施の形態によるエンジンを備える自動二輪車を示す左側面図である。 本発明の第1の実施の形態によるエンジンの概略構成を示す模式図である。 図2に示すエンジンの内部構造の概略構成を示す概念図である。 瞬間回転中心の位置、重心、クランクシャフト及びバランサの位置関係を示す概念図である。 1次慣性力の回転成分と往復成分との関係を示す概念図である。 図5を回転させた図であって、瞬間回転中心の位置と重心とを結ぶ直線が水平方向に延びている状態を示す図である。 バランサの位相と1次慣性力の回転成分の位相との関係を示す概念図である。 基準位置を説明するための概念図である。 τ+90°での1次慣性力を説明するための概念図である。 非オフセット型エンジンでの慣性偶力を示すグラフである。 オフセット型エンジンでの慣性偶力を示すグラフである。 オフセット型エンジンを示す概念図である。 オフセット型エンジンでの慣性偶力を示す概念図である。 バランサ軸が1次慣性偶力を抑制するのに最適な位置に配置された状態を示す概念図である。 バランサ軸が最適位置にある場合のピボット軸における振動加速度とエンジン回転数との関係を示すグラフである。 バランサ軸が最適位置からクランク回転方向と逆方向に30°進んだ位置にある場合のピボット軸における振動加速度とエンジン回転数との関係を示すグラフである。 バランサ軸が最適位置からクランク回転方向に30°進んだ位置にある場合のピボット軸における振動加速度とエンジン回転数との関係を示すグラフである。 バランサ軸が1次慣性偶力の抑制に適していない位置にある場合のピボット軸における振動加速度とエンジン回転数との関係を示すグラフである。 エンジンがリンク機構を介して車体フレームに取り付けられている状態を示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態によるエンジンの内部構造の概略構成を示す概念図である。 図20に示すエンジンにおいて、2つのバランサ軸に発生する慣性力をクランクシャフトに発生する慣性力と釣り合わせるための条件を説明するための概念図である。 図20に示すエンジンにおいて、2つのバランサ軸に発生する慣性力をクランクシャフトに発生する慣性力と釣り合わせ、且つ、ピッチモーメントを打ち消すための条件を説明するための概念図である。 図20に示すエンジンにおいて、2つのバランサ軸に発生する慣性力をクランクシャフトに発生する慣性力と釣り合わせ、且つ、ピッチモーメントを打ち消し、さらに、ピストン側圧による加振モーメントを打ち消すための条件を説明するための概念図である。 本発明の第2の実施の形態の応用例に係るエンジンにおいて、2つのバランサ軸に発生する慣性力をクランクシャフトに発生する慣性力と釣り合わせるための条件を説明するための概念図である。 本発明の第2の実施の形態の応用例に係るエンジンにおいて、2つのバランサ軸に発生する慣性力をクランクシャフトに発生する慣性力と釣り合わせ、且つ、ピストン側圧による加振モーメントを打ち消すための条件を説明するための概念図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態による鞍乗型車両について説明する。本実施形態では、鞍乗型車両として、自動二輪車を例に説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態による自動二輪車10の左側面図である。自動二輪車10は、車体フレーム12及びエンジン14を備える。
車体フレーム12は、車両カバー16で覆われる。車体フレーム12は、ヘッドパイプ18を備える。
ヘッドパイプ18は、車体フレーム12の前部に配置される。ヘッドパイプ18には、ステアリングシャフト20が挿通される。ステアリングシャフト20の上端には、ハンドルが配置される。ステアリングシャフト20の下端には、フロントフォーク24が配置されている。フロントフォーク24は、前輪26Fを回転可能に支持する。
エンジン14は、ユニットスイング式のエンジンである。エンジン14は、車体フレーム12によって支持されている。エンジン14の動力が後輪26Rに伝達されることにより、後輪26Rが回転する。
図2を参照しながら、エンジン14について説明する。エンジン14は、4サイクルの単気筒エンジンである。エンジン14は、後輪26R(図1参照)を回転可能に支持している。エンジン14は、車体フレーム12に対して、揺動可能に配置されている。具体的には、エンジン14は、ケース28を有する。ケース28には、孔28Aが形成されている。孔28Aは、車両の幅方向に延びる。孔28Aには、ピボット軸30が挿入されている。ピボット軸30は、車体フレーム12に配置されている。
図3を参照しながら、エンジン14の内部構造について説明する。エンジン14は、ピストン・クランク機構32と、バランサ機構34とを備える。
ピストン・クランク機構32は、ピストン38と、コンロッド40と、クランクシャフト42とを含む。以下、これらについて説明する。
ピストン38は、シリンダ36内に位置する。ピストン38は、シリンダ36の中心軸線(以下、シリンダ軸線L1)上を往復移動可能に配置されている。
コンロッド40は、ピストン38と、クランクシャフト42とを連結する。具体的には、コンロッド40の一端は、ピストンピン44を介して、ピストン38に連結されている。コンロッド40の他端は、クランクピン46を介して、クランクシャフト42に連結されている。
クランクシャフト42は、軸心42Cを有する。クランクシャフト42は、軸心42C周りで回転可能に配置されている。クランクシャフト42は、クランクバランサ42Aを含む。クランクバランサ42Aは、クランクシャフト42の回転に伴って慣性力を発生する。
ピストン・クランク機構32においては、ピストン38の往復運動が、クランクシャフト42の回転運動に変換される。つまり、ピストン・クランク機構32は、運動変換機構として機能する。
バランサ機構34は、1軸式のバランサ機構である。バランサ機構34は、バランサ軸48を含む。バランサ軸48は、軸心48Cを有する。バランサ軸48は、軸心48C周りで回転可能に配置されている。バランサ軸48は、クランクシャフト42と平行に配置されている。バランサ軸48は、クランクシャフト42とは反対の方向に回転する。バランサ軸48は、クランクシャフト42と同じ速さで回転する。バランサ軸48は、例えば、バランサ軸48に設けられた歯車がクランクシャフト42に設けられた歯車と噛み合うことにより、クランクシャフト42とともに回転する。バランサ軸48は、バランサ48Aを含む。バランサ48Aは、バランサ軸48の回転に伴って慣性力を発生する。
エンジン14においては、クランクシャフト42の軸方向から見て、シリンダ軸線L1がクランクシャフト42の軸心42Cを通過しない。エンジン14においては、ピストン38が上死点から下死点まで移動するときのクランクシャフト42の回転角度が、ピストン38が下死点から上死点まで移動するときのクランクシャフト42の回転角度よりも大きい。つまり、エンジン14は、オフセット型エンジンである。
エンジン14においては、エンジン14の瞬間回転中心をピボット軸30の位置に設定しつつ、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を低減することができる。以下、その理由について説明する。なお、以下の説明で参照する図4−7及び9では、エンジン14の瞬間回転中心をピボット軸30の位置に設定するための方法を示すものであり、バランサ軸48の位置は、図3に示す位置と一致していない。
1.エンジンの瞬間回転中心の設定について
エンジン14は、単気筒エンジンである。そのため、ピストン・クランク機構32の往復運動質量による1次慣性力が、主な加振力となる。
単気筒エンジンでは、例えば、クランクバランサ及びバランサの位相及び大きさを対称50%とし、並進力としての作用を釣り合わせることにより、エンジンの重心位置での振動を低減させる。この場合、クランクシャフトがバランサ軸から離れて配置されているので、偶力が発生する。その結果、エンジン全体を回転させる振動が発生する。この場合、回転の中心となる重心位置では、並進方向の振動を生じないが、重心から離れた位置では、重心からの距離に比例した振幅で、回転の接線方向に振動する。
エンジンを車体フレームに懸架する位置は、重心に近い位置とは限らない。そのため、重心から遠い位置でエンジンを支持する場合、上記の方法では、回転による振動が重心からの距離によって増幅されて車体フレームに伝達される。この回転による振動を抑制するために、例えば、クランクバランサ及びバランサの位相及び大きさを対称50%以外に設定し、偶力を減らすことが考えられる。しかしながら、この場合、偶力に変換されなかった並進力が、並進方向の振動を発生させる。当該並進方向の振動は、回転による振動に追加される。
