JP2021014818A - 車両用パワーユニット - Google Patents
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Abstract
Description
この構成によれば、クランク軸と平行な変速機軸を第二バランサの支持軸として利用することで、第二バランサ専用のバランサ支持軸を不要として部品点数を削減可能となる。これにより、パワーユニットの軽量化およびコストダウンを図るとともに、クランク軸方向と交差する方向での小型化に寄与することができる。また、第二バランサは、クランク軸上の第二バランサドライブギヤと噛み合う第二バランサドリブンギヤによって回転駆動される。これにより、チェーン等で駆動される場合に比べて、組付け性およびメンテナンス性を向上させることができる。
この構成によれば、クランク軸と第一バランサ支持軸との間の第一軸間距離よりも、クランク軸と第二バランサを支持する変速機軸との間の第二軸間距離が大きい。また、第一バランサの第一アンバランス量よりも、第二バランサの第二アンバランス量が小さい。アンバランス量は、各バランサにおける「偏心ウェイトの質量×回転中心から偏心ウェイトの重心までの距離」で定義される。各バランサの軸間距離とアンバランス量とを上記のように設定することで、第一バランサのアンバランス量によるクランク軸回りのモーメントと、第二バランサのアンバランス量によるクランク軸回りのモーメントと、をつり合わせることが可能となる。これにより、各バランサの回転によるクランク軸回りの振動が互いに打ち消し合う設定となり、クランク軸回りの振動を抑えることができる。また、第二バランサを小型化して変速機の限られたスペースに配置しやすくなり、変速機ひいてはパワーユニットの小型化または軽量化に寄与することができる。
この構成によれば、シリンダ軸線と第一バランサとの間の第一オフセット量よりも、シリンダ軸線と第二バランサとの間の第二オフセット量が大きい。また、第一バランサの第一アンバランス量よりも、第二バランサの第二アンバランス量が小さい。アンバランス量は、各バランサにおける「偏心ウェイトの質量×回転中心から偏心ウェイトの重心までの距離」で定義される。各バランサのオフセット量とアンバランス量とを上記のように設定することで、第一バランサのアンバランス量による規定軸回り(前記規定の方向に沿う軸回り)のモーメントと、第二バランサのアンバランス量による規定軸回りのモーメントと、をつり合わせることが可能となる。これにより、各バランサの回転による規定軸回りの振動が互いに打ち消し合う設定となり、規定線回りの振動を抑えることができる。また、第二バランサを小型化して変速機の限られたスペースに配置しやすくなり、変速機ひいてはパワーユニットの小型化または軽量化に寄与することができる。
この構成によれば、簡易な構造で第二バランサの偏心ウェイトを設けることができ、変速機ひいてはパワーユニットの小型化に寄与することができる。
この構成によれば、メイン軸の軸方向で、メイン軸の軸受け部材とプライマリドリブンギヤとの間に、第二バランサドリブンギヤを配置することで、大径のプライマリドリブンギヤに近接して効率よく第二バランサドリブンギヤを設置可能とし、変速機ひいてはパワーユニットの小型化に寄与することができる。
この構成によれば、シリンダのオフセット側に第一バランサが配置され、反対側に第二バランサが配置されることで、第二バランサの小型計量化が可能となる。すなわち、燃焼室での燃焼によりピストンが下降する際には、クランク軸回りに正転方向のモーメントが生じるが、このモーメントは、第一バランサの回転により生じるクランク軸回りの逆転方向のモーメントにより低減される。よって、シリンダがオフセットしていない場合と比べて、クランク軸回りの逆転方向のモーメントは、ピストンの影響で低減される。したがって、第二バランサの回転によるクランク軸回りの正転方向のモーメントも小さくて済み、第二バランサの小型計量化が可能となる。これにより、パワーユニットの小型軽量化を図った上で、クランク軸回りの振動を抑えることができる。