エンジン14では、並進方向の振動と回転による振動とを組み合わせて、瞬間回転中心(ピストン・クランク機構32の往復運動質量の1次慣性力に起因する振動がゼロになる点)の位置を、ピボット軸30が配置された位置に設定する。以下、その方法について説明する。
エンジン14において発生する1次慣性力には、(1)ピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力と、(2)バランサ機構34の動作に伴って発生する慣性力とがある。
ピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力は、ピストン・クランク機構32の往復運動質量による1次慣性力と、クランクシャフト42の回転に伴って発生する慣性力(クランクバランサ42Aに起因する慣性力)との合力である。当該合力のベクトルは、クランクシャフト42とは逆向きに回転する。当該合力のベクトルの大きさ及び方向は、当該合力のベクトルが1回転するときに、周期的に変化する。
バランサ機構34の動作に伴って発生する慣性力は、バランサ軸48の回転に伴って発生する慣性力(バランサ48Aに起因する慣性力)である。当該慣性力のベクトルは、大きさが一定であり、クランクシャフト42とは逆方向に等速で回転する。
バランサ機構34の動作に伴って発生する慣性力と、ピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力とが常に並進力として釣り合うのは、クランクバランサ42A及びバランサ48Aの位相及び大きさが対称50%に設定されている場合である。この場合、エンジン14には、偶力だけが作用し、エンジン14の全体を回転させる振動が発生する。
このとき、図5に示すように、位置P1には、重心Gを中心とした回転の接線方向、つまり、位置P1と重心Gとを通過する直線L2と直交する方向に、加速度aが発生する。
ここで、重心Gに、以下の式を満たす大きさの並進力F1を、加速度aとは逆向きに作用させることができれば、位置P1における振動加速度を相殺できる。つまり、エンジン14で発生する1次慣性力に起因する振動を打ち消すことができる。
Figure 2017044169
ただし、Mは、エンジン14の質量である。Fは、ピストン・クランク機構32の往復運動質量による1次慣性力である。kは、バランサ34の大きさである。θは、偶力が最大の位置を基準としたクランクシャフト42の回転角度である。Iは、エンジン14の慣性モーメントである。Lは、クランクシャフト42の軸心42Cからバランサ軸48の軸心48Cまでの距離である。Lは、重心Gから位置P1までの距離である。
ここで、エンジン14において力が発生するのは、ピストン・クランク機構32とバランサ機構34である。そのため、位置P1での振動加速度を相殺するには、図5に示すように、ピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力を、(i)バランサ機構34の動作に伴って発生する慣性力と釣り合って偶力となる成分と、(ii)当該偶力による加速度を位置P1で相殺するための成分とで構成すればよい。
(i)の成分は、大きさは一定であり、バランサ機構34の動作に伴って発生する慣性力のベクトルが回転する方向に等速で回転する。(ii)の成分は、方向は一定であり、大きさは偶力の位相に同期して変化する。以下の説明では、(i)の成分をピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力の回転成分とし、(ii)の成分をピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力の往復成分とする。
ここで、重心Gから離れた点に作用する並進力は、大きさ及び方向が同じで重心Gに作用する並進力としての機能と、力の方向と重心Gからの距離によって発生する偶力としての機能とを有する。したがって、クランクシャフト42に作用する1次慣性力の往復成分によって位置P1に発生する加速度aは、上記2つの機能を考慮したものとなり、以下の式で表される。
Figure 2017044169
ただし、σは、ピストン・クランク機構32の往復運動質量による1次慣性力の往復成分の大きさである。Lは、重心Gと位置P1とを通過する直線L2が延びる方向での重心Gからクランクシャフト42の軸心42Cまでの距離である。Lは、重心Gから位置P1までの距離である。
上記の偶力による加速度と1次慣性力の往復成分による加速度とを位置P1で釣り合わせるには、以下の式を満たす必要がある。
Figure 2017044169
上記の式を計算すると、以下の関係を導き出すことができる。
Figure 2017044169
つまり、上記の1次慣性力の回転成分の大きさと往復成分の大きさとが、上記の式(数11)で示す関係を満たせば、位置P1において、ピストン・クランク機構32の往復運動質量による1次慣性力に起因する振動加速度を相殺することができる。
上記の説明から明らかなように、エンジン14において瞬間回転中心を任意の位置に設定するには、以下の条件1−4を満たす必要がある。
条件1:ピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力を、以下の2つの成分で構成する。
a)バランサ機構34の慣性力と釣り合って偶力を形成する回転成分(F・k
b)当該偶力による加速度を位置P1で打ち消すための往復成分(F・σ)
条件2:上記の回転成分の大きさと往復成分の大きさとが、上記の式(数11)を満たす。
条件3:偶力の大きさと往復成分の大きさとが同じ位相を有する。
条件4:往復成分は、重心Gと位置P1とを結ぶ直線に対して直交し、且つ、偶力による加速度を打ち消す方向に作用する。
上記の条件1−4を満たす1次慣性力のベクトルの先端が描く軌跡は、楕円である。以下、当該楕円の主軸の方向χ及び長径Aを求める方法について説明する。
図6に示すように、重心Gと位置P1とを結ぶ直線L2が水平方向に延びるように、図5を回転させる。ここで、往復成分を仮想的な往復運動質量による慣性力とし、回転成分を仮想的なクランクバランサによる慣性力として考える。この場合、非対称クランクバランスの公式を用いて、合成された慣性力の大きさ及び方向を求めることができる。回転成分は、クランクシャフトとは逆方向に回転するため、仮想的なクランクバランサの位相βは、クランクシャフトの回転方向とは逆向きになる。つまり、βは、以下の式を満たす。
Figure 2017044169
仮想的なクランクバランサの大きさは、往復成分の大きさを基準にした回転成分の大きさ、つまり、μである。
非対称クランクバランスの1次慣性力の楕円(1次慣性力のベクトルの先端が描く軌跡)に関する公式は、以下のとおりである。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ただし、χは、上記楕円(非対称クランクバランスの1次慣性力の楕円)における長軸のシリンダ軸線L1に対する傾斜角度である。Aは、上記楕円(非対称クランクバランスの1次慣性力の楕円)における長軸の長さである。Bは、上記楕円(非対称クランクバランスの1次慣性力の楕円)における短軸の長さである。kは、以下の式(数16)によって定義される。αは、クランクピンが配置された位置を基準とした場合のクランクバランサの位相である。εは、オフセット型エンジンの振幅倍率である。オフセット型エンジンでは、ストロークが延長される。そのため、1次慣性力の振幅も僅かに増える。その比率をεとする。
Figure 2017044169
ただし、mは、クランクバランサの質量である。rは、クランクバランサのクランクシャフトの軸心からの距離である。mは、往復運動質量である。rは、クランク半径(クランクシャフトの軸心からクランクピンの軸心までの距離)である。
なお、非オフセット型エンジンの場合、上記の式(数13−15)において、τは0となり、εは1となる。
図6に示すように、仮想的な往復運動質量による慣性力と仮想的なクランクバランサによる慣性力とを考える場合、クランクシャフトの本来の回転方向とは逆方向に角度を設定している。そのため、上記の式(数13)のαにβを代入し、且つ、kにμを代入して得られたχは、図6のηに対応する。つまり、以下の式に示す関係が成立する。
Figure 2017044169
図4に示すように、仮想的な主軸の方向ηと、本来の主軸の方向χと、重心Gと位置P1とを通過する直線L2に対するシリンダ軸線L1の傾斜角度Ψとは、以下の関係を満たす。
Figure 2017044169
したがって、主軸の方向χについては、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
長径Aについては、上記の式(数14)のαにβを代入し、kにμを代入することにより、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
短径Bについては、上記の式(数15)のαにβを代入し、kにμを代入することにより、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数20及び21)が示す値は、仮想的な慣性力を基準としている。そのため、計算結果は、本来の1次慣性力そのものではなく、これまで説明してきた往復成分(F・σ)を基準とした値になっている。
仮想的なクランクバランサの回転方向を本来のクランクシャフト42の回転方向と逆に設定している。そのため、上記の値B´は、本来の値Bと比べて、正負が反対になっている。上記の式(数20及び21)から、以下の関係が得られる。
Figure 2017044169
この関係を利用することにより、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数23)を変形することにより、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数23及び20)を用いて計算すると、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
1次慣性力の回転成分(F・k)は、上記の定義により、バランサ機構34の動作に伴って発生する慣性力と大きさが同じである。回転成分(F・k)と、往復成分(F・σ)とは、上記の定義により、上記の式(数11)の関係を満たす。つまり、以下の式が成立する。
Figure 2017044169
1次慣性力の回転成分と、バランサ機構34の動作に伴って発生する慣性力(バランサ48Aによる慣性力)とは、偶力を構成する。そのため、1次慣性力の回転成分と、バランサ機構34の動作に伴って発生する慣性力とは、常に、逆の方向を向いている。したがって、1次慣性力の回転成分が、あるクランク角度(クランクシャフト42の回転角度)でどの方向を向いているのかが判れば、その時点でのバランサ48Aによる慣性力の方向が判る。加えて、そのときのクランク角度から基準となる時点(クランク角度)におけるバランサ48Aの位相αを計算することができる。
往復運動質量による1次慣性力は、クランク角度がτ+90°の時点で、ゼロになる。このとき、ピストン・クランク機構32の1次慣性力は、クランクバランサ42Aによる慣性力に相当する。当該クランクバランサ42Aによる慣性力の方向α90は、クランクバランサの方向αに、τ+90°を加えたものである。つまり、α90は、以下の関係を満たす。
Figure 2017044169
上記のように、ピストン・クランク機構32の1次慣性力は、回転成分と、往復成分とで構成される。ここで、τ+90°の時点における回転成分の方向を、φとする。上死点後のτ+90°の時点におけるバランサ48Aの位相を、αB90とする。1次慣性力の回転成分と、バランサ48Aの慣性力とは、常に釣り合って、偶力を構成する。そのため、図7に示すように、以下の式が成立する。
Figure 2017044169
バランサ48Aは、クランクシャフト42と逆方向に回転する。そのため、基準位置におけるバランサ48Aの位相αについては、図7に示すように、以下の関係が成立する。なお、基準位置では、図8に示すように、クランクシャフト42の軸心42Cを通過し、且つ、シリンダL1と平行に延びる直線L3上で、ピストン38に最も近い位置に、クランクピン46の軸心46Cが位置する。
Figure 2017044169
上記のように、αB90は、φから求めることができる。つまり、上記の式(数29)は、以下のように、変形することができる。そのため、τ+90°での1次慣性力の回転成分の方向φが判れば、基準位置でのバランサ48Aの方向αを求めることができる。
Figure 2017044169
上記のように、τ+90°の時点では、往復運動質量による慣性力がゼロになる。そのため、ピストン・クランク機構32の1次慣性力は、クランクバランサ42Aによる慣性力と等しくなる。1次慣性力の方向及び大きさは、クランクバランサ42Aの方向及び大きさから求めることができる。
上記のように、ピストン・クランク機構32の1次慣性力は、回転成分と、往復成分とによって構成されている。そのため、1次慣性力のベクトルから往復成分のベクトルを差し引けば、回転成分のベクトルが得られる。
往復成分の方向は、一定である。往復成分の方向は、重心Gと位置P1とを結ぶ直線L2に直交する。図9に示すように、クランクシャフト42の1次慣性力のベクトルを、重心Gと位置P1とを通過する直線L2が延びる方向(第1方向)の成分と、第1方向に直交する第2方向の成分とに分解する。前者の成分は、回転成分のみに含まれる。このことから、以下の関係が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数31)を変形すると、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数32)に含まれる変数のうち、kについては、上述の方法で求めることができる。α、k、ε及びτの求め方については、後述する。Ψは、重心Gの位置と、位置P1と、クランクシャフト42の位置との関係によって決まる。以下、図9を参照しつつ、φを求める方法について説明する。
1次慣性力の往復成分の振幅(大きさ)は、1次慣性力の回転成分とバランサ48Aによる慣性力との偶力の大きさに同期して変化する。そのため、往復成分の振幅と、偶力の大きさについて、以下の式が成立する。
Figure 2017044169
上記の式(数33)を変形することにより、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数34)を変形し、上記の式(数32)を代入することにより、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
三角関数の公式より、以下の関係が成立する。
Figure 2017044169
上記の式(数36)を変形することにより、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数37)に対して、上記の式(数32)及び式(数35)を代入することにより、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数38)及び式(数30)により、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の主軸の方向χ及び長径Aからクランクバランサ42Aの位相α及び大きさkを求めるには、非対称クランクバランスの公式を利用すればよい。具体的には、上記の式(数19)によって求めた主軸の方向χと、式(数25)によって求めた長径Aの値とを、以下の式(数40)に代入することにより、クランクバランサ42Aの位相αが求められる。上記の式(数19)によって求めた主軸の方向χと、式(数25)によって求めた長径Aの値を、以下の式(数41)に代入することにより、クランクバランサ42Aの大きさkが求められる。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ただし、上記の式(数40及び数41)におけるCx及びCyは、以下の式で表される。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
2.ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動の低減について
上記の説明では、ピストン側圧による1次慣性偶力の影響を考慮していない。ここで、ピストン側圧とは、ピストン・クランク機構32の動作に伴ってピストン38がシリンダ36に及ぼす力のことである。ピストン側圧による1次慣性偶力とは、ピストン側圧による加振モーメントの1次成分のことである。以下の説明では、ピストン側圧による1次慣性偶力の影響を考慮する。
オフセット型エンジンは、非オフセット型エンジンと比べて、内燃機関のロスを低減する。具体的には、燃焼圧が最大となるタイミングでのコンロッド40の傾き角(シリンダ軸線L1に対する傾斜角度)を小さくすることにより、ピストン側圧を低減する。
燃焼圧が最大となるタイミングをピストン上死点よりも後にすると、効率がよくなる。そのため、ピストン上死点後のコンロッド40の傾き角を小さくすることが、効率の改善に寄与する。