図1に示すように、本実施形態は、鞍乗り型車両の一例としての自動二輪車1に適用されている。自動二輪車1の前輪2は、左右一対のフロントフォーク3の下端部に支持されている。左右フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して、車体フレーム5の前端部のヘッドパイプ6に支持されている。ステアリングステム4のトップブリッジ上には、バータイプの操向ハンドル4aが取り付けられている。
メインチューブ7の上方には、エンジン13の燃料を貯留する燃料タンク18が配置されている。燃料タンク18の後方で前記シートフレームの上方には、乗員が着座するシート19が配置されている。シート19の下方の左右両側には、乗員が足を載せる左右一対のステップ19aが配置されている。
図2、図3を併せて参照し、エンジン13は、クランク軸21の回転中心軸線(クランク軸線)C1を左右方向(車幅方向)に沿わせた空冷単気筒エンジンである。エンジン13は、クランクケース22の前部上方にシリンダ部23を略垂直に起立させている。クランクケース22は、左右方向に直交する分割面を境に左右ケース半体22a,22bに分割される。左右ケース半体22a,22bの前上部には、シリンダ部23の下端部(基部、以下、シリンダ基部という。)23fが一体形成されている。
本実施形態では、自動二輪車1の前後方向に沿う軸をX軸、左右方向(車幅方向)に沿う軸をY軸、上下方向に沿う軸をZ軸、と称し、各軸を図中矢印X,Y,Zで示している。
図2、図3に示すように、クランク軸21は、クランクケース22の前部内において、左右一対のボールベアリング26l,26r(軸受け部材、以下、クランクベアリング26l,26rという。)を介して回転可能に支持されている。クランク軸21は、ピストン24の往復運動から軸線C1回りの回転運動を生成する。クランク軸21は、クランクアームおよびカウンタウェイトを含む左右一対のクランクウェブ21bl,21brと、左右クランクウェブ21bl,21brの各々からクランク軸線C1に沿って左右方向外側に突出する左右一対のジャーナル21cl,21crと、左右ジャーナル21cl,21crの各々からさらにクランク軸線C1に沿って左右方向外側に延びる左右一対の延長軸21dl,21drと、を一体回転可能に備えている。左右ジャーナル21cl,21crは、それぞれ左右クランクベアリング26l,26rに挿通、支持されている。
なお、左右クランクウェブ21bl,21brを合わせて単にクランクウェブ21bで示し、左右ジャーナル21cl,21crを合わせて単にジャーナル21cで示し、左右延長軸21dl,21drを合わせて単に延長軸21dで示すことがある。
図2、図3に示すように、変速機31は、クランク軸線C1と交差(直交)する車両前後方向で、クランク軸21の一方側(後方側)に配置されている。変速機31は、メイン軸32およびカウンタ軸33と、メイン軸32およびカウンタ軸33に跨る変速ギヤ群34と、を有する有段式のトランスミッションである。クランク軸21の回転動力は、変速ギヤ群34の任意のギヤを介して、メイン軸32からカウンタ軸33に伝達される。カウンタ軸33は、変速機31ひいてはパワーユニットPUの出力軸を構成している。カウンタ軸33の左端部は、クランクケース22の後部左側に突出して前記機関出力部35を構成している。
図3に示すように、クラッチ装置36は、例えば湿式多板クラッチであり、かつノーマルクローズクラッチである。すなわち、クラッチ装置36は、例えば乗員のクラッチ操作に応じて不図示のアクチュエータから規定の操作入力があると、動力伝達が不能な切断状態となる。クラッチ装置36は、前記アクチュエータからの操作入力が解除されと、内装するクラッチスプリングのバネ力により、動力伝達が可能な接続状態に戻る。前記アクチュエータの作動は、乗員の手動でも電動等の自動でもよい。
図2、図3に示すように、パワーユニットPUは、クランク軸21の前後位置に一対のバランサ41,45を備えている。一対のバランサ41,45は、それぞれクランク軸線C1と平行な回転軸線C5,C6を有している。一対のバランサ41,45は、クランク軸線C1と交差(直交)する車両前後方向で、クランク軸21を挟むように設けられている。以下、一対のバランサ41,45の内、クランク軸21よりも前方に位置するものをフロントバランサ41と称し、クランク軸21よりも後方に位置するものをリヤバランサ45と称する。
リヤバランサ45は、クランク軸21よりも後方に配置されている。リヤバランサ45の回転中心軸線(軸心)C6は、クランク軸線(軸心)C1よりもやや上方に配置されている。
図4を参照し、クランク軸21の左右クランクウェブ21bl,21brの各々は、クランクピン21aの左右端部を支持するクランクアーム21fと、クランク径方向でクランクアーム21fと反対側の領域に張り出すカウンタウェイト21gと、を一体に備えている。左右クランクウェブ21bl,211brの各々は、クランクアーム21fおよびカウンタウェイト21gを含んで一体形成されている。
以下、単にクランクアーム21fという場合は左右クランクアームを含み、単にカウンタウェイト21gという場合は左右カウンタウェイトを含むものとする。
図3を併せて参照し、フロントバランサ本体43(偏心ウェイト43b)は、左クランクベアリング26lよりも左方側に、クランクケース22の左側壁22a1を介して近接配置されている。フロントバランサ本体43(偏心ウェイト43b)は、クランクケース22の左側壁22a1と、交流発電機14の左側(車幅方向内側)に係合されたスタータギヤ15と、の間に入り込むように配置されている。
X5・M5=X6・M6+X2・M2…式1
M5+M6=50…式2
式1のX2はシリンダオフセット量を示す。
これらの式1、式2を満たすように、フロントバランサ41およびリヤバランサ45の配置、質量が設定される。尚、式1、式2はあくまで模式的なモデルを検討した場合に適用できる一例であり、実際の設計に際してはその他関連部品のレイアウト等を考慮することが必要であり、常にこれらの式を満たすとは限らない。よって本願の権利範囲は式1、式2を満たす構造に限定されない。
なお、実施形態では、式1、式2をフロントバランサ41およびリヤバランサ45の各質量M5,M6に基づき定義したが、この質量に代わり、上述したアンバランス量を用いても、同様の検討が可能である。例えば、質量M5,M6が互いに同一質量だったとしても、各バランサ41,45の回転中心から偏心ウェイト重心までの距離r5,r6を調整してアンバランス量を異ならせることで、同様の効果を得ることが可能である。
Y5・M5=Y6・M6…式3
本発明を適用する車両には、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
21 クランク軸
22 クランクケース
23 シリンダ部(シリンダ)
24 ピストン
28 リヤバランサドライブギヤ(第二バランサドライブギヤ)
29 プライマリドライブギヤ
31 変速機
32 メイン軸(変速機軸)
32ar メイン軸ベアリング(軸受け部材)
33 カウンタ軸
36 クラッチ装置
39 プライマリドリブンギヤ
41 フロントバランサ(第一バランサ)
M5 質量
42 フロントバランサ支持軸(第一バランサ支持軸)
X5 第一軸間距離
Y5 第一オフセット量
X6 第二軸間距離
Y6 第二オフセット量
45 リヤバランサ(第二バランサ)
M6 質量
46 リヤバランサドリブンギヤ(第二バランサドリブンギヤ)
46b 偏心ウェイト
C1 クランク軸線
C2 シリンダ軸線
Claims (6)
- シリンダ(23)内に嵌装されて燃焼室を区画するピストン(24)と、
前記ピストン(24)を連結するクランク軸(21)と、
前記クランク軸(21)の回転駆動力を変速する変速機(31)と、
前記クランク軸(21)の回転と同期して回転し、前記クランク軸(21)をクランク軸方向と交差する規定の方向で挟むように配置される一対のバランサ(41,45)と、を備え、
前記一対のバランサ(41,45)は、前記規定の方向で前記変速機(31)が位置する側と反対側に配置される第一バランサ(41)と、前記規定の方向で前記変速機(31)が位置する側に配置される第二バランサ(45)と、を備え、
前記第二バランサ(45)は、前記変速機(31)における前記クランク軸(21)と平行な変速機軸(32)上に支持され、
前記クランク軸(21)は、前記第二バランサ(45)を駆動する第二バランサドライブギヤ(28)を一体回転可能に支持し、