しかしながら、慣性力の場合は、慣性力が最大となるタイミングでのコンロッドの傾き角を考慮する必要がある。慣性力が最大となるのは、1次慣性力(慣性力の1次成分)では、ピストン上死点よりも少し後であるが、2次以上の慣性力では、クランク上死点(クランクピン46が直線L3上に位置する時点)となる。
慣性偶力の2次成分は、1次慣性力が主な要因となる。これに対して、慣性偶力の1次成分(1次慣性偶力)は、2次慣性力(慣性力の2次成分)が主な要因となる。オフセット型エンジンでは、非オフセット型エンジンと比べて、クランク上死点で、つまり、2次慣性力が最大となる時点で、コンロッド40の傾き角が増える。その結果、オフセット型エンジンでは、非オフセット型エンジンと比べて、1次慣性偶力の位相が変化し、且つ、1次慣性偶力の振幅が増大する。
図10は、非オフセット型エンジンでのピストン側圧による慣性偶力を示す。図11は、オフセット型エンジンでのピストン側圧による慣性偶力であって、オフセット量がクランク半径の約1/6である場合を示す。図10及び図11に示すように、クランクオフセット型エンジンでは、非オフセット型エンジンと比べて、ピストン側圧による1次慣性偶力が大きくなる。
上記のように、エンジン14は、オフセット型エンジンである。そのため、エンジン14においても、ピストン側圧による1次慣性偶力が大きくなる。
エンジン14では、ピストン側圧による1次慣性偶力を抑制する。以下、ピストン側圧による1次慣性偶力の影響をなくしたうえで、目標位置での振動加速度を相殺する方法について説明する。
図12を参照して、オフセット量e、コンロッドの長さl、クランク半径r、クランク回転角θ、及び、コンロッド揺動角φには、以下の式に示す関係が成立する。
Figure 2017044169
ここで、オフセット量eは、(A)シリンダの径方向での中心を通過し、且つ、シリンダの軸方向に延びる直線に対するクランクシャフトの軸心のオフセット量と、(B)当該直線に対するピストンピンの軸心のオフセット量とを合算したものである。以下の説明では、オフセット量eとして、上記の(A)のみの場合について説明する。そのため、参照する図12では、上記の(A)の場合を示している。なお、クランクシャフトの軸心がシリンダ軸線上に位置するエンジンでは、オフセット量e=0とすればよい。
上記の式(数44)を変形すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
三平方の定理により、以下の式が成立する。
Figure 2017044169
上記の式(数45及び46)より、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
以下の条件により、二項定理を用いて、上記の式(数47)を展開する。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
その結果、上記の式(数47)は、以下のようになる。
Figure 2017044169
上記の式(数52)を第3項までとし、第2項及び第3項を展開して整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
図12を参照して、ピストン38の変位xは、以下の式で表される。
Figure 2017044169
上記の式(数53及び54)を用いて、ピストン38の変位xを計算すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
三角関数の積和公式を用いて、上記の式(数55)を整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
ピストン38の速度vは、変位xを時間で微分することによって求められる。上記の式(数56)において、θ=ωtとすると、速度vは、以下の式で表される。
Figure 2017044169
ピストン38の加速度aは、速度vを時間で微分することによって求められる。上記の式(数57)を時間で微分すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
ここで、慣性力は、質量と加速度とを乗算したものである。上記の式(数58)を用いることにより、往復運動質量による慣性力は、以下の式で表される。
Figure 2017044169
図13を参照して、ピストン38の位置(具体的には、ピストンピン44の位置)に作用する慣性力Fは、コンロッド40に作用する力Fcと、シリンダ36の側壁に作用する力Fsとに分けられる。力Fcと力Fとの間、及び、力Fsと力Fとの間には、以下の式で示す関係がある。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
クランクシャフト42に作用する力は、図13に示すように、x方向の成分Fbxと、y方向の成分Fbyとに分けられる。Fbx及びFbyは、以下の式によって求められる。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
図13を参照して、力Fsと、力Fbyとは、偶力を構成する。上記の式(数62及び63)から明らかなように、上記の偶力は、ピストン38に作用する慣性力に起因する。以下、このような偶力を慣性偶力と称する。慣性偶力Mrzは、以下の式によって求められる。
Figure 2017044169
上記の式(数64)の右辺を整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
図13を参照して、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数66)を用いて、上記の式(数65)を整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
図13を参照して、ピストン38の位置xは、上記の式(数54)で表される。
ここで、θ=ωtとし、且つ、φを時間tの関数(φ=φ(t))として、上記の位置xを時間tで微分すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数66)の両辺を時間tで微分すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数69)を整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数70)を用いて、上記の式(数68)を整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数71)を整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
上記の式(数72)を用いて、上記の式(数67)を整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
往復運動質量による慣性力Fについて、上記の式(数58)を用いると、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
ピストン38の速度vについては、上記の式(数57)に示すとおりである。
ここで、以下の記号を定義する。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
Figure 2017044169
εとτについては、以下の関係が成立する。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
上記の式(数75−82)を用いて、慣性偶力Mrzについての式を整理すると、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数83)を展開し、三角関数の積和公式を用いて整理すると、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
μをλとξで表すと、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
ηをλとξで表すと、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数85及び86)を用いて、上記の式(数84)を整理する。その結果、1次成分については、以下の式で表される。
Figure 2017044169
上記の式(数87)について、三角関数の公式を用いて整理すると、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
例えば、λ=3、ξ=0.5を設定し、上記の式(数88)を計算する。計算してみると、絶対値が0.0001(0.01%)未満の係数が存在することがわかる。計算を容易にするために、絶対値が0.0001(0.01%)未満の係数を省略すると、以下の簡略化された式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数89)を変形すると、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
ただし、上記の式(数90)におけるA及びαは、以下の式で定義される。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ここで、Aを、ピストン側圧による1次慣性偶力の大きさ(振幅)と定義する。αを、ピストン側圧による1次慣性偶力の基準位相と定義する。この基準位相は、クランクシャフト42の位相に対するものである。クランクシャフト42の位相は、図8に示すように、クランクシャフト42の軸方向から見て、シリンダ軸線L1と平行であって、且つ、クランクシャフト42の軸心42Cを通過する直線L3上に、クランクピン46の軸心46Cが位置するときを基準(0°)とする。
往復運動質量によって発生する1次慣性力の一部を、クランクバランサ42Aによる慣性力の一部と組み合わせて、クランクシャフト42に作用する1次慣性力の回転成分(クランクシャフト42と逆方向に回転)を生成する。生成した回転成分をバランサ48Aによる慣性力の一部と組み合わせることで、偶力を発生させる。このとき、回転成分のベクトルの先端が描く軌跡は、真円である。回転成分の大きさは、付加するクランクバランサ42Aの大きさによって決まる。回転成分を発生させるためのクランクバランサ42Aの大きさを、kM1とする。発生する偶力の大きさは、往復運動質量m、クランク半径r、クランクシャフト42の角速度ω、及び、クランクシャフト42の軸心42Cとバランサ軸48の軸心48Cとの距離Lを用いて、以下の式で表される。
Figure 2017044169
上記の偶力がピストン側圧による1次慣性偶力と釣り合うためには、以下の等式が成り立つことが必要である。
Figure 2017044169
上記の式(数94)を整理すると、以下の式(数1と同じ式)が得られる。
Figure 2017044169
非オフセット型エンジンでは、ピストン側圧による慣性偶力のうち、2次慣性偶力及び3次慣性偶力は、上死点から下死点までの間、クランクシャフト42の回転方向に、エンジン(クランクケース)を回転させようとするモーメントとして作用する。これに対して、1次慣性偶力は、上死点から下死点までの間、クランクシャフト42の回転方向とは逆方向に、エンジンを回転させようとする。
このとき、往復運動質量による1次慣性力の一部と、クランクバランサ42Aによる慣性力の一部とを組み合わせることで生成される1次慣性力の回転成分は、上死点では、シリンダ軸線L1と平行な方向に作用する。クランクシャフト42の回転角度が+90°の位置では、クランク回転方向と逆方向に90°回転した方向に作用する。
上記の1次慣性力の回転成分をバランサ48Aによる慣性力と組み合わせて、ピストン側圧による1次慣性偶力を打ち消すには、バランサ軸48が、クランクシャフト42の軸方向から見て、シリンダ軸線L1上に位置している必要がある。
オフセット型エンジンでは、1次慣性偶力の基準位相がオフセット量によって変化する。そのため、オフセット量に応じて、バランサ軸48の位置を設定する必要がある。
例えば、1次慣性偶力の基準位相が240°付近にあるとする。ここで、sinθの振幅が最大となるのは、90°及び270°のときである。そのため、1次慣性偶力の基準位相が240°付近にある場合には、クランクシャフト42が基準位置から約30°回転したときに、1次慣性偶力が最も大きくなる。
オフセット型エンジンでは、1次慣性力に位相遅れτが生じる。そのため、クランクシャフト42が基準位置から30°回転したとき、エンジン14の1次慣性力は、シリンダ軸線L1が延びる方向に対して、クランクシャフト42が回転する方向とは逆に30°−τ回転した方向に作用する。この力と組み合わせて偶力を最大にできるバランサ48の位置は、図14に示すように、クランクシャフト42の軸方向から見て、基準位置から60°+τの位置になる。
ここで、1次慣性偶力は、上記のように、式(数90)で表される。この場合、バランサ軸48の最適位置は、以下の式で表される。以下の式では、クランクシャフト42の軸方向から見て、基準位置を基準(0°)とし、且つ、クランクシャフト42が回転する方向を正とする。図示をすると、図3に示すとおりである。
Figure 2017044169
バランサ軸48の位置は、上記の式(数96)で表される最適位置に限定されない。最適位置を基準として、±30°の範囲内であればよい。
ピストン側圧による1次慣性偶力を打ち消すためのクランクバランサ42Aの位相αM1は、クランクオフセットの影響により、往復運動質量による1次慣性力の位相がτだけずれることを考慮すると、以下の式(数2と同じ式)で表される。
Figure 2017044169
ピストン側圧による1次慣性偶力を打ち消すためのバランサ48Aの位相αBM1は、バランサ軸48がクランクシャフト42と逆方向に回転することを考慮すると、以下の式(数3と同じ式)で表される。
Figure 2017044169
往復運動質量による1次慣性力のうち、2kM1の大きさに相当する成分が、ピストン側圧による1次慣性偶力を打ち消すために用いられる。オフセット型エンジンの場合、往復運動質量による1次慣性力の大きさは、振幅倍率εによって表される。この振幅倍率εを用いて、残りの1次慣性力FICを表すと、以下の式のようになる。
Figure 2017044169
上記の式(数99)で表される1次慣性力に対して、上記のエンジンの瞬間回転中心の設定理論を適用する。以下、これについて説明する。
上記のFICは、往復運動質量による1次慣性力の一部である。そのため、FICは、シリンダ36の軸方向のみに作用する。
上記のFICに対して、クランクバランサ42Aによる慣性力を組み合わせる。このとき、合力ベクトルの先端が描く軌跡は、楕円となる。当該楕円の長径AICと短径BICとの間には、以下の式で示す関係が成立する。
Figure 2017044169
上記のエンジンの瞬間回転中心の設定理論において、各点の位置関係を示す式に変更はない。そのため、χ、A´及びB´についての式は、そのまま用いることができる。
A´+B´の式(数23)については、εの代わりに、FICを代入する。その結果、以下の式が得られる。
Figure 2017044169
上記の式(数101)を変形して、整理すると、以下の式が導き出される。
Figure 2017044169
したがって、FICについてエンジンの瞬間回転中心を設定するための1次慣性力の楕円の長径AICは、以下の式で表される。
Figure 2017044169
クランクバランサ42Aのうち、エンジンの瞬間回転中心を設定するための成分の大きさkIC及び位相αICは、以下の式で表される。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ただし、上記の式(数104及び105)におけるC及びCは、以下の式で定義される。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
バランサ48Aのうち、エンジンの瞬間回転中心を設定するための成分の大きさkBIC及び位相αBICは、以下の式で表される。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ピストン側圧による1次慣性偶力の影響を打ち消しつつ、エンジンの瞬間回転中心の位置を任意の位置に設定するには、それぞれに必要となるクランクバランサ42Aの成分とバランサ48Aの成分とをベクトル加算して求めればよい。
ピストン側圧による1次慣性偶力の影響を打ち消しつつ、エンジンの瞬間回転中心の位置を任意の位置に設定するためのクランクバランサ42Aの大きさktotalは、以下の式(数4と同じ式)で表される。
Figure 2017044169
ピストン側圧による1次慣性偶力の影響を打ち消しつつ、エンジンの瞬間回転中心の位置を任意の位置に設定するためのクランクバランサ42Aの位相αtotalは、以下の式(数5と同じ式)で表される。
Figure 2017044169
ピストン側圧による1次慣性偶力の影響を打ち消しつつ、エンジンの瞬間回転中心の位置を任意の位置に設定するためのバランサ48Aの大きさkBtotalは、以下の式(数6と同じ式)で表される。
Figure 2017044169
ピストン側圧による1次慣性偶力の影響を打ち消しつつ、エンジンの瞬間回転中心の位置を任意の位置に設定するためのバランサ48Aの位相αBtotalは、以下の式(数7と同じ式)で表される。