前記第二バランサ(45)は、前記第二バランサドライブギヤ(28)が噛み合う第二バランサドリブンギヤ(46)によって回転駆動される、車両用パワーユニット。 - 前記クランク軸(21)と前記第一バランサ(41)を支持する第一バランサ支持軸(42)との間の第一軸間距離(X5)よりも、前記クランク軸(21)と前記第二バランサ(45)を支持する変速機軸(32)との間の第二軸間距離(X6)が大きく、
前記第一バランサ(41)の質量(M5)を含む第一アンバランス量よりも、前記第二バランサ(45)の質量(M6)を含む第二アンバランス量が小さい、請求項1に記載の車両用パワーユニット。 - 前記第一バランサ(41)と前記第二バランサ(45)とは、前記クランク軸方向で前記シリンダ(23)のシリンダ軸線(C2)を挟んだ両側に配置され、
前記クランク軸方向における前記シリンダ軸線(C2)に対する前記第一バランサ(41)の第一オフセット量(Y5)よりも、前記クランク軸方向における前記シリンダ軸線(C2)に対する前記第二バランサ(45)の第二オフセット量(Y6)が大きく、
前記第一バランサ(41)の質量(M5)を含む第一アンバランス量よりも、前記第二バランサ(45)の質量(M6)を含む第二アンバランス量が小さい、請求項1又は2に記載の車両用パワーユニット。 - 前記第二バランサ(45)は、前記第二バランサドリブンギヤ(46)の周方向の規定範囲に一体形成した肉厚部を偏心ウェイト(46b)として備えている、請求項1から3の何れか一項に記載の車両用パワーユニット。
- 前記変速機(31)は、前記クランク軸(21)と平行なメイン軸(32)およびカウンタ軸(33)を有し、
前記メイン軸(32)の軸方向一側には、前記クランク軸(21)と前記変速機(31)との間の動力伝達を断接するクラッチ装置(36)が支持され、
前記第二バランサドリブンギヤ(46)は、前記メイン軸(32)に支持され、
前記クランク軸(21)には、プライマリドライブギヤ(29)が支持されるとともに、前記クラッチ装置(36)には、前記プライマリドライブギヤ(29)が噛み合うプライマリドリブンギヤ(39)が支持され、
前記第二バランサドリブンギヤ(46)は、前記メイン軸(32)に支持され、かつ、前記メイン軸(32)の軸方向において、前記メイン軸(32)をクランクケース(22)に支持する軸受け部材(32ar)と、前記プライマリドライブギヤ(29)と、の間に配置されている、請求項1から4の何れか一項に記載の車両用パワーユニット。 - 前記シリンダ(23)は、クランク軸線(C1)に対してシリンダ軸線(C2)を前記クランク軸(21)の正転方向側へオフセットさせたオフセットシリンダであり、
前記第一バランサ(41)は、前記規定の方向で、前記クランク軸(21)の正転方向側に配置され、前記第二バランサ(45)は、前記規定の方向で、前記クランク軸(21)の逆転方向側に配置されている、請求項1から5の何れか一項に記載の車両用パワーユニット。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021230221A1 (ja) | 2020-05-13 | 2021-11-18 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 発光装置及びそれを用いた電子機器 |
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JPH0370823A (ja) * | 1989-08-10 | 1991-03-26 | Honda Motor Co Ltd | 内燃機関のバランサ装置 |
JPH0492143A (ja) * | 1990-08-06 | 1992-03-25 | Honda Motor Co Ltd | エンジンのバランサー装置 |
JP2017044169A (ja) * | 2015-08-27 | 2017-03-02 | ヤマハ発動機株式会社 | エンジン及び鞍乗型車両 |
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2019
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