Figure 2017044169
エンジン14においては、上記のようにして、ktotal、αtotal、kBtotal及びαBtotalを設定することにより、ピストン側圧による1次慣性偶力の影響を打ち消しつつ、エンジンの瞬間回転中心の位置を任意の位置に設定することができる。
図15〜図18には、エンジン14の車体フレーム12への取付位置(具体的には、ピボット軸30)での振動加速度をシミュレーションした結果を示す。図15は、バランサ軸48を最適位置(基準位置からクランク回転方向に66.89°移動した位置)に配置した場合のシミュレーション結果である(実施例1)。図16は、バランサ軸48を最適位置からクランク回転方向とは逆方向に30°移動させた位置(基準位置からクランク回転方向に36.89°移動した位置)に配置した場合のシミュレーション結果である(実施例2)。図17は、バランサ軸48を最適位置からクランク回転方向に30°移動させた(基準位置からクランク回転方向に96.89°移動した位置)に配置した場合のシミュレーション結果である(実施例3)。図18は、バランサ軸48を基準位置からクランク回転方向とは逆方向に103.8°移動した位置に配置した配置した場合のシミュレーション結果である(比較例1)。つまり、比較例1では、ピストン側圧による1次慣性偶力を打ち消すための対策をしていない。なお、これらのシミュレーション結果は、何れも、連関比λ(l/r)が約3.19であって、且つ、偏心比ξ(e/r)が約0.18である場合についてのものである。
図15〜図18に示すように、実施例1は、比較例1よりも、振動を抑制するのを確認できた。バランサ軸48Aの位置が最適位置から±30°ずれた位置(実施例2及び3)であっても、比較例1と比べて、振動を抑制するのを確認できた。
なお、連関比λ(l/r)が3〜5であって、且つ、偏心比ξ(e/r)が0.1以上である場合、バランサ軸48Aの最適位置は、基準位置からクランク回転方向に50°〜80°の範囲内にある。バランサ軸48Aの位置が最適位置から±30°ずれた位置であっても振動抑制効果があることを考慮すると、この場合、バランサ軸48Aは、20°〜110°の範囲内にあればよいことになる。
[第1の実施の形態の応用例]
第1の実施の形態では、エンジン14がピボット軸30を介して車体フレーム12に直接取り付けられていたが、例えば、図19に示すように、リンク機構50を介して、エンジン14が車体フレーム12に取り付けられていてもよい。この場合、エンジン14のケース28に形成された孔28Aには、リンク機構50が有する軸50Aが挿通される。
本応用例では、リンク機構50におけるリンクの角度を、例えば、2次慣性力や推進力変動等の他の加振力を対象に設定すれば、エンジン14の振動が車体フレーム12に対してさらに伝達され難くなる。
[第2の実施の形態]
図20を参照しながら、本発明の第2の実施の形態によるエンジンで採用されるバランサ機構60について説明する。図20は、バランサ機構60と、ピストン・クランク機構32との関係を示す概念図である。
バランサ機構60は、2軸式のバランサ機構である。バランサ機構60は、バランサ軸62と、バランサ軸64とを含む。
バランサ軸62は、クランクシャフト42と平行に配置されている。バランサ軸62は、軸心62Cを有する。バランサ軸62は、軸心62C周りで回転可能に配置されている。バランサ軸62は、クランクシャフト42とは逆方向に回転する。バランサ軸62は、クランクシャフト42と同じ速さで回転する。バランサ軸62は、例えば、バランサ軸62に設けられた歯車がクランクシャフト42に設けられた歯車と噛み合うことにより、クランクシャフト42とともに回転する。バランサ軸62は、バランサ62Aを含む。バランサ62Aは、バランサ軸62の回転に伴って慣性力を発生させる。
バランサ軸64は、クランクシャフト42と平行に配置されている。バランサ軸64は、軸心64Cを有する。バランサ軸64は、軸心64C周りで回転可能に配置されている。バランサ軸64は、クランクシャフト42とは逆方向に回転する。バランサ軸64は、クランクシャフト42と同じ速さで回転する。バランサ軸64は、例えば、バランサ軸64に設けられた歯車がクランクシャフト42に設けられた歯車と噛み合うことにより、クランクシャフト42とともに回転する。バランサ軸64は、バランサ64Aを含む。バランサ64Aは、バランサ軸64の回転に伴って慣性力を発生させる。
クランクシャフト42の軸方向から見て、バランサ軸62は、クランクシャフト42の軸心42Cを通過し、且つ、シリンダ軸線L1に平行な直線L3に対して、バランサ軸64とは反対側に配置されている。クランクシャフト42の軸方向から見て、バランサ軸62及びバランサ軸64は、クランクシャフト42の軸心42Cを通過し、且つ、直線L3に垂直な直線L4に対して、ピストン38とは反対側に配置されている。
ピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力のベクトルが描く軌跡は、真円である。
本実施の形態では、バランサ機構60の動作に伴って発生する慣性力を利用して、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を抑制できる。図21〜図23を参照しながら、上記効果を得るためのバランサ機構60の設定について説明する。
図21を参照して、ピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力Fによって発生する振動を打ち消すための設定について説明する。1次慣性力Fによって発生する振動を打ち消すには、1次慣性力Fと、バランサ62Aによる慣性力Uと、バランサ64Aによる慣性力Uとが、以下の関係を満たせばよい。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ただし、Lは、バランサ軸62の軸心62Cとバランサ軸64の軸心64Cとを結ぶ直線L5が延びる方向(第1方向)でのクランクシャフト42の軸心42Cとバランサ軸62の軸心62Cとの距離である。Lは、第1方向でのクランクシャフト42の軸心42Cとバランサ軸64の軸心64Cとの距離である。1次慣性力Fがバランサ軸62の軸心62Cとバランサ軸64の軸心64Cとを結ぶ直線L5と直交する方向(第2方向)に作用するとき、慣性力U及び慣性力Uが1次慣性力Fと逆向きに作用する。
図22を参照して、ピッチモーメントを打ち消すための設定について説明する。ピッチモーメントとは、クランクシャフト42に作用する1次慣性力Fと、バランサ軸62に作用する慣性力Uaと、バランサ軸64に作用する慣性力Ubとの相互作用によって発生する、クランクシャフト42の軸心42Cを回転中心とするモーメントである。ピッチモーメントを打ち消すには、以下の式を満たせばよい。
Figure 2017044169
ただし、Uは、ピッチモーメントを打ち消すための位相及び大きさを有する慣性力である。1次慣性力Fが第1方向に作用するとき、Uは、バランサ軸62の軸心62Cとバランサ軸64の軸心64Cとを結ぶ直線L5に直交し、且つ、Fと、U+Uとによるモーメントを打ち消す方向に作用する。Lは、バランサ軸62の軸心62Cとバランサ軸64の軸心64Cとの距離である。Lは、第2方向でのクランクシャフト42の軸心42Cとバランサ軸62の軸心62C(或いは、バランサ軸64の軸心64C)との距離である。
バランサ62Aの大きさ及び位相は、U及びUを合成して決定すればよい。同様に、バランサ64Aの大きさ及び位相は、U及びUを合成して決定すればよい。
図23を参照して、ピストン側圧による加振モーメントの1次成分(1次慣性偶力)を打ち消すための設定について説明する。ピストン側圧による1次慣性偶力を打ち消すには、以下の式を満たせばよい。
Figure 2017044169
ただし、Mは、ピストン側圧による1次慣性偶力の大きさである。Uは、ピストン側圧による1次慣性偶力を打ち消すための大きさ及び位相を有する慣性力である。
ここで、オフセット型エンジンであって、ピストン側圧による1次慣性偶力が上死点後30°の位置(つまり、上死点から30°進んだ位置)で最大になる場合、バランサ軸62でのUの位相は、Uに対してクランク回転方向で30°進んだ位相となっており、バランサ軸64でのUの位相は、Uに対してクランク回転方向で210°進んだ位相となっている。
なお、クランクオフセットがないエンジンでは、Uは、上死点後90°の位置(つまり、上死点から90°進んだ位置)でクランク回転方向のモーメントを発生させる位相、つまり、Uと同じ位相を有する。
バランサ62Aの大きさ及び位相は、U、U及びUを合成して決定すればよい。同様に、バランサ64Aの大きさ及び位相は、U、U及びUを合成して決定すればよい。
[第2の実施の形態の応用例]
第2の実施の形態では、バランサ軸64がクランクシャフト42と逆方向に回転していたが、例えば、バランサ軸64はクランクシャフト42と同じ方向に回転してもよい。例えば、チェーンを介して、クランクシャフト42の回転がバランサ軸64に伝達されることにより、バランサ軸54がクランクシャフト42と同じ方向に回転する。バランサ軸64がクランクシャフト42と同じ方向に回転する場合、クランクバランサ42Aは任意の大きさ及び位相に設定される。以下、クランクバランサ42Aが設けられていない場合(クランクバランサ42Aが0%の場合)について説明する。なお、クランクバランサ42Aが設けられていない場合、1次慣性力Fのベクトルが描く軌跡は、円ではなく、シリンダ軸線と平行な直線になる。
本応用例では、バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力を利用して、ピストン側圧に起因する1次慣性偶力によって発生する振動を抑制できる。図24及び図25を参照しながら、上記の場合のバランサ機構の設定について説明する。
図24を参照して、ピストン・クランク機構32の動作に伴って発生する1次慣性力Fに起因する振動を打ち消すための設定について説明する。1次慣性力Fによって発生する振動を打ち消すには、バランサ62Aによる慣性力Uと、バランサ64Aによる慣性力Uとが、以下の関係を満たせばよい。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ただし、Aは、1次慣性力楕円(1次慣性力Fのベクトルの先端が描く軌跡)の長径である。Bは、1次慣性力楕円(1次慣性力Fのベクトルの先端が描く軌跡)の短径である。なお、クランクバランサが0%のとき、B=0であるから、以下の関係が成立する。
Figure 2017044169
図25を参照して、ピストン側圧による1次加振モーメント(1次慣性偶力)を打ち消すための設定について説明する。オフセット型エンジンであって、ピストン側圧による1次慣性偶力が上死点後30°の位置で最大となる場合、以下の関係を満たせばよい。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
ただし、Mは、ピストン側圧による1次加振モーメント(1次慣性偶力)の大きさである。Xは、クランクシャフト42の軸心42Cを原点としたバランサ軸62のX方向の位置である。Yは、クランクシャフト42の軸心42Cを原点としたバランサ軸62のY方向の位置である。Xは、クランクシャフト42の軸心42Cを原点としたバランサ軸64のX方向の位置である。Yは、クランクシャフト42の軸心42Cを原点としたバランサ軸64のY方向の位置である。X方向とは、直線L3に垂直な方向(直線L4に平行な方向)である。Y方向とは、直線L4に垂直な方向(直線L3に平行な方向)である。
なお、非オフセット型エンジンでは、上死点後90°付近において、ピストン側圧による加振モーメントが最大となる。非オフセット型エンジンでは、以下の関係が成立すればよい。
Figure 2017044169
Figure 2017044169
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
10 自動二輪車
12 車体フレーム
14 エンジン
30 ピボット軸
32 ピストン・クランク機構(動力変換機構)
34 バランサ機構
36 シリンダ
38 ピストン
40 コンロッド
42 クランクシャフト
42A クランクバランサ
46 クランクピン
48 バランサ軸
48A バランサ
50 リンク機構
60 バランサ機構
62 バランサ軸
62A バランサ
64 バランサ軸
64A バランサ
L1 シリンダ軸線

Claims (15)

  1. クランクシャフトと、シリンダ内に配置されたピストンとを含み、前記ピストンの前記シリンダ内での往復運動を前記クランクシャフトの回転運動に変換する運動変換機構と、
    前記運動変換機構の動作に伴って発生する振動を低減するバランサ機構とを備え、
    前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記クランクシャフトの軸心は、前記シリンダが有するシリンダ軸線上にはなく、
    前記運動変換機構では、前記ピストンが上死点から下死点まで移動するときの前記クランクシャフトの回転角度が、前記ピストンが下死点から上死点まで移動するときの前記クランクシャフトの回転角度よりも大きくなっており、
    前記バランサ機構は、
    前記クランクシャフトと平行に配置され、前記クランクシャフトが回転する方向とは反対の方向に、前記クランクシャフトと同じ速さで回転する第1バランサ軸を含み、
    前記第1バランサ軸は、前記クランクシャフトの軸方向から見た場合に、前記シリンダ軸線に対して、前記クランクシャフトとは反対側に位置し、
    前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分と、前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とを利用して、或いは、前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力を利用して、ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を低減する、エンジン。
  2. 請求項1に記載のエンジンであって、
    前記バランサ機構は、1軸式のバランサ機構であり、
    前記運動変換機構は、
    クランクシャフトに設けられ、前記クランクシャフトの回転に伴って慣性力を発生させるクランクバランサを含み、
    前記第1バランサ軸は、
    前記第1バランサ軸の回転に伴って慣性力を発生させるバランサを含み、
    前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分の一部と、前記第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部とを利用して、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を抑制する、エンジン。
  3. 請求項2に記載のエンジンであって、
    前記運動変換機構は、さらに、
    前記クランクシャフトと前記ピストンとを連結するコンロッドと、
    前記クランクシャフトに設けられ、前記コンロッドを揺動可能に支持するクランクピンとを含み、
    前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分をmrω・A・sin(θ+α)で表し、
    前記シリンダ軸線と平行に延び、且つ、前記クランクシャフトの軸心を通過する基準線と、前記クランクシャフトの回転に伴って前記クランクピンの軸芯が描く軌跡との交点のうち、前記ピストンに近いほうの交点上に、前記クランクピンの中心が位置する場合を基準位置とすると、
    前記第1バランサ軸は、前記基準位置から前記クランクシャフトが回転する方向で、α+150°+τ〜α+210°+τの範囲内に配置され、
    前記クランクバランサのうち、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動の抑制に寄与する成分の大きさkM1は、以下の式(1)で表され、
    前記クランクバランサのうち、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動の抑制に寄与する成分の位相αM1は、以下の式(2)で表され、
    前記バランサのうち、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動の抑制に寄与する成分の位相αBM1は、以下の式(3)で表される、エンジン。
    Figure 2017044169
    Figure 2017044169
    Figure 2017044169
    ただし、mは前記運動変換機構の往復運動質量を示し、rはクランク半径を示し、ωは前記クランクシャフトが回転するときの角速度を示し、Aは前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分の大きさを表し、αはピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分の位相を示し、τは前記運動変換機構の往復運動質量による慣性力の1次成分の位相遅れを表し、Lは前記第1バランサ軸の軸心と前記クランクシャフトの軸心との距離を表す。
  4. 請求項2又は3に記載のエンジンであって、
    前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分は、
    前記ピストンを含む往復運動質量による慣性力の1次成分と、
    前記クランクバランサによる慣性力とを含み、
    前記往復運動質量による慣性力の1次成分の一部と、前記クランクバランサによる慣性力の一部と、前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力の一部とを利用して、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を低減する、エンジン。
  5. 請求項4に記載のエンジンであって、
    前記往復運動質量による慣性力の1次成分の残りと、前記クランクバランサによる慣性力の残りと、前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力の残りとを利用して、前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分と前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減することにより、前記エンジンの瞬間回転中心を所定の位置に設定している、エンジン。
  6. 請求項5に記載のエンジンであって、
    前記クランクバランサの大きさktotalは、以下の式(4)で表され、
    前記クランクバランサの位相αtotalは、以下の式(5)で表され、
    前記バランサの大きさkBtotalは、以下の式(6)で表され、
    前記バランサの位相αBtotalは、以下の式(7)で表される、エンジン。
    Figure 2017044169
    Figure 2017044169
    Figure 2017044169
    Figure 2017044169
    ただし、kM1は、前記クランクバランサのうち、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を低減する成分の大きさを示し、
    αM1は、前記クランクバランサのうち、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を低減する成分の位相を示し、
    ICは、前記クランクバランサのうち、前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分と前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減する成分の大きさを示し、
    αICは、前記クランクバランサのうち、前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分と前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減する成分の位相を示し、
    kBM1は、前記バランサのうち、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を低減する成分の大きさを示し、
    αBM1は、前記バランサのうち、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を低減する成分の位相を示し、
    kBICは、前記バランサのうち、前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分と前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減する成分の大きさを示し、
    αBICは、前記バランサのうち、前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分と前記バランサ機構の動作に伴って発生する慣性力とに起因する偶力によって発生する振動を低減する成分の位相を示す。
  7. 請求項5に記載のエンジンであって、
    前記エンジンは、車両が有する車体フレームに対して揺動可能に配置され、
    前記エンジンには、前記車体フレームに設けられたピボット軸が挿入される孔が形成されており、
    前記エンジンの瞬間回転中心は、前記孔が形成された位置に設定されている、エンジン。
  8. 請求項5に記載のエンジンであって、
    前記エンジンは、リンク機構を介して、車両が有する車体フレームに配置され、
    前記エンジンには、前記リンク機構に設けられた支持軸が挿入される孔が形成されており、
    前記エンジンの瞬間回転中心は、前記孔が形成された位置に設定されている、エンジン。
  9. 請求項1に記載のエンジンであって、
    前記バランサ機構は、さらに、
    前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記シリンダ軸線に対して前記第1バランサ軸とは反対側に配置された第2バランサ軸を含み、
    前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第1バランサ軸は、前記シリンダ軸線が延びる方向で、前記第2バランサ軸とは異なる位置にある、エンジン。
  10. 請求項9に記載のエンジンであって、
    前記クランクシャフトの軸方向から見て、前記第1バランサ軸及び前記第2バランサ軸は、前記クランクシャフトの軸心を通過し、且つ、前記シリンダ軸線と直交する方向に延びる仮想線に対して、前記ピストンとは反対側に配置されている、エンジン。
  11. 請求項9又は10に記載のエンジンであって、
    前記第1バランサ軸は、前記第1バランサ軸の回転に伴って慣性力を発生させる第1バランサを含み、
    前記第2バランサ軸は、前記クランクシャフトが回転する方向とは反対の方向に回転し、且つ、前記第2バランサ軸の回転に伴って慣性力を発生させる第2バランサを含み、
    前記運動変換機構の動作に伴って発生する慣性力の1次成分をベクトル表示したときの軌跡が真円であり、
    前記第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部と、前記第2バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部とを利用して、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を抑制する、エンジン。
  12. 請求項11に記載のエンジンであって、
    前記クランクシャフトは、さらに、
    前記クランクシャフトの回転に伴って慣性力を発生させるクランクバランサを含み、
    前記クランクバランサによる慣性力と、前記第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の残りと、前記第2バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の残りとを利用して、前記運動変換機構の往復運動質量による慣性力の1次成分に起因する振動を抑制する、エンジン。
  13. 請求項9又は10に記載のエンジンであって、
    前記第1バランサ軸は、前記第1バランサ軸の回転に伴って慣性力を発生させる第1バランサを含み、
    前記第2バランサ軸は、前記クランクシャフトが回転する方向と同じ方向に回転し、且つ、前記第2バランサ軸の回転に伴って慣性力を発生させる第2バランサを含み、
    前記第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部と、前記第2バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の一部とを利用して、前記ピストン側圧に起因する慣性偶力の1次成分によって発生する振動を抑制する、エンジン。
  14. 請求項13に記載のエンジンであって、
    前記第1バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の残りと、前記第2バランサ軸の回転に伴って発生する慣性力の残りとを利用して、前記運動変換機構の往復運動質量による慣性力の1次成分に起因する振動を抑制する、エンジン。
  15. 請求項1〜14の何れか1項に記載のエンジンを備える鞍乗型車両。
